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特許7555023間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 50/08 20120101AFI20240913BHJP
   E04H 1/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G06Q50/08
E04H1/02 ESW
【請求項の数】 18
(21)【出願番号】P 2020093517
(22)【出願日】2020-05-28
(65)【公開番号】P2021072090
(43)【公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-02-16
(31)【優先権主張番号】P 2019196526
(32)【優先日】2019-10-29
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106518
【弁理士】
【氏名又は名称】松谷 道子
(74)【代理人】
【識別番号】100132241
【弁理士】
【氏名又は名称】岡部 博史
(72)【発明者】
【氏名】荒田 俊彦
(72)【発明者】
【氏名】田 ティン
(72)【発明者】
【氏名】徂徠 友紀
(72)【発明者】
【氏名】佐伯 恵理子
(72)【発明者】
【氏名】栗田 玲奈
(72)【発明者】
【氏名】阿尾 直樹
【審査官】田川 泰宏
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-020868(JP,A)
【文献】特開2019-109830(JP,A)
【文献】国際公開第2018/139293(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06Q 10/00-99/00
E04H 1/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の設問を提供し、回答者から、各設問に対する回答を取得する取得部と、
前記設問、前記回答、ユーザが暮らしに求める条件の識別情報、及び、前記設問に対して前記回答を選択したユーザが当該条件を重視する程度の指標である重視度を複数関連付ける重視度データを用いて、各条件について、前記取得部が取得した回答から前記回答者が前記条件を重視する程度である重視度得点を求める演算部と、
前記演算部で求められた結果と、住宅の間取りを識別する間取り識別情報及び前記条件の識別情報と関連付けられ、前記各間取り識別情報で識別される間取りの住宅が当該条件を充足する程度を示す値である充足度とを用いて、複数の前記住宅の間取りから前記回答者の要求を満たす度合いの高い間取りを前記回答者への提案対象として選択する選択部と、
を含む間取り提案装置。
【請求項2】
前記演算部は、
前記条件毎に、前記設問と前記回答の組み合わせで特定される複数の重視度の和を、前記重視度得点として求め、
前記選択部は、
前記重視度得点が所定の閾値以上である条件を、前記回答者が暮らしにおいて重視する条件として選択し、選択した条件について前記回答者の要求の度合いを満たす間取りを選択する
請求項1に記載の間取り提案装置。
【請求項3】
前記演算部は、
前記設問と、前記回答と、前記条件の識別情報と、前記設問に対して前記回答を選択したユーザが求める当該条件の充足の程度を表す指標である目標値とを複数関連付ける目標値データを用いて、前記条件毎に、前記回答者が当該条件を求める度合いである目標値得点を求め、
前記選択部は、
前記目標値得点を用いて、提案対象の間取りを選択する
請求項2に記載の間取り提案装置。
【請求項4】
前記演算部は、
前記条件毎に、前記設問と前記回答の組み合わせで特定される複数の目標値の和を、前記目標値得点として求める、
請求項3に記載の間取り提案装置。
【請求項5】
複数の前記条件は、第1の条件と、第2の条件とに区別され、
前記演算部は、
前記第2の条件については、前記目標値得点として予め設定される値を用いる
請求項4に記載の間取り提案装置。
【請求項6】
前記選択部は、
前記各条件の目標値得点と、充足度との差を用いて、提案対象の間取りを選択する
請求項5に記載の間取り提案装置。
【請求項7】
前記選択部は、
前記条件毎の目標値得点と、充足度との差に、当該条件の前記重視度得点を乗じた値を用いて、提案対象の間取りを選択する
請求項6に記載の間取り提案装置。
【請求項8】
間取り識別情報と、住宅の間取りの特徴を表す特徴識別情報と、当該間取り識別情報で識別される間取りの住宅が、前記特徴識別情報で表される特徴を充足する程度を示す値である特徴スコアとを関連付ける特徴スコアデータと、
特徴識別情報と、前記条件の識別情報と、前記特徴識別情報で識別される間取りの特徴が、前記条件の識別情報で識別される条件に与える影響により設定された係数とを関連付ける係数データとから、
各間取り識別情報について、条件毎に、特徴スコアと係数との積和を利用して前記充足度を求め、当該充足度を、前記間取り識別情報及び前記条件の識別情報と関連付けて、充足度データを生成する生成部をさらに備える
請求項1乃至5のいずれか1に記載の間取り提案装置。
【請求項9】
前記生成部は、
前記積和により得られた値を、所定の予測式を用いて調整して得られた値を前記充足度とする
請求項8に記載の間取り提案装置。
【請求項10】
複数の前記住宅の間取りは、内装の様式の種別と当該内装の様式の種別に関する付加データと予め関連付けられ、
前記取得部は、第2の設問を提供し、前記回答者から、前記回答とともに、前記第2の設問に対する回答を取得し、
第2の設問に対する回答と、ユーザが住宅に求める内装の様式の種別とを関連付ける内装分類データを用いて、前記取得部が取得した前記第2の設問に対する回答から、前記回答者に提示する内装の様式の種別を特定する特定部をさらに備え、
前記選択部は、間取りを選択する際、前記回答者の要求を満たす度合いが高く、かつ、前記特定部で特定された前記種別と適合する間取り及び付加データを提案対象として選択する
請求項1乃至9のいずれか1に記載の間取り提案装置。
【請求項11】
内装の様式の種別に適合する住宅の外装の種別が予め定められ、
間取りと、当該間取りの住宅の複数の外装に関するデータと、各外装の様式の種別とが関連付けられる外装データから、前記特定部で特定された前記内装の様式の種別と対応する外装に関するデータを抽出する抽出部をさらに備える
請求項10に記載の間取り提案装置。
【請求項12】
前記取得部は、リクエストに応じて新たな複数の設問を提供し、前記回答者から、各新たな設問に対する新たな回答を取得し、
前記演算部は、前記取得部が、前記新たな回答を取得すると、過去に取得した前記回答と、前記新たな回答とを用いて、各条件について、新たな重視度得点を求め、
前記選択部は、前記演算部で新たに求められた結果を用いて、再度、間取りを選択する
請求項1乃至9のいずれか1に記載の間取り提案装置。
【請求項13】
前記演算部は、前記過去に取得した回答よりも、前記新たな回答について優先する重みをつけて、前記新たな重視度得点を求める
請求項12に記載の間取り提案装置。
【請求項14】
前記選択部は、複数の間取りを充足度の順で選択する
請求項1乃至13のいずれか1に記載の間取り提案装置。
【請求項15】
前記選択部は、複数の間取りを充足度の順で選択するとともに、回答者により選択された前記間取りの特徴を優先して順位を変更する
請求項に記載の間取り提案装置。
【請求項16】
前記選択部で選択された間取りに対し、前記演算部で求められた結果に応じて、前記間取りの一部について関連付けられる情報を提供する提供部をさらに備える
請求項1乃至15のいずれか1に記載の間取り提案装置。
【請求項17】
提案装置において実行される間取り提案方法であって、
前記提案装置によって、複数の設問を提供し、回答者から、各設問に対する回答を取得する取得ステップと、
前記提案装置によって、前記設問と、前記回答と、ユーザが暮らしに求める条件の識別情報と、前記設問に対して前記回答を選択したユーザが当該条件を重視する程度の指標である重視度とを複数関連付ける重視度データを用いて、各条件について、前記回答者から取得した回答から、前記回答者が前記条件を重視する程度である重視度得点を求める演算ステップと、
前記提案装置によって、前記演算ステップで求められた結果と、住宅の間取りを識別する間取り識別情報及び前記条件の識別情報と関連付けられ、前記各間取り識別情報で識別される間取りの住宅が当該条件を充足する程度を示す値である充足度とを用いて、複数の前記住宅の間取りから、前記回答者の要求を満たす度合いの高い間取りを前記回答者への提案対象として選択する選択ステップと、
を含む間取り提案方法。
【請求項18】
コンピュータに請求項17に記載の間取り提案方法を実現させる
間取り提案プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、設問に回答した回答者に対し、回答を利用して回答者の要望に応じた住宅の間取りを提案する間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅を建設する際、施主の要望に応じて住宅プランを提供する技術が様々提案されている。具体的には、複数の住宅プランの中から、住宅に関する要望を文章で入力すると、キーワードを選出し、このキーワードを含む住宅プランデータを提供する技術もある(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2002-24241号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、複数の設問に回答した回答者に対し、回答を利用して回答者が重視する条件を考慮し、複数の住宅の間取りの中から回答者の要望に応じて選択された住宅の間取りを提案する間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラムを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の間取り提案装置は、複数の設問を提供し、回答者から、各設問に対する回答を取得する取得部と、設問、回答、ユーザが暮らしに求める条件の識別情報、及び、設問に対して回答を選択したユーザが当該条件を重視する程度の指標である重視度を複数関連付ける重視度データを用いて、各条件について、取得部が取得した回答から回答者が条件を重視する程度である重視度得点を求める演算部と、住宅の間取りを識別する間取り識別情報、条件の識別情報、及び、各間取り識別情報で識別される間取りの住宅が当該条件を充足する程度を示す値である充足度を複数関連付ける充足度データに含まれる充足度と、演算部で求められた結果とを用いて、複数の住宅の間取りから回答者の要求を満たす度合いの高い間取りを回答者への提案対象として選択する選択部とを含む。
【0006】
これらの概括的かつ特定の態様は、システム、方法、及びコンピュータプログラム、並びに、それらの組み合わせにより、実現されてもよい。
【発明の効果】
【0007】
本開示の間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラムは、複数の設問に回答した回答者に対し、回答を利用して回答者が重視する条件を考慮し、複数の住宅の中から回答者の要望の軽重に応じた住宅の間取りを提案することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示に係る間取り提案装置の概念図である。
