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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】放熱構造および電子機器
(51)【国際特許分類】
   H01L 23/40 20060101AFI20240912BHJP
   H05K 7/20 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H01L23/40 E
H05K7/20 B
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022151793
(22)【出願日】2022-09-22
(65)【公開番号】P2024046416
(43)【公開日】2024-04-03
【審査請求日】2023-08-15
(73)【特許権者】
【識別番号】311012169
【氏名又は名称】NECパーソナルコンピュータ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】緑川 雄斗
(72)【発明者】
【氏名】皆川 和之
【審査官】清水 稔
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第115083447(CN,A)
【文献】中国実用新案第206353283(CN,U)
【文献】特開2005-135903(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2018/0295710(US,A1)
【文献】米国特許第10645794(US,B1)
【文献】米国特許出願公開第2019/0174618(US,A1)
【文献】登録実用新案第3224659(JP,U)
【文献】特開2018-018853(JP,A)
【文献】特開平11-119861(JP,A)
【文献】特開2021-118053(JP,A)
【文献】特開平07-254054(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 23/40
H05K 7/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に実装されたコネクタに一端が接続されるとともに他端が前記基板に対して固定される電子モジュールの放熱構造であって、
前記電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有し、
前記放熱板は、前記コネクタにおける前記電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有し、
前記基板、前記コネクタ、前記電子モジュール、および前記放熱板は電子機器の筐体内に収納されており、
前記筐体は前記放熱板を覆うカバーを有し、
前記カバーの内面には前記放熱板に向かって突出する突起が設けられてい
ことを特徴とする放熱構造。
【請求項2】
基板に実装されたコネクタに一端が接続されるとともに他端が前記基板に対して固定される電子モジュールの放熱構造であって、
前記電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有し、
前記放熱板は、前記コネクタにおける前記電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有し、
前記基板、前記コネクタ、前記電子モジュール、および前記放熱板は電子機器の筐体内に収納されており、
前記筐体は前記放熱板を覆うカバーを有し、
前記放熱板は前記コネクタの実装面と反対側の表面に接するコネクタ当接部を有し、
前記カバーの内面には前記コネクタ当接部に向かって突出する突起が設けられてい
ことを特徴とする放熱構造。
【請求項3】
請求項2に記載の放熱構造において、
前記コネクタ当接部と前記突起との間には微少な隙間が設けられている
ことを特徴とする放熱構造。
【請求項4】
請求項1または2に記載の放熱構造において、
前記放熱板は、ネジによって前記電子モジュールの他端と共締めされている
ことを特徴とする放熱構造。
【請求項5】
請求項1または2に記載の放熱構造において、
前記電子モジュールは、記憶装置である
ことを特徴とする放熱構造。
【請求項6】
筐体の内部に基板、前記基板に実装されたコネクタ、および一端が前記コネクタに接続されるとともに他端が前記基板に対して固定される電子モジュールを有する電子機器であって、
前記電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有し、
