(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-11
(45)【発行日】2024-09-20
(54)【発明の名称】自動車投光器用の照射装置
(51)【国際特許分類】
F21S 41/63 20180101AFI20240912BHJP
F21S 41/40 20180101ALI20240912BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240912BHJP
F21Y 115/30 20160101ALN20240912BHJP
【FI】
F21S41/63
F21S41/40
F21Y115:10
F21Y115:30
(21)【出願番号】P 2023520513
(86)(22)【出願日】2021-08-25
(86)【国際出願番号】 EP2021073517
(87)【国際公開番号】W WO2022073683
(87)【国際公開日】2022-04-14
【審査請求日】2023-04-04
(32)【優先日】2020-10-06
(33)【優先権主張国・地域又は機関】EP
(73)【特許権者】
【識別番号】593045569
【氏名又は名称】ツェットカーヴェー グループ ゲーエムベーハー
(74)【代理人】
【識別番号】100080816
【氏名又は名称】加藤 朝道
(74)【代理人】
【識別番号】100098648
【氏名又は名称】内田 潔人
(72)【発明者】
【氏名】アルトナー、マルティン
【審査官】野木 新治
(56)【参考文献】
【文献】独国特許出願公開第102014000474(DE,A1)
【文献】特開2019-160456(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 41/63
F21S 41/40
F21Y 115/10
F21Y 115/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するための発光手段を含み、但し前記発光手段は、光像面内に位置する光像を生成するように構成されており、
- 前記発光手段を用いて生成された光像から配光を形成するための光学要素(2)を含み、但し前記光学要素(2)は、光伝播方向で前記光像面の
前に配設されており、焦点と光軸線(2a)を有し、前記焦点は、前記光学要素(2)と前記発光手段の間に位置し、前記光軸線(2a)は、前記光学要素(2)と前記発光手段の間に延在し、前記光学要素(2)は、前記光像を配光の形で交通空間内に結像するように構成されており、
- 保持装置(3)を含み、前記保持装置(3)は、前記発光手段に関係する前記光学要素(2)のポジションを、前記発光手段のスイッチオフ状態で前記光学要素(2)の前記焦点が前記光像面外に位置するように保持する構成を有し、
前記保持装置(3)は、前記光学要素(2)を前記保持装置(3)と接続する少なくとも1つの補償要素(4)を有し、前記補償要素(4)は、第1の端部分(4a)と第2の端部分(4b)を有し、前記第1の端部分(4a)は、前記光学要素(2)と接続され、前記第2の端部分(4b)は、前記保持装置(3)と接続されており、前記補償要素(4)は、前記補償要素(4)が所定方向(X)に温度依存の長手方向膨張を有するように構成された材料から形成されており、前記所定方向(X)は、前記光学要素(2)の前記光軸線(2a)と平行に延在し、前記補償要素(4)は、前記光学要素(2)の前記焦点が前記光像面内に位置するよう前記光学要素(2)を温度に依存して前記光像面に対して旋回及び/又は摺動させるように、前記光学要素(2)と接続されて構成されていること、
及び、
前記保持装置(3)は、少なくとも1つの係合要素(6)を有し、前記係合要素(6)は、前記所定方向(X)で互いに離間して配設されている少なくとも2つのロック凹部(6a、6b)を有し、前記補償要素(4)は、前記係合要素(6)の前記ロック凹部(6a、6b)の1つに係合するように構成されたロック要素(5)を有し、第1の前記ロック凹部(6a)内の前記ロック要素(5)の係合は、前記発光手段に対して前記光学要素(2)の第1のポジションを規定し、第2の前記ロック凹部(6b)内の前記ロック要素(5)の係合は、前記発光手段に対して前記光学要素(2)の第2のポジションを規定し、前記光学要素(2)は、前記発光手段に対し、前記第2のポジションでは前記第1のポジションに比べて、より大きく旋回及び/又はより大きく摺動されていること、
を特徴とする照射装置。
【請求項2】
前記補償要素(4)の長手方向膨張の温度依存の変化による前記光学要素(2)の旋回
は、y軸線の周り及び/又はz軸線の周りの前記光学要素(2)の旋回
を含み、前記補償要素(4)の長手方向膨張の温度依存の変化による前記光学要素(2)の摺動は、前記所定方向(X)に沿った摺動を含み、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ前記所定方向(X)に直交するように配向されていること、
を特徴とする、請求項1に記載の照射装置。
【請求項3】
前記光学要素(2)は、前記発光手段に対し、前記第
2のポジションでは前記第
1のポジションに比べて
、y軸線の周り及び/又はz軸線の周りに
より大きく旋回され
、及び/又は前記所定方向(X)に沿って