図2】本開示に係る間取り提案装置のブロック図である。
図3A】間取りデータが含む間取り図の一例である。
図3B】間取りデータが含む間取り図の他の例である。
図4】特徴スコアデータの構成図である。
図5】係数データの構成図である。
図6】充足度データの構成図である。
図7A】設問に使用する表示画面の一例である。
図7B】設問に使用する表示画面の他の例である。
図8】重視度データの構成図である。
図9】目標値データの構成図である。
図10】充足度データの生成を説明するフローチャートである。
図11A】充足度の予測式を説明するグラフである。
図11B】予測式の生成を説明するグラフである。
図12】間取りの提案を説明するフローチャートである。
図13】間取り選択に使用する充足度の一例である。
図14】間取りの選択に使用する値dmの一例である。
図15】間取りを提案する表示画面の一例である。
図16】変形例1に係る間取り提案装置のブロック図である。
図17】第2の設問に使用する表示画面の一例である。
図18】第2の設問を使用したインテリアスタイルの選択を説明する概念図である。
図19】変形例1に係る間取りの提案を説明するフローチャートである。
図20】第2の設問を使用したインテリアスタイルの選択を説明する概念図の他の例である。
図21A】第2の設問を使用したインテリアスタイルの選択に利用する対応表である。
図21B】第2の設問を使用したインテリアスタイルの選択に利用するイメージスケールである。
図22】変形例2に係る間取り提案装置のブロック図である。
図23】変形例2に係る間取りの提案を説明するフローチャートである。
図24】変形例3に係る間取りの提案を説明するフローチャートである。
図25】変形例4に係る間取りの提案を説明するフローチャートである。
図26】変形例5に係る間取り提案装置の間取りを提案する表示画面の一例である。
図27A】変形例5に係る間取り提案装置の間取りを提案する表示画面の他の例である。
図27B】変形例5に係る間取り提案装置の間取りを提案する表示画面の他の例である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
[本開示の基礎となった知見]
施主の要望に応じて住宅プランを提供する技術がある。しかし、施主の住宅に対する要望が複数ある場合であっても、各要望の中で、重視する程度の高いものもあれば、重視する程度の低いものもある。ところが、例えば、単純にキーワードを用いた検索だけでは、複数の要望について重視の軽重を考慮することは困難であり、各要望が同列に扱われる。そのため、施主が最も重視する条件を満たす住宅プランがあったとしても、必ずしもこのような住宅プランが提案されず、代わりにあまり重視しない条件を満たす住宅プランが提案される場合もありうる。
【0010】
したがって、従来の方法では施主の暮らしに対する具体的な要望の軽重を考慮して、施主の要望に適した住宅プランを提案することは困難であった。
【0011】
本開示は、設問に回答した回答者に対し、回答を利用して回答者の要望に応じた住宅の間取りを提案する間取り提案装置、間取り提案方法、及びプログラムを提供する。これにより、住宅プランとして住宅の間取りを提案する際、施主の回答に応じ、暮らしに対する具体的な要望の軽重を考慮して、施主の要望に適した間取りを提案することができる。
【0012】
[実施形態]
以下に、図面を用いて本開示における実施形態を、図面を適宜参照しながら説明する。ただし、詳細な説明において、従来技術および実質的に同一の構成に関する説明のうち不必要な部分は省略されることもある。これは、説明を簡単にするためである。また、以下の説明および添付の図面は、当業者が本開示を充分に理解できるよう開示されるのであって、特許請求の範囲の主題を限定することを意図されていない。
【0013】
本開示に係る、間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラムは、住宅の建設を希望する施主に対して設問を提供し、設問に対する施主からの回答を利用して、住宅プランとして、施主の要望に応じた住宅の間取りを提案するものである。例えば、図1に示すように、間取り提案装置1は、住宅の建設を希望する施主20に複数の設問を提供し、設問に対する回答から回答者である施主20の要望を推測し、複数の住宅の間取りの中から、要望に適合する間取りを提案することできる。また例えば、間取り提案装置1は、住宅の施工を請け負う施工者21等が施主20とともに、施主20の要望に応じた間取りを決定する際に利用されてもよい。
【0014】
本開示において、「住宅」は、人が住むための家であり、その種別は問わない。例えば、戸建て住宅及び集合住宅を含むものとする。例えば、「住宅」は、一世帯が居住する場合もあるし、二世帯以上が居住するものであってもよい。
【0015】
「施主」は、住宅の建設を希望する者である。例えば、「施主」は、建設される住宅に実際に居住する者である。建設される住宅に複数人が居住する場合、この複数人のグループを「施主」としてもよい。ここで、代表的な施主のグループは、家族である。また、この「施主」は、間取りの提案のために、設問に対して回答する必要があるため、「回答者」とすることもある。
【0016】
「間取り」は、住宅の部屋の配置である。また、「間取り」は、部屋だけでなく、廊下、収納部、玄関、階段等の全ての区画も含むものとする。
【0017】
「設問」は、施主に何等かの回答を求める質問である。ここでは、設問に対する「回答」は、選択肢として予め設定されている。したがって、施主には、設問と、この設問に対する複数の回答の選択肢が提示される。そして、施主は、提示された設問に対する回答の選択肢を選択するものとする。また、後に詳述するが、各設問は、施主が住宅に求める何らかの条件と関連付けられるものである。
【0018】
図2を用いて、本開示に係る間取り提案装置1の構成について説明する。間取り提案装置1は、制御部11、記憶部12、入力部13及び出力部14等を備え、各部がバス16によって接続される情報処理装置である。また、間取り提案装置1は、通信インタフェース(通信I/F)15を備え、外部の装置との間でデータ通信を実行可能としてもよい。
【0019】
制御部11は、間取り提案装置1全体の制御を司るコントローラである。例えば、制御部11は、記憶部12に記憶される間取り提案プログラムPを読み出して実行することにより、生成部111、取得部112、演算部113、選択部114及び提供部115としての処理を実現する。また、制御部11は、ハードウェアとソフトウェアの協働により所定の機能を実現するものに限定されず、所定の機能を実現する専用に設計されたハードウェア回路でもよい。すなわち、制御部11は、CPU、MPU、GPU、FPGA、DSP、ASIC等、種々のプロセッサで実現することができる。
【0020】
記憶部12は種々の情報を記録する記録媒体である。記憶部12は、例えば、RAM、ROM、フラッシュメモリ、SSD(Solid State Device)、ハードディスク、その他の記憶デバイス又はそれらを適宜組み合わせて実現される。記憶部12には、制御部11が実行する間取り提案プログラムPの他、間取りの提案のために使用する種々のデータ等が格納される。例えば、記憶部12は、間取りデータ121、特徴スコアデータ122、係数データ123、充足度データ124、設問データ125、取得データ126、重視度データ127及び目標値データ128を記憶する。
【0021】
入力部13は、操作やデータの入力に利用される操作ボタン、キーボード、マウス、タッチパネル、マイクロフォン等の入力手段である。出力部14は、処理結果やデータの出力に利用されるディスプレイ、スピーカ等の出力手段である。通信I/F15は、外部の装置(図示せず)とのデータ通信を可能とするためのインタフェース回路(モジュール)である。
【0022】
なお、間取り提案装置1は、複数の情報処理装置によって実現されてもよい。また、記憶部12に記憶されるデータの一部は外部の記憶装置に記憶され、外部の記憶装置から読み出して使用する構成であってもよい。
【0023】
間取りデータ121は、「間取り識別情報」で識別され、間取り提案装置1で提案の対象となる各住宅の間取り図を含むデータである。例えば、間取りデータ121は、図3Aに示すような間取り図21aや、図3Bに示すような間取り図21bを含む。また、間取りデータ121は、各住宅の間取りを説明する説明文や、その間取りの住宅に家具を配置した状態のイメージ画像等の付加データを含むことができる。
【0024】
特徴スコアデータ122は、「間取り識別情報」と、住宅の間取りの特徴を表す「特徴識別情報」と、当該間取り識別情報で識別される間取りの住宅が、当該特徴識別情報で表される特徴を充足する程度を示す値である「特徴スコア」とを関連付けるデータである。図4に示す特徴スコアデータ122では、「間取り識別情報(以下、必要に応じて「間取りID」とする。)」として、「x1」~「x10」を用いる。また、図4の特徴スコアデータ122では、「特徴識別情報(以下、必要に応じて「特徴ID」とする。)」として、「y1」~「y27」等を用いる。なお、図4の例では、各特徴IDに関連づけて、この特徴IDで識別される特徴の内容である「間取り特徴」を含む。
【0025】
例えば、図4に示す例では、特徴ID「y1」で識別する特徴は「玄関が広い」である。また、特徴ID「y7」で識別する特徴は「玄関からプライベート空間が見えにくい」であり、特徴ID「y16」で識別する特徴は「リビングが広い」である。ここでは、特徴IDで識別される特徴を充足する程度が高い程、「特徴スコア」の値も高いものとする。具体的には、特徴スコア「0」よりも、特徴スコア「2」の間取りの方が、その特徴を充足する程度が高い。したがって、図4に示す例では、「玄関の広さ」に関しては、間取りIDが「x2」の間取りの住宅は、間取りIDが「y1」の間取りの住宅と比較して、玄関が広いものとされる。なお、図4では、説明の容易化のため一部の「特徴ID」及び「間取りID」の図示を省略している。
【0026】
ここで、間取りの特徴の中には、「(1)単一の空間のみに関する特徴」と、「(2)複数の空間の位置関係を考慮した特徴」とがある。図4の例では、「y1 玄関が広い」及び「y16 リビングが広い」は、玄関又はリビング等のみに左右される特徴であるため、「(1)単一の空間のみに関する特徴」に該当する。一方、「y7 玄関からプライベート空間が見えにくい」、「y18 リビングと隣接空間を接続して大広間を作れる」及び「y27 キッチン手元足元がLD(リビングダイニング)から見えない」は、玄関、リビング、キッチン等の単一の空間のみでなく、他の空間にも左右される特徴であるため、「(2)複数の空間の位置関係を考慮した特徴」に該当する。
【0027】
これらの特徴スコアは、例えば、新たな間取り図が間取りデータ121に登録される際に、新たな間取りの各特徴について設定され、特徴スコアデータに追加される。各間取りに設定される特徴スコアは、他の間取りに設定された特徴スコアと同一の基準で設定されるものとする。このとき、「(1)単一の空間のみに関する特徴」である場合、単一の空間のみに応じて設定され、「(2)複数の空間の位置関係を考慮した特徴」である場合、複数の空間に応じて設定される。
【0028】
