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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】照明装置
(51)【国際特許分類】
   F21V 13/02 20060101AFI20240912BHJP
   F21S 2/00 20160101ALI20240912BHJP
   F21V 5/04 20060101ALI20240912BHJP
   F21V 17/00 20060101ALI20240912BHJP
   F21Y 115/10 20160101ALN20240912BHJP
   F21Y 103/10 20160101ALN20240912BHJP
【FI】
F21V13/02 400
F21S2/00 230
F21V5/04 600
F21V17/00 200
F21Y115:10
F21Y103:10
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022108796
(22)【出願日】2022-07-06
(65)【公開番号】P2024007618
(43)【公開日】2024-01-19
【審査請求日】2023-07-24
(73)【特許権者】
【識別番号】000140269
【氏名又は名称】株式会社遠藤照明
(72)【発明者】
【氏名】春田 昌也
(72)【発明者】
【氏名】青木 亮介
【審査官】塩治 雅也
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-067367(JP,A)
【文献】特開2013-205631(JP,A)
【文献】特開2014-229476(JP,A)
【文献】特開2020-107595(JP,A)
【文献】特開2010-108844(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2020/0332988(US,A1)
【文献】特開2015-173007(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21V 1/00- 8/00
F21V 9/00-15/04
F21K 9/00- 9/90
F21S 2/00-45/70
F21V 17/00-17/20
F21Y 115/10
F21Y 103/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
光源と、前記光源から発する光を集光するレンズを備えた照明装置であって、
前記光源は、少なくとも2列に配置され、
前記レンズは、前記光源の列に直交する断面において、前記光源から発した光が入射光として入射する光入射面と、前記入射光が出射する光出射面を備え、
前記レンズは、前記光入射面と前記光出射面との間隔が最も大きくなる位置をレンズの軸として、前記列の数と同じ数の前記レンズの軸を有し、
前記光源の2列の間隔をLとし、前記光源に対応する前記レンズの軸の間隔をLとし、 /L が1.05以上1.21以下である、
照明装置。
【請求項2】
前記レンズにおける複数の前記レンズの軸の間の外側に、前記入射光を前方に反射する全反射面を備える、請求項1に記載の照明装置。
【請求項3】
前記照明装置は、前記光源を実装する基板と、前記基板を固定する取付部材を備え、
前記レンズが、前記取付部材に固定される、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項4】
前記照明装置は、さらに前記光源の前方と側方を覆うカバー部材を備え、
前記レンズが、さらに前記カバー部材に支持される、請求項3に記載の照明装置。
【請求項5】
前記光出射面が、前記列の方向において同一の断面形状である、請求項1又は2に記載の照明装置。
【請求項6】
前記光出射面が、前記列の方向において前記光源又は前記光源のグループに対応する凸部を有する、請求項1又は2に記載の照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、LEDを列状に配置した照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
LEDを列状に配置した照明装置は、蛍光灯を置き換える技術として広く普及するに至っている。このような照明装置のうち、蛍光灯と同様に広範囲を照射することを念頭において開発されている場合、集光レンズ等を使わないものが一般的である。一方、特許文献1には、2列のLEDに対応する2つの凸部を備えたレンズを用いた線状光源が開示されている。特許文献1の図7等を参照すると、LEDの中心軸と集光レンズの凸部の中心軸とが一致している。
【0003】
