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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】アクティブサスペンションシステム
(51)【国際特許分類】
   B60G 17/048 20060101AFI20240912BHJP
   B60G 17/015 20060101ALI20240912BHJP
   F16F 15/02 20060101ALI20240912BHJP
   F16F 15/03 20060101ALI20240912BHJP
   F16F 9/05 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
B60G17/048
B60G17/015 C
F16F15/02 B
F16F15/03 E
F16F15/03 G
F16F9/05
【請求項の数】 16
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2023038872
(22)【出願日】2023-03-13
(62)【分割の表示】P 2021174027の分割
【原出願日】2018-04-27
(65)【公開番号】P2023082008
(43)【公開日】2023-06-13
【審査請求日】2023-04-07
(31)【優先権主張番号】62/503,093
(32)【優先日】2017-05-08
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】503260918
【氏名又は名称】アップル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】Apple Inc.
【住所又は居所原語表記】One Apple Park Way,Cupertino, California 95014, U.S.A.
(74)【代理人】
【識別番号】110003281
【氏名又は名称】弁理士法人大塚国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ホール, ジョナサン エル.
(72)【発明者】
【氏名】カーター, トロイ エー.
(72)【発明者】
【氏名】キース, ポール ジェイ.
(72)【発明者】
【氏名】ドウソン, ジェイコブ エル.
(72)【発明者】
【氏名】スミス, ローランド アール.
【審査官】森本 康正
(56)【参考文献】
【文献】特開2012-167757(JP,A)
【文献】特開2006-071098(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2013/0221625(US,A1)
【文献】特開2009-191944(JP,A)
【文献】特開2011-122644(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B60G 1/00-99/00
F16F 1/00-15/36
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部マウントと、
底部マウントと、
前記上部マウントから下へ延びる上部筐体と、
前記底部マウントから上へ延びる下部筐体と、
車両の車体と前記車両のばね下構成要素との間の第1の荷重経路を形成するように構成された空気ばねであって、前記空気ばねは前記上部筐体によって画定される上部チャンバと、前記下部筐体と、前記上部筐体と前記下部筐体との間に半径方向に延びる膜とによって画定される下部チャンバと、を有する加圧キャビティを含み、前記加圧キャビティは前記第1の荷重経路の力を伝達する加圧ガスを収容する、空気ばねと、
前記車体と前記ばね下構成要素との間の前記第1の荷重経路に平行な第2の荷重経路を形成するように構成されたボールねじアクチュエータであって、
前記上部筐体に結合され、ステータとロータを有するモータと、
シャフトと、
前記モータがトルクを加えて、前記上部筐体と前記シャフトとの間で前記第2の荷重経路の力を伝達するボールナットと、
前記シャフトにトルクを加えて、前記上部筐体に対する前記シャフトの回転を防止するボールスプラインと、を含むボールねじアクチュエータと、を備えるサスペンションシステムであって、
空気流路は前記上部筐体と前記ステータとの間のチャネルによって前記ステータから半径方向外側に画定され、前記加圧キャビティの前記上部チャンバと前記下部チャンバは、前記空気流路を通って互いに流体連通している、
サスペンションシステム。
【請求項2】
前記ボールねじアクチュエータの前記モータは、前記加圧キャビティ内に収容される、請求項1に記載のサスペンションシステム。
【請求項3】
前記空気流路の前記チャネルは、前記上部筐体と前記ステータとの間の間隙によって画定される、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項4】
前記空気流路の前記チャネルは、前記上部筐体の軸方向チャネルによって画定される、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項5】
前記上部筐体、前記ステータ、及び前記ボールスプラインが、互いに結合されて、固定アセンブリを形成し、前記ロータ及び前記ボールナットが、互いに結合されて、スラスト軸受を用いて前記固定アセンブリに対して回転可能に支持され、かつ軸方向に固定される回転アセンブリを形成する、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項6】
前記スラスト軸受が、前記ボールナット及び前記上部筐体に結合されている、請求項5に記載のサスペンションシステム。
【請求項7】
前記回転アセンブリが、前記上部筐体及び前記ロータに結合されたもう1つの軸受を用いて前記上部筐体によって更に回転可能に支持される、請求項6に記載のサスペンションシステム。
【請求項8】
前記もう1つの軸受が、前記スラスト軸受から離間し、前記スラスト軸受より軸方向に上に配置される、請求項7に記載のサスペンションシステム。
【請求項9】
前記ステータが、軸方向に前記スラスト軸受と前記もう1つの軸受との間に配置される、請求項7に記載のサスペンションシステム。
【請求項10】
前記上部筐体は、前記第2の荷重経路の前記力を伝達する、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項11】
前記ステータが、前記上部筐体の内面と接触している、請求項10に記載のサスペンションシステム。
【請求項12】
前記上部筐体は、前記モータ及び前記ボールナットを囲む、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項13】
前記上部筐体は前記モータを囲み、かつ前記モータを冷却するための流体を受け入れるための冷却通路を含む、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項14】
前記上部筐体の上端部は、アイソレータを用いて前記上部マウントに結合される、請求項1又は2に記載のサスペンションシステム。
【請求項15】
前記アイソレータは、中間柔軟リングに結合され、かつ中間柔軟リングによって分離された内側及び外側の剛性リングを含む、請求項14に記載のサスペンションシステム。
【請求項16】
車体と、
1つ以上のばね下構成要素と、
請求項1又は2に記載のサスペンションシステムのうちの1つ以上と、
を備える車両であって、前記サスペンションシステムのそれぞれの上部マウントが、前記車体に結合され、前記サスペンションシステムのそれぞれの底部マウントが、前記ばね下構成要素のうちの1つに結合されている、
車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願の相互参照]
本出願は、2017年5月8日出願の米国特許仮出願第62/503,093号の優先権及び利益を主張し、その開示全体が、参照により本明細書に組み込まれる。
【0002】
[技術分野]
本開示は、車両、具体的には、そのサスペンションシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
乗用車は、車両の車体と車輪との間で道路の外乱からなどの力の伝達を制御するサスペンションシステムを含む。従来のサスペンションシステムは、ばね及びダンパーが固定特性を有するばね-ダンパーシステムを含む受動システムである。しかしながら、そのような固定特性は、様々な道路条件及び様々な乗員の好みを考慮すると、乗員の快適性に適していない場合がある。より新しいサスペンションシステムは、ユーザ(例えば、車両のドライバ)によって、又は様々な検出された条件に応じて自動的に、様々な特性を制御することができるアクティブサスペンションを含む。例えば、空気ばねサスペンションは、ドライバが所望の車高を選択することを可能にすることができる。磁気粘性ダンパーは、車両加速度などの検出された条件に従って変化し得る減衰特性を提供する。
【発明の概要】
【0004】
一態様では、サスペンションシステムは、上部マウントと、底部マウントと、剛性筐体と、空気ばねと、リニアアクチュエータとを含む。空気ばねは、上部マウントと底部マウントとの間の第1の荷重経路の力を伝達する。空気ばねは、第1の荷重経路の力を伝達する加圧ガスを収容する加圧キャビティを含む。リニアアクチュエータは、第1の荷重経路に平行な上部マウントと底部マウントとの間の第2の荷重経路の力を伝達する。剛性筐体は、加圧キャビティの少なくとも一部を画定し、第2の荷重経路の力を伝達する。
【0005】
剛性筐体は、加圧キャビティを封止し、かつ剛性筐体と上部マウントとの間で第2の荷重経路の力を伝達するアイソレータを用いて、上部マウントに結合されてもよい。
【0006】
リニアアクチュエータ及び剛性筐体は、底部マウントに対して移動可能な空気ばねの第1のピストンアセンブリを形成してもよく、上部マウントは、底部マウントに対して移動可能な空気ばねの第2のピストンアセンブリを形成してもよい。第1のピストンアセンブリ及び第2のピストンアセンブリの有効ピストン面積は、ほぼ等しくてもよい。
【0007】
剛性筐体は、加圧キャビティを封止し、かつ第1のピストンアセンブリが底部マウントに対して移動することを可能にする可撓性膜を用いて、底部マウントに結合されてもよく、アイソレータは、第2のピストンアセンブリが剛性筐体に対して移動することを可能にする。加圧キャビティは、上部マウント、アイソレータ、剛性筐体、可撓性膜、及び底部マウントによって画定されてもよい。
【0008】
サスペンションシステムは、底部マウントに結合された第2の剛性筐体を更に含んでもよく、可撓性膜は、剛性筐体及び第2の剛性筐体に接続されて、剛性筐体を底部マウントに結合し、第2の剛性筐体は、加圧キャビティの下部チャンバを画定する。
【0009】
リニアアクチュエータは、ロータ及びステータを有し加圧キャビティ内に収容されたモータを含んでもよい。
【0010】
ステータは、剛性筐体の内面と接触していてもよい。
【0011】
剛性筐体は、第1の剛性筐体であってもよく、サスペンションシステムは、第1の剛性筐体を囲む第2の剛性筐体を更に含み、第1の剛性筐体は、それらによって第2の荷重経路の力が第1の剛性筐体と第2の剛性筐体との間で伝達される、上部アイソレータ及び下部アイソレータを用いて第2の剛性筐体に結合される。
【0012】
あるいは、剛性筐体は、第1の剛性筐体であってもよく、サスペンションシステムは、第1の剛性筐体によって囲まれた第2の剛性筐体を更に含み、第2の剛性筐体は、リニアアクチュエータ及び第1の剛性筐体に結合されて、それらとの間で第2の荷重経路の力を伝達する。
【0013】
加圧キャビティは、上部チャンバ及び下部チャンバを含んでもよく、加圧ガスは、リニアアクチュエータの周囲又はそれを通るうちの少なくとも1つで上部チャンバと下部チャンバとの間を流れる。
【0014】
剛性筐体は、リニアアクチュエータから半径方向に離間し、リニアアクチュエータを囲み、それらの間に円周間隙を画定してもよく、加圧ガスは、上部チャンバと下部チャンバとの間を円周間隙を通って流れる。代わりに又は加えて、加圧ガスは、リニアアクチュエータの内側筐体を通って上部チャンバと下部チャンバとの間を流れる。
【0015】
リニアアクチュエータは、ボールナット及びシャフトを有するボールねじアクチュエータであってもよく、トルクは、モータによってボールナットに選択的に加えられて、第2の荷重経路の力をシャフトに加える。
【0016】
リニアアクチュエータは、剛性筐体に対するシャフトの回転を防止するボールスプラインを含んでもよい。
【0017】
車両は、車体と、1つ以上のばね下構成要素と、サスペンションシステムのうちの1つ以上とを含んでもよく、サスペンションシステムのそれぞれの上部マウントは、車体に結合され、各サスペンションシステムの底部マウントは、ばね下構成要素のうちの1つに結合される。
【0018】
車両は、加圧ガスをその加圧キャビティに供給するために1つ以上のサスペンションシステムと流体連通する加圧空気源と、車体とそれに結合されたばね下構成要素との間の動的負荷に応じて、1つ以上のサスペンションシステムのリニアアクチュエータを制御するための制御システムと、を含んでもよい。
【0019】
車両は、ばね下構成要素のうちの4つ及びサスペンションシステムのうちの4つを含んでもよい。
【0020】