「(2)複数の空間の位置関係を考慮した特徴」に基づく特徴スコアを利用することで、「(1)単一の空間のみに関する特徴」のみでは表すことのできない特徴についても特徴スコアとして基準を設定することができる。これにより、間取り提案装置1において、後述する「充足度」をより適切な値として求めることが可能となり、施主20の要望にあった間取りを提案することが可能となる。仮に、ある「間取りA」において、サイズ中のリビングとサイズ中の和室とが全開にできる引き戸により接続されているとする。この場合、「(2)複数の空間の位置関係を考慮した特徴」として、「y18 隣接するリビングと和室をつなげて大空間を作れる」という特徴スコアを高く設定することができる。これにより、間取り提案装置1では、例えば、後述する「食事に招待しやすい」という施主20の要求を満たす可能性の高い住宅として扱うことが可能となり、このような要望を有する施主20に、「間取りA」を提案しやすくなる。一方、「(1)単一の空間のみに関する特徴」の場合、「間取りA」は、サイズ中のリビングを持つ間取りの住宅ということになるため、「食事に招待しやすい」間取りを希望する施主20に提案されにくくなる。
【0029】
係数データ123は、「特徴識別情報」と、施主20が住宅または暮らしに求める条件を識別する「条件識別情報」と、当該特徴識別情報で識別される間取りの特徴が、当該条件識別情報で識別される条件に与える影響により設定された「係数」とを関連付けるデータである。図5に示す係数データ123では、「条件識別情報(以下、必要に応じて「条件ID」とする。)」として、「z1」~「z10」を用いる。また、図5の例では、説明のため、「条件ID」に、この条件IDで識別される条件の内容を関連付ける。なお、図5の係数データ123でも、説明のため、図4と同様に、特徴IDに関連付けて間取り特徴を含む。
【0030】
例えば、図5の例で、各条件IDで識別される条件は、それぞれ「z1」が「日常動作が楽」、「z2」が「家事負担が低い」、「z3」が「家事効率が良い」、「z4」が「子供が勉強しやすい」、「z5」が「親子が身近に過ごせる」、「z6」が「家族が集いやすい」、「z7」が「生活感を抑制できる」、「z8」が「食事に招待しやすい」、「z10」が「おもてなしがしやすい」である。
【0031】
例えば、「y1 玄関が広い」という特徴がある場合、「z1 日常動作が楽」、「z9 食事に招待しやすい」、「z10 おもてなしがしやすい」等の条件を満たすとされ、図5に示す係数データ123は、これらの特徴IDと条件IDを関連付ける係数を有する。なお、その条件を満たす程度が高い特徴である程、「係数」の値も高いものとする。具体的には、特徴スコア「0」よりも、特徴スコア「5」の方が、条件を満たす程度が高い。したがって、図5に示す例では、「リビングの広さ」に関しては、条件ID「z1 日常動作が楽である」条件よりも、条件ID「z6 家族が集いやすい」条件を満たす程度が高いものと設定されている。なお、図5では、説明の容易化のため一部の「特徴ID」及び「間取りID」の図示を省略している。これらの係数は、間取りの特徴と条件との関係に応じて、予め設定され、係数データ123が生成される。
【0032】
充足度データ124は、「間取り識別情報」と、「条件識別情報」と、当該間取り識別情報で識別される間取りの住宅が、当該条件を充足する程度を示す値である「充足度」とを関連付けるデータである。図6に示す充足度データ124では、間取りIDである「x1」~「x10」と条件IDである「z1」~「z10」との各組み合わせにそれぞれ「充足度」が関連付けられる。なお、図6の例でも、説明のため、図5と同様に、条件IDに、条件の内容を関連付ける。
【0033】
ここでは、条件を充足する程度が高い間取りほど、「充足度」の値も高いものとする。具体的には、図6の例では、充足度が「3」よりも、「7」の方が、該当する条件を充足する程度が高い。したがって、例えば、図6の充足度データ124の例では「z4 子供が勉強しやすい」条件に関しては、「x6」の間取りの住宅が充足する程度が最も高い。また、「z6 家族が集いやすい」条件に関しては、「x4」の間取りの住宅が充足する程度が最も高い。図6において、各条件IDと関連付けられる充足度のうち、最も高い値を丸で囲んで示す。また、図6に示す充足度データ124において、説明の容易化のため、一部の充足度の数値を省略するが、実際には、空欄部分にも、充足度が存在するものとする。
【0034】
この充足度データ124は、特徴スコアデータ122の特徴スコアと、係数データ123の係数の積和を用いて生成することができるが、その生成方法については、後述する。
【0035】
設問データ125は、設問と、その設問に対する回答の選択肢とを提示するためのデータである。例えば、設問データ125は、図7Aに示すように、設問を表示する領域A1と、回答を表示する領域A2~A5とを含む表示画面Wを表示するデータを含む。図7Aに示す表示画面Wでは、領域A1に「家では活気より、静かさを重視する」に関する施主20の考え方を問う設問を含む。また、図7Aに示す表示画面Wは、この設問に対する回答の選択肢として、領域A2に「あてはまる」、領域A3に「ややあてはまる」、領域A4に「あまりあてはまらない」、領域A5に「あてはまらない」を含む。施主20は、この領域A2~A5のいずれかを選択することで、設問に対して回答することができる。この図7Aは、施主20が望む暮らしを直接問う設問の例である。
【0036】
また、設問データ125は、例えば、図7Bに示すような表示画面Wを表示するデータを含む。図7Bは、施主20の性格、意識又は行動特性等を問うことで、例えば施主20が望む暮らしを間接的に推定する設問の例である。図7Bに示す例では、領域A1に、「客Aがある商品を複数買おうとする際、店員Bが客Aにその商品は一人、1個しか購入できないことを伝えた状況」を示し、この状況において、客Aはどのように考えるかを問うものである。また、図7Bに示す表示画面Wは、この設問に対する回答の選択肢として、領域A2に「せっかく買いに来たのに」、領域A3に「もともと1つしか買うつもりなかったしいいか」、領域A4に「確認しておけばよかった」、領域A5に「まあいいか」を含み、施主に選択させる。
【0037】
間取り提案装置1では、設問データ125に含まれるこのような設問を用いて、施主20が望む暮らしを直接的または間接的に問い、得られた回答を用いて施主20が暮らしに求める条件を推定し、条件に適した間取りを提案する。施主20が希望する住宅の条件を直接問うのではなく、直接的または間接的に施主20が望む暮らしを問うことで、間取り提案装置1では、社会通念等に影響されることも少なく、施主20の潜在的な希望までも推定することが可能となり、施主20の暮らしに適合する間取りを提案しやすくなる。
【0038】
取得データ126は、設問データ125の各設問に対して、施主20から取得した回答に関するデータである。
【0039】
重視度データ127は、設問を識別する複数の「設問識別情報」と、当該設問に対する複数の回答を識別する「回答識別情報」と、複数の「条件識別情報」と、施主20が各設問に対して各回答を選択した場合に、各条件識別情報で識別される条件を施主20が重視する程度の指標とする「重視度」とを関連付けるデータである。図8に示す重視度データ127では、「設問識別情報(以下、必要に応じて、「設問ID」とする。)」として、「Q1」~「Q4」等を用いる。また、図8の重視度データ127では、「回答識別情報(以下、必要に応じて「回答ID」とする)」として、「A11」~「A44」等を用いる。具体的には、「Q1」の設問に対する回答の識別情報が「A11」~「A14」であり、「Q2」の設問に対する回答の識別情報が「A21」~「A24」であり、「Q3」の設問に対する回答の識別情報が「A31」~「A34」であり、「Q4」の設問に対する回答の識別情報が「A41」~「A44」である。また、図8の重視度データ127でも、図8と同様に、条件IDに関連付けて条件の内容を含む。
【0040】
例えば、図8の例では、その条件を重視する程度が高いと推定されるほど、「重視度」の値も高いものとする。具体的には、重視度「2」の方が、「-2」の場合よりも、その条件を施主20が重視する程度が高い。したがって、図8に示す例では、「Q1」の設問において、「A11」の回答を選択した場合、「z1 日常動作が楽である」条件については、他の回答を選択した場合よりもその条件を“重視する”ものと設定されている。一方、「Q1」の設問において、「A11」の回答を選択した場合、「z6 家族が集いやすい」条件については、他の回答を選択した場合よりもその条件を“重視しない”ものと設定されている。この「重視度」は、他の条件と比較して、対象の条件を相対的にどの程度重視するのかの特定に使用するための値である。重視度データ127に含まれる各重視度は、設問、回答及び条件の関係に応じて、予め設定される。また、図便宜的に省略しているが、数値が記載されていない重視度は実際には「0」が設定されているものとする。
【0041】
なお、以下の説明において、図8に丸印で示すように、設問「Q1」に対して回答「A14」が選択され、設問「Q2」に対して回答「A21」が選択され、設問「Q3」に対して回答「A31」が選択され、設問「Q4」に対して回答「A42」が選択されたものとして説明する。また、これらの回答を含むデータが、上述した取得データ126である。
【0042】
目標値データ128は、「設問識別情報」と、当該設問に対する複数の「回答識別情報」と、「条件識別情報」と、施主20が対象の設問に対して対象の回答を選択した場合に、対象の条件識別情報で識別される条件を充足することを施主20が目標とする程度の指標とする「目標値」とを複数関連付けるデータである。図9に、目標値データ128の一例を示す。
【0043】
例えば、図9の例では、その条件を施主20が求める程度が高いほど、「目標値」の値は高いものとする。具体的には、目標値「3」の方が、「-2」の場合よりも、その条件を施主20が求める程度が高い。したがって、図9に示す例では、「Q2」の設問において、「A21」の回答を選択した場合、他の回答を選択した場合よりも「z5 親子が身近」である条件を求める程度が“高い”ものと設定されている。一方、「Q2」の設問において、「A21」の回答を選択した場合、「z7 生活感を抑制する」の条件については、他の回答を選択した場合よりもその条件を求める程度が“低い”ものと設定されている。この「目標値」は、他の条件とは関係なく、対象の条件を単独でどの程度の水準を望むのかの特定に使用するための値である。目標値データ128に含まれる各目標値は、設問、回答及び条件の関係に応じて、予め設定される。
【0044】
図9において、目標値部分に斜め罫線が付されている条件(条件ID:z1,z2,z3,z8,z9,z10)については、後述する第2の条件として設定されるものであり、目標値の設定が不要な条件である。また、図9において、便宜的に省略しているが、目標値が空欄の部分は実際には「0」が設定されているものとする。
【0045】
生成部111は、記憶部12から特徴スコアデータ122と、係数データ123とを読み出し、各間取り識別情報で識別される間取りについて、条件毎に、特徴スコアと係数との積和を求め、仮充足度とする。生成部111は、求めた仮充足度について、予め設定される基準で各条件のレンジを合わせ、充足度を求める。生成部111は、求めた充足度を、間取り識別情報及び条件と関連付けて、充足度データ124を生成する。さらに、生成部111は、生成した充足度データ124を、記憶部12に記憶させる。
【0046】
