(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】照明制御システム
(51)【国際特許分類】
H05B 47/175 20200101AFI20240913BHJP
H05B 47/105 20200101ALI20240913BHJP
【FI】
H05B47/175
H05B47/105
(21)【出願番号】P 2021029233
(22)【出願日】2021-02-25
【審査請求日】2023-11-20
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109210
【氏名又は名称】新居 広守
(74)【代理人】
【識別番号】100137235
【氏名又は名称】寺谷 英作
(74)【代理人】
【識別番号】100131417
【氏名又は名称】道坂 伸一
(72)【発明者】
【氏名】三浦 俊文
【審査官】谷口 東虎
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-123199(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2012/0004745(US,A1)
【文献】特開2002-354296(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05B 47/175
H05B 47/105
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
操作部を有する照明制御装置と、
透明な表示装置とを備え、
前記照明制御装置は、前記操作部に対する操作によって舞台を照明する照明装置を制御し、
前記表示装置は、
前記照明制御装置を操作する人と舞台と間の視線経路上に配置され、
前記操作部の操作位置及び機能に準じて仮想的に前記操作部が配置され
、少なくとも一部が透明又は半透明な画像を表示する
照明制御システム。
【請求項2】
前記表示装置は、舞台における前記照明装置の物理的配置に準じて仮想的に照明装置が配置された画像を表示する
請求項1に記載の照明制御システム。
【請求項3】
前記表示装置は、前記操作部を操作するための操作範囲の大きさに応じて、1以上が配置されている
請求項1又は2に記載の照明制御システム。
【請求項4】
前記表示装置は、タッチ操作によって前記照明制御装置を操作可能なタッチパネルを有する
請求項1~3のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項5】
前記表示装置は、視線経路上において移動可能である
請求項4に記載の照明制御システム。
【請求項6】
舞台には、複数の前記照明装置が配置され、
前記表示装置は、複数の前記照明装置の全てを制御するための制御情報を同時に表示する
請求項1~5のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項7】
前記表示装置は、表示面の状態を切替えることができる
請求項1~6のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項8】
前記表示装置は、舞台上でのイベントの進行度に応じて、舞台演出に関する情報である時間的進行状況情報を表示する
請求項1~7のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項9】
前記表示装置は、前記照明装置が光によって舞台演出するための光色に関する情報を表示する
請求項1~8のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項10】
前記表示装置の表示面上では、仮想的な照明装置の配置の変更、前記仮想的な照明装置が出射する光の明るさ及び色の変更、並びに、仮想的な舞台セットの配置の変更を行うことができる
請求項1~9のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項11】
前記表示装置は、舞台上でのイベントの進行表、舞台上でのイベントの台本を表示する
請求項1~10のいずれか1項に記載の照明制御システム。
【請求項12】
前記照明制御装置を操作する人が閲覧している舞台上でのイベントの前記進行表、舞台上でのイベントの前記台本は、撮像部によって撮像され、
前記表示装置は、前記撮像部が撮像している舞台上でのイベントの進行表、舞台上でのイベントの台本を表示する
請求項11に記載の照明制御システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、照明制御システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来の特許文献1には、舞台を照明することができる映像投影装置が開示されている。映像投影装置は、舞台の照明として明るさを調整するための調光操作卓を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