前記放熱板は、前記コネクタにおける前記電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有し、
前記筐体は前記放熱板を覆うカバーを有し、
前記カバーの内面には前記放熱板に向かって突出する突起が設けられてい
ことを特徴とする電子機器。
【請求項7】
筐体の内部に基板、前記基板に実装されたコネクタ、および一端が前記コネクタに接続されるとともに他端が前記基板に対して固定される電子モジュールを有する電子機器であって、
前記電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有し、
前記放熱板は、前記コネクタにおける前記電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有し、
前記筐体は前記放熱板を覆うカバーを有し、
前記放熱板は前記コネクタの実装面と反対側の表面に接するコネクタ当接部を有し、
前記カバーの内面には前記コネクタ当接部に向かって突出する突起が設けられてい
ことを特徴とする電子機器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子モジュールの放熱構造、および該電子モジュールを備える電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
ノート型PCのような電子機器は、CPUを実装した基板(マザーボード)のコネクタに対してSSD等の電子モジュールを接続して用いている。電子モジュールは、例えば基板に実装されたコネクタに一端が接続されるとともに他端が該基板に対してネジで固定される(引用文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2020-057737号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電子モジュールは発熱をすることから安定した動作を確保するためには放熱板を設けることが望ましいが、そのためには基板上に放熱板の固定部を確保する必要がある。
【0005】
ノート型PCのような電子機器は、小型化と高性能化の両立が要求される。性能の高いCPUは、大型である場合が多い。ところが、筐体の小型化の観点からは、基板の大きさを拡大することは難しい。その結果、基板上では、CPUの占有スペースが相対的に増大し、放熱板のための固定部スペースの確保が難しくなる懸念がある。
【0006】
本発明は、上記の課題に鑑みてなされたものであって、基板上で電子モジュールの放熱板を固定するための固定スペースを抑制することのできる放熱構造および電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本発明の第1態様に係る放熱構造は、基板に実装されたコネクタに一端が接続されるとともに他端が前記基板に対して固定される電子モジュールの放熱構造であって、前記電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有し、前記放熱板は、前記コネクタにおける前記電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有する。
【0008】
本発明の第2態様に係る電子機器は、筐体の内部に基板、前記基板に実装されたコネクタ、および一端が前記コネクタに接続されるとともに他端が前記基板に対して固定される電子モジュールを有する電子機器であって、前記電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有し、前記放熱板は、前記コネクタにおける前記電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有する。
【発明の効果】
【0009】
本発明では、電子モジュールに対して熱接続される放熱板を有しており、該放熱板は、コネクタにおける電子モジュールが接続されるスロットの面に対して直交する両側面を弾性的に挟持して固定する一対の爪を有している。したがって、放熱板は、少なくとも一端がネジを用いず簡便に、かつ前後方向に関してバランスよく固定することができる。また、この一端部ではネジが不要であるため、ネジを固定する固定片を突出して設ける必要がなく、基板上で放熱板を固定するための固定スペースを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る電子機器を上から見下ろした図である。
図2図2は、筐体の内部構造を模式的に示す底面図である。
図3図3は、電子機器における放熱構造の部分の分解斜視図である。
図4図4は、電子機器における放熱構造の部分の平面図である。
図5図5は、放熱板の斜視図である。
図6図6は、右側から見た放熱板の側面図である。
