(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】モータサイクル前照灯用一次光源
(51)【国際特許分類】
F21S 43/31 20180101AFI20240912BHJP
F21S 43/40 20180101ALI20240912BHJP
F21W 102/10 20180101ALN20240912BHJP
【FI】
F21S43/31
F21S43/40
F21W102:10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2022194105
(22)【出願日】2022-12-05
【審査請求日】2023-03-30
(32)【優先日】2021-12-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】マテヘ マルティスカ
(72)【発明者】
【氏名】アントン ココスカ
(72)【発明者】
【氏名】ヤロスラヴ キセリカ
【審査官】土谷 秀人
(56)【参考文献】
【文献】特表2018-533189(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2018-0132149(KR,A)
【文献】特表2015-526868(JP,A)
【文献】独国特許出願公開第102018209061(DE,A1)
【文献】特開2019-149369(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/00
F21S 41/00
F21S 8/00
F21V 8/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータサイクル前照灯用一次光学系であって、
前記一次光学系(100)は当該一次光学系(100)の前方にセグメント化光分布(LD1)を放射するよう構成された非結像型一次光学系であり、
前記一次光学系(100)は
・本体(110)、及び、
・主方向(X)において
複数の光
源(50)の光から予め決定されるセグメント化光分布(LD1)を形成するための、前記本体(110)から突出する複数の光案内要素(200)
を含み、
各光案内要素(200)は、光入力面(210)と、前記
複数の光案内要
素(200)によって受け取られた光を放射するための共通の光出力面(220)を有し、但し、前記
複数の光源(50)
の少なくとも1つの光は前記光入力面(210)を通って前記光案内要素(200)内へ結合されることができ、
各光案内要素(200)は、セグメント化光分布(LD1)の夫々の光セグメント(LS1、LS2、LS3)の生成に寄与するよう構成されており、
前記
複数の光案内要
素(200)は複数のグループ(GP1、GP2、GP3)の形で配置されており、各グループ(GP1、GP2、GP3)は前記主方向(X)に対し直角をなす直線的配列ライン(AL1、AL2、AL3)に沿って並んで配置された少なくとも2つの光案内要素(200)を含み、
1つのグループ(GP1)の
複数の光案内要
素(200)によって生成される
複数の光セグメン
ト(LS1、LS2、LS3)は当該グループ(GP1)の直線的配列ライン(AL1)に対応しかつ当該直線的配列ライン(AL1)に平行な直線的放射ライン(IL)に沿って並んで配置されるよう放射され、
前記共通の光出力面(220)は、前記直線的放射ライン(IL)に沿って放射された
複数の光セグメント(LS1、LS2、LS3)の光分布(LD1)を均一化するよう構成された均一化構造体(300)を含み、
前記均一化構造体(300)は複数の溝(310)を含んで形成されており、各溝(310)は各グループ(GP1、GP2、GP3)の
複数の光案内要
素(200)の直線的配列ライン(AL1、AL2、AL3)を横切る延伸ライン(EL)に沿って延伸し、前記
複数の溝(310)
の各々は、前記延伸ライン(EL)に沿って、前記延伸ライン(EL)に対し直角をなす横断面において一定の半径(R)を有し、及び、
前記
複数の溝(310)は、当該
複数の溝(310)の前記延伸ライン(EL)が互いに対し平行をなすように、互いに対して配置されていること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項2】
請求項1に記載の一次光学系において、
