(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】ポリウレタン系の製造
(51)【国際特許分類】
C08G 18/08 20060101AFI20240912BHJP
C08G 18/32 20060101ALI20240912BHJP
C08G 18/30 20060101ALI20240912BHJP
C08G 18/40 20060101ALI20240912BHJP
C08G 18/00 20060101ALI20240912BHJP
C08G 101/00 20060101ALN20240912BHJP
【FI】
C08G18/08 038
C08G18/32 025
C08G18/30 020
C08G18/40
C08G18/00 L
C08G101:00
(21)【出願番号】P 2022504240
(86)(22)【出願日】2020-07-13
(86)【国際出願番号】 EP2020069739
(87)【国際公開番号】W WO2021013607
(87)【国際公開日】2021-01-28
【審査請求日】2023-05-12
(32)【優先日】2019-07-24
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】519414848
【氏名又は名称】エボニック オペレーションズ ゲーエムベーハー
【氏名又は名称原語表記】Evonik Operations GmbH
【住所又は居所原語表記】Rellinghauser Strasse 1-11, 45128 Essen, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】エーファ エムリッヒ-スモルチュク
(72)【発明者】
【氏名】ムラデン ヴィダコヴィッチ
(72)【発明者】
【氏名】シュテファン ヴェンデル
(72)【発明者】
【氏名】ジュアン ジェーズス バーデニウク
【審査官】小森 勇
(56)【参考文献】
【文献】特表2013-506722(JP,A)
【文献】特開平10-036681(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
C08G 18/00-18/87
C08G 101/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
イソシアネート-ポリオール反応および/またはイソシアネート-水反応および/またはイソシアネート三量化反応を触媒する1つ以上の触媒の存在下で少なくとも1つのポリオール成分を少なくとも1つのイソシアネート成分と反応させることによるポリウレタン系の製造方法であって、
前記反応を、ポリヒドラジド
、ポリスルホニルヒドラジドおよび/また
はカルボジヒドラジ
ドを含む成分Aの存在下で実施し、前記成分Aを、混合物Cの形態で使用し、前記混合物Cは、成分Bをさらに含み、前記成分Bは、フタル酸アルキルエステル、ジカルボン酸アルキルエステル、アジピン酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ドデカン酸アルキルエステル、ポリエステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、直鎖および変性天然油または鉱油、スルホン化油、エトキシ化油、エポキシ化油、脂肪酸、スルホンアミド、グリコール、ポリグリコール、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸アルキルエステルおよび/またはレシチ
ンの群からの分散媒を含むことを特徴とする、方法。
【請求項2】
前記成分Aは、ポリヒドラジ
ドを含む、請求項1記載の方法。
【請求項3】
前記混合物Cは、ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート、リン酸エステル、有機ホスフェートおよび/またはポリエーテル(モノ)オー
ルをさらに含む、請求項1または2記載の方法。
【請求項4】
成分Aと成分Bとの混合比は、3:1~1:
3である、請求項1から3までのいずれか1項記載の方法。
【請求項5】
前記成分Aは、前記成分B中に分散された粉砕物として存在する、請求項1から4までのいずれか1項記載の方法。
【請求項6】
前記
分散された粉砕
物の粒径は、0.01~200μ
mである、請求項5記載の方法。
【請求項7】
前記混合物Cを、ポリオール成分100部に対して合計で0.01~20
部の重量割合で使用する、請求項1から6までのいずれか1項記載の方法。
【請求項8】
ポリウレタン系として、ポリウレタンフォー
ムを製造する、請求項1から7までのいずれか1項記載の方法。
【請求項9】
請求項1から8までのいずれか1項記載の方法により製造された、ポリウレタン
系。
【請求項10】
請求項1から9までのいずれか1項に定義された混合物Cを、0.001~20重量
%含む、請求項9記載のポリウレタン系。
【請求項11】
前記ポリウレタン系は、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性PUフォーム、ポリウレタンHRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム、またはPUインテグラルフォー
ムである、請求項9または10記載のポリウレタン系。
【請求項12】
冷蔵庫断熱材、断熱板、サンドイッチ要素、管断熱材、スプレーフォーム、1および1.5液型缶フォーム、模造木材、モデリングフォーム、包装用フォーム、マットレス、家具用クッション、自動車シート用クッション、ヘッドレスト、インパネ、自動車内装トリム、自動車天井材、吸音材、ステアリングホイール、靴底、カーペットバッキングフォーム、フィルターフォーム、シーリングフォーム、シーラント、および接着剤、コーティングとしての、または相応する生成物の製造への、請求項9から11までのいずれか1項記載のポリウレタン系の使用。
【請求項13】
ポリウレタン
系に、請求項1から12までのいずれか1項に定義された混合物C
