(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体装置
(51)【国際特許分類】
H10B 41/70 20230101AFI20240912BHJP
H10B 12/00 20230101ALI20240912BHJP
H01L 21/8234 20060101ALI20240912BHJP
H01L 27/06 20060101ALI20240912BHJP
H01L 27/088 20060101ALI20240912BHJP
H01L 29/786 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
H10B41/70
H10B12/00 801
H01L27/06 102A
H01L27/088 A
H01L27/088 E
H01L27/088 331E
H01L29/78 613B
H01L29/78 618B
H01L29/78 626A
(21)【出願番号】P 2023004954
(22)【出願日】2023-01-17
(62)【分割の表示】P 2019523203の分割
【原出願日】2018-05-29
【審査請求日】2023-02-14
(31)【優先権主張番号】P 2017113842
(32)【優先日】2017-06-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】000153878
【氏名又は名称】株式会社半導体エネルギー研究所
(72)【発明者】
【氏名】山崎 舜平
(72)【発明者】
【氏名】木村 肇
(72)【発明者】
【氏名】池田 隆之
(72)【発明者】
【氏名】加藤 清
(72)【発明者】
【氏名】遠藤 佑太
(72)【発明者】
【氏名】菅尾 惇平
【審査官】宮本 博司
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-225613(JP,A)
【文献】特開2011-151383(JP,A)
【文献】特開2013-065638(JP,A)
【文献】特開2016-225617(JP,A)
【文献】特開2015-181159(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H10B 41/70
H10B 12/00
H01L 21/8234
H01L 27/06
H01L 27/088
H01L 29/786
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
メモリセルを有する半導体装置であって、
前記メモリセルは、
第1の導電体と、
前記第1の導電体
の上方に位置する領域を有する第1の絶縁体と、
前記第1の絶縁体
の上方に位置する領域を有しかつ第1の領域
と、第2の領域
と、前記第1の領域と前記第2の領域との間に配置された
領域を有する第3の領域
と、を有する第1の酸化物と、
前記第1の酸化物
の上方に位置する領域を有する第2の絶縁体と、
前記第2の絶縁体
の上方に位置する領域を有する第2の導電体と、
前記第1の領域の側面に接して配置された
領域を有する第3の絶縁体と、
前記第1の導電体の側面に接して配置された領域を有する第4の絶縁体と、
前記第2の導電体の側面に接して配置された領域を有する第5の絶縁体と、
前記第1の領域の側面
に前記第3の絶縁体を介して配置された
領域と、前記第1の導電体の側面に前記第3及び第4の絶縁体を介して配置された領域と、前記第2の導電体の側面に前記第3及び第5の絶縁体を介して配置された領域と、を有する第2の酸化物と、を有し、
前記第1の領域は、前記第1の導電体と重畳する領域を有し、
前記第3の領域は、前記第2の導電体と重畳する領域を有し、
前記第1の領域および前記第2の領域の各々は、前記第3の領域よりも低抵抗である、半導体装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置に関する。または、本発明は、例えば、トランジスタおよび半導体装置の製造方法に関する。または、本発明は、例えば、表示装置、発光装置、照明装置、蓄電装置、記憶装置、プロセッサ、電子機器に関する。または、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の製造方法に関する。または、表示装置、液晶表示装置、発光装置、記憶装置、電子機器の駆動方法に関する。
【0002】
なお、本発明の一態様は、上記の技術分野に限定されない。本明細書等で開示する発明の一態様の技術分野は、物、方法、または、製造方法に関するものである。または、本発明の一態様は、プロセス、マシン、マニュファクチャ、または、組成物(コンポジション・オブ・マター)に関するものである。
【0003】
なお、本明細書等において半導体装置とは、半導体特性を利用することで機能しうる装置全般を指す。表示装置、発光装置、照明装置、電気光学装置、記憶装置、半導体回路および電子機器は、半導体装置を有する場合がある。
【背景技術】
【0004】
シリコン(Si)を半導体層に用いたトランジスタと、酸化物半導体(Oxide Semiconductor:OS)を半導体層に用いたトランジスタ(以下、OSトランジスタと呼ぶ)と、を組み合わせてデータの読み出しと書き込みを可能にした半導体装置が注目されている(特許文献1参照)。
【0005】
また、近年、扱われるデータ量の増大に伴って、より大きな記憶容量を有する半導体装置が求められている。単位面積あたりの記憶容量を増加させるためには、メモリセルを積層して形成することが有効である(特許文献2、3参照)。メモリセルを積層して設けることにより、単位面積あたりの記憶容量をメモリセルの積層数に応じて増加させることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【文献】特開2011-119674
【文献】特開2011-66417
【文献】特開2016-225613
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することを課題の一とする。または、メモリセルを積層した新規な構造の半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規な構造の半導体装置の駆動方法を提供することを課題の一とする。または、生産性の高い半導体装置を提供することを課題の一とする。
【0008】
または、上記いずれかの半導体装置を有するモジュールを提供することを課題の一とする。または、上記いずれかの半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することを課題の一とする。または、新規な半導体装置を提供することを課題の一とする。または、新規なモジュールを提供することを課題の一とする。または、新規な電子機器を提供することを課題の一とする。
【0009】
なお、これらの課題の記載は、他の課題の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの課題の全てを解決する必要はないものとする。なお、これら以外の課題は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の課題を抽出することが可能である。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様は、メモリセルを有する半導体装置であって、メモリセルは、第1の導電体と、第1の導電体上の第1の絶縁体と、第1の絶縁体上の、第1の領域、第2の領域、および第1の領域と第2の領域との間に配置された第3の領域を有する第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の絶縁体と、第2の絶縁体上の第2の導電体と、第1の領域の側面に接して配置された第3の絶縁体と、第1の領域の側面に、第3の絶縁体を介して配置された第2の酸化物と、を有し、第1の領域は、第1の導電体と重畳する領域を有し、第3の領域は、第2の導電体と重畳する領域を有し、第1の領域、および第2の領域は、第3の領域よりも低抵抗である。
【0011】
本発明の一態様は、メモリセルを有する半導体装置であって、メモリセルは、第1の導電体と、第1の導電体上の第1の絶縁体と、第1の絶縁体上の、第1の領域、第2の領域、および第1の領域と第2の領域との間に配置された第3の領域を有する第1の酸化物と、第1の酸化物上の第2の絶縁体と、第2の絶縁体上の第2の導電体と、第1の領域の側面に接して配置された第3の絶縁体と、第1の領域の側面に、第3の絶縁体を介して配置された第2の酸化物と、を有し、第1の領域は、第1の導電体と重畳する領域を有し、第3の領域は、第2の導電体と重畳する領域を有し、第1の領域、および第2の領域は、第3の領域よりも低抵抗であり、第1の導電体、第1の絶縁体、および第1の領域は、容量素子として機能し、第1の酸化物、第2の絶縁体、および第2の導電体は、第1のトランジスタとして機能し、第2の酸化物、第3の絶縁体、および第1の領域は、第2のトランジスタとして機能する。
【0012】
上記構成において、第1の導電体、第2の導電体、第1の絶縁体、および第2の絶縁体は、開口を有し、第2の酸化物は、第3の絶縁体を介して、開口内に配置される。
【0013】
上記構成において、第1の酸化物、および第2の酸化物は、Inと、元素M(MはAl、Ga、Y、またはSn)と、Znと、を有する。
【0014】
上記構成において、半導体装置は、基体を有し、基体上に、複数のメモリセルを有する。
【0015】
上記構成において、半導体装置は、第4の絶縁体と、を有し、半導体装置は、基体が有する一の面に対して水平な方向に、mh個(mhは2以上の整数)のメモリセルを有し、第4の絶縁体は、第1の絶縁体と、第2の絶縁体との間に配置され、第1の酸化物の側面と接し、mh個のメモリセルは、第4の絶縁体により、素子分離されている。
【0016】
上記構成において、半導体装置は、基体が有する一の面に対して垂直な方向に、mv個(mvは2以上の整数)のメモリセルを有する。
【0017】
上記構成において、第2の酸化物は、mv個のメモリセルで共通して設けられる。
【発明の効果】
【0018】
単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することができる。または、メモリセルを積層した新規な構造の半導体装置を提供することができる。または、新規な構造の半導体装置の駆動方法を提供することができる。または、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0019】
または、上記いずれかの半導体装置を有するモジュールを提供することができる。または、上記いずれかの半導体装置、または該モジュールを有する電子機器を提供することができる。または、新規な半導体装置を提供することができる。または、新規なモジュールを提供することができる。または、新規な電子機器を提供することができる。
【0020】
なお、これらの効果の記載は、他の効果の存在を妨げるものではない。なお、本発明の一態様は、これらの効果の全てを有する必要はない。なお、これら以外の効果は、明細書、図面、請求項などの記載から、自ずと明らかとなるものであり、明細書、図面、請求項などの記載から、これら以外の効果を抽出することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図および断面図。
【
図2】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
【
図3】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
【
図4】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
【
図5】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する回路図。
【
図6】本発明の一態様に係る半導体装置の駆動方法を説明するタイミングチャート。
【
図7】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する模式図。
【
図8】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図および平面図。
【
図9】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する平面図。
【
図10】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図および平面図。
【
図11】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する平面図。
【
図12】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する平面図。
【
図13】本発明の一態様に係る半導体装置を説明する断面図。
【
図14】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図15】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図16】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図17】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図18】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図19】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図20】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図21】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図22】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図23】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図24】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図25】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図26】本発明の一態様に係る半導体装置の作製方法を説明する平面図および断面図。
【
図28】本発明の一態様に係るAIシステムの構成例を示すブロック図。
【
図29】本発明の一態様に係るAIシステムの応用例を説明するブロック図。
【
図30】本発明の一態様に係るAIシステムを組み込んだICの構成例を示す斜視模式図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。ただし、本発明は以下の説明に限定されず、その形態および詳細を様々に変更し得ることは、当業者であれば容易に理解される。また、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、図面を用いて発明の構成を説明するにあたり、同じものを指す符号は異なる図面間でも共通して用いる。なお、同様のものを指す際にはハッチパターンを同じくし、特に符号を付さない場合がある。
【0023】
以下の実施の形態に示す構成は、実施の形態に示す他の構成に対して適宜、適用、組み合わせ、又は置き換えなどを行って、本発明の一態様とすることができる。
【0024】
なお、図において、大きさ、膜(層)の厚さ、または領域は、明瞭化のために誇張されている場合がある。
【0025】
なお、本明細書において、「膜」という表記と、「層」という表記と、を互いに入れ替えることが可能である。
【0026】
また、電圧は、ある電位と、基準の電位(例えば接地電位(GND)またはソース電位)との電位差のことを示す場合が多い。よって、電圧を電位と言い換えることが可能である。一般的に、電位(電圧)は、相対的なものであり、基準の電位からの相対的な大きさによって決定される。したがって、「接地電位」などと記載されている場合であっても、電位が0Vであるとは限らない。例えば、回路で最も低い電位が、「接地電位」となる場合もある。または、回路で中間くらいの電位が、「接地電位」となる場合もある。その場合には、その電位を基準として、正の電位と負の電位が規定される。
【0027】
なお、第1、第2として付される序数詞は便宜的に用いるものであり、工程順または積層順を示すものではない。そのため、例えば、「第1の」を「第2の」または「第3の」などと適宜置き換えて説明することができる。また、本明細書などに記載されている序数詞と、本発明の一態様を特定するために用いられる序数詞は一致しない場合がある。
【0028】
本明細書において、AとBとが接続されている、とは、AとBとが直接接続されているものの他、電気的に接続されているものを含むものとする。ここで、AとBとが電気的に接続されているとは、AとBとの間で、何らかの電気的作用を有する対象物が存在するとき、AとBとの電気信号の授受を可能とするものをいう。
【0029】
なお、本明細書において、トランジスタのソースとは、活性層として機能する半導体膜の一部であるソース領域、或いは上記半導体膜に接続されたソース電極を意味する。同様に、トランジスタのドレインとは、上記半導体膜の一部であるドレイン領域、或いは上記半導体膜に接続されたドレイン電極を意味する。また、ゲートはゲート電極を意味する。
【0030】
トランジスタが有するソースとドレインは、トランジスタの導電型及び各端子に与えられる電位の高低によって、その呼び方が入れ替わる。一般的に、nチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がソースと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれる。また、pチャネル型トランジスタでは、低い電位が与えられる端子がドレインと呼ばれ、高い電位が与えられる端子がソースと呼ばれる。本明細書では、便宜上、ソースとドレインとが固定されているものと仮定して、トランジスタの接続関係を説明する場合があるが、実際には上記電位の関係に従ってソースとドレインの呼び方が入れ替わる。
【0031】
本明細書において、特に断りがない場合、オフ電流とは、トランジスタがオフ状態にあるときのドレイン電流をいう。オフ状態とは、特に断りがない場合、nチャネル型トランジスタでは、ゲートとソースの間の電位差(VGS)がしきい値電圧(Vth)よりも低い状態、pチャネル型トランジスタでは、VGSがVthよりも高い状態をいう。例えば、nチャネル型のトランジスタのオフ電流とは、VGSがVthよりも低いときのドレイン電流を言う場合がある。トランジスタのオフ電流は、VGSに依存する場合がある。従って、トランジスタのオフ電流が10-21A以下である、とは、トランジスタのオフ電流が10-21A以下となるVGSの値が存在することを言う場合がある。
【0032】
また、トランジスタのオフ電流は、ドレインとソースの間の電位差(VDS)に依存する場合がある。本明細書において、オフ電流は、特に記載がない場合VDSの絶対値が0.1V、0.8V、1V、1.2V、1.8V、2.5V、3V、3.3V、10V、12V、16V、または20Vにおけるオフ電流を表す場合がある。または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等の信頼性が保証されるVDS、または、当該トランジスタが含まれる半導体装置等において使用されるVDSにおけるオフ電流、を表す場合がある。
【0033】
なお、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分低い場合は「絶縁体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「絶縁体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「絶縁体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「絶縁体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
【0034】
また、「半導体」と表記した場合でも、例えば、導電性が十分高い場合は「導電体」としての特性を有する場合がある。また、「半導体」と「導電体」は境界が曖昧であり、厳密に区別できない場合がある。したがって、本明細書に記載の「半導体」は、「導電体」と言い換えることができる場合がある。同様に、本明細書に記載の「導電体」は、「半導体」と言い換えることができる場合がある。
【0035】
また、本明細書等において、「絶縁体」という用語を、絶縁膜または絶縁層と言い換えることができる。また、「導電体」という用語を、導電膜または導電層と言い換えることができる。また、「半導体」という用語を、半導体膜または半導体層と言い換えることができる。
【0036】
なお、半導体の不純物とは、例えば、半導体を構成する主成分以外をいう。例えば、濃度が0.1原子%未満の元素は不純物である。不純物が含まれることにより、例えば、半導体にDOS(Density of States)が形成されることや、キャリア移動度が低下することや、結晶性が低下することなどが起こる場合がある。半導体が酸化物半導体である場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、第1族元素、第2族元素、第13族元素、第14族元素、第15族元素、主成分以外の遷移金属などがあり、特に、例えば、水素(水にも含まれる)、リチウム、ナトリウム、シリコン、ホウ素、リン、炭素、窒素などがある。酸化物半導体の場合、例えば水素などの不純物の混入によって酸素欠損を形成する場合がある。また、半導体がシリコンである場合、半導体の特性を変化させる不純物としては、例えば、酸素、水素を除く第1族元素、第2族元素、第13族元素、第15族元素などがある。
【0037】
なお、チャネル長とは、例えば、トランジスタの上面図において、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソース(ソース領域またはソース電極)とドレイン(ドレイン領域またはドレイン電極)との間の距離をいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル長が全ての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル長は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル長は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0038】
チャネル幅とは、例えば、半導体(またはトランジスタがオン状態のときに半導体の中で電流の流れる部分)とゲート電極とが互いに重なる領域、またはチャネルが形成される領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さをいう。なお、一つのトランジスタにおいて、チャネル幅がすべての領域で同じ値をとるとは限らない。即ち、一つのトランジスタのチャネル幅は、一つの値に定まらない場合がある。そのため、本明細書では、チャネル幅は、チャネルの形成される領域における、いずれか一の値、最大値、最小値または平均値とする。
【0039】
なお、トランジスタの構造によっては、実際にチャネルの形成される領域におけるチャネル幅(以下、実効的なチャネル幅と呼ぶ。)と、トランジスタの上面図において示されるチャネル幅(以下、見かけ上のチャネル幅と呼ぶ。)と、が異なる場合がある。例えば、立体的な構造を有するトランジスタでは、実効的なチャネル幅が、トランジスタの上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも大きくなり、その影響が無視できなくなる場合がある。例えば、微細かつ立体的な構造を有するトランジスタでは、半導体の側面に形成されるチャネル形成領域の割合が大きくなる場合がある。その場合は、上面図において示される見かけ上のチャネル幅よりも、実際に形成されるチャネルの実効的なチャネル幅の方が大きくなる。
【0040】
ところで、立体的な構造を有するトランジスタにおいては、実効的なチャネル幅の、実測による見積もりが困難となる場合がある。例えば、設計値から実効的なチャネル幅を見積もるためには、半導体の形状が既知という仮定が必要である。したがって、半導体の形状が正確にわからない場合には、実効的なチャネル幅を正確に測定することは困難である。
【0041】
そこで、本明細書では、トランジスタの上面図において、半導体とゲート電極とが互いに重なる領域における、ソースとドレインとが向かい合っている部分の長さである見かけ上のチャネル幅を、「囲い込みチャネル幅(SCW:Surrounded Channel Width)」と呼ぶ場合がある。また、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、囲い込みチャネル幅または見かけ上のチャネル幅を指す場合がある。または、本明細書では、単にチャネル幅と記載した場合には、実効的なチャネル幅を指す場合がある。なお、チャネル長、チャネル幅、実効的なチャネル幅、見かけ上のチャネル幅、囲い込みチャネル幅などは、断面TEM像などを取得して、その画像を解析することなどによって、値を決定することができる。
【0042】
