(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】塗工装置、仕切部材及び塗工方法
(51)【国際特許分類】
B05C 15/00 20060101AFI20240912BHJP
B05D 3/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B05C15/00
B05D3/00 Z
(21)【出願番号】P 2021569811
(86)(22)【出願日】2020-12-18
(86)【国際出願番号】 JP2020047579
(87)【国際公開番号】W WO2021140888
(87)【国際公開日】2021-07-15
【審査請求日】2023-07-14
(31)【優先権主張番号】P 2020000558
(32)【優先日】2020-01-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000229047
【氏名又は名称】日本スピンドル製造株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002826
【氏名又は名称】弁理士法人雄渾
(72)【発明者】
【氏名】大西 慶一郎
(72)【発明者】
【氏名】浅見 圭一
(72)【発明者】
【氏名】増田 克洋
(72)【発明者】
【氏名】山口 雅文
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】実開昭56-172368(JP,U)
【文献】特開2001-314798(JP,A)
【文献】特開2014-135393(JP,A)
【文献】特開2011-78964(JP,A)
【文献】特開2011-56359(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 15/00
B05D 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
塗工処理を行う塗工部と、
前記塗工部
の作業空間を覆う仕切部と、
前記塗工部の後段に設けた乾燥部と、
前記仕切部で区画された作業空間の水分量を
低減する調湿手段と、
塗工液を保管する保管タンクと、を備え
、
前記保管タンクは、前記作業空間の内部又は外部に配置され、前記保管タンク内に、炭酸ガス又は不活性ガスを供給
し、
前記調湿手段は、ドライエアー又は不活性ガスを供給することで、前記作業空間の水分量を低減し、
前記乾燥部には、ドライエアー又は不活性ガスを供給しないことを特徴とする、調湿装置。
【請求項2】
前記調湿手段は、不活性ガスを前記仕切部に供給するためのガス供給手段を備えることを特徴とする、請求項1に記載の調湿装置。
【請求項3】
前記調湿手段は、ドライエアーを前記仕切部に供給するためのドライエアー発生部を備えるものであり、
前記仕切部から排出された排気は、前記ドライエアー発生部に返送され、ドライエアーとして再利用されることを特徴とする、請求項1に記載の調湿装置。
【請求項4】
前記仕切部の内部は、陽圧であることを特徴とする、請求項1~3のいずれか一項に記載の調湿装置。
【請求項5】
塗工処理を行う塗工部を備える塗工装置に設けられ、前記塗工部を覆うための仕切部材であって、
本体と、
前記本体で区画された作業空間の水分量を
低減する調湿手段と、を備え、
前記本
体は、塗工ヘッド及び塗工ロールを覆いかつ乾燥部で乾燥処理された基材を巻き取って回収する巻取ロール及び移送ローラを覆う一つの区画された作業空間
を形成することを特徴とする、塗工装置用の仕切部材。
【請求項6】
基材に塗工処理を行う塗工ステップと、
前記塗工ステップを行う作業空間を仕切部によって覆う仕切ステップと、
前記塗工ステップで前記基材に塗工された塗工膜を乾燥させる乾燥ステップと、
前記仕切ステップで覆われた作業空間の水分量を
低減する調湿ステップと、
塗工液を保管する保管タンク内に、炭酸ガス又は不活性ガスを供給するステップと、
を備え
、
前記調湿ステップは、ドライエアー又は不活性ガスを供給することで、前記作業空間の水分量を低減し、
前記乾燥ステップは、ドライエアー又は不活性ガスを供給しないことを特徴とする、調湿方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、塗工装置、仕切部材及び塗工方法に関するものである。さらに詳しくは、本発明は、大気中の水分と反応する塗工液の塗工処理における塗工装置、仕切部材及び塗工方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
塗工液を基材(被塗材)に塗工する塗工処理は、幅広い分野で利用されている。例えば、塗工液として機能性材料を含む液体やスラリーを用い、この塗工液を薄膜基材に塗工して各種製品を得る技術が知られている。このような技術の一例としては、塗工紙や各種機能性フィルムの製造のほか、二次電池の電極作製などが挙げられる。
