(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】スイッチシステム
(51)【国際特許分類】
H03K 17/00 20060101AFI20240913BHJP
H03K 17/687 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H03K17/00 B
H03K17/687 A
(21)【出願番号】P 2021553544
(86)(22)【出願日】2020-10-23
(86)【国際出願番号】 JP2020039822
(87)【国際公開番号】W WO2021085316
(87)【国際公開日】2021-05-06
【審査請求日】2023-05-25
(31)【優先権主張番号】P 2019198640
(32)【優先日】2019-10-31
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(31)【優先権主張番号】P 2020143911
(32)【優先日】2020-08-27
(33)【優先権主張国・地域又は機関】JP
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】木下 雄介
(72)【発明者】
【氏名】石田 秀俊
(72)【発明者】
【氏名】半田 浩之
(72)【発明者】
【氏名】工藤 祐治
(72)【発明者】
【氏名】中澤 敏志
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2013-038555(JP,A)
【文献】特開2019-054384(JP,A)
【文献】特開2018-068097(JP,A)
【文献】特開2017-163136(JP,A)
【文献】国際公開第2013/031070(WO,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03K 17/00
H03K 17/687
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ソースと、第2ソースと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第1ソース側にあり、前記第1ソースに対応する第1ゲートと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第2ソース側にあり、前記第2ソースに対応する第2ゲートと、を有する双方向スイッチと、
前記第1ゲートに接続されている第1ゲート駆動回路と、
前記第2ゲートに接続されている第2ゲート駆動回路と、
前記第1ゲート駆動回路と前記第2ゲート駆動回路とを制御する制御部と、
前記制御部から前記第1ゲート駆動回路に前記第1ゲートをオフする信号が出力されている第1期間に、前記第1ゲートの電圧と第1閾値電圧とに基づいて前記第1ゲートの状態を判定する第1判定部と、
前記制御部から前記第2ゲート駆動回路に前記第2ゲートをオフする信号が出力されている第2期間に、前記第2ゲートの電圧と第2閾値電圧とに基づいて前記第2ゲートの状態を判定する第2判定部と、を備える、
スイッチシステム。
【請求項2】
前記双方向スイッチは、
前記第1ゲートが第1p型層と第1ゲート電極とを含み、前記第2ゲートが第2p型層と第2ゲート電極とを含んでいる、ノーマリオフ型JFETであり、
前記第1ゲート駆動回路は、
前記第1ゲートに接続されている第1ゲート抵抗と、
前記第1ゲート抵抗に直列接続されおり、前記制御部によって制御される第1スイッチと、
前記第1ゲート抵抗よりも抵抗値が大きく、前記第1ゲート抵抗と第1スイッチとの直列回路に並列接続されている第2ゲート抵抗と、を有し、
前記第2ゲート駆動回路は、
前記第2ゲートに接続されている第3ゲート抵抗と、
前記第3ゲート抵抗に直列接続されており、前記制御部によって制御される第2スイッチと、
前記第3ゲート抵抗よりも抵抗値が大きく、前記第3ゲート抵抗と第2スイッチとの直列回路に並列接続されている第4ゲート抵抗と、を有する、
請求項1に記載のスイッチシステム。
【請求項3】
前記第1判定部は、
前記制御部から前記第1ゲートをオンする信号と前記第1スイッチをオンする信号とが出力されているときに、前記第1ゲートの電圧が前記第1閾値電圧を下回った場合に異常と判定し、
前記制御部から前記第1ゲートをオンする信号と前記第1スイッチをオフする信号とが出力されているときに、前記第1ゲートの電圧が前記第1閾値電圧を上回った場合に異常と判定し、
前記第2判定部は、
前記制御部から前記第2ゲートをオンする信号と前記第2スイッチをオンする信号とが出力されているときに、前記第2ゲートの電圧が前記第2閾値電圧を下回った場合に異常と判定し、
前記制御部から前記第2ゲートをオンする信号と前記第2スイッチをオフする信号とが出力されているときに、前記第2ゲートの電圧が前記第2閾値電圧を上回った場合に異常と判定する、
請求項2に記載のスイッチシステム。
【請求項4】
前記第1期間と前記第2期間の少なくとも一部とが重複している、
請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項5】
前記第1期間と前記第2期間とのタイミングが異なる、
請求項1~3のいずれか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項6】
前記双方向スイッチを複数備え、
前記第1判定部を複数備え、
前記第2判定部を複数備え、
前記複数の双方向スイッチが並列接続されており、
前記複数の第1判定部及び前記複数の第2判定部は、前記複数の双方向スイッチに一対一に対応しており、
前記スイッチシステムは、
前記複数の双方向スイッチのうち少なくとも1つの双方向スイッチを非検知対象の双方向スイッチとして前記非検知対象の双方向スイッチの第1ソースと第2ソースとの間に電流を通電させている間に、前記複数の双方向スイッチのうち検知対象の双方向スイッチの第1ゲートの状態及び第2ゲートの状態を第1判定部及び第2判定部それぞれによって判定させる、
請求項1~5のいずれか1項に記載のスイッチシステム。
【請求項7】
前記スイッチシステムは、前記複数の双方向スイッチのうち検知対象とする双方向スイッチを1つの双方向スイッチのみとし、前記検知対象の双方向スイッチ以外の双方向スイッチの全部を前記非検知対象の双方向スイッチとする、
請求項6に記載のスイッチシステム。
【請求項8】
第1ソースと、第2ソースと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第1ソース側にあり、前記第1ソースに対応する第1ゲートと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第2ソース側にあり、前記第2ソースに対応する第2ゲートと、を有する双方向スイッチと、
前記第1ゲートに接続されている第1ゲート駆動回路と、
前記第2ゲートに接続されている第2ゲート駆動回路と、
前記第1ゲート駆動回路と前記第2ゲート駆動回路とを制御する制御部と、
前記双方向スイッチに接続されている検知部と、を備え、
前記双方向スイッチと前記第1ゲート駆動回路と前記第2ゲート駆動回路と前記制御部と前記検知部とのセットを複数備え、
前記複数の双方向スイッチが並列接続されており、
前記複数の検知部の各々は、
前記複数の双方向スイッチのうち当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチ以外の少なくとも1つの双方向スイッチが導通状態のときに、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部が当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートをオフする信号を出力し、第2ゲートをオンする信号を出力している第1状態と、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部が当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートをオフする信号を出力し、第1ゲートをオンする信号を出力している第2状態と、
のそれぞれにおいて、当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの状態を検知する、
スイッチシステム。
【請求項9】
前記複数の制御部の各々は、
前記第1状態のときには当該制御部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートに状態検知用の第1オフ電圧を印加させ、
前記第2状態のときには当該制御部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートに状態検知用の第2オフ電圧を印加させる、
請求項8に記載のスイッチシステム。
【請求項10】
前記複数の検知部の各々は、
当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ソースと第2ソースとの間に流れる電流と所定値とに基づいて当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの状態の判定を行う判定部を有する、
請求項9に記載のスイッチシステム。
【請求項11】
前記複数の検知部の各々は、判定部を有し、
前記複数の判定部の各々は、
当該判定部と同じセットに含まれる制御部が当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートをオンする信号を出力し第2ゲートをオンする信号を出力している状態において、当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ソースと第2ソースの間に流れる電流と第1所定値とに基づいて当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの異常の有無を判定し、
当該判定部と同じセットに含まれる制御部が当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートをオフする信号を出力し、第2ゲートをオンする信号を出力している状態と、当該判定部と同じセットに含まれる制御部が当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートをオフする信号を出力し、第1ゲートをオンする信号を出力している状態と、のそれぞれにおいて、当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ソースと第2ソースの間に流れる電流と第2所定値とに基づいて当該判定部と同じセットに含まれる双方向スイッチの異常の有無を判定する、
請求項9に記載のスイッチシステム。
【請求項12】
前記複数の検知部の各々は、
当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチに直列に接続されている抵抗を含む、
請求項10に記載のスイッチシステム。
【請求項13】
前記複数の検知部の各々は、
当該検知部に含まれる抵抗の両端電圧を絶対値に変換する変換回路と、
前記絶対値と所定の閾値電圧と比較する比較回路と、を含む、
請求項12に記載のスイッチシステム。
【請求項14】
前記複数の抵抗の各々は、
当該抵抗と同じセットに含まれる双方向スイッチに接続されている第1端と、
前記第1端とは反対側の第2端と、を有し、
前記複数の判定部の各々は、
前記抵抗の前記第2端の電位を基準として前記第1端の電位と前記第2端の電位とを比較する第1比較回路と、
前記抵抗の前記第1端の電位を基準として前記第2端の電位と前記第1端の電位とを比較する第2比較回路と、を含む、
請求項12に記載のスイッチシステム。
【請求項15】
前記複数の検知部の各々の前記抵抗は、
当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ソースに接続されている第1抵抗と、
当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ソースに接続されている第2抵抗と、を含み、
前記複数の検知部の各々は、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部の前記第1状態のときに前記第1抵抗の両端電圧が第1基準電圧を上回った場合は異常と判定する第1判定回路と、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部の前記第2状態のときに前記第2抵抗の両端電圧が第2基準電圧を上回った場合は異常と判定する第2判定回路と、を含む、
請求項12に記載のスイッチシステム。
【請求項16】
前記複数の検知部の各々は、
当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの温度を検出する温度検出部を含み、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部が前記第1状態のときに、前記温度検出部による検出温度が閾値温度を上回った場合は当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチを異常と判定し、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部が前記第2状態のときに前記温度検出部による検出温度が前記閾値温度を上回った場合は当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチを異常と判定する、
請求項9に記載のスイッチシステム。
【請求項17】
前記複数の双方向スイッチの各々は、
前記第1ゲートが第1p型層と第1ゲート電極とを含み、前記第2ゲートが第2p型層と第2ゲート電極とを含んでいる、ノーマリオフ型JFETであり、
前記複数の検知部の各々は、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部が当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートをオフする信号を出力し、第1ゲートをオンする信号を出力している状態において、第1ゲートの電圧に基づいて当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ソースと第2ソースとの間の通電状態を検知する第1検知部と、
当該検知部と同じセットに含まれる制御部が当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートをオフする信号を出力し、第2ゲートをオンする信号を出力している状態において、第2ゲートの電圧に基づいて当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ソースと第2ソースとの間の通電状態を検知する第2検知部と、を含む、
請求項9に記載のスイッチシステム。
【請求項18】
前記複数の第1ゲート駆動回路の各々は、
当該第1ゲート駆動回路と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートに接続されている第1ゲート抵抗を含み、
前記複数の第2ゲート駆動回路の各々は、
当該第2ゲート駆動回路と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートに接続されている第2ゲート抵抗を含み、
前記複数の第1検知部の各々は、
当該第1検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチに接続されている第1ゲート抵抗の両端電圧が第1所定電圧を上回った場合に当該第1検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチを異常と判定し、
前記複数の第2検知部の各々は、
当該第2検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチに接続されている第2ゲート抵抗の両端電圧が第2所定電圧を上回った場合に当該第2検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチを異常と判定する、
請求項17に記載のスイッチシステム。
【請求項19】
前記複数の制御部の各々は、
当該制御部と同じセットに含まれる第1ゲート駆動回路から当該制御部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートをオフさせる信号を出力させる期間と、