特許文献2においては、その図1を参照して、LED列3に対して円柱レンズ6、9を内側にV1、V2だけずらずことにより、ビーム角の集束が最適化される、とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2010-67367号公報
【文献】特表2015-523673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、LEDを用いた照明装置において、光量を増加させることと、狭角配光性・集光性を実現することを両立することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、光源と、前記光源から発する光を集光するレンズを備えた照明装置であって、前記光源は、2列以上の複数の列に配置され、前記レンズは、前記複数の列に直交する断面において、前記光源から発した光が入射光として入射する光入射面と、前記入射光が出射する光出射面を備え、前記レンズは、前記光入射面と前記光出射面との間隔が最も大きくなる位置をレンズの軸として、前記列の数と同じ数の前記レンズの軸を有し、前記光源の列の間隔をLとし、前記レンズの軸の間隔をLとし、 /L が1.05以上1.21以下である。
【0007】
本発明において、前記レンズにおける複数の前記レンズのの間の外側に、前記入射光を前方に反射する全反射面を備えてもよい。
【0008】
本発明において、前記光源を実装する基板と、前記基板を固定する取付部材を備え、前記レンズが、前記取付部材に固定されてもよい。
【0009】
本発明において、さらに前記光源の前方と側方を覆うカバー部材を備え、前記レンズが、さらに前記カバー部材に支持されていてもよい。
【0010】
本発明において、さらに前記光出射面が、前記列方向において同一の断面形状であってもよい。
【0011】
本発明において、さらに前記光出射面が、前記列方向において前記光源又は前記光源のグループに対応する凸部を有していてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、LEDを用いた照明装置において、LEDを複数列に配置することにより光量を増加させつつ、LED列間の距離と凸レンズの軸間の距離を異ならせることにより、狭角配光性・集光性を両立させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施形態1の照明装置の外観斜視図。
図2】実施形態1の照明装置の正面断面図。
図3】実施形態1の照明装置の側面断面図。
図4】実施形態1において、横軸をL/L、縦軸を軸光度としたシミュレーションのグラフ。
図5】実施形態1において、L/Lをパラメータとし、横軸を1/2照度角、縦軸を軸光度としたシミュレーションのグラフ。
図6】実施形態1において、L/Lが1.1、1.2、1.3の場合の配光シミュレーション結果。
図7】実施形態1に用いた各LEDの色度図。
図8】実施形態1において3色のLEDを用いた場合のLEDの配置を示す、光源ユニットの正面図。
図9】実施形態2の照明装置を天井に設置した場合の側面図。
図10】実施形態2の照明装置の側面断面図。
図11】実施形態2の照明装置の照度シミュレーション結果。
図12】実施形態3の照明装置の側面断面図。
図13】レンズ取付のバリエーションを示す、照明装置の側面断面図。
図14】2色のLEDを用いた場合のLEDの配置を示す、光源ユニットの正面図。
図15】1色のLEDを用いた場合のLEDの配置を示す、光源ユニットの正面図。
【発明を実施するための形態】
【0014】
<実施形態1>
<基本構成>
本実施形態に係る照明装置300は、器具本体・光源ユニット分離型照明装置である。これは、外観斜視図である図1に示すように、器具本体310が天井に直付けされ、光源ユニット320が器具本体310に取り付けされたものである。器具本体310と光源ユニット320が分離可能であるため、まず器具本体310を天井に取り付け、その時に用いたネジまたは吊ボルトを光源ユニット320によって隠すことができる。照明装置300の幅は一例として5cm、長さは一例として120cmである。
【0015】
器具本体310と光源ユニット320を分離した状態における断面図を図2に示す。器具本体310は下面が開口した箱状であり、バネ受け311及びコネクタ312を備える。
【0016】
光源ユニット320は、取付部材321、基板322、光源であるLED323、レンズ324、カバー部材325、電源326、ワイヤレスモジュール327、取付バネ328、コネクタ329を備え、カバー部材端面(カバー部材左端面325L及びカバー部材右端面325r)も備える(以下、断りなくカバー部材325と呼ぶときはカバー部材端面を含まないこととする)。カバー部材端面が光るため、複数の光源ユニット320をカバー部材端面同士が向き合うように並べて、複数の光源ユニット320全体を、連続した長い光源とすることができる。