より大きく摺動されており、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ前記所定方向(X)に直交するように配向されていること、
を特徴とする、請求項
1又は2に記載の照射装置。
【請求項4】
前記第1のポジションから前記第2のポジションへの前記光学要素(2)の旋回及び/又は摺動は、前記補償要素(4)の温度依存の長手方向膨張による前記光学要素(2)の旋回及び/又は摺動よりも大きいこと、
を特徴とする、請求項
3に記載の照射装置。
【請求項5】
前記光学要素(2)は、第1の固定領域と第2の固定領域を有し、前記第1の固定領域は、前記第2の固定領域に対して直径上で反対の位置に配設されており、前記第1の固定領域では第1の前記補償要素(4)が前記光学要素(2)と接続され、前記第2の固定領域では第2の前記補償要素(4)が前記光学要素(2)と接続されており、第1の前記補償要素(4)は、前記保持装置(3)と接続されており、第1の前記係合要素(6)に係合し、第2の前記補償要素(4)は、前記保持装置(3)と接続されており、第2の前記係合要素(6)に係合すること、
を特徴とする、請求項
1~
4のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項6】
前記ロック要素(5)は、前記補償要素(4)の表面から実質的にy軸線又はz軸線に沿って離れるように延在するロックノーズとして構成されていること、
を特徴とする、請求項
1~
5のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項7】
前記補償要素(4)は、ロッド状に構成されていること、
を特徴とする、請求項1~
6のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項8】
前記保持装置(3)は、中空体として構成されており、前記中空体は、導光路と、前記導光路を取り囲む外殻部とを含み、前記外殻部は、第1の端部分と、前記第1の端部分に向き合っている第2の端部分とを有し、前記外殻部の少なくとも1つの端部分は、少なくとも1つの係合要素(6)を有し、前記外殻部の前記第1の端部分に前記発光手段が配設され、前記外殻部の前記第2の端部分に前記光学要素(2)が配設されていること、
を特徴とする、請求項1~
7のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項9】
前記発光手段の光は、前記発光手段から前記導光路を通って前記光学要素(2)上に放射され、前記外殻部は、非透光性で構成されていること、
を特徴とする、請求項
8に記載の照射装置。
【請求項10】
係合要素(6)は、3つ以上のロック凹部(6a、6b、6c)を有すること、
を特徴とする、請求項1~
9のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項11】
前記光学要素(2)は、レンズとして構成されていること、
を特徴とする、請求項1~
10のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項12】
前記発光手段と前記光学要素(2)の間には、絞り部材が配設されており、前記絞り部材は、前記光像面内に位置すること、
を特徴とする、請求項1~
11のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項13】
前記補償要素(4)は、第1の熱膨張係数を有し、前記光学要素(2)は、第2の熱膨張係数を有し、前記保持装置(3)は、第3の熱膨張係数を有し、前記第1の熱膨張係数は、前記第2の熱膨張係数及び前記第3の熱膨張係数と異なること、
を特徴とする、請求項1~
12のいずれか一項に記載の照射装置。
【請求項14】
請求項1~
13のいずれか一項に記載の照射装置を含んだ自動車投光器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車投光器用の照射装置に関し、該照射装置は、
- 光を生成して放射するための発光手段を含み、但し発光手段は、光像面内に位置する光像を生成するように構成されており、
- 発光手段を用いて生成された光像から配光を形成するための光学要素を含み、但し光学要素は、光伝播方向で光像面の後に配設されており、焦点と光軸線を有し、焦点は、光学要素と発光手段の間に位置し、光軸線は、光学要素と発光手段の間に延在し、光学要素は、光像を配光の形で交通空間内に結像するように構成されており、
- 保持装置を含み、保持装置は、発光手段に関係する光学要素のポジションを、好ましくは発光手段のスイッチオフ状態で光学要素の焦点が光像面外に位置するように保持する構成を有する。
【0002】
更に本発明は、照射装置を含んだ自動車投光器に関する。
【背景技術】
【0003】
自動車投光器用の照射装置は、従来技術において既知である。これらの照射装置は、通常は、発光手段と、発光手段の光を交通空間内に結像する結像システムとを有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】独国特許出願公開第102014000474号
【文献】独国特許出願公開第102018101983号