前記延伸ライン(EL)は直線状の軸線であること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項3】
請求項1に記載の一次光学系において、
前記延伸ライン(EL)は、少なくとも部分的に、前記主方向(X)の方向において湾曲を有すること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項4】
請求項
1に記載の一次光学系において、
各溝(310)は同じ半径(R)を有すること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項5】
請求項
1に記載の一次光学系において、
前記半径(R)は、0.1mm~0.5mm、
又は0.175mm~0.5mm、
又は0.35mmであること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項6】
請求項
1に記載の一次光学系において、
各溝(310)は、前記延伸ライン(EL)に沿って、前記延伸ライン(EL)に対し直角をなす横断面において半円に従うよう構成されていること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項7】
請求項
1に記載の一次光学系において、
前記一次光学系(100)はシリコン製であること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項8】
請求項
1に記載の一次光学系において、
前記一次光学系(100)は透明ポリカーボネート材料製であること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項9】
請求項
1に記載の一次光学系において、
前記一次光学系(100)は、成
形によって、一体的部品として形成されていること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項10】
請求項1に記載の一次光学系において、
各延伸ライン(EL)は延伸面(EP)内に位置し、前記均一化構造体(300)の
複数の溝(310)は、各溝(310)の延伸面(EP)が互いに対し平行をなすように、配置されていること
を特徴とする、一次光学系。
【請求項11】
請求項
1に記載の一次光学系(100)、複数の光源(50)、但し少なくとも1つの光源(50)は光案内要素(200)の夫々の光入力面(210)に関連付けられている、及び、一次光学系(100)の共通の光出力面(220)から放出された光を受け取るよう及び照明装置(10)の前方にセグメント化光分布(LD1)を投影するよう構成された投影レンズ系(400)を含む、照明装置。
【請求項12】
請求項11に記載の照明装置を少なくとも1つ又は請求項1~10の何れかに記載の一次光学系(100)を少なくとも1つ含む、モータサイクル前照灯。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は2021年12月17日に出願された欧州特許出願第21215517.0号についてのパリ条約上の優先権の利益を主張するものであり、当該出願の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【0002】
本発明は、モータサイクル前照灯用一次光学系であって、
前記一次光学系は当該一次光学系の前方に(光放射方向下流側に)セグメント化光分布を放射するよう構成された非結像型一次光学系であり、
前記一次光学系は
・本体、及び、
・主方向において光源(複数)の光から予め決定されるセグメント化光分布を形成するための、前記本体から突出する複数の光案内要素
を含み、
各光案内要素は、光入力面と、前記光案内要素(複数)によって受け取られた(受光された)光を放射するための共通の光出力面を有し、但し、前記光源の光は前記光入力面を通って前記光案内要素内へ結合されることができ、
各光案内要素は、セグメント化光分布の夫々の光セグメントの生成に寄与するよう構成されており、
前記光案内要素(複数)は複数のグループの形で配置されており、各グループは前記主方向に対し直角をなす直線的配列ラインに沿って並んで配置された少なくとも2つの光案内要素を含み、
