(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】コネクタセットおよびコネクタ
(51)【国際特許分類】
H01R 13/64 20060101AFI20240913BHJP
H01R 13/639 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H01R13/64
H01R13/639 Z
(21)【出願番号】P 2021522705
(86)(22)【出願日】2020-04-21
(86)【国際出願番号】 JP2020017158
(87)【国際公開番号】W WO2020241118
(87)【国際公開日】2020-12-03
【審査請求日】2023-02-02
(31)【優先権主張番号】P 2019101371
(32)【優先日】2019-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100170575
【氏名又は名称】森 太士
(74)【代理人】
【識別番号】100141449
【氏名又は名称】松本 隆芳
(74)【代理人】
【識別番号】100142446
【氏名又は名称】細川 覚
(72)【発明者】
【氏名】伊藤 宝
【審査官】濱田 莉菜子
(56)【参考文献】
【文献】特開2004-103551(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2017/0271814(US,A1)
【文献】特開2013-214495(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H01R 13/64
H01R 13/639
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ハウジングと、前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有する第1コネクタと、
前記第1ハウジングと嵌合する第2ハウジングと、前記第2ハウジングに保持され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記第1端子に導通接続される第2端子と、を有する第2コネクタと、
前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのうちのいずれか一方のハウジングに第1位置と第2位置との間でスライド可能に保持されるスライド部材と、
を備え、
前記第1ハウジングは、
前記第1端子を保持する第1ハウジング本体と、
前記第1ハウジング本体に連設され、前記第1ハウジング本体に対して相対移動するレバー部と、
を備え、
前記第2ハウジングは、
前記第2端子を保持する第2ハウジング本体と、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記レバー部に係合し、前記第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合状態を維持する係合部と、
を備え、
前記スライド部材は、
本体部と、
前記本体部の上部に弾性変形可能に連設された上側アーム部と、
前記本体部の下部に弾性変形可能に連設された下側アーム部と、
前記第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合していない状態では、前記一方のハウジングに形成されたスライド規制部に干渉して前記本体部の前記第2位置へのスライドが規制され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合した状態では、前記スライド規制部との干渉が解除されて前記本体部の前記第2位置へのスライドが許容されるように構成されたスライドロック機構と、
を備えており、
前記上側アーム部には、前記第2位置までスライドさせた際に、他方のハウジングに形成された被係止部に係止されて、前記スライド部材の前記第1位置へのスライドを規制する係合部が形成されており、
前記本体部は、前記スライド部材を前記一方のハウジングに保持した保持状態で、前記スライド部材のスライド方向に沿って視たときに、一部が前記レバー部の操作部と重なり合うように配置されており、
前記本体部には、前記操作部の操作方向の下方に凹む凹部が形成されており、
前記本体部には、前記凹部の幅方向の両側の上部に一対の取手が形成されており、
前記凹部は、前記一対の取手の間において前記スライド方向に貫通しており、
前記レバー部の前記スライド方向の後端部が、前記保持状態で、前記スライド方向に沿って視たときに、前記凹部の貫通した部分と重なることをと特徴とするコネクタセット。
【請求項2】
前記本体部は、前記保持状態で、前記スライド部材のスライド方向に沿って視たときに、前記一対の取手が前記操作部からはみ出すように配置されることを特徴とする請求項1に記載のコネクタセット。
【請求項3】
前記スライド部材には、前記第2位置までスライドさせた際に、前記レバー部の前記第1ハウジング本体に対する相対移動を規制する規制部が形成されていることを特徴とする請求項1
または請求項2に記載のコネクタセット。
【請求項4】
請求項1~
3のうちいずれか1項に記載のスライド部材が第1位置と第2位置との間でスライド可能に保持されるハウジングと、
前記ハウジングに保持される端子と、
を備えることを特徴とするコネクタ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コネクタセットおよびコネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、コネクタセットとして、第1コネクタと第2コネクタとを備えるものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このコネクタセットは、第1コネクタの第1ハウジングと第2コネクタの第2ハウジングとを嵌合させることで、第1ハウジングに収容された第1端子と第2ハウジングに収容された第2端子とを導通接続させるものである。
【0003】
この特許文献1では、第1ハウジングに弾性変形可能に形成されたレバー部を第2ハウジングに形成された被係止部に係止させることで、第1コネクタと第2コネクタとが嵌合状態でロックされるようにしている。
【0004】
また、この特許文献1に開示されたコネクタセットは、第1ハウジングにスライド可能に保持されるスライド部材をさらに備えている。
【0005】
このスライド部材は、第1ハウジングの第2ハウジングへの嵌合が完了していない状態では、第1位置から第2位置へのスライド移動が規制されるように、第1ハウジングにスライド可能に取り付けられている。そして、第1ハウジングの第2ハウジングへの嵌合が完了した状態になると、第1位置から第2位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。このような構成とすることで、スライド部材の第1位置から第2位置へのスライドによって、第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合の完了を確認できるようにしている。
【0006】
このように、特許文献1には、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有するコネクタセットが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、上記従来の技術では、第1ハウジングにスライド部材を保持した状態で、スライド部材のスライド部材基部がレバー部の操作部近傍に配置されている。そのため、操作部を操作してレバー部を弾性変形させる際に、操作者の指がスライド部材基部に当たってしまい、レバー部と被係止部との係止を容易に解除することができなくなってしまうおそれがある。
【0009】
そこで、本開示は、レバー部の操作がスライド部材により邪魔されてしまうことをより確実に抑制することが可能なコネクタセットおよびコネクタを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本開示にかかるコネクタセットは、第1ハウジングと、前記第1ハウジングに保持される第1端子と、を有する第1コネクタと、前記第1ハウジングと嵌合する第2ハウジングと、前記第2ハウジングに保持され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記第1端子に導通接続される第2端子と、を有する第2コネクタと、前記第1ハウジングおよび前記第2ハウジングのうちのいずれか一方のハウジングに第1位置と第2位置との間でスライド可能に保持されるスライド部材と、を備えている。また、前記第1ハウジングは、前記第1端子を保持する第1ハウジング本体と、前記第1ハウジング本体に連設され、前記第1ハウジング本体に対して相対移動するレバー部と、を備えている。また、前記第2ハウジングは、前記第2端子を保持する第2ハウジング本体と、前記第1ハウジングと第2ハウジングとを嵌合させた状態で前記レバー部に係合し、前記第1ハウジングと第2ハウジングとの嵌合状態を維持する係合部と、を備えている。また、前記スライド部材は、本体部と、前記第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合していない状態では、前記一方のハウジングに形成されたスライド規制部に干渉して前記本体部の前記第2位置へのスライドが規制され、前記第1ハウジングと第2ハウジングとが嵌合した状態では、前記スライド規制部との干渉が解除されて前記本体部の前記第2位置へのスライドが許容されるように構成されたスライドロック機構と、を備えている。また、前記本体部は、前記スライド部材を前記一方のハウジングに保持した状態で、前記スライド部材のスライド方向に沿って視たときに、一部が前記レバー部の操作部と重なり合うように配置されている。そして、前記本体部には、前記操作部の操作方向に凹む凹部が形成されている。
【0011】
また、本開示にかかるコネクタは、前記スライド部材が第1位置と第2位置との間でスライド可能に保持されるハウジングと、前記ハウジングに保持される端子と、を備えている。
【発明の効果】
【0012】
本開示によれば、レバー部の操作がスライド部材により邪魔されてしまうことをより確実に抑制することが可能なコネクタセットおよびコネクタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】コネクタセットの一例を示す図であって、ケーブルに実装されるとともにスライド部材が仮保持されたプラグコネクタと、回路基板に実装されたレセプタクルコネクタと、に分解して示す斜視図である。
【
図2】コネクタセットの一例を示す図であって、ケーブルに実装されたプラグコネクタと回路基板に実装されたレセプタクルコネクタとを嵌合させ、スライド部材でロックした状態を示す斜視図である。
【
図3】一例として示したコネクタセットのプラグ端子とレセプタクル端子との接触状態を示す図であって、(a)は、下側プラグ端子と下側レセプタクル端子とが接触する前の状態を示す斜視図、(b)は、下側プラグ端子と下側レセプタクル端子との接触状態を示す平面図である。
【
図4】一例として示したコネクタセットのプラグ端子とレセプタクル端子との接触状態を示す図であって、(a)は、上側プラグ端子と上側レセプタクル端子とが接触する前の状態を示す斜視図、(b)は、上側プラグ端子と上側レセプタクル端子との接触状態を示す平面図である。
【
図5】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合する前の状態を示す斜視図である。
【
図6】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた状態を示す斜視図である。
【
図7】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態を示す斜視図である。
【
図8】一例として示したコネクタセットが備えるスライド部材が仮保持されたプラグコネクタをケーブルに実装する前の状態を示す斜視図である。
【
図9】一例として示したコネクタセットが備えるプラグコネクタをケーブルに実装する様子を説明する図であって、(a)は、実装前の状態を裏側から視た斜視図、(b)は、実装後の状態を裏側から視た斜視図である。
【
図10】一例として示したコネクタセットが備えるプラグコネクタを分解して示す斜視図である。
【
図11】一例として示したプラグコネクタが備えるプラグハウジングを示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、裏面図である。
【
図12】一例として示したプラグコネクタが備えるプラグハウジングを示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、側面図、(d)は、側断面図である。
【
図13】一例として示したプラグコネクタが備える下側プラグ端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図14】一例として示したプラグコネクタが備える上側プラグ端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図15】一例として示したコネクタセットが備えるレセプタクルコネクタが回路基板に実装される前の状態を示す斜視図である。
【
図16】一例として示したコネクタセットが備えるレセプタクルコネクタを分解して示す斜視図である。
【
図17】一例として示したレセプタクルコネクタが備えるレセプタクルハウジングを示す図であって、(a)は、平面図、(b)は、裏面図である。
【
図18】一例として示したレセプタクルコネクタが備えるレセプタクルハウジングを示す図であって、(a)は、正面図、(b)は、背面図、(c)は、側面図、(d)は、側断面図である。
【
図19】一例として示したレセプタクルコネクタが備える下側レセプタクル端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図20】一例として示したレセプタクルコネクタが備える上側レセプタクル端子を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図21】一例として示したコネクタセットが備えるスライド部材を示す図であって、(a)は、斜視図、(b)は、平面図、(c)は、側面図、(d)は、裏面図、(e)は、正面図、(f)は、背面図である。
【
図22】一例として示したプラグコネクタにスライド部材が仮保持される状態を示す水平断面図である。
【
図23】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタがレセプタクルコネクタに嵌合する前の状態を示す側断面図である。
【
図24】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、スライド部材が仮保持されたプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させた状態を示す側断面図である。
【
図25】一例として示したプラグコネクタとレセプタクルコネクタとをスライド部材でロックする様子を説明する図であって、プラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態を示す側断面図である。
【
図26】一例として示したプラグコネクタをレセプタクルコネクタに嵌合させつつスライド部材でロックした状態で、レバー部の撓みが規制される様子を説明する側断面図である。
【
図27】比較例として示すプラグハウジングをパーツフィーダにより搬送する状態を模式的に示す図である。