【0017】
図1に示すように、照明装置300は制御装置370によって制御可能である。制御装置370は例えばタブレット、スマートフォン又はPCであって、照明制御ソフトウエア371(図示せず)がインストールされている。制御装置370における照明制御ソフトウエア371によって、制御装置370から調光調色信号(無線)が送信される。図2を参照して、調光調色信号(無線)は照明装置300内におけるワイヤレスモジュール327に受信される。ワイヤレスモジュール327は、制御信号を電源326に伝え、電源326は制御信号により制御された駆動電力を光源であるLED323に供給する。
【0018】
照明制御は、照明条件を変更したいときに制御装置370を用いて変更してもよいが、照明制御ソフトウエア371においてスケジュールをあらかじめ設定し、例えば夕方になったら照明装置300の輝度を落とすとともに色温度を低下させる、といった自動制御を行うことができる。
【0019】
<レンズと光学系>
図1における下方向を光源の前方、左・右方向を光源の側方、他の部分より側方にある部分を外側の部分と呼ぶこととする。前方に向かう光とは、真下方向に対してプラスマイナス45°方向の光、あるいはカバー部材前面部325Mから散乱される光を含む。
【0020】
レンズ324を含む光学系を説明するため、列状に配置される光源の列方向に直交する断面、つまり図2における側面側から光源ユニット320を見た場合の断面図を図3に示す。第1の列の光源であるLED323-1と第2の列の光源である323-2が光源の光軸A・光軸Aの間隔である列間隔L(例えば10mm)をあけて配置され、その下側にレンズ324が配されている。レンズ324は、軸Bに対して左右対称であり、光源から発した光が入射する光入射面である324Sと、その光が出射する光出射面である324T1、324T2を備える。光入射面324Sは平面でなくてもよいが、平面の場合には、レンズ324は断面視において2つの平凸レンズが合体したものである。光入射面324SとLED323-1(又はLED323-2)の表面の距離をdとする。dは例えば4.4mmである。2つの凸レンズの軸を、レンズ324の光入射面と光出射面の間隔が最も大きくなる位置(ただし図3における上下方向)における軸B及び軸Bとし、軸B及び軸Bの間隔(レンズ中心間隔)をL(例えば11mm)とする。レンズにおける軸の数は光源の列と同じである。レンズ324の軸Bから光出射面324T1の端部までの幅をレンズ径W、軸Bにおけるレンズの高さをHとする。レンズ径Wは例えば1.46Lである。軸光度を上げるためにはレンズ径は広い方がいいが、レンズ径が大きくなると光源に対応するレンズ以外に向かう成分が増えるため、レンズ径WはLの1.4倍以上1.6倍以下が好ましい。
【0021】
レンズ324は、図3の紙面の奥行方向(光源の列方向、図2における左右方向)において同一形状である。そのため、レンズ324は2連シリンドリカルレンズ(2連円柱レンズ)とも言える。ただし「円柱」と言ってもここでは断面外形が厳密な円形であることを意味しておらず、断面外形が非球面などであってもよい。
【0022】
カバー部材325は、カバー部材前面部325M、カバー部材側面325Y5、325Y6、カバー部材側面325Y5、325Y6につながるカバー部材固定部325E5、325E6を有する。取付部材321は、基板322を取り付けるための取付固定部321E5、321E6を有する。レンズ324は、カバー部材固定部325E5、325E6と、取付固定部321E5、321E6によって固定される。カバー部材325は透明であってもよいが、拡散材を分散させて少し光拡散性を持たせてもよい。以下のシミュレーション結果では、カバー部材325の光拡散性を考慮していない。
【0023】
<LEDと光線>
LED323としてSMD(Surface Mount Device、表面実装デバイス)型LEDパッケージを用いる場合、LED323から発する光の配光は、光軸Aあるいは光軸Aから角度θ方向の相対光度がほぼcosθとなる、いわゆるランバーシアン配光に近くなる。ここでLEDの軸は、後述する青色LEDチップ又は赤色LEDチップの位置を含むものとする。図3の断面において青色LEDチップが2つ以上含まれるLEDを用いる場合は、青色LEDチップの光出力を加味した加重平均的な位置を軸の位置としてもよい。
【0024】
レンズ324で集光可能な光線のうち最も左側の光線として、一例として光軸から左側55度の角度であるLED出射角度θ11方向に向かう光線P、すなわちLEDから光入射面324Sまでの光線P11、レンズ324中の光線P12、光出射面324T1からカバー部材325までの光線P13、カバー部材325より外側の光線P14を考える。カバー部材325での拡散を無視すると、LED出射角度θ11が、集光された外部出射角度θ14になり、光源ユニット320Cの前方(斜め前方を含む)に出射する。