なお、トランジスタの電界効果移動度や、チャネル幅あたりの電流値などを計算して求める場合、囲い込みチャネル幅を用いて計算する場合がある。その場合には、実効的なチャネル幅を用いて計算する場合とは異なる値をとる場合がある。
【0043】
本明細書において、「平行」とは、二つの直線が-10°以上10°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、-5°以上5°以下の場合も含まれる。また、「略平行」とは、二つの直線が-30°以上30°以下の角度で配置されている状態をいう。また、「垂直」とは、二つの直線が80°以上100°以下の角度で配置されている状態をいう。したがって、85°以上95°以下の場合も含まれる。また、「略垂直」とは、二つの直線が60°以上120°以下の角度で配置されている状態をいう。
【0044】
また、本明細書において、結晶が三方晶または菱面体晶である場合、六方晶系として表す。
【0045】
なお、本明細書等において、酸化窒化シリコン膜とは、その組成として、窒素よりも酸素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは酸素が55原子%以上65原子%以下、窒素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。また、窒化酸化シリコン膜とは、その組成として、酸素よりも窒素の含有量が多いものである。例えば、好ましくは窒素が55原子%以上65原子%以下、酸素が1原子%以上20原子%以下、シリコンが25原子%以上35原子%以下、水素が0.1原子%以上10原子%以下の濃度範囲で含まれるものをいう。
【0046】
本明細書等において、金属酸化物(metal oxide)とは、広い表現での金属の酸化物である。金属酸化物は、酸化物絶縁体、酸化物導電体(透明酸化物導電体を含む)、酸化物半導体(Oxide Semiconductorまたは単にOSともいう)などに分類される。例えば、トランジスタの活性層に金属酸化物を用いた場合、当該金属酸化物を酸化物半導体と呼称する場合がある。つまり、OSトランジスタと記載する場合においては、金属酸化物または酸化物半導体を有するトランジスタと換言することができる。
【0047】
また、本明細書等について、In:Ga:Zn=4:2:3またはその近傍とは、原子数の総和に対して、Inが4の場合、Gaが1以上3以下(1≦Ga≦3)であり、Znが2以上4.1以下(2≦Zn≦4.1)とする。また、In:Ga:Zn=5:1:6またはその近傍とは、原子数の総和に対して、Inが5の場合、Gaが0.1より大きく2以下(0.1<Ga≦2)であり、Znが5以上7以下(5≦Zn≦7)とする。また、In:Ga:Zn=1:1:1またはその近傍とは、原子数の総和に対して、Inが1の場合、Gaが0.1より大きく2以下(0.1<Ga≦2)であり、Znが0.1より大きく2以下(0.1<Zn≦2)とする。
【0048】
(実施の形態1)
本実施の形態では、開示する発明の一態様に係る半導体装置の回路構成および動作について、
図1乃至
図6を参照して説明する。
【0049】
〈メモリセル〉
はじめに、後述する半導体装置のメモリセルの回路構成について、
図1(A)及び
図1(B)を参照して説明する。ここで、
図1(A)は半導体装置の立体的な構成に対応させて、メモリセル10の回路構成を立体的に示した回路図の一例であり、
図1(B)は、メモリセル10の構成例を示す断面模式図である。
【0050】
メモリセル10は、トランジスタ11と、トランジスタ12と、容量素子14とを有する。また、メモリセル10は、配線WBL、配線RWL、配線WWL、配線SLおよび配線RBLに電気的に接続されている。なお、以降の説明ではトランジスタ11およびトランジスタ12をnチャネル型トランジスタとして説明を行う。
【0051】
図1(A)、(B)に示すメモリセル10において、配線SLとトランジスタ11のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線RBLとトランジスタ11のドレイン電極(またはソース電極)は電気的に接続されている。また、配線WBLとトランジスタ12のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線WWLとトランジスタ12のゲート電極は電気的に接続されている。そして、トランジスタ11のゲート電極とトランジスタ12のドレイン電極(またはソース電極)は、容量素子14の電極の一方と電気的に接続され、配線RWLと容量素子14の電極の他方は電気的に接続されている。
【0052】
ここで、トランジスタ12には、OSトランジスタを用いることが好ましい。詳しくは後述するが、OSトランジスタは、オフ電流が極めて小さいという特徴を有している。このため、トランジスタ12をオフ状態とすることで、トランジスタ11のゲート電極の電位を極めて長時間にわたって保持することが可能である。そして、容量素子14を有することにより、トランジスタ11のゲート電極に与えられた電荷の保持が容易になり、また、保持された情報の読み出しが容易になる。
【0053】
また、トランジスタ11にもOSトランジスタを用いることが好ましい。トランジスタ11をOSトランジスタとすることで、配線SLと配線RBLの間に流れる貫通電流を低減することができる。
【0054】
図1(A)、(B)に示すメモリセル10では、トランジスタ11のゲート電極の電位が保持可能という特徴を生かすことで、次のように、情報の書き込み、保持、読み出しが可能である。
【0055】
はじめに、情報の書き込みおよび保持について説明する。まず、配線WWLの電位を、トランジスタ12がオン状態となる電位にして、トランジスタ12をオン状態とする。これにより、配線WBLの電位が、トランジスタ12のドレイン電極(またはソース電極)と、トランジスタ11のゲート電極と、容量素子14の一方の電極が電気的に接続されたノード(ノードFNとも表記する)に与えられる。すなわち、トランジスタ11のゲート電極には、所定の電荷が与えられる(書き込み)。ここでは、異なる二つの電位を与える電荷(以下、低電位を与える電荷を電荷QL、高電位を与える電荷を電荷QHという)のいずれかが与えられるものとする。なお、異なる三つまたはそれ以上の電位を与える電荷を適用して、記憶容量を向上させても良い。その後、配線WWLの電位を、トランジスタ12がオフ状態となる電位にして、トランジスタ12をオフ状態とすることにより、トランジスタ11のゲート電極に与えられた電荷が保持される(保持)。
【0056】
トランジスタ12のオフ電流は極めて小さいため、トランジスタ11のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。
【0057】
次に、情報の読み出しについて説明する。配線SLに所定の電位(定電位)を与えた状態で、配線RWLに適切な電位(読み出し電位)を与えると、トランジスタ11のゲート電極に保持された電荷量に応じて、配線RBLは異なる電位をとる。トランジスタ11のゲート電極にQHが与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Hは、トランジスタ11のゲート電極にQLが与えられている場合の見かけのしきい値電圧Vth_Lより低くなるためである。ここで、見かけのしきい値電圧とは、トランジスタ11を「オフ状態」から「オン状態」または「オン状態」から「オフ状態」とするために必要な配線RWLの電位をいうものとする。したがって、配線RWLの電位をVth_HとVth_Lの間の電位V0とすることにより、トランジスタ11のゲート電極に与えられた電荷を判別できる。例えば、書き込みにおいてQHが与えられた場合には、配線RWLの電位がV0(>Vth_H)となれば、トランジスタ11は「オン状態」となる。QLが与えられた場合には、配線RWLの電位がV0(<Vth_L)となっても、トランジスタ11は「オフ状態」のままである。このため、配線RBLの電位を検出することで、保持されている情報を読み出すことができる。
【0058】
なお、メモリセルをマトリクス状に配置して用いる場合には、所望のメモリセルの情報のみを読み出せることが必要になる。このように、所定のメモリセルの情報を読み出し、それ以外のメモリセルの情報を読み出さないようにするには、各メモリセル間でトランジスタ11がそれぞれ直列に接続されている場合には、読み出しの対象ではないメモリセルの配線RWLに対して、ゲート電極の状態にかかわらずトランジスタ11が「オン状態」となるような電位、つまり、Vth_Lより大きい電位を与えればよい。この際、配線RWLにVth_Lより大きい電位を与えると、容量素子14を介して、トランジスタ11のゲート電極にトランジスタ11が「オン状態」となるような電位が加わり、トランジスタ11をノードFNに保存されたデータに依存せずにオン状態とすることができる。
【0059】
次に、情報の書き換えについて説明する。情報の書き換えは、上記情報の書き込みおよび保持と同様に行われる。つまり、配線WWLの電位を、トランジスタ12がオン状態となる電位にして、トランジスタ12をオン状態とする。これにより、配線WBLの電位(新たな情報に係る電位)が、トランジスタ11のゲート電極および容量素子14に与えられる。その後、配線WWLの電位を、トランジスタ12がオフ状態となる電位にして、トランジスタ12をオフ状態とすることにより、トランジスタ11のゲート電極は、新たな情報に係る電荷が与えられた状態となる。
【0060】
このように、開示する発明に係る半導体装置は、再度の情報の書き込みによって直接的に情報を書き換えることが可能である。このためフラッシュメモリの消去動作などにおいて必要とされる高電圧を用いてのフローティングゲートからの電荷の引き抜きが不要であり、動作速度の低下を抑制することができる。つまり、半導体装置の高速動作が実現される。
【0061】
なお、トランジスタ12のドレイン電極(またはソース電極)と、トランジスタ11のゲート電極と、容量素子14の一方の電極が電気的に接続されたノードFNは、不揮発性メモリ素子として用いられるフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用を奏する。トランジスタ12がオフの場合、当該ノードFNは絶縁体中に埋設されていると見ることができ、ノードFNには電荷が保持される。酸化物半導体を用いたトランジスタ12のオフ電流は、シリコン半導体で形成されるトランジスタの10万分の1以下であるため、ノードFNに蓄積された電荷を長期間保持することが可能である。つまり、酸化物半導体を用いたトランジスタ12により、電力の供給が無くても情報の長期間保持が可能な記憶装置を実現することが可能である。
【0062】
例えば、トランジスタ12の室温(25℃)でのオフ電流が10zA(1zA(ゼプトアンペア)は1×10-21A)以下であり、容量素子14の容量値が10fF程度である場合には、少なくとも104秒以上のデータ保持が可能である。なお、当該保持時間が、トランジスタ特性や容量値によって変動することはいうまでもない。
【0063】
また、本実施の形態に示すメモリセル10においては、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて指摘されているゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題が存在しない。つまり、従来問題とされていた、電子をフローティングゲートに注入する際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解消することができる。これは、原理的な書き込み回数の制限が存在しないことを意味するものである。また、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて書き込みや消去の際に必要であった高電圧も不要である。
【0064】
メモリセル10においては、ノードFNが、フラッシュメモリ等のフローティングゲート型トランジスタのフローティングゲートと同等の作用をするが、本実施の形態のノードFNは、フラッシュメモリ等のフローティングゲートと本質的に異なる特徴を有している。フラッシュメモリでは、コントロールゲートに印加される電位が高いため、その電位が、隣接するセルのフローティングゲートに影響を与えないように、セルとセルとの間隔をある程度保つ必要が生じる。このことは、半導体装置の高集積化を阻害する要因の一つである。そして、当該要因は、高電界をかけてトンネル電流を発生させるというフラッシュメモリの根本的な原理に起因するものである。
【0065】
一方、本実施の形態に係る半導体装置は、酸化物半導体を用いたトランジスタのスイッチングによって動作し、上述のようなトンネル電流による電荷注入の原理を用いない。すなわち、フラッシュメモリのような、電荷を注入するための高電界が不要である。これにより、隣接セルに対する、コントロールゲートによる高電界の影響を考慮する必要がないため、高集積化が容易になる。
【0066】
なお、半導体装置の記憶容量を大きくするためには、高集積化以外に、多値化の手法を採ることもできる。例えば、メモリセルの一に3段階以上の情報を書き込む構成とすることで、2値(1ビット)の情報を書き込む場合と比較して記憶容量を増大させることができる。例えば、上述のような、低電位を与える電荷QL、高電位を与える電荷QHに加え、他の電位を与える電荷Qをトランジスタ11のゲート電極に与えることで、多値化を実現することができる。多値のデータとしては、例えば、4値(2ビット)、8値(3ビット)、16値(4ビット)などのデータを保持できるようにすればよい。
【0067】
図1(B)に示すように、メモリセル10は、トランジスタ11、トランジスタ12、および容量素子14を有する。トランジスタ11のソース又はドレインの一方として機能する領域は配線RBLと電気的に接続されている。トランジスタ11のソース又はドレインの他方として機能する領域は配線SLと電気的に接続されている。トランジスタ12のゲートとして機能する導電層は、紙面奥方向に延伸して設けられており、配線WWLとしても機能する。容量素子14の電極の一方として機能する導電層は、紙面奥方向に延伸して設けられており、配線RWLとしても機能する。トランジスタ12のソース又はドレインの一方として機能する領域は、配線WBLと電気的に接続されている。トランジスタ12のソース又はドレインの他方として機能する領域は、ノードFNとして機能する。
【0068】
図1(B)に示すメモリセル10のより具体的な構成については、実施の形態2において説明する。
【0069】
後述するメモリセルアレイにおいて、メモリセル10は
図1(A)(B)等に示すように、トランジスタ11のチャネル長方向、トランジスタ12のチャネル長方向、配線SL、配線RBL、配線WBL、配線RWL及び配線WWLが立体的に交差して設けられることが好ましい。
【0070】
トランジスタ11のチャネル長方向とトランジスタ12のチャネル長方向が略垂直であることが好ましい。また、メモリセル10が設けられる基板の上面に対して、トランジスタ11のチャネル長方向は略垂直であり、トランジスタ12のチャネル長方向は略平行であることが好ましい。
【0071】
また、配線RBL、配線SL及び配線WBLに対して、配線WWL及び配線RWLは略垂直であることが好ましい。また、メモリセル10が設けられる基板の上面に対して配線RBL、配線SL及び配線WBLは略垂直であり、配線WWL及び配線RWLは略平行であることが好ましい。
【0072】
このようにメモリセル10を構成することにより、後述するように複数のメモリセル10は、それぞれのトランジスタ11において直列に接続するように積層させることができる。これにより、メモリセル10の積層数に応じて、単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる半導体装置を提供することができる。
【0073】
また、上述のようにトランジスタ11をチャネル長方向が基板の上面に垂直になるように設ける回路構成とすることで、ゲート電極が半導体の周囲を囲み、ソースとドレインがトランジスタの上下に設けられる構造の縦型トランジスタ(SGT:Surrounding Gate Transistor)を容易に用いることができる。標準的なプレーナー型のトランジスタに対して、SGTは占有面積が非常に小さい。これにより、さらに単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる。
【0074】
〈メモリセルアレイ〉
次に、
図1に示す回路を応用した、より具体的な回路構成および動作について、
図2乃至
図6を参照して説明する。
【0075】
3次元メモリセルアレイ40と、選択トランジスタアレイ50と、駆動回路51と、読み出し回路52と、駆動回路53と、駆動回路54と、を有する半導体装置のブロック回路図の一例を
図2に示す。なお、以下においては、
図2に示すように、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系を便宜上設定して説明する。
【0076】
図3に3次元メモリセルアレイ40の回路図の一例を示す。また、
図4に3次元メモリセルアレイ40に含まれる2次元メモリセルアレイ30[1]のブロック回路図の一例を示す。ただし、
図4は2次元メモリセルアレイ30[1]のブロック回路図の一例を平面的に表しており、一部のx軸方向の構成については疑似的にyz平面上に表現している。また、
図5に選択トランジスタアレイ50、駆動回路51、読み出し回路52、および駆動回路54のブロック回路図の一例を示す。
【0077】
選択トランジスタアレイ50、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53および駆動回路54は、xy平面に略平行な基板面上に形成されており、選択トランジスタアレイ50の上に3次元メモリセルアレイ40が形成されている。
【0078】
図2および
図3に示すように、3次元メモリセルアレイ40は、m
1×m
2×m
3個(m
1、m
2、m
3は自然数)のメモリセル10を有しており、x軸方向にm
1個、y軸方向にm
2個、z軸方向にm
3個のメモリセル10が直方体状に配列している。以下、メモリセル10に座標を付して、メモリセル10(1,1,1)乃至(m
1,m
2,m
3)のように示す場合がある。
【0079】
また、
図3に示すように、3次元メモリセルアレイ40は、z軸方向に伸長して設けられた、m
1×m
2本の配線SL、配線RBL及び配線WBLと、y軸方向に伸長して設けられた、m
1×m
3本の配線RWL及び配線WWLと、を有する。以下、
図3に示すように配線SLにx軸方向、y軸方向の座標を付して、配線SL[1,1]乃至[m
1,m
2]のように示す場合がある。同様に、配線RBL[1,1]乃至[m
1,m
2]、配線WBL[1,1]乃至[m
1,m
2]のように示す場合がある。また、
図3に示すように配線RWLにx軸方向、z軸方向の座標を付して、配線RWL[1,1]乃至[m
1,m
3]のように示す場合がある。同様に、配線WWL[1,1]乃至[m
1,m
3]のように示す場合がある。
【0080】
図2に示すように、3次元メモリセルアレイ40は、x軸方向に配列して設けられた、m
1個の2次元メモリセルアレイ30から構成される。以下、2次元メモリセルアレイ30にx軸方向の座標を付して、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m
1]のように示す場合がある。
【0081】
また、
図2に示すように、各2次元メモリセルアレイ30は、y軸方向に配列して設けられた、m
2個のメモリセルストリング20から構成される。以下、メモリセルストリング20にx軸方向、y軸方向の座標を付して、メモリセルストリング20[1,1]乃至[m
1,m
2]のように示す場合がある。各メモリセルストリング20は、z軸方向に配列して設けられた、m
3個のメモリセル10を有している。ここで、各2次元メモリセルアレイ30はm
2個のメモリセルストリング20から構成されるので、2次元メモリセルアレイ30では、y軸方向にm
2個、z軸方向にm
3個のメモリセル10がマトリクス状に配列していることになる。
【0082】
メモリセル10は、
図1(A)に示すように、トランジスタ11、トランジスタ12及び容量素子14を有し、配線SL、配線RBL、配線WBL、配線RWL及び配線WWLと電気的に接続される。ただし、
図2及び
図4に示す通り、各メモリセルストリング20を構成するメモリセル10は、トランジスタ11においてz軸方向に直列に接続されている。よって、メモリセル(i
1,i
2,1)(i
1は1以上m
1以下の自然数、i
2は1以上m
2以下の自然数を示す。)のみが他のメモリセル10を介することなく配線RBL[i
1,i
2]と接続される。また、メモリセル(i
1,i
2,m
3)のみが他のメモリセル10を介することなく配線SL[i
1,i
2]と接続される。他のメモリセル10は、同じメモリセルストリング20の他のメモリセル10を介して配線RBLおよび配線SLと電気的に接続される。
【0083】
ここで、
図4に示す2次元メモリセルアレイ30[1]を例に、2次元メモリセルアレイ30の構造について説明する。
図4に示す2次元メモリセルアレイ30[1]は、m
2本の配線SL[1,1]乃至[1,m
2]と、m
2本の配線RBL[1,1]乃至[1,m
2]と、m
2本の配線WBL[1,1]乃至[1,m
2]と、m
3本の配線RWL[1,1]乃至[1,m
3]と、m
3本の配線WWL[1,1]乃至[1,m
3]と、m
2×m
3個のマトリクス状に配列されたメモリセル10(1,1,1)乃至(1,m
2,m
3)と、を有する。
【0084】
なお、以下において、2次元メモリセルアレイ30のマトリクス状の配線及びメモリセル10を行列にならって表現する場合がある。例えば、同じ2次元メモリセルアレイ30において、z座標が同じである複数のメモリセル10を同じ行のメモリセル10と表現することができる。また、同じ2次元メモリセルアレイ30において、y座標が同じである(同じメモリセルストリング20を構成するということもできる)複数のメモリセル10を同じ列のメモリセル10と表現することができる。また、y軸方向を行方向、z軸方向を列方向と表現することができる。なお、以下において、
図4などに示す2次元メモリセルアレイ30では下の行から順に1行目、2行目、……m
3行目とよび、左の列から順に1列目、2列目、……m
2列目とよぶ。
【0085】
配線SL[1,i2]はそれぞれ、メモリセル10(1、i2,m3)の対応するトランジスタ11のソース電極と電気的に接続され、配線RBL[1,i2]はそれぞれ、メモリセル10(1,i2,1)の対応するトランジスタ11のドレイン電極と電気的に接続される。
【0086】
また、配線WBL[1,i2]はそれぞれ、メモリセル10(1,i2,1)乃至(1,i2,m3)の対応するトランジスタ12のソース電極と電気的に接続される。言い換えると、同じ列のメモリセル10のトランジスタ12のソース電極は、同じ列の配線WBLと電気的に接続される。
【0087】
配線RWL[1,i3](i3は1以上m3以下の自然数を示す。)はそれぞれ、メモリセル10(1,1,i3)乃至(1,m2,i3)の対応する容量素子14の電極の他方と電気的に接続される。言い換えると、同じ行のメモリセル10の容量素子14の電極の他方は、同じ行の配線RWLと電気的に接続される。
【0088】
また、配線WWL[1,i3]はそれぞれ、メモリセル10(1,1,i3)乃至(1,m2,i3)の対応するトランジスタ12のゲート電極と電気的に接続される。言い換えると、同じ行のメモリセル10のトランジスタ12のゲート電極は、同じ行の配線WWLと電気的に接続される。
【0089】
メモリセル10(1,i2,i3A)(i3Aは1以上m3-1以下の自然数を示す。)のトランジスタ11のソース電極は、メモリセル10(1,i2,i3A+1)のトランジスタ11のドレイン電極と電気的に接続される。言い換えると、同じ列において、複数のメモリセル10は互いに、トランジスタ11のソース電極とトランジスタ11のドレイン電極とが電気的に接続される。
【0090】
このように、配線SL[1,i2]と配線RBL[1,i2]の間で、トランジスタ11において直列に接続されたメモリセル10(1,i2、1)乃至(1,i2、m3)によってメモリセルストリング20[1,i2]が構成される。
【0091】
このようにメモリセルストリング20には複数のメモリセル10が含まれており、それぞれのトランジスタ11が直列接続するように積層させることができる。メモリセルストリング20は、メモリセル10の積層数に応じて、メモリセルストリング20の記憶容量を増加させることができる。よって、複数のメモリセルストリング20から構成される3次元メモリセルアレイ40は、メモリセル10の積層数に応じて、単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる。
【0092】
ここで、
図5に示す選択トランジスタアレイ50の構造について説明する。選択トランジスタアレイ50は、m
1×m
2個のマトリクス状に配列された選択トランジスタセル60と、x軸方向に伸長して設けられた、m
2本の配線RBL及び配線WBLと、y軸方向に伸長して設けられた、m
1本の配線SG1及び配線SG2と、を有する。以下、選択トランジスタセル60にxy平面の座標を付して、選択トランジスタセル60(1,1)乃至(m
1,m
2)のように示す場合がある。また、配線RBL及び配線WBLにy軸方向の座標を付して、配線RBL[1]乃至[m
2]、配線WBL[1]乃至[m
2]のように示す場合がある。また、配線SG1及び配線SG2にx軸方向の座標を付して、配線SG1[1]乃至[m
1]、配線SG2[1]乃至[m
1]のように示す場合がある。
【0093】
