(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ヘアケア装置
(51)【国際特許分類】
A45D 20/12 20060101AFI20240913BHJP
B05B 12/00 20180101ALI20240913BHJP
B05B 7/04 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
A45D20/12 101
B05B12/00 Z
B05B7/04
(21)【出願番号】P 2020028769
(22)【出願日】2020-02-21
【審査請求日】2022-11-02
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】追風 寛歳
(72)【発明者】
【氏名】近澤 祐樹
(72)【発明者】
【氏名】木下 雅登
(72)【発明者】
【氏名】井上 宏之
(72)【発明者】
【氏名】鼻戸 由美
【審査官】木戸 優華
(56)【参考文献】
【文献】特開2018-196862(JP,A)
【文献】国際公開第2013/069305(WO,A1)
【文献】特開2019-047167(JP,A)
【文献】特開平05-228015(JP,A)
【文献】特開平05-309013(JP,A)
【文献】欧州特許出願公開第02510826(EP,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0075776(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45D 20/10
A45D 20/12
B05B 12/00
B05B 7/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体を貯留するタンクと、
前記タンクに貯留される液体を出力するポンプと、
前記ポンプから供給される前記液体をミスト状に形成するノズルと、
前記ポンプの出力を制御する制御部と、を備えるヘアケア装置であって、
前記ヘアケア装置の
角速度を検出する検出部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部の検出値
である前記ヘアケア装置の角速度が大きくなるにつれて前記ポンプの出力を低下させる
ヘアケア装置。
【請求項2】
気体を出力するモータおよびファンを備える送風部をさらに備え、
前記制御部は、前記検出部の検出値に基づいて、前記モータの出力を調節する
請求項1に記載のヘアケア装置。
【請求項3】
前記制御部は、前記ヘアケア装置の角速度が大きくなるにつれて、前記モータの出力を増加させる
請求項2に記載のヘアケア装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、ヘアケア装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ヘアケア装置において美容成分の適切な噴霧が求められる。特許文献1に記載のヘアケア装置は、ヘアケア装置の上下方向の傾斜を検出し、傾斜に基づいて美容成分を送り出すポンプを制御することで、美容成分の適切な噴霧を実現する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ヘアケア装置を使用する場合には、ユーザが髪の毛の根元から先端まで美容成分を噴霧するため、ヘアケア装置を短周期で揺動させる場合がある。この場合、美容成分に対して遠心力が働くため、想定した美容成分の噴霧量および範囲と実際の美容成分の噴霧量および範囲とがずれる可能性がある。
本開示は、上記課題を解決するための発明であり美容成分を好適に噴霧するヘアケア装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示に関するヘアケア装置は、液体を貯留するタンクと、前記タンクに貯留される液体を出力するポンプと、前記ポンプの出力を制御する制御部と、を備えるヘアケア装置であって、前記ヘアケア装置の揺動を検知する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部の検出値に基づいて、前記ポンプの出力を調節する。
【発明の効果】
【0006】
