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特許7554889コンクリート構造物管理装置、情報処理システム、コンクリート構造物の管理方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】コンクリート構造物管理装置、情報処理システム、コンクリート構造物の管理方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240912BHJP
【FI】
G06Q50/08
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2023132627
(22)【出願日】2023-08-16
(62)【分割の表示】P 2019050424の分割
【原出願日】2019-03-18
(65)【公開番号】P2023144061
(43)【公開日】2023-10-06
【審査請求日】2023-08-17
(73)【特許権者】
【識別番号】000003296
【氏名又は名称】デンカ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100110928
【弁理士】
【氏名又は名称】速水 進治
(72)【発明者】
【氏名】栖原 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】室川 正範
(72)【発明者】
【氏名】土門 弘明
【審査官】塚田 肇
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-192270(JP,A)
【文献】特開平09-329568(JP,A)
【文献】特許第6417463(JP,B1)
【文献】特許第5688533(JP,B1)
【文献】国際公開第2016/006283(WO,A1)
【文献】特許第4075501(JP,B2)
【文献】特許第3096240(JP,B2)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させる表示処理部と、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける受付部と、を備え、
前記選択操作を受け付けると、前記表示処理部は、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させ、
前記検査結果基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する監視部と
をさらに備え、
前記監視部は、前記検査結果の前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す計測に基づいて、当該腐食状況を示す計測値が基準値以下か否かを判定することで、当該コンクリート構造物の鉄筋の腐食開始時期を特定し、
前記表示処理部は、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示計測値をグラフで示すインジケータを前記画面に表示し、
前記基準値を前記インジケータに表示する、コンクリート構造物管理装置。
【請求項2】
請求項1に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記コンクリート構造物の鉄筋の前記腐食開始時期の判定に用いる前記基準値は、第1基準値および前記第1基準値より大きい第2基準値を含み
前記表示処理部は、
前記腐食状況を示す計測値が前記第1基準値未満の場合と、前記腐食状況を示す計測値が前記第1基準値を超え、かつ前記第2基準値未満の場合と、前記腐食状況を示す計測値が前記第2基準値を超えた場合とで、
前記腐食状況を示す計測値を示す前記グラフを、それぞれ異なる色で表示させる、または、当該グラフの表示方法を、通常表示、および点滅間隔の速度を異ならせて表示させる、コンクリート構造物管理装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、
前記コンクリート構造物の前記検査結果および前記修復内容の少なくとも一方の履歴情報を用いて、過去に複数回行われた検査結果を用いて、複数の前記検査結果をそれぞれ識別可能に一緒に表示する、コンクリート構造物管理装置。
【請求項4】
請求項1または2に記載のコンクリート構造物管理装置において、
オペレータのアクセス権限を特定する権限特定部を備え、
前記表示処理部は、
前記アクセス権限に従い、特定の情報について、前記画面に表示させるデータを制限するコンクリート構造物管理装置。
【請求項5】
請求項1または2に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を出力する出力部を備えるコンクリート構造物管理装置。
【請求項6】
表示部を有する端末と、
コンクリート構造物の検査結果および修復内容の少なくとも一方の履歴情報を保持するサーバ装置と、を備え、
前記端末は、
表示部と、
前記表示部に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける受付部と、を備え、
前記サーバ装置は、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を前記端末の表示部に画面表示させる表示処理部と、
前記端末において前記選択操作を受け付けると、前記表示処理部は、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて前記端末の前記表示部に画面表示させ、
前記サーバ装置は、
前記検査結果基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する監視部と
をさらに備え、
前記サーバ装置の前記監視部は、前記検査結果の前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す計測に基づいて、当該腐食状況を示す計測値が基準値以下か否かを判定することで、当該コンクリート構造物の鉄筋の腐食開始時期を特定し、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示計測値をグラフで示すインジケータを前記端末の前記表示部に画面表示させ、
前記基準値を前記インジケータに表示する、情報処理システム。
【請求項7】
コンクリート構造物管理装置が、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させ、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付け、
前記選択操作を受け付けると、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させ、
前記検査結果基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視し
前記検査結果の前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す計測に基づいて、当該腐食状況を示す計測値が基準値以下か否かを判定することで、当該コンクリート構造物の鉄筋の腐食開始時期を特定し、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示計測値をグラフで示すインジケータを前記画面に表示し、
前記基準値を前記インジケータに表示する、コンクリート構造物の管理方法。
【請求項8】
コンピュータに、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させる手順、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける手順、
前記選択操作を受け付けると、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させる手順、
前記検査結果基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する手順
をさらに実行させ、
前記監視する手順において、前記検査結果の前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す計測に基づいて、当該腐食状況を示す計測値が基準値以下か否かを判定することで、当該コンクリート構造物の鉄筋の腐食開始時期を特定し、
前記表示させる手順において、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示計測値をグラフで示すインジケータを前記画面に表示し、
前記基準値を前記インジケータに表示する、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、コンクリート構造物管理装置、情報処理システム、コンクリート構造物の管理方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
コンクリート構造物の状態を示す情報を管理するシステムの例が特許文献1~4に記載されている。これらのシステムでは、コンクリート構造物の3次元モデルを作成し、構造物と関連付けて点検情報と補修情報に関連付けて管理することが記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2009-157739号公報
【文献】特開2017-134760号公報
【文献】特開2017-224014号公報
【文献】特開2018-84130号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
コンクリート構造物の検査および補修は、長期間に亘って継続して実施される必要がある。このためには、検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくする必要がある。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的の一例は、検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくすることにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の各側面では、上述した課題を解決するために、それぞれ以下の構成を採用する。
【0007】
第一の側面は、コンクリート構造物管理装置に関する。
第一の側面に係るコンクリート構造物管理装置は、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させる表示処理部と、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける受付部と、を有し、
前記選択操作を受け付けると、前記表示処理部は、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させ、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する監視部と、
前記アラーム基準を満たすとアラームを出力する出力部と、
をさらに備え、
前記監視部は、前記検査結果の前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す計測値である、当該コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す自然電位計測値に基づいて、当該自然電位計測値が前記基準値以下か否かを判定し、前記自然電位計測値が前記基準値以下となった場合に、前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食開始時期であると判定し、
前記表示処理部は、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す前記自然電位計測値をグラフで示すインジケータを前記画面に表示し、
前記基準値を前記インジケータに表示する。
【0008】
第二の側面は、少なくとも1つのコンピュータにより実行されるコンクリート構造物管理装置の管理方法に関する。
第二の側面に係る管理方法は、
コンクリート構造物管理装置が、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させ、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付け、
前記選択操作を受け付けると、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させ、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視し、
前記アラーム基準を満たすとアラームを出力し、
