(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】衣類処理装置および衣類処理システム
(51)【国際特許分類】
D06F 33/47 20200101AFI20240913BHJP
【FI】
D06F33/47
(21)【出願番号】P 2021152809
(22)【出願日】2021-09-21
【審査請求日】2023-11-30
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106116
【氏名又は名称】鎌田 健司
(74)【代理人】
【識別番号】100131495
【氏名又は名称】前田 健児
(72)【発明者】
【氏名】松岡 真二
(72)【発明者】
【氏名】堀部 泰之
(72)【発明者】
【氏名】中尾 浩
【審査官】葛谷 光平
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-268163(JP,A)
【文献】国際公開第2020/054475(WO,A1)
【文献】特開2014-18268(JP,A)
【文献】特開2001-293284(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第111254639(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
D06F 33/00ー33/62
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
筐体と、
前記筐体内に揺動自在に設けられた水槽と、
前記水槽内の洗濯水を前記筐体の外部に排出する排水経路と、
前記排水経路に設けられ、異物を捕獲する排水フィルタと、
少なくとも洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程を制御する制御装置と、
を備え、
前記制御装置は、
運転回数に基づく運転カウント
が第1の所定値以上であり、前記水槽内の洗濯水が排水される排水時間
が所定時間以上である場合に、前記排水フィルタのメンテナンスを促す報知を出力する、
衣類処理装置。
【請求項2】
前記制御装置は、
前記運転カウントが、前記第1の所定値よりも大きい第2の所定値以上である場合、前記報知を出力する、
請求項
1に記載の衣類処理装置。
【請求項3】
前記制御装置は、
乾燥行程をさらに制御可能であり、
前記洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程が実行されると、前記運転カウントに第1のカウントを加算し、
前記乾燥行程が実行されると、前記運転カウントに前記第1のカウントよりも大きな第2のカウント値を加算する、
請求項
1または2に記載の衣類処理装置。
【請求項4】
前記制御装置は、
前回の運転時に前記報知を出力した場合、次回の運転時に、排水時間が前記所定時間以上であると、前記報知を出力する、
請求項
1~3のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項5】
前記制御装置は、
前記報知を出力する頻度を変更する指示を取得した場合、前記第1の所定値を変更する、請求項
1~4のいずれか1項に記載の衣類処理装置。
【請求項6】
衣類処理装置と、
前記衣類処理装置と通信可能に構成された端末と、
前記衣類処理装置を制御する制御装置と、
を含む衣類処理システムであって、
前記衣類処理装置は、
筐体と、
前記筐体内に揺動自在に設けられた水槽と、
前記水槽内の洗濯水を外部に排出する排水経路と、
前記排水経路に設けられ、異物を捕獲する排水フィルタと、を有し、
前記制御装置は、
運転回数に基づく運転カウント
が第1の所定値以上であり、前記水槽内の洗濯水が排水される排水時間
が所定時間以上である場合に、前記排水フィルタのメンテナンスを促す報知を出力する、
衣類処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、衣類を処理する衣類処理装置および衣類処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、排水フィルタを備えるドラム式洗濯機を開示する。このドラム式洗濯機は、回転ドラムと、回転ドラムを内包する水槽と、水槽の下部に形成された排水口と、排水口と連通する排水管と、排水管と連通し排水フィルタを内設するフィルタケースと、を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、使用者に排水フィルタのメンテナンスを適切なタイミングで促すことができる衣類処理装置および衣類処理システムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示における衣類処理装置は、筐体と、筐体内に揺動自在に設けられた水槽と、水槽内の洗濯水を筐体の外部に排出する排水経路と、排水経路に設けられ、異物を捕獲する排水フィルタと、少なくとも脱水行程を制御する制御装置と、を備え、制御装置は、運転回数に基づく運転カウントが第1の所定値以上であり、水槽内の洗濯水が排水される排水時間が所定時間以上である場合に、排水フィルタのメンテナンスを促す報知を出力する。
