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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】インクジェット印刷装置
(51)【国際特許分類】
   B05C 5/00 20060101AFI20240913BHJP
   B05C 15/00 20060101ALI20240913BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240913BHJP
   B41J 2/01 20060101ALI20240913BHJP
   B41J 2/165 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
B05C5/00 101
B05C15/00
B05C11/10
B41J2/01 301
B41J2/01 401
B41J2/01 451
B41J2/01 305
B41J2/165 301
【請求項の数】 22
(21)【出願番号】P 2020087524
(22)【出願日】2020-05-19
(65)【公開番号】P2021181056
(43)【公開日】2021-11-25
【審査請求日】2023-03-09
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】吉田 英博
(72)【発明者】
【氏名】若林 大介
(72)【発明者】
【氏名】木村 悌一
【審査官】清水 晋治
(56)【参考文献】
【文献】特表2016-518675(JP,A)
【文献】特開2019-150817(JP,A)
【文献】国際公開第2014/164932(WO,A2)
【文献】米国特許出願公開第2019/0374985(US,A1)
【文献】国際公開第2017/047391(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B05C 5/00-21/00
B05D 1/00-7/26
B41J 2/01
2/165-2/20
2/21-2/215
H05B 33/00-33/28
44/00
45/60
H10K 50/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ステージと、
前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、
前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆い、開閉可能な仕切りによって複数のサブエリアに区分けされているブースと、
前記複数のサブエリアの雰囲気を個別に制御する雰囲気制御装置と、
を備え、
前記複数のサブエリアは、前記インクジェットヘッドが印刷対象物にインクを塗布する時に位置する印刷側ブースエリアと、インクジェットヘッドがメンテナンスされるときに位置するメンテナンス側ブースエリアとを含み、
前記雰囲気制御装置は、1つのサブエリアに配置されたセンサーに基づいて他のサブエリアの雰囲気を制御する、
インクジェット印刷装置。
【請求項2】
ステージと、
前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、
前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆い、開閉可能な仕切りによって複数のサブエリアに区分けされているブースと、
前記複数のサブエリアの雰囲気を個別に制御する雰囲気制御装置と、
前記サブエリア内の気体を吸引する吸引機構と、
を備え、
前記複数のサブエリアは、前記インクジェットヘッドが印刷対象物にインクを塗布する時に位置する印刷側ブースエリアと、インクジェットヘッドがメンテナンスされるときに位置するメンテナンス側ブースエリアとを含み、
前記吸引機構は、前記ステージが移動する際に、前記ステージが移動するサブエリアの気体を吸引する、
インクジェット印刷装置。
【請求項3】
ステージと、
前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、
前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆い、開閉可能な仕切りによって複数のサブエリアに区分けされているブースと、
前記複数のサブエリアの雰囲気を個別に制御する雰囲気制御装置と、
を備え、
前記複数のサブエリアは、前記インクジェットヘッドが印刷対象物にインクを塗布する時に位置する印刷側ブースエリアと、インクジェットヘッドがメンテナンスされるときに位置するメンテナンス側ブースエリアとを含み、
1つのサブエリアの端は、他のサブエリアの端とダクト装置で接続されている、
インクジェット印刷装置。
【請求項4】
ステージと、
前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、
前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆い、開閉可能な仕切りによって複数のサブエリアに区分けされているブースと、
前記複数のサブエリアの雰囲気を個別に制御する雰囲気制御装置と、
を備え、
前記複数のサブエリアは、前記インクジェットヘッドが印刷対象物にインクを塗布する時に位置する印刷側ブースエリアと、インクジェットヘッドがメンテナンスされるときに位置するメンテナンス側ブースエリアとを含み、