【0003】
一般に、二次電池の電極作製においては、活物質(正極活物質及び負極活物質)を含むスラリーの集電体表面への塗工及び乾燥を行う装置が用いられている。
【0004】
例えば、特許文献1には、二次電池の電極製造装置として、基材(電極箔)に塗工液(活物質及び導電助剤を含む電極スラリー)を塗工する塗工設備による塗工処理を行った後、乾燥設備による乾燥処理を経るものが記載されている。また、特許文献1には、二次電池の電極製造装置に加振装置を設けることにより、スラリー中の活物質を均質に保ったまま基材に塗工し、電極性能を向上させることが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1に示すように、二次電池の電極作製においては、塗工液の塗工状態により電極の性能に影響が出ることが知られている。
【0007】
一方、塗工処理を行う場合、塗工液が大気下に吐出され、基材に塗布されたとき、塗工液の成分と大気中の水分とが反応することがある。特に、塗工液が活物質を含む二次電池の電極スラリーなどの場合、塗工処理中に活物質と水分が反応することで、塗工処理後の製品(二次電池の電極)の性能が劣化するだけでなく、有害ガスの発生が懸念される。
このため、塗工された後の製品の性能維持及び向上、さらには塗工処理作業の安全性確保のためには、塗工液の成分と大気中の水分との反応を抑制することが必要となる。
しかしながら、特許文献1には、塗工処理時において塗工液が大気下に吐出された際に、塗工液の成分と大気中の水分との反応を抑制することについて何ら記載されていない。
【0008】
塗工液の成分と大気中の水分との反応を抑制する手段としては、例えば、特許文献1における電極製造装置のような装置全体をドライルームに設置し、ドライルーム全体の環境を制御することが考えられる。しかし、塗工処理を含め、製品の製造工程に係る装置全体をドライルーム内に設置する場合、イニシャルコスト及びドライルーム全体の環境維持に係るランニングコストが増加するという問題が生じる。
また、装置全体を設置したドライルームの場合、一定程度の広さを有する空間全体の環境を全て同条件に維持することは困難であり、ドライルーム内の箇所によって環境(温度・湿度等)のばらつきがどうしても生じてしまう。したがって、環境を維持・管理すべき箇所に対し、必要な条件を満たすことができないという問題もある。
このため、ドライルーム内に装置全体を設置することよりも簡便な手段を用い、塗工液の成分と大気中の水分との反応をより確実に抑制することが求められている。
【0009】
したがって、本発明の課題は、塗工液の成分と大気中の水分との反応を抑制するために、塗工処理時において、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することができる塗工装置、仕切部材及び塗工方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記課題について鋭意検討した結果、塗工処理を行う塗工部を覆う仕切部を設け、仕切部内の露点温度を特定の温度以下とすることで、塗工液と大気中の水分との接触を遮断し、塗工液の成分と大気中の水分との反応の抑制が可能になることを見出して本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、以下の塗工装置、仕切部材及び塗工方法である。
【0011】
上記課題を解決するための本発明の塗工装置は、塗工処理を行う塗工部と、塗工部を覆う仕切部と、仕切部で区画された作業空間の水分量を調整する調湿手段と、を備えることを特徴とするものである。
本発明の塗工装置によれば、塗工処理を行う箇所である塗工部のみを覆う仕切部と調湿手段を設けることで、仕切部で区画された作業空間における水分量を低減させることが可能となる。これにより、塗工処理時において、仕切部で区画されて水分量の低減した作業空間内に塗工液が放出されて塗工処理が行われるため、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することが可能となる。また、仕切部を設けることで、大気中の水分量に係る制御を必要とする箇所が、装置全体ではなく、塗工部に係る空間のみとなることから、イニシャルコストやランニングコストを増大させることなく、安定した塗工処理を行うことが可能となる。
【0012】
また、本発明の塗工装置の一実施態様としては、調湿手段は、不活性ガスを仕切部に供給するためのガス供給手段を備えるという特徴を有する。
この特徴によれば、不活性ガスの供給により、仕切部内部に存在する空気(大気)と不活性ガスを置換させることで、作業空間に存在していた空気量を低減させることができる。これにより、空気中に存在していた水分も低減するため、作業空間の水分量の調整を行うことができる。
【0013】
また、本発明の塗工装置の一実施態様としては、調湿手段は、ドライエアーを仕切部に供給するためのドライエアー発生部を備えるものであり、仕切部から排出された排気は、ドライエアー発生部に返送され、ドライエアーとして再利用されるという特徴を有する。