各選択トランジスタセル60はトランジスタ61及びトランジスタ62を有している。選択トランジスタセル60(i1,i2)において、配線RBL[i2]とトランジスタ61のドレイン電極(またはソース電極)は電気的に接続され、配線RBL[i1,i2]とトランジスタ61のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線SG1[i1]とトランジスタ61のゲート電極は電気的に接続されている。また、選択トランジスタセル60(i1,i2)において、配線WBL[i2]とトランジスタ62のドレイン電極(またはソース電極)は電気的に接続され、配線WBL[i1,i2]とトランジスタ62のソース電極(またはドレイン電極)は電気的に接続され、配線SG2[i1]とトランジスタ62のゲート電極は電気的に接続されている。
【0094】
このように、各選択トランジスタセル60は各メモリセルストリング20に対応して設けられており、配線RBL[i2]と配線RBL[1,i2]乃至[m1,i2]との導通状態を各選択トランジスタセル60のトランジスタ61で選択し、配線WBL[i2]と配線WBL[1,i2]乃至[m1,i2]との導通状態を各選択トランジスタセル60のトランジスタ62で選択することができる。
【0095】
また、
図2および
図5に示すように、選択トランジスタアレイ50の周りには駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54が設けられている。駆動回路51には配線RBL[1]乃至[m
2]と配線WBL[1]乃至[m
2]とが接続されている。また、配線RBL[1]乃至[m
2]は、読み出し回路52にも接続されている。また、
図2に示すように、駆動回路53には、配線RWL[1,1]乃至[m
1,m
3]と配線WWL[1,1]乃至[m
1,m
3]とが接続されている。また、駆動回路54には配線SG1[1]乃至[m
1]と配線SG2[1]乃至[m
1]とが接続されている。
【0096】
図2および
図5において、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54をそれぞれ機能ごとに独立して設けているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではなく、複数の回路を一つの回路にまとめて設けてもよい。また、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54、並びに各回路に接続される配線の配置は、
図2または
図5に示す構成に限定されず、半導体装置に合わせて適宜設定すればよい。
【0097】
また、配線SL[1,1]乃至[m
1,m
2]は
図3では、2次元メモリセルアレイ30ごとに接続して設けられているが、この構成に限られるものではなく、例えば複数の配線SLをそれぞれ分割してもよいし、全部の配線SLを電気的に接続してもよい。また、配線SL[1,1]乃至[m
1,m
2]は、例えば、接地電位GNDまたは0Vなどを供給する低電源電位線と接続しておけばよい。
【0098】
また、
図2に示す半導体装置においては、選択トランジスタアレイ50の上に3次元メモリセルアレイ40を設ける構成としているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、3次元メモリセルアレイ40の上に選択トランジスタアレイ50を設ける構成としてもよい。その場合、選択トランジスタセル60のトランジスタ61とトランジスタ62は、例えば、トランジスタ12と同じように酸化物半導体を用いて設ければよい。
【0099】
また、駆動回路51、読み出し回路52、駆動回路53及び駆動回路54などの周辺回路の一部を3次元メモリセルアレイ40の下に設けてもよい。例えば、各メモリセルストリング20に対応させてマトリクス状に読み出し回路を設ける構成としてもよく、この場合、マトリクス状に設けられた読み出し回路と選択トランジスタセル60を積層して設ければよい。
【0100】
データの書き込み、保持、および読み出しは、基本的に
図1の場合と同様である。ただし、3次元メモリセルアレイ40においては、まず、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m
1]のいずれか一を選択してからデータの書き込みまたは読み出しを行う。また、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m
1]におけるデータの書き込み及び読み出しは少なくとも行単位で行われる。つまり、具体的な書き込みの動作は以下のようになる。なお、ここでは一例として、ノードFNに電位V2(電源電位VDDより低い電位)または基準電位GND(0Vと表す場合がある)のいずれかを与える場合について説明するが、ノードFNに与える電位の関係はこれに限られない。また、ノードFNに電位V2を与えた場合に保持されるデータをデータ”1”、ノードFNに基準電位GNDを与えた場合に保持されるデータをデータ”0”とする。また、配線SLには基準電位GNDを与えるものとする。
【0101】
データの書き込みでは、まず、複数の2次元メモリセルアレイ30のいずれか一を選択する。2次元メモリセルアレイ30の選択では、対応する配線SG2の電位をV1(例えば、VDD)として当該配線と電気的に接続されるトランジスタ62をオン状態とし、配線WBL[1]乃至[m2]と選択した2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線WBLとを導通状態にする。このとき、非選択の配線SG2の電位はGND(0V)とし、配線WBL[1]乃至[m2]と非選択の2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線WBLとは非導通状態とする。
【0102】
次に、選択した2次元メモリセルアレイ30において、書き込み対象の行のメモリセル10に接続される配線WWLの電位をV3(V2より高い電位、例えばVDD)として当該メモリセル10のトランジスタ12をオン状態とする。メモリセル10にデータ”0”を書き込む場合には、配線WBLに書き込み電位としてGNDを与え、メモリセル10にデータ”1”を書き込む場合には、配線WBLに書き込み電位として電位V2を与える。ここでは配線WWLの電位をV3としているため、ノードFNに電位V2を与えることが可能である。
【0103】
データの保持は、保持対象のメモリセル10に接続される配線WWLの電位をGNDとして当該メモリセル10のトランジスタ12をオフ状態とすることにより行われる。配線WWLの電位をGNDに固定すると、ノードFNの電位は書き込み時の電位に固定される。つまり、ノードFNにデータ”1”である電位V2が与えられている場合、ノードFNの電位はV2となり、ノードFNにデータ”0”であるGNDが与えられていれば、ノードFNの電位はGNDとなる。
【0104】
また、配線WWLにはGNDが与えられているため、データ”1”とデータ”0”のいずれが書き込まれた場合でも、トランジスタ12はオフ状態となる。トランジスタ12のオフ電流は極めて小さいから、トランジスタ11のゲート電極の電荷は長時間にわたって保持される。このようにして保持対象のメモリセル10のノードFNに、書き込み電位に対応するデータを保持することができる。
【0105】
データの読み出しでは、まず、複数の2次元メモリセルアレイ30のいずれか一を選択する。2次元メモリセルアレイ30の選択では、対応する配線SG1の電位をV1(例えば、VDD)として当該配線と電気的に接続されるトランジスタ61をオン状態とし、配線RBL[1]乃至[m2]と選択した2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線RBLとを導通状態にする。このとき、非選択の配線SG1の電位はGND(0V)とし、配線RBL[1]乃至[m2]と非選択の2次元メモリセルアレイ30に含まれる配線RBLとは非導通状態とする。
【0106】
次に、選択した2次元メモリセルアレイ30において、読み出し対象の行のメモリセル10に接続される配線RWLの電位をGNDとし、当該配線RWLに接続される容量素子14の電極の他方の電位をGNDとする。また、読み出し対象ではない行のメモリセル10に接続される配線RWLの電位をV4(例えばVDD)とし、当該配線RWLに接続される容量素子14の電極の他方の電位をV4とする。
【0107】
読み出し対象の行のメモリセル10に接続される配線RWLの電位をGNDとすると、読み出し対象のメモリセル10のノードFNにデータ”1”である電位V2が与えられている場合、トランジスタ11はオン状態となる。一方で、ノードFNにデータ”0”であるGNDが与えられていれば、トランジスタ11はオフ状態となる。
【0108】
また、読み出し対象ではない行のメモリセル10に接続される配線RWLの電位をV4とすると、読み出し対象ではないメモリセル10にデータ”1”が書き込まれている場合、および、データ”0”が書き込まれている場合のいずれにおいても、トランジスタ11はオン状態となる。
【0109】
また、配線RBLは読み出し電位(例えばVDD)を与えた後、電気的に浮遊状態にする。読み出し対象のメモリセル10のトランジスタ11がオン状態になっていると、配線RBLと配線SLが導通して配線RBLの電位が下がる。これに対して、読み出し対象のメモリセル10のトランジスタ11がオフ状態になっていると、配線RBLと配線SLが導通しないので配線RBLの読み出し電位が維持される。このように、配線RBLの読み出し電位の変化から読み出し対象のメモリセルのデータを読み出すことができる。
【0110】
また、駆動方法として、ブロック毎のデータの一括消去動作を設けることが好ましい。例えば、2次元メモリセルアレイ30を1ブロックとすればよい。この場合、データを一括消去する2次元メモリセルアレイ30の選択は、データの書き込みと同様の方法で選択すればよい。当該2次元メモリセルアレイ30に接続される配線WWLにトランジスタ12をオン状態にする電位を与えることにより、1ブロックのデータを一括消去することができる。
【0111】
図6に、
図2に係る半導体装置の詳細な動作に係るタイミングチャートの一例を示す。
図6に示されるタイミングチャートは、2次元メモリセルアレイ30[1]の複数行の一括消去、2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目書き込み、および2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目読み出しについて各配線の電位の関係を示すものである。2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目書き込みは、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行第1列のメモリセルにデータ”1”を書き込むと共に、第1行の他の列(第2列乃至第m
2列)のメモリセルにデータ”0”を書き込む動作である。2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目読み出しは、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行目に書き込まれたデータを読み出す動作である。なお、当該読み出しでは、第1行第1列のメモリセルにデータ”1”が、第1行の他の列(第2列乃至第m
2列)のメモリセルにデータ”0”が格納されているとした。
【0112】
[一括消去]
2次元メモリセルアレイ30[1]の一括消去においては、まず、配線SG2[1]に電位V1を与えて、選択トランジスタセル60(1,1)乃至(1,m2)のトランジスタ62をオン状態にし、配線WBL[1]乃至[m2]を、対応する配線WBL[1,1]乃至[1,m2]と導通状態にする。また、配線SG2[2]乃至[m1]をGNDとして、選択トランジスタセル60(2,1)乃至(m1,m2)のトランジスタ62をオフ状態にし、配線WBL[1]乃至[m2]を、対応する配線WBL[2,1]乃至[m1,m2]と非導通状態にしておく。このようにして一括消去動作の対象として2次元メモリセルアレイ30[1]を選択する。
【0113】
2次元メモリセルアレイ30[1]において、配線WWL[1,1]乃至配線WWL[1,m3]に電位V3を与えて、第1行乃至第m3行のトランジスタ12をオン状態とすると共に、配線WBL[1]乃至[m2]をGNDとして第1行乃至第m3行のノードFNの電位をGNDにする。
【0114】
なお、2次元メモリセルアレイ30[2]乃至[m1]と電気的に接続される配線WWL[2,1]乃至[m1,m3]をGNDとして、メモリセル10(2,1,1)乃至(m1,m2,m3)のノードFNの電位を保持する。
【0115】
[書き込み]
2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目書き込みにおいては、まず、2次元メモリセルアレイ30[1]の一括消去と同様の動作で書き込み動作の対象として2次元メモリセルアレイ30[1]を選択する。
【0116】
2次元メモリセルアレイ30[1]において、配線WWL[1,1]に電位V3を与えて第1行のトランジスタ12をオン状態とし、配線WWL[1,2]乃至[1,m3]をGNDとして第2行乃至第m3行のトランジスタ12をオフ状態とする。このとき、配線WBL[1]に電位V2を与えて、配線WBL[2]乃至[m2]をGNDとする。また、配線RWL[1,1]乃至[1,m3]はGNDとしておけばよい。
【0117】
その結果、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行第1列のメモリセル10のノードFNには電位V2が与えられる、すなわちデータ”1”が書き込まれたこととなる。また、2次元メモリセルアレイ30[1]の第1行第2列乃至第m2列のノードFNには0Vが与えられる、すなわちデータ”0”が書き込まれたこととなる。
【0118】
なお、2次元メモリセルアレイ30[1]の一括消去と同様に、2次元メモリセルアレイ30[2]乃至[m1]と電気的に接続される配線WWL[2,1]乃至[m1,m3]をGNDとして、メモリセル10(2,1,1)乃至(m1,m2,m3)のノードFNの電位を保持する。
【0119】
[読み出し]
2次元メモリセルアレイ30[1]の1行目読み出しにおいては、まず、配線SG1[1]に電位V1を与えて、選択トランジスタセル60(1,1)乃至(1,m2)のトランジスタ61をオン状態にし、配線RBL[1]乃至[m2]を、対応する配線RBL[1,1]乃至[1,m2]と導通状態にする。また、配線SG1[2]乃至[m1]をGNDとして、選択トランジスタセル60(2,1)乃至(m1,m2)のトランジスタ61をオフ状態にし、配線RBL[1]乃至[m2]を、対応する配線RBL[2,1]乃至[m1,m2]と非導通状態にしておく。このようにして読み出し動作の対象として2次元メモリセルアレイ30[1]を選択する。
【0120】
2次元メモリセルアレイ30[1]において、読み出し対象の1行目のメモリセル10に接続される配線RWL[1,1]をGNDとする。また、読み出し対象ではないメモリセル10に接続される配線RWL[1,2]乃至[1,m3]に電位V4を与え、当該メモリセル10のトランジスタ11をオン状態とする。
【0121】
ここで、読み出し回路52は配線RBLにVDDを供給し、配線RBLを電気的に浮遊状態にする。
【0122】
その結果、メモリセル10にデータ”1”が書き込まれたメモリセル10(1,1,1)と接続される配線RBL[1]は、配線SL[1,1]と導通して電位が下がる。また、メモリセル10にデータ”0”が書き込まれたメモリセル10(1,2,1)乃至(1,m2,1)と接続される配線RBL[2]乃至[m2]は、配線SL[1,2]乃至[1,m2]と非導通なので電位VDDとなる。
【0123】
なお、配線WWL[1,1]乃至[m1,m3]をGNDとして、メモリセル10(1,1,1)乃至(m1,m2,m3)のノードFNの電位を保持する。
【0124】
なお、上記の半導体装置の駆動方法においては、メモリセルに2値(1ビット)のデータを書き込む場合について説明したが、メモリセルの一に3段階以上の情報を書き込む、多値化の手法をとってもよい。例えば、メモリセルに4値(2ビット)、8値(3ビット)、16値(4ビット)などのデータを保持できるようにしてもよい。
【0125】
本実施の形態に示す半導体装置では、酸化物半導体を用いたトランジスタはオフ電流が極めて小さいため、これを用いることにより極めて長期にわたり記憶内容を保持することが可能である。つまり、リフレッシュ動作が不要となるか、または、リフレッシュ動作の頻度を極めて低くすることが可能となるため、消費電力を十分に低減することができる。また、電力の供給がない場合(ただし、電位は固定されていることが望ましい)であっても、長期にわたって記憶内容を保持することが可能である。
【0126】
また、本実施の形態に示す半導体装置では、情報の書き込みに高い電圧を必要とせず、素子の劣化の問題もない。例えば、従来の不揮発性メモリのように、フローティングゲートへの電子の注入や、フローティングゲートからの電子の引き抜きを行う必要がないため、電子の引き抜きによるゲート絶縁層の劣化といった問題が生じない。すなわち、開示する発明に係る半導体装置では、従来の不揮発性メモリで問題となっている書き換え可能回数に制限はなく、信頼性が飛躍的に向上する。さらに、トランジスタのオン状態、オフ状態によって、情報の書き込みが行われるため、高速な動作も容易に実現しうる。
【0127】
本実施の形態に示す半導体装置では、メモリセルを積層して設けることにより、積層数に応じて単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる。よって、当該メモリセルにおいて上記のような良好な特性を得ることができ、さらに、従来のメモリと同等、またはそれ以上に単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することができる。
【0128】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0129】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に係る半導体装置の構成について、
図7乃至
図26を用いて説明する。
【0130】
<メモリセルおよびメモリセルアレイの構成>
メモリセル10および、当該メモリセル10が複数配列した3次元メモリセルアレイ40の構成について
図7乃至
図9を用いて説明する。
図7は、3次元メモリセルアレイ40の立体的な模式図である。
図8(A)は、メモリセル10を含む3次元メモリセルアレイ40の一部の断面図であり、
図8(B)、
図9(A)および
図9(B)に示す一点鎖線A1-A2に対応する。
図8(B)は、
図8(A)に示す層140の平面図である。また、
図9(A)は、
図8(A)に示す層141の平面図である。また、
図9(B)は、
図8(A)に示す層142の平面図である。なお、
図7乃至
図9において、
図2と同様に、x軸、y軸、z軸からなる直交座標系を便宜上設定して説明する。ここで、3次元メモリセルアレイ40が設けられる基板の上面は概略xy平面に平行であり、z軸は当該基板の上面に略垂直である。なお、
図7においては、メモリセル10の一部の構成(例えば、絶縁体116、絶縁体112など)を省略して表現している。
【0131】
図8(A)(B)、
図9(A)(B)に示すメモリセルアレイは、基板(図示せず)の上に絶縁体118が配置され、絶縁体118の上に層142が配置され、層142の上に絶縁体116が配置され、絶縁体116の上に層140が配置され、層140の上に絶縁体112が配置され、絶縁体112の上に層141が配置された、積層体を有する。当該積層体のうち、少なくとも層142、絶縁体116、層140、絶縁体112、および層141がメモリセル10を構成している。ここで、絶縁体118は、メモリセル10の上下を挟むように設けられており、層間絶縁膜として機能する。また、層142は、導電体122、絶縁体128、および絶縁体129を有する。また、層140は酸化物106および絶縁体130を有する。また、層141は、導電体114、絶縁体126、および絶縁体127を有する。
【0132】
上記積層体を貫通して第1の開口が設けられ、第1の開口の内側に絶縁体132が配置され、絶縁体132の内側に酸化物134が配置される。また、上記積層体を貫通して第2の開口が設けられ、第2の開口の内側に導電体120が配置される。また、上記積層体を貫通して第3の開口が設けられ、第3の開口の内側に絶縁体138が配置される。ここで、第1の開口および第2の開口は、z軸方向に延伸して形成される縦穴状の開口である。また、第3の開口は、z軸方向およびy軸方向に延伸して形成される溝状の開口である。
【0133】
このため、絶縁体132及び酸化物134は、第1の開口と同様にz軸方向に延伸して設けられる。なお、絶縁体132及び酸化物134は、柱状に形成されている、ということもできる。絶縁体132及び酸化物134は、
図2などに示すメモリセルストリング20に含まれる、電気的に直列に接続された複数のトランジスタ11の一部に対応する。
【0134】
ここで、トランジスタ11が設けられる第1の開口は
図8(B)等において、上面を円形状としているがこれに限られるものではなく、例えば上面を楕円形状としてもよいし、三角形、四角形などの多角形状にしてもよい。また、多角形状とする場合、角部が丸みを帯びている形状としてもよい。また、第1の開口の上面形状に合わせて、絶縁体132および酸化物134の上面形状も変化することがある。また、第1の開口は、上方の開口のz軸に垂直な断面積に比較して下方(基板側)の開口のz軸に垂直な断面積が狭くなる形状としてもよい。
【0135】
また、導電体120は、第2の開口と同様にz軸方向に延伸して設けられており、z軸方向に配列したメモリセル10において共有されている。なお、導電体120は、柱状に形成されている、ということもできる。導電体120は、
図3などに示す配線WBLとしての機能を有する。なお、
図8および
図9において、絶縁体132および酸化物134と導電体120とを、x軸方向に並べて配置しているが、これに限られることなく、例えば、x軸方向から傾いて、絶縁体132および酸化物134と導電体120とを並べて配置してもよい。
【0136】
ここで、導電体120が設けられる第2の開口は
図8(B)等において、上面を円形状としているがこれに限られるものではなく、例えば上面を楕円形状としてもよいし、三角形、四角形などの多角形状にしてもよい。また、多角形状とする場合、角部が丸みを帯びている形状としてもよい。また、第2の開口の上面形状に合わせて、導電体120の上面形状も変化することがある。また、第2の開口は、上方の開口の断面積に比較して下方(基板側)の開口の断面積が狭くなる形状としてもよい。
【0137】
また、絶縁体138は、第3の開口と同様にz軸方向およびy軸方向に延伸して設けられる。なお、絶縁体138は、壁状に形成されている、ということもできる。絶縁体138は比較的、比誘電率が低いことが好ましい。
【0138】
ここで、
図9(A)に示すように、層141において、導電体114は、絶縁体138で分断されており、y軸方向に延伸して設けられる。導電体114は、y軸方向に配列したメモリセル10において、共有されており、
図3などに示す配線WWLとしての機能を有する。また、導電体114は、導電体120に貫通されており、導電体114と導電体120との間には、導電体120の周囲を囲むように絶縁体126が形成される。例えば、絶縁体126は導電体114の側面を酸化して形成すればよい。このように絶縁体126が形成されることにより、配線WWLとして機能する導電体114と、配線WBLとして機能する導電体120が短絡することを防ぐことができる。また、導電体114は、絶縁体132および酸化物134に貫通されており、導電体114と絶縁体132との間には、絶縁体132の周囲を囲むように絶縁体127が形成される。例えば、絶縁体127は導電体114の側面を酸化して形成すればよい。
【0139】
また、
図9(B)に示すように、層142において、導電体122は、絶縁体138で分断されており、y軸方向に延伸して設けられる。導電体122は、y軸方向に配列したメモリセル10において、共有されており、
図3などに示す配線RWLとしての機能を有する。また、導電体122は、導電体120に貫通されており、導電体122と導電体120との間には、導電体120の周囲を囲むように絶縁体128が形成される。例えば、絶縁体128は導電体122の側面を酸化して形成すればよい。このように絶縁体128が形成されることにより、配線RWLとして機能する導電体122と、配線WBLとして機能する導電体120が短絡することを防ぐことができる。また、導電体122は、絶縁体132および酸化物134に貫通されており、導電体122と絶縁体132との間には、絶縁体132の周囲を囲むように絶縁体129が形成される。例えば、絶縁体129は導電体122の側面を酸化して形成すればよい。
【0140】
また、図示しないが、導電体114および導電体122は、下層の導電体が上層の導電体より、さらにy軸方向に延伸して階段状に設けられることが好ましい。このように、導電体114および導電体122を設けることにより、下層の導電体の上面の一部の領域が、より上層の導電体と重ならないので、導電体各層の当該領域とプラグ状に設けた導電体を接続させることができる。
【0141】
また、