図7図7は、図2におけるVII~VII線視による模式断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に、本発明にかかる放熱構造および電子機器の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。
【0012】
図1は、一実施形態に係る電子機器10を上から見下ろした図である。図1に示すように、電子機器10は、筐体12と、ディスプレイ筐体14と、ヒンジ16とを備える。本実施形態に係る電子機器10は、筐体12とディスプレイ筐体14との間がヒンジ16によって相対的に回動可能に連結されたクラムシェル型のノート型PCである。本発明は、ノート型PC以外、例えばデスクトップ型PC、タブレット型PC、携帯電話、スマートフォン、携帯用ゲーム機、電子手帳等の各種情報機器に適用できる。
【0013】
以下、筐体12及びこれに搭載される各要素について、図1に示す電子機器10を使用するユーザから見た方向を基準とし、手前側を前、奥側を後、幅方向を左右、厚み方向を上下、と呼んで説明する。
【0014】
先ず、電子機器10の全体構成を説明する。
図1に示すように、筐体12は、扁平な箱型の筐体である。筐体12は、上カバー材12Aと、下カバー材12Bとで構成されている。上カバー材12Aは、筐体12の上面及び四周側面を形成する。下カバー材(カバー)12Bは、上カバー材12Aの下面側開口を塞ぐ蓋板であり、筐体12の下面を形成する。筐体12の上面には、キーボード18及びタッチパッド19が設けられている。
【0015】
ディスプレイ筐体14は、筐体12よりも薄い扁平な箱型の筐体である。ディスプレイ筐体14の前面には、ディスプレイ20が設けられている。ディスプレイ20は、例えば液晶ディスプレイである。
【0016】
ヒンジ16は、筐体12の後縁部とディスプレイ筐体14の下縁部との間を連結している。ヒンジ16は、例えば左右一対設けられている。
【0017】
次に、筐体12の内部構造の具体的な構成例を説明する。図2は、筐体12の内部構造を模式的に示す底面図である。図2に示すように、筐体12の内部には、基板26、バッテリ装置23、及びアンテナエレメント24等の各種電子部品や機械部品が収容されている。
【0018】
バッテリ装置23は、電子機器10の電源となる二次電池である。バッテリ装置23は、基板26と接続され、基板26に電力を供給する。アンテナエレメント24は、図示しない通信モジュール(電子モジュール)と接続され、無線の送受信を行う。図2中の参照符号25は、筐体12の後端面に形成された切欠形状部であり、ヒンジ16が配置される。
【0019】
基板26は、電子機器10のマザーボードである。基板26は、例えば筐体12内で後側略半分の領域を占める大きさである。基板26は、CPU32、コネクタ33、及び電源コネクタ35等の各種電子部品が実装されている。また、基板26にはボス34が設けられている。基板26は、その第1面(実装面)26aにCPU32及びコネクタ33等が実装される。基板26は、第1面26aの裏面(第2面26b)が上カバー材12Aの下面及びキーボード18の下面に対してネジ止めされ、これにより筐体12に固定される。基板26には、取付孔26cが各所に形成されている。
【0020】
CPU(Central Processing Unit)32は、電子機器10の主たる処理装置である。CPU32は、ダイ32aと、パッケージ基板32bとを有する。CPU32は、基板26の第1面26aで大きなスペースを占有している。
【0021】
コネクタ33には記憶装置(電子モジュール)36が接続される。電源コネクタ35は、バッテリ装置23が接続される。
【0022】
次に、本実施の形態にかかる放熱構造40について説明する。放熱構造40は、放熱板42により記憶装置36の放熱を行うものである。図3は、電子機器10における放熱構造40の部分の分解斜視図である。図4は、電子機器10における放熱構造40の部分の平面図である。
【0023】
図3図4に示すように、コネクタ33は、基板26の第1面26aに実装されている。コネクタ33は、本実施形態における実装の向きを基準として左右方向より前後方向が長い平形である。もちろん、コネクタ33の実装の向きはこれに限られない。
【0024】
コネクタ33は、右側にスロット33aが形成されている。コネクタ33はやや低いが、前後両端の側面33bは後述する爪46が把持可能な程度の高さおよび左右幅を有している。側面33bは記憶装置36が接続されるスロット33aの面に対して直交する面である。コネクタ33の実装面と反対側の表面33cは、後述するコネクタ当接部42bが安定して面接触可能な程度の面積を有している。コネクタ33はカードエッジ型ソケットの一種であり、例えばM.2(エムドットツー)規格に対応している。
