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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】医用連続体ロボットの作動方法
(51)【国際特許分類】
   A61B 34/10 20160101AFI20240912BHJP
   A61B 17/24 20060101ALI20240912BHJP
   A61B 1/267 20060101ALI20240912BHJP
【FI】
A61B34/10
A61B17/24
A61B1/267
【請求項の数】 21
(21)【出願番号】P 2023507903
(86)(22)【出願日】2021-08-05
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-13
(86)【国際出願番号】 US2021044787
(87)【国際公開番号】W WO2022031995
(87)【国際公開日】2022-02-10
【審査請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】63/062,076
(32)【優先日】2020-08-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(31)【優先権主張番号】63/181,840
(32)【優先日】2021-04-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】596130705
【氏名又は名称】キヤノン ユーエスエイ,インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】CANON U.S.A.,INC
(73)【特許権者】
【識別番号】503146324
【氏名又は名称】ザ ブリガム アンド ウィメンズ ホスピタル インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】The Brigham and Women’s Hospital, Inc.
(74)【代理人】
【識別番号】100090273
【弁理士】
【氏名又は名称】國分 孝悦
(72)【発明者】
【氏名】正木 文太郎
(72)【発明者】
【氏名】波多 伸彦
(72)【発明者】
【氏名】キング フランクリン
(72)【発明者】
【氏名】加藤 貴久
【審査官】鈴木 敏史
(56)【参考文献】
【文献】特表2007-509649(JP,A)
【文献】特開2019-93119(JP,A)
【文献】特開2011-189074(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 34/10
A61B 17/24
A61B 1/267
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
湾曲可能医用装置の操作に用いられる難易度スコアを提供するコンピュータの作動方法であって、
前記湾曲可能医用装置は、作動部と、前記作動部によって湾曲可能である第1の湾曲可能体と、前記第1の湾曲可能体を湾曲させるために、前記作動部に制御信号を送信するように構成された制御部と、を備え、
前記方法は、
前記コンピュータの1つ以上のプロセッサが、気道のコンピュータ断層撮影画像に基づいて、前記第1の湾曲可能体の第1の経路をマッピングするステップであって、前記第1の経路は前記気道の中心線上にマッピングされる、マッピングするステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の湾曲可能体の形状を計算するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の湾曲可能体の前記第1の経路のずれを決定するステップであって、前記ずれは、前記気道の前記コンピュータ断層撮影画像に基づく前記気道の前記中心線と前記第1の湾曲可能体の前記計算された形状との間の差異である、決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の経路の前記ずれのレベルに基づいて、前記第1の経路に第1の難易度スコアを割り当てるステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記第1の湾曲可能体は、前記作動部によって独立して湾曲可能な少なくとも2つの湾曲可能セグメントを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の湾曲可能体の第2の経路をマッピングし、前記第2の経路に第2の難易度スコアを割り当てるステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の湾曲可能体の第3の経路をマッピングし、前記第3の経路に第3の難易度スコアを割り当てるステップ、
を更に含む、請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記第1の経路、前記第2の経路及び前記第3の経路は、全て単一の標的への経路である、