1つのグループの光案内要素(複数)によって生成される光セグメント(複数)は当該グループの直線的配列ラインに対応しかつ当該直線的配列ラインに平行な直線的放射ラインに沿って並んで配置されるよう放射される、一次光学系に関する。
【0003】
本発明は、更に、本発明に応じた一次光学系、複数の光源、但し少なくとも1つの光源は光案内要素の夫々の光入力面に関連付けられている、及び、一次光学系の共通の光出力面から放出された光を受け取るよう及び照明装置の前方にセグメント化された光分布(セグメント化光分布)を投影するよう構成された投影レンズ系を含む照明装置に関する。
【0004】
本発明は、更に、本発明に応じた少なくとも1つの照明装置又は本発明に応じた少なくとも1つの一次光学系を含むモータサイクル前照灯に関する。
【背景技術】
【0005】
セグメント化されたライトパターンの放射を可能にする照明装置の一次光学系は従来技術から既知である。例えば、文献AT 513341 A1はセグメント化ライトパターンの放射のための照明装置を記載している。この照明装置は自動車(cars)での使用のために設計されている。モータサイクル(motorcycles)とは異なり、自動車用の車両前照灯は、通常は、サイズの要求によって制約を受けることは少なく、かつ、自動車の横方向の傾きに対して適応する必要はない。通常は、自動車の横方向傾斜は僅かである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
空間的に制限されているため、モータサイクル用前照灯は、ライトパターンをセグメント化する場合、しばしば、(とりわけ縦列(columns)において)より少ない数のセグメントを有する。その結果、各セグメントはより広い空間角(立体角)をカバーする。所与のセグメントについてより広い空間角を有することにより、ライトパターンにおける光強度の可視的(眼に見える)差異(変化)に関する問題が生じる。詳しくは、セグメント(複数)が互いに隣り合う領域(複数)により暗い縦ギャップ(縦縞)が視認可能になる。
【0008】
したがって、本発明の課題は、増大された均一性を有する光分布を提供するモータサイクル前照灯用の一次光学系を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の第1の視点により、モータサイクル前照灯用一次光学系が提供される。
前記一次光学系は当該一次光学系の前方に(光放射方向下流側に)セグメント化光分布を放射するよう構成された非結像型一次光学系であり、
前記一次光学系は
・本体、及び、
・主方向において光源(複数)の光から予め決定されるセグメント化光分布を形成するための、前記本体から突出する複数の光案内要素
を含み、
各光案内要素は、光入力面と、前記光案内要素(複数)によって受け取られた光を放射するための共通の光出力面を有し、但し、前記光源の光は前記光入力面を通って前記光案内要素内へ結合されることができ、
各光案内要素は、セグメント化光分布の夫々の光セグメントの生成に寄与するよう構成されており、
前記光案内要素(複数)は複数のグループの形で配置されており、各グループ前記主方向に対し直角をなす直線的配列ラインに沿って並んで配置された少なくとも2つの光案内要素を含み、
1つのグループの光案内要素(複数)によって生成される光セグメント(複数)は当該グループの直線的配列ラインに対応しかつ当該直線的配列ラインに平行な直線的放射ラインに沿って並んで配置されるよう放射され、
前記共通の光出力面は、前記直線的放射ラインに沿って放射された光セグメントの光分布を均一化するよう構成された均一化構造体を含み、
前記均一化構造体は複数の溝を含んで形成されており、各溝は各グループの光案内要素(複数)の直線的配列ラインを横切る延伸ラインに沿って延伸し、前記溝は、前記延伸ラインに沿って、前記延伸ラインに対し直角をなす横断面において一定の半径を有し、及び、
前記溝(複数)は、当該溝(複数)の前記延伸ラインが互いに対し平行をなすように、互いに対して配置されている(形態1)。
本発明の第2の視点により、本発明の一次光学系、複数の光源、但し少なくとも1つの光源光案内要素の夫々の光入力面に関連付けられている、及び、一次光学系の共通の光出力面から放出された光を受け取るよう及び照明装置の前方にセグメント化光分布を投影するよう構成された投影レンズ系を含む、照明装置が提供される(形態11)。
