(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】異常放電の検出回路および検出方法
(51)【国際特許分類】
H05H 1/46 20060101AFI20240913BHJP
H05H 1/00 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/3065 20060101ALI20240913BHJP
H01L 21/205 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H05H1/46 R
H05H1/00 A
H01L21/302 101B
H01L21/205
(21)【出願番号】P 2021022913
(22)【出願日】2021-02-16
【審査請求日】2023-12-15
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002745
【氏名又は名称】弁理士法人河崎特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】白水 博
【審査官】藤田 健
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-048882(JP,A)
【文献】特開2011-052279(JP,A)
【文献】特開2017-152341(JP,A)
【文献】特開平11-323529(JP,A)
【文献】米国特許第04006404(US,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05H 1/00
H01J 37/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プラズマの放電により誘起される電荷が注入される電極に接続される入力端子と、
互いに並列に前記入力端子と接続可能な複数のチャージアンプと、
前記入力端子と前記複数のチャージアンプのそれぞれとの間に設けられ、前記入力端子の接続先を、前記複数のチャージアンプのそれぞれの入力部間で切り替えるスイッチと、を備える、異常放電の検出回路。
【請求項2】
前記複数のチャージアンプのそれぞれの出力部に接続され、前記複数のチャージアンプの出力部から一つを選択して出力する選択回路をさらに備える、請求項1に記載の検出回路。
【請求項3】
前記選択回路により選択された前記出力部の出力が入力されるアナログ-デジタル変換器(ADC)をさらに備える、請求項2に記載の検出回路。
【請求項4】
前記選択回路は、選択されている前記チャージアンプの前記入力部が前記スイッチを介して前記入力端子と接続していない期間に、前記出力部の出力をアナログ-デジタル変換器(ADC)に入力する、請求項3に記載の検出回路。
【請求項5】
前記複数のチャージアンプのそれぞれは、増幅回路と、電荷蓄積用のキャパシタと、を備え、
前記キャパシタを放電するための放電回路をさらに備える、請求項1~4のいずれか1項に記載の検出回路。
【請求項6】
前記放電回路は、前記入力部が前記スイッチを介して前記入力端子と接続していない期間に、前記キャパシタに蓄積された電荷を放電する、請求項5に記載の検出回路。
【請求項7】
前記キャパシタの一対の端子の一方が前記増幅回路の反転入力端子と接続され、
前記キャパシタの一対の端子の他方が前記増幅回路の出力端子と接続され、
前記増幅回路の前記反転入力端子が、前記スイッチを介して前記入力端子と接続している、請求項5または6に記載の検出回路。
【請求項8】
前記増幅回路の非反転入力端子には、一定の電圧が印加されている、請求項7に記載の検出回路。
【請求項9】
プラズマの放電により誘起される電荷が注入される電極に接続される入力端子と、互いに並列に前記入力端子と接続可能な複数のチャージアンプと、を用いる異常放電の検出方法であって、
前記複数のチャージアンプのそれぞれは、入力部および出力部を備え、
前記複数のチャージアンプの少なくとも1つに電荷を蓄積し、蓄積された電荷に応じた信号を出力させる測定工程と、
前記出力された信号に基づき、異常放電を判定する工程と、を備え、
前記測定工程は、
前記複数のチャージアンプの一つである第1のチャージアンプの前記入力部を、所定の第1期間、前記入力端子に接続して、前記第1のチャージアンプに電荷を蓄積する工程と、
前記第1期間の終了時または終了後に、前記複数のチャージアンプの一つであって前記第1のチャージアンプとは別の第2のチャージアンプの前記入力部を前記入力端子に接続して、所定の第2期間、前記第2のチャージアンプに電荷を蓄積する工程と、を含む、検出方法。
【請求項10】
前記第2のチャージアンプに電荷を蓄積する工程は、前記第1期間の終了に同期して行われる、請求項9に記載の検出方法。
【請求項11】
前記測定工程において、前記複数のチャージアンプのそれぞれの入力部は、
前記複数のチャージアンプ毎に対応する複数のスイッチの一つを介して前記入力端子と接続されており、
前記複数のスイッチは、前記第1期間において前記第1のチャージアンプの前記入力部が前記入力端子と接続され、且つ、前記第2期間において前記第2のチャージアンプの前記入力部が前記入力端子と接続されるように制御される、請求項9または10に記載の検出方法。