【
図28】一例として示したプラグハウジングをパーツフィーダにより搬送する状態を模式的に示す図である。
【
図29】比較例として示すプラグコネクタをレセプタクルコネクタから引き抜く状態を模式的に示す図である。
【
図30】一例として示したプラグコネクタをレセプタクルコネクタから引き抜く状態を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本開示の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。以下では、コネクタ(第1コネクタ)としてケーブル(被実装部材)1Aに実装されるプラグコネクタ1を例示し、相手側コネクタ(第2コネクタ)として回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装されるレセプタクルコネクタ2を例示する。
【0015】
なお、プラグコネクタ1およびレセプタクルコネクタ2については、被実装部材に実装した状態において被実装部材の実装面と直交する方向(実装面の法線方向)をコネクタの上下方向(Z方向)として説明する。また、各コネクタのハウジングに収容された端子が並設される方向を幅方向(Y方向)とし、各コネクタのハウジング内への端子の挿入方向を前後方向(X方向)として説明する。
【0016】
さらに、被実装部材に実装されたコネクタを実装面の上側に位置させた状態における上方を、上下方向の上方と規定し、コネクタ同士を嵌合させる際に互いに相手側コネクタと対向する側を前後方向の前方と規定する。
【0017】
[コネクタセットの構成例]
本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ:第1コネクタ)1は、
図1および
図2に示すコネクタセットC1などで用いられるものである。
【0018】
コネクタセットC1は、
図1および
図2に示すように、上述したプラグコネクタ1と、プラグコネクタ1が嵌合するレセプタクルコネクタ(相手側コネクタ:第2コネクタ)2と、を備えている。
【0019】
本実施形態では、プラグコネクタ1は、FPCやFFC等のケーブル(被実装部材:被接続部材)1Aに実装可能に形成されている。具体的には、プラグコネクタ1が備えるプラグ端子13,14の実装片(実装部)132,142をケーブル1Aの導体部151bAに電気的に接続する(実装する)ことで、プラグコネクタ1がケーブル1Aに実装されるようになっている。
【0020】
一方、レセプタクルコネクタ2は、回路基板(相手側の被実装部材)2Aに実装可能に形成されている。具体的には、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24の実装片(相手側の実装部)232,242を回路基板2Aの導体部2bAに電気的に接続する(実装する)ことで、レセプタクルコネクタ2が回路基板2Aに実装されるようになっている。
【0021】
そして、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持するとともに、実装片132,142をケーブル1Aに実装したプラグコネクタ1を、レセプタクルコネクタ2に嵌合することで、プラグ端子13,14が、レセプタクルコネクタ2が備えるレセプタクル端子23,24と電気的に接続されるようになっている。
【0022】
このように、コネクタセットC1は、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とを導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるものである(
図2~
図4参照)。
【0023】
さらに、本実施形態では、プラグコネクタ1には、スライド部材3がスライド可能に保持されている(
図5~
図7参照)。
【0024】
このスライド部材3は、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了していない状態では、第1位置としての初期位置から第2位置としてのスライド完了位置へのスライド移動が規制されるように、プラグコネクタ1にスライド可能に取り付けられている。なお、第1位置および第2位置は適宜設定することができる。
【0025】
そして、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。このような構成とすることで、スライド部材3の初期位置からスライド完了位置へのスライドによって、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2との嵌合の完了を確認できるようになっている。
【0026】
このように、本実施形態では、コネクタセットC1が、コネクタ位置保証(Connector Position Assurance;CPA)機能を有しており、スライド部材3をCPA部材として機能させている。
【0027】
[ケーブル1Aの構成例]
次に、プラグコネクタ1が実装されるケーブル1Aの構成の一例について、
図8および
図9に基づき説明する。
【0028】
ケーブル1Aは、表面(前面:一面)1aAおよび裏面(後面:他面)1bAを持つシート状(平板状)をしており、表面1aAが、プラグコネクタ1が実装される実装面となっている。さらに、ケーブル1Aは可撓性を有しており、ケーブル1Aをケーブル厚さ方向に曲げる(湾曲させる)ことができるようになっている。
【0029】
このケーブル1Aは、プラグコネクタ1との連結に使用される連結領域11Aと、他の回路との配線のために導体層15bAが延伸する延伸領域12Aと、を備えている。
【0030】
本実施形態では、ケーブル1Aは、延伸領域12Aの一端側に連結領域11Aが位置するように形成されている。そして、連結領域11Aを連結したプラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させた状態において、延伸領域12Aがレセプタクルコネクタ2の反対側に位置するようになっている。
【0031】
また、ケーブル1Aは、多層構造をしており、支持層15aAと、支持層15aAに支持される導体層15bAと、を備えている。支持層15aAは、複数の絶縁体膜からなり、導体層15bAを被覆するものである。一方、導体層15bAは、支持層15aAを構成する絶縁体膜上に印刷された導体膜であり、後述する複数のプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)にそれぞれ対応する複数の配線パターンである。
【0032】
また、連結領域11Aの上面には、支持層15aAから露出された導体層15bAである複数の導体部151bAが形成されている。複数の導体部151bAは、前後方向に2列形成されており、各列の導体部151bAが幅方向(Y方向)に所定のピッチで並ぶように形成されている。さらに、本実施形態では、複数の導体部151bAは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)で千鳥状となるように形成されている。
【0033】
このような構造は、例えば、支持層15aA上に複数の導体膜を印刷することで導体層15bAを形成し、この導体層15bA上を他の支持層15aAで覆うことで形成することができる。このとき、導電層15bAの先端が覆われないように他の支持層15aAを設けるようにすれば、導電層15bAの先端が一側(上下方向の上方)に露出したケーブル1Aが形成される。
【0034】
なお、ケーブル1Aの形成方法は上記の方法に限られるものではなく、様々な方法で形成することができる。
【0035】
また、連結領域11Aの上面には、プラグコネクタ1の保持金具15が固定される固定部15cAが形成されている。本実施形態では、ケーブル1Aは、平面視(実装面1Aaに沿って視た状態)で、幅方向(Y方向)に並設された複数の導体層15bAよりも幅広の長方形状をしており、先端側(前後方向の前側)の幅方向(Y方向)の両側に一対の固定部15cAが形成されている。また、一対の固定部15cAよりも前後方向の後側には、プラグコネクタ1のプラグハウジング(ハウジング)10が固定される固定部15dAが形成されている。この固定部15cAや固定部15dAは、例えば、導体層15bAの印刷工程において導体層15bAと同様に形成することができる。
【0036】
また、本実施形態では、ケーブル1Aの連結領域11Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き11aAが段差状に形成されている。そして、連結領域11Aにおける切り欠き11aAの幅方向(Y方向)の両側には、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔11bAが形成されている。
【0037】
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aが補強板14Aを備えている。この補強板14Aは、ガラスエポキシ樹脂やステンレス等を用いて形成されており、ケーブル1Aの連結領域11Aをプラグコネクタ1との間に挟み込むことにより、ケーブル1Aの連結領域11Aを補強するものである。
【0038】
本実施形態では、補強板14Aは、ケーブル1Aの連結領域11Aの形状に対応した形状をしている。すなわち、補強板14Aは、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)における輪郭形状が、連結領域11Aの輪郭形状と略同一の形状をしている。したがって、補強板14Aには、幅方向(Y方向)に細長く、前方に開口する切り欠き14aAと、ケーブル厚さ方向(上下方向;Z方向)に貫通する貫通孔14bAと、が形成されている。そして、補強板14Aは、切り欠き11aAと切り欠き14aAとを連通させるとともに、貫通孔11bAと貫通孔14bAとを連通させた状態で、接着剤等により連結領域11Aの裏面側に取り付けられている。
【0039】
このとき、平面視(実装面1aAに沿って視た状態)で、導体部151bAの全体が補強板14Aと重なり合うようにするのが好ましい。こうすれば、導体部151bAの全体が補強板14Aにより支持されるため、導体部151bAが上下方向(Z方向)に折れ曲がったり、幅方向(Y方向)に撓んだりしてしまうのを抑制することができる。
【0040】
[プラグコネクタ1の構成例]
次に、プラグコネクタ1の構成の一例について、
図10~
図14に基づき説明する。
【0041】
プラグコネクタ1は、
図10に示すように、プラグハウジング(ハウジング:第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持されるプラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、プラグハウジング10に保持される保持金具15と、を備えている。
【0042】
そして、プラグハウジング10に保持されたプラグ端子(端子:第1端子)13,14が、プラグハウジング10の外側に配置されたケーブル1Aの導体部151bAに実装されることで、プラグコネクタ1が被実装部材としてのケーブル1Aに実装されるようになっている。なお、プラグ端子13,14は、半田付け等により導体部151bAに実装されている。また、保持金具15は、プラグハウジング10に保持された状態で、半田付け等によりケーブル1Aの固定部15cAに固定されることで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定するためのものである。
【0043】
プラグハウジング10は、剛性を有するハウジング本体11を備えており、このプラグハウジング10は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0044】
また、ハウジング本体11には、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が形成されている。
【0045】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング本体11と、ハウジング本体11に形成されたロック部12と、を備えている。
【0046】
ハウジング本体11は、天壁111と、底壁112と、天壁111および底壁112の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁113と、天壁111、底壁112および側壁113,113の前端に連設された前壁114と、を備えている。
【0047】
また、ハウジング本体11は、一対の側壁113および前壁114に連設されて、天壁111、底壁112、側壁113,113および前壁114で画成された空間を上下に仕切る仕切り壁115を備えている。
【0048】
さらに、ハウジング本体11は、天壁111、仕切り壁115および前壁114に連設された上側隔壁116を複数備えており、この上側隔壁116によって、仕切り壁115で仕切られた上側の空間が複数の空間に仕切られている。また、ハウジング本体11は、底壁112、仕切り壁115および前壁114に連設された下側隔壁117を複数備えており、この下側隔壁117によって、仕切り壁115で仕切られた下側の空間が複数の空間に仕切られている。
【0049】
そして、略平板状の天壁111の上部の幅方向中央部にロック部12が上方に突出するように形成されている。具体的には、ロック部12は、天壁111の前端に連設されて後方に延在するレバー部121を備えている。このレバー部121は、後側が天壁111(ハウジング本体11)に対して上下方向に相対移動できるようになっている。そして、レバー部121の後端には、レバー部121を操作する操作部121aが形成されており、レバー部121の前後方向の中央部には、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部(係合部)221aに係合する係合突部121bが形成されている。
【0050】
本実施形態では、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20とを嵌合させた際に、係合突部121bが係合凹部221aに係合して、各コネクタのハウジング同士をロック(嵌合状態で維持)できるようにしている。そして、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させることで、係合突部121bも下方に移動し、係合凹部221aとの係合が解除されて、各コネクタのハウジング同士の嵌合を解除できるようにしている。
【0051】
さらに、ロック部12は、レバー部121の幅方向両側に、レバー部121と離間した状態で前後方向に延在するように立設された一対の隔壁122を備えている。そして、この隔壁122とレバー部121との間に、スライド部材3が挿入される挿入空間S6が形成されている。また、レバー部121の下方(レバー部121と天壁111との間)には、レバー部121の下方への撓み(ハウジング本体11に対する相対移動)が許容される撓み許容空間S7が形成されている。
【0052】
なお、挿入空間S6は、隔壁122に、幅方向に突出するように形成された突出壁122aによって、スライド部材3の下側アーム部32が挿入される空間と、上側アーム部33が挿入される空間とに区画されている。
【0053】
また、隔壁122の突出壁122aよりも下側の前後方向の中央部には、段差部122cが形成されており、下側アーム部32が挿入される空間は、平面視で、前側が幅広となるように形成されている。そして、下側アーム部32の先端(前端)に幅方向外側に突出するように形成された係止突部32aをこの段差部122cに係止させることで、スライド部材3のハウジング本体11からの抜けが抑制されるようにしている。