本開示に関するヘアケア装置によれば、美容成分を好適に噴霧することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図3】
図1のヘアケア装置の電気的な接続を示すブロック図。
【
図4】実施の形態1の制御部が実行する第1制御の一例を示すフローチャート。
【
図5】実施の形態2の制御部が実行する第2制御の一例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
(ヘアケア装置が取り得る形態の一例)
本開示に関するヘアケア装置は、体を貯留するタンクと、前記タンクに貯留される液体を出力するポンプと、前記ポンプの出力を制御する制御部と、を備えるヘアケア装置であって、前記ヘアケア装置の揺動を検知する検出部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部の検出値に基づいて、前記ポンプの出力を調節する。
上記ヘアケア装置によれば、検出値に基づいてポンプの出力を制御するため、美容成分を好適に噴霧することができる。
【0009】
前記ヘアケア装置の一例によれば、前記検出部は、前記ヘアケア装置の角速度を検出する。
上記ヘアケア装置によれば、角速度を用いてポンプの出力を制御することができる。
【0010】
前記ヘアケア装置の一例によれば、前記制御部は、前記ヘアケア装置の角速度が大きくなるにつれて前記ポンプの出力を低下させる。
上記ヘアケア装置によれば、角速度の値が大きくなるにつれてポンプの出力が低下するため、液体の出力を適切に実行できる。
【0011】
前記ヘアケア装置の一例によれば、気体を出力するモータおよびファンを備える送風部をさらに備え、前記制御部は、前記検出部の検出値に基づいて、前記モータの出力を調節する。
上記ヘアケア装置によれば、検出値に基づいてモータの出力を制御するため好適に制御することができる。
【0012】
前記ヘアケア装置の一例によれば、前記検出部は、前記ヘアケア装置の角速度を検出し、前記制御部は、前記ヘアケア装置の角速度が大きくなるにつれて、前記モータの出力を増加させる。
上記ヘアケア装置によれば、角速度が大きい場合に送風量を増加させる。このため、ユーザビリティが向上する。
【0013】
(実施の形態1)
以下、
図1~3を参照して実施の形態1のヘアケア装置10について説明する。ヘアケア装置10は、美容成分および送風の少なくとも一方をユーザの頭髪等に対して供給する。ヘアケア装置10は、例えばドライヤである。ヘアケア装置10は、ヘアケア装置10の外観を構成し、ヘアケア装置10を構成する他の要素の少なくとも1つを収容するハウジング11および使用時にユーザによって握られる把持部12を備える。ハウジング11と把持部12とは、把持部12に対してハウジング11の位置を変更できるように構成された連結部により連結されることが好ましい。ハウジング11および把持部12は、熱耐性に優れた任意の材料により構成される。一例では、ハウジング11および把持部12を構成する材料はポリカーボネートである。ハウジング11は、外部の空気を流入させる吸入口11Aおよび外部に美容成分または空気を放出する放出口11Bを備える。吸入口11Aは、外部の空気中の埃等がハウジング11内に侵入することを抑制するフィルタを備えるのが好ましい。吸入口11Aおよび放出口11Bの形状は、例えば楕円形状である。
【0014】
ハウジング11は、内部に流体の流れが形成される流路13を備える。流路13は、吸入口11Aおよび放出口11Bを接続する。流路13は、主に気体が通過する第1流路13Aおよび主に美容成分が通過する第2流路13Bを含む。一例では、第1流路13Aおよび第2流路13Bの長さは、流路13全体の長さの半分の長さである。
【0015】
ヘアケア装置10は、制御部20、記憶部30、操作部40、検出部50、電源部60、送風部70、加熱部80、および、ミスト発生部90をさらに備える。制御部20、記憶部30、操作部40、検出部50、電源部60、送風部70、加熱部80、および、ミスト発生部90の少なくとも1つは、ハウジング11の内部に保持される。
【0016】