【0006】
本開示における衣類処理システムは、衣類処理装置と、衣類処理装置と通信可能に構成された端末と、衣類処理装置を制御する制御装置と、を含む衣類処理システムであって、衣類処理装置は、筐体と、筐体内に揺動自在に設けられた水槽と、水槽内の洗濯水を外部に排出する排水経路と、排水経路に設けられ、異物を捕獲する排水フィルタと、を有し、制御装置は、運転回数に基づく運転カウントが第1の所定値以上であり、水槽内の洗濯水が排水される排水時間が所定時間以上である場合に、排水フィルタのメンテナンスを促す報知を出力する。
【発明の効果】
【0007】
本開示における衣類処理装置および衣類処理システムは、使用者に排水フィルタのメンテナンスを適切なタイミングで促すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】実施の形態1における衣類処理システムの構成図
【
図2】実施の形態1における衣類処理装置の縦断面図
【
図3】実施の形態1における衣類処理装置の排水フィルタの模式図
【
図4】実施の形態1における衣類処理装置の制御装置の構成図
【
図5】実施の形態1における衣類処理装置の洗濯乾燥運転のフローチャート
【
図6】実施の形態1における衣類処理装置の判定動作のフローチャート
【
図7】実施の形態1における衣類処理装置の乾燥運転のフローチャート
【発明を実施するための形態】
【0009】
(本開示の基礎となった知見等)
衣類処理装置においては、洗濯水の排水動作が実行される度に、排水フィルタは、排水経路を流れる排水中に含まれる糸くず等の異物を捕集する。衣類処理装置の運転において、排水フィルタには、異物が積層する。排水フィルタに所定量以上の異物が積層すると、排水は、排水フィルタを通過しにくくなり、排水動作の異常が発生する虞がある。従って、使用者は、排水動作の異常が発生しないように、定期的に、排水フィルタの清掃などのメンテナンスを実施する要がある。
【0010】
しかしながら、衣類処理装置は、排水フィルタに実際に積層した等の異物の量を直接検知することができない。衣類処理装置が、運転回数から排水フィルタに積層した異物の量を判定する場合、実際に発生した異物の量や、異物に起因する排水不良等を推測することが難しい。また、衣類処理装置が、洗濯水の排水時間から排水フィルタに積層した異物の量を判定する場合、排水時間は衣類処理装置の設置環境に依存するため、一概に排水時間から排水フィルタに積層する異物の量を推測することが難しい。
【0011】
そこで、発明者らは、上記課題を解決するために、本開示の主題を構成するに至った。
【0012】
本開示では、使用者に排水フィルタのメンテナンスを適切なタイミングで促すことができる衣類処理装置および衣類処理システムを提供する。
【0013】
以下、図面を参照しながら実施の形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、または、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。
【0014】
なお、添付図面および以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
(実施の形態1)
以下、
図1~
図7を用いて、実施の形態1を説明する。
【0016】
[1-1.構成]
[1-1-1.衣類処理システムの構成]
図1において、衣類処理システム1は、衣類処理装置100と、衣類処理装置100の運転コースなどを設定するためのアプリケーションを実行可能な端末装置500と、衣類処理装置100と端末装置500とを接続する通信網の一例であるネットワーク2と、を含む。
【0017】
衣類処理装置100および端末装置500は、サーバ(図示せず)を介して接続されてもよいし、直接接続されてもよい。
【0018】
[1-1-2.衣類処理装置の構成]
図2において、衣類処理装置100は、筐体101と、水槽102と、回転ドラム103と、を備える。水槽102は、筐体101内に配設されており、防振ダンパー111によって防振支持されている。回転ドラム103は、水槽102に内包されており、モータ112によって回転自在に設けられている。水槽102および回転ドラム103は、有底円筒状に形成されている。回転ドラム103の周面には、多数の通水孔103aが設けられている。通水孔103aは、水槽102と回転ドラム103とを通水可能に連通している。筐体101の前面には、回転ドラム103に衣類を投入するための筐体開口部101aが設けられている。
【0019】
筐体101の前面には、蓋体104が設けられている。蓋体104は、筐体開口部101aを開閉自在に覆う。
【0020】
筐体101の内方上部には、水槽102に水を供給する給水弁113が設けられている。給水弁113と水槽102とは、給水経路(図示せず)によって接続されており、給水経路上には、洗剤および柔軟剤を投入する洗剤ケース(図示せず)が設けられている。
【0021】