請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の難易度スコア、前記第2の難易度スコア及び前記第3の難易度スコアを提示するステップ、
を更に含む、請求項4に記載の方法。
【請求項7】
前記第1の湾曲可能体は、着脱可能であり、少なくとも2つの湾曲可能セグメントを有する第2の湾曲可能体と交換可能であり、
前記第2の湾曲可能体の前記少なくとも2つの湾曲可能セグメントのうちの少なくとも1つは、前記第1の湾曲可能体の湾曲可能セグメントとは異なる長さを有する、
請求項1に記載の方法。
【請求項8】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第2の湾曲可能体の第2の経路をマッピングするステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第2の湾曲可能体の形状を計算するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第2の湾曲可能体の前記第2の経路のずれを決定するステップと、
前記1つ以上のプロセッサが、前記第2の経路の前記ずれのレベルに基づいて、前記第2の経路に第2の難易度スコアを割り当てるステップと、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記1つ以上のプロセッサが、前記第1の難易度スコアと第2の難易度スコアを提示するステップ、
を更に含む、請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記第1の湾曲可能体と前記第2の湾曲可能体は、異なる全長を有する、
請求項7に記載の方法。
【請求項11】
前記作動部の作動速度は、前記第1の湾曲可能体の前進の速度について調節可能である、
請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記湾曲可能医用装置は、前記第1の経路の前記第1の難易度スコアを表示するためのディスプレイを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項13】
前記気道の前記コンピュータ断層撮影画像に基づいて、前記湾曲可能医用装置の複数の経路をマッピングするステップ、
を更に含む、請求項1に記載の方法。
【請求項14】
前記複数の経路の各々に難易度スコアが割り当てられる、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1の湾曲可能体の前記第1の経路の前記ずれは、定曲率モデルを用いて計算される、
請求項1に記載の方法。
【請求項16】
マッピングされた前記第1の経路の中心線の接線の方向は、前記第1の湾曲可能体の形状の計算に用いられる、
請求項1に記載の方法。
【請求項17】
前記第1の湾曲可能体の形状は、(1)竜骨からdでの前記第1の経路の中心線の接線の方向は、挿入深さ=dでの前記第1の湾曲可能体の遠位セクションの先端の方向として設定される、(2)近位セクションの基部は、前記第1の経路の前記中心線上にある、かつ、(3)追従するセクションはFTLアルゴリズムによって制御される、との仮定に基づいて計算される、
請求項1に記載の方法。
【請求項18】
前記湾曲可能医用装置は、少なくとも前記第1の湾曲可能体を覆う外壁を有するシースを更に備える、
請求項1に記載の方法。
【請求項19】
湾曲可能医用装置の操作に用いられる難易度スコアを提供するためのプログラムであって、
前記湾曲可能医用装置は、作動部と、前記作動部によって湾曲可能である第1の湾曲可能体と、前記第1の湾曲可能体を湾曲させるために、前記作動部に制御信号を送信するように構成された制御部と、を備え、
前記プログラムは、
気道のコンピュータ断層撮影画像に基づいて、前記第1の湾曲可能体の第1の経路をマッピングするステップであって、前記第1の経路は前記気道の中心線上にマッピングされる、マッピングするステップと、
前記第1の湾曲可能体の形状を計算するステップと、
前記第1の湾曲可能体の前記第1の経路のずれを決定するステップであって、前記ずれは、前記気道の前記コンピュータ断層撮影画像に基づく前記気道の前記中心線と前記第1の湾曲可能体の前記計算された形状との間の差異である、決定するステップと、
前記第1の経路の前記ずれのレベルに基づいて、前記第1の経路に難易度スコアを割り当てるステップと、
をコンピュータに実行させる、プログラム。
【請求項20】
前記第1の湾曲可能体は、前記作動部によって独立して湾曲可能な少なくとも2つの湾曲可能セグメントを有する、
請求項19に記載のプログラム。
【請求項21】
湾曲可能体を選択すること、経路を選択すること、及び/又は、挿入速度を選択すること、
を前記コンピュータに更に実行させる、請求項19に記載のプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連特許出願への相互参照