【文献】独国特許出願公開第102017106864号
【文献】独国特許出願公開第102007052985号
【文献】欧州特許出願公開第2133721号
【文献】チェコ共和国特許出願第2013981号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
欠点としては、温度起因で、特に発光手段が生成する熱により、結像システムが加熱されることが挙げられ、このような加熱は、結像システムの望まれない熱膨張を伴う。またこのような熱膨張は、結像システムを用いて生成される光像を変化させてしまう結像欠陥をもたらすことになる。
【0006】
照射装置のコンポーネントの温度起因の膨張を最小限に抑えるために、従来技術では、通常は、発光手段又は結像システムの冷却、或いは発光手段又は結像システムの特に効率的な断熱が実施される。しかしそのためには、コストが高く且つ複雑な冷却システム又は断熱システムが必要とされる。
【0007】
本発明の課題は、従来技術の欠点を軽減ないし排除することにある。つまり本発明は、特に、照射装置の温度起因の膨張の補償機能が改善される照射装置を創作することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題は、請求項1の特徴を有する照射装置により解決される。好ましい実施形態は、従属請求項に記載されている。
即ち本発明の第1の視点により、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するための発光手段を含み、但し前記発光手段は、光像面内に位置する光像を生成するように構成されており、
- 前記発光手段を用いて生成された光像から配光を形成するための光学要素を含み、但し前記光学要素は、光伝播方向で前記光像面の後に配設されており、焦点と光軸線を有し、前記焦点は、前記光学要素と前記発光手段の間に位置し、前記光軸線は、前記光学要素と前記発光手段の間に延在し、前記光学要素は、前記光像を配光の形で交通空間内に結像するように構成されており、
- 保持装置を含み、前記保持装置は、前記発光手段に関係する前記光学要素のポジションを、前記発光手段のスイッチオフ状態で前記光学要素の前記焦点が前記光像面外に位置するように保持する構成を有し、
前記保持装置は、前記光学要素を前記保持装置と接続する少なくとも1つの補償要素を有し、前記補償要素は、第1の端部分と第2の端部分を有し、前記第1の端部分は、前記光学要素と接続され、前記第2の端部分は、前記保持装置と接続されており、前記補償要素は、前記補償要素が所定方向に温度依存の長手方向膨張を有するように構成された材料から形成されており、前記所定方向は、前記光学要素の前記光軸線と平行に延在し、前記補償要素は、前記光学要素の前記焦点が前記光像面内に位置するよう前記光学要素を温度に依存して前記光像面に対して旋回及び/又は摺動させるように、前記光学要素と接続されて構成されていること、
を特徴とする照射装置が提供される。
より詳しくは、前記第1の視点において、
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するための発光手段を含み、但し前記発光手段は、光像面内に位置する光像を生成するように構成されており、
- 前記発光手段を用いて生成された光像から配光を形成するための光学要素を含み、但し前記光学要素は、光伝播方向で前記光像面の前に配設されており、焦点と光軸線を有し、前記焦点は、前記光学要素と前記発光手段の間に位置し、前記光軸線は、前記光学要素と前記発光手段の間に延在し、前記光学要素は、前記光像を配光の形で交通空間内に結像するように構成されており、
- 保持装置を含み、前記保持装置は、前記発光手段に関係する前記光学要素のポジションを、前記発光手段のスイッチオフ状態で前記光学要素の前記焦点が前記光像面外に位置するように保持する構成を有し、
前記保持装置は、前記光学要素を前記保持装置と接続する少なくとも1つの補償要素を有し、前記補償要素は、第1の端部分と第2の端部分を有し、前記第1の端部分は、前記光学要素と接続され、前記第2の端部分は、前記保持装置と接続されており、前記補償要素は、前記補償要素が所定方向に温度依存の長手方向膨張を有するように構成された材料から形成されており、前記所定方向は、前記光学要素の前記光軸線と平行に延在し、前記補償要素は、前記光学要素の前記焦点が前記光像面内に位置するよう前記光学要素を温度に依存して前記光像面に対して旋回及び/又は摺動させるように、前記光学要素と接続されて構成されていること、及び、
前記保持装置は、少なくとも1つの係合要素を有し、前記係合要素は、前記所定方向で互いに離間して配設されている少なくとも2つのロック凹部を有し、前記補償要素は、前記係合要素の前記ロック凹部の1つに係合するように構成されたロック要素を有し、第1の前記ロック凹部内の前記ロック要素の係合は、前記発光手段に対して前記光学要素の第1のポジションを規定し、第2の前記ロック凹部内の前記ロック要素の係合は、前記発光手段に対して前記光学要素の第2のポジションを規定し、前記光学要素は、前記発光手段に対し、前記第2のポジションでは前記第1のポジションに比べて、より大きく旋回及び/又はより大きく摺動されていること、
を特徴とする。
更に本発明の第2の視点により、
前記照射装置を含んだ自動車投光器が提供される。