従来の映像投影装置において、調光操作卓は舞台の調整室等に配置されており、作業者は、調光操作卓を見ながら舞台の照明を調整することがある。作業者は、舞台の照明演出を確認するために、調光操作卓を見ながら舞台を見たり、調光操作卓の近くに配置された表示装置等の機器を見たりする。表示装置は、調光操作卓の操作面に対して立ち上がる姿勢で配置されている。このため、作業者が舞台の照明演出を確認する際、表示装置によって死角ができてしまう。そこで表示装置を小さくすれば、死角を小さくすることができるが、表示装置の表示面が小さくなり、表示量が小さく、表示面を見難くなる。
【0005】
また、作業者は、調光操作卓、表示装置の表示面及び舞台をそれぞれ見る必要があるため、視線移動が多くなってしまう。このため、作業者における作業性を向上させたいという要望がある。
【0006】
そこで、本開示は、視野を確保しつつ、作業性を向上させることができる照明制御システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一態様に係る照明制御システムは、操作部を有する照明制御装置と、透明な表示装置とを備え、前記照明制御装置は、前記操作部に対する操作によって舞台を照明する照明装置を制御し、前記表示装置は、前記照明制御装置を操作する人と舞台と間の視線経路上に配置され、前記操作部の操作位置及び機能に準じて仮想的に前記操作部が配置され、少なくとも一部が透明又は半透明な画像を表示する。
【発明の効果】
【0008】
本開示の照明制御システムによれば、視野を確保しつつ、作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施の形態に係る照明制御システムを示すブロック図である。
【
図2】
図2は、実施の形態に係る照明制御システムの作業者と表示装置と舞台との関係を示す模式図である。
【
図3】
図3は、実施の形態に係る照明制御システムを示す模式図である。
【
図4】
図4は、実施の形態に係る照明制御システムを側面から見た場合において、表示装置を移動させる様子を示す模式図である。
【
図5】
図5は、舞台と舞台に重ねて表示した仮想的な複数の照明装置が配置された画像とを示す模式図である。
【
図6】
図6は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置の光色に関する情報の画像とを示す模式図である。
【
図7】
図7は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置の制御するための制御情報が配置された画像とを示す模式図である。
【
図8】
図8は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置のそれぞれのチャンネルレベルを示す画像とを示す模式図である。
【
図9】
図9は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置のそれぞれのランプチェックを示す画像とを示す模式図である。
【
図10】
図10は、実施の形態の変形例1に係る照明制御システムを示すブロック図である。
【
図11】
図11は、舞台と舞台に重ねて表示したバーチャル画像を示す図である。
【
図12】
図12は、舞台と舞台に重ねて表示した別のバーチャル画像を示す図である。
【
図13】
図13は、実施の形態の変形例2に係る照明制御システムを示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
なお、以下で説明する実施の形態は、いずれも包括的又は具体的な例を示すものである。以下の実施の形態で示される数値、形状、材料、構成要素、構成要素の配置位置及び接続形態、ステップ、ステップの順序などは、一例であり、本開示を限定する主旨ではない。また、以下の実施の形態における構成要素のうち、独立請求項に記載されていない構成要素については、任意の構成要素として説明される。
【0011】
また、各図は、模式図であり、必ずしも厳密に図示されたものではない。また、各図において、同じ構成部材については同じ符号を付している。
【0012】
以下の実施の形態に係る照明制御システムについて説明する。
【0013】
(実施の形態)
<構成:照明制御システム1>
図1は、実施の形態に係る照明制御システム1を示すブロック図である。
図2は、実施の形態に係る照明制御システム1の作業者と表示装置20と舞台との関係を示す模式図である。作業者は、人の一例である。
【0014】
図1及び
図2に示すように、照明制御システム1は、舞台を演出照明するために、舞台に設置されている照明装置30を所望の点灯態様で点灯させるように制御することができる。照明制御システム1は、予め設定した照明情報に基づいて、舞台の調整室に設置された操作卓10が照明装置30を制御することで、所定の点灯態様で点灯するような演出照明を行う。また、照明制御システム1では、調整室の作業者が操作卓10の操作部11を操作することで、舞台で演出された照明(点灯態様)を確認しながら、照明を調整することができる。また、照明装置30が複数用いられる場合、照明制御システム1は、複数の照明装置30を一体的に演出することができる。
【0015】