この特徴によれば、ドライエアーの供給により、仕切部内部の露点温度を容易に特定温度以下にすることができるため、作業空間の水分量の調整が容易となる。また、仕切部に供給したドライエアーを回収、再利用することで、塗工処理におけるランニングコストをより一層低減させることが可能となる。
【0014】
また、本発明の塗工装置の一実施態様としては、仕切部の内部は、陽圧であるという特徴を有する。
この特徴によれば、仕切部で区画された作業空間を陽圧に維持することにより、外気が仕切部の内部に流入することを抑制することができる。これにより、作業空間の水分量を適切な範囲に維持することが容易となる。
【0015】
上記課題を解決するための本発明の仕切部材は、塗工処理を行う塗工部を備える塗工装置に設けられ、塗工部を覆うための塗工装置用の仕切部材であって、本体と、本体で区画された作業空間の水分量を調整する調湿手段とを備えることを特徴とするものである。
この仕切部材によれば、塗工処理を行う箇所である塗工部のみを覆うものとするとともに、調湿手段を設けることで、仕切部材で区画された作業空間における水分量を低減させることが可能となる。これにより、塗工処理時において、仕切部材で区画されて水分量の低減した作業空間内に塗工液が放出されて塗工処理が行われるため、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することが可能となる。また、仕切部材として設置することで、大気中の水分量に係る制御を必要とする箇所が、装置全体ではなく、塗工部に係る空間のみとなることから、イニシャルコストやランニングコストを増大させることなく、安定した塗工処理を行うことが可能となる。
【0016】
上記課題を解決するための本発明の塗工方法は、塗工処理を行う塗工ステップと、塗工ステップを行う作業空間を仕切部によって覆う仕切ステップと、仕切ステップで覆われた作業空間の水分量を調整する調湿ステップと、を備えることを特徴とするものである。
この塗工方法によれば、仕切ステップ及び調湿ステップを備えることで、仕切部で区画された作業空間における水分量を低減させることが可能となる。これにより、塗工処理時において、仕切部で区画されて水分量の低減した作業空間内に塗工液が放出されて塗工処理が行われるため、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することが可能となる。また、仕切ステップにより、大気中の水分量に係る制御を必要とする箇所が、装置全体ではなく、塗工処理に係る作業空間のみとなることから、イニシャルコストやランニングコストを増大させることなく、安定した塗工処理を行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、塗工液の成分と大気中の水分との反応を抑制するために、塗工処理時において、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することができる塗工装置、仕切部材及び塗工方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】本発明の第1の実施態様の塗工装置の構造を示す概略説明図である。
【
図2】本発明の第1の実施態様の塗工装置における仕切部の別態様を示す概略説明図である。
【
図3】本発明の第2の実施態様の塗工装置の構造を示す概略説明図である。
【
図4】本発明の第3の実施態様の塗工装置の構造を示す概略説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、図面を参照しつつ本発明に係る塗工装置、仕切部材及び塗工方法を詳細に説明する。
なお、実施態様に記載する塗工装置及び仕切部材については、本発明に係る塗工装置及び仕切部材を説明するために例示したに過ぎず、これに限定されるものではない。なお、本発明の塗工方法については、以下の塗工装置の構造及び作動の説明に置き換えるものとする。
【0020】
本発明における塗工処理とは、塗工液を基材(被塗材)に塗工する工程を行うものであればよく、技術分野は特に限定されない。本発明の塗工装置及び仕切部材を適用可能な技術分野の一例としては、例えば、塗工紙や各種機能性フィルムの製造のほか、二次電池の電極作製などが挙げられる。
【0021】
本発明の塗工液としては、塗工処理に用いられるものであって、含有している成分が大気中の水分と反応するものが挙げられる。特に、塗工液の成分と大気中の水分とが反応することで、塗工処理後の製品が有する機能が劣化するものや、作業環境の安全性を損なうものなどが挙げられる。
また、本発明における塗工液の形態としては特に限定されないが、例えば、機能性材料が溶解した液体のほか、固体と液体の混合物であるスラリーなどが挙げられる。
【0022】