サスペンションシステムは、ばねと、ボールねじアクチュエータとを含む。ばねは、車両の車体と車両のばね下構成要素との間の第1の荷重経路を形成するように構成されている。ボールねじアクチュエータは、第1の荷重経路に平行な車体とばね下構成要素との間の第2の荷重経路を形成するように構成されている。ボールねじアクチュエータは、シャフトと、筐体と、モータと、ボールナットと、ボールスプラインとを含む。モータは、筐体に結合され、ステータと、ロータとを含む。モータは、ボールナットにトルクを加えて、筐体とシャフトとの間で第2の荷重経路の力を伝達する。ボールスプラインは、シャフトにトルクを加えて、筐体に対するその回転を防止する。筐体、ステータ、及びボールスプラインは、互いに結合されて、固定アセンブリを形成する。ロータ及びボールナットは、互いに結合されて、スラスト軸受を用いて固定アセンブリに対して回転可能に支持され、かつ軸方向に固定された回転アセンブリを形成する。
【0021】
スラスト軸受は、ボールナット及び筐体に結合されてもよい。回転アセンブリは、筐体及びロータに結合されたもう1つの軸受を用いて筐体によって更に回転可能に支持されてもよい。もう1つの軸受は、スラスト軸受から離間し、スラスト軸受より軸方向に上に配置されてもよい。ステータは、軸方向にスラスト軸受ともう1つの軸受との間に配置されてもよい。ばねは、コイルばね又は空気ばねのうちの1つであってもよい。筐体は、内側筐体であってもよく、サスペンションシステムは、内側筐体が結合され、かつ内側筐体、モータ、及びボールナットを囲む外側筐体を更に含む。内側筐体は、ステータより上に配置された第1のチューブアイソレータを用いて外側筐体に結合されてもよい。内側筐体は、ステータの少なくとも一部分より下に配置された第2のチューブアイソレータを用いて外側筐体に結合されてもよい。
【0022】
ボールねじアクチュエータは、筐体と、モータと、シャフトと、ボールナットと、ボールスプラインとを含む。モータは、筐体内の位置である。筐体は、モータを囲み、モータを冷却するための流体を受け入れるための冷却通路を含む。シャフトは、筐体内で軸方向に移動する。モータは、筐体とシャフトとの間で軸方向力を伝達するために、ボールナットにトルクを加える。ボールスプラインは、筐体とシャフトとの間でトルクを伝達して、それらの間の回転を防止する。筐体は、ボールナットに結合されて、それらの間の回転を可能にし、それらの間の軸方向の移動を防止する。筐体は、ボールスプラインに結合されて、それらの間の回転及び軸方向の移動を防止する。
【0023】
筐体は、スラスト軸受を用いてボールナットに結合されてもよい。モータのロータは、スラスト軸受より上に配置された別の軸受を用いて筐体に回転可能に結合されてもよい。筐体は、モータより上からボールナットより下まで延びてもよい。ボールスプラインは、ボールナットより下に配置され、筐体の下端部に結合されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0024】
本開示は、添付図面と併せて読むと、以下の詳細な説明から最もよく理解される。一般的な慣例に従い、図面の様々な特徴は、原寸どおりではないことを強調する。それどころか、様々な特徴の寸法は、明確さのために任意に拡大又は縮小されている。
【0025】
図1】例示的な実施形態に係る、車両の概略図である。
【0026】
図2図1の車両の別の概略図である。
【0027】
図3図1の車両のサスペンションシステムの概略断面図である。
【0028】
図4図3のサスペンションシステムの変形形態の概略断面図である。
【0029】
図5】コントローラの概略図である。
【0030】
図6A図1の車両と共に使用するためのサスペンションシステムの概略立面図である。
【0031】
図6B図6Aのサスペンションシステムの断面図である。
【0032】
図6C図6Aのサスペンションシステムのアクチュエータの断面図である。
【0033】
図6D図6Aのサスペンションシステムの回転構造体の断面図である。
【0034】
図6E図6Aのサスペンションシステムの固定構造体の断面図である。
【0035】
図6F図6Aのサスペンションシステムのうちの4つを備える車両の概略図である。
【0036】
図7A図1の車両に使用するための別のサスペンションシステムの概略断面図である。
【0037】
図7B】クロスハッチングで示された加圧キャビティを有する図7Aのサスペンションシステムの概略断面図である。
【0038】
図7C図7Aのサスペンションシステムのうちの4つ及び加圧空気源を備える車両の概略図である。
【0039】
図8A図1の車両に使用するための別のサスペンションシステムの概略断面図である。
【0040】
図8B】クロスハッチングで示された加圧キャビティを有する図8Aのサスペンションシステムの概略断面図である。
【0041】
図9】クロスハッチングで示された加圧キャビティを有する図8Aのサスペンションシステムの変形形態の概略断面図である。
【0042】
図10】クロスハッチングで示された加圧キャビティを有する図8Aのサスペンションシステムの別の変形形態の概略断面図である。
【0043】
図11A図1の車両に使用するための別のサスペンションシステムの概略断面図である。
【0044】
図11B】クロスハッチングで示された加圧キャビティを有する図11Aのサスペンションシステムの概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0045】
本明細書では、サスペンションシステム160を含む車両100及びその機能サブシステムの各種実施形態が開示される。より具体的には、サスペンションシステム160は、上向き及び下向きの力を加えて、車輪にエネルギを導入し、車輪からエネルギを吸収することができるリニアアクチュエータを用いて、車輪のほぼ垂直な運動を制御するように構成されたアクティブサスペンションシステムである。
【0046】
図1を参照して、車両100は、一般に、車体102と、車体102に接続された駆動システム120とを含む。車体102は、例えば、乗員を運ぶための乗員室を含む、又はそれを画定することができる。駆動システム120は、乗員室を含む車両100を移動させるように構成されている。駆動システム120は、推進システム130(すなわち、車両100を推進するための)、制動システム140(すなわち、車両100を減速させるための)、ステアリングシステム150(すなわち、車両100を異なる方向に向けるための)、サスペンションシステム160(すなわち、車両100を支持するための)、感知システム170(すなわち、様々なサブシステム及び外部環境を含む車両100の様々な様相を感知するための)、及び制御システム180(すなわち、様々な他のサブシステムを個別に又は協調的な方式で制御するための)を含む、様々な機能サブシステムを含む。駆動システム120は、様々な機能サブシステムを動作させて、ユーザからの更なる入力なしにユーザが選択した位置に車両100を移動させる、自律駆動システムであってもよい。
【0047】
図2を参照して、車両100は、車体102に結合され、かつそれを(例えば、公道上で)支持する車輪104(例えば、4つ)を含む。車輪104は、例えば、推進システム130、ステアリングシステム150、及びサスペンションシステム160を用いて車体102に結合されてもよい。車輪104は、各車輪104を車輪リム及びタイヤのサブアセンブリとみなすことができるように、タイヤ(別個に示されていない、又はラベル付けされていない)を含んでもよい。
【0048】
推進システム130は、一般に、1つ以上のモータ232と、1つ以上のギヤボックス234と、各車輪104をギヤボックス234のうちの1つに動作可能に接続する駆動シャフト236(例えば、ハーフシャフト)とを含む。大まかに言えば、モータ232は、ギヤボックス234にトルクを提供し、ギヤ234は、モータ232の出力トルク(例えば、増加させる)及び出力速度(例えば、減少させる)を変更し、駆動シャフト236は、ギヤボックス234から車輪104にトルクを伝達する。モータ232は、前方方向に車両100を推進するため、及び後方方向に移動しているときに車両100を減速させるための正トルクを提供してもよく、車両100を後方方向に推進するため、及び前方方向に移動しているときに車両100を減速させるための負トルクを提供してもよい。モータ232はまた、車輪104からトルクを受け取るときに発電機として機能し、車両100のバッテリ(図示せず)又は他のエネルギ貯蔵システムを再充電するように機能してもよい。図に示すように、推進システム130は、単一のギヤボックス234に結合され、かつ1つの駆動シャフト236及びそれに結合された1つの車輪104に関連付けられた2つのモータ232をそれぞれ含む、前方推進システム130f及び後方推進システム130rを含んでもよい。推進システム130の変形形態が想到され、これは、異なる数の被駆動車輪104(例えば、前輪のみ又は後輪のみが駆動される)と、車輪104に関連付けられた異なる数のモータ232(例えば、2つの車輪104に関連付けられた1つのモータ232)と、車輪104に関連付けられた異なる数のギヤボックス234(例えば、各車輪104に専用の1つのギヤボックス234)とを含むことができる。
【0049】
制動システム140は、一般に、前方方向に移動しているとき及び/又は後方方向に移動しているときに、車両100を減速させるために摩擦を介して減速トルクを提供する。
【0050】
ステアリングシステム150は、一般に、1つ以上のステアリングアクチュエータ252と、各車輪104をステアリングアクチュエータ252のうちの1つに動作可能に結合するステアリングリンク254とを含む。大まかに言えば、ステアリングシステム150は、概ね垂直な軸周りの車輪104の旋回位置を制御する。ステアリングアクチュエータ252は、ステアリングリンク254を車体102に対して内側及び外側方向に移動させ、それによって、車輪104を垂直軸周りに旋回させる。図に示すように、ステアリングシステム150は、2つのステアリングリンク254及びそれに結合された車輪104に関連付けられた1つのステアリングアクチュエータ252をそれぞれ含む、前方ステアリングシステム150f及び後方ステアリングシステム150rを含んでもよい。ステアリングシステム150の変形形態が想到され、これは、車輪104に関連付けられた異なる数のステアリングアクチュエータ252(例えば、各車輪104に対して1つのステアリングアクチュエータ252)を含んでもよい。
【0051】
サスペンションシステム160は、一般に、アクチュエータ262(例えば、サスペンションアクチュエータ)と、各車輪104に関連付けられたシャフト264(例えば、サスペンションシャフト)とを含む。サスペンションシステム160のアクチュエータ262、シャフト264、及び後述する他の構成要素を含む機械的構成要素は、アセンブリ(例えば、サスペンションアセンブリ)とみなすことができる。大まかに言えば、サスペンションシステム160は、例えば、車輪104と道路の表面との間の接触を確保し、車体102の望ましくない移動に対する道路条件の影響を制限するために、車体102に対する車輪104の垂直運動を制御する。サスペンションシステム160は、アクチュエータ262が、車体102に対する上方及び下方への移動により、車輪104にエネルギを伝達し、かつ車輪104からエネルギを吸収する、アクティブサスペンションシステムである。図に示すように、サスペンションシステム160は、左前方サスペンションシステム160flと、右前方サスペンションシステム160frと、左後方サスペンションシステム160rlと、右後方サスペンションシステム160rrとを含んでもよく、これらのそれぞれは、1つのアクチュエータ262及び1つのシャフト264を含む。サスペンションシステム160の更なる詳細については、以下で更に詳細に説明する。
【0052】
感知システム170は、車両100の外部条件(例えば、道路及び他の物体の位置)及び車両100の条件(例えば、加速度及び様々なサブシステム及びそれらの構成要素の条件)を観測するためのセンサを含む。感知システム170は、専用センサ及び/又は様々なサブシステムの機能構成要素を含む様々な種類のセンサを含んでもよい(例えば、アクチュエータは、センサとして機能してもよい)。
【0053】
制御システム180は、通信システム及び構成要素(すなわち、センサ信号を受信し、制御信号を送信するための)、並びにコントローラなどの処理構成要素(すなわち、センサ信号を処理し、制御動作を判定するための)を含む。制御システム180は、例えば、本明細書に記載される様々な他のサブシステム(例えば、推進システム130、制動システム140など)のうちの1つ以上に関連付けられた(又はその一部として)様々な制御サブシステムを含んでもよい。
【0054】
図5を参照して、制御システム180のコントローラ581のハードウェア構成を示し、これは、本明細書に記載される装置及びシステムを実装するために使用されてもよい(例えば、衝撃の発生時に衝撃を検出する、及び/又は衝撃を予期して衝撃を予測する、並びに移動機構を制御するために)。一例として、コントローラ581は、感知システム170のセンサから受信した信号に応じて、駆動システム120の様々なサブシステムに電圧値などのコマンドを出力してもよい。
【0055】