を添加することにより、ポリウレタン
系からのアルデヒド総排出
量を低下させる方法であって、前記添加を、前記ポリウレタン
系の製造前および/または製造中に行うことができる、方法。
【請求項14】
アルデヒドに関して排出量が少ないポリウレタン
系を製造するための
、請求項1から13までのいずれか1項に定義された混合物Cの使用。
【請求項15】
ポリウレタン
系から
のアルデヒドの排出量を低減するための
、請求項1から14までのいずれか1項に定義された混合物Cの使用。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリウレタンの分野であり、特に、イソシアネート-ポリオール反応および/またはイソシアネート-水反応および/またはイソシアネート三量化反応を触媒する1つ以上の触媒の存在下で少なくとも1つのポリオール成分を少なくとも1つのイソシアネート成分と反応させることによるポリウレタン系の製造方法であって、反応を、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリスルホニルヒドラジドおよび/または-カルボジヒドラジド、特にポリヒドラジドを含む成分Aの存在下で実施する方法、ならびに相応して製造されたポリウレタン系に関する。
【0002】
本発明の趣意におけるポリウレタン系とは、例えば、ポリウレタンコーティング、ポリウレタン接着剤、ポリウレタンシーラント、ポリウレタンエラストマー、または特にポリウレタンフォーム/ポリウレタン発泡材料である。
【0003】
ポリウレタンは、その優れた機械的および物理的特性ゆえ様々な分野で使用されている。各種ポリウレタンの特に重要な市場は、従来のエーテル系やエステルポリオール系の軟質フォーム、コールドフォーム(しばしばHRフォームとも呼ばれる)、硬質フォーム、インテグラルフォーム、およびマイクロセルラーフォーム、ならびにこれらの種別の中間の特性を有する例えば半硬質系などのフォームといったフォームの分野であり、自動車産業や家具産業である。例えば、硬質フォームは天井材として、エステルフォームは、フレームラミネート処理されたカバー材を有するドアの内装トリムや打ち抜き日よけ材に、コールドおよび軟質フォームは、シートシステムやインパネおよびマットレスに使用されている。しかし、接着剤やコーティング剤もポリウレタンの使用分野であり、その優れた特性により説得力を有する。
【0004】
ポリウレタンフォームの製造および貯蔵に際しては、アルデヒドの放出が問題となる。健康への懸念が実際に正当であるか否かにかかわらず、健康への懸念から、アルデヒドを排出する製品の使用を可能な限り避けたいと考える消費者は少なくない。
【0005】
また、近年では特に中国当局が要件を高めており、例えば中国で販売する自動車の室内排出物について非常に厳しい限界値を要求している。芳香族炭化水素に加え、ここでも特にアルデヒドに焦点が当てられている。そのため、総じて可能な限りアルデヒドの放出量が少ないポリウレタンフォームが望まれている。
【0006】
この希望に沿うために、すでに様々なアプローチがなされている。例えば、国際公開第2009/117479号では、ホルムアルデヒドは原料に由来し、特に使用するアミン触媒(第三級アミン)に含まれるものと想定されている。そこでこの文献では、第三級アミン触媒に第一級アミンを加えることで低ホルムアルデヒド排出量を実現することを提案している。有利には、ジメチルアミノプロピルアミンが使用される。
【0007】
独国特許出願公開第10003156号明細書は、直接的には低排出性発泡材料に関するものではなく、各種化合物、特に重金属イオンに対する吸着能に優れたポリマーを開発することを目的としている。この課題を解決するために、エチレンイミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルアミン、カルボキシメチル化ポリエチレンイミン、ホスホノメチル化ポリエチレンイミン、四級化ポリエチレンイミンおよび/またはジチオカルバメート化ポリエチレンイミンを含むポリウレタン発泡材料が提案されている。また、この発泡材料は、例えばホルムアルデヒドなどの有機物の吸着にも使用できる。
【0008】
独国特許出願公開第10258046号明細書では、ホルムアルデヒドの排出量が低減されたポリウレタン発泡材料の製造という課題が扱われている。独国特許出願公開第10003156号明細書とは対照的に、独国特許出願公開第10258046号明細書の課題は、このようにPUR発泡材料自体からのホルムアルデヒドの排出量の低減にあり、周囲空気からのホルムアルデヒドの吸着にあるわけではない。この課題を解決するために、ポリウレタン発泡材料へのアミノ基含有ポリマーの添加を提供する方法が提案されており、この添加は、ポリウレタン発泡材料の製造の前および/または製造時に行うことができる。
【0009】
しかし欧州特許出願公開第3459983号明細書には、使用するポリウレタンの処方によっては、アルデヒド捕捉物質の使用がフォームの妨害を招く場合があり、アルデヒドの吸収効率にも影響を及ぼしかねないことが記載されている。
【0010】
したがって、ポリウレタン、特にポリウレタンフォームの提供において、アルデヒド放出量の低減を可能にしつつ、加工性の点で損失がなく、フォーム構造、特にセル構造、さらには離型性に悪影響を与えない、さらなる解決策が依然として求められている。
【0011】
このような背景から、本発明の具体的な課題は、アルデヒドの排出量が低減され、加工性の点で損失がなく、フォーム構造、特にセル構造、さらには離型性に悪影響を与えないポリウレタン、特にポリウレタンフォームの提供を可能にすることであった。特にここで、少なくとも3ヶ月間の特に良好な貯蔵安定性を有する添加剤を使用でき、この間にこれらの添加剤が視覚や効果に関する変化を生じないという顧客の関心も考慮すべきである。
【0012】
驚くべきことに、反応を、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリスルホニルヒドラジドおよび/または-カルボジヒドラジド、特にポリヒドラジドを含む成分Aの存在下で実施し、その際、成分Aを混合物Cの形態で使用し、混合物Cが、分散媒を含む成分Bをさらに含む場合に、この課題が解決されることが今や見出された。