図8(B)に示すように、層140において、絶縁体130は、絶縁体138分断されており、y軸方向に延伸して設けられる。さらに、絶縁体130および絶縁体138に囲まれるように酸化物106が設けられており、酸化物106と絶縁体130の境界は導電体120を中心とする円形状になる。また、絶縁体132および酸化物134と、導電体120と、は少なくとも一部が島状の酸化物106を貫通して設けられる。つまり、酸化物106と、絶縁体132および酸化物134と、導電体120と、は、絶縁体130および絶縁体138に囲まれた領域に設けられる。よって、図示してはいないが、酸化物106と、絶縁体132、酸化物134、および導電体120は、絶縁体130で区切られながら、y軸方向に配列される。なお、酸化物106において、絶縁体132の近傍に領域109aが、導電体120の近傍に領域109bが形成されている。領域109aおよび領域109bは、酸化物106の他の領域より低抵抗な領域である。
【0142】
上記積層体がz軸方向に繰り返し積層されることで、z軸方向にメモリセル10が配列される。メモリセル10は、z軸方向に配列され、上記実施の形態に示すメモリセルストリング20を構成する。さらに、
図8(B)、
図9(A)(B)に示す、絶縁体130と絶縁体138で囲まれた、酸化物106、絶縁体132、酸化物134、および導電体120等がy軸方向に繰り返し配列されることでメモリセル10がy軸方向に配列される。同様に、メモリセルストリング20もy軸方向に配列され、メモリセルストリング20は上記実施の形態に示す2次元メモリセルアレイ30を構成する。さらに、
図8(A)等に示す、絶縁体138で挟まれるブロックがx軸方向に繰り返し配列されることで、x軸方向にメモリセル10が配列される。同様に、2次元メモリセルアレイ30もx軸方向に配列され、2次元メモリセルアレイ30は上記実施の形態に示す3次元メモリセルアレイ40を構成する。
【0143】
図8(A)(B)、
図9(A)(B)に示すメモリセル10は、トランジスタ11、トランジスタ12及び容量素子14を有する。
【0144】
トランジスタ12は、絶縁体116の上に配置された酸化物106と、酸化物106の上に配置された絶縁体112と、絶縁体112の上に配置され、酸化物106の領域109aと領域109bに挟まれた領域の少なくとも一部と重なる導電体114と、を有する。なお、トランジスタ12上には、層間絶縁膜として機能する絶縁体118が設けられる。絶縁体118は比較的、比誘電率が低いことが好ましい。
【0145】
ここで、領域109aはトランジスタ12のソース又はドレインの一方としての機能を有し、領域109bはトランジスタ12のソース又はドレインの他方としての機能を有し、酸化物106の領域109aと領域109bの間に位置する領域はトランジスタ12のチャネル形成領域としての機能を有する。絶縁体112はトランジスタ12のゲート絶縁膜としての機能を有し、導電体114はトランジスタ12のゲートとしての機能を有する。
【0146】
トランジスタ12の酸化物106は、絶縁体130および絶縁体138に囲まれており、他のトランジスタ12の酸化物106とは、素子分離されている。これにより、同じ導電体114に接続されるトランジスタ12の酸化物106どうしが、接することを防ぐことができる。
【0147】
酸化物106は、酸化物半導体として機能する金属酸化物(以下、酸化物半導体ともいう)を用いることが好ましい。酸化物半導体は、シリコンなどからなる半導体と比較して、トランジスタのオン特性が良好で、高い移動度が得られるため、好ましい。
【0148】
例えば、酸化物106として、In-M-Zn酸化物(元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、銅、バナジウム、ベリリウム、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種)等の酸化物半導体を用いるとよい。また、酸化物106として、In-Ga酸化物またはIn-Zn酸化物を用いてもよい。
【0149】
また、酸化物半導体は、酸化物半導体を構成する元素の他に、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、クロム、タングステン、などの金属元素が添加されることで、金属化合物を形成し、低抵抗化する。なお、好ましくは、アルミニウム、チタン、タンタル、タングステンなどを用いる。
【0150】
酸化物半導体に、金属元素を添加するには、例えば、酸化物半導体上に、当該金属元素を含む金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を設けるとよい。また、当該膜を設けることで、当該膜と酸化物半導体との界面、または当該界面近傍に位置する酸化物半導体中の一部の酸素が該膜などに吸収され、酸素欠損を形成し、当該界面近傍が低抵抗化する場合がある。
【0151】
また、酸化物半導体上に、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を設けた後、窒素を含む雰囲気下で、熱処理を行うとよい。窒素を含む雰囲気下での熱処理により、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜から、当該膜の成分である金属元素が酸化物半導体へ、または酸化物半導体の成分である金属元素が当該膜へと、拡散し、酸化物半導体と、当該膜とが金属化合物を形成し、低抵抗化することができる。酸化物半導体に添加された金属元素は、酸化物半導体の金属元素と、金属化合物を形成することで、比較的安定な状態となるため、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0152】
また、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜と、酸化物半導体との界面に、化合物層が形成されていてもよい。なお、化合物層とは、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜の成分と、酸化物半導体の成分とを含む金属化合物を有する層とする。例えば、化合物層として、酸化物半導体の金属元素と、添加された金属元素とが、合金化した層が形成されていてもよい。当該合金化した層は、比較的安定な状態であり、信頼性の高い半導体装置を提供することができる。
【0153】
また、酸化物半導体に存在する水素は、酸化物半導体の低抵抗化した領域に拡散し、低抵抗化した領域に存在する酸素欠損の中に入った場合、比較的安定な状態となる。また、酸化物半導体に存在する酸素欠損中の水素は、250℃以上の熱処理によって、酸素欠損から抜け出し、酸化物半導体の低抵抗化した領域に拡散し、低抵抗化した領域に存在する酸素欠損の中に入り、比較的安定な状態となることがわかっている。従って、熱処理によって、酸化物半導体の低抵抗化した領域、または金属化合物が形成された領域は、より低抵抗化し、低抵抗化していない酸化物半導体は、高純度化(水、水素などの不純物の低減)し、より高抵抗化する傾向がある。
【0154】
また、酸化物半導体は、水素、または窒素などの不純物元素が存在すると、キャリア密度が増加する。酸化物半導体中の水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になり、酸素欠損を形成する場合がある。当該酸素欠損に水素が入ると、キャリア密度は増加する。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。つまり、窒素、または水素を有する酸化物半導体は、低抵抗化される。
【0155】
従って、酸化物半導体に、金属元素、並びに、水素、および窒素などの不純物元素を、選択的に添加することで、酸化物半導体に高抵抗領域、および低抵抗領域を設けることができる。つまり、酸化物106を選択的に低抵抗化することで、島状に加工した酸化物106に、キャリア密度が低い半導体として機能する領域と、ソース領域、またはドレイン領域として機能する低抵抗化した領域(領域109a、および領域109b)を設けることができる。
【0156】
例えば、領域109aを低抵抗化するための金属元素を有する酸化膜、または金属元素を有する窒化膜として、層間絶縁膜、またはゲート絶縁膜として用いることができる絶縁材料を用いてもよい。具体的には、絶縁体132に、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を用いることで、酸化物106における絶縁体132と接する領域が低抵抗化されることで、領域109aを設けることができる。従って、領域109aの低抵抗化と、絶縁体132の形成を同時に行うことができるため、工程を短縮することができる。
【0157】
一方、領域109aを低抵抗化するため金属膜として、0.5nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上2nm以下の膜厚で設けた金属膜を用いてもよい。領域109aの酸素が、該金属膜に吸収されることで、該金属膜は酸化し、領域109aは酸素欠損が生じる場合がある。つまり、金属膜は酸化することで高抵抗化し、領域109aは酸素欠損が生じることで低抵抗化する。
【0158】
また、上記金属膜を完全に酸化するために、熱処理を行うことが好ましい。なお、熱処理は、酸化性雰囲気下で行うことが好ましい。また、窒素を含む雰囲気下において一度熱処理を行った後、酸素を含む雰囲気下において熱処理を行ってもよい。また、金属膜の近傍に酸素を有する構造体がある場合、熱処理を行うことで、金属膜は、当該構造体が有する酸素と反応し、酸化する場合がある。該金属膜を完全に酸化させることで、絶縁体となり、高抵抗化する。なお、酸化した金属膜は、絶縁体132として用いることができる。従って、領域109aの低抵抗化と、絶縁体132の形成を同時に行うことができるため、工程を短縮することができる。
【0159】
また、例えば、領域109bを低抵抗化するための金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜として、配線、またはプラグとして用いることができる導電材料を用いてもよい。具体的には、導電体120に、金属膜、金属元素を有する窒化膜、または金属元素を有する酸化膜を用いることで、酸化物106における導電体120と接する領域が低抵抗化されることで、領域109bを設けることができる。従って、領域109bの低抵抗化と、導電体120の形成を同時に行うことができるため、工程を短縮することができる。このとき、導電体120を設ける第2の開口の径を十分大きくし、例えば10nm以上200nm以下程度にしておくことで、熱処理して領域109bを形成しても、導電体120の導電性を十分に保持することができる。
【0160】
また、領域109aと領域109bの間の領域は、チャネル形成領域として機能し、当該領域は、ソース領域またはドレイン領域として機能する領域109aおよび領域109bよりも、酸素濃度が高く、キャリア密度が低い高抵抗領域である。また、領域109aと領域109bの間の領域は、金属元素、並びに水素、および窒素などの不純物元素、の少なくとも一の濃度が、領域109aおよび領域109bよりも低いことが好ましい。このように、酸化物106のチャネルとして機能できる領域を、不純物濃度が低く、酸素濃度が高い、高純度真性または実質的に高純度真性な酸化物半導体にすることで、トランジスタ12のオフ電流を低減することができる。
【0161】
また、酸化物106は、エネルギーギャップの異なる酸化物を積層して形成してもよい。例えば、酸化物106として、ナローギャップ酸化物が2層のワイドギャップ酸化物に挟まれるように積層した構成にすればよい。なお、ワイドギャップ酸化物とは、エネルギーギャップの広い酸化物を指し、ナローギャップ酸化物とは、エネルギーギャップの狭い酸化物を指す。よって、ワイドギャップ酸化物は、ナローギャップ酸化物に対して、相対的にエネルギーギャップの広い酸化物となる。ここで、ワイドギャップ酸化物の伝導帯下端のエネルギーが、ナローギャップ酸化物の伝導帯下端のエネルギーより高くなることが好ましい。また、言い換えると、ワイドギャップ酸化物の電子親和力が、ナローギャップ酸化物の電子親和力より小さいことが好ましい。
【0162】
また、ワイドギャップ酸化物とナローギャップ酸化物は、各金属原子の原子数比が異なる組み合わせにすることが好ましい。具体的には、ワイドギャップ酸化物に用いる金属酸化物において、構成元素中の元素Mの原子数比が、ナローギャップ酸化物に用いる金属酸化物における、構成元素中の元素Mの原子数比より、大きいことが好ましい。また、ワイドギャップ酸化物に用いる金属酸化物において、Inに対する元素Mの原子数比が、ナローギャップ酸化物に用いる金属酸化物における、Inに対する元素Mの原子数比より大きいことが好ましい。また、ナローギャップ酸化物に用いる金属酸化物において、元素Mに対するInの原子数比が、ワイドギャップ酸化物に用いる金属酸化物における、元素Mに対するInの原子数比より大きいことが好ましい。
【0163】
ワイドギャップ酸化物には、例えばIn:Ga:Zn=1:3:4、In:Ga:Zn=1:3:2、またはIn:Ga:Zn=1:1:1の組成およびその近傍の組成を有する金属酸化物を用いることができる。また、ナローギャップ酸化物には、例えばIn:Ga:Zn=4:2:3から4.1、In:Ga:Zn=1:1:1、またはIn:Ga:Zn=5:1:6の組成およびその近傍の組成を有する金属酸化物を用いることができる。これらのワイドギャップ酸化物およびナローギャップ酸化物を上記の原子数比の関係を満たして組み合わせることが好ましい。なお、上記組成は、基板上に形成された酸化物中の原子数比、またはスパッタターゲットにおける原子数比を示す。
【0164】
また、ワイドギャップ酸化物として、後述する、CAAC-OSを用い、ナローギャップ酸化物として、CAC-OSを用いることが好ましい。
【0165】
酸化物106として、ナローギャップ酸化物が2層のワイドギャップ酸化物に挟まれた積層膜を用いる場合、ナローギャップ部分に主にキャリアが流れることになる。このため、トランジスタ12のオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0166】
ここで、ワイドギャップ酸化物とナローギャップ酸化物の接合部において、伝導帯下端はなだらかに変化する。換言すると、ワイドギャップ酸化物とナローギャップ酸化物の接合部における伝導帯下端は、連続的に変化または連続接合するともいうことができる。このようにするためには、ワイドギャップ酸化物とナローギャップ酸化物との界面において形成される混合層の欠陥準位密度を低くするとよい。
【0167】
具体的には、ワイドギャップ酸化物とナローギャップ酸化物が、酸素以外に共通の元素を有する(主成分とする)ことで、欠陥準位密度が低い混合層を形成することができる。例えば、ナローギャップ酸化物がIn-Ga-Zn酸化物の場合、ワイドギャップ酸化物として、In-Ga-Zn酸化物、Ga-Zn酸化物、酸化ガリウムなどを用いるとよい。これにより、ワイドギャップ酸化物とナローギャップ酸化物との界面における欠陥準位密度を低くすることができる。そのため、界面散乱によるキャリア伝導への影響が小さくなり、トランジスタ12は高いオン電流を得られる。
【0168】
なお、酸化物106として用いることができる金属酸化物のより詳細な説明については、後述する。
【0169】
なお、導電体114の酸化物134側の側面は、導電体122の酸化物134側の側面より、導電体120側に位置することが好ましい。例えば、導電体114の側面に形成される絶縁体127が、導電体122の側面に形成される絶縁体129より厚くなるようにすればよい。また、導電体122の酸化物134側の側面をエッチングしてもよい。この場合、導電体122と導電体114は同時に酸化またはエッチングされるので、導電体114は導電体122と異なる導電材料とし、互いの酸化速度またはエッチング速度が異なるようにすることが好ましい。このようにすることで、導電体114の容量素子14に対する干渉を低減することができる。
【0170】
トランジスタ11は、酸化物106の領域109aと、絶縁体132と、酸化物134と、を有する。絶縁体132および酸化物134は、上記積層体に設けられた円柱状の開口の中に形成される。絶縁体132は当該開口の内側に接して円筒状に形成されており、酸化物134は絶縁体132の内側に円柱状に形成されている。なお、酸化物134の内側にさらに絶縁体を設ける構成にしてもよい。
【0171】
また、酸化物134の内側に絶縁体を設ける場合、当該絶縁体は、酸化物134に酸素を供給できる材料、または水素や窒素などの不純物を供給できる材料であることが好ましい。上記絶縁体として、水素や窒素を極力含まない酸化物を用いることで、酸化物134に酸素を供給できる場合がある。酸化物134に酸素を供給することで、酸化物134中に含まれる水素や水などの不純物を除去することができ、酸化物134は高純度化する。不純物が極力低減された酸化物を酸化物134として用いることで、トランジスタ11、および当該トランジスタを用いた半導体装置は、高い信頼性を得ることができる。また、上記絶縁体として、水素や窒素を含む酸化物を用いることで、酸化物134に水素や窒素を供給できる場合がある。酸化物134に水素や窒素を供給することで、酸化物134の抵抗値が下がる場合がある。酸化物134の抵抗値を、回路動作の弊害にならない程度に下げることで、より低い駆動電圧で、トランジスタ11を動作させることができる。また、トランジスタ11のオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0172】
また、上記絶縁体の内側に導電体を設けてもよい。当該導電体は、トランジスタ11のバックゲートとして機能する。バックゲートに印加する電位を、導電体114(トップゲート)に印加する電位と、連動させず、独立して変化させることで、トランジスタ11の閾値電圧を制御することができる。特に、バックゲートに負の電位を印加することにより、トランジスタ11の閾値電圧を0Vより大きくし、オフ電流を低減することが可能となる。
【0173】
ここで、酸化物106の領域109aはトランジスタ11のゲートとしての機能を有し、絶縁体132はトランジスタ11のゲート絶縁膜としての機能を有し、酸化物134はトランジスタ11のチャネル形成領域、ソース及びドレインとしての機能を有する。酸化物134において、酸化物106の領域109aとx軸方向に重なる領域がトランジスタ11のチャネル形成領域として機能し、酸化物106の領域109aとx軸方向に重ならない領域(絶縁体116または絶縁体112とx軸方向に重なる領域といってもよい。)がトランジスタ11のソース又はドレインとして機能する。
【0174】
酸化物134は、酸化物106と同様の酸化物半導体を用いることが好ましい。酸化物半導体は、シリコンなどからなる半導体と比較して、トランジスタのオン特性が良好で、高い移動度が得られるため、好ましい。
【0175】
さらに、例えば、酸化物134として、酸化物106と同様に、ナローギャップ酸化物が2層のワイドギャップ酸化物に挟まれるように積層した構成にしてもよい。酸化物134として、ナローギャップ酸化物が2層のワイドギャップ酸化物に挟まれた積層膜を用いる場合、ナローギャップ部分に主にキャリアが流れることになる。このため、トランジスタ11のオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を得ることができる。
【0176】
なお、酸化物134のソース又はドレインとして機能する領域と、導電体114の間には、絶縁体127が設けられているので、トランジスタ11のソースおよびドレインと、配線WWLとして機能する導電体114との間の寄生容量を低減することができる。また、酸化物134のソース又はドレインとして機能する領域と、導電体122の間には、絶縁体129が設けられているので、トランジスタ11のソースおよびドレインと、配線RWLとして機能する導電体122との間の寄生容量を低減することができる。
【0177】
このように、トランジスタ11は、酸化物134の周囲の少なくとも一部を絶縁体132を介して囲むように、ゲート電極として機能する酸化物106の領域109aが形成される。トランジスタ11の酸化物134においては、チャネル長は酸化物106の膜厚と概略同じ長さになる。また、トランジスタ11のチャネル長方向は、z軸方向になる。また、
図8(A)に示すように、トランジスタ11のチャネル長方向は、z軸に平行な方向であり、トランジスタ12のチャネル長方向と垂直に交差する。また、トランジスタ11のチャネル幅は、円柱状の酸化物134の円周部のうち、領域109aに覆われている部分の長さと概略同じ長さになる。
【0178】
図8(A)に示すように、絶縁体132および酸化物134は、z軸方向に延伸して形成されており、z軸方向に配列したメモリセル10において共有されている。よって、酸化物134においてトランジスタ11のソースまたはドレインとして機能する領域は、z軸方向に隣接するトランジスタ11間で共有されている。つまりz軸方向に互いに隣接するメモリセル10において、それぞれのトランジスタ11が電気的に直列に接続されている。
【0179】
このように、絶縁体132および酸化物134によって、一つのメモリセルストリング20に含まれる複数のトランジスタ11がまとめて形成される。例えば、トランジスタ11を標準的なプレーナー型のトランジスタで形成していた場合、階層ごとにプラグや配線を形成しなければならない構造となっていた。しかしながら、このような構成にすることにより、自己整合的に、複数のトランジスタ11のソースとドレインが電気的に直列に接続された構造を形成することができる。
【0180】
一般的にメモリストリングでは、複数のメモリトランジスタが電気的に直列に接続されているので、メモリトランジスタが増えるほど、各メモリトランジスタのオン抵抗が上積みされ、メモリストリング全体のオン電流が低減してしまう。しかしながら、本実施の形態に示す半導体装置においては、大きなオン電流、及び高い電界効果移動度を有する、酸化物半導体を用いたトランジスタ11を電気的に直列に接続するので、メモリセルストリング20のトランジスタ11部分におけるオン電流の低下を低減することができる。
【0181】
なお、最上段のメモリセル10の酸化物134においては、当該酸化物134の上面と接するように、配線SLとして機能する、低電源電位線と電気的に接続された導電体を形成すればよい。また、最下段のメモリセル10の酸化物134における、トランジスタ61との接続については後述する。
【0182】
また、
図8(A)(B)などでは、第1の開口の一部が酸化物106を貫通するように設けられているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、
図10(A)(B)に示すように、第1の開口全体が酸化物106を貫通するように設けられる構成にしてもよい。この場合、酸化物134の周囲全体を、絶縁体132を介して囲むように、ゲート電極として機能する酸化物106の領域109aが形成される。この場合、トランジスタ11がSGTとなり、トランジスタ11のチャネル幅は円柱状の酸化物134の円周の長さと概略同じ長さになる。よって、トランジスタ11に大きなオン電流、および高い移動度を与えることができる。
【0183】
標準的なプレーナー型のトランジスタでは、上面から見てゲート電極、ソース電極及びドレイン電極が形成されており、トランジスタ11では、上面から見て、ゲート電極の内側に他の構成の少なくとも一部が形成されており、占有面積が非常に小さくなっている。このように、トランジスタ11は占有面積を非常に小さくすることができる。これにより、メモリセル10の占有面積を縮小し、半導体装置の単位面積あたりにおける記憶容量の増加を図ることができる。
【0184】
なお、
図8などのトランジスタ11のように、明示的にはソース電極やドレイン電極を有しない場合があるが、便宜上、このような状態を含めてトランジスタと呼ぶ場合がある。
【0185】
また、酸化物106は領域109bにおいて、導電体120と接しており、トランジスタ12のソース又はドレインの他方と、配線WBLとが接続されている。なお、最上段のメモリセル10の導電体120においては、導電体120の上面が配線SLとして機能する導電体などと接しないように、絶縁体などで覆うことが好ましい。また、最下段のメモリセル10の導電体120における、トランジスタ62との接続については後述する。
【0186】
容量素子14は、絶縁体118の上に配置された導電体122と、導電体122の上に配置された絶縁体116と、絶縁体116の上に配置され、少なくとも領域109aの一部が導電体122と重なる酸化物106と、を有する。領域109aは容量素子14の電極の一方としての機能を有し、導電体122は容量素子14の電極の他方としての機能を有する。絶縁体116は容量素子14の誘電体として機能すればよく、比較的比誘電率の高い絶縁体を用いることが好ましい。
【0187】
上記のように酸化物106の領域109aは、トランジスタ11ではゲートとして機能し、トランジスタ12ではソース又はドレインの一方として機能し、容量素子14では電極の一方として機能する。つまり、酸化物106の領域109aが
図1(A)に示すノードFNとして機能している。上記の通りトランジスタ12はオフ電流が非常に低いので、ノードFNに保持したデータに係る電荷を長期間保持することができる。
【0188】
このように、トランジスタ12をオフ状態にすることで、データを保持することにより、従来のフローティングゲート型トランジスタにおいて指摘されているゲート絶縁膜(トンネル絶縁膜)の劣化という問題が存在しない。つまり、従来問題とされていた、電子をフローティングゲートに注入する際のゲート絶縁膜の劣化という問題を解消することができる。これは、原理的な書き込み回数の制限が存在しないことを意味するものである。
【0189】