コントローラ581は、プロセッサ581aと、メモリ581bと、記憶装置581cと、1つ以上の入力デバイス581dと、1つ以上の出力デバイス581eとを含んでもよい。コントローラ581は、通信のために構成要素を相互接続するためのバス581f又は同様のデバイスを含んでもよい。プロセッサ581aは、コンピュータプログラム命令を実行し、かつコンピュータプログラム命令によって記述された動作を実行するように動作可能である。一例として、プロセッサ581aは、中央処理装置などの従来のデバイスであってもよい。メモリ581bは、ランダムアクセスメモリモジュールなどの揮発性高速短期情報記憶装置であってもよい。記憶装置581cは、ハードドライブ又はソリッドステートドライブなどの不揮発性情報記憶装置であってもよい。入力デバイス581dは、ボタン、スイッチ、キーボード、マウス、タッチスクリーン入力デバイス、ジェスチャ入力デバイス、オーディオ入力デバイス、感知システム170のセンサなどの任意の種類のヒューマン-マシンインタフェースを含んでもよい。出力デバイス581eは、ディスプレイスクリーン若しくはオーディオ出力などの動作状態に関するインジケーションをユーザに、又は、推進システム130、制動システム140、ステアリングシステム150、及び/若しくはサスペンションシステム160などの任意の他の機能出力若しくは制御を、提供するように動作可能な任意の種類のデバイスを含んでもよい。
【0056】
図3を参照して、サスペンションシステム160は、その上端部において車体102に結合され、かつその下端部において車輪104を支持するばね下構成要素306に結合された、ストラットアセンブリとして構成されている。ばね下構成要素306は、車体102に対して上方及び下方に移動し、例えば、ステアリングナックル又はサスペンション制御アームであってもよい。
【0057】
サスペンションシステム160は、一般に、ばね366と共に、アクチュエータ262とシャフト264とを含み、これらは、2つの荷重経路(例えば、二重経路)を介してばね下構成要素306と車体102との間で力を軸方向に伝達するように協働的に機能する。ばね366は、コイルばね(例えば、金属コイルばね)であってもよく、又は本サスペンションシステム160に使用するための別の好適な種類のばね(例えば、空気ばね、複合材などの別の固体材料から形成されたばね)であってもよい。第1の荷重経路は、ばね366によって形成され、車体102とばね下構成要素306との間の動的負荷の一部分と共に車両100の重力予荷重(すなわち、動的負荷の如何にかかわらない重力による負荷)を支える。第2の荷重経路は、アクチュエータ262及びシャフト264によって形成され、車体とばね下構成要素306との間の動的負荷の別の部分を支え、第1の荷重経路と比較して、サスペンションシステム160の主要減衰機能を提供する。
【0058】
サスペンションシステム160は、振動アイソレータ(例えば、ダンパー、ブッシングなど)及び1つ以上の負荷センサ380と共に、筐体368と、上部マウント370と、底部マウント372とを更に含む。筐体368は、アクチュエータ262及びばね366の両方に結合されて、上部マウント370(すなわち、車体102)及び底部マウント372(すなわち、ばね下構成要素306)への、並びにそれらからの、第2の荷重経路及び第1の荷重経路それぞれを伝達する。アクチュエータ262は、一般に、筐体368内に収容され、軸方向力、半径方向力、及びねじり力をその間で伝達する上部内側アイソレータ374(例えば、第1の振動アイソレータ、又は上部アクチュエータアイソレータ)及び下部内側アイソレータ376(例えば、第2の振動アイソレータ、又は下部アクチュエータアイソレータ)を用いて、筐体368に結合される。ばね366は、筐体368の下端部に結合され、その間で軸方向力を伝達する外側アイソレータ378(例えば、第3の振動アイソレータ、下部アイソレータ、又はコイルばねアイソレータ)を含む。
【0059】
予荷重(すなわち、車両の重量)がばね366を介した第1の荷重経路を介してサスペンションシステム160に加えられ、アクチュエータ262をバイパスするため、第2の荷重経路は、静的又はほぼ静的状態ではほんのわずか(例えば、ほぼゼロ)であり、それによって、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376が外側アイソレータ378よりも著しく硬くないことを可能にする。例えば、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、予荷重を伝達しないことにより、外側アイソレータ378の対応する特性とは無関係に、ばね定数曲線、減衰係数、及び他の特性を有して構成されてもよい。更に、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、互いに異なるそのような特性を有してもよい。
【0060】
上部マウント370は、筐体368の上端部及び車体102に結合されて、車体102に力を伝達する(すなわち、第1及び第2の荷重経路)。下部マウント372は、ばね366及びシャフト264の下端部それぞれに別々に結合されて、ばね下構成要素306に力を伝達する(すなわち、第1及び第2の荷重経路)。
【0061】
アクチュエータ262は、車体102によってその上から支持される(例えば、吊り下げられる)ように、ばね366より上に配置される。この向きは、アクチュエータ262をばね366より下に取り付けることと比較して(すなわち、アクチュエータ262をばね下構成要素306を用いてその下から支持することと比較して)、いくつかの利点を提供することができる。例えば、アクチュエータ262は、車体102によって支持されることにより、ばね下質量ではなく、また、アクチュエータ262は、車体102により近い位置で電力、データ、及び/又は冷却ラインに接続するために、車体102により近接して取り付けられ、損傷を受け(例えば、破片によって衝撃を受け)にくい。
【0062】
アクチュエータ262は、電動モータ(ラベル付けされていない)からの回転運動及びトルクそれぞれを、シャフト264の直線運動及び力に変換する、ボールねじアクチュエータである。モータのトルク出力は、一般に、アクチュエータ262の直線力出力に相関する。アクチュエータ262のボールねじの態様の具体的な詳細は、本明細書では説明しない。
【0063】
アクチュエータ262は、車輪104にエネルギを伝達して、車体102に対して車輪104の上向き及び下向きの動きを引き起こすように機能する。アクチュエータ262はまた、車輪104が外力(すなわち、アクチュエータ262の外部)によって車体102に対して上方及び下方に移動される際に、車輪104からエネルギを吸収するように機能する(例えば、ダンパーとして機能する)。外力による上方の移動は、車両100が道路に沿って移動する際に、道路が車輪104に上向きの力を加えることによって引き起こされる。外力による下向きの移動は、一般に、車輪104に作用する重力及び/又は車輪104に下向きの力を加えるばね366によって引き起こされる。
【0064】
アクチュエータ262は、シャフト264がそれに対して軸方向に移動する主本体262aを含む。主本体262aは、例えば、その上端部にモータを形成又は収容し(例えば、ステータを形成し、モータのロータを収容する)、その下端部に回転ナット(例えば、ボールナット)を形成又は収容することができる。ナットがモータによって回転されると、ナットは、シャフト264と(再循環ボールを介して)係合し、シャフト264を主本体262aに対して軸方向に並進させる。
【0065】
主本体262aは、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376を用いて筐体368内に取り付けられ、それにより、それらの間で軸方向力、半径方向力、及び回転力を伝達する。上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、アクチュエータ262が筐体368に対して軸方向及び半径方向に移動することを可能にもすると同時に、(例えば、モータ及びボールねじ機構のナット内で移動するボールの動作に起因する)アクチュエータ262のノイズ及び振動を減衰させ、それが車体102に到達するのを防止するように構成されている。
【0066】
上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376のそれぞれは、筐体368及びアクチュエータ262の主本体262aの内面及び外面それぞれに直接又は間接的に軸方向に結合されて、それらの間で軸方向力を伝達する(すなわち、第2の荷重経路)。上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376はまた、筐体368と主本体262aとの間に半径方向に(例えば、同心円状に)配置されて、それらの間で(例えば、曲げモーメントによる)半径方向力を伝達する。上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376はまた、筐体368及びアクチュエータの主本体262aに直接又は間接的に回転可能に結合されて、それらの間で回転トルクを伝達することができる。上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、例えば、その材料特性及び/又は構造特性により好適な特性(例えば、減衰特性及びばね定数)を有する好適な材料(例えば、ゴム又はポリマー)で作製されてもよい。
【0067】
軸方向において、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、軸方向力が最大設計負荷まで増加するにつれて、ストローク(例えば、ストローク距離)にわたって漸進的に軸方向に偏向するように構成されている。最大設計負荷は、車両100の動作中に予期されるピーク(又はほぼピーク)負荷(例えば、その後サスペンションシステム160が動作し続けることを予期することができる、通常運転中の極端な条件)であってもよい。最大設計負荷は、例えば、10kNであってもよく、最大設計たわみ(例えば、最大ストローク)は、10mmであってもよい。上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376の復元ばね力は、好ましくは、例えば、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376が約1kn/mmなどのストロークにわたって実質的に一定(例えば、+/-25%、+/-15%以下、+/-10%以下)の軸方向ばね定数を協働的に提供して、ストロークにわたって実質的に線形である。実質的に一定のばね定数は、サスペンションシステム160の制御戦略(例えば、制御戦略の簡略化)に特に有利であり得る。
【0068】
あるいは、復元ばね力は、ストロークの大部分にわたって実質的に線形であってもよい。ばね定数は、ストロークの第1の部分(例えば、ストロークの約75%~90%)にわたって実質的に一定であってもよく、ストロークの第2の部分(例えば、残りの10%~25%のストローク)にわたって際立ってより高いばね定数まで漸進的に増加してもよい。ストロークの第2の部分におけるこの際立ってより高いばね定数は、より高い負荷(例えば、ほぼ10kN)に遭遇する際にサスペンションシステム160の2つの概ね剛性の構成要素間の過酷な係合を防止することができる。
【0069】
半径方向において、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、アクチュエータ262(例えば、主本体262a)と筐体368との半径方向係合を防止するように構成されている。半径方向において、上部内側アイソレータ及び下部内側アイソレータ376は、半径方向よりも著しく硬くなくてもよい。さもなければ、アクチュエータ262と筐体368との間の半径方向の係合が、サスペンションシステム160に曲げモーメントが加えられる際に生じる場合がある。そのような曲げモーメントは、例えば、車体102に対するばね下構成要素306のたわみから生じる場合がある。この目的のために、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、それぞれ、軸方向に離間した位置で主本体262aに結合され、これにより、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376のそれぞれが遭遇する曲げモーメントの半径方向力成分を、アクチュエータ262が上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376の他方の周りに旋回する際に低減する。より大きな軸方向間隔により、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376が半径方向により硬くない(すなわち、より低い復元ばね定数を有する)こと、及び/又は筐体368が主本体262aにごく近接する(例えば、より小さい)ことを可能にすることができる。
【0070】
上部マウント370は、ばね下構成要素306の移動からの高い曲げモーメントがアクチュエータ262に加えられるのを防ぐために、サスペンションシステム160がほとんど抵抗なく(例えば、自由に又は低い抵抗で)車体102に対して旋回することを可能にする。より具体的には、上部マウント370は、シャフト264の長手方向軸に垂直な軸周りに2つの回転自由度(例えば自由に又は制限されない自由度)でサスペンションシステム160がほとんど抵抗なく(例えば、自由に又は低い抵抗で)旋回することを可能にする。2つの制限されない自由度で旋回することに対してほとんどない(例えば、低い)抵抗を提供することによって、サスペンションシステム160と車体102との間の結合は、さもなければサスペンションシステム160に作用する曲げモーメントにほとんど寄与しない。上部マウント370は、図に示すように、自在継手であってもよい。あるいは、上部マウント370は、干渉機構(例えば、スロット内の突出部)を有するボールソケット型継手であってもよく、又はアイソレータであってもよい。自由な2自由度の結果として、サスペンションシステム160は、そのピークが概ね上部マウント370に位置する概ね円錐形の領域内で、車体102に対して旋回することができる。