【0013】
したがって、本発明の主題は、イソシアネート-ポリオール反応および/またはイソシアネート-水反応および/またはイソシアネート三量化反応を触媒する1つ以上の触媒の存在下で少なくとも1つのポリオール成分を少なくとも1つのイソシアネート成分と反応させることによるポリウレタン系の製造方法であって、反応を、ポリヒドラジド、ポリセミカルバジド、ポリスルホニルヒドラジドおよび/または-カルボジヒドラジド、特にポリヒドラジドを含む成分Aの存在下で実施し、前述の成分Aを、混合物Cの形態で使用し、この混合物Cは、成分Bをさらに含み、成分Bは、フタル酸アルキルエステル、ジカルボン酸アルキルエステル、アジピン酸アルキルエステル、セバシン酸アルキルエステル、ドデカン酸アルキルエステル、ポリエステル、リン酸エステル、脂肪酸エステル、直鎖および変性天然油または鉱油、スルホン化油、エトキシ化油、エポキシ化油、脂肪酸、スルホンアミド、グリコール、ポリグリコール、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸アルキルエステルおよび/またはレシチン、特にブチルジグリコール、1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリス(デシル)エステル、または1,2-シクロヘキサンジカルボン酸ジイソノニルエステルの群からの分散媒を含む、方法である。
【0014】
本発明による主題は、アルデヒドの排出量が低減され、加工性の点で損失がなく、フォーム構造、特にセル構造、さらには離型性に悪影響を与えないポリウレタン、特にポリウレタンフォームの提供を可能にする。本発明により使用される混合物Cは、成分AおよびBを含み、3ヶ月間を超える特に優れた貯蔵安定性を有し、より長い貯蔵に際して視覚や効果に関する変化を生じない。
【0015】
本発明の特に好ましい実施形態によれば、成分Aは、ポリヒドラジド、有利には、シュウ酸ジヒドラジド、マロン酸ジヒドラジド、コハク酸ジヒドラジド、アジピン酸ジヒドラジド、セバシン酸ジヒドラジド、ドデカン酸ジヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド、ピペラジン-N,N’-ジヒドラジド、m-ベンゼンジヒドラジドおよび/またはp-ベンゼンジヒドラジド、特に、アジピン酸ジヒドラジドおよび/またはカルボジヒドラジドを含む。アジピン酸ジヒドラジドが最も好ましく、本発明の趣意において特に良好な結果をもたらす。
【0016】
本発明のさらなる好ましい実施形態によれば、成分Aおよび成分Bに加えて、混合物Cは、ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェート、リン酸エステル、有機ホスフェートおよび/またはポリエーテル(モノ)オール、例えば2-エチルヘキサノールEO-POポリエーテルをさらに含む。
【0017】
成分Aと成分Bとの混合比が3:1~1:3、好ましくは2:1~1:2、さらに好ましくは1.5:1~1:1.5、特に1.1:1~1:1.1の場合、本発明のさらに好ましい実施形態が存在する。これは、重量部である。
【0018】
すでに説明したように、本発明の主題は、アルデヒドの排出量を確実に最小限に抑えることを可能にするものである。しかしながら、本発明のさらなる特別な利点はまた、本発明による方法で使用される混合物Cは非常に貯蔵安定性が高く、すなわち、外観も品質も損なわれず、したがってより長期間にわたる貯蔵後でもアルデヒドの排出量を確実に最小限に抑えるため、重要な利点を使用者に与えることにもある。
【0019】
これに関連して、成分Aが成分B中に分散された粉砕物として存在する場合に特に有利であることが実証されており、これは好ましい実施形態に相当する。粉砕とは、特にミルまたはグラインダーを用いたまたはそれにおける固体の粉砕を意味すると理解される。可能な機器としてボールミルを使用することができ、例えば遊星型ボールミルを使用することができる。これは、微細さが非常に要求される任意の場所で使用される。遊星型ボールミルは、非常に高い遠心力により非常に高い粉砕エネルギーが放出されるため、プロセス時間が非常に短くなる。粉砕の基本原理は、衝撃または摩擦に基づくものである。
【0020】
プロセス工学では、分散液とは、互いに溶解しないか、ほとんど溶解しないか、または化学的に結合しない少なくとも2つの物質の不均質な混合物である。ここで、1つ以上の物質(分散相)が、別の連続した物質(分散媒)中に微細に分散されている。個々の相は、互いに明確に分離することができ、通常は物理的な方法(例えば、ろ過、遠心分離)により再び互いに分離することができる。
【0021】
全体として、粉砕物または分散液の粒径が0.5~200μm、有利には0.5~60μm、最も好ましくは0.5~30μmであると有利であることが判明しており、これは好ましい実施形態に相当するものである。
【0022】
さらに、本発明による方法は、混合物Cを、ポリオール成分100部に対して合計で0.01~20部、有利には0.05~5部、特に0.1~3部の重量割合で使用することを特徴とすると有利であることが判明している。
【0023】
特に、ポリウレタン系として、ポリウレタンフォームを製造することが好ましい。特に好ましいのは、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性PUフォーム、ポリウレタンHRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム、またはPUインテグラルフォームである。
【0024】