前記検査結果の前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す計測値である、当該コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す自然電位計測値に基づいて、当該自然電位計測値が前記基準値以下か否かを判定し、前記自然電位計測値が前記基準値以下となった場合に、前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食開始時期であると判定し、
前記コンクリート構造物の鉄筋の腐食状況を示す前記自然電位計測値をグラフで示すインジケータを前記画面に表示し、
前記基準値を前記インジケータに表示する、ことを含む。
【0009】
なお、本発明の他の側面としては、上記第二の側面の方法を少なくとも1つのコンピュータに実行させるプログラムであってもよいし、このようなプログラムを記録したコンピュータが読み取り可能な記録媒体であってもよい。この記録媒体は、非一時的な有形の媒体を含む。
このコンピュータプログラムは、コンピュータにより実行されたとき、コンピュータに、コンクリート構造物管理装置上で、その管理方法を実施させるコンピュータプログラムコードを含む。
【0010】
なお、以上の構成要素の任意の組合せ、本発明の表現を方法、装置、システム、記録媒体、コンピュータプログラムなどの間で変換したものもまた、本発明の態様として有効である。
【0011】
また、本発明の各種の構成要素は、必ずしも個々に独立した存在である必要はなく、複数の構成要素が一個の部材として形成されていること、一つの構成要素が複数の部材で形成されていること、ある構成要素が他の構成要素の一部であること、ある構成要素の一部と他の構成要素の一部とが重複していること、などでもよい。
【0012】
また、本発明の方法およびコンピュータプログラムには複数の手順を順番に記載してあるが、その記載の順番は複数の手順を実行する順番を限定するものではない。このため、本発明の方法およびコンピュータプログラムを実施するときには、その複数の手順の順番は内容的に支障のない範囲で変更できる。
【0013】
さらに、本発明の方法およびコンピュータプログラムの複数の手順は個々に相違するタイミングで実行されることに限定されない。このため、ある手順の実行中に他の手順が発生すること、ある手順の実行タイミングと他の手順の実行タイミングとの一部ないし全部が重複していること、などでもよい。
【発明の効果】
【0014】
上記各側面によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくする技術を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】本実施形態の情報処理システムの概要を説明するための図である。
図2】コンクリート構造物管理装置を実現するコンピュータの構成の一例を示す図である。
図3】第1実施形態のコンクリート構造物管理装置の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
図4図3のコンクリート構造物管理装置の表示処理部により画面に表示されるコンクリート構造物を示す3次元画像の例を示す図である。
図5】赤外線カメラで撮像された複数の画像を合成して作成された外壁の画像の例を示す図である。
図6】3次元画像に赤外線画像を合成した画面の例を示す図である。
図7図3の記憶装置のデータ構造の例を示す図である。
図8図3のコンクリート構造物管理装置の動作の一例を示すフローチャートである。
図9】構造物の領域毎に履歴情報の蓄積期間を示す情報を記憶する蓄積情報のデータ構造の一例を示す図である。
図10】履歴情報の蓄積期間に応じた表示形態の変更を説明するための図である。
図11】第3実施形態のコンクリート構造物管理装置の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
図12】第4実施形態のコンクリート構造物管理装置の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
図13】表示データテーブルのデータ構造の一例を示す図である。
図14】表示データテーブルのデータ構造の他の例を示す図である。
図15】外壁のひび割れの画像の表示の切り替えを説明するための図である。
図16】第5実施形態のコンクリート構造物管理装置の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
図17】画面に表示されるコンクリートの中性化残り厚を示すインジケータの例を示す図である。
図18】第6実施形態のコンクリート構造物管理装置の構成を論理的に示す機能ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。なお、すべての図面において、同様な構成要素には同様の符号を付し、適宜説明を省略する。また、各図において、本発明の本質に関わらない部分の構成については省略してあり、図示されていない。
【0017】
(第1の実施の形態)
図1は、本実施形態の情報処理システム1の概要を説明するための図である。
情報処理システム1は、コンクリート構造物を点検する各種の点検装置40の計測データまたは撮像データを収集し、管理するものである。情報処理システム1は、各種の点検装置40と、サーバ装置(図中、「サーバ」と示す)10と、端末装置30(図1では、ノートパソコン30a、タブレット端末30bを例示する)と、点検装置から受信した計測データおよび撮像データを保存する記憶装置20と、を有する。サーバ装置10と記憶装置20は、所謂クラウド7上に構築される。このため、サーバ装置10および記憶装置20は、端末装置30および点検装置40と、通信ネットワークを介して接続する。通信ネットワークの少なくとも一部は無線であってもよい。
【0018】
コンクリート構造物は、定期的に点検、調査または診断を行い、補修の要否の判断や補修計画の見直しを行う必要がある。また、コンクリート構造物の損傷や劣化は、ひび割れのように外部に現れるものと、外部からは分からない内部で進行するもの、例えば、中性化、空洞化、鉄筋腐食などとがある。コンクリート構造物の点検、調査または診断は、様々な装置を用いて、コンクリート構造物の損傷や劣化状況を計測および撮像することにより行われる。このように複数種の装置を用いて得られた結果を組み合わせることで、コンクリート構造物の点検、調査、または診断の精度をより高めることができる。
【0019】
点検現場で収集された計測および撮像データは、サーバ装置10に集約される。例えば、現場で作業者や管理者などのオペレータが使用する端末装置30に一端取り込んだ後、サーバ装置10に転送されてもよいし、点検装置40から直接サーバ装置10に送信されてもよい。サーバ装置10が受信したデータは、記憶装置20に格納され蓄積される。図では1台のサーバ装置10と記憶装置20が示されているが、複数のコンピュータ、および複数のストレージから構成されてよい。クラウド7には、複数のユーザが通信ネットワークを介して接続可能であり、各ユーザに各種サービスを提供できる。ユーザに提供されるサービスとは、サーバ装置10によって収集された各種情報、およびサーバ装置10によって生成される、コンクリート構造物の管理または診断に関する各種情報の少なくとも一方をユーザの端末装置30に出力することを含む。
【0020】
点検装置40は、遠望目視関連装置、鉄筋探査装置、構造物劣化診断装置、鉄筋腐食診断装置、テストハンマー、GPS(Global Positioning System)(または準天頂衛星測位システム)受信機などが例示されるがこれらに限定されるものではない。例えば、遠望目視による外観点検は、全方位カメラ、ロボットカメラ、または高解像度カメラを用いて撮像された画像を解析することにより行うことができる。遠望から赤外線カメラを用いて撮像された画像を用いて、外壁の状態をコンクリート表面の温度差から検出もできる。コンクリート内部の鉄筋の位置、異物の検知、および、かぶり厚の計測などは、電磁波レーダーまたは電磁誘導装置などの鉄筋探査装置を用いて行われる。超音波探査装置を用いて、コンクリートの板厚や異物を検知し、ひび割れの深さを測定し、劣化診断を行うことができる。自然電位測定機や分極抵抗機などを用いて、鉄筋の腐食状況の診断を行うことができる。コンクリートの強度や劣化の状況の診断を行うのにテストハンマーなどを用いてもよい。また、GPS受信機で、計測場所の位置情報を取得し、他の装置の情報に関連付けとサーバ装置10に送信することもできる。
【0021】
点検装置40は、上記した非破壊検査機器に限定されるものではない。また、点検装置40から収集されるデータ以外のデータも、サーバ装置10に送信されてよい。例えば、作業者が、直接、原位置で実施した近接目視調査、はつり調査、コアなどに代表されるサンプリングとそのサンプルを室内に持ち帰り実施した分析結果類(X線回折、蛍光X線、SEM、TEM、熱分析、細孔径分布など)、これらを総合的に判断した調査記録、考察、調査結果、さらに過去の施工記録や補修履歴などの情報を含めたデータを、オペレータが、端末装置30を用いて入力し、端末装置30からサーバ装置10に送信できる。
【0022】
端末装置30は、上記したように作業者や管理者などが現場で使用する端末の他に、事務所で使用する端末であり、例えば、パーソナルコンピュータ(ノートパソコン30a、デスクトップパソコン)、ワークステーション、タブレット端末30b、スマートフォンなどである。
【0023】
そして、サーバ装置10と端末装置30とが協働することにより、コンクリート構造物管理装置100が実現される。作業者や管理者は、コンクリート構造物管理装置100が提供するサービスのユーザでもある。言い換えれば、ユーザは、コンクリート構造物の管理または調査点検を行う者、あるいは、コンクリート構造物の保守補修を行う者などでもある。端末装置30は、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100がユーザに提供するサービスを利用するために使用する端末装置でもある。
【0024】
上記した計測および撮像データをサーバ装置10に転送する際に使用される端末装置30は、コンクリート構造物管理装置100のサービスをユーザが利用するのに使用される端末装置30と同じ端末であってもよいし、別の端末であってもよい。一ユーザが複数の端末装置30を利用してもよい。
【0025】
オペレータとは、端末装置30を操作する者であり、コンクリート構造物管理装置100のサービスを利用するユーザでもある。コンクリート構造物管理装置100が提供するサービスの利用に際しては、オペレータは、端末装置30を用いて、前もってユーザ登録により設定されるユーザ情報を入力してシステムにログインする。ログインに成功すると、ユーザはコンクリート構造物管理装置100が提供するサービスを端末装置30上で利用できることになる。
【0026】
コンクリート構造物管理装置100は、後述する図2のコンピュータにプログラムを実行させることで、その機能を実現させることができる。コンクリート構造物管理装置100は、サーバ装置10と端末装置30とが協働して実現される。
【0027】
ユーザがコンクリート構造物管理装置100のサービスを利用する形態は以下に例示されるが、これらに限定されない。
(1)端末装置30にアプリケーションをインストールして起動し、アプリケーションからサーバ装置10にアクセスして、端末装置30はコンクリート構造物管理装置100が提供するサービスを利用する。
(2)端末装置30上でブラウザを起動し、所定のウェブサイトにアクセスして、端末装置30はコンクリート構造物管理装置100によって提供されるサービスを利用する。
(3)所謂SaaS(Software as a Service)を利用し、サーバ装置10上でコンクリート構造物管理装置100を実現するアプリケーションを実行させ、端末装置30は、通信ネットワークを介してオンラインでコンクリート構造物管理装置100によって提供されるサービスを利用する。
【0028】
なお、上記のいずれの形態においてもコンクリート構造物管理装置100のサービスの利用に際しては、上記したように予めユーザ登録した認証情報を用いて認証手続きを行うのが好ましい。あるいは、組織内専用の通信ネットワークを介して端末装置30とサーバ装置10を接続する構成においては、サービスの利用に際して認証手続きを省略もできる。
【0029】
また、サーバ装置10(またはウェブサーバ(不図示))と端末装置30との間、点検装置40とサーバ装置10との間、端末装置30と点検装置40との間の各々の接続形態も特に限定されない。各装置間は、有線および無線の少なくともいずれか一方で接続される。通信方式も特に限定されず、各装置が利用可能な通信方式で互いに接続されてよい。
【0030】
