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特許7555017自走式処理装置、対象物決定方法、及びプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】自走式処理装置、対象物決定方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G05D 1/43 20240101AFI20240913BHJP
   G01S 17/88 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G05D1/43
G01S17/88
【請求項の数】 12
(21)【出願番号】P 2020197549
(22)【出願日】2020-11-27
(65)【公開番号】P2022085725
(43)【公開日】2022-06-08
【審査請求日】2023-09-04
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【弁理士】
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【弁理士】
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【弁理士】
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 祐太
(72)【発明者】
【氏名】井口 泰成
(72)【発明者】
【氏名】ダーラ ファビオ
(72)【発明者】
【氏名】津坂 優子
【審査官】大古 健一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第108837166(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第111588877(CN,A)
【文献】特開2019-092922(JP,A)
【文献】中国特許出願公開第108776473(CN,A)
【文献】中国特許出願公開第108853546(CN,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G05D 1/00 - 1/87
G01S 7/48 - 7/51
G01S 17/00 -17/95
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の空間を自律的に走行し、対象物に対して不活化処理を行うことで、前記対象物に付着する付着物を不活化する自走式処理装置であって、
前記自走式処理装置の走行面に沿う二次元的な被測定空間に存在する物体と自己との位置関係を取得する位置センサであって、前記走行面と交差する高さ方向における第1高さの前記位置関係である第1位置関係、及び、前記高さ方向における前記第1高さとは異なる第2高さの前記位置関係である第2位置関係を取得する位置センサと、
前記第1位置関係及び前記第2位置関係の差に基づいて、前記所定の空間内の位置である対象位置を検出し、検出された前記対象位置に対応する前記物体を前記対象物として決定する対象物決定部と、
決定された前記対象物に対して、前記不活化処理を行う不活化処理部と、を備える
自走式処理装置。
【請求項2】
前記対象物決定部は、前記第1位置関係と前記第2位置関係との間に差が存在する前記被測定空間内の領域を対象領域として、前記対象領域に対応する前記所定の空間内における位置を前記対象位置として検出する
請求項1に記載の自走式処理装置。
【請求項3】
前記位置センサは、前記第1位置関係を取得する第1モードと、前記第2位置関係を取得する第2モードと、を切り替え可能な切り替え機構を有する
請求項1又は2に記載の自走式処理装置。
【請求項4】
さらに、前記位置センサとは異なる人センサを備え、
前記不活化処理部は、前記対象物に対する前記不活化処理を行う際に、
前記人センサが前記対象位置の周囲に存在する人を検出した場合は、周囲に人が検出された前記対象位置に対応する前記対象物に対する前記不活化処理を行わない
請求項1~3のいずれか1項に記載の自走式処理装置。
【請求項5】
さらに、前記不活化処理が行われなかった前記対象物を特定対象物として記憶する記憶装置を備え、
過去に記憶された前記特定対象物に対して、前記所定の空間内の他の前記対象物よりも優先して、前記不活化処理を行う
請求項4に記載の自走式処理装置。
【請求項6】
さらに、前記位置センサとは異なる人センサを備え、
前記人センサが前記対象位置の周囲に存在する人を検出した頻度が高いほど、優先度を高く設定し、
前記所定の空間内の複数の前記対象物のそれぞれに対して、前記優先度が高い順で、前記不活化処理を行う
請求項1~5のいずれか1項に記載の自走式処理装置。
【請求項7】
さらに、前記位置センサとは異なる人センサを備え、
前記対象物決定部は、前記第1位置関係及び前記第2位置関係の差に基づく位置であり、かつ、過去に前記人センサが、周囲に人の存在を検知した実績がある位置を前記対象位置として検出する
請求項1~6のいずれか1項に記載の自走式処理装置。
【請求項8】
前記位置センサは、前記走行面と交差する高さ方向における、前記第1高さ及び前記第2高さとは異なる第3高さの前記位置関係である第3位置関係を取得し、
前記対象物決定部は、前記第1位置関係、前記第2位置関係、及び前記第3位置関係の差に基づいて、前記所定の空間内の位置である対象位置を検出する
請求項1~7のいずれか1項に記載の自走式処理装置。
【請求項9】
さらに、前記自走式処理装置の周囲を撮像して画像を取得する撮像器を備え、
前記画像内に、前記対象物とは異なる前記不活化処理の対象である被処理対象を検出した場合、前記不活化処理部は、さらに、前記所定の空間内における前記被処理対象に対して前記不活化処理を行う
請求項1~8のいずれか1項に記載の自走式処理装置。
【請求項10】
前記自走式処理装置は、前記所定の空間内の複数の前記対象物のそれぞれに対して、前記自走式処理装置が走行を開始する開始位置から近い順で、前記不活化処理を行う
請求項1~9のいずれか1項に記載の自走式処理装置。
【請求項11】
所定の空間を自律的に走行して、対象物に対して不活化処理を行うことで、前記対象物に付着する付着物を不活化する自走式処理装置において用いられる対象物決定方法であって、
前記自走式処理装置の走行面と交差する高さ方向における第1高さの、前記走行面に沿う二次元的な被測定空間に存在する物体と前記自走式処理装置との位置関係である第1位置関係、及び、前記高さ方向における前記第1高さとは異なる第2高さの、前記被測定空間に存在する物体と前記自走式処理装置との位置関係であるである第2位置関係を取得し、
前記第1位置関係及び前記第2位置関係の差に基づいて、前記所定の空間内の位置である対象位置を検出して、検出された前記対象位置に対応する前記物体を前記対象物として決定する
対象物決定方法。
【請求項12】
請求項11に記載の対象物決定方法をコンピュータに実行させるための
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自律的に走行しながら、対象物に対して不活化処理を行い、当該対象物に付着する付着物を不活化する自走式処理装置、当該対象物の決定方法、及び、プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、いわゆるLiDARと称されるようなレーザー距離センサを水平面内で走査し、自己の周囲に存在する物体の位置と距離とをセンシングすることにより自己位置を把握して自律的に走行する自走ロボットが存在する。
【0003】
