(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】複合型温度上昇制御一体型発熱素子及び温度制御方法
(51)【国際特許分類】
A24F 40/46 20200101AFI20240912BHJP
A24F 40/57 20200101ALI20240912BHJP
A24F 40/51 20200101ALI20240912BHJP
H05B 3/42 20060101ALI20240912BHJP
H05B 3/00 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A24F40/46
A24F40/57
A24F40/51
H05B3/42
H05B3/00 310D
(21)【出願番号】P 2022543491
(86)(22)【出願日】2021-01-15
(86)【国際出願番号】 CN2021072120
(87)【国際公開番号】W WO2021143831
(87)【国際公開日】2021-07-22
【審査請求日】2022-10-25
(31)【優先権主張番号】202010054217.6
(32)【優先日】2020-01-17
(33)【優先権主張国・地域又は機関】CN
(73)【特許権者】
【識別番号】517281417
【氏名又は名称】深セン市博迪科技開発有限公司
【氏名又は名称原語表記】Shenzhen Buddy Technology Development Co., Ltd.
【住所又は居所原語表記】Buddy Hi-tech Park, 1, Xiashiwei Road, Fuyong Town, Bao’an District, Shenzhen, China
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】李輝
(72)【発明者】
【氏名】劉翔
【審査官】土屋 正志
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0325507(US,A1)
【文献】特開2017-116360(JP,A)
【文献】国際公開第2019/014991(WO,A1)
【文献】中国特許出願公開第109640416(CN,A)
【文献】実開昭51-147490(JP,U)
【文献】特表2017-534879(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A24F 40/46
A24F 40/57
A24F 40/51
H05B 3/42
H05B 3/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複合型温度上昇制御一体型発熱素子であって
、発熱素子(1)は、2つの異なる導電性材料が溶接点(3)で溶接されることによって一体化された発熱体(4)を含み、前記発熱体(4)以外の測温素子が設けられて
おらず、
前記発熱体(4)の2つの異なる導電性材料の組み合わせは、ニッケル-クロム合金とニッケル-シリコン合金であり、
前記溶接点(3)の位置は、発熱素子全体の高温位置である、ことを特徴とする、複合型温度上昇制御一体型発熱素子。
【請求項2】
前記発熱素子(1)の形状は、シート状構造、ロッド状構造又はカップ状構造を含み、前記発熱体(4)が前記シート状構造、ロッド状構造又はカップ状構造の中空内部又は外壁に設けられる、ことを特徴とする、請求項1に記載の発熱素子。
【請求項3】
前記発熱素子(1)はハウジング(2)をさらに備え、
前記ハウジング(2)は中空空間を有し、
前記発熱体(4)が前記ハウジング(2)の中空空間内に設けられ、
前記発熱体(4)の端部に前記ハウジング(2)から露出した2つの発熱導線(6)を有する、ことを特徴とする、請求項1に記載の発熱素子。
【請求項4】
前記発熱体(
4)の構造は、一体型らせん巻き構造又は別体型らせん巻き構造、又は折れ線構造を含む、ことを特徴とする、請求項1に記載の発熱素子。
【請求項5】
前記ハウジング(2)の中空空間の内壁に絶縁層を有する、ことを特徴とする、請求項
3に記載の発熱素子。
【請求項6】
前記ハウジング(2)の材料がセラミック、金属、金属酸化物又は合金から選択される、ことを特徴とする、請求項
3に記載の発熱素子。
【請求項7】
請求項1に記載の発熱素子(1)をその2つの発熱導線(6)を介して回路制御装置の正極及び負極に電気的に接続し、
前記発熱素子(1)に第1の電圧V
0を供給するように、前記回路制御装置を調整し、このとき、前記発熱体(4)に電流が流れ、前記発熱体(4)が発熱体として昇温発熱することで、温度制御を行うステップAと、
前記発熱素子(1)への電圧の供給を停止するように、前記回路制御装置を調整し、このとき、前記発熱体(4)が熱電対温度センサーとして前記発熱素子(1)の温度を検出することで、温度検出を行うステップBと、を含む、ことを特徴とする、複合型温度上昇制御一体型発熱素子の温度制御方法。
【請求項8】
所定期間内に、回路制御装置によって前記発熱体(4)に供給される電圧を周期的に調整することにより、前記温度制御及び前記温度検出を周期的に行う、ことを特徴とする、請求項
7に記載の温度制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規な喫煙具の発熱素子の技術分野に関し、特に、複合型温度上昇制御一体型発熱素子及び温度制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の非燃焼加熱式喫煙具の発熱素子は、基体に発熱線及び熱電対が敷設されることで発熱や測温が行われる。熱電対と発熱線との間の距離が短いため、発熱素子に短絡が発生しやすく、発熱素子の製造プロセスが複雑になる。また、発熱回路と測温回路が別々に設計されて、回路が複雑になっている。
【発明の概要】
【0003】
以上の問題を解決するために、本発明を提出する。