取得部112は、記憶部12から設問データ125を読み出し、例えば、ディスプレイである出力部14に図7A及び図7Bを用いて上述したような表示画面Wを表示し、施主20に複数の設問を提供する。また、取得部112は、入力部13を介した操作により施主20から、各設問に対する回答を取得する。さらに、取得部112は、取得した回答を、取得データ126として記憶部12に記憶させる。具体的には、取得データ126は、設問ID及び回答IDが関連付けられるデータである。
【0047】
演算部113は、取得部112により取得データ126が取得されると、記憶部12から取得データ126及び重視度データ127を読み出し、重視度データ127を用いて、各条件について、取得データ126に含まれる施主20の各回答から、施主20が当該条件を重視する程度(以下、必要に応じて「重視度得点」)を求める。このとき、演算部113は、条件毎に、重視度データ127において、設問と回答の組み合わせで特定される複数の重視度の和を、重視度得点として求めることができる。
【0048】
また、演算部113は、記憶部12から取得データ126及び目標値データ128を読み出し、各条件について、目標値データ128を用いて、取得データ126に含まれる施主20の各回答から、施主20が住宅に当該条件を求める度合い(以下、必要に応じて「目標値得点」)を求める。このとき、演算部113は、条件毎に、目標値データ128において、設問と回答の組み合わせで特定される複数の目標値の和を、目標値得点として求めることができる。
【0049】
演算部113は、予め定める条件については、目標値得点に所定の値を用いることができる。具体的には、目標値得点を求める必要のある条件を「第1の条件」とし、目標値得点に所定の値を使用する条件を「第2の条件」とする。このとき、例えば、回答者により求める程度の差が大きいとされる条件について「第1の条件」とし、回答者により求める程度の差が小さいとされる条件について「第2の条件」とする。そして、第2の条件については、目標値得点として予め設定される固定の値を用いてもよい。
【0050】
重視する程度は、異なることはあっても、その条件を満たす程度は低いよりも高い方が良いことがある。このような条件については、第2の条件とし、取り得る最大の値よりも大きい値を目標値得点として設定することで、演算部113によって毎回、重視度得点を求める必要がなくなる。例えば、図9に示す例では、「z1 日常動作が楽である」条件については、その度合いが高ければ高いほど、多くの施主20にとって良いと考えられる。一方、「z5 親子が身近である」条件については、「親子が常に身近にいたい」と希望する者もあれば、「必要に応じて身近にいたい」と希望する者もあり、その度合いが人によって異なる。したがって、前者のような条件を第2の条件とし、後者のような条件を第1の条件として目標値得点の算出を実行する。
【0051】
選択部114は、充足度データ124に含まれる充足度と、演算部113で求められた結果を用いて、複数の住宅から、施主20の要求を満たす度合いの高い間取りを選択する。このとき、選択部114は、重視度得点が所定の閾値以上である条件を、回答者が暮らしにおいて重視する条件として選択し、選択した条件の目標値得点を利用して間取りを選択することができる。
【0052】
選択部114は、住宅の間取りを選択する際、住宅の識別情報毎に、同一の条件と関連付けられる充足度と、目標値得点との差が小さくなる間取りを選択する。また、選択部114は、所定の重み値を用いてもよい。
【0053】
提供部115は、選択部114で選択された間取りを含む画面データを生成してディスプレイである出力部14に表示させ、施主20に提案する住宅の間取りに関するデータを提供する。
【0054】
〈充足度データの生成〉
次に、図10に示すフローチャートを用いて、間取り提案装置1で実行される充足度データの生成について説明する。
【0055】
まず、図10のフローチャートに示すように、生成部111は、記憶部12から特徴スコアデータ122及び係数データ123を読み出し、複数の間取りの中から、充足度の算出の対象である間取りを選択する(S11)。例えば、生成部111は、処理の対象として、まず、間取りID「x1」を選択する。
【0056】
また、生成部111は、複数の条件の中から、充足度の算出の対象である条件を選択する(S12)。例えば、生成部111は、処理の対象として、まず、条件ID「z1」を選択する。
【0057】
生成部111は、特徴ID毎に、ステップS11で選択された間取りの各特徴スコアと、ステップS12で選択された条件の各係数との積を求め、その和を仮充足度とする(S13)。具体的には、図4の特徴スコアデータ122及び図5の係数データ123の例で、間取りID「x1」及び条件ID「z1」が選択されている場合、特徴ID「y1」の特徴スコア「0」と係数「0.1」の積、特徴ID「y2」の特徴スコア「0」と係数「0」の積、・・・と全ての特徴IDについての特徴スコアと係数との積和が仮充足度とされる。
【0058】
ステップS13で選択された条件の仮充足度が求められると、生成部111は、全ての条件について仮充足度の算出が終了したか否かを判定する(S14)。具体的には、「z1」~「z10」の全ての条件について仮充足度の算出が終了したか否か判定する。全ての条件について仮充足度の算出が終了していない場合(S14でNO)、生成部111は、ステップS12~S14の処理を繰り返す。
【0059】
全ての条件について仮充足度の算出が終了した場合(S14でYES)、生成部111は、全ての間取りについて仮充足度の算出が終了したか否かを判定する(S15)。具体的には、「x1」~「x10」の全ての間取りについて仮充足度の算出が終了したか否か判定する。全ての間取りについて仮充足度の算出が終了していない場合(S15でNO)、生成部111は、ステップS11~S15の処理を繰り返す。
【0060】
全ての間取りについて仮充足度の算出が終了した場合(S15でYES)、生成部111は、予め設定したアルゴリズムに基づき、ステップS13で求めた複数の仮充足度を用いて充足度を予測する(S16)。
【0061】
図11Aは、条件「z2 家事分担が良い」の仮充足度から充足度を予測する手法を説明するグラフである。図11Aに示す例では、下式(1)が予測式となる。
y=0.0847x+1.027 ・・・(1)
したがって、生成部111は、上式(1)の予測式を利用して、仮充足度xに対して充足度yを求める。
【0062】
図11Aに示す予測式は、図11Aにプロットされた複数の点の値から決定係数Rが所定の条件(図11Aの例では、R2>0.5)で得られた回帰式である。ここで、複数の点のプロットは、図11Bに示すように、複数の間取りの設計者であるプランニング者や住宅の施工を請け負う施工者21等により同一の基準で行われたものである。図11Aは、条件「z2 家事分担が良い」に関する値の調整基準を説明するものであるが、生成部111は、条件毎に設定された予測式を用いて、各条件の充足度を求める。図示を省略するが、この生成部111で使用する各条件の予測式は、例えば、記憶部12に記憶される。
【0063】
生成部111は、ステップS16で求めた充足度を、各間取りID及び各条件と関連付けて、充足度データ124を生成する(S17)。
【0064】
生成部111は、ステップS16で生成した充足度データ124を記憶部12に記憶させる(S18)。これにより、間取り提案装置1における充足度データ124の生成の処理は終了し、間取り提案装置1は、ここで生成した充足度データ124を用いて間取りの提案の処理を実行する。
【0065】
〈間取りの提案〉
次に、図12に示すフローチャートを用いて、間取り提案装置1で実行される間取りの提案について説明する。
【0066】
まず、図12のフローチャートに示すように、取得部112は、記憶部12に記憶される設問データ125を読み出し、出力部14に表示画面Wを表示し、施主20に設問を提供する(S21)。
【0067】
続いて、取得部112は、入力部13を介して施主20から入力された回答を取得する(S22)。取得部112は、ここで取得された回答を、取得データ126として記憶部12に記憶させる。この取得データ126は、設問IDと、回答IDとが関連付けられるデータである。例えば、図8及び図9に示す例では、複数の回答IDのうち、丸で囲まれる番号が施主20の回答である。このような場合、Q1とA14、Q2とA21、Q3とA31、Q4とA43等が関連付けられるデータが、取得データ126である。なお、実際の重視度データ127のみからは、施主20の回答を特定することはできず、取得データ126を参照する必要がある。
【0068】
演算部113は、取得データ126の取得後、重視度得点を求める(S23)。具体的には、演算部113は、記憶部12に記憶される取得データ126と、重視度データ127とを用いて、重視度得点を求める。例えば、図8に示す重視度データ127であるとき、取得データ126に含まれる各回答(図8中の丸印)を参照し、各条件について、施主20の回答を識別する回答IDと関連付けられる重視度の和を重視度得点とする。例えば、「z1 日常動作が楽である」条件については、A14の「-2」、A43の「-1」等、全ての回答について重視度が加算されることで、重視度得点として「5.2」が得られた。また、「z6」の「家族が集いやすい」条件については、A14の「2」、A21の「4」、A43の「1」等、全ての回答について重視度が加算されることで、重視度得点として「8.7」が得られた。全ての条件について重視度得点の算出が終了すると、ステップS3の処理は終了する。
【0069】
選択部114は、ステップS23で求められた重視度得点を用いて、施主20が暮らしにおいて重視する条件を選択する(S24)。図8に示す例では、各重視度得点を比較すると、「z6 家族が集いやすい」条件と「z8 日の光が入りやすい」条件とが「8.7」で最も高いため、施主20が暮らしにおいて最も重視する条件と判断することができる。例えば、選択部114は、重視度が予め設定される値以上である条件を、施主20が重視する条件とし、間取りの選択に利用する対象とする。具体的には、「6.0」が閾値として予め設定されている場合、図8に示す例では、破線丸印で示される重視度得点が該当するため、「z6 家族が集いやすい」、「z8 日の光が入りやすい」、「z9 食事を招待しやすい」、「z10 おもてなししやすい」、「z4 子供が勉強しやすい」が重視される条件として選択される。なお、図8中で、選択された重視度得点の上に付される数字が重視される条件の順位である。
【0070】
演算部113は、ステップS24で重視する条件が選択されると、各条件の目標値得点を求める(S25)。具体的には、演算部113は、記憶部12に記憶される取得データ126と、目標値データ128とを用いて、目標値得点を求める。例えば、図9に示す目標値データ128であるとき、取得データ126に含まれる各回答(図9中の丸印)を参照し、各条件について、施主20の回答を識別する回答IDと関連付けられる目標値の和を目標値得点とする。例えば、「z5 親子が身近である」条件については、A21の「3」、A43の「1」等、全ての回答について目標値が加算されることで、目標値得点として「5.9」が得られた。また、「z6」の「家族が集いやすい」条件については、A14の「2」、A21の「2」、A43の「1」等、全ての回答について目標値が加算されることで、目標値得点として「8.5」が得られた。全ての条件について目標値得点の算出が終了すると、ステップS24の処理は終了する。