本願は、米国特許商標庁に2020年8月6日付けで提出された米国仮特許出願第63/062076号と、2021年4月29日付けで提出された米国仮特許出願第63/181840号から優先権を主張し、それらの開示は参照によりその全体が本明細書に援用される。
【0002】
本開示は、概して、対象/患者内で操作可能な多関節医療機器の作動方法に関する。医療機器の作動方法は、対象/患者を通して最終標的まで医療機器を前進させるための1つ以上の経路を選択及び評価することを中心とする。より具体的には、本開示は、標的への到達のために最も蛇行が少なく最も安全な経路を考慮しながら、対象/患者の常に変容する生体構造を通して医療機器を前進させるための方法及び装置を詳述する。
【背景技術】
【0003】
多関節医療機器は、一般に1つ以上の制御機構を含み、該制御機構は、医療機器の近位端に位置し、該機器の遠隔操作を可能にするように構成される。
【0004】
このような医療機器の関節運動を容易にするために、臨床の事例では連続体ロボットが使用され、特に、肺の気道や血管等の曲がりくねった構造をもつ器官の周辺/中で関節運動を行うために使用される。臨床研究では、従来の手動の気管支鏡よりもロボット気管支鏡の方が、肺の気道のより高い世代に到達できることが示されている。更に、ナビゲーション気管支鏡検査システムは、電磁ナビゲーションシステムを呼吸ゲーティング技術と組み合わせたものであり、有効性と使用感を更に向上させるとともに、システムが呼吸運動に基づいて気道の形状を表示することを可能にする。
【0005】
複数の関節セクションを有する連続体ロボットの制御には、フォローザリーダー(“FTL”)運動が広く使用されている。FTLでは、操作者は、連続体ロボットの先頭セクションを制御するだけで、残りの関節セクションを先頭セクションの経路に自動追従させることができる。
【0006】
現在、従来技術では、気道と気管支鏡の直径だけでなく、分岐点の角度と気管支鏡の最大角度も考慮することにより、対象の曲がりくねった経路内に従来の気管支鏡(手動の気管支鏡)を前進させることの難易度が評価される。
【0007】
しかしながら、従来技術では気管支鏡検査の難易度を評価する際に、気管支鏡の軟性シャフトの形状は考慮されない。これはロボット気管支鏡検査では重要なことであり、連続体ロボットの定曲率モデルでは、連続体ロボットのセクションの理想形状は円弧であり、必ずしも通路の形状に変換できるわけではない。
【0008】
ロボット気管支鏡検査の難易度を評価するためには、ロボット気管支鏡の全体の形状が通路の形状にどのくらい良好にフィットしているかを評価することが重要であり、より侵襲性の低い手技につながる可能性がある。
【0009】
更に、従来技術では、気管支鏡を対象内にどのくらい深く挿入できるかを予測することも可能であるが、標的位置に到達する可能性を高める代替オプションや経路はなく、或いは、患者に対する進入及び/又は不快感の少なくして標的に到達するための経路の再マッピングは存在しない。
【0010】
したがって、患者の不必要な不快感を軽減し、より低い侵襲性で標的に到達する可能性を高めるために、医療機器の作動方法の進歩は必須であり、正当化される。
【発明の概要】
【0011】
よって、業界におけるそのような例示のニーズに対処するために、本開示は、湾曲可能医用装置の操作に用いられる難易度スコアを提供するコンピュータの作動方法を教示する。湾曲可能医用装置は、作動部と、作動部によって湾曲可能である湾曲可能体と、湾曲可能セグメントを湾曲させるために、作動部に制御信号を送信するように構成された制御部と、を備える。本方法は、コンピュータの1つ以上のプロセッサが、対象のコンピュータ断層撮影画像に基づいて、湾曲可能体の経路をマッピングするステップ;1つ以上のプロセッサが、マッピングされた経路の中心線からの、湾曲可能体の経路のずれを決定するステップ;及び、1つ以上のプロセッサが、経路のずれのレベルに基づいて、経路に難易度スコアを割り当てるステップ、を含む
【0012】
更に、本開示は、湾曲可能医用装置の操作に用いられる難易度スコアを提供するためのプログラムも教示する。湾曲可能医用装置は、作動部と、作動部によって湾曲可能である湾曲可能体と、湾曲可能セグメントを湾曲させるために、作動部に制御信号を送信するように構成された制御部と、を備える。本プログラムは、対象のコンピュータ断層撮影画像に基づいて、湾曲可能体の経路をマッピングするステップ;マッピングされた経路の中心線からの、湾曲可能体の経路のずれを決定するステップ;及び、経路のずれのレベルに基づいて、経路に難易度スコアを割り当てるステップ、をコンピュータに実行させる
【0013】
本開示のこれら及び他の目的、特徴及び利点は、本開示の例示の実施形態の以下の詳細な説明を添付の図面及び提供された段落と併せて読むと、明らかになるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本発明の更なる目的、特徴及び利点は、本発明の例示の実施形態を示す添付の図と併せて解釈すると、以下の詳細な説明から明らかになるであろう。
【0015】
図1図1aは、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の画像を提供する。図1bは、本主題の1つ以上の実施形態に係る、3セクションロボット医療機器の構造を図示する。図1cは、本主題の1つ以上の実施形態に係る、3セクションロボット医療機器の構造の側面斜視図を示す。