前記ステージが移動する2つのサブエリアの端は、ダクト装置で接続されている、
インクジェット印刷装置。
【請求項5】
ステージと、
前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、
前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆うブースと、
前記ブースによって覆われるエリアの雰囲気を制御する雰囲気制御装置と、
を備え、
前記ブースは、前記エリアを開閉可能な仕切りによって複数のサブエリアに区分けし、
前記複数のサブエリアは、前記インクジェットヘッドが印刷対象物にインクを塗布するときに位置するエリアである印刷側ブースエリアと、前記インクジェットヘッドがメンテナンスされるときに位置するエリアであるメンテナンス側ブースエリアとを含み、
前記ステージの位置を検出するレーザー干渉計、および
前記レーザー干渉計のパス経路に向けて気体を供給する気体供給機構をさらに備える、
インクジェット印刷装置。
【請求項6】
前記雰囲気制御装置は、前記複数のサブエリア毎に雰囲気を制御する、
請求項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項7】
前記印刷側ブースエリアに配置された雰囲気検出センサーをさらに備え、
前記雰囲気制御装置は、前記雰囲気検出センサーの検出結果に基づいて、前記複数のサブエリアの少なくとも1つの雰囲気を制御する、
請求項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項8】
前記雰囲気検出センサーは、酸素濃度センサー、窒素濃度センサー、オゾン濃度センサー、水分濃度センサーおよび温度センサーの中の少なくとも1つを含み、
前記雰囲気制御装置は、前記エリアへ供給する窒素流量、窒素濃度、クリーンドライエアー流量、クリーンドライエアー純度の中の少なくとも1つを個別に調整する、
請求項に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項9】
前記雰囲気制御装置は、前記印刷側ブースエリアの雰囲気を制御する、
請求項7または8に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項10】
前記印刷側ブースエリア内の気体を吸引する吸引機構をさらに備え、
前記ステージは、前記印刷側ブースエリア内で所定方向に移動可能に構成されており、
前記吸引機構は、前記所定方向における前記印刷側ブースエリアの端部に配置されている、
請求項5又は7から9のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項11】
前記印刷側ブースエリアの両端部を通気可能に接続するダクト装置をさらに備える、
請求項5又は7から10のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項12】
前記ステージを移動させるステージ駆動部をさらに備える、
請求項5又は7から11のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項13】
前記印刷側ブースエリアは、ステージおよび印刷実行時に前記ステージとともに移動する部材と干渉しない面によって下面が画定されている、
請求項12に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項14】
前記メンテナンス側ブースエリアは、前記インクジェットヘッドを、前記メンテナンス側ブースエリアに移動させる際に、前記インクジェットヘッドおよび前記インクジェットヘッドとともに移動する部材と干渉しない面によって下面が画定されている、
請求項5又は7から13のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項15】
前記印刷側ブースエリアと前記メンテナンス側ブースエリアとの間に、仕切りが設けられている、
請求項5又は7から14のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項16】
前記メンテナンス側ブースエリアの下方にワイピングユニットが配置されている、
請求項5又は7から15のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項17】
前記インクジェットヘッドを支持する駆動ガントリーをさらに備える、
請求項1からのいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項18】
ステージと、
前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、
前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆うブースと、
前記ブースによって覆われるエリアの雰囲気を制御する雰囲気制御装置と、
前記エリアに配置された体積可変ユニットをさらに備える、
を備える、
インクジェット印刷装置。
【請求項19】
前記体積可変ユニットは、前記体積可変ユニットの体積が小さくなるときに、前記体積可変ユニットの内部に存在していた気体を噴出する穴を有している、
請求項18に記載のインクジェット印刷装置。
【請求項20】
前記ブースには、前記インクジェットヘッドを交換する際に、前記インクジェットヘッドを出し入れする開口部および印刷対象物を出し入れする開口部の少なくとも一方が形成されている、