当該制御部と同じセットに含まれる第2ゲート駆動回路から当該制御部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートをオフさせる信号を出力させる期間と、
を互いに異なるタイミングで行わせる、
請求項8~18のいずれか一項に記載のスイッチシステム。
【請求項20】
前記複数の制御部を制御するコントローラを更に備え、
前記コントローラは、前記複数の検知部が互いに異なるタイミングで同じセットに含まれる双方向スイッチの状態を検知するように前記複数の制御部を制御する、
請求項8~18のいずれか一項に記載のスイッチシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、スイッチシステムに関し、より詳細には、双方向スイッチを備えるスイッチシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1は、電源と負荷との間の通電経路上に直列に挿入される第1のトランジスタ及び第2のトランジスタと、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタを診断する診断回路と、を備える半導体装置を開示している。
【0003】
診断回路は、電圧印加回路と、電圧判定回路と、を有する。電圧印加回路は、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタが共にオフに制御された状態で、第1のトランジスタと第2のトランジスタの共通接続ノードに診断用電位を印加する。電圧判定回路は、共通接続ノードに印加された診断用電位の変化を検出することで、第1のトランジスタ及び第2のトランジスタのショート故障の有無を判定する。
【0004】
特許文献1に開示された半導体装置の備える診断回路は、共通接続ノードに診断用電圧を印加して診断するので、例えばデュアルゲートの双方向スイッチのような共通接続ノードのない双方向スイッチの場合は診断できない。よって、双方向スイッチの診断方法として、共通接続ノード以外を利用する方法が望まれることがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【0006】
本開示の目的は、双方向スイッチの状態を検知可能なスイッチシステムを提供することにある。
【0007】
本開示に係る一態様のスイッチシステムは、双方向スイッチと、第1ゲート駆動回路と、第2ゲート駆動回路と、制御部と、第1判定部と、第2判定部と、を備える。前記双方向スイッチは、第1ソースと、第2ソースと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第1ソース側にあり、前記第1ソースに対応する第1ゲートと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第2ソース側にあり、前記第2ソースに対応する第2ゲートと、を有する。前記第1ゲート駆動回路は、前記第1ゲートに接続されている。前記第2ゲート駆動回路は、前記第2ゲートに接続されている。前記制御部は、前記第1ゲート駆動回路と前記第2ゲート駆動回路とを制御する。前記第1判定部は、前記制御部から前記第1ゲート駆動回路に前記第1ゲートをオフする信号が出力されている第1期間に、前記第1ゲートの電圧と第1閾値電圧とに基づいて前記第1ゲートの状態を判定する。前記第2判定部は、前記制御部から前記第2ゲート駆動回路に前記第2ゲートをオフする信号が出力されている第2期間に、前記第2ゲートの電圧と第2閾値電圧とに基づいて前記第2ゲートの状態を判定する。
【0008】
本開示に係る一態様のスイッチシステムは、双方向スイッチと、第1ゲート駆動回路と、第2ゲート駆動回路と、制御部と、検知部と、を備える。前記双方向スイッチは、第1ソースと、第2ソースと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第1ソース側にあり、前記第1ソースに対応する第1ゲートと、前記第1ソースと前記第2ソースとの間において前記第1ソース側にあり、前記第2ソースに対応する第2ゲートと、を有する。前記第1ゲート駆動回路は、前記第1ゲートに接続されている。前記第2ゲート駆動回路は、前記第2ゲートに接続されている。前記制御部は、前記第1ゲート駆動回路と前記第2ゲート駆動回路とを制御する。前記検知部は、前記双方向スイッチに接続されている。前記スイッチシステムは、前記双方向スイッチと前記第1ゲート駆動回路と前記第2ゲート駆動回路と前記制御部と前記検知部とのセットを複数備える。前記スイッチシステムでは、前記複数の双方向スイッチが並列接続されている。前記複数の検知部の各々は、前記複数の双方向スイッチのうち当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチ以外の少なくとも1つの双方向スイッチが導通状態のときに、第1状態と、第2状態と、のそれぞれにおいて、当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの状態を検知する。前記第1状態は、当該検知部と同じセットに含まれる制御部が当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第1ゲートをオフする信号を出力し、第2ゲートをオンする信号を出力している状態である。前記第2状態は、当該検知部と同じセットに含まれる制御部が当該検知部と同じセットに含まれる双方向スイッチの第2ゲートをオフする信号を出力し、第1ゲートをオンする信号を出力している状態である。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】
図1は、実施形態1に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図2】
図2は、同上のスイッチシステムの備える双方向スイッチであるデュアルゲート双方向スイッチの断面図である。
【
図3】
図3は、同上のスイッチシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図4】
図4は、同上のスイッチシステムの備える第1ゲート駆動回路及び第2ゲート駆動回路の回路図である。
【
図5】
図5は、同上のスイッチシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図6】
図6は、実施形態2に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図7】
図7は、同上のスイッチシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図8】
図8は、実施形態2の変形例に係るスイッチシステムの動作を説明するためのタイミングチャートである。
【
図9】
図9は、実施形態3に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図10】
図10は、実施形態4に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図14】
図14は、実施形態5に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図15】
図15は、実施形態6に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図16】
図16は、実施形態7に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図17】
図17は、実施形態8に係るスイッチシステムの回路図である。
【
図18】
図18は、同上のスイッチシステムの備えるデュアルゲート双方向スイッチのゲート電圧-ゲート電流特性図である。
【
図19】
図19は、実施形態9に係るスイッチシステム(遮断装置)のブロック図である。
【
図20】
図20は、同上のスイッチシステムの一部省略した回路構成図である。
【
図21】
図21は、同上のスイッチシステムの動作説明用のタイミングチャートである。
【
図22】
図22は、実施形態9の変形例に係るスイッチシステムの一部省略した回路構成図である。
【
図23】
図23は、同上のスイッチシステムの動作を説明するためのタイムチャートである。
【
図24】
図24は、参考例に係るスイッチシステムのブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
(実施形態1)
以下では、実施形態1に係るスイッチシステム20について、
図1~4に基づいて説明する。
【0011】
(1)概要
スイッチシステム20は、
図1に示すように、双方向スイッチ1を備える。双方向スイッチ1は、第1ソースS1と、第2ソースS2と、第1ソースS1に対応する第1ゲートG1と、第2ソースS2に対応する第2ゲートG2と、を有する。スイッチシステム20は、第1外部接続端子Tm1と、第2外部接続端子Tm2と、を備えている。第1外部接続端子Tm1は、第1ソースS1に接続されている。第2外部接続端子Tm2は、第2ソースS2に接続されている。スイッチシステム20では、第1外部接続端子Tm1と第2外部接続端子Tm2との間には、例えば、負荷と電源との直列回路を含む負荷回路が接続される。したがって、スイッチシステム20では、双方向スイッチ1の第1ソースS1と第2ソースS2との間には、例えば、負荷と電源との直列回路を含む負荷回路が接続される。電源は、例えば、交流電源である。
【0012】
スイッチシステム20は、双方向スイッチ1の他に、制御システム10を備える。制御システム10は、第1ゲート駆動回路11と、第2ゲート駆動回路12と、制御部13と、を備える。第1ゲート駆動回路11は、第1ゲートG1に接続されている。第2ゲート駆動回路12は、第2ゲートG2に接続されている。制御部13は、第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12とを制御する。
【0013】
また、制御システム10は、第1判定部21と、第2判定部22と、を更に備える。第1判定部21は、双方向スイッチ1の第1ゲートG1の状態を判定する。第2判定部22は、双方向スイッチ1の第2ゲートG2の状態を判定する。
【0014】
(2)スイッチシステムの各構成要素
(2.1)双方向スイッチ
双方向スイッチ1は、例えば、デュアルゲート双方向スイッチである。デュアルゲート双方向スイッチは、1チップの半導体スイッチ素子である。双方向スイッチ1は、例えば、
図2に示すように、基板102と、第1窒化物半導体層104と、第2窒化物半導体層105と、第1ソース電極171と、第1ゲート電極181と、第2ゲート電極182と、第2ソース電極172と、第1p型層191と、第2p型層192と、を備える。
【0015】
双方向スイッチ1における第1ゲートG1は、第1ゲート電極181と、第1p型層191と、を含む。また、双方向スイッチ1における第2ゲートG2は、第2ゲート電極182と、第2p型層192と、を含む。双方向スイッチ1は、デュアルゲート型のGaN系GIT(Gate Injection Transistor)である。第1窒化物半導体層104は、例えば、GaN層である。第2窒化物半導体層105は、例えば、AlGaN層である。第1p型層191は、例えば、p型AlGaN層である。第2p型層192は、例えば、p型AlGaN層である。
【0016】
第1窒化物半導体層104は、基板102上に形成されている。第2窒化物半導体層105は、第1窒化物半導体層104上に形成されている。第2窒化物半導体層105のバンドギャップは、第1窒化物半導体層104のバンドギャップよりも大きい。第1ソース電極171は、第2窒化物半導体層105上に形成されている。第1ゲート電極181は、第2窒化物半導体層105上に形成されており、第1ソース電極171から離れている。第2ゲート電極182は、第2窒化物半導体層105上に形成されており、第1ゲート電極181から見て第1ソース電極171とは反対側において第1ゲート電極181から離れている。第2ソース電極172は、第2窒化物半導体層105上に形成されており、第2ゲート電極182から見て第1ゲート電極181とは反対側において第2ゲート電極182から離れている。第1p型層191は、第1ゲート電極181と第2窒化物半導体層105との間に介在している。第2p型層192は、第2ゲート電極182と第2窒化物半導体層105との間に介在している。双方向スイッチ1では、基板102上に、第1窒化物半導体層104と第2窒化物半導体層105と第1p型層191及び第2p型層192とを含む積層体110が形成されている。
【0017】
基板102は、例えば、シリコン基板である。基板102は、第1主面121と、第1主面121とは反対側の第2主面122と、を有する。双方向スイッチ1では、積層体110は、基板102の第1主面121上に形成されている。
【0018】
第1窒化物半導体層104は、バッファ層103を介して基板102上に形成されている。ここにおいて、上述の積層体110は、バッファ層103を含む。積層体110では、バッファ層103、第1窒化物半導体層104及び第2窒化物半導体層105は、基板102側からこの順に並んでいる。また、積層体110は、第2窒化物半導体層105上に形成されている第1p型層191及び第2p型層192を含んでいる。バッファ層103は、例えば、アンドープのGaN層である。また、第1窒化物半導体層104を構成するGaN層は、例えば、アンドープのGaN層である。また、第2窒化物半導体層105を構成するAlGaN層は、例えば、アンドープのAlGaN層である。バッファ層103、第1窒化物半導体層104及び第2窒化物半導体層105のそれぞれは、MOVPE(Metal Organic Vapor Phase Epitaxy)等による成長時に不可避的に混入されるMg、H、Si、C、O等の不純物が存在してもよい。
【0019】
第1p型層191及び第2p型層192は、第2窒化物半導体層105の表面115の一部のみを覆っている。したがって、第2窒化物半導体層105の表面115は、第1p型層191及び第2p型層192に覆われている領域と、第1p型層191及び第2p型層192に覆われていない領域と、を含む。第1p型層191と第2p型層192とは、互いに離れている。
【0020】
双方向スイッチ1では、第2窒化物半導体層105は、第1窒化物半導体層104とともにヘテロ接合部HJ1を構成する。第1窒化物半導体層104においては、ヘテロ接合部HJ1の近傍に、2次元電子ガス(Two-Dimensional Electron Gas)が発生している。2次元電子ガスを含む領域(以下、「2次元電子ガス層」ともいう)は、nチャネル層(電子伝導層)として機能することが可能である。双方向スイッチ1では、第1p型層191と第2窒化物半導体層105とnチャネル層とで、第1ダイオード構造(第1pinダイオード構造)を構成している。また、双方向スイッチ1では、第2p型層192と第2窒化物半導体層105とnチャネル層とで、第2ダイオード構造(第2pinダイオード構造)を構成している。
【0021】
第1ソース電極171及び第2ソース電極172は、第2窒化物半導体層105の表面115において第1p型層191及び第2p型層192に覆われていない領域に形成されている。第1ソース電極171と第2ソース電極172とは、互いに離れている。第1ソース電極171及び第2ソース電極172は、ヘテロ接合部HJ1と電気的に接続されている。ここにおいて、「電気的に接続されている」とはオーミック接触していることを意味する。第1ソース電極171及び第2ソース電極172の各々は、例えば、TiとAlとを含んでいる。
【0022】
第1ゲート電極181は、第1p型層191を介して第2窒化物半導体層105上に形成されている。また、第2ゲート電極182は、第2p型層192を介して第2窒化物半導体層105上に形成されている。第1ゲート電極181と第2ゲート電極182との距離は、第1p型層191と第2p型層192との距離よりも長い。第1ゲート電極181及び第2ゲート電極182の各々は、第2窒化物半導体層105の表面115に沿った方向において、対応する第1ソース電極171及び第2ソース電極172それぞれから離れている。第1ゲート電極181及び第2ゲート電極182は、例えば、第1p型層191及び第2p型層192にそれぞれオーミック接触している。第1ゲート電極181及び第2ゲート電極182の各々は、例えば、PdとAuとを含んでいる。
【0023】
双方向スイッチ1では、第2窒化物半導体層105の表面115に沿った一方向において、第1ソース電極171、第1ゲート電極181、第2ゲート電極182及び第2ソース電極172が、この順に並んでいる。第1ソース電極171、第1ゲート電極181、第2ゲート電極182及び第2ソース電極172は、上記一方向において互いに離れている。