【0054】
そして、隔壁122の後部には、レバー部121に向けて突出する規制突部(スライド規制部)122bが形成されている。この規制突部122bは、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態のときに、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドしてしまうことを規制するものである。
【0055】
さらに、本実施形態では、一対の側壁113の上部が、天壁111よりも上方に突出する突出壁113fが形成されている。そして、この突出壁113fとロック部12との間の隙間が、プラグハウジング10とレセプタクルコネクタ2のレセプタクルハウジング20との嵌合をガイドするガイド凹部11bとなっている。
【0056】
さらに、本実施形態では、プラグハウジング10の外面(上面:対向面)10aの一部である突出壁113fの上面に、2つのコネクタの嵌合状態でレセプタクルハウジング20の内面(内側の下面)20aに向くように突部10bを形成している。そして、突部10bが形成された部位で、外面10aと内面20aとの間に形成される隙間が狭くなるようにしている。
【0057】
すなわち、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、互いに対向するプラグハウジング10の外面(上面)10aとレセプタクルハウジング20の内面(内側の下面)20aとの間に、隙間の大きさが異なる2つの部位が形成されるようにしている。
【0058】
こうすることで、2つのコネクタの嵌合状態で、外面10aと内面20aとの間に、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスが形成される第1部位と、外面10aと内面20aとの間の距離が上記のクリアランスよりも小さくなる第2部位と、が形成されるようにしている。
【0059】
そして、第2部位が、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入方向(X方向)の一部に形成されるようにしている。
【0060】
なお、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させるためのクリアランスを0.1mm程度の大きさとした場合、突部10bが形成された部位における外面10aと内面20aとの距離は、例えば、0.06mm程度の大きさとすることができる。
【0061】
このように、本実施形態では、突部10bが形成された部位が第2部位となるようにしている。
【0062】
さらに、本実施形態では、この突部10bは、プラグハウジング10におけるレセプタクルハウジング(相手側ハウジング)20との嵌合方向(X方向)の手前側に形成されるようにしている。具体的には、幅方向(Y方向)に沿って視たときに、プラグハウジング10におけるレバー部121の係合突部121bが形成された部位よりも挿入方向の手前側(前後方向の後方)に位置するように突部10bを形成している。
【0063】
こうすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入時には、突部10bよりも先に係合突部121bがレセプタクルハウジング20内に挿入されるようにしている。そして、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への挿入および係合突部121bによる係合が、突部10bによって邪魔されてしまうことを極力抑制できるようにしている。
【0064】
さらに、本実施形態では、突部10bを、幅方向(Y方向:嵌合方向と交差する方向)の両側に形成し、プラグハウジング10が挿入方向(X方向)を軸に回動してしまうことを抑制できるようにしている。
【0065】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10の外面10aにおけるレセプタクルハウジング20の内面20aと対向する部位の一部が、嵌合に必要なクリアランスよりも隙間が狭くなるようにすることで、挿入性能の低下を抑制しつつ、嵌合時のがたつきを抑制できるようにしている。
【0066】
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、端子13,14の実装片(実装部)132,142が収容される凹部113bとなっている。
【0067】
延設部113aは、幅方向(Y方向)の厚さ(板厚)が側壁113よりも厚くなるように形成されており、幅方向の端面部が側壁113の幅方向の端面部よりも幅方向の外側に位置するように側壁113の後端に連設されている。したがって、本実施形態では、ハウジング本体11(プラグハウジング10)は、平面視で前方よりも後方が幅広となるように形成されている。
【0068】
そして、ハウジング本体11の延設部113aよりも前方の幅狭の部位(側壁113が形成された部位)が、レセプタクルハウジング20の嵌合空間S5に挿入される挿入部118となっている。また、ハウジング本体11における延設部113aが形成された部位(幅広の部位)が、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させた状態で、レセプタクルハウジング20から露出する露出部119となっている。
【0069】
さらに、延設部113aの後端側には、幅方向の外側に向けて突出する引掛突部(引掛部)113gが上下方向(Z方向:ハウジング本体11の厚さ方向)に延在するように形成されている。
【0070】
そして、露出部119に、このような引掛突部113gを設けることで、操作者4がプラグコネクタ1を手で把持する際に、引掛突部113gに指41を引っ掛けることができるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2に嵌合させたプラグコネクタ1を、より容易に引き抜くことができるようにしている。
【0071】
このように、本実施形態では、露出部119が、挿入部118のレセプタクルハウジング20内への挿入方向(前後方向:X方向)と交差する交差方向の端部に形成されて指41を引っ掛けることが可能な引掛突部(引掛部)113gを備えている。
【0072】
具体的には、引掛突部113gは、露出部119における挿入方向(X方向)の手前側の端部に、幅方向(Y方向)の外側に向けて突出するように形成されている。
【0073】
すなわち、本実施形態では、交差方向がハウジング本体11の幅方向(Y方向)となっている。また、露出部119の幅方向(Y方向)両側の側面が、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させた状態で交差方向(幅方向:Y方向)に露出する露出面119aとなっている。なお、本実施形態では、延設部113aの側面(露出面119a)は、略矩形状の平坦面となるように形成されている。
【0074】
そして、露出面119aから交差方向(幅方向:Y方向)の外側に向けて突出する突部(引掛突部113g)が、指41を引っ掛けることが可能な引掛部となっている。
【0075】
また、本実施形態では、引掛突部113gは、露出面119aの周縁に沿って延在するように形成されている。
【0076】
具体的には、露出面119aは、側面視(交差方向に沿って視た状態)で略矩形状をしており、引掛突部113gは、露出面119aにおける挿入方向(X方向)の手前側の辺部119bに沿って形成されている。このとき、引掛突部113gは、辺部119bの上下方向(Z方向:ハウジング本体11の厚さ方向)の下端から上端にかけて延在するように直線状に形成されている。
【0077】
このように、本実施形態では、露出面119aの前後方向の後端に引掛突部113gを設けている。こうすることで、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させた状態で、引掛突部113gが、レセプタクルコネクタ2の前端と隙間を介して前後方向に対向するようにしている。こうすれば、小型化されたプラグコネクタ1を用いた場合であっても、レセプタクルコネクタ2に邪魔されることなく、引掛突部113gに指41を引っ掛けることができるようになる。
【0078】
このように、本実施形態では、延設部113aの後端側に、幅方向の外側に突出する引掛突部113gを上下方向に延在するように形成している。そのため、小型化されたコネクタセットC1であっても、プラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2からの引き抜き性能を向上させることができるようになる。
【0079】
しかしながら、露出面119aの辺部119bに引掛突部113gを設けると、プラグハウジング10の重心から離れた位置に引掛突部113gが形成されることになる。すなわち、プラグハウジング10の平面視における輪郭が、引掛突部113gが最も幅方向に突出した形状となる。
【0080】
そのため、露出面119aの辺部119bに引掛突部113gが単に形成されただけの複数のプラグハウジング10を、パーツフィーダ5の壁部51に沿って移動させて一定の姿勢となるようにすると、通常では、互いに隣り合うプラグハウジング10が、幅方向に突出する引掛突部113g同士で接触することになる。すなわち、互いに隣り合うプラグハウジング10は、プラグハウジング10の重心から離れた位置で略直線状に接触することになる。
【0081】
このように、露出面119aの辺部119bに引掛突部113gが単に形成されただけのプラグハウジング10を、一定の姿勢となるようにした状態で幅方向に複数個並べると、互いに隣り合うプラグハウジング10同士は、比較的不安定な状態で接触することになる。
【0082】
そのため、露出面119aの辺部119bに引掛突部113gが単に形成されただけのプラグハウジング10を用いると、パーツフィーダ5により一定の姿勢となるように整列させた場合に、プラグハウジング10が一定の姿勢に対して傾いてしまうおそれがある(
図27参照)。そして、プラグハウジング10が一定の姿勢に対して傾いてしまうと、傾いた状態で図示せぬ自動組立装置に供給されてしまうおそれがある。
【0083】
そこで、本実施形態では、レセプタクルコネクタ2からの引き抜き性能を向上させつつ、パーツフィーダ5による搬送時に姿勢変化してしまうことを抑制することが可能なプラグハウジング10を得られるようにした。
【0084】
具体的には、露出部119が、交差方向(幅方向:Y方向)で隣り合う他のプラグハウジング10と引掛突部113gよりも挿入部118側(前後方向の前方)で接触することが可能な接触突部(接触部)113hを備えるようにしている。
【0085】
本実施形態では、露出面119aから交差方向の外側に向けて突出する突部(接触突部113h)を接触部としている。
【0086】
そして、引掛突部113gおよび接触突部113hが共に露出面119aの周縁に沿って延在するように形成されるようにしている。
【0087】
具体的には、接触突部113hが、露出面119aにおける上下方向(Z方向:挿入方向および交差方向と交差する方向)の一方側(下側)の辺部119cに沿って形成されるようにしている。
【0088】
したがって、本実施形態では、接触突部113hは、挿入方向Xに沿って、引掛突部113g側からプラグハウジング10の重心側に向けて延在するように形成されることになる。
【0089】
さらに、本実施形態では、接触突部113hが引掛突部113gに連設されるようにし、接触突部113hと引掛突部113gとで、側面視で略L字状の突部が露出面119aに形成されるようにしている。このとき、接触突部113hは、辺部119cの前後方向(X方向:挿入方向)の後端から前端にかけて延在するように直線状に形成されている。
【0090】
そして、引掛突部113gの露出面119aからの突出量と接触突部113hの露出面119aからの突出量とが略同一となるようにしている。
【0091】
言い換えると、交差方向の端部が同一平面上に位置するように、引掛突部113gおよび接触突部113hを形成している。
【0092】
このように、本実施形態では、側面視で略矩形状の露出面119aの前後方向の後端に引掛突部113gを形成するとともに、上下方向の下端に接触突部113hを形成している。すなわち、露出面119aの上部に接触突部113hが設けられないようにしている。こうすれば、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させた状態で、露出部119には、レセプタクルハウジング20、引掛突部113gおよび接触突部113hにより幅方向と交差する方向の三方が画成されて、上方に開口する隙間が形成されることになる。こうすることで、接触突部113hに邪魔されることなく指41を引掛突部113gに引っかけることができるようにした。
【0093】
このような引掛突部113gおよび接触突部113hを設けるようにすれば、互いに隣り合うプラグハウジング10を、引掛突部113gよりもプラグハウジング10の重心に近い部位で接触させることができるようになる。その結果、互いに隣り合うプラグハウジング10同士を、比較的安定な状態で接触させることができ、プラグハウジング10が一定の姿勢に対して傾いてしまうことを抑制することができるようになる(
図28参照)。
【0094】
前壁114には、仕切り壁115、上側隔壁116および下側隔壁117により仕切られた複数の空間と連通するように貫通孔114aが形成されている。このように、本実施形態では、ハウジング本体11には、前後方向に貫通する複数の空間が形成されている。そして、前後方向に貫通する空間内に、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
【0095】
本実施形態では、ハウジング本体11に、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体11を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1の幅方向の小型化を図っている。
【0096】
具体的には、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に、底壁112、仕切り壁115および下側隔壁117によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された空間が、下側プラグ端子13が圧入(挿入)される下側空間S1となっている。
【0097】
一方、ハウジング本体11の上側(下側空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)には、天壁111、仕切り壁115および上側隔壁116によって画成された空間を、幅方向(Y方向)に複数並設させている。そして、このハウジング本体11の上側に形成された空間が、上側プラグ端子14が圧入(挿入)される上側空間S2となっている。
【0098】
本実施形態では、ハウジング本体11の下側には、10個の空間(下側空間S1)が幅方向に並設されている。また、ハウジング本体11の上側にも10個の空間(上側空間S2)が並設されている。このハウジング本体11の上側に形成された10個の空間(上側空間S2)は、ロック部12を挟むことなく幅方向に並設されている。こうすれば、ハウジング本体11の幅方向の小型化を図ることができる。
【0099】
さらに、本実施形態では、上側隔壁116と下側隔壁117とが幅方向にずれた位置に形成されている。すなわち、下側空間S1と上側空間S2とが、平面視で一部が重なり合うように形成されている。言い換えると、プラグ端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)がプラグハウジング10に保持されるとともにケーブル1Aに実装された状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向(上下方向)に沿って視たときに、下側空間S1と上側空間S2とが重なり合うようにしている。