また、特許文献1には、このような自走ロボットを利用して、床面に散布されたウイルスを吸引して捕集する捕集装置が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/064862号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、細菌及びウイルス等の物質は、床面の他にも人が触れる物体などに付着物として付着しており、このような物体を介して2次的に触れた人にも付着物由来の感染症等の感染リスクを与える。このことから、付着物が付着し得る物体についても感染リスクを抑制する対策が必要である。従来の捕集装置などでは、床面のウイルスを吸引する構成であることから、例えば、付着物が床面よりも高い位置に付着している場合には、付着物を捕集することは困難である。したがって、捕集装置によるウイルスの捕集を行った後も、床面よりも高い位置にある物体に付着する付着物の感染リスクは依然として残されたままとなる。
【0006】
本開示は、床面よりも高い位置にある物体の付着物による感染リスクを効率的に抑制する自走式処理装置等を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の1つである自走式処理装置は、所定の空間を自律的に走行し、対象物に対して不活化処理を行うことで、前記対象物に付着する付着物を不活化する自走式処理装置であって、前記自走式処理装置の走行面に沿う二次元的な被測定空間に存在する物体と自己との位置関係を取得する位置センサであって、前記走行面と交差する高さ方向における第1高さの前記位置関係である第1位置関係、及び、前記高さ方向における第2高さの前記位置関係である第2位置関係を取得する位置センサと、前記第1位置関係及び前記第2位置関係の差に基づいて、前記所定の空間内の位置である対象位置を検出し、検出された前記対象位置に対応する前記物体を前記対象物として決定する対象物決定部と、決定された前記対象物に対して、前記不活化処理を行う不活化処理部と、を備える。
【0008】
また、本開示の他の1つである対象物決定方法は、所定の空間を自律的に走行して、対象物に対して不活化処理を行うことで、前記対象物に付着する付着物を不活化する自走式処理装置において用いられる対象物決定方法であって、前記自走式処理装置の走行面と交差する高さ方向における第1高さの、前記走行面に沿う二次元的な被測定空間に存在する物体と前記自走式処理装置との位置関係である第1位置関係、及び、前記高さ方向における第2高さの、前記被測定空間に存在する物体と前記自走式処理装置との位置関係であるである第2位置関係を取得し、前記第1位置関係及び前記第2位置関係の差に基づいて、前記所定の空間内の位置である対象位置を検出して、検出された前記対象位置に対応する前記物体を前記対象物として決定する。
【0009】
また、本開示の他の1つであるプログラムは、上記の対象物決定方法をコンピュータに実行させる。
【発明の効果】
【0010】
本開示によれば、床面よりも高い位置にある物体の付着物による感染リスクが効率的に抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1図1は、実施の形態に係る自走式処理装置の動作を説明する図である。
図2A図2Aは、実施の形態に係る自走式処理装置において使用される第2高さについて説明する第1図である。
図2B図2Bは、実施の形態に係る自走式処理装置において使用される第2高さについて説明する第2図である。
図3図3は、実施の形態に係る自走式処理装置100の機能構成について説明する図である。
図4図4は、実施の形態に係る自走式処理装置の動作を示すフローチャートである。
図5図5は、実施の形態に係る自走式処理装置による走行及び不活化処理の動作を示すフローチャートである。
図6図6は、実施の形態に係る撮像器の使用例について説明する第1図である。
図7図7は、実施の形態に係る撮像器の使用例について説明する第2図である。
図8図8は、実施の形態に係る不活化処理結果の通知の一例を示す図である。
図9図9は、変形例1に係る自走式処理装置の位置センサを示す概略図である。
図10図10は、変形例2に係る自走式処理装置による対象位置の検出について説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に、本開示に係る自走式処理装置、対象物決定方法、及びプログラムの実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の位置関係、及び接続状態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下では複数の開示を一つの実施の形態として説明する場合があるが、請求項に記載されていない構成要素については、その請求項に係る開示に関しては任意の構成要素であるとして説明している。また、図面は、本開示を説明するために適宜強調や省略、比率の調整を行った模式的な図となっており、実際の形状や位置関係、比率とは異なる場合がある。
【0013】
また、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明、又は、実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が必要以上に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
【0014】
なお、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるのであって、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することを意図していない。
【0015】
図1は、実施の形態に係る自走式処理装置の動作を説明する図である。図2Aは、実施の形態に係る自走式処理装置において使用される第2高さについて説明する第1図である。図2Bは、実施の形態に係る自走式処理装置において使用される第2高さについて説明する第2図である。
【0016】
図1の(a)は、自走式処理装置100が、所定の空間150内を走行する様子を示す概略図である。また、図1の(b)は、自走式処理装置100が走行しながら取得した自己と他の物体との位置関係を示す第1図である。また、図1の(c)は、自走式処理装置100が走行しながら取得した自己と他の物体との位置関係を示す第2図である。
【0017】
自走式処理装置100は、所定の空間150の床面(以下、走行面200と称する)上を自律走行して、所定の空間150内に存在する対象物81であって、付着物が付着し得る対象物81を探索し、当該対象物について、付着物の不活化処理を行う装置である。対象物81は、所定の空間150内に存在する物体の一部である。なお、物体とは、後述する位置センサ10でセンシング可能な物であり、建築物の壁など固定的な物や、椅子、テーブル、ソファーなど移動可能な物も含まれる。一方、位置センサ10の種類によってはセンシングできないガラスなどは、物体から除外される場合がある。図1の(a)に示す例では、対象物81は、所定の空間150に配置されたベンチである。このようなベンチを利用する人99(後述する図2A等参照)は、ベンチを手などで触れることから、細菌及びウイルス等の付着物が付着し得る。
【0018】
自走式処理装置100は、走行面200に交差する高さ方向の、走行面200と一致する高さである第1高さH1における、走行面200にほぼ平行に沿う二次元的な被測定空間での、自己と他の物体との位置関係を計測する。第1高さH1における位置関係は、図1の(b)に示す第1位置関係として取得され、対象物81を決定するために使用される。図1の(b)では、自走式処理装置100の位置を、符号100を付した円形で便宜的に示している。なお、図1の(b)では、被測定空間の延びる二次元面を平面視した場合の第1位置関係が示されている。図1の(b)に示すように、第1位置関係は、ドットハッチングが付された自走式処理装置100から見て物体よりも外側の領域と、その他の領域とを含み、境界98によってこれらが隔てられている。
【0019】