なお、導電体122の導電体120側の側面は、導電体114の導電体120側の側面より、酸化物134側に位置することが好ましい。例えば、導電体122の側面に形成される絶縁体128が、導電体114の側面に形成される絶縁体126より厚くなるようにすればよい。また、導電体122の導電体120側の側面をエッチングしてもよい。この場合、導電体122と導電体114は同時に酸化またはエッチングされるので、導電体122は導電体114と異なる導電材料とし、互いの酸化速度またはエッチング速度が異なるようにすることが好ましい。このようにすることで、導電体122のトランジスタ12に対する干渉を低減することができる。
【0190】
図8(B)等に示すように、上記においては、一組の絶縁体138の間で、y軸方向にメモリセル10が配列され、x軸方向にはメモリセル10が配列されない例を示したが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、
図11に示すように、一組の絶縁体138の間で、x軸方向およびy軸方向に格子状にメモリセル10を配列させる構成にしてもよい。
【0191】
図11は、層140の平面図であり、一組の絶縁体138の間に、3×3個のメモリセル10が設けられる例を示している。また、
図5に示す選択トランジスタアレイの回路も重ねて示し、各メモリセル10と、配線RBL[1]乃至[3]、配線WBL[1]乃至[3]、配線SG1[1]乃至[3]、配線SG2[1]乃至[3]、および選択トランジスタセル60との接続を示している。なお、
図11では、一組の絶縁体138の間に、3×3個のメモリセル10が設けられる例を示しているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではなく、メモリセルアレイの回路構成や駆動方法に合わせて、メモリセルおよび配線等の、個数および配置等は、適宜設定することができる。
【0192】
図11に示すように、各メモリセル10は、対応する選択トランジスタセル60と接続されている。メモリセル10の酸化物134は、トランジスタ61を介して配線RBLと電気的に接続される。ここで、配線RBLはx軸方向に延伸されており、x軸方向に配列した選択トランジスタセル60およびメモリセル10に共有される。また、メモリセル10の導電体120は、トランジスタ62を介して配線WBLと電気的に接続される。ここで、配線WBLはx軸方向に延伸されており、x軸方向に配列した選択トランジスタセル60およびメモリセル10に共有される。
【0193】
また、トランジスタ61のゲートは、y軸方向に延伸された配線SG1と電気的に接続される。ここで、y軸方向に延伸された配線SG1は、y軸方向に配列した選択トランジスタセル60およびメモリセル10に共有される。また、トランジスタ62のゲートは、y軸方向に延伸された配線SG2と電気的に接続される。ここで、y軸方向に延伸された配線SG2は、y軸方向に配列した選択トランジスタセル60およびメモリセル10に共有される。
【0194】
図11では、層140を示したが、層141および層142にも、同じ間隔で一組の絶縁体138が設けられている。つまり、
図11に示す3×3個のメモリセル10は、同一の導電体114および導電体122と重なっている。よって、
図11に示す3×3個のメモリセル10は、同一の配線WWLおよび配線RWLに接続されていることになる。
【0195】
しかしながら、上記のように、配線RBLおよび配線WBLと、配線SG1および配線SG2と、を互いに直交に設けることにより、配線RBLおよび配線WBLで対象となるメモリセル10のy座標を選択し、配線SG1および配線SG2で対象となるメモリセル10のx座標を選択することができる。このようにして、
図11のようにメモリセル10を配列させても、3×3個のメモリセル10のうち任意のメモリセル10に書き込みおよび読み出しを行うことができる。
【0196】
図11では、メモリセル10を格子状に配置したが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではない。例えば、
図12に示すように、メモリセル10を千鳥状に配置してもよい。
【0197】
図12は、層140の平面図であり、一組の絶縁体138の間に、4×4個のメモリセル10が設けられる例を示している。また、
図5に示す選択トランジスタアレイの回路も重ねて示し、各メモリセル10と、配線RBL[1]乃至[4]、配線WBL[1]乃至[4]、配線SG1[1]乃至[4]、配線SG2[1]乃至[4]、および選択トランジスタセル60との接続を示している。なお、
図12に示すメモリセルアレイでは、メモリセル10、選択トランジスタセル60、配線RBL、配線WBL、配線SG1および配線SG2の個数は異なるが、接続関係は、
図11に示すメモリセルアレイと同じなので、そちらを参酌することができる。また、
図12では、一組の絶縁体138の間に、4×4個のメモリセル10が設けられる例を示しているが、本実施の形態に示す半導体装置はこれに限られるものではなく、メモリセルアレイの回路構成や駆動方法に合わせて、メモリセルおよび配線等の、個数および配置等は、適宜設定することができる。
【0198】
よって、
図12に示すメモリセルアレイにおいても、配線RBLおよび配線WBLと、配線SG1および配線SG2と、を互いに直交に設けることにより、配線RBLおよび配線WBLで対象となるメモリセル10のy座標を選択し、配線SG1および配線SG2で対象となるメモリセル10のx座標を選択することができる。このようにして、
図12のようにメモリセル10を配列させても、4×4個のメモリセル10のうち任意のメモリセル10に書き込みおよび読み出しを行うことができる。
【0199】
ただし、
図12に示すメモリセルアレイは、y軸方向から見たとき、メモリセル10が互い違いに、すなわち列ごとにx軸方向にずれるように配置されている。これにより、メモリセル10を密に配置することができる。よって、メモリセルアレイの占有面積を低減し、半導体装置の高集積化を図ることができる。
【0200】
また、
図11および
図12に示すメモリセルアレイにおいては、導電体120と絶縁体138の距離が十分大きくなるメモリセル10が多いので、当該メモリセルに含まれる酸化物106の上面形状が略円形状になる場合が多い。ただし、
図12に示すように、配列されたメモリセルのうち絶縁体138に近接するメモリセル10(例えば、
図12では、配線SG1[4]および配線SG2[4]に接続されたメモリセル10)の導電体120と絶縁体138の距離を小さくし、酸化物106が絶縁体138と接するようにして、メモリセルアレイの集積化を図ってもよい。
【0201】
<半導体装置の構成材料>
以下では、本実施の形態に示す半導体装置に用いることができる構成材料について説明する。
【0202】
<<絶縁体>>
絶縁体としては、絶縁性を有する酸化物、窒化物、酸化窒化物、窒化酸化物、金属酸化物、金属酸化窒化物、金属窒化酸化物などがある。本実施の形態に示す絶縁体は、その機能に応じて下記の絶縁体から選択して、単層または積層で形成することができる。
【0203】
例えば、トランジスタの微細化、および高集積化が進むと、ゲート絶縁体の薄膜化により、リーク電流などの問題が生じる場合がある。ゲート絶縁体として機能する絶縁体に、high-k材料を用いることで物理膜厚を保ちながら、トランジスタ動作時の低電圧化が可能となる。一方、層間膜として機能する絶縁体には、比誘電率が低い材料を用いることで、配線間に生じる寄生容量を低減することができる。したがって、絶縁体の機能に応じて、材料を選択するとよい。
【0204】
また、比誘電率の高い絶縁体としては、酸化ガリウム、酸化ハフニウム、酸化ジルコニウム、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化物、アルミニウムおよびハフニウムを有する酸化窒化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化物、シリコンおよびハフニウムを有する酸化窒化物またはシリコンおよびハフニウムを有する窒化物などがある。例えば、このような絶縁体を絶縁体116として用いてもよい。
【0205】
また、比誘電率が低い絶縁体としては、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などがある。
【0206】
また、特に、酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定である。そのため、例えば、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。また、例えば、酸化シリコン、および酸化窒化シリコンは、比誘電率の高い絶縁体と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の高い積層構造とすることができる。
【0207】
また、酸化物半導体を用いたトランジスタは、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体で囲うことによって、トランジスタの電気特性を安定にすることができる。
【0208】
水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。具体的には、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジム、酸化ハフニウムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いることができる。
【0209】
例えば、絶縁体132として、ハフニウム、アルミニウム、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、タングステン、チタン、タンタル、ニッケル、ゲルマニウム、または、マグネシウムなどから選ばれた一種、または二種以上が含まれた金属酸化物を用いることができる。
【0210】
特に、酸化アルミニウムはバリア性が高く、0.5nm以上3.0nm以下の薄膜であっても、水素、および窒素の拡散を抑制することができる。また、酸化ハフニウムは、酸化アルミニウムよりもバリア性が低いが、膜厚を厚くすることによりバリア性を高めることができる。したがって、酸化ハフニウムの膜厚を調整することで、水素、および窒素の添加量を適切に調整することができる。
【0211】
例えば、ゲート絶縁体の一部として機能する絶縁体112および絶縁体132は、過剰酸素領域を有する絶縁体であることが好ましい。例えば、過剰酸素領域を有する酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンが酸化物106または酸化物134と接する構造とすることで、酸化物106または酸化物134が有する酸素欠損を補償することができる。
【0212】
例えば、絶縁体112には、熱に対して安定である酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンを用いることが好ましい。ゲート絶縁体として、熱に対して安定な膜と、比誘電率が高い膜との積層構造とすることで、物理膜厚を保持したまま、ゲート絶縁体の等価酸化膜厚(EOT)の低減が可能となる。
【0213】
さらに、絶縁体112を積層構造としてもよい。ゲート絶縁体として機能する絶縁体112において、上記絶縁体に加えて、アルミニウム、ハフニウム、およびガリウムの一種または複数種の酸化物を積層してもよい。特に、アルミニウムおよびハフニウムの一方または双方の酸化物を含む絶縁体として、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、アルミニウムおよびハフニウムを含む酸化物(ハフニウムアルミネート)などを用いることが好ましい。
【0214】
上記積層構造とすることで、ゲート電極からの電界の影響を弱めることなく、オン電流の向上を図ることができる。また、ゲート絶縁体の物理的な厚みにより、ゲート電極と、チャネルが形成される領域との間の距離を保つことで、ゲート電極とチャネル形成領域との間のリーク電流を抑制することができる。
【0215】
絶縁体118、および絶縁体138は、比誘電率の低い絶縁体を有することが好ましい。例えば、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコン、空孔を有する酸化シリコンまたは樹脂などを有することが好ましい。または、当該絶縁体は、酸化シリコン、酸化窒化シリコン、窒化酸化シリコン、窒化シリコン、フッ素を添加した酸化シリコン、炭素を添加した酸化シリコン、炭素および窒素を添加した酸化シリコンまたは空孔を有する酸化シリコンと、樹脂と、の積層構造を有することが好ましい。酸化シリコンおよび酸化窒化シリコンは、熱的に安定であるため、樹脂と組み合わせることで、熱的に安定かつ比誘電率の低い積層構造とすることができる。樹脂としては、例えば、ポリエステル、ポリオレフィン、ポリアミド(ナイロン、アラミドなど)、ポリイミド、ポリカーボネートまたはアクリルなどがある。
【0216】
また、絶縁体130は、酸化物106を作製するときの犠牲層として機能する必要があるので、後述する絶縁体130のエッチング工程において、絶縁体118、絶縁体116、および絶縁体112等のエッチング速度が、絶縁体130のエッチング速度に対して、著しく小さくなるように、絶縁体130を選択すればよい。例えば、絶縁体118、絶縁体116、および絶縁体112等を酸化シリコンまたは酸化窒化シリコンにする場合、窒化シリコンにすればよい。
【0217】
また、絶縁体132としては、水素などの不純物および酸素の透過を抑制する機能を有する絶縁体を用いてもよい。絶縁体132としては、例えば、酸化アルミニウム、酸化ハフニウム、酸化マグネシウム、酸化ガリウム、酸化ゲルマニウム、酸化イットリウム、酸化ジルコニウム、酸化ランタン、酸化ネオジムまたは酸化タンタルなどの金属酸化物、窒化酸化シリコンまたは窒化シリコンなどを用いればよい。
【0218】
また、絶縁体126および絶縁体127として、導電体114を熱酸化した絶縁体を用いることが好ましい。また、絶縁体128および絶縁体129として、導電体122を熱酸化した絶縁体を用いることが好ましい。
【0219】
<<導電体>>
導電体としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0220】
また、上記の材料で形成される導電層を複数積層して用いてもよい。例えば、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。また、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、窒素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造としてもよい。
【0221】
なお、トランジスタのチャネル形成領域に酸化物を用いる場合において、ゲート電極として機能する導電体には、前述した金属元素を含む材料と、酸素を含む導電性材料と、を組み合わせた積層構造を用いることが好ましい。この場合は、酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けるとよい。酸素を含む導電性材料をチャネル形成領域側に設けることで、当該導電性材料から離脱した酸素がチャネル形成領域に供給されやすくなる。
【0222】
特に、ゲート電極として機能する導電体として、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる金属元素および酸素を含む導電性材料を用いることが好ましい。また、前述した金属元素および窒素を含む導電性材料を用いてもよい。例えば、窒化チタン、窒化タンタルなどの窒素を含む導電性材料を用いてもよい。また、インジウム錫酸化物、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、インジウム亜鉛酸化物、シリコンを添加したインジウム錫酸化物を用いてもよい。また、窒素を含むインジウムガリウム亜鉛酸化物を用いてもよい。このような材料を用いることで、チャネルが形成される金属酸化物に含まれる水素を捕獲することができる場合がある。または、外方の絶縁体などから混入する水素を捕獲することができる場合がある。
【0223】
導電体120、導電体122、および導電体114としては、アルミニウム、クロム、銅、銀、金、白金、タンタル、ニッケル、チタン、モリブデン、タングステン、ハフニウム、バナジウム、ニオブ、マンガン、マグネシウム、ジルコニウム、ベリリウム、インジウム、ルテニウムなどから選ばれた金属元素を1種以上含む材料を用いることができる。また、リン等の不純物元素を含有させた多結晶シリコンに代表される、電気伝導度が高い半導体、ニッケルシリサイドなどのシリサイドを用いてもよい。
【0224】
なお、導電体114と導電体122は、異なる導電性材料を用いることが好ましい。導電体114および導電体122に異なる導電性材料を用いることにより、互いの酸化速度またはエッチング速度が異なるので、導電体114と導電体122の側面の位置をずらすことができる。
【0225】
<<金属酸化物>>
以下では、本発明に係る酸化物106および酸化物134に適用可能な金属酸化物について説明する。
【0226】
金属酸化物は、少なくともインジウムまたは亜鉛を含むことが好ましい。特にインジウムおよび亜鉛を含むことが好ましい。また、それらに加えて、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどが含まれていることが好ましい。また、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、またはマグネシウムなどから選ばれた一種、または複数種が含まれていてもよい。
【0227】
ここでは、金属酸化物が、インジウム、元素Mおよび亜鉛を有するIn-M-Zn酸化物である場合を考える。なお、元素Mは、アルミニウム、ガリウム、イットリウムまたはスズなどとする。そのほかの元素Mに適用可能な元素としては、ホウ素、チタン、鉄、ニッケル、ゲルマニウム、ジルコニウム、モリブデン、ランタン、セリウム、ネオジム、ハフニウム、タンタル、タングステン、マグネシウムなどがある。ただし、元素Mとして、前述の元素を複数組み合わせても構わない場合がある。
【0228】
なお、本明細書等において、窒素を有する金属酸化物も金属酸化物(metal oxide)と総称する場合がある。また、窒素を有する金属酸化物を、金属酸窒化物(metal oxynitride)と呼称してもよい。
【0229】
[金属酸化物の構成]
以下では、本発明の一態様で開示されるトランジスタに用いることができるCAC(Cloud-Aligned Composite)-OSの構成について説明する。
【0230】
なお、本明細書等において、CAAC(c-axis aligned crystal)、およびCAC(Cloud-Aligned Composite)と記載する場合がある。なお、CAACは結晶構造の一例を表し、CACは機能、または材料の構成の一例を表す。
【0231】
CAC-OSまたはCAC-metal oxideとは、材料の一部では導電性の機能と、材料の一部では絶縁性の機能とを有し、材料の全体では半導体としての機能を有する。なお、CAC-OSまたはCAC-metal oxideを、トランジスタの活性層に用いる場合、導電性の機能は、キャリアとなる電子(または正孔)を流す機能であり、絶縁性の機能は、キャリアとなる電子を流さない機能である。導電性の機能と、絶縁性の機能とを、それぞれ相補的に作用させることで、スイッチングさせる機能(On/Offさせる機能)をCAC-OSまたはCAC-metal oxideに付与することができる。CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、それぞれの機能を分離させることで、双方の機能を最大限に高めることができる。
【0232】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、導電性領域、および絶縁性領域を有する。導電性領域は、上述の導電性の機能を有し、絶縁性領域は、上述の絶縁性の機能を有する。また、材料中において、導電性領域と、絶縁性領域とは、ナノ粒子レベルで分離している場合がある。また、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ材料中に偏在する場合がある。また、導電性領域は、周辺がぼけてクラウド状に連結して観察される場合がある。
【0233】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideにおいて、導電性領域と、絶縁性領域とは、それぞれ0.5nm以上10nm以下、好ましくは0.5nm以上3nm以下のサイズで材料中に分散している場合がある。
【0234】
また、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、異なるバンドギャップを有する成分により構成される。例えば、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、絶縁性領域に起因するワイドギャップを有する成分と、導電性領域に起因するナローギャップを有する成分と、により構成される。当該構成の場合、キャリアを流す際に、ナローギャップを有する成分において、主にキャリアが流れる。また、ナローギャップを有する成分が、ワイドギャップを有する成分に相補的に作用し、ナローギャップを有する成分に連動してワイドギャップを有する成分にもキャリアが流れる。このため、上記CAC-OSまたはCAC-metal oxideをトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合、トランジスタのオン状態において高い電流駆動力、つまり大きなオン電流、および高い電界効果移動度を得ることができる。
【0235】
すなわち、CAC-OSまたはCAC-metal oxideは、マトリックス複合材(matrix composite)、または金属マトリックス複合材(metal matrix composite)と呼称することもできる。
【0236】
[金属酸化物の構造]
酸化物半導体(金属酸化物)は、単結晶酸化物半導体と、それ以外の非単結晶酸化物半導体と、に分けられる。非単結晶酸化物半導体としては、例えば、CAAC-OS(c-axis aligned crystalline oxide semiconductor)、多結晶酸化物半導体、nc-OS(nanocrystalline oxide semiconductor)、擬似非晶質酸化物半導体(a-like OS:amorphous-like oxide semiconductor)および非晶質酸化物半導体などがある。
【0237】
CAAC-OSは、c軸配向性を有し、かつa-b面方向において複数のナノ結晶が連結し、歪みを有した結晶構造となっている。なお、歪みとは、複数のナノ結晶が連結する領域において、格子配列の揃った領域と、別の格子配列の揃った領域と、の間で格子配列の向きが変化している箇所を指す。
【0238】
ナノ結晶は、六角形を基本とするが、正六角形状とは限らず、非正六角形状である場合がある。また、歪みにおいて、五角形、および七角形などの格子配列を有する場合がある。なお、CAAC-OSにおいて、歪み近傍においても、明確な結晶粒界(グレインバウンダリーともいう。)を確認することは難しい。すなわち、格子配列の歪みによって、結晶粒界の形成が抑制されていることがわかる。これは、CAAC-OSが、a-b面方向において酸素原子の配列が稠密でないことや、金属元素が置換することで原子間の結合距離が変化することなどによって、歪みを許容することができるためである。
【0239】
また、CAAC-OSは、インジウム、および酸素を有する層(以下、In層)と、元素M、亜鉛、および酸素を有する層(以下、(M,Zn)層)とが積層した、層状の結晶構造(層状構造ともいう)を有する傾向がある。なお、インジウムと元素Mは、互いに置換可能であり、(M,Zn)層の元素Mがインジウムと置換した場合、(In,M,Zn)層と表すこともできる。また、In層のインジウムが元素Mと置換した場合、(In,M)層と表すこともできる。
【0240】
CAAC-OSは結晶性の高い金属酸化物である。一方、CAAC-OSは、明確な結晶粒界を確認することが難しいため、結晶粒界に起因する電子移動度の低下が起こりにくいといえる。また、金属酸化物の結晶性は不純物の混入や欠陥の生成などによって低下する場合があるため、CAAC-OSは不純物や欠陥(酸素欠損(VO:oxygen vacancyともいう)など)の少ない金属酸化物ともいえる。したがって、CAAC-OSを有する金属酸化物は、物理的性質が安定する。そのため、CAAC-OSを有する金属酸化物は熱に強く、信頼性が高い。
【0241】
nc-OSは、微小な領域(例えば、1nm以上10nm以下の領域、特に1nm以上3nm以下の領域)において原子配列に周期性を有する。また、nc-OSは、異なるナノ結晶間で結晶方位に規則性が見られない。そのため、膜全体で配向性が見られない。したがって、nc-OSは、分析方法によっては、a-like OSや非晶質酸化物半導体と区別が付かない場合がある。
【0242】
a-like OSは、nc-OSと非晶質酸化物半導体との間の構造を有する金属酸化物である。a-like OSは、鬆または低密度領域を有する。すなわち、a-like OSは、nc-OSおよびCAAC-OSと比べて、結晶性が低い。
【0243】
酸化物半導体(金属酸化物)は、多様な構造をとり、それぞれが異なる特性を有する。本発明の一態様の酸化物半導体は、非晶質酸化物半導体、多結晶酸化物半導体、a-like OS、nc-OS、CAAC-OSのうち、二種以上を有していてもよい。
【0244】
[金属酸化物を有するトランジスタ]