【0024】
以下では、説明の便宜上、第1ゲートG1と第1ソースS1との間に第1ソースS1を基準として第1閾値電圧Vth1(
図3参照)未満の電圧が印加されている状態を、第1ゲートG1がオフ状態ともいう。また、第1ゲートG1と第1ソースS1との間に第1ソースS1を基準として第1閾値電圧Vth1以上の電圧が印加されている状態を、第1ゲートG1がオン状態ともいう。また、第2ゲートG2と第2ソースS2との間に第2ソースSを基準として第2閾値電圧Vth2(
図3参照)未満の電圧が印加されている状態を、第2ゲートG2がオフ状態ともいう。また、第2ゲートG2と第2ソースS2との間に第2ソースS2を基準として第2閾値電圧Vth2以上の電圧が印加されている状態を、第2ゲートG2がオン状態ともいう。
【0025】
双方向スイッチ1は、ノーマリオフ型のJFET(Junction Field Effect Transistor)であるが、これに限らず、ノーマリオン型のJFETであってもよい。
【0026】
双方向スイッチ1は、第1ゲートG1及び第2ゲートG2それぞれに与えられる第1ゲート電圧(第1ゲートG1の電圧)及び第2ゲート電圧(第2ゲートG2の電圧)の組み合わせに応じて、双方向オン状態と、双方向オフ状態と、第1のダイオード状態と、第2のダイオード状態と、を切替可能である。第1ゲート電圧は、第1ゲートG1と第1ソースS1との間に印加される電圧である。第2ゲート電圧は、第2ゲートG2と第2ソースS2との間に印加される電圧である。双方向オン状態は、双方向(第1方向A1及び第1方向A1とは反対の第2方向A2)の電流を通過させる状態である。双方向オフ状態は、双方向の電流を阻止する状態である。第1のダイオード状態は、第1方向A1の電流を通過させる状態である。第2のダイオード状態は、第2方向A2の電流を通過させる状態である。第1方向A1の電流は、第1ソースS1から第2ソースS2に向かう電流である。第2方向A2の電流は、第2ソースS2から第1ソースS1に向かう電流である。
【0027】
双方向スイッチ1では、第1ゲートG1がオン状態で、かつ第2ゲートG2がオン状態である場合に双方向オン状態となる。双方向スイッチ1では、第1ゲートG1がオフ状態で、かつ第2ゲートG2がオフ状態である場合に双方向オフ状態となる。双方向スイッチ1では、第1ゲートG1がオフ状態で、かつ第2ゲートG2がオン状態である場合に第1のダイオード状態となる。双方向スイッチ1では、第1ゲートG1がオン状態で、かつ第2ゲートG2がオフ状態である場合に第2のダイオード状態となる。
【0028】
(2.2)制御システム
制御システム10は、
図1に示すように、第1ゲート駆動回路11と、第2ゲート駆動回路12と、制御部13と、を備える。
【0029】
(2.2.1)第1ゲート駆動回路
第1ゲート駆動回路11は、双方向スイッチ1の第1ゲートG1に接続されている。第1ゲート駆動回路11は、例えば、第1ゲートG1に接続されている第1ゲート抵抗Rg1(
図4参照)を含む。第1ゲート駆動回路11は、第1ゲートG1と第1ソースS1との間に接続されており、第1ゲートG1と第1ソースS1との間に、第1ソースS1を基準電位側として第1ゲートG1を高電位側とする第1ゲート電圧を与える。
【0030】
(2.2.2)第2ゲート駆動回路
第2ゲート駆動回路12は、双方向スイッチ1の第2ゲートG2に接続されている。第2ゲート駆動回路12は、例えば、第2ゲートG1に接続されている第2ゲート抵抗Rg2(
図4参照)を含む。第2ゲート駆動回路12は、第2ゲートG2と第2ソースS2との間に接続されており、第2ゲートG2と第2ソースS2との間に、第2ソースS2を基準電位側として第2ゲートG2を高電位側とする第2ゲート電圧を与える。
【0031】
(2.2.3)制御部
制御部13は、第1ゲート駆動回路11及び第2ゲート駆動回路12を制御する。
【0032】
制御部13は、動作モードとして、通常モードと、第1判定モードと、第2判定モードと、を有する。制御部13は、通常モードでは、第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオンする信号を出力するとともに、第2ゲート駆動回路12に第2ゲートG2をオンする信号を出力する。第1ゲートG1をオンする信号は、第1ゲート駆動回路11から第1ゲートG1に与える第1ゲート電圧を第1閾値電圧Vth1よりも大きくする電圧レベルの電圧信号である。第2ゲートG2をオンする信号は、第2ゲート駆動回路12から第2ゲートG2に与える第2ゲート電圧を第2閾値電圧Vth2よりも大きくする電圧レベルの電圧信号である。
【0033】
制御部13は、第1判定モードでは、第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフする信号を第1期間T1の間だけ出力する。第1ゲートG1をオフする信号は、第1ゲート駆動回路11から第1ゲートG1へ与える第1ゲート電圧を第1閾値電圧Vth1未満とする電圧レベルの電圧信号であり、例えば、0Vの電圧信号である。第1ゲートG1の状態は、例えば、第1ゲートG1を正常にオフさせることができる異常なしの状態と、第1ゲートG1を正常にオフさせることができない異常ありの状態と、を含む。スイッチシステム20では、第1ゲートG1の状態が異常ありの状態の場合、双方向スイッチ1が故障している又は第1ゲート駆動回路11が故障している。
【0034】
また、制御部13は、第2判定モードでは、第2ゲート駆動回路12に第2ゲートG2をオフする信号を第2期間T2の間だけ出力する。第2ゲートG2をオフする信号は、第2ゲート駆動回路12から第2ゲートG2へ与える第2ゲート電圧を第2閾値電圧Vth2未満とする電圧レベルの電圧信号であり、例えば、0Vの電圧信号である。第2ゲートG2の状態は、例えば、第2ゲートG2を正常にオフさせることができる異常なしの状態と、第2ゲートG2を正常にオフさせることができない異常ありの状態と、を含む。スイッチシステム20では、第2ゲートG2の状態が異常ありの状態の場合、双方向スイッチ1が故障している又は第2ゲート駆動回路12が故障している。
【0035】
制御部13は、
図3に示すように、第1期間T1と第2期間T2とのタイミングを異ならせて第1期間T1と第2期間T2とが重複しないように、第1ゲート駆動回路11及び第2ゲート駆動回路12を制御する。
【0036】
制御部13は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、1又は複数のコンピュータを有している。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、本開示における制御部13の機能の少なくとも一部が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ(磁気ディスク)等の非一時的記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0037】
制御部13は、第1ゲート駆動回路11に接続されている第1電源と、第2ゲート駆動回路12に接続されている第2電源と、を含んでいるが、これに限らない。
【0038】
制御部13は、
図5に示すように、第1期間T1と第2期間T2とが重なるように第1期間T1のタイミングと第2期間T2のタイミングとを揃えるように、第1ゲート駆動回路11及び第2ゲート駆動回路12を制御してもよい。制御部13は、第1期間T1と第2期間T2の少なくとも一部とが重複するように、第1ゲート駆動回路11及び第2ゲート駆動回路12を制御してもよい。
【0039】
第1期間T1の長さと第2期間T2の長さとは同じであるが、これに限らず、互いに異なってもよい。
【0040】
(2.2.4)第1判定部
第1判定部21は、制御部13から第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフする信号が出力されている第1期間T1(
図3参照)に、第1ゲートG1の電圧である第1ゲート電圧(
図3参照)と第1閾値電圧Vth1(
図3参照)とに基づいて第1ゲートG1の状態を判定する。第1判定部21は、例えば、
図3の上から2段目に例示しているように、第1期間T1(
図3の上から1段目参照)に第1ゲート電圧が第1閾値電圧Vth1未満の場合、第1ゲートG1の状態に関して異常なしと判定し、
図3の上から3段目に例示しているように第1期間T1に第1ゲート電圧が第1閾値電圧Vth1以上の場合、第1ゲートG1の状態に関して異常ありと判定する。
【0041】
第1判定部21は、例えば、第1ゲート電圧と第1閾値電圧Vth1に相当する第1基準電圧とを比較する第1コンパレータを含む。この場合、第1判定部21は、例えば、第1コンパレータの反転端子に第1基準電圧が入力され、第1コンパレータの非反転端子に第1ゲート電圧が入力されるように構成される。第1判定部21では、第1ゲート電圧が第1基準電圧以上の場合は第1コンパレータの出力信号がHレベルとなり、第1ゲート電圧が第1基準電圧未満の場合は第1コンパレータの出力信号がLレベルとなる。第1判定部21では、第1期間T1に第1コンパレータの出力信号がHレベルの場合、第1ゲートG1の状態に関して異常ありと判定していることを意味し、第1期間T1に第1コンパレータの出力信号がLレベルの場合、第1ゲートG1の状態に関して異常なしと判定していることを意味する。スイッチシステム20は、例えば、第1判定部21の判定結果が制御部13に入力されるように構成されていてもよい。
【0042】
(2.2.5)第2判定部
第2判定部22は、制御部13から第2ゲート駆動回路12に第2ゲートG2をオフする信号が出力されている第2期間T2(
図3参照)に、第2ゲートG2の電圧である第2ゲート電圧(
図3参照)と第2閾値電圧Vth2(
図3参照)とに基づいて第2ゲートG2の状態を判定する。第2判定部22は、例えば、
図3の上から5段目に例示しているように、第2期間T2(
図3の上から4段目参照)に第2ゲート電圧が第2閾値電圧Vth2未満の場合、第2ゲートG2の状態に関して異常なしと判定し、
図3の上から6段目に例示しているように第2期間T2に第2ゲート電圧が第2閾値電圧Vth2以上の場合、第2ゲートG2の状態に関して異常ありと判定する。
【0043】
第2判定部22は、例えば、第2ゲート電圧と第2閾値電圧Vth2に相当する第2基準電圧とを比較する第2コンパレータを含む。この場合、第2判定部22は、例えば、第2コンパレータの反転端子に第2基準電圧が入力され、第2コンパレータの非反転端子に第2ゲート電圧が入力されるように構成される。第2判定部22では、第2ゲート電圧が第2基準電圧以上の場合は第2コンパレータの出力信号がHレベルとなり、第2ゲート電圧が第2基準電圧未満の場合は第2コンパレータの出力信号がLレベルとなる。第2判定部22では、第2期間T2に第2コンパレータの出力信号がHレベルの場合、第2ゲートG1の状態に関して異常ありと判定していることを意味し、第2期間T2に第2コンパレータの出力信号がLレベルの場合、第2ゲートG2の状態に関して異常なしと判定していることを意味する。スイッチシステム20は、例えば、第2判定部22の判定結果が制御部13に入力されるように構成されていてもよい。
【0044】
(3)利点
実施形態1に係るスイッチシステム20は、双方向スイッチ1と、第1ゲート駆動回路11と、第2ゲート駆動回路12と、制御部13と、第1判定部21と、第2判定部22と、を備える。双方向スイッチ1は、第1ソースS1と、第2ソースS2と、第1ソースS1と第2ソースS2との間において第1ソースS1側にあり、第1ソースS1に対応する第1ゲートG1と、第1ソースS1と第2ソースS2との間において第2ソースS2側にあり、第2ソースS2に対応する第2ゲートG2と、を有する。第1ゲート駆動回路11は、第1ゲートG1に接続されている。第2ゲート駆動回路12は、第2ゲートG2に接続されている。制御部13は、第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12とを制御する。第1判定部21は、制御部13から第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフする信号が出力されている第1期間T1に、第1ゲートG1の電圧と第1閾値電圧Vth1とに基づいて第1ゲートG1の状態を判定する。第2判定部22は、制御部13から第2ゲート駆動回路12に第2ゲートG2をオフする信号が出力されている第2期間T2に、第2ゲートG2の電圧と第2閾値電圧Vth2とに基づいて第2ゲートG2の状態を判定する。
【0045】
実施形態1に係るスイッチシステム20は、双方向スイッチ1の状態(故障の有無)を検知可能となる。例えば、実施形態1に係るスイッチシステム20では、第1判定部21により第1ゲートG1の状態に関して「異常あり」と判定された場合、第2判定部22により第2ゲートG2の状態に関して「異常あり」と判定された場合のいずれの場合も、双方向スイッチ1が故障していると判断することが可能となる(つまり、双方向スイッチ1の状態を検知可能となる)。また、実施形態1に係るスイッチシステム20では、第1判定部21により第1ゲートG1の状態に関して「異常なし」と判定され、かつ、第2判定部22により第2ゲートG2の状態に関して「異常なし」と判定された場合、双方向スイッチ1が故障していないと判断することが可能となる(つまり、双方向スイッチ1の状態を検知可能となる)。
【0046】
(実施形態2)
以下では、実施形態2に係るスイッチシステム20aについて、
図6及び7に基づいて説明する。なお、実施形態2に係るスイッチシステム20aに関し、実施形態1に係るスイッチシステム20と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0047】
実施形態2に係るスイッチシステム20aは、実施形態1に係るスイッチシステム20における制御システム10の代わりに、制御システム10aを備える。
【0048】
双方向スイッチ1は、
図2に示すように、第1ゲートG1が第1p型層191と第1ゲート電極181とを含み、第2ゲートG2が第2p型層192と第2ゲート電極182とを含んでいる、ノーマリオフ型JFETである。
【0049】
制御システム10aでは、第1ゲート駆動回路11a及び第2ゲート駆動回路12aの回路構成が、制御システム10における第1ゲート駆動回路11及び第2ゲート駆動回路12とは相違する。制御システム10aは、制御システム10における制御部13の代わりに、制御部13aを備えている。
【0050】
第1ゲート駆動回路11aは、
図6に示すように、第1ゲート抵抗R1と、第1スイッチSW1と、第2ゲート抵抗R2と、を有する。第1ゲート抵抗R1は、第1ゲートG1に接続されている。第1スイッチSW1は、第1ゲート抵抗R1に直列接続されており、制御部13によって制御される。第2ゲート抵抗R2は、第1ゲート抵抗R1よりも抵抗値が大きい。第2ゲート抵抗R2は、第1ゲート抵抗R1と第1スイッチSW1との直列回路に並列接続されている。第2ゲート抵抗R2の抵抗値は、双方向スイッチ1であるノーマリオフ型JFETの第1ゲートG1の第1ゲート電圧が第1閾値電圧Vth1を下回るようなゲート電流しか供給できないように決めてある。
【0051】
第2ゲート駆動回路12aは、第3ゲート抵抗R3と、第2スイッチSW2と、第4ゲート抵抗R4と、を有する。第3ゲート抵抗R3は、第2ゲートG2に接続されている。第2スイッチSW2は、第3ゲート抵抗R3に直列接続されており、制御部13によって制御される。第4ゲート抵抗R4は、第3ゲート抵抗R3よりも抵抗値が大きい。第4ゲート抵抗R4は、第3ゲート抵抗R3と第2スイッチSW2との直列回路に並列接続されている。第4ゲート抵抗R4の抵抗値は、双方向スイッチ1であるノーマリオフ型JFETの第2ゲートG2の第2ゲート電圧が第2閾値電圧Vth2を下回るようなゲート電流しか供給できないように決めてある。
【0052】
実施形態2に係るスイッチシステム20aでは、制御部13aが、第1ゲート駆動回路11aの第1スイッチSW1及び第2ゲート駆動回路12aの第2スイッチSW2を制御する。第1スイッチSW1及び第2スイッチSW2の各々は、例えば、ノーマリオフ型の半導体スイッチである。
【0053】
制御部13aは、実施形態1に係るスイッチシステム20における制御部13と同様、動作モードとして、通常モード、第1判定モードと、第2判定モードと、を有し、さらに、第3判定モードと、第4判定モードと、を有する。
【0054】
制御部13aは、通常モードでは、第1ゲート駆動回路11aに第1ゲートG1をオンする信号と第1スイッチSW1をオンする信号とを出力するとともに、第2ゲート駆動回路12aに第2ゲートG2をオンする信号と第2スイッチSW2をオンする信号を出力する。第1ゲートG1をオンする信号は、第1ゲート駆動回路11aから第1ゲートG1に与える第1ゲート電圧を第1閾値電圧Vth1よりも大きくする電圧レベルの電圧信号である。第2ゲートG2をオンする信号は、第2ゲート駆動回路12aから第2ゲートG2に与える第2ゲート電圧を第2閾値電圧Vth2よりも大きくする電圧レベルの電圧信号である。