制御部20は制御プログラムを実行する演算処理装置により構成される。演算処理装置は、例えばCPU(Central Processing Unit)およびMPU(Micro Processing Unit)の一方または両方により構成される。制御部20は、記憶部30、操作部40、検出部50、送風部70、加熱部80、および、ミスト発生部90と無線または有線で通信できるように構成される。制御部20は、例えば電源部60から電力が供給され、操作部40からの操作信号が入力されることで制御を開始する。好ましくは、制御部20は熱発生源である加熱部80から離れた場所に設けられる。一例では、制御部20は、把持部12に対応する場所に設けられる。
【0017】
記憶部30は、制御部20が実行する種々の制御を実行するためのプログラム情報およびテーブル情報を記憶する。テーブル情報は、検出部50が検出した検出値と送風部70およびミスト発生部90の適切な出力量とが対応付けられた情報である。記憶部30は、例えば不揮発性メモリおよび揮発性メモリを備える。記憶部30は、例えば制御部20と同一の制御回路に設けられる。
【0018】
操作部40は、例えばユーザからの操作による操作信号を制御部20に対して出力する。操作信号は、制御部20のオンおよびオフを切り替える信号、または、制御部20による送風部70、加熱部80、および、ミスト発生部90の少なくとも1つの出力変化を実行する信号を含む。操作部40の一部は、ユーザが操作しやすいようにハウジング11の外側に向けて突出するように構成される。操作部40は、例えばボタン、スイッチ、および、ダイヤルにより構成される。操作部40は、タッチパネルにより構成されていてもよい。操作部40は、例えば把持部12に設けられる。
【0019】
検出部50は、ヘアケア装置10に関する種々の情報を検出する。検出部50が検出した検出値は、制御部20に出力される。第1例では、検出部50は、加速度センサまたはジャイロセンサで構成され、ヘアケア装置10の3軸方向の動きを検出する。具体的には、検出部50は、加速度または角速度を検出する。第1例の場合、検出部50は第2流路13Bに配置されることが好ましい。第2例では、検出部50は送風部70およびミスト発生部90に設けられるモータのトルクを検出する。具体的には、検出部50は、トルクセンサで構成される。検出部50は、逆起電力を検出するように構成されてもよい。一例では、検出部50は、モータ制御を実行するマイコンである。制御部20は、逆起電力からモータの回転数および負荷トルクを演算する。第3例では、検出部50は、ヘアケア装置10の使用回数や使用時間を検出する。検出部50は、第1例および第2例の少なくとも一方の構成を含む。より好ましくは、検出部50は、第1例から第3例の検出部50の構成をすべて含む。
【0020】
電源部60は、制御部20、記憶部30、操作部40、検出部50、送風部70、加熱部80、および、ミスト発生部90に対して電力を供給する。図示される例では、電源部60は、商用電源等の外部電源である。電源部60は、ハウジング11の内部に設けられる2次電池の構成であってもよい。電源部60が外部電源である場合、ヘアケア装置10と電源部60とは、電力線61により接続される。
【0021】
送風部70は、吸入口11Aから空気を吸入し、放出口11Bから空気を放出する流れを形成する。送風部70は、モータ71およびファン72を含む。モータ71の駆動により、ファン72が回転することで、流路13において空気の流れが生じる。モータ71は、制御部20により制御される。送風部70は、流路13において、第1流路13Aおよび第2流路13Bの上流に存在し、第1流路13Aおよび第2流路13Bの両方に空気を供給する。
【0022】
加熱部80は、ハウジング11内の空気を加熱し、温風を作成する。温風は、例えば100~120℃の範囲内の空気である。加熱部80は、ヒータ81を含む。ヒータ81の一例は、PCT(Positive Temperature Coefficient)ヒータおよび赤外線ヒータである。加熱部80は、例えば第1流路13Aに設けられる。制御部20は、ヒータ81の出力を制御する。
【0023】