【請求項12】
前記第1期間中に、前記第2のチャージアンプの前記出力部がアナログ-デジタル変換器(ADC)と接続され、
前記第2期間中に、前記第1のチャージアンプの前記出力部が前記アナログ-デジタル変換器(ADC)と接続される、請求項9~11のいずれか1項に記載の検出方法。
【請求項13】
前記複数のチャージアンプのそれぞれは、前記チャージアンプの前記入力部と前記出力部との間を接続するキャパシタを備え、
前記第1のチャージアンプが備える前記キャパシタの放電は、前記第2期間中に、前記第1のチャージアンプに蓄積された電荷に応じた信号が前記アナログ-デジタル変換器に出力された後、前記第1のチャージアンプの前記出力部と前記アナログ-デジタル変換器との接続を切断した状態で行われ、
前記第2のチャージアンプが備える前記キャパシタの放電は、前記第1期間中に、前記第2のチャージアンプに蓄積された電荷に応じた信号が前記アナログ-デジタル変換器に出力された後、前記第2のチャージアンプの前記出力部と前記アナログ-デジタル変換器との接続を切断した状態で行われる、請求項12に記載の検出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマ処理装置において、異常放電を検知するための検出回路および検出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子部品や回路基板を製造する様々な工程において、処理室内でプラズマを発生させて、処理対象物の表面をエッチングするプラズマ処理装置が用いられている。処理室内でプラズマ放電が正常に起こっているかどうかを判断するために、処理室の側壁に電位検出用のプローブ電極を設けた構成がある。プローブ電極は、プラズマ放電の変化に応じて誘発される電位を検出する。
【0003】
例えば、特許文献1では、プラズマに対向する面の少なくとも一部に開口部が設けられた導電性支持部材と、導電性支持部材の開口部に設置された誘電体部材とを有し、誘電体部材の片側表面にプローブ電極を設けてなる窓型プローブが提案されている。
【0004】
プローブ電極の電位は、通常、アナログ-デジタル変換器(ADC)によりデジタル値に変換され、デジタル値の時系列データを数学的処理することにより、異常放電が発生したか否かが判定される。例えば、検出された電位が閾値を超える場合に、処理室内における異常放電として検出される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
プローブ電極の電位には、プラズマ発生に用いられるRF電源等に起因するノイズが含まれ得る。このため、プローブ電極からの電圧信号をアナログ-デジタル変換器(ADC)に入力する前に、例えばローパスフィルタを用いて、電圧信号からノイズ成分を除去しておく必要がある。特に、RF電源の周波数がアナログ-デジタル変換器(ADC)のサンプリング周波数よりも高い場合、ノイズ除去が不完全であると、エイリアシングによる疑似波形が生じて、異常放電の検出精度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一局面は、プラズマの放電により誘起される電荷が注入される電極に接続される入力端子と、互いに並列に前記入力端子と接続可能な複数のチャージアンプと、前記入力端子と前記複数のチャージアンプのそれぞれとの間に設けられ、前記入力端子の接続先を、前記複数のチャージアンプのそれぞれの入力部間で切り替えるスイッチと、を備える、異常放電の検出回路に関する。
【0008】
本発明の他の一局面は、プラズマの放電により誘起される電荷が注入される電極に接続される入力端子と、互いに並列に前記入力端子と接続可能な複数のチャージアンプと、を用いる異常放電の検出方法であって、前記複数のチャージアンプのそれぞれは、入力部および出力部を備え、前記複数のチャージアンプの少なくとも1つに電荷を蓄積し、前記複数のチャージアンプに蓄積された電荷に応じた信号を出力させる測定工程と、前記出力された信号に基づき、異常放電を判定する工程と、を備え、前記測定工程は、前記複数のチャージアンプの一つである第1のチャージアンプの前記入力部を、所定の第1期間、前記入力端子に接続して、前記第1のチャージアンプに電荷を蓄積する工程と、前記第1期間の終了時または終了後に、前記複数のチャージアンプの一つであって前記第1のチャージアンプとは別の第2のチャージアンプの前記入力部を前記入力端子に接続して、所定の第2期間、前記第2のチャージアンプに電荷を蓄積する工程と、を含む、検出方法に関する。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、RF電源等に起因するノイズの影響を受けず、異常放電を高精度に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の実施形態に係る検出回路および検出方法で用いられるプラズマ処理装置の一例の概略構造を断面で示す概念図である。
【
図2】本発明の実施形態に係る検出回路および検出方法で用いられる放電検出センサの一例を断面で示す概念図である。