続いて、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いる場合について説明する。
【0245】
なお、上記金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、高い電界効果移動度のトランジスタを実現することができる。また、信頼性の高いトランジスタを実現することができる。
【0246】
ここで、金属酸化物の電気伝導の仮説の一例について説明する。
【0247】
固体中の電気伝導は、散乱中心と呼ばれる散乱源によって阻害される。例えば、単結晶シリコンの場合、格子散乱とイオン化不純物散乱が、主な散乱中心であることが知られている。換言すると、格子欠陥や不純物の少ない本質的な状態のとき、固体中の電気伝導の阻害要因がなく、キャリアの移動度は高い。
【0248】
上記のことは、金属酸化物に対しても、あてはまると推測される。例えば、化学量論的組成を満たす酸素よりも少ない酸素を含む金属酸化物では、酸素欠損VOが多く存在すると考えられる。この酸素欠損周りに存在する原子は、本質的な状態よりも、歪んだ場所に位置する。この酸素欠損による歪みが散乱中心となっている可能性がある。
【0249】
また、例えば、化学量論的組成を満たす酸素よりも多くの酸素を含む金属化合物では、過剰酸素が存在する。金属化合物中で遊離した状態で存在する過剰酸素は、電子を受け取ることで、O-やO2-になる。O-やO2-となった過剰酸素が散乱中心になる可能性がある。
【0250】
以上のことから、金属酸化物が、化学量論的組成を満たす酸素を含む本質的な状態を有する場合、キャリアの移動度は高いと考えられる。
【0251】
インジウムと、ガリウムと、亜鉛と、を有する金属酸化物の一種である、インジウム-ガリウム-亜鉛酸化物(以下、IGZO)は、とくに、大気中では結晶成長がし難い傾向があるため、大きな結晶(ここでは、数mmの結晶、または数cmの結晶)よりも小さな結晶(例えば、上述のナノ結晶)とする方が、構造的に安定となる場合がある。これは、大きな結晶を形成するよりも、小さな結晶同士が連結する方が、歪みエネルギーが緩和されるためと考えられる。
【0252】
なお、小さな結晶同士が連結する領域においては、該領域の歪みエネルギーを緩和するために、欠陥が形成される場合がある。したがって、該領域に欠陥を形成することなく、歪みエネルギーを緩和させることで、キャリアの移動度を高くすることができる。
【0253】
また、トランジスタには、キャリア密度の低い金属酸化物を用いることが好ましい。金属酸化物膜のキャリア密度を低くする場合においては、金属酸化物膜中の不純物濃度を低くし、欠陥準位密度を低くすればよい。本明細書等において、不純物濃度が低く、欠陥準位密度の低いことを高純度真性または実質的に高純度真性という。例えば、金属酸化物は、キャリア密度が8×1011/cm3未満、好ましくは1×1011/cm3未満、さらに好ましくは1×1010/cm3未満であり、1×10-9/cm3以上とすればよい。
【0254】
また、高純度真性または実質的に高純度真性である金属酸化物膜は、欠陥準位密度が低いため、トラップ準位密度も低くなる場合がある。
【0255】
また、金属酸化物のトラップ準位に捕獲された電荷は、消失するまでに要する時間が長く、あたかも固定電荷のように振る舞うことがある。そのため、トラップ準位密度の高い金属酸化物をチャネル形成領域に有するトランジスタは、電気特性が不安定となる場合がある。
【0256】
したがって、トランジスタの電気特性を安定にするためには、金属酸化物中の不純物濃度を低減することが有効である。また、金属酸化物中の不純物濃度を低減するためには、近接する膜中の不純物濃度も低減することが好ましい。不純物としては、水素、窒素、アルカリ金属、アルカリ土類金属、鉄、ニッケル、シリコン等がある。
【0257】
[不純物]
ここで、金属酸化物中における各不純物の影響について説明する。
【0258】
金属酸化物において、第14族元素の一つであるシリコンや炭素が含まれると、金属酸化物において欠陥準位が形成される。このため、金属酸化物におけるシリコンや炭素の濃度と、金属酸化物の界面近傍のシリコンや炭素の濃度(二次イオン質量分析法(SIMS:Secondary Ion Mass Spectrometry)により得られる濃度)を、2×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1017atoms/cm3以下とする。
【0259】
また、金属酸化物にアルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれると、欠陥準位を形成し、キャリアを生成する場合がある。したがって、アルカリ金属またはアルカリ土類金属が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を低減することが好ましい。具体的には、SIMSにより得られる金属酸化物中のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の濃度を、1×1018atoms/cm3以下、好ましくは2×1016atoms/cm3以下にする。
【0260】
また、金属酸化物において、窒素が含まれると、キャリアである電子が生じ、キャリア密度が増加し、n型化しやすい。この結果、窒素が含まれている金属酸化物をチャネル形成領域に用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。したがって、当該金属酸化物において、チャネル形成領域の窒素はできる限り低減されていることが好ましい。例えば、金属酸化物中の窒素濃度は、SIMSにおいて、5×1019atoms/cm3未満、好ましくは5×1018atoms/cm3以下、より好ましくは1×1018atoms/cm3以下、さらに好ましくは5×1017atoms/cm3以下とする。
【0261】
また、金属酸化物に含まれる水素は、金属原子と結合する酸素と反応して水になるため、酸素欠損を形成する場合がある。該酸素欠損に水素が入ることで、キャリアである電子が生成される場合がある。また、水素の一部が金属原子と結合する酸素と結合して、キャリアである電子を生成することがある。従って、水素が含まれている金属酸化物を用いたトランジスタはノーマリーオン特性となりやすい。このため、金属酸化物中の水素はできる限り低減されていることが好ましい。具体的には、金属酸化物において、SIMSにより得られる水素濃度を、1×1020atoms/cm3未満、好ましくは1×1019atoms/cm3未満、より好ましくは5×1018atoms/cm3未満、さらに好ましくは1×1018atoms/cm3未満とする。
【0262】
不純物が十分に低減された金属酸化物をトランジスタのチャネル形成領域に用いることで、トランジスタのオフ電流を低減し、安定した電気特性を付与することができる。
【0263】
<選択トランジスタアレイの構成>
次に、先の実施の形態に示す選択トランジスタアレイが有するトランジスタの構成の一例について
図13を用いて説明する。
【0264】
図13(A)(B)は、
図5に示す選択トランジスタアレイ50に設けられたトランジスタ61の断面図である。
図13(A)に示す断面C1-C2はトランジスタ61のチャネル長方向の断面図を表し、
図13(B)に示す断面C3-C4はトランジスタ61のチャネル幅方向の断面を表している。
【0265】
図13(A)(B)に示すトランジスタ61は、半導体基板150を用いたトランジスタである。トランジスタ61は、半導体基板150中の領域172aと、半導体基板150中の領域172bと、絶縁体162aと、導電体154aと、を有する。なお、図示してはいないが、導電体154aの側面に接してサイドウォール絶縁体を設ける構成としてもよい。また、導電体154aの側面に接してサイドウォール絶縁体を設ける場合、領域172a及び領域172bにおいて、当該サイドウォール絶縁体と重なる領域に、当該サイドウォール絶縁体と重ならない領域より不純物濃度が低い領域が形成される場合がある。
【0266】
トランジスタ61において、領域172aおよび領域172bは、ソース領域およびドレイン領域としての機能を有する。また、絶縁体162aは、ゲート絶縁体としての機能を有する。また、導電体154aは、ゲート電極としての機能を有する。したがって、導電体154aに印加する電位によって、チャネル形成領域の抵抗を制御することができる。即ち、導電体154aに印加する電位によって、領域172aと領域172bとの間の導通・非導通を制御することができる。
【0267】
図13(A)(B)に示す半導体装置は、トランジスタ61がFin型に構成されている。トランジスタ61をFin型とすることにより、実効的なチャネル幅が増大する。これによりトランジスタ61のオン特性を向上させることができる。また、ゲート電極の電界の寄与を高くすることができるため、トランジスタ61のオフ特性を向上させることができる。
【0268】
半導体基板150としては、例えば、シリコン、ゲルマニウムなどの半導体基板、または炭化シリコン、シリコンゲルマニウム、ヒ化ガリウム、リン化インジウム、酸化亜鉛、酸化ガリウムなどの半導体基板などを用いればよい。好ましくは、半導体基板150として単結晶シリコン基板を用いる。
【0269】
半導体基板150は、p型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いる。ただし、半導体基板150として、n型の導電型を付与する不純物を有する半導体基板を用いても構わない。その場合、トランジスタ61となる領域には、p型の導電型を付与する不純物を有するウェルを配置すればよい。または、半導体基板150がi型であっても構わない。
【0270】
なお、本実施の形態に示す半導体装置に用いる基板は半導体基板に限られるものではない。例えば、トランジスタ61などの活性層を成膜などにより形成する場合、絶縁体基板または導電体基板などを用いることもできる。絶縁体基板としては、例えば、ガラス基板、石英基板、サファイア基板、安定化ジルコニア基板(イットリア安定化ジルコニア基板など)、樹脂基板などがある。また、前述の半導体基板内部に絶縁体領域を有する半導体基板、例えばSOI(Silicon On Insulator)基板などを用いてもよい。導電体基板としては、黒鉛基板、金属基板、合金基板、導電性樹脂基板などがある。または、金属の窒化物を有する基板、金属の酸化物を有する基板などがある。さらには、絶縁体基板に導電体または半導体が設けられた基板、半導体基板に導電体または絶縁体が設けられた基板、導電体基板に半導体または絶縁体が設けられた基板などがある。または、これらの基板に素子が設けられたものを用いてもよい。基板に設けられる素子としては、容量素子、抵抗素子、スイッチ素子、発光素子、記憶素子などがある。なお、基板を基体と言い換えてもよい。
【0271】
また、基板として、トランジスタ作製時の加熱処理に耐えうる可とう性基板を用いてもよい。なお、可とう性基板上にトランジスタを設ける方法としては、非可とう性の基板上にトランジスタを作製した後、トランジスタを剥離し、可とう性基板に転置する方法もある。その場合には、非可とう性基板とトランジスタとの間に剥離層を設けるとよい。なお、基板として、繊維を編みこんだシート、フィルムまたは箔などを用いてもよい。また、基板が伸縮性を有してもよい。また、基板は、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有してもよい。または、元の形状に戻らない性質を有してもよい。基板の厚さは、例えば、5μm以上700μm以下、好ましくは10μm以上500μm以下、さらに好ましくは15μm以上300μm以下とする。基板を薄くすると、半導体装置を軽量化することができる。また、基板を薄くすることで、ガラスなどを用いた場合にも伸縮性を有する場合や、折り曲げや引っ張りをやめた際に、元の形状に戻る性質を有する場合がある。そのため、落下などによって基板上の半導体装置に加わる衝撃などを緩和することができる。即ち、丈夫な半導体装置を提供することができる。
【0272】
領域172aおよび領域172bは、n型の導電型を付与する不純物を有する領域である。このようにして、トランジスタ61はnチャネル型トランジスタを構成する。
【0273】
なお、トランジスタ61は、領域160などによって隣接するトランジスタと分離される。領域160は、絶縁性を有する領域である。
【0274】
図13(A)(B)に示す半導体装置は、絶縁体132と、酸化物134と、絶縁体164と、絶縁体165と、絶縁体166と、絶縁体168と、絶縁体170と、導電体180aと、導電体180bと、導電体178aと、導電体178bと、導電体176aと、導電体174aと、を有する。ここで、絶縁体132、および酸化物134は、上述した3次元メモリセルアレイ40に形成されていたものである。
【0275】
絶縁体164は、トランジスタ61を埋め込むように形成される。また、絶縁体165は、絶縁体164上に形成される。また、絶縁体166は、絶縁体165上に形成される。また、絶縁体168は、絶縁体166上に形成される。また、絶縁体170は、絶縁体168上に形成される。
【0276】
絶縁体164、絶縁体165、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170は、領域172aに達する円柱状の開口を有しており、当該開口の中に絶縁体132、および酸化物134を有する。絶縁体132は当該開口の内壁に接して円筒状に形成されており、酸化物134は絶縁体132の内側に円柱状に形成されている。絶縁体132、および酸化物134は、半導体基板150の上面に対して略垂直に伸長して形成されている。
【0277】
絶縁体132の底面の少なくとも一部に開口が形成されており、当該開口を介して酸化物134が領域172aと接している。ここで、
図13(A)(B)に示す酸化物134は、
図3などに示す配線RBL[1,1]乃至[m
1,m
2]のいずれか一に対応しており、領域172aはトランジスタ61のソース領域またはドレイン領域としての機能を有している。以上のような構成とすることにより、メモリセルストリング底部の配線RBLを選択トランジスタセル60のトランジスタ61のソース領域またはドレイン領域と電気的に接続することができる。
【0278】
さらに、絶縁体164および絶縁体165は、領域172bに達する開口と、導電体154aに達する開口と、を有する。当該開口には、それぞれ導電体180aと、導電体180bと、が埋め込まれている。さらに、絶縁体166は、導電体180aに達する開口と、導電体180bに達する開口と、を有する。当該開口には、それぞれ導電体178aと、導電体178bと、が埋め込まれている。また、絶縁体168は、導電体178aに達する開口を有する。当該開口には導電体176aが埋め込まれている。また、絶縁体170は、導電体176aに達する開口を有する。当該開口には、導電体174aが埋め込まれている。
【0279】
ここで、導電体174aは、トランジスタ61のソース領域又はドレイン領域として機能する領域172bと電気的に接しており、
図5などに示す配線RBL[1]乃至[m
2]のいずれかとして機能する。また、導電体178bはトランジスタ61のゲートとして機能する導電体154aと電気的に接続しており、
図5などに示す配線SG1として機能する。データの読み出しにおいて、このように形成された配線SG1とトランジスタ61を介して、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m
1]のいずれかを選択することができる。
【0280】
絶縁体164、絶縁体165、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170の一以上は、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を有することが好ましい。3次元メモリセルアレイ40に含まれるトランジスタ12より下層に、水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体を配置することによって、トランジスタ12の電気特性を安定にすることができる。
【0281】
水素などの不純物および酸素をブロックする機能を有する絶縁体としては、例えば、ホウ素、炭素、窒素、酸素、フッ素、マグネシウム、アルミニウム、シリコン、リン、塩素、アルゴン、ガリウム、ゲルマニウム、イットリウム、ジルコニウム、ランタン、ネオジム、ハフニウムまたはタンタルを含む絶縁体を、単層で、または積層で用いればよい。
【0282】
導電体180a、導電体180b、導電体178a、導電体178b、導電体176a及び導電体174aとしては、例えば、ホウ素、窒素、酸素、フッ素、シリコン、リン、アルミニウム、チタン、クロム、マンガン、コバルト、ニッケル、銅、亜鉛、ガリウム、イットリウム、ジルコニウム、モリブデン、ルテニウム、銀、インジウム、スズ、タンタルおよびタングステンを一種以上含む導電体を、単層で、または積層で用いればよい。例えば、合金や化合物であってもよく、アルミニウムを含む導電体、銅およびチタンを含む導電体、銅およびマンガンを含む導電体、インジウム、スズおよび酸素を含む導電体、チタンおよび窒素を含む導電体などを用いてもよい。
【0283】
また、
図13(C)(D)は、
図5に示す選択トランジスタアレイ50に設けられたトランジスタ62の断面図である。
図13(C)に示す断面C5-C6はトランジスタ62のチャネル長方向の断面図を表し、
図13(D)に示す断面C7-C8はトランジスタ62のチャネル幅方向の断面を表している。
【0284】
図13(C)(D)に示す半導体装置の構成は、絶縁体132および酸化物134が形成されている代わりに導電体120が形成されていることを除いて、
図13(A)(B)に示す半導体装置の構成と同様である。トランジスタ62は、半導体基板150中の領域172cと、半導体基板150中の領域172dと、絶縁体162bと、導電体154bと、を有するが、領域172c及び領域172dは、領域172a及び領域172bの構成を、絶縁体162bは、絶縁体162aの構成を、導電体154bは、導電体154aの構成を、参酌することができる。
【0285】
また、導電体180c、導電体180d、導電体178c、導電体178d、導電体176b及び導電体174bは、導電体180a、導電体180b、導電体178a、導電体178b、導電体176a及び導電体174aの構成を参酌することができる。
【0286】
絶縁体164、絶縁体165、絶縁体166、絶縁体168及び絶縁体170は、領域172cに達する円柱状の開口を有しており、当該開口の中に導電体120を有する。導電体120は当該開口の内壁に接して円柱状に形成されている。導電体120は、半導体基板150の上面に対して略垂直に伸長して形成されている。ここで、
図13(C)(D)に示す導電体120は、
図3などに示す配線WBL[1,1]乃至[m
1,m
2]のいずれか一に対応しており、領域172cはトランジスタ62のソース領域またはドレイン領域としての機能を有している。以上のような構成とすることにより、メモリセル10のトランジスタ12と電気的に接続される配線WBLを選択トランジスタセル60のトランジスタ62のソース領域またはドレイン領域と電気的に接続することができる。
【0287】
また、導電体174bは、トランジスタ62のソース領域又はドレイン領域として機能する領域172dと電気的に接しており、
図5などに示す配線WBL[1]乃至[m
2]のいずれかとして機能する。また、導電体178dはトランジスタ62のゲートとして機能する導電体154bと電気的に接続しており、
図5などに示す配線SG2として機能する。データの書き込みにおいて、このように形成された配線SG2とトランジスタ62を介して、2次元メモリセルアレイ30[1]乃至[m
1]のいずれかを選択することができる。
【0288】
<メモリセルアレイの作製方法>
次に、上記半導体装置の作製方法について、
図14乃至
図26を用いて説明する。
図14乃至
図26は、上記半導体装置の3次元メモリセルアレイ40の一部のメモリセル10の作製過程を示した図である。
図14(A)乃至
図26(A)はメモリセル10の層140の平面図であり、
図14(B)乃至
図26(B)はメモリセル10の断面図であり、
図14(A)乃至
図26(A)に示す一点鎖線A1-A2に対応する。また、
図14(A)乃至
図26(A)は
図8(B)に示す平面図に対応しており、
図14(B)乃至
図26(B)は
図8(A)に示す断面図に対応している。
【0289】
以下に示す作製方法において、成膜工程は、スパッタリング法、化学気相成長(CVD:Chemical Vapor Deposition)法、分子線エピタキシー(MBE:Molecular Beam Epitaxy)法、パルスレーザ堆積(PLD:Pulsed Laser Deposition)法、または原子層堆積(ALD:Atomic Layer Deposition)法などを用いて行うことができる。
【0290】
なお、CVD法は、プラズマを利用するプラズマCVD(PECVD:Plasma Enhanced CVD)法、熱を利用する熱CVD(TCVD:Thermal CVD)法、光を利用する光CVD(Photo CVD)法などに分類できる。さらに用いる原料ガスによって金属CVD(MCVD:Metal CVD)法、有機金属CVD(MOCVD:Metal Organic CVD)法に分けることができる。
【0291】
プラズマCVD法は、比較的低温で高品質の膜が得られる。また、熱CVD法は、プラズマを用いないため、被処理物へのプラズマダメージを抑制することが可能な成膜方法である。例えば、半導体装置に含まれる配線、電極、素子(トランジスタ、容量素子など)などは、プラズマから電荷を受け取ることでチャージアップする場合がある。このとき、蓄積した電荷によって、半導体装置に含まれる配線、電極、素子などが破壊される場合がある。一方、プラズマを用いない熱CVD法の場合、こういったプラズマダメージが生じないため、半導体装置の歩留まりを高くすることができる。また、熱CVD法では、成膜中のプラズマダメージが生じないため、欠陥の少ない膜が得られる。
【0292】
また、ALD法も、被処理物へのプラズマダメージを抑制することが可能な成膜方法である。よって、欠陥の少ない膜が得られる。なお、ALD法で用いるプリカーサには炭素などの不純物を含むものがある。このため、ALD法により設けられた膜は、他の成膜法により設けられた膜と比較して、炭素などの不純物を多く含む場合がある。なお、不純物の定量は、X線光電子分光法(XPS:X-ray Photoelectron Spectroscopy)を用いて行うことができる。
【0293】
CVD法およびALD法は、ターゲットなどから放出される粒子が堆積する成膜方法とは異なり、被処理物の表面における反応により膜が形成される成膜方法である。したがって、被処理物の形状の影響を受けにくく、良好な段差被覆性を有する成膜方法である。特に、ALD法は、優れた段差被覆性と、優れた厚さの均一性を有するため、アスペクト比の高い開口部の表面を被覆する場合などに好適である。ただし、ALD法は、比較的成膜速度が遅いため、成膜速度の速いCVD法などの他の成膜方法と組み合わせて用いることが好ましい場合もある。
【0294】
CVD法およびALD法は、原料ガスの流量比によって、得られる膜の組成を制御することができる。例えば、CVD法およびALD法では、原料ガスの流量比によって、任意の組成の膜を成膜することができる。また、例えば、CVD法およびALD法では、成膜しながら原料ガスの流量比を変化させることによって、組成が連続的に変化した膜を成膜することができる。原料ガスの流量比を変化させながら成膜する場合、複数の成膜室を用いて成膜する場合と比べて、搬送や圧力調整に掛かる時間を要さない分、成膜に掛かる時間を短くすることができる。したがって、半導体装置の生産性を高めることができる場合がある。
【0295】
また、成膜された、導電体、絶縁体および半導体の加工はリソグラフィー法を用いて行えばよい。また、当該加工はドライエッチング法やウェットエッチング法を用いることができる。ドライエッチング法による加工は微細加工に適している。
【0296】
リソグラフィー法では、まず、マスクを介してレジストを露光する。次に、露光された領域を、現像液を用いて除去または残存させてレジストマスクを形成する。次に、当該レジストマスクを介してエッチング処理することで導電体、半導体または絶縁体などを所望の形状に加工することができる。例えば、KrFエキシマレーザ光、ArFエキシマレーザ光、EUV(Extreme Ultraviolet)光などを用いて、レジストを露光することでレジストマスクを形成すればよい。また、基板と投影レンズとの間に液体(例えば水)を満たして露光する、液浸技術を用いてもよい。また、前述した光に代えて、電子ビームやイオンビームを用いてもよい。なお、電子ビームやイオンビームを用いる場合には、レジスト上に直接描画を行うため、上述のレジスト露光用のマスクは不要となる。なお、レジストマスクは、アッシングなどのドライエッチング処理を行う、ウェットエッチング処理を行う、ドライエッチング処理後にウェットエッチング処理を行う、またはウェットエッチング処理後にドライエッチング処理を行う、などで、除去することができる。
【0297】
また、レジストマスクの代わりに絶縁体や導電体からなるハードマスクを用いてもよい。ハードマスクを用いる場合、エッチング対象の構成材料上にハードマスク材料となる絶縁膜や導電膜を形成し、その上にレジストマスクを形成し、ハードマスク材料をエッチングすることで所望の形状のハードマスクを形成することができる。当該構成材料のエッチングは、レジストマスクを除去してから行ってもよいし、レジストマスクを残したまま行ってもよい。後者の場合、エッチング中にレジストマスクが消失することがある。当該構成材料のエッチング後にハードマスクをエッチングにより除去してもよい。一方、ハードマスクの材料が後工程に影響が無い、あるいは後工程で利用できる場合、必ずしもハードマスクを除去する必要は無い。