筐体101の内方下部には、排水弁114および排水経路120が設けられている。排水経路120は、水槽102の底部と、筐体101の外部とを接続している。排水弁114は、排水経路120上に設けられている。排水弁114は、開閉自在に設けられており、排水弁114が開かれると、水槽102内の洗濯水が排出される。
【0022】
排水経路120において、水槽102の底部と排水弁114との間には、排水フィルタ部125が配設されている。
【0023】
図3に示すように、排水フィルタ部125は、排水フィルタ部125に洗濯水を導入する排水フィルタ部入口125aと、排水フィルタ部125から洗濯水を排出する排水フィルタ部出口125bと、を有する。さらに、排水フィルタ部125は、筐体101内に固定されて設けられた排水フィルタ取付部126と、排水フィルタ取付部126に対して取り外し可能に設けられたメッシュ状の排水フィルタ本体127と、を含む。排水フィルタ本体127は、排水フィルタ部入口125aと排水フィルタ部出口125bとの間に設けられている。排水フィルタ本体127は、排水フィルタ本体127内を流れる洗濯水に混合した糸くず等の異物を捕獲する。使用者は、排水フィルタ本体127を排水フィルタ取付部126から取り外し、排水フィルタ本体127のメンテナンスを施すことができる。
【0024】
図2に示すように、筐体101の内方には、水位検知手段115が設けられている。水位検知手段は、水槽102内の洗濯水の水位を検知する。
【0025】
筐体101の内方上部には、乾燥部130が設けられている。乾燥部130は、乾燥経路131と、除湿手段132と、加熱手段133と、送風手段134と、を含む。乾燥経路131は、水槽102から乾燥経路131内に空気が流入する乾燥経路入口131aと、乾燥経路131から水槽102内に空気が流出する乾燥経路出口131bと、を有する。
【0026】
除湿手段132、加熱手段133、および送風手段134は、乾燥経路131内に設けられている。除湿手段132は、乾燥経路入口131aから流入した湿った空気から、水分を奪って除湿する。加熱手段133は、除湿手段132において除湿された空気を加熱する。送風手段134は、乾燥経路131内において、除湿手段132および加熱手段133よりも下流側に設けられ、除湿および加熱された空気を、水槽102の方向に送り出す。
【0027】
筐体101の内方下部には、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程および乾燥行程の動作を制御する制御装置200が設けられている。
【0028】
筐体101の前面上部には、操作表示部140が設けられている。操作表示部140は、ユーザから運転内容に関する指示を受け付ける。また、操作表示部140は、運転状況などに関する情報を表示する。
【0029】
筐体101の上部には、通信装置141が設けられている。通信装置141は、ネットワーク2を通じて、衣類処理装置100を端末装置500と接続している。
【0030】
[1-1-3.制御装置の構成]
図4に示すように、制御装置200は、情報取得部201と、計時部202と、記憶部203と、制御処理部204と、出力部205と、を有する。
【0031】
情報取得部201は、操作表示部140から使用者が入力した運転内容の設定に関する情報や、水位検知手段115が検知した水槽102内の水位に関する情報を取得する。
【0032】
計時部202は、情報取得部201が取得した水槽102内の水位の情報より、給水弁113により水が水槽102に供給される給水時間と、排水弁114により水槽102内の洗濯水が排出される排水時間と、を計測する。
【0033】
記憶部203は、情報取得部201で取得された情報、計時部202で計測された給水時間および排水時間および運転回数などを含む各種パラメータなどを記憶する。
【0034】
制御処理部204は、モータ112、給水弁113および排水弁114などを制御することで、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、および乾燥行程を含む各種運転を実行する。また、制御処理部204は、記憶部203に記憶された各種パラメータを用い、各種演算および判定を実行する。
【0035】
出力部205は、各種運転の状況を操作表示部140に出力する。また、出力部205は、制御処理部204により排水フィルタ本体127のメンテナンスの必要があると判定された場合、その旨を操作表示部140に出力する。
【0036】
なお、情報取得部201が取得する運転内容の設定に関する情報は、操作表示部140のみでなく、端末装置500から取得してもよい。また、出力部205は、操作表示部140に出力する情報を、端末装置500に出力してもよい。
【0037】
[1-2.動作]
[1-2-1.洗濯乾燥運転の動作]
以上のように構成された衣類処理装置100について、その動作を以下説明する。
【0038】
なお、以下では、
図5を用いて、使用者によって、洗い行程、すすぎ行程、脱水行程、および乾燥行程を含む、洗濯乾燥運転が選択された場合の動作について説明する。
【0039】
運転が開始する(S101)と、洗い行程が開始される(S102)。