本発明における塗工液としては、リチウムイオン二次電池の電極材料として知られている活物質(正極活物質及び負極活物質)及びバインダーを含有する電極用スラリーを用いることが好ましい。このような電極用スラリーは、活物質及びバインダーの成分が大気中の水分と反応することがある。そして、この反応によって、電極表面へのバインダー成分の析出や活物質の分解などが生じ、製品(電極)の機能を損なうおそれや、有害ガスの発生のおそれがあることが知られている。したがって、塗工液として電極用スラリーを用いて塗工処理する際に、本発明の塗工装置、仕切部材及び塗工方法を適用することで、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することによる効果を最大限に得ることが可能となる。
【0023】
本発明における基材としては、塗工処理において一般的に用いられるものであれば特に限定されない。例えば、基材の材質、サイズ等は、塗工液の種類や塗工処理後の製品の形態に応じて適宜選択することができる。より具体的には、例えば、塗工処理後の製品が塗工紙である場合は、基材としては未処理の紙を用いることが挙げられる。また、塗工処理後の製品がリチウムイオン二次電池の電極である場合、基材としては集電体として知られる公知の物質(アルミニウム薄膜等)を用いることが挙げられる。
【0024】
〔第1の実施態様〕
(塗工装置)
図1は、本発明の第1の実施態様における塗工装置の構造を示す概略説明図である。
塗工装置1Aは、
図1に示すように、塗工部2と、仕切部3と、基材移動機構4を備えており、仕切部3は塗工部2を覆うように設置されている。また、仕切部3には、調湿手段31が設けられている。さらに、塗工部2の後段には、乾燥部5を備えている。
【0025】
本実施態様の塗工装置1Aは、基材移動機構4により、基材Bを塗工部2に導入し、塗工部2において塗工液Sを基材Bに塗工する塗工処理を行う。このとき、塗工部2を覆う仕切部3内の露点温度を調整し、塗工液Sと大気中の水分との接触を遮断する。これにより、塗工処理時における塗工液Sの成分と大気中の水分との反応を抑制することができる。
【0026】
塗工処理が終了した基材Bは基材移動機構4により次工程へ移送される。塗工処理後の工程の内容については特に限定されないが、製品の品質向上や製品回収が容易となるものが好ましい。例えば、
図1に示すように、塗工部2から乾燥部5に基材Bを導入して乾燥処理を行うものが挙げられる。これにより、基材B上の塗工液Sを十分に乾燥させ、製品として回収することが容易となる。また、塗工部2の後段に設ける他の工程としては、例えば、ロールプレス機などの圧縮装置による圧縮処理などが挙げられる。
なお、本実施態様の塗工装置1Aとしては、基材Bは、塗工処理時及び塗工処理後の工程に導入される直前まで大気に曝されないようにすることが好ましい。より具体的には、例えば、
図1に示すように、基材Bは、塗工部2から乾燥部5に導入される直前まで、仕切部3により覆われ、大気に曝されないようにすることが好ましい。これにより、大気中の水分が基材B上の塗工液Sと反応することを抑制することが可能となる。
【0027】
本実施態様の塗工装置1Aにおける基材移動機構4は、基材Bを各工程に供するために移動させるものであり、詳細な構造については特に限定されない。基材移動機構4としては、例えば、
図1に示すように、基材Bを巻き出す巻出ロール40と、基材Bを巻き取って回収する巻取ロール41を備えており、巻取ロールを回転駆動させるための駆動部が設けられている(不図示)。さらに、基材Bに適度な張力をかけ、移動させるための機構として、複数の移送ローラ42を設け、基材Bの移動経路を形成することが好ましい。これにより、基材Bの移動を安定して行うことが可能となる。
【0028】
本実施態様の塗工装置1Aにおける乾燥部5は、基材Bに塗工された塗工膜Mを乾燥させる乾燥処理を行うものであり、詳細な構造については特に限定されない。乾燥部5としては、例えば、熱風を用いた乾燥装置や、赤外線ヒーターを用いた乾燥装置などが挙げられる。
なお、乾燥部5を設けることは必須ではなく、塗工液S(塗工膜M)や基材Bの性質によっては、乾燥部5を省略するものとしてもよく、乾燥部5以外の別の工程を行う設備を備えるものとしてもよい。
【0029】
以下、塗工部2と仕切部3について詳細に説明する。
【0030】
(塗工部)
塗工部2は、塗工処理を行う塗工ステップを実施するためのものである。
【0031】
塗工部2は、塗工液Sを基材Bに塗工することができるものであればよく、装置構成の詳細については特に限定されない。例えば、
図1に示すように、塗工部2は、塗工ヘッド20、塗工ロール21、塗工液Sを保管する保管タンク22と、塗工ヘッド20と保管タンク22を接続するラインL1及びポンプPを備えている。
【0032】