本発明により使用される化合物、該化合物の製造、ポリウレタン系またはポリウレタンフォームを製造するための該化合物の使用、およびポリウレタン系またはポリウレタンフォーム自体につき、以下に例示的に説明するが、本発明はこれらの例示的実施形態に限定されるものではない。以下に範囲、一般式、または化合物クラスが示されている場合、これらは、明示されている対応する範囲または化合物群だけでなく、個々の値(範囲)または化合物を除外して得られるすべての部分範囲および部分化合物群をも包含するものとする。本明細書において文書が引用される場合、その内容は、特に参照される事項に関して、全体として本発明の開示内容の一部を構成するものとする。以下にデータがパーセントで示される場合、特に断りのない限り、データは重量%で示される。以下に平均値が記載される場合、特に断りのない限り、これは数値平均である。以下に例えば粘度などの物性が示される場合、特に断りのない限り、これは25℃での物性値である。本発明において化学(一般)式が用いられる場合、示される添え字は、絶対数だけでなく平均値をも表すことができる。高分子化合物の場合、添え字は、有利には平均値を表す。
【0025】
ポリウレタン系の製造は、基本的に通常の方法で、かつ従来技術に記載されているように実施することができる。これは当業者に周知であり、基本的な概要は、例えば、G. Oertel, Polyurethane Handbook, 2nd Edition, Hanser/Gardner Publications Inc., Cincinnati, Ohio, 1994, p.177-247に記載されている。本発明によるポリウレタン系の製造時に、混合物Cは、有利には、ポリオール成分100部に対して0.01~20部、好ましくは0.05~5部、特に好ましくは0.1~3部の重量割合で使用される。
【0026】
本発明によるポリウレタン系の製造方法を実施する場合、さらに水、物理発泡剤、難燃剤および/またはさらなる添加剤を添加すると有利であり得る。
【0027】
本発明による方法においてイソシアネート成分として、すべてのイソシアネート、特にそれ自体既知の脂肪族、脂環式、芳香脂肪族、有利には芳香族の多価イソシアネートを使用することができる。本発明の趣意において適切なイソシアネートは、有利には、例えば4,4’-ジフェニルメタンジイソシアネート(MDI)、トルエンジイソシアネート(TDI)、ヘキサメチレンジイソシアネート(HMDI)およびイソホロンジイソシアネート(IPDI)などの、すべての多官能性有機イソシアネートである。特に適切であるのは、「ポリメリックMDI」(「粗製MDI」)として知られる、平均官能基数が2~4のMDIと高縮合類似体との混合物、および純粋な形態のまたは異性体混合物としてのTDIの様々な異性体である。特に好ましいイソシアネートは、TDIとMDIとの混合物である。主に2,4’-および4,4’-異性体の混合物またはそれらのプレポリマーから構成される、「ピュアMDI」と呼ばれる2核生成物も特に適している。特に適しているのは、MDIプレポリマーである。特に適切なイソシアネートの例は、例えば、欧州特許出願公開第1712578号明細書、欧州特許出願公開第1161474号明細書、国際公開第00/58383号、米国特許出願公開第2007/0072951号明細書、欧州特許出願公開第1678232号明細書、および国際公開第2005/085310号に挙げられており、ここで、これらが完全に参照される。
【0028】
本発明の趣意においてポリオール成分に適したポリオールとして、有利には、イソシアネートに対して反応性のある基を複数有するすべての有機物質、およびその調製物を使用することができる。好ましいポリオールは、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料の製造に一般的に使用されるすべてのポリエーテルポリオールおよびポリエステルポリオールである。ポリオールは、有利には、1個または2個の酸素原子および炭素原子から構成される5員または6員環を少なくとも1つ有する化合物ではない。
【0029】
ポリエーテルポリオールは、例えば、多価アルコールまたはアミンとアルキレンオキシドとの反応によって得ることができる。ポリエステルポリオールは、有利には、多価カルボン酸(脂肪族、例えばアジピン酸、または芳香族、例えばフタル酸もしくはテレフタル酸のいずれかであってよい)と多価アルコール(通常はグリコール)とのエステルをベースとする。また、天然油系ポリエーテル(天然油系ポリオール、NOP)を使用することも可能である。これらのポリオールは、例えば大豆油やパーム油などの天然油から得られ、変性された状態でも変性されていない状態でも使用することができる。
【0030】
別のクラスのポリオールは、ポリオールとイソシアネートとを、100:1~5:1、好ましくは50:1~10:1のモル比で反応させることによってプレポリマーとして得られるものである。
【0031】
有利に使用することができるさらに別のクラスのポリオールは、いわゆるフィラーポリオール(ポリマーポリオール)である。これらは、固体有機フィラーを分散分布した状態で40重量%以上の固形分まで含むことを特徴とする。例えば、特に以下のものを使用することができる:
SANポリオール:これは、スチレン/アクリロニトリル(SAN)系共重合体を分散した状態で含む高反応性ポリオールである。
PHDポリオール:これは、ポリウレアも同様に分散形態で含む高反応性ポリオールである。
PIPAポリオール:これは、例えば従来のポリオール中のアルカノールアミンとイソシアネートとをその場で反応させることにより形成されたポリウレタンを分散形態で含む高反応性ポリオールである。
【0032】
固形分は、用途に応じてポリオールに対して好ましくは5~>40重量%とすることができ、これは連続気泡性の改善を担っており、これにより、ポリオールが特にTDIにより制御された状態で発泡され、かつフォームの収縮が生じない。このように、固体は不可欠なプロセス補助物として機能する。また、固形分がより多くなるとフォームの硬度が高くなるため、固形分によって硬度を制御する機能もある。
【0033】
固体を含むポリオールを用いた処方は、本質的な安定性が著しく低いため、架橋反応による化学的安定化に加えてさらに、物理的安定化も必要とする。
【0034】
ポリオールの固形分に応じて、これを例えば単独で、または例えば上記の非充填ポリオールと混合して使用することができる。
【0035】