請求項1から19のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項21】
前記ステージを支持するフレームをさらに備え、
前記ブースは、前記フレームと一体的に構成されている、
請求項1から20のいずれかに記載のインクジェット印刷装置。
【請求項22】
前記ステージを支持するフレームをさらに備え、
前記ブースには前記エリアに気体を供給するファンが取り付けられており、
前記ブースは前記フレームとは別体に構成されている、
請求項5に記載のインクジェット印刷装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクジェット印刷装置に関する。特に、大型の対象物にインクを塗布するためのインクジェット印刷装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、有機ELディスプレイの発光材料の形成方法として、蒸着工法が用いられている。蒸着工法は、発光材料を形成したいピクセルエリアに対応する開口部を設けたマスクを使用して、材料を加熱することによって行われる。蒸着工法では、マスク全体および蒸着チャンバー全体に材料が付着する。よって、蒸着工法は、材料利用効率が極めて悪いという問題を抱えている。また、蒸着工法は、マスクを利用しているためにマスクの交換等を行う必要があり、マスクのランニングコストが高価になるという問題も抱えている。
【0003】
そこで、近年、蒸着工法からインクジェット工法への置換が進みつつある。インクジェット工法によれば、必要な箇所にのみインクを塗布することにより、材料利用効率を格段に向上させることができる。また、従来用いられていたマスクも不要になる。また、インクジェット工法では、任意のパターンを形成することができるために、有機ELディスプレイの機種切り替えにも容易に対応することが可能となる。また、蒸着工法と異なり、チャンバーを用いる必要がないために投資コストを抑制することが可能になる。
【0004】
有機ELディスプレイのピクセル部は、陽極(Anode)、正孔輸送層(Hole transport layer)、正孔注入層(Hole injection layer)、発光層(Light emitting layer)、電子輸送層(Electron transport layer)、電子注入層(Electron injection layer)、陰極(Cathode)、および、封止材料層(Sealing material)から構成されている。これらの中の任意の層をインクジェット印刷工法により形成する取組が盛んに行われてきている。
【0005】
また、有機ELを構成する材料だけでなく、次世代のデバイスとして量子ドットを用いた自発光素子として、EL-QD(Electro luminescence Quantum dot)、波長変換材料として用いるPL-QD(Photo luminescence Quantum dot)を構成する材料についてもインクジェット印刷工法にて形成することが盛んに検討されている。
【0006】
有機ELまたは量子ドットを構成する材料は、酸素、オゾン、水のいずれか、またはその組み合わせにより、材料が劣化しやすくなるという特性を有しているものが多い。材料の劣化を防ぐために、これらを印刷するインクジェット印刷装置は、例えば、特許文献1に記載されているように、窒素雰囲気環境、あるいはクリーンドライエアー(Clean dry air:CDA)環境で囲う必要がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】国際公開第2017/047391号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
インクジェット装置で塗布する材料の劣化を抑制するためには窒素雰囲気、あるいはCDA雰囲気でインクジェット装置を囲う必要がある。しかしながら、それらの初期投資コストが高価となってしまい、窒素あるいはCDAのランニングコストも高くなってしまう。
【0009】
本発明の課題は、装置全体を、理想的な窒素雰囲気、あるいはCDA雰囲気にせずに、材料劣化の抑制を行うことができるインクジェット装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明にかかるインクジェット印刷装置は、ステージと、前記ステージに対して相対的に移動するインクジェットヘッドと、前記ステージおよび前記インクジェットヘッドを覆い、開閉可能な仕切りによって複数のサブエリアに区分けされているブースと、前記複数のサブエリアの雰囲気を個別に制御する雰囲気制御装置と、を備え、前記複数のサブエリアは、前記インクジェットヘッドが印刷対象物にインクを塗布する時に位置する印刷側ブースエリアと、インクジェットヘッドがメンテナンスされるときに位置するメンテナンス側ブースエリアとを含み、前記雰囲気制御装置は、1つのサブエリアに配置されたセンサーに基づいて他のサブエリアの雰囲気を制御する。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、装置全体を、理想的な窒素雰囲気、あるいはCDA雰囲気にせずに、材料劣化の抑制を行うことができるインクジェット装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】実施の形態1のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図2】実施の形態1のインクジェット印刷装置からブースを取り外した状態を示す図