【0071】
上部マウント370はまた、長手方向軸(図に示すように、紙面を横断して上から下に)周りに第3の回転自由度(例えば、制限された自由度)で旋回するのを制限する(例えば、防止する又は高い抵抗で)ことができる。制限された自由度で高い抵抗を提供する(例えば、移動を防止する)ことによって、アクチュエータ262が動作されるとき(例えば、モータが回転されるとき)に、サスペンションシステムが回転するのを防止する。
【0072】
図4に概略的に示すように、サスペンションシステム160は、例えば、アクチュエータ262のモータの回転によって引き起こされる、さもなければ他のアイソレータ(以下で更に詳細に説明する)によって減衰されない回転負荷を減衰させる、ねじりアイソレータ482(例えば、筐体368と上部マウント370との間に配置された)を更に含んでもよい。
【0073】
上述したように、外側アイソレータ378は、軸方向にばね366と筐体368との間に配置されて、それらの間で第1の荷重経路の軸方向力を伝達する。予荷重(すなわち、車両に作用する重力による)は、外側アイソレータを介して伝達され、外側アイソレータは、結果として、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376よりも軸方向に実質的により硬い(例えば、より高い復元ばね定数を有する)ように構成されている。
【0074】
サスペンションシステム160は、サスペンションシステム160の車体102への軸方向負荷を測定するように構成された、1つ以上の負荷センサ380を更に含んでもよい。1つ以上の負荷センサ380は、例えば、軸方向に上部マウント370と筐体368との間に配置されている。負荷センサ380はまた、感知システム170の一部とみなすことができ、制御システム180と通信してもよい。
【0075】
制御システム180又はそのサスペンション制御サブシステムは、車輪104と車体102との間の所望の力伝達を達成するようにアクチュエータ262を制御する。上述したように、アクチュエータ262は、車輪104に作用する外部エネルギを吸収し、それによって、車輪104が車体102に対して上下両方に移動する際にダンパーとして機能するように構成されている。吸収は、例えば、(例えば、モータ発電機としてアクチュエータ262のモータを用いて)機械エネルギを電気エネルギとして変換して貯蔵することによって、サスペンションシステム160からエネルギを取り出すことを指す。アクチュエータ262はまた、車輪104にエネルギを入力し、それによって車輪104を車体102に対して上下に移動させるように構成されている。
【0076】
制御システム180は、車体102と車輪104との間の所望の軸方向力伝達を達成するようにアクチュエータ262を動作させるときに、上部内側アイソレータ374、下部内側アイソレータ376、及びより小さい程度で外側アイソレータ378によって導入される軸方向コンプライアンスを考慮して、アクチュエータ262の入力を調整してもよい。例えば、上部内側アイソレータ374、下部内側アイソレータ376、及び外側アイソレータ378の圧縮状態は、(例えば、既知の又は試験されたばね定数に基づいて)負荷センサ380を使用するために考慮することができる。異なる時間に受信された負荷センサ380による異なる測定値に基づいて、アクチュエータ262への入力(例えば、モータの回転速度及び/又はトルク)は、アクチュエータ262からの同じ出力及び応答(すなわち、所与の時間枠内の軸方向力及び/又は変位)を求めているにもかかわらず、異なっていてもよい。例えば、アイソレータの1kN/mmの協働ばね定数及び5kNの予荷重(すなわち、第1の荷重経路)を仮定すると、5kNの軸方向力測定値は、0kNの軸方向負荷(すなわち、第2の荷重経路を介した)及びアイソレータの0mmのたわみを表すことになる。したがって、所与の時間枠内で8kNの所望の出力力を達成するために、例えば、モータを比較的高速で最初に回転させることによって、3mmのコンプライアンスを考慮しなければならない。7kNの軸方向力測定値は、2kNの軸方向荷重及びアイソレータの2mmのたわみを表すことになる。したがって、同じ所与の時間枠内で8kNの同じ所望の出力力を達成するために、例えば、モータを比較的低速で最初に回転させることによって、1mmのコンプライアンスを考慮しなければならない。
【0077】
サスペンションシステム160は、(例えば、筐体368に対するアクチュエータ262の主本体262aの位置の変化を測定することによって)様々なアイソレータのたわみを測定する、位置センサ384(例えば、変位センサ)を更に含んでもよい。この変位情報を、単独で、及び/又は力情報と併せて使用して、アクチュエータ262への入力(例えば、モータの回転速度及び/又はトルク)を決定することができる。例えば、様々なアイソレータの材料特性は、温度及び/又は経年変化によって変化する場合があり、これは、位置センサ384を用いてアイソレータの変位を測定することによって考慮することができる。例えば、予期された力値と相関しない測定された変位は、所望の軸方向力又は変位出力を達成するために、アクチュエータ262への入力によって考慮されてもよい(例えば、上記の例を使用すると、測定された2mmの変位は、測定された6kNの力と相関しないことになる)。
【0078】
図6A図6Bを参照して、図1に示すサスペンションシステム160fl、160fr、160rl、160rrのいずれかとして、サスペンションシステム660が使用されてもよい。サスペンションシステム660は、その上端部で車体102に結合され、その下端部でばね下構成要素306に結合される。サスペンションシステム660は、前述のサスペンションシステム160と同様に構成されている。サスペンションシステム660とサスペンションシステム160との間で共通の参照番号が使用されて、サスペンションシステム660の構成要素、特徴、又は他の要素を識別する場合、サスペンションシステム160の考察は、そのような構成要素、特徴、又は他の要素の更なる詳細に関して参照されてもよい。サスペンションシステム660及び以下に記載される変形形態(例えば、サスペンションシステム760、860、960、1060、及び1160)はまた、サスペンションアセンブリ若しくはデバイス、又はストラットシステム、アセンブリ、若しくはデバイスと呼ばれる場合がある。
【0079】
サスペンションシステム660は、一般に、アクチュエータ662と、シャフト664と、ばね366と、外側筐体668とを含み、これらは、サスペンションシステム160において、アクチュエータ262、シャフト264、ばね366、及び筐体368としてそれぞれ使用することができる。サスペンションシステムは、上部マウント370及び底部マウント372を更に含む。
【0080】
サスペンションシステム160を参照して上述したように、サスペンションシステム660は、平行な2つの荷重経路を介してばね下構成要素306から車体102に軸方向に力を伝達するように構成されている。第1の荷重経路は、ばね366及び外側筐体668によって形成され、予荷重(例えば、車両100の重量の一部分)及び車体102とばね下構成要素306との間の動的負荷の一部分を支える。第2の荷重経路は、アクチュエータ662、シャフト664、及び外側筐体668によって形成され、道路の外乱に対する主要減衰機能を提供することを含めて、車体102とばね下構成要素306との間の動的負荷の別の部分を支える。
【0081】
また図6Cを参照して、アクチュエータ662は、ボールねじアクチュエータ又は機構として構成されたリニアアクチュエータである。アクチュエータ662は、ロータ662b及びステータ662cを有するモータ662aと、ボールナット662d(例えば、ボールねじナット)と、ボールスプライン662e(例えば、ボールスプラインナット)と、下部内側筐体部分662g及び上部内側筐体部分662hを有する内側筐体662fとを含む。シャフト664は、アクチュエータ662を通って延び、アクチュエータ662の一部とみなされてもよい。大まかに言えば、モータ662aは、外側筐体668に対してボールナット662dにトルクを加えて、外側筐体668に対するシャフト664の軸方向の動きを制御し、それによって、車体102に対するばね下構成要素306の軸方向の動きを制御する。ボールスプライン662eは、シャフト664を介してモータ662aからばね下構成要素306(例えば、サスペンションアーム)又は他の構成要素(例えば、ステアリングリンク254)へのトルクの伝達を防止するために、外側筐体668に対するシャフト664の回転を防止する。アクチュエータ662及び本明細書に記載される他のアクチュエータは、ラックアンドピニオンシステム、リニアモータ、又は他の好適なリニアアクチュエータなどの他の種類のリニアアクチュエータとして構成されてもよい。内側筐体662f及び外側筐体668はまた、剛性筐体と呼ばれることがある。下部内側筐体部分662g及び上部内側筐体部分662hはまた、下部筐体構造体及び上部筐体構造体とそれぞれ呼ばれることがある。
【0082】
加えて図6Dを参照して、ロータ662b及びボールナット662dは、同調して回転する。ロータ662b及びボールナット662dは、アクチュエータ662の回転構造体662'を協働的に形成すると考えることができる。ボールナット662d及びロータ662bは、その軸方向端部で互いに結合されてもよい。例えば、ボールナット662d及びロータ662bは、モータ662aによって生成されたトルクがボールナット662dに伝達されるように、ボールナット662dの半径方向に延びるフランジを通ってロータ662bの軸方向端部へと軸方向に延びるねじ付き締結具(図示せず)を用いて互いに結合されてもよい。ロータ662b及びボールナット662dは、それらの間でトルクを伝達するために、例えば、それらの間で雌雄間の締まり嵌めを用いて互いに結合されてもよい。ロータ662bは、例えば、中空シャフトとして構成されたスピンドル662b''の半径方向外面に取り付けられた磁石662b'を含んでもよい。ロータ662bは、内部で軸方向に並進するシャフト664を囲んで、かつシャフト664とは独立して回転するように、中空である。回転構造体662'はまた、回転アセンブリと呼ばれることがある。
【0083】
加えて図6Eを参照して、ステータ662c、ボールスプライン662e、及び内側筐体662fは、固定されて互いに結合されて、それらの間の回転及び軸方向の移動を防止する。ステータ662c、ボールスプライン662e、及び内側筐体662fは、それに対して回転構造体662'が回転する、アクチュエータ662の固定構造体662''を協働的に形成すると考えることができる。内側筐体662fの下部内側筐体部分662g及び上部内側筐体部分662hは、それらの軸方向端部で互いに結合されて、それらの間の相対移動を防止する、剛性環状構造体である。例えば、下部内側筐体部分662g及び上部内側筐体部分662hは、内部に軸方向に延びるねじ付き締結具(図示せず)を用いて、又は別の好適な方法(例えば、雌雄間締まり嵌め)で互いに結合されてもよい。あるいは、内側筐体662fは、内側筐体を形成する一体型構造体であってもよく、又は内側筐体662fを形成する追加の構造体で形成されてもよい。ステータ662cは、内側筐体662fの内側に結合されて、例えば、上部内側筐体部分662hの内面に結合されて(例えば、それと接触して)それらの間の相対移動を防止する。図に示すように、上部内側筐体部分662hは、モータ662a(例えば、ステータ662c)を冷却するために流体が流れることができる冷却チャネル662f'(例えば、冷却通路)を含んでもよい。上部内側筐体部分662hはまた、ステータ筐体又は冷却ジャケットと呼ばれることがある。固定構造体662''はまた、固定アセンブリと呼ばれることがある。
【0084】
ボールスプライン662eは、内側筐体662fに結合されて、例えば、下部内側筐体部分662gに結合されて、それらの間の相対的な回転及び軸方向の移動を防止する。図に示すように、ボールスプライン662e及び下部内側筐体部分662gはそれぞれ、半径方向に互いに重なり合う半径方向に延びるフランジを含む。ボールスプライン662e及び下部内側筐体部分662gのフランジは、例えば、それらの内部に軸方向に延び、かつそれらの間の軸方向移動及び回転移動を防止するねじ付き締結具(図示せず)を用いて、共に互いに結合される。ボールスプライン662e及び下部内側筐体部分662gは、相対回転を防止する雌雄間締まり嵌め、及び軸方向移動を防止するスナップリング又はナットを用いるなど、互いに対して軸方向移動及び/又は回転移動を防止する他の方式で、互いに結合することができる。
【0085】
回転構造体662'(すなわち、ロータ662b及びボールナット662dによって形成された)は、固定構造体とシャフト664との間で軸方向力(すなわち、第2の荷重経路の力)を加えるように、固定構造662''(すなわち、ステータ662c、ボールスプライン662e、下部内側筐体部分662g、及び上部内側筐体部分662hによって形成された)に対して回転するように構成されている。回転構造体662'によってシャフト664に加えられる軸方向力は、アクチュエータ662に対するシャフト664の軸方向移動を引き起こし、制限し、防止し、又は別の方法で制御して、ばね下構成要素306と車体102との間の第2の荷重経路における力伝達を制御するためのものである。