例えば、端末装置30は、4G(4rd Generation)、LTE(Long Term Evolution)、WiMAX(Worldwide Interoperability for Microwave Access)などの各種の公衆回線を介して通信網に接続し、インターネットにアクセスしてサーバ装置10またはウェブサーバと接続してもよい。端末装置30は、無線LAN(Local Area Network)でゲートウェイなどの中継機器を介してインターネットにアクセスしてサーバ装置10またはウェブサーバと接続してもよい。端末装置30は、USB(Universal Serial Bus)ケーブルで点検装置40と接続して点検装置40からデータを受信してもよい。点検装置40が無線LANやブルートゥース(登録商標)などの通信機能を有する場合は、対応する通信機能を用いて端末装置30は点検装置40と通信を行い、点検装置40からデータを受信してもよい。
【0031】
点検装置40のデータをUSBメモリ、SD(Secure Digital)メモリカード、メモリースティック(登録商標)、CD(Compact Disc)、DVD(Digital Versatile Disc)、ブルーレイ(登録商標)ディスク、モバイルハードディスクなどの記録媒体に保存し、その記録媒体から端末装置30またはサーバ装置10は、データを読み取り、点検装置40のデータを取得してもよい。
【0032】
実施形態において「取得」とは、自装置が他の装置や記憶媒体に格納されているデータまたは情報を取りに行くこと(能動的な取得)、および、自装置に他の装置から出力されるデータまたは情報を入力すること(受動的な取得)の少なくとも一方を含む。能動的な取得の例は、他の装置にリクエストまたは問い合わせしてその返信を受信すること、および、他の装置や記憶媒体にアクセスして読み出すことなどがある。また、受動的な取得の例は、配信(または、送信、プッシュ通知など)される情報を受信することなどがある。さらに、「取得」とは、受信したデータまたは情報の中から選択して取得すること、または、配信されたデータまたは情報を選択して受信することであってもよい。
【0033】
上記したように、コンクリート構造物管理装置100の機能は、サーバ装置10と端末装置30とが協働して動作することによって実現される。すなわち、複数のコンピュータ60によってコンクリート構造物管理装置100は実現される。図2は、コンクリート構造物管理装置100を実現するコンピュータ60の構成の一例を示す図である。
【0034】
コンピュータ60は、CPU(Central Processing Unit)62、メモリ64、メモリ64にロードされたコンクリート構造物管理装置100の構成要素を実現するプログラム80、そのプログラム80を格納するストレージ66、I/O(Input/Output)68、および通信ネットワーク接続用のインタフェース(通信I/F)70を備える。
【0035】
CPU62、メモリ64、ストレージ66、I/O68、通信I/F70は、バス69を介して互いに接続され、CPU62によりコンクリート構造物管理装置100全体が制御される。ただし、CPU62などを互いに接続する方法は、バス接続に限定されない。
【0036】
メモリ64は、RAM(Random Access Memory)やROM(Read Only Memory)などのメモリである。ストレージ66は、ハードディスク、SSD(Solid State Drive)、またはメモリカードなどの記憶装置である。
【0037】
ストレージ66は、RAMやROMなどのメモリであってもよい。ストレージ66は、コンピュータ60の内部に設けられてもよいし、コンピュータ60がアクセス可能であれば、コンピュータ60の外部に設けられ、コンピュータ60と有線または無線で接続されてもよい。あるいは、コンピュータ60に着脱可能に設けられてもよい。
【0038】
CPU62が、ストレージ66に記憶されるプログラム80をメモリ64に読み出して実行することにより、以下に説明する図3のコンクリート構造物管理装置100の各ユニットの各機能を実現できる。
【0039】
I/O68は、コンピュータ60と他の入出力装置間のデータおよび制御信号の入出力制御を行う。他の入出力装置とは、たとえば、コンピュータ60に接続されるキーボード、タッチパネル、マウス、およびマイクロフォンなどの入力装置72と、ディスプレイ(図中、表示装置74と示す)、プリンタ、およびスピーカなどの出力装置(不図示)と、これらの入出力装置とコンピュータ60のインタフェースとを含む。さらに、I/O68は、他の記録媒体の読み取りまたは書き込み装置(不図示)とのデータの入出力制御を行ってもよい。
【0040】
通信I/F70は、コンピュータ60と外部の装置との通信を行うためのネットワーク接続用インタフェースである。通信I/F70は、有線回線と接続するためのネットワークインタフェースでもよいし、無線回線と接続するためのネットワークインタフェースでもよい。たとえば、コンクリート構造物管理装置100を実現するコンピュータ60は、通信I/F70により通信ネットワーク3を介してサーバ装置10と接続される。
【0041】
後述する図3の本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の各構成要素は、図2のコンピュータ60のハードウェアとソフトウェアの任意の組合せによって実現される。そして、その実現方法、装置にはいろいろな変形例があることは、当業者には理解されるところである。以下説明する各実施形態のコンクリート構造物管理装置100を示す機能ブロック図は、ハードウェア単位の構成ではなく、論理的な機能単位のブロックを示している。
【0042】
コンクリート構造物管理装置100は、複数のコンピュータ60により構成されてもよいし、仮想サーバにより実現されてもよい。本実施形態では、コンクリート構造物管理装置100は、上記したように、サーバ装置10と、サービスを利用するユーザが使用する端末装置30との少なくともいずれか一方のコンピュータ60により実現される。
【0043】
本実施形態のコンピュータプログラム80は、コンクリート構造物管理装置100を実現させるためのコンピュータ60に、コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させる手順、画面に表示されたコンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける手順、選択操作を受け付けると、コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、部分と関連付けて画面に表示させる手順、を実行させるように記述されている。
【0044】
本実施形態のコンピュータプログラム80は、コンピュータ60で読み取り可能な記録媒体に記録されてもよい。記録媒体は特に限定されず、様々な形態のものが考えられる。また、プログラム80は、記録媒体からコンピュータ60のメモリ64にロードされてもよいし、通信ネットワーク3を通じてコンピュータ60にダウンロードされ、メモリ64にロードされてもよい。
【0045】
コンピュータプログラム80を記録する記録媒体は、非一時的な有形のコンピュータ60が使用可能な媒体を含み、その媒体に、コンピュータ60が読み取り可能なプログラムコードが埋め込まれる。コンピュータプログラム80が、コンピュータ60上で実行されたとき、コンピュータ60に、コンクリート構造物管理装置100を実現する管理方法を実行させる。
【0046】
近年、建設現場の生産性向上を図るi-Constructionの取り組みにおいて、3次元モデルを活用し社会資本の整備および管理を行うCIM(Construction Information Modeling/Management)を導入することで受発注者双方の業務効率化および高度化を図ることが国土交通省により推進されている。
【0047】
そこで、コンクリート構造物管理装置100は、コンクリート構造物の維持管理を行うために、点検調査および診断の結果をカルテとして記憶装置20に蓄積していき、CIM技術を用いて情報をより利用しやすいものとする。
【0048】
図3は、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成を論理的に示す機能ブロック図である。コンクリート構造物管理装置100は、表示処理部102と、受付部104と、を備える。
【0049】
表示処理部102は、コンクリート構造物を示す2次元または3次元モデルの画像(以下、「3次元画像」と呼ぶ)を画面に表示させる。例えば、表示処理部102は、端末装置30の表示装置74に画面を表示させる。
【0050】
受付部104は、画面に表示されたコンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける。例えば、受付部104は、端末装置30がタブレット端末であった場合、タブレット端末のタッチパネルに表示された画面上でオペレータが操作した選択操作を受け付ける。例えば、表示されている3次元画像の中で、オペレータが情報を閲覧したい部分をタッチパネル上でタッチ操作すると、タッチされた部分の選択操作として受け付けられる。
【0051】
端末装置30がパーソナルコンピュータであった場合、受付部104は、パーソナルコンピュータに接続されるキーボード、マウスなどの入力装置72を用いてオペレータが操作した選択操作を受け付ける。例えば、オペレータが情報を閲覧したい部分にマウスポインタを配置してマウスボタンをクリックすると、マウスポインタが配置されている部分の選択操作として受け付けられる。
【0052】
また、受付部104が選択操作を受け付けると、表示処理部102は、コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、部分と関連付けて画面に表示させる。
【0053】
検査結果には、点検結果、調査結果、および診断結果が含まれもよい。修復内容には、補修内容、補強内容、および保守内容が含まれてもよい。
【0054】
図4は、表示処理部102により画面200に表示されるコンクリート構造物を示す3次元画像の例を示す図である。図4(a)は、コンクリート構造物の外観を示す3次元画像の例であり、図4(b)は、コンクリート構造物の内部の全体を示す3次元画像の例であり、図4(c)は、コンクリート構造物の内部の詳細を示す3次元画像の例である。
【0055】
表示処理部102は、このように、コンクリート構造物の外観および内部の3次元画像を画面200に表示させることができ、オペレータの操作により、それぞれ拡大または縮小表示させることもできる。また、後述するように、実際の現場でオペレータの居場所や向いている方向に合わせて当該コンクリート構造物の3次元画像を表示させることもできる。
【0056】
表示処理部102は、このコンクリート構造物の3次元画像に関連付けて検査結果または修復内容の少なくとも一方を含む情報を画面に表示させる。検査結果および修復内容の表示方法は以下に例示されるがこれらに限定されない。
(1)コンクリート構造物の特定部分の検査結果を画像解析して生成された画像を、そのコンクリート構造物の3次元画像の上記特定部分に対応する領域に、重ねて表示させる。
(1-1)外壁を赤外線カメラで撮像して得られた画像を、3次元画像のうちその外壁対応する領域に重ねて表示させる。
(1-2)上記特定部分の自然電位計測の結果を画像解析して生成された画像を重畳表示させる。
(1-3)電磁波レーダー法または電磁誘導法による鉄筋探索の結果を用いて鉄筋配置の3次元画像を生成し、この3次元画像をコンクリート構造物の対応する領域に重ねて表示させる。
(1-4)電磁波レーダー法により得られる異なる誘電率の反射像から得られた空洞、異物、または界面などの3次元画像を生成し、この画像をコンクリート構造物の対応する領域に重ねて表示させる。
(1-5)コンクリート構造物の外壁の写真からひび割れ、剥落、浮き、はがれ、欠損、変色、変形、空洞、摩耗、錆、たわみ、せん断、収縮などの損傷の状態を示す画像を人手で生成し、または人工知能技術を用いた機械学習により自動的に生成し、生成された画像を、コンクリート構造物の3次元画像のうちその外壁に対応する領域に重ねて表示させる。
(1-6)修復前のコンクリート構造物の修復領域を撮像した画像、および修復後の同じ場所を撮像した画像のいずれか一方を、コンクリート構造物の3次元画像の対応する領域に重ねて表示させる。修復前後の画像はユーザ入力によって切り替えて表示できてもよいし、あるいは、別ウインドウに並べて表示できてもよい。
(1-7)修復前後の検査結果の画像または情報を比較可能に表示させる。例えば、修復前後の画像を並べて表示させたり、タップまたはクリックなどの操作に呼応して切り替えて表示させたりする。
(2)コンクリート構造物の各検査に関する情報を、3次元画像とは別の画面またはウインドウに表示させる。表示される情報は、例えば、検査実施日、計測値(または計測データの保存ファイルの格納場所(パス)を示す情報)、画像データ、音声データ、作業条件、作業者などの情報、あるいは、修復内容に関する情報(例えば、修復実施日、修復内容(または詳細な記録の保存ファイルの格納場所(パス)を示す情報)、画像データ、音声データ、および作業者の少なくとも一つなど)である。