ミスト発生部90は、美容成分をミスト状に形成する。美容成分は、液体または液体中に含まれる成分である。ミスト発生部90は、ポンプ91、タンク92、および、ノズル93を含む。ポンプ91は、図示しないモータを駆動することでタンク92に貯留される美容成分をノズル93に供給する液体ポンプである。液体ポンプは、例えばギアポンプである。タンク92は、ヘアケア装置10内部において美容成分を含む液体を貯蔵する。タンク92は、美容成分を含む液体の保持に適した任意の材料で構成される。一例では、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニリデン、ナイロン、ポリエチレンテレフタレート、エチレンビニルアルコール共重合体、ポリビニルアルコール、アルミの少なくとも1つである。ノズル93は、液体である美容成分をミスト状に形成する。ノズル93は、樹脂または金属で構成される。ノズル93は、微小な穴を複数備える。ポンプ91により供給された液体の美容成分が微細な穴を通過する際に美容成分がミスト状に生成される。または、ノズル93の内部で美容成分と気体とを混合し、せん断力により美容成分をミスト状に生成する。この場合、ポンプ91は気体ポンプをさらに含む。気体ポンプは、例えばダイアフラムポンプである。
【0024】
美容成分は、グリシン、アラニン、バリン、ロイシン、イソロイシン、フェニルアラニン、プロリン、ヒドロキシプロリン、スレオニン、セリン、チロシン、メチオニン、トリプトファン、シスチン、システイン酸、アルギニン、ヒスチジン、リジン、ヒドロキシリジン、グルタミン酸、などのアミノ酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、ベヘニン酸、オレイン酸、ヤシ油脂肪酸、イソステアリン酸、イソパルミチン酸、α-リノレン酸、などの高級脂肪酸、流動パラフィン、流動イソパラフィン、ワセリン、スクワレン、スクワラン、などの炭化水素油、ツバキ油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、オリーブ油、アボカド油、ヒマシ油、サフラワー油、ホホバ油、ヒマワリ油、ナタネ油、ゴマ油、大豆油、メドウフォーム油、などの天然油、リンゴ酸、タンニン酸、クエン酸、などの有機酸、コレステロール、セラミド1、セラミド2、セラミド3、セラミド1A、セラミド6II、18-メチルエイコサン酸、硫酸コレステロール、トリグリセライド、リゾレシチン、などの脂質、ステアリルアルコール、セチルアルコール、などの高級アルコール、ミツロウ、キャンデリラロウ、カルナルバロウ、パルミチン酸イソプロピル、乳酸ミリスチル、ステアリン酸2-エチルヘキシル、ワックスエステル、ミリスチン酸イソプロピル、ミルスチン酸ミリスチル、パルミチン酸オクチル、ステアリン酸ステアリル、ステアリン酸イソセチル、イソノナン酸イソノニル、イソノナン酸イソトリデシル、ステアリン酸硬化ヒマシ油、ヒドロキシステアリン酸硬化ヒマシ油、トリ2-エチルヘキサン酸グリセリル、テトラ2-エチルヘキサン酸ペンタエリスリトール、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、ジイソステアリン酸ジグリセリル、ジペンタエリスリトール、ヒドロキシステアリン酸/ステアリン酸/ロジン酸等の混合脂肪酸とのエステル、などのエステル類、ジメチルポリシロキサン、アミノ変性シリコーン、ポリエーテル変性、カチオン化シリコーン、などのシリコーン類、ポリフェノール、ビタミン、フラーレン、などの抗酸化剤、D-ガラクトース、D-グルクロン酸、L-フコース、D-マンノース、キトサン、カチオン化多糖類、などの多糖類、グリセリン、水、キサンタンガム、パンテノール、蔗糖、ブドウ糖、果糖、ソルビトール、マンニトール、キシリトール、マルチトール、ジグリセリン、トリグリセリン、プロピレングルコール、ジプロピレングルコール、ポリプロピレングルコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコール、1,2-ブチレングリコール、1,3-ブチレングリコール、1,2-ペンタンジオール、ヘキシレングリコール、エリスリトール、ポリオキシエチレンメチルグルコシド、ポリビニルアルコール、などの保湿剤、ジヒドロスフィンゴシン、フィトスフィンゴシン、ヒドロキシカプロイルフィトスフィンゴシン、などのスフィンゴシン類、コラーゲンPPT、ケラチンPPT、シルクPPT、パールPPT、ミルクPPT、ダイズPPT、上記PPTのカチオン化PPT誘導体、アシル化PPT誘導体、シリル化PPT誘導体、エチルエステル化PPT誘導体、などのペプチド、ゴマタンパク、マメ科植物の種子から得られるタンパク質、コメタンパク、真珠層を有する貝殻又は真珠から得られる蛋白質、シルクから得られる蛋白質、などのタンパク、オタネニンジン抽出物、米胚芽抽出物、ヒバマタ抽出物、ツバキ抽出物、アロエ抽出物、月桃葉抽出物、クロレラ抽出物、などのエキス類、亜鉛、マグネシウム、カルシウム、などの金属、カチオン化セルロース、ヒドロキシ化セルロース、高重合ポリエチレンオキサイド、カチオン化合成ポリマー、などの高分子化合物、ジンクピリチオン、塩化ベンザルコニウム、などの抗フケ剤、グリチルリチン酸ジカリウム、などの抗菌剤の少なくとも1つを含む。
【0025】
図4を参照して、制御部20が実行する第1制御について説明する。
第1制御は、ユーザがヘアケア装置10を使用している場合に制御部20が所定間隔で実行する制御である。検出部50は、第1例の検出部50の構成を少なくとも含む。
【0026】
制御部20は、ステップS11において検出部50からヘアケア装置10の角速度を含んだ角速度情報を取得する。制御部20は、ステップS12において角速度情報と記憶部30に記憶されるテーブル情報とを比較する。テーブル情報は、ヘアケア装置10の角速度に対して適切な送風部70およびミスト発生部90の出力を実験的に得た結果を対応付けて記憶されている。具体的には角速度が大きい場合、制御部20はミスト発生部90のモータの出力およびポンプ91の供給力を低下させ、第2流路13Bから出力されるミストの量が少なくなるように制御する。角速度が大きい場合、制御部20は送風部70のモータ71の出力を高くして、第1流路13Aから出力される風量が多くなるように制御する。
【0027】
制御部20は、ステップS13において、ミスト発生部90のポンプ91の第1出力値および送風部70のモータ71の第2出力値をテーブル情報から決定する。制御部20は、ステップS14において、ミスト発生部90のポンプ91が第1出力値および送風部70のモータ71が第2出力値となるように制御を実行する。ステップS14の終了後、制御部20は、制御を終了する。
【0028】
実施の形態1のヘアケア装置10の作用について説明する。
ユーザが操作部40を操作することで、ヘアケア装置10に電力が供給される。ユーザは、ヘアケア装置10の放出口11Bを髪に向けてヘアケアを実行する。ユーザによるヘアケア装置10の動作に合わせて、制御部20は、ミスト発生部90のポンプ91の出力および送風部70のモータ71の出力を制御する。
【0029】
(実施の形態2)
実施の形態2のヘアケア装置10は、検出部50が第2例の構成を含み、制御部20が第2例の検出部50の検出値に基づいて制御する点が実施の形態1のヘアケア装置10と相違する。実施の形態1のヘアケア装置10と同様の構成については、説明の一部または全部を省略する場合がある。
【0030】
制御部20は、検出部50として構成されるトルクセンサの値に基づいて、制御を実行する。トルクセンサは、ヘアケア装置10に設けられるモータのトルクを検出する。一例では、検出部50は、ミスト発生部90を構成するポンプ91のモータのトルクを検出する。ポンプ91は、ノズル93にタンク92からの美容成分を供給する送液ポンプおよびノズル93に気体を供給する送風ポンプを含む。送液ポンプは、例えばギアポンプである。送風ポンプは、例えばダイアフラムポンプである。
【0031】
図5を参照して、制御部20が実行する第2制御について説明する。
第2制御は、ヘアケア装置10の使用開始時から所定期間の間にミスト発生部90のポンプ91を構成する送液ポンプの第1出力値、および、送風ポンプの第2出力値を決定する制御である。制御部20は、ポンプ91が動作する場合にステップS21の処理を実行する。
【0032】
制御部20は、ステップS21において検出部50からトルク値情報を取得する。具体的には、送液ポンプのモータのトルク値情報を検出する。制御部20は、トルク値情報を経時的に取得しトルクが最初の極大値を超えた場合に、ステップS22の処理に移行する。
【0033】
制御部20は、ステップS22においてトルク値情報と記憶部30に記憶されるテーブル情報とを比較する。テーブル情報は、予め実験的に得られたトルク値情報と美容成分の種類とを対応させた情報である。具体的には、粘性の高い美容成分であるほどトルク値が高く、粘性の低い美容成分であるほどトルク値が低い。制御部20は、テーブル情報からヘアケア装置10のタンク92に貯蔵される美容成分を推定して種類を決定する。