【0040】
洗い行程において、制御処理部204は、給水弁113を開き、筐体101内に洗濯水を導入する。筐体101内に導入された洗濯水は、給水経路を流下し、洗剤ケースに投入された洗剤を溶かしながら、水槽102に送り込まれる。水槽102内の所定の水位まで洗濯水が給水されると、制御処理部204は、給水弁113を閉じた後、モータ112を駆動して回転ドラム103を回転させ、撹拌動作を実行する。洗い行程が終了すると、すすぎ行程が開始される(S103)。
【0041】
すすぎ行程においては、中間すすぎおよび最終すすぎが順に実行される。中間すすぎにおいて、制御処理部204は、排水弁114を開き、水槽102内の洗濯水を筐体101外に排出する。水槽102内の洗濯水が所定の水位以下になると、制御処理部204は、排水弁114が開いた状態で、モータ112を駆動して回転ドラム103を回転させ、洗濯物の水分を取り除く脱水動作を実行する。脱水動作が終了すると、制御処理部204は、排水弁114を閉じて給水弁113を開き、新たに水槽102内に洗濯水を導入する。
水槽102内の所定の水位まで洗濯水が給水されると、制御処理部204は、給水弁113を閉じた後、モータ112を駆動して回転ドラム103を回転させ、撹拌動作を実行する。撹拌動作が終了すると、中間すすぎが終了し、最終すすぎが実行される。最終すすぎにおいても、中間すすぎと同様に、排水動作、脱水動作、給水動作、および撹拌動作が順に実行される。撹拌動作が終了すると、すすぎ行程が終了し、脱水行程が開始される(S104)。
【0042】
脱水行程において、制御処理部204は、排水弁114を開き、水槽102内の洗濯水を筐体101の外部へ排出する。このとき、制御処理部204は、洗濯水の排水が終了したかを判定する水位判定を行う。水位判定は、例えば、数秒おきに水位検知手段115により水槽102内の水位を検知し、検知された水位の変位が所定の値以下となった場合に、排水が終了したと判定する。計時部202は、脱水行程で洗濯水の排水が開始されてから、水位判定により排水が終了したと判定されるまでの時間である排水時間Tを計測し、計測された排水時間Tを、記憶部203に格納する。排水が終了すると、制御処理部204は、脱水動作を実行する。所定時間の脱水動作が終了すると、脱水行程が終了し、乾燥行程が開始される(S105)。
【0043】
乾燥行程において、乾燥部130で除湿および加熱された空気が、乾燥経路出口131bから回転ドラム103内に噴出される。回転ドラム103に噴出された空気は、衣類から水分を奪う。そして、衣類から水分を奪った多湿な空気は、乾燥経路入口131aより乾燥部130内に流入する。この空気の循環により、洗濯物が乾燥される。乾燥行程が終了すると、後述する判定動作に移行する(S106)。判定動作が終了すると、運転が終了する(S107)。
【0044】
なお、使用者が、洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程を含み、乾燥行程を含まない洗濯運転を選択していた場合は、S105の乾燥行程がスキップされ、S104の脱水行程の次に、S106の判定動作に移行する。
【0045】
[1-2-2.判定動作]
S106の判定動作において、制御処理部204は、衣類処理装置100の運転回数に基づく運転カウントNと、S104で計測された排水時間Tと、に基づいて、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力するか否かを判定する。
【0046】
以下、
図6を用いて、S106の判定動作における詳細な動作を説明する。
【0047】
判定動作が開始すると(S201)、制御処理部204は、記憶部203より運転カウントNを読み出し、運転カウントNが最大所定運転カウントPNmax(例えば、200カウント)以上であるか否かを判定する(S202)。運転カウントNが、最大所定運転カウントPNmax以上である場合(S202でYES)、報知動作を行う(S203)。
【0048】
報知動作において、出力部205は、排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を、操作表示部140に出力する。排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知は、筐体101の上面または前面などに設けられた発光ダイオード(図示せず)を点滅または点灯させてもよいし、衣類処理装置100に備えられたブザー(図示せず)を鳴動させてもよい。また、出力部205は、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を、通信装置141を通じて、端末装置500に出力してもよい。
【0049】
報知動作が終了すると、制御処理部204は、運転カウントNを初期化し(S204)、判定動作を終了する(S205)。
【0050】