【0025】
光軸から右側の角度であるLED出射角度θ21方向に向かう光線P21は、光出射面324T1を出射する光線P24となり、その外部出射角度θ24は、角度θ21よりも小さい。つまり光線P21はレンズ324により集光されている。
【0026】
LED出射角度θ11と同じ左側のLED出射角度θ31方向に向かう光線P31を考えると、光出射面324T2から出射するため、光源の光軸方向とは異なる方向、具体的には最大光度の1/5ビーム角外に出射する光線となる。図示では、たまたま角度θ34<角度θ31となっているが、LED出射角度がθ21以上θ31以下の光線の外部出射角度は、光出射面324T2において光線が通過する場所によるため、集光する場合も集光しない場合もある。
【0027】
<配光のシミュレーション>
本発明者らは、まず、光の利用効率に着目し、利用できるLED出射角度θ11を大きくすることを考え、図3におけるLED出射角度θ11を55°とし、LED出射角度θ11を広げる方法として、レンズ中心間隔Lを広げることを考えた。ここで、レンズの中心間隔を広げると、光源の列と異なるレンズ列を通る光の影響が大きくなるため、悪い結果しか得られない可能性が高いことを承知の上で、軸光度・1/2照度角など配光のシミュレーションを行うこととした。
【0028】
図4は、横軸をレンズ中心間隔Lの列間隔Lに対する比であるL/L、縦軸を軸光度としたシミュレーションのグラフである。ただし、軸光度は仮に光源の光束を1000lmとした場合のcdである。このように、L/Lが1.05以上1.21以下の場合に、軸光度が高くなることがわかった。
【0029】
図5は、L/Lをパラメータとし、横軸を集光の指標である1/2照度角、縦軸を軸光度(光源光束を1000lmとした場合のcd)としたシミュレーションのグラフである。グラフ中に記載した数値が各店のL/Lである。1/2照度角を考慮しても、L/Lが1.05から1.21、特に1.1や1.2の場合に、1/2照度角が高く軸光度が高いという結果が得られることがわかった。
【0030】
図6(a)、(b)、(c)は、それぞれL/Lが1.1、1.2、1.3の場合の配光シミュレーション結果を極座標系で示したものである(カバー部材325が透明の場合)。ビーム強度を表す軸のスケールは図6(a)、(b)と(c)とで異なる。Lが1.1、1.2、1.3の場合の1/2照度角は、それぞれ12°、14°、39°となり、Lが1.1、1.2、1.3の場合は狭角配光が実現できている。一方、L/Lが1.3の場合は、配光が2つに分かれてしまい、「集光」の目的の場合においては適していないことがわかる。
【0031】
色ムラや配光ムラを低減するため、カバー部材325に拡散性を持たせることにより、1/2照度角が例えば25°~50°の照明器具を実現することができる。
【0032】
<LEDの構造と色>
実施形態1に用いるLED323は、凹部を有するSMD型パッケージの底面に、発光層がInGaNからなる青色LEDチップを実装し、青色LEDチップの上面及び側面が蛍光体含有樹脂で覆われるようにパッケージの凹部を蛍光体入りの封止樹脂で封止したものである。LEDの幅は約3mm程度である。
【0033】
LED323としては、3色のLED323Bw、LED323R、LED323Ywを用いる。なお、図3ではLED323-1、LED323-2という符号を用いているが、これはLEDの列を区別するためのものであり、LEDの色とは別の概念である。
【0034】
LED323Bwは、蛍光体として緑色系蛍光体粒子又は黄色系蛍光体を用いたものである。また、さらに赤色系蛍光体粒子を含んでいてもよい。
【0035】
LED323Ywは、蛍光体として緑色系蛍光体粒子又は黄色系蛍光体を用いたものである。また、さらに赤色系蛍光体粒子を含んでいてもよい。一般に蛍光体の濃度がBwよりも高い。
【0036】
LED323Rは、InGaN系青色LEDチップを用い、蛍光体として赤色系蛍光体粒子を用いたものである。なお、LED323Rとしては、InGaN系青色LEDチップに代えて赤色LEDチップ、例えばAlGaInP系LEDチップを用い、蛍光体を含まない樹脂で覆ったものでもよい。LED323RとしてAlGaInP系LEDチップを用いたLEDとすると、発光スペクトルに青色を含まないという点で好ましいが、BwやYwとは駆動電圧が異なるため駆動回路が複雑になる。LED323Rとして青色LEDチップと赤色蛍光体を組み合わせたLEDの場合は、発光スペクトルに含まれる青色を減らす処理として、例えば赤色蛍光体の濃度を高くして青色LEDチップからの光が外部に放射される割合を小さくしたり、青色を吸収するフィルタを用いることが好ましい。
【0037】