【0100】
そして、下側プラグ端子13は、下側空間S1の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この下側空間S1の後端側の開口が挿入口S1aとなっている。また、下側空間S1の前端側の開口は、下側プラグ端子13が抜け落ちないように、挿入口S1aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S1aから圧入(挿入)された下側プラグ端子13の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、下側空間S1の前端側の開口は、後述するレセプタクルコネクタ2の下側レセプタクル端子23の接点部230aを下側空間S1内に導入する導入口S1bとなっている。この導入口S1bの周縁部は、下側レセプタクル端子23の接点部230aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
【0101】
同様に、上側プラグ端子14は、上側空間S2の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この上側空間S2の後端側の開口が挿入口S2aとなっている。また、上側空間S2の前端側の開口は、上側プラグ端子14が抜け落ちないように、挿入口S2aよりも小さくなっている。すなわち、挿入口S2aから圧入(挿入)された上側プラグ端子14の前方への移動が、前壁114によって規制されるようにしている。なお、上側空間S2の前端側の開口も、後述するレセプタクルコネクタ2の上側レセプタクル端子24の接点部240aを上側空間S2内に導入する導入口S2bとなっている。この導入口S2bの周縁部も、上側レセプタクル端子24の接点部240aが導入されやすいようにテーパ状に形成されている。
【0102】
また、天壁111の下部には、後方および下方に開口する溝部111cが上側空間S2に連通するように形成されている。この溝部111cは、後述する上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)をガイドするものである。
【0103】
本実施形態では、溝部111cは、上側空間S2の幅方向両側に形成されており、各溝部111cが、挿入口S2aから前壁114まで延在するように形成されている。
【0104】
すなわち、溝部111cは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部111cへの挿入が開始されてから完了するまでの間に上側プラグ端子14が移動する距離以上となるように形成されている。したがって、側壁134の上端における最初に溝部111cに挿入される部位は、溝部111cへの挿入が開始されてから上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部111c内に存在することとなる。
【0105】
なお、溝部111cは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0106】
同様に、仕切り壁115の下部には、後方および下方に開口する溝部115aが下側空間S1に連通するように形成されている。この溝部115aは、後述する下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)をガイドするものである。
【0107】
本実施形態では、溝部115aも、下側空間S1の幅方向両側に形成されており、各溝部115aが、挿入口S1aから前壁114まで延在するように形成されている。
【0108】
すなわち、溝部115aは、挿入方向(X方向)の長さが、側壁134の上端の溝部115aへの挿入が開始されてから完了するまでの間に下側プラグ端子13が移動する距離以上となるように形成されている。したがって、側壁134の上端における最初に溝部115aに挿入される部位は、溝部115aへの挿入が開始されてから下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)が完了するまでの間、溝部115a内に存在することとなる。
【0109】
なお、溝部115aは、溝幅(Y方向の長さ)が側壁134の板厚よりも若干広くなるように形成されている。
【0110】
さらに、本実施形態では、仕切り壁115の後端には、上下方向に延在して両端がそれぞれ下側空間S1および上側空間S2に開口する溝部115bが形成されている。具体的には、溝部115bは、1つの上側空間S2に連通するように形成された2つの溝部111cのうちの一方(
図12(b)の右側)の溝部111cと上下方向に対向するように形成されている。
【0111】
すなわち、
図12(b)に示すように、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部115bと一方(
図12(b)の右側)の溝部111cとが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部115bは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の脚部141の上部が挿入されるものである。
【0112】
また、底壁112の後端には、上下方向に延在して上端が下側空間S1に開口する溝部112fが形成されている。具体的には、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部112f、一方(
図12(b)の右側)の溝部111cおよび溝部115bが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部112fは、圧入(挿入)完了状態における上側プラグ端子14の脚部141の下部が挿入されるものである。
【0113】
さらに、底壁112の後端には、上下方向に延在して両端がそれぞれ下側空間S1およびハウジング10の下方に開口する溝部112gが形成されている。具体的には、溝部112gは、1つの下側空間S1に連通するように形成された2つの溝部115aのうちの一方(
図12(b)の右側)の溝部115aと上下方向に対向するように形成されている。
【0114】
すなわち、
図12(b)に示すように、ハウジング10を前後方向の後方から視たときに、溝部112gと一方(
図12(b)の右側)の溝部115aとが、上下方向に一直線上に並ぶように配置されている。この溝部112gは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の脚部131が挿入されるものである。
【0115】
また、底壁112の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部112eが形成されている。この凹部112eは、圧入(挿入)完了状態における下側プラグ端子13の実装片132が収容されるものである。
【0116】
また、一対の側壁113,113には、後方に延在する延設部113a,113aがそれぞれ形成されており、延設部113a,113aが対向する領域が、プラグ端子13,14の実装片132,142が収容される凹部113bとなっている。
【0117】
このように、本実施形態では、延設部113a,113aの後端よりも前側で、プラグ端子13,14の実装片132,142がケーブル1Aの導体部151bAに実装されるようにしている。このとき、延設部113a,113aと補強板14Aとでケーブル1Aの連結領域11Aが挟持されるようにしている。
【0118】
こうすれば、ケーブル1Aがあおられて補強板14Aから離れる方向に移動した際に、ケーブル1Aと補強板14Aとの接着が剥がれてしまうのをより確実に抑制することができる。さらに、延設部113a,113aの先端(後端)よりも前側にプラグ端子13,14の実装片132,142が位置するようにしているため、ケーブル1Aのあおりによってプラグ端子13,14の脚部131,141や実装片132,142が変形してしまうのを抑制することができる。すなわち、プラグ端子13,14とケーブル1Aとの実装部分をケーブル1Aのあおりから保護することができる。
【0119】
また、一対の側壁113,113の前端部には、保持金具15が保持される保持金具取付部113c,113cがそれぞれ形成されている。
【0120】
本実施形態では、保持金具取付部113cは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部113dと、凹部113dの幅方向内側に連設されて、保持金具15の本体部151の前後方向の両端が挿入されるスリット113e,113eと、を備えている。そして、保持金具15をプラグハウジング10に保持した状態で、本体部151の下端に連設された固定片152をケーブル1Aの固定部15cAに固定することで、プラグハウジング10をケーブル1Aに固定させている。
【0121】
また、底壁112の下側(裏面側)には、突部112aが下方に向けて突出するように形成されている。そして、このような突部112aを底壁112に形成することで、底壁112の下面に凹部112dが形成されるようにしている。こうすることで、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装させた際に、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aがこの凹部112dに収容されるようにしている(
図9(b)参照)。このように、本実施形態では、補強板14Aが取り付けられた連結領域11Aが、凹部112dに収容保持される被連結部10Aとなっている。そして、突部112aは、突出量が、被連結部10Aの厚さ(ケーブル1Aの厚さと補強板14Aの厚さの和)以上となるように底壁112に形成されている。
【0122】
このように、本実施形態では、プラグハウジング10は、ハウジング厚み方向(上下方向:Z方向)に対向する一対の壁部(天壁111および底壁112)を備えている。そして、一対の壁部(天壁111および底壁112)のうちの一方側の壁部である底壁112に、ケーブル1Aの被連結部10A(補強板14Aが取り付けられた連結領域11A)が収容される凹部112dを形成している。すなわち、プラグハウジング10は、ケーブル(被実装部材)1Aを受け入れる受入部(凹部112d)を、ハウジング厚み方向(上下方向)の一方側の壁部(底壁112)に有している。
【0123】
そして、このような構成とすることで、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、突部112aの下端がレセプタクルハウジング20の内面と摺動するようにしている。すなわち、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際に、ケーブル1Aの被連結部10Aがレセプタクルハウジング20と干渉してしまうことを抑制できるようにしている。
【0124】
ここで、本実施形態では、底壁112の周縁部のみに突部112aが形成されるようにし、底壁112の内側には突部112aが形成されないようにしている。
【0125】
本実施形態では、底壁112の幅方向の両側の前端に、幅方向に細長く形成された一対の前側突部112bと、底壁112の幅方向の両側の後端に、前後方向に細長く形成された一対の後側突部112cのみで突部112aを構成している。
【0126】
この前側突部112bおよび後側突部112cは、底壁112の側壁113が連設される部位に形成されている。具体的には、前側突部112bは、保持金具取付部113cの前方に、プラグハウジング10の前端縁に沿うように形成されており、後側突部112cは、延設部113aの幅方向外側に、延設部113aの外側端縁に沿うように形成されている。このように、本実施形態では、底壁112の4隅のみに突部112aを形成している。
【0127】
さらに、本実施形態では、ケーブル1Aの被連結部10Aの形状を、輪郭線の一部が突部112aの内側の輪郭線と対応する形状としている。具体的には、ケーブル1Aの被連結部10Aは、凹部112dに収容した状態で、切り欠き11aA,14aAが形成されていない幅方向両側の前端縁が前側突部112bの内側(後側)の輪郭線に沿うとともに、幅方向両側の後端部が後側突部112cの幅方向内側の輪郭線に沿うように形成されている。こうすることで、前側突部112bによって被連結部10Aの前方への位置ずれが抑制されるようにし、後側突部112cによって被連結部10Aの幅方向への位置ずれが抑制されるようにしている。なお、被連結部10Aは、凹部112dに収容される形状であればよく、様々な形状とすることができる。
【0128】
そして、本実施形態のように、底壁112の4隅のみに突部112aを形成すれば、プラグ端子13,14を幅方向(Y方向:一方向)に並設されるように保持した状態のプラグハウジング10を前後方向(X方向:交差方向)に沿って視たときに、突部112aがプラグ端子13,14の実装片132,142と重なり合わないようにすることができる。
【0129】
また、本実施形態では、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持した状態で、実装片132,142の先端が凹部112d側(プラグハウジング10の下方)に突出している。
【0130】
このように、本実施形態では、プラグ端子13,14を保持した状態のプラグハウジング10を前後方向(X方向:交差方向)に沿って視た場合、前側および後側のどちら側から視ても、各プラグ端子13,14の実装片132,142の先端を視認することができるようになっている。なお、各プラグ端子13,14の実装片132,142の先端は、前後方向から視た場合、互いに幅方向に離間した状態でプラグハウジング10の下方に突出している。
【0131】
さらに、本実施形態では、実装片132,142は、後述するように薄板状に形成されており、プラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持した状態で、実装片132,142の板厚方向が、幅方向(Y方向)と略一致するようにしている。すなわち、複数のプラグ端子13,14は、実装片132,142の板厚方向に沿って並設されるように、プラグハウジング10に保持されている。
【0132】
また、プラグ端子13,14は、プラグハウジング10に挿入保持される本体部(本体部130および本体部140)を有しており、本実施形態では、本体部130,140の挿入方向が前後方向(X方向)と略一致するようにしている。すなわち、突部112aがプラグ端子13,14の実装片132,142と重なり合わない方向である交差方向を、本体部130,140のプラグハウジング10への挿入方向と一致させている。
【0133】
このように、本実施形態では、本体部130,140のプラグハウジング10への挿入方向に沿って視たときに、互いに幅方向に離間した状態でプラグハウジング10の下方に突出するプラグ端子13,14の実装片132,142の全てと突部112aとが重なり合わないようにしている。
【0134】
次に、プラグ端子(端子)の具体的な構成について、
図13および
図14に基づき説明する。
【0135】
本実施形態では、プラグ端子(端子)は、プラグハウジング10に形成された空間に挿入される本体部と、プラグ端子(端子)をケーブル1Aに実装した状態で、本体部からケーブル1Aの実装面1aAに向けて延設される脚部と、脚部に連設されてケーブル1Aに実装され得る実装部と、を備えている。
【0136】