(3)コンクリート構造物の検査結果および修復内容の少なくとも一方の履歴情報を閲覧可能に表示させる。この構成については後述する実施形態で説明する。
【0057】
図5は、赤外線カメラで撮像された複数の画像を合成して作成された外壁の画像の例である。図5(a)の建物の外壁を複数のエリアに分割して赤外線カメラで撮像し、図5(b)の5枚の画像が得られる。得られた複数の画像を合成して図5(c)の1枚の画像が作成される。
【0058】
そして、この画像を上記の3次元画像に合成した画像が図6に示される。図6(a)は外壁を正面から見た図である。図6(b)は建物の内部構造を示す3次元画像である。各図とも建物の外壁部分に赤外線カメラの画像が合成されている。この例において、表示処理部102は、図4(b)の3次元画像を表示させる。次いで、受付部104は、3次元画像から外壁が選択されたことを示す情報を受け付けるとともに、操作メニューなどで赤外線画像の表示の指示を受け付ける。すると、表示処理部102は、図6(b)のように赤外線画像を3次元画像に合成して表示させる。
【0059】
受付部104による選択を受け付ける、コンクリート構造物の一部分について説明する。対象となる構造物が建物であって、表示されている画像が建物外観である場合、選択対象は、外壁または屋根の全体、それらの一部の領域、建物全体の窓や扉などの建具の全部、所定の範囲内に存在する少なくとも一部の建具、任意の少なくとも一つの建具、もしくは、建物全体の全部の柱または少なくとも一つの柱などである。対象となる構造物が建物であって、表示されている建物内部の画像の場合、一空間の壁、床、または天井の全部、それらの一部の領域、一空間に存在する柱、梁、または窓や扉などの建具の全部、もしくは、一部の領域内に存在する柱、梁、または建具の少なくとも一部である。
【0060】
記憶装置20に記憶される情報は、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を含む。各点検装置40または端末装置30から送信された情報は、各点検装置40を識別する情報および位置情報の少なくとも一方、ならびに日時情報とともに記憶装置20に記憶される。記憶装置20は、データベース構造を有してもよい。あるいは、各データは、マイクロソフトエクセル(登録商標)のXLSファイル、CSV(Comma-Separated Values)ファイル、テキストファイルなどの表形式のデータファイルで記憶装置20に格納されてもよい。また、検査結果および修復内容を示す情報は、画像データや音声データを含んでもよく、これらも記憶装置20に格納されてよい。
【0061】
図7は、本実施形態の記憶装置20のデータ構造の例を示す図である。
図7(a)は、コンクリート構造物の検査結果データ50の一例を示している。検査結果データ50は、点検装置40から受信するデータ毎に付与されるデータを識別するデータIDと、検査内容を示す検査ID、検査日時または計測日時を示す日時情報、計測値、計測場所の位置情報などが関連付けて記憶装置20に格納される。検査IDは、複数の識別情報を含んでもよく、例えば、検査内容を示す識別情報だけでなく、検査に使用した装置を示す情報などを含んでもよい。計測値は複数種および/または複数個の値(図中、「計測値(n,m)」のn、mはそれぞれ自然数)を含んでもよい。計測値は、数値データ、テキストデータ、画像データ、音声データなど様々なデータ形式とすることができる。画像データは静止画でも動画でもよい。また、画像データや音声データは、記憶装置20以外の他の記憶媒体に格納されていてもよく、その場合は、データファイルの格納場所を示すパス情報を検査結果データ50に関連付けて記憶してもよい。位置情報は、建物、施設、社会インフラ(橋梁、トンネル、道路、鉄道、上下水道、ダムなど)または住所などを特定できる情報でもよいし、GPSなどで特定される位置情報でもよい。
【0062】
図7(b)は、点検装置40から受信した検査結果データ50を、構造物毎に関連付ける管理テーブル52の一例を示している。管理テーブル52は、管理対象の構造物毎に付与される識別情報(構造物ID)と、構造物を細分化した領域または区分毎に付与される識別情報(領域IDまたは区分ID)と、当該領域または区分を特定できる位置情報と、検査項目を示す検査IDと、点検装置40から受信した少なくとも一つの検査結果データ50のデータIDとを関連付けて記憶する。これによりも構造物毎に蓄積される検査結果データ50を管理できる。
【0063】
ここで、区分とは、構造物の種類(例えば、床、壁、天井、建具、梁、柱など)、ならびに、建物の外と内、階数、屋上、居室名(号数)、および設備名などの構造物の場所や部位などを示す。領域とは、検査または修復の対象となる構造物を少なくとも一面または、ひと塊としてとらえ、当該面または塊の全体、あるいは、細分化した各々の領域を示す。区分で分類された構造物をさらに複数の領域に分割してもよい。細分化は段階的でもよく、大まかに分割した領域と、さらに細かく分割した領域とを含んでよい。例えば、画像表示を拡大するにつれて領域が細分化されてもよい。上記したように、構造物は領域または区分で区別されて、各々に識別情報が付与される。
【0064】
図7(c)は、コンクリート構造物の修復内容データ54の一例を示している。修復内容データ54は、構造物毎に付与される識別情報(構造物ID)と、構造物を細分化した領域または区分毎に付与される識別情報(領域IDまたは区分ID)と、当該領域または区分を特定できる位置情報と、修復を行った日時と、修復内容を示す修復項目毎に付与される識別情報(修復項目ID)と、修復内容の情報とを関連付けて記憶する。複数の領域または区分に跨がって修復が行われた場合は、複数の識別情報を含んでもよい。日時情報は、修復が行われた期間を示す情報であってもよい。修復内容は、テキストデータ、画像データ、音声データなどを含んでもよい。画像データは静止画でも動画でもよい。画像データや音声データは、記憶装置20以外の他の記憶媒体に格納されていてもよく、その場合は、データファイルの格納場所を示すパス情報を修復内容データ54に関連付けて記憶してもよい。
【0065】
検査結果データ50または修復内容データ54は、さらに、作業者を特定できる情報(作業者ID、氏名、所属、組織名など)を含んでもよい。
【0066】
表示処理部102は、このようなデータ構造で蓄積される検査結果データ50または修復内容データ54を3次元画像に関連付けて表示させる。
【0067】
図8は、コンクリート構造物管理装置100の動作の一例を示すフローチャートである。まず、表示処理部102は、コンクリート構造物の3次元画像を端末装置30の表示装置74に表示させる(ステップS101)。そして、3次元画像上で、ある場所をオペレータが選択すると、受付部104は、その選択位置を受け付ける(ステップS103)。そして、受付部104は、選択位置に対応する構造物ID、領域または区分IDを特定し、表示処理部102に受け渡す(ステップS105)。
【0068】
そして、表示処理部102は、管理テーブル52から当該領域または区分に対応する情報を読み出し、管理テーブル52に格納されている検査IDからどの検査情報が格納されているかを判別する(ステップS107)。そして、表示処理部102は、検査情報が格納されている検査項目を操作メニューに含めて表示させ(ステップS109)、オペレータに表示する検査項目を選択させることができる。オペレータが操作メニューから検査項目を選択すると、受付部104が検査項目を受け付け(ステップS109)、前記領域または区分IDに対応付けられている前記検査項目のデータIDを取得して表示処理部102に受け渡す。表示処理部102は、データIDに対応付けられている計測値情報を検査結果データ50から読み出し(ステップS111)、3次元画像の当該領域または区分に関連付けて表示させる(ステップS113)。操作メニューは、マウスの右クリックで表示されてもよいし、タッチパネル上で長押しで表示されてもよい。
【0069】
例えば、計測値情報が赤外線カメラの画像データであった場合、表示処理部102は、画像データを記憶装置20から読み出して、3次元画像の当該領域または区分の位置に重畳表示させる。あるいは、計測値情報がテキストデータであった場合は、表示処理部102は、領域または区分の近傍に別ウインドウを開いてテキストデータを表示させたり、領域または区分の位置から吹き出しを表示して、その中にテキストデータを表示させたりしてもよい。
【0070】
また、他の例では、先に検査項目をメニューで選択してから、構造物の位置を選択してもよい。その場合、表示処理部102は、管理テーブル52を参照して、選択された検査項目(検査ID)が格納されている構造物の領域または区分IDを特定し、当該領域または区分のみが選択可能な3次元画像を表示させてもよい。例えば、選択可能な領域または区分は、当該領域または区分を色替え表示させたり、ハイライト表示させたりすることで、選択可能であることをオペレータに認識させることができる。当該検査項目の検査結果情報がない領域または区分については、表示を変化させないことで、オペレータはその領域または区分には検査結果情報がないことを認識できる。色替えやハイライト表示は、当該領域または区分にオペレータ操作によりマウスカーソルを重畳(所謂マウスオーバー操作)されると行われる構成としてもよい。
【0071】
また、受付部104は、検査項目の複数の選択を受け付けてもよいし、領域または区分の複数箇所の選択を受け付けてもよい。表示処理部102は、選択された領域または区分について、全ての検査項目の情報を表示させてもよい。操作メニューはメニューリスト、プルダウンメニュー、ラジオボタン、チェックボックス、ドラムロール式UI(User Interface)などの一般的なGUI(Graphical User Interface)を用いて表示してよい。
【0072】
以上説明したように、本実施形態において、画面表示される3次元画像のコンクリート構造物の少なくとも一部の選択操作を受付部104により受け付けられると、表示処理部102により選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報が、部分と関連付けて画面に表示される。このように、コンクリート構造物を3次元モデルで画像表示されている画面上で、オペレータが情報を見たい箇所を選択操作すると当該箇所の情報が表示されるので、直感的な操作でコンクリート構造物の情報を閲覧できる。よって、本実施形態によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくできる。
【0073】
(第2の実施の形態)
本実施形態は、検査結果データ50および修復内容データ54の履歴情報を表示させる構成を有する以外は上記実施形態と同じである。本実施形態のコンクリート構造物管理装置100は、図3の上記実施形態のコンクリート構造物管理装置100と同じ構成を有するので、図3を用いて説明する。本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成は、他の実施形態の構成と矛盾のない範囲で組み合わせることができる。
【0074】
表示処理部102は、コンクリート構造物の検査結果および修復内容の少なくとも一方の履歴情報を記憶する記憶装置20にアクセスして、コンクリート構造物の選択された部分の履歴情報を、選択された部分と関連付けて画面に表示させる。
【0075】
さらに、表示処理部102は、履歴情報に基づいて、検査結果および修復内容を含む情報の蓄積期間に応じて表示形態を構造物の所定の領域単位で変更する。蓄積期間とは、例えば、蓄積されているデータ数(または量)が何年分(1年分、2年分、5年分、10年分など)であるかを示す、あるいは、検査期間中に、検査の進捗状況(検査未実施、検査中、検査完了など)を示す情報であってもよい。表示形態の変更方法は以下に例示されるがこれらに限定されない。
(1)蓄積期間毎に、異なる表示色、または異なる模様を当該領域に重畳表示させる。
(2)蓄積期間が基準以上または未満の領域をハイライト表示させる。
(3)蓄積期間毎に、異なる所定のマークを領域内または領域の近傍に重畳表示させる。
【0076】
図9は、構造物の領域毎に履歴情報の蓄積期間を示す情報を記憶する蓄積情報56のデータ構造の一例を示す図である。例えば、蓄積情報56は、年度別に履歴情報の有無を示すフラグを、構造物IDと領域または区分IDと関連付けて記憶する。
【0077】
図10は、履歴情報の蓄積期間に応じた画面200の表示形態の変更を説明するための図である。図10(a)の例では、2面ある壁(領域r0201,r0202に相当)はともに2018年度分のみの1年分の履歴情報が蓄積されているので、2面の壁は同じ色で表示されている。図10(b)の例では、2面ある壁のうち、一面の壁に相当する領域r0211は2017年度と2018年度の2年分の履歴情報が蓄積されていて、他面の壁に相当する領域r0212は2018年度分のみの1年分の履歴情報が蓄積されているので、2面の壁は異なる色で表示されている。
【0078】