図2図2は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器を採用するための方法を表すフローチャートである。
図3図3は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の例示の経路を図示する。
図4図4は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の例示の経路の難易度スコアを表すグラフを提供する。
図5図5は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器が進行する際の当該機器の例示の経路を示す時系列グラフを図示する。
図6図6は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の例示の経路を図示する。
図7図7は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器を採用するための方法を表すフローチャートである。
図8図8は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の様々な例示の経路に関連付けられた様々な難易度スコアを表すグラフを提供する。
図9図9は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器を採用するための方法を表すフローチャートである。
図10図10は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の例示の経路とそれらに関連する難易度スコアを示す様々なグラフを提供する。
図11図11は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器を採用するための方法を表すフローチャートである。
図12図12は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器の例示の経路とそれらに関連する難易度スコアを示す2つのグラフを提供する。
図13図13は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、ロボット医療機器を採用するための方法を表すフローチャートである。
図14図14は、本主題の1つ以上の実施形態に係る、リニア部材が駆動されたときのワイヤ駆動マニピュレータの変形を示す平面図である。
図15図15は、本主題の1つ以上の実施形態に係る動態モデルを図示する。
図16図16は、本主題の1つ以上の実施形態に係る動態モデルを図示する。
【0016】
図全体を通して、別段の記載がない限り、同じ参照番号及び文字は、例示される実施形態の同様の特徴、要素、コンポーネント又は部分を示すために用いられる。加えて、「’」という指定を含む参照数字(例えば12’や24’)は、同じ性質及び/又は種類の2次要素及び/又は参照を意味する。更に、これから図を参照して本開示を詳細に説明するが、それは、例示の実施形態に関連してなされる。添付の段落によって定義される本開示の真の範囲及び主旨から逸脱することなく、説明される実施形態に対して変更及び修正を行うことができることが意図される。
【発明を実施するための形態】
【0017】
説明に言及する際、開示する例を完全に理解できるようするために、具体的な詳細が記載される。他の例では、本開示を不必要に長くしないように、周知の方法、手順、コンポーネント及び材料は、詳細には説明されない。
【0018】
当然のことながら、要素又は部品が他の要素又は部品に関して「~上に」、「~に対して」、「~に接続される」、或いは「~に結合される」と言及される場合、それは、当該他の要素又は部品に対して直接的に上にあってよく、対してよく、接続されてよく、或いは結合されてよく、又は、介在する要素又は部品が存在してもよい。対照的に、ある要素が別の要素又は部品に関して「直上にある」、「直接接続される」又は「直接結合される」と言及されるとき、介在する要素又は部品は存在しない。使用される場合、「及び/又は」という語句は、そのように提供される場合、関連する列挙された項目のうちの1つ以上のありとあらゆる組合わせを含む。
【0019】
様々な図に示されるようなある要素又は特徴と別の要素又は特徴との関係を説明するための記述及び/又は説明を簡易にするために、本明細書では、「下」、「真下」、「下方」、「低い」、「上方」、「上」、「近位」、「遠位」等の空間的な相対語が使用される場合がある。ただし、当然のことながら、空間的な相対語は、図に示されている向きに加えて、使用中又は動作中の機器の様々な向きを包含することが意図される。例えば、他の要素又は特徴の「下方」又は「真下」にあると記述されている要素は、図中の機器が裏返されると、当該他の要素又は特徴の「上方」に向けられることになる。よって、「下方」等の相対的な空間用語は、上と下の両方の向きを包含することができる。機器は、他の方法で方向付けられてもよく(90度回転又は他の方向に)、本明細書で使用される空間的な相対的記述子は、それに応じて解釈されるべきである。
