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特許7554912半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法
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  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図1
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図2
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図3
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図4
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図5
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図6a)
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図6b)
  • 特許-半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法 図7
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】半導体技術およびマイクロシステム技術用の耐熱金属製の熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置および方法
(51)【国際特許分類】
   H01L 21/60 20060101AFI20240912BHJP
【FI】
H01L21/60 301G
H01L21/92 604J
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2023510366
(86)(22)【出願日】2021-07-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2023-09-12
(86)【国際出願番号】 EP2021071364
(87)【国際公開番号】W WO2022033892
(87)【国際公開日】2022-02-17
【審査請求日】2023-04-25
(31)【優先権主張番号】102020121157.0
(32)【優先日】2020-08-11
(33)【優先権主張国・地域又は機関】DE
(73)【特許権者】
【識別番号】523048516
【氏名又は名称】インフラソリッド ゲー・エム・ベー・ハー
【氏名又は名称原語表記】Infrasolid GmbH
【住所又は居所原語表記】Gostritzer Str. 61, 01217 Dresden, Germany
(74)【代理人】
【識別番号】100114890
【弁理士】
【氏名又は名称】アインゼル・フェリックス=ラインハルト
(74)【代理人】
【識別番号】100098501
【弁理士】
【氏名又は名称】森田 拓
(74)【代理人】
【識別番号】100116403
【弁理士】
【氏名又は名称】前川 純一
(74)【代理人】
【識別番号】100134315
【弁理士】
【氏名又は名称】永島 秀郎
(74)【代理人】
【識別番号】100162880
【弁理士】
【氏名又は名称】上島 類
(72)【発明者】
【氏名】マルコ ショシッヒ
【審査官】佐藤 靖史
(56)【参考文献】
【文献】特開昭57-036750(JP,A)
【文献】特開平03-044050(JP,A)
【文献】特開平04-026149(JP,A)
【文献】特開平04-196236(JP,A)
【文献】特開昭58-091649(JP,A)
【文献】米国特許第03561084(US,A)
【文献】特開2015-090867(JP,A)
【文献】実開昭59-188966(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01L 21/60
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置であって、
少なくとも1つの平坦な、接触接続されるべき接続面(10)を備える耐熱金属製のグローワイヤと、その上に前記グローワイヤが接触接続されている接触接続面(4)と、前記グローワイヤを前記接触接続面(4)と接続する接触接続手段(7)とを含んでいる装置において、