本発明の第3の視点により、本発明の照明装置を少なくとも1つ又は本発明の一次光学系を少なくとも1つ含む、モータサイクル前照灯が提供される(形態12)。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(形態1)上記本発明の第1の視点参照。
(形態2)形態1の一次光学系において、
前記延伸ラインは直線状の軸線であることが好ましい。
(形態3)形態1の一次光学系において、
前記延伸ラインは、少なくとも部分的に、前記主方向の方向において湾曲を有することが好ましい。
(形態4)形態1の一次光学系において、
各溝は同じ半径を有することが好ましい。
(形態5)形態1の一次光学系において、
前記半径は、0.1mm~0.5mm、又は0.175mm~0.5mm、又は0.35mmであることが好ましい。
(形態6)形態1の一次光学系において、
各溝は、前記延伸ラインに沿って、前記延伸ラインに対し直角をなす横断面において半円に従うよう構成されていることが好ましい。
(形態7)形態1の一次光学系において、
前記一次光学系はシリコン製であることが好ましい。
(形態8)形態1の一次光学系において、
前記一次光学系は透明ポリカーボネート材料製であることが好ましい。
(形態9)形態1の一次光学系において、
前記一次光学系は、成形によって、一体的部品として形成されていることが好ましい。
(形態10)形態1の一次光学系において、
各延伸ラインは延伸面内に位置し、前記均一化構造体の溝(複数)は、各溝の延伸面が互いに対し平行をなすように、配置されていることが好ましい。
(形態11)上記本発明の第2の視点参照。
(形態12)上記本発明の第3の視点参照。
【0011】
本発明の目的を達成するために、共通の光出力面は、直線的放射ラインに沿って放射された光セグメント(複数)の光分布を均一化(一様化)するよう構成された均一化(一様化)構造体を含み、均一化構造体は複数の溝を含んで形成されており、各溝は各グループの光案内要素(複数)の直線的配列ラインを横切る延伸ラインに沿って延伸し、溝は、延伸ラインに沿って、延伸ラインに対し直角をなす横断面において一定の半径を有し、及び、溝(複数)は、当該溝(複数)の延伸ラインが互いに対し平行をなすように、互いに対して配置されている。
【0012】
モータサイクル(motorcycle)は、典型的には、2輪式単軌道型(single-track)自動車両であるが、一般的には、コーナリング時にその縦軸に沿って傾斜/バンクするよう設計された2輪式又は3輪式自動車両のことをいう。可能なバンク角は45°が通常である。
【0013】
一次光学系の各光案内要素は一次光学系又は一次光学系を有する照明装置によって放射可能な光分布パターンの特定の一セグメントに割り当てられ、隣り合う光案内要素は光分布中の隣り合うセグメントに割り当てられる。
【0014】
好ましくは、一次光学系の光案内要素(複数)の各横列(行)ないし各グループ(一次光学系はこれらの横列(複数)又は横列(複数)のグループ(複数)に割り当てられた光源(複数)を含む)は互いに対し独立に活性化(作動ないし始動)又は不活性化(作動停止)可能であり、一次光学系又は一次光学系を有する照明装置はモータサイクルの測定されたバンク角に基づいて制御されるよう構成されており、横列(複数)は夫々他の横列に対し傾けられており(所定の角度をなすよう配置されており)、横列(複数)又はグループ(複数)の活性化及び不活性化は、とりわけ付加的(追加の)光放射をロービーム(光)分布の領域へ付加(追加)するために、モータサイクルの測定されたバンク角に基づいて実行される。これは、コーナリング時の照明装置の挙動を最適化しつつ照明装置の最大の解像度を可能にし、かくして、最適な道路照明を維持しつつグレア(眩惑)回避することができる。モータサイクルの傾きによって、直立位置(姿勢)においてハイビーム光分布に振り向けられている光セグメント(複数)の幾つかは、より低い位置へ傾くことにより、ロービーム領域を照射することになるであろうし、傾きの方向及び程度に依存して-変化する水平線に至るまで適応されたカットオフ(cur-off)を提供するであろう。従って、ロービームモジュールは、照明装置のセグメント(複数)、とりわけ横列(複数)の選択的活性化により、ハイビームモジュールによってサポートされることができる。横列の数をより多くすることにより、コーナリング時に下向きに傾斜した(dipped)前照灯のライトパターンの適応性が改善される。