尚、本願の特許請求の範囲に付記された図面参照符号は、専ら本発明の理解の容易化のためのものであり、図示の形態への限定を意図するものではないことを付言する。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明において、以下の形態が可能である。
(形態1)
自動車投光器用の照射装置であって、前記照射装置は、
- 光を生成して放射するための発光手段を含み、但し前記発光手段は、光像面内に位置する光像を生成するように構成されており、
- 前記発光手段を用いて生成された光像から配光を形成するための光学要素を含み、但し前記光学要素は、光伝播方向で前記光像面の後に配設されており、焦点と光軸線を有し、前記焦点は、前記光学要素と前記発光手段の間に位置し、前記光軸線は、前記光学要素と前記発光手段の間に延在し、前記光学要素は、前記光像を配光の形で交通空間内に結像するように構成されており、
- 保持装置を含み、前記保持装置は、前記発光手段に関係する前記光学要素のポジションを、好ましくは前記発光手段のスイッチオフ状態で前記光学要素の前記焦点が前記光像面外に位置するように保持する構成を有し、
前記保持装置は、前記光学要素を前記保持装置と接続する少なくとも1つの補償要素を有し、前記補償要素は、第1の端部分と第2の端部分を有し、前記第1の端部分は、前記光学要素と接続され、前記第2の端部分は、前記保持装置と接続されており、前記補償要素は、前記補償要素が所定方向に温度依存の長手方向膨張を有するように構成された材料から形成されており、前記所定方向は、前記光学要素の前記光軸線と平行に延在し、前記補償要素は、前記光学要素の前記焦点が前記光像面内に位置するよう前記光学要素を温度に依存して前記光像面に対して旋回及び/又は摺動させるように、前記光学要素と接続されて構成されていること。
(形態2)
前記補償要素の長手方向膨張の温度依存の変化による前記光学要素の旋回及び/又は摺動は、y軸線の周り及び/又はz軸線の周りの前記光学要素の旋回、及び/又は前記所定方向に沿った摺動を含み、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ前記所定方向に直交するように配向されていること、が好ましい。
(形態3)
前記保持装置は、少なくとも1つの係合要素を有し、前記係合要素は、前記所定方向で互いに離間して配設されている少なくとも2つのロック凹部を有し、前記補償要素は、前記係合要素の前記ロック凹部の1つに係合するように構成されたロック要素を有し、第1の前記ロック凹部内の前記ロック要素の係合は、前記発光手段に対して前記光学要素の第1のポジションを規定し、第2の前記ロック凹部内の前記ロック要素の係合は、前記発光手段に対して前記光学要素の第2のポジションを規定し、前記光学要素は、前記発光手段に対し、前記第1のポジションでは前記第2のポジションに比べて旋回及び/又は摺動されていること、が好ましい。
(形態4)
前記光学要素は、前記発光手段に対し、前記第1のポジションでは前記第2のポジションに比べてy軸線の周り及び/又はz軸線の周りに旋回され及び/又は前記所定方向に沿って摺動されており、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ前記所定方向に直交するように配向されていること、が好ましい。
(形態5)
前記第1のポジションから前記第2のポジションへの前記光学要素の旋回及び/又は摺動は、前記補償要素の温度依存の長手方向膨張による前記光学要素の旋回及び/又は摺動よりも大きいこと、が好ましい。
(形態6)
前記光学要素は、第1の固定領域と第2の固定領域を有し、前記第1の固定領域は、前記第2の固定領域に対して直径上で反対の位置に配設されており、前記第1の固定領域では1つの前記補償要素が前記光学要素と接続され、前記第2の固定領域では1つの更なる前記補償要素が前記光学要素と接続されており、1つの前記補償要素は、前記保持装置と接続されており、第1の前記係合要素に係合し、1つの更なる前記補償要素は、前記保持装置と接続されており、第2の前記係合要素に係合すること、が好ましい。
(形態7)
前記ロック要素は、前記補償要素の表面から実質的にy軸線又はz軸線に沿って離れるように延在するロックノーズとして構成されていること、が好ましい。
(形態8)
前記補償要素は、ロッド状に構成されていること、が好ましい。
(形態9)
前記保持装置は、中空体として構成されており、前記中空体は、導光路と、前記導光路を取り囲む外殻部とを含み、前記外殻部は、第1の端部分と、前記第1の端部分に向き合っている第2の端部分とを有し、少なくとも1つの端部分は、少なくとも1つの係合要素を有し、好ましくは、前記第1の端部分に前記発光手段が配設され、前記第2の端部分に前記光学要素が配設されていること、が好ましい。
(形態10)
前記発光手段の光は、前記発光手段から前記導光路を通って前記光学要素上に放射され、好ましくは、前記外殻部は、非透光性で構成されていること、が好ましい。
(形態11)
係合要素は、3つ以上のロック凹部を有すること、が好ましい。
(形態12)
前記光学要素は、レンズとして構成されていること、が好ましい。
(形態13)
前記発光手段と前記光学要素の間には、絞り部材が配設されており、好ましくは、前記絞り部材は、前記光像面内に位置すること、が好ましい。
