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特許7554771アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に調製する方法
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  • 特許-アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に調製する方法 図1
  • 特許-アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に調製する方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に調製する方法
(51)【国際特許分類】
   C08J 3/03 20060101AFI20240912BHJP
   C08J 3/215 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
C08J3/03 CFH
C08J3/215
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2021565901
(86)(22)【出願日】2020-03-02
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2022-07-25
(86)【国際出願番号】 US2020020591
(87)【国際公開番号】W WO2020226731
(87)【国際公開日】2020-11-12
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】62/845,512
(32)【優先日】2019-05-09
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】590001418
【氏名又は名称】ダウ シリコーンズ コーポレーション
(74)【代理人】
【識別番号】100108453
【弁理士】
【氏名又は名称】村山 靖彦
(74)【代理人】
【識別番号】100110364
【弁理士】
【氏名又は名称】実広 信哉
(74)【代理人】
【識別番号】100133400
【弁理士】
【氏名又は名称】阿部 達彦
(72)【発明者】
【氏名】ラーセン、ロバート
(72)【発明者】
【氏名】トープケ、マイケル
【審査官】芦原 ゆりか
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-532741(JP,A)
【文献】特表2015-500926(JP,A)
【文献】特表2012-526893(JP,A)
【文献】特表2006-528714(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08J 3/00-3/28
C08L
C08K
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に調製するための方法であって、前記方法が、
1)キャリアを、>100℃~300℃の温度に加熱することと、
2)20℃~50℃の温度で前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサンと工程1)で加熱された前記キャリアとを混合し、それによって、100℃~200℃の脱揮温度で前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサン及び前記キャリアを含む混合物を形成することと、
3)前記混合物を脱揮することと、
ここで、工程2)及び3)が、合わせて≦180秒の時間で実施され、
4)前記混合物を50℃未満の温度に冷却することと、
5)前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサンと、非イオン性界面活性剤と、水とを含む出発物質を乳化して濃厚相エマルジョンを調製することであって、前記水が、前記濃厚相エマルジョン中に≧2.7重量%の量で存在する、ことと、を含み、
工程2)~5)が、1つの二軸押出機で実施される、方法。
【請求項2】
前記キャリアが、ポリジアルキルシロキサンである、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
工程1)が、前記キャリアを前記1つの二軸押出機に供給する前に実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
工程1)が、前記1つの二軸押出機で実施される、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
工程4)における冷却することが、0℃~50℃の温度で前記水を添加することを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
工程2)の後に前記キャリアの全て又は一部分を除去することを更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記出発物質が、前記エマルジョンに、
11.7~12重量%の前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、
82~84重量%の前記ポリジアルキルシロキサン、
0.29~1.2重量%の前記非イオン性界面活性剤、及び
>2.7~4.4重量%の水を含む組成を提供するのに十分な量で添加される、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記アミノ官能性ポリオルガノシロキサンが、式:
【化1】
[式中、各Aが、任意にエーテル結合を含有する、独立して選択された、1~6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、
各A’が、任意にエーテル結合を含有する、独立して選択された、1~6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、
各Zが、独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びハロゲン化アラルキル基からなる群から選択され、
各Z’が、独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びハロゲン化アラルキル基からなる群から選択され、
各Yが、独立して、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、及びハロゲン化アリール基からなる群から選択され、
各Rが、水素、1~4個の炭素原子のアルキル基、及び1~4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基からなる群から選択され、
各Xが、水素及び任意に1つ以上のエーテル結合を含有する脂肪族基からなる群から選択され、
各下付き文字mが、独立して、4~1,000であり、
下付き文字nが、1~1,000であり、
各下付き文字qが、独立して0~4である]を有する、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
前記非イオン性界面活性剤が、完全飽和分枝状一級アルコールのエトキシレート、二級アルコールエトキシレート、及びこれらの組み合わせからなる群から選択される、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記ポリジアルキルシロキサンが、単位式
(R SiO1/2(R SiO2/2[式中、各Rが、独立して選択される、1~30個の炭素原子のアルキル基であり、各Rが、独立して、ヒドロキシ及びRからなる群から選択され、及び下付き文字xが、0.5RPMの回転速度でCP52スピンドルを使用してBrookfield Model DV3粘度計を使用して、ASTM規格D4287によって測定されるとき、23℃で50,000mm2/秒~1,000,000mm2/秒の粘度を有するポリジアルキルシロキサンを提供するのに十分な値を有する]を有する、請求項に記載の方法。
【請求項11】
請求項1~10のいずれか一項に記載の方法を含む、濃厚相エマルジョンの製造方法
【請求項12】
請求項11に記載の濃厚相エマルジョンを追加の水で希釈し、剪断を適用することを含む、水中シリコーンエマルジョンを調製する方法。
【請求項13】
前記エマルジョンが、100ppmw未満のオクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンのそれぞれを含有するシロキサン相を有する、請求項11に記載の方法
【請求項14】