【0071】
このとき、演算部113は、第2の条件として設定される所定の条件については、目標値得点を演算せずに、所定の値を目標値得点とする。図9の例では、「z1 日常動作が楽である」、「z2 家事分担しやすい」、「z3 家事効率が良い」、「z8 日の光が入りやすい」、「z9 食事を招待しやすい」、「z10 おもてなしがしやすい」が、第2の条件として設定され、これらの条件については、目標値得点として「10」が設定される。
【0072】
なお、図9では、全ての目標値得点を求めた例を示すが、ステップS24で選択された条件についてのみ目標値得点のみを求めるようにしてもよい。これは、ステップS24で選択されない目標値得点については、後述する間取りの選択に利用されないためである。図9の例の場合、「z5 親子が身近である」条件、及び「z7 生活感が抑制される」条件については、ステップS24で選択されていないため、目標値得点を求める必要はない。
【0073】
選択部114は、ステップS25で求められた目標値得点を用いて、施主20の要求を満たす度合いの高い間取りを選択する(S26)。図13は、ステップS24で選択された条件の重視度得点及び目標値得点、及び充足度を、重視度得点の高い順序で示す一例である。例えば、選択部114は、下式(2)のように、条件毎に求めた目標値得点anと対象の間取りについて各条件の充足度fmnとの差を用いて得られる値dmを各間取りについて求め、求めた値を比較して間取りを選択する。
【0074】
【数1】
m:間取りに付された番号
n:選択された条件に付された番号
n: 目標値得点
mn: 充足度
【0075】
図13の例では、選択された条件は条件ID「z6」、「z8」、「z9」、「z10」及び「z4」の5であるため、nは、「1」~「5」の値である。
【0076】
図14は、各間取りについて得られた値dmの一例である。各値dmのうち、最も小さい値が、施主20の要求を満たす度合いの高い間取りである。したがって、選択部114は、図14の例では、提案する間取りとして、間取りID「x4」の間取りを選択する。
【0077】
提供部115は、ステップS26で選択された間取りを含む画面データを生成して施主20に住宅の間取りを、提案する(S27)。具体的には、提供部115は、図15に示すような生成した画面データに応じた表示画面W2をディスプレイである出力部14に表示することで、施主20に住宅の間取りを表示させる。表示画面W2は、ステップS26で選択された間取り図に加え、この間取りの特徴のうち施主20の求める条件についてのコメントを表示する領域A11、A12を含む。例えば、選択された間取りが「キッチンスペースが5畳以上で広い」ことで、「家族が集いやすい」という条件につながるため、領域A11に示すような説明がされる。また、「オープンなワークスペースがある」ことで、「家族が集いやすい」また「子供が勉強しやすい」という条件につながるため、領域A12に示すような説明がされる。これにより、施主20に、適した間取りを提案することができる。例えば、この領域A11、A12に表示されるコメント等の付加データは、間取りデータ121において、間取り図とともに含まれる。
【0078】
[効果及び補足]
上述した間取り提案装置によれば、複数の間取りの中から、施主の暮らしに対する具体的な要望の軽重を考慮し、施主の要望に適した間取りを提案することができる。
【0079】
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、上記実施形態を説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。そこで、以下、変形例として他の実施形態を例示する。また、後述する各変形例において、上述した構成と同一の構成については同一の符号を用い、同一の処理については同一の符号を用いて、説明を省略する。
【0080】
[変形例1]
図16乃至図21Bを用いて、変形例1に係る間取り提案装置1Aについて説明する。上述した実施形態に係る間取り提案装置によれば、施主20の暮らしに対する要望に応じた間取りを提案するものであった。変形例1の間取り提案装置1Aは、施主20の暮らしに対する要望に加え、施主20の好みのインテリアスタイルに応じて間取りに関するデータを提案するものである。
【0081】
『インテリア』とは、壁紙、床材、照明器具、家具等の住宅の内装を意味するものとする。また、『インテリアスタイル』とは、このようなインテリアについて分類された様式である。分類される様式の数や各様式についてどのように分類するかは限定されない。例えば、一般的に内装の様式を表す際に利用される「イメージスケール」を基準に分類された様式を利用することができる。
【0082】
『イメージスケール』は、色相に関する横軸と、明度に関する縦軸とにより表され、複数種のインテリアスタイルのイメージの分類に利用するためのツールである。具体的には、横軸は、クール-ウォーム軸であり、そのインテリアスタイルのイメージが寒色であるか暖色であるかを特定する。また、縦軸は、ハード-ソフト軸であり、そのインテリアスタイルのイメージが濃いか薄いかを特定する。イメージスケールの一例については、図21Bを用いて後述する。
【0083】
図16に示すように、変形例1に係る間取り提案装置1Aは、図2を用いて上述した間取り提案装置1と比較して、さらに、特定部211を備え、記憶部12に、第2設問データ221及び内装分類データ222を記憶する点で異なる。
【0084】
第2設問データ221は、施主20の好みのインテリアスタイルを問う第2の設問と、その第2の設問に対する回答の選択肢とを提示するためのデータである。例えば、第2設問データ221は、第2の設問として、図17に示すように、異なる複数のインテリアスタイルを表す画像a1,a2を表示し、好みのインテリアスタイルを選択させる表示画面W3を出力部14に表示させるデータである。
【0085】
仮に、図17に示す表示画面W30において、画像a1が選択されると、図18に示すように、間取り提案装置1Aでは、第2設問データ221を利用し、他の画像a11,a12を選択肢として含む表示画面W31を表示させる。また、画像a2が選択されると、間取り提案装置1Aでは、第2設問データ221を利用し、別の画像a21,a22を選択肢として含む表示画面W32を表示させる。第2設問データ221は、このようにして、何度か施主20に異なる複数のインテリアスタイルを表す画像を提示し、施主20の好みのインテリアスタイルの特定に利用するデータである。
【0086】
内装分類データ222は、第2の設問に対する回答と、施主20が住宅に求めるインテリアスタイルの種別とを、関連付けるデータである。図18に示す例では、最終的に選択された画像a111~a222が第2の設問に対する回答であり、これらの回答とインテリアスタイルの種別(様式1~8)とを関連付けるデータが、内装分類データ222である。
【0087】
なお、変形例1に係る間取り提案装置1Aの記憶部12は、間取りが同一であっても、インテリアスタイルの異なる間取りデータ121を記憶することができる。間取りデータ121は、図3A及び図3Bを用いて上述したように、単なる間取りに加え、間取りを説明する説明文や、その間取りの住宅に家具を配置した状態等のイメージ画像を含むことができる。このような、説明文やイメージ画像等の付加データは、インテリアスタイルによって異なる場合がある。例えば、様式1と様式5のインテリアスタイルでは、全く異なる外観の家具を利用する場合もあるが、そのようなとき、間取りデータ121に含まれるイメージ画像も全く異なるものとなる。したがって、変形例1に係る間取り提案装置1Aでは、間取りデータ121は、インテリアスタイルの種別を関連付ける。そして、記憶部12は、同一の間取り図であっても、インテリアスタイルの種別と関連して生成された説明文やイメージ画像等の付加データを含む複数の間取りデータ121を記憶する。
【0088】
なお、インテリアスタイルが異なるとしても、その外観が類似する場合もある。また、全てのインテリアスタイルについて、異なる付加データを生成することは多くの手間を要する。例えば、「様式1」と「様式2」とで利用される家具や壁紙等が類似する場合もある。したがって、1の間取りデータ121に関連付けられるインテリアスタイルの種別は、必ずしも1種類である必要はなく、複数の類似するインテリアスタイルの種別が関連付けられていてもよい。
【0089】
取得部112は、記憶部12から第2設問データ221を読み出し、例えば、出力部14に図17を用いて上述したような表示画面W3を表示させ、施主20に第2の設問を提供する。また、取得部112は、入力部13を介した操作により施主20から第2の設問に対する回答を取得する。さらに、取得部112は、取得した第2の設問に対する回答を、取得データ126として記憶部12に記憶させる。
【0090】
具体的には、取得部112は、第2設問データ221を利用して、例えば、図17に示すような表示画面W30を出力部14に表示させ、施主20から好みのインテリアスタイルを導く第2の設問に対する回答を得る。取得部112が表示させる表示画面W30は、異なる2種のインテリアスタイルの画像a1及びa2を含む。ここで説明する例では、第2の設問は、このような異なる種類のインテリアスタイルの画像から、好みのインテリアスタイルを問うものである。そして、取得部112は、図18に示すように、異なる複数のインテリアスタイルを含む表示画面W30~36を複数回表示して、最終的に到達した回答を、特定部211に出力する。具体的には、表示画面W30で画像a1が選択されると、表示画面W31が表示され、表示画面W31で画像a11が選択されると、表示画面W33が表示され、表示画面W33でa111が選択されると、これを回答として得る。
【0091】
特定部211は、取得部112により第2の設問に対する回答が取得されると、内装分類データ222を用いて、施主20の好むインテリアスタイルの種別を特定する。例えば、図18に示す例の場合、施主20によって回答として画像a111が選択されると『様式1』を特定し、回答として画像a112が選択されると『様式2』を特定し、回答として画像a121が選択されると『様式3』を特定する。
【0092】
選択部114は、間取りを選択する際、回答者の要求を満たす度合いが高く、かつ、特定部211で特定されたインテリアスタイルの種別と適合する間取りデータ121を選択する。具体的には、演算部113で得られた各条件の目標値得点を達する間取りであって、かつ、特定部211で特定されたインテリアスタイルの種別と適合する間取りデータ121を選択する。
【0093】
提供部115は、選択部114で選択された間取りデータ121を利用して画面データを出力部14に表示させる。具体的には、特定部211で特定されたインテリアスタイルの種別に適合する説明文やイメージ画像を含む画像データを生成して出力部14に表示させる。
【0094】
〈間取りの提案〉
図19に示すフローチャートを用いて、変形例1に係る間取りの提案を説明する。図19に示すフローチャートにおいて、図12を用いて上述した処理と異なる処理には、符号に下線をつけて説明する。
【0095】
取得部112は、ステップS22で各設問に対する回答を取得すると、記憶部12に記憶される第2設問データ221を読み出し、出力部14に表示画面W3を表示し、施主20に好みのインテリアスタイルを問う第2の設問を提供する(S31)。
【0096】