図3図1の断面AAを示した図
図4図1の断面BBを示した図
図5】実施の形態2のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図6図5の断面CCを示した図
図7図5の断面DDを示した図
図8】実施の形態3のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図9図8の断面EEを示した図
図10図8の断面FFを示した図
図11】実施の形態4のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図12図11の断面GGを示した図
図13図11の断面HHを示した図
図14】実施の形態5のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図15】実施の形態5のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図16】実施の形態6のインクジェット印刷装置の構成を示す図
図17】実施の形態6のインクジェット印刷装置からブースを取り外した状態を示す図
図18】変形例にかかるインクジェット印刷装置の断面図
図19】変形例にかかるインクジェット印刷装置の断面図
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0014】
(実施の形態1)
実施の形態1を、図1図4を用いて説明する。図3図1のAA断面を、図4図1のBB断面を示す。図1において符号20は、後述するブースを示している。また、ブース20で覆われるエリアのうち、第1ブースエリア(印刷側ブースエリアの一例)が符号21によって示されており、第2ブースエリア(メンテナンス側ブースエリアの一例)が符号22によって示されている。なお、ブース20の内部に配置されている各機器を見やすくするために、ブース20は点線で描かれている。
【0015】
図1は、有機EL材料、量子ドットインク、ペロブスカイトインク等を用いて、RGBの塗布を行うインクジェット印刷装置100を示している。また、図2は、インクジェット印刷装置100からブース20を取り外した状態を示している。インクジェット印刷装置100は、RGBのインクジェット印刷を一括で行うシステムである。
【0016】
このインクジェット印刷装置100は、RGB材料を同時塗布することができるシステムであり、複数のインクジェットヘッド1を備えている。複数のインクジェットヘッド1の一部はRインクを一括で塗布するヘッド群11を構成し、他の一部はGインクを一括で塗布するヘッド群12を構成し、さらに他の一部はBインクを一括で塗布するヘッド群13を構成している。
【0017】
このインクジェット印刷装置100は、2つの駆動部を備えている。第1の駆動部は、図示されないインクジェットヘッド駆動部である。ヘッド群11、ヘッド群12、ヘッド群13は、ガントリー41に搭載されているとともに、インクジェットヘッド駆動部によって、図1中の矢印5の方向に移動可能に構成されている。ヘッド群11、ヘッド群12、ヘッド群13は、メンテナンス時、あるいはインク塗布時に、矢印5の方向に移動することができる。インクジェットヘッド駆動部は、ボールねじ、リニアガイド、リニアモータ、リニアガイド、または、静圧軸受等によって構成することができる。
【0018】
なお、インクジェットヘッド1の横には、インクジェットヘッド1にインクを供給するインク供給ユニット6、7、8が配置されている。インク供給ユニット6は、Rインクのヘッド群11にインクを供給する。インク供給ユニット7は、Gインクのヘッド群12にインクを供給する。インク供給ユニット8は、Bインクのヘッド群13にインクを供給する。本実施の形態では、各インク供給ユニット6、7、8は、インクジェットヘッド1と共に移動する構造となっている。しかし、インク供給ユニット6、7、8は、固定されていて移動しない構造となっていてもよい。
【0019】
また、インクジェットヘッド1が移動可能な領域内には、インクジェットヘッド1のワイピングエリア(クリーニング領域、図示せず)等がある。また、印刷対象物の表面の濡れ性を変化させるためにプラズマユニット(図示せず)を搭載し、印刷対象物の濡れ性を変化させてもよい。また、静電気を防ぐために軟X線の静電気除去ユニット(図示せず)を搭載してもよい。
【0020】
インクジェット印刷装置100が備える第2の駆動部は、図示されないステージ駆動部である。ステージ駆動部は、矢印5によって示されるインクジェットヘッド駆動部による移動方向と直行する方向である矢印3の方向に、印刷対象物とともにステージ2を移動させる。
【0021】
ステージ2は、ステージ駆動部を介してフレーム32によって支持されている。ステージ2上には、印刷対象物がセットされる。ステージ2は、矢印3によって示される移動方向に往復運動をすることができる。ステージ駆動部は、ボールねじまたはリニアガイド等によって構成することができ、高精度の位置決めをするために、リニアモータまたは静圧軸受等を用いて構成することが望ましい。
【0022】
また、インクジェット印刷装置100は、印刷対象物をアライメントするアライメント部(図示せず)、および、印刷対象物上の液滴を観測する検査ユニット部4を備えている。
【0023】