前記グローワイヤの平坦な前記接続面(10)は、少なくとも2つの穿孔部(11,12,13,14)を有しており、かつ/または前記グローワイヤの前記接続面(10)の周方向に延びる縁部に、少なくとも2つの切欠き(15,16,17)が形成されており、
前記接触接続手段(7)は、前記穿孔部(11,12,13,14)および/または前記切欠き(15,16,17)の箇所において、前記接触接続面(4)と材料接続式に接続されており、かつ前記グローワイヤの前記接続面(10)の上側の前記接触接続手段(7)のフランジ状の形成(18)によって、前記穿孔部(11,12,13,14)および/または前記切欠き(15,16,17)の箇所において、前記グローワイヤとの電気的な接続も機械的な接続も形成されている、
ことを特徴とする、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置。
【請求項2】
前記穿孔部は、円形(11)、三角形(12)、四角形(13)および/またはn角形(14)に形成されている、請求項1記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置。
【請求項3】
前記切欠きは、三角形(15)、四角形(16)、台形状(17)、円弧状および/またはn角形に形成されている、請求項1記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置。
【請求項4】
前記接触接続面(4)および前記接触接続手段(7)は、好適には金および/または銅から成る、請求項1記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置。
【請求項5】
前記グローワイヤの前記耐熱金属は、タングステンまたはタンタルである、請求項1記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置。
【請求項6】
前記グローワイヤと前記接触接続面(4)との間の化学反応が生じることなく、700℃を超える温度に前記グローワイヤを加熱することができる、請求項1記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置。
【請求項7】
請求項1から6までのいずれか1項記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置を製造する方法であって、
前記接触接続手段(7)を、ワイヤボンディングを用いて、前記穿孔部(11,12,13,14)および/または前記切欠き(15,16,17)の箇所において前記接触接続面(4)上へ被着させ、前記接触接続手段(7)を、前記グローワイヤの前記接続面(10)の上側のフランジ状の突出部の真上で、前記穿孔部および/または前記切欠きの箇所において切り離す、
ことを特徴とする、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置を製造する方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の上位概念に記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置に関し、この装置は、少なくとも1つの平坦な、接触接続されるべき接続面を備える耐熱金属製のグローワイヤと、その上にグローワイヤが接触接続されている接触接続面と、グローワイヤを接触接続面と接続する接触接続手段とを含んでいる。
【0002】
本発明は、同様に、本発明による接触接続を形成するための方法に関する。
【0003】
熱放射源の放射出力は、自身の絶対温度の4乗に比例し、シュテファン・ボルツマンの法則によって表される。したがって、高い放射出力に対しては、熱放射源のグローワイヤは、可能な限り高い温度を有していなければならない。このことは、極めて高い融点を有する材料を必要とする。特に耐熱金属、すなわち高融点の卑金属、たとえばタングステン、タンタルまたはモリブデンがこれに適している。
【0004】
最も知られている熱放射源は、タングステン製のグローワイヤが電流によって加熱され、励起されて発光する白熱灯である。グローワイヤの温度は、構造に応じて約1500℃~3000℃である。この場合、接触接続箇所における高温および電流の流れによって、材料の移動が生じる可能性がある。ここでは卑材料がグローワイヤに沿ってクリープし、グローワイヤと化学的に反応する。これによって、脆化が生じ、熱放射源の耐用年数を短くする所定の破壊箇所が形成されてしまう。特にスイッチオンまたはスイッチオフ時には、これらの脆化個所で破壊が生じる。したがって、2つの接合パートナであるグローワイヤとコンタクト箇所との適正な材料選択が顧慮されるべきである。米国特許第2145186号明細書は、たとえば、封止された球管内の白熱灯、特に内部の導入線へのフィラメントの機械的な固定を開示している。