(形態14)
前記補償要素は、第1の熱膨張係数を有し、前記光学要素は、第2の熱膨張係数を有し、前記保持装置は、第3の熱膨張係数を有し、前記第1の熱膨張係数は、前記第2の熱膨張係数及び前記第3の熱膨張係数と異なること、が好ましい。
(形態15)
前記照射装置を含んだ自動車投光器。
【0010】
本発明により、保持装置は、光学要素を保持装置と接続する少なくとも1つの補償要素を有し、この際、補償要素は、第1の端部分と第2の端部分を有し、第1の端部分は、光学要素と接続され、第2の端部分は、保持装置と接続されており、この際、補償要素は、補償要素が所定方向(X)に温度依存の長手方向膨張(縦膨張)を有するように構成された材料から形成されており、この際、所定方向(X)は、光学要素の光軸線と平行に延在し、この際、補償要素は、光学要素の焦点が光像面内に位置するよう光学要素を温度に依存して光像面に対して旋回(回動)及び/又は摺動させるように、光学要素と接続されて構成されている。
【0011】
それにより、光学要素の温度起因の膨張に基づく光学要素の焦点の移動を相殺ないし補償することができるという利点が得られる。光学要素は、焦点ないし焦線を有し、この際、光学要素は、焦点が光像面内に位置する場合に、所望の配光ないし必要な配光を交通空間内に結像する。発光手段のスイッチオン稼働状態では、光学要素の温度起因の膨張が生じることになり、それにより焦点が光像面からずらされる。補償要素は、焦点の熱起因の移動を、特に対応の長さ変化により、補償することができるような温度依存の(又は温度起因の)長さ変化ないし長手方向膨張を有する(補償要素の長さは、特に可変であり、温度の増加とともに所定方向(X)で大きくなり、温度の減少とともに所定方向(X)で小さくなることができる)。光学要素の旋回ないし摺動は、旋回後ないし摺動後に焦点が光像面内に位置するために、光学要素が発光手段ないし光像面に対して旋回及び/又は摺動されるように、焦点の熱起因の移動に対して反対に作用する。
【0012】
焦点は、発光手段のスイッチオフ状態では光像面外にあり、そしてスイッチオフ状態と比べてより高い温度となる発光手段のスイッチオン状態では、光学要素の旋回及び/又は摺動により光像面内に位置することになる。焦点の移動は、補償要素の温度起因の膨張又は温度起因の圧縮により行われることができる。補償要素は、焦点が常に、特に現存の温度で又は温度変化中ないし温度変化後に、光像面内に位置するように、光学要素を旋回及び/又は摺動させるように構成されていることが可能である。換言すると、補償要素は、光学要素を、連続的な温度変化中に、例えば好ましくは連続的な温度上昇中又は温度低下中に、連続的ないし動的(ダイナミック)に旋回及び/又は摺動させるように構成されて取り付けられていることが可能である。
【0013】
補償要素の材料は、補償要素の温度依存の長さ変化が、光学要素の加熱に基づく焦点の移動を補償ないし相殺するように選択されることが可能である。保持装置は、発光手段と光学要素の間に配設されていることが可能である。発光手段は、光源を有し、例えばLED又はレーザ光源を有することができ、光像面内に光像を生成するように構成された手段を含むことができる。光学要素は、配光の形の光像、例えばロービーム配光を交通空間内に結像することができる。補償要素は、温度変化が、好ましくは連続的な温度変化が、補償要素の好ましくは連続的な長さ変化を引き起こすように構成されていることが可能である。補償要素の長さは、特に温度の関数である。温度変化に基づく長さ変化は、例えば、10℃ごとに、0.1mm~1mmの値、好ましくは0.2mm~0.8mmの値をとることができる。補償要素は、例えば、金属、又はプラスチック、好ましくはアルミニウム、亜鉛ダイカスト、ポリシクロヘキシレンジメチレンテレフタレート(Polycyclohexylendimethylenterephthalat)、ポリフェニレンエーテル(Polyphenylenether)、ポリアミド(Polyamid)、ポリ塩化ビニル(Polyvinylchlorid)、ポリプロピレン(Polypropylen)などを含むことができる。
【0014】
補償要素の長手方向膨張の温度依存の変化による光学要素の旋回及び/又は摺動は、y軸線の周り及び/又はz軸線の周りの光学要素の旋回、及び/又は所定方向(X)に沿った摺動を含むことができ、この際、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ所定方向(X)に直交するように配向されている。所定方向(X)は、光放射方向に配向され、及び/又は照射装置を有する自動車の走行方向に配向されていることが可能である。y軸線とz軸線は、好ましくは光学要素の対称面内に位置し、この際、対称面は、所定方向(X)に直交するように配向されている。光学要素は、例えばレンズを含み、この際、対称面は、レンズの対称面を形成する。
【0015】