【0034】
制御部20は、ステップS23において、決定した美容成分の種類に基づいてポンプ91のおよび第2出力値を決定する。具体的には、制御部20は、送液ポンプのモータのトルクである第1出力値、および、送風ポンプのモータのトルクである第2出力値を決定する。制御部20は、ステップS24において、ミスト発生部90のポンプ91のモータが第1出力値および第2出力値となるように制御を実行する。ステップS24の終了後、制御部20は、制御を終了する。
【0035】
実施の形態2のヘアケア装置10の作用について説明する。
ユーザが操作部40を操作することで、ヘアケア装置10に電力が供給される。ユーザは、ヘアケア装置10の放出口11Bを髪に向けてヘアケアを実行する。制御部20は、美容成分の種類を判定し、ユーザが使用する美容成分の種類に応じてミスト発生部90のポンプ91の出力を制御する。
【0036】
(実施の形態3)
実施の形態3のヘアケア装置10は、記憶部30に記憶されるテーブル情報が美容成分の種類を含まない点が実施の形態2のヘアケア装置10と相違する。実施の形態1または実施の形態2のヘアケア装置10と同様の構成については、説明の一部または全部を省略する場合がある。
【0037】
制御部20は、送液ポンプのモータのトルクおよび送風ポンプのモータのトルクを第2例の検出部50から検出し、検出トルク値情報に基づいてポンプ91の第1出力値および第2出力値を決定する第3制御を実行する。
【0038】
第3制御について説明する。制御部20は、送液ポンプの始動と同時に送液ポンプのモータのトルクおよび回転数を検出部50から取得する。制御部20は、送液ポンプの回転数が所定の回転数となるまで送液ポンプの出力を上げる。所定の回転数は、任意の回転数が設定される。例えば、純水を送液ポンプでノズル93に供給する場合の回転数に設定される。
【0039】
制御部20は、送風ポンプのモータを始動させ、送風ポンプのモータの負荷トルクを推定する。負荷トルクの推定は、検出部50が検出する逆起電力に基づいて実行される。制御部20は、負荷トルクの変動幅が一定以下となる送風ポンプのモータの入力電圧を設定する。美容成分のミストの寸法が適切ではない場合、負荷トルクの変動幅が大きくなる。送風ポンプの出力により送液ポンプのモータの回転数が増加するため、制御部20は送液ポンプのモータの回転数が所定の回転数となるまで送液ポンプ出力を下げる。制御部20は、送液ポンプのモータおよび送風ポンプのモータをそれぞれ適した回転数で駆動する。制御部20は、ヘアケア装置10の稼働中に、第3制御を繰り返し実行する。
【0040】
実施の形態3のヘアケア装置10によれば、以下の効果がさらに得られる。
制御部20は、送液ポンプおよび送風ポンプのモータの検出値に基づいて、適切な出力を実行できる。このため、美容成分の種類が特定できない場合でも、好適にポンプ91の出力を制御することができる。
【0041】
(変形例)
実施の形態に関する説明は本発明に関するヘアケア装置が取り得る形態の例示であり、その形態を制限することを意図していない。本発明は実施の形態以外に例えば以下に示される実施の形態の変形例、および、相互に矛盾しない少なくとも2つの変形例が組み合わせられた形態を取り得る。
【0042】
・実施の形態1~3のヘアケア装置10において、種々の情報を報知する報知部の構成をさらに備えていてもよい。報知部は、例えば検出部50が検出した情報を報知する。報知部は、例えばディスプレイにより構成される。
【0043】
・実施の形態2のヘアケア装置10において、制御部20は、さらにヒータ81の制御を行ってもよい。一例では、制御部20は美容成分の種類に応じてヒータ81の出力を変更する。テーブル情報は、美容成分の種類と適切な送風温度とを対応させる情報をさらに含む。
【産業上の利用可能性】
【0044】
本開示に関するヘアケア装置は、業務用および家庭用の頭髪をケアするヘアケア装置に利用できる。
【符号の説明】
【0045】
10 :ヘアケア装置
20 :制御部
50 :検出部
70 :送風部
71 :モータ
72 :ファン
90 :ミスト発生部
91 :ポンプ
92 :タンク