前記エマルジョンが、合わせて100ppmw以下のオクタメチルシクロテトラシロキサン及びデカメチルシクロペンタシロキサンを含有するシロキサン相を有する、請求項1に記載の方法
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、米国特許法第119条(e)の下で、2019年5月9日に出願された米国特許仮出願第62/845,512号の優先権を主張するものである。米国特許仮出願第62/845512号は、参照により本明細書に組み込まれる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0002】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを製造する方法が開示される。エマルジョンは、少量の特定の環状ポリジオルガノシロキサンを含有する。エマルジョンは、シャンプー及びコンディショナーなどのヘアケア組成物におけるパーソナルケア業界での使用に好適である。
【0003】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを調製するための方法の1つは、シロキサンモノマーが最初に乳化され、続いて高分子量に重合される、エマルジョン重合法を伴う。しかしながら、この方法は、得られるエマルジョンが、エマルジョンのポリオルガノシロキサン相中の>0.25%の量のオクタメチルシクロテトラシロキサン(D4)、及び>0.22%の量のデカメチルシクロペンタシロキサン(D5)などの比較的多量の環状ポリジオルガノシロキサン不純物を含有し得るという欠点に悩まされる。理論に束縛されるものではないが、環状ポリジオルガノシロキサンの比較的高い含有量の結果は、重合反応が、多くの場合、D4などの環状ポリジオルガノシロキサンの開環重合であり、環鎖平衡が重合後にそのような混合物中に8%のD4及び5%のD5が存在し得るということを必要とするためであると考えられる。更に、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを形成するために使用される出発物質に関係なく、パーソナルケア組成物用のエマルジョンに使用されるイオン性界面活性剤はまた、環状ポリジオルガノシロキサンの形成を触媒し得る。また、環状ポリジオルガノシロキサンは、エマルジョンから、それを破壊することなく容易に除去することができない。
【0004】
あるいは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、150℃で6~12時間にわたってバッチ容器内で加熱して、乳化前に容器を通して窒素をバブリングすることによって、環状ポリジオルガノシロキサンを脱揮して除去してきた。しかしながら、この方法は、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンが粘度を増加させ、望ましくない臭気を発生させ、及び/又は望ましくない色を発色させることによって証明されるように、高温への長い曝露に起因して、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンが分解し得るという欠点がある。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの機械的エマルジョンは調製されているが、依然として比較的多量の環状ポリジオルガノシロキサンを含有し、これらの量は経時的に増加する場合がある(例えば、>0.22%のD4)。これにより、これらのエマルジョンは、低環状物質含有量が顧客によって所望され得る、ヘアケアなどの現代のパーソナルケア用途にあまり適していない。
【0005】
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの分解を最小限に抑えるか、又は排除する一方で、特定の環状ポリジオルガノシロキサンの含有量が低いアミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを製造する方法が必要とされている。
【0006】
エマルジョンを機械的に製造するための方法は、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンをより少量の環状ポリジオルガノシロキサンに脱揮することと、得られた脱揮したアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを、非イオン性界面活性剤及び水を含む出発物質と乳化することと、を含む。脱揮及び乳化の方法工程は、1つの二軸押出機で実施される。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1図1は、本明細書の例を使用した二軸押出機の概略図である。
【0008】
図2図2は、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に製造するための方法において有用な二軸押出機の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
エマルジョンを機械的に調製するための方法が開示される。本方法は、
1)キャリアを>100℃~300℃の温度に加熱することと、
2)20℃~50℃の温度でアミノ官能性ポリオルガノシロキサンと工程1)で加熱されたキャリアとを混合し、それによって、100℃~200℃の脱揮温度でアミノ官能性ポリオルガノシロキサンとキャリアとを含む混合物を形成することと、
3)混合物を脱揮することと、
ここで、工程2)~3)が、≦180秒の時間で実施され、
4)混合物を50℃未満まで冷却することと、
5)アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、非イオン性界面活性剤、及び水を含む出発物質を乳化させることと、を含み、
工程2)~5)が、1つの二軸押出機で実施される。方法は、任意に、工程2)の後にキャリアを除去することを更に含んでもよい。
【0010】
この方法では、工程1)は、キャリアを1つの二軸押出機(TSE)に供給する前に実施されてもよい。工程1)は、キャリアをTDEの混合ゾーンに供給する前にキャリアを加熱するために使用され得る熱交換機又は静的ミキサーなどのミキサーを介してキャリアを供給することによって実施されてもよい。あるいは、工程1)は、TSEにおいて実施されてもよい。例えば、TSEは、外部加熱されてもよく、及び/又はキャリアは、キャリアを温度に上げるためにスクリューからのシャフト作業を使用して、TSEの内部で体積的に加熱されてもよい。
【0011】
工程2)では、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、TSEの混合ゾーンに導入され得る。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、低温、例えば、20℃~50℃で導入される。>100℃~300℃のキャリアと、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンとを20℃~50℃で混合することは、100℃~300℃、あるいは100℃~250℃、あるいは100℃~200℃の脱揮温度で、キャリアとアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを含む混合物を形成する。
【0012】
混合物は、混合ゾーンからTSEの脱揮ゾーンに通過させることができる。あるいは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン又はキャリア、又はその両方は、TSEの(第1の)脱揮ゾーンに導入されてもよい。あるいは、脱揮ゾーンに両方が添加される場合、別個の混合ゾーンを排除することができ、混合は、脱揮ゾーン内で(例えば、1つを超える脱揮ゾーンが存在する場合には、第1の脱揮ゾーン内で)行うことができる。TSEは、1~6個の脱揮ゾーン、あるいは3~6個の脱揮ゾーン、あるいは4~6個の脱揮ゾーンを有してもよい。工程3)は、TSEを真空下で作動させ、ストリッピングガスを混合物に通すことによって実施されてもよい。ストリッピングガスは、混合物の重量に基づいて、0.5%~5%、あるいは1.5%~3%の量で添加される窒素であってもよい。混合物は、1トル~300トル、あるいは25トル~100トル、あるいは25トル~50トルの圧力で、TSEの脱揮ゾーンを通過させることができる。理論に束縛されるものではないが、本明細書に記載される方法は、比較的低コストの真空システムを使用することができる(すなわち、TSE内で25~100トルを達成することができる真空システムが、典型的には、同じTSEにおいて1トル~5トルを達成するのに必要とされる真空システムよりも安価である)という利益を提供すると考えられる。更に、TSE内のスクリューの構成は、混合物のTSEの脱揮ベントへの侵入をもたらすことになる発泡を引き起こすことなく、可能な最大数の脱揮段階を達成するように設計されてもよい。スクリューは、搬送要素及び圧送要素を含む。搬送要素は、スクリューの部分が部分的に埋められるように脱揮ベントの間に位置してもよく、それにより、混合物の脱揮を促進し、混合物が脱揮ベントに逆流することなく、脱揮中に混合物を発泡させる余地を与える。圧送要素は、2つの脱揮ゾーンの間に位置してスクリューを埋め、2つの脱揮ゾーンを互いに分離し、それによって複数の脱揮段階を可能にするために、2つの搬送ゾーン間に液体シールを提供してもよい。混合物は、生成物を提供するのに十分な速度(0.000192×D)~(0.000384×D)で脱揮ゾーンを通して供給されてもよく、式中、Dは、TSEの直径をmmで表し、生成物は混合物中のキャリアのKg/時である。例えば、25mmの直径を有するTSEでは、混合物中のキャリアのKg/時での供給速度は、キャリアの量に基づいて(0.000192×25=3)~(0.000384×25=6)、すなわち、3Kg/時~6Kg/時であり得る。
