(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】射出成形されたカニューレシステム
(51)【国際特許分類】
A61M 25/00 20060101AFI20240912BHJP
A61M 39/02 20060101ALI20240912BHJP
B29C 45/14 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61M25/00 500
A61M39/02 110
B29C45/14
(21)【出願番号】P 2021551953
(86)(22)【出願日】2020-03-05
(86)【国際出願番号】 EP2020055766
(87)【国際公開番号】W WO2020178361
(87)【国際公開日】2020-09-10
【審査請求日】2023-01-31
(32)【優先日】2019-03-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】591003013
【氏名又は名称】エフ. ホフマン-ラ ロシュ アーゲー
【氏名又は名称原語表記】F. HOFFMANN-LA ROCHE AKTIENGESELLSCHAFT
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【識別番号】100172041
【氏名又は名称】小畑 統照
(72)【発明者】
【氏名】ラスムッセン,マッズ・ビヨルン
(72)【発明者】
【氏名】フライターク,クリスティアン
【審査官】佐藤 智弥
(56)【参考文献】
【文献】米国特許第06120480(US,A)
【文献】特開2018-166953(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61M 25/00
A61M 5/158
A61M 5/34
A61M 25/06
A61M 25/18
A61M 39/02
B29C 45/14
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体ユニットおよび圧縮ユニットを有するカニューレシステムを製造するための方法であって、
- 取付け構造を備える本体ユニットを設けるステップであって、前記本体ユニットは、成形コアピン上に前記本体ユニットを射出成形することによって当該成形コアピン上に取り付けられる、設けるステップと、
- 前記本体ユニットの前記取付け構造に軟質カニューレを通すステップと、
- 前記軟質カニューレ上、および前記本体ユニットの少なくとも部分上に前記圧縮ユニットを射出成形するステップであって、前記圧縮ユニットは、前記取付け構造、前記軟質カニューレの少なくとも部分、および前記本体ユニットの少なくとも部分を円周方向に取り囲む、射出成形するステップと、
- 前記圧縮ユニットを冷却するステップであって、これにより、前記圧縮ユニットの内部材料張力を提供する、冷却するステップと、
- 前記成形コアピンを取り外すステップと
を含む、方法。
【請求項2】
前記軟質カニューレの遠位端領域のみが、前記本体ユニットの前記取付け構造に通され、前記圧縮ユニットは、前記軟質カニューレの前記遠位端領域のみを好適に円周方向に取り囲む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記軟質カニューレの前記遠位端領域は、前記カニューレが前記取付け構造に通される前は、前記カニューレの残りの部分よりも直径が大きい、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記圧縮ユニットの前記内部材料張力は、径方向に内側に方向付けられた圧縮力を発揮する、請求項1から3のいずれか一項に記載の方法。
【請求項5】
前記圧縮ユニットの前記内部材料張力は前記軟質カニューレを圧縮する、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
【請求項6】
前記本体ユニットと前記圧縮ユニットとが、および/または、前記圧縮ユニットと前記軟質カニューレとが、前記圧縮ユニットの射出成形中に接着接合を形成する、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