また、自走式処理装置100は、高さ方向における、ベンチの座面を形成する天板に対応する走行面200からの高さである第2高さH2における、走行面200にほぼ平行に沿う二次元的な被測定空間での、自己と他の物体との位置関係を計測する。第2高さH2における位置関係は、図1の(c)に示す第2位置関係として取得され、対象物81を決定するために使用される。第2位置関係も、第1位置関係と同様に、ドットハッチングが付された自走式処理装置100から見て物体よりも外側の領域と、その他の領域とを含み、境界98によってこれらが隔てられている。ここで、図中に白抜き矢印を付して示すように、第2位置関係では、天板に対応する分だけ、第1位置関係と異なる境界が形成されている。
【0020】
したがって、図1の(c)に示すように、ドットハッチングの密度が高い差分の領域が算出可能である。この差分の領域は、第2位置関係から第1位置関係の、物体よりも外側の領域同士を差引くことによって算出が可能である。この差分の領域には、ベンチなどの対象物81のように、第1高さには存在せずに、第2高さのみに存在する物体による位置関係の差が現れている。したがって、この差分の領域に対応する位置を不活化処理の対象物81の位置とすることで、対象物81の一例である「ベンチ」に対する不活化処理を自動的に行うことができる。つまり、差分の領域とは、対象領域の一例である。
【0021】
この処理には、自走式処理装置100のユーザによる、全ての対象物81の正確な位置の入力が必要とならないため、例えばユーザが把握しきれていない対象物81等も含めて効率的に対象物81が不活化処理される。
【0022】
以上に説明したベンチの例のように、付着物が付着し得る対象物81は、通常、壁面よりも所定の空間150の内側に向けて凸、又は、壁面よりも所定の空間の外側に向かって凹となっている。壁面と面一になっていれば、人99が把持することで触れる、又は、人99が体重を預けることで触れるなどの人99が触れる動作が実現されないため、このような凹凸の形状は必須といえる。また、凹凸が形成される際には、重力方向に対向する上側の面が形成される。凹凸の上側の面には、飛沫などで浮遊する細菌及びウイルスなどが堆積されて付着しやすい。この観点からも、壁面よりも凹又は凸となる形状の対象物81に対して不活化処理を行うことが重要であるといえる。
【0023】
本実施の形態に係る自走式処理装置100は、第1高さH1において、壁面に対応する第1位置関係を取得し、第2高さH2において、対象物81に対応する凹凸が反映された第2位置関係を取得している。これらの差から、凹凸に対応する所定の空間150内での高さを含む位置を特定できるため、効率的な対象物81に対する不活化処理を行うことが可能となる。
【0024】
ここで、第1位置関係に代えて、フロアマップなどを用いて同様の処理を行うことも可能であるが、例えば、フロアマップに対する第2位置関係の差分の領域を算出した場合、観葉植物、消火器、及び、パーティションなどの走行面200に後から置かれた物体がある場合に、これらの物体も対象物81として不活化処理の対象となってしまう。このような走行面200に置かれる種類の物体は、人99が触れることがあまりないため、不活化処理の対象としては適切でない場合がある。したがって、第1位置関係を用いて差分の領域を算出することで、このような走行面200に置かれる種類の物体を対象物81から除外できるので、より効率的に対象物81に対する不活化処理を行うことができる。
【0025】
なお、第1高さH1は、走行面200と一致する高さでなくてもよい。所定の空間150に段差などの走行面200から高さ方向の上側に向けて突出する凸部がある場合に、第1位置関係及び第2位置関係の差分の領域に、上記の段差などが含まれることが生じ得るので、段差などの凸部よりも高い第1高さH1が設定されてもよい。また、場合により、第1高さH1と第2高さH2との高さの順序が入れ替えられてもよい。
【0026】
第2高さH2は、人99が触る対象物81の高さに合わせて設定される。例えば、図2Aに示すように、手すり97等を対象物81として想定する場合、このような手すり97が設けられる高さに第2高さH2が設定される。例えば、手すり97は、70cm~90cmなどに設けられる場合が多く、手すり97を対象物81として検出するために、第2高さH2に70cm~90cmなどの高さが設定される。また、例えば、図2Bに示すように、椅子96の座面等を対象物81として想定する場合、このような椅子96の座面が設けられる高さに第2高さH2が設定される。例えば、椅子96の座面は、15cm~50cmなどに設けられる場合が多く、椅子96の座面を対象物81として検出するために、第2高さH2に15cm~50cmなどの高さが設定される。
【0027】
この他、図示しないが、ハイテーブル等の天板を対象物81として想定する場合には、第2高さH2に100cm~120cmなどの高さが設定される。このように、第2高さH2は、人99の立位における手の可動範囲、及び、座位における手の可動範囲等から適切な数値が指定されればよい。より具体的には、第2高さH2としてユーザが想定する対象物81に合わせて適切な数値が指定されればよい。人99が自身の肩よりも高い位置に触れることは稀であるため、第2高さH2は、例えば、人99の肩よりも低い位置に設定される。また、肩よりも高い位置であっても、人99が触れる可能性の高い対象物81においては、上記の限りではない。
【0028】
以下では、図3を参照して、本実施の形態に係る自走式処理装置100の機能構成について説明する。図3は、実施の形態に係る自走式処理装置100の機能構成について説明する図である。図3に示すように、本実施の形態に係る自走式処理装置100は、位置センサ10及び撮像器13を含む、対象物81などの物体の検知に関する機能部と、対象物決定部20を含む検知結果から対象物を決定する機能部と、自走式処理装置100の走行に関する地図の生成のための機能部と、駆動部41及び不活化処理部45を含む自走式処理装置100の物理的な動作に関する機能部とに大別される。
【0029】
位置センサ10は、第1高さH1における第1位置関係、及び、第2高さH2における第2位置関係を検知によって取得するセンサである。位置センサ10は、第1位置関係の検知に用いられる第1センサ11及び第2位置関係の検知に用いられる第2センサ12を含む。本実施の形態においては、第1センサ11及び第2センサ12は、いずれも周辺の物体の位置と距離とを取得する2D-LiDARである。
【0030】
第1センサ11及び第2センサ12は、走行面200からそれぞれ第1高さH1及び第2高さH2の面内を通過するレーザー光を照射し、物体に反射したレーザー光を受光することにより物体との距離を測定することができる。また、第1センサ11及び第2センサ12は、走行面200と平行な面内においてレーザー光を回転させ、所定の角度毎に物体との距離を測定することで、自走式処理装置100に対する物体の位置も測定することができるものとなっている。
【0031】
なお、第1センサ11及び第2センサ12の種類は、自走式処理装置100と自走式処理装置100の周辺に存在する物体との距離を含む相対的な位置関係を取得できるものであれば特に限定されるものではなく、機能が異なる複数種類のセンサを備えても構わない。上記の他の第1センサ11及び第2センサ12としては、超音波センサ、LiDARセンサ、RGBカメラ、DEPTHカメラ、赤外線測距センサ、車輪オドメトリ、ジャイロセンサなどを例示することができる。
【0032】
撮像器13は、自走式処理装置100の周囲を撮像して画像を取得する装置である。撮像器13は、上記の位置センサ10とは異なり自然光が物体などに反射した光を、二次元面状に撮像素子が並ぶイメージセンサで受光して、二次元面の各撮像素子に対応するRGB情報を含む平面画像を取得するRGBセンサである。なお、撮像器13が取得した画像は、機械学習等を駆使した画像認識技術により、画像内に映る物体を検知するために用いられる。この際、撮像器13が取得する画像に距離情報が含まれていれば、より高精度に画像内に映る物体の検知を行うことが可能となる。したがって、撮像器13は、RGB-D情報を含む画像を取得するRGB-Dセンサであってもよい。