【
図3】本発明の実施形態に係る検出回路の構成を示す回路図である。
【
図4】本発明の実施形態に係る検出回路の動作を説明する図である。
【
図5】
図3の検出回路を用いて、異常放電を検出する方法を説明するタイミングチャートである
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の一実施形態に係る異常放電の検出回路は、プラズマの放電により誘起される電荷が注入される電極(以降において「プローブ電極」と称する場合がある)に接続される入力端子と、互いに並列に入力端子と接続可能な複数のチャージアンプと、入力端子と複数のチャージアンプのそれぞれとの間に設けられたスイッチと、を備える。スイッチは、入力端子の接続先を、複数のチャージアンプのそれぞれの入力部間で所定時間毎に切り替える。接続先の切り替えは、例えば、予め期待された順序に従って、所定時間ごとに行われ得る。
【0012】
チャージアンプは、プラズマの放電により誘起され、プローブ電極に注入された電荷を蓄積し、電荷の蓄積量に応じた電圧を出力部から出力する。より具体的に、チャージアンプは、プローブ電極から注入された電荷の積分量に対して線形で増減する電圧(以降において「積分電圧」と称する場合がある)を出力する。電圧信号にRF電源等に起因する高周波ノイズが含まれる場合、高周波ノイズの時間平均は基本的にゼロである。よって、積分期間が高周波ノイズの周期よりも十分長ければ、積分電圧に高周波ノイズが重畳されることはない。よって、別途ノイズフィルタを設けなくても、ノイズ成分が消去された電圧がチャージアンプの出力から得られる。よって、一定期間ごとに、積分電圧を取得(サンプリング)し、積分電圧の時間変化を分析することで、異常放電を高い精度で検出することが可能である。
【0013】
積分電圧を一定期間ごとに取得する場合、電圧の積分量を得るために所定の時間が積分期間として必要である。また、積分電圧を取得後、再びプローブ電極の電圧の積分を可能とするために、チャージアンプの出力電圧をリセットする期間も必要である。結果として、積分電圧の取得における間隔が長くなり易く、途中で発生した異常放電を検出できない虞がある。
【0014】
そこで、本実施形態の検出回路は、複数のチャージアンプを設け、それぞれのチャージアンプは、少なくとも一つのチャージアンプが入力端子に接続し、プローブ電極の電圧を時間積分しているとき、他の少なくとも一つのチャージアンプは入力端子と接続せず、積分電圧を取得(サンプリング)可能な状態にあるか、チャージアンプの出力電圧をリセットするように制御される。それぞれのチャージアンプと入力端子との接続および非接続は、スイッチにより切り替えられる。これにより、漏れの無い異常放電の検出が可能である。
【0015】
検出回路は、例えば、複数のチャージアンプのそれぞれの出力部に接続される選択回路をさらに備えて構成され得る。複数のチャージアンプのそれぞれの出力部は、選択回路の入力に接続され、複数のチャージアンプの出力部から一つを選択して出力する。選択回路は、例えば、予め規定された順序に対応して、複数のチャージアンプから一つのチャージアンプを選択し、選択されたチャージアンプの出力を選択回路の出力とするように制御される。選択回路の出力は、例えば、アナログ-デジタル変換器(ADC)に入力される。選択回路は、選択されたチャージアンプの入力部が入力端子と接続していない期間に、選択されたチャージアンプの出力部の出力を、アナログ-デジタル変換器(ADC)に入力する。また、複数のチャージアンプの出力部の対応する1つと一対一に接続される複数のアナログ-デジタル変換器(ADC)を設けることで、この選択回路を設けない構造にしてもよい。
【0016】
アナログ-デジタル変換器(ADC)は、選択回路により選択されたチャージアンプの出力部の出力(積分電圧)をデジタル値に変換する。複数のチャージアンプの積分電圧が、逐次、デジタル値に変換され、デジタル値の時系列データに基づき、異常放電が検出される。例えば、ある積分期間における積分電圧が所定の閾値電圧を超えた(または、閾値電圧未満となった)場合に、異常放電が検出され得る。あるいは、ある積分期間における積分電圧とその直前の積分期間における積分電圧(または、複数の積分期間において平均した積分電圧)とを比較し、差分値が所定値を超えた場合に、異常放電と判定してもよい。
【0017】
また、アナログ-デジタル変換器(ADC)を用いず、チャージアンプの出力部の出力電圧(積分電圧)のアナログ値を直接参照電圧と比較することで、異常放電か否かを判定することも可能である。
【0018】
複数のチャージアンプのそれぞれは、例えば、増幅回路と、電荷蓄積用のキャパシタとを備えて構成される。キャパシタの一対の端子の一方は、増幅回路の入力端子と接続され、キャパシタの一対の端子の他方は、増幅回路の出力端子と接続される。好ましい例では、増幅回路はオペアンプであり、キャパシタの一対の端子の一方は、増幅回路の反転入力端子と接続され、キャパシタの一対の端子が増幅回路の出力端子に接続される。増幅回路の反転入力端子は、スイッチを介して検出回路の入力端子と接続する。
【0019】