ここで点灯態様は、照明装置30の点灯時における光の明るさ、光の色合い、光の鮮やかさ等の組み合わせ、所定期間ごとの点灯及び消灯の繰り返しといった、照明装置30が演出する照明の有様である。
【0016】
図3に示すように、照明制御システム1は、操作卓10と、表示装置20とを備えている。
図3は、実施の形態に係る照明制御システム1を示す模式図である。
【0017】
[操作卓10]
操作卓10は、記憶部15等に記憶されている照明情報に基づいて、1以上の照明装置30の点灯態様を制御する。操作卓10は、照明装置30が発する光の明るさ、光の色合い、光の鮮やかさ、点灯及び消灯等の点灯態様を制御する。例えば、舞台には複数の照明装置30が配置されているため、操作卓10は、複数の照明装置30を一括して、又は、複数の照明装置30のそれぞれを個別に制御することができる。これにより、操作卓10は、舞台における一体的な照明演出をすることができる。操作卓は、照明制御装置の一例である。
【0018】
操作卓10は、舞台の作業者が照明演出を実行する際に入力操作するための操作部11を有している。
【0019】
操作部11は、例えば直方体状の操作卓10の上面に配置され、作業者が操作し易いように、作業者と対向する位置に配置されている。
【0020】
操作部11は、パッチ操作、カラー制御、キュー再生、マルチフェーダ、エフェクト再生、サブマスタ再生、プリセット等のような入力デバイスである。操作部11は、操作卓10の上面に複数形成されている。
【0021】
操作部11はユーザからの操作を受け付けることで、操作卓10は、ユーザの操作に応じた光の出力値である点灯情報を生成し、生成した点灯情報を、それぞれの照明装置30に出力する。
【0022】
照明装置30は、舞台等の現実の施設内に配置されている。照明装置30は、舞台を照明することで、舞台を照明演出することができる。照明装置30は、通信ケーブル等を介して操作卓10と通信可能に接続されている。
【0023】
照明装置30は、操作卓10からの点灯情報に応じて、明るさ、色合い、鮮やかさ等を調整した光を出射することが可能である。例えば、照明装置30は、赤色LED(Light Emitting Diode)、緑色LED及び青色LEDで構成されたそれぞれの光源を備える。照明装置30は、赤色LED、緑色LED及び青色LEDの光出力の比が制御回路によって調整されることで、色度図で示される光を発することができる。
【0024】
なお、照明装置30は、照明装置30が備える光源の光出力が、調光回路及び調色回路によって制御されることで、明るさを変化させた光(調光した光)を出射したり、色を変化させた光を出射したりすることもできる。ここで、色を変化させた光は、色温度を変化させた光、つまり調色した光を含む。例えば、照明装置30は、青色LED及び黄色蛍光体で構成された色温度の異なる光源を複数備え、それぞれの光源の光出力の比が調色回路に制御されることで、出力する光の色温度を変化させて調色することもできる。
【0025】
なお、本実施の形態において、照明制御システム1は、操作卓10によって制御される1以上の照明装置30を構成要素として含んでいないが、この1以上の照明装置30を構成要素としてさらに含んでいてもよい。
【0026】
また、本実施の形態では、操作卓10は、点灯情報、表示装置20に表示するための複数の画像、舞台上でのイベントの進行表を示す情報、舞台上でのイベントの台本を示す情報等を記憶した記憶部15を有している。
【0027】
記憶部15は、操作卓10が実行する制御プログラム等が記憶される記憶媒体である。また、記憶部15は、後述する、操作部11の操作位置及び機能に準じて仮想的に操作部11が配置された画像、舞台における照明装置30の物理的配置に準じて仮想的に照明装置が配置された画像等の、表示装置20に表示するための複数の画像を記憶している。ここで、画像とは、静止画像、動画像、及び、これらの合成画像を含む。記憶部15は、例えば、半導体メモリ等によって実現される。
【0028】
なお、操作卓10は、記憶部15を備えていなくてもよい。操作卓10は、記憶部15と別個に設けられることで、記憶部15と通信可能に接続されていてもよい。
【0029】
複数の画像には、操作部11の操作位置及び機能に準じて仮想的に操作部11が配置された画像、舞台における照明装置30の物理的配置に準じて仮想的に照明装置が配置された画像が含まれる。
【0030】
[表示装置20]
表示装置20は、映像信号が示す映像を表示し、かつ、背景を透過する透明ディスプレイである。例えば、表示装置20は、有機EL(Electronic Luminescent)、透明液晶ディスプレイ等である。
【0031】
表示装置20は、操作卓10を操作する作業者と舞台と間の視線経路上に配置されている。ここで、視線経路とは、作業者が調整室から舞台を見た場合の視線方向(視線経路)である。また、表示装置20は、調整室に配置され、少なくとも一部が操作卓10よりも高い位置に配置されている。つまり、表示装置20は、作業者が調整室から舞台の照明演出を目視で確認する際に、表示装置20の表示面21(画面)が視線方向と交差しかつ表示面21が作業者と対向するように配置されている。
【0032】