【0298】
ドライエッチング装置としては、平行平板型電極を有する容量結合型プラズマ(CCP:Capacitively Coupled Plasma)エッチング装置を用いることができる。平行平板型電極を有する容量結合型プラズマエッチング装置は、平行平板型電極の一方の電極に高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極の一方の電極に複数の異なった高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに同じ周波数の高周波電源を印加する構成でもよい。または平行平板型電極それぞれに周波数の異なる高周波電源を印加する構成でもよい。または高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置を用いることができる。高密度プラズマ源を有するドライエッチング装置は、例えば、誘導結合型プラズマ(ICP:Inductively Coupled Plasma)エッチング装置などを用いることができる。
【0299】
まず、
図13に示すような選択トランジスタが形成された基板上に、絶縁体118A、導電体122A、絶縁体116A、絶縁体130A、絶縁体112A、および導電体114Aをこの順番に積層して成膜する(
図14(A)(B)参照)。さらに、メモリセルアレイの層数に合わせて、この積層体を繰り返し形成する。ここで、絶縁体118Aは後の工程で絶縁体118となる絶縁膜である。また、導電体122Aは後の工程で導電体122となる導電膜である。また、絶縁体116Aは後の工程で絶縁体116となる絶縁膜である。また、絶縁体130Aは後の工程で絶縁体130となる絶縁膜である。また、絶縁体112Aは後の工程で絶縁体112となる絶縁膜である。また、導電体114Aは後の工程で導電体114となる導電膜である。よって、これらに用いる絶縁性材料および導電性材料は、上記の記載を参酌すればよい。また、これらの絶縁膜および導電膜の成膜は、スパッタリング法、CVD法、MBE法、PLD法またはALD法などを用いて行うことができる。
【0300】
ただし、
図14(B)の最上層は、3次元メモリセルアレイの最上層として便宜的に絶縁体118としているが、これに限られるものではない。3次元メモリセルアレイの最上層は、回路構成等に応じて、適宜、絶縁膜、導電膜、半導体膜、などを設けてもよい。
【0301】
絶縁体130Aは、後述する工程において、絶縁体118A、絶縁体116A、および絶縁体112Aに対して選択的にエッチングを行う必要がある。このため、当該エッチング処理において、絶縁体130Aのエッチング速度が、絶縁体118A、絶縁体116A、および絶縁体112Aのエッチング速度に比べて著しく大きくなることが好ましい。絶縁体118A、絶縁体116A、および絶縁体112Aのエッチング速度を1とすると、絶縁体130Aのエッチング速度は5以上が好ましく、より好ましくは10以上である。よって、絶縁体130A、絶縁体118A、絶縁体116A、および絶縁体112Aとして用いる絶縁性材料は、上記のエッチング速度を満たすように、エッチング条件等に合わせて適宜選択することが好ましい。
【0302】
ここで、導電体122Aおよび導電体114Aのy軸方向に延伸した端部を階段状に加工しておくことが好ましい。導電体122と導電体114の階段状の部分が、駆動回路と接続された配線とのコンタクト部となる。これにより、導電体122および導電体114は、当該配線と接続されたプラグと容易にコンタクトを取ることができる。
【0303】
次に、マスクを用いて、絶縁体118A、導電体122A、絶縁体116A、絶縁体130A、絶縁体112A、および導電体114Aを含む積層体を分断加工して、絶縁体118B、導電体122B、絶縁体116B、絶縁体130B、絶縁体112B、および導電体114Bを含む積層体を形成する(
図15(A)(B)参照)。絶縁体118B、導電体122B、絶縁体116B、絶縁体130B、絶縁体112B、および導電体114Bを含む積層体は、後の工程で絶縁体138が埋め込まれる第3の開口によって分断されている。第3の開口は、y軸方向に延伸された溝状の開口である。よって、絶縁体118B、導電体122B、絶縁体116B、絶縁体130B、絶縁体112B、および導電体114Bは、y軸方向に延伸した板状の形状になる。上記第3の開口の形成には、例えば、ドライエッチング処理などの異方性の強いエッチング処理を行えばよい。
【0304】
次に、絶縁体118B、導電体122B、絶縁体116B、絶縁体130B、絶縁体112B、および導電体114Bを含む積層体の間の第3の開口を埋め込むように絶縁体138を成膜する(
図16(A)(B)参照)。絶縁体138は、CVD法やALD法を用いて形成することができる。特に、ALD法を用いることで、アスペクト比の大きい溝や開口部に対しても、厚さの均一な膜を形成することができるため、好ましい。または、ALD法と、CVD法を組み合わせて絶縁体138を形成してもよい。絶縁体138は、CMP法や、リフロー法を用いて、平坦化処理されていることが好ましい。CMP法を用いて平坦化処理を行う場合、絶縁体118Bの表面が露出するまで絶縁体138を研磨してもよい。また、絶縁体118Bと絶縁体138を一緒に研磨してもよい。
【0305】
次に、マスクを用いて、絶縁体118B、導電体122B、絶縁体116B、絶縁体130B、絶縁体112B、および導電体114Bを含む積層体に縦穴状の開口を形成し、絶縁体118C、導電体122C、絶縁体116C、絶縁体130C、絶縁体112C、および導電体114Cを含む積層体を形成する(
図17(A)(B)参照)。絶縁体118C、導電体122C、絶縁体116C、絶縁体130C、絶縁体112C、および導電体114Cを含む積層体は、後の工程で導電体120が埋め込まれる第2の開口が形成されている。上記第2の開口の形成には、例えば、ドライエッチング処理などの異方性エッチング処理を行えばよい。
【0306】
次に、第2の開口に面する導電体114Cおよび導電体122Cの表面を酸化し、導電体114Cの側面に絶縁体126を、導電体122Cの側面に絶縁体128を形成する(
図18(A)(B)参照)。絶縁体126および絶縁体128の形成は、例えば、酸素を含む雰囲気で熱処理を行えばよい。ここで、導電体114Cと導電体122Cに、異なる導電性材料を用いることにより、絶縁体126と絶縁体128の形成される速度を異ならせ、絶縁体126の膜厚を厚くすることができる。
【0307】
また、絶縁体126および絶縁体128を形成する前に、エッチング処理を行い、導電体122Cを選択的に除去してもよい。導電体114Cと導電体122Cに、異なる導電性材料を用いることにより、導電体114Cと導電体122Cのエッチング速度を異ならせ、導電体122Cの側面を、導電体114Cの側面より、A1側に位置させることができる。
【0308】
次に、等方性エッチングを行って、層140に設けられた絶縁体130Cを選択的に除去して絶縁体130を形成する(
図19(A)(B))。等方性エッチングとしては、例えば、ウェットエッチングまたは、反応性ガスを用いたエッチングを用いればよい。反応性ガスを用いたエッチングでは、意図的に基板などにバイアスを掛けないようにして、エッチングの等方性を高くする。また、反応性ガスを用いたエッチングでは、反応性ガスを高温にする、または反応性ガスをプラズマ化することにより、エッチングガスの反応性を向上させてもよい。
【0309】
当該エッチング処理においては、絶縁体130Cのエッチング速度が、絶縁体118C、絶縁体116C、絶縁体112C、および絶縁体138のエッチング速度に比べて著しく大きくなることが好ましい。絶縁体118C、絶縁体116C、絶縁体112C、および絶縁体138のエッチング速度を1とすると、絶縁体130Cのエッチング速度は5以上が好ましく、より好ましくは10以上である。よって、上記のエッチング速度を満たすように、適宜エッチング条件を選択すればよい。
【0310】
例えば、絶縁体130Cをシリコン窒化物で形成し、絶縁体118C、絶縁体116C、絶縁体112C、および絶縁体138をシリコン酸化物で形成する場合、リン酸水溶液を用いたウェットエッチングを行えばよい。
【0311】
このとき、
図19(A)に示すように、層140における絶縁体130のエッチング領域の上面形状は、絶縁体138で切断されたような、略円形状になることがある。
【0312】
次に、絶縁体118C、導電体122C、絶縁体116C、絶縁体130、絶縁体112C、および導電体114Cを含む積層体に形成された開口の中に酸化物106Aを形成する(
図20(A)(B)参照)。ここで、酸化物106Aは、後の工程で酸化物106となるので、本実施の形態に示す酸化物を用いればよい。酸化物106Aは、CVD法やALD法を用いて形成することができる。特に、ALD法を用いることで、アスペクト比の大きい溝や開口部に対しても、厚さの均一な膜を形成することができるため、好ましい。または、ALD法と、CVD法を組み合わせて酸化物106Aを形成してもよい。また、CVD法を用いる場合はMOCVD法またはMCVD法を用いてもよい。酸化物106Aを積層膜とする場合、同じ成膜装置で形成されてもよいし、異なる成膜装置で形成されてもよい。
【0313】
各層140において、酸化物106Aは、絶縁体130および絶縁体138に囲まれた領域に成膜される。これにより、各層140において、酸化物106Aは島状に形成され、酸化物106Aどうしが互いに接することを防ぐことができる。
【0314】
ここで、メモリセルアレイの最上面に形成された酸化物106Aは、CMP法などを用いて除去されていることが好ましい。
【0315】
次に、第2の開口に形成された酸化物106Aを選択的に除去し、酸化物106Bを形成する(
図21(A)(B)参照)。これにより、酸化物106Bは各層140に分断される。第2の開口内の酸化物106Aを選択的に除去するには、例えば、ドライエッチング処理などの異方性エッチング処理を行えばよい。
【0316】
次に、絶縁体118C、導電体122C、絶縁体116C、絶縁体130、酸化物106B、絶縁体112C、および導電体114Cを含む積層体に形成された第2の開口の中に導電体120を形成する(
図22(A)(B)参照)。導電体120は、CVD法やALD法を用いて形成することができる。特に、ALD法を用いることで、アスペクト比の大きい溝や開口部に対しても、厚さの均一な膜を形成することができるため、好ましい。または、ALD法と、CVD法を組み合わせて導電体120を形成してもよい。また、CVD法を用いる場合はMOCVD法またはMCVD法を用いてもよい。
【0317】
ここで、導電体120の底部は、
図13(C)に示すようにトランジスタ62の領域172cに電気的に接続される。
【0318】
層140において、酸化物106Bは、導電体120の周囲を囲むように側面と接している。酸化物106Bの導電体120と接している領域近傍に、導電体120に含まれる金属元素が添加され、酸化物106Bの当該領域が低抵抗化され、領域109bが形成されることがある。また、導電体120の形成後に、熱処理を行うことで、導電体120に含まれる金属元素を酸化物106に添加し、より確実に領域109bを形成することができる。ここで、導電体120を設ける第2の開口の径を十分大きくし、例えば10nm以上200nm以下程度にしておくことで、熱処理して領域109bを形成しても、導電体120の導電性を十分に保持することができる。
【0319】
次に、マスクを用いて、絶縁体118C、導電体122C、絶縁体116C、絶縁体130、酸化物106B、絶縁体112C、および導電体114Cを含む積層体に縦穴状の開口を形成し、絶縁体118、導電体122、絶縁体116、絶縁体130、絶縁体112、および導電体114を含む積層体を形成する(
図23(A)(B)参照)。絶縁体118、導電体122、絶縁体116、絶縁体130、絶縁体112、および導電体114を含む積層体は、後の工程で絶縁体132および酸化物134が埋め込まれる第1の開口が形成されている。上記第1の開口の形成には、例えば、ドライエッチング処理などの異方性エッチング処理を行えばよい。
【0320】
次に、第1の開口に面する導電体114および導電体122の表面を酸化し、導電体114の側面に絶縁体127を、導電体122の側面に絶縁体129を形成する(
図23(A)(B)参照)。絶縁体127および絶縁体129の形成は、例えば、酸素を含む雰囲気で熱処理を行えばよい。ここで、導電体114と導電体122に、異なる導電性材料を用いることにより、絶縁体127と絶縁体129の形成される速度を異ならせ、絶縁体127の膜厚を厚くすることができる。
【0321】
また、絶縁体127および絶縁体129を形成する前に、エッチング処理を行い、導電体114を選択的に除去してもよい。導電体114と導電体122に、異なる導電性材料を用いることにより、導電体114と導電体122のエッチング速度を異ならせ、導電体114の側面を、導電体122の側面より、A2側に位置させることができる。
【0322】
次に、絶縁体118、導電体122、絶縁体116、絶縁体130、絶縁体112、および導電体114を含む積層体に形成された第1の開口の中に絶縁体132Aを成膜する(
図24(A)(B)参照)。ここで、絶縁体132Aは、後の工程で絶縁体132となるので、本実施の形態に示す絶縁体を用いればよい。絶縁体132Aは、CVD法やALD法を用いて形成することができる。特に、ALD法を用いることで、アスペクト比の大きい溝や開口部に対しても、厚さの均一な膜を形成することができるため、好ましい。または、ALD法と、CVD法を組み合わせて絶縁体132Aを形成してもよい。
【0323】
ここで、絶縁体132Aは、第1の開口の内側に接して、内部に空間を有する円筒状に設けられることが好ましい。
【0324】
また、絶縁体132Aは、必ずしも成膜直後に絶縁体である必要はない。例えば、アルミニウム、ルテニウム、チタン、タンタル、クロム、タングステン、などの金属膜を、薄い膜厚で成膜し、熱処理などによって、当該金属膜に酸素を供給して、絶縁性の金属酸化膜を形成し、絶縁体132Aにしてもよい。このとき、当該金属膜の膜厚は、例えば、0.5nm以上5nm以下、好ましくは1nm以上2nm以下にすればよい。また、上記熱処理を、酸素を含む雰囲気で行うことにより、より確実に絶縁体132Aを形成することができる。また、上記熱処理において、窒素を含む雰囲気で一度熱処理を行って、さらに酸素を含む雰囲気で熱処理を行ってもよい。
【0325】
ここで、層140において、酸化物106は、絶縁体132Aとなる金属膜の周囲を囲むように側面と接している。よって、上記絶縁体132Aの形成と並行して、酸化物106の絶縁体132Aとなる金属膜と接している領域近傍に、絶縁体132Aとなる金属膜に含まれる金属元素が添加される。これにより、酸化物106の当該領域が低抵抗化され、領域109aが形成される(
図24(A)(B)参照)。
【0326】
次に、第1の開口の底部に形成された絶縁体132Aを選択的に除去し、絶縁体132を形成する(
図25(A)(B)参照。)。絶縁体132Aの除去には、異方性エッチングを用いることが好ましい。このとき、絶縁体118および絶縁体138等の上の絶縁体132Aも除去されるため、絶縁体132は、第1の開口の側壁のみに設けられる。
【0327】
次に、絶縁体118、導電体122、絶縁体116、絶縁体130、絶縁体112、および導電体114を含む積層体に形成された第1の開口の中に酸化物134を形成する(
図26(A)(B)参照)。ここで、酸化物134は、本実施の形態に示す酸化物を用いればよい。酸化物134は、CVD法やALD法、またはスパッタリング法を用いて形成することができる。特に、ALD法を用いることで、アスペクト比の大きい溝や開口部に対しても、厚さの均一な膜を形成することができるため、好ましい。または、ALD法と、CVD法を組み合わせて酸化物134を形成してもよい。また、CVD法を用いる場合はMOCVD法またはMCVD法を用いてもよい。酸化物134を積層膜とする場合、同じ成膜装置で形成されてもよいし、異なる成膜装置で形成されてもよい。
【0328】
ここで、酸化物134の底部は、
図13(A)に示すようにトランジスタ61の領域172aに電気的に接続される。
【0329】
また、メモリセルアレイの最上面に形成された酸化物134は、CMP法などを用いて除去されていることが好ましい。
【0330】
このようにメモリセルアレイを作製することにより、各層ごとにメモリセル10を作製するためのパターン形成を行うことなく、複数の層のメモリセル10を一括で作製することができる。さらに、上記の方法でメモリセルアレイを作製する場合、メモリセル10の層数を増やしても、メモリセル10のパターン形成およびエッチング処理の工程数が増えない。このように、メモリセルアレイ作製の工程を短縮することができるので、生産性の高い半導体装置を提供することができる。
【0331】
以上のような構成とすることにより、メモリセル10を基板の上面に垂直な方向に積層した3次元メモリセルアレイを提供することができる。このように、メモリセルを積層して設けることにより、積層数に応じて単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる。当該メモリセルにおいては、2個のトランジスタと1個の容量素子が含まれており、比較的素子数が多い。本実施の形態に示す半導体装置を用いることにより、上記のような良好な特性に加えて、従来のメモリと同等、またはそれ以上に単位面積あたりの記憶容量の大きい半導体装置を提供することができる。
【0332】
なお、本実施の形態に示す半導体装置の構成は一例であり、本発明は、本実施の形態に係る図面等に示す、回路素子および配線等の、個数および配置等に限定されるものではない。本実施の形態に係る半導体装置が有する、回路素子および配線等の、個数および配置等は、回路構成や駆動方法に合わせて適宜設定することができる。
【0333】
以上、本実施の形態に示す構成、方法などは、他の実施の形態に示す構成、方法などと適宜組み合わせて用いることができる。
【0334】
(実施の形態3)
本実施の形態では、先の実施の形態に示す半導体装置を用いた記憶装置の応用例について説明する。先の実施の形態に示す半導体装置は、例えば、各種電子機器(例えば、情報端末、コンピュータ、スマートフォン、電子書籍端末、デジタルカメラ(ビデオカメラも含む)、録画再生装置、ナビゲーションシステムなど)の記憶装置に適用できる。なお、ここで、コンピュータとは、タブレット型のコンピュータや、ノート型のコンピュータや、デスクトップ型のコンピュータの他、サーバシステムのような大型のコンピュータを含むものである。または、先の実施の形態に示す半導体装置は、メモリカード(例えば、SDカード)、USBメモリ、SSD(ソリッド・ステート・ドライブ)等の各種のリムーバブル記憶装置に適用される。
図27にリムーバブル記憶装置の幾つかの構成例を模式的に示す。例えば、先の実施の形態に示す半導体装置は、パッケージングされたメモリチップに加工され、様々なストレージ装置やリムーバブルメモリに用いられる。
【0335】
図27(A)はUSBメモリの模式図である。USBメモリ1100は、筐体1101、キャップ1102、USBコネクタ1103および基板1104を有する。基板1104は、筐体1101に収納されている。例えば、基板1104には、メモリチップ1105、コントローラチップ1106が取り付けられている。基板1104のメモリチップ1105などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0336】
図27(B)はSDカードの外観の模式図であり、
図27(C)は、SDカードの内部構造の模式図である。SDカード1110は、筐体1111、コネクタ1112および基板1113を有する。基板1113は筐体1111に収納されている。例えば、基板1113には、メモリチップ1114、コントローラチップ1115が取り付けられている。基板1113の裏面側にもメモリチップ1114を設けることで、SDカード1110の容量を増やすことができる。また、無線通信機能を備えた無線チップを基板1113に設けてもよい。これによって、ホスト装置とSDカード1110間の無線通信によって、メモリチップ1114のデータの読み出し、書き込みが可能となる。基板1113のメモリチップ1114などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0337】
図27(D)はSSDの外観の模式図であり、
図27(E)は、SSDの内部構造の模式図である。SSD1150は、筐体1151、コネクタ1152および基板1153を有する。基板1153は筐体1151に収納されている。例えば、基板1153には、メモリチップ1154、メモリチップ1155、コントローラチップ1156が取り付けられている。メモリチップ1155はコントローラチップ1156のワークメモリであり、例えばDRAMチップを用いればよい。基板1153の裏面側にもメモリチップ1154を設けることで、SSD1150の容量を増やすことができる。基板1153のメモリチップ1154などに先の実施の形態に示す半導体装置を組み込むことができる。
【0338】
(実施の形態4)
本実施の形態では、
図28を用いて、上記実施の形態に示す半導体装置を適用した、AIシステムについて説明を行う。
【0339】
図28はAIシステム4041の構成例を示すブロック図である。AIシステム4041は、演算部4010と、制御部4020と、入出力部4030を有する。
【0340】
演算部4010は、アナログ演算回路4011と、DOSRAM4012と、NOSRAM4013と、FPGA4014と、3D-NAND4015を有する。
【0341】
ここで、DOSRAM(登録商標)とは、「Dynamic Oxide Semiconductor RAM」の略称であり、1T(トランジスタ)1C(容量)型のメモリセルを有するRAMを指す。
【0342】
また、NOSRAM(登録商標)とは「Nonvolatile Oxide Semiconductor RAM」の略称であり、ゲインセル型(2T型、3T型)のメモリセルを有するRAMを指す。DOSRAMおよびNOSRAMは、OSトランジスタのオフ電流が低いことを利用したメモリである。
【0343】
制御部4020は、CPU(Central Processing Unit)4021と、GPU(Graphics Processing Unit)4022と、PLL(Phase Locked Loop)4023と、SRAM(Static Random Access Memory)4024と、PROM(Programmable Read Only Memory)4025と、メモリコントローラ4026と、電源回路4027と、PMU(Power Management Unit)4028と、を有する。
【0344】
入出力部4030は、外部記憶制御回路4031と、音声コーデック4032と、映像コーデック4033と、汎用入出力モジュール4034と、通信モジュール4035と、を有する。
【0345】
演算部4010は、ニューラルネットワークによる学習または推論を実行することができる。
【0346】
アナログ演算回路4011はA/D(アナログ/デジタル)変換回路、D/A(デジタル/アナログ)変換回路、および積和演算回路を有する。
【0347】
アナログ演算回路4011はOSトランジスタを用いて形成することが好ましい。OSトランジスタを用いたアナログ演算回路4011は、アナログメモリを有し、学習または推論に必要な積和演算を、低消費電力で実行することが可能になる。
【0348】
DOSRAM4012は、OSトランジスタを用いて形成されたDRAMであり、DOSRAM4012は、CPU4021から送られてくるデジタルデータを一時的に格納するメモリである。DOSRAM4012は、OSトランジスタを含むメモリセルと、Siトランジスタを含む読み出し回路部を有する。上記メモリセルと読み出し回路部は、積層された異なる層に設けることができるため、DOSRAM4012は、全体の回路面積を小さくすることができる。
【0349】
ニューラルネットワークを用いた計算は、入力データが1000を超えることがある。上記入力データをSRAMに格納する場合、SRAMは回路面積に制限があり、記憶容量が小さいため、上記入力データを小分けにして格納せざるを得ない。DOSRAM4012は、限られた回路面積でも、メモリセルを高集積に配置することが可能であり、SRAMに比べて記憶容量が大きい。そのため、DOSRAM4012は、上記入力データを効率よく格納することができる。
【0350】
NOSRAM4013はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。NOSRAM4013は、フラッシュメモリや、ReRAM(Resistive Random Access Memory)、MRAM(Magnetoresistive Random Access Memory)などの他の不揮発性メモリと比べて、データを書き込む際の消費電力が小さい。また、フラッシュメモリやReRAMのように、データを書き込む際に素子が劣化することもなく、データの書き込み可能回数に制限が無い。
【0351】
また、NOSRAM4013は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値データを記憶することができる。NOSRAM4013は多値データを記憶することで、1ビットあたりのメモリセル面積を小さくすることができる。
【0352】