【0055】
制御部13aは、第1判定モードでは、第1ゲート駆動回路11aに第1ゲートG1をオフする信号を第1期間T1の間だけ出力するとともに第1スイッチSW1をオンする信号を出力する。第1ゲートG1をオフする信号は、第1ゲート駆動回路11aから第1ゲートG1へ与える第1ゲート電圧を第1閾値電圧Vth1未満とする電圧レベルの電圧信号であり、例えば、0Vの電圧信号である。第1ゲートG1の状態は、例えば、第1ゲートG1を正常にオフさせることができる異常なしの状態と、第1ゲートG1を正常にオフさせることができない異常ありの状態と、を含む。スイッチシステム20aでは、第1ゲートG1の状態が異常ありの状態の場合、双方向スイッチ1が故障している又は第1ゲート駆動回路11aが故障している。
【0056】
また、制御部13aは、第2判定モードでは、第2ゲート駆動回路12aに第2ゲートG2をオフする信号を第2期間T2の間だけ出力するとともに第2スイッチSW2をオンする信号を出力する。第2ゲートG2をオフする信号は、第2ゲート駆動回路12aから第2ゲートG2へ与える第2ゲート電圧を第2閾値電圧Vth2未満とする電圧レベルの電圧信号であり、例えば、0Vの電圧信号である。第2ゲートG2の状態は、例えば、第2ゲートG2を正常にオフさせることができる異常なしの状態と、第2ゲートG2を正常にオフさせることができない異常ありの状態と、を含む。スイッチシステム20aでは、第2ゲートG2の状態が異常ありの状態の場合、双方向スイッチ1が故障している又は第2ゲート駆動回路12aが故障している。
【0057】
制御部13aは、第3判定モードでは、第3期間T3(
図7参照)において、第1ゲートG1をオンする信号と第1スイッチSW1をオフする信号とを出力する。
【0058】
制御部13aは、第4判定モードでは、第4期間T4(
図7参照)において、第2ゲートG2をオンする信号と第2スイッチSW2をオフする信号とを出力する。
【0059】
第1判定部21は、制御部13aの第1判定モードにおいて制御部13aから第1ゲート駆動回路11aに第1スイッチSW1をオンする信号が出力されるとともに第1ゲートG1をオフする信号が出力されている第1期間T1(
図3参照)に、第1ゲートG1の電圧である第1ゲート電圧(
図3参照)と第1閾値電圧Vth1(
図3参照)とに基づいて第1ゲートG1の状態を判定する。第1判定部21は、例えば、
図3の上から2段目に例示しているように、第1期間T1(
図3の上から1段目参照)に第1ゲート電圧が第1閾値電圧Vth1未満の場合、第1ゲートG1の状態に関して異常なしと判定し、
図3の上から3段目に例示しているように第1期間T1に第1ゲート電圧が第1閾値電圧Vth1以上の場合、第1ゲートG1の状態に関して異常ありと判定する。
【0060】
第2判定部22は、制御部13aの第2判定モードにおいて制御部13aから第2ゲート駆動回路12aに第2スイッチSW2をオンする信号が出力されるとともに第2ゲートG2をオフする信号が出力されている第2期間T2(
図3参照)に、第1ゲートG1の電圧である第1ゲート電圧(
図3参照)と第1閾値電圧Vth1(
図3参照)とに基づいて第1ゲートG1の状態を判定する。第2判定部22は、例えば、
図3の上から5段目に例示しているように、第2期間T2(
図3の上から4段目参照)に第1ゲート電圧が第1閾値電圧Vth1未満の場合、第1ゲートG1の状態に関して異常なしと判定し、
図3の上から6段目に例示しているように第2期間T2に第2ゲート電圧が第2閾値電圧Vth2以上の場合、第2ゲートG2の状態に関して異常ありと判定する。
【0061】
第1判定部21は、制御部13aの第3判定モードにおいて、制御部13aから第1ゲートG1をオンする信号と第1スイッチSW1をオフする信号とが出力されているとき(第3期間T3)に、
図7の上から3段目のように第1ゲートG1の電圧が第1閾値電圧Vth1を下回った場合に異常なしと判定し、
図7の上から4段目のように第1ゲートG1の電圧が第1閾値電圧Vth1を上回った場合に異常(異常あり)と判定する。
【0062】
第2判定部22は、制御部13aの第4判定モードにおいて、制御部13aから第2ゲートG2をオンする信号と第2スイッチSW2をオフする信号とが出力されているとき(第4期間T4)に、
図7の上から6段目のように第2ゲートG2の電圧が第2閾値電圧Vth2を下回った場合に異常なしと判定し、
図7の上から8段目のように第2ゲートG2の電圧が第2閾値電圧Vth2を上回った場合に異常(異常あり)と判定する。
【0063】
実施形態2に係るスイッチシステム20aは、制御部13aの第1判定モード及び第2判定モードにおいて、双方向スイッチ1の状態(故障の有無)を判定可能となる。
【0064】
また、実施形態2に係るスイッチシステム20aは、制御部13aの第3判定モードにおいて第1判定部21で異常ありと判定された場合に、第1ゲートG1がオープン状態にある(双方向スイッチ1がショートしている状態にある)との判定が可能となる。
【0065】
また、実施形態2に係るスイッチシステム20aは、制御部13aの第4判定モードにおいて第2判定部22で異常ありと判定された場合に、第2ゲートG2がオープン状態にある(双方向スイッチ1がショートしている状態にある)との判定が可能となる。
【0066】
(実施形態2の変形例)
実施形態2の変形例に係るスイッチシステム20aの回路構成は、
図6に示した実施形態2に係るスイッチシステム20aの回路構成と同じなので図示及び説明を省略する。
【0067】
実施形態2の変形例に係るスイッチシステム20aでは、制御部13aが、通常モードにおいて第1判定部21に判定動作を行わせ、通常モードにおいて第2判定部22に判定動作を行わせる点で、実施形態2に係るスイッチシステム20aと相違する。
【0068】
第1判定部21は、
図8の上から1段目及び2段目に示すように、制御部13aから第1ゲートG1をオンする信号と第1スイッチSW1をオンする信号とが出力されているとき(つまり、制御部13aが通常モードで動作しているとき)に、第1ゲートG1の電圧が第1閾値電圧Vth1を下回った場合(
図8の上から5段目参照)に第1ゲートG1の状態を異常(異常あり)と判定する。この場合の異常は、第1ゲートG1のショート不良(第1pinダイオード構造がショートして抵抗値が小さくなっている不良)であり、双方向スイッチ1ではオープン不良である。
【0069】
第2判定部22は、
図8の上から6段目及び7段目に示すように、制御部13aから第2ゲートG2をオンする信号と第2スイッチSW2をオンする信号とが出力されているとき(つまり、制御部13aが通常モードで動作しているとき)に、第2ゲートG2の電圧が第2閾値電圧Vth2を下回った場合(
図8の上から10段目参照)に第2ゲートG2の状態を異常(異常あり)と判定する。この場合の異常は、第2ゲートG2のショート不良(第2pinダイオード構造がショートして抵抗値が小さくなっている不良)であり、双方向スイッチ1ではオープン不良である。
【0070】
また、第1判定部21は、
図8の上から1段目及び2段目に示すように、制御部13aから第1ゲートG1をオンする信号と第1スイッチSW1をオフする信号とが出力されているとき(第3期間T3)に、第1ゲートG1の電圧が第1閾値電圧Vth1を上回った場合(
図8の上から4段目参照)に第1ゲートG1の状態を異常(異常あり)と判定する。この場合の異常は、第1ゲートG1のオープン不良であり、双方向スイッチ1ではショート不良である。
【0071】
また、第2判定部22は、
図8の上から6段目及び7段目に示すように、制御部13aから第2ゲートG2をオンする信号と第2スイッチSW2をオフする信号とが出力されているとき(第4期間T4)に、第2ゲートG2の電圧が第2閾値電圧Vth2を上回った場合(
図8の上から9段目参照)に第2ゲートG2の状態を異常(異常あり)と判定する。この場合の異常は、第2ゲートG2のオープン不良であり、双方向スイッチ1ではショート不良である。
【0072】
実施形態2の変形例に係るスイッチシステム20aでは、第1判定部21において第1ゲートG1のショート不良を判定できるので、第1ゲートG1の状態がショート不良の場合、例えば、制御部13aにおいて、第1ゲートG1をオフ状態からオン状態に移行できないことを知ることが可能となる。
【0073】
また、実施形態2の変形例に係るスイッチシステム20aでは、第2判定部22において第2ゲートG2のショート不良を判定できるので、第2ゲートG2の状態がショート不良の場合、例えば、制御部13aにおいて、第2ゲートG2をオフ状態からオン状態に移行できないことを知ることが可能となる。
【0074】
(実施形態3)
以下では、実施形態3に係るスイッチシステム20bについて、
図9に基づいて説明する。なお、実施形態3に係るスイッチシステム20bに関し、実施形態1に係るスイッチシステム20と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0075】
スイッチシステム20bは、双方向スイッチ1を複数(図示例では、3つ)備え、第1判定部21を複数(図示例では、3つ)備え、第2判定部22を複数(図示例では、3つ)備える。また、スイッチシステム20bは、制御部13を複数(図示例では、3つ)備える。スイッチシステム20bは、複数の制御システム10を備えている。
【0076】
スイッチシステム20bでは、複数の双方向スイッチ1が並列接続されている。スイッチシステム20bは、1つの第1外部接続端子Tm11と、1つの第2外部接続端子Tm12と、を更に備える。スイッチシステム20bでは、第1外部接続端子Tm11に、複数の双方向スイッチ1の第1ソースS1が接続され、第2外部接続端子Tm12に、複数の双方向スイッチ1の第2ソースS2が接続されている。
【0077】
複数の第1判定部21及び複数の第2判定部22は、複数の双方向スイッチ1に一対一に対応している。
【0078】
スイッチシステム20bでは、複数の制御システム10は、複数の双方向スイッチ1に一対一に対応している。
【0079】
スイッチシステム20bは、複数の制御部13を制御するコントローラ8を更に備えている。
【0080】
スイッチシステム20bは、通常は複数の双方向スイッチ1を同じ状態(オン状態又はオフ状態)に制御するが、複数の双方向スイッチ1の故障診断を行うときには、以下の動作を行う。
【0081】
スイッチシステム20bでは、複数(例えば3つ)の双方向スイッチ1のうち少なくとも1つ(例えば、1つ又は2つ)の双方向スイッチ1を非検知対象の双方向スイッチ1として非検知対象の双方向スイッチ1の第1ソースS1と第2ソースS2との間に電流を通電させている間に、複数の双方向スイッチ1のうち検知対象の双方向スイッチ1の第1ゲートG1の状態及び第2ゲートG2の状態を第1判定部21及び第2判定部22それぞれによって判定させる。これにより、スイッチシステム20bは、第1外部接続端子Tm11と第2外部接続端子Tm12との間に流れる電流を遮断することなく、検知対象の双方向スイッチ1の第1ゲートG1の状態を当該検知対象の双方向スイッチ1に対応する第1判定部21によって判定させることが可能となるとともに、検知対象の双方向スイッチ1の第2ゲートG2の状態を当該検知対象の双方向スイッチ1に対応する第2判定部22によって判定させることが可能となる。よって、スイッチシステム20bは、例えば、電流遮断器として適用する場合、故障診断のために電流を遮断することなく、故障診断が可能となる。
【0082】
複数の双方向スイッチ1の数が3つ以上の場合、非検知対象の双方向スイッチ1への電流集中を抑制する観点では、検知対象とする双方向スイッチ1の数は、1つであるのが好ましい。スイッチシステム20bでは、複数の双方向スイッチ1のうち検知対象とする双方向スイッチ1を1つの双方向スイッチ1のみとし、検知対象の双方向スイッチ1以外の双方向スイッチ1の全部を非検知対象の双方向スイッチ1とすることにより、非検知対象の双方向スイッチ1の熱破壊を抑制でき、複数の双方向スイッチ1それぞれの長寿命化を図ることが可能となる。
【0083】
スイッチシステム20bでは、コントローラ8が、複数の双方向スイッチ1のうち非検知対象の双方向スイッチ1と検知対象の双方向スイッチ1とを決定し、複数の双方向スイッチ1に一対一に対応する複数の制御部13を制御するが、これに限らない。例えば、複数の制御システム10の各々が予め決められたタイムスケジュールに従って、当該制御システム10に対応する双方向スイッチ1を検知対象の双方向スイッチ1として制御するか、対応する双方向スイッチ1を非検知対象の双方向スイッチ1として制御するか決めてもよい。
【0084】
(実施形態4)
以下では、実施形態4に係るスイッチシステム20cについて、
図10に基づいて説明する。なお、実施形態4に係るスイッチシステム20cに関し、実施形態3に係るスイッチシステム20bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0085】
実施形態4に係るスイッチシステム20cは、双方向スイッチ1と、第1ゲート駆動回路11と、第2ゲート駆動回路12と、制御部13と、検知部14と、を備える。検知部14は、双方向スイッチ1に接続されている。スイッチシステム20cでは、検知部14は、双方向スイッチ1の第1ソースS1に接続されており、第1ソースS1と第2ソースS2との間に流れる電流を検知する。検知部14は、例えば、
図12に示すように、双方向スイッチ1に直列に接続されている電流検出用の抵抗16を含む。抵抗16は、第1端16A及び第2端16Bを有している。抵抗16の第1端16Aは、双方向スイッチ1の第1ソースS1に接続されている。抵抗16の第2端16Bは、第1外部接続端子Tm11に接続されている。これにより、検知部14は、抵抗16に流れる電流を抵抗16の電圧に変換して検出することができる。
【0086】
また、検知部14は、
図11に示すように、判定部15を更に含む。判定部15は、双方向スイッチ1に流れている電流が所定値未満であるか否かを判定する。判定部15は、例えば、
図12に示すように、抵抗16の両端電圧を絶対値に変換する変換回路151と、変換回路151から出力される絶対値と所定電圧と比較する比較回路152と、を含む。比較回路152は、例えば、コンパレータである。所定電圧は、双方向スイッチ1のオフ状態において双方向スイッチ1に流れる可能性のあるリーク電流の電流値(例えば、1nA以下)に相当する。これにより、判定部15は、抵抗16の両端電圧の絶対値と所定電圧とを比較することにより、双方向スイッチ1に流れている電流が所定値未満であるか否かを判定する。これにより、双方向スイッチ1に流れる電流の向きが第1方向A1(
図1参照)であるか第2方向A2(
図1参照)であるかにかかわらず、双方向スイッチ1に流れている電流が所定値未満であるか否かを判定することが可能となる。
【0087】
実施形態4に係るスイッチシステム20cは、実施形態3に係るスイッチシステム20bにおける第1判定部21及び第2判定部22の代わりに、上述の検知部14を備えている。
【0088】
スイッチシステム20cは、双方向スイッチ1と第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12と制御部13と検知部14とのセットを複数(図示例では、3つ)備える。スイッチシステム20cは、複数(図示例では、3つ)の制御部13を制御するコントローラ8を備える。
【0089】
複数(図示例では、3つ)の検知部14の各々は、複数の双方向スイッチ1のうち当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1以外の少なくとも1つの双方向スイッチ1が導通状態のときに、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13の第1状態と第2状態とのそれぞれにおいて、当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の状態を検知する。第1状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している状態である。第2状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ゲートG2をオフする信号を出力している状態である。
【0090】