【0005】
耐熱金属は、不動態化に基づき、室温において相対的に耐腐食性である。しかし、高温では、耐熱金属は多数の非金属およびガスと極めて容易に反応するため、ハウジングに対する純度および気密性ならびに電気的な接触接続に関しても極めて高い要求が課される。極めて高い温度のグローワイヤの確実かつ長期的に安定した電気的な接触接続は溶接接合によって、多くの場合には、いわゆる抵抗スポット溶接によって実現される。抵抗スポット溶接では、2つの接合部分の原子は互いに化学的にまたは冶金学的に相互作用し、強固で一貫した接合を形成するので、金属が結合する。グローワイヤと導入線との間の例示的な溶接接合は、米国特許第1477618号明細書、独国特許出願公開第102004061736号明細書、西独国特許出願公開第2200736号明細書ならびに西独国特許出願公開第735789号明細書に開示されている。同様に、米国特許第4370589号明細書は、電気的な白熱灯のフィラメントと導入線との間の溶接接合を開示しており、ここでは、導入線の内側端部は鋸歯状に形成されており、かつフィラメントの端部で溶接されているので、フィラメントと導入線とは、複数の箇所で互いに融着されており、これらの箇所は、強い、確実な電気的な接続を提供する。
【0006】
しかし、抵抗スポット溶接によって、すべての材料を同じように良好に相互に接合できるわけではない。その原因は、物理的特性および電極材料との相互作用にある。抵抗スポット溶接にとって理想的な材料特性は次のとおりである:
・同じまたは互いに近接する融点
・低い電気伝導率
・低い熱伝導率
・高い変形性(熱変形性)
【0007】
このような状況は、実際の溶接タスクではめったに見られない。さらに、耐熱金属のような硬質で脆い材料は、溶接プロセスおよび冷却プロセス中に破断形成する傾向がある。これは、電気的な接触接続の質および確実性に影響を与える。
【0008】
さらに、溶接は、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロシステム技術における標準プロセスではない。一般的な方法は、ここではたとえばワイヤボンディングおよびフリップチップボンディングである。
【0009】
ワイヤボンディングでは、細いワイヤ(ボンディングワイヤ)によって、一方の構成部分5の端子が、別の構成部分またはハウジングの電気的な端子4と接続される(図1および図2を参照)。ボンディング材料として、多くの場合には金、アルミニウムまたは銅が使用される。極めて頻繁に適用されるワイヤボンディング法は、いわゆるボールウェッジボンディングである。ここでは、ボンディングワイヤ2の、ワイヤボンディング装置のキャピラリ1から下側で突出した端部が僅かに溶融され、この結果、表面張力によって球体(ボール)3が形成される。この球体3は、圧力、熱および超音波によって接触接続面4上へボンディングされ、いわゆるボールボンディング6が生じる。ボールウェッジボンディングの場合には、ボンディングワイヤ2が、別の接触接続面4へと引っ張られ、ボンディングされる(図2を参照)。しかし、これは、図1に示されている、ボールウェッジボンディングの特別な形状である、いわゆるボールボンディングの場合には、省かれる。ここでは、最初のボールボンディング6の後に、キャピラリ1におけるワイヤクランプが閉じられ、ボンディングワイヤ2は、キャピラリ1の上昇時に、ボンディングされた球体のすぐ近くで切断される。これによって球体状の隆起部、いわゆるバンプが接触接続面4に形成される。これらは、スタッドバンプ7とも称される。この方法はとりわけ、フリップチップ実装において使用される。西独国特許出願公開第1949869号明細書には、フィラメントと金属製の導入線とを接合する方法が記載されており、この方法では、金属ビーズが塑性状態または半塑性状態に至るまで加熱され、他方で金属ビーズが導入線と、導入線の上に位置するフィラメントとに押し付けられる。ここでは、金属間接合または冶金学的接合が、金属ビーズと導入線との界面における拡散によって生じる。
【0010】
アルミニウムは、耐熱金属製のグローワイヤとの接触接続には適していない。それというのも、アルミニウムは極めて卑な金属であり、さらに極めて低い融点を有するからである。
【0011】
貴金属である金は、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロシステム技術において、導体路として、とりわけボンディングワイヤとしても、また接触接続面に対して、頻繁に使用される。それというのも、金は優れた電気的特性および熱的特性を有しており、極めて良好に加工され、かつ高い耐腐食性を有し、かつ容易にロウ付け可能だからである。しかし、電気伝導率が高く、かつ熱伝導率が高いことから、金の溶接適性は制限されている。耐熱金属との、確実かつ長期的に安定した溶接接合は不可能である。