好ましく使用可能なポリオールは、いわゆるセルオープナーポリオールである。これらは、アルキレンオキシド割合に対して有利には少なくとも40重量%、特に50~100重量%の高いエチレンオキシド割合を有するポリエーテルポリオールである。
【0036】
本発明において好ましいイソシアネート成分とポリオール成分との比は、指数として表され、10~1000、好ましくは40~350の範囲にある。この指数は、算出上の(ポリオールとの化学量論的反応での)イソシアネートに対する、実際に使用されたイソシアネートの比を表す。指数100は、反応性基のモル比が1:1であることを表す。
【0037】
本発明による方法で使用できる適切な触媒は、有利には、ゲル反応(イソシアネート-ポリオール)、発泡反応(イソシアネート-水)またはイソシアネートの二量化もしくは三量化を触媒する物質である。典型例は、アミン、例えば、トリエチルアミン、ジメチルシクロヘキシルアミン、テトラメチルエチレンジアミン、テトラメチルヘキサンジアミン、ペンタメチルジエチレントリアミン、ペンタメチルジプロピレントリアミン、トリエチレンジアミン、ジメチルピペラジン、1,2-ジメチルイミダゾール、N-エチルモルホリン、トリス(ジメチルアミノプロピル)ヘキサヒドロ-1,3,5-トリアジン、ジメチルアミノエタノール、ジメチルアミノエトキシエタノール、およびビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、有機カルボン酸のスズ塩、ジブチルスズジラウレートなどのスズ化合物、酢酸カリウムなどのカリウム塩である。有利には、さらなる触媒として、有機スズ化合物を含まないものが使用され、特にジブチルスズジラウレートを含まないものが使用される。
【0038】
本発明による方法で使用するこれらの触媒の適切な量は、触媒の種類によって異なり、通常、0.01~5pphp(=ポリオール100重量部に対する重量部)の範囲であり、カリウム塩の場合は0.1~10pphpの範囲である。
【0039】
本発明による方法における適切な水の含有量は、水の他にさらに物理発泡剤を使用するか否かによって異なる。純粋に水で発泡させるフォームの場合には、これらの値は、通常有利には1~20pphpであり、さらに他の発泡剤を使用する場合には、使用量は通常、例えば0または例えば0.1~5pphpに低減される。単位体積あたりのフォーム重量を大きくするためには、有利には水も他の発泡剤も使用しない。
【0040】
本発明の趣意において適切な物理発泡剤は、ガス、例えば液化CO2、および易揮発性液体、例えば炭素原子数4または5の炭化水素、好ましくはシクロ、イソおよびn-ペンタン、ハイドロフルオロカーボン、好ましくはHFC 245fa、HFC 134a、およびHFC 365mfcの他、オレフィン系ハイドロフルオロカーボン、例えば、HHO 1233zd、またはHHO 1336mzzZ、ハイドロクロロフルオロカーボン、好ましくはHCFC 141b、含酸素化合物、例えば、ギ酸メチル、およびジメトキシメタン、またはハイドロクロロカーボン、好ましくはジクロロメタン、および1,2-ジクロロエタンである。さらに、発泡剤としては、ケトン(例えば、アセトン)またはアルデヒド(例えば、メチラール)が適している。
【0041】
安定剤としては、従来技術で挙げられている物質を使用することができる。好都合には、本発明による組成物は、1つ以上の安定剤を含むことができる。これは特に、炭素原子を含むケイ素化合物であり、有利には、ポリシロキサン、ポリジメチルシロキサン、有機変性ポリシロキサン、ポリエーテル変性ポリシロキサン、およびポリエーテル-ポリシロキサン共重合体から選択される。
【0042】
1つ以上の炭素原子を含むケイ素化合物としては、従来技術で挙げられている物質を使用することができる。有利には、それぞれのフォームタイプに特に適したSi化合物が使用される。適切なシロキサンは、例えば、以下の刊行物に記載されている:欧州特許出願公開第0839852号明細書、欧州特許出願公開第1544235号明細書、独国特許出願公開第102004001408号明細書、国際公開第2005/118668号、米国特許出願公開第2007/0072951号明細書、西独国特許出願公開第2533074号明細書、欧州特許出願公開第1537159号明細書、欧州特許出願公開第533202号明細書、米国特許第3933695号明細書、欧州特許出願公開第0780414号明細書、独国特許出願公開第4239054号明細書、独国特許出願公開第4229402号明細書、欧州特許出願公開第867465号明細書。Si化合物は、従来技術の記載に従って製造することができる。適切な例は、例えば、米国特許第4147847号明細書、欧州特許出願公開第0493836号明細書、および米国特許第4855379号明細書に記載されている。
【0043】
特に、有機変性Si化合物を使用することができる。使用できる特に好ましい有機変性Si化合物は、例えば、以下の式(IV)
MkDmD’nToQp (IV)
に従うものであり、ここで、
M=[R2R1
2SiO1/2]
D=[R1R1SiO2/2]
D’=[R3R1SiO2/2]
T=[R1SiO3/2]
Q=[SiO4/2]
k=0~22、好ましくは2~10、特に好ましくは2
m=0~400、好ましくは0~200、特に好ましくは2~100
n=0~50、好ましくは0.5~20、特に好ましくは0.7~9
o=0~10、好ましくは0~5、特に好ましくは0
p=0~10、好ましくは0~5、特に好ましくは0
R2=R1またはR3
R1=互いに独立して、アルキルもしくはアリール基、またはH、有利には、メチル、エチル、プロピルもしくはフェニル、好ましくは、メチルもしくはフェニル
R3=有機変性物、例えば、ポリエーテル、または群N、S、O、P、F、Cl、Brから選択される少なくとも1つのヘテロ原子を有する炭素原子数1~30の一価の基である。
【0044】
式(IV)のR3は、好ましくは、
-CH2CH2CH2O[CH2CH2O]a[CH2CH(CH3)O]b[CHR4CHR4O]cR5
-CH2CH2CH2CN
-CH2CH2CF3
-CH2CH2CH2Cl