【0033】
なお、撮像器13は全天球カメラのように自走式処理装置100の周囲を一挙に撮像可能な1つのカメラであってもよいし、それぞれが自走式処理装置100を中心とした放射方向を撮像する複数のカメラによって構成されてもよいし、1つのカメラが姿勢を変更することで、自走式処理装置100からあらゆる方向の周囲を撮像可能な構成であってもよい。
【0034】
対象物決定部20は、位置センサによって取得された第1位置関係及び第2位置関係に基づいて、2つの位置関係間の差分に基づいて、自己との位置関係での対象位置を検出し、検出された対象位置に対応する所定の空間150内での物体を対象物81として決定する処理装置である。対象物決定部20は、例えば、プロセッサとメモリとを用いて所定のプログラムを実行することで、第1位置関係及び第2位置関係から不活化処理の対象となる対象物81を決定する。
【0035】
対象物決定部20は、センサデータ取得部21と対象位置検出部25とを含む。センサデータ取得部21は、第1取得部22、第2取得部23、及び、第3取得部24を含む。
第1取得部22は、第1センサ11から第1位置関係を取得する処理部である。第2取得部23は、第2センサ12から第2位置関係を取得する処理部である。また、第3取得部24は、撮像器13から画像を取得する処理部である。第3取得部24が取得した画像の処理については、後述する。
【0036】
第1取得部22及び第2取得部23が取得した第1位置関係及び第2位置関係は、対象位置検出部25に出力される。対象位置検出部25は、出力された第1位置関係及び第2位置関係を取得して、上記に説明したようにこれらの位置関係の間の差分の領域を算出する。算出された差分の領域として、対象位置が検出される。例えば、この対象位置は、そのまま対象物81として決定されてもよく、対象位置からノイズなどの除去処理を行った上で残る対象位置に対応する物体が対象物81として決定されてもよい。
【0037】
例えば、複数人掛けのベンチや、手すり97などは、壁面等に沿って所定の長さだけ延びていることが多く、このような情報を用いて、算出された差分の領域である対象位置から、十分な長さだけ延びていないものを除去した上で対象物81が決定されてもよい。この他、各種の付加的な情報、及び既存のノイズ除去技術を適用して、算出された差分の領域である対象位置を処理した処理後の対象位置に対応する物体を対象物81として決定してもよい。
【0038】
なお、以降の処理では、対象位置の情報が使用される。つまり、物体としての対象物81の決定は、実際の自走式処理装置100における処理では必須とはならない。対象物81を決定するとは、上記のように検出された対象位置を用いると決定することと、検出された対象位置を処理してノイズなどの除去を行った処理後の対象位置を用いると決定することと、を含む、検出された対象位置を使用するか否かの決定をすることの意図である場合がある。
【0039】
自己位置検出部31は、プロセッサとメモリとを用いて所定のプログラムが実行されることで実現される処理部である。自己位置検出部31は、位置センサ10が物体の位置と距離とを測定することができる空間である被測定空間に対応する自己位置推定用地図を取得する。自己位置検出部31は、端末装置93、サーバなどから自己位置推定用地図を取得してもよい。本実施の形態の場合、自己位置検出部31は、位置センサ10から取得した情報に基づき、例えばSLAM技術により、第1高さH1において走行面200に平行な掃除機の周辺環境に関する自己位置推定用地図を生成する。
【0040】
自己位置検出部31は、位置センサ10である2D-LiDARのセンシング情報の他、他のセンサである車輪オドメトリ、ジャイロセンサ等からの情報を加えて自己位置推定用地図を生成しても構わない。生成された自己位置推定用地図は、記憶部33に格納される。
【0041】
自己位置検出部31は、さらに、位置センサ10から取得した位置関係と自己位置推定用地図と、を用いて自己位置の検出を行う。本実施の形態の場合、自己位置検出部31は、SLAMを利用して自己位置を推定によって検出している。つまり、自己位置検出部31は、SLAMを用いて自己位置を検出しながら自己位置推定用地図を生成し、自己位置、及び自己位置推定用地図を逐次更新している。
【0042】
地図情報生成部32は、自己位置推定用地図、対象物81の位置である対象位置及び走行面200上の障害物等の位置、ならびに、フロアマップ等を用いて、自走式処理装置100が対象物81の不活化処理のために走行すべき走行経路を示す不活化経路を生成する。地図情報生成部32は、所定の空間150内を走行しながら新たに取得される第1位置関係及び第2位置関係に基づいて、新たな対象位置が検出された場合、この対象位置に対応する対象物81を新たに不活化経路に追加しながら不活化処理を実施していく。したがって、不活化経路も、走行によって逐次更新される。
【0043】
なお、上記で用いられるフロアマップは、図示しないフロアマップ取得部によって取得されたものである。このフロアマップの取得先などに特に限定はない。例えば、フロアマップ取得部は、ネットワークを介してサーバなどからフロアマップを取得し、地図情報生成部32に出力しても良い。また、フロアマップ取得部は、端末装置93(後述する図8参照)を介して、ユーザの入力によるフロアマップの生成や変更を受け付けても構わない。また、フロアマップ取得部は、自走式処理装置100をテスト的に走行させた際に、自走式処理装置100自身が検知したセンサデータを用いて生成されたフロアマップを取得しても構わない。
【0044】
地図情報生成部32は、プロセッサとメモリとを用いて所定のプログラムを実行することで上記の不活化経路の生成を行う。地図情報生成部32は、不活化経路を自動的に生成しても良く、また端末装置93を介したユーザの入力により不活化経路の生成や変更を受け付けても構わない。また、不活化経路には、不活化処理の程度や方法などを示す情報が経路に紐付けられた状態で含まれていても構わない。生成された不活化経路は、記憶部33に格納される。
【0045】
なお、地図情報生成部32による不活化経路の生成に際して、複数の対象物81が所定の空間150内に存在する場合、いずれの対象物81を優先して不活化処理を行うかの順位に関する優先度の情報が用いられてもよい。例えば、優先度は、自走式処理装置100が対象物81に対する不活化処理のための走行を開始する開始位置から近い順に高く設定される。また、この他、優先度の設定が、ユーザによる指定や一定のルール等に基づいて行われてもよい。後述にてこの一例を説明する。
【0046】
記憶部33は、記憶装置の一例であり、半導体メモリ等から構成される、情報を格納するための装置である。記憶部33は上記のようにして生成された不活化経路を取得して格納し、必要に応じて読み出して他の構成要素へと出力する。記憶部33には、上記の不活化経路の他に、各種の処理部において実行されるプログラムが格納される。また、記憶部33は、各処理部のプロセッサがプログラムを実行する際のメモリとして機能してもよい。この場合、記憶部33は、不揮発性の記憶領域に加えて揮発性の記憶領域を有する構成としてもよい。また、記憶部33には、位置センサ10及び撮像器13において取得された検知データなどが格納されてもよい。
【0047】
駆動部41は、自走式処理装置100を走行面上で走行させるための走行機構である。駆動部41は、例えば、後述の制御部43からの制御信号を取得して、制御信号に応じた電力を車輪モータ42に伝達する。車輪モータ42は、回転軸と本体部とを有し、本体部は、自走式処理装置100の筐体に固定されている。駆動部41からの電力に応じて回転軸が本体部に対して回転することで、回転軸に固定された車輪が回転して自走式処理装置100の筐体ごと、本体部を移動させる。このようにして自走式処理装置100は、制御部43からの制御信号に従って走行面200上を走行する。
【0048】