また、表示装置20は、タッチ操作によって照明制御装置を操作可能である。つまり、表示装置20は、表示モニタ22と、タッチパネル23とを備える。
【0033】
表示モニタ22には、画像を表示するための表示面21が形成されている。具体的には、表示モニタ22は、表示面21に、舞台上でのイベントの進行表を示す情報、舞台上でのイベントの台本を示す情報、操作部11の操作位置及び機能に準じて仮想的に操作部11が配置された画像、舞台における照明装置30の物理的配置に準じて仮想的に照明装置が配置された画像等を表示する。
【0034】
タッチパネル23は、表示モニタ22の表示面21と重畳して配置され、作業者の指及びタッチペン等による表示面21上へのタッチ操作を検出する。つまり、タッチパネル23は、作業者の操作を検出するための操作位置検出用のセンサである。作業者の操作が入力され、タッチパネル23で操作位置を検出して、表示モニタ22の表示面21に表示された画像に対応した操作部11の機能に応じた操作がされる。
【0035】
また、表示装置20は、
図4に示すように、視線経路上において移動可能である。
図4は、実施の形態に係る照明制御システム1を側面から見た場合において、表示装置20を移動させる様子を示す模式図である。なお、
図4では、表示装置20の前後方向の移動を例示しているがこれには限定されない。
【0036】
つまり、作業者は、図示しないアーム、治具等に固定された表示装置20の位置、表示装置20の姿勢等を自在に変えることができる。表示装置20の位置は、作業者が静止している場合において、作業者に対する相対位置である。表示装置20の姿勢は、例えば、水平方向及び鉛直方向に対する表示面21の角度である。表示装置20は、上下方向、左右方向、前後方向に自在に移動可能である。このため、
図4で示すように、視線経路上において、表示装置20を作業者から舞台側に遠ざけたり、表示装置20を舞台から作業者側に近付けたりすることができる。
【0037】
また、表示装置20は、操作部11を操作するための操作範囲の大きさに応じて、1以上が配置されている。つまり、表示装置20は、複数の操作部11が設けられている操作卓10の操作面12の大きさ、形に応じた大きさとなるように1以上が配置されている。ここで、操作範囲は、操作卓10の操作面12(操作卓10の表面)に含まれる範囲である。
【0038】
表示装置20は、操作卓10と通信を行って操作卓10から画像を取得することで、取得した画像を表示する。また、表示装置20と操作卓10との通信には、デジタル通信だけでなく、RGBアナログ表示ケーブルによって、画像を表示することを含む。例えば、表示装置20は、操作部11の操作位置及び機能に準じて仮想的に操作部11が配置された画像(操作配置画像)を表示する。具体的には、操作配置画像は、操作卓10の操作領域に配置されたそれぞれの操作部11の配置と対応するように、それぞれの操作部11の配置を模した画像である。例えば、
図3には、2つの表示装置20と1つの操作卓10とが配置の一例が示されている。
【0039】
操作卓10の操作領域には、パッチ操作部A1、カラー制御部A2、キュー再生部A3、マルチフェーダA4、エフェクト再生A5、サブマスタ再生A6、プリセットA7等のような入力デバイスが配置されている。操作卓10の操作面12の一方側から順に、パッチ操作部A1、カラー制御部A2、キュー再生部A3、マルチフェーダA4、エフェクト再生A5及びサブマスタ再生A6が他方側まで並び、さらに、キュー再生部A3、マルチフェーダA4、エフェクト再生A5、サブマスタ再生A6よりも舞台側にプリセットA7が配置されている。つまり、キュー再生部A3、マルチフェーダA4、エフェクト再生A5及びサブマスタ再生A6とプリセットA7とは、操作卓10の操作面12で2列に配置されている。
【0040】
2つの表示装置20のうち、一方の表示装置20の表示面21には、パッチ操作部A1に対応する位置にパッチ操作情報と、カラー制御部A2に対応する位置にカラー制御情報とを含む画像が表示されている。パッチ操作情報は、パッチ操作部の形状、及び、パッチ操作部を構成する、例えば操作ボタン、パネル等の配置を模した画像である。カラー制御情報、キュー再生情報、マルチフェーダ情報、エフェクト再生情報、サブマスタ再生情報、プリセット情報等においても、説明は省略するが、操作部11における形状、及び、操作ボタン、パネル等の配置を模した画像である。
【0041】
また、作業者が表示装置20のタッチパネル23をタッチ操作する、つまり表示装置20の表示面21に表示された画像のうち、操作部11を模した画像を選択することで、選択した当該画像に対応する操作部11の機能を発揮することができる。
【0042】
また、表示装置20は、
図5で示すように、舞台における照明装置30の物理的配置に準じて仮想的に照明装置が配置された画像(照明配置画像)を表示する。具体的には、照明配置画像は、舞台に実際に配置された照明装置30の配置と対応するような配置を示した画像である。例えば、
図5には、仮想的な複数の照明装置30が配置された画像の一例が示されている。
図5は、舞台と舞台に重ねて表示した仮想的な複数の照明装置30が配置された画像とを示す模式図である。