以上の各SMD型LEDにおいて、黄色系蛍光体粒子としては、例えば(Y1-xGdAl12:Ce2+(0≦x≦1)を、緑色系蛍光体粒子としては、例えばLuAl12:Ce2+を、赤色系蛍光体としては例えばSrCa1-xAlSiN:Eu3+(0≦x≦1)蛍光体、Sr[LiAl]:Eu2+やKSiF:Mn4+蛍光体を好適に用いることができる。量子ドットも好適に用いることができる。
【0038】
<LEDの色度>
本実施形態に用いるLED323Bwを青白色LED、LED323Rは赤色LED、LED323Ywは黄白色LEDと呼ぶ。なお、Ywは色度図上では黄色に近い色だが、他のBw・Rを同時に点灯させると緑色に近い色にも見える。図7は、これらのLEDの色度を説明するための色度図(色度座標図)であり、参考のために各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線を点線で示している。
【0039】
青白色LEDであるLED323Bwは、図7のCIE1931色度座標において、(0.336,0.24)、(0.352,0.44)、(0.15,0.2)、(0.2,0.1)で囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.23,0.26)である。
【0040】
赤色LEDであるLED323Rは、図7の色度座標において、(0.66,0.23)、(0.423,0.355)、(0.5,0.5)と色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.60,0.38)である。一般的な赤色の定義とは同じでないので注意されたい。
【0041】
黄白色LEDであるLED323Ywは、図7の色度座標において、(0.5,0.5)、(0.423,0.355)、(0.342,0.312)、(0.352,0.44)、(0.37,0.63)及び色度境界線Eで囲まれる範囲の色度で発光し、一例として(0.44,0.47)である。
【0042】
Ywの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線からduvがプラスの範囲内が好適であり、duvがプラス0.03から0が特に好適である。
【0043】
Bw、Rの色度範囲内のうち、各色温度における黒体輻射の色度を結ぶ線からduvがプラス0.03からマイナス0.03の範囲内が特に好適である。
【0044】
なお、duvの値の1000倍をDuv(最初のdを大文字にする)と呼ぶことがある。
【0045】
なお、CIE1931における色度座標(x,y)でなくCIE1976における色度座標(u‘,v’)で表示することもでき、両者はu’=4x/(-2x+12y+3),v’=9y/(-2x+12y+3)という変換式で相互に変換可能である。その他の色度座標系で表示してもよい。
【0046】
<LEDの配列>
図8(a)は、実施形態1において3色のLEDを用いた場合のLEDの配置を示す、光源ユニットの正面図、つまり図2における光源ユニット320を下から見た場合におけるLED配列を説明する図であって、説明に不要な部分の記載を省略している。
【0047】
第1の列におけるLEDをLED323-1、第2の列におけるLEDをLED323-2とする。これらは基板322に実装されている。基板の上側(図2の設置状態では基板の下側)にレンズ324が設置されている。レンズ324の軸B、軸Bは、先述の通りLED323の位置から少しずれている。レンズ324の上をカバー部材325が覆っている。カバー部材左端面325L、カバー部材右端面325rは、カバー部材325側から基板方向に伸びている。
【0048】
LEDとしては3色のLEDを用い、LED323Bw、LED323R、LED323Ywを接近させてLEDのグループLED323-1(G1)、LED323-2(G1)などとしている。このように色の異なるLEDを接近させることにより、色むらを低減させることができる。ただし、放熱の点では不利になるので、色むらが大きくなければLEDの配置間隔を同じにしてもよい。
【0049】
さらに、端面における色むらを低減するために、第1列の左端ではLED323Bw、第2列の左端ではLED323Ywと異なる種類のLEDを配置し、色を平均化している。また、カバー部材左端面325L近傍に目立つ色であるLED323Rを持ってこないことにより、カバー部材左端面325Lが赤く光ることを防止している。
【0050】
このLEDの配列は、他の実施形態においても共通である。なお、2色のLED、1色のLEDを用いる場合については、別途説明する。
【0051】
図8(a)におけるレンズ324を、図2における正面側から見た図を図8(b)に示す。レンズ324は、奥行方向(図8(b)の左右方向)において断面形状が同じであり、高さHが一定である。
【0052】
図8(c)は、レンズ324のバリエーションであるレンズ324Gを示している。LED側におけるグループLED323-1(G1)の位置GやグループLED323-1(G2)の位置Gに対応した凸部324G1、324G2が設けられ、図8(c)の左右方向においても集光性を持たせている。