【0015】
好ましくは、一次光学系又は一次光学系を有する照明装置は、ハイビーム光分布の放射を可能にするよう構成される。モータサイクルが、典型的には直立位置(姿勢)で、直進運転するとき、ハイビーム光分布が放射されることができる。モータサイクルがカーブに入って傾くと、例えば(ピザのスライス(放射状・略同心円状分割片)(複数)のような)光案内要素(複数)の1つ/2つ/3つの横列又はグループの一方のサイドのみがバンク角に依存して活性化されることができる。この場合に、本発明に応じた「均一化構造体」がとりわけ有用である:即ち、セグメント化ハイビーム光分布のシャープな境界(複数)とは対照的に、この場合、個別の光案内要素(複数)の光セグメント(複数)は半径方向(radial direction)に沿って中心から周囲へスムーズに重なり合うであろう。コーナリング時には、均一な(一様な)ロービーム(光)分布が生成され、カットオフラインは異なるバンク角(複数)における水平線に整列される。
【0016】
有利には、延伸ライン(複数)は直線状の(linear)軸線(複数)である。
【0017】
有利には、延伸ライン(複数)は、少なくとも部分的に、主方向の方向において湾曲を有する。好ましくは、湾曲は、投影レンズ系のペッツバール(Petzval)面に従う(よう構成される)。
【0018】
有利には、各溝は同じ半径を有する。
【0019】
有利には、(溝の)半径は、0.1mm~0.5mm、好ましくは0.175mm~0.5mm、好ましくは0.35mmである。
【0020】
有利には、各溝は、延伸ラインに沿って、延伸ラインに対し直角をなす横断面において半円に従う(よう構成される)。
【0021】
有利には、一次光学系はシリコン製である。
【0022】
有利には、一次光学系は透明なポリカーボネート材料製である。
【0023】
有利には、一次光学系は、成形、とりわけ射出成形によって、一体的(単一)部品として形成される。
【0024】
本発明の目的は、本発明に応じた一次光学系、複数の光源、但し少なくとも1つの光源は光案内要素の夫々の(対応する)光入力面に関連付けられている、及び、一次光学系の共通の光出力面から放出された光を受け取る(受光する)よう及び照明装置の前方に(光放射方向下流側に)セグメント化光分布を投影するよう構成された投影レンズ系を含む、照明装置によって達成される。
【0025】
有利には、投影レンズ系は、少なくとも1つの投影レンズ、好ましくは丁度1つの投影レンズを含む。
【0026】
好ましくは、投影レンズ系は(1つの)光軸と(1つの)ペッツバール(Petzval)領域を有し、一次光学系と投影レンズ系は、一次光学系の共通の光出力面が投影レンズ系のペッツバール領域に位置付けられるように、互いに対し配置される。好ましくは、投影レンズ系は、色収差を減少するために、アクロマート(achromatic)ダブレットを含む。
【0027】
好ましくは、一次光学系と投影レンズ系は、照明装置の主ビーム方向と同心に(coaxially)配置される。
【0028】
好ましくは、各延伸ラインは延伸面内に位置し、均一化構造体の溝(複数)は、各溝の延伸面が互いに対し平行をなすように、配置される。
【0029】
好ましくは、延伸面(複数)は垂直ミラー(対称)面に対して平行をなす。溝(複数)のこの直線的な(ないし垂直な:straight)配向のために、セグメント化横列(複数)ないしグループ(複数)の均一性は、半径方向における直線的放射ラインに沿った重ね合わせに加えて、水平配向(方向)における重ね合わせ効果によって、良い(positively)影響を受ける。
【0030】
好ましくは、延伸面(複数)は、一次光学系がモータサイクルに正確に(適切に)搭載された状態で見て、垂直をなす。この場合、モータサイクルは直立位置(姿勢)を取っている。
【0031】
この特徴の効果は、光分布(複数)のセグメント(複数)が直線的放射ラインに沿って一層良好に均一化(一様化)されることである。
【0032】
本発明の目的は、本発明に応じた照明装置を少なくとも1つ又は本発明に応じた一次光学系を少なくとも1つ含む、モータサイクル前照灯によって達成される。
【0033】
以下に、本発明をさらに説明するために、図面に示されるような、例示的かつ非限定的な実施例を説明する。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【