【0043】
舞台には、複数の照明装置30が配置されている。舞台及び複数の照明装置30を上から俯瞰した場合、舞台のステージの周囲を取り囲むように配置されている。表示装置20の表示面21には、舞台及び複数の照明装置30を上から俯瞰した場合における複数の照明装置30の配置に対応するように、複数の照明装置30の配置を模した画像が表示される。作業者は、表示装置20の表示面21に表示された当該画像を介して舞台を見ることができる。
【0044】
また、作業者が表示装置20のタッチパネル23をタッチ操作する、つまり表示装置20の表示面21に表示された画像のうち、照明装置30を模した画像を作業者が選択することで、選択した当該画像に対応する舞台に配置された実際の照明装置30を所望の点灯態様で点灯させるように制御することができる。また、このような操作には限定されず、作業者が表示装置20のタッチパネル23を操作することで、タッチパネル23では操作卓10での設定(例えばパッチ操作等)、回路のパラメータ表示等の様々な操作を行うことができる。
【0045】
表示装置20は、照明装置30が光によって舞台演出するための光色に関する情報を表示する。例えば、
図6には、光色に関する情報の画像の一例が示されている。
図6は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置30の光色に関する情報の画像とを示す模式図である。
【0046】
表示装置20は、
図6に示すように、光色に関する情報の画像として、例えば、舞台の演出照明について、波長分布図における色の構成、色度図上の位置等を表示する。ここで、光色に関する情報は、例えば、舞台における実際の色合いを表示した色度図、波長分布図、カラーピッカー、RGBカラーレベル等を含むカラー情報である。
【0047】
また、表示装置20は、複数の照明装置30の制御するための制御情報を同時に表示する。具体的には、表示装置20は、複数の照明装置30のそれぞれの現在の点灯態様を表示する。ここで、制御情報は、複数の照明装置30のそれぞれが発する光の明るさを示す情報、光の色を示す情報、点灯時間、又は、消灯時間等を含んでいる。
図7には、制御情報の一例が示されている。
図7は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置30の制御するための制御情報が配置された画像とを示す模式図である。
【0048】
表示装置20は、
図7に示すように、制御情報として、複数の照明装置30のそれぞれの光の明るさを示す情報を表示している。表示装置20が表示した複数の照明装置30のそれぞれの光の明るさを示す情報は、
図5の照明配置画像に示される仮想的な照明装置のそれぞれの配置に対応するように、
図7の画像で示すように配置されている。
【0049】
このように、表示装置20は、舞台における複数の照明装置30のそれぞれの物理的配置に準じて、複数の照明装置30のそれぞれの制御情報を表示する。つまり、表示装置20は、照明配置画像に含まれている仮想的な照明装置の配置に対応するように、複数の照明装置30のそれぞれの制御情報が配置された画像を表示する。
【0050】
また、表示装置20は、表示面21の状態を切替えることができる。具体的には、表示装置20は、表示モニタ22の表示面21を不透明化状態と透明化状態とを切替えたり、画像を表示するための表示面21内において透明化する表示面21の大きさを変更したり、画像の大きさを変更したりすることで、表示面21の状態を切替えることができる。例えば、表示装置20は、操作配置画像、照明配置画像、
図8の複数の照明装置30のそれぞれのチャンネルレベルを示す画像、
図9の複数の照明装置30のそれぞれのランプチェックを示す画像、光色に関する情報の画像等について、上述の表示面21の状態を切替えることができる。
図8は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置30のそれぞれのチャンネルレベルを示す画像とを示す模式図である。
図9は、舞台と舞台に重ねて表示した複数の照明装置30のそれぞれのランプチェックを示す画像とを示す模式図である。
【0051】
なお、上述の画像は、あくまでも一例であり、表示面21の状態を切替える画像は、上述の画像に限定されない。
【0052】
表示装置20は、表示モニタ22の表示面21を不透明化状態と透明化状態とを切替えたり、画像を表示するための表示面21内において透明化する表示面21の大きさを変更したりすることで、表示面21の状態を切替えることができる。つまり、表示装置20は、表示面21の少なくとも一部を透明化又は半透明化することができ、表示面21に表示する上述の画像の少なくとも一部を透明化又は半透明化することができる。
【0053】
例えば、表示面21及び画像を透明化した場合、これらの画像は、例えば半透明(半透過)状態となることで、可視可能である。また、表示面21を透明化した場合、表示面21を介して舞台を可視可能であるが、画像においても、画像を介して舞台を可視可能であり、画像を介して舞台が透けて見える。
【0054】