保持装置は、少なくとも1つの係合要素を有することができ、この際、係合要素は、所定方向(X)で互いに離間して配設されている少なくとも2つのロック凹部(ロックリセス)を有し、この際、補償要素は、係合要素のロック凹部の1つに係合するように構成されたロック要素を有し、この際、第1のロック凹部内のロック要素の係合は、発光手段に対して光学要素の第1のポジションを規定し、第2のロック凹部内のロック要素の係合は、発光手段に対して光学要素の第2のポジションを規定し、この際、光学要素は、発光手段に対し、第1のポジションでは第2のポジションに比べて旋回及び/又は摺動されている。光学要素は、発光手段ないし光像面に対し、第1のポジションでは第1の間隔を有し、第2のポジションでは第2の間隔を有することができる。光学要素は、発光手段ないし光像面に対し、第1のポジションでは第1の角度を有し、第2のポジションでは第2の角度を有することができる。ロック要素が第1のロック凹部から第2のロック凹部内に移行される移行では、好ましくは、第1の間隔から第2の間隔への光学要素の摺動、及び/又は第1の角度から第2の角度への光学要素の摺動がもたらされる。補償要素と保持装置は、特に、互いに固定的にないし動かないようにないし取り外し不能に接続(結合)されていることも可能であり、この際、補償要素と保持装置の間の接続は、例えばレーザ溶接を用いて製造可能である。
【0016】
光学要素は、発光手段に対し、第1のポジションでは第2のポジションに比べてy軸線の周り及び/又はz軸線の周りに旋回され及び/又は所定方向(X)に沿って摺動されていることができ、この際、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ所定方向(X)に直交するように配向されている。y軸線とz軸線は、好ましくは光学要素の対称面内に位置し、この際、対称面は、所定方向(X)に直交するように配向されている。
【0017】
第1のポジションから第2のポジションへの光学要素の旋回及び/又は摺動は、補償要素の温度依存の長手方向膨張による光学要素の旋回及び/又は摺動よりも大きい。従って、第1のポジションから第2のポジションへの光学要素の旋回及び/又は摺動を用い、光学要素の温度変化に基づく焦点の変位を大まかにないし大きく補償することができ、また補償要素の長手方向膨張の温度依存の変化により焦点の変位を細かくないし小さく補償することができるという利点が得られる。
【0018】
光学要素は、第1の固定領域と第2の固定領域を有し、この際、第1の固定領域は、第2の固定領域に対して直径上で反対の位置に配設されており、この際、第1の固定領域では1つの補償要素(第1の補償要素)が光学要素と接続され、第2の固定領域では1つの更なる補償要素(第2の補償要素)が光学要素と接続されており、この際、1つの補償要素は、保持装置と接続されており、第1の係合要素に係合し、1つの更なる補償要素は、保持装置と接続されており、第2の係合要素に係合する。それにより1つの補償要素と1つの更なる補償要素とを用い、例えば、y軸線の周りの光学要素の旋回を行うことができ、或いはz軸線の周りの光学要素の旋回を行うことができるという利点が得られる。
【0019】
ロック要素は、補償要素の表面から実質的にy軸線又はz軸線に沿って離れるように延在するロックノーズとして構成されている。
【0020】
補償要素は、ロッド状に構成されていることができる。特に補償要素は、縦長に構成されている。補償要素は、好ましくは、補償要素の幅及び高さより、少なくとも5倍大きい長さ、好ましくは10倍大きい長さ、特に好ましくは15倍より大きい長さを有する。
【0021】
保持装置は、中空体として構成されていることができ、中空体は、導光路と、導光路を取り囲む外殻部とを含み、この際、外殻部は、第1の端部分と、第1の端部分に向き合っている第2の端部分とを有し、この際、少なくとも1つの端部分は、少なくとも1つの係合要素を有し、この際、好ましくは、第1の端部分に発光手段が配設され、第2の端部分に光学要素が配設されている。保持装置は、中空の導光管材として構成されていることができ、この際、導光管材の第1の端部には発光手段が配設され、導光管材の第2の端部には光学要素が配設されている。
【0022】
発光手段の光は、発光手段から導光路を通って光学要素上に放射されることができ、この際、好ましくは、外殻部は、非透光性で構成されている。
【0023】
係合要素は、3つ以上のロック凹部(ロックリセス)を有することができる。それにより温度起因の焦点移動の大まかな補正を3段階以上で行うことができる。2つ、3つ、又はそれよりも多くの凹部は、特に互いに同等の間隔で配設されている。
【0024】
光学要素は、レンズとして構成されていることができる。レンズは、例えば、球面レンズ、非球面レンズ、凸レンズ、両凸レンズ、凹レンズ、両凹レンズ、又は自由形状レンズとすることができる。
【0025】
発光手段と光学要素の間には、絞り部材(シェード部材)が配設されていることができ、この際、好ましくは、絞り部材は、光像面内に位置する。
【0026】
補償要素は、第1の熱膨張係数を有し、光学要素は、第2の熱膨張係数を有し、保持装置は、第3の熱膨張係数を有し、この際、第1の熱膨張係数は、第2の熱膨張係数及び第3の熱膨張係数と異なる。第2の熱膨張係数及び第3の熱膨張係数は、それぞれ同じであるか又は異なっていてもよい。第1の熱膨張係数は、0.03K-1と0.25K-1の間、好ましくは0.06K-1と0.2K-1の間に位置することができる。
【0027】
本発明により、照射装置を含んだ自動車投光器が提供される。
【0028】