【0086】
より具体的には、モータ662aは、電流を受け取り、これにより、ロータ662bとステータ662cとの間にトルクを発生させる。ロータ662bにトルクが加えられると、トルクは、ボールナット662dに加えられ、軸方向力が、ボールナット662dからシャフト664に加えられる。より具体的には、軸方向力は、ボールねじナットの技術分野において既知のように、再循環ボール(図示せず、ボール軸受など)の第1の組を介してボールナット662dとシャフト664との間に加えられる。再循環ボールは、シャフト664の外面の外側螺旋溝664a、及びボールナット662dの内面のそれに対応する内側螺旋溝662d'に係合して、それにより、トルクがボールナット662dに加えられると、ボールナット662dとシャフト664との間に軸方向力を加える。モータ662aによってボールナット662dに加えられるトルクを制御することによって(例えば、モータ662aへの電力を制御することによって)、アクチュエータ662によってシャフト664に加えられる軸方向力を制御して、それにより、アクチュエータ662に対するシャフト664の軸方向の移動を引き起こす、制限する、防止する、又は別の方法で制御することができる。これにより、アクチュエータ662は、ばね下構成要素306と車体102との間の力の伝達を制御して、例えば、道路の外乱からのエネルギを消散させ、及び/又はばね下構成要素306に接続された車輪とその下の路面との接触を維持することができる。例えば、アクチュエータ662は、ダンパーとして機能してもよい。ボールナット662dはまた、ボールねじナットと呼ばれることもある。
【0087】
固定構造体662''は、シャフト664がそれに対して回転するのを防止するように更に構成されている。モータ662aによってボールナット662dに加えられるトルクは、シャフト664に軸方向力を加えることに加えて、シャフト664の螺旋溝664a及びボールナット662dの螺旋溝662d'の傾斜に起因して、シャフト664にトルクを加える。固定構造体662''、具体的にはボールスプライン662eは、モータ662aによってシャフト664に加えられるこのトルクに抵抗する。結果として、さもなければ、ばね下構成要素306の望ましくない横方向の移動を生じさせる可能性がある(例えば、制御アームが車体102に対して垂直に旋回するように意図されている場合)トルクは、アクチュエータ662からばね下構成要素306に伝達されない。そのような横方向の移動は、例えば、ばね下構成要素306を車体102に取り付けている旋回ジョイント及び/又はブッシングに対する摩耗を誘発する場合があり、かつ/又はステアリングシステム150に望ましくない力を誘発する場合がある。
【0088】
ボールスプライン662eは、シャフト664と係合して、そのようなトルクがアクチュエータ662に対するシャフト664の回転を引き起こすことを防止する。より具体的には、再循環ボールの第2組(図示せず、ボール軸受など)は、シャフト664の外面の外側軸方向溝664b及びボールスプライン662eの内側軸方向溝662e'に係合する。例えば、シャフト664は、180度離間した2つの外側軸方向溝664bを含んでもよく、ボールスプライン662eは、180度離間し、かつそれに対応する2つの内側軸方向溝662e'を含む。ボールナット662dによってシャフト664に加えられるトルクから生じる接線力は、アクチュエータ662の固定構造体662''に対するシャフト664の回転を防止するように、ボールスプライン662eを介し再循環ボールの第2の組を介して伝達される。ボールスプライン662eの代替として、シャフト664は、代わりに、スライドキー又はローリングキーが接線方向に付勢されて、シャフト664と固定構造体662''との間でトルクを伝達し、それらの間の回転を防止する、キー溝を含むことができる。
【0089】
回転構造体662'(すなわち、ロータ662b及びボールナット662dのアセンブリ)は、固定構造体662''によって(すなわち、ステータ662c、ボールスプライン662e、下部内側筐体部分662g、及び上部内側筐体部分662hのアセンブリによって)回転可能かつ軸方向に支持される。例えば、図に示すように、回転構造体662'は、下部軸受アセンブリ676及び上部軸受アセンブリ678を用いて固定構造体662''に回転可能に結合される。下部軸受アセンブリ676及び上部軸受アセンブリ678のそれぞれは、回転構造体662'と固定構造体662''との間の半径方向の移動を防止する。下部軸受アセンブリ676及び上部軸受アセンブリ678のそれぞれは、ボール軸受アセンブリ、ローラ軸受アセンブリ、若しくはニードル軸受アセンブリ、又は、それらの間でローラ要素(例えば、ボール、ローラ、ニードルなど、図示せず)と共に互いに対して回転する、内側レース及び外側レースを有する同様なものであってもよい。下部軸受アセンブリ676及び上部軸受アセンブリ678の一方又は両方は、例えば、スラスト軸受として構成されて、回転構造体662'と固定構造体662''との間の軸方向移動を防止するように更に構成されてもよい。例えば、図に示すように、下部軸受アセンブリ676は、スラスト軸受であってもよい。
【0090】
下部軸受アセンブリ676は、ボールナット662dと下部内側筐体部分662gとの間に半径方向に配置されてもよい。下部軸受アセンブリ676の内側レースは、ボールナット662dと、共に回転するように回転可能かつ軸方向に固定され、回転構造体662'の一部とみなされてもよい。例えば、内側レースは、ボールナット662dの半径方向外面に係合し、それにより、それに回転可能かつ半径方向に結合される。内側レースは、ボールナット662dの半径方向外面の半径方向外側に延びるボールナット662dの上部フランジと、ボールナット662dの中間高さで半径方向外面と係合するナット680又は他の締結具(例えば、スナップリング又はロックリング)との間で軸方向に更に保持される。
【0091】
下部軸受アセンブリ676の外側レースは、内側筐体662fと回転可能かつ軸方向に固定され、固定構造体662''の一部とみなされてもよい。例えば、外側レースは、下部内側筐体部分662gの半径方向内面に係合して、それにより、それに回転可能かつ半径方向に結合される。外側レースは、半径方向内面から半径方向内側に延びる下部内側筐体662fのフランジと、下部内側筐体部分662gの半径方向内面と係合するスナップリング682又は他の締結具(例えば、雄ねじ付きナット)との間で軸方向に更に保持される。
【0092】
上部軸受アセンブリ678は、ロータ662bと内側筐体662fとの間に半径方向に配置されてもよい。上部軸受アセンブリ678の内側レースは、ロータのスピンドル662b''の半径方向外面と係合され(例えば、それに圧入される)、それにより、それらの間の半径方向移動及び回転移動を防止する。内側レースは、回転構造体662'の一部とみなすことができる。上部軸受アセンブリ678の外側レースは、上部内側筐体部分662hの半径方向内面と係合して、それらの間の半径方向移動及び回転移動を防止する(例えば、それに圧入される)一方で、内側レースが上部内側筐体部分662hに対して回転方向に移動するが、半径方向に移動しないことを可能にする。外側レースは、固定構造体662''の一部とみなすことができる。
【0093】
下部軸受アセンブリ676及び上部軸受アセンブリ678は、アクチュエータ662の回転構造体662'と固定構造体662''との間の曲げモーメントの任意のものに抵抗するように、軸方向に離間している。例えば、下部軸受アセンブリ676は、モータの下(例えば、ロータ662bの磁石662b'及びステータ662cより下)に配置されて、曲げモーメントから生じ得る、ボールナット662dと下部内側筐体部分662gとの間などの回転構造体662'と固定構造662''との間の半径方向負荷に抵抗することができる。上部軸受アセンブリ678は、モータより上(例えば、ロータ662bの磁石662b'及びステータ662cより上)に配置されて、曲げモーメントから生じ得る、ロータ662b(例えば、そのスピンドル662b'')と上部内側筐体部分662hとの間の半径方向負荷に抵抗することができる。
【0094】
ボールナット662d及びボールスプライン662eは、シャフト664とアクチュエータ662との間の任意の曲げモーメントに抵抗するように、軸方向に離間している。より具体的には、回転構造体662'が固定構造体662''に対して軸方向に固定されている結果として(例えば、スラスト軸受として構成されている下部軸受アセンブリ676を介して)、ボールナット662d及びボールスプライン662eは、ボールナット662dがボールスプライン662eより上に配置された状態で互いに対して軸方向に固定される。シャフト664とアクチュエータ662との間に曲げモーメントが加えられると、ボールナット662d及びボールスプライン662eは、シャフト664上の異なる軸方向位置でシャフト664に半径方向力を加えて、それに加えられる曲げモーメントに抵抗する。
【0095】
上述したように、外側筐体668は、ばね下構成要素306と車体102との間の第1の荷重経路(すなわち、ばね366を用いて)及び第2の荷重経路(すなわち、アクチュエータ662及びシャフト664を用いて)で力を伝達する。図に示すように、外側筐体668は、マルチピースアセンブリとして構成されてもよい。外側筐体668は、上部外側筐体668aと、中間外側筐体668bと、下部外側筐体668cとを含み、これらは、アクチュエータ662及び/又はシャフト664の一部分を囲む概ね環状構造体である。
【0096】
上部外側筐体668aは、上部マウント370に結合されて、それに負荷を伝達する。様々な電子回路及び構成要素(例えば、ロータエンコーダ、位置センサ、ロードセル、図示せず)は、上部外側筐体668aによって画定される外側筐体668の内側キャビティの一部分に収容されてもよい。上部内側アイソレータ374はまた、上部外側筐体668a及び上部内側筐体部分662hに結合されてもよい(例えば、それらの間に半径方向に配置される)。
【0097】
中間外側筐体668bは、上部外側筐体668aに(例えば、ねじ付き締結具を介して)結合され、それから下方に延びる。中間外側筐体668bは、外側筐体668の内側キャビティの主要部分を画定し、概して、上部内側筐体部分662h及びモータ662a(すなわち、ロータ662b及びステータ662c)を収容する。下部内側アイソレータ376は、中間外側筐体668b及び下部内側筐体部分662gに結合されてもよい(例えば、それらの間に半径方向に配置される)。
【0098】
下部外側筐体668cは、中間外側筐体668bに結合され(例えば、雌雄間ネジ係合を介して)、それから下方に延びる。下部外側筐体668cは、外側筐体668のキャビティの一部分を画定し、下部内側筐体部分662g及びボールナット662dの一部分を収容し、下部内側筐体部分662g及びボールナット662dのいずれかは、下部外側筐体668cの下端部より下に軸方向に突出することができる。下部外側筐体668cはまた、それへの第1の荷重経路の負荷を伝達するために、ばね366を内部に及び/又は向かって受ける(例えば、それらの間のアイソレータを用いて)ばね座として機能してもよい。下部外側筐体668cは、調節可能なばね座を形成するように、中間外側筐体668bに対して、例えば、それらの間のねじ付き係合を介して軸方向に調節可能であってもよい。
【0099】
上述し、かつ図に示すように、アクチュエータ662は、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376を介して外側筐体668に結合され、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、アクチュエータ262と筐体368との間で結合し負荷を伝達するために、前述したように機能するように構成されてもよい。アイソレータのそれぞれは、内側及び外側の剛性リング部材、並びにそれらの間の中間柔軟リング部材を有するチューブアイソレータであってもよい。内側リング部材及び外側リング部材は、それぞれ、内側筐体(例えば、下部内側筐体部分662g又は上部内側筐体部分662h)及び外側筐体668に結合され、中間柔軟リング部材は、それらの間にコンプライアンスを提供する。上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、アクチュエータ662によって生成された振動若しくは他の外乱(例えば、モータの動作、ボールナット662d及びボールスプライン662e内の再循環ボールの移動、他の摩擦に起因する)、及び/又はアクチュエータの外部に生じる振動若しくは他の外乱(例えば、ばね下構成要素306に作用する道路の外乱からの)を減衰しながら、アクチュエータ662と外側筐体668との間の第2の荷重経路の軸方向負荷を伝達するように機能する。加えて、上部内側アイソレータ374及び下部内側アイソレータ376は、アクチュエータ662と外側筐体668との間の曲げモーメントに抵抗するように軸方向に離間している。
【0100】