増幅回路の非反転入力端子には、一定の電圧が印加されてもよい。この場合、増幅回路は、オペアンプの仮想短絡の効果により、反転入力端子の電圧が非反転入力端子の電圧と同じ電圧になるように動作する。よって、非反転入力端子と電気的に接続するプローブ電極の電圧も、入力端子を介して、非反転入力端子の電圧が維持される。非反転入力端子の電圧は、プラズマ処理装置の筐体の電位(通常、接地電圧)と同じである。結果、プローブ電極の電圧により処理装置内のプラズマの状態が影響されることはなく、安定した測定が可能であり、異常放電を高精度で検出することができる。また、プローブ電極をプラズマ処理装置のチャンバ内壁の任意の箇所に設けることが可能であり、チャンバ内壁の複数箇所にプローブ電極を設けることで、プラズマの放電状態のゆらぎを立体的に測定することも可能である。
【0020】
電荷蓄積用のキャパシタには、キャパシタに蓄積された電荷を放電するための放電回路が設けられる。放電回路は、チャージアンプの入力部がスイッチを介して入力端子と接続していない期間に、キャパシタに蓄積された電荷を放電することで、チャージアンプの出力電圧をリセットする。放電回路は、例えば、両端がキャパシタの両端子にそれぞれ接続するスイッチであり、スイッチをオンにすることで、キャパシタの両端子間が短絡され、キャパシタに蓄積された電荷が放電される。しかしながら、放電回路の構成としては、スイッチに限られるものではない。
【0021】
本発明の一実施形態に係る異常放電の検出方法は、プラズマの放電により誘起される電荷が注入される電極に接続される入力端子と、互いに並列に入力端子と接続可能な複数のチャージアンプと、を用いる異常放電の検出方法であって、複数のチャージアンプのそれぞれは、入力部および出力部を備え、複数のチャージアンプの少なくとも1つに電荷を蓄積し、複数のチャージアンプに蓄積された電荷に応じた信号を出力させる測定工程と、出力された信号に基づき、異常放電を判定する工程と、を備える。測定工程は、複数のチャージアンプの一つである第1のチャージアンプの入力部を、所定の第1期間、前記入力端子に接続して、第1のチャージアンプに電荷を蓄積する工程と、第1期間の終了時または終了後に、複数のチャージアンプの一つであって第1のチャージアンプとは別の第2のチャージアンプの入力部を入力端子に接続して、所定の第2期間、第2のチャージアンプに電荷を蓄積する工程と、を含む。第2のチャージアンプに電荷を蓄積する工程は、第1期間の終了に同期して行われることが好ましい。すなわち、第1期間の終了と同時に、第2期間が開始することが好ましい。測定工程の詳細については、後述する。
【0022】
以下に、本実施形態の検出回路および検出方法において異常放電の検出対象であるプラズマ処理装置、ならびに検出回路および検出方法の具体例について、図面を参照して詳細に説明する。
【0023】
(プラズマ処理装置)
プラズマ処理装置は、処理室と、処理室に設けられ、処理対象物が載置される電極部と、電極部に高周波電力を印加する高周波電源部と、を備える。処理室にプラズマ発生用ガスを供給し、電極部に第1の高周波電力を印加すると、処理室内にプラズマが発生する。発生したプラズマは、例えば、電極部に載置された処理対象物の表面のエッチングに用いられ得る。プラズマ処理装置には、異常放電を検出するための検出回路が接続されている。検出回路の出力は、信号解析部と接続している。信号解析部は、検出回路の出力に基づいて異常放電を検出する。
【0024】
図1は、異常放電の検出対象であるプラズマ処理装置100の概略構造を断面で示す概念図である。処理室103aは、水平なベース部101と、蓋部102とにより構成される真空チャンバ103を密閉状態にすることにより形成される。蓋部102は、昇降手段(図示せず)によって昇降自在に配設されている。蓋部102が下降して、ベース部101の上面に当接することにより、真空チャンバ103は密閉状態になる。このとき、蓋部102とベース部101との間にはシール部材104が介在しており、これによって、処理室103aの密閉状態が担保される。処理室103aでは、処理対象物109がプラズマ処理される。ベース部101には開口部101aが設けられており、開口部101aを塞ぐように、絶縁部材106を介して電極部105が嵌め込まれている。電極部105の上面は、絶縁層107で覆われている。絶縁層107の上面には、処理対象物109を位置決めするためのガイド部材108が配置されている。
【0025】
ベース部101の開口部101aの周縁には、貫通孔101bが形成されている。貫通孔101bには、管路111が挿入されており、管路111には、ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114および真空計115が接続されている。ガス供給バルブ113および真空バルブ114には、さらにガス供給部116および真空ポンプ117がそれぞれ接続されている。真空バルブ114を開くとともに真空ポンプ117を稼働させることにより、処理室103a内のガスが排出されて、減圧状態になる。処理室103a内の真空度は真空計115によって測定される。一方、ガス供給バルブ113を開けると、プラズマ発生用ガスが、ガス供給部116から処理室103a内に供給される。ガス供給部116は流量調整機能を内蔵しており、処理室103a内に供給されるプラズマ発生用ガスの流量が調整される。ベントバルブ112を開けると、処理室103a内に大気が供給される。