の群からの基であり、ここで、
R5=アルキル、アリール、ウレタン、カルボキシル、シリル、またはH、好ましくは、H、-Me、または-C(O)Me
R4=任意に酸素で中断されていてもよい、アルキル、アリール、特に好ましくは、H、Me、Et、またはPh
a=0~100、好ましくは0.5~70、特に好ましくは1~40
b=0~100、好ましくは0.5~70、特に好ましくは0~40
c=0~50、好ましくは0~15、特に好ましくは0
a+b+c>3である。
【0045】
特に、未変性Si化合物を使用することができる。使用できる特に好ましい未変性Si化合物は、例えば、以下の式(V)
MqDr (V)
の化合物であり、ここで、
M、Dは、前述の式(IV)で定義されたとおりであり、かつ
q=2
r=0~50、好ましくは1~40、特に好ましくは2~30である。
【0046】
特に好ましくは、上記Si化合物、特に式(IV)および/または(V)の化合物を単独で、または互いに組み合わせて使用することができる。また、混合物の場合には、さらに相溶化剤を使用することができる。これは、脂肪族または芳香族炭化水素の群から選択することができ、特に好ましくは、脂肪族ポリエーテルまたはポリエステルである。
【0047】
式(IV)のシロキサン化合物において、(シロキサン化合物中の基R2の総数に対して)基R2の少なくとも10当量%(かつ最大で50当量%)が炭素原子数8~22のアルキル基であると有利であり得る。
【0048】
有利には、ポリオール成分100重量部あたり0.00001~20重量部のケイ素化合物を使用することができる。
【0049】
特に、前述のケイ素化合物を本発明により使用すべき混合物Cと併用することで、本発明により求められるポリウレタンに関して非常に良好な結果を得ることができる。
【0050】
水および任意に物理発泡剤に加えてまたはその代わりに、例えば、ギ酸、カルバメートまたはカーボネートなどの、ガス発生を伴ってイソシアネートと反応する他の化学発泡剤も、本発明による添加剤組成物中に存在することができる。
【0051】
本発明の趣意において適切な任意の難燃剤は、好ましくは、液体有機リン化合物、例えば、ハロゲン不含の有機ホスフェート、例えば、トリエチルホスフェート(TEP)、ハロゲン化ホスフェート、例えば、トリス(1-クロロ-2-プロピル)ホスフェート(TCPP)、およびトリス(2-クロロエチル)ホスフェート(TCEP)、および有機ホスホネート、例えば、ジメチルメタンホスホネート(DMMP)、ジメチルプロパンホスホネート(DMPP)、またはポリリン酸アンモニウム(APP)や赤リンなどの固形物である。さらに、ハロゲン化化合物、例えば、ハロゲン化ポリオール、ならびに膨張黒鉛やメラミンなどの固形物が難燃剤として適している。
【0052】
本発明による方法によって、良好な加工性を有しかつアルデヒド放出量が特に少ないポリウレタン系、特にポリウレタンフォームを製造することができる。
【0053】
本発明の趣意におけるポリウレタンという用語は、特に、ジ-またはポリイソシアネートと、ポリオール、またはイソシアネートに対して反応性を示す他の種、例えばアミンとから製造されるポリマーの総称と理解され、その際、ウレタン結合は、排他的または優勢な結合タイプである必要はない。また、ポリイソシアヌレートやポリウレアも明示的に含まれる。
【0054】
ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料の本発明による製造、またはポリウレタン系/ポリウレタン発泡材料の製造は、当業者に公知のすべての方法に従って、例えばハンドミキシング法で、または好ましくは高圧もしくは低圧発泡機を使用して行うことができる。本発明による方法は、連続的にも非連続的にも実施することができる。成形フォーム、冷蔵庫、靴底、またはパネルの製造時には、方法を非連続的に実施することが好ましい。断熱板、金属複合要素、ブロックの製造時やスプレープロセスの際には、方法を連続的に実施することが好ましい。
【0055】
本発明による方法において、本発明により使用される混合物Cは、有利には、(ウレタン結合形成)反応の直前に、または反応中になってから混入することができる。好ましくは、組み合わせ物の合一/添加は、ミキシングヘッド内で、または完成ポリオール系についてはバッチプロセスでも行われる。
【0056】
本発明のさらなる主題は、先に述べたような本発明による方法により製造されたポリウレタン系、有利にはポリウレタンフォームである。
【0057】
本発明によるポリウレタン系は、混合物Cの総量を、ポリウレタン系の全組成に対して有利には0.001~20重量%、好都合には0.005~5重量%、特に0.01~3重量%含むことができる。
【0058】
本発明によるポリウレタン系は、有利には、ポリウレタンフォーム、特に、例えば、硬質ポリウレタンフォーム、軟質ポリウレタンフォーム、粘弾性フォーム、HRフォーム、半硬質ポリウレタンフォーム、熱成形性ポリウレタンフォーム、またはインテグラルフォームであることができ、好ましくはポリウレタンHRフォームであることができる。
【0059】
本発明によるポリウレタン系、好ましくは、ポリウレタンフォームは、例えば、冷蔵庫断熱材、断熱板、サンドイッチ要素、管断熱材、スプレーフォーム、1および1.5液型缶フォーム(1.5液型缶フォームとは、缶内の容器を破壊して製造されるフォームである)、模造木材、モデリングフォーム、包装用フォーム、マットレス、家具用クッション、自動車シート用クッション、ヘッドレスト、インパネ、自動車内装トリム、自動車天井材、吸音材、ステアリングホイール、靴底、カーペットバッキングフォーム、フィルターフォーム、シーリングフォーム、シーラント、および接着剤、バインダー、または塗料として、相応する生成物の製造に使用することができる。
【0060】
本発明のさらなる主題は、少なくとも1つのウレタン-および/またはイソシアヌレート触媒と、少なくとも1つの発泡剤と、少なくとも1つのイソシアネート成分と、少なくとも1つのポリオール成分とを含むポリウレタンフォーム製造用組成物であって、添加剤として上記のような混合物Cが含まれている、組成物である。特に混合物Cについては、重複を避けるため、すでに述べたことが完全に参照される。