具体的には、プラグ端子は、ハウジング本体11の下側(実装面1aA側)に形成された下側空間S1に圧入(挿入)される下側プラグ端子13を備えている。さらに、プラグ端子は、ハウジング本体11の上側(下側空間S1よりも実装面1aAから離れた位置)に形成された上側空間S2に圧入(挿入)される上側プラグ端子14を備えている。
【0137】
本実施形態では、下側プラグ端子13は、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この下側プラグ端子13は、
図13に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(
図13(e),(f)参照)。このような下側プラグ端子13は、例えば、所定の形状となるように打ち抜かれた帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0138】
また、下側プラグ端子13は、下側空間S1に圧入(挿入)される本体部130を備えている。さらに、下側プラグ端子13は、下側プラグ端子13をケーブル1Aに実装した状態で、本体部130から実装面1aAに向けて延設される脚部131と、脚部131に連設されてケーブル1Aに実装され得る実装片(実装部)132と、を備えている。
【0139】
本体部130は、底壁133と、底壁133の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁134と、を備えている。
【0140】
底壁133は、側壁134の下端が連設された底壁本体135と、底壁本体135の前端に連設されて前方に突出する接点保護部136と、を備えている。この接点保護部136は、本体部130を下側空間S1に圧入(挿入)する際に、下側プラグ端子13の接点部130aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
【0141】
また、底壁本体135および接点保護部136には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片135a,136aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片135a,136aによって、本体部130を下側空間S1に圧入(挿入)する際に、本体部130が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
【0142】
側壁134は、下端が底壁本体135に連設された側壁本体137と、側壁本体137の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタの接点部に接触する接触片138と、を備えている。
【0143】
側壁本体137の上端には、規制突起137aが形成されており、この規制突起137aによって、本体部130を下側空間S1に圧入(挿入)する際に、本体部130が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
【0144】
また、接触片138は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体137の前端に連設された内側屈曲片138aと、幅方向外側に屈曲するように内側屈曲片138aの前端に連設された外側屈曲片138bと、を備えている。
【0145】
本実施形態では、この接触片138は、一対の側壁本体137,137のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片138,138は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片138a,138aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片138b,138bと、を備えている。
【0146】
そして、一対の接触片138,138が最も近づいた部位(内側屈曲片138aと外側屈曲片138bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部230aを挟持するようにしている(
図3(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片138,138を、下側プラグ端子13の接点部130aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片138bを、レセプタクルコネクタ2の接点部130aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
【0147】
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体137,137のうちの一方の側壁本体137の後端に、後方に突出する延設壁139が連設されており、本体部130は、片側が後方に突出した形状をしている。
【0148】
この延設壁139の上端には、圧入突起139aが形成されており、この圧入突起139aをハウジング本体11に食い込ませることで、本体部130が下側空間S1に圧入されている。
【0149】
なお、本実施形態では、下側プラグ端子13の側壁134の上端が挿入されて、下側プラグ端子13の下側空間S1への圧入(挿入)をガイドする溝部115aが形成されている。そのため、本体部130の後方に突出した片側の側壁134を押圧することで、下側プラグ端子13を下側空間S1へ圧入(挿入)させる場合であっても、下側プラグ端子13の位置ずれが抑制される。その結果、下側プラグ端子13を、よりスムーズ且つより正確に下側空間S1へと圧入(挿入)させることができる。
【0150】
そして、脚部131が、延設壁139の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されている。このように、本実施形態では、脚部131は、下側空間S1に圧入(挿入)させた状態の本体部130からハウジング厚み方向に延設されている。また、脚部131の下端には、実装片132が前方に向けて突出するように連設されている。
【0151】
このとき、脚部131および実装片132は、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体137の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
【0152】
したがって、本体部130を下側空間S1に挿入するとともに実装片(実装部)132をケーブル(被実装部材)1Aに実装した状態では、脚部131の板厚方向が幅方向(Y方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、脚部131の板厚方向が、本体部130の下側空間S1への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
【0153】
一方、上側プラグ端子14も、導電性を有しており、プラグハウジング10の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この上側プラグ端子14は、
図14に示すように、1枚の帯板状の金属部材を板厚方向に曲げた形状をしており、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で略U字状をしている(
図14(e),(f)参照)。このような上側プラグ端子14も、例えば、所定の形状となるように打ち抜かれた帯板状の金属部材に曲げ加工を施すことで形成することができる。
【0154】
また、上側プラグ端子14は、上側空間S2に圧入(挿入)される本体部140を備えている。さらに、上側プラグ端子14は、上側プラグ端子14をケーブル1Aに実装した状態で、本体部140から実装面1aAに向けて延設される脚部141と、脚部141に連設されてケーブル1Aに実装され得る実装片(実装部)142と、を備えている。
【0155】
本体部140は、底壁143と、底壁143の幅方向(Y方向)両端部に連設された側壁144と、を備えている。
【0156】
底壁143は、側壁144の下端が連設された底壁本体145と、底壁本体145の前端に連設されて前方に突出する接点保護部146と、を備えている。この接点保護部146は、本体部140を上側空間S2に圧入(挿入)する際に、上側プラグ端子14の接点部140aがハウジング本体11に接触してしまうのを抑制するものである。
【0157】
また、底壁本体145および接点保護部146には、幅方向(Y方向)両端から外方に向けて突出する規制片145a,146aがそれぞれ形成されている。そして、この規制片145a,146aによって、本体部140を上側空間S2に圧入(挿入)する際に、本体部140が斜めに圧入(挿入)されてしまうのが抑制されるようにしている。
【0158】
側壁144は、下端が底壁本体145に連設された側壁本体147と、側壁本体147の前端に弾性変形可能に連設され、レセプタクルコネクタ2の接点部240aに接触する接触片148と、を備えている。
【0159】
側壁本体147の上端には、規制突起147aが形成されており、この規制突起147aによって、本体部140を上側空間S2に圧入(挿入)する際に、本体部140が浮き上がってしまうのが抑制されるようにしている。
【0160】
また、接触片148は、幅方向内側に屈曲するように側壁本体147の前端に連設された内側屈曲片148aと、幅方向外側に屈曲するように内側屈曲片148aの前端に連設された外側屈曲片148bと、を備えている。
【0161】
本実施形態では、この接触片148は、一対の側壁本体147,147のそれぞれに連設されており、平面視で略線対称となるように形成されている。すなわち、一対の接触片148,148は、前方に向かうにつれて互いに近づく方向に屈曲した形状の内側屈曲片148a,148aと、前方に向かうにつれて互いに離れる方向に屈曲した形状の外側屈曲片148b,148bと、を備えている。
【0162】
そして、一対の接触片148,148が最も近づいた部位(内側屈曲片148aと外側屈曲片148bとの連設部)で、レセプタクルコネクタ2の接点部240aを挟持するようにしている(
図4(b)参照)。このように、本実施形態では、一対の接触片148,148を、上側プラグ端子14の接点部140aとして機能させている。そして、一対の外側屈曲片148bを、レセプタクルコネクタ2の接点部240aをよりスムーズに導入するためのガイド部として機能させている。
【0163】
さらに、本実施形態では、一対の側壁本体147,147のうちの一方の側壁本体147の後端に、後方に突出する延設壁149が連設されており、本体部140は、片側が後方に突出した形状をしている。
【0164】
この延設壁149の上端には、圧入突起149aが形成されており、この圧入突起149aをハウジング本体11に食い込ませることで、本体部140が上側空間S2に圧入されている。
【0165】
なお、本実施形態では、上側プラグ端子14の側壁144の上端が挿入されて、上側プラグ端子14の上側空間S2への圧入(挿入)をガイドする溝部111cが形成されている。そのため、本体部140の後方に突出した片側の側壁144を押圧することで、上側プラグ端子14を上側空間S2へ圧入(挿入)させる場合であっても、上側プラグ端子14の位置ずれが抑制される。その結果、上側プラグ端子14を、よりスムーズ且つより正確に上側空間S2へと圧入(挿入)させることができる。
【0166】
そして、脚部141が、延設壁149の後端部から下方(ケーブル1A:被実装部材)に向けて延設されている。この脚部141は、上下方向の長さが脚部131よりも長くなっている。このように、本実施形態では、脚部141は、上側空間S2に圧入(挿入)させた状態の本体部140からハウジング厚み方向に延設されている。また、脚部141の下端には、実装片142が後方に向けて突出するように連設されている。
【0167】
このように、本実施形態では、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように実装片(実装部)132が脚部131に連設されている。また、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように実装片(実装部)142が脚部141に連設されている。
【0168】
また、脚部131および脚部141は、本体部130および本体部140を下側空間S1および上側空間S2に挿入した状態で、前後方向の位置が略同一となるようにしている(
図5~
図7参照)。そして、脚部131および脚部141は、本体部130および本体部140を下側空間S1および上側空間S2に挿入した状態で、幅方向の位置が略半ピッチだけずれるようにしている。
【0169】
したがって、本実施形態では、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させた状態で、実装部(実装片132および実装片142)が千鳥状に配置されるようになっている。
【0170】
さらに、実装片132は、本体部130を下側空間S1に挿入した状態で、底壁112の後端部に形成された凹部112eに収容されるようにしている。一方、実装片142は、本体部140を上側空間S2に挿入した状態で、上側空間S2の挿入口S2aよりも後方に位置するようにしている。
【0171】
したがって、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、実装片132がプラグハウジング10と重なり合うこととなる。一方、複数のプラグ端子13,14をプラグハウジング10に保持させるとともにケーブル1Aに実装させた状態における平面視で、実装片142がプラグハウジング10から露出することとなる。
【0172】
すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジング10を実装面1aAの法線方向に沿って視たときに、実装片132および実装片142のうちいずれか一方の実装片(実装部)がプラグハウジング10と重なり合っている。
【0173】
このように、本実施形態では、複数のプラグ端子13,14がプラグハウジング10に保持された状態で、実装部(実装片132および実装片142)が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
【0174】
また、脚部141および実装片142も、薄板状(板状)に形成されており、板厚方向が側壁本体147の板厚方向と略同一の方向となるように形成されている。
【0175】
したがって、本体部140を上側空間S2に挿入するとともに実装片(実装部)142をケーブル(被実装部材)1Aに実装した状態では、脚部141の板厚方向が幅方向(Y方向)となる。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態では、脚部141の板厚方向が、本体部140の上側空間S2への挿入方向および実装面1aAの法線方向と交差する方向となっている。
【0176】
また、本実施形態では、挿入口S1aが、空間S1,S2にプラグ端子13,14の本体部130,140を挿入した状態で、前後方向の後方から視たときに、脚部141によって2つの領域に分断されている。すなわち、プラグコネクタ1をケーブル1Aに実装した状態で、プラグハウジングを本体部130,140の空間S1,S2への挿入方向に沿って視たときに、下側空間S1の挿入口S1aが脚部141によって2つの領域に分断されている。
【0177】