【0004】
本発明の第1の態様は、2つの異なる導電性材料が溶接点3で溶接されることによって一体化された発熱体4を含み、発熱体4以外の測温素子が設けられていない複合型温度上昇制御一体型発熱素子1を提供する。
【0005】
2つの金属又は合金材料は、溶接された後、通電する場合、昇温発熱するが、通電しない場合、熱電対温度センサーとして温度を測定することが可能な材料である。
【0006】
溶接点3の位置は、発熱素子の温度場の分布に基づいて選択することができる。通常、溶接点3の位置は発熱素子全体の高温位置である。
【0007】
好ましくは、2つの異なる導電性材料は、2つの異なる金属、2つの異なる合金、又は、一方が金属で、他方が合金である。
【0008】
好ましくは、発熱素子1の形状は、シート状構造、ロッド状構造、又はカップ状構造を含み、発熱体4がシート状構造、ロッド状構造、又はカップ状構造の中空内部又は外壁に設けられる。
【0009】
好ましくは、発熱素子1は、ハウジング2をさらに備え、
ハウジング2は、中空空間を有し、
発熱体4がハウジング2の中空空間内に設けられる。
【0010】
発熱体4の端部にはハウジング2から露出した2つの発熱導線6を有する。
【0011】
好ましくは、発熱体4の構造は、一体型らせん巻き構造又は別体型らせん巻き構造、又は折れ線構造を含む。
【0012】
好ましくは、発熱体4の2つの異なる導電性材料の組み合わせは、白金-ロジウム合金と白金、ニッケル-クロム合金とニッケル-シリコン合金、及びニッケル-クロム-シリコン合金とニッケル-シリコン合金の3種類を含む。
【0013】
好ましくは、ハウジング2の中空空間の内壁に絶縁層を有する。
【0014】
好ましくは、ハウジング2の材料がセラミック、金属、金属酸化物又は合金から選択される。
【0015】
ハウジング2の形状は、尖った先端を有する中空円柱状又は剣形状である。
【0016】
好ましくは、ハウジング2は、複数のシートを圧着してなってもよく、一体成形されてもよい。
【0017】
好ましくは、発熱素子は、発熱素子の底部に設けられるベース部5をさらに備える。ベース部5は発熱体4に固定及び保護の作用を提供する。
【0018】
本発明の第2の態様は、第1の態様に記載の発熱素子1をその2つの発熱導線6を介して回路制御装置の正極及び負極に電気的に接続し、
発熱素子1に第1の電圧V0を供給するように、回路制御装置を調整し、このとき、発熱体4に電流が流れ、発熱体4が発熱体として昇温発熱することで、温度制御を行うステップAと、
発熱素子1への電圧の供給を停止するように、回路制御装置を調整し、このとき、発熱体4が熱電対温度センサーとして発熱素子1の温度を検出することで、温度検出を行うステップBと、を含む複合型温度上昇制御一体型発熱素子の温度制御方法を提供する。
【0019】
好ましくは、所定期間内に、回路制御装置によって発熱体4に供給される電圧を周期的に調整することにより、温度制御及び温度検出を周期的に行う。
【0020】
上記の技術的手段は、矛盾しないことを前提として自由に組み合わせてもよい。
発明の効果
【0021】
本発明は、温度上昇制御一体型発熱素子を初めて設計し、非燃焼加熱式タバコ用発熱素子の温度制御に新しい方法を提供する。発熱体は2つの導電性材料が溶接されてなり、高電圧が印加されると、2つの導電性材料が発熱体として発熱し、電圧の供給が停止されると、2つの導電性材料が熱電対温度センサーとして発熱素子の温度を測定する。従来の発熱素子に比べて、温度センサーが不要となり、発熱素子の製造プロセスが簡素化され、発熱素子の性能が向上し、タバコの加熱効果が向上し、製造コストが削減され、喫煙者により良い体験を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】実施例1の複合型温度上昇制御一体型発熱素子の概略図である。
【
図2】実施例2の複合型温度上昇制御一体型発熱素子の温度制御、検出信号の波形図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、具体的な実施形態によって本発明の内容を詳細に説明する。
【0024】
実施例1
図1に示されるように、複合型温度上昇制御一体型発熱素子1は、ハウジング2、溶接点3、発熱体4及びベース部5を備える。発熱素子1には発熱体4以外の測温素子が設けられていない。
発熱素子1は尖った先端を有するロッド状である。ハウジング2は、2枚の金属シートが圧着されてなり、2枚のシートは、境界が圧着により封止され、中間に発熱体4を収容する空間を有する。発熱体4は、ニッケル-クロム合金及びニッケル-シリコン合金の2つの異なる合金材料が溶接点3で溶接により一体化されたものである。発熱体4は、一体的にらせん巻きされた線状構造であり、端部に、ハウジング2及びベース部5から露出した2つの発熱導線6を有する。ベース部5は発熱素子の底部に設けられる。
【0025】
実施例2
複合型温度上昇制御一体型発熱素子の温度制御方法は、実施例1に記載の発熱素子1をその2つの発熱導線6を介して回路制御装置の正極及び負極に電気的に接続し、
図2に示されるように、温度制御(電圧がバッテリー電圧である状態)の場合においては、PWMによって電子スイッチが調整され発熱体4への供給電圧が調整されて、温度制御が行われるステップと、温度検出(電圧が0である状態)の場合においては、発熱体4がt
0時間内に発熱素子の温度を測定するステップと、を含む。
【0026】
以上は、本発明の具体的な実施形態のみであるが、本発明の保護範囲はこれらに限定されるものではなく、当業者が本発明に開示された技術的範囲内で容易に想到できる任意の変更又は置換は、いずれも本発明の保護範囲に含まれるものである。したがって、本発明の保護範囲は、特許請求の範囲に準じるべきである。
【符号の説明】
【0027】
1:発熱素子
2:ハウジング
3:溶接点
4:発熱体
5:ベース部
6:発熱導線