本実施の形態では、RGB3色のインクジェット塗布を行うことができる。ただし、3色のインクの代わりに、陽極(Anode)、正孔輸送層(Hole transport layer)、正孔注入層(Hole injection layer)、発光層(Light emitting layer)、電子輸送層(Electron transport layer)、電子注入層(Electron injection layer)、陰極(Cathode)および封止材料層(Sealing material)のいずれかの層あるいはそれらの組合を形成する材料を、インクジェットのインクとして、塗布してもよい。
【0024】
また、本実施形態において、インクジェットヘッド1は、一回で所定の印刷範囲にインクを塗布する。ただし、印刷範囲がインクジェットヘッド1の限られた印刷幅を超える場合は、インクジェットヘッド1が移動しながら、複数回インクを塗布することにより、印刷対象物にインクを塗布してもよい。また、インクジェットヘッドの解像度が低いときには、印刷範囲の一部が互いに重なるようにヘッドをずらしながら、インクを複数回塗布することにより、印刷対象物にインクを塗布してもよい。
【0025】
インクジェット印刷装置100を構成するインクジェットヘッド1およびステージ2等は、ブース20で覆われている。ブース20は、例えば、樹脂製の比較的硬質な板部材、または、比較的柔軟なシート状部材等で構成されている。ブース20は、ブース20の内側と外側との間における通気を遮断する。
【0026】
ブース20によって覆われるエリアは、複数のサブエリアに区分けされており、本実施形態においては、第1ブースエリア21と第2ブースエリア22に区分けされている。第1ブースエリアは、インクジェットヘッド1が印刷対象物にインクと塗布する時に位置するエリア、つまり、インクジェットヘッド1による印刷が行われるエリアである。第2ブースエリアは、インクジェットヘッド1がメンテナンスされるときに位置するエリアである。
【0027】
ブース20によって覆われるエリア、つまり、本実施形態の場合、第1ブースエリア21と第2ブースエリア22は、図示されない雰囲気制御装置によって、窒素雰囲気またはCDA雰囲気とされている。雰囲気制御装置は、第1ブースエリア21と第2ブースエリア22の雰囲気を個別に制御することができる。
【0028】
第1ブースエリア21には、雰囲気検出センサーが配置されていてもよい。雰囲気検出センサーは、酸素濃度センサー、窒素濃度センサー、オゾン濃度センサー、水分濃度センサーおよび温度センサーの中の少なくとも1つを含む。
【0029】
雰囲気制御装置は、ブース20によって覆われるエリアから気体を吸引し、清浄化処理を行った後、ブース20によって覆われるエリアに戻す清浄機等で構成することができ、窒素ガス供給装置およびクリーンドライエアー供給装置の少なくとも一方を含んでいる。雰囲気制御装置は、ブース20によって覆われるエリアへ供給する窒素流量、窒素濃度、クリーンドライエアー流量、クリーンドライエアー純度の中の少なくとも1つを個別に調整することができる。雰囲気制御装置は、上記雰囲気検出センサーの検出結果に基づいて、第1ブースエリア21の雰囲気を制御してもよい。雰囲気制御装置は、雰囲気検出センサーの検出結果に基づいて、第2ブースエリア22の雰囲気を制御してもよい。
【0030】
ブース20によって覆われるエリアの酸素濃度は10ppm以下、水分濃度は10ppm以下、温度は23±1℃の範囲であることが望ましい。また、オゾン濃度は10ppb以下の範囲であることが望ましい。
【0031】
第1ブースエリア21と、第2ブースエリア22とが、第1ブースエリア21に配置された雰囲気検出センサーの検出結果に基づいて1つの雰囲気制御装置にて雰囲気制御される場合、第1ブースエリア21の情報に基づいて制御されることとなる。この場合、第1ブースエリア21は、例えば23±0.5℃の範囲内で温度制御できる一方、第2ブースエリア22は、第1ブースエリア21よりも温度のバラツキが大きくなる可能性がある。しかしながら、第2ブースエリア22は、メンテナンス時に使用されるエリアなので、第2ブースエリア22の温度のバラツキは大きくなってもよい。
【0032】
一方、第1ブースエリア21の中でも特にインクジェットヘッド1を配置しているエリアの雰囲気は、印刷対象物の品質に最も影響を与える。よって、インクジェットヘッド1周辺の酸素濃度、水分濃度、オゾン濃度、空調温度を厳密に管理することが望ましい。したがって、雰囲気検出センサーは、インクジェットヘッド1、または、インクジェットヘッド1の周辺に配置するのが好ましい。
【0033】
プラズマユニットを用いて印刷対象物の表面の改質を行うと、オゾンが発生する可能性がある。よって、プラズマユニットを備える場合、オゾン濃度センサーを備え、かつ、プラズマユニット周辺の気体を排気しやすくする構造をとることが好ましい。そのような構造としては、プラズマユニット周辺から気体を吸引するために、あるいは、プラズマユニット周辺に窒素ガスまたはCDAを供給するために、ブース20のプラズマユニットに近い部位に通気口を配置することが例示される。
【0034】
本実施の形態では、第1ブースエリア21と、第2ブースエリア22の境界には、壁などの仕切りはない。しかしながら、第1ブースエリア21と、第2ブースエリア22の境界には仕切りがあってもよい。すなわち、ブース20は仕切りを備えていてもよい。仕切りとしては、開閉可能な扉またはカーテン等を用いることができる。仕切りを設けることにより、必要最小限のエネルギーで、印刷が行われる第1ブースエリア21の雰囲気を、あるいは、メンテナンスが行われる第2ブースエリア22の雰囲気を管理することができる。
【0035】