このように、表示処理部102は、蓄積情報56を参照して、領域または区分毎に表示形態を変えることができる。
【0079】
また、他の例では、表示処理部102は、検査期間中に検査の進捗状況(未実施、検査中、検査完了など)に応じて表示形態を変更してもよい。表示処理部102は、管理テーブル52を参照して、画面200に表示されている3次元画像の領域または区分に対応するデータの日時情報、検査項目、データ数などの条件に基づいて、検査が未実施、検査中、検査完了のいずれであるかを判定する。判定条件は、オペレータが検査結果情報を入力することで、取得できる。検査結果情報は、検査期間と、検査対象の領域または区分と、検査項目と、計測が必要なデータ種別とデータ数などを含んでもよい。判定結果に基づいて、表示処理部102は領域単位で表示形態を変える。
【0080】
以上説明したように、本実施形態において、表示処理部102により選択された部分の履歴情報は選択された部分に関連付けて画面表示される。さらに、表示処理部102により履歴情報の蓄積期間に応じて表示形態は構造物の所定の領域単位で変えられる。このように、本実施形態によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくできるとともに、さらに、コンクリート構造物の過去の情報を含む履歴情報を閲覧できるとともに、履歴情報の蓄積期間に応じて表示形態を領域単位で変えるので、どの領域にどの程度のデータが蓄積されているのかをオペレータが直感的に知ることができる。また、本実施形態によれば、検査の進捗状況に応じて領域単位で表示形態を変更できるので、オペレータは領域毎に検査の進捗状況を一見して知ることができる。
【0081】
(第3の実施の形態)
図11は、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成を論理的に示す機能ブロック図である。本実施形態のコンクリート構造物管理装置100は、オペレータのアクセス権限に応じて画面に表示されるデータを制限する構成を有する点以外は、上記実施形態と同様である。また、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成は、他の実施形態の構成と矛盾のない範囲で組み合わせることができる。コンクリート構造物管理装置100は、図3と同じ表示処理部102と、受付部104とを備えるとともに、さらに、権限特定部110を備える。
【0082】
端末装置30は、例えば、現場で検査や修復の作業を行う作業者と、それらの作業を監督する管理者と、作業を依頼するコンクリート構造物の管理者とがそれぞれ利用できるが、同じコンクリート構造物を対象とする作業に関連する者であっても各々の立場によって必要な情報は異なる。また、記憶装置20に蓄積される情報には、機密情報が含まれる場合もあり、それらの情報が不用意に外部に流出しないようにする必要がある。そこで、本実施形態では、権限特定部110を有することで、オペレータのアクセス権限に応じて画面に表示されるデータを制限する。
【0083】
権限特定部110は、オペレータのアクセス権限を特定する。表示処理部102は、アクセス権限に従い、特定の情報について、画面200に表示させるデータを制限する。
【0084】
コンクリート構造物管理装置100は、本システムへのログイン時に使用するユーザ情報として、認証情報と、アクセス権限とを関連付けて記憶装置20に記憶しておく。権限特定部110は、ユーザ情報を参照して、コンクリート構造物管理装置100のサービスを利用するために、ログインする際にオペレータが入力した認証情報からアクセス権限を特定できる。
【0085】
上記実施形態までは、検査結果および修復内容の情報を記憶装置20に格納する構成例について説明している。本実施形態では、記憶装置20は、さらに、構造物のカルテ情報として、構造物の建設時の情報を含んでもよい。建設時の情報は、例えば、構造物の設計情報、工事情報、材料(セメント、骨材の種類や配合など)の情報などを含んでもよい。
【0086】
アクセス権限には、少なくとも2つのレベルがあり、レベル毎に、特定の情報の開示範囲が予め設定される。制限される特定の情報とは、例えば、構造物の材料(材料の種類や配合など)の情報である。権限特定部110は、設定された開示範囲に従い、表示させるデータを制限できる。
【0087】
アクセス権限のレベルは、作業者、監督者、および管理者などの区分、その者が行う作業内容、正社員と非正規雇用社員などの作業者の雇用形態、対象となるコンクリート構造物の種類や対象領域、およびコンクリート構造物に適用される法令などのうちの少なくとも一つまたはその組み合わせに応じて設定できる。
【0088】
表示処理部102によるデータの制限方法は以下に例示されるがこれら限定されない。
(1)操作メニューは、開示可能な範囲の情報に関する操作のみを含めて表示する。
(2)アクセス権限のない情報への操作のメニュー表示は非アクティブにする。
(3)アクセス権限のない情報開示が要求された場合、アクセス権限がなく表示できないことをオペレータに通知するメッセージを表示して、データを表示しない。
【0089】
以上説明したように、本実施形態において、アクセス権限毎に情報の開示範囲が設定され、権限特定部110によりオペレータのアクセス権限が特定され、特定されたアクセス権限に従い、表示処理部102により特定の情報について画面に表示させるデータが制限される。このように、本実施形態によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくできるとともに、オペレータのアクセス権限に従い、特定の情報について表示させるデータを制限できるので、利用者が必要な情報を適切に提供できるとともに、開示制限のある情報などを適切に管理できる。
【0090】
(第4の実施の形態)
図12は、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成を論理的に示す機能ブロック図である。本実施形態のコンクリート構造物管理装置100は、コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置に応じて最初に画面200に表示させるデータを切り換える構成を有する点以外は、上記した実施形態のいずれかと同じである。また、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成は、他の実施形態の構成と矛盾のない範囲で組み合わせることができる。コンクリート構造物管理装置100は、図3と同じ表示処理部102と、受付部104とを備えるとともに、さらに、位置情報取得部120を備える。
【0091】
位置情報取得部120は、コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を特定するための位置情報を取得する。表示処理部102は、相対位置に基づいて、最初に表示するデータを切り替える。
【0092】
また、表示処理部102は、オペレータがコンクリート構造物の外にいる場合と中にいる場合とで最初に画面200に表示させるデータを切り替える。
【0093】
本実施形態において、表示処理部102によって画面200に表示されるコンクリート構造物の画像は、コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置に応じて表示される。前提として、オペレータは、端末装置30を携行して構造物の場所に行き、その場所で端末装置30の画面200にコンクリート構造物の3次元画像を表示させてコンクリート構造物管理装置100が提供するサービスを利用する。
【0094】
端末装置30は、携帯可能な端末であり、例えば、タブレット端末30b、スマートフォン、ノートパソコン30aなどであり、図2で説明した構成に加え、さらに、位置情報取得手段を備える。位置情報取得手段は、GPS受信機、携帯電話通信部、および無線LAN通信部の少なくともいずれか一つである。位置情報取得部120は、端末装置30の位置情報取得手段を用いて、例えば、GPS(または準天頂衛星測位システム)位置情報、携帯電話の基地局の位置登録情報、無線LAN通信のアクセスポイント位置情報の少なくともいずれか一つを取得する。位置情報取得部120は、複数種の位置情報を取得し、組み合わせることで位置情報の精度を高めてもよい。
【0095】
さらに、端末装置30は、加速度センサ、ジャイロセンサ、および地磁気センサなどの少なくとも一つを備え、位置情報取得部120は、これらのセンサの情報を用いて、オペレータが持っている端末装置30のディスプレイの向きをさらに判別する。そして、オペレータが端末装置30を手に持ちディスプレイを見ながら構造物に対峙していることを想定し、位置情報取得部120は、さらに、判別されたディスプレイの向きによってオペレータが構造物に対してどの位置に立ち、どの方向に向いているかを判定する。このようにして、位置情報取得部120は、コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を取得する。
【0096】
表示処理部102は、コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置に基づいて、つまり、オペレータが構造物に対して立っている位置と向きに応じて画面200に表示する3次元画像の場所と向きを変更する。例えば、オペレータが建物内のある居室の中に居る場合、表示処理部102は、当該居室内部の3次元画像を画面200に表示させる。そして、表示処理部102は、オペレータが端末装置30を手に持ち画面200を見ながら端末装置30を向けた方向に合わせた場所を画面200に表示させる。つまり、オペレータが天井に端末装置30を向ければ(ディスプレイの面は下方に向く)、表示処理部102は画面200に当該居室の天井の3次元画像を表示させる。オペレータが床に端末装置30を向ければ(ディスプレイの面は上方に向く)、表示処理部102は画面200に当該居室の床の3次元画像を表示させる。
【0097】
表示処理部102は、さらに、位置情報から、当該コンクリート構造物の領域または区分を特定し、当該領域または区分に基づいて、画面200に最初に表示させるデータを選択する。上記したように、領域または区分によって、対応して蓄積されている情報はそれぞれ異なる。例えば、構造物が天井なのか、壁なのか、床なのかによって、検査項目も修復内容も異なり、また、作業者が必要とする情報の種類も異なる。また、オペレータが構造物の外に居る場合と、中に居る場合でも、対象となる構造物の種類が変わるため、検査項目も修復内容も異なり、また、作業者が必要とする情報の種類も異なる。
【0098】
よって、表示処理部102は、コンクリート構造物とオペレータとの相対位置に基づいて最初に表示するデータを選んで表示する。また、オペレータが移動して、コンクリート構造物に対する相対位置が変われば、表示処理部102は、移動先の相対位置に基づいて、最初に表示させるデータを切り換える。
【0099】
ここで、「最初」とは、以下のいずれかである。
(1)コンクリート構造物のある領域または区分の3次元画像を画面200に表示させた後から、当該領域または区分に対するオペレータからの操作を受け付ける前まで
(2)当該領域または区分に対するオペレータの操作を初めて受け付けた後
【0100】
後者(2)の場合、表示処理部102は、コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置に基づく3次元画像として、コンクリート構造物の外観画像を表示させ、オペレータが領域を選択すると当該領域に関する検査結果または修復内容のデータを表示させる。このとき表示処理部102は、表示させる検査結果または修復内容のデータ種別をオペレータの相対位置に応じて切り換える。
【0101】
前者(1)の場合、表示処理部102は、領域または区分毎に表示させるデータ種別を選択して画面200に最初に表示させる。当該領域に対してオペレータが操作して他の情報を表示させた後のデータ表示については、例えば、オペレータの設定により選択できてもよい。すなわち、当該領域が画面200から外れた後、再び画面200に表示された時に、オペレータ操作で変更されたデータの表示を維持するか、デフォルトで設定され、かつ、最初に表示されるデータ種別に戻して表示させるかを設定できる構成としてもよい。
【0102】
図13は、表示データテーブル58のデータ構造の一例を示す図である。図13(a)の表示データテーブル58は、位置情報と、当該位置情報で最初に表示するデータ種別とを関連付けて記憶する。ここで、データ種別とは、例えば、検査項目を示す検査ID、修復内容を示す修復項目ID、あるいは、別途定義されるデータ種別を示すデータ種別情報の少なくともいずれか一つである。表示処理部102は、表示データテーブル58を参照し、位置情報取得部120が取得した位置情報に対応するデータ種別、例えば、検査IDを取得し、管理テーブル52を参照して構造物ID、領域または区分ID、位置情報、および検査IDに対応するデータIDを取得し、検査結果データ50からデータIDに対応する計測値を読み出し、3次元画像に表示させることができる。