【0013】
工程2)及び3)は、≦180秒、あるいは20秒~180秒、あるいは30秒~120秒、あるいは60秒~120秒の時間で実施される。理論に束縛されることを望むものではないが、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンが温度感受性であり、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンが100℃以上の温度で過度に長い温度で加熱される場合、分解し得ると考えられる。本明細書に記載の方法は、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの高温にある時間を最小限に抑える。
【0014】
工程3)で生成された脱揮混合物を、TSEの脱揮ゾーンから乳化ゾーンに通過させることができる。工程4)における冷却は、0℃~50℃の温度の水をTSE(脱揮ゾーンの下流及び乳化ゾーンの前又は中)に添加すること、及び/又はTSEのバレルを冷却することを含む方法によって実施され得る。水は、脱揮混合物を急速に冷却、又は冷却を助けるために添加することができる。工程4)を使用して、高温でのアミノ官能性ポリオルガノシロキサン(脱揮混合物中)の滞留時間を最小限に抑えることができる。非イオン性界面活性剤は、例えば、非イオン性界面活性剤を水と混合し、得られた混合物を二軸押出機に供給することによって、水と同時に添加されてもよい。あるいは、非イオン性界面活性剤を水の後に添加してもよい。
【0015】
工程4)及び5)は、同時に実施されてもよい。他の出発物質を低温でTSEに添加することに加えて、TSEの乳化ゾーンは外部から冷却されてもよい。あるいは、工程4)は工程5)の前に実施されてもよい。
【0016】
TSEは、50~1200rpm、あるいは100~600rpm、あるいは200~500rpmのスクリュー速度で動作してもよい。
【0017】
方法は、任意に、工程2)の後にキャリアを除去することを更に含んでもよい。あるいは、キャリアは、工程5)の前に除去されてもよい。キャリアは、任意の好都合な手段により除去することができる。例えば、キャリアは、工程3)で脱揮中に除去されてもよく、例えば、キャリアは、環状ポリジオルガノシロキサンと共に、押出機の脱揮ベントを介して蒸発によって除去されてもよい。
【0018】
キャリアは、ポリジアルキルシロキサンであってもよい。脱揮中にキャリアが除去されるとき、ポリジアルキルシロキサンなどの、例えば、脱揮条件下で除去されるのに好適な揮発性を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンなどの揮発性キャリアが選択される。あるいは、ポリジアルキルシロキサンは、ポリジアルキルシロキサンが除去されないときに、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、界面活性剤及び水に加えて、エマルジョン中に含まれてもよい。理論に束縛されるものではないが、ポリジアルキルシロキサンは、比較的温度安定性であり(例えば、ポリジアルキルシロキサンは、>100℃~200℃の温度で、分解しないか、又はアミノ官能性ポリオルガノシロキサンよりも分解しない)、ポリジアルキルシロキサンの選択に応じて、除去され得るか、又はエマルジョンの一部を形成し得る好適なキャリアを作製すると考えられる。
【0019】
濃厚相エマルジョン
上述した方法によって調製したエマルジョンは、濃厚相エマルジョンである。上記の方法で使用される出発物質は、≧11.7%のアミノ官能性ポリオルガノシロキサン、≦84%のポリジアルキルシロキサン、≧0.29%の非イオン性界面活性剤及び≧2.7%の水を含む組成を有する(濃厚相)エマルジョンを提供するのに十分な量で添加され得る。あるいは、上記の方法で使用される出発物質は、11.7%~12%のアミノ官能性ポリオルガノシロキサン、82%~84%のポリジアルキルシロキサン、0.29%~1.2%の非イオン性界面活性剤、及び≧2.7%~4.4の反転水を含む組成を有する(濃厚相)エマルジョンを提供するのに十分な量で添加され得る。
【0020】
上記の方法により調製された濃厚相エマルジョンのシロキサン相は、100ppmw未満の特定の環状ポリジオルガノシロキサンのそれぞれ、すなわち、D4及びD5を含有し得る。あるいは、濃厚相エマルジョンのシロキサン相は、合計100ppmw未満の組み合わされたD4及びD5を含有してもよい。濃厚相エマルジョンは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの高温における時間を最小限に抑えることにより、低臭、及び/又は良好な色(黄変がほとんどない)を有し得る。
【0021】
アミノ官能性ポリジオルガノシロキサン
上記の方法で使用されるアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、式:
【化1】
[式中
各Aは、任意にエーテル結合を含有する、独立して選択された1~6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、各A’は、任意にエーテル結合を含有する、独立して選択された1~6個の炭素原子の直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、各Zは、独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びハロゲン化アラルキル基からなる群から選択され、各Z’は、独立して、アルキル基、アリール基、アラルキル基、ハロゲン化アルキル基、ハロゲン化アリール基、及びハロゲン化アラルキル基からなる群から選択され、各Yは、独立して、アルキル基、アリール基、ハロゲン化アルキル基、及びハロゲン化アリール基からなる群から選択され、各Rは、水素、1~4個の炭素原子のアルキル基、及び1~4個の炭素原子のヒドロキシアルキル基からなる群から選択され、各Xは、水素及び任意に1つ以上のエーテル結合を含有する脂肪族基からなる群から選択され、各下付き文字mは、4~1,000であり、各下付き文字nは、1~1,000であり、各下付き文字qは、0~4である]を有することができる。
【0022】
あるいは、上記式中、各Aは、独立して選択される2~4個の炭素原子のアルキレン基、例えば、エチレン、プロピレン、又はブチレン、例えばイソブチレン)であってもよい。あるいは、各A’は、独立して選択される2~4個の炭素原子のアルキレン基、例えば、エチレン、プロピレン、又はブチレン、例えばイソブチレン)であってもよい。あるいは、各Zは、1~12個の炭素原子のアルキル基のような、アルキル基であってもよい。あるいは、各Zは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはメチルであってもよい。あるいは、各Z’は、1~12個の炭素原子のアルキル基のような、アルキル基であってもよい。あるいは、各Z’は、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはメチルであってもよい。あるいは、各Yは、1~12個の炭素原子のアルキル基のような、アルキル基であってもよい。あるいは、各Yは、1~6個の炭素原子を有するアルキル基、あるいはメチルであってもよい。あるいは、各Xは、水素又は1~12個の炭素原子のアルキル基のような、アルキル基であってもよい。あるいは、Xのアルキル基が、1~12個の炭素原子を有してもよい。あるいは、Xのアルキル基は、1~6個の炭素原子を有してもよく、あるいはメチルであってもよい。このアミノ官能性ポリオルガノシロキサン及びその調製方法は、米国特許第7,238,768号に記載されている。
【0023】