【0025】
ボス34は、寸法が規格化された記憶装置36を固定するのに対応しており、コネクタ33の右側のやや離れた位置にある。ボス34は基部34aと、突出部34bとからなる段付き円筒型である。突出部34bの中空部は雌ネジが形成されている。
【0026】
記憶装置36は、左右方向にやや長い略矩形のカード型の電子モジュールであり、一端(この場合左端)にはコネクタ33のスロット33aに挿入・接続される接続端子36aが設けられており、他端(この場合右端)にはボス34の突出部34bが嵌り込む半円形の切欠36bが設けられている。記憶装置36には記憶素子を含む複数のチップ36cが実装されている。チップ36cは基本的に基板26とは反対側を臨む面36dに表面実装されているが、両面実装であってもよい。ただし比較的発熱量の大きいチップ36cは面26dに実装されているものとする。記憶装置36は、例えばSSD(Solid State Drive)である。
【0027】
記憶装置36は、やや斜めにしながら接続端子36aをスロット33aに挿入し、その後基板26と水平にして、切欠36bの周辺部をボス34の基部34aに載置し、後述するようにネジ44によって放熱板42の左端部と共締めして固定される。
【0028】
図5は、放熱板42の斜視図である。図6は、右側から見た放熱板42の側面図である。識別が容易となるように図6では放熱板42の左端部の要素を省略している。
【0029】
放熱板42は記憶装置36のほぼ全面を覆う主板42aがベースとなっている。主板42aは記憶装置36に対応して左右方向にやや長い略矩形となっている。主板42aの一端にはコネクタ当接部42bが設けられ、他端にはネジ固定部42cが設けられ、上下方向の両側には屈曲部42dが設けられている。放熱板42は、銅板やステンレス板などの伝熱性の高い金属板に対して曲げやプレスなどの板金加工をして得られる。
【0030】
ネジ固定部42cは、ネジ44(図3参照)により放熱板42の右端を基板26のボス34に固定する部分であり、円形のネジ座42caおよび該ネジ座42caの両端と主板42aとをつなぐアーム部42cbとを有する。ネジ固定部42cと主板42aとの間には隙間42eが形成されている。一対のアーム部42cbは、隙間42eを形成するように主板42aに対して左端のやや離れた2か所につながっている。一対のアーム部42cbはやや傾斜しており、ネジ座42caは主板42aよりやや基板26に近い位置にあり、ボス34の突出部34bに当接するようになっている。ネジ座42caの端には小さい屈曲片42ccが設けられている。主板42aにおける右端の上下には小さい屈曲片42fが設けられている。屈曲片42cc,42fは基板26の方向に突出している。
【0031】
屈曲部42dは基板26の方向に突出し、主板42aの長手方向ほぼ全長に亘って延在しており該主板42aを補強している。屈曲部42dにおけるやや左寄りの箇所には基板26の第1面26aに当接する凸部42daが設けられている。2つの屈曲部42dの内一方(この実施例では後側)には途中に切欠42dbが形成されている。
【0032】
図7は、図2におけるVII~VII線視による模式断面図である。
図5図7に示すように、コネクタ当接部42bは主板42aに対して段差部42gを介してつながっている。コネクタ当接部42bは、コネクタ33の表面33cに当接する部分であり、左右幅が表面33cとほぼ同じであり、上下幅が表面33cよりわずかに長い。
【0033】
コネクタ当接部42bの上下両端からは爪46が基板26の方向に突出している。一対の爪46は互いに接近するようにやや内向きの傾斜となっており、互いに最も接近する最接近部46aより先の先端部46bはやや外向きに反っている。先端部46bは短い。爪46は左右幅がコネクタ33とほぼ同じである。一対の爪46の最接近部46a同士の間隔は、組み立て前の自然状態でコネクタ33の前後幅よりやや短くなっている。
【0034】
主板42aの裏側で記憶装置36と対面する面にはサーマルパッド48が貼られている。サーマルパッド48は、TIM(Thermal Interface Material)の一種であってチップ36cの熱を効率的に主板42aに伝熱させることができる。サーマルパッド48は、記憶装置36のチップ36cに対して適度に圧縮されて当接される厚みを有している。サーマルパッド48は、複数のチップ36cのうち1つ以上の発熱の大きいものに対して当接可能な十分な面積を有している。サーマルパッド48は、例えばシリコーン材で構成されており弾性を有する。
【0035】