本明細書の枠内において「上方」、「下方」、「水平方向」、「垂直方向」との概念は、照射装置が例えば自動車内に取り付けられた後で照射装置が通常の使用箇所に配設されている場合の向きの記載として理解することができる。
【0029】
以下、有利な実施例に基づき本発明を更に詳細に説明するが、本発明は、当該実施例に限定されるべきものではない。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【
図1】本発明による一照射装置の詳細図を示す図である。
【
図4】
図4a~
図4cは、照射装置の3つの状態の水平方向の断面図を示す図である。
【
図5】
図5a~
図5cは、照射装置の3つの状態の垂直方向の断面図を示す図である。
【実施例】
【0031】
図1は、自動車投光器用の照射装置1の詳細図を示している。図を簡略化するために本質的でない要素は示されていない。照射装置1は、光を生成して放射するための(非図示の)発光手段を含んでいる。発光手段は、光像面内に位置する光像を生成するように構成されている。更に照射装置1は、発光手段を用いて生成された光像から配光を形成するための光学要素2を含んでいる。光学要素2は、光伝播方向で光像面の後に配設されており、焦点と光軸線2aを有する。図示の実施例において光学要素2は、レンズとして構成されている。光学要素2の焦点は、光学要素2と発光手段の間に位置し、光軸線2aは、光学要素2と発光手段の間に延在する。光学要素2は、光像を配光の形で、例えばロービーム又はハイビームの形で、交通空間内に結像するように構成されている。
【0032】
照射装置1は、保持装置3を含み、保持装置3は、特に、発光手段に関係する光学要素2のポジションを、発光手段のスイッチオフ状態で光学要素2の焦点が好ましくは光像面外に位置するように保持する構成を有する。代替的な一実施形態において保持装置3は、発光手段に関係する光学要素2のポジションを、発光手段のスイッチオフ状態で光学要素2の焦点が光像面内に位置するように保持する構成を有することができる。
【0033】
保持装置3は、光学要素2を保持装置3と接続する少なくとも1つの補償要素4を有する。補償要素4は、第1の端部分4aと第2の端部分4bを有し、この際、第1の端部分4aは、光学要素2と接続され、第2の端部分4bは、保持装置3と接続されている。補償要素4は、特にロッド状に構成されている。
【0034】
補償要素4は、補償要素4が所定方向Xに温度依存の長手方向膨張(縦膨張)を有するように構成された材料から形成されており、この際、所定方向Xは、光学要素2の光軸線2aと平行に延在する。補償要素4は、光学要素2の焦点が、好ましくは常に、光像面内に位置するよう光学要素2を温度に依存して光像面に対して旋回(回動)及び/又は摺動させるように、光学要素2と接続されて構成されている。
【0035】
補償要素4の長手方向膨張の温度依存の変化による光学要素2の旋回及び/又は摺動は、y軸線の周り及び/又はz軸線の周りの光学要素2の旋回、及び/又は所定方向Xに沿った摺動を含むことができる。y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ所定方向Xに直交するように配向されていることができる。
【0036】
図2と
図3で詳細に見てとれるように、保持装置3は、少なくとも1つの係合要素6を有し、この際、係合要素6は、所定方向Xで互いに離間して配設されている少なくとも2つのロック凹部(ロックリセス)6a、6bを有する。補償要素4は、係合要素6のロック凹部6a、6bの1つに係合するように構成されたロック要素5を有する。ロック要素5は、補償要素4の表面から実質的に直角に離れるように延在するロックノーズとして構成されていることが可能である。係合要素6は、3つ以上のロック凹部6a、6b、6cを有することができ、図示の実施例において係合要素6は、5つのロック凹部を有する。
【0037】
第1のロック凹部6a内のロック要素5の係合は、発光手段に対して光学要素2の第1のポジションを規定し、第2のロック凹部6b内のロック要素5の係合は、発光手段に対して光学要素2の第2のポジションを規定する。光学要素2は、発光手段に対し、第1のポジションでは第2のポジションに比べて旋回及び/又は摺動されていることが可能である。光学要素2は、発光手段に対し、第1のポジションでは第2のポジションに比べてy軸線の周り及び/又はz軸線の周りに旋回され及び/又は所定方向Xに沿って摺動されていることが可能であり、この際、y軸線は、z軸線に直交するように配向され、y軸線とz軸線は、それぞれ所定方向Xに直交するように配向されている。
【0038】
第1のポジションから第2のポジションへの光学要素2の旋回及び/又は摺動は、補償要素4の温度依存の長手方向膨張による光学要素2の旋回及び/又は摺動よりも大きい。
【0039】
光学要素2は、第1の固定領域と第2の固定領域を有し、この際、第1の固定領域は、第2の固定領域に対して直径上で反対の位置に配設されている。第1の固定領域では1つの補償要素(第1の補償要素)4が光学要素2と接続され、第2の固定領域では1つの更なる補償要素(第2の補償要素)4が光学要素2と接続されていることが可能であり、この際、1つの補償要素4は、保持装置3と接続されており、第1の係合要素6に係合し、1つの更なる補償要素4は、保持装置3と接続されており、第2の係合要素6に係合する。
【0040】
図4a~
図4cと