【0020】
本明細書では、様々な要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分を説明するために、第1、第2、第3等の用語が使用される場合がある。当然のことながら、これらの要素、コンポーネント、領域、部品及び/又は部分はこれらの用語によって限定されるべきではない。これらの用語は、ある要素、コンポーネント、領域、部品又は部分を別の領域、部品又は部分から区別するためにのみ使用されている。よって、後述する第1の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションは、本明細書に開示される誘導機器10の教示から逸脱することなく、第2の要素、コンポーネント、領域、部品又はセクションと呼ぶことができる。
【0021】
本明細書において用いられる用語は、特定の実施形態を説明する目的のものにすぎず、限定することを意図するものではない。本明細書において用いられる場合、単数形は、文脈上明確に別段の指示がない限り、複数形も含むことを意図している。更に、当然のことながら、「含む」という用語は、本明細書において用いられる場合、記載の特徴、整数、ステップ、動作、要素及び/又はコンポーネントの存在を指定するが、明示的に記載されていない1つ以上の他の特徴、整数、ステップ、動作、要素、コンポーネント及び/又はそれらのグループの存在又は追加を排除するものではない。「位置」又は「位置決め」という用語は、空間的な位置と角度的な向きの両方を含むものとして理解されるべきである。
【0022】
以下の段落では、特定の説明的な実施形態を記載する。他の実施形態は、代替、均等物及び変更を含む場合がある。加えて、説明的な実施形態はいくつかの新規の特徴を含む場合があり、特定の特徴は、本明細書に記載のデバイス、システム及び方法の一部の実施形態には必須ではない場合がある。
【0023】
本主題は、患者又は対象(以後同義に用いられる)内に誘導され、所望の目的地に到達するように患者内の器官その他の要素の周りで/を通して関節運動を行うように構成された多関節医療機器のための方法を開示する。本方法は、所望の目的地までの経路を計画し、患者への不快感、危害又は外傷を最小限に抑えながら、所与の多関節医療機器に最も適している経路はどれであるかを決定することを超えることを目的とする。
【0024】
図1a及び図1bは、3セクションロボット気管支鏡10の構造を示す。ロボット気管支鏡10は、受動セクション19及び湾曲セクション20を有し、湾曲セクション20は、3つのセクション(遠位セクション12、中間セクション13、近位セクション14)から成る。ロボット気管支鏡は、作動部11と連絡している。一部の実施形態では、作動部は駆動部として定義され得る。
【0025】
図1aは、ロボット気管支鏡10の例示実施形態の側面図であり、ロボット気管支鏡10は、受動セクション19と湾曲セクション20の両方を通るツールチャネルを含む。ツールチャネルは、実質的に円筒状の構成を有する。臨床ユーザは、ツールチャネルを通して遠位セクション12の端部の開口まで生検ツールを挿入し、回収することができる。
【0026】
図1cは、気管支鏡10の例示実施形態のガイドリング24及び駆動ワイヤ22を図示している。図1cは、湾曲可能な遠位セクション12の分解組立図を示し、5つのガイドリング24と、2本の駆動ワイヤ22a、22bと、固定ワイヤ26とを含む。この実施形態では、ガイドリング24は、5つのガイドリング24全てを5つのそれぞれのアンカー28(図示なし)によって固定ワイヤ26に取り付けることにより、セントロイドBに沿って2mm間隔で等距離に配置されている。したがって、固定ワイヤ26は、第1の湾曲可能セグメント12において5つのガイドリング24に対して末端処理される。他の実施形態では、駆動ワイヤ22a、22bが、湾曲可能な遠位セクション12の遠位端でガイドリング24に対して末端処理されるが、他の4つのガイドリング24に対しては末端処理されない。第1の固定ワイヤ26を固定位置で保持しながら、駆動ワイヤ22a、22bを押したり引いたりすることによって、湾曲可能な遠位セクション12を3次元に曲げることができる。
【0027】
更に、ある実施形態では固定ワイヤ26が存在しなくてもよく、これにより、気管支鏡10の柔軟性が向上する。本実施形態では、気管支鏡10は、一貫した外径(例えば3mm)と同一の内径(例えば1.8mm)を有する。内径は、ツールチャネルを形成する。
【0028】
実施形態1:ロボット気管支鏡検査の難易度スコア。
【0029】
図2は、本ロボット気管支鏡検査10を採用するための例示のフローチャートを詳細に示している。患者のコンピュータ断層撮影(“CT”)画像が撮影され、例として、この例では肺癌スクリーニングに着目することにする。CT画像に疑わしい腫瘍が見つかった場合、患者のCT画像の気道及び腫瘍がセグメント化され、セグメント化された気道の中心線が抽出される。挿入される3セクションロボット気管支鏡10の経路として、腫瘍につながる気道が選択される。次に、定曲率モデルでフォワードキネマティクス(詳しくは以下を参照)を用いて、経路に沿って3セクションロボット気管支鏡10の形状を計算する。このモデルでは、気管支鏡10の各セクションの先端の方向によって、各セクションの形状が決定される。