また、表示装置20は、舞台上でのイベントの進行度に応じて、舞台演出に関する情報である時間的進行状況情報を表示する。時間的進行状況情報は、例えば、キューリスト、及び、フェード時間によるレベル変化等を示す情報である。
【0055】
作業者は、舞台演出におけるイベントの進行状況によって、再生するシーンであるキューの進行状況を把握する必要がある。このため、表示装置20は、時間的進行状況情報を表示モニタ22の表示面21に表示する。また、表示装置20は、時間的進行状況情報の画像を半透明化することで、時間的進行状況情報の画像を介して舞台を可視可能である。
【0056】
<作用効果>
実施の形態に係る照明制御システム1の作用効果について説明する。
【0057】
以上のように、本実施の形態における照明制御システム1は、操作部11を有する操作卓10(照明制御装置)と、透明な表示装置20とを備える。また、操作卓10は、操作部11に対する操作によって舞台を照明する照明装置30を制御する。そして、表示装置20は、操作卓10を操作する作業者(人)と舞台と間の視線経路上に配置され、操作部11の操作位置及び機能に準じて仮想的に操作部11が配置された画像を表示する。
【0058】
例えば、作業者の視線経路において、表示装置と舞台とが離れていれば、作業者は、表示装置を見ながら舞台の状況を確認することとなり、表示装置と舞台とを見るための視線移動が多くなることで、作業者の操作性を損ねてしまうことがある。
【0059】
しかし、本実施の形態によれば、透明な表示装置20が作業者と舞台との間の視線経路上に配置されるため、作業者は、透明な表示装置20と舞台とを重ねて見ることができる。このため、作業者の視野を十分に確保することができるため、作業者から舞台に対する死角が生じ難い。
【0060】
また、作業者は、透明な表示装置20を介して、表示装置20に表示された操作位置及び機能等を示した画像と、照明装置30によって舞台が照明された状態とを同時に見ることができる。このため、作業者は、表示装置20と舞台とを同時に見ながら作業をすることができる。つまり、表示装置20が表示する情報と舞台の状況とを、作業者の同一視野内に入れることができるようになる。
【0061】
したがって、照明制御システム1は、視野を確保しつつ、作業性を向上させることができる。
【0062】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、舞台における照明装置30の物理的配置に準じて仮想的に照明装置が配置された画像を表示する。
【0063】
これによれば、舞台に実際の配置された照明装置30の位置に応じて、表示装置20を介して仮想的な照明装置を配置(仮想的な照明装置を表示装置20に表示)することができる。このため、例えば舞台に実際の配置された照明装置30と、表示装置20に配置された仮想的な照明装置とが重なっていれば、作業者は、照明装置の制御情報を把握しながら仮想的な照明装置を見ながら操作することができる。その結果、照明制御システム1は、舞台を照明演出するための作業性を向上させることができる。
【0064】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、操作部11を操作するための操作範囲の大きさに応じて、1以上が配置されている。
【0065】
表示装置20を多く配置することができるため、作業者は、表示装置20に表示する画像を視覚し易くなる。
【0066】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、タッチ操作によって操作卓10を操作可能なタッチパネル23を有する。
【0067】
例えば、作業者の視線経路において、操作部と舞台とが離れていれば、作業者は、手元を見て操作部を操作するため、操作部を見ながら舞台の状況を確認することとなり、舞台と操作部とを見るための視線移動が多くなることで、作業者の操作性を損ねてしまうことがある。
【0068】
しかし、本実施の形態によれば、仮想的に操作部11が配置された画像、仮想的に照明装置が配置された画像等を表示装置20が表示することで、タッチパネル23を介して、画像に示される仮想的な操作部及び仮想的な照明装置を操作することができるようになる。このため、作業者は、手元を確認しながら操作部11を操作しなくても、表示された画像に応じて表示装置20に設けられたタッチパネル23を操作することができる。このため、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0069】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、視線経路上において移動可能である。
【0070】
これによれば、作業者は、表示装置20を移動させることができる。このため、照明制御システム1は、操作性及び視認性を確保することができるため、より作業性を向上させることができる。
【0071】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、舞台には、複数の照明装置30が配置されている。そして、表示装置20は、複数の照明装置30の全てを制御するための制御情報を同時に表示する。
【0072】