さらに、本実施形態では、本体部130の下側空間S1への圧入(挿入)完了位置において、脚部131が、溝部112gに挿入されて幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の底壁112に形成された溝部112gを、脚部131を保持する脚部保持部として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、脚部131を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部は、プラグハウジング10に一体に形成されている。なお、プラグハウジング10とは別体の部材をプラグハウジング10に接続することで、脚部保持部を形成してもよい。
【0178】
また、本体部140の上側空間S2への圧入(挿入)完了位置において、脚部141が、溝部115bおよび溝部112fに挿入されて幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体11の仕切り壁115に形成された溝部115bおよび底壁112に形成された溝部112fを、脚部141を保持する脚部保持部として機能させている。このように、プラグコネクタ1は、プラグハウジング10に接続され、脚部141を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部保持部も、プラグハウジング10に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
【0179】
こうすることで、プラグ端子13,14の本体部130,140の空間S1,S2への圧入(挿入)時や、空間S1,S2に圧入(挿入)されたプラグ端子13,14のケーブル1Aへの実装時などに、脚部131,141が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
【0180】
[レセプタクルコネクタ2の構成例]
次に、レセプタクルコネクタ2の構成の一例を、
図15~
図20に基づき説明する。
【0181】
レセプタクルコネクタ2は、
図15および
図16に示すように、レセプタクルハウジング(相手側ハウジング:第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持されるレセプタクル端子(下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24)と、を備えている。また、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に保持される保持金具(相手側の保持金具)25を備えている。
【0182】
そして、レセプタクルハウジング20に保持されたレセプタクル端子(相手側端子:第2端子)23,24が、レセプタクルハウジング20の外側に配置された回路基板2Aの導体部2bAに実装されることで、レセプタクルコネクタ2が相手側の被実装部材としての回路基板2Aに実装されるようになっている。なお、レセプタクル端子23,24も、半田付け等により導体部2bAに実装されている。また、保持金具25は、レセプタクルハウジング20に保持された状態で、半田付け等により回路基板2Aの固定部2cAに固定されることで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定するためのものである。
【0183】
なお、回路基板2Aは、略矩形板状をしており、剛性および絶縁性を有する樹脂材料等で形成された基板本体2aAを備えている(
図23~
図26参照)。そして、この基板本体2aAの表面21aAに露出するように、導体部2bAおよび固定部2cAが形成されている。このように、本実施形態では、基板本体2aAの表面21aAが実装面となっている。
【0184】
レセプタクルハウジング20は、剛性を有するハウジング本体21を備えており、このレセプタクルハウジング20は、例えば、絶縁性の樹脂材料を用いて形成することができる。
【0185】
また、ハウジング本体21の上部には、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合状態で保持したり、嵌合状態を解除したりするロック部12が挿入されるロック部挿入部22が形成されている。
【0186】
このように、本実施形態では、レセプタクルハウジング20は、ハウジング本体21と、ハウジング本体21に形成されたロック部挿入部22と、を備えている。
【0187】
ハウジング本体21は、天壁211と、底壁212と、天壁211および底壁212の幅方向(Y方向)の両端をそれぞれ連設する一対の側壁213と、天壁211、底壁212および側壁213,213の後端に連設された後壁214と、を備えている。
【0188】
そして、天壁211の幅方向中央部にロック部挿入部22が形成されている。具体的には、ロック部挿入部22は、段差状に形成された天壁211における上方に突出させた部位の内側に形成されており、レバー部121を収容する収容部221を備えている。この収容部221の前後方向の中央部には、ロック部12の係合突部121bが係合する係合部としての係合凹部221aが形成されている。また、収容部221の幅方向両側には、ガイド凹部11bに収容されるガイド突部211dが形成されている。
【0189】
さらに、収容部221の幅方向両側には、スライド部材3の上側アーム部33が挿入される挿入空間S8が形成されている。そして、天壁211には、下方に突出する突部(被係止部)211cが、挿入方向(前後方向;X方向)に沿って視た状態で、挿入空間S8に配置されるように形成されている。この突部211cは、上側アーム部33を下方に撓ませたり、上側アーム部33の先端に形成された係合突部33bを係止したりするものである。
【0190】
また、底壁212の幅方向中央部には、上方に突出する位置決め突部212bが形成されている。この位置決め突部212bは、切り欠き11aAおよび切り欠き14aAと対応するように形成されている。そして、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させる際には、位置決め突部212bが切り欠き11aAおよび切り欠き14aAに挿入され、この位置決め突部212bによって、ケーブル1Aの幅方向の位置決めがなされるようにしている。
【0191】
また、後壁214には、前後方向に貫通する空間が複数形成されている。本実施形態では、幅方向(Y方向)に複数並設された空間が上下方向(Z方向)に2段形成されるようにしている。さらに、ハウジング本体21を前後方向の後方から視たときに、複数の空間が千鳥状に形成されるようにしている。こうすることで、レセプタクルコネクタ2の幅方向の小型化を図っている。
【0192】
そして、前後方向に貫通する空間内に、下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24がそれぞれ圧入(挿入)されるようになっている。
【0193】
具体的には、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された空間が、下側レセプタクル端子23が圧入(挿入)される下側空間S3となっている。
【0194】
一方、ハウジング本体21の上側(下側空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された空間が、上側レセプタクル端子24が圧入(挿入)される上側空間S4となっている。
【0195】
そして、下側レセプタクル端子23は、下側空間S3の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この下側空間S3の後端側の開口が挿入口S3aとなっている。同様に、上側レセプタクル端子24は、上側空間S4の後端側の開口から前方に向けて圧入(挿入)されるようになっており、この上側空間S4の後端側の開口が挿入口S4aとなっている。
【0196】
また、ハウジング本体21には、前方(プラグコネクタ1側)に開口する嵌合空間S5が形成されている。この嵌合空間S5は、プラグハウジング10のハウジング本体11が挿入嵌合される空間で、天壁211、底壁212、一対の側壁213,213および後壁214によって画成されている。したがって、下側空間S3および上側空間S4は、それぞれ嵌合空間S5に連通するように形成されている。
【0197】
さらに、本実施形態では、後壁214の後端に、上下方向に延在して後方に突出する突条214aが幅方向に複数並設されている。具体的には、突条214aは、幅方向で隣り合う下側空間S3と上側空間S4との間に形成されている。
【0198】
また、底壁212の後端部には、下方および後方に開口して前後方向に延在する凹部212aが形成されている。この凹部212aは、圧入(挿入)完了状態における上側レセプタクル端子24の実装片(相手側の実装部)242が収容されるものである。
【0199】
また、一対の側壁213,213には、保持金具25が保持される保持金具取付部213a,213aがそれぞれ形成されている。
【0200】
本実施形態では、保持金具取付部213aは、上下方向および幅方向の外方に開口する凹部213bと、凹部213bの幅方向内側に連設されて、保持金具25の本体部251の前後方向の両端が挿入されるスリット213c,213cと、備えている。そして、保持金具25をレセプタクルハウジング20に保持した状態で、本体部251の下端に連設された固定片252を回路基板2Aの固定部2cAに固定することで、レセプタクルハウジング20を回路基板2Aに固定させている。
【0201】
また、本実施形態では、レセプタクル端子は、レセプタクルハウジング20に形成された空間に挿入される本体部と、レセプタクル端子を回路基板2Aに実装した状態で、本体部から回路基板2Aの実装面21aAに向けて延設される脚部と、脚部に連設されて回路基板2Aに実装され得る実装部と、を備えている。
【0202】
具体的には、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の下側(実装面21aA側)に形成された下側空間S3に圧入(挿入)される下側レセプタクル端子23を備えている。さらに、レセプタクル端子は、ハウジング本体21の上側(下側空間S3よりも実装面21aAから離れた位置)に形成された上側空間S4に圧入(挿入)される上側レセプタクル端子24を備えている。
【0203】
本実施形態では、下側レセプタクル端子23は、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この下側レセプタクル端子23は、
図19に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された下側空間S3に後方から圧入(挿入)されている。このような下側レセプタクル端子23は、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
【0204】
また、下側レセプタクル端子23は、下側空間S3に圧入(挿入)される本体部(相手側の本体部)230を備えている。さらに、下側レセプタクル端子23は、下側レセプタクル端子23を回路基板2Aに実装した状態で、本体部230から実装面21aAに向けて延設される脚部(相手側の脚部)231と、脚部231に連設されて回路基板2Aに実装され得る実装片(相手側の実装部)232と、を備えている。
【0205】
そして、本体部230の前端には、略棒状の接点部(相手側の接点部)230aが前方に突出するように形成されている。また、本体部230の上端および下端には、圧入突起230bが形成されており、この圧入突起230bをハウジング本体21に食い込ませることで、本体部230が下側空間S3に圧入されている。そして、本体部230を下側空間S3に圧入(挿入)した状態で、接点部230aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
【0206】
また、本実施形態では、脚部231が、本体部230の後端部から下方(回路基板2A:被実装部材)に向けて延設されている。具体的には、脚部231は、クランク状に屈曲した形状をしており、下端が本体部230よりも後方に位置するようになっている。このように、本実施形態では、脚部231は、下側空間S3に圧入(挿入)させた状態の本体部230からハウジング厚み方向(上下方向)に延設されている。そして、この脚部231の下端に、実装片232が後方に向けて突出するように連設されている。
【0207】
一方、上側レセプタクル端子24も、導電性を有しており、レセプタクルハウジング20の幅方向(Y方向)に複数並設されている。この上側レセプタクル端子24は、
図20に示すように、薄板状に形成されており、板厚方向を幅方向(Y方向)に略一致させた状態でハウジング本体21に形成された上側空間S4に後方から圧入(挿入)されている。このような上側レセプタクル端子24も、例えば、薄板金属を打抜き加工することで形成することができる。
【0208】
また、上側レセプタクル端子24は、上側空間S4に圧入(挿入)される本体部(相手側の本体部)240を備えている。さらに、上側レセプタクル端子24は、上側レセプタクル端子24を回路基板2Aに実装した状態で、本体部240から実装面21aAに向けて延設された脚部(相手側の脚部)241と、脚部241に連設されて回路基板2Aに実装され得る実装片(相手側の実装部)242と、を備えている。
【0209】
そして、本体部240の前端には、略棒状の接点部(相手側の接点部)240aが前方に突出するように形成されている。また、本体部240の上端および下端には、圧入突起240bが形成されており、この圧入突起240bをハウジング本体21に食い込ませることで、本体部240が上側空間S4に圧入されている。そして、本体部240を上側空間S4に圧入(挿入)した状態で、接点部240aが嵌合空間S5内に配置されるようにしている。
【0210】
また、本実施形態では、脚部241が、本体部240の後端部から下方(回路基板2A:被実装部材)に向けて略直線状に延設されている。このように、本実施形態では、脚部241は、上側空間S4に圧入(挿入)させた状態の本体部240からハウジング厚み方向(上下方向)に延設されている。この脚部241は、上下方向の長さが脚部231よりも長くなっている。そして、この脚部241の下端に、実装片232が前方に向けて突出するように連設されている。
【0211】
このように、本実施形態では、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の前方(一方側)に突出するように実装片(実装部)242が脚部241に連設されている。また、前後方向(X方向:本体部の空間への挿入方向)の後方(他方側)に突出するように実装片232が脚部231に連設されている。
【0212】
すなわち、複数のレセプタクル端子をレセプタクルハウジング20に保持させた状態で、実装部(実装片232および実装片242)が千鳥状に配置されるようになっている。
【0213】
さらに、実装片242は、本体部240を上側空間S4に挿入した状態で、底壁212の後端部に形成された凹部212aに収容されるようにしている。一方、実装片232は、本体部230を下側空間S3に挿入した状態で、下側空間S3の挿入口S3aよりも後方に位置するようにしている。
【0214】
したがって、複数のレセプタクル端子23,24をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、実装片242がレセプタクルハウジング20と重なり合うこととなる。一方、複数のレセプタクル端子23,24をレセプタクルハウジング20に保持させるとともに回路基板2Aに実装させた状態における平面視で、実装片232がレセプタクルハウジング20から露出することとなる。
【0215】