以上説明した実施形態4に係るスイッチシステム20cは、双方向スイッチ1と、第1ゲート駆動回路11と、第2ゲート駆動回路12と、制御部13と、検知部14と、を備える。双方向スイッチ1は、第1ソースS1と、第2ソースS2と、第1ソースS1に対応する第1ゲートG1と、第2ソースS2に対応する第2ゲートG2と、を有する。第1ゲート駆動回路11は、第1ゲートG1に接続されている。第2ゲート駆動回路12は、第2ゲートG2に接続されている。制御部13は、第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12とを制御する。検知部14は、双方向スイッチ1に接続されている。スイッチシステム20cは、双方向スイッチ1と第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12と制御部13と検知部14とのセットを複数備える。スイッチシステム20cでは、複数の双方向スイッチ1が並列接続されている。複数の検知部14の各々は、複数の双方向スイッチ1のうち当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1以外の少なくとも1つの双方向スイッチ1が導通状態のときに、第1動作モードの状態と、第2動作モードの状態と、のそれぞれにおいて、当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の状態を検知する。第1動作モードの状態では、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している。第2動作モードの状態では、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ゲートG2をオフする信号を出力し、第1ゲートG1をオンする信号を出力している。
【0091】
実施形態4に係るスイッチシステム20cは、複数の双方向スイッチ1の状態を検知することが可能となる。
【0092】
ところで、実施形態3に係るスイッチシステム20bでは、複数の双方向スイッチ1の第1ゲートG1の状態及び第2ゲートG2の状態を判定している。これに対して、実施形態4に係るスイッチシステム20cでは、複数の双方向スイッチ1の各々について電流遮断の可否を検知することが可能となる。スイッチシステム20cでは、例えば、複数の双方向スイッチ1の各々について制御部13が第1状態及び第2状態それぞれの場合に、検知部14において双方向スイッチ1の第1ソースS1に流れる電流を検知することで双方向スイッチ1の通電の有無を検知する。通電の有無に関し、通電有りは、検知部14において検知される電流が第1所定値以上である場合であり、通電無しは、検知部14において検知される電流が第2所定値未満である場合である。第2所定値は、第1所定値よりも小さい。第2所定値は、例えば、1nAである。
【0093】
複数の制御部13の各々は、第1状態のときには当該制御部13と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1に状態検知用の第1オフ電圧を印加させ、第2状態のときには当該制御部13と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ゲートG2に状態検知用の第2オフ電圧を印加させる。第1オフ電圧の電圧レベルは、制御部13が通常動作の場合に第1ゲートG1をオフさせるときの電圧の電圧レベルとは異なる。第2オフ電圧の電圧レベルは、制御部13が通常動作の場合に第2ゲートG2をオフさせるときの電圧の電圧レベルとは異なる。なお、第1閾値電圧と第1オフ電圧との差分は、双方向スイッチ1の電圧差よりも大きい。第2閾値電圧と第2オフ電圧との差分は、双方向スイッチ1の電圧差よりも大きい。
【0094】
スイッチシステム20cでは、複数の判定部15の各々は、
図12の構成に限らない。例えば、複数の判定部15の各々は、
図13に示すように、抵抗16の第2端16Bの電位を基準として第1端16Aの電位と第2端16Bの電位とを比較する第1比較回路17Aと、抵抗16の第1端16Aの電位を基準として第2端16Bの電位と第1端16Aの電位とを比較する第2比較回路17Bと、を含む構成であってもよい。
【0095】
第1比較回路17Aは、第1コンパレータを含む。第1比較回路17Aでは、第1コンパレータの非反転端子に抵抗16の第1端16Aが接続され、第1コンパレータの反転端子に抵抗16の第2端16Bが接続されている。これにより、第1比較回路17Aは、制御部13が双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号と第2ゲートG2をオンする信号とを出力しているときに、双方向スイッチ1の第2ソースS2から第1ソースS1に向かう向きに電流が流れたか否かを判定することができる。
【0096】
第2比較回路17Bは、第2コンパレータを含む。第2比較回路17Bでは、第2コンパレータの非反転端子に抵抗16の第2端16Bが接続され、第2コンパレータの反転端子に抵抗16の第1端16Aが接続されている。これにより、第2比較回路17Bは、制御部13が双方向スイッチ1の第2ゲートG2をオフする信号と第1ゲートG1をオンする信号とを出力しているときに、双方向スイッチ1の第1ソースS1から第2ソースS2に向かう向きに電流が流れたか否かを判定することができる。
【0097】
以下では、説明の便宜上、第1外部接続端子Tm11の電位をVs1とし、第2外部接続端子Tm12の電位をVs2として説明することもある。
【0098】
実施形態4に係るスイッチシステム20cは、例えば、Vs2>Vs1の場合、制御部13が第1ゲートG1をオンする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している状態から、第2ゲートG2をオフする信号を出力し、第1ゲートG1をオンする信号を出力する第2状態に変わったときに、ソース電流の通電があれば高電位側ゲートである第2ゲートG2が異常と判定し、ソース電流(第2ソースS2から第1ソースS1に向かう電流)の通電がなければ第2ゲートG2が正常と判定することができる。
【0099】
また、実施形態4に係るスイッチシステム20cは、例えば、Vs2>Vs1の場合、制御部13が第1ゲートG1をオンする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している状態から、第1ゲートG1をオフする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力する第1状態に変わったときに、ソース電流の通電があれば低電位側ゲートである第1ゲートG1を異常と判定し、ソース電流の通電がなければ第1ゲートG1を正常と判定することができる。
【0100】
スイッチシステム20cは、Vs2>Vs1の場合と、Vs2<Vs1の場合と、のそれぞれの状態に応じて通電の有無(ソース電流が流れたか否か)を検知して、双方向に電流をブロックできることを確認するのが好ましい。
【0101】
Vs2>Vs1の場合は、低電位側ゲートである第1ゲートG1をオフすることで、双方向スイッチ1がソース電流をオフできる(ソース電流が所定値よりも小さくなる)か否か判定できる(ソース電流をオフできるか否かを直接判定できる)が、第2ゲートG2についてはダイオードモードからの間接的な判定である(ダイオードモードに移行するかどうかを判定している)。よって、Vs2<Vs1の場合に、第2ゲートG2をオフすることで、双方向スイッチ1がソース電流をオフできるか否かも判定したほうが良い。要するに、Vs2>Vs1となる場合と、Vs2<Vs1となる場合と、のそれぞれについて、低電位側ゲートをオフすることでソース電流が所定値よりも小さくなるか否かを判定することを、1セットの判定とするのが好ましい。
【0102】
(実施形態5)
以下では、実施形態5に係るスイッチシステム20dについて、
図14に基づいて説明する。なお、実施形態5に係るスイッチシステム20dに関し、実施形態4に係るスイッチシステム20cと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0103】
実施形態5に係るスイッチシステム20dでは、複数の検知部14の各々が抵抗16を2つ有する。2つの抵抗16は、当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ソースS1に接続されている第1抵抗161と、当該判定部15と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ソースS2に接続されている第2抵抗162と、を含む。
【0104】
実施形態5に係るスイッチシステム20dでは、複数の検知部14の各々は、第1判定回路18Aと、第2判定回路18Bと、を含む。第1判定回路18Aは、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が第1状態のときに、第1抵抗161の両端電圧が第1基準電圧を上回った場合は異常と判定する。第2判定回路18Bは、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が第2状態のときに、第2抵抗162の両端電圧が第2基準電圧を上回った場合は異常と判定する。第1状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している状態である。第2状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ゲートG2をオフする信号を出力し、第1ゲートG1をオンする信号を出力している状態である。
【0105】
第1判定回路18Aは、例えば、第1抵抗161の両端電圧と第1基準電圧とを比較するコンパレータを含む。これにより、第1判定回路18Aは、制御部13が双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号と第2ゲートG2をオンする信号とを出力しているときに、双方向スイッチ1の第2ソースS2から第1ソースS1に向かう向きに電流が流れたか否かを判定することができる。
【0106】
第2判定回路18Bは、例えば、第2抵抗162の両端電圧と第2基準電圧とを比較するコンパレータを含む。これにより、第2判定回路18Bは、制御部13が双方向スイッチ1の第2ゲートG2をオフする信号と第1ゲートG1をオンする信号とを出力しているときに、双方向スイッチ1の第1ソースS1から第2ソースS2に向かう向きに電流が流れたか否かを判定することができる。
【0107】
(実施形態6)
以下では、実施形態6に係るスイッチシステム20eについて、
図15に基づいて説明する。なお、実施形態6に係るスイッチシステム20eに関し、実施形態5に係るスイッチシステム20dと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0108】
実施形態6に係るスイッチシステム20eでは、複数の検知部14の各々が、第1コンパレータCP1と、第2コンパレータCP2と、第1発光ダイオード141と、第2発光ダイオード142と、を含む。第1コンパレータCP1の非反転端子は、第1抵抗161における第1ソースS1側の第1端に接続されている。第1コンパレータCP1の反転端子は、第1抵抗161における第1端とは反対側の第2端に接続されている。第2コンパレータCP2の非反転端子は、第2抵抗162における第2ソースS2側の第1端に接続されている。第2コンパレータCP2の反転端子は、第2抵抗162における第1端とは反対側の第2端に接続されている。第1発光ダイオード141のアノードは、第1コンパレータCP1の出力端子に接続されている。第1発光ダイオード141のカソードは、第1抵抗161の第2端に接続されている。第2発光ダイオード142のアノードは、第2コンパレータCP2の出力端子に接続されている。第2発光ダイオード142のカソードは、第2抵抗162の第2端に接続されている。
【0109】
実施形態6に係るスイッチシステム20eでは、双方向スイッチ1の第2ソースS2から第1ソースS1に向かう電流が流れているときには、第1発光ダイオード141が発光し、双方向スイッチ1の第1ソースS1から第2ソースS2に向かう電流が流れているときには、第2発光ダイオード142が発光する。実施形態6に係るスイッチシステム20eでは、双方向スイッチ1に電流が流れないときには、第1発光ダイオード141及び第2発光ダイオード142のいずれも消灯する。
【0110】
(実施形態7)
以下では、実施形態7に係るスイッチシステム20fについて、
図16に基づいて説明する。なお、実施形態7に係るスイッチシステム20fに関し、実施形態4に係るスイッチシステム20cと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0111】
スイッチシステム20fでは、複数の検知部14の各々が、当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の温度を検出する温度検出部19を含む。
【0112】
複数の検知部14の各々は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が第1状態のときに、温度検出部19による検出温度が閾値温度を上回った場合は当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1を異常と判定する。第1状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している状態である。制御部13の第1状態において双方向スイッチ1の第1ゲートG1がオフされれば双方向スイッチ1の発熱量が低下する。
【0113】
複数の検知部14の各々は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が第2状態のときに、温度検出部19による検出温度が閾値温度を上回った場合は当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1を異常と判定する。第2状態は、複数の検知部14の各々は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオンする信号を出力し、第2ゲートG2をオフする信号を出力している状態である。制御部13の第2状態において双方向スイッチ1の第2ゲートG2がオフされれば双方向スイッチ1の発熱量が低下する。
【0114】
実施形態7に係るスイッチシステム20fは、双方向スイッチ1の温度変化によって双方向スイッチ1の電流に関する異常の有無を判定することが可能となる。
【0115】
(実施形態8)
以下では、実施形態8に係るスイッチシステム20gについて、
図17及び18に基づいて説明する。なお、実施形態8に係るスイッチシステム20gに関し、実施形態3に係るスイッチシステム20bと同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0116】
実施形態8に係るスイッチシステム20gでは、複数の双方向スイッチ1の各々は、上述の
図2に示すように、第1ゲートG1が第1p型層191と第1ゲート電極181とを含み、第2ゲートG2が第2p型層192と第2ゲート電極182とを含んでいる、ノーマリオフ型JFETである。
【0117】
実施形態8に係るスイッチシステム20gでは、複数の検知部14の各々は、第1検知部14Aと、第2検知部14Bと、を含む。
【0118】
第1検知部14Aは、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が第2状態のときに、第1ゲートG1の電圧に基づいて当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ソースS1と第2ソースS2との間の通電状態を検知する。第2状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ゲートG2をオフする信号を出力し、第1ゲートG1をオンする信号を出力している状態である。
【0119】
第2検知部14Bは、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が第1状態のときに、第2ゲートG2の電圧に基づいて当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ソースS1と第2ソースS2との間の通電状態を検知する。第1状態は、当該検知部14と同じセットに含まれる制御部13が当該検知部14と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフする信号を出力し、第2ゲートG2をオンする信号を出力している状態である。
【0120】
スイッチシステム20gでは、複数の第1ゲート駆動回路11の各々は、当該第1ゲート駆動回路11と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第1ゲートG1に接続されている第1ゲート抵抗Rg1(