2つの別個の射出成形ステップからなる、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、注入技術の分野に入る。より詳細には、本発明は、注入側インタフェースおよび注入ポンプ、ならびに、注入側インタフェースのためのカニューレシステムの製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
注入ポンプは、長い期間にわたって液状製剤を患者に非経口的に提供するために使用される。今日、患者が身体に着けて運ぶことが可能な非常に寸法が小さな注入ポンプが利用可能である。そのような小型で携帯型の注入ポンプは、糖尿病の治療のためのインスリンまたは疼痛治療のための鎮痛剤といった、カニューレを通して患者の組織内に伝達される少量の高度に効果的な液状製剤を調量するために特に有用である。
【0003】
1つの手法において、身体上のどこかに着けて運ばれる、例えばベルトに付けられた注入ポンプは、患者の身体に付けられる、挿入ヘッドとも呼ばれる注入側インタフェースに対して、フレキシブルチュービングを介して流体接続される。注入側インタフェースは、身体組織に挿入されるカニューレを有するカニューレシステム、ハウジング、および、上流の注入ポンプに接続されたフレキシブルチュービングにカニューレを流体接続するためのコネクタ手段を備える。チュービングは繰り返して、注入側インタフェースに接続されそこから外される。コネクタ手段は、例えば、カニューレおよびハウジングの流体システムを密閉する隔壁を備えることができる。流体接続を可逆的に形成するために、隔壁には中空針が貫入しうる。カニューレは、好ましくは可撓性材料で作製され、したがって軟質カニューレである。このようなカニューレは、そのユーザーにとって、特に身体が動いている間はより快適である。フレキシブルカニューレを組織に直接挿入することができないため、例えば、金属製の硬質穿孔針の形態のさらなる穿孔素子が、フレキシブルカニューレの内部に配置される。穿孔素子の尖った末端は、間質液に向かって開いてるカニューレの近位端から突出している。穿孔素子および安定化されたカニューレを身体組織に挿入した後に、硬質穿孔素子はフレキシブルカニューレから取り外される。カニューレは身体組織内に残ったままである。概して、穿孔針は、隔壁に貫入するように配置され、隔壁は、穿孔針を抜いた後に、新らたに開いたカニューレ流路の遠位端を密閉する。
【0004】
別の手法において、注入ポンプ素子は、注入側インタフェースに直接流体接続される。ポンプとカニューレとの間の流体接続は、ポンプの中空コネクタ針によって形成され、上記中空コネクタ針は、カニューレ流路の遠位端を密閉するカニューレユニットの隔壁に可逆的に貫入する。有利に、ポンプは繰り返して、注入側インタフェースに接続しそこから外すことができる。
【0005】
軟質でフレキシブルなカニューレを有する注入側インタフェースを製造するための一般的な方法において、製造プロセス中にフレキシブルカニューレの取り扱いを簡素化するために、第1のステップにて、安定化ピンがフレキシブルカニューレ内に導入される。このように準備された一時的な構造ユニットが、前もって製造されたハウジングに挿入され、フレキシブルカニューレとハウジングとが、例えば、熱プロセスによって永続的に接合される。安定化ピンは、その後、フレキシブルカニューレから引き出され、実際の穿孔素子と置換される。穿孔素子の挿入によって、時として、フレキシブルカニューレが損傷し、製造中の不良率かなり高くなる。
【0006】
国際公開第2018 033 614号は、ハウジングおよびフレキシブルカニューレを備えるカニューレユニットを開示する。フレキシブルカニューレは、フレキシブルカニューレの残りの部分の形状から外れた端部領域を備える。フレキシブルカニューレの端部領域は、例えば、漏斗に似た形状またはフランジの形状を有する。さらに、ハウジングは、2つの部分を備え、2つの部分の間で、フレキシブルカニューレの端部領域が、クランピングによってハウジングに確実に固定される。ハウジングの2つの部分は、最終的に、溶接、特にレーザー溶接によって接合される。
【発明の概要】
【0007】