S202において、運転カウントNが最大所定運転カウントPNmaxよりも小さい場合(S202でNO)、制御処理部204は、運転カウントNが所定運転カウントPN(例えば、50カウント)以上であり、かつ、S107で計測された排水時間Tが所定時間PT(例えば、3分)以上であるかを判定する(S211)。S211において、運転カウントNが所定運転カウントPN以上、かつ、排水時間Tが所定時間PT以上である場合(S211でYES)、S103の報知動作が実行される。
【0051】
なお、所定運転カウントPNは、所定値(例えば、50カウント)のみが設定されていてもよいし、所定値の実数倍(例えば、50カウント、100カウント、150カウント)が設定され、運転カウントNが所定値の整数倍に到達するたびに制御処理部204はS211の判定を行ってもよい。所定運転カウントPNに所定値の整数倍が設定されている場合、制御処理部204は、運転カウントNが最大所定運転カウントPNmaxに到達する前に、S103の報知動作を実行するか否かを、定期的に判定することができる。これにより、制御処理部204は、高い頻度で報知動作を実行するか否かを判定することができる。
【0052】
使用者は、操作表示部140または端末装置500を操作することで、S103の報知動作を実行する頻度を変更できる。情報取得部201が、操作表示部140または端末装置500から報知動作を実行する頻度を変更する指示を取得すると、制御処理部204は、所定運転カウントPNを変更する。例えば、使用者が高い頻度での報知を望まない場合、操作表示部140に報知動作を実行する頻度を半減させる指示を入力すると、所定運転カウントは、所定値の2倍(例えば、100カウント)が設定される。
【0053】
S211において、運転カウントNが所定運転カウントPNよりも小さい、および/または、排水時間Tが所定時間PTよりも短い場合(S211でNO)、制御処理部204は、運転カウントNにカウント値Cを加算する(S221)。
【0054】
カウント値Cは、第1のカウント値C1および第2のカウント値C2を含む。第1のカウント値C1は、洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程が実行された場合に加算される値(例えば、1カウント)である。第2のカウント値C2は、乾燥行程が実行された場合に加算される値(例えば、2カウント)である。
【0055】
使用者によって洗濯運転の指示がされていた場合は、カウント値Cとして、第1のカウント値C1が運転カウントNに加算される。使用者によって洗濯乾燥運転が選択されていた場合は、カウント値Cとして、第1のカウント値C1と第2のカウント値C2の合計値(例えば、3カウント)が加算される。
【0056】
乾燥行程において発生する糸くずの量は、洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程において発生する糸くずの量よりも多くなることが予測される。そのため、第2のカウント値C2は、第1のカウント値C1よりも大きな値が設定されている。これにより、判定動作に用いる運転カウントNに、洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程における糸くずの発生量と、乾燥行程における糸くずの発生量の違いを加味することができる。
【0057】
S221が終了すると、S205に移行し、判定動作が終了する。
【0058】
なお、
図6には示さないが、本実施の形態における衣類処理装置100において、前回の運転終了時に報知動作が実行された状態で、次回の運転終了時において、排水時間Tが所定時間PT以上であれば、出力部205は、排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を、操作表示部140に出力する。これにより、制御処理部204は、
前回の運転終了時に報知動作を実行したにも関わらず、使用者が排水フィルタ本体127のメンテナンスを実施していないと推測し、再び排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促すことができる。
【0059】
なお、再度報知動作が実行される際には、出力部205は、前回の報知よりも強い報知を出力してもよい。前回の報知よりも強い報知とは、例えば、前回の報知で発光ダイオードを点滅させていた場合、次回の報知では発光ダイオードを点灯させてもよいし、前回の報知でブザーを鳴動させていた場合、次回の報知ではより大きい音量でブザーを鳴動させてもよい。
【0060】
[1-2-3.乾燥運転の動作]
図7を用いて、使用者によって乾燥運転の指示がされていた場合の動作を説明する。
【0061】
乾燥運転が開始される(S301)と、S105と同様の乾燥行程が実行される(S302)。乾燥行程が終了すると、制御処理部204は、カウント値Cとして第2のカウント値C2を、運転カウントNに加算する(S303)。なお、乾燥運転においては、排水動作が実行されないため、S106のような判定動作、および、S203のような報知動作は実行されず、乾燥運転が終了する。
【0062】
[1-3.効果]