図4参照)を含む。また、複数の第2ゲート駆動回路12の各々は、当該第2ゲート駆動回路12と同じセットに含まれる双方向スイッチ1の第2ゲートG2に接続されている第2ゲート抵抗Rg2(
図4参照)を含む。複数の第1検知部14Aの各々は、当該第1検知部14Aと同じセットに含まれる双方向スイッチ1に接続されている第1ゲート抵抗Rg1の両端電圧が第1所定電圧(例えば、所定電圧Vth)を上回った場合に当該第1検知部14Aと同じセットに含まれる双方向スイッチ1を異常と判定する。
【0121】
複数の第2検知部14Bの各々は、当該第2検知部14Bと同じセットに含まれる双方向スイッチ1に接続されている第2ゲート抵抗Rg2の両端電圧が第2所定電圧(例えば、所定電圧Vth)を上回った場合に当該第2検知部14Bと同じセットに含まれる双方向スイッチ1を異常と判定する。
【0122】
デュアルゲート型のGaN系GITにより構成される双方向スイッチ1は、例えば、ゲート(例えば、第1ゲートG1)とソース(例えば、第1ソースS1)との間に印加されるゲート電圧をVgとし、ゲートに流れるゲート電流をIgとすると、
図18に示すような電圧-電流特性を有する。
図18において、実線B2は、実線B1よりも温度が低い場合の電圧-電流特性を示している。また、
図18においては、抵抗負荷線L1を一点鎖線で示している。所定電圧Vthは、実線B1と負荷抵抗線L1との交点に対応するゲート電圧と、実線B2と負荷抵抗線L1との交点に対応するゲート電圧と、の間の電圧である。
【0123】
(実施形態9)
以下では、実施形態9に係るスイッチシステム20hについて、
図19~23に基づいて説明する。なお、実施形態9に係るスイッチシステム20hに関し、実施形態1に係るスイッチシステム20と同様の構成要素には同一の符合を付して説明を適宜省略する。
【0124】
(1)スイッチシステム(遮断装置)
実施形態9に係るスイッチシステム20hは、半導体スイッチである双方向スイッチ1と、第1ゲート駆動回路11と、第2ゲート駆動回路12と、診断装置3と、を備える。スイッチシステム20hは、双方向スイッチ1によって電源7から負荷9への給電路80を開閉するように構成されている遮断装置である。
【0125】
電源7は、例えば、太陽電池又は蓄電池等の直流電源である。ただし、電源7は、商用の交流電源から供給される交流電力を直流電力に電力変換する電力変換装置等であってもよい。
【0126】
負荷9は、例えば、電動機及び電動機を駆動する駆動装置、あるいは、太陽電池から供給される直流電力を交流電力に電力変換するパワーコンディショナ等が好ましい。
【0127】
(2)半導体スイッチ
(2.1)半導体スイッチの構造
半導体スイッチである双方向スイッチ1は、第1方向A1と、第2方向A2と、の二つの方向に対して個別に電流を遮断することが可能であることが好ましい。実施形態9における半導体スイッチは、ゲートとソースの組合せを二組備えたデュアルゲート型の双方向スイッチ1である。双方向スイッチ1は、具体的には、デュアルゲート型のGaN系GIT(GIT:Gate Injection Transistor)である。
【0128】
双方向スイッチ1は、上述の第1p型層191及び第2p型層192を備えたノーマリオン型のJFETである。双方向スイッチ1では、第1閾値電圧Vth1は、例えば、-8Vであり、第2閾値電圧Vth2は、例えば、-8Vである。双方向スイッチ1は、第1p型層191及び第2p型層192を備えずに、例えば、アンドープのAlGaN層により構成される第2窒化物半導体層105に第1ゲートG1及び第2ゲートG2のそれぞれの第1ゲート電極181及び第2ゲート電極182がショットキー接合されている構造を採用してもかまわない。
【0129】
(2.2)双方向スイッチの動作
双方向スイッチ1は、ノーマリオン型のJFETであるので、第1ゲートG1及び第2ゲートG2が逆バイアスされたとき、すなわち、第1ソースS1の電位Vs1に対して第1ゲートG1の電位が第1閾値電圧Vth1未満となるように逆バイアスされるとともに第2ソースS2の電位に対して第2ゲートG2の電位が第2閾値電圧Vth2未満となるように逆バイアスされたときにオフする。
【0130】
以下では、説明の便宜上、第1ソースS1と第1ゲートG1との間に第1ソースS1を基準として第1閾値電圧Vth1以上の電圧が印加されている状態(第1ゲートG1が逆バイアスされていない状態)を、第1ゲートG1のオン状態ともいう。また、第1ソースS1と第1ゲートG1との間に第1ソースS1を基準として第1閾値電圧Vth1未満の電圧が印加されている状態(第1ゲートG1が逆バイアスされている状態)を、第1ゲートG1のオフ状態ともいう。また、第2ソースS2と第2ゲートG2との間に第2ソースS2を基準として第2閾値電圧Vth2以上の電圧が印加されている状態(第2ゲートG2が逆バイアスされていない状態)を、第2ゲートG2のオン状態ともいう。また、第2ソースS2と第2ゲートG2との間に第2ソースS2を基準として第2閾値電圧Vth2未満の電圧が印加されている状態(第2ゲートG2が逆バイアスされている状態)を、第2ゲートG2のオフ状態ともいう。
【0131】
双方向スイッチ1は、第1ゲートG1がオン状態で、かつ第2ゲートG2がオン状態である場合(双方向オン状態の場合)、第1ソースS1と第2ソースS2との間において、第1方向A1及び第2方向A2の双方向に電流を流すことができる。より詳細には、双方向スイッチ1は、双方向オン状態の場合、第1ソースS1が第2ソースS2よりも高電位のときに第1方向A1へ電流が流れる。また、双方向スイッチ1は、双方向オン状態の場合、第2ソースS2が第1ソースS1よりも高電位のときに第2方向A2へ電流が流れる。
【0132】
双方向スイッチ1は、第1ゲートG1がオフ状態で、かつ第2ゲートG2がオフ状態である場合(双方向オフ状態の場合)、第1ソースS1と第2ソースS2との間において、第1方向A1及び第2方向A2の双方向に電流を流すことができない。より詳細には、双方向スイッチ1は、双方向オフ状態の場合、第1ソースS1が第2ソースS2よりも高電位のときに第1方向A1へ流れる電流が遮断される。また、第2ソースS2が第1ソースS1よりも高電位のときに第2方向A2へ流れる電流が遮断される。
【0133】
双方向スイッチ1は、第1ゲートG1がオン状態で、かつ第2ゲートG2がオフ状態である場合(第2のダイオード状態の場合)、ダイオードとして機能する。より詳細には、双方向スイッチ1は、第2のダイオード状態の場合、第2ソースS2が第1ソースS1よりも高電位のときには第2方向A2に電流が流れ、かつ、第1ソースS1が第2ソースS2よりも高電位のときには第1方向A1に流れる電流が遮断される。
【0134】
双方向スイッチ1は、第1ゲートG1がオフ状態で、かつ第2ゲートG2がオン状態である場合(第1のダイオード状態の場合)、ダイオードとして機能する。より詳細には、双方向スイッチ1は、第1のダイオード状態の場合、第1ソースS1が第2ソースS2よりも高電位のときには第1方向A1に電流が流れ、かつ、第2ソースS2が第1ソースS1よりも高電位のときには第2方向A2に流れる電流が遮断される。
【0135】
実施形態9おける双方向スイッチ1において、第1閾値電圧と第2閾値電圧は等しくてもよいし、等しくなくてもよい。
【0136】
以上説明したスイッチシステム20hにより構成される遮断装置は、双方向スイッチ1がノーマリオン型であるため、電源7から負荷9への給電中に双方向スイッチ1で消費される電力をほぼゼロにすることができる。また、遮断装置は、負荷9に異常が生じた場合等に電源7から負荷9(第1方向A1)に流れる電流を遮断することができる。さらに、遮断装置は、電源7と負荷9との間に接続される半導体スイッチが双方向スイッチ1であるので、例えば、電源7に異常が生じた場合等に負荷9から電源7(第2方向A2)に逆流する電流を遮断することができる。
【0137】
(3)ゲート駆動回路
スイッチシステム20hは、二つのゲート駆動回路、すなわち、第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12を備えている(
図19参照)。
【0138】
第1ゲート駆動回路11は、
図20に示すように、電源端子T11、出力端子T12、グランド端子T13及び信号入力端子T14等を有する集積回路で構成されている。この集積回路は、例えば、絶縁型ゲート・ドライバIC(Integrated Circuit)である。第1ゲート駆動回路11のグランド端子T13には、第1ソースS1の電位Vs1と負電源4の電源電圧Veeとの差分の電圧(Vs1-Vee)が入力される。第1ゲート駆動回路11の電源端子T11は、双方向スイッチ1の第1ソースS1と電気的に接続されている(
図19及び
図20参照)。つまり、第1ゲート駆動回路11の電源端子T11には、グランド端子T13の電位(Vs1-Vee)を基準として負電源4の電源電圧Veeが入力される(
図20参照)。第1ゲート駆動回路11の出力端子T12は、スイッチング素子Q1を介して第1ゲートG1と電気的に接続されている。第1ゲート駆動回路11の信号入力端子T14には、後述する制御回路32から制御信号が入力される。負電源4は、直流電源であり、第1ゲート駆動回路11のグランド端子T13に負極が接続され、正極が第1ソースS1に接続される。これにより、第1ゲート駆動回路11は、双方向スイッチ1の第1ゲートG1と第1ソースS1との間に第1ソースS1を基準として第1ゲートG1を低電位側とする負バイアス電圧(第1閾値電圧Vth1よりも小さな負電圧)を印加することができる。
【0139】
スイッチング素子Q1は、エンハンスメント形のnチャネルMOSFET(Metal Oxide Semiconductor Field Effect Transistor)である。スイッチング素子Q1のソースが第1ゲート駆動回路11の出力端子T12と電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のドレインが第1ゲートG1と電気的に接続されている。スイッチング素子Q1のゲートは、制御回路32と電気的に接続されている。スイッチング素子Q1は、制御回路32によってオン・オフ(スイッチング)される。すなわち、スイッチング素子Q1がオン状態のとき、第1ゲート駆動回路11の出力端子T12は、スイッチング素子Q1を介して第1ゲートG1と導通する。一方、スイッチング素子Q1がオフ状態のとき、第1ゲート駆動回路11の出力端子T12は、第1ゲートG1との導通をスイッチング素子Q1に阻止されて第1ゲートG1と導通しない。
【0140】
第1ゲート駆動回路11は、制御回路32に制御されて、出力端子T12の電圧(出力電圧)を、第1閾値電圧Vth1よりも絶対値の大きい電圧(例えば、-10V)と、第1閾値電圧Vth1よりも絶対値の小さい電圧(例えば、0V)と、のいずれかに択一的に切り替える。つまり、第1ゲート駆動回路11が出力端子T12の出力電圧を第1閾値電圧Vth1よりも絶対値の小さい電圧に切り替えると、双方向スイッチ1の第1ゲートG1がオン状態となる。一方、第1ゲート駆動回路11が出力端子T12から第1閾値電圧Vth1よりも絶対値の大きい電圧を出力すると、双方向スイッチ1の第1ゲートG1がオフ状態となる。
【0141】
なお、第2ゲート駆動回路12は第1ゲート駆動回路11と共通の回路構成を有している。つまり、第2ゲート駆動回路12は、第1ゲート駆動回路11と同様に、制御回路32に制御されて第2ゲートG2をオン状態とオフ状態に択一的に切り替えるように構成されている。
【0142】
(4)診断装置
診断装置3は、第1ゲートG1及び第1ソースS1の組の故障を診断する診断装置3Aと、第2ゲートG2及び第2ソースS2の組の故障を診断する診断装置3Bとを有している(
図19参照)。ただし、これら二つの診断装置3A、3Bは共通の構成を有しているので、以下では、第1ゲートG1及び第1ソースS1の組の故障を診断する診断装置3(3A)について説明する。
【0143】
診断装置3は、電圧印加回路30と、判定回路31と、制御回路32と、を備えている(
図20参照)。ただし、制御回路32については、二つの診断装置3A、3Bが共用してもかまわない。この場合、実施形態9に係るスイッチシステム20hでは、制御回路32が、第1ゲート駆動回路11と第2ゲート駆動回路12とを制御する制御部を構成する。
【0144】
(4.1)電圧印加回路
電圧印加回路30は、集積回路300と、ゲート抵抗としての抵抗器Rgと、を備えている。集積回路300は、
図20に示すように、電源端子T21、出力端子T22、グランド端子T23及び信号入力端子T24等を有する。
【0145】
集積回路300は、例えば、絶縁型ゲート・ドライバICで構成されることが好ましい。集積回路300のグランド端子T23は、第1ソースS1と電気的に接続されている(
図20参照)。つまり、集積回路300のグランド端子T23には、第1ソースS1の電位Vs1が入力されている。集積回路300の電源端子T21は、正電源5を介して双方向スイッチ1の第1ソースS1と電気的に接続されている(
図20参照)。つまり、集積回路300の電源端子T21には、グランド端子T23の電位を基準(0V)として、正電源5の電源電圧Vccが入力されている(
図20参照)。集積回路300の出力端子T22は、抵抗器Rgを介して第1ゲートG1と電気的に接続されている。集積回路300の信号入力端子T24には、制御回路32から制御信号が入力される。
【0146】
電圧印加回路30は、制御回路32に制御されて、第1ゲートG1に対して試験電圧Vxを印加する(
図20参照)。集積回路300は、信号入力端子T24に制御回路32から制御信号が入力されると、出力端子T22から一定の電流(試験電流Ixと呼ぶ。)を出力する。すなわち、試験電圧Vxは、集積回路300の出力端子T22から出力される試験電流Ixの大きさ(電流値)と抵抗器Rgの抵抗値によって決まる。なお、試験電圧Vxは、第1ゲートG1の第1p型層191と第2窒化物半導体層105とnチャネル層とで構成されている第1ダイオード構造(ダイオード)の順方向電圧よりも低くない電圧(順方向電圧よりも大きな電圧)であることが好ましい。試験電圧Vxは、例えば、3~4Vである。
【0147】
(4.2)制御回路及び判定回路
制御回路32は、マイクロコントローラを主構成要素とする。判定回路31は、制御回路32とマイクロコントローラを共用している。例えば、判定回路31は、マイクロコントローラに搭載されているコンパレータを主構成要素とする。判定回路31は、双方向スイッチ1の第1ゲートG1に対して試験電圧Vxが印加されているときの第1ソースS1に対する第1ゲートG1の電圧(ゲート電圧Vgx)に基づいて双方向スイッチ1の故障を判定する。具体的には、判定回路31は、ゲート電圧Vgxを判定用閾値電圧と比較することにより、双方向スイッチ1の故障の有無を判定する。なお、ゲート電圧Vgxは、アナログ電圧のままで判定回路31に入力されてもよいし、マイクロコントローラに搭載されているAD変換器によってアナログ電圧からディジタル値にAD変換されて判定回路31に入力されてもよい。以下の説明においては、判定回路31に入力されるゲート電圧Vgxはディジタル値とする。
【0148】
(4.3)判定回路の動作
正常な双方向スイッチ1において、第1ゲート駆動回路11が第1ゲートG1をオン状態としている場合、第1ゲートG1の電位と第1ソースS1の電位の差(電位差)は、ほぼ0Vとなる。このとき、診断装置3Aの電圧印加回路30から第1ゲートG1に試験電圧Vxが印加されると、第1ゲートG1の電位が第1ソースS1の電位よりも大きく(高く)なるが、第1ゲートG1のオン状態は維持される。また、試験電圧Vxが印加されたとき、双方向スイッチ1が正常であれば、試験電流Ixが、第1ゲートG1の第1p型層191と第2窒化物半導体層105とチャネル層とを含む第1ダイオード構造に流れる(
図20参照)。したがって、判定回路31に入力するゲート電圧Vgxは、第1ゲートG1のの第1p型層191を含む第1ダイオード構造(言い換えると、第1ゲートG1と第1ソースS1の間に形成されるダイオード)に試験電流Ixが流れたときの順方向電圧とほぼ等しい電圧となる。
【0149】
一方、双方向スイッチ1が故障している場合、例えば、第1ゲートG1の第1p型層191を含む第1ダイオード構造が短絡故障している場合(ショート不良の場合)、ゲート電圧Vgxがほぼ0Vとなる。また、第1ゲートG1のpn接合が開放故障している場合(オープン不良の場合)、ゲート電圧Vgxは不定となる。
【0150】