【0012】
近年、銅線によるボンディングが、とりわけ、莫大なコスト上の利点のために、徐々に実行され始めている。しかし銅線は、金線に対してさらに別の利点も提供する。直流抵抗および熱伝導率が、金線の場合よりも良好である。さらに銅は、高温時の、比較的高い機械的な安定性と、接触接続のより良好な確実性とを有している。しかし、欠点は、室温ですでに始まる銅の迅速な表面酸化である。銅酸化物層が厚過ぎると、この材料は硬すぎることから、ボンディングはもはや不可能である。さらにこの場合、ボンディングワイヤ端部がもはや、僅かな溶融によって球体(ボール)になることはないが、これはスタッドバンプの形成のために必要である。したがって、銅線を酸化から保護することが重要である。これは、銅ボンディングワイヤの、相応する、酸素フリーの保管および加工を必要とする。金の場合と同様に、銅を用いた場合も、耐熱金属との確実かつ長期的に安定した溶接接合は不可能である。
【0013】
記載された既知の、マイクロエレクトロニクス構成部分用のワイヤボンディングの接触接続形態によっても、耐熱金属のような硬質で脆い材料は、金線、銅線またはアルミニウム線と、確実かつ長期的に安定して、直接的に接触接続されない。
【0014】
したがって、本発明の課題は、マイクロエレクトロニクスおよびマイクロシステム技術の一般的な方法によっても形成可能な、耐熱金属製のグローワイヤの確実かつ長期的に安定した機械的な接触接続および電気的な接触接続を提供することであり、これによって、たとえばマイクロエレクトロニクスシステム、オプトエレクトロニクスシステムまたはマイクロオプトエレクトロニクスメカニカルシステム(MOEMS)への容易な統合が可能になり、かつ高い自動化度を達成することができるようになる。
【0015】
上述の課題は、装置の独立請求項に記載された、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置によって解決される。本発明によれば、グローワイヤの平坦な接続面は、少なくとも2つの穿孔部を有しており、かつ/またはグローワイヤの接続面の周方向に延びる縁部に、少なくとも2つの切欠きが形成されており、接触接続手段は、穿孔部および/または切欠きの箇所において、接触接続面と材料接続式に接続されており、かつグローワイヤの接続面の上側の接触接続手段のフランジ状の形成によって、穿孔部および/または切欠きの箇所において、グローワイヤとの電気的な接続も機械的な接続も形成される。平坦な接続面とは、接触接続面上に面状にかつ平らに載置されているグローワイヤの一部を意味し、平面における接続面の延在長さは、その厚さと比較して格段に大きい。
【0016】
特に有利には、グローワイヤの接続面における穿孔部および/または切欠きは、グローワイヤを、平らな接触接続面上で、ワイヤボンディングされた球体、いわゆるスタッドバンプとクランプし、これによって固定するために使用される。形成された接続によって、耐熱金属製のグローワイヤは、電気的にも機械的にも確実に接触接続面に接触接続される。グローワイヤの平坦な接続面の構造的な変更と、既知のボールボンディングとの組み合わせによって、半導体技術およびマイクロシステム技術の確立された、高度に自動化された方法を用いて、これまで、長期的に安定せずに、または極めて大きなコストをかけてのみ接触接続可能であるとされていた耐熱金属が、確実かつ長期的に安定して、大きなコストをかけずに接触接続される。
【0017】
半導体技術およびマイクロシステム技術においてスタッドバンプと称され、既知であるワイヤボンディングされた球体は、接触接続面と、圧力、熱および超音波によって、材料接続式の接続を形成し、ボンディングボールは横断面で見て、平坦化された球体である。このようなフランジ状の平坦化は、本発明による装置では、リベット接続と同様に、接触接続面に対するグローワイヤの接続面の機械的なクランプのために使用される。グローワイヤの接続面と、穿孔部および/またはグローワイヤの接続面の縁部における切欠きにおけるスタッドバンプとの面状の接触接続によって、電気的な接続も形成されている。本発明による接触接続を伴う熱放射源の動作時には、付加的に、グローワイヤおよび接触接続手段の熱膨張が生じるので、グローワイヤの接続面と接触接続面との間の接触接続抵抗はゼロに近づく。
【0018】