雰囲気制御装置による第1ブースエリア21または第2ブースエリア22への窒素あるいはCDAの供給は、ブース20の上面および側面のいずれか一方または両方から、フィルターを通じて行われる。また、雰囲気制御装置による第1ブースエリア21または第2ブースエリア22からの気体の回収は、ブース20の下面および側面のいずれか一方または両方から行われる。ブース20の内部から、溶媒トラップを通じて回収された窒素あるいはCDAの一部は、純度を調整された後、再びブースエリアに供給される。なお、一部の窒素、あるいはCDAは、溶媒トラップを通じて排気されてもよい。
【0036】
また、雰囲気制御装置は、新たに生成された窒素またはCDAのみをブース20によって覆われるエリアに供給してもよいし、ブース20から回収された気体に新しく生成された窒素またはCDAを混ぜた気体を供給してもよい。
【0037】
なお、ブース20の第1ブースエリア21を覆う部位には、印刷対象物である基板を取り出すための開口部(図示せず)が形成されていてもよい。また、ブース20の第2ブースエリア22を覆う部位には、インクジェットヘッド1を取り出すための開口部(図示せず)、および、インク供給ユニット6、7、8を取り出すための開口部(図示せず)が形成されていてもよい。また、ブース20の第2ブースエリア22を覆う部位には、インクジェットヘッド1の表面を手でもメンテナンスできるようにするためのグローブを設けてもよい。
【0038】
上記の構成とすることで、最小限のエネルギーで各ブースエリアの雰囲気を制御することが可能となる。
【0039】
(実施の形態2)
実施の形態2を、図5図7を用いて説明する。図5に示されるインクジェット印刷装置100は、図2に示されるインクジェット印刷装置100と比較して、ブース20の形状が異なっている点が異なる。具体的には、ブース20は、第2ブースエリア22のよりも容積が小さい第3ブースエリア23(メンテナンス側ブースエリアの一例)を覆っている。図6図5のCC断面を、図7図5のDD断面を示す。本実施形態において説明しない事項は、実施の形態1と同様である。
【0040】
第3ブースエリア23は、インクジェットヘッド1を、インクジェットヘッド1のメンテナンスをするための領域に移動させる際に、インクジェットヘッド1およびインクジェットヘッド1とともに移動する部材と干渉しない面によって下面が画定されるエリアである。なお、インクジェットヘッド1およびインクジェットヘッド1とともに移動する部材と干渉しない面とは、例えば、これらの移動部材とこれらの移動部材の下側において接する面、または、これらの移動部材の下端が描く軌跡よりも余裕代(例えば0.5mm以上)の長さだけ下側に位置する面が挙げられる。あるいは、鉛直方向においてインクジェットヘッド1の下端とステージ2の上面との間に位置する面が挙げられる。
【0041】
第3ブースエリア23をこのような容積が小さいエリアとすることにより、窒素あるいはCDAの必要量を低減させることが可能となる。
【0042】
また、本実施形態おいては、第3ブースエリア23の下面を画定する位置の一部において、ブース20にワイピングユニット9が設けられている。ワイピングユニット9は、インクジェットヘッド1が第3ブースエリア23に位置するときに、インクジェットヘッド1の真下となる位置に配置されている。ワイピングユニット9は、インクジェットヘッド1のメンテナンス時に、インクジェットヘッド1を下方から吸引する。なお、ワイピングユニット9は、インクジェットヘッド1をメンテナンスするために開閉可能となっていてもよい。
【0043】
(実施の形態3)
実施の形態3を、図8図10を用いて説明する。図8に示されるインクジェット印刷装置100は、図5に示されるインクジェット印刷装置100と比較して、ブース20の形状が異なっている点が異なる。具体的には、ブース20は、第1ブースエリア21よりも容積が小さい第4ブースエリア24(印刷側ブースエリアの一例)を覆っている。図9図8のEE断面を、図10図8のFF断面を示す。本実施形態において説明しない事項は、先に説明した実施の形態と同様である。
【0044】
第4ブースエリア24は、ステージ2および印刷実行時にステージ2とともに移動する部材と干渉しない面によって下面が画定されるエリアである。なお、ステージ2およびステージ2とともに移動する部材と干渉しない面とは、例えば、これらの移動部材とこれらの移動部材の下側において接する面、または、これらの移動部材の下端が描く軌跡よりも余裕代(例えば0.5mm以上)の長さだけ下側に位置する面が挙げられる。あるいは、鉛直方向においてステージ2の下端とフレーム32の上端との間に位置する面が挙げられる。
【0045】
第4ブースエリア24をこのような容積が小さいエリアとすることにより、窒素あるいはCDAの必要量を低減させることが可能となる。
【0046】
(実施の形態4)
第4の実施形態を、図11図13を用いて説明する。図11に示されるインクジェット印刷装置100は、図8に示されるインクジェット印刷装置100と比較して、ブース20の形状が異なっている点が異なる。具体的には、ブース20は、合計容積が第4ブースエリア24よりも小さくなる第5ブースエリア25(印刷側ブースエリアの一例)、第6ブースエリア26(印刷側ブースエリアの一例)および第7ブースエリア27(印刷側ブースエリアの一例)を覆っている。図12図11のGG断面を、図13図11のHH断面を示す。図11において、点線エリアが第3ブースエリア23、第5ブースエリア25、第6ブースエリア26、第7ブースエリア27の範囲を表す。本実施形態において説明しない事項は、先に説明した実施の形態と同様である。
【0047】