塗工部2では、塗工ヘッド20と塗工ロール21の間を基材Bが通過し、保管タンク22からラインL1及びポンプPを介して塗工ヘッド20内に供給された塗工液Sが基材Bに塗工されることで、基材B表面に塗工膜Mが形成される。そして、塗工膜Mが形成された基材Bは、次工程(乾燥部5)に移送される。このとき、塗工液Sは塗工ヘッド20から基材Bに向けて吐出されるまで大気に触れることがないため、塗工液Sの成分と大気中の水分との反応をより一層抑制することが可能となる。なお、
図1に示した塗工部2では、塗工ヘッド20は塗工ロール21に対して横方向に設けられているが、これに限定されるものではなく、塗工ヘッド20の位置は塗工液Sの性質(粘度や基材Bに対する付着性等)などに応じて、適宜変更することが可能である。
【0033】
本実施態様における塗工ヘッド20の具体的な構造は特に限定されない。例えば、ダイコーター、スリットコーター、リップコーター等と呼ばれる公知の構造のものを用いることができる。
【0034】
また、塗工部2は、均質、かつ均一な厚みの塗工膜Mを形成する手段を備えるものとしてもよい。このような手段の一例としては、例えば、塗工ヘッド20(あるいは塗工ロール21)の位置の微調整を可能とする手段や、塗工ヘッド20から吐出する塗工液Sの量を適宜調整することができる手段などが挙げられる。これらの手段を実施するための各種付帯機構を塗工部2に設けることで、塗工処理後の製品の品質管理・品質向上が容易となる。
【0035】
保管タンク22は、塗工液Sを安定して保管することができるものであればよく、特に限定されない。保管タンク22としては、例えば、耐薬品性及び耐圧性を有する有底筒状構造物や管状構造物などが挙げられる。
【0036】
保管タンク22は、炭酸ガスや不活性ガスなどの気体を供給するものとしてもよい。これにより、塗工液Sを保管しているときにおいても、塗工液Sの成分と大気中の水分との反応を抑制することが可能となる。
特に、塗工液Sとして電極用スラリーを用いる場合、電極用スラリーの調製・保管時に水酸化リチウムなどのアルカリ成分が発生することがある。ここで、電極用スラリー中のアルカリ成分は、塗工処理時に基材B(アルミニウム薄膜)の腐食を起こすことが知られている。したがって、保管タンク22内には、炭酸ガスを供給することが好ましい。これにより、保管タンク22内で発生するアルカリ成分(水酸化リチウム等)を炭酸ガスにより中和し、電極用スラリーのアルカリ化を抑制することが可能となる。
【0037】
また、保管タンク22内に撹拌機構を設けるものとしてもよい。これにより、保管タンク22内の塗工液Sを撹拌し、塗工液Sの均質性を維持することが可能となる。特に、塗工液Sとして固体と液体の混合物であるスラリーを用いる場合、保管タンク22内で塗工液Sの不均質化が生じないよう、保管タンク22内に撹拌機構を設け、塗工処理時に吐出される塗工液Sの均質性を維持することが好ましい。
【0038】
(仕切部(仕切部材))
仕切部3は、塗工部2による塗工処理を行う作業空間を覆う仕切ステップ、及び、仕切ステップで覆われた作業空間の露点温度を特定温度以下に調整する調湿ステップを実施するためのものである。
【0039】
仕切部3は、塗工部2の作業空間を覆うものである。また、仕切部3は、覆われた塗工部2の作業空間の露点温度を調整することができるものである。
仕切部3は、
図1に示すように、本体30と、調湿手段31を備えている。
【0040】
本体30は、塗工部2を覆い、区画された作業空間Aを形成するものである。
本体30としては、塗工部2のうち、少なくとも塗工ヘッド20及び塗工ロール21を覆うことができる大きさとする。これにより、塗工液S(塗工膜M)の成分と大気中の水分との反応を容易に抑制することが可能となる。
また、本体30は、少なくとも塗工ヘッド20及び塗工ロール21に加え、塗工部2の後段に設けられた乾燥部5に基材Bが導入される直前まで覆うことができる大きさを有するものが好ましい。これにより、塗工部2において塗工液Sを基材Bに塗工する作業空間を確実に区画させ、調湿手段31による環境制御により、大気中の水分との反応をより一層確実に抑制することが可能となる。
【0041】
また、本体30の具体的な構造としては、塗工部2を覆い、区画された作業空間Aを形成することができるものであればよく、特に限定されない。本体30としては、例えば、鋼製のパーテーションのように剛性を有する筐体を用いることや、ビニールカーテンのように柔軟性を有し、ある程度の変形を許容するものを用いること等が挙げられる。
【0042】
また、塗工処理後の基材Bを次工程に移送するため、
図1に示すように、本体30の一部には、基材移動機構4により移動する基材Bが通過するための開口部30aを設けるものとしてもよい。なお、本実施態様における仕切部3の構造としては、塗工処理後の基材Bを次工程に移送することができるものであればよく、本体30に開口部30aを設けることに限定するものではない。
【0043】
なお、