【0026】
電極部105には、整合器118を介して高周波電源部119が電気的に接続されている。一方、蓋部102は接地部110に接地されている。処理室103a内にプラズマ発生用ガスを供給するとともに高周波電源部119を稼働させると、電極部105と蓋部102との間に高周波電圧が印加される。これにより、処理室103a内にはプラズマが発生する。整合器118は、プラズマを発生させるプラズマ放電回路(図示せず)と高周波電源部119とのインピーダンスを整合させる。ベントバルブ112、ガス供給バルブ113、真空バルブ114、真空計115、ガス供給部116、真空ポンプ117、高周波電源部119は、制御部120内の装置制御部124により制御される。すなわち装置制御部124は、プラズマ処理動作を実行させる通常の動作制御機能を備える。制御部120には、表示部130、入力部140、検出回路200が接続される。表示部130には、後述する信号解析部による異常判定の結果等が示される。入力部140には、プロセスレシピ等が入力される。
【0027】
蓋部102に設けられた開口部102aを覆うように、放電検出センサ160が配置されている。放電検出センサ160は、誘電体部材161およびプローブ電極ユニット162を備える。
【0028】
(放電検出センサ)
図2は、放電検出センサの概略構造の一例を断面で示す概念図である。放電検出センサ160は、支持部材170によって蓋部102の外側(処理室103aとは反対側)に固定されている。誘電体部材161は平板状であって、一方の面は処理室103aに面しており、他方の面はプローブ電極ユニット162を構成するプローブ電極162bに対向している。誘電体部材161の材質は、例えば光学的に透明なガラスである。支持部材170の材質は導電性であれば特に限定されず、例えば金属である。
【0029】
プローブ電極ユニット162は、誘電体部材161側に配置されたプローブ電極162bと、これに対向するように配置されたシールド電極162cと、これらの間に介在するガラス板162aと、で構成されている。プローブ電極162bと誘電体部材161とは、密着するように支持部材170で固定されている。プローブ電極162bは、検出導線162dを介して、検出回路200に接続している。シールド電極162cは、プローブ電極ユニット162を外部から電気的にシールドする。プローブ電極162bおよびシールド電極162cは、例えば、ガラス板162aの表面に、ITO(酸化インジウムスズ)の透明な導電性物質をコーティングすることにより形成される。そのため、放電検出センサ160を介して、外部から処理室103aの内部を視認することができる。
【0030】
処理室103aの内部でプラズマ放電が起こると、プローブ電極162bは、誘電体部材161、および、発生したプラズマPと誘電体部材161との界面に形成されるシース(空間電荷層)Sを介して、プラズマPと電気的に接続される。すなわち、誘電体部材161によって形成されるコンデンサC1と、シースSに相当する容量を備えるコンデンサC2と、プラズマPによる抵抗と、を直列に接続した電気的な回路が形成され、プローブ電極162bにはプラズマPの状態に応じた電位および電荷が誘起される。つまり、プローブ電極162bへ注入される電荷量は、プラズマPの状態を反映するプラズマ電位の変化を表している。一方、シールド電極162cに生じた電荷は、支持部材170を介して接地された蓋部102に逃がされるため、ノイズは低減される。
【0031】
(検出回路)
図3は、検出回路の構成の一例を示す回路図である。検出回路200は、検出導線162dを介してプローブ電極162bと接続される入力端子201と、第1のチャージアンプ211と、第2のチャージアンプ212と、入力端子201と第1のチャージアンプ211との間に設けられたスイッチSW11と、入力端子201と第2のチャージアンプ212との間に設けられたスイッチSW12と、選択回路204と、アナログ-デジタル変換器(ADC)205と、を備える。
【0032】
第1のチャージアンプ211は、増幅回路(オペアンプ)OP1を備え、増幅回路(オペアンプ)OP1の反転入力端子がスイッチSW11の一端と接続している。同様に、第2のチャージアンプ212は、増幅回路(オペアンプ)206bを備え、増幅回路(オペアンプ)OP2の反転入力端子がスイッチSW12の一端と接続している。つまり、第1のチャージアンプ211および第2のチャージアンプ212は、スイッチSW11およびSW12を介して、入力端子201と並列に接続している。増幅回路(オペアンプ)OP1およびOP2のそれぞれの非反転入力端子には、一定の同じ電圧V0が印加される。増幅回路(オペアンプ)OP1およびOP2のそれぞれの出力端子は、選択回路204の入力IN1およびIN2に格別に接続される。選択回路204の出力SELは、アナログ-デジタル変換器(ADC)205の入力端子と接続される。アナログ-デジタル変換器(ADC)205の出力は、信号解析部121に入力される。
【0033】