これによれば、作業者は、複数の照明装置30の状態を一括して把握することができる。このため、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0073】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、表示面21の状態を切替えることができる。
【0074】
これによれば、例えば、表示装置20の表示面21を不透明化状態と透明化状態とを切替えたり、画像を表示するための表示面21内において透明化する表示面21の大きさを変更したり、画像の大きさを変更したりすることができる。このため、照明制御システム1は、作業者における舞台の視認性と、表示装置20が表示する画像の視認性とを確保することができる。
【0075】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、舞台上でのイベントの進行度に応じて、舞台演出に関する情報である時間的進行状況情報を表示する。
【0076】
これによれば、作業者は、時間的進行状況情報を介して舞台を見ることができるため、舞台上でのイベントの進行度を把握することができるため、舞台の照明演出を適切なタイミングで行うことができるようになる。このため、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0077】
また、本実施の形態における照明制御システム1として、表示装置20は、照明装置30が光によって舞台演出するための光色に関する情報を表示する。
【0078】
これによれば、舞台を演出照明している光の色と、表示装置20に表示された光色に関する情報とを重ねて見ることができるため、作業者は、演出照明の光の色を容易に調整することができる。このため、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0079】
(実施の形態の変形例1)
本変形例における照明制御システム1の構成について、
図10~
図12を用いて説明する。
【0080】
図10は、実施の形態の変形例1に係る照明制御システム1を示すブロック図である。
図11は、舞台と舞台に重ねて表示したバーチャル画像を示す図である。
図12は、舞台と舞台に重ねて表示した別のバーチャル画像を示す図である。
【0081】
以下では、
図10~
図12に示すように、本変形例における照明制御システム1の基本的な構成は、実施の形態の照明制御システムと基本的な構成と同様であるため、本変形例における照明制御システム1の基本的な構成について適宜説明を省略する。本変形例では、表示装置20に仮想的な舞台セットを表示させることができる点で、実施の形態と相違する。
【0082】
本変形例の照明制御システム1は、表示装置20の表示面21上で、仮想的な照明装置の配置の変更、仮想的な照明装置が出射する光の明るさ及び色の変更、並びに、仮想的な舞台セットの配置の変更を行うことができる。
【0083】
例えば、照明制御システム1は、情報処理装置40と通信可能に接続されていてもよい。情報処理装置40は、AR(Augmented Reality)技術等のソフトウェアを用いて仮想的な照明装置を配置し、仮想的な照明装置の点灯態様を仮想的に模擬することができる。つまり、情報処理装置40は、仮想的な照明装置が出射する光の明るさ及び色の変更、並びに、仮想的な舞台セットの配置の変更することができる。
【0084】
なお、本実施の形態において、照明制御システム1は、情報処理装置40を構成要素として含んでいないが、情報処理装置40を構成要素としてさらに含んでいてもよい。
【0085】
表示装置20は、情報処理装置40によって模擬された仮想的な照明装置の点灯態様(光の明るさ及び色)、並びに、仮想的な舞台セットを含むバーチャル画像を表示することができる。また、表示装置20は、バーチャル画像の少なくとも一部を透明化又は半透明化することで、舞台とバーチャル画像とを重ねた状態で表示することができる。
【0086】
このような、本変形例の照明制御システム1において、表示装置20の表示面21上では、仮想的な照明装置の配置の変更、仮想的な照明装置が出射する光の明るさ及び色の変更、並びに、仮想的な舞台セットの配置の変更を行うことができる。
【0087】
これによれば、表示装置20は、仮想的な照明装置の点灯態様、舞台セット等の画像を仮想的に表示することができる。このため、作業者は、舞台に仮想的な照明装置の点灯態様、舞台セット等を重ねて見ることができるため、舞台における照明演出のシーンを設定する作業が容易になる。このため、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0088】
(実施の形態の変形例2)
本変形例における照明制御システム1の構成について、
図13を用いて説明する。
【0089】
図13は、実施の形態の変形例2に係る照明制御システム1を示すブロック図である。
【0090】
以下では、