【0030】
気管支鏡10の遠位セクションの先端の方向として、中心線の接線の方向が用いられる(詳しくは以下のステップを参照)。中間セクションと近位セクションの先端の方向を決めるために、フォローザリーダー(“FTL”)アルゴリズムが適用される。FTLアルゴリズムでは、遠位セクションの先端の方向が挿入深さの関数として保存され、中間セクションと近位セクションの先端の方向として同じ値が適用されて、中間セクションと遠位セクションが同じ挿入深さに到達したときの中間セクションと遠位セクションの形状が計算される。
【0031】
図14は、駆動ワイヤ22a、22b、22cがZ軸方向の+Z側で駆動変位lpだけ駆動されたときの、湾曲セクション20の曲げ状態のY-Z平面図を示す。
【0032】
θが駆動後の遠位部材の角度の変化を示し、lが駆動前の湾曲セクション20の長さを示す場合、湾曲セクション20は、Y-Z平面で一定の曲率を保ちながら曲がる。ra、rb、rcがそれぞれ駆動ワイヤ22a、22b、22cの曲率半径を示す場合、図14を参照して以下の関係を得ることができる。
a・θ=l (1)
b・θ=l+lp (2)
c・θ=l+lp (3)
【0033】
また、Y-Z平面に投影された3つのガイド穴(各ガイドリング24上で120度ずれている)間の距離は3r/2であるので、以下の関係を得ることができる。
【数1】
【0034】
式(1)、(2)、(3)及び(4)を用いることにより、以下の関係を得ることができる。
【数2】
【0035】
前述の構成は、駆動ワイヤ22aを固定しながら、Z軸方向の+Z側で駆動ワイヤ22b、22cを駆動することによって、湾曲セクション20がY-Z平面で曲げられるように記載されている。駆動ワイヤ22aが固定されたまま、駆動ワイヤ22b、22cがそれぞれZ軸方向の+Z側で駆動変位lpだけ駆動され、Z軸方向の-Z側で駆動変位lpだけ駆動されるとき、湾曲セクション20はX-Z平面で曲がることができる。X-Z平面での変形がY-Z平面での変形と同様であると見なされる場合、θが駆動後の遠位部材の角度の変化を示し、lが駆動前の湾曲セクション20の長さを示し、ra、rb、rcがそれぞれ駆動ワイヤ22a、22b、22cの曲率半径を示すとき、以下の関係式を得ることができる。
【数3】
【0036】
式(6)、(7)、(8)及び(9)を用いることにより、以下の関係を得ることができる:
【数4】
【0037】
更に、駆動ワイヤ22b、22cの駆動量の組合わせに従って、Z軸を含む所望の平面で湾曲セクション20を曲げることができる。遠位セクション12の姿勢を制御するには、3本の駆動ワイヤ22のうち2本を駆動すれば十分である。この場合、駆動されない駆動ワイヤ22に結合されたアクチュエータは、実際には駆動機構を有さなくてもよい。したがって、ワイヤによって占められる空間を小さくするために、1本の駆動ワイヤを駆動せずに2本の駆動ワイヤ22を駆動することが望ましい。また、気管支鏡10を曲げたい方向が予め決まっている場合、3本の駆動ワイヤ22のうち1本を駆動し、残りの2本の駆動ワイヤ22を駆動しないようにしてもよい。更に、Z軸周りで気管支鏡10を回転させる機構が追加で設けられてよく、湾曲セクション20は、1本の駆動ワイヤを駆動させるだけで所望の方向に曲げることができる。この場合、3本の駆動ワイヤ22のうち2本は固定されてよい。例えば、アクチュエータによって駆動されない駆動ワイヤ22は、ガイドリング24に固定されてもよく、駆動される駆動ワイヤ22は、ガイドリング24に固定されることなく、ガイドリング24に関してスライドしてもよい。
【0038】
ガイドリング24は、湾曲セクション20が曲がるときに駆動ワイヤ22の座屈を防ぐとともに、駆動ワイヤ22間の間隔を維持することによって湾曲セクション20の一定の曲率を保証する機能を有する。よって、湾曲セクション20には多数のガイドリング24が配置されることが望ましい。一方、駆動ワイヤ22がZ軸方向の-Z側に駆動される場合、湾曲セクション20における駆動ワイヤ22の長さが短くなり、ガイドリング24間の間隔が狭くなる。よって、ガイドリング24が互いに機械的に干渉しないように配置されるように、ガイドリング24の数が決定される。したがって、lが、駆動前の湾曲セクション20の長さを示し、lpmaxが、駆動ワイヤ22の最大駆動量を示し、Ttが、遠位セクション12のZ軸方向での厚さを示し、Tgが、ガイドリング24のZ軸方向での厚さであり、Ngが、湾曲セクション20におけるガイドリング24の数である場合、それぞれのパラメータは、以下の関係を確立するように設計されることが望ましい。
l-lpmax<Tt+Tg・Ng (11)
【0039】