制御部43は、プロセッサとメモリとを用いて所定のプログラムを実行することで自走式処理装置100の各部の制御のための制御信号の生成を行う。制御部43は、地図情報生成部32によって生成された不活化経路、ならびに、自己位置検出部31によって生成された自己位置推定用地図及び検出された自己位置を取得する。不活化経路等の取得は、地図情報取得部44によって行われる。地図情報取得部44は、自己位置検出部31、及び、地図情報生成部32又は記憶部33にアクセスして、自己位置推定用地図、自己位置、及び、不活化経路を取得する。
【0049】
制御部43は、取得した不活化経路等に従って、自走式処理装置100を走行させるための制御信号を駆動部41に対して出力する。なお、制御部43は、走行経路上に物体などが存在することを第1センサ11等により取得した場合、物体を回避しながら自走式処理装置100を走行させる制御信号を出力する。また、制御部43は、不活化経路に示された不活化処理の程度や方法などに応じて、経路上の所定の位置と自己位置とが一致したタイミングで、後述の不活化処理部45を動作させるための制御信号を不活化処理部45に対して出力する。
【0050】
不活化処理部45は、対象物81に対して不活化処理を行うための機能部である。不活化処理部45は、噴霧器46及びUV照射器47を有する。不活化処理部45は、制御部43からの制御信号に応じて、噴霧器46及びUV照射器47の少なくとも一方を動作させることで、対象物81に対する不活化処理を行う。
【0051】
噴霧器46は、対象物81を不活化するための不活化物質を含む液体を霧状にして噴射することで、不活化物質を広範囲に散布するための装置である。噴霧器46は、不活化経路に示された不活化処理の程度等に応じて、噴霧量及びミスト径等を切り替えて液体を噴霧する。なお、噴霧器46は複数種の液体を個別に保持し、対象物81に対する不活化処理の程度に応じて、噴霧する液体の種類を切り替えてもよい。
【0052】
噴霧器46は、第2高さH2よりも高い位置から対象物81に降り注ぐように液体を噴霧することで、対象物81の上側の面の付着物を不活化する。また、噴霧器46は、必要に応じて第2高さH2に到達するように、対象物81の下側から液体を散布することで、対象物81の下側の面の付着物を不活化してもよい。また、自走式処理装置100の噴霧器46が設置された位置から第2高さH2までの仰角又は伏角に応じて、対象物81から離れた位置から噴霧が行われるようにしてもよい。このため、制御部43は、駆動部41を対象物81から離れた位置まで走行させるための制御信号を出力してもよい。
【0053】
また、対象物81が、手すり97又は複数人掛けのベンチのように所定方向に延びる構成の場合、制御部43は、噴霧器46による噴霧をしながら、所定方向に自走式処理装置100を走行させるように駆動部41を制御してもよい。
【0054】
噴霧器46から噴射される液体としては、例えば、エタノール、次亜塩素酸水、塩化ベンザルコニウム水溶液、界面活性剤等、細菌及びウイルス等を破壊して不活化する作用を示す殺菌剤、消毒剤、及び除菌剤などの液体が挙げられる。また、噴霧器46から噴射される液体としては、細菌等をより強力に破壊する滅菌剤、細菌等の増殖を抑制する抗菌剤、細菌等の絶対数を減少させる減菌剤などが含まれてもよい。
【0055】
このように、本開示における付着物の不活化とは、その付着物自身を破壊して感染能力を抑えること、洗浄作用のある物質で付着物をより人99が触れにくい場所(床面等)に移動させること、将来的な付着物の付着数を減少させること等、付着物の感染リスクの観点での活性を抑制するあらゆる処置を包含する概念である。
【0056】
UV照射器47は、対象物81の表面に対してUV光を照射することで、当該表面に付着する細菌及びウイルス等を破壊して不活化する装置である。UV照射器47は、不活化経路に示された不活化処理の程度等に応じて、照射時間及び照射強度(又は波長)を切り替えてUV光を照射する。
【0057】
次に、以上に説明した自走式処理装置100の動作について図4図8を参照して説明する。図4は、実施の形態に係る自走式処理装置の動作を示すフローチャートである。
【0058】
図4に示すように、自走式処理装置100は所定の空間150に設定された開始位置から走行を開始すると、まず、地図情報の取得を行う(ステップS101)。この地図情報は、自己位置推定用地図及び不活化経路である。過去に自走式処理装置100が所定の空間150内を走行した経歴がある場合、記憶部33は、格納している自己位置推定用地図及び不活化経路を読み出して、地図情報取得部44へと出力することで、地図情報が取得される。一方、所定の空間150内の走行が初回である場合、自走式処理装置100は、走行しながら地図情報を生成することで地図情報を取得する。
【0059】
自走式処理装置100は、取得した地図情報を更新しつつ、当該地図情報に沿って、走行と不活化処理とを実施する。具体的には、第1センサ11により第1位置関係を取得し、第2センサ12により第2位置関係を取得する(ステップS102)。自己位置検出部31は、これらの位置関係の情報を取得して、自己位置を検出する(ステップS103)。また、自己位置検出部31は、自己位置推定用地図及び自己位置を逐次更新する。
【0060】
また、第1取得部22は、第1位置関係を取得する。第2取得部23は、第2位置関係を取得する。対象位置検出部25は、取得した第1位置関係及び第2位置関係に基づいて、差分の領域を算出して対象位置を検出する。対象物決定部20は、このようにして、検出された対象位置に対応する物体を対象物81として決定する(ステップS104)。
【0061】
地図情報生成部32は、決定された対象物81の中に、例えば、既に記憶部33に格納されている不活化経路に含まれていない対象物81が存在する場合、当該対象物81を新たな対象物81として含めることで不活化経路を更新する。自走式処理装置100の走行が初回である場合、決定された対象物81は全て新たな対象物81であるので、これら全てが含まれる不活化経路が生成される。
【0062】
このように、逐次更新されることで生成された地図情報に基づいて、制御部43は、自走式処理装置100を対象物81の位置(つまり対象位置)に向けて走行させて対象物81に接近させる。噴霧器46による液体の噴霧位置、又は、UV照射器47によるUV光の照射位置に到達した後、制御部43は、不活化処理部に、対象物81に対する不活化処理を行わせる(ステップS105)。
【0063】
ここで、図5は、実施の形態に係る自走式処理装置による走行及び不活化処理の動作を示すフローチャートである。図6は、実施の形態に係る撮像器の使用例について説明する第1図である。図7は、実施の形態に係る撮像器の使用例について説明する第2図である。図5では、上記のステップS105についてより詳しい動作が示されている。
【0064】
図5に示すように、自走式処理装置100は、対象物81が決定されると、当該対象物81に対応する対象位置までの移動を開始する(ステップS201)。このとき、撮像器13は、移動している自走式処理装置100の周囲を撮像して画像を取得する(ステップS202)。対象物決定部20は、撮像された画像を取得して、あらかじめ定められた被処理対象83が検出されたか否かを判定する(ステップS203)。なお、ここでの自走式処理装置100の周囲とは、撮像された画像内に被処理対象83が検出可能な大きさで映り込む、自走式処理装置100を中心とした範囲内である。
【0065】
画像に被処理対象83が検出されたと判定された場合、例えば、図6に示すように、自走式処理装置100が走行する経路の周囲に、被処理対象83が存在している。被処理対象とは、第1位置関係及び第2位置関係の差に基づいては検出が困難であるため、対象物81として決定されにくい物体であり、かつ、人99が触れる機会の多い物体である。図中の例では、エレベータのかご室を各階に移動させるために各階に設置された呼び出しボタンが被処理対象として検出されている。
【0066】