続いて、取得部112は、入力部13を介して施主20から、ステップS31で提供した第2の設問に対して入力された第2の回答を取得する(S32)。取得部112は、ここで取得された第2の回答を、記憶部12に記憶される取得データ126に追加する。
【0097】
また、特定部211は、ステップS32で取得した第2の回答を利用して、適合するインテリアスタイルの種別を特定する(S33)。なお、ステップS23~S25の処理と、ステップS33の処理の実行順序は、図19に示す順番に限定されず、可能な場合には、複数の処理が同時に実行されてもよいし、異なる順序で実行されてもよい。
【0098】
選択部114は、ステップS25で求められた目標値得点と、ステップS33で特定されたインテリアスタイルの種別とを用いて、施主20の要求を満たす度合いの高い間取りデータ121を選択する(S34)。例えば、ステップS33で、施主20の好みのインテリアスタイルとして、様式1が特定された場合、ステップS25で求められた目標値得点を満たすとともに、様式1の間取りデータ121を選択する。
【0099】
このように、変形例1に係る間取り提案装置1Aでは、施主20の好みのインテリアスタイルに合わせて選択された間取りデータ121に含まれる説明文やイメージ画像等の付加データを用いて間取りを提案する。これにより、変形例1に係る間取り提案装置1Aでは、施主20に、提供する間取りの住宅が、施主20の要望に適合するか否かをイメージしやすくさせることができる。
【0100】
なお、図18を用いて上述した施主20の好みのインテリアスタイルを選択する方法の他、図20乃至図21Bを示して説明する方法を利用してもよい。例えば、図20に示すように、複数の表示画面W30~W36を順に表示し、インテリアスタイルに関する施主20の嗜好を特定する。図20に示す複数の表示画面W30~W36は、図18を用いて上述したものと同一であるが、回答として最終的に選択される画像a111~a222が、インテリアスタイルである各様式と直接関連付けられるのではなく、嗜好と関連付けられる点で異なる。そして、特定された施主20のインテリアの嗜好と最も関連する様式を、施主20の好みのインテリアスタイルである様式とする。
【0101】
インテリアの嗜好とインテリアスタイルとの関係は、例えば、図21Aに示すような対応表で表すことができる。例えば、図21Aに示す例では、インテリアの嗜好は、5種類であるが、インテリアスタイルは、8種類ある。そして、図21Aに示すクール-ウォーム軸(横軸)とハード-ソフト軸(縦軸)との各数値の関係を表すイメージスケールを図21Bに示す。具体的には、選択部114は、間取りデータ121を選択する際、図21Bに示すイメージスケールにおいて、第2の回答で得られたインテリアの嗜好の座標と最も座標の近いインテリアスタイルが関連付けられる間取りデータ121を選択する。
【0102】
具体的には、選択部114は、回答として「嗜好A」が得られた場合、施主20の要求を満たす間取りに「様式2」が関連付けられる間取りデータ121があれば、「嗜好A」の座標と最も近い座標の「様式2」が関連付けられる間取りデータ121を選択する。一方、「様式2」が関連付けられる間取りがなければ、「様式4」が関連付けられる間取りデータ121を選択する。さらに、「様式1」が関連付けられる間取りデータ121を選択する。このとき、間取りが基準であり、例示するインテリアスタイルに関して間取りと関連付けられる情報は付加的なものであるため、間取りデータ121に関連付けられる様式が回答として得られた嗜好と離れていたとしても、最も近いいずれかの様式が関連付けられる間取りデータ121を選択すればよい。
【0103】
[変形例2]
図22及び図23を用いて、変形例2に係る間取り提案装置1Bについて説明する。変形例2に係る間取り提案装置1Bは、住宅の間取りとともに、施主20の好みの外装を提案するものである。仮に、住宅の間取りが同一であったとしても、その住宅の外観である外装は、異なるものから選択できる場合もある。例えば、住宅の扉、外壁、窓枠等は様々なタイプから選択可能である。したがって、間取り提案装置1Bは、施主20の好みのインテリアスタイルに応じて施主20の好みの外装を特定して提案するものである。
【0104】
図22に示すように、変形例2に係る間取り提案装置1Bは、図16を用いて上述した間取り提案装置1Aと比較して、さらに、抽出部212を備え、記憶部12に、外装データ223を記憶する点で異なる。
【0105】
外装データ223は、間取りデータ121として記憶される各間取りの住宅の外装に関するデータである。また、この外装データ223は、インテリアスタイルの種別と関連付けられ、同一の間取りの住宅について、複数の異なる種類のデータが存在する。なお、外装の種別は、必ずしもインテリアスタイルの種別と一対一で関連付けられる必要はない。例えば、一の種別の外装が、複数のインテリアスタイルの種別と関連付けられていてもよい。
【0106】
抽出部212は、選択部114に選択された間取りデータ121に合わせて、特定部211で特定されたインテリアスタイルの種別と対応する外装データ223を抽出する。
【0107】
提供部115は、選択部114に選択された間取りデータ121とともに、抽出部212に抽出された外装データ223を含むデータを提供する。
【0108】
〈間取りの提案〉
図23に示すフローチャートを用いて、変形例2に係る間取りの提案を説明する。図23に示すフローチャートにおいて、図19を用いて上述した処理と異なる処理には、符号に下線を付して説明する。
【0109】
特定部211によりインテリアスタイルの種別が特定され(S33)、選択部114により間取りデータが選択されると(S34)、抽出部212は、ステップS33で特定されたインテリアスタイルの種別に適合し、ステップS34で選択された間取りデータ121と対応する外装データ223を抽出する(S41)。
【0110】
提供部115は、ステップS34で選択された間取りデータ121及びステップS41で抽出された外装データ223を含む画像データを生成して施主20に住宅の間取り及び外装を提案する(S42)。
【0111】
なお、図22及び図23を用いて上述した例では、間取りデータ121と外装データ223とは別々のデータとするが、間取りデータ121に、外装データ223を含む構成であってもよい。このような構成の場合、抽出部212で外装データ223を抽出することなく、選択部114によって間取りデータ121を選択するのみで、施主20に、間取りとともに外装を提案することができる。
【0112】
このように、変形例2に係る間取り提案装置1Bでは、間取りの提案をする際に、施主20の好みのインテリアスタイルに応じて選択された外装に関するを合わせて提供することができる。これにより、変形例2に係る間取り提案装置1Bでは、施主20に、提供する間取りの住宅をイメージしやすくさせることができる。
【0113】
[変形例3]
変形例3に係る間取り提案装置について説明する。なお、変形例3に係る間取り提案装置の構成は、図2を用いて上述した間取り提案装置1と同一であるため、図2を参照して説明する。変形例3に係る間取り提案装置1は、施主20により、間取りを提案後に間取りの再提案が希望された場合、間取りを再提案するものである。例えば、実際は50問の設問に回答することで施主20の要望を正確に反映した間取りを提案できる場合であっても、50問の設問は多いと感じることもある。仮に、10問の設問への回答を利用した場合であっても、正確でないとしても施主20の要望をある程度の範囲で反映した間取りを提案することはできる場合もある。したがって、変形例3に係る間取り提案装置1では、始めに、施主20から少ない数の設問に対して得られた回答を利用して、間取りを提案する。そして、施主20から、間取りの再提案が希望された場合、過去に得られた回答と新たな回答を合わせて利用し、間取りを再提案する。
【0114】
具体的には、取得部112は、施主20から入力部13を介して入力されたリクエストに応じて、新たな複数の設問を提供する。新たな設問は、設問データ125に含まれる設問のうち、過去に提供していないものである。また、取得部112は、施主20から入力部13を介して入力された、各新たな設問に対する新たな回答を取得する。取得部112は、新たに取得した回答も取得データ126に追加する。ここで、取得部112は、回答に回答を取得した日時を特定する情報を関連付けて取得データ126に記憶することで、取得した回答の時系列を特定することができる。
【0115】
演算部113は、取得部112が、新たな回答を取得すると、過去に取得した回答と、新たな回答とを用いて、各条件について、新たな重視度得点を求める。ここで、演算部113は、過去に取得した回答よりも、新たな回答について優先する重みをつけて、新たな重視度得点を求めてもよい。
【0116】
選択部114は、演算部113で新たに求められた結果を用いて、再び、間取りを選択する。
【0117】
〈間取りの提案〉
図24に示すフローチャートを用いて、変形例3に係る間取りの提案を説明する。図24に示すフローチャートにおいて、図12を用いて上述した処理と異なる処理には、符号に下線を付して説明する。
【0118】
変形例3に係る間取り提案装置1では、提供部115は、ステップS21で設問を提供する際、記憶部12で記憶する設問データ125の設問を全て提供するのではなく、設問データ125の設問のうち、一部を提供する。
【0119】
提供部115により、ステップS27において間取りを提案した後、施主20により入力部13を介して、間取りの再提案を希望する操作信号が入力されると(S51でYES)、取得部112は、記憶部12に記憶される設問データ125を読み出し、出力部14に表示画面Wを表示し、施主20に新たな設問を提供する(S52)。ここで提供部115が提供する設問は、設問データ125に含まれる設問のうち、ステップS21で提供していない設問である。
【0120】
取得部112は、入力部13を介して施主20からステップS52で提供した設問に対して入力された回答を取得する(S53)。取得部112は、ここで取得した回答を取得データ126に追加する。
【0121】
演算部113は、ステップS53で回答を取得すると、重視度得点を求める(S54)。ここでは、演算部113は、ステップS22で取得した回答と、ステップS53で取得した回答とを用いて、重視度得点を算出する。このとき、演算部113は、特定の回答について、重み付けをして重視度得点を算出してもよい。例えば、演算部113は、ステップS22で取得した回答よりも、ステップS53で取得した回答の重みを重くする重み値を用いて、重視度得点を算出してもよい。これは、例えば、新たに取得した回答の影響をより大きくして間取りの提案結果を示すことで、提案結果に対するユーザの納得感を高めることができるためである。
【0122】
選択部114は、ステップS54で求められた新たな重視度得点を用いて、施主20が暮らしにおいて重視する条件を再選択する(S55)。
【0123】
演算部113は、ステップS55で重視する条件が再選択されると、各条件の目標値得点を求める(S56)。
【0124】
選択部114は、ステップS56で新たに求められた目標値得点を用いて、施主20の要求を満たす度合いの高い間取りを選択する(S57)。
【0125】
提供部115は、ステップS57で選択された間取りを含む画面データを生成して施主に住宅の間取りを提案する(S58)。
【0126】
その後、提供していない設問がある限り、間取りの再提案が希望されると(S59でYES)、ステップS52の処理に戻り、ステップS52~S58の処理を繰り返す。