以上のように、本実施の形態において、衣類処理装置100は、筐体101と、筐体101内に揺動自在に設けられた水槽102と、水槽102内の洗濯水を筐体101の外部に排出する排水経路120と、排水経路120に設けられ、異物を捕獲する排水フィルタ本体127と、洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程を実行する制御装置200と、を備える。制御装置200は、運転回数に基づく運転カウントNと、水槽102内の洗濯水が排水される排水時間Tを、に基づいて、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力する。
【0063】
これにより、制御装置200は、運転回数から推測される、排水フィルタ本体127に堆積した糸くず等の異物の積層量と、排水時間Tから推測される、排水フィルタ本体127に堆積した糸くず等の異物が引き起こす排水不良等を含む排水経路120の状態と、の両方に基づき、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力できる。
【0064】
そのため、使用者に、適切な時期に排水フィルタ本体127のメンテナンスを促すことができる。
【0065】
本実施の形態のように、制御装置200は、運転カウントNが所定運転カウントPN以上であり、かつ、排水時間Tが所定時間PT以上である場合に、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力してもよい。
【0066】
これにより、制御装置200は、運転カウントNが所定運転カウントPN以上であり、かつ、排水時間Tが所定時間PT以上である場合に、排水フィルタ本体127に積層した糸くず等の異物が多いと判定し、排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を出力する。
【0067】
そのため、使用者に、より適切な時期に排水フィルタ本体127のメンテナンスを促すことができる。
【0068】
本実施の形態のように、制御装置200は、運転カウントNが、所定運転カウントPNよりも大きい最大所定運転カウントPNmax以上である場合、排水フィルタ本体127
のメンテナンスを促す報知を出力してもよい。
【0069】
これにより、制御装置200は、運転カウントNが最大所定運転カウントPNmax以上である場合には、排水時間Tが所定時間PTよりも短い場合でも、排水フィルタ本体127に多くの糸くず等の異物が積層していると判断し、排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を出力する。
【0070】
そのため、使用者に、より適切な時期に排水フィルタ本体127のメンテナンスを促すことができる。
【0071】
本実施の形態のように、制御装置200は、乾燥行程をさらに制御可能であり、洗い行程、すすぎ行程、およびすすぎ行程が実行されると、運転カウントNに、第1のカウント値C1を加算し、乾燥行程が実行されると、運転カウントNに、第1のカウント値C1よりも大きな第2のカウント値C2を加算してもよい。
【0072】
これにより、制御装置200は、洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程における糸くずの発生量と、乾燥行程における糸くずの発生量と、の違いに基づいて、メンテナンスを促す時期を調整できる。
【0073】
そのため、適切な時期に排水フィルタ本体127のメンテナンスを促すことができる。
【0074】
本実施の形態のように、制御装置200は、前回の運転時に排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を出力した場合、次回の運転時に、排水時間Tが所定時間PT以上であれば、排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を出力してもよい。
【0075】
これにより、制御装置200は、前回の運転時に排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力しており、次回の運転時に排水時間Tが所定時間PT以上である場合、使用者が前回の運転終了後に排水フィルタ本体127のメンテナンスを行っていないと推定し、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を再度出力する。
【0076】
そのため、使用者が前回運転終了後に排水フィルタ本体127のメンテナンスを行っていなかった場合に、再びメンテナンスを促すことができる。
【0077】
本実施の形態のように、制御装置200は、排水フィルタ本体127のメンテナンスを使用者に促す報知を出力する頻度を変更する指示を使用者から取得した場合、所定運転カウントPNを変更してもよい。
【0078】
これにより、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を実行する頻度を使用者が変更できる。
【0079】
そのため、使用者の嗜好に基づいて、適切な時期に排水フィルタのメンテナンスを促すことができる。
【0080】