現在の技術水準において知られているカニューレユニットおよびシステムは、幾つかの欠点に悩まされている。例えば、カニューレユニットが、別々に生産され続いて製造プロセス中に接合されるだけの2つの部分を有するハウジングを備える場合、或る一定の制限が課される。第1に、材料は、2つのハウジング部分が接合されるように、溶接または接着に適していければならない。第2に、接合ステップは追加的なステップであり、製造時間および生産コストを増大させる。第3に、ハウジングの2つの部分は、互いに対して厳密に相補的でなければならず、したがって、そうでなければ漏洩が問題になるため、わずかな材料公差のみ許容される。これは現在の技術水準において深刻な問題である。なぜならば、非相補的なハウジング部分による欠陥製品の量が著しく多いからである。
【0008】
したがって、液状薬物の注入の観点でカニューレシステムの設計および使用に関する現在の技術水準を改善し、これにより、好ましくは、従来技術の欠点を完全にまたは部分的に回避することが本発明の全体の目的である。
【0009】
有利な実施形態において、漏洩の発生が、回避されるかまたは少なくとも著しく低減されるカニューレユニットが提供される。
【0010】
さらなる好ましい実施形態において、時間およびコスト効率的なやり方で製造することができるカニューレユニットが提供される。
【0011】
さらなる好ましい実施形態において、製造プロセス中の欠陥製品の量、したがって不良率が低減される。
【0012】
本発明の第1の目的によれば、全体の目的は、本体ユニットおよび圧縮ユニットを有するカニューレシステムを製造するための方法によって達成される。本方法は、取り付け構造を備える本体ユニットを設けることを含み、本体ユニットは、成形コアピン上に取り付けられる。その後、軟質カニューレは本体ユニットの取付け構造に通される。以下のステップにおいて、圧縮ユニットは、軟質カニューレ上、および本体ユニットの少なくとも部分上に射出成形される。圧縮ユニットは、取付け構造、軟質カニューレの少なくとも部分、および本体ユニットの少なくとも部分を円周方向に取り囲む。さらに、射出成形された圧縮ユニットは冷却され、これにより、圧縮ユニットの内部材料張力が提供される。典型的に、冷却には圧縮ユニットの収縮が伴う。さらに、成形コアピンが取り外される。圧縮ユニットの射出成形直後に、すなわち圧縮ユニットの冷却前に、圧縮ユニットの冷却後に、または、圧縮ユニットの冷却中にさえも成形コアピンを取り外せることが当業者には分かる。
【0013】
本体ユニットも、好ましくは射出成形によって製造される。例えば、本体は、成形コアピン上で射出成形することによって提供することができる。しかしながら、本体ユニットを、別の適切な方法によって製造することもできる。特に、本体ユニットが射出成形によって製造される場合、2つの射出成形ステップを、2つの別個の射出成形ステップとして行うことができる。
【0014】
圧縮ユニット、および任意選択的に本体ユニットを製造するために射出成形技術を使用することは、減らされた数のツールのみを必要とするという利点を有する。さらに、溶接または接着等の追加の接合ステップは必要とされない。さらに、圧縮ユニットが、本体ユニット上およびカニューレ上で射出成形されその後冷却されるため、収縮によって内部材料張力が引き起こされ、これによりカニューレシステム内での軟質カニューレの固定が著しく強化される。冷却がモールド内で実施される場合、収縮および関連する内部材料張力が増大しうる。さらに、本体ユニットと圧縮ユニットの両方の射出成形は、2つの部分が必ず互いに相補的であり、したがって材料欠陥部分の量が著しく減少するという利点を有する。
【0015】
「円周方向に(circumferentially)」という用語が、取り付け構造、カニューレ、および/または本体ユニットが、丸い断面および/または円筒形状を有することを必ずしも必要としないと理解される。これらの構成要素は、互いに独立して、丸断面、楕円断面、または角断面を含み、またさらに、注入セットに適する任意の形状を有することができる。
【0016】
幾つかの実施形態において、圧縮ユニットは、本体ユニットの外表面の少なくとも1/3、好ましくは1/2を円周方向に取り囲むように射出成形され、これにより、本体ユニットと圧縮ユニットとの間の特定の密で確実な接合がもたらされる。
【0017】