放熱板42の右端は、ネジ44がネジ座42caを通ってボス34に螺合することによって記憶装置36の右端と共締めされている(図3参照)。放熱板42の左端は、一対の爪46における最接近部46aがコネクタ33の両端の略中間高さ位置で弾性的に挟持して固定する。このように放熱板42が固定されると、主板42aはサーマルパッド48を介して記憶装置36のチップ36cと熱接続される。
【0036】
図3図7に示すように、下カバー材12Bは放熱板42を覆っており、下カバー材12Bの上面(内面)12Baにはコネクタ当接部42bに向かって突出する2つの突起50が設けられている。コネクタ当接部42bと突起50との間には微少な隙間52が設けられている。2つの突起50は、前後方向に適度に離間しており、且つコネクタ33の前後端部からも適度に離間した位置にバランスよく配置されている。突起50は3つ以上でもよいし、前後方向にやや長くして1つ設けてもよい。
【0037】
このように構成される放熱構造40および電子機器10では、記憶装置36に対して熱接続される放熱板42を有しており、該放熱板42は、コネクタ33の表面33cに接するコネクタ当接部42bと、該コネクタ当接部42bの両端から突出してコネクタ33の両端の側面33bを弾性的に挟持して固定する一対の爪46とを有している。したがって、放熱板42は、少なくとも左端部分がネジを用いず簡便に、かつ前後方向に関してバランスよく固定することができる。また左端部でネジが不要であるため、図4図5の仮想線で示すようなネジ固定片60を左端近傍で前後方向に突出して設ける必要がなく、基板26上で放熱板42を固定するための固定スペースを抑制することができる。このため、基板26のスペースに余裕が生じ、該基板26の小型化やCPU32など他の実装部品の大型化が可能になる。
【0038】
また、放熱板42の右端は、ネジ44によって記憶装置36と共締めされていることから、右端で放熱板42を固定するための専用ネジが不要であり、図4の仮想線で示すようなネジ固定片62を右端近傍で前後方向に突出して設ける必要がなく、基板26のスペースにさらに余裕が生じる。つまり、放熱構造40では、放熱板42を固定するための専用ネジが不要であって、部品点数を削減することができる。
【0039】
さらに、仮に放熱板42をネジ固定片60,62のように対角状に配置すると2点の固定となるが、本実施の形態にかかる放熱構造40では、左の2つの爪46と、右のネジ44とによるバランスした3点の固定で一層安定し、しかもサーマルパッド48を介して記憶装置36に対して一層確実に熱接続される。
【0040】
下カバー材12Bの上面12Baにはコネクタ当接部42bに向かって突出する2つの突起50が設けられていることから、コネクタ当接部42bが抜けることが防止される。コネクタ当接部42bと突起50との間には微少な隙間が設けられていることから、通常時にはコネクタ当接部42bに無理な力が加わることがない。突起50は放熱板42の端部であるコネクタ当接部42bに向かって突出していることにより、放熱板42の抜けが効果的に防止されるが、放熱板42におけるコネクタ当接部42b以外の主板42aのいずれかの箇所に向けて突出していても抜け防止作用がある。この場合も突起50と主板42aとの間には微少な隙間を設けておくとよい。
【0041】
放熱板42はネジ44を外して持ち上げることにより単体で取り外すことができる。このとき、記憶装置36の接続端子36aはコネクタ33のスロット33aに挿入されたままの状態であることから挿入状態を確認することができる。放熱板42はボス34およびコネクタ33に対して固定されていることから記憶装置36に対して機械的負荷をかけることがない。
【0042】
放熱構造40における放熱板42は記憶装置36に対して適用されているが、例えばアンテナエレメント24に対応した通信モジュールなどに適用してもよい。放熱板42の主板42aの部分は板状に限らず、例えば多数の冷却フィンが突出している形式であってもよいが、本実施例のように一枚板から構成される形式にすると廉価である。
【0043】
本発明は、上記した実施形態に限定されるものではなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲で自由に変更できることは勿論である。
【符号の説明】
【0044】
10 電子機器
12 筐体
12B 下カバー材(カバー)
26 基板
33 コネクタ
33a スロット
33b 側面
33c 表面
34 ボス
34a 基部
34b 突出部
36 記憶装置(電子モジュール)
36a 接続端子
36c チップ
40 放熱構造
42 放熱板
42a 主板
42b コネクタ当接部
42c ネジ固定部
42ca ネジ座
44 ネジ
46 爪
48 サーマルパッド
50 突起
52 隙間
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7