【0061】
この趣意における組成物という用語には、ポリウレタンフォームの製造をもたらす化学反応を生じさせるために2つ以上の成分が混合される多成分系組成物も包含される。特に、この趣意における組成物という用語には、少なくとも1つのウレタン-および/またはイソシアヌレート触媒と、少なくとも1つの発泡剤と、少なくとも1つのイソシアネート成分と、上記のような混合物Cとの混合物(ブレンド)が包含される。
【0062】
本発明による好ましいポリウレタンフォーム製造用組成物は、例えば25~75重量%の量のポリオール、例えば1~7重量%の量の水、例えば0.05~3重量%の量の触媒、例えば0~25重量%(例えば0.1~25重量%)の量の物理発泡剤、例えば0.3~5重量%の量の安定剤(例えば、Si含有および非Si含有、特にSi含有および非Si含有の有機安定剤および界面活性剤など)、例えば20~50重量%の量のイソシアネート、および例えば0.001~20重量%(有利には0.005~5重量%)の量の本発明により使用すべき混合物Cを含むことができる。
【0063】
これらの前述の組成物の好ましい実施形態に関して、特に混合物Cに関して、先の説明が参照される。
【0064】
本発明のさらなる主題は、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料に、混合物C(先に述べたような混合物C)を、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料の総重量に対して有利には0.001~20重量%、好都合には0.005~5重量%、特に0.01~3重量%の量で添加することにより、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料からのアルデヒド総排出量、特にホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを含むアルデヒドの排出量を低下させる方法であって、添加を、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料の製造前および/または製造中に行うことができる、方法である。
【0065】
本発明のさらなる主題は、ポリウレタン系(特にポリウレタン発泡材料)であって、先に述べたような混合物Cを、ポリウレタン系(特にポリウレタン発泡材料)の総重量に対して有利には0.001~20重量%、好都合には0.005~5重量%、特に0.01~3重量%の量で含み、特に、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料の製造前および/または製造中に混合物Cを添加することによって得ることができる、ポリウレタン系(特にポリウレタン発泡材料)である。
【0066】
本発明のさらなる主題は、有利にはホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを含むアルデヒドに関して排出量が少ないポリウレタン発泡材料を製造するための、先に述べたような混合物Cの使用である。本発明のさらなる主題は、ポリウレタン発泡材料からの、有利にはホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを含むアルデヒドの排出量を、混合物Cを使用しないがそれ以外は同様に製造されるポリウレタン発泡材料と比較して低減するための、先に述べたような混合物Cの使用である。
【0067】
本発明のさらなる主題は、ポリウレタン系、特にポリウレタン発泡材料からの、特にホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを含むアルデヒドの排出量を低減するための、特に先に述べたような混合物Cの使用である。
【0068】
以下に示す実施例において本発明を例示的に説明するが、適用範囲が明細書全体および特許請求の範囲から明らかである本発明を、実施例に示される実施形態に限定することを意図するものではない。
【0069】
実施例
【表1】
*新たに調製した溶液を使用した。10%アジピン酸ジヒドラジドを含む水溶液を製造するためには、この溶液を40~45℃に約30分間加熱する必要があった。しかし、60℃でも活性物質の100%の溶解は得られなかった。この溶液を室温で貯蔵したところ、析出物の沈殿が観察された。そのため、新たに調製した溶液を使用した。
**アジピン酸ジヒドラジドと1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリス(デシル)エステルとを、0.5%ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェートの存在下で1:1の比で混合し、ディスパーマット(Dispermat)ボールミル内で5000rpmにて約1.5時間剪断処理した。
【0070】
【0071】
実施例1:
分散液の製造
アジピン酸ジヒドラジドと1,2,4-ベンゼントリカルボン酸トリス(デシル)エステルとを、0.5%ポリエチレングリコールトリデシルエーテルホスフェートの存在下で1:1の比で混合し、ディスパーマット(Dispermat)ボールミル(遊星型ボールミル)(メーカー:Retsch、名称:PM 100)内で5000rpmにて約1.5時間剪断処理した。
【0072】
ポリウレタンフォームの製造
発泡を、ハンドミキシング法で行った。このために、ポリオール、架橋剤、触媒、添加剤、水、およびシリコーン安定剤をビーカーに量り入れ(これについては表3参照)、パドルミキサーにて1000rpmで60秒間予備混合した。その後、イソシアネートを添加し、スターラー回転数2500rpmで7秒間撹拌導入した。この反応混合物を、57℃に調温した型枠(寸法40×40×10cm)に流し込み、密閉した。完成した発泡体を、3.5分後に離型した。使用した供給物量および反応物は、表3から引用できる。
【0073】