図6Bに示すように、サスペンションシステム660はまた、概略的に示す様々な電子機器を含んでもよい。これらの電子機器は、サスペンションシステム660及び車両100の他のシステムを制御するために使用することができる、サスペンションシステム660の条件(例えば、力及び変位)を監視するように構成されている。例えば、上部マウント370は、筐体668と上部マウントとの間で伝達される力(すなわち、第1の荷重経路及び第2の荷重経路の両方の力)を測定するロードセルなどの1つ以上の力センサ671を含んでもよい。アクチュエータ662は、モータ662に電力を供給し又はモータ662から電力を引き出し、かつその動作を制御するための様々な電子機器(例えば、ロータエンコーダ)を含むことができる、モータ電子機器663を含んでもよい。アクチュエータ662はまた、アクチュエータ662に対するシャフト664の位置を測定するための(例えば、サスペンションシステム660の長さ又は車両100の高さ(例えば、車体102とばね下構成要素との間の)を判定するための)位置センサ665を含んでもよい。図6Fを参照して、電子機器(すなわち、力センサ671、モータ電子機器663、及び位置センサ665)は、制御システム180と通信してもよく、制御システム180は、サスペンションシステム660(例えば、4つのサスペンションシステム660)のそれぞれに、それを制御するための制御信号を提供することができる。
【0101】
図7A図7Bを参照して、サスペンションシステム760又はストラットアセンブリ若しくはシステムは、図1に示すサスペンションシステム160fl、160fr、160rl、160rrのいずれかとして使用することができる。サスペンションシステム760は、その上端部で車体102に結合され、その下端部でばね下構成要素306に結合される。サスペンションシステム760は、前述のサスペンションシステム160及び660と同様のいくつかの態様で構成されている。サスペンションシステム760とサスペンションシステム160及び660との間で共通の参照番号が使用されて、サスペンションシステム760の構成要素、特徴、又は他の要素を識別する場合、サスペンションシステム160及び660の考察は、そのような構成要素、特徴、又は他の要素の更なる詳細に関して参照されてもよい。
【0102】
サスペンションシステム760は、一般に、アクチュエータ662と、シャフト664とを含み、空気ばね766を形成する。以下で更に詳細に説明するように、空気ばね766は、アクチュエータ662、シャフト664、及び上部筐体768によって形成された第2の荷重経路と平行な、ばね下構成要素306と車体102との間の第1の荷重経路を形成する。空気ばね766は、前述した第1の荷重経路と同様に、ばね下構成要素306と車体102との間で予荷重(すなわち、車両100の重量)を伝達する。アクチュエータ662及びシャフト664は、ばね下構成要素306と車体102との間の第2の荷重経路を形成するように、前述したように実質的に構成されてもよい。
【0103】
サスペンションシステム760は、アクチュエータ662の構成要素、シャフト664、上部筐体768、下部筐体770、及び膜772、並びに上部マウント774、及び底部マウント778を含む。
【0104】
上部筐体768は、アクチュエータ662の全て又は一部分を囲むように上部マウント774から下方に延びる、概ね剛性かつ環状の構造体である。以下で更に詳細に説明するように、上部筐体768は、空気ばね766の加圧キャビティ766aの上部チャンバ766bを画定してもよい。上部筐体768は、上部マウント774に結合され、そこから下方に延びて、ボールナット662dより下方に配置されたその下端部で終端し、例えば、ボールスプライン662eと少なくとも部分的に重なり合う。上部筐体768はまた、上部マウント774から下方に移動して直径を減少させてもよく、例えば、モータ662aのステータ662cより下で階段状又は漸進的な方法で直径を減少させることができる。上部筐体768は、図に示すように、一体型構成要素であってもよいが、複数の構成要素のアセンブリとして形成されてもよい(例えば、上部外側筐体668a及び中間外側筐体668bと同様に)。
【0105】
上部筐体768は、空気ばね766が加圧ガス(例えば、加圧空気)を空気源(図示せず)から受け取って、加圧キャビティ766a内の空気量を増加させて車両100を上昇させる、ポート768aを更に含む。空気はまた、空気ばね766からポート768aを通って放出されて、加圧キャビティ766a内の空気量を減少させて車両100を下げることもできる。
【0106】
上部筐体768は、上部マウント774にそれらの間に柔軟結合を形成するアイソレータ776を用いて結合される一方で、それらの間の回転、半径方向、及び軸方向の移動を制限する。アイソレータ776は、例えば、柔軟な中間リング部材に結合され、かつそれによって分離された剛性の内側リング部材及び外側リング部材を有する、チューブアイソレータであってもよい。アイソレータ776は、上部筐体768の内側半径方向部分(例えば、その内面)と上部マウント774の外側半径方向部分(例えば、その下方に延びる環状フランジ)との間に半径方向に配置され、それらに強固に結合されてもよい。アイソレータ776は、上部筐体768と上部マウント774との間で第2の荷重経路の力を伝達する。アイソレータ776は、上部筐体768を上部マウント774に封止し、それにより、加圧キャビティ766aを上部マウント774で封止するように更に機能する。
【0107】
上部マウント774は、加圧キャビティ766aを封止し、かつサスペンションシステム760を車体102に機械的に接続するように機能する構造体である。上部マウント774は、アセンブリとして上部マウント774を形成するように互いに結合された1つ以上の構造体及び/又は構成要素を含んでもよい。例えば、上部マウント774は、他の構成要素の中でも、加圧キャビティ766aを部分的に封止するように機能する下部構造体、及びサスペンションシステム760を車体102に結合するように機能する上部構造体を含んでもよい。上部マウント774は、サスペンションシステム760と車体102との間の力伝達を測定するロードセルを含むなど、更なる構成要素及び/又は機能を含んでもよい。
【0108】
下部筐体770は、底部マウント778に結合され、そこから上方に延びて、その上端部で終端する、概ね剛性かつ環状の構造体である。車体102及びばね下構成要素306、並びにそれによって上部マウント774及び下部マウント778が互いに向かって、及び互いから離れて移動すると、下部筐体770の上端部は、上部筐体768の下端部に対して軸方向位置を変化させる。一部の位置では、下部筐体770は、上部筐体768と軸方向に重なり合う。下部筐体770の上端部は、上部筐体768を下部筐体770内に受け入れることができるように、上部筐体768の下端部よりも大きい直径を有する。下部筐体770の上端部と上部筐体768の下端部との間に、円周間隙766dが画定される。下部筐体770は、図に示すように、底部マウント778の一部分と一体的に形成された一体型構成要素として形成されてもよく、又は複数の構成要素のアセンブリとして形成されてもよい(例えば、底部マウント778とは別個に形成され、かつそれに結合される)。
【0109】
底部マウント778は、加圧キャビティ766aを封止し、かつサスペンションシステム760をばね下構成要素306に機械的に接続するように機能する構造体である。底部マウント778は、アセンブリとして底部マウント778を形成するように互いに結合された1つ以上の構造体及び/又は構成要素を含んでもよい。例えば、底部マウント778は、他の構成要素の中でも、加圧キャビティ766aを部分的に封止し、かつシャフト664に接続するように機能する上部構造体を含み、サスペンションシステム760をばね下構成要素306に結合するように機能する下部構造体を含んでもよい。シャフト664は、底部マウント778に、それらの間で第2の荷重経路の力を伝達するために結合される。
【0110】
膜772は、下部筐体770の上端部と上部筐体768の下端部との間で半径方向に延びて、それらの間で円周間隙766dを封止する。膜772は、それによって加圧キャビティ766aを封止する。膜772は、ポリマー(例えば、ゴム)材料又は任意の他の好適な可撓性材料で形成されてもよい。
【0111】
膜772は、当該技術分野において理解されるように、ローリングローブ空気ばねとして空気ばね766を形成するように構成されている。膜772は、上部筐体768の下端部に結合された内側膜部分772aと、下部筐体770の上端部に結合された外側膜部分772bとを含む。車体102及びばね下構成要素306、並びにそれによって上部筐体768及び下部筐体770が互いに向かって及び互いから離れて移動すると、内側膜部分772a及び外側膜部分772bは、互いに対して軸方向に並進する。
【0112】
アクチュエータ662は、上部筐体768に結合されて、それらの間の回転及び軸方向の移動を防止する。例えば、アクチュエータは、アクチュエータ662と上部筐体768との間に半径方向に延びる1つ以上の支持構造体780を用いて上部筐体768に結合されてもよい。1つ以上の支持構造体780は、例えば、上部内側筐体部分662hを上部筐体768に結合することができる。支持構造体780は、モータ662aより上(例えば、ステータ662c及び/又は上部軸受アセンブリ678より上)に配置されてもよい。1つ以上の支持構造体780は、更に、以下で更に詳細に説明するように、加圧キャビティ766aの上部チャンバ766bと下部チャンバ766cとの間の空気流を可能にする(例えば、スポークとして構成されている)。結果として、第2の荷重経路の力は、支持構造体780を用いてアクチュエータ662と上部筐体768との間で伝達される。したがって、第2の荷重経路は、車体102に対するばね下構成要素306との間の力を、底部マウント778からシャフト664へ、アクチュエータ662へ、上部筐体768へ、アイソレータ776へ、及び上部マウント774へと伝達する。
【0113】
上述したように、空気ばね766は、車体102とばね下構成要素306との間の第1の荷重経路を形成し、アクチュエータ662、シャフト664、及び上部筐体768は、第1の荷重経路に平行な第2の荷重経路を形成する。第1の荷重経路を最初に参照して、空気ばね766は、加圧ガス又は空気を収容する密閉チャンバである加圧キャビティ766aを含む。キャビティ766aは、概して、上部筐体768、下部筐体770、及びそれらの間で封止された膜772によって画定される。キャビティ766aはまた、上部マウント774から底部マウント778まで延びてもよく、それらの間に画定されてもよい。第1の荷重経路の力は、例えば、上部マウント774及び底部マウント778それぞれによって形成された加圧キャビティ766aの上端部及び下端部に作用する、加圧ガスによって伝達される。図7Bを参照して、加圧キャビティ766aは、クロスハッチングで示す領域によって表される。以下で更に詳細に説明するように、アクチュエータ662及びシャフト664は、加圧キャビティ766a内に収容され、それにより、内部の空気圧にさらされる。
【0114】
車体102及びばね下構成要素306が互いに対して移動すると、加圧キャビティ766aの容積が変化して、内部の所与の空気量を更に圧縮又は減圧し、それにより、サスペンションシステム760は、車体102とばね下構成要素306との間でより大きい又はより小さい力をそれぞれ作用させる。更に、所与の圧力に対して、空気は、選択的に加圧キャビティ766aの容積を増加させるように加圧キャビティ766aに加えられ、又は加圧キャビティ766aから除去され、それによって、サスペンションシステム760の長さ及び車体102とばね下構成要素306との間の距離を変化させてもよい。サスペンションシステムの長さが変化すると(例えば、車体102とばね下構成要素との間に加えられる異なる力から、底部マウント778と上部マウント774との間でアクチュエータ662によって加えられる力から、及び/又は空気がキャビティ666aに加えられる若しくはキャビティ666aから除去されると)、上部筐体768及び下部筐体770は、例えば、上部筐体768が下部筐体770内に受け入れられて、及び/又は摺動して、互いに対して軸方向に移動する。
【0115】
上述したように、加圧キャビティ766aは、互いに流体連通している上部チャンバ766b及び下部チャンバ766cを含む。上部チャンバ766bは、概して上部筐体768によって画定される。下部チャンバ766cは、概して下部筐体770及び膜772によって画定される。アクチュエータ662及び上部筐体768は、一般に、膜772が可撓性であることに起因して移動することが許容又は可能にされた、底部マウント778に対して移動可能なアセンブリ(例えば、空気ばね766の第1のピストンアセンブリ)を形成する。上部マウント774は、一般に、コンプライアンスを有するアイソレータ776に起因して移動することが許容又は可能にされた、筐体768に対して移動可能な別のアセンブリ(例えば、空気ばね766の第2のピストンアセンブリ)を形成する。第1のピストンアセンブリ及び第2のピストンアセンブリは、例えば、内側筐体662gと下部筐体770との間の中間点(例えば、可撓性膜の中間点)内、及びアイソレータ776の中間柔軟リングの中間点内それぞれの面積として概ね画定される、ほぼ等しい有効ピストン面積を有してもよい。ほぼ等しい有効ピストン面積を有することにより、アクチュエータ662に対する軸方向の静荷重をほぼゼロにすることを可能にすることができる(例えば、アクチュエータ662を含む第1のピストンアセンブリにほぼ等しい上向き及び下向きの力を加える、上部チャンバ776b及び下部チャンバ766c内の共通圧力から)。有効ピストン面積は、例えば、互いの25%、15%、10%、5%、又は2%以内であることによって、ほぼ等しくてもよい。ほぼ等しいピストン面積は、以下に記載される更なるサスペンションシステム860、960、1060、及び1160に適用されてもよい。
【0116】