【0103】
図13(b)は、表示データテーブル58のデータ構造の他の例を示す図である。この例では、位置情報に加え、さらに、構造物IDおよび領域または区分IDもさらに含まれている。表示データテーブル58は、構造物ID、領域または区分ID、および位置情報の少なくともいずれか一つに対応するデータ種別を関連付けて記憶していればよい。表示処理部102は、構造物ID、領域または区分ID、および位置情報の少なくともいずれか一つに対応するデータ種別を表示データテーブル58から特定できる。例えば、オペレータが予め構造物を特定する情報について入力している場合、構造物IDに対応するデータ種別を取得して最初に表示させてもよい。
【0104】
さらに、表示処理部102は、表示の拡大倍率によって画面に表示させるデータを切り替えてもよい。
【0105】
画面200に表示されるコンクリート構造物の3次元画像は、オペレータの操作に応じて、拡大または縮小表示させることができる。受付部104は、例えば、タッチパネルへのピンチアウトまたはピントイン操作を受け付ける。表示処理部102は、オペレータの操作に応じて3次元画像を拡大または縮小表示させる。
【0106】
表示処理部102は、拡大倍率が第1基準(小)以上の倍率の場合は、コンクリート構造物の外観の画像を画面に表示させ、拡大倍率が第1基準より大きい第2基準(中)以上の倍率の場合は、コンクリート構造物の損傷を示す画像(ひび割れなど)を画面に表示させ、拡大倍率が第2基準より大きい第3基準(大)以上の倍率の場合は、コンクリート構造物の診断解析結果を示す画像を画面200に表示させる。
【0107】
図14は、表示データテーブル58のデータ構造の他の例を示す図である。表示データテーブル58は、構造物ID、領域または区分ID、および位置情報の少なくともいずれか一つに対応する複数のデータ種別を関連付けて記憶する。複数のデータ種別は、順位(データ種別1、2、3など)が付けられている。順位には、例えば、拡大倍率の基準値(第1基準、第2基準、第3基準)が対応付けられている。拡大倍率の基準値は、拡大倍率の範囲でもよい。この例では、3つの基準値を用いているが、基準値の数は3に限定されず、3未満でも、3以上でもよい。また、縮小率の基準を設けてもよい。
【0108】
ここで、例えば、拡大倍率が第1基準以上(例えば、等倍)の場合は、データ種別1、拡大倍率が第2基準以上(10倍)の場合はデータ種別2、拡大倍率が第3基準(10~100倍)の場合はデータ種別3などに定めることができる。
【0109】
表示データテーブル58において、データ種別1は、コンクリート構造物の外観の画像データである。データ種別2は、コンクリート構造物の損傷を示すデータを画像化した画像データであり、例えば、ひび割れ、剥落、浮き、はがれ、欠損、変色、変形、空洞、摩耗、錆、たわみ、せん断、収縮などの損傷の状態を示す画像を含む。データ種別3は、コンクリート構造物の診断解析結果を示す画像データであり、例えば、赤外線カメラの撮像画像、自然電位計測による鉄筋腐食診断結果を示す画像、超音波探査による劣化診断結果を示す画像、電磁波レーダーによる鉄筋配置を示す画像などを含む。
【0110】
データ種別2の損傷を示すデータを画像化する作業は、例えば、各種の検査結果を示す画像を元に作業者により作成されてもよいし、人工知能技術を用いた機械学習により自動的に作成されてもよい。
【0111】
オペレータがコンクリート構造物の3次元画像上で、ある領域を拡大表示させると、その拡大倍率に応じて表示される検査結果や修復内容の情報が切り替えられる。例えば、表示処理部102は、等倍表示している間は、拡大倍率は第2基準未満であり、コンクリート構造物の外壁の外観の3次元画像を画面200に表示させる。そして、オペレータが拡大操作を行い、拡大倍率が第2基準を超えると、表示処理部102は、当該外壁のひび割れの画像を重畳表示させる。さらに、オペレータが拡大操作を行い、拡大倍率が第3基準を超えると、表示処理部102は、3次元画像を拡大するとともに、ひび割れ画像を当該領域の赤外線カメラの撮像画像に切り換えて重畳表示させる。
【0112】
また、第3基準を超えた場合、図13(b)の表示データテーブル58と組み合わせて、領域に応じてデータ種別に従い、表示させるデータ種別を選択してもよい。
【0113】
拡大倍率に伴い表示させるデータ種別と、その順位は、設定メニューからオペレータにより設定できてもよい。設定されたデータ種別と、その順位は、表示データテーブル58に記憶される。
【0114】
また、ある領域で最初に表示されているデータ種別が選択された後、画面200に他の領域が表示される場合、既に表示されているデータ種別を引き継ぐか、または、新たに表示された他の領域について、倍率または領域に基づいて最初に表示されるデータ種別に切り替えられてもよい。これらの選択はオペレータにより設定できてもよい。
【0115】
また、表示処理部102は、拡大倍率に応じて、画面200に表示するコンクリート構造物の損傷レベルを設定する。ここで、コンクリート構造物の損傷レベルとは、検査結果から判別できる損傷レベルであり、例えば、外壁のひび割れの程度、変色の濃さや種類、変色範囲の面積、腐食レベルなどを含む。
【0116】
例えば、構造物の外壁のひび割れ画像は、外壁の外観を撮像した画像から検出して作成される。ひび割れの大きさは2つのレベルに分けられる。具体的には、等倍倍率の画像を目視して認識できるか否かで損傷レベルを分ける。例えば、目視で認識できる程度の大きさのひび割れは第1レベルとし、目視できない程度の小ささのひび割れは第2レベルとする。
【0117】
ひび割れ画像は、作業者が手作業で作成してもよいし、人工知能技術を用いて機械学習により自動的に作成されてもよい。
【0118】
図15は、外壁のひび割れの画像の表示の切り替えを説明するための図である。図15(a)に示すように、表示処理部102は、拡大倍率が第2基準を超えたとき、はじめに第1レベルのひび割れ画像を画面200のコンクリート構造物の3次元画像に重畳表示させる。次に、図15(b)に示すように、表示処理部102は、拡大倍率が第2基準よりさらに大きくなった場合、例えば、第2基準と第3基準の間の第4基準以上になった場合、第1レベルのひび割れ(L1)画像に加え、さらに第2レベルのひび割れ(L2)画像を画面200のコンクリート構造物の3次元画像に重畳表示させる。
【0119】
以上説明したように、本実施形態において、位置情報取得部120によりコンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を特定する位置情報が取得され、相対位置に基づいて、画面に最初に表示するデータが切り替えられる。このように本実施形態によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくできるとともに、コンクリート構造物の現場で本システムの画面を閲覧して作業する場合などに、オペレータの居場所に対応した情報の提供を適切に行うことができるのでオペレータは必要な情報に効率よくアクセスできる。
【0120】
さらに、本実施形態では、表示処理部102により、画面表示の拡大倍率によって表示させるデータが切り換えられる。特に、本実施形態では、表示処理部102により、拡大倍率の第1基準、第2基準、および第3基準に従い、それぞれコンクリート構造物の外観画像、損傷を示す画像、および診断解析結果を示す画像が切り替わって表示される。このように本実施形態によれば、オペレータの拡大操作に応じて表示される画像の内容を段階的に切り換えることができるので操作性がよい。
【0121】
さらに、本実施形態において、例えば、オペレータの画面の拡大操作(ピンチアウトなど)に応じて、表示させる画像の損傷レベルが設定される。例えば、外壁のひび割れの状態を示す画像であれば、拡大倍率が基準より大きくなると、大まかなひび割れの状態を示す画像から、より細かいひび割れの状態を示す画像に切り換わる。このように本実施形態によれば、オペレータの直感的な操作に応じて画面に表示されるデータの損傷レベルを切り換えることができるので操作性がよい。
【0122】
(第5の実施の形態)
図16は、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成を論理的に示す機能ブロック図である。本実施形態のコンクリート構造物管理装置100は、コンクリート構造物の管理に関する情報のアラームを出力する構成を有する点以外は、上記した実施形態のいずれかと同じである。また、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成は、他の実施形態の構成と矛盾のない範囲で組み合わせることができる。コンクリート構造物管理装置100は、図3と同じ表示処理部102と、受付部104とを備えるとともに、さらに、監視部130と、アラーム出力部132と、を備える。
【0123】
監視部130は、検査結果または修復内容に基づいて、コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する。アラーム出力部132は、アラーム基準を満たすとアラームを出力する。
【0124】
アラーム基準は、構造物または領域または区分毎に、および/または、検査項目または修復項目毎に、それぞれ設けることができる。アラーム基準は、オペレータによって設定できるのが好ましく、端末装置30で設定メニューを開いて設定してもよい。アラームの基準は複数のレベルを含んでもよく、レベルに応じて異なる出力がされるようにアラームの形態を変えてもよい。
【0125】
アラーム出力の形態は以下に例示されるがこれらに限定されない。
(1)画面200上でアラームが検出された領域または区分に対応する画像をハイライトまたは点滅表示させる。または、アラームの発生場所の近傍にアラームの発生を示すアイコンを表示させる。アイコンが操作されるとアラームの内容の詳細な情報を表示させる。
(2)ポップアップウインドウでアラームが発生したことを通知するメッセージを表示させる。さらに、ウインドウ内の操作ボタンまたはアイコンが操作されると、アラームの内容の詳細な情報を表示させる。
(3)端末装置30に設けられているLED(Light Emitting Diode)表示器を点滅点灯表示させる。点滅点灯の色、パターンなどでアラームレベルを区別してもよい。
(4)アラームが発生したことを通知する音声メッセージまたは警告音を端末装置30のスピーカから出力する。あるいは、作業現場内に設置される音声出力装置に、ブルートゥースなどの無線通信で音声出力させる。
(5)予め指定された宛先(メールアドレス、電話番号など)にメッセージを送信する。携帯電話に送信されるメッセージは音声でもよい。
(6)検査結果の内容を示す画面(例えば、後述する図17の中性化深さグラフなど)にアラームの発生を示す情報(例えば、メッセージやアイコンなど)を表示する。
(7)アラーム発生履歴情報を画面表示または印字出力させる。
【0126】
監視部130による監視の例として、コンクリート腐食開始時期の監視について説明する。コンクリートの腐食は、コンクリートの中性化の原因の一つに挙げられる。そこで、監視部130は、コンクリート構造物のコンクリートのかぶり厚と中性化深さの計測結果に基づいて、中性化残り厚が基準値以下か否かを判定し、中性化残り厚が基準値以下となった場合に、コンクリートの腐食開始時期と判定する。
【0127】
図17は、画面200に表示されるコンクリートの中性化残り厚を示すインジケータ210の例を示す図である。
コンクリート構造物のかぶり厚を横軸として中性化深さをグラフ(インジケータ210)で示している。腐食開始時期の判定基準値として、2つの基準値を用いる。アラーム出力部132は、中性化深さが第1基準値212を超えると通知を行い、中性化深さが第2基準値214を超えるアラームを出力する。
【0128】
図17(a)の例では、中性化深さのグラフ216aの値は第1基準値未満である。図17(b)の例では、中性化深さのグラフ216bの値は第1基準値212を超えている。そのため、アラーム出力部132は、ユーザに中性化深さが第1基準値212を超えたことを通知する。図17(c)の例では、中性化深さのグラフ216cの値は第2基準値214を超えている。そのため、アラーム出力部132は、ユーザに中性化深さが第2基準値214を超えたことを示すアラームを出力する。
【0129】
また、グラフ216aとグラフ216bとグラフ216cはそれぞれ異なる色で表示してもよい。例えば、グラフ216aは緑、グラフ216bは黄色、グラフ216cは赤とすると、オペレータは直感的に危険レベルを認識できる。あるいは、グラフ216aは通常表示、グラフ216bは所定速度以下のゆっくりした点滅間隔の表示、グラフ216cはグラフ216bより高速の点滅間隔の表示としてもよい。
【0130】