あるいは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン(本明細書に記載の方法及びエマルジョンで使用するための)は、1)出発物質を50℃~150℃の温度で混合及び加熱することであって、出発物質が、A)シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンと、B)アミノアルキル官能性アルコキシシランと、を含み、出発物質A)及びB)の量が、アルコキシ基に対するシラノール基のモル過剰が存在するような量である、混合及び加熱することと、その後、2)出発物質D)1~5のpKa値及び101kPaで90℃~150℃の沸点を有するカルボン酸を添加し、これにより、反応混合物を形成することと、3)反応混合物を混合及び加熱して反応生成物を形成し、アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンの重量に基づいて、残留酸の量を0~<500ppmに低減することと、を含む方法によって調製されたアミノ官能性ポリジオルガノシロキサンであり得る。出発物質は、任意に、出発物質A)のシラノール官能基と反応しないトリオルガノシリル基を有するC)末端封鎖剤を更に含んでもよい。出発物質C)は、存在する場合、出発物質B)とは異なる。上記の方法で使用される出発物質は、8~30個の炭素原子を有する脂肪族アルコール、エーテルアルコール、及びヒドロキシ末端ポリエーテルなどの有機アルコールを含まなくてもよい。「有機アルコールを含まない」とは、出発物質が有機アルコールを含有しないこと、又は含有する有機アルコールの量がGCにより検出不可能であることを意味する。上記のように製造されるアミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、単位式(VII):(R SiO1/2(R SiO2/2(RSiO2/2(R SiO1/2を含み、式中、各Rは、独立して、一価炭化水素基及び一価ハロゲン化炭化水素基から選択され、下付き文字は、2≧a≧0、4000≧b≧0、4000≧c≧0、及び2≧d≧0であるような値を有し、但し、量(a+d)=2であり、量(c+d)≧2であり、量4≦(a+b+c+d)≦8000であり、及び1分子当たり少なくとも1つのRが、式(VIII)の基であることを条件とし、
【化2】
A及びA’は、それぞれ独立して、1~6個の炭素原子を有する直鎖又は分枝鎖アルキレン基であり、任意にエーテル結合を含有し、下付き文字qは、0~4であり、Rは、水素、アルキル基、又は1~4個の炭素原子を有するヒドロキシアルキル基であり、R及びRは、それぞれ独立して、基-OR’又は任意に置換されたアルキル基若しくはアリール基である。あるいは、全てのR基の80%~100%は、式(VIII)を有する。理論に束縛されるものではないが、末端封鎖剤C)が使用されない場合、R基の全て又は実質的に全ては式(VIII)を有する。あるいは、R基のうちの1つ以上は、末端封鎖剤が使用される場合、末端封鎖剤に由来する式を有してもよい。例えば、式(V)のモノアルコキシシランが末端封鎖剤として使用される場合、基Rのいくつかは、R SiO-を有してもよく、式中、各Rは独立して、シラノール官能基と反応しない一価有機基であり、各Rは、独立して、1~6個の炭素原子を有する一価炭化水素基である。また、式(VI)のシラザンが末端封鎖剤として使用される場合、Rのいくつかは、式R67 SiO-を有してもよく、式中、各Rは、独立して、アルキル基、アルケニル基、及びハロゲン化アルキル基からなる群から選択され得、各Rは、独立して選択される1~6個の炭素原子の一価炭化水素基である。本明細書に記載されるような方法及び本明細書に記載されるように製造されたアミノ官能性ポリジオルガノシロキサンは、参照により本明細書に組み込まれる、2018年5月31日出願の米国仮特許出願第62/678425号に記載されている。
【0024】
あるいは、アミノ官能性ポリジオルガノシロキサン(米国仮特許出願第62/678425号に関連して上述したような式の)は、2018年5月31日にまた出願され、また参照により本明細書に組み込まれる、米国仮特許出願第62/678430号に記載されている方法によって調製されてもよい。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、1)出発物質を50℃~160℃の温度で混合及び加熱することであって、出発物質が、A)シラノール官能性ポリジオルガノシロキサンと、B)アミノアルキル官能性アルコキシシランと、を含み、出発物質A)及びB)の量が、アルコキシ基に対するシラノール基のモル過剰が存在するような量である、混合及び加熱することと、2)出発物質D)触媒を提供することによって、反応混合物を形成することと、3)反応混合物を混合及び加熱して反応生成物を形成することと、4)アミノ官能性ポリジオルガノシロキサンの重量に基づいて、残留酸の量を0~<500ppmに低減することと、を含む方法によって調製され得る。この方法は、任意に、工程1)において、C)及び末端封鎖剤を反応混合物に添加することを更に含んでもよい。米国仮特許出願第62/678430号の方法の出発物質A)、B)、及びC)は、米国仮特許出願第62/678425号の方法において上述したとおりである。米国仮特許出願第62/678430号の方法の出発物質D)は、プレ触媒が1つ以上の他の出発物質又は副生成物と反応して、D)触媒を形成する条件下で、プレ触媒を使用して調製され得る。プレ触媒は、周囲条件(例えば、20℃~25℃の室温及び101kPa)で固体であり、かつ反応条件(例えば、本方法の工程3)において使用される温度及び圧力)で融解する酸であってもよく、工程4)において選択される条件で除去できる(例えば、冷却時に凝固可能)。例えば、プレ触媒は、D1)カルボン酸であってもよい。カルボン酸プレ触媒は、1~7のpKa値を有し得る。カルボン酸は、101kPaで40℃~170℃の融解温度を有し得る。カルボン酸は、芳香族カルボン酸であってもよい。好適なカルボン酸としては、D2)安息香酸、D3)クエン酸、D4)マレイン酸、D5)ミリスチン酸、D6)サリチル酸、並びにD7)D2)、D3)、D4)、D5)、及びD6)のうちの2つ以上の組み合わせが挙げられる。
【0025】
あるいは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサン(本明細書に記載のエマルジョンを機械的に調製するための方法に好適)が市販されている。例えば、メチル及びアミノエチルアミノイソブチル基で置換されたケイ素原子2モル%のランダム分布を有し、3,000mPa.sの回転粘度を提供するのに十分な分子量を有するトリメチルシロキシ末端ポリ(ジメチル/メチル、アミノエチルアミノイソブチル)シロキサンは、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)からDOWSIL(商標)2-8566アミノ流体として市販されている。他のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンもまた、XIAMETER(商標)OFX-8630ポリマーなどで市販されており、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの粘度は、0.5RPMの回転速度でCP52スピンドルを使用してBrookfield Model DV3粘度計を使用して、ASTM規格D4287により測定することができる。
【0026】
非イオン性界面活性剤
本明細書に記載の方法で使用される好適な界面活性剤は、非イオン性界面活性剤である。非イオン性界面活性剤の例としては、ポリオキシアルキレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシアルキレンアルキルエーテル、例えばポリエチレングリコールアルキルエーテル(9~22個の炭素原子のアルキル鎖を有する)、ポリオキシアルキレンソルビタンエーテル、ポリオキシアルキレンアルコキシレートエステル、ポリオキシアルキレンアルキルフェノールエーテル、エチレンオキシドプロピレンオキシドコポリマー、ポリビニルアルコール、グリセリドエステル、アルキル多糖類、アルキルグルコシド、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、及びポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、完全飽和分枝状一級アルコールのエトキシレート(Synperonic13/6など)、及びこれらの組み合わせが挙げられる。
【0027】