図1】光案内要素(複数)を備えた一次光学系、複数の光源、但し少なくとも1つの光源は(1つの)光案内要素の夫々の(対応する)光入力面に関連付けられている、及び、一次光学系の共通の光出力面から放出された光を受け取るよう及び照明装置の前方にセグメント化光分布を投影するよう構成された投影レンズ系、を含む照明装置の一例。
【
図3】
図1及び
図2の一次光学系の正面図。共通の光入力面は均一化構造体を含み、均一化構造体は複数の平行溝として構成されている。
【
図4】
図1、
図2及び
図3の一次光学系、及び、第1グループの光案内要素(複数)によって生成された放射された光セグメント(複数)の一例の平面図。
【
図5】一次光学系の共通の光出力面の溝(複数)の細部の一例の斜視図。
【
図6】均一化構造体の個別の(single)溝の一例の模式的斜視図。
【
図7】(A)セグメント化光分布の一例、但し、光分布は第1グループの光案内要素によって生成されセグメント化された光を含み、セグメント化光分布は本発明に応じた一次光学系によって放射されている。(B)セグメント化光分布の一例、但し、光分布は第1グループの光案内要素によって生成されセグメント化された光を含み、セグメント化光分布は均一化構造体を備えない本発明に応じた一次光学系によって放射されている。
【実施例】
【0035】
図1は、セグメント化光分布を放射するよう構成された非結像型一次光学系である一次光学系100を含むモータサイクル前照灯のための照明装置10の一例を示す。一次光学系100は、本体110と、光を(当該光案内要素200を通して)導く(channeling)ために本体110から突出しかつ主方向Xにおいて光源(複数)50の光から予め決定されるセグメント化光分布LD1’を形成する複数の光案内要素200を含む。
【0036】
図示の照明装置10はハイビーム光分布を放射ないし投影するよう構成されているが、照明装置10はロービーム光分布を放射ないし投影するための付加的ロービームモジュールも含み得る。
【0037】
各光案内要素200は、光入力面210(光源50の光は光入力面210を通って光案内要素200内へ結合されることができる)と、光案内要素(複数)200によって受け取られた(受光された)光を放射するための共通の光出力面220を有し、各光案内要素200は、
図2及び
図3においてより詳細に見出すことができるように、セグメント化光分布の夫々の光セグメントの生成に寄与するよう構成されている。
【0038】
一次光学系100はシリコン製であるが、透明なポリカーボネート材料(PC)で製造されることも可能であり、一次光学系100は成形、とりわけ射出成形によって一体的(単一)部品として形成されている。
【0039】
照明装置10は、複数の光源50、但し少なくとも1つの光源50は(1つの)光案内要素200の夫々の(対応する)光入力面210に関連付けられている、及び、一次光学系100の共通の光出力面220から放出された光を受け取る(受光する)よう及び照明装置10の前方に(光放射方向下流側に)セグメント化光分布LD1を投影するよう構成された投影レンズ系400を含む。
【0040】
図2に示されているように、光案内要素(複数)200は複数のグループGP1、GP2、GP3の形で配置されており、これらのグループは、
図2において見出すことができるように、垂直(対称)面VPに関してミラー化(鏡面(鏡像)対称化)されており(鏡面(鏡像)対称的に構成・配置されており)、垂直面VPは主方向Xに対し平行をなしている。
図2のグループGP1’、GP2’、GP3’は夫々グループGP1、GP2、GP3のミラー化グループである。各グループGP1、GP2、GP3は、図の実施例では、主方向Xに対し直角をなす直線的(straight)配列ラインAL1、AL2、AL3に沿って並んで配置された3つの光案内要素200を含み、1つのグループの光案内要素(複数)200によって生成される光セグメント(複数)は当該グループの直線的配列ラインに対応しかつ当該直線的配列ラインに平行な直線的(straight)放射ラインILに沿って並んで配置されるよう放射される。これに関連して、
図7(A)及び
図7(B)は生成されたセグメント化光分布LD1の一例を示し、光セグメントLS1、LS2、LS3は第1ミラー化グループGP1’の光案内要素(複数)によって生成される。