第5ブースエリア25は、ガントリー41、およびガントリー41上に配置されたインクジェットヘッド1および検査ユニット部4を囲む。つまり、第5ブースエリア25は、印刷実行時にステージ駆動部によって移動させられない部材を囲むエリアである。なお、第5ブースエリア25の下面は、実施の形態3の第4ブースエリアの下面と同じ面とすることができる。
【0048】
第6ブースエリア26は、ステージ2および印刷実行時にステージ2とともに移動する部材と干渉しない面によって上面および下面が画定されるエリアである。なお、ステージ2およびステージ2とともに移動する部材と干渉しない面とは、例えば、これらの移動部材とこれらの移動部材の上側または下側において接する面、または、これらの移動部材の上端または下端が描く軌跡よりも余裕代(例えば0.5mm以上)の長さだけ上側または下側に位置する面が挙げられる。なお、第6ブースエリア26の下面は、実施の形態3の第4ブースエリアの下面と同じ面とすることができる。
【0049】
第7ブースエリア27は、ステージ2および印刷実行時にステージ2とともに移動する部材(図示されない基板のアライメント部を含む)と干渉しない面によって上面および下面が画定されるエリアである。なお、ステージ2およびステージ2とともに移動する部材と干渉しない面とは、例えば、これらの移動部材とこれらの移動部材の上側または下側において接する面、または、これらの移動部材の上端または下端が描く軌跡よりも余裕代(例えば0.5mm以上)の長さだけ上側または下側に位置する面が挙げられる。なお、第7ブースエリア27の下面は、実施の形態3の第4ブースエリアの下面と同じ面とすることができる。
【0050】
第5ブースエリア25、第6ブースエリア26および第7ブースエリア27をこのような容積が小さいエリアとすることにより、窒素あるいはCDAの必要量をさらに低減させることが可能となる。
【0051】
なお、本実施形態のように移動するステージ2を囲むエリアの容積を小さくすると、ステージ2が移動した際に、ブース20の内面、特に第6ブースエリア26および第7ブースエリア27を覆う内面に、インクジェットヘッド1から噴出されたインクに起因するミストがあたり、ひいては、印刷対象物にミストが付着する可能性が高くなる。そこで、第6ブースエリア26、第7ブースエリア27の両端または何れかの一端に、ブース20によって覆われるエリアの気体を吸引する吸引機構を設けてもよい。また、第6ブースエリア26の端と第7ブースエリア27の端を通気可能なダクト装置で接続し、ステージ2の移動に伴って、第6ブースエリア26内の気体がダクト装置を介して第7ブースエリア27に移動するようにしてもよい。これらの対策をとることで、ミスト濃度が高い気体が滞留することを防止でき、ひいては、印刷対象物にミストが付着することを防止することができる。
【0052】
また、ステージ2の位置をレーザー干渉計で測定し、測定結果に基づいてステージ駆動部を制御することにより、ステージ2の位置制御の高精度化を実現することができる。しかしながら、前述のミストの濃度が高くなると、レーザー干渉計による測定が正確に行えなくなるおそれがある。また、気体のゆらぎが発生すると正確に測定を行えなくなってしまう。このような状況を防ぐため、レーザー干渉計のパス経路に向けて、ブース20の外部から窒素またはCDA等の気体を供給する気体供給機構を設けることが好ましい。これにより、気体の均一な流れを発生させ、レーザー干渉計の精度を安定して確保することが可能となる。レーザー干渉計のパス経路への窒素またはCDAの供給は、上方または側方から行うことが好ましい。また、一定の間隔で複数箇所から供給することが好ましい。
【0053】
(実施の形態5)
実施の形態5を、図14図15を用いて説明する。図14に示されるインクジェット印刷装置100は、図11図13に示されるインクジェット印刷装置100と比較して、体積可変ユニット31を備えている点が異なる。図14は、図12に対応する図である。本実施形態において説明しない事項は、先に説明した実施の形態と同様である。
【0054】
体積可変ユニット31は、膨らんだりしぼんだりすることで、自身の体積を変化させることができる部材、例えば風船であり、例えば第3ブースエリア23に配置されている。図14に示されるように体積可変ユニット31の体積が大きくなると、その分、第3ブースエリア23の容積は小さくなる。すなわち、体積可変ユニット31を、ブース20で覆われるエリア内に配置することにより、窒素あるいはCDAの必要量を低減させることが可能となる。
【0055】
一方、図15に示されるように体積可変ユニット31の体積を小さくすることで、インクジェットヘッド1等が移動する際に、これらの部材と干渉すること防ぐことができる。
【0056】
体積可変ユニット31の設置位置は、例えば、インク供給ユニット6に一端が接触する位置でもよいし、インク供給ユニット6から離れた位置でもよい。
【0057】
インクジェットヘッド1がステージ2に移動した際(図15)に、体積可変ユニット31の体積が大きくなることを特徴とする。この体積可変ユニット31は、インクジェットヘッド1の横に設置してあるインク供給ユニット6に接触していてもいいし、離れていてもいい。
【0058】
第3ブースエリア23の体積可変ユニット31により、体積を削減することにより、窒素、あるいはCDAの使用量を最小限にすることができ、ランニングコストを削減することができる。
【0059】
体積可変ユニット31は、第6ブースエリア26または第7ブースエリア27等のステージ2が移動するサブエリアに配置されてもよい。また、体積可変ユニット31は、移動する部材例えばインクジェットヘッド1またはステージ2の移動とともに伸縮すなわち体積の増減を行うように構成されていてもよい。