さらなる実施形態において、軟質カニューレの遠位端領域のみが、本体ユニットの取付け構造に通される。圧縮ユニットは、好ましくは、軟質カニューレの遠位端領域のみを円周方向に取り囲む。当業者には分かるように、遠位端領域は、稼働状態において患者から外方に向いている。そのため、遠位端領域は、近位端領域よりも本体ユニットに近い。したがって、患者の組織に挿入されると、近位端領域が最初に組織に挿入される。
【0018】
他の実施形態において、軟質カニューレの遠位端領域は、カニューレが取付け構造上に通される前は、カニューレの残りの部分よりも直径が大きい。そのため、カニューレは、取り付け構造上へと押し込まれると、横方向に拡張せずまたはわずかに拡張するだけであり、材料クリープ(material creep)が全く起こらずまたは少し起こり、おそらくよりわずかな漏洩につながる。
【0019】
さらなる実施形態において、圧縮ユニットの内部材料張力は、径方向に内側に方向付けられた圧縮力を発揮する。そのような力は特に有利である。なぜならば、カニューレと取り付け構造との間および/またはカニューレと圧縮ユニットとの間の漏洩のリスクがさらに下がるからである。
【0020】
他の実施形態において、圧縮ユニットの内部材料張力は、取り付け構造に通された軟質カニューレの部分を圧縮する。このような実施形態において、圧縮ユニット、好ましくは遠位端領域によって円周方向に取り囲まれた少なくともカニューレの部分が圧縮される。そのため、この部分のカニューレの肉厚は、圧縮ユニットによって円周方向に取り囲まれていないカニューレの残りの部分の肉厚より小さい。
【0021】
さらなる実施形態において、本体ユニットと圧縮ユニットとが、および/または、圧縮ユニットと軟質カニューレとが、圧縮ユニットの射出成形中に接着接合(bonded connection)を形成する。
【0022】
他の実施形態において、本方法は、2つの別個の射出成形ステップからなり、これにより、製造ステップの要求される量、ならびに総製造時間およびコストをなおさらに削減する。
【0023】
本発明の第2の態様によれば、全体の目的は、軟質カニューレ、および軟質カニューレを保持するためのカニューレユニットを備えるカニューレシステムによって達成される。カニューレユニットは、圧縮ユニットおよび本体ユニットを含み、または代替的に、圧縮ユニットおよび本体ユニットで構成されることもでき、本体ユニットは、取付け構造、および隔壁を保持するためのキャビティを含む。軟質カニューレは、本体ユニットの取付け構造に通される。さらに、圧縮ユニットは、取付け構造、および本体ユニットの少なくとも部分を円周方向に取り囲む。圧縮ユニットはまた、軟質カニューレおよび取付け構造に圧縮力を加えるための内部材料張力を含む。
【0024】
例えば、このようなカニューレシステムは、本明細書で述べる方法によって製造することができる。さらに、本体ユニットおよび/または圧縮ユニットは、典型的には射出成形される。
【0025】
幾つかの実施形態において、取付け構造は、突起部、特に、円筒状のまたは立方体の突起部でありうる。
【0026】
さらなる実施形態において、軟質カニューレの遠位端領域のみが、取付け構造に通され、圧縮ユニットは、軟質カニューレの遠位端領域を円周方向に取り囲む。
【0027】
他の実施形態において、軟質カニューレの遠位端領域は、軟質カニューレの残りの部分よりも直径が大きい。そのため、これらの実施形態において、遠位端領域全体が、軟質カニューレの残りの部分よりも直径が大きい。
【0028】
典型的には、軟質カニューレの遠位端領域には内部材料張力が存在しない。
【0029】
幾つかの実施形態において、軟質カニューレの遠位端領域の肉厚は、軟質カニューレの残りの部分の肉厚より小さい。
【0030】
他の実施形態において、圧縮ユニットは、少なくとも軟質カニューレの遠位端領域を圧縮する。これらの実施形態において、特定の液密システムが実現され、漏洩のリスクが低減される。
【0031】
さらなる実施形態において、本体ユニットと圧縮ユニットとは接着接合によって接合され、および/または、軟質カニューレと圧縮ユニットとは接着接合によって接合される。
【0032】
このような接着接合が、典型的に、本体ユニット、圧縮ユニット、および/または軟式カニューレ自身によって形成されるだけであると理解される。そのため、外部の接着剤、例えば、接着剤は必要とされないし存在もしない。
【0033】