呼び出しボタンは、壁面に沿ってほぼ凹凸なく設けられるので、対象物81としての検出が困難である。被処理対象としては、この他に、LIDARでの検出が困難な微小な凹凸で構成される物体が設定される。例えば、被処理対象83として、ドアノブ、壁スイッチ、及び、壁面設置型のタッチパネル式入力装置等が挙げられる。
【0067】
対象物決定部20を構成するプログラムには、例えば、同種の被処理対象83を複数の画像で学習させた学習済みの被処理対象検出モデルが組み込まれており、画像の入力に対して、あらかじめ定められた被処理対象83が当該画像内に含まれているか否かを判定することができる。この判定によって、画像内における被処理対象83の検出が行われる。
【0068】
図5に戻り、対象物決定部20が被処理対象83を検出した場合(ステップS203でYes)、検出された被処理対象83についても不活化処理が行われる。具体的には、地図情報生成部32は、画像解析等によって、被処理対象83が検出された位置を不活化経路に加え、不活化経路を更新する。制御部43は更新された不活化経路に基づいて、駆動部41を制御して自走式処理装置100を被処理対象83が検出された位置に向けて走行させる。不活化処理のために適切な被処理対象83の近接位置に自走式処理装置100が移動した後、制御部43は、不活化処理部45を制御して被処理対象83の不活化処理を行わせる(ステップS204)。
【0069】
一方で、対象物決定部20が被処理対象83を検出しなかった場合(ステップS203でNo)、制御部43は、対象物81の近接位置に到着したか否かを判定する(ステップS205)。制御部43が、対象物81の近接位置に到着していないと判定した場合(ステップS205でNo)、ステップS201に戻り処理を繰り返す。
【0070】
このように、自走式処理装置100は、対象物81の近接位置に到着するまで、被処理対象83が検出されるごとに当該被処理対象83に対する不活化処理も行う。なお、被処理対象83の不活化処理は、対象物81の後に行われてもよい。すなわち、自走式処理装置100は、対象物81の近接位置に到達するまで、被処理対象83を検出してその位置を記憶していき、対象物81に対する不活化処理が完了した後に、改めて被処理対象83の不活化処理を行ってもよい。
【0071】
制御部43が、対象物81の近接位置に到着したと判定した場合(ステップS205でYes)、撮像器13は、対象物81の周囲の画像を取得する(ステップS206)。その後、対象物決定部20は、上記と同様に画像解析を行うことにより、取得した画像内に人99が検出されたか否かを判定する(ステップS207)。つまり、対象物決定部20は、対象物81の周囲に人99が存在するか否かを判定する。この対象物81の周囲とは、例えば図6に示すように、対象物81がベンチである場合、当該ベンチの座面上に座る人99を含め対象物81の三次元的な周囲を意味する。また、この対象物81の周囲は、人99が対象物81に対する不活化処理の妨げになる、又は、不活化処理における噴霧器46からのミスト又はUV照射器47からのUV光が人99に所定量以上届く範囲である。
【0072】
このような場合、当該対象物81は適切に不活化処理ができない、又は、不活化処理によって、人99に悪影響を及ぼす可能性がある。したがって、対象物決定部20が、画像内に人99が検出されたと判定した場合(ステップS207でYes)、この対象物81を特定対象物として記憶する(ステップS208)。本実施の形態における自走式処理装置100は、現時点で不活化処理を行うべきでない対象物81を特定対象物として記憶部33に位置、人99の検出により不活化処理を行えなかったこと及び日時等を記憶することで、後に所定の空間150内の不活化処理を改めて行う際に、特定対象物を他の対象物81よりも優先して不活化処理することができる。
【0073】
また、このように人99の存在を検出したことを記憶部33などに蓄積することで、対象物81の周囲に存在する人99を検出した頻度を算出することができる。この頻度が高いほど不活化処理の優先度を高く設定し、所定の空間150内の複数の対象物81のそれぞれに対して、優先度の順で、不活化処理を行うことができる。
【0074】
これによれば、第1位置関係及び第2位置関係に基づいて差分の領域が算出された対象位置の対象物81であっても実際には、人99があまり触れない物体であった場合に、このような対象物81の不活化処理の優先度を低下させることができる。一方で、より、高頻度に人99が周囲に存在していることから、人99が触りやすいと推定される対象物81の不活化処理の優先度を高くすることができる。よって、人99が触りやすい対象物81に対する不活化処理をより適切に行うことができる。
【0075】
特に、過去に人99の存在が検知されなかった対象物81については、不活化処理の対象から除外してもよい場合がある。したがって、対象位置検出部25は、第1位置関係及び第2位置関係の差に基づく位置であり、かつ、過去に対象物決定部20が、周囲に人99の存在を検知した実績がある位置を対象位置として検出してもよい。これにより、人99がほとんど近づかないような対象物81が不活化処理の対象として決定されることを抑制できる。
【0076】
なお、上記の例では、撮像器13が人センサの一例として用いられている。人センサとしては、他に、サーマルカメラなどの赤外線センサ等を用いることもできる。
【0077】
図5に戻り、対象物決定部20が、画像内に人99が検出ていないと判定した場合(ステップS207でNo)、制御部43は、不活化処理部45を制御して当該対象物81に対する不活化処理を行う(ステップS209)。
【0078】
図4に戻り、ステップS105が終了した後、制御部43は、不活化経路を参照して、所定の空間150内における全ての対象物81に対する不活化処理、又は、対象物81の特定対象物としての記憶を行ったか否かを判定する(ステップS106)。制御部43が所定の空間150内における全ての対象物81に対して上記いずれかの処理が行われたと判定されなかった場合(ステップS106でNo)、次の対象物81に対する不活化処理のステップS107に進む。なお、ステップS107では、対象が次の対象物81となっている以外には、実質的にステップS105と同様の処理が行われるので、ここでの説明を省略する。
【0079】
一方で、制御部43が所定の空間150内における全ての対象物81に対して上記いずれかの処理が行われたと判定した場合(ステップS106でYes)、制御部43は、ユーザが所有する端末装置93に対して、不活化処理の結果を通知する(ステップS108)。図8は、実施の形態に係る不活化処理結果の通知の一例を示す図である。例えば、制御部43及び端末装置93は、ネットワーク等を介してサーバなどと情報通信を行うことが可能となっている。この結果、制御部43及び端末装置93は、サーバなどを介して互いに情報通信を行うことが可能となっている。
【0080】
端末装置93は、自走式処理装置100から情報を取得する通信装置を備え、取得した情報を処理し、処理した内容をユーザに対して表示できるディスプレイ等の表示手段を備えている。端末装置93としては、例えばいわゆるスマートフォン、いわゆるタブレット、いわゆるノートパソコン、いわゆるデスクトップパソコンなどを例示することができる。例えば、図8に示すように、不活化処理の結果は、地図状の画像として提示される。この地図では、図1の(c)と同様の対象物81の位置(高密度のドットハッチングが付された箇所)及び、円形又は交差印によりその対象物81に対する不活化処理の実施の有無が表示されている。例えば、図中の地図の左方の交差印のように、ユーザに提示される画像には、ステップS207で人99の存在が検出されたことで、特定対象物として記憶され、不活化処理が行われなかった対象物81が示されている。
【0081】
また、図中の地図の中央上方の円形のように、ユーザに提示される画像には、対象物81ではなくとも、ステップS203で被処理対象が検出されたことで不活化処理が行われた箇所が示されている。このようにして、端末装置93に通知が届くことで、所定の空間150の不活化処理の状況が一見してわかるようになっている。