第1のチャージアンプ211は、増幅回路(オペアンプ)OP1の反転入力端子と出力端子との間を接続するキャパシタC1、および、キャパシタC1の一対の端子間を接続するスイッチSW21をさらに備える。第2のチャージアンプ212は、増幅回路(オペアンプ)OP2の反転入力端子と出力端子との間を接続するキャパシタC2、および、キャパシタC2の一対の端子間を接続するスイッチSW22をさらに備える。
【0034】
スイッチSW11、SW12、SW21、およびSW22のオンオフの制御、選択回路204における出力SELの選択、ならびに、アナログ-デジタル変換器(ADC)205の取り込みタイミングの制御は、信号解析部121により行われ得る。
【0035】
増幅回路(オペアンプ)OP1、OP2の非反転入力端子には、それぞれ、一定の電圧V0が印加されている。これにより、プローブ電極162bの電圧は、仮想短絡の効果により、非反転入力端子の電圧V0に制御される。具体的に、増幅回路(オペアンプ)OP1、OP2は、プラズマの放電によりプローブ電極162bの電圧Vinが変動した場合、プローブ電極162bの蓄積電荷をキャパシタC1、C2に移動させることによって、Vinを一定の電圧V0に維持しようとする。
【0036】
図3に示すように、増幅回路(オペアンプ)OP1とキャパシタC1とは、ミラー積分回路を構成している。同様に、増幅回路(オペアンプ)OP2とキャパシタC2とも、ミラー積分回路を構成している。例えば、時刻t1からt2までの期間においてSW11がオンであり、SW21はオフであり、増幅回路(オペアンプ)OP1の反転入力端子がプローブ電極162bと電気的に接続しているとする。このとき、プローブ電極162bから非反転入力端子までの配線抵抗(検出導線162dの抵抗を含む)をR、キャパシタC1の容量をCとし、プローブ電極162bの電圧をV
in、非反転入力端子の電圧をV
0として、増幅回路(オペアンプ)OP1の出力電圧V
outは、下記式で表される。
【0037】
【0038】
数1より、プローブ電極162bの電圧Vinを所定期間において積分した電圧が、アナログ-デジタル変換器(ADC)205に入力される。電圧Vinには、高周波電源部119の高周波電圧等に起因するノイズ成分が含まれ得る。しかしながら、このようなノイズ成分の時間積分はゼロであるので、チャージアンプ211を介することによって、ノイズの影響が消去された出力電圧Voutが容易に得られる。出力電圧Voutに基づいて異常放電か否かを判定することで、異常放電の検出を高精度で行うことができる。
【0039】
図4は、検出回路200における第1および第2のチャージアンプ211、212の動作を説明する図である。チャージアンプ211、212のそれぞれは、増幅回路(オペアンプ)OP1、OP2がキャパシタC1またはC2に電荷を蓄積する蓄積期間(C)、ホールド期間(H)、および、キャパシタC1またはC2に蓄積された電荷を放電するリセット期間(R)が順次繰り返されるように動作する。
【0040】
蓄積期間(C)では、スイッチSW11(SW12)がオン、スイッチ21(スイッチ22)がオフであり、増幅回路OP1(OP2)の反転入力端子が、入力端子201を介して、プローブ電極162bと電気的に接続される。
図4における第1期間T1が、第1のチャージアンプ211における蓄積期間であり、
図4における第2期間T2が、第2のチャージアンプ212における蓄積期間である。この期間では、第1のチャージアンプ211(第2のチャージアンプ212)に電荷の蓄積が行われ、プローブ電極162bの電圧が時間積分された電圧がキャパシタに保持される。
【0041】
ホールド期間(H)では、スイッチSW11(SW12)をオフし、スイッチ21(スイッチ22)のオフを継続し、プローブ電極162bとチャージアンプの入力部との接続を切断する。増幅回路OP1(OP2)の出力端子の電圧は、蓄積期間(C)において積分された電圧となっている。この期間において、増幅回路OP1(OP2)の出力端子をアナログ-デジタル変換器205と接続し、積分電圧をデジタル値に変換する。
【0042】
リセット期間(R)では、スイッチSW11(SW12)をオフした状態で、スイッチ21(スイッチ22)をオンし、キャパシタC1(C2)に蓄積されていた電荷を放電させる。これにより、増幅回路OP1(OP2)の出力端子の電圧がリセットされる。
【0043】
第2のチャージアンプ212における蓄積期間(C)は、第1のチャージアンプ211における蓄積期間(C)以外の期間と並行するように構成され得る。すなわち、第2のチャージアンプ212における蓄積期間(C)は、第1のチャージアンプ211におけるホールド期間(H)および/またはリセット期間(R)と並行するように構成され得る。これにより、第1のチャージアンプ211におけるホールド期間(H)および/またはリセット期間(R)で生じたプラズマの異常放電を、第2のチャージアンプ212により検出することができる。好ましくは、第1のチャージアンプ211における蓄積期間(C)の終了と同時に、第2のチャージアンプ212における蓄積期間(C)が開始するようにしてもよい。
【0044】
以下に、
図5を参照して、
図3の検出回路を用いてプラズマの異常放電を検出する方法を説明する。