次に、上記の手順に従って製造した成形フォームを、そのホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの含有量について、VDA 275(VDA 275 “Formteile fuer den Fahrzeuginnenraum - Bestimmung der Formaldehydabgabe”. Messverfahren nach der modifizierten Flaschen-Methode; 出典: VDA 275, 07/1994, www.vda.de)に準拠して分析した。
【0074】
フォームのスパイク
使用されるポリウレタン処方物の供給材料は、発泡後に比較的低いアセトアルデヒド排出量しか放出しないため、これに30ppmのアセトアルデヒドを混合することで、増加した初期値を測定できるようにし、アルデヒド排出量の低下に関する説得力のあるデータを得て、活性物質の有効性を示す。さらに、表3のフォームV1の結果は、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの参照値となる。
【0075】
測定原理
この方法では、所定の重量および寸法のサンプルを、閉じた1Lのガラス瓶に入れた蒸留水の上に固定し、一定温度で所定の時間にわたって貯蔵する。その後、これらの瓶を冷却し、蒸留水中に吸収されたホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドを測定した。ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの測定量は、成形部材の乾燥重量(mg/kg)に対するものである。
【0076】
分析
試験体:サンプル調製、サンプル採取、およびサンプル寸法
フォームの離型後、これを、21℃、相対空中湿度約50%で24時間貯蔵した。その後、(冷却された)成形部材の幅にわたって適切かつ代表的な位置で均等にサンプルを採取した。その後、フォームをアルミニウム箔で包み、ポリエチレン袋に封入した。
【0077】
サンプルのサイズは、各100×40×40mm厚(約9g)であった。各成形部材について、アルデヒドを測定するためサンプルを3つ採取した。
【0078】
試験実施:ホルムアルデヒド/アセトアルデヒド放出量
封入されたサンプルを得た直後、これを直接判定に供した。サンプルを、分析開始前に分析天秤で0.001g単位まで秤量した。使用した各ガラス瓶に蒸留水50mlをピペットで注入した。ガラス瓶にサンプルを入れた後、容器を閉じ、60℃の一定温度で加熱庫内に3時間保管した。試験時間終了後、容器を加熱庫から取り出した。室温で60分経過後、サンプルを試験瓶から取り出した。その後、DNPH法(ジニトロフェニルヒドラジン)に従い誘導体化を行った。このために、900μlの水相を100μlのDNPH溶液と混合する。DNPH溶液は、次のように製造する:40mLのMeCN(アセトニトリル)中の50mgのDNPHを、250μLのHCl(1:10希釈)で酸性化し、50mLまでMeCNで満たす。誘導体化した後、サンプルをHPLCで分析する。個々のアルデヒドホモログへの分離を行う。
【0079】
機器パラメータ HPLC
分析には以下の機器を使用した:
Agilent Technologies 1260
クロマトグラフィーカラム:Phenomenex Luna 250*4.6mm C18、5μ粒径
溶離液:水 アセトニトリル グラジエント
検出:UV 365nm
【表3】
【0080】
原料の数データは、g単位である。
【0081】
結果の説明
表3から、分散液1を上記フォーム処方物に用いた場合、活性物質の含有量が同じで、水溶液1(V2)でも分散液1(E1)でも、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの排出量の低下に関して、フォームにおいて比較的良好な効果が得られることが判明した。どちらの剤形でも、フォームにおける加工性は非常に良好である。フォームの構造、特にセル構造、さらには離型性には悪影響が与えられない。分散液1(E2)のフォーム中の活性物質濃度を高くすると、プロセス特性は良好に保たれたまま、ホルムアルデヒドおよびアセトアルデヒドの値がさらに低く測定された。
【0082】
しかし、水溶液1(V2)の使用は、取扱い、再現性、および貯蔵安定性の面で極めて不利であることが判明した。
【0083】
10%アジピン酸ジヒドラジドを含む水溶液を製造するためには、40~45℃に約30分間加熱する必要があった。しかし、60℃でも活性物質の100%の溶解は得られなかった。この溶液を室温で貯蔵したところ、遅くとも約10日後には析出物の沈殿が観察された。同じ手順で、例えば活性物質の含有量を少なくする(水分を多くする)ことにより析出物の沈殿を最小限に抑えようとしても、遅くとも約10日後には白色の微細な結晶の析出物が形成されるという観察結果に変わりはなかった。このように、アジピン酸ジヒドラジドは水溶液では全く貯蔵安定性を示さないことが判明し、水溶液をその都度完全に新たに調製してすぐに使用しなければ再現性のある結果は得られなかった。
【0084】
これとは別に、このさらなる試験に含まれる0.99部の水の量は、生成物中で水溶液を使用する際には多すぎるため、上記の表3に記載した処方で使用される水の量(水の合計3.51部参照)を遵守することができない。これは、アルデヒド捕捉剤により大量の水が系内に導入されるため、所望のフォーム密度を下回り、これもまた不安定性を招くためである。
【0085】
さらに、ここでは例として、通常含まれる水の含有量が1%以下であるマイクロセルラーポリウレタン用途のステアリングホイール向けの系など、水の使用量が非常に少ない顧客に、そのような生成物を渡すことができない。この問題を回避するために、作用物質の濃度を高くしたため、微細な結晶の析出物の生成がさらに重大となり、その生成速度も高まった。そのため、貯蔵安定性および再現性がより一層不十分であった。
【0086】
それに対して、本発明による分散液1は、極めて貯蔵安定性であることが判明し、貯蔵後であっても視覚や効果に関する変化を生じず、一貫して特に再現性の高い結果が得られた。