図1に示すように、本体30は、塗工ヘッド20及び塗工ロール21を覆いかつ乾燥部5で乾燥処理された基材Bを巻き取って回収する巻取ロール41及び移送ローラ42を覆う一つの区画された作業空間Aとしてもよい。これにより、乾燥処理された基材Bが巻取ロール41で巻き取られるまでの間においても、基材Bが吸湿することを抑制できる。また、一つの区画された作業空間Aとすることで、一つの調湿手段で管理でき、塗工装置1Aの小型化が可能となる。
【0044】
本体30を、塗工ヘッド20及び塗工ロール21を覆いかつ乾燥部5で乾燥処理された基材Bを巻き取って回収する巻取ロール41及び移送ローラ42を覆う一つの区画された作業空間Aとした場合、本体30の一部には、乾燥部5で乾燥処理された基材Bを本体30の内部に移送するための開口部30cを設けるものとしてもよい。
【0045】
図2は、本実施態様における仕切部3の別態様を示す概略説明図である。なお、
図2は、仕切部3の本体30についての拡大図であり、その他の構成については、
図1と同様のため、説明を省略する。
図2に示した仕切部3は、本体30に開口部30aを設ける代わりに、本体30の底部を開放し、基材Bの進行方向に移送ローラ42及び一対のローラRを設けている。これにより、基材Bが本体30内の空間Aの上部側を通過するように移動経路を形成するとともに、基材Bに対する塗工膜Mの厚みを制御することや、基材Bに対する塗工膜Mの密着性を高めること等が可能となる。このとき、本体30の底部が開放されていても、後述する調湿手段31を適切に選択することで、区画された作業空間A内の環境制御を実施することができる。これにより、基材Bの幅に変更があった場合においても、本体30の構造に変更を加えることなく、塗工処理を実施することが可能となる。
【0046】
(調湿手段)
調湿手段31は、本体30により区画された作業空間A内の水分量を調整するものである。調湿手段31による水分量の調整に係る手段は特に限定されない。例えば、水分量の調整に係る基準として、露点温度を用い、調湿手段31として、特定の露点温度以下に調整するものとすることが挙げられる。なお、本実施態様における露点温度とは、大気圧下における水の露点温度を指すものである。
調湿手段31により調整される露点温度は、塗工液Sの種類などによって適宜設定することが好ましい。例えば、露点温度としては0℃以下とすることが好ましく、-20℃以下とすることがより好ましい。一般的に、露点温度が-20℃以下であれば、1m3の空気中に含まれる水分量は約1g以下となるため、塗工液Sの成分と大気中の水分との反応を十分に抑制することが可能となる。また、塗工液Sが電極用スラリーである場合、露点温度は-40℃以下とすることが好ましく、さらに-70℃以下とすることがより好ましい。これにより、塗工液Sの成分と大気中の水分との反応をより確実に抑制することが可能となり、製品の品質管理・品質向上が容易となる。
【0047】
本実施態様における調湿手段31としては、区画された作業空間A内の露点温度を調整することができる手段であればよく、具体的な手段は特に限定されない。
調湿手段31の具体的な例としては、例えば、
図1に示すように、区画された作業空間A内に、不活性ガスを供給するガス供給手段32を設けることが挙げられる。ガス供給手段32の具体的な例としては、区画された作業空間A内に不活性ガスを供給するラインL2と、不活性ガスを貯留するガス貯留タンク32aを備えるものが挙げられる。
【0048】
このとき、不活性ガスとしては、アルゴン、ネオン、窒素、ヘリウムなど、大気よりも水分含有量が低く、ガスそのものが塗工液Sの成分と反応しないものを用いることが挙げられる。この不活性ガスを区画された作業空間A内に供給することで、作業空間A内の大気を不活性ガスで置換し、露点温度を下げることが可能となる。
また、不活性ガスとしては、大気よりも軽いガスを用いることが好ましい。これにより、
図2で示したような構造の本体30に対してガスを供給した際、区画された作業空間A内にガスが留まるため、作業空間A内の大気を不活性ガスで置換し、露点温度を下げることが可能となる。
【0049】
また、ガス供給手段32として、
図1に示すように、ラインL2上に不活性ガスの供給量を調節するガス流量調節機構32bを設けるものとしてもよい。さらに、区画された作業空間A内の圧力や湿度を測定する測定部32cと、測定部32cの値によってガス流量調節機構32bを制御する制御部32dとを設けるものとしてもよい。なお、
図1における一点破線は、入力又は制御が可能となるように接続されていることを示している。
例えば、測定部32cの測定値を制御部32dに入力し、その結果、区画された作業空間A内の圧力低下や湿度上昇が生じていると判断された場合、制御部32dは、ラインL2から作業空間Aに供給される不活性ガスの供給量を増加させるようにガス流量調節機構32bを制御する。一方、測定部32cの測定値から、区画された作業空間A内の圧力が過度に上昇していると判断された場合、不活性ガスの供給量を減少させるようにガス流量調節機構32bを制御する。これにより、区画された作業空間A内の環境を適切に維持することが可能となる。
【0050】