そこで、判定回路31は、第1ゲートG1の第1p型層191を含む第1ダイオード構造に試験電流Ixが流れたときの順方向電圧よりも小さく(低く)、かつ、0Vよりも大きい(高い)閾値とゲート電圧Vgxを比較する。判定回路31は、所定の診断期間(例えば、数十ミリ秒から数百ミリ秒)において、ゲート電圧Vgxが閾値以上となる期間(閾値以上となるゲート電圧Vgxのディジタル値の個数)が診断期間の90~95%以上であれば、双方向スイッチ1が正常と判定することが好ましい。また、判定回路31は、診断期間において、ゲート電圧Vgxが閾値未満となる期間(閾値以上となるゲート電圧Vgxのディジタル値の個数)が診断期間の90~95%以上であれば、双方向スイッチ1が短絡故障していると判定することが好ましい。さらに、判定回路31は、診断期間において、ゲート電圧Vgxが閾値以上となる期間が90~95%未満、かつ、ゲート電圧Vgxが閾値未満となる期間が90~95%未満であれば、双方向スイッチ1が開放故障していると判定することが好ましい。ただし、判定回路31が故障(短絡故障及び開放故障)か否かの判定に使用する数値(90~95%等)は一例であり、例示した数値に限定されない。
【0151】
(4.4)制御回路の動作
制御回路32は、第1ゲート駆動回路11、電圧印加回路30及び判定回路31を各別に制御する。制御回路32は、第1ゲート駆動回路11の信号入力端子T14に制御信号CS1を出力する(
図20参照)。制御回路32は、制御信号CS1を出力する(制御信号CS1をHレベルとする)ことで第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオンさせ、制御信号CS1を出力しない(制御信号CS1をLレベルとする)ことで第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフさせる(
図21参照)。なお、制御回路32は、制御信号CS1をHレベルとするとともに、制御信号CS3をHレベルとしてスイッチング素子Q1をオンさせることで第1ゲートG1をオンさせる。
【0152】
また、制御回路32は、電圧印加回路30の信号入力端子T24に制御信号CS2を出力する(
図20参照)。制御回路32は、制御信号CS2を出力する(制御信号CS2をHレベルとする)ことで電圧印加回路30から第1ゲートG1に試験電圧Vxを印加させ、制御信号CS2を出力しない(制御信号CS2をLレベルとする)ことで電圧印加回路30~第1ゲートG1に試験電圧Vxを印加させない(
図21参照)。
【0153】
さらに、制御回路32は、スイッチング素子Q1のゲートに制御信号CS3を出力する(
図20参照)。制御回路32は、制御信号CS3を出力する(制御信号CS3をHレベルとする)ことでスイッチング素子Q1をオンさせ、制御信号CS3を出力しない(制御信号CS3をLレベルとする)ことでスイッチング素子Q1をオフさせる(
図21参照)。
【0154】
(4.5)診断装置の動作
図21のタイミングチャートを参照して診断装置3(3A)の動作を更に詳しく説明する。なお、
図21における最上段は双方向スイッチ1の状態(オン状態及びオフ状態)を示している。ただし、双方向スイッチ1のオン状態とは、双方向スイッチ1の動作モードが双方向オン状態を意味し、双方向スイッチ1のオフ状態とは、双方向スイッチ1の動作モードが双方向オフ状態を意味する。双方向オン状態では、双方向スイッチ1の抵抗が双方向オフ状態のときの双方向スイッチ1の抵抗よりも小さくなり、例えば、双方向スイッチ1の第2ソースS2と第1ソースS1との間の電圧がほぼ0Vである。また、
図21における上から2段目は制御信号CS1を示し、上から3段目は制御信号CS2を示し、上から4段目は制御信号CS3を示している。そして、
図21における最下段はゲート電圧Vgxを示している。
【0155】
時間t=t1以前において、制御回路32は、制御信号CS3を出力してスイッチング素子Q1をオンさせた状態で制御信号CS1を出力している。その結果、双方向スイッチ1の第1ゲートG1と第1ソースS1との電位差(ゲート電圧Vgx)が第1ゲート駆動回路11によってほぼ0Vに維持されて双方向スイッチ1がオンしている。また、制御回路32は、制御信号CS2を出力しないことで電圧印加回路30を停止状態(電圧印加回路30から第1ゲートG1に試験電圧Vxを印加しない状態)に制御している。
【0156】
時間t=t1になると、制御回路32は、制御信号CS1、CS3を出力したままで制御信号CS2を出力して電圧印加回路30を動作状態(電圧印加回路30から第1ゲートG1に試験電圧Vxを印加する状態)に制御する。このとき、スイッチング素子Q1がオン状態であるため、電圧印加回路30から出力される試験電流Ixの一部が、スイッチング素子Q1を介して第1ゲート駆動回路11に流れる。その結果、ゲート電圧Vgxは、0Vから徐々に大きく(高く)なる。
【0157】
時間t=t2になると、制御回路32は、制御信号CS1、CS2を出力したままで制御信号CS3の出力を止めてスイッチング素子Q1をオフする。スイッチング素子Q1がオフすると、電圧印加回路30から出力される試験電流Ixの一部が第1ゲート駆動回路11に流れなくなる。双方向スイッチ1が正常であれば、スイッチング素子Q1がオフした直後にゲート電圧Vgxが試験電圧Vxまで急激に立ち上がる。そして、制御回路32は、制御信号CS3の出力を止めた後、判定回路31を動作させる。
【0158】
時間t=t3になると、制御回路32は、制御信号CS1を出力したままで制御信号CS2の出力を止めて電圧印加回路30に試験電流Ixの出力を停止させ、かつ、制御信号CS3を出力してスイッチング素子Q1をオンする。そして、制御回路32は、時間t=t2から時間t=t3の期間(診断期間)において、判定回路31が行った故障診断の結果、すなわち、故障の有無及び故障の種類(短絡故障及び開放故障)を判定回路31から受け取る。なお、制御回路32は、判定回路31から受け取った故障診断の結果を、例えば、液晶ディスプレイ等の表示装置に表示させることが好ましい。あるいは、制御回路32は、負荷9の動作を制御するシステムに対して故障診断の結果を報告してもかまわない。
【0159】
制御回路32は、双方向スイッチ1が正常である場合において、例えば、負荷9の動作を制御するシステム(以下、負荷制御システムともいう)の指示に応じて、制御信号CS1の出力を停止することにより、第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフさせる(時間t=t4)。第1ゲートG1がオフすれば、双方向スイッチ1がオフして電源7と負荷9の間の給電路80が遮断される。また、制御回路32は、双方向スイッチ1が正常である場合において、例えば、負荷制御システムの指示に応じて、制御信号CS1の出力を再開することにより、第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオンさせる(時間t=t5)。第1ゲートG1がオンすれば、双方向スイッチ1がオンして電源7と負荷9の間の給電路80が遮断されなくなる。
【0160】
なお、制御回路32は、一方の診断装置3Aを動作させて第1ゲートG1と第1ソースS1の組の故障を診断した後、他方の診断装置3Bを動作させて第2ゲートG2と第2ソースS2の組の故障を診断することが好ましい。また、制御回路32は、上述した故障診断を定期的に行うことが好ましい。
【0161】
(5)診断装置及びスイッチシステム(遮断装置)の効果
上述のように診断装置3(3A、3B)は、ソース(第1ソースS1、第2ソースS2)に対してゲート(第1ゲートG1、第2ゲートG2)が逆バイアスされていない状態において電圧印加回路30からゲートに試験電圧Vxを印加する。また、診断装置3は、試験電圧Vxが印加されているときのソースに対するゲートの電圧(ゲート電圧Vgx)に基づいて、判定回路31によって双方向スイッチ1の故障を判定する。つまり、遮断装置を構成するスイッチシステム20hは、双方向スイッチ1をオンして電源7から負荷9への給電を継続した状態で双方向スイッチ1の故障を診断することができる。したがって、双方向スイッチ1を備えるスイッチシステム20hでは、双方向スイッチ1の故障を診断するために電源7から負荷9への給電を停止する必要がない。
【0162】
また、診断装置3(3A)は、スイッチング素子Q1をオフすることにより、試験電流Ixが第1ゲート駆動回路11の方に漏れることを防いでいる。その結果、判定回路31に取り込まれるゲート電圧Vgxの変動を抑えて故障診断に要する時間の短縮を図り、かつ、故障診断の精度の向上を図ることができる。
【0163】
診断装置3Aでは、診断装置3Aの備える判定回路31が、制御部から第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフする信号が出力されている第1期間T1に、第1ゲートG1の電圧と第1閾値電圧Vth1とに基づいて第1ゲートG1の状態を判定する第1判定部を構成してもよい。診断装置3Bでは、診断装置3Bの備える判定回路31が、制御部から第2ゲート駆動回路12に第2ゲートG2をオフする信号が出力されている第2期間T1に、第2ゲートG2の電圧と第2閾値電圧Vth2とに基づいて第2ゲートG2の状態を判定する第2判定部を構成してもよい。
【0164】
(6)診断装置の変形例
(6.1)実施形態と変形例の相違点
以下、実施形態9に係るスイッチシステム20hの診断装置3の変形例について、
図22に基づいて説明する。変形例の診断装置3は、集積回路300のグランド端子T23を第1ゲート駆動回路11のグランド端子T13とともに負電源4の負極に電気的に接続している点で、実施形態9に係るスイッチシステム20hの診断装置3と相違する。また、変形例の診断装置3は、集積回路300の出力端子T22と抵抗器(第1抵抗器)Rg11の間にダイオード301が順方向に接続されている点で、実施形態9に係るスイッチシステム20hの診断装置3と相違する。さらに、変形例の診断装置3は、スイッチング素子Q1に代えて第2抵抗器Rg12が第1抵抗器Rg11と第1ゲート駆動回路11の出力端子T12の間に挿入されている点で、実施形態9に係るスイッチシステム20hの診断装置3と相違する。なお、これらの相違点を除けば、変形例の診断装置3は、実施形態9に係るスイッチシステム20hの診断装置3と共通の構成を有している。したがって、実施形態9に係るスイッチシステム20hの診断装置3と共通の構成については、同一の符号を付して適宜図示及び説明を省略する。
【0165】
(6.2)変形例の診断装置の動作
図23のタイミングチャートを参照して変形例の診断装置3(3A)の動作を詳しく説明する。なお、
図23における最上段は双方向スイッチ1の状態(オン状態及びオフ状態)を示している。また、
図23における上から2段目は制御信号CS1を示し、上から3段目は制御信号CS2を示している。そして、
図23における最下段はゲート電圧Vgxを示している。
【0166】
時間t=t1以前において、制御回路32は、制御信号CS1を出力することにより、双方向スイッチ1の第1ゲートG1と第1ソースS1との電位差(ゲート電圧Vgx)を第1ゲート駆動回路11によってほぼ0Vに維持させて双方向スイッチ1をオンしている。また、制御回路32は、制御信号CS2を出力しないことで電圧印加回路30を停止状態に制御している。
【0167】
時間t=t1になると、制御回路32は、制御信号CS1を出力したままで制御信号CS2を出力して電圧印加回路30を動作状態に制御し、かつ、判定回路31を動作させる。このとき、電圧印加回路30から出力される試験電流Ixの一部は、第1ゲート駆動回路11の方にも流れようとするが、第1抵抗器Rg11と第1ゲート駆動回路11との間に挿入されている第2抵抗器Rg12によって限流される。その結果、ゲート電圧Vgxは、ほぼ0Vから試験電圧Vxまで直ちに立ち上がる。
【0168】
時間t=t2になると、制御回路32は、制御信号CS1を出力したままで制御信号CS2の出力を止めて電圧印加回路30に試験電流Ixの出力を停止させる。そして、制御回路32は、時間t=t1から時間t=t2の期間(診断期間)において、判定回路31が行った故障診断の結果を判定回路31から受け取る。
【0169】
制御回路32は、双方向スイッチ1が正常である場合において、例えば、負荷制御システムの指示に応じて、制御信号CS1の出力を停止することにより、第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオフさせる(時間t=t3)。第1ゲートG1がオフすれば、双方向スイッチ1がオフして電源7と負荷9の間の給電路80が遮断される。また、制御回路32は、双方向スイッチ1が正常である場合において、例えば、負荷制御システムの指示に応じて、制御信号CS1の出力を再開することにより、第1ゲート駆動回路11に第1ゲートG1をオンさせる(時間t=t4)。第1ゲートG1がオンすれば、双方向スイッチ1がオンして電源7と負荷9の間の給電路80が遮断されなくなる。
【0170】
ここで、変形例の診断装置3では、第1ゲートG1がオフしている場合、集積回路300の出力端子T22の電位が第1ゲート駆動回路11の出力端子T12の電位(-Vee)と等しくなる。そのため、第1ゲートG1から電圧印加回路30へ漏れ電流が流れる可能性がある。そこで、変形例の診断装置3では、集積回路300の出力端子T22と第1抵抗器Rg11の間に、出力端子T22にアノードを接続する向きでダイオード301を挿入することにより、電圧印加回路30に流れる漏れ電流を阻止している。
【0171】
なお、制御回路32は、一方の診断装置3Aを動作させて第1ゲートG1と第1ソースS1の組の故障を診断した後、他方の診断装置3Bを動作させて第2ゲートG2と第2ソースS2の組の故障を診断することが好ましい。また、制御回路32は、上述した故障診断を定期的に行うことが好ましい。
【0172】
(6.3)変形例の診断装置の効果
変形例の診断装置3は、スイッチング素子Q1を用いないことにより、実施形態9に係るスイッチシステム200hの診断装置3に比べて、回路構成の簡素化等を図ることができる。
【0173】
(7)スイッチシステム(遮断装置)、診断装置の参考例
次に、スイッチシステム(遮断装置)及び診断装置の参考例について
図24を参照して説明する。参考例のスイッチシステム20rは、双方向スイッチ1と、双方向スイッチ1を駆動するゲート駆動回路(第1ゲート駆動回路11、第2ゲート駆動回路12)と、参考例の診断装置6とを備える。参考例のスイッチシステム20rは、実施形態9に係るスイッチシステム20hと同様に双方向スイッチ1によって電源7から負荷9への給電路80を開閉するように構成されている。なお、双方向スイッチ1、電源7及び負荷9は実施形態9における双方向スイッチ1、電源7及び負荷9と共通であるから、説明を省略する。
【0174】
ここで、双方向スイッチ1の高電位側のゲートとソース(第1ゲートG1と第1ソースS1)との間の第1ダイオード構造が短絡故障している場合、第2ソースS2の電位を基準とする第1ソースS1の電位(第1ソースS1の電位と第2ソースS2の電位との電位差)はほぼ0Vとなる。一方、双方向スイッチ1の第1ゲートG1と第1ソースS1の間の第1ダイオード構造が正常である場合、第2ソースS2の電位と第1ソースS1の電位との電位差は、第1ゲートG1と第1ソースS1との間の第1ダイオード構造の順方向電圧に応じた値となる。
【0175】
そこで、参考例の診断装置6は、第1ゲート駆動回路11を制御して双方向スイッチ1の第1ゲートG1をオフさせた状態において、第2ソースS2の電位と第1ソースS1の電位との電位差を閾値と比較する。そして、参考例の診断装置6は、第2ソースS2の電位と第1ソースS1の電位との電位差が閾値以上であれば、双方向スイッチ1を正常と判定する。また、参考例の診断装置6は、第2ソースS2の電位と第1ソースS1の電位との電位差が閾値未満であれば、双方向スイッチ1(の第1ゲートG1)が短絡故障していると判定する。
【0176】
上述のように参考例の診断装置6は、双方向スイッチ1の高電位側のゲートとソース(第1ゲートG1と第1ソースS1)との間のダイオード構造(第1ダイオード構造)を直接的に診断することにより、より正確に双方向スイッチ1の故障を診断することができる。
【0177】
(変形例)
上記の実施形態1~9は、本開示の様々な実施形態の一つに過ぎない。上記の実施形態1~9は、本開示の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能であり、互いに異なる実施形態の互いに異なる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【0178】
例えば、双方向スイッチ1は、第2窒化物半導体層105の表面115において第1ゲートG1及び第2ゲートG2の各々の直下にリセス構造を有していてもよい。
【0179】