すなわち、レセプタクルコネクタ2を回路基板2Aに実装した状態で、レセプタクルハウジング20を実装面21aAの法線方向に沿って視たときに、実装片232および実装片242のうちいずれか一方の実装片(実装部)がレセプタクルハウジング20と重なり合っている。
【0216】
このように、本実施形態では、複数のレセプタクル端子23,24がレセプタクルハウジング20に保持された状態で、実装部(実装片232および実装片242)が空間の挿入口(後端縁)を挟んだ両側に千鳥状に配置されるようにしている。
【0217】
さらに、本実施形態では、本体部230の下側空間S3への圧入(挿入)完了位置において、脚部231が突条214aの間に、幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、脚部231を保持する脚部保持部として機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、脚部231を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部231を保持する脚部保持部は、レセプタクルハウジング20に一体に形成されている。なお、レセプタクルハウジング20とは別体の部材をレセプタクルハウジング20に接続することで、脚部231を保持する脚部保持部を形成してもよい。
【0218】
また、本体部240の上側空間S4への圧入(挿入)完了位置において、脚部241が突条214aの間に、幅方向(Y方向;板厚方向)への移動が規制された状態で保持されるようにしている。すなわち、ハウジング本体21の後壁214に形成された突条214aを、脚部241を保持する脚部保持部としても機能させている。このように、レセプタクルコネクタ2は、レセプタクルハウジング20に接続され、脚部241を保持する脚部保持部を備えている。本実施形態では、脚部241を保持する脚部保持部も、レセプタクルハウジング20に一体に形成されているが、別体に形成されていてもよい。
【0219】
こうすることで、レセプタクル端子23,24の本体部230,240の空間S3,S4への圧入(挿入)時に、脚部231,241が変形してしまうのが抑制されるようにしている。
【0220】
このような構成をしたレセプタクルコネクタ2に上述のプラグコネクタ1を嵌合させると、プラグハウジング10のロック部12がレセプタクルハウジング20のロック部挿入部22に挿入され、ハウジング本体11が嵌合空間S5に挿入されることとなる。
【0221】
このとき、レバー部121の係合突部121bがレセプタクルハウジング20の天壁211により下方に押圧されることになる。このように、係合突部121bが天壁211により下方に押圧されると、レバー部121の後端部(操作部121a)が下方に移動するように弾性変形して、係合突部121bがロック部挿入部22の奥側まで移動できるようになる。
【0222】
そして、係合突部121bをロック部挿入部22の奥側まで移動させると、天壁211による係合突部121bの下方への押圧が解除されて、レバー部121の弾性復元力により係合突部121bが上方に移動する。そして、係合突部121bが上方に移動することで、レセプタクルコネクタ2に形成された係合凹部221aに係合して、プラグコネクタ1とレセプタクルコネクタ2とが嵌合状態でロックされることになる。
【0223】
また、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させる途中で、下側レセプタクル端子23の接点部230aの先端が導入口S1bからプラグハウジング10に形成された下側空間S1内に導入されて、下側プラグ端子13の接点部130aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部230aが一対の接触片138,138の間に挿入され、一対の接触片138,138によって挟持されることで、下側プラグ端子13と下側レセプタクル端子23とを導通接続させている。
【0224】
同様に、上側レセプタクル端子24の接点部240aの先端が導入口S2bからプラグハウジング10に形成された上側空間S2内に導入されて、上側プラグ端子14の接点部140aに接触する。なお、本実施形態では、略棒状の接点部240aが一対の接触片148,148の間に挿入され、一対の接触片148,148によって挟持されることで、上側プラグ端子14と上側レセプタクル端子24とを導通接続させている。
【0225】
このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に嵌合させて、プラグ端子13,14とレセプタクル端子23,24とをそれぞれ導通接続させることで、ケーブル1Aと回路基板2Aとを電気的に接続させるコネクタセットC1が形成される。
【0226】
一方、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外す際には、まず、レバー部121の操作部121aを押し下げて、レバー部121を下方に移動させる。こうすることで、係合突部121bも下方に移動し、係合突部121bと係合凹部221aとの係合が解除される。そして、係合突部121bと係合凹部221aとの係合を解除した状態で、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に引っ張ると、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動することとなる。このように、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2に対して抜去方向に相対移動させると、まず、端子同士の導通接続が解除され、その後に、ハウジング同士の嵌合が解除されることとなる。こうして、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
【0227】
なお、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外す際には、例えば、
図29や
図30に示す方法で、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20から引き抜くことができる。すなわち、人差し指でレバー部121の操作部121aを操作しながら、親指および中指を一対の引掛突部113gにそれぞれ引っ掛けてプラグハウジング10をレセプタクルハウジング20から引き抜くことで、プラグコネクタ1をレセプタクルコネクタ2から取り外すことができる。
【0228】
[スライド部材3の構成例]
次に、本実施形態にかかるプラグコネクタ1にスライド可能に保持されるスライド部材3の構成の一例を、
図21に基づき説明する。
【0229】
本実施形態では、スライド部材3は、略矩形板状の本体部31を備えており、この本体部31の上部に取手31aが形成されている。
【0230】
また、本体部31の下部における幅方向の両側には、一対の下側アーム部32が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の下側アーム部32は、片持ち状態で本体部31に連設されており、幅方向に弾性変形できるように形成されている。この下側アーム部32の先端(前端)には、幅方向外側に突出するように係止突部(抜け止め部)32aが形成されている。
【0231】
一方、本体部31の上部における幅方向の両側には、一対の上側アーム部33が前後方向の前方に延びるように連設されている。一対の上側アーム部33は、片持ち状態で本体部31に連設されており、上下方向(端子の挿入方向と交差する方向)に弾性変形できるように形成されている。また、本実施形態に示すスライド部材3では、一対の上側アーム部33は、根元側(本体部31に連設される側)が幅広となるように形成されている。そして、上側アーム部33の先端(前端)には、上方に突出するように係合突部(係合部)33bが形成されている。
【0232】
また、上側アーム部33の前後方向の略中央部には、上方に突出する突部33aが形成されている。
【0233】
そして、本体部31の下部には、前方かつ上方に延在する規制突部(規制部)31bが形成されている。なお、本実施形態に示すスライド部材3では、規制突部(規制部)31bの幅方向の端部のそれぞれが、下側アーム部32の内面に連設されている。
【0234】
ところで、本実施形態では、プラグハウジング10にスライド部材3を保持した状態で、スライド部材3の本体部31がレバー部121の操作部121aの近傍に配置されるようにしている。
【0235】
そのため、操作部121aを操作してレバー部121を下方に弾性変形させる際に、操作者4の指41が本体部31に当たってしまい、レバー部121と係合凹部(被係止部)221aとの係止を容易に解除することができなくなってしまうおそれがある。例えば、
図29に示すように、略矩形状の本体部31とした場合には、操作部121aを操作してレバー部121を下方に弾性変形させる際に、操作者4の指41が本体部31の上端に当たってしまうおそれがある。
【0236】
そこで、本実施形態では、レバー部121の操作がスライド部材3により邪魔されてしまうことをより確実に抑制できるようにしている。
【0237】
具体的には、本体部31に、操作部121aの操作方向(上下方向の下方に)に凹む凹部31cを形成することで、操作者4の指41が本体部31に当たってしまうことを抑制できるようにしている。
【0238】
また、本実施形態では、スライド部材3を一方のハウジング(プラグハウジング10)に保持した状態で、前後方向(X方向:スライド部材3のスライド方向)に沿って視たときに、本体部31の一部がレバー部121の操作部121aと重なり合うようにしている。すなわち、前後方向に沿って視たときに、本体部31の一部が操作部121aと重なり合った状態となるように、スライド部材3を一方のハウジング(プラグハウジング10)に保持させるようにしている。
【0239】
さらに、本実施形態では、スライド部材3を一方のハウジング(プラグハウジング10)に保持した状態で、前後方向(X方向:スライド部材3のスライド方向)に沿って視たときに、取手31aが操作部121aからはみ出すように本体部31が配置されるようにしている。
【0240】
このように、本実施形態では、本体部31の上部の幅方向中央部に凹部31cが形成されるようにしている。なお、凹部31cは、操作者4の指41を上方から挿入することができる程度の大きさとなるように形成するのが好ましい。
【0241】
具体的には、本体部31は、幅方向の両端がレバー部121の操作部121aよりも外側に突出するようにした状態で、プラグハウジング10に保持されている。そして、本体部31の上部の幅方向中央部に凹部31cが形成されており、凹部31cの幅方向の両側の上部に取手31aがそれぞれ形成されている。このとき、一対の取手31aのそれぞれが、レバー部121の操作部121aよりも幅方向の外側に突出するようにしている。こうすることで、操作部121aの近傍に位置する取手31aをより確実に指41で把持したり、指41を引っ掛けたりできるようにしている。
【0242】
また、凹部
31cは、深さ(上下方向の凹み量)が、操作部121aを押し下げて、係合突部121bと係合凹部221aとの係合が解除された状態で、操作者4の指41が接触しない程度の深さとなるように形成するのが好ましい。こうすれば、本体部31に邪魔されることなく、係合突部121bと係合凹部221aとの係合をより確実に解除することができるようになる(
図30参照)。
【0243】
また、本実施形態に示すスライド部材3では、下側アーム部32に、上方に突出する突部32bが下側アーム部32の延在する方向に沿って形成されている。具体的には、突部32bは、下側アーム部32の根元側から先端側に向けて延在するように形成されており、下側アーム部32が延在する方向に細長くなるように形成されている。そして、このような突部32bを下側アーム部32に形成することで、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間が小さくなるようにしている。なお、本実施形態に示すスライド部材3では、上側アーム部33の係合突部(係合部)33bが形成されている部位の真下には、突部32bが形成されないようにしている。すなわち、突部32bは、先端が上側アーム部33の係合突部(係合部)33bよりも手前側(根元側)に位置するように形成されている。こうすることで、上側アーム部33の上下方向への弾性変形が突部32bによって邪魔されてしまうことを抑制できるようにしている。
【0244】
さらに、本実施形態に示すスライド部材3では、突部32bが形成されている部位における下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最短距離)が、下側アーム部32の上下方向の厚さおよび上側アーム部33の上下方向の厚さよりも小さくなるようにしている。
【0245】
このように、本実施形態に示すスライド部材3では、下側アーム部32および上側アーム部33のうち少なくともいずれか一方のアーム部である下側アーム部32に、下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間を小さくする突部32bが根元側から先端側に向けて延在するように形成されている。そして、突部33bが形成されている部位における下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間が、下側アーム部32の厚さおよび上側アーム部33の厚さよりも小さくなるようにしている。
【0246】
さらに、本実施形態に示すスライド部材3では、下側アーム部32の先端側の幅および上側アーム部33の先端側の幅も、突部32bが形成されている部位における下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間(上下方向の最短距離)よりも大きくなるようにしている。
【0247】
こうすることで、スライド部材3の下側アーム部32と上側アーム部33との間の隙間に、他のスライド部材3の下側アーム部32や上側アーム部33が挿入されて、アーム部同士が絡まってしまうことを抑制できるようにしている。このように、本実施形態に示すスライド部材3は、上側アーム部33の上下方向への弾性変形を邪魔することなく、アーム部同士の絡まりを抑制することができるように構成されている。
【0248】
次に、スライド部材3の動作の一例を、
図22~
図26に基づき説明する。
【0249】
上述したように、本実施形態では、このスライド部材3をCPA部材として機能させている。すなわち、スライド部材3は、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、初期位置(第1位置)からスライド完了位置(第2位置)へのスライド移動が規制されるように、プラグハウジング10にスライド可能に取り付けられている。そして、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了した状態になると、初期位置からスライド完了位置へのスライド移動が許容されるように構成されている。
【0250】
具体的には、スライド部材3は、下側アーム部32の先端を幅方向の内側に撓ませた状態で挿入空間S6に挿入するようになっている。このとき、上側アーム部33の先端も挿入空間S6に挿入されることとなる。
【0251】
そして、下側アーム部32および上側アーム部33の先端を挿入空間S6に挿入させた状態で、スライド部材3を前方に所定量だけ移動させる(挿入する)と、下側アーム部32の先端が、凹部11bを画成する隔壁122に形成された段差部122cよりも前方に移動することとなる。このように、下側アーム部32の先端が段差部122cよりも前方に移動すると、下側アーム部32が弾性復元力により互いに開く方向(幅方向の外側)に移動し、下側アーム部32の係止突部32aが段差部122cに係止されることとなる。こうして、スライド部材3は、ハウジング本体11からの抜けが抑制された状態で、プラグハウジング10にスライド可能に保持される(仮保持される)こととなる(