また、NOSRAM4013は、デジタルデータの他にアナログデータを記憶することができる。そのため、アナログ演算回路4011は、NOSRAM4013をアナログメモリとして用いることもできる。NOSRAM4013は、アナログデータのまま記憶することができるため、D/A変換回路やA/D変換回路が不要である。そのため、NOSRAM4013は周辺回路の面積を小さくすることができる。なお、本明細書においてアナログデータとは、3ビット(8値)以上の分解能を有するデータのことを指す。上述した多値データがアナログデータに含まれる場合もある。
【0353】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータやパラメータは、一旦、NOSRAM4013に格納することができる。上記データやパラメータは、CPU4021を介して、AIシステム4041の外部に設けられたメモリに格納してもよいが、内部に設けられたNOSRAM4013の方が、より高速且つ低消費電力に上記データやパラメータを格納することができる。また、NOSRAM4013は、DOSRAM4012よりもビット線を長くすることができるので、記憶容量を大きくすることができる。
【0354】
FPGA4014は、OSトランジスタを用いたFPGA(OS-FPGA)である。AIシステム4041は、FPGA4014を用いることによって、後述する、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの、ニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することができる。上記のニューラルネットワークの接続をハードウェアで構成することで、より高速に実行することができる。
【0355】
OS-FPGAは、SRAMで構成されるFPGAよりもメモリの面積を小さくすることができる。そのため、コンテキスト切り替え機能を追加しても面積増加が少ない。また、OS-FPGAはブースティングによりデータやパラメータを高速に伝えることができる。
【0356】
3D-NAND4015はOSトランジスタを用いた不揮発性メモリである。3D-NAND4015は、高集積化されたメモリであり、単位面積あたりの記憶容量が大きい。
【0357】
また、3D-NAND4015は、1ビットの2値データの他に、2ビット以上の多値データを記憶することができる。3D-NAND4015は多値データを記憶することで、1ビットあたりのメモリセル面積を、さらに小さくすることができる。
【0358】
また、3D-NAND4015として、例えば、上記実施の形態に示す半導体装置を用いることができる。これにより、メモリセルの占有面積を低減することができるので、本実施の形態に係る記憶回路を有する半導体装置をさらに高集積化させることができる。よって、本実施の形態に係る記憶装置の単位面積あたりの記憶容量を増加させることができる。
【0359】
AIシステム4041は、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014を1つのダイ(チップ)の上に設けることができる。そのため、AIシステム4041は、高速且つ低消費電力に、ニューラルネットワークの計算を実行することができる。また、アナログ演算回路4011、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014は、同じ製造プロセスで作製することができる。そのため、AIシステム4041は、低コストで作製することができる。
【0360】
なお、演算部4010は、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014を、全て有する必要はない。AIシステム4041が解決したい課題に応じて、DOSRAM4012、NOSRAM4013、およびFPGA4014の一または複数を、選択して設ければよい。
【0361】
AIシステム4041は、解決したい課題に応じて、ディープニューラルネットワーク(DNN)、畳み込みニューラルネットワーク(CNN)、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)、自己符号化器、深層ボルツマンマシン(DBM)、深層信念ネットワーク(DBN)などの手法を実行することができる。PROM4025は、これらの手法の少なくとも一つを実行するためのプログラムを保存することができる。また、当該プログラムの一部または全てを、NOSRAM4013に保存してもよい。
【0362】
ライブラリとして存在する既存のプログラムは、GPUの処理を前提としているものが多い。そのため、AIシステム4041はGPU4022を有することが好ましい。AIシステム4041は、学習と推論で用いられる積和演算のうち、律速となる積和演算を演算部4010で実行し、それ以外の積和演算をGPU4022で実行することができる。そうすることで、学習と推論を高速に実行することができる。
【0363】
電源回路4027は、論理回路用の低電源電位を生成するだけではなく、アナログ演算のための電位生成も行う。電源回路4027はOSメモリを用いてもよい。電源回路4027は、基準電位をOSメモリに保存することで、消費電力を下げることができる。
【0364】
PMU4028は、AIシステム4041の電力供給を一時的にオフにする機能を有する。
【0365】
CPU4021およびGPU4022は、レジスタとしてOSメモリを有することが好ましい。CPU4021およびGPU4022はOSメモリを有することで、電力供給がオフになっても、OSメモリ中にデータ(論理値)を保持し続けることができる。その結果、AIシステム4041は、電力を節約することができる。
【0366】
PLL4023は、クロックを生成する機能を有する。AIシステム4041は、PLL4023が生成したクロックを基準に動作を行う。PLL4023はOSメモリを有することが好ましい。PLL4023はOSメモリを有することで、クロックの発振周期を制御するアナログ電位を保持することができる。
【0367】
AIシステム4041は、DRAMなどの外部メモリにデータを保存してもよい。そのため、AIシステム4041は、外部のDRAMとのインターフェースとして機能するメモリコントローラ4026を有することが好ましい。また、メモリコントローラ4026は、CPU4021またはGPU4022の近くに配置することが好ましい。そうすることで、データのやり取りを高速に行うことができる。
【0368】
制御部4020に示す回路の一部または全ては、演算部4010と同じダイの上に形成することができる。そうすることで、AIシステム4041は、高速且つ低消費電力に、ニューラルネットワークの計算を実行することができる。
【0369】
ニューラルネットワークの計算に用いられるデータは外部記憶装置(HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)など)に保存される場合が多い。そのため、AIシステム4041は、外部記憶装置とのインターフェースとして機能する外部記憶制御回路4031を有することが好ましい。
【0370】
ニューラルネットワークを用いた学習と推論は、音声や映像を扱うことが多いので、AIシステム4041は音声コーデック4032および映像コーデック4033を有する。音声コーデック4032は、音声データのエンコード(符号化)およびデコード(復号)を行い、映像コーデック4033は、映像データのエンコードおよびデコードを行う。
【0371】
AIシステム4041は、外部センサから得られたデータを用いて学習または推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は汎用入出力モジュール4034を有する。汎用入出力モジュール4034は、例えば、USB(Universal Serial Bus)やI2C(Inter-Integrated Circuit)などを含む。
【0372】
AIシステム4041は、インターネットを経由して得られたデータを用いて学習または推論を行うことができる。そのため、AIシステム4041は、通信モジュール4035を有することが好ましい。
【0373】
アナログ演算回路4011は、多値のフラッシュメモリをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、フラッシュメモリは書き換え可能回数に制限がある。また、多値のフラッシュメモリは、エンベディッドで形成する(演算回路とメモリを同じダイの上に形成する)ことが非常に難しい。
【0374】
また、アナログ演算回路4011は、ReRAMをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、ReRAMは書き換え可能回数に制限があり、記憶精度の点でも問題がある。さらに、2端子でなる素子であるため、データの書き込みと読み出しを分ける回路設計が複雑になる。
【0375】
また、アナログ演算回路4011は、MRAMをアナログメモリとして用いてもよい。しかし、MRAMは抵抗変化率が低く、記憶精度の点で問題がある。
【0376】
以上を鑑み、アナログ演算回路4011は、OSメモリをアナログメモリとして用いることが好ましい。
【0377】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0378】
(実施の形態5)
<AIシステムの応用例>
本実施の形態では、上記実施の形態に示すAIシステムの応用例について
図29を用いて説明を行う。
【0379】
図29(A)は、
図28で説明したAIシステム4041を並列に配置し、バス線を介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Aである。
【0380】
図29(A)に図示するAIシステム4041Aは、複数のAIシステム4041_1乃至AIシステム4041_n(nは2以上の自然数)を有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nは、バス線4098を介して互いに接続されている。
【0381】
また
図29(B)は、
図28で説明したAIシステム4041を
図29(A)と同様に並列に配置し、ネットワークを介してシステム間での信号の送受信を可能にした、AIシステム4041Bである。
【0382】
図29(B)に図示するAIシステム4041Bは、複数のAIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nを有する。AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nは、ネットワーク4099を介して互いに接続されている。
【0383】
ネットワーク4099は、AIシステム4041_1乃至AIシステム4041_nのそれぞれに通信モジュールを設け、無線または有線による通信を行う構成とすればよい。通信モジュールは、アンテナを介して通信を行うことができる。例えばWorld Wide Web(WWW)の基盤であるインターネット、イントラネット、エクストラネット、PAN(Personal Area Network)、LAN(Local Area Network)、CAN(Campus Area Network)、MAN(Metropolitan Area Network)、WAN(Wide Area Network)、GAN(Global Area Network)等のコンピュータネットワークに各AIシステムを接続させ、通信を行うことができる。無線通信を行う場合、通信プロトコル又は通信技術として、LTE(Long Term Evolution)、GSM(Global System for Mobile Communication:登録商標)、EDGE(Enhanced Data Rates for GSM Evolution)、CDMA2000(Code Division Multiple Access 2000)、W-CDMA(登録商標)などの通信規格、またはWi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)、ZigBee(登録商標)等のIEEEにより通信規格化された仕様を用いることができる。
【0384】
図29(A)、(B)の構成とすることで、外部のセンサ等で得られたアナログ信号を別々のAIシステムで処理することができる。例えば、生体情報のように、脳波、脈拍、血圧、体温等といった情報を脳波センサ、脈波センサ、血圧センサ、温度センサといった各種センサで取得し、別々のAIシステムでアナログ信号を処理することができる。別々のAIシステムのそれぞれで信号の処理、または学習を行うことで一つのAIシステムあたりの情報処理量を少なくできる。そのため、より少ない演算量で信号の処理、または学習を行うことができる。その結果、認識精度を高めることができる。それぞれのAIシステムで得られた情報から、複雑に変化する生体情報の変化を瞬時に統合的に把握することができるといったことが期待できる。
【0385】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0386】
(実施の形態6)
本実施の形態は、上記実施の形態に示すAIシステムが組み込まれたICの一例を示す。
【0387】
上記実施の形態に示すAIシステムは、CPU等のSiトランジスタでなるデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリを、1のダイに集積することができる。
【0388】
図30に、AIシステムを組み込んだICの一例を示す。
図30に示すAIシステムIC7000は、リード7001及び回路部7003を有する。AIシステムIC7000は、例えばプリント基板7002に実装される。このようなICチップが複数組み合わされて、それぞれがプリント基板7002上で電気的に接続されることで電子部品が実装された基板(実装基板7004)が完成する。回路部7003には、上記実施の形態で示した各種の回路が1のダイに設けられている。回路部7003は、先の実施の形態に示すように、積層構造をもち、Siトランジスタ層7031、配線層7032、OSトランジスタ層7033に大別される。OSトランジスタ層7033をSiトランジスタ層7031に積層して設けることができるため、AIシステムIC7000の小型化が容易である。
【0389】
図30では、AIシステムIC7000のパッケージにQFP(Quad Flat Package)を適用しているが、パッケージの態様はこれに限定されない。
【0390】
CPU等のデジタル処理回路と、OSトランジスタを用いたアナログ演算回路、OS-FPGAおよびDOSRAM、NOSRAM等のOSメモリは、全て、Siトランジスタ層7031、配線層7032およびOSトランジスタ層7033に形成することができる。すなわち、上記AIシステムを構成する素子は、同一の製造プロセスで形成することが可能である。そのため、本実施の形態に示すICは、構成する素子が増えても製造プロセスを増やす必要がなく、上記AIシステムを低コストで組み込むことができる。
【0391】
本実施の形態に示す構成は、他の実施の形態に示す構成と適宜組み合わせて用いることができる。
【0392】
(実施の形態7)
<電子機器>
本発明の一態様に係る半導体装置は、様々な電子機器に用いることができる。
図31乃至
図33に、本発明の一態様に係る半導体装置を用いた電子機器の具体例を示す。
【0393】
図31(A)に示すロボット2100は、演算装置2110、照度センサ2101、マイクロフォン2102、上部カメラ2103、スピーカ2104、ディスプレイ2105、下部カメラ2106、障害物センサ2107、および移動機構2108を備える。
【0394】
マイクロフォン2102は、使用者の話し声及び環境音等を検知する機能を有する。また、スピーカ2104は、音声を発する機能を有する。ロボット2100は、マイクロフォン2102およびスピーカ2104を用いて、使用者とコミュニケーションをとることが可能である。
【0395】
ディスプレイ2105は、種々の情報の表示を行う機能を有する。ロボット2100は、使用者の望みの情報をディスプレイ2105に表示することが可能である。ディスプレイ2105は、タッチパネルを搭載していてもよい。
【0396】
上部カメラ2103および下部カメラ2106は、ロボット2100の周囲を撮像する機能を有する。また、障害物センサ2107は、移動機構2108を用いてロボット2100が前進する際の進行方向における障害物の有無を察知することができる。ロボット2100は、上部カメラ2103、下部カメラ2106および障害物センサ2107を用いて、周囲の環境を認識し、安全に移動することが可能である。
【0397】
図31(B)に示す飛行体2120は、演算装置2121と、プロペラ2123と、カメラ2122と、を有し、自律して飛行する機能を有する。
【0398】
飛行体2120において、演算装置2121およびカメラ2122に上記半導体装置を用いることができる。
【0399】
図31(C)は、自動車の一例を示す外観図である。自動車2980は、カメラ2981等を有する。また、自動車2980は、赤外線レーダー、ミリ波レーダー、レーザーレーダーなど各種センサなどを備える。自動車2980は、カメラ2981が撮影した画像を解析し、歩行者の有無など、周囲の交通状況を判断し、自動運転を行うことができる。
【0400】
図31(D)に、互いに別々の言語で話す複数の人間のコミュニケーションにおいて、携帯電子機器2130に同時通訳を行わせる状況を示す。
【0401】
携帯電子機器2130は、マイクロフォンおよびスピーカ等を有し、使用者の話し声を認識してそれを話し相手の話す言語に翻訳する機能を有する。
【0402】
また、
図31(D)において、使用者は携帯型マイクロフォン2131を用いる。携帯型マイクロフォン2131は、無線通信機能を有し、検知した音声を携帯電子機器2130に送信する機能を有する。
【0403】
図32(A)は、ペースメーカの一例を示す断面模式図である。
【0404】
ペースメーカ本体5300は、バッテリー5301a、5301bと、レギュレータと、制御回路と、アンテナ5304と、右心房へのワイヤ5302、右心室へのワイヤ5303とを少なくとも有している。
【0405】
ペースメーカ本体5300は手術により体内に設置され、二本のワイヤは、人体の鎖骨下静脈5305及び上大静脈5306を通過させて一方のワイヤ先端が右心室、もう一方のワイヤ先端が右心房に設置されるようにする。
【0406】
また、アンテナ5304で電力が受信でき、その電力は複数のバッテリー5301a、5301bに充電され、ペースメーカの交換頻度を少なくすることができる。ペースメーカ本体5300は複数のバッテリーを有しているため、安全性が高く、一方が故障したとしてももう一方が機能させることができるため、補助電源としても機能する。
【0407】
また、電力を受信できるアンテナ5304とは別に、生理信号を送信できるアンテナを有していてもよく、例えば、脈拍、呼吸数、心拍数、体温などの生理信号を外部のモニタ装置で確認できるような心臓活動を監視するシステムを構成してもよい。
【0408】
図32(B)に示すセンサ5900は、接着パッド等を用いて人体に取り付けられる。センサ5900は、配線5932を介して人体に取り付けられた電極5931等に信号を与えて心拍数、心電図等の生体情報等を取得する。取得された情報は無線信号として、読み取り器等の端末に送信される。
【0409】
【0410】
掃除ロボット5100は、上面に配置されたディスプレイ5101、側面に配置された複数のカメラ5102、ブラシ5103、操作ボタン5104を有する。また図示されていないが、掃除ロボット5100の下面には、タイヤ、吸い込み口等が備えられている。掃除ロボット5100は、その他に赤外線センサ、超音波センサ、加速度センサ、ピエゾセンサ、光センサ、ジャイロセンサなどの各種センサを備えている。また、掃除ロボット5100は、無線による通信手段を備えている。
【0411】
掃除ロボット5100は自走し、ゴミ5120を検知し、下面に設けられた吸い込み口からゴミを吸引することができる。
【0412】
また、掃除ロボット5100はカメラ5102が撮影した画像を解析し、壁、家具または段差などの障害物の有無を判断することができる。また、画像解析により、配線などブラシ5103に絡まりそうな物体を検知した場合は、ブラシ5103の回転を止めることができる。
【0413】
ディスプレイ5101には、バッテリーの残量や、吸引したゴミの量などを表示することができる。掃除ロボット5100が走行した経路をディスプレイ5101に表示させてもよい。また、ディスプレイ5101をタッチパネルとし、操作ボタン5104をディスプレイ5101に設けてもよい。
【0414】
掃除ロボット5100は、スマートフォンなどの携帯電子機器5140と通信することができる。カメラ5102が撮影した画像は、携帯電子機器5140に表示させることができる。そのため、掃除ロボット5100の持ち主は、外出先からでも、部屋の様子を知ることができる。また、ディスプレイ5101の表示をスマートフォンなどの携帯電子機器で確認することもできる。
【0415】
例えば、本発明の一態様の半導体装置を用いた記憶装置は、上述した電子機器の制御情報や、制御プログラムなどを長期間保持することができる。本発明の一態様に係る半導体装置を用いることで、信頼性の高い電子機器を実現することができる。
【0416】
また、例えば、上述した電子機器の演算装置などに、上記AIシステムが組み込まれたICを用いることができる。これにより、本実施の形態に示す電子機器は、AIシステムによって、状況に応じた的確な動作を、低消費電力で行うことができる。
【0417】
本実施の形態は、他の実施の形態に記載した構成と適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0418】
10:メモリセル、11:トランジスタ、12:トランジスタ、14:容量素子、20:メモリセルストリング、30:次元メモリセルアレイ、40:次元メモリセルアレイ、50:選択トランジスタアレイ、51:駆動回路、52:読み出し回路、53:駆動回路、54:駆動回路、60:選択トランジスタセル、61:トランジスタ、62:トランジスタ、106:酸化物、106A:酸化物、106B:酸化物、109a:領域、109b:領域、112:絶縁体、112A:絶縁体、112B:絶縁体、112C:絶縁体、114:導電体、114A:導電体、114B:導電体、114C:導電体、116:絶縁体、116A:絶縁体、116B:絶縁体、116C:絶縁体、118:絶縁体、118A:絶縁体、118B:絶縁体、118C:絶縁体、120:導電体、122:導電体、122A:導電体、122B:導電体、122C:導電体、126:絶縁体、127:絶縁体、128:絶縁体、129:絶縁体、130:絶縁体、130A:絶縁体、130B:絶縁体、130C:絶縁体、132:絶縁体、132A:絶縁体、134:酸化物、138:絶縁体、140:層、141:層、142:層、150:半導体基板、154a:導電体、154b:導電体、160:領域、162a:絶縁体、162b:絶縁体、164:絶縁体、165:絶縁体、166:絶縁体、168:絶縁体、170:絶縁体、172a:領域、172b:領域、172c:領域、172d:領域、174a:導電体、174b:導電体、176a:導電体、176b:導電体、178a:導電体、178b:導電体、178c:導電体、178d:導電体、180a:導電体、180b:導電体、180c:導電体、180d:導電体、1100:USBメモリ、1101:筐体、1102:キャップ、1103:USBコネクタ、1104:基板、1105:メモリチップ、1106:コントローラチップ、1110:SDカード、1111:筐体、1112:コネクタ、1113:基板、1114:メモリチップ、1115:コントローラチップ、1150:SSD、1151:筐体、1152:コネクタ、1153:基板、1154:メモリチップ、1155:メモリチップ、1156:コントローラチップ、2100:ロボット、2101:照度センサ、2102:マイクロフォン、2103:上部カメラ、2104:スピーカ、2105:ディスプレイ、2106:下部カメラ、2107:障害物センサ、2108:移動機構、2110:演算装置、2120:飛行体、2121:演算装置、2122:カメラ、2123:プロペラ、2130:携帯電子機器、2131:携帯型マイクロフォン、2980:自動車、2981:カメラ、4010:演算部、4011:アナログ演算回路、4012:DOSRAM、4013:NOSRAM、4014:FPGA、4015:3D-NAND、4020:制御部、4021:CPU、4022:GPU、4023:PLL、4024:SRAM、4025:PROM、4026:メモリコントローラ、4027:電源回路、4028:PMU、4030:入出力部、4031:外部記憶制御回路、4032:音声コーデック、4033:映像コーデック、4034:汎用入出力モジュール、4035:通信モジュール、4041:AIシステム、4041_1:AIシステム、4041_n:AIシステム、4041A:AIシステム、4041B:AIシステム、4098:バス線、4099:ネットワーク、5100:掃除ロボット、5101:ディスプレイ、5102:カメラ、5103:ブラシ、5104:操作ボタン、5120:ゴミ、5140:携帯電子機器、5300:ペースメーカ本体、5301a:バッテリー、5301b:バッテリー、5302:ワイヤ、5303:ワイヤ、5304:アンテナ、5305:鎖骨下静脈、5306:上大静脈、5900:センサ、5931:電極、5932:配線、7000:AIシステムIC、7001:リード、7002:プリント基板、7003:回路部、7004:実装基板、7031:Siトランジスタ層、7032:配線層、7033:OSトランジスタ層