また、双方向スイッチ1における第1p型層191及び第2p型層192の各々は、p型AlGaN層に限らず、例えば、p型GaN層であってもよいし、p型金属酸化物半導体層であってもよい。p型金属酸化物半導体層は、例えば、NiO層である。NiO層は、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム、ルビジウム及びセシウムの群から選ばれる少なくとも1種のアルカリ金属を不純物として含んでいてもよい。また、NiO層は、例えば、不純物として添加されたときに一価となる銀、銅等の遷移金属を含んでいてもよい。
【0180】
双方向スイッチ1の各々は、バッファ層103と第1窒化物半導体層104との間に、1層以上の窒化物半導体層を含んでいてもよい。また、バッファ層103は、単層構造に限らず、例えば、超格子構造を有していてもよい。
【0181】
また、双方向スイッチ1における基板102は、シリコン基板に限らず、例えば、GaN基板、SiC基板、サファイア基板等であってもよい。
【0182】
また、双方向スイッチ1は、デュアルゲート型の双方向スイッチに限らず、例えば、2つのFETのドレイン同士を接続したコモンドレイン型の双方向スイッチであってもよい。
【0183】
(態様)
以上説明した実施形態1~9等から本明細書には以下の態様が開示されている。
【0184】
第1の態様に係るスイッチシステム(20;20a;20b;20h)は、双方向スイッチ(1)と、第1ゲート駆動回路(11;11a)と、第2ゲート駆動回路(12;12a)と、制御部(13;13a)と、第1判定部(21)と、第2判定部(22)と、を備える。双方向スイッチ(1)は、第1ソース(S1)と、第2ソース(S2)と、第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間において第1ソース(S1)側にあり、第1ソース(S1)に対応する第1ゲート(G1)と、第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間において第2ソース(S2)側にあり、第2ソース(S2)に対応する第2ゲート(G2)と、を有する。第1ゲート駆動回路(11;11a)は、第1ゲート(G1)に接続されている。第2ゲート駆動回路(12;12a)は、第2ゲート(G2)に接続されている。制御部(13;13a)は、第1ゲート駆動回路(11;11a)と第2ゲート駆動回路(12;12a)とを制御する。第1判定部(21)は、制御部(13;13a)から第1ゲート駆動回路(11;11a)に第1ゲート(G1)をオフする信号が出力されている第1期間(T1)に、第1ゲート(G1)の電圧と第1閾値電圧(Vth1)とに基づいて第1ゲート(G1)の状態を判定する。第2判定部(22)は、制御部(13)から第2ゲート駆動回路(12;12a)に第2ゲート(G2)をオフする信号が出力されている第2期間(T2)に、第2ゲート(G2)の電圧と第2閾値電圧(Vth2)とに基づいて第2ゲート(G2)の状態を判定する。
【0185】
第1の態様に係るスイッチシステム(20;20a;20b;20h)は、双方向スイッチ(1)の状態を検知可能となる。
【0186】
第2の態様に係るスイッチシステム(20a;20b)では、第1の態様において、双方向スイッチ(1)は、第1ゲート(G1)が第1p型層(191)と第1ゲート電極(181)とを含み、第2ゲート(G2)が第2p型層(192)と第2ゲート電極(182)とを含んでいる、ノーマリオフ型JFETである。第1ゲート駆動回路(11a)は、第1ゲート抵抗(R1)と、第1スイッチ(SW1)と、第2ゲート抵抗(R2)と、を有する。第1ゲート抵抗(R1)は、第1ゲート(G1)に接続されている。第1スイッチ(SW1)は、第1ゲート抵抗(R1)に直列接続されており、制御部(13)によって制御される。第2ゲート抵抗(R2)は、第1ゲート抵抗(R1)よりも抵抗値が大きい。第2ゲート抵抗(R2)は、第1ゲート抵抗(R1)と第1スイッチ(SW1)との直列回路に並列接続されている。第2ゲート駆動回路(12a)は、第3ゲート抵抗(R3)と、第2スイッチ(SW2)と、第4抵抗(R4)と、を有する。第3ゲート抵抗(R3)は、第2ゲート(G2)に接続されている。第2スイッチ(SW2)は、第3ゲート抵抗(R3)に直列接続されており、制御部(13)によって制御される。第4ゲート抵抗(R4)は、第3ゲート抵抗(R3)よりも抵抗値が大きい。第4ゲート抵抗(R4)は、第3ゲート抵抗(R3)と第2スイッチ(SW2)との直列回路に並列接続されている。
【0187】
第3の態様に係るスイッチシステム(20a;20b)では、第2の態様において、第1判定部(21)は、制御部(13a)から第1ゲート(G1)をオンする信号と第1スイッチ(SW1)をオンする信号とが出力されているときに、第1ゲート(G1)の電圧が第1閾値電圧(Vth1)を下回った場合に異常と判定する。第1判定部(21)は、制御部(13)から第1ゲート(G1)をオンする信号と第1スイッチ(SW1)をオフする信号とが出力されているときに、第1ゲート(G1)の電圧が第1閾値電圧(Vth1)を上回った場合に異常と判定する。第2判定部(22)は、制御部(13a)から第2ゲート(G2)をオンする信号と第2スイッチ(SW2)をオンする信号とが出力されているときに、第2ゲート(G2)の電圧が第2閾値電圧(Vth2)を下回った場合に異常と判定する。第2判定部(22)は、制御部(13)から第2ゲート(G2)をオンする信号と第2スイッチ(SW2)をオフする信号とが出力されているときに、第2ゲート(G2)の電圧が第2閾値電圧(Vth2)を上回った場合に異常と判定する。
【0188】
第3の態様に係るスイッチシステム(20a;20b)は、制御部(13a)において、第1ゲート(G1)をオフ状態からオン状態に移行できない異常及び第2ゲート(G2)をオフ状態からオン状態に移行できない異常の発生を知ることが可能となる。
【0189】
第4の態様に係るスイッチシステム(20;20a;20b)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、第1期間(T1)と第2期間(T2)の少なくとも一部とが重複している。
【0190】
第4の態様に係るスイッチシステム(20;20a;20b)は、第1期間(T1)と第2期間(T2)の少なくとも一部とが重複しない場合と比べて、双方向スイッチ(1)の状態を検知するために必要な時間を短くすることが可能となる。
【0191】
第5の態様に係るスイッチシステム(20;20a;20b)では、第1~3の態様のいずれか一つにおいて、前記第1期間(T1)と第2期間(T2)とのタイミングが異なる。
【0192】
第6の態様に係るスイッチシステム(20b)は、第1~5の態様のいずれか一つにおいて、双方向スイッチ(1)を複数備え、第1判定部(21)を複数備え、第2判定部(22)を複数備える。スイッチシステム(20)では、複数の双方向スイッチ(1)が並列接続されている。複数の第1判定部(21)及び複数の第2判定部(22)は、複数の双方向スイッチ(1)に一対一に対応している。スイッチシステム(20b)は、複数の双方向スイッチ(1)のうち少なくとも1つの双方向スイッチ(1)を非検知対象の双方向スイッチ(1)として非検知対象の双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間に電流を通電させている間に、複数の双方向スイッチ(1)のうち検知対象の双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)の状態及び第2ゲート(G2)の状態を第1判定部(21)及び第2判定部(22)それぞれによって判定させる。
【0193】
第6の態様に係るスイッチシステム(20b)は、複数の双方向スイッチ(1)のうち少なくとも1つの1つの双方向スイッチ(1)を非検知対象の双方向スイッチ(1)として非検知対象の双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間に電流を通電させている状態で、検知対象の双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)の状態及び第2ゲート(G2)の状態を第1判定部(21)及び第2判定部(22)それぞれによって判定することができる。
【0194】
第7の態様に係るスイッチシステム(20b)では、第6の態様において、スイッチシステム(20b)は、複数の双方向スイッチ(1)のうち検知対象とする双方向スイッチ(1)を1つの双方向スイッチ(1)のみとし、検知対象の双方向スイッチ(1)以外の双方向スイッチ(1)の全部を非検知対象の双方向スイッチ(1)とする。
【0195】
第7の態様に係るスイッチシステム(20b)は、複数の双方向スイッチ(1)それぞれの長寿命化を図ることが可能となる。
【0196】
第8の態様に係るスイッチシステム(20c)は、双方向スイッチ(1)と、第1ゲート駆動回路(11)と、第2ゲート駆動回路(12)と、制御部(13)と、検知部(14)と、を備える。双方向スイッチ(1)は、第1ソース(S1)と、第2ソース(S2)と、第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間において第1ソース(S1)側にあり、第1ソース(S1)に対応する第1ゲート(G1)と、第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間において第2ソース(S2)側にあり、第2ソース(S2)に対応する第2ゲート(G2)と、を有する。第1ゲート駆動回路(11)は、第1ゲート(G1)に接続されている。第2ゲート駆動回路(12)は、第2ゲート(G2)に接続されている。制御部(13)は、第1ゲート駆動回路(11)と第2ゲート駆動回路(12)とを制御する。検知部(14)は、双方向スイッチ(1)に接続されている。スイッチシステム(20c)は、双方向スイッチ(1)と第1ゲート駆動回路(11)と第2ゲート駆動回路(12)と制御部(13)と検知部(14)とのセットを複数備える。スイッチシステム(20c)では、複数の双方向スイッチ(1)が並列接続されている。複数の検知部(14)の各々は、複数の双方向スイッチ(1)のうち当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)以外の少なくとも1つの双方向スイッチ(1)が導通状態のときに、当該検知部(14)と同じセットに含まれている制御部(13)の第1状態と、第2状態と、のそれぞれにおいて、当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の状態を検知する。第1状態は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)をオフする信号を出力し、第2ゲート(G2)をオンする信号を出力している状態である。第2状態は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)をオフする信号を出力し、第1ゲート(G1)をオンする信号を出力している状態である。
【0197】
第8の態様に係るスイッチシステム(20c)は、双方向スイッチ(1)の状態を検知することが可能となる。
【0198】
第9の態様に係るスイッチシステム(20c)では、第8の態様において、複数の制御部(13)の各々は、第1状態のときには当該制御部(13)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)に状態検知用の第1オフ電圧を印加させ、第2状態のときには当該制御部(13)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)に状態検知用の第2オフ電圧を印加させる。なお、第1閾値電圧(Vth1)と第1オフ電圧との差分は、双方向スイッチ(1)の電圧差よりも大きい。第2閾値電圧(Vth2)と第2オフ電圧との差分は、双方向スイッチ(1)の電圧差よりも大きい。
【0199】
第10の態様に係るスイッチシステム(20c)では、第9の態様において、複数の検知部(14)の各々は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間に流れる電流と所定値とに基づいて当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の状態の判定を行う判定部(15)を有する。
【0200】
第10の態様に係るスイッチシステム(20c)では、複数の検知部(14)の各々において、双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間に流れる電流と所定値とに基づいて双方向スイッチ(1)の状態の判定を行うことができる。
【0201】
第11の態様に係るスイッチシステム(20c)では、第9の態様において、複数の検知部(14)の各々は、判定部(15)を有する。複数の判定部(15)の各々は、当該判定部(15)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)をオンする信号を出力し第2ゲート(G2)をオンする信号を出力している状態において、当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)の間に流れる電流と第1所定値とに基づいて当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の異常の有無を判定する。複数の判定部(15)の各々は、当該判定部(15)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)をオフする信号を出力し、第2ゲート(G2)をオンする信号を出力している状態と、当該判定部(15)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)をオフする信号を出力し、第1ゲート(G1)をオンする信号を出力している状態と、のそれぞれにおいて、当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)の間に流れる電流と第2所定値とに基づいて当該判定部(15)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の異常の有無を判定する。
【0202】
第12の態様に係るスイッチシステム(20c)では、第10の態様において、複数の検知部(14)の各々は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)に直列に接続されている抵抗(16)を含む。
【0203】
第12の態様に係るスイッチシステム(20c)は、双方向スイッチ(1)に流れる電流を抵抗(16)の両端電圧により検出することができる。
【0204】
第13の態様に係るスイッチシステム(20c)では、第12の態様において、複数の判定部(15)の各々は、当該判定部(15)に含まれる抵抗(16)の両端電圧を絶対値に変換する変換回路(151)と、絶対値と所定の閾値電圧と比較する比較回路(152)と、を含む。
【0205】
第13の態様に係るスイッチシステム(20c)は、双方向スイッチ(1)に流れる電流の向きにかかわらず、双方向スイッチ(1)に流れている電流が所定値未満であるか否かを判定することが可能となる。
【0206】
第14の態様に係るスイッチシステム(20c)では、第12の態様において、複数の抵抗(16)の各々は、当該抵抗(16)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)に接続されている第1端(16A)と、第1端(16A)とは反対側の第2端(16B)と、を有する。複数の判定部(15)の各々は、抵抗(16)の第2端(16B)の電位を基準として第1端(16A)の電位と第2端(16B)の電位とを比較する第1比較回路(17A)と、抵抗(16)の第1端(16A)の電位を基準として第2端(16B)の電位と第1端(16A)の電位とを比較する第2比較回路(17B)と、を含む。
【0207】
第14の態様に係るスイッチシステム(20c)は、双方向スイッチ(1)に流れる電流の向きにかかわらず電流が流れているか否か判定することが可能となる。
【0208】
第15の態様に係るスイッチシステム(20d)では、第12の態様において、複数の検知部(14)の各々の抵抗(16)は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)に接続されている第1抵抗(161)と、当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ソース(S2)に接続されている第2抵抗(162)と、を含む。複数の検知部(14)の各々は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が第1状態のときに第1抵抗(161)の両端電圧が第1基準