また、以上のように、本実施の形態における衣類処理システムは、衣類処理装置100と、衣類処理装置100と通信可能に構成された端末装置500と、衣類処理装置100を制御する制御装置200と、を含む。衣類処理装置100は、筐体101と、筐体101内に揺動自在に設けられた水槽102と、水槽102内の洗濯水を筐体101の外部に排出する排水経路120と、排水経路120に設けられ、異物を捕獲する排水フィルタ本体127と、を含む。制御装置200は、運転回数に基づく運転カウントNと、水槽10
2内の洗濯水が排水される排水時間Tを、に基づいて、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力する。
【0081】
これにより、制御装置200は、運転回数から推測される、排水フィルタ本体127に堆積した糸くず等の異物の積層量と、排水時間Tから推測される、排水フィルタ本体127に堆積した糸くず等の異物が引き起こす排水不良等を含む排水経路120の状態と、の両方に基づき、排水フィルタ本体127のメンテナンスを促す報知を出力できる。
【0082】
そのため、使用者に、適切な時期に排水フィルタ本体127のメンテナンスを促すことができる。
【0083】
(他の実施の形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態1および2を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用できる。また、上記実施の形態1および2で説明した各構成要素を組み合わせて、新たな実施の形態とすることも可能である。
【0084】
そこで、以下、他の実施の形態を例示する。
【0085】
実施の形態1では、運転カウントに加算するカウント値の一例として、カウント値Cを説明した。カウント値は、運転ごとに加算されるものであればよいため、カウント値Cに限定されない。洗い行程、すすぎ行程、および脱水行程を実行したときに加算される第1のカウント値、および、乾燥行程を実行したときに加算される第2のカウント値は、それぞれ1カウント、2カウントに限定されず、1カウント、5カウントのように、第2のカウント値がより大きく設定されてもよい。また、カウント値は、単純な運転回数としてもよい。また、カウント値は、布量判定手段(図示せず)によって測定された洗濯物の布量に応じた係数を乗算されてもよいし、操作表示部または端末装置において洗濯物の素材が入力された場合、洗濯物の素材の応じた係数が乗算されてもよい。これにより、1回の運転において発生する糸くずの量を、より高い精度でカウント値に反映させることができる。
【0086】
実施の形態1では、排水時間と比較する所定時間の一例として、予め定められた所定時間PTを説明した。所定時間は、排水時間と比較されるものであればよいため、初回運転時における排水時間を用いてもよい。また、最終すすぎ後の排水に要する時間ではなく、中間すすぎ後の排水に要する時間を用いてもよい。
【0087】
実施の形態1では、報知動作が行われた場合に、運転カウントNを初期化していた。運転カウントを初期化するのは、報知動作が行われた場合に限られず、使用者が操作表示部または端末装置において排水フィルタのメンテナンスを実施した旨を入力した場合でもよい。
【0088】
実施の形態1では、制御装置200は、前回の運転終了時に報知動作が実行された状態で、次回の運転終了時において、排水時間Tが所定時間PT以上であれば、報知動作を再度実行していた。制御装置は、所定の回数、連続で報知動作を実行した場合、次回の運転終了後から報知動作を実行しないように制御してもよい。これにより、毎回の運転終了後に報知動作が実行されることによって、使用者が不快感を覚えることを抑制できる。一方で、排水フィルタ本体は、定期的にメンテナンスを実施されることが望ましいので、制御装置が、使用者が排水フィルタ本体のメンテナンスを実行したことを判定するまで、毎運転終了後に報知動作を実行することが望ましい。
【産業上の利用可能性】
【0089】
本開示は、排水フィルタを備える衣類処理装置および衣類処理システムに適用可能である。衣類処理装置とは、縦型洗濯機、縦型洗濯乾燥機、ドラム式洗濯機、および、ドラム式洗濯乾燥機などを含む。
【符号の説明】
【0090】
1 衣類処理システム
2 ネットワーク
100 衣類処理装置
101 筐体
101a 筐体開口部
102 水槽
103 回転ドラム
103a 通水孔
104 蓋体
111 防振ダンパー
112 モータ
113 給水弁
114 排水弁
120 排水経路
125 排水フィルタ部
125a 排水フィルタ部入口
125b 排水フィルタ部出口
126 排水フィルタ取付部
127 排水フィルタ本体
130 乾燥部
131 乾燥経路
131a 乾燥経路入口
131b 乾燥経路出口
132 除湿手段
133 加熱手段
134 送風手段
140 操作表示部
200 制御装置
201 情報取得部
202 計時部
203 記憶部
204 制御処理部
205 出力部
500 端末装置
C カウント値
C1 第1のカウント値
C2 第2のカウント値
N 運転カウント
PNmax 最大所定運転カウント
T 排水時間
PN 所定運転カウント
PT 所定時間