幾つかの実施形態において、カニューレシステムは、例えばバーブ、ニップル、スナップフィット等の、圧縮ユニットと本体ユニットとを結合および/または接合するための、さらなる接合手段、特に形状固定(form-lock)手段を備えない。
【0034】
さらなる実施形態において、本体ユニットは、隔壁を保持するためのキャビティ内に隔壁を備えることができる。隔壁は、圧着によって固定することができる。このような隔壁には典型的に、穿孔針の挿入前にスリットが存在しない。特に、このような隔壁は、当該隔壁の、横方向と垂直方向の両方の穿孔方向に延びるスリットを含みえない。
【0035】
本発明の別の態様によれば、全体の目的は、注入セットにおいて、本明細書で述べる実施形態のうちの任意の実施形態によるカニューレシステムの使用によって達成される。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【
図1】本発明の一実施形態によるカニューレシステムの断面図を示す。
【
図2】本発明の一実施形態によるカニューレシステムの製造方法を概略的に示す。
【発明を実施するための形態】
【0037】
図1は、本発明によるカニューレシステム1の有利な実施形態を示す。カニューレシステム1は、軟質カニューレ10、および軟質カニューレ10を保持するためのカニューレユニットを備える。カニューレユニットは、圧縮ユニット20および本体ユニット30を備える。本体ユニット30は、取り付け構造31、および隔壁を収納するためのキャビティ32をさらに備える。軟質カニューレ10の遠位部11は、取り付け構造31に通される。軟質カニューレ10の遠位端領域11の直径は、軟質カニューレの残りの部分の直径より大きい。圧縮ユニット20は、軟質カニューレ10の遠位端領域11、取り付け構造31、および本体ユニット30のさらなる部分を円周方向に取り囲む。
図1に示すように、本体ユニットの表面の1/3より大きい表面が圧縮ユニット20によって円周方向に取り囲まれる。
【0038】
矢印で示すように、圧縮ユニット20は、内部材料張力を有し、これにより、径方向に内側に方向付けられた圧縮力を、軟質カニューレの遠位端領域および取り付け構造に加える。結果として、軟質カニューレ10、取り付け構造31、および圧縮ユニット20の間の特定の密接合が達成される。さらに、
図1に容易に見ることができるように、軟質カニューレ10の遠位端領域11の肉厚は、軟質カニューレ10の残りの部分の肉厚より小さい。さらに、矢印で示すように、軟質カニューレ10の遠位端領域11は、圧縮ユニット20によって加えられる圧縮力によって圧縮される。圧縮ユニット20と本体ユニット30とは、それらの接触領域において接着接合によって接合される。結果として、信頼性が高い、シールによる密接合が形成される。
【0039】
図2a~2cは、本発明の有利な実施形態による、カニューレシステムを製造する方法の或る特定のステップを示す。
図2aに示すように、取り付け構造31を有する本体ユニット30は、成形コアピン40(モールドは示さず)上に射出成形される。以下のステップにおいて、軟質カニューレ10の遠位端領域11が、取り付け構造31に通される(
図2b)。その後、圧縮ユニット20が、軟質カニューレの遠位端領域上、取り付け構造上、および本体ユニット30さらなる部分上にも射出成形される(
図2c、モールドは示さず)。圧縮ユニット20は、本体ユニット30上に少なくとも部分的に射出成形されるため、本体ユニットの近位面のいかなる製造上の不精確さもあまり重要ではない。なぜならば、圧縮ユニット20が、本体ユニットの上記部分と必ず相補的であるからである。圧縮ユニットが射出成形されると、成形コアピン40を取り外し、圧縮ユニットを冷却することができ、当該冷却により、内部材料張力が形成され、これにより、軟質カニューレ10の遠位端領域11および取り付け構造31に力を加える。概して、冷却はモールド内で実施することができ、および/または、冷却は能動冷却によって実現することができる。こうして、圧縮ユニットは、自身で室温まで冷却することは可能とされず、特に冷却媒体を使用することによって能動的に冷却される。そのような迅速な冷却は内部材料張力を高める。2ステップによる射出成形シーケンスを、現在の技術水準で知られているカニューレユニットを製造するための方法として、非常により早く実施することができる。