【0041】
共通の光出力面220は、直線的放射ラインILに沿って放射された光セグメントLS1、LS2、LS3の光分布LD1を均一化(一様化)するよう構成された均一化(一様化)構造体300を含み、均一化構造体300は複数の溝310を含んで形成されており、各溝310は各グループGP1、GP2、GP3の光案内要素(複数)200の直線的配列ラインAL1、AL2、AL3を横切る延伸ラインELに沿って延伸し、溝310は、延伸ラインELに沿って、延伸ラインELに対し直角をなす横断面において一定の半径Rを有し、溝(複数)310は、溝(複数)310の延伸ラインELが互いに対し平行をなすように、互いに対して配置されている。各溝310は同じ半径Rを有し、半径Rは0.1mm~0.5mm、好ましくは0.175mm~0.5mm、好ましくは0.35mmである。
【0042】
例えば
図3において見出すことができるように、各延伸ラインELは延伸面EP内に位置し、均一化構造体300の溝(複数)310は、各溝の延伸面が互いに対し平行をなすように、配置されている。更に、各延伸面EPは垂直面VPに対し平行をなしている。
【0043】
上記の
図7(A)は、均一化構造体300がある場合の、生成されたセグメント化光分布の一例を示し、
図7(B)は、均一化構造体300がない場合の、生成されたセグメント化光分布の一例を示す。
【0044】
一次光学系100の平面図と光セグメントLS1’、LS2’、LS3’を有する模式的に示されたセグメント化光分布を示す
図4において見出すことができるように、隣り合う光セグメントLS1’、LS2’、LS3’の間には、光分布ギャップ(複数)LDG(
図7(B)においてもギャップLDGとして見出される)が示されている。これらの光分布ギャップLDGは均一化構造体300のために光と共に放射されるため、光セグメントLS1’、LS2’、LS3’の光分布は直線的放射ラインILに沿って均一化される。なお、図示の光分布LD1’は一次光学系100の共通の光出力面220において第1ミラー化グループGP1’によって生成される中間像に関するものであることに注意すべきである。
【0045】
図3及び
図5において見出すことができるように、均一化構造体300の溝(複数)310は互いに対し平行をなしており、延伸ラインELは直線状(linear)軸線である。
【0046】
延伸ライン(複数)ELは、
図6に示されているように、主方向Xの方向において少なくとも部分的に湾曲を有することも可能である。更に、各溝310は、同様に
図6に示されているように、延伸ラインELに沿って延伸ラインELに対し直角をなす横断面において半円に従う(半円の輪郭を有する)(よう構成される)ことも可能である。
【0047】
更に、共通の光出力面220は仮想の湾曲面に実質的に従う(よう構成されている)が、この湾曲面は投影レンズ系400のペッツバール(Petzval)面に従う(よう構成される)ことも可能である。共通の光出力面220と同様の態様で、溝(複数)310及びそれらの各自の延伸ライン(複数)ELは該仮想湾曲面に従う(よう構成されている)。
【0048】
上記の実施形態の全部又は一部は以下の付記として記載可能であるが、それらに限定されない。
[付記1]モータサイクル前照灯用一次光学系。
前記一次光学系は当該一次光学系の前方に(光放射方向下流側に)セグメント化光分布を放射するよう構成された非結像型一次光学系である;
前記一次光学系は
・本体、及び、
・主方向において光源(複数)の光から予め決定されるセグメント化光分布を形成するための、前記本体から突出する複数の光案内要素
を含む;
各光案内要素は、光入力面と、前記光案内要素(複数)によって受け取られた(受光された)光を放射するための共通の光出力面を有し、但し、前記光源の光は前記光入力面を通って前記光案内要素内へ結合されることができる;
各光案内要素は、セグメント化光分布の夫々の光セグメントの生成に寄与するよう構成されている;
前記光案内要素(複数)は複数のグループの形で(グループ分けされて)配置されており、各グループは前記主方向に対し直角をなす直線的配列ラインに沿って並んで配置された少なくとも2つの光案内要素を含む;
1つのグループの光案内要素(複数)によって生成される光セグメント(複数)は当該グループの直線的配列ラインに対応しかつ当該直線的配列ラインに平行な直線的放射ラインに沿って並んで配置されるよう放射される;