好適な非イオン性界面活性剤としては、更にポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーも挙げられる。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリブロックコポリマーは、一般にポロキサマーとしても知られている。これらは、中央部の、ポリオキシプロピレン(ポリ(プロピレンオキシド))である疎水性鎖と、その両側の、ポリオキシエチレン(ポリ(エチレンオキシド))である2つの親水性鎖と、からなる非イオン性トリブロックコポリマーである。ポリ(オキシエチレン)-ポリ(オキシプロピレン)-ポリ(オキシエチレン)トリ-ブロックコポリマーは、BASF(Florham Park,NJ)から市販されており、PLURACARE(商標)及びPLURONIC(商標)L61、L62、L64、L81、P84等のPLURONIC(商標)の商標名で販売されている。
【0028】
あるいは、非イオン性界面活性剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルフェノールエーテル、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリオキシエチレンアルキルエステル、ポリオキシエチレンソルビタンアルキルエステル、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ジエチレングリコール、エトキシル化トリメチルノナノール、及びポリオキシアルキレングリコール修飾されたポリシロキサン界面活性剤が挙げられる。使用可能な市販の非イオン性界面活性剤としては、商標名TERGITOL(商標)TMN-6及びTERGITOL(商標)TMN-10で販売されている、2,6,8-トリメチル-4-ノニルオキシポリエチレンオキエタノール(6EO)及び(10EO);商標名TERGITOL(商標)15-S-7、TERGITOL(商標)15-S-9、TERGITOL(商標)15-S-15で販売されているアルキレンオキシポリエチレンオキシエタノ-ル(C11~15二級アルコールエトキシレート7EO、9EO、及び15EO);商標名TERGITOL(商標)15-S-12、15-S-20、15-S-30、15-S-40で販売されている他のC11~15二級アルコールエトキシレート;並びに商標名TRITON(商標)X-405で販売されているオクチルフェノキシポリエトキシエタノール(40EO)などの組成物が挙げられる。これらの界面活性剤の全ては、Dow Chemical Company(Midland,Michigan,USA)により販売されている。他の市販の非イオン性界面活性剤としては、Henkel Corp./Emery Group(Cincinnati,Ohio)により商品名Trycol 5953で販売されているエトキシ化アルコール、GENAPOL(商標)UD 050及びGENAPOL(商標)UD110などのアルキル-オキソアルコールポリグリコールエーテル、C10-Guerbetアルコールに基づくアルキルポリエチレングリコールエーテル、並びにLUTENSOL(商標)XP79などのエチレンオキシドが挙げられる。
【0029】
商用の、他の有用な非イオン性界面活性剤は、Stepan Company(Northfield,Illinois)により商標名MAKON(商標)10で販売されているノニルフェノキシポリエトキシエタノール(10EO);商品名Brij(商標)で販売されているエトキシル化アルコール、例えば、Croda Inc.(Edison,NJ)により商標名Brij(商標)L23、及びBrij(商標)35L又はBrij(商標)L4で販売されているポリオキシエチレン23ラウリエウエーテル(Laureth-23);並びにICI Surfactants(Wilmington,Delaware)により販売されているRENEX(商標)30、ポリオキシエチレンエーテルアルコールである。
【0030】
非イオン性界面活性剤はまたシリコーンポリエーテル(SPE)であってもよい。乳化剤としてのシリコーンポリエーテルは、ポリオキシエチレン又はポリオキシエチレン-ポリオキシプロピレンコポリマー単位がシロキサン主鎖にグラフトされる熊手型構造を有し得、又はSPEは、ABA構造のAがポリエーテル部分を表し、Bがシロキサン部分を表すABAブロックコポリマー構造を有し得る。好適なシリコーンポリエーテルとしては、Dow Silicones Corporation(Midland,MI USA)のDow Corning(商標)5329が挙げられる。あるいは、非イオン性界面活性剤は、ポリオキシアルキレン置換シリコーン、シリコーンアルカノールアミド、シリコーンエステル、及びシリコーングリコシドから選択されてもよい。このようなシリコーンベースの非イオン性界面活性剤を使用してこのようなエマルジョンを形成することができ、これらは当該技術分野において知られており、例えば、米国特許第4,122,029号(Geeら)、同第5,387,417号(Rentsch)、及び同第5,811,487号(Schulzら)に記載されている。
【0031】
当業者であれば、界面活性剤として従来使用される特定の化合物が、本明細書に記載される方法条件下で環状ポリジオルガノシロキサンの形成を触媒することができる平衡触媒として、それらが作用する可能性があるため、本明細書での使用に好適ではないことを認識するであろう。したがって、カチオン性界面活性剤、例えば、四級アンモニウムハライド及び四級アンモニウムカルボキシレートなどの第四級アンモニウム化合物は、本明細書に記載のプロセスにおいて使用されないであろう。
【0032】
ポリジアルキルシロキサン
本明細書に記載の方法において有用なポリジアルキルシロキサンは、単位式
(R SiO1/2(R SiO2/2[式中、各Rは、独立して選択される、1~30個の炭素原子のアルキル基であり、各Rは、独立して、ヒドロキシル及びRからなる群から独立して選択され、及び下付き文字xは、ポリジアルキルシロキサンに所望の特性を提供するのに十分な値を有する]を有する。例えば、ポリジアルキルシロキサンが、例えば、脱揮工程中に除去されるキャリアである場合、下付き文字xは、RTでポリジアルキルシロキサンに粘度<10,000mm/秒を付与するのに十分な値を有し得る。あるいは、ポリジアルキルシロキサンがエマルジョン中に含まれる場合、下付き文字xは、RTで50,000mm/秒~1,000,000mm/秒の粘度を付与するのに十分な値を有し得る。粘度は、0.5RPMの回転速度でCP52スピンドルを使用してBrookfield Model DV3粘度計を使用して、ASTM規格D4287によって測定することができる。
【0033】
に好適なアルキル基としては、メチル、エチル、プロピル(例えば、イソプロピル及び/又はn-プロピル)、ブチル(例えば、イソブチル、n-ブチル、tert-ブチル、及び/又はsec-ブチル)、ペンチル(例えば、イソペンチル、ネオペンチル、及び/又はtert-ペンチル)、ヘキシル、ヘプチル、オクチル、ノニル、並びにデシル、並びに炭素原子6個以上の分岐状アルキル基、並びにシクロペンチル、及びシクロヘキシルが挙げられる。あるいは、各Rは、1~18個の炭素原子、あるいは1~12個の炭素原子、あるいは1~6個の炭素原子、あるいは1~4個の炭素原子を有していてよい。あるいは、各Rはメチルであってもよい。
【0034】
下付き文字xは、ポリジアルキルシロキサンの重合度を表し、ポリジアルキルシロキサンが方法中に除去されず、エマルジョンの一部を形成するときには、下付き文字xは典型的には1000超である。ポリジアルキルシノキサンは、上記のように、RTで少なくとも50,000mm/秒、あるいは少なくとも100,000mm/秒、あるいは少なくとも500,000mm/秒のポリジメチルシロキサン流体粘度を提供するのに十分な重合度(x)を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンであってもよい。
【0035】
好適なポリジアルキルシロキサンは市販されており、例えば、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)製のトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンであるDOWSIL(商標)200流体である。50,000mm/秒~1,000,000mm/秒(センチストークス)の粘度を有する流体は、方法中に除去されないキャリアとして使用するために利用可能である。
【0036】

上記の方法の工程5)では、濃厚相エマルジョンを形成するために、反転水(≧2.7%水の量の水)をTSEに添加する。工程4)の混合物は、シロキサン連続相(アミノ官能性ポリオルガノシロキサンと、存在する場合、ポリジアルキルシロキサンとを含む)を形成し、工程5)において、反転水は、混合物をシロキサン液滴の不連続相に反転させ、(反転)水を含む連続相を形成する。以下に記載される追加の方法工程では、追加の水を添加して、濃厚相エマルジョンを完全に希釈されたエマルジョンに希釈することができ、これは、顧客による用途に使用され得る。この追加の水は、希釈水と呼ばれる。希釈水は、工程5)の間又は後にTSEに添加されてもよい。