耐熱金属の従来既知の接触接続に対する利点は、特に、本発明による装置によって、耐熱金属の接触接続箇所の脆化が生じなくなり、材料の移動がもはや生じなくなり、ひいては耐熱金属製の接触接続箇所を備える構成要素の耐用年数を大幅に延ばすことができる点にある。このような接触接続形態は、半導体技術およびマイクロシステム技術の確立された、高度に自動化された方法によって極めて容易に形成され、したがって、耐熱金属が接触接続されなければならないマイクロエレクトロニクスシステム、オプトエレクトロニクスシステムまたはマイクロオプトエレクトロニクスメカニカルシステム(MOEMS)の製造プロセスに容易に統合され得る。
【0019】
本発明による装置の一構成では、穿孔部は、円形、三角形(n=3)、四角形(n=4)および/またはn角形に形成されている。ここで、nは2より大きい自然数である。ボンディングワイヤの直径とワイヤボンディングの際のプロセスパラメータとに関連するスタッドバンプの大きさに応じて、機械的な接触接続および電気的な接触接続を最適化することができる。典型的なボンディングワイヤの直径は、(10…50)μmの範囲にある。その結果、典型的には100μm未満の直径を有するスタッドバンプが生じる。穿孔部および切欠きの直径は、確実なクランプを行うことができるようにするために、スタッドバンプの直径よりも小さくなければならない。
【0020】
本発明による装置の別の構成では、切欠きは、三角形(n=3)、四角形(n=4)、台形状(n=4)、円弧状および/またはn角形に形成されている。ここで、nは2より大きい自然数である。ボンディングワイヤの直径とワイヤボンディングの際のプロセスパラメータとに関連するスタッドバンプの大きさに応じて、機械的な接触接続および電気的な接触接続を最適化することができる。
【0021】
グローワイヤの接続面は穿孔部も切欠きも有していてよい、またはその形状が自由に組合せ可能である穿孔部と切欠きとを有していてよい。
【0022】
本発明による接触接続の別の構成では、接触接続面および接触接続手段は、好適には金および/または銅から成る。金および銅は、優れた電気的特性および熱的特性を有しており、極めて良好に加工される。特に金はさらに、高い耐腐食性を有し、かつ容易にロウ付け可能である。
【0023】
本発明による接触接続の別の構成では、グローワイヤの耐熱金属は、タングステンまたはタンタルである。これらの材料は、好ましくは、高い放射出力を有する熱放射源において使用される。なぜなら、これらの材料は、極めて高い融点を有しているからである。
【0024】
本発明による接触接続の一構成では、グローワイヤと接触接続箇所との間の化学反応が生じることなく、700℃を超える温度にグローワイヤを加熱することができる。接触接続箇所は、接触接続手段が接触接続面と材料接続式に接続されており、穿孔部および/または切欠きによって、グローワイヤの接続面と接触接続面との間に機械的な接続および電気的な接続が形成される箇所を表す。これは、グローワイヤの変更された接続面と、穿孔部および/または切欠きの箇所における接触接続手段とその下に位置する接触接続面とのボンディングとの組み合わせによってのみ可能である。耐熱金属製のグローワイヤは接触接続面と化学結合しないので、700℃を超える極めて高い温度において、耐熱金属と接触接続手段の材料との間において、もはや材料の流れもしくは材料の移動は生じない。したがって、グローワイヤに沿った卑材料のクリープおよびグローワイヤとの化学反応は阻止される。熱放射源の耐用年数を短くする脆化および所定の破壊箇所の形成はもはや生じない。
【0025】
上述の課題は、請求項1から6までのいずれか1項記載の、熱放射源のグローワイヤの機械的な接触接続および電気的な接触接続のための装置を製造する方法によっても解決され、ここでは、接触接続手段を、ワイヤボンディングを用いて、穿孔部および/または切欠きの箇所において接触接続面上へ被着させ、接触接続手段を、グローワイヤの接続面の上側のフランジ状の突出部の真上で、穿孔部および/または切欠きの箇所において切り離す。
【0026】
本発明による装置および装置の製造は、半導体技術およびマイクロシステム技術における使用を想定しており、このような使用に適しており、かつこのような使用のために構成されている。
【0027】
以降では、本発明を実施例に基づいて、より詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0028】
図1】平らな接触接続面上に球体状の隆起部、いわゆるスタッドバンプを製造するための、フリップチップ実装から既知のボールボンディング方法を示す図である。
図2】マイクロエレクトロニクス構成部分における、従来技術から既知の、ワイヤボンディングの接触接続形態を示す図である。