さらに、図17(d)の例では、検査時期毎の中性化の進行状況が分かるようにグラフ218が示されている。グラフ218には、今回と前回と前々回の検査結果がそれぞれ識別可能に一緒に表示されている。表示処理部102は、履歴情報を用いて、過去に複数回行われた検査結果を用いてグラフを表示させる。図17(d)のように、前々回までの値と前回までの値と今回の値は、それぞれ表示形態(表示色、模様、強調、点滅など)を変えて表示してもよいし、単に線で区切って表示してもよい。また、図17(a)のグラフ216aと、図17(b)のグラフ216bと、図17(c)のグラフ216cの3つを近接して並べて表示してもよい。また、図17(d)では、「今回」、「前回」、および「前々回」のラベルが示されているが、各検査日時の情報(例えば、年度などの情報)をグラフ218に表示してもよい。さらに、各検査の詳細な内容をオペレーティングの要求操作に従い表示できてもよい。
【0131】
このようにすることで、腐食開始時期が到来する前から、中性化の進行状況を過去の情報とともに確認できるので、対策時期を逃すことなく適切な補修計画を立てて対策を実行できる。
【0132】
以上説明したように、本実施形態において、監視部130によりコンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かが監視され、アラーム基準を満たすとアラーム出力部132によりアラーム出力される。このように本実施形態によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくできるとともに、さらに、検査結果や修復内容の情報に基づいて、アラーム監視ができるだけでなく、過去数回の検査結果を一緒に表示できるので、不具合が起きる前に事前にその兆候をとらえることが可能になり、早期に適切な処置を講じることができる。
【0133】
(第6の実施の形態)
図18は、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成を論理的に示す機能ブロック図である。本実施形態のコンクリート構造物管理装置100は、コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を出力する構成を有する点以外は、上記した実施形態のいずれかと同じである。また、本実施形態のコンクリート構造物管理装置100の構成は、他の実施形態の構成と矛盾のない範囲で組み合わせることができる。コンクリート構造物管理装置100は、図3と同じ表示処理部102と、受付部104とを備えるとともに、さらに、アドバイス出力部140を備える。
【0134】
アドバイス出力部140は、検査結果および修復内容の少なくとも一方に基づいて、コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を出力する。また、検査結果および修復内容の少なくとも一方は、履歴情報も含む。
【0135】
アドバイス情報は以下に例示されるがこれらに限定されない。
(1)メンテナンス時期のお知らせ
(2)メンテナンス計画の提案
(3)診断結果の通知
(4)修復計画の提案
【0136】
アドバイス情報を出力する条件は、オペレータにより設定してもよい。また、オペレータによって設定制限してもよい。上記実施形態の権限特定部110によりオペレータのアクセス権限を特定し、設定できる範囲を制限してもよい。アドバイス出力部140は条件に従い、アドバイス情報を出力する。また、アドバイス情報は、定型の条件と対応する情報を出力する構成としてもよいし、アドバイス情報の出力が必要であることを示す情報を、アドバイスを行う者に通知する構成としてもよい。通知を受けた者がアドバイス情報を作成したものの登録を受け付け、予め登録されているアドバイスを通知すべき対象者に通知してもよい。また、アドバイス情報の作成に必要なひな型情報を、アドバイスを行う者に提供してもよい。
【0137】
アドバイス情報の出力形態は以下に例示されるがこれらに限定されない。
(1)画面200上でアドバイス情報が作成された領域または区分に対応する画像をハイライトまたは点滅表示させる。または、アドバイス情報の対象となる場所の近傍にアドバイス情報があることを示すアイコンを表示させる。アイコンが操作されるとアドバイス情報の詳細な内容を表示させる。
(2)ポップアップウインドウでアドバイス情報が作成したことを通知するメッセージを表示させる。さらに、ウインドウ内の操作ボタンまたはアイコンが操作されると、アドバイス情報の詳細な内容を表示させる。
(3)端末装置30に設けられているLED(Light Emitting Diode)表示器を点滅点灯表示させる。点滅点灯の色、パターンなどでアドバイス情報の内容を区別してもよい。
(4)アドバイス情報が作成されたことを通知する音声メッセージまたは警告音を端末装置30のスピーカから出力する。あるいは、作業現場内に設置される音声出力装置に、ブルートゥースなどの無線通信で音声出力させる。
(5)予め指定された宛先(メールアドレス、電話番号など)にメッセージを送信する。携帯電話に送信されるメッセージは音声でもよい。
(6)検査結果の内容を示す画面(例えば、図17の中性化深さグラフなど)にアドバイス情報が作成されたことを示す情報(例えば、メッセージやアイコンなど)を表示する。
(7)アドバイス情報の作成履歴情報を画面表示または印字出力させる。
【0138】
以下、メンテナンス時期のお知らせのアドバイス情報の出力を例に説明する。
記憶装置20に、構造物毎、あるいは、領域または区分毎に、さらに、検査項目毎などに、推奨されるまたは法令で定められる検査間隔または検査時期をメンテナンス情報として記憶しておく。アドバイス出力部140は、構造物毎、あるいは、領域または区分毎に、さらに、検査項目毎に、管理テーブル52で管理されているデータの日時情報と、メンテナンス情報で設定されている検査間隔または検査時期とに基づいて、次のメンテナンス時期を特定する。そして、次のメンテナンス時期の所定期間前に、アドバイス出力部140はメンテナンス時期のお知らせ情報を出力する。
【0139】
さらに、アドバイス出力部140は、コンクリート中性化深さの履歴情報に基づいてコンクリートの腐食開始時期を予測し、要素される腐食開始時期に基づいて、メンテナンス計画を提案してもよい。
【0140】
以上説明したように、本実施形態において、アドバイス出力部140によりコンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報が出力される。このように、本実施形態によれば、コンクリート構造物の検査結果および修復内容を管理者に把握しやすくできるとともに、さらに、コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報をコンクリート構造物の領域に対応付けて管理者に通知できるので、管理者は該当する場所を3次元画像で閲覧しながら実際の現場を確認もでき、メンテナンスの必要性を正確に具体的に認識でき、必要なメンテナンスを適切な時期に講じることが可能になる。
【0141】
以上、図面を参照して本発明の実施形態について述べたが、これらは本発明の例示であり、上記以外の様々な構成を採用もできる。
【0142】
以上、実施形態を参照して本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではない。本発明の構成や詳細には、本発明のスコープ内で当業者が理解し得る様々な変更ができる。
なお、本発明において利用者(ユーザ)に関する情報を取得、利用する場合は、これを適法に行うものとする。
【0143】
以下、参考形態の例を付記する。
1. コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させる表示処理部と、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける受付部と、を備え、
前記選択操作を受け付けると、前記表示処理部は、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させるコンクリート構造物管理装置。
2. 1.に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、
前記コンクリート構造物の前記検査結果および前記修復内容の少なくとも一方の履歴情報を記憶する記憶部にアクセスして、前記コンクリート構造物の選択された部分の前記履歴情報を、前記選択された部分と関連付けて画面に表示させるコンクリート構造物管理装置。
3. 2.に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、前記履歴情報に基づいて、前記検査結果および前記修復内容を含む情報の蓄積期間に応じて表示形態を前記コンクリート構造物の所定の領域単位で変えるコンクリート構造物管理装置。
4. 1.から3.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物管理装置において、
オペレータのアクセス権限を特定する権限特定部を備え、
前記表示処理部は、
前記アクセス権限に従い、特定の情報について、前記画面に表示させるデータを制限するコンクリート構造物管理装置。
5. 1.から4.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記表示処理部は、
前記相対位置に基づいて、最初に表示するデータを切り替える、
コンクリート構造物管理装置。
6. 5.に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、
前記オペレータが前記コンクリート構造物の外にいる場合と中にいる場合とで最初に画面に表示させるデータを切り替える、
コンクリート構造物管理装置。
7. 1.から6.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、
画面表示の拡大倍率によって画面に表示させるデータを切り替える、
コンクリート構造物管理装置。
8. 7.に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、
前記拡大倍率が第1基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の外観の画像を画面に表示させ、
前記拡大倍率が前記第1基準より大きい第2基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の損傷を示す画像を画面に表示させ、
前記拡大倍率が前記第2基準より大きい第3基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の診断解析結果を示す画像を画面に表示させる、
コンクリート構造物管理装置。
9. 7.に記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記表示処理部は、
前記拡大倍率に応じて、前記画面に表示する前記コンクリート構造物の損傷レベルを設定する、
コンクリート構造物管理装置。
10. 1.から9.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する監視部と、
前記アラーム基準を満たすとアラームを出力する出力部と、
を備えるコンクリート構造物管理装置。
11. 1.から10.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物管理装置において、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を出力する出力部を備えるコンクリート構造物管理装置。
【0144】
12. 表示部を有する端末と、
コンクリート構造物の検査結果および修復内容の少なくとも一方の履歴情報を保持するサーバ装置と、を備え、
前記端末は、
表示部と、
前記表示部に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける受付部と、を備え、
前記サーバ装置は、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を前記端末の表示部に画面表示させる表示処理部と、
前記端末において前記選択操作を受け付けると、前記表示処理部は、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて前記端末の前記表示部に画面表示させる、
情報処理システム。
13. 12.に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記コンクリート構造物の前記検査結果および前記修復内容の少なくとも一方の履歴情報を記憶する記憶部にアクセスして、前記コンクリート構造物の選択された部分の前記履歴情報を、前記選択された部分と関連付けて前記端末の前記表示部に画面に表示させる情報処理システム。
14. 13.に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、前記履歴情報に基づいて、前記検査結果および前記修復内容を含む情報の蓄積期間に応じて表示形態を前記コンクリート構造物の所定の領域単位で変える情報処理システム。