【0127】
なお、この場合においても、図19を用いて上述したように、第2の設問を提供し、施主20の好みのインテリアスタイルに応じて間取りに関するデータを提案してもよい。また、図23を用いて上述したように、施主20の好みのスタイルに応じて外装に関するデータを提案してもよい。
【0128】
このように、変形例3に係る間取り提案装置1では、間取りの提案をする際に、始めから多数の設問に回答する必要がなく、施主20の希望に応じて設問の数を増やすことができる。これにより、変形例3に係る間取り提案装置1では、実質的に施主20に、設問に要する時間を選択させることも可能となり、設問により生じる負担を軽減することができる。
【0129】
なお、第2の設問は、初回の設問の直後に提示する必要はなく、一定期間の後(例えば、数日後等)に提示してもよい。これにより、施主20の考えの一部が変化した場合にも、最初から同一の設問に対する回答を繰り返すことを必要とせずに信頼性の高い提案をすることが可能となる。
【0130】
[変形例4]
図25を用いて、変形例4に係る間取り提案装置について説明する。なお、変形例4に係る間取り提案装置の構成は、図16を用いて上述した間取り提案装置1Aと同一であるため、図16を参照して説明する。変形例4に係る間取り提案装置1Aは、間取りを提案する際、ランキング順で複数の間取りを提案するものである。また、施主20により、ある間取りの特徴が気に入ったものとして登録されると、その特徴を有する間取りが高くランク付けされて再提案される。
【0131】
具体的には、選択部114は、施主20が求める条件に関する充足度の順で複数の間取りを選択する。提供部115は、選択部114で定められた順序で間取りを提供することができる。したがって、提供部115は、施主20にとって見やすい順序で間取りを提供することができる。
【0132】
また、選択部114は、施主20により選択された特徴を優先して変更した順序で、間取りを選択してもよい。例えば、提供部115が間取りとともに提供した付加データについて施主20が『お気に入り』の登録がされると、演算部113は、この付加データと関連付けられる特徴を備える間取りを優先するスコアを演算する。具体的には、演算部113は、選択された特徴の特徴スコアを合計し、求めた合計のスコアの高い順で間取りを提案する。
【0133】
〈間取りの提案〉
図25に示すフローチャートを用いて、変形例4に係る間取りの提案を説明する。図25に示すフローチャートにおいて、図12を用いて上述した処理と異なる処理には、符号に下線を付して説明する。
【0134】
選択部114は、ステップS25で求められた目標値得点を用いて、施主20の要求を満たす度合いの高い、複数の住宅を間取りデータ121から選択する(S61)。図14の例を用いて説明すると、選択部114は、得られた値dmのうち、最も小さい値と関連付けられる間取りID「x4」の間取りだけでなく、値の小さい所定数の間取りを選択する。例えば、3つの間取りを選択する場合、間取りID「x4」の間取りの他、「x1」、「x6」の間取りも選択する。
【0135】
提供部115は、ステップS61で選択された複数の住宅の間取りを、ランキング形式で提案する(S62)。図14の例では、間取りID「x1」と「x6」の値dは、同一であるため、「x1」と「x6」の間取りはどちらが先となっても良いが、提供部115は、「x4」の間取りの順位がトップに配置され、続いて、「x1」と「x6」の間取りが配置されるようなランキング形式で表示する画面データを用いて提案する。
【0136】
例えば、いずれかの間取りと共に提供された付加データが施主20の好む『お気に入り』として登録された場合(S63でYES)、演算部113は、その付加データと関連付けられる特徴に応じて新たなランク付けするためのスコアを算出する(S64)。具体的には、間取りID毎に、『お気に入り』として登録された付加データと関連付けられる特徴と関連付けられる充足度のみを合計した値をスコアとして求め、各スコアの順でランク付けする。
【0137】
図6に示す例において、仮に、間取りID「x1」、「x4」及び「x6」が選択されており、『お気に入り』として、特徴ID「y16」で識別される「リビングが広い」に関する特徴が登録された場合、この特徴に関連付けられる特徴スコア(図4)の順で新たにランキングされる。
【0138】
具体的には、演算部113が、間取り毎に、『お気に入り』として登録された特徴の特徴スコアの和を更新後のスコアとして求める(S64)。
【0139】
選択部114は、ステップS64で求められたスコアの順で、回答者のお気に入りの度合いが高い住宅としてランキングを定め、複数の住宅を選択する(S65)。ここで、ステップS64で求められたスコアの合計が同一の間取りが複数ある場合、選択部114は、施主20が求める条件に関する充足度の順にランキングの順位が決定される。
【0140】
例えば、図5における特徴ID「y16」の「リビングが広い」特徴と、特徴ID「y18」の「リビングと隣接空間を接続して大空間を作れる」の特徴が「お気に入り」登録された場合、特徴スコアの合計値であるスコアの最大となる間取りID「x2」の間取り(スコア:7)が1位となる。また、間取りID「x1」、「x7」、「x9」の間取りについて求めたスコアは、全て「6」で同一であるため、これらの中で施主20が求める条件に関する充足度の大きい順に2位、3位、4位として新たなランキングを決定する。このように、ランキングの上位に施主20に選択された「リビングが広い」特徴を持つ間取りを表示することで、具体的な間取り特徴に対する施主20の希望をランキングに反映させることができる。
【0141】
提供部115は、ステップS64でされた新たなランキング順で住宅の間取りを再提案する(S65)。
【0142】
その後、お気に入りの変更が生じた場合(S66でYES)、ステップS64の処理に戻り、更新されたお気に入りに関する情報を利用してステップS64~S66の処理を繰り返す。なお、『お気に入り』の更新は、新たにと特徴をお気に入りとして登録する他、既にお気に入りとして登録される特徴をお気に入りの対象から削除する場合もある。
【0143】
なお、この場合においても、図19を用いて上述したように、第2の設問を提供し、施主20の好みのインテリアスタイルに応じて間取りに関するデータを提案してもよい。また、図23を用いて上述したように、施主20の好みのスタイルに応じて外装に関するデータを提案してもよい。
【0144】
このように、変形例4に係る間取り提案装置1では、間取りの提案をする際に、施主20の気に入る特徴に応じて間取りの配列を変更することができる。これにより、変形例4に係る間取り提案装置1では、施主20の好みの暮らしの軽重に応じた配列で間取りを提供することができる。また、施主20は、間取りとともに提示される付加データにより、間取りの各部位の特徴を学びながら気に入った特徴を持つ間取り、かつ、自分の求める暮らし条件に合った間取りが提案されることになり、結果として提案された間取りの納得感が高まる。
【0145】
[変形例5]
図26乃至図27Bを用いて、変形例5に係る間取り提案装置について説明する。なお、変形例5に係る間取り提案装置の構成は、図12を用いて上述した間取り提案装置1と同一であるため、図12を参照して説明する。変形例5に係る間取り提案装置1は、施主20に間取りを提案する際、間取りのアレンジ提案や、間取りのおすすめポイント等の説明文を説明するものである。したがって、変形例5に係る間取り提案装置1で利用する間取りデータ121は、付加データとして、間取りの一部に、条件ID及び特徴IDと関連付けられる説明文を複数含む。
【0146】
また、提供部115は、取得データ126に含まれる施主20の回答を利用して、付加データであるアレンジ提案やおすすめポイントの説明文等を間取りと合わせて提案する。具体的には、提供部115は、演算部113によって求められた各条件についての重視度得点を利用し、得られた重視度得点が高い条件と関連付けられる説明文を提供する。
【0147】
〈アレンジ空間の提案〉
図26は、ある部屋を「書斎」、「子供部屋」、「趣味部屋」にアレンジ可能とする間取りを提案する表示画面W4の一例である。この表示画面W4では、アレンジされた部屋のイメージ画像b1~b3をそれぞれ含む。図26に示す例では、施主20から得られた取得データ126から、施主20が「書斎」としてアレンジする可能性が高いと判定され、「書斎」にアレンジした場合のイメージ画像b1が最も大きく表示される例である。なお、施主20にお勧めする情報のみを表示してもよく、例えば、「子供部屋」及び「趣味部屋」についてのイメージ画像b2,b3を含まない表示画面W4を提案するものであってもよい。これにより、施主20は、既存の間取りを自身の好みの空間に変更することを容易に把握することができる。
【0148】
〈おすすめポイントの提案〉
図27A及び図27Bは、同一の間取りをそれぞれ異なる施主20に提案する表示画面W51,W52の一例である。キッチンが広いことを特徴とする間取りであったとしても、施主の重視する条件に応じて、その特徴を表す説明文を異なるものとする。例えば、図27Aに示す表示画面W51は、施主20が、「開放感」を重視する場合、「広いキッチンで気持ちよく料理できます」という説明文を提案データに含める。一方、図25Bに示すように、施主20が「家族の集い」を重視する場合、「広いキッチンで家族と一緒に料理を楽しむことができます」という説明文を含める。
【0149】
ここで、間取りデータ121において、間取りには複数のおすすめポイントがあるが、図27A及び図27Bに示したように、これら各おすすめポイントについて、関連する条件と関連付けて説明文を記憶する。提供部115は、施主20の求める条件に適合する説明文を提供する。具体的には、間取りデータ121において、条件ID「z1」と関連付けられるおすすめポイントである「説明文1」と、条件ID「z2」と関連付けられるおすすめポイントである「説明文2」とがあるとする。そして、施主20が条件ID「z2」を重視する場合、提供部115は、「説明文2」を提供する。
【0150】
ここで、間取りに複数のおすすめポイントが関連付けられる。そして、提供部115は、施主20の重視する条件と関連付けられる全てのおすすめポイントを提供する必要はなく、所定数のおすすめポイントを提供すればよい。例えば、提供部115は、各間取りについて、図13で示した充足度が高く、かつ、施主20が重視する条件と関連付けられる所定数のおすすめポイントを提供すればよい。
【0151】
このように、変形例5に係る間取り提案装置1では、間取りデータ121において異なる条件と関連付けられる複数の説明文を含め、取得データ126から求められた施主20の重視する条件に応じて選択された説明文を含めることができる。これにより、施主20は、提案された間取りが自身に適したものであるか否かを判断しやすくなる。
【0152】
《他の変形例》
(1)間取りの選択に重視度得点を使用する例
式(2)を用いて上述した例では、値dの算出に、目標値得点anと充足度fmnのみを利用したが、加えて、重視度得点inを用いることもできる。具体的には、選択部114は、各間取りについて、下式(3)を用いて得られるdmを比較して、最も小さくなる値の間取りを選択する。
【0153】
【数2】

m:間取りに付された番号
n:選択された条件に付された番号
n: 重視度得点
n: 目標値得点
mn: 充足度
【0154】
(2)間取りの選択に重みを使用する例