【0053】
なお、図8(c)では、レンズ324Gは左右方向において分離していないが、凸部324G1、324G2が分離してもよい。
【0054】
<実施形態2>
実施形態2は、実施形態1におけるレンズ324をレンズ324Bに変え、その他の部材は実施形態1に用いたものを使っている。それに伴い光源ユニット320を光源ユニット320B、照明装置300を照明装置300Bとしたが、その他の部材の名称・符号は実施形態1に用いた部材名称・符号を流用する。実施形態3の基本設計は、L/L=1.1など、実施形態1と同じであるが、実施形態1に対して、レンズの高さHを大きくするとともに、LED・レンズ間の距離dを小さくしたこと、さらにLEDのレンズ側の光入射面324BS1、324BS2を凹面とし、集光される光を増加したことが特徴である。
【0055】
<設置状態>
図9は、照明装置300Bを天井390における埋込穴に設置した場合の、照明装置の側面方向から見た側面図である。埋込穴は、埋込側面394と埋込底面395からなる。照明装置300Bの器具本体310(実施形態1に用いたものと同じ)を埋込底面395に設置し、光源ユニット320Bを取り付ける。これにより、光源ユニット320の側面が、埋込側面394に覆われることになる。
【0056】
<LEDと光線>
レンズ324Bを含む光学系を説明するため、列状に配置される光源の列方向に直交する断面から光源ユニット320を見た場合の断面図を図10に示す。
【0057】
レンズ324Bで集光可能な光線のうち、一例として光軸から左側80度の角度であるLED出射角度θ11方向に向かう光線P、すなわちLEDから光入射面324BS1までの光線P11、レンズ324B中の光線P12、光出射面324BT1からカバー部材325までの光線P13、カバー部材325より外側の光線P14を考える。カバー部材325での拡散を無視すると、LED出射角度θ11が、より集光された外部出射角度θ14になる。
【0058】
光軸から右側のLED出射角度θ21方向に向かう光線P21は、光出射面324BT1を出射する光線P24となり、その外部出射角度θ24は、LED出射角度θ21よりも小さい。つまり光線P21はレンズ324Bにより集光されている。
【0059】
光軸から右側80度の角度であるLED出射角度θ31方向に向かう光線P31を考えると、光出射面324BT2から出射するため、予期せぬ方向に出射する光線となる。図示では、たまたま角度θ34<角度θ31となっているが、LED出射角度がθ21以上θ31以下の光線の外部出射角度は、光出射面324T2において光線が通過する場所によるため、集光する場合も集光しない場合もある。設置状態を示す図9において、カバー部材側面近傍に埋込側面394を設けているのは、カバー部材側面を出射する光線P31を遮るためである。
【0060】
レンズ324Bは、支持突起324BE5、324BE5を備え、それらはカバー部材固定部325E5、325E6と、取付固定部321E5、321E6によって固定される。
【0061】
<照度シミュレーション結果>
実施形態2において光源の全光束を1000lmとした場合の照度シミュレーション結果を図11に示す。縦軸は光源からの距離、横軸は光源直下からの距離である。光源直下1mにおける照度は1480lx、2mで370lx、3mで160lx、4mで92lxとなる。照度1000、200、500、1000lxの位置も示している。1/2照度角は14度となり、集光性が実現できている。ここで図の星印に示した部分は、例えば光線P31のような成分からなる漏れ光に起因しており、不要な眩しさなどの原因となる。この照明器具の使用例として、図9のように光源ユニット320の側面が埋込側面394に覆われるようにしたのは、この漏れ光の対策のためである。
【0062】
漏れ光対策としては、実施形態1と同じような天井直付にしつつ、側面325Y6の拡散性を上げて光を散乱させてもよい。
【0063】
実施形態2において、 /L 依存性は、実施形態1と基本的には変わらないが、利用できる光線の角度範囲が広がったことにより、全体として光量が増加している。
【0064】
<実施形態3>
実施形態3は、実施形態1におけるレンズ324をレンズ324Cに変え、その他の部材は実施形態1に用いたものを使っている。それに伴い光源ユニット320を光源ユニット320C、照明装置300を照明装置300Cとしたが、その他の部材の名称・符号は実施形態1に用いた部材名称・符号を流用しており、実施形態3の基本設計は、L/L=1.1など、実施形態1と同じである。
【0065】
<LEDと光線>
実施形態3においては、LED323-1から角度θ方向に進む光線P51、及びLED323-2から角度θ方向に進む光線P61も、レンズの側方に設けられた部分における全反射を利用して前方に取り出すことができる。