図13に示すように、本変形例における照明制御システム1の基本的な構成は、実施の形態の照明制御システムと基本的な構成と同様であるため、本変形例における照明制御システム1の基本的な構成について適宜説明を省略する。本変形例では、表示装置20は撮像部50が撮像した舞台上でのイベントの進行表、及び、舞台上でのイベントの台本(イベントの進行表及び台本)を表示する点で、実施の形態と相違する。
【0091】
本変形例の照明制御システム1では、操作卓10を操作する作業者が閲覧しているイベントの進行表及び台本は、撮像部50によって撮像される。例えば、撮像部50は、調整室の壁、天井等に設けられ、広げられた状態で配置されたイベントの進行表及び台本を撮像する。撮像部50は、撮像したイベントの進行表及び台本を示す画像を表示装置20に出力する。
【0092】
なお、本実施の形態において、照明制御システム1は、撮像部50を構成要素として含んでいないが、撮像部50を構成要素としてさらに含んでいてもよい。
【0093】
表示装置20は、撮像部50からイベントの進行表及び台本を示す画像を取得することで、イベントの進行表及び台本を表示する。つまり、表示装置20は、撮像部50が撮像しているイベントの進行表及び台本を表示する。この場合、表示装置20は、撮像部50がイベントの進行表及び台本をリアルタイムで撮像した内容を表示してもよく、過去に撮像部50が撮像したイベントの進行表及び台本を表示してもよい。
【0094】
なお、表示装置20は、撮像部50によるイベントの進行表及び台本の撮像以外にも、予めデータ化されたイベントの進行表及び台本を表示してもよい。
【0095】
このような、本変形例の照明制御システム1において、表示装置20は、舞台上でのイベントの進行表、及び、舞台上でのイベントの台本を表示する。
【0096】
これによれば、作業者は、舞台にイベントの進行表及び台本等を重ねて見ることができる。このため、舞台とイベントの進行表及び台本との間の視線移動が多くなり難くなる。このため、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0097】
また、本変形例の照明制御システム1において操作卓10を操作する作業者が閲覧している舞台上でのイベントの進行表、舞台上でのイベントの台本は、撮像部50によって撮像される。また、表示装置20は、撮像部50が撮像している舞台上でのイベントの進行表、舞台上でのイベントの台本を表示する。
【0098】
これによれば、例えば作業者が手元にイベントの進行表及び台本等を配置するだけで、表示装置20は、イベントの進行表及び台本を表示することができる。このため、作業者は、舞台にイベントの進行表及び台本等を重ねて見ることができる。その結果、照明制御システム1は、より作業性を向上させることができる。
【0099】
(その他変形例等)
以上、本開示について、実施の形態に基づいて説明したが、本開示は、これら実施の形態等に限定されるものではない。
【0100】
例えば、本実施の形態における照明制御システムに含まれるそれぞれの処理部は、典型的に集積回路であるLSIとして実現される。これらは個別に1チップ化されてもよいし、一部又は全てを含むように1チップ化されてもよい。
【0101】
また、集積回路化はLSIに限るものではなく、専用回路又は汎用プロセッサで実現してもよい。LSI製造後にプログラムすることが可能なFPGA(Field Programmable Gate Array)、又はLSI内部の回路セルの接続や設定を再構成可能なリコンフィギュラブル・プロセッサを利用してもよい。
【0102】
なお、上記実施の形態において、それぞれの構成要素は、専用のハードウェアで構成されるか、それぞれの構成要素に適したソフトウェアプログラムを実行することによって実現されてもよい。それぞれの構成要素は、CPU又はプロセッサ等のプログラム実行部が、ハードディスク又は半導体メモリ等の記憶媒体に記録されたソフトウェアプログラムを読み出して実行することによって実現されてもよい。
【0103】
また、上記で用いた数字は、全て本開示を具体的に説明するために例示するものであり、本開示の実施の形態は例示された数字に制限されない。
【0104】
また、ブロック図における機能ブロックの分割は一例であり、複数の機能ブロックを一つの機能ブロックとして実現したり、一つの機能ブロックを複数に分割したり、一部の機能を他の機能ブロックに移してもよい。また、類似する機能を有する複数の機能ブロックの機能を単一のハードウェア又はソフトウェアが並列又は時分割に処理してもよい。
【0105】
また、フローチャートにおけるそれぞれのステップが実行される順序は、本開示を具体的に説明するために例示するためであり、上記以外の順序であってもよい。また、上記ステップの一部が、他のステップと同時(並列)に実行されてもよい。
【0106】
その他、実施の形態に対して当業者が思いつくそれぞれの種変形を施して得られる形態、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で実施の形態における構成要素及び機能を任意に組み合わせることで実現される形態も本開示に含まれる。
【符号の説明】
【0107】
1 照明制御システム
10 操作卓(照明制御装置)
11 操作部
20 表示装置
21 表示面
23 タッチパネル
30 照明装置
50 撮像部