上部チャンバ766b及び下部チャンバ766cは、内部に概ね均一な圧力を維持するように、互いに流体連通している。図7A及び図7Bに示すように、円周間隙766d(例えば、環状プレナム)は、上部チャンバ776bと下部チャンバ766cとの間に延び、それにより、それらの間の流体連通を維持する。円周間隙766dは、例えば、上部筐体768とアクチュエータ662の内側筐体662fとの間に半径方向に、かつシャフト664の軸の周囲で円周方向に画定される。更に、上述したように、アクチュエータ662を上部筐体768に結合する1つ以上の支持構造体780は、上部チャンバ776bと下部チャンバ766cとの間で円周間隙766dを通る空気流を可能にする。例えば、支持構造体780は、互いから円周方向に離間して、それらの間に流路を提供するスポークであってもよい。
【0117】
サスペンションシステム760が長さを変化させると、加圧キャビティ766aの容積が変化し、具体的には、下部チャンバ766cの容積が変化し、一方、上部チャンバ766bの容積は、概ね一定のままである。したがって、加圧キャビティ766aの容積が所与の空気量に対して増加又は減少するにつれて、空気は、下部チャンバ766cから上部チャンバ766bへ、又は下部チャンバ766cから上部チャンバ766bへとそれぞれ流れ、それらの間に概ね均一な空気圧を維持する。しかしながら、上部チャンバ766bと下部チャンバ766cとの間の圧力のわずかな差異は、空気がそれらの間を流れ、円周間隙766d内で制限されるときに生じ得ることに留意されたい。
【0118】
第2の荷重経路を参照して、第2の荷重経路は、アクチュエータ662、シャフト664、及び上部筐体768によって形成され、上部マウント774と底部マウント778との間、それによって車体102とばね下構成要素306との間、の第1の荷重経路に平行である。より具体的には、力は、アイソレータ776を介して上部マウント774と上部筐体768との間で、支持構造体780を介して上部筐体768とアクチュエータ662との間で、及びシャフト664を介してアクチュエータ662(すなわち、そのボールナット662d)と底部マウント778との間で伝達される。
【0119】
上述したように、第1の荷重経路は、ばね下構成要素306に対する車体102の重量、並びに車体102への動的負荷(例えば、車両100が角を曲がる若しくは加速する、又は車両100内で質量が移動するときの重量伝達からの)又はばね下構成要素306への動的負荷(例えば、車輪が隆起を乗り越える、又はくぼみを通過するときの)の一部分を支持する。第1の荷重経路における力は、一般に、空気ばね766のばね定数及びサスペンションシステム760の長さ(例えば、変位)(例えば、車体102とばね下構成要素306との間の距離)の関数である。空気ばね766のばね定数は、加圧キャビティ766aへの空気の追加又は除去によって制御されてもよいが、比較的小さな範囲(例えば、+/-20%)内、かつ加圧キャビティ766aへの空気の供給又は加圧キャビティ766aからの放出の速度によって制限される比較的低速(例えば、帯域幅)で制御されてもよい。
【0120】
第2の荷重経路は、動的負荷により、車体102とばね下構成要素306との間の力伝達を制御する、例えば、ダンパーとして機能するように構成されている。第2の荷重経路における力は、アクチュエータ662によって(すなわち、モータ662aがトルクをボールナット662dに加え、ひいてはシャフト664に軸方向力を加えることによって)直接制御され、空気ばね766による第1の荷重経路と比較して、大きな範囲(例えば、0kN+/-力容量)かつ比較的高速(例えば、帯域幅)で制御されてもよい。結果として、アクチュエータ662は、シャフト664に軸方向力を選択的に加えることにより(すなわち、モータ662aからボールナット662dにトルクを選択的に加えることにより)、動的負荷に応じて、又は動的負荷を予測して、ばね下構成要素306から車体102への力伝達を制御するように動作させることができ(例えば、道路の外乱に応じて、又は道路の外乱を予測して)、空気ばね766は、動的負荷に応じて若しくは動的負荷を予測して、制御されてもよく、又は制御されなくてもよい。
【0121】
上述したように、空気ばね766の加圧キャビティ766aは、サスペンションシステム760の上端部から下端部まで(例えば、上部マウント774と底部マウント778との間に)延び、また、アクチュエータ662(例えば、ロータ662b及びステータ662cの両方を含むモータ662a、ボールナット662d、並びにボールスプライン662eのうちの1つ、若しくはそれより多く、又は全て)及びシャフト664の少なくとも一部分を収容してもよい。代わりにアクチュエータ662より下に全体が配置される空気ばねとは対照的に、この構成により、様々な利点を提供することができる。例えば、加圧キャビティ766aの使用可能な容積は、アクチュエータ662より下に取り付けられる空気ばねと比較して、より大きくする、及び/又は空気ばね766のより細いパッケージングを可能にすることができる。加えて、アクチュエータ662より下に取り付けられた空気ばねは、他の方法でシャフト664に封止され、かつシャフト664に沿って移動する必要があり得、これは、その外面の溝664a、664bを考えると、実施するのが困難であり得る。また更に、アクチュエータ662は、保護シュラウド(例えば、ベローズ)を必要とせずに加圧キャビティ766a内に配置することによって、外部環境から保護される。
【0122】
図7Aに示すように、サスペンションシステム760はまた、概略的に示す様々な電子機器を含んでもよい。これらの電子機器は、前述した、上部マウント771に組み込まれた力センサ671、モータ電子機器663、及び位置センサ665を含んでもよく、また、圧力センサ766fを含んでもよい。そのような電子機器はまた、以下に記載されるサスペンションシステム860、960、1060、及び1160に含まれてもよい。図7Cを参照して、電子機器(すなわち、力センサ671、モータ電子機器663、位置センサ665、及び圧力センサ766f)は、制御システム180と通信してもよく、制御システム180は、サスペンションシステム660(例えば、4つのサスペンションシステム660)のそれぞれに、それを制御するための制御信号を提供することができる。車両は、加圧ガス源790を更に含んでもよく、加圧ガス源790は、車両100のサスペンションシステム760(例えば、4つ)のそれぞれと流体連通し、サスペンションシステム760のそれぞれの空気ばね766に加圧空気を供給又は放出するために、制御システム180によって制御されてもよい。
【0123】
図8A図8Bを参照して、サスペンションシステム860は、サスペンションシステム760の変形形態である。サスペンションシステム860は、一般に、アクチュエータ862と、シャフト664と、加圧キャビティ866aを有する空気ばね866と、上部筐体868と、下部筐体770と、膜772とを含む。空気ばね866は、上部マウント774と底部マウント778との間に第1の荷重経路を形成する。アクチュエータ862及びシャフト664は、上部マウント774と底部マウント778との間に第2の荷重経路を形成し、荷重経路はまた、上部筐体868を含んでもよい。
【0124】
アクチュエータ862は、上部筐体868への取り付けのため、及び加圧キャビティ866aの上部チャンバ866bと下部チャンバ866cとの間で空気を連通するための変形を有して、アクチュエータ662と同様に構成されている(例えば、モータ662aと、ボールナット662dと、ボールスプライン662eと、内側筐体662fとを含むことにより)。シャフト664は、前述のように構成されている。空気ばね866は、加圧キャビティ866aの上部チャンバ866bの構成及び上部チャンバ866bと下部チャンバ866cとの間で空気を連通することの変形を有して、アクチュエータ662と同様に構成されている(例えば、上部筐体868、下部筐体770、及び膜772によって画定されることによって)。上部筐体868は、それにアクチュエータ862を取り付けるため、上部チャンバ866bを画定すること、及び上部マウント774に接続することの変形を有して、上部筐体768と同様に構成されている。下部筐体770及び膜772は、前述のように構成されている。これらの変形は、以下で更に詳細に説明する。
【0125】
アクチュエータ862は、上部アイソレータ876a及び下部アイソレータ876bを用いて上部筐体868及び/又は上部マウント774に取り付けられる。上部アイソレータ876a及び下部アイソレータ876bのそれぞれは、中間柔軟リングが間にある内側剛性リング及び外側剛性リングを含むことによって、前述したアイソレータ776と同様に構成されている。上部アイソレータ876aは、上部筐体868及び/又は上部マウント774とアクチュエータ862との間に半径方向に配置され、それらに強固に結合される。例えば、上部アイソレータ776aの外側剛性リングは、上部筐体868の内面及び/又は上部マウント774aに強固に結合されてもよく、一方、上部アイソレータ776aの内側剛性リングは、上部内側筐体部分662hなどの内側筐体662fの半径方向外面に強固に結合されてもよい。上部アイソレータ876aは、ステータ662c及び/又はロータ662bより上など、モータ662aより軸方向に上に配置される。
【0126】
下部アイソレータ876bは、上部筐体868とアクチュエータ862との間に半径方向に配置され、かつそれらに強固に結合される。例えば、下部アイソレータ876bの外側剛性リングは、上部筐体868の半径方向内面に強固に結合されてもよく、下部アイソレータ876bの内側剛性リングは、下部内側筐体部分662gなどの内側筐体662fの半径方向外面に強固に結合されてもよい。下部アイソレータ876bは、上部アイソレータ876aから軸方向に離間している。例えば、下部アイソレータ876bは、下部内側筐体部分662gに結合されるなど、モータ662aの軸方向長さの大部分より下に(例えば、ステータ662cの大部分より下に)配置される。軸方向に離間することにより、上部アイソレータ876a及び下部アイソレータ876bは、例えば、アクチュエータ862aと上部筐体868との間でサスペンションシステム860に加えられる曲げモーメントに協働的に抵抗する。
【0127】
アクチュエータ862は、空気が空気ばね866の加圧キャビティ866aの上部チャンバ866bと下部チャンバ866cとの間を通って流れることを可能にするように更に構成されている。図8Bを参照して、クロスハッチングによって表される加圧キャビティ866aは、アクチュエータ862aを通って軸方向に延びる。空気は、アクチュエータを介して、内側筐体662fの軸方向チャネル、内側筐体662fとステータ662cとの間及び/若しくはロータ662bとステータ662cとの間のチャネル並びに/又は間隙を通ってなど、アクチュエータを通って上部チャンバ866bと下部チャンバ866cとの間で連通し、そのようなチャネル及び/又は間隙は、図8Bに概略的に示されている。
【0128】
キャビティ866aは、一般に、アクチュエータ862(例えば、その内側筐体662f)、上部筐体868、下部筐体770、膜772、並びに上部マウント774と底部マウント778との間によって画定される。キャビティの上部チャンバ866bは、一般的に、上部筐体868内に配置されるが、それによって画定又は形成されず、その代わりに、上部筐体868が上部チャンバ866bから隔離される(例えば、それと流体連通しない、又は圧力下にない)ように、アクチュエータ862の内側筐体662fによって画定又は形成される。図に示すように、上部アイソレータ876a及び下部アイソレータ876bは、アクチュエータ862(例えば、その内側筐体662f)と上部筐体868との間に封止を形成し、それにより、アクチュエータ862と上部筐体868との間で半径方向に、かつ上部アイソレータ876aと下部アイソレータ876bとの間で軸方向に画定された環状キャビティ868eは、空気ばね866の加圧キャビティ866a(例えば、上部チャンバ866b又は他のもの)と流体連通しない。結果として、上部筐体868の上部は、加圧キャビティ866a内の空気圧にさらされない。
【0129】
上部筐体868は、上部マウント774に強固に結合されてもよい。例えば、上部筐体868は、上部筐体868及び/又はアイソレータ776の外側剛性リングに直接結合され、すなわち、ひいては上部マウント774に強固に結合されてもよい。
【0130】
ポート868aは、ポート768aの変形形態であってもよく、上部筐体868とアクチュエータ662の内側筐体662fとの間の、密閉されておりかつ加圧されていない領域との間の領域に空気を連通することなく、上部チャンバ866bとの間で空気を連通するように構成されてもよい。
【0131】
サスペンションシステム860は、サスペンションシステム760の様々な利点を達成する。例えば、空気ばね866の加圧キャビティ866aは、アクチュエータ662より下に代わりに取り付けられた空気ばねと比較して、比較的大きな容積及び/又は細いパッケージングを提供するように、サスペンションシステム860の上端部から下端部まで(例えば、上部マウント774と底部マウント778との間に)延びる。アクチュエータ862は、上部筐体868内に収容されることによって、外部環境から保護され、一方、モータ662a(例えば、ロータ662b及びステータ662c)は、加圧キャビティ866aの空気圧にさらされる。更に、加圧キャビティ866a内にシャフト664を収容することにより、上に溝664a、664bを有することで高い信頼性で実施することが困難であり得る移動シールをシャフト664と形成する必要がない。
【0132】