駆動ワイヤ22のうち1本にガイドリング24を固定することにより、湾曲セクション20が曲がるときにガイドリング24間の一定の間隔を維持することができ、結果として、湾曲セクション20の駆動再現性が向上する。また、湾曲セクション20内の曲率を一定に保つことができ、駆動ワイヤ22の駆動時の湾曲セクション20の姿勢の可制御性が向上する。更に、隣接するガイドリング24間の間隔を一定に保つことにより、ガイドリング24が互いに機械的に干渉することを防ぐことができる。
【0040】
図15及び図16に、連続体ロボットのX-Z平面でのフォワードキネマティクスの詳細を示す。以下に示す方程式の記号の定義は、以下の通りである:ln:n番目の湾曲セクションの長さ、rn:n番目の湾曲セクションのガイド部材のガイド穴8a、8b、8cからガイド部材の中心までの変位、e:ロボットの湾曲セクションの数、θn:n番目の湾曲セクションの遠位端の角度、θrefn:n番目の湾曲セクションの遠位端の目標角度、lpn:n番目の湾曲セクションのワイヤの駆動変位、xtn,ztn:n番目の湾曲セクションの遠位端の座標、c:ロボットの評価点の総数、xi,zi:ロボットが長手方向にc個に分割されたときのi番目の座標、及び、zb:基底変位。
【0041】
湾曲セクションの数がnである連続体ロボットのキネマティクス(図15に示される)は、以下の仮定から導出される。
1.ワイヤは紙面上でのみ変形する。
2.ワイヤは、各湾曲セクションにおいて一定の曲率で変形する。
3.ワイヤのねじれ変形は考慮されない。
4.ワイヤは、長手方向には変形しない。
【0042】
まず、式(5)は以下の式となる:
【数5】
【0043】
次に、ワイヤ駆動変位lpnと、n番目の湾曲セクションの遠位端の角度θnとの関係が導出される。この場合、nは2以上であると仮定される。n番目の湾曲セクションの曲げ相対角度(
【数6】
として示される)は、以下のように定義される:
【数7】
【0044】
次に、xtn-1,ztn-1は原点を示し、図8に示されるようにθn-1方向と当該方向に直交する方向での相対座標系xn-znがプロットされ、相対座標系xtn-1,ztn-1でのワイヤの駆動変位(
【数8】
として示される)と、第1の湾曲セクションの遠位端の角度(
【数9】
として示される)との関係は、以下のように表現される:
【数10】
【0045】
n番目の湾曲セクションのワイヤ駆動変位lpmは、相対座標系においてn番目の湾曲セクションを駆動するワイヤの変位の、1番目のセクションから(n-1)番目のセクションまでの合計である。合計は、以下のように表現される:
【数11】
【0046】
したがって、n番目の湾曲セクションの遠位端の角度θは、ワイヤ駆動変位lpnにのみ基づいて決定され、角度θnは途中の湾曲セクションの角度に左右されないことが分かる。
【0047】
次に、n番目の湾曲セクションの遠位端角度と遠位端座標の関係が導出される。第1の湾曲セクションは、以下のように考慮される:
【数12】
【0048】
次いで、n番目の湾曲セクションの遠位端角度と遠位端座標の関係が導出される。この場合、nは2以上であると仮定される。相対座標系xn-znでの湾曲セクションの遠位端の座標(
【数13】
として示される)は、以下のように表現される:
【数14】
【0049】
したがって、絶対座標系における遠位端の座標xtn,ztnは、回転変換行列を用いて以下のように得られる。
【数15】
【0050】
また、次の項では、ロボット全体をα回に分割するための座標が、最適化アルゴリズムの評価点として用いられる。今回、評価点の総数はc=αeである。i番目の評価点評価点座標xi,ziは、以下のように得られる。
【数16】
【0051】
この場合、QとRは商と余りであり、Q=[i/α]、R=i mod αから得られる。
【0052】
以下、竜骨を挿入の開始点(挿入深さ=0)として設定することから始まる詳細なステップを示す;竜骨からd1(挿入深さ=d1)での中心線の接線の方向を、挿入深さ=d1での遠位セクションの先端の方向として設定する;FTLアルゴリズムは、中間セクション及び近位セクションの先端の方向を設定する;挿入深さ=d1でのロボット気管支鏡の湾曲セクション(遠位、中間、近位)の形状を、ステップ2及び3で設定された方向を用いて計算される。
【0053】
図3に示すように、この計算は、近位セクションの基部が気道の中心線上にあると仮定している;経路の中心線とロボット気管支鏡の計算上の形状とのずれを、図3に示されるようにロボット気管支鏡に沿って計算する;挿入深さ=d1での難易度スコアを、ステップ5で計算したロボット気管支鏡に沿ったずれの総計として計算する;ステップ2~6を、dnが所望の経路の端/標的に達するまで、d2,d3…の挿入深さについて繰り返す;また、各挿入深さの難易度スコアをモニタに提示する(図4)。ここでは、経路に沿って色分けすることにより、難易度を表すことができる。
【0054】
例として、図5は、挿入深さ10mm毎に、選択された経路(実線)と3セクションロボット気管支鏡の計算上の形状(破線)を示す。
【0055】
難易度スコアに基づいて、医師は、過去の手技と比較することによって、手技を終えるまでの時間を推定することができる。更に、難易度スコアが大きい場合、医師は、気管支鏡検査を実施せずに代替手術(開腹手術や経胸腔針吸引)に切り替えることができる。
【0056】