ガス供給手段32により、区画された作業空間A内が陽圧となるように不活性ガスを供給することが好ましい。これにより、作業空間A内に大気が流入することを抑制し、塗工液Sと大気中の水分との接触を、より確実に遮断することが可能となる。
【0051】
また、本実施態様における仕切部3に係る構成は、本発明に係る仕切部材として独立したものとすることができる。この仕切部材は、塗工部を備える既設の塗工装置に適用することができる。特に、塗工液が大気中の水分と反応する場合、既設の塗工装置に対して、本発明における仕切部材(仕切部3)を適用することにより、大掛かりな設備更新を伴うことなく、既設の塗工装置の機能向上を図ることができる。
【0052】
以上のように、本実施態様の塗工装置1A及び塗工装置1Aを用いた塗工方法により、塗工処理を行う塗工部を覆う仕切部と調湿手段とを設け、調湿手段によって仕切部内部の露点温度を特定温度以下にすることで、仕切部で区画された作業空間における水分量を低減させることが可能となる。これにより、塗工処理時において、仕切部で区画されて水分量の低減した作業空間内に塗工液が放出されて塗工処理が行われるため、塗工処理を行う作業空間において、塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断することが可能となる。また、仕切部を設けることで、大気中の水分量に係る制御を必要とする箇所が、装置全体ではなく、塗工部に係る作業空間のみとなることから、イニシャルコストやランニングコストを増大させることなく、安定した塗工処理を行うことが可能となる。
【0053】
〔第2の実施態様〕
図3は、本発明の第2の実施態様の塗工装置の構成を示す概略である。
第2の実施態様の塗工装置1Bは、
図3に示すように、第1の実施態様の塗工装置1Aにおける調湿手段31として、ガス供給手段32に代えて、ドライエアー発生部33を設けるものである。なお、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0054】
本実施態様の塗工装置1Bは、調湿手段31として、水分含有量(湿度)の少ない空気(ドライエアー)を供給するドライエアー発生部33を設けるものである。
ドライエアー発生部33としては、本体30により区画された作業空間A内にドライエアーを供給するラインL3と、空気中の水分を除去してドライエアーを生成することが可能なドライエアー発生装置33aとを備えるものとすることが挙げられる。なお、ドライエアー発生装置33aの具体的な構成は特に限定されず、公知のものを用いることが挙げられる。
これにより、空間A内の露点温度を特定温度以下に調整し、塗工液Sの成分と大気中の水分との反応を抑制することが可能となる。また、不活性ガスを用いる場合と比較して、ガス調達に係るコストを低減させることが可能となる。
【0055】
また、本実施態様の塗工装置1Bにおいて、
図3に示すように、仕切部3の本体30に排気口30bを設け、排気口30bから排気された排気を、ラインL4を介してドライエアー発生部33のドライエアー発生装置33aに返送し、再びドライエアーとして再利用することが好ましい。ラインL4を介して返送された排気は、通常の大気よりは水分含有量が少ないものである。したがって、返送された排気をドライエアー発生装置33aに再度供給することで、ドライエアーの生成に係るランニングコストを低減させることが可能となる。
【0056】
なお、本実施態様の塗工装置1Bにおいては、ドライエアーの供給・回収を効率的に行うために、ラインL3及び/又はラインL4に流量調節機構やポンプなどを設けるものとしてもよい(不図示)。また、第1の実施態様に記載したように、区画された作業空間A内の圧力や湿度を測定する測定部や、測定部の結果に基づき流量調節機構やポンプを制御する制御部などを設けるものとしてもよい。これにより、区画された作業空間A内の環境を適切に維持することが可能となる。
【0057】
以上のように、本実施態様の塗工装置1B及び塗工装置1Bを用いた塗工方法は、調湿手段としてドライエアーを供給するドライエアー発生部を設けることで、仕切部内部の露点温度を容易に特定温度以下にすることができる。また、仕切部内部の露点温度低下に用いたドライエアーを回収、再利用することで、塗工処理におけるランニングコストをより一層低減させることが可能となる。
【0058】
〔第3の実施態様〕
図4は、本発明の第3の実施態様の塗工装置の構成を示す概略である。
第3の実施態様の塗工装置1Cは、
図4に示すように、第1の実施態様の塗工装置1Aにおける調湿手段31として、ガス供給手段32において、塗工ヘッド20近傍にガス供給用ノズル32eを設けるものである。なお、第1の実施態様の構成と同じものについては、説明を省略する。
【0059】
本実施態様の塗工装置1Cは、ラインL2によって仕切部3内を不活性ガスで満たすとともに、塗工ヘッド20の近傍に別途設けたガス供給用ノズル32eによって、さらに不活性ガスを塗工処理の実施箇所に重点的に供給するものである。これより、塗工液Sと大気中の水分との接触を、より確実に遮断することが可能となる。