【0060】
また、体積可変ユニット31の一部に小さな穴を設けてもよい。このような穴が設けられていると、体積可変ユニット31の体積が小さくなる際に、体積可変ユニット31ないに存在していた気体を体積可変ユニット31の外部であって、ブース20によって覆われているエリアの内部に噴出させることができる。これによって、ブース20によって覆われるエリア内にダウンフローを実現させることができ、ひいては、気体の循環、パーティクル(上記ミスト由来、またはその他の塵埃等由来)の滞留防止を実現することができる。
【0061】
なお、本実施形態は、実施形態4をベースとしているが、実施形態4以外の実施形態に体積可変ユニット31を適用してもよいことは言うまでも無い。
【0062】
(実施の形態6)
実施の形態6を、図16図17を用いて説明する。本実施形態において説明しない事項は、先に説明した実施の形態と同様である。
【0063】
図16は、本実施形態にかかるインクジェット印刷装置100を示している。また、図17は、インクジェット印刷装置100からブース20を取り外した状態を示している。ブース20は、第8ブースエリアという単一のエリアを覆っている。
【0064】
本実施形態にかかるインクジェット印刷装置100は、駆動ガントリー42を備えている。駆動ガントリー42にはインクジェットヘッド1およびインク供給ユニット6が搭載されている。インクジェット塗布の際、ステージ2は移動せず、駆動ガントリー42が矢印3の方向に移動する。駆動ガントリー42の位置制御は、駆動ガントリー42に取り付けられたエンコーダまたはレーザー干渉計によって得られた位置情報に基づいて行われる。本実施形態によれば、駆動ガントリー42が移動する構成をとっているので、インクジェット印刷装置100のフットプリントを削減することができる。
【0065】
第8ブースエリア28は、駆動ガントリー42および印刷実行時に駆動ガントリー42とともに移動する部材と干渉しない面によって上面および下面が画定されるエリアである。なお、駆動ガントリー42および駆動ガントリー42とともに移動する部材と干渉しない面とは、例えば、これらの移動部材とこれらの移動部材の上側または下側において接する面、または、これらの移動部材の上端または下端が描く軌跡よりも余裕代(例えば0.5mm以上)の長さだけ上側または下側に位置する面が挙げられる。第8ブースエリア28の下面の一例は、鉛直方向において駆動ガントリー42の下端とフレーム32の上端との間に位置する面である。
【0066】
ブース20によって覆われる空間を小さくすることにより、ブースエリアの初期投資コストをおさえると共に、窒素、あるいはCDAのランニングを削減することが可能となる。
【0067】
なお、本実施形態においても、実施の形態4にて説明した構成と同様に、駆動ガントリー42が移動する方向の両端に、ブース20によって覆われるエリアの気体を吸引する機構を設けてもよい。また、第8ブースエリア28の両端をダクト装置で接続し、ステージ2の移動に伴って、第8ブースエリア28内の一端側の気体がダクト装置を介して第8ブースエリア28の他端側に移動するようにしてもよい。これらの対策をとることで、ミスト濃度が高い気体が滞留することを防止でき、ひいては、印刷対象物にミストが付着することを防止することができる。
【0068】
これまでに説明してきた各実施形態において、ブース20は、インクジェット印刷装置100を構成するブース20以外の部材、例えばフレーム32と一体的に構成されてよい。このように構成することによって、インクジェット印刷装置100を構築する際の初期コストを抑えることができる。
【0069】
一方、ブース20は、インクジェット印刷装置100を構成するブース20以外の部材と別体で構成されてもよい。
【0070】
図18図19には、実施の形態2の変形例が示されている。すなわち、ブース20がファン51とともにファン支持部52によって支持されている一方、フレーム32等からは分離されている様子が示されている。なお、図18および図19は、図6および図7に対応している。
【0071】
このように構成することにより、ブース20に、ヘパフィルター付きのファン51または吸引装置等の震動源が取り付けられている場合に、インクジェットヘッド1またはステージ2に振動が伝わることをより確実に防止することができる。よって、より高精細の印刷を確実に行うことができる。
【0072】
なお、各実施形態または変形例にて具体的に説明された事項は、その説明の順序にかかわらず、他の実施形態にも適宜適用することができることは言うまでも無い。
【産業上の利用可能性】
【0073】
本発明は、インクジェット印刷装置はもちろん、スクリーン印刷を行う装置など印刷装置一般に利用できる。
【符号の説明】
【0074】
100 インクジェット印刷装置
1 インクジェットヘッド
2 ステージ
3、5 矢印(移動方向)
4 検査ユニット部
6、7、8 インク供給ユニット
9 ワイピングユニット
11、12、13 ヘッド群
20 ブース
21 第1ブースエリア
22 第2ブースエリア
23 第3ブースエリア
24 第4ブースエリア
25 第5ブースエリア
26 第6ブースエリア
27 第7ブースエリア
28 第8ブースエリア
31 体積可変ユニット
32 フレーム
41 ガントリー
42 駆動ガントリー
51 ファン
52 ファン支持部

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19