【0037】
あるいは、希釈水を別個の単位操作で添加してもよい。理論に束縛されるものではないが、顧客は、出荷などのコストを最小限に抑えるために、完全に希釈されたエマルジョンよりも濃厚相エマルジョンを購入することを好む場合があり、したがって、顧客によって行われる別個の工程で希釈水を添加することができると考えられる。例えば、濃厚相エマルジョンは水エマルジョン中のシロキサンであるため、各顧客は、従来のミキサー内で混合するなどの任意の便利な手段によって、希釈水を使用して、顧客によって選択された所望の濃度まで濃厚相エマルジョンを希釈することができる。あるいは、別個の単位操作は、剪断を適用するための第2の二軸押出機又は他の装置であってもよい。追加の希釈工程後のエマルジョンの粘度は、以下の実施例に記載の方法に従って分析することができる。
【0038】
上記の方法は、任意に、1つ以上の追加の材料をエマルジョン(濃厚相エマルジョン、又は希釈エマルジョンのいずれか)に添加することを更に含んでもよい。1つ以上の追加の材料は、pH制御剤(乳酸など)、防腐剤、安定剤(安息香酸ナトリウムなど)、又は増粘剤であってもよい。
【0039】
上記希釈エマルジョンは、米国特許第9,017,650号(第6欄、23~61行、及び第7欄、8~21行に開示されているものによって例示されるヘアケア製品などのパーソナルケア製品に、その中に記載されたエマルジョンに替えて配合することができる。
【実施例
【0040】
これらの実施例は、当業者に本発明を例示することを目的とするものであり、請求項に記載の本発明の範囲を制限するものとして解釈すべきではない。これらの実施例では、以下の出発物質を使用した。ポリジアルキルシロキサンは、25℃で600,000cStの粘度を有するトリメチルシロキシ末端ポリジメチルシロキサンであり、Dow Silicones Corporation(Midland,Michigan,USA)からDOWSIL(商標)200Fluidとして市販されている。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、Dow Silicones Corporation製のDOWSIL(商標)2-8566Amino Fluidであった。非イオン性界面活性剤は、Synperonic13/6とTergitol15-S-40との混合物であった。脱イオン水を使用した。
【0041】
この参考例1では、25mLのDOWSIL(商標)2-8566をガラスバイアル瓶に入れ、テフロン撹拌棒で撹拌しながら200℃又は300℃のホットプレート上で0~3時間加熱した。試料を異なる時間で定期的に取り出した。各試料の粘度を、Brookfieldeコーン型及びプレート型粘度計モデルDV-III上で、ASTM規格D4287に従って20rpmで回転する40スピンドルを用いて測定した。各試料の測定された粘度は、表1に報告される。
【表1】
【0042】
この参考例1は、曝露の温度及び時間の両方が、本明細書で試験したアミノ官能性ポリオルガノシロキサンの粘度に影響を及ぼすことを示した。より長い時間及びより高い曝露温度により、粘度がより高くなった。これは、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの分解を示す。
【0043】
この比較例2では、濃厚相の3.21%反転水で以下の表2に示す出発物質を用いて、以下の方法で、濃厚相エマルジョン試料を、Coperion ZSK-25(25mm)二軸押出機(TSE)で調製した。エマルジョン濃厚相の調製前に、反転水+非イオン性界面活性剤の4つの配合物を調製した。反転水+非イオン性界面活性剤配合物は、オゾン処理水を使用した。これらの配合物は、反転水充填量のみを変化させながら、ベースレシピに対して一定の非イオン性界面活性剤充填量を維持するように設計された。
【表2】
【0044】
2-8566アミノシロキサンを、TSEに計り入れるためにシリンジポンプに入れた。対象の反転水重量%での水+非イオン性界面活性剤を、TSEへの計り入れるために別個のシリンジポンプに入れた。ドラム内の600,000cStの200流体をドラムポンプ上に置いた。ドラムポンプは、フォアライン圧力を提供し、200流体をギアポンプに供給し、これを使用して200流体を油加熱ジャケット付き静的ミキサーに計量し、これを使用して、油加熱器を介して200流体を200℃に予熱した。次いで、200流体を予熱後にTSEに通過させた。実験の前に、ギアポンプを較正して、所望の運転条件に応じて3又は6kg/時のいずれか質量流量を提供した。アミノシロキサン及び水+非イオン性界面活性剤の流量は、所望の反転水充填量、並びにTSEへの200流体の流量に応じて選択した。
【0045】
全ての運転に関して、油加熱熱交換器及びTSE(バレル1~10)を200℃に加熱した。TSEバレル11~14を全ての運転のために冷却水によって25℃まで冷却し、乳化前及び乳化中にポリマー材料を冷却させた。バレル12では、室温の反転水を添加し、バレル13内の流体中の熱電対は、この時点で温度が50℃未満であることを示した。
【0046】
図1は、比較例2並びに3及び実施例4に使用されるTSE構成を示す。TSEは、14-バレル、56L/Dの構成であった。以下の番号付けの規則(脱揮ベント番号、及びバレル番号)を参照すると、搬送方向は、より小さい数からより大きい数であった。脱揮構成は、2つの真空ポンプに接続された4つのベントスタックから構成された。脱揮ベント1及び2を単一の真空ラインに接続し、脱揮ベント3及び4を単一の真空ラインに接続した。各真空ラインは、ドライアイスによって冷却された2つの結露トラップを通過して、シクロシロキサン蒸気が真空ポンプに到達することを防止する。動作中、真空ラインを50トルまで真空排気した。脱揮ベント3及び4の直前に、混合ゾーンにおけるストリッピング助剤として窒素ガスを注入した。窒素ガス流量は、1.5~3重量%の窒素ガス(総ポリマー質量の質量分率として)を、100~150psigでTSEに注入するように設計された注入ポートの直前の回転計及び背圧調節器を介して調節された。各ベントスタック間の混合ゾーンは、より良好な脱揮のために向上した表面再生をもたらし、ベントスタック3及び4の場合には、ストリッピング助剤をポリマーに混合する方法も提供した。加えて、混合ゾーンでは、各ベントスタックが他から隔離されて、4つの独立した脱揮段階を提供するように、ポリマーシールを提供した。
【0047】
バレル2(搬送ゾーン)に200流体を注入し、バレル3(混合ゾーン)にアミノシロキサンを注入し、及びバレル12(乳化ゾーン)に反転水+非イオン性界面活性剤を注入した。アミノシロキサン及び反転水+非イオン性界面活性剤の流量を、シリンジポンプを介して体積的に制御した。異なる反転水充填量が所望される場合、水+非イオン性界面活性剤用のシリンジポンプを空にし、新たな水+非イオン性界面活性剤充填材料で数回洗い流し、次いで新たな水+非イオン性界面活性剤充填材料を装填した。押出機の端部で、各運転条件についてジャー中の試料を採取した。各運転条件で2通りの試料を、少なくとも5分間隔で採取した。運転条件を変更するとき、TSEは、試料を採取する前に最短10分間定常状態に到達させた。いくつかの運転条件では、ポリマー中の環状物含有量の分析のために、反転水を含まない油の試料を採取した。これを行うために、反転水+非イオン性界面活性剤用シリンジポンプを停止し、油の試料を採取する前に最短10分経過したことを除いては、運転条件を維持した。これにより、油試料を採取する前に、残りの反転水を除去し、TSEが定常状態に到達することを可能にした。2通りの各油試料を採取し、下記のアセトン抽出/GC法によるシクロシロキサン測定について分析した。
【0048】
全ての運転後に採取された濃厚相材料の粒径及び粒径分布は、少量の(エンドウ豆サイズ)濃厚相を取り、それをバイアル瓶中の15~20mLの希釈水と混合することによって決定した。エマルジョンの大部分が「溶解」されたとき、水相中の乳状シリコーンの数滴を、特性評価のためにMalvern Mastersizerr粒子分析器の試料タンクに入れた。
【0049】
エマルジョン粘度を測定するために、各試料を混合カップに入れ、表2のレシピの最終ポリマー濃度を達成するために必要な水の量に基づいて、最終エマルジョン濃度まで水で希釈した。最終希釈に達するまで、小型ブレードミキサー内で混合しながら、水を徐々に濃厚相に添加した。次いで、エマルジョンの試料(約2g)をCEM SMART System5NVC分析器の2つの試料パッドの間に配置し、不揮発性含有量が目標範囲(70~73重量%)にあることを確実にするように特性評価した。エマルジョン粘度を測定するために、エマルジョンを250mLの広口瓶に入れ、Brookfield DV-I LV回転ディスク粘度計上に置いた。スピンドル#63を使用し、1~3RPMの回転速度を使用して粘度を決定した。