前記共通の光出力面は、前記直線的放射ラインに沿って放射された光セグメントの光分布を均一化するよう構成された均一化構造体を含む;
前記均一化構造体は複数の溝を含んで形成されており、各溝は各グループの光案内要素(複数)の直線的配列ラインを横切る延伸ラインに沿って延伸し、前記溝は、前記延伸ラインに沿って、前記延伸ラインに対し直角をなす横断面において一定の半径を有する;
前記溝(複数)は、当該溝(複数)の前記延伸ラインが互いに対し平行をなすように、互いに対して配置されている。
[付記2]上記の一次光学系、とりわけ付記1に記載の一次光学系において、
前記延伸ラインは直線状の軸線である。
[付記3]上記の一次光学系、とりわけ付記1に記載の一次光学系において、
前記延伸ラインは、少なくとも部分的に、前記主方向の方向において湾曲を有する。
[付記4]上記の一次光学系、とりわけ付記1~3の何れかに記載の一次光学系において、
各溝は同じ半径を有する。
[付記5]上記の一次光学系、とりわけ付記1~4の何れかに記載の一次光学系において、
前記半径は、0.1mm~0.5mm、好ましくは0.175mm~0.5mm、好ましくは0.35mmである。
[付記6]上記の一次光学系、とりわけ付記1~5の何れかに記載の一次光学系において、
各溝は、前記延伸ラインに沿って、前記延伸ラインに対し直角をなす横断面において半円に従うよう構成されている。
[付記7]上記の一次光学系、とりわけ付記1~6の何れかに記載の一次光学系において、
前記一次光学系はシリコン製である。
[付記8]上記の一次光学系、とりわけ付記1~6の何れかに記載の一次光学系において、
前記一次光学系は透明ポリカーボネート材料製である。
[付記9]上記の一次光学系、とりわけ付記1~8の何れかに記載の一次光学系において、
前記一次光学系は、成形、とりわけ射出成形によって、一体的部品として形成されている。
[付記10]上記の一次光学系、とりわけ付記1~9の何れかに記載の一次光学系において、
各延伸ラインは延伸面内に位置し、前記均一化構造体の溝(複数)は、各溝の延伸面が互いに対し平行をなすように、配置されている。
[付記11]上記の一次光学系、とりわけ付記1~10の何れかに記載の一次光学系、複数の光源、但し少なくとも1つの光源は光案内要素の夫々の光入力面に関連付けられている、及び、一次光学系の共通の光出力面から放出された光を受け取るよう及び照明装置の前方にセグメント化光分布を投影するよう構成された投影レンズ系を含む、照明装置。
[付記12]上記の照明装置、とりわけ付記11に記載の照明装置を少なくとも1つ又は上記の一次光学系、とりわけ付記1~10の何れかに記載の一次光学系を少なくとも1つ含む、モータサイクル前照灯。
【0049】
本発明の全開示(特許請求の範囲及び図面を含む)の枠内において、さらにその基本的技術思想に基づいて、実施形態の変更・調整が可能である。また、本発明の全開示の枠内において種々の開示要素(各請求項の各要素、各実施形態の各要素、各図面の各要素等を含む)の多様な組み合わせないし選択(「非選択」を含む。)が可能である。すなわち、本発明は、特許請求の範囲及び図面を含む全開示、本発明の技術的思想にしたがって当業者であればなし得るであろう各種変形、修正を含むことは勿論である。特に、本書に記載した数値範囲については、当該範囲内に含まれる任意の数値ないし小範囲が、別段の記載のない場合でも具体的に記載されているものと解釈されるべきである。
【0050】
更に、特許請求の範囲に付記した図面参照符号は専ら発明の理解を助けるためのものであり、本発明を実施形態及び図示の実施例に限定することは意図していない。
【0051】
更に、上記の各文献の全内容は引照を以って本書に繰り込みここに記載されているものとする。
【符号の説明】
【0052】
10 照明装置
50 光源
100 一次光学系
110 本体
200 光案内要素
210 光入力面
220 共通の光出力面
300 均一化構造体
310 溝
400 投影レンズ系
AL1、AL2、AL3;AL1’、AL2’、AL3’
配列ライン
EL 延伸ライン
IL 放射ライン
GP1、GP2、GP3;GP1’、GP2’、GP3’
グループ
LD1;LD1’ セグメント化光分布
LS1、LS2、LS3;LS1’、LS2’、LS3’
光セグメント
VP 垂直面
EP 延伸面
R 半径
X 主方向