【0082】
以上、説明したように、本実施の形態における自走式処理装置100は、所定の空間を自律的に走行し、対象物81に対して不活化処理を行うことで、対象物81付着する付着物を不活化する自走式処理装置100であって、自走式処理装置100の走行面200に沿う二次元的な被測定空間に存在する物体と自己との位置関係を取得する位置センサ10であって、走行面200と交差する高さ方向における第1高さH1の位置関係である第1位置関係、及び、高さ方向における第2高さH2の位置関係である第2位置関係を取得する位置センサ10と、第1位置関係及び第2位置関係の差に基づいて、所定の空間150内の位置である対象位置を検出し、検出された対象位置に対応する物体を対象物81として決定する対象物決定部20と、決定された対象物81に対して、不活化処理を行う不活化処理部45と、を備える。
【0083】
このような自走式処理装置100は、位置センサ10によって取得される第1位置関係及び第2位置関係に基づいて、機械的に第2高さH2に配置された対象物81を決定することができる。対象物81の決定を機械的に行うことができるので、ユーザなどがすべての対象物81を指定する等する必要がなく、また、対象物81が新たに増えた場合にも、自動的にこれを検出できる。この結果、所定の空間150内に存在する第2高さH2に配置された対象物81を適切に決定して不活化処理を行うことができる。よって、床面よりも高い位置にある物体の付着物による感染リスクを効率的に抑制することが可能となる。
【0084】
また、例えば、対象物決定部20は、第1位置関係と第2位置関係との間に差が存在する被測定空間内の領域を対象領域として、対象領域に対応する所定の空間150内における位置を対象位置として検出してもよい。
【0085】
これによれば、第1位置関係と第2位置関係との間に差が存在する差分の領域(つまり対象領域)を算出し、差分の領域に対応する位置を対象位置として検出できる。この結果、対象位置に対応する所定の空間150内の物体が対象物81として機械的に決定される。
【0086】
また、例えば、さらに、位置センサ10とは異なる人センサ(例えば、撮像器13)を備え、不活化処理部45は、対象物81に対する不活化処理を行う際に、人センサが対象位置の周囲に存在する人99を検出した場合は、周囲に人99が検出された対象位置に対応する対象物81に対する不活化処理を行わなくてもよい。
【0087】
これによれば、対象物81に対する不活化処理を行った場合に、不活化処理の影響を受け得る人99が存在する場合に、この対象物81に対する不活化処理を行わない選択が可能となる。つまり、人99に対して報知など行う必要なく、安全に所定の空間150内の対象物81に対して不活化処理を行うことができる。
【0088】
また、例えば、さらに、不活化処理が行われなかった対象物81を特定対象物として記憶する記憶装置(例えば、記憶部33)を備え、過去に記憶された特定対象物に対して、所定の空間150内の他の対象物81よりも優先して、不活化処理を行ってもよい。
【0089】
これによれば、一度不活化処理を行わなかった対象物81(特定対象物)に対して、改めて、他の対象物81よりも優先的に不活化処理を行うことができる。不活化処理が何らかの理由で行われなかった対象物81では、付着物の増殖など感染リスクが増大していることから、他の対象物81よりも優先して不活化処理を行うことで、優先的に感染リスクの抑制を図ることができる。
【0090】
また、例えば、さらに、位置センサ10とは異なる人センサ(例えば、撮像器13)を備え、人センサが対象位置の周囲に存在する人99を検出した頻度が高いほど、優先度を高く設定し、所定の空間150内の複数の対象物81のそれぞれに対して、優先度が高い順で、不活化処理を行ってもよい。
【0091】
これによれば、より感染リスクが高いと推定される、周囲の人99の存在頻度が高い対象物81を優先して、不活化処理を行うことができる。
【0092】
また、例えば、さらに、位置センサ10とは異なる人センサ(例えば、撮像器13)を備え、対象物決定部20は、第1位置関係及び第2位置関係の差に基づく位置であり、かつ、過去に人センサが、周囲に人99の存在を検知した実績がある位置を対象位置として検出してもよい。
【0093】
これによれば、人99が周囲に存在しないことから、人99による付着物の付着の可能性が低い物体を対象物81から除外して、その他の比較的感染リスクの高い対象物81を不活化処理できる。
【0094】
また、例えば、さらに、自走式処理装置100の周囲を撮像して画像を取得する撮像器13を備え、画像内に、対象物81とは異なる不活化処理の対象である被処理対象83を検出した場合、不活化処理部は、さらに、所定の空間150内における被処理対象83に対して不活化処理を行ってもよい。
【0095】
これによれば、撮像器13によって発見された被処理対象83についても不活化処理を行うことができる。
【0096】
また、例えば、自走式処理装置100は、所定の空間150内の複数の対象物81のそれぞれに対して、自走式処理装置100が走行を開始する開始位置から近い順で、不活化処理を行ってもよい。
【0097】
これによれば、所定のルールなどに沿って優先順位を設けて対象物81の不活化処理を行う場合に比べ、不活化経路などの計算処理が簡略化でき、計算リソースのコストを低下させることができる。
【0098】
また、本実施の形態における対象物決定方法は、所定の空間150を自律的に走行して、対象物81に対して不活化処理を行うことで、対象物81に付着する付着物を不活化する自走式処理装置100において用いられる対象物決定方法であって、自走式処理装置100の走行面200と交差する高さ方向における第1高さH1の、走行面200に沿う二次元的な被測定空間に存在する物体と自走式処理装置100との位置関係である第1位置関係、及び、高さ方向における第2高さH2の、被測定空間に存在する物体と自走式処理装置100との位置関係であるである第2位置関係を取得し、第1位置関係及び第2位置関係の差に基づいて、所定の空間150内の位置である対象位置を検出して、検出された対象位置に対応する物体を対象物81として決定する。
【0099】
これによれば、上記の自走式処理装置100と同様の効果を奏するための対象物81の決定を行うことができる。
【0100】
また、本実施の形態におけるプログラムは、上記に記載の対象物決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。
【0101】
これによれば、コンピュータを用いて、上記の自走式処理装置100と同様の効果を奏するための対象物81の決定方法を実行できる。
【0102】
(その他の実施の形態)
本発明は、上記実施の形態に限定されるものではない。例えば、本明細書において記載した構成要素を任意に組み合わせて、また、構成要素のいくつかを除外して実現される別の実施の形態を本発明の実施の形態としてもよい。また、上記実施の形態に対して本発明の主旨、すなわち、請求の範囲に記載される文言が示す意味を逸脱しない範囲で当業者が思いつく各種変形を施して得られる変形例も本発明に含まれる。
【0103】
上記実施の形態において、自走式処理装置は、単一の装置によって実現されたが、複数の装置が互いに連携して実現する自走式処理システムであってもよい。例えば、上記の実施の形態における対象物決定部の機能を有するサーバ装置と、上記の実施の形態における自走式処理装置のその他の機能のみを有する自走式処理装置とを通信可能とすることで、自走式処理システムを実現することができる。また、このサーバ装置が実行するプログラムとして、第1位置関係及び第2位置関係に基づいて、対象位置を検出し、対象物を決定する対象物決定方法をサーバ装置に実行させることもできる。
【0104】