図3】本発明による穿孔部を備えるグローワイヤの接続面の実施形態を示す図であり、ここでは(a)円形の穿孔部、(b)三角形の穿孔部、(c)方形の穿孔部、(d)n角形の穿孔部である。
図4】本発明による切欠きを備えるグローワイヤの接続面の実施形態を示す図であり、ここでは(a)三角形の切欠き、(b)方形の切欠き、(c)台形状の切欠き、(d)種々異なる切欠きの組み合わせである。
図5】本発明による穿孔部および切欠きを備える耐熱金属製のグローワイヤの接続面の実施形態を示す図であり、ここでは(a)円形の穿孔部および台形状の切欠き、(b)円形の穿孔部および三角形の切欠きである。
図6】スタッドバンプを用いた、耐熱金属製のグローワイヤの接触接続の本発明による実施形態を示す図である。
図7】1つの穿孔部および2つの切欠きにおける接触接続面上のグローワイヤの本発明による接触接続の横断面を示す図である。
【0029】
図3は、種々異なる形状の穿孔部を備えるグローワイヤの本発明による接続面10の実施形態を示している。ボンディングワイヤの直径およびワイヤボンディング時のプロセスパラメータに関連するスタッドバンプ7の大きさ、すなわち接触接続手段の大きさに応じて、機械的な接触接続および電気的な接触接続を最適化することができる。
【0030】
図4は、種々異なる形状の切欠きを備えるグローワイヤの本発明による接続面10の別の実施形態を示している。ボンディングワイヤの直径およびワイヤボンディング時のプロセスパラメータに関連するスタッドバンプ7の大きさに応じて、機械的な接触接続および電気的な接触接続を最適化することができる。
【0031】
図5は、種々異なる形状の穿孔部11と切欠き17とを備えるグローワイヤの本発明による接続面10の好ましい実施形態を示している。ボンディングワイヤの直径を任意に小さくすることができないので、穿孔部11と切欠き17との組み合わせは、特に接触接続箇所の面積が極めて小さい場合に有利である。なぜなら、このようにして、接触接続箇所をより多くすることが可能になるからである。穿孔部11に第1のスタッドバンプ7を設けることによって、グローワイヤは固定され、ずれないようにされる。ここで、切欠き17内の更なるスタッドバンプ7は、必要となる機械的安定性および良好な電気的な接触接続をもたらす。
【0032】
図6は、耐熱金属製のグローワイヤの構造化された接続面10と、ボンディングされたスタッドバンプ7との間の本発明による接触接続の好ましい実施形態を示している。特に有利には、グローワイヤの接続面10における穿孔部11および/または切欠き17は、グローワイヤを、平らな接触接続面4上で、ワイヤボンディングされた球体、すなわちスタッドバンプ7とクランプし、これによって固定するために使用される。形成された接続によって、耐熱金属製のグローワイヤは、電気的にも機械的にも確実に接触接続面4に接触接続される。このような接続は、長期的に安定して、確実に、大きなコストをかけずに形成可能である。
【0033】
たとえば金または銅から成るスタッドバンプ7は、同様にたとえば金または銅から成る接触接続面4と材料接続式の接続を形成し、ボンディングされたボンディングボール3は、横断面で見て、切り離されたボンディングワイヤ端部19を備えた平坦化された球体18である(図7)。このようなフランジ状の平坦化18は、リベット接続と同様に、接触接続面4に対するグローワイヤの接続面10の機械的なクランプのために使用される。グローワイヤの接続面10と、穿孔部11および/またはグローワイヤの接続面10の縁部における切欠き17におけるスタッドバンプ7との面状の接触接続によって、電気的な接続も形成されている。本発明による接触接続を伴う熱放射源の動作時には、付加的に、グローワイヤおよび接触接続手段(たとえば金線)の熱膨張が生じるので、グローワイヤの接続面10と接触接続面4との間の接触接続抵抗はゼロに近づく。
【0034】
従来既知の、耐熱金属の接触接続に対する利点は、特に、本発明による装置によって、接触接続箇所の脆化が生じなくなり、材料の移動がもはや生じなくなり、ひいては耐熱金属を有する接触接続箇所を備える構成要素の耐用年数を大幅に延ばすことができる点にある。接触接続箇所等の手間のかかる不動態化は省かれる。
【符号の説明】
【0035】
1 ワイヤボンディング装置のキャピラリ
2 ボンディングワイヤ
3 ボール
4 接触接続面、電気的な端子
5 構成要素
6 ボールボンディング
7 スタッドバンプ
8 基板
9 ウェッジボンディング
10 グローワイヤの接続面/接触接続面
11 円形の穿孔部
12 三角形の穿孔部
13 方形の穿孔部
14 n角形の穿孔部
15 三角形の切欠き
16 方形の切欠き
17 台形状の切欠き
18 平坦化された球体
19 切り離されたボンディングワイヤ
図1
図2
図3
図4
図5
図6a)】
図6b)】
図7