【0050】
シロキサン相内のジメチル直鎖及び環状シロキサン種を決定するために、押出機への反転水を遮断し、様々な運転条件における油相試料を押出機の端部から採取した。ドデカンを内部標準として使用したアセトン抽出技術によって、試料を採取した。外部較正を調製し、試料と同じ方法で分析した。4点式の秤(four-place balance)を用いて全ての重量を記録した。水素炎イオン化検出を備えたAgilent6890ガスクロマトグラフで分析を実施した。クロマトグラムを処理し、Thermo Atlasを使用して定量した。
【0051】
約0.5gの試料を、アセトン中約28000ppmwドデカンを含有する約0.05gの内部標準溶液で処理した。更に2gのアセトンを添加し、試料を、手首動作振盪器で室温で2時間にわたって振盪した。次いで、試料を遠心分離し、透明なアセトン層をオートサンプラーバイアルに入れた。分析は、GC-FIDを使用して、以下に詳述するパラメータを用いて行った。バックグラウンドノイズ(存在する場合)の一部として、対象のピークに対する干渉の量を決定するために、内部標準及びアセトンのみを含有する方法のブランク試料を調製した。
【0052】
事前作成したコミュニティ原液(community stock solutions)を使用して、較正標準を作成した。シクロシロキサン及び線状シロキサンの初期原液をアセトン中で調製し、D4、D5、及びD6のそれぞれ1gを、2gのアセトンで希釈した。指示された成分が100,000ppmw~1ppmwの範囲の標準物質を作製するために、連続希釈を行った。この分析のために選択された濃度は、10ppmw、100ppmw、1000ppmw、及び10000ppmwを含んでいた。これらの標準物質のアリコートを、試料と同じ方法で調製した。
【0053】
分析前に、既存の入口ライナーを、ガラスウール及びChromasorbフィルターを含む清浄なライナーで置き換えた。調製された試料1μLを、250℃で、50:1の分割比で入口上のGCカラム(DB-1、30m×0.25mm×0.1μmコーティング)に注入した。キャリアガスは、1.5mL/分で流れるヘリウムであった。オーブンを以下のプログラムに従って昇温させた:1)50℃、1分保持し、2)15℃/分で300℃まで昇温し、10分間保持し、3)15℃/分で305℃まで昇温し、5分間保持した。検出器は、300℃でFIDであった。
【0054】
水素炎イオン化検出は、非選択的である。ピークは、標準物質中で見出される基準物質と一致する保持時間によって特定された。較正標準を使用して、内部標準に対する実験応答係数を決定した。これらの値を使用して、D4、D5、及びD6を定量化した。成分の分子量及び含有する炭素数を使用して計算した、内部標準に対する理論的な反応係数を使用して、他の全てのピークを定量した。比較例1で調製した試料を、以下の表3にまとめる。
【0055】
比較例2は、反転水の量が低すぎる(すなわち、濃厚相エマルジョン中≧2.7%)場合、得られた希釈エマルジョン(濃厚相の希釈後に調製)は、望ましくない高粘度、≧45,900cPを有したことを示した。本発明者らは、驚くべきことに、本明細書に記載の方法でTSEに添加される反転水の量が、希釈エマルジョンの粘度に影響を及ぼし得ることを見出した。
【0056】
この比較例3では、ベースライン条件(条件0、高環状物質/脱揮なし)を試験して、脱揮を伴わずに材料を図1のTSEを通過させる効果を示した。
【0057】
熱交換器及びTSEを未加熱(25℃)で放置して、脱揮することなくエマルジョンを生成した。シロキサン相内のジメチル環状シロキサン種を決定するために、押出機への反転水を遮断し、2つの油相試料を5分間隔で押出機の端部から採取した。ドデカンを内部標準として使用したアセトン抽出技術によって、試料を採取した。外部較正を調製し、試料と同じ方法で分析した。4点式の秤を用いて全ての重量を記録した。水素炎イオン化検出を備えたAgilent6890ガスクロマトグラフで分析を実施した。クロマトグラムを処理し、Thermo Atlasを使用して定量した。
【0058】
約0.5gの試料を、アセトン中約28000ppmwドデカンを含有する約0.05gの内部標準溶液で処理した。更に2gのアセトンを添加し、試料を、手首動作振盪器で室温で2時間にわたって振盪した。次いで、試料を遠心分離し、透明なアセトン層をオートサンプラーバイアルに入れた。分析は、GC-FIDを使用して、以下に詳述するパラメータを用いて行った。バックグラウンドノイズ(存在する場合)の一部として、対象のピークに対する干渉の量を決定するために、内部標準及びアセトンのみを含有する方法のブランク試料を調製した。
【0059】
事前作成したコミュニティ原液を使用して、較正標準を作成した。シクロシロキサン及び線状シロキサンの初期原液をアセトン中で調製し、D4、D5、及びD6のそれぞれ1gを、2gのアセトンで希釈した。指示された成分が100000ppmw~1ppmwの範囲の標準物質を作製するために、連続希釈を行った。この分析のために選択された濃度は、10ppmw、100ppmw、1000ppmw、及び10000ppmwを含んでいた。これらの標準物質のアリコートを、試料と同じ方法で調製した。
【0060】
分析前に、既存の入口ライナーを、ガラスウール及びChromasorbフィルターを含む清浄なライナーで置き換えた。調製された試料1μLを、250℃で、50:1の分割比で入口上のGCカラム(DB-1、30m×0.25mm×0.1μmコーティング)に注入した。キャリアガスは、1.5mL/分で流れるヘリウムであった。オーブンを以下のプログラムに従って昇温させた:1)50℃、1分保持し、2)15℃/分で300℃まで昇温し、10分間保持し、3)15℃/分で305℃まで昇温し、5分間保持した。検出器は、300℃でFIDであった。
【0061】
水素炎イオン化検出は、非選択的である。ピークは、標準物質中で見出される基準物質と一致する保持時間によって特定された。較正標準を使用して、内部標準に対する実験応答係数を決定した。これらの値を使用して、D4、D5、及びD6を定量化した。成分の分子量及び含有する炭素数を使用して計算した、内部標準に対する理論的な反応係数を使用して、他の全てのピークを定量した。比較例3で調製した試料を、以下の表4にまとめる。比較例3で調製した試料の環状シロキサンの含量の結果を、表5に、そのまま試料のppmwとして示した。
【0062】
この実施例4では、図1のTSEを使用して、スクリュー速度、ポリジアルキルシロキサンの供給速度、及び表6に指定された反転水含有量を使用して、200℃で脱揮温度を用いて実施例の試料を調製した。実施例4で調製した試料を以下の表6にまとめる。実施例4で調製した試料の環状シロキサンの含有量の結果を、表7に、シロキサン油相試料のppmwとして示した。
【0063】
シロキサン相内のジメチル環状シロキサン種を決定するために、押出機への反転水を遮断し、2つの油相試料を5分間隔で押出機の端部から採取した。ドデカンを内部標準として使用したアセトン抽出技術によって、試料を採取した。外部較正を調製し、試料と同じ方法で分析した。4点式の秤を用いて全ての重量を記録した。水素炎イオン化検出を備えたAgilent6890ガスクロマトグラフで分析を実施した。クロマトグラムを処理し、Thermo Atlasを使用して定量した。約0.5gの試料を、アセトン中約28000ppmwドデカンを含有する約0.05gの内部標準溶液で処理した。更に2gのアセトンを添加し、試料を、手首動作振盪器で室温で2時間にわたって振盪した。次いで、試料を遠心分離し、透明なアセトン層をオートサンプラーバイアルに入れた。分析は、GC-FIDを使用して、以下に詳述するパラメータを用いて行った。バックグラウンドノイズ(存在する場合)の一部として、対象のピークに対する干渉の量を決定するために、内部標準及びアセトンのみを含有する方法のブランク試料を調製した。
【0064】
事前作成したコミュニティ原液を使用して、較正標準を作成した。シクロシロキサン及び線状シロキサンの初期原液をアセトン中で調製し、D4、D5、及びD6のそれぞれ1gを、2gのアセトンで希釈した。指示された成分が100000ppmw~1ppmwの範囲の標準物質を作製するために、連続希釈を行った。この分析のために選択された濃度は、10ppmw、100ppmw、1000ppmw、及び10000ppmwを含んでいた。これらの標準物質のアリコートを、試料と同じ方法で調製した。
【0065】
分析前に、既存の入口ライナーを、ガラスウール及びChromasorbフィルターを含む清浄なライナーで置き換えた。調製された試料1μLを、250℃で、50:1の分割比で入口上のGCカラム(DB-1、30m×0.25mm×0.1μmコーティング)に注入した。キャリアガスは、1.5mL/分で流れるヘリウムであった。オーブンを以下のプログラムに従って昇温させた:1)50℃、1分保持し、2)15℃/分で300℃まで昇温し、10分間保持し、3)15℃/分で305℃まで昇温し、5分間保持した。検出器は、300℃でFIDであった。