また、特定の処理部が実行する処理を別の処理部が実行してもよい。また、上記実施の形態における装置間の通信方法については特に限定されるものではない。上記実施の形態において2つの装置が通信を行う場合、2つの装置間には図示されない中継装置が介在してもよい。
【0105】
また、上記実施の形態で説明された処理の順序は、一例である。複数の処理の順序は変更されてもよいし、複数の処理は並行して実行されてもよい。
【0106】
また、上記の自走式処理装置に、床面を吸引することで、床面上に飛散した細菌及びウイルス等を集塵する構成を組み合わせてもよい。上記の実施の形態において説明した対象物の周囲には対象物に触り得る人が集まりやすいと考えられる。この結果、対象物の周囲の床面には、その他の床面に比べて比較的多くの細菌及びウイルス等が飛散している可能性がある。つまり、自走式処理装置に床面の吸引機能を組み合わせるのみで、より効率的に細菌及びウイルス等を除去することができる。
【0107】
また、上記の実施の形態においては、第1高さにおける第1位置関係及び第2高さにおける第2位置関係をそれぞれ取得するためのセンサを別個に備える位置センサの構成を説明したが、位置センサはこれに限らない。例えば、図9は、変形例1に係る自走式処理装置の位置センサを示す概略図である。この例での位置センサ10aは、第1センサ11aのみによって、第1位置関係及び第2位置関係を取得可能な構成である。ここでの位置センサ10aは、切り替え機構11bを有する。切り替え機構11bは、第1センサ11aを回動可能に支持する構成となっている。この他、切り替え機構11bには、第1センサ11aを回動させるためのアクチュエータ(不図示)が設けられる。
【0108】
第1センサ11aは、第1高さH1に向けて光の出射及び受光を行う第1モード(1点鎖線で表現)と、第2高さに向けて光の出射及び受光を行う第2モード(実線で表現)と、を白抜き両矢印のように切り替えることができる。この結果、第1センサ11aは、第1モードで第1位置関係を取得し、かつ、第2モードで第2位置関係を取得することが1つのセンサによって可能となっている。このような位置センサ10aを自走式処理装置に適用してもよい。
【0109】
このように、変形例1に係る自走式処理装置では、位置センサ10aは、第1位置関係を取得する第1モードと、第2位置関係を取得する第2モードと、を切り替え可能な切り替え機構11bを有する。
【0110】
これによれば、2つの位置関係を取得するための位置センサを共通化することができるので、コスト面で有利な自走式処理装置を実現できる。
【0111】
また、上記の実施の形態においては、第1高さ及び第2高さの位置関係のみを用いる構成について説明した。例えば、上記に加えて、第3高さの位置関係をさらに組み合わせるとしてもよい。これにより、第2高さにおいてベンチ等の対象物を、第3高さにおいて手すりなどの対象物をそれぞれ検出することもできる。つまり、高さの異なる2種類以上の対象物を一挙に検出してまとめて不活化処理を行うことが可能となる。なお、この構成においては、第3センサ及び第4取得部などをさらに備えることが好ましい。
【0112】
また、第3高さにおける第3位置関係の別の使用例について説明する。図10は、変形例2に係る自走式処理装置による対象位置の検出について説明する図である。図10では、壁面に沿う方向から見た対象物81の側面図が示されている。この例では、第2高さH2に存在する対象物81を、第1高さH1及び第3高さH3それぞれでの位置関係も用いて検出している。
【0113】
例えば、第1高さH1及び第2高さH2の第1位置関係及び第2位置関係の間に差分の領域が算出された場合に、これが壁面のデザインによって形成されていることが起こり得る。そこで、第1高さH1及び第2高さH2の第1位置関係及び第2位置関係の間に差分の領域が算出され、かつ、第2高さH2及び第3高さH3の第2位置関係及び第3位置関係の間に差分の領域が算出される場合にのみ対象領域を検出して対象物81を決定する構成としてもよい。第1高さH1及び第2高さH2の関係は、上記の実施の形態と同様であるが、第2高さH2と第3高さH3との関係は、第3高さH3と第2高さH2との差が人が手で把持する際に程よい5.0~10cm程度としておくことで、第1位置関係と第2位置関係との間で凹凸の有無が検知され、第2位置関係と第3位置関係との間で、この凹凸が人による把持を想定しない程高さ方向に継続している場合を除外することができる。
【0114】
このほか、第3位置関係を組み合わせることで、各種の閾値などと併せてより詳細に人が触り得る対象物の検知を行うことが可能となる。
【0115】
このように、変形例2に係る自走式処理装置では、位置センサ10は、走行面と交差する高さ方向における第3高さH3の位置関係である第3位置関係を取得し、対象物決定部20は、第1位置関係、第2位置関係、及び第3位置関係の差に基づいて、所定の空間150内の位置である対象位置を検出する。
【0116】
これによれば、さらに第3位置関係を組み合わせてより適切な対象位置の検出及び対象物の決定を行うことができる。
【0117】
また、上記実施の形態において、各構成要素は、各構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。各構成要素は、CPU又はプロセッサなどのプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリなどの記録媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0118】
また、各構成要素は、ハードウェアによって実現されてもよい。例えば、各構成要素は、回路(又は集積回路)でもよい。これらの回路は、全体として1つの回路を構成してもよいし、それぞれ別々の回路でもよい。また、これらの回路は、それぞれ、汎用的な回路でもよいし、専用の回路でもよい。
【0119】
また、本発明の全般的又は具体的な態様は、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム又はコンピュータ読み取り可能なCD-ROMなどの記録媒体で実現されてもよい。また、システム、装置、方法、集積回路、コンピュータプログラム及び記録媒体の任意な組み合わせで実現されてもよい。例えば、本発明は、配達物通知システムなどのコンピュータが実行する配達物通知方法として実行されてもよいし、このような配達物通知方法をコンピュータに実行させるためのプログラムとして実現されてもよい。また、本発明は、このようなプログラムが記録されたコンピュータ読み取り可能な非一時的な記録媒体として実現されてもよい。
【0120】
その他、各実施の形態に対して当業者が思いつく各種変形を施して得られる形態、又は、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で各実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本発明に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0121】
本開示は、自律的に走行し人が触り得る対象物に対する不活化処理のために利用可能である。
【符号の説明】
【0122】
10、10a 位置センサ
11、11a 第1センサ
11b 切り替え機構
12 第2センサ
13 撮像器
20 対象物決定部
21 センサデータ取得部
22 第1取得部
23 第2取得部
24 第3取得部
25 対象位置検出部
31 自己位置検出部
32 地図情報生成部
33 記憶部
41 駆動部
42 車輪モータ
43 制御部
44 地図情報取得部
45 不活化処理部
46 噴霧器
47 UV照射器
81 対象物
83 被処理対象
93 端末装置
96 椅子
97 手すり
98 境界
99 人
100 自走式処理装置
150 所定の空間
200 走行面
図1
図2A
図2B
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10