15. 12.から14.のいずれか一つに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
オペレータのアクセス権限を特定する権限特定部を備え、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記アクセス権限に従い、特定の情報について、前記端末の前記表示部の前記画面に表示させるデータを制限する情報処理システム。
16. 12.から15.のいずれか一つに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を特定するための位置情報を取得する位置情報取得部を備え、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記相対位置に基づいて、前記端末の前記表示部に最初に表示するデータを切り替える、
情報処理システム。
17. 16.に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記オペレータが前記コンクリート構造物の外にいる場合と中にいる場合とで最初に前記端末の前記表示部の画面に表示させるデータを切り替える、
情報処理システム。
18. 12.から17.のいずれか一つに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
画面表示の拡大倍率によって前記端末の前記表示部の画面に表示させるデータを切り替える、
情報処理システム。
19. 18.に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記拡大倍率が第1基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の外観の画像を前記端末の前記表示部の画面に表示させ、
前記拡大倍率が前記第1基準より大きい第2基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の損傷を示す画像を前記端末の前記表示部の画面に表示させ、
前記拡大倍率が前記第2基準より大きい第3基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の診断解析結果を示す画像を前記端末の前記表示部の画面に表示させる、
情報処理システム。
20. 18.に記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置の前記表示処理部は、
前記拡大倍率に応じて、前記端末の前記表示部の前記画面に表示する前記コンクリート構造物の損傷レベルを設定する、
情報処理システム。
21. 12.から20.のいずれか一つに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する監視部と、
前記アラーム基準を満たすと前記端末にアラームを出力する出力部と、
を備える情報処理システム。
22. 12.から21.のいずれか一つに記載の情報処理システムにおいて、
前記サーバ装置は、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を前記端末に出力する出力部を備える情報処理システム。
【0145】
23. コンクリート構造物管理装置が、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させ、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付け、
前記選択操作を受け付けると、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させるコンクリート構造物の管理方法。
24. 23.に記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記コンクリート構造物の前記検査結果および前記修復内容の少なくとも一方の履歴情報を記憶する記憶部にアクセスして、前記コンクリート構造物の選択された部分の前記履歴情報を、前記選択された部分と関連付けて画面に表示させるコンクリート構造物の管理方法。
25. 24.に記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記履歴情報に基づいて、前記検査結果および前記修復内容を含む情報の蓄積期間に応じて表示形態を前記コンクリート構造物の所定の領域単位で変えるコンクリート構造物の管理方法。
26. 23.から25.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
オペレータのアクセス権限を特定し、
前記アクセス権限に従い、特定の情報について、前記画面に表示させるデータを制限するコンクリート構造物の管理方法。
27. 23.から26.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を特定するための位置情報を取得し、
前記相対位置に基づいて、最初に表示するデータを切り替える、
コンクリート構造物の管理方法。
28. 27.に記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記オペレータが前記コンクリート構造物の外にいる場合と中にいる場合とで最初に画面に表示させるデータを切り替える、
コンクリート構造物の管理方法。
29. 23.から28.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
画面表示の拡大倍率によって画面に表示させるデータを切り替える、
コンクリート構造物の管理方法。
30. 29.に記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記拡大倍率が第1基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の外観の画像を画面に表示させ、
前記拡大倍率が前記第1基準より大きい第2基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の損傷を示す画像を画面に表示させ、
前記拡大倍率が前記第2基準より大きい第3基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の診断解析結果を示す画像を画面に表示させる、
コンクリート構造物の管理方法。
31. 29.に記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記拡大倍率に応じて、前記画面に表示する前記コンクリート構造物の損傷レベルを設定する、
コンクリート構造物の管理方法。
32. 23.から31.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視し、
前記アラーム基準を満たすとアラームを出力する、
コンクリート構造物の管理方法。
33. 23.から32.のいずれか一つに記載のコンクリート構造物の管理方法において、
前記コンクリート構造物管理装置が、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を出力する、コンクリート構造物の管理方法。
【0146】
34. コンピュータに、
コンクリート構造物を示す2次元または3次元の画像を画面に表示させる手順、
前記画面に表示された前記コンクリート構造物の少なくとも一部分の選択操作を受け付ける手順、
前記選択操作を受け付けると、前記コンクリート構造物の選択された部分の検査結果および修復内容の少なくとも一方を含む情報を、選択された前記部分と関連付けて画面に表示させる手順、を実行させるためのプログラム。
35. 34.に記載のプログラムにおいて、
前記コンクリート構造物の前記検査結果および前記修復内容の少なくとも一方の履歴情報を記憶する記憶部にアクセスして、前記コンクリート構造物の選択された部分の前記履歴情報を、前記選択された部分と関連付けて画面に表示させる手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
36. 35.に記載のプログラムにおいて、
前記履歴情報に基づいて、前記検査結果および前記修復内容を含む情報の蓄積期間に応じて表示形態を前記コンクリート構造物の所定の領域単位で変える手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
37. 34.から36.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
オペレータのアクセス権限を特定する手順、
前記アクセス権限に従い、特定の情報について、前記画面に表示させるデータを制限する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
38. 34.から37.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記コンクリート構造物に対するオペレータの相対位置を特定するための位置情報を取得する手順、
前記相対位置に基づいて、最初に表示するデータを切り替える手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
39. 38.に記載のプログラムにおいて、
前記オペレータが前記コンクリート構造物の外にいる場合と中にいる場合とで最初に画面に表示させるデータを切り替える手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
40. 34.から39.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
画面表示の拡大倍率によって画面に表示させるデータを切り替える手順をコンピュータに実行させるための プログラム。
41. 40.に記載のプログラムにおいて、
前記拡大倍率が第1基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の外観の画像を画面に表示させる手順、
前記拡大倍率が前記第1基準より大きい第2基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の損傷を示す画像を画面に表示させる手順、
前記拡大倍率が前記第2基準より大きい第3基準以上の倍率の場合は、前記コンクリート構造物の診断解析結果を示す画像を画面に表示させる手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
42. 40.に記載のプログラムにおいて、
前記拡大倍率に応じて、前記画面に表示する前記コンクリート構造物の損傷レベルを設定する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
43. 34.から42.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物の管理に関する情報がアラーム基準を満たすか否かを監視する手順、
前記アラーム基準を満たすとアラームを出力する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
44. 34.から43.のいずれか一つに記載のプログラムにおいて、
前記検査結果または前記修復内容に基づいて、前記コンクリート構造物のメンテナンスに関するアドバイス情報を出力する手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
【符号の説明】
【0147】
1 情報処理システム
3 通信ネットワーク
7 クラウド
10 サーバ装置
20 記憶装置
30 端末装置
30a ノートパソコン
30b タブレット端末
40 点検装置
50 検査結果データ
52 管理テーブル
54 修復内容データ
56 蓄積情報
58 表示データテーブル
60 コンピュータ
62 CPU
64 メモリ
66 ストレージ
68 I/O
69 バス
70 通信I/F
72 入力装置
74 表示装置
80 プログラム
100 コンクリート構造物管理装置
102 表示処理部
104 受付部
110 権限特定部
120 位置情報取得部
130 監視部
132 アラーム出力部
140 アドバイス出力部
200 画面
210 インジケータ
212 第1基準値
214 第2基準値
216a、216b、216c、218 グラフ
r0201、r0202、r0211、r0212 領域
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
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図9
図10
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図18