【0066】
レンズ324Bを含む光学系を説明するため、列状に配置される光源の列方向に直交する断面から光源ユニット320を見た場合の断面図を図12に示す。
【0067】
光線P51は、光入射面324CS5からレンズ324に入射して光線P521として進み、レンズ324における凸部の光出射面324CT1の左外側に設けられた全反射面324CR5で全反射されて光線P522として進み、光出射面324CT5から光線P53として出射し、カバー部材325から光線P54として出射する。
【0068】
光線P61は、光入射面324CS6からレンズ324に入射して光線P621として進み、全反射面324CR6で全反射されて光線P622として進み、光出射面324CT6から光線P63として出射し、カバー部材325から光線P64として出射する。
【0069】
レンズ324Cは、支持突起324CE5、324CE5を備え、それらはカバー部材固定部325E5、325E6と、取付固定部321E5、321E6によって固定される。
【0070】
実施形態1で検討した /L 依存性の傾向は、基本的には変わらないが、光線P51、P52が利用できることにより、全体として光量が増加している。
【0071】
<バリエーション>
レンズ324等の取付方法として、レンズ324等が取付部材321に取り付けられるようにしてもよい。例えば図13に示すように、光源ユニット320Nにおいて、取付部材321Nの取付固定部321NE5、321NE6の他にレンズ取付部材321NF5、321NF6を設け、レンズ324Nにこの部分と嵌合するレンズ取付部材324NF5、324NF6を設け、レンズ324Nを取り付けてもよい。
【0072】
LED323として、2色のLED、1色のLEDを用いてもよい。2色のLEDとして、高色温度LED(例えば色温度6500K)であるLED323Wc、低色温度LED(例えば色温度2700K)であるLED323Wwを用いた場合、LEDの配列を示す光源ユニットの正面図は、例えば図14に示すようにしてもよい。また1色のLEDとして白色LED323W(例えば色温度4000K)を用いた場合のLEDの配列は、例えば図15のようにしてもよい。
【0073】
LED323として、R(赤)、G(緑)、B(青)の3色のLEDや、R、G、B、W(白)の4色のLEDを用いてもよい。
【0074】
LEDの列は2列に限られず、2列の間にさらに列を設けてもよい。その場合、Lは最も離れた列の間隔、Lは最も離れた列に対応するレンズの軸の間隔とする。LEDの列の数は、2列以上4列以下、好ましくは3列以下が適当である。
【0075】
レンズ324等は2つの凸レンズが合体したものとして説明したが、独立した2つ(あるいはLED列数)のレンズであってもよい。
【0076】
レンズ324等の断面形状は図13の奥行方向において同じ断面であってもよいが、例えば図14におけるLED323-1(G1)などの2個のグループに対応した凸部を有してもよく、また図15におけるLED323-1の1個ごとに対応した凸部を有してもよい。
【0077】
なお、今回開示した上記実施形態はすべての点で例示であって、限定的な解釈の根拠となるものではない。したがって、本発明の技術的範囲は、上記した実施形態のみによって解釈されるものではなく、特許請求の範囲の記載に基づいて画定される。また、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【符号の説明】
【0078】
300、300B、300C 照明装置
310 器具本体
312 コネクタ
320、320B、320C、320N 光源ユニット
321、321N 取付部材
321E5、321E6 取付固定部
321NE5、321NE6 取付固定部
321NF5、321NF6、324NF5、324NF6 レンズ取付部材
322 基板
324、324B、324C、324G、324N レンズ
324BE5、324BE5、324CE5、324CE5 支持突起
324BS1、324BS1、324BS2、324CS5、324CS6、324S 光入射面
324BT1、324BT2、324CT1、324CT5、324CT6、324T1、324T2 光出射面
324CR5、324CR6 全反射面
324G1、324G2 凸部
325 カバー部材
325E5、325E6 カバー部材固定部
325L カバー部材左端面
325M カバー部材前面部
325Y5、325Y6 カバー部材側面
325r カバー部材右端面
326 電源
327 ワイヤレスモジュール
328 取付バネ
329 コネクタ
370 制御装置
371 照明制御ソフトウエア
390 天井
394 埋込側面
395 埋込底面

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15