図5は、本実施形態の異常放電の検出方法における測定工程を説明する図であり、
図3の検出回路200におけるスイッチSW11、SW12、SW21、およびSW22のオンオフの制御信号、ならびに、選択回路204における出力SELの選択のための信号のタイミングチャートの一例を示している。
図5においてSELは、信号が高レベルのときIN2が選択され、低レベルのときIN1が選択されることを表す。スイッチSW11、SW12、SW21、およびSW22は、信号が高レベルのときにオンされ、低レベルのときにオフされる。
【0045】
時刻t0から時刻t1までの期間T1Aでは、SW11をオンとし、SW12、SW21、およびSW22をオフとする。また、出力SELとして、第2のチャージアンプ212からの出力電圧が入力されるIN2を選択状態とする。
【0046】
時刻t1から時刻t2までの期間T1Bでは、SW11のオン状態を継続し、SW12およびSW21のオフ状態を継続する一方、SW22をオンに切り替える。また、出力SELとして、第1のチャージアンプ211からの出力電圧が入力されるIN1を選択状態に切り替える。
【0047】
時刻t0から時刻t2までの期間(第1期間T1)において、SW11をオン状態とし、第1のチャージアンプ211の入力部である増幅回路OP1の反転入力端子を、プローブ電極162bと接続させる。一方、SW12をオフ状態とし、第2のチャージアンプ212の入力部である増幅回路OP2の反転入力端子とプローブ電極162bとの接続を切断する。
【0048】
第1期間T1では、プローブ電極162bの電圧が第1のチャージアンプ211に入力され、第1のチャージアンプ211に電荷が蓄積される。よって、第1期間T1の終了時点である時刻t2では、第1のチャージアンプ211の出力部である増幅回路OP1の出力端子の電圧は、上記数1に基づき、プローブ電極162bの電圧の時間変化を第1期間T1において積分した電圧となっている。
【0049】
一方、第1期間T1のうち、期間T1Aでは、SW12によりプローブ電極162bと第2のチャージアンプ212の入力部との接続は切断されているため、第2のチャージアンプ212の出力部である増幅回路OP2の出力端子の電圧は変化せず、キャパシタC2により一定の電圧(積分電圧)が維持されている。期間T1Aでは、選択回路204の出力SELとしてIN2が選択されているので、第2のチャージアンプ212の出力部は、選択回路204を介してアナログ-デジタル変換器(ADC)205と接続される。アナログ-デジタル変換器(ADC)205は、期間T1A中の少なくとも一部の期間を利用して、第2のチャージアンプ212の出力部の積分電圧をサンプリングし、デジタル値に変換する。
【0050】
第1期間T1のうち、期間T1Bでは、選択回路204の出力SELとしてIN1に接続を切り替え、第2のチャージアンプ212の出力部とアナログ-デジタル変換器(ADC)205との接続を切断する。第2のチャージアンプ212の出力部とアナログ-デジタル変換器(ADC)205との接続を切断した状態で、SW22がオンされることによって、キャパシタC2の両端が短絡され、キャパシタC2に蓄積されていた電荷が放電される。結果、第2のチャージアンプ212の出力部である増幅回路OP2の出力端子の電圧がリセットされる。
【0051】
続いて、時刻t2から時刻t3までの期間T2Aでは、SW11をオフに切り替え、SW12をオンに切り替え、SW22をオフに切り替える。SW21はオフ状態を継続する。また、出力SELとして、第1のチャージアンプ211からの出力電圧が入力されるIN1を選択状態とする。
【0052】
時刻t3から時刻t4までの期間T2Bでは、SW11のオフ状態を継続し、SW12のオン状態およびSW22のオフ状態を継続する一方、SW21をオンに切り替える。また、出力SELとして、第2のチャージアンプ212からの出力電圧が入力されるIN2を選択状態に切り替える。
【0053】
時刻t2から時刻t4までの期間(第2期間T2)において、SW11をオフ状態とし、第1のチャージアンプ211の入力部である増幅回路OP1の反転入力端子とプローブ電極162bとの接続を切断する。一方、SW12をオン状態とし、第2のチャージアンプ212の入力部である増幅回路OP2の反転入力端子を、プローブ電極162bと接続させる。
【0054】
第2期間T2では、プローブ電極162bの電圧が第2のチャージアンプ212に入力され、第2のチャージアンプ212に電荷が蓄積される。よって、第2期間T2の終了時点である時刻t4では、第2のチャージアンプ212の出力部である増幅回路OP2の出力端子の電圧は、上記数1に基づき、プローブ電極162bの電圧の時間変化を第2期間T2において積分した電圧となっている。
【0055】
一方、第2期間T2のうち、期間T2Aでは、SW11によりプローブ電極162bと第1のチャージアンプ211の入力部との接続は切断されているため、第1のチャージアンプ211の出力部である増幅回路OP1の出力端子の電圧は変化せず、キャパシタC1により一定の電圧(積分電圧)が維持されている。期間T2Aでは、選択回路204の出力SELとしてIN1が選択されているので、第1のチャージアンプ211の出力部は、選択回路204を介してアナログ-デジタル変換器(ADC)205と接続される。アナログ-デジタル変換器(ADC)205は、期間T2A内の少なくとも一部の期間を利用して、第1のチャージアンプ211の出力部の積分電圧をサンプリングし、デジタル値に変換する。