【0066】
水素炎イオン化検出は、非選択的である。ピークは、標準物質中で見出される基準物質と一致する保持時間によって特定された。較正標準を使用して、内部標準に対する実験応答係数を決定した。これらの値を使用して、D4、D5、及びD6を定量化した。成分の分子量及び含有する炭素数を使用して計算した、内部標準に対する理論的な反応係数を使用して、他の全てのピークを定量した。
【表3】
【表4】
は、ストリッピングされていない材料で調製された対照試料を示す。
【表5】
【表6】
【表7】
【0067】
これらの実施例は、本明細書に記載の方法が、実施例4で試験した試料中のD4含有量を<100ppmwに低減し、D5含有量を<100ppmwに低減するという効果が得られたことを示した。脱揮ゾーンにおいて十分な滞留時間を確保するために条件を最適化した場合(例えば、スクリュー速度を増加させること、供給速度を低下させること、又はその両方によって、D4含有量及びD5含有量の合計を<100ppmwに低減することができ、D6含有量もまた、これらの条件下で<100ppmwに低減することができる。
【0068】
産業上の利用可能性
アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に製造するための方法は、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを脱揮して環状ポリジオルガノシロキサンを除去することと、脱揮したアミノ官能性ポリオルガノシロキサンを非イオン性界面活性剤及び水を含む出発物質と乳化することと、を含み、脱揮及び乳化の方法工程が、1つの二軸押出機で実施される。アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、特に、一級及び/又は二級アミノ官能基を有するものは、比較的高温に曝露されると不安定であり得るため、本明細書に記載のアミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、高温で≦180秒間脱揮され、次いで急速に冷却される。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、以前の方法よりも高温での時間が少なくなるため、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンの分解は最小限に抑えられる又は排除される。しかしながら、この方法は、環状ポリオルガノシロキサン、すなわちD4及びD5を低濃度に除去するのに有効であり、例えば、二軸押出機で調製された濃厚相エマルジョンは、D4及びD5それぞれが≦100ppmwの量を含有する。本明細書に記載の方法によって生成されるエマルジョンは、ヘアコンディショナーなどのヘアケア組成物での使用に好適であり得る。
【0069】
用語の定義及び使用
全ての量、比率、及び百分率は、特に指示しない限り、重量に基づく。発明の概要及び要約書は、参照により本明細書に組み込まれる。「含むこと(comprising)」又は「含む(comprise)」という用語は、本明細書において、それらの最も広い意味で、「含むこと(including)」、「含む(include)」、「から本質的になる(consist(ing) essentially of)」、及び「からなる(consist(ing) of)」)という見解を意味し、包含するように使用されている。実例を列記する「例えば(for example)」「例えば(e.g.,)」、「例えば(such as)」及び「が挙げられる(including)」の使用は、列記されている例のみに限定しない。したがって、「例えば(for example)」又は「例えば(such as)」は、「例えば、それらに限定されないが(for example,but not limited to)」又は「例えば、それらに限定されないが(such as,but not limited to)」を意味し、他の類似した、又は同等の例を包含する。本明細書で使用される略語は、表8の定義を有する。
【表8】
【0070】
本発明の実施形態
第1の実施形態では、図2は、内部に長手方向に配向されたスクリュー119を収容するバレル118を備える二軸押出機100を示す。二軸押出機100は、バレル119内の連続ゾーン(混合ゾーン103、脱揮ゾーン104及び乳化ゾーン108を含む)を備えており、バレル119を通って出発物質がスクリュー119によって搬送される際に通過することができる。スクリュー119は、その軸上で回転するように構成された搬送要素114の圧送要素115、及び乳化要素120を有する。二軸押出機100は、出発物質を混合ゾーン103に供給するための第1の入口ポート101及び第2の入口ポート102を有する。搬送要素114は、第1の入口ポート101及び第2の入口ポート102の下のスクリュー119上に位置する。キャリアは、二軸押出機101の混合ゾーン103内に、第1の入口ポート101を通って供給することができる。アミノ官能性ポリオルガノシロキサンは、二軸押出機の混合ゾーン103に、第2の入口ポート102を通って供給することができる。キャリアは、第1の入口ポート101に供給される前に加熱装置(図示せず)によって加熱されてもよい。あるいは、キャリアは、第1の入口ポートで混合ゾーン103を外部から加熱することによって、及び/又はスクリュー119のシャフト作業によって加熱されてもよい。
【0071】
二軸押出機100は、混合ゾーン103の下流にある脱揮ゾーン104を更に備える。脱揮ゾーン104は、二軸押出機100からガス及び/又は揮発性成分を抜き取るための少なくとも1つの脱揮ベント110を有する。脱揮ゾーンは、窒素又は他のストリッピングガスを脱揮ゾーン104に添加するための少なくとも1つのストリッピングガス入口105、106を有する。スクリュー119は、ストリッピングガス入口105、106の下に圧送要素115を有する。圧送要素115は、各ストリッピングガス入口105、106に液体シール116を形成させる。環状ポリジオルガノシロキサンは、脱揮ベント110、111、112を通して除去される。キャリア及びアミノ官能性ポリオルガノシロキサンの得られた脱揮混合物は、スクリュー119によって乳化ゾーン108へと搬送される。
【0072】
乳化ゾーン108は、脱揮ゾーン104の下流にある。乳化ゾーン108は、二軸押出機100内に第3の入口ポート107を有する。二軸押出機100は、乳化ゾーン108の下流に出口ポート113を更に備える。二軸押出機は、任意に、混合ゾーン内の追加の脱揮ベント109、並びに脱揮ゾーン内の1つ以上の追加の脱揮ベント111及び112を更に備えてもよい。
【0073】
第2の実施形態では、上記のような1つの二軸押出機100を使用して、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンのエマルジョンを機械的に調製するための方法は、
i)キャリアを100℃~300℃の温度に加熱することと、
ii)キャリアを第1の入口ポート101を通して混合ゾーン103に供給することと、
iii)20℃~50℃の温度で、アミノ官能性ポリオルガノシロキサンを、第2の入口ポート102を通して混合ゾーン103に供給し、それによって、100℃~200℃の脱揮温度でアミノ官能性ポリオルガノシロキサンとキャリアとを含む混合物を形成することと、
iv)脱揮ゾーン104で混合物を脱揮することと、
工程3)~4)が、≦180秒の時間で実施され、
v)混合物を乳化ゾーン108内で50℃未満まで冷却することと、
vi)非イオン性界面活性剤及び水を含む出発物質を、第3の入口ポート107を通して乳化ゾーン108に供給することと、
vii)アミノ官能性ポリオルガノシロキサン、非イオン性界面活性剤、及び水を含む出発物質を、乳化ゾーン108において乳化させることと、
viii)二軸押出機100から出口ポート113を通してエマルジョンをデカントすることと、を含む。
【0074】
第3の実施形態では、工程i)における温度は、>100~200℃である。
【0075】
第4の実施形態では、工程3)~4)は、≦120秒の時間で実施される。
【符号の説明】
【0076】
100 二軸押出機
101 第1の入口ポート
102 第2の入口ポート
103 混合ゾーン
104 脱揮ゾーン
105 ストリッピングガス入口
106 ストリッピングガス入口
107 第3の入口ポート
108 乳化ゾーン
109 脱揮ベント
110 脱揮ベント
111 脱揮ベント
112 脱揮ベント
113 出口ポート
114 搬送要素
115 圧送要素
116 液体シール
117 バレルを部分的に充填する液体
118 バレル
119 スクリュー
120 乳化要素
図1
図2