ロボット気管支鏡検査では、ロボット気管支鏡の挿入及び曲げの最大速度を、難易度スコアにも基づいて決めることがある。難易度スコアの高い場所では、ロボット気管支鏡の挿入及び曲げの最大速度を下げるように調節して、例えば、外傷や不快感の可能性を最低限に抑えることができる。難易度スコアに基づいて速度を変化させることにより、医師は、より安全に気管支鏡検査を行うことができる。
【0057】
先に述べたように、この実施形態は、近位セクションの基部が中心線上にあると仮定している。ただし、気道の直径が広く、近位セクションの基部と気道の内壁との間に隙間がある場合は、この仮定を十分に適用することができない。この場合、経路の中心線とロボット気管支鏡の計算上の形状とのずれを考慮するために、隙間に対応するオフセット(図6に示される)が適用される。
【0058】
実施形態2:複数の経路から最も簡単な経路を選択するための難易度スコア。
【0059】
図7は、この第2の実施形態に係る、気管支鏡を実施するための例示のフローチャートを提供する。実施形態1と同様に、(ここでは肺癌スクリーニングの)CT画像に潜在的な腫瘍が見つかった場合、患者のCT画像の気道及び腫瘍がセグメント化され、セグメント化された気道の中心線が抽出される。次に、定曲率モデルでフォワードキネマティクスを用いることにより、腫瘍に近い複数の経路に沿って、3セクション連続体ロボットの形状が計算される。
【0060】
実施形態1で述べたように、経路の中心線とロボット気管支鏡の計算上の形状とのずれを、図3に示されるようにロボット気管支鏡に沿って計算し、ロボット気管支鏡に沿って合計する。
【0061】
ずれの総計は、挿入深さ毎の難易度スコアとして用いられる。各挿入深さでの各経路の難易度スコアは、最も容易に腫瘍に至る経路を医師が選択できるように、視覚的に区別可能である(ここではグレースケール表示、好ましくは色分けされる(図8参照))。
【0062】
実施形態3:腫瘍への到達に最適なロボット気管支鏡を選択するための難易度スコア。
【0063】
図9は、この第3の実施形態に係る、気管支鏡を実施するための例示のフローチャートを提供する。実施形態1と同様に、肺癌スクリーニングのCT画像に潜在的な腫瘍が見つかった場合、患者のCT画像の気道及び腫瘍がセグメント化され、セグメント化された気道の中心線が抽出される。挿入されるマルチセクションロボット気管支鏡の経路として、腫瘍につながる気道が選択される。この第3の実施形態では、医師には、異なる湾曲可能セグメントを有するロボット気管支鏡について3つの異なる選択肢がある。例えば、設計1では2つの湾曲セクションがあり、2つの湾曲セクションの長さは10mmと15mmである。設計2では3つの湾曲セクションがあり、各セクションの長さは20mmである。設計3では、40mmの1つの湾曲セクションがある。定曲率モデルでフォワードキネマティクスを用いることにより、経路に沿って3つのマルチセクションロボット気管支鏡の全てが計算される。ずれに基づき、経路の各設計の難易度スコアが計算され、ロボット気管支鏡の各設計の難易度スコアが表示され(図10)(好ましくは色分け(図10ではグレースケール)によって)、医師は、経路に沿って腫瘍に到達するための最良の設計を選択することができる。
【0064】
実施形態4:腫瘍への到達に最適なカテーテル及び経路を選択するための難易度スコア。
【0065】
図11は、この第4の実施形態のフローチャートを示す。CTイメージング及び経路は、先の実施形態と同様である。ただし、この実施形態では、腫瘍に至る3つの経路(A、B、C)があり、医師には、ロボット気管支鏡の2つの異なる設計(設計1、2)があり、3つの経路と2つの設計の6つの可能性のある組合わせについて、難易度スコアが計算される。ロボット気管支鏡の経路と設計の最良の組合わせを提供するために、モニタ上に色分けされた経路が示される(図12)。
【0066】
実施形態5:難易度スコアに基づくロボット気管支鏡の設計の最適化。
【0067】
図13は、この実施形態のフローチャートを示す。腫瘍に至る経路を医師が選択すると、ロボット気管支鏡の設計が提供される。経路の難易度スコアは、ロボット気管支鏡の設計を用いて計算される。経路に沿った難易度スコアの最大及び/又は平均のスコアが所定の閾値よりも大きい場合、ロボット気管支鏡の異なる設計が提供される。ロボット気管支鏡の変更対象の設計パラメータは、セクションの数、セクションの長さ、ロボットスコープの直径である。このプロセスは、難易度スコアの最大及び/又は平均のスコアが閾値よりも小さくなるまで、かつ/又は、全体で最小になるまで、繰り返される。次に、選択された経路に最適なロボット気管支鏡が作製され、この患者の気管支鏡検査に使用される。
【0068】
最も有益な経路を決定するために様々なロボット気管支鏡が評価される例では、気管支鏡は、作動部に着脱可能に取り付けられる複数の交換可能な湾曲体から構成されてよい。よって、湾曲可能医用装置のコストを大幅に削減しながら、標的への到達に用いられる最良の経路(及び関連する湾曲可能セグメント)を決定するうえで、エンドユーザに最大の柔軟性を提供することができる。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16