また、値dの算出に、所定の重みwを用いることもできる。具体的には、選択部114は、各間取りについて、下式(4)を用いて得られるdmを比較して、最も小さくなる値の間取りを選択する。なお、重みwは、例えば、予め任意に設定された定数である。
【0155】
【数3】

m:間取りに付された番号
n:選択された条件に付された番号
n: 重視度得点
n: 目標値得点
mn: 充足度
w: 重み
【0156】
(3)目標値得点
上述の例では、第1の条件と、第2の条件とを利用し、第1の条件については目標値得点を求め、第2の条件については、固定の値を目標値得点とする例で説明した。しかしながら、これに限定せず、全てを第1の条件とし、目標値得点として固定の値が設定されないものとしてもよい。
【0157】
(4)予測式
上述の例では、図11Aに示すプロットのような予測式を生成するためのデータは、プランニング者や施工を請け負う施工者が入力した値としたがこれに限定されない。例えば、(a)間取り提案装置において、過去に施主に提案した間取りに対し、その間取りに対する施主の満足度として得られたスコア等に基づいて求められた値を用いてもよい。また、(b)間取り提案装置において、過去に施主に提案した間取りに対し、その間取りに対するアクセス回数やアクセス時間等の履歴から求められた値を用いてもよい。
【0158】
また、上述の例では、予測式は、プロットされた値から得られた回帰式としたが、これは「線形回帰」に限定されず、ロジスティック回帰、サポートベクターマシン、決定木又はニューラルネットワーク等の他の手法を用いて同様である。
【0159】
《実施形態の概要》
(1)本開示の間取り提案装置は、複数の設問を提供し、回答者から、各設問に対する回答を取得する取得部と、設問、回答、ユーザが暮らしに求める条件の識別情報、及び、設問に対して回答を選択したユーザが当該条件を重視する程度の指標である重視度を複数関連付ける重視度データを用いて、各条件について、取得部が取得した回答から、回答者が条件を重視する程度である重視度得点を求める演算部と、演算部で求められた結果と、住宅の間取りを識別する間取り識別情報及び条件の識別情報と関連付けられ、各間取り識別情報で識別される間取りの住宅が当該条件を充足する程度を示す値である充足度とを用いて、複数の住宅の間取りから回答者の要求を満たす度合いの高い間取りを回答者への提案対象として選択する選択部とを含む。
【0160】
これにより、複数の間取りから、回答者の要望の軽重に応じた間取りを提案することができる。
【0161】
(2)(1)の間取り提案装置において、演算部は、条件毎に、設問と回答の組み合わせで特定される複数の重視度の和を、重視度得点として求め、選択部は、重視度得点が所定の閾値以上である条件を、回答者が暮らしにおいて重視する条件として選択し、選択した条件について回答者の要求の度合いを満たす間取りを選択してもよい。
【0162】
これにより、回答者が重視する条件に応じて選択された間取りの中から間取りを提案することができる。
【0163】
(3)(2)の間取り提案装置において、前記演算部は、前記設問と、前記回答と、前記条件の識別情報と、前記設問に対して前記回答を選択したユーザが求める当該条件の充足の程度を表す指標である目標値とを複数関連付ける目標値データを用いて、前記条件毎に、前記回答者が当該条件を求める度合いである目標値得点を求め、前記選択部は、前記目標値得点を用いて、提案対象の間取りを選択してもよい。
【0164】
これにより、回答者が暮らしにおいて目標とする度合いに近い間取りを提案することができる。
【0165】
(4)(3)の間取り提案装置において、演算部は、条件毎に、設問と回答の組み合わせで特定される複数の目標値の和を、目標値得点として求めてもよい。
【0166】
これにより、回答者が暮らしに求める条件の度合いを各回答から求めやすくなり、回答者に適した間取りを提案することができる。
【0167】
(5)(4)の間取り提案装置において、複数の前記条件は、第1の条件と、第2の条件とに区別され、前記演算部は、前記第2の条件については、前記目標値得点として予め設定される値を用いてもよい。
【0168】
これにより、条件のカテゴリに応じて目標値得点の求め方を設定することが可能となり、目標値得点の精度を向上させ、回答者に適した間取りを提案することができる。
【0169】
(6)(5)の間取り提案装置は、選択部は、前記各条件の目標値得点と、充足度との差を用いて、提案対象の間取りを選択してもよい。
【0170】
これにより、回答者に適した間取りが選択されるため、回答者に適した間取りを提案することができる。
【0171】
(7)(6)の間取り提案装置は、選択部は、前記条件毎の目標値得点と、充足度との差に、当該条件の前記重視度得点を乗じた値を用いて、提案対象の間取りを選択してもよい。
【0172】
これにより、回答者に適した間取りが選択されるため、回答者に適した間取りを提案することができる。
【0173】
(8)(1)の間取り提案装置は、間取り識別情報と、住宅の間取りの特徴を表す特徴識別情報と、当該間取り識別情報で識別される間取りの住宅が、前記特徴識別情報で表される特徴を充足する程度を示す値である特徴スコアとを関連付ける特徴スコアデータと、特徴識別情報と、前記条件の識別情報と、前記特徴識別情報で識別される間取りの特徴が、前記条件の識別情報で識別される条件に与える影響により設定された係数とを関連付ける係数データとから、各間取り識別情報について、条件毎に、特徴スコアと係数との積和を利用して前記充足度を求め、当該充足度を、前記間取り識別情報及び前記条件の識別情報と関連付けて、前記充足度データを生成する生成部をさらに備えてもよい。
【0174】
これにより、特徴スコアと係数とから、充足度データを生成し、間取りの選択に利用し、回答者に適した間取りを提案することができる。
【0175】
(9)(8)の間取り提案装置は、生成部は、前記積和により得られた値を、所定の予測式を用いて調整して得られた値を前記充足度としてもよい。
【0176】
これにより、予測式を利用して調整して生成された充足度データを利用することで、より正確に回答者に適した間取りを提案することができる。
【0177】
(10)(1)の間取り提案装置は、複数の住宅の間取りは、内装の様式の種別と当該内装の様式の種別に関する付加データと予め関連付けられ、取得部は、第2の設問を提供し、回答者から、回答とともに、第2の設問に対する回答を取得し、第2の設問に対する回答と、ユーザが住宅に求める内装の様式の種別とを関連付ける内装分類データを用いて、取得部が取得した第2の設問に対する回答から、回答者に提示する内装の様式の種別を特定する特定部をさらに備え、選択部は、間取りを選択する際、回答者の要求を満たす度合いが高く、かつ、特定部で特定された種別と適合する間取り及び付加データを提案対象として選択してもよい。
【0178】
これにより、回答者の好みの内装に関する付加データとともに間取りを提案することができる。
【0179】
(11)(10)の間取り提案装置は、内装の様式の種別に適合する住宅の外装の種別が予め定められ、間取りと、当該間取りの住宅の複数の外装に関するデータと、各外装の様式の種別とが関連付けられる外装データから、特定部で特定された内装の様式の種別と対応する外装に関するデータを抽出する抽出部をさらに備えてもよい。
【0180】
これにより、回答者の好みの外装に関する情報とともに間取りを提案することができる。
【0181】
(12)(1)の間取り提案装置は、取得部は、新たな複数の設問を提供し、回答者から、各新たな設問に対する新たな回答を取得し、演算部は、取得部が、新たな回答を取得すると、過去に取得した回答と、新たな回答とを用いて、各条件について、新たな重視度得点を求め、選択部は、演算部で新たに求められた結果を用いて、再度、間取りを選択してもよい。
【0182】
これにより、設問により回答者に生じる負担を軽減することができる。
【0183】
(13)(12)の間取り提案装置は、演算部は、過去に取得した回答よりも、新たな回答について優先する重みをつけて、新たな重視度得点を求めてもよい。
【0184】
これにより、信頼性の高い間取りの提案をすることができる。
【0185】
(14)(1)の間取り提案装置は、選択部は、複数の間取りを充足度の順で選択してもよい。
【0186】
これにより、複数の間取りがランキング形式で選択されるため、回答者は適する間取りを回答者は選択しやすくなる。
【0187】
(15)(14)の間取り提案装置は、選択部は、回答者により選択された特徴を優先して順位を変更してもよい。
【0188】
これにより、回答者の意向が反映されたランキング形式で選択されるため、回答者は適する間取りを判断しやすくなる。
【0189】
(16)(1)の間取り提案装置は、選択部で選択された間取りに対し、演算部で求められた結果に応じて、間取りの一部について関連付けられる情報を提供する提供部をさらに備えてもよい。
【0190】
これにより、回答者に適した情報とともに間取りが提案され、回答者は適する間取りを判断しやすくなる。
【0191】
(17)本開示の間取り提案方法は、複数の設問を提供し、回答者から、各設問に対する回答を取得する取得ステップと、前記設問と、前記回答と、ユーザが暮らしに求める条件の識別情報と、前記設問に対して前記回答を選択したユーザが当該条件を重視する程度の指標である重視度とを複数関連付ける重視度データを用いて、各条件について、前記回答者から取得した回答から、前記回答者が前記条件を重視する程度である重視度得点を求める演算ステップと、演算ステップで求められた結果と、住宅の間取りを識別する間取り識別情報及び条件の識別情報と関連付けられ、各間取り識別情報で識別される間取りの住宅が当該条件を充足する程度を示す値である充足度とを用いて、複数の前記住宅の間取りから、前記回答者の要求を満たす度合いの高い間取りを前記回答者への提案対象として選択する選択ステップとを含む。
【0192】
これにより、複数の間取りから、回答者の要望の軽重に応じた間取りを提案することができる。
【0193】
(18)本開示のプログラムは、コンピュータに、(17)の方法を実現させることができる。
【0194】
これにより、複数の間取りから、回答者の要望の軽重に応じた間取りを提案することができる。
【0195】
本開示の全請求項に記載の間取り提案装置及び間取り提案方法は、ハードウェア資源、例えば、プロセッサ、メモリ、及びプログラムとの協働などによって、実現される。
【産業上の利用可能性】
【0196】
本開示の間取り提案装置、間取り提案方法及びプログラムは、住宅を建築する場合における住宅の間取りの提案に有用である。
【符号の説明】
【0197】
1 間取り提案装置
11 制御部
111 生成部
112 取得部
113 演算部
114 選択部
115 提供部
12 記憶部
121 間取りデータ
122 特徴スコアデータ
123 係数データ
124 充足度データ
125 設問データ
126 取得データ
127 重視度データ
128 目標値データ
13 入力部
14 出力部
15 通信I/F
P 間取り提案プログラム
図1
図2
図3A
図3B
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
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図21B
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図27A
図27B