図5a~
図5cで見てとれるように、保持装置3は、有利には中空体として構成されており、中空体は、導光路と、導光路を取り囲む外殻部とを含み、この際、外殻部は、第1の端部分と、第1の端部分に向き合っている第2の端部分とを有する。少なくとも1つの端部分は、少なくとも1つの係合要素6を有し、この際、好ましくは、第1の端部分に発光手段が配設され、第2の端部分に光学要素2が配設されている。
【0041】
発光手段の光は、発光手段から導光路を通って光学要素2上に放射され、この際、好ましくは、外殻部は、非透光性で構成されている。
【0042】
発光手段と光学要素2の間には、絞り部材(シェード部材)が配設されていることが可能であり、この際、絞り部材は、好ましくは光像面内に位置する。
【0043】
図4a~
図4cと
図5a~
図5cに示された照射装置1の実施例は、4つの補償要素4を有し、この際、光学要素2は、4つの角部を有し、光学要素2の各角部ないし各角部領域において補償要素4が光学要素2と接続されている。
図4a~
図4cと
図5a~
図5cの図は、非常に簡略化され、純粋に概略的なものである。保持装置3は、補償要素4と協働するないし補償要素4に対応する4つの係合要素6を有し、この際、それぞれ1つの係合要素6は、1つの補償要素4と協働する。
【0044】
図4a~
図4cは、照射装置1の3つの状態の水平方向断面を上方から見た図を示している。
【0045】
図4aは、第1の状態を示し、第1の状態では、光学要素2は、光像面に対してないし光源7に対して旋回された状態にはない。この状態で光源7は、好ましくはスイッチオフされており、光を放出していない。光学要素2を保持装置3と接続する補償要素4は、第1の状態では第1の長さを有する。
【0046】
図4bは、第2の状態を示し、第2の状態では、光学要素2は、光像面に対してないし光源7に対して旋回された状態にある。この状態で光源7は、好ましくはスイッチオンされており、光を放出している。この際、光源7から放出された熱は、補償要素4の長さ変化をもたらし、特に補償要素4の長手方向膨張をもたらす。補償要素4は、第2の状態では第2の長さを有する。
【0047】
この際、4つの補償要素4の材料は、個々の補償要素4の熱起因の長手方向膨張が(光伝播方向で見て)左方への光学要素2の旋回をもたらすような長手方向膨張であるように、選択されている。それ故、光伝播方向で光学要素2の右側(
図4bで左上)に配設された補償素子4は、光伝播方向で光学要素2の左側(
図4bで左下)に配設された補償要素4よりも大きい熱起因の長さ変化を有する。
【0048】
図4cでは、光伝播方向で光学要素2の右側(
図4cで左上)に配設された補償要素4は、光伝播方向で光学要素2の左側(
図4cで左下)に配設された補償要素4よりも小さい熱起因の長さ変化を有する。それにより右方への光学要素2の旋回がもたらされる。
【0049】
図4a~
図4cに示された破線は、照射装置1を用いて放射された光の光伝播方向を示唆している。
【0050】
図4bと
図4cに示された光学要素2の旋回により、特に照射装置1により交通空間内に放射される光を水平面内で旋回させることができ、それにより例えばコーナリングライトを実現することができる。(尚、光学要素2の当該旋回は、純粋に補償要素4の熱起因の長さ変化に基づく光学要素2の旋回であり、保持装置3の係合要素6のロック凹部6a、6b、6cにおける補償要素4のロック要素5の様々なポジションに基づく光学要素2の旋回ないし摺動に依存しないで成されることを付言する。)
【0051】
図5a~
図5cは、照射装置1の3つの状態の垂直断面の側面図を示している。
【0052】
図5aは、光学要素2が光像面ないし発光手段7に対して旋回されていない状態を示している。
図4aと同様に、この状態で光源7は、スイッチオフされており、光を放出していない。この実施例では、2つの光源7が設けられている。また任意の数の光源7を設けることもできる。光学要素2を保持装置3と接続する補償要素4は、この状態では第1の長さを有する。
【0053】
図5bと
図5cでは、旋回された状態が図示されている。
図5bでは、補償要素4の熱起因の長さ変化は(光伝播方向で見て)上方への光学要素2の旋回をもたらす。
図5cでは、補償要素4の熱起因の長さ変化は、下方への光学要素2の旋回をもたらす。
図5bと
図5cに示された光学要素2の旋回は、照射装置1により交通空間内に放射された光の垂直方向の高さを変化ないし調節(ないし設定)することができる。(尚、光学要素2の当該旋回は、
図4の実施例と同様に、純粋に補償要素4の熱起因の長さ変化に基づく光学要素2の旋回であり、保持装置3の係合要素6のロック凹部6a、6b、6cにおける補償要素4のロック要素5の様々なポジションに基づく光学要素2の旋回ないし摺動に依存しないで成されることを付言する。)
【0054】
図5a~
図5cに示された破線は、照射装置1を用いて放射された光の光伝播方向を示唆している。
【符号の説明】
【0055】
1 照射装置
2 光学要素
2a 光軸線
3 保持装置
4 補償要素
4a 補償要素4の第1の端部分
4b 補償要素4の第2の端部分
5 補償要素4のロック要素
6 係合要素
6a 係合要素6のロック凹部
6b 係合要素6のロック凹部
6c 係合要素6のロック凹部
7 光源
X 所定方向