【0060】
ガス供給用ノズル32eから吐出するガスは、
図4に示すように、ラインL2を分岐させたラインL5を介してガス貯留タンク32aから供給されるものとすることが挙げられるが、これに限定されるものではない。例えば、より水分含有量の少ない不活性ガスが貯留された別のガス貯留タンクを別途設け、そこからラインL2とは別のラインを介してガス供給用ノズル32eに接続し、ガスを供給することなどが挙げられる。
また、ガス供給用ノズル32eに接続したライン上に、ガス流量調節機構を設け、ガス供給用ノズル32eから吐出するガスの流量を調節するものとしてもよい。これにより、塗工液Sの成分や性質、塗工膜Mの状態などに応じて、ガスの供給量を適正化することが容易となる。
【0061】
なお、本実施態様の塗工装置1Cにおけるガス供給用ノズル32eは、第2の実施態様の塗工装置1Bにおけるドライエアー発生部33に対して適用するものとしてもよい。これにより、ドライエアー発生部33から供給されるドライエアーを、区画された作業空間A内全体だけではなく、さらに塗工ヘッド20近傍に重点的に供給することができ、より確実に塗工液と大気中の水分との接触を遮断することが可能となる。
【0062】
以上のように、本実施態様の塗工装置1C及び塗工装置1Cを用いた塗工方法は、調湿手段としてガス供給用ノズルをさらに設けることで、より確実に塗工液と大気中の水分との接触を遮断し、塗工液の成分と大気中の水分との反応をより一層抑制することが可能となる。
【0063】
なお、上述した実施態様は、塗工装置、仕切部材及び塗工方法の一例を示すものである。本発明に係る塗工装置、仕切部材及び塗工方法は、上述した実施態様に限られるものではなく、請求項に記載した要旨を変更しない範囲で、上述した実施態様に係る塗工装置、仕切部材及び塗工方法を変形してもよい。
【0064】
例えば、本実施態様の塗工装置における塗工部は、
図1に示すように、塗工液が塗工ヘッドから吐出するまで大気に触れることがないように密閉された形のものに限定されない。例えば、大気下で開放状態にある液槽や液だまりに貯留した塗工液を基材に塗工する構造のものであってもよい。このとき、本実施態様における仕切部(仕切部材)によって、液槽や液だまりの部分を含めて覆うことにより、塗工処理時において塗工液と大気中の水分との接触を容易に遮断し、塗工液の成分と大気中の水分との反応を抑制することが可能となる。特に、本実施態様における仕切部材を既設の塗工装置に適用する際、既設の塗工装置における塗工部の構造を問わず、装置の機能向上を図ることができる。
【0065】
また、本実施態様の塗工装置における仕切部又は仕切部材において、仕切部の本体内に水分を吸着するものを設けるものとしてもよい。このとき、仕切部の本体内の壁面に吸着剤(吸湿剤)を塗布することや吸着シート(吸湿シート)を貼り付けることなどが挙げられる。これにより、仕切部の本体により区画された作業空間内の大気中の水分を、より一層低減させることが可能となる。
【0066】
また、本実施態様の塗工装置及び仕切部材における調湿手段は、ガス供給により、区画された作業空間内を陽圧にすることに限定されない。調湿手段の他の例としては、例えば、区画された作業空間を陰圧(真空)にすることで、区画された作業空間内の露点温度を特定温度以下に調整することなどが挙げられる。これにより、ガス供給に係るコスト(ガスの調達コストやガス供給設備に係るコスト)を低減させることが可能となる。
【0067】
また、本実施態様の塗工装置において、塗工部の保管タンクに供給する気体と、調湿手段で供給する気体は、同一のものとしてもよく、異なるものとしてもよい。同一の気体を用いる場合、気体(ガス)の供給に係るコストを低減させることが可能となる。一方、異なる気体を用いる場合、塗工液Sの保管時と塗工処理時において、それぞれの段階で許容できる水分量やコストに応じ、適切な気体を選択することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0068】
本発明の塗工装置、仕切部材及び塗工方法は、各種塗工液の塗工処理において利用することができる。特に、大気中の水分と反応する塗工液を適切かつ簡便に塗工することができる塗工処理として好適に利用することができる。
【符号の説明】
【0069】
1A,1B,1C…塗工装置、2…塗工部、20…塗工ヘッド、21…塗工ロール、22…保管タンク、3…仕切部、30…本体、30a…開口部、30b…排気口、30c…開口部、31…調湿手段、32…ガス供給手段、32a…ガス貯留タンク、32b…ガス流量調節機構、32c…測定部、32d…制御部、32e…ガス供給用ノズル、33…ドライエアー発生部、33a…ドライエアー発生装置、4…基材移動機構、40…巻出ロール、41…巻取ロール、42…移送ローラ、5…乾燥部、A…区画された作業空間、B…基材、L1~L5…ライン、M…塗工膜、P…ポンプ、R…ローラ、S…塗工液