図22参照)。
【0252】
なお、下側アーム部32の係止突部32aを段差部122cに係止させた状態では、上側アーム部33は、突部33aが、規制突部(スライド規制部)122bの後方に、当該規制突部(スライド規制部)122bと対向するように配置されることとなる(
図23参照)。
【0253】
したがって、レセプタクルハウジング20に嵌合していないプラグハウジング10にスライド部材3を仮保持した状態で、スライド部材3を前方にスライドさせようとすると、上側アーム部33の突部33aが規制突部122bに突き当たるため、スライド部材3のそれ以上の前方への移動が規制されることとなる。
【0254】
本実施形態では、このような構成とすることで、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20への嵌合が完了していない状態では、スライド部材3が初期位置からスライド完了位置へとスライドさせることができないようにしている。なお、本実施形態では、下側アーム部32の係止突部32aを段差部122cに係止させた状態を、スライド部材3の初期位置としている。
【0255】
そして、スライド部材3を仮保持させたプラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、嵌合開始から嵌合完了までの間に、上側アーム部33の係合突部33bが天壁211の突部211cに当接して下方に押し下げられることとなる。そして、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合が完了した状態においては、係合突部33bの先端が突部211cの下面に当接して、上側アーム部33が下方に撓んだ状態となる。このとき、上側アーム部33の突部33aも下方に移動して、規制突部(スライド規制部)122bよりも下側に位置することとなる(
図24参照)。
【0256】
したがって、プラグハウジング10をレセプタクルハウジング20に嵌合させると、規制突部122bによる突部33aの前方への移動の規制が解除されるため、スライド部材3を前方にスライドさせることができるようになる。このように、本実施形態では、上下に弾性変形可能な上側アーム部33と、この上側アーム部33に、規制突部122bに当接可能に形成された突部33aと、をスライドロック機構として機能させている。
【0257】
そして、スライド部材3を前方にスライドさせて、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211cの後端(奥側の端部)に係止させるようにしている。こうすることで、このスライド部材3によっても、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合状態でロックされるようにしている(
図25参照)。なお、本実施形態では、上側アーム部33の係合突部33bを天壁211の突部211cの後端に係止させた状態を、スライド部材3のスライド完了位置(完了位置:第2位置)としている。
【0258】
こうすることで、コネクタセットC1は、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされることとなる。
【0259】
さらに、本実施形態では、スライド部材3をスライド完了位置(完了位置)までスライドさせると、規制突部(規制部)31bが撓み許容空間S7に挿入されるようにしている(
図26参照)。そして、撓み許容空間S7に挿入された規制突部31bによって、レバー部121の下方への移動が規制されるようにしている。
【0260】
このとき、レバー部121が規制突部31bに当接した状態でも、係合突部121bと係合凹部221aとが係合しているように、規制突部31bの上方への突出量を設定するのが好ましい。こうすれば、スライド部材3によるロックを解除させない限り、レバー部121によるロックが解除されないようにすることができ、より確実にロック状態を維持できるようになる。
【0261】
なお、レバー部121およびスライド部材3により二重にロックされたコネクタセットC1の嵌合を解除する場合、まず、スライド完了位置にあるスライド部材3を初期位置までスライドさせることとなる。本実施形態では、スライド部材3を後方(初期位置側)まで強く引っ張ることで、係合突部33bと突部211cとの係止が解除されるようになっている。したがって、例えば、操作者4等が取手31aを把持してスライド部材3を後方に強く引っ張るようにすれば、スライド部材3は初期位置までスライドすることとなる。
【0262】
このように、スライド部材3を初期位置までスライドさせることで、レバー部121の下方への移動の規制が解除され、レバー部121によるロックを解除できるようになる。
【0263】
このとき、本実施形態では、スライド部材3の本体部31の上端に凹部31cを形成している。そのため、レバー部121の下方への移動の際に、操作者4の指41が本体部31(スライド部材3)にぶつかってしまうことを抑制することができ、より確実にレバー部121によるロックを解除することができる。
【0264】
そして、上述したプラグコネクタ1のレセプタクルコネクタ2からの取り外し作業を行うことで、プラグコネクタ1がレセプタクルコネクタ2から取り外されることになる。
【0265】
[作用・効果]
以下では、上記実施形態で示したコネクタセットおよびコネクタの特徴的構成およびそれにより得られる効果を説明する。
【0266】
上記実施形態で示した本実施形態にかかるコネクタセットC1は、プラグハウジング(第1ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持される第1端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、を有するプラグコネクタ(第1コネクタ)1を備えている。
【0267】
また、コネクタセットC1は、プラグハウジング10と嵌合するレセプタクルハウジング(第2ハウジング)20と、レセプタクルハウジング20に保持され、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、第1端子に導通接続される第2端子(下側レセプタクル端子23および上側レセプタクル端子24)と、を有するレセプタクルコネクタ(第2コネクタ)2を備えている。
【0268】
さらに、コネクタセットC1は、プラグハウジング10およびレセプタクルハウジング20のうちのいずれか一方のハウジング(プラグハウジング10)に第1位置としての初期位置と第2位置としての完了位置との間でスライド可能に保持されるスライド部材3を備えている。
【0269】
そして、プラグハウジングは、第1端子を保持するハウジング本体(第1ハウジング本体)11と、ハウジング本体11に連設され、ハウジング本体11に対して相対移動するレバー部121と、を備えている。
【0270】
また、レセプタクルハウジング20は、第2端子を保持するハウジング本体(第2ハウジング本体)21と、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とを嵌合させた状態で、レバー部121に係合し、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合状態を維持する係合凹部(係合部)221aと、を備えている。
【0271】
また、スライド部材3は、スライドロック機構を備えている。このスライドロック機構は、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合していない状態では、一方のハウジング(プラグハウジング10)に形成された規制突部(スライド規制部)122bに干渉して、本体部31の完了位置(第2位置)へのスライドを規制するものである。また、スライドロック機構は、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20とが嵌合した状態では、規制突部122bとの干渉が解除されて、本体部31の完了位置(第2位置)へのスライドを許容するものである。
【0272】
また、スライド部材3は、本体部31を備えている。この本体部31は、スライド部材3を一方のハウジング(プラグハウジング10)に保持した状態で、スライド部材3のスライド方向(前後方向:X方向)に沿って視たときに、一部がレバー部121の操作部121aと重なり合うように配置されている。
【0273】
そして、本体部31には、操作部121aの操作方向(下方向)に凹む凹部31cが形成されている。
【0274】
このように、本実施形態では、レバー部121の操作部121a近傍に配置される本体部31に凹部31cを形成している。
【0275】
こうすれば、操作部121aを操作してレバー部121を下方に弾性変形させる際に、操作者4の指41が本体部31に当たってしまうことを抑制することが可能となる。その結果、レバー部121と係合凹部(係合部)221aとの係止をより容易に解除することが可能となる。
【0276】
また、本実施形態にかかるプラグコネクタ(コネクタ)1は、上述したスライド部材3が初期位置と完了位置との間でスライド可能に保持されるプラグハウジング(ハウジング)10と、プラグハウジング10に保持される端子(下側プラグ端子13および上側プラグ端子14)と、を備えている。
【0277】
そして、このようなプラグコネクタ1を用いることで、レバー部121と係合凹部(係合部)221aとの係止をより容易に解除することが可能となる。
【0278】
このように、本実施形態によれば、レバー部121の操作がスライド部材3により邪魔されてしまうことをより確実に抑制することが可能なコネクタセットC1およびプラグコネクタ(コネクタ)1を得ることができる。
【0279】
また、本体部31に取手31aが形成されており、この本体部31が、スライド部材3を一方のハウジング(プラグハウジング10)に保持した状態で、スライド部材3のスライド方向(前後方向:X方向)に沿って視たときに、取手31aが操作部121aからはみ出すように配置されるようにしてもよい。
【0280】
こうすれば、より確実に取手31aを手で把持したり、取手31aに指41を引っ掛けたりすることができるようになり、より容易にスライド部材3をスライドさせることができるようになる。
【0281】
また、スライド部材3に、完了位置までスライドさせた際に、他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)に形成された突部(被係止部)221cに係止されて、スライド部材3の初期位置へのスライドを規制する係合突部(係合部)33bが形成されていてもよい。
【0282】
このように、スライド部材3を他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)に係止させるようにすれば、スライド部材3によっても、プラグハウジング10とレセプタクルハウジング20との嵌合が解除されてしまうことを抑制することができる。その結果、レセプタクルハウジング20に嵌合させたプラグハウジング10が、レセプタクルハウジング20から外れてしまうことをより確実に抑制することができるようになる。すなわち、互いに嵌合させた状態において、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20に対する引っ張り強度をより高めることができるようになる。
【0283】
また、スライド部材3に、完了位置までスライドさせた際に、レバー部121のハウジング本体11に対する相対移動を規制する規制突部(規制部)31bが形成されるようにしてもよい。
【0284】
こうすれば、スライド部材3によるロックを解除させない限り、レバー部121によるロックが解除されないようにすることが可能となる。
【0285】
また、スライド部材3が、取手31aが上側に位置するようにスライド部材3を配置した状態で、本体部31の上部に弾性変形可能に連設された上側アーム部33と、本体部31の下部に弾性変形可能に連設された下側アーム部32と、を備えるようにしてもよい。
【0286】
そして、上側アーム部33に、完了位置までスライドさせた際に、他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)に形成された突部(被係止部)221cに係止されて、スライド部材3の初期位置へのスライドを規制する係合突部(係合部)33bが形成されていてもよい。
【0287】
こうすれば、より簡素な構成としつつ、プラグハウジング10のレセプタクルハウジング20に対する引っ張り強度をより高めることができるようになる。
【0288】
以上、本開示の好適な実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態には限定されず、種々の変形が可能である。
【0289】
例えば、上記実施形態では、複数の端子が上下の2段に配置されたものを例示したが、複数の端子が3段以上に配置されたコネクタとすることも可能であるし、複数の端子が1段に配置されたコネクタとすることも可能である。
【0290】
また、上記実施形態では、上側アーム部33を上下方向に弾性変形させることで規制突部122bとの干渉を解除させるようにしたものを例示したが、幅方向に弾性変形させることで、規制突部122bとの干渉を解除させるようにしてもよい。すなわち、端子の挿入方向である前後方向に対向して規制突部122bと干渉する突部33aを、前後方向(端子挿入方向)と交差する方向に移動させることで、規制突部122bとの干渉を解除させるようにしてもよい。
【0291】
また、上記実施形態では、スライド部材3の初期位置へのスライドを規制する係合突部(係合部)33bを、他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)のハウジング本体21に形成された突部(被係止部)221cに係止させたものを例示しているが、被係止部を、他方のハウジング(レセプタクルハウジング20)の係合凹部(係合部)221aに形成してもよい。
【0292】
また、上記実施形態では、スライドロック機構が干渉するスライド規制部を、一方のハウジング(プラグハウジング10)のハウジング本体11に形成したものを例示したが、スライド規制部を、一方のハウジング(プラグハウジング10)のレバー部121に形成してもよい。
【0293】
また、上記実施形態では、プラグコネクタにスライド部材を保持させたものを例示したが、レセプタクルコネクタにスライド部材を保持させるようにすることも可能である。
【0294】
また、基板同士やケーブル同士を電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。さらに、電線と基板とを電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)や電線とケーブルとを電気的に接続するコネクタ(プラグコネクタやレセプタクルコネクタ)に本開示を適用してもよい。
【0295】
また、ハウジングや端子、その他細部のスペック(形状、大きさ、レイアウト等)も適宜に変更可能である。
【0296】
本出願は、2019年5月30日に出願された日本国特許出願第2019-101371号に基づく優先権を主張しており、これらの出願の全内容が参照により本願明細書に組み込まれる。
【産業上の利用可能性】
【0297】
本開示によれば、レバー部の操作がスライド部材により邪魔されてしまうことをより確実に抑制することが可能なコネクタセットおよびコネクタを得ることができる。