【0056】
第2期間T2のうち、期間T2Bでは、選択回路204の出力SELとしてIN2に接続を切り替え、第1のチャージアンプ211の出力部とアナログ-デジタル変換器(ADC)205との接続を切断する。第1のチャージアンプ211の出力部とアナログ-デジタル変換器(ADC)205との接続を切断した状態で、SW21がオンされることによって、キャパシタC1の両端が短絡され、キャパシタC1に蓄積されていた電荷が放電される。結果、第1のチャージアンプ211の出力部である増幅回路OP1の出力端子の電圧がリセットされる。
【0057】
上記t0~t4までを1サイクルとして複数サイクルが繰り返されることで、プローブ電極162bの電圧Vinを所定期間において積分した積分電圧が一定期間ごとに順次得られ、アナログ-デジタル変換器(ADC)205を介することで、積分電圧のデジタル値が一定期間ごとに順次得られる。アナログ-デジタル変換の後、得られたデジタル値をメモリに保持してもよい。メモリは、検出回路200に内蔵されていてもよく、検出回路200からアクセス可能である限り、検出回路200の外部(例えば、制御部120内)に設けられていてもよい。
【0058】
上記期間T1A、T1B、T2A、T2Bは、想定される高周波ノイズの周期よりも十分長ければよい。例えば、高周波電源部119の高周波の周波数を10MHz~100MHz(周期0.01μs~0.1μs)としたとき、期間T1A、T1B、T2A、T2Bはそれぞれ0.5ms~2msであってもよい。その場合、アナログ-デジタル変換器(ADC)205のサンプリング周波数は、例えば10kHz以上(サンプリング周期0.1ms以下)であれば十分である。
【0059】
上記検出回路の例において、3つ以上のチャージアンプを並列に接続することも可能である。
【0060】
(制御部)
制御部120は、信号解析部121を備える。信号解析部は、検出回路200により導出された積分電圧を検出回路200から都度取得し、あるいはメモリに保持された積分電圧を読み出して、複数のチャージアンプ211、212による積分電圧の時間変化に基づき異常放電を検出する。異常放電の検出の判定方法としては、限定されるものではないが、積分電圧が所定の閾値電圧を超えた(または、閾値電圧未満となった)場合に、異常放電が検出されたとする、あるいは、積分電圧とその直前の積分電圧(または、複数の積分電圧の平均値)とを比較し、差分値が所定値を超えた場合に、異常放電が検出されたとする方法が挙げられる。
【0061】
異常放電の検出結果(または、異常放電と検出された回数)に応じて、リトライ処理、累積プラズマ処理、メンテナンス判定等が実行され得る。なお、リトライ処理、累積プラズマ処理、メンテナンス判定は、全てが実行される必要はなく、これらのうち1つ以上の処理が実行される。
【0062】
(装置制御部)
装置制御部124は、図示しないが、処理履歴記憶部、リトライ処理部、累積プラズマ処理部、メンテナンス判定機能部を備えてもよい。すなわち、装置制御部124は、上記した通常の動作制御機能に加えて、信号解析部による異常放電の検出結果に基づいて、処理室103a内のプラズマ放電の状態を判定し、当該プラズマ処理の再設定を行い得る。プラズマ放電の状態の判定およびプラズマ処理の再設定は、リトライ処理部、累積プラズマ処理部およびメンテナンス判定部によって実行され得る。処理履歴記憶部は、メモリに一時的に記録された積分電圧の時間変化や、信号解析部が異常放電の検出の判定に要した中間データを、プラズマ処理装置100による処理履歴データとして記憶する。これにより、当該プラズマ処理装置100によって処理が行われた処理対象物109について、詳細な処理履歴データを取得することができ、品質管理や生産管理のためのトレーサビリティが確保される。
【産業上の利用可能性】
【0063】
本発明に係る異常放電の検出回路および検出方法は、プラズマ処理装置に適用できる。
【符号の説明】
【0064】
100:プラズマ処理装置
101:ベース部
101a:開口部
101b:貫通孔
102:蓋部
102a:開口部
103:真空チャンバ
103a:処理室
104:シール部材
105:電極部
106:絶縁部材
107:絶縁層
108:ガイド部材
109:処理対象物
110:接地部
111:管路
112:ベントバルブ
113:ガス供給バルブ
114:真空バルブ
115:真空計
116:ガス供給部
117:真空ポンプ
118:整合器
119:高周波電源部
120:制御部
121:信号解析部
124:装置制御部
130:表示部
140:入力部
160:放電検出センサ
161:誘電体部材
162:プローブ電極ユニット
162a:ガラス板
162b:プローブ電極
162c:シールド電極
170:支持部材
200:検出回路
201:入力端子
204:選択回路
205:アナログ-デジタル変換器(ADC)
211:第1のチャージアンプ
212:第2のチャージアンプ