上述したように、第1の荷重経路は、空気ばね866によって形成され、それによって、キャビティ866a内の加圧ガスは、上部マウント774と底部マウント778との間の第1の荷重経路の力を伝達する。第2の荷重経路は、第1の荷重経路に平行であり、アクチュエータ862によって形成され、それによって、第2の荷重経路の力は、シャフト664、ボールナット662d、アクチュエータ662の内側筐体662f、アイソレータ876a、876b(例えば、その柔軟中間リングによって)、及び筐体868によって、上部マウント774と底部マウント778との間で伝達される。筐体868は、加圧キャビティ866aを画定し、かつまた第2の荷重経路の力の伝達もするように機能することができる。アイソレータ876aは、空気ばね866の加圧キャビティ866aを封止し、かつまた第2の荷重経路の力の伝達もするように機能することができる。加圧キャビティ866aは、上部マウント774、アイソレータ776、筐体868、可撓性膜772、及び底部マウント778によって協働的に画定されてもよく、下部筐体770によって更に画定されてもよい。
【0133】
図8A図8Bで特定されたものを含むサスペンションシステム860の他の部分及び特徴の更なる説明のために、サスペンションシステム160、660、760の上記の考察を参照されたい。
【0134】
図9を参照して、サスペンションシステム960は、サスペンションシステム860の変形形態である。サスペンションシステム860は、一般に、アクチュエータ862と、シャフト664と、加圧キャビティ966aを有する空気ばね966と、上部筐体968と、下部筐体770と、膜772とを含む。空気ばね966は、上部マウント774と底部マウント778との間に第1の荷重経路を形成する。アクチュエータ862及びシャフト664は、上部マウント774と底部マウント778との間に第2の荷重経路を形成し、荷重経路はまた、上部筐体968を含む。
【0135】
サスペンションシステム960は、(環状キャビティ868eと同様に)上部筐体968とアクチュエータ862との間に半径方向に画定される環状キャビティ968eがキャビティの上部チャンバ966bと連通している点で、サスペンションシステム860とは異なる。結果として、空気ばね966の加圧キャビティ966aは、加圧キャビティ966a内の空気圧を保持する上部筐体968によって画定される、又は別の方法で形成される。アクチュエータ862、具体的には、その内側筐体662fは、加圧キャビティ866aを封止しないが、依然として加圧キャビティ866a内に収容され、内部の圧力にさらされる。
【0136】
図9で特定されたものを含むサスペンションシステム960の他の部分及び特徴の更なる説明のために、サスペンションシステム160、660、760、860の上記の説明を参照されたい。
【0137】
図10を参照して、サスペンションシステム1060は、サスペンションシステム960の変形形態である。サスペンションシステム1060は、一般に、アクチュエータ862(又は代替的にアクチュエータ662を含んでもよい)と、シャフト664と、加圧キャビティ966aを有する空気ばね966と、上部筐体1068と、下部筐体770と、膜772とを含む。空気ばね966は、上部マウント774と底部マウント778との間に第1の荷重経路を形成する。アクチュエータ862及びシャフト664は、上部マウント774と底部マウント778との間に第2の荷重経路を形成し、荷重経路はまた、上部筐体868を含んでもよい。
【0138】
サスペンションシステム1060は、上部筐体1068がアクチュエータ862から上部マウント774までの第2の荷重経路の一部を形成しない点で、サスペンションシステム760、860、960とは異なる。上部アイソレータ876a及び下部アイソレータ876bは、省略されている。むしろ、アクチュエータ862の上端部は、上部マウント774に、中間上部マウント1076がそれらの間に配置された状態で結合される。中間上部マウント1076は、アクチュエータ862(例えば、その内側筐体862g)との間で第2の荷重経路の力を伝達する。中間上部マウント1076はまた、アクチュエータ862と上部マウント774との間の動き(例えば、回転方向、半径方向、及び軸方向の)を抑制し、それらの間の振動(例えば、アクチュエータ862の動作から及び/又は道路の外乱からの)を減衰させることによって、上部アイソレータ876a及び/又は下部アイソレータ876bと同様の減衰機能も提供することができる。
【0139】
図10で特定されたものを含むサスペンションシステム1060の他の部分及び特徴の更なる説明のために、サスペンションシステム160、660、760、860、960の上記の説明を参照されたい。
【0140】
図11A図11Bを参照して、サスペンションシステム1160は、サスペンションシステム860の変形形態である。サスペンションシステム1160は、一般に、アクチュエータ1162と、シャフト664と、加圧キャビティ1166aを有する空気ばね1166と、下部筐体770と、膜772とを含む。空気ばね1166は、上部マウント774と底部マウント778との間に第1の荷重経路を形成する。アクチュエータ1162及びシャフト664は、上部マウント774と底部マウント778との間に第2の荷重経路を形成する。
【0141】
サスペンションシステム1160とサスペンションシステム860との間の主要な差は、上部筐体868の省略である。上部筐体868なしに、加圧キャビティ1166aは、アクチュエータ1162の筐体1162fと、下部筐体770と、下部筐体770をアクチュエータ1162の筐体1162fに封止する膜772とによって形成される。上部筐体868の省略により、サスペンションシステム1160を比較的に簡略化し、サスペンションシステム1160の重量を低減することができる。キャビティ1166aは、図11Bのクロスハッチングによって特定される。
【0142】
アクチュエータ1162は、アクチュエータ862の変形形態である。アクチュエータ1162は、モータ662a(すなわち、ロータ662b及びステータ662cを含む)と、ボールナット662dと、ボールスプライン662eと、筐体1162fとを含む。筐体1162fは、アクチュエータ662に対する内側筐体662fよりもアクチュエータ1162に対して更に下方に延びる、内側筐体662fの変形形態である。
【0143】
筐体1162fは、一般に、前述したように互いに結合された、又は互いに一体に形成された上部筐体部分1162g及び下部筐体部分1162hを含む、剛性環状構造体である。筐体1162fは、上部筐体部分1162g及び下部筐体部分1162hよりも多い又は少ない構成要素を含んでもよい。
【0144】
筐体1162fは、例えば、モータ662aを囲み(例えば、ステータ662cに固定的に結合され、かつ/又はロータ662bを上部軸受アセンブリ678を用いて回転可能に支持する)、冷却通路(図示されている、ラベル付けされていない)を含むことによって、上部内側筐体部分662hと同様に構成されてもよい。
【0145】
アクチュエータ1162の上端部(例えば、上部筐体部分1162gの上端部)は、アイソレータ1176を用いて上部マウント774に結合される。アイソレータ1176は、例えば、中間柔軟リングに結合され、かつそれによって分離された内側剛性リング及び外側剛性リングを有することによって、アイソレータ776と同様のチューブアイソレータ又はブッシングとして構成されてもよい。アイソレータ1176は、外側剛性リングが上部マウント774に結合され、かつ内側剛性リングがアクチュエータ1162に(例えば、その半径方向外面上の上部筐体部分1162gなどの筐体1162fに)結合されて、アクチュエータ1162及び上部マウント774のそれぞれに強固に結合される。
【0146】
代替的な構成では、アイソレータ1176の外側剛性リングは、アクチュエータ1162の筐体1162fに(例えば、その内面に)結合されてもよく、アイソレータ1176の内側剛性リングは、上部マウント774に(例えば、サスペンションシステム760に関して上述した環状フランジ又は上部マウント774のロードセルなどの軸方向に延びる部分に)結合される。例えば、上部マウント774のロードセルをより小さくする、かつ/又はアイソレータ1176内に配置することを可能にすることによって、筐体1162fの半径方向内側にアイソレータ1176を提供することにより、様々なパッケージングの利点を提供することができる。アクチュエータ1162の筐体1162fは、サスペンションシステム1160の外側筐体と考えることができる。
【0147】
上部筐体部分1162gは、加圧キャビティ1166aの上部チャンバ1166bを画定する。アイソレータ1176は、アクチュエータ1162の筐体1162fを上部マウント774に封止して、空気ばね1166の加圧キャビティ1166aの一部分を画定するように機能する。上部チャンバ1166bは、前述した上部チャンバ766b、866bと同様に、加圧空気にさらされるモータ662a(例えば、ロータ662b及びステータ662c)を内部に収容してもよい。
【0148】
上部筐体部分1162gは、空気が加圧キャビティ1166aの内外に連通するポート1168aを更に含む。例えば、上述したように、空気を加圧キャビティ1166aに加える又は加圧キャビティ1166aから除去して、(例えば、ばね下構成要素306に対して車体102を変位させることによって)車両の車高を上昇又は低下させてもよい。
【0149】
下部筐体部分1162hは、様々な態様において、例えば、ボールナット662d及び/又はボールスプライン662eを囲む内側環状部分1162jを含むこと(例えば、ボールスプライン662eに固定的に結合すること、及び/又はボールナット662dをスラスト軸受などの軸受アセンブリ676を用いて回転可能に支持すること)によって、下部内側筐体部分662gと同様に構成されてもよい。
【0150】
下部筐体部分1162hは、下部筐体部分1162h、筐体770、及び膜772が空気ばねの加圧キャビティ1166aの下部チャンバ1166cを協働的に画定するように、下部筐体770に膜772を用いて封止結合される。例えば、下部筐体部分1162hは、膜772が結合される外側環状部分1162kを含む。サスペンションシステム1160が長さを変化させると、下部筐体部分1162hの外側環状部分1162k及び下部筐体770は、互いに対して並進し(例えば、下部筐体770は、筐体1162fを内部に受け入れる)、膜772の内側部分及び外側部分は、互いを越えて並進する(前述のように)。
【0151】
外側環状部分1162kは、それにより、環状チャネル1162lを内側環状部分1162jとの間に画定するように、内側環状部分1162jの半径方向外側に配置されてもよい。サスペンションシステム1160の長さが変化する、又は空気が加圧キャビティ1166aに加えられる若しくは加圧キャビティ1166aから除去されると、空気は、加圧キャビティ1166aの上部チャンバ1166bと下部チャンバ1166cとの間の環状チャネル1162lを通過する。
【0152】
アクチュエータ1162は、筐体1162fの軸方向チャネル、筐体1162fとステータ662cとの間、及び/若しくはロータ662bとステータ662cとの間などのチャネル並びに/又は間隙を通ってなど、空気が上部チャンバ1166bと下部チャンバ1166cとの間でそれを通過することを可能にするように、アクチュエータ862と同様に構成されており、そのようなチャネル及び/又は間隙は、図11Bに概略的に示されている。
【0153】
上述したように、第1の荷重経路は、空気ばね1166によって形成され、それによって、キャビティ1166a内の加圧ガスは、上部マウント774と底部マウント778との間の第1の荷重経路の力を伝達する。第2の荷重経路は、第1の荷重経路に平行であり、アクチュエータ1162によって形成され、それによって、第2の荷重経路の力は、シャフト664、ボールナット662d、筐体1162f、及びアイソレータ1176(例えば、その柔軟中間リングによって)によって、上部マウント774と底部マウント778との間で伝達される。筐体1162fは、加圧キャビティ1166aを画定し、かつまた第2の荷重経路の力も伝達するように機能することができる。アイソレータ1176は、空気ばね1166の加圧キャビティ1166aを封止し、かつまた第2の荷重経路の力も伝達するように機能することができる。加圧キャビティ1166aは、上部マウント1174、アイソレータ1176、アクチュエータ1162の筐体1162f、可撓性膜772、及び底部マウント774によって協働的に画定されてもよく、底部マウント774に結合された別の筐体によって更に画定されてもよい。アクチュエータ1162の筐体1162gは、サスペンションシステム1160の外側筐体を形成してもよい。
【0154】
図11A図11Bで特定されたものを含むサスペンションシステム1160の他の部分及び特徴の更なる説明のために、サスペンションシステム160、660、760、860、960、1060の上記の説明を参照されたい。
【0155】
本開示は、特定の実施形態に関連して説明されているが、本開示は、開示される実施形態に限定されるものではなく、むしろ、添付の特許請求の範囲内に含まれる様々な修正形態及び同等の構成を網羅することを意図しており、その範囲は、そのような全ての修正形態及び同等の構造を当該法規の下で許可されるように包含するような最も広い解釈に一致すべきであることを理解されたい。
図1
図2
図3
図4
図5
図6A
図6B
図6C
図6D
図6E
図6F
図7A
図7B
図7C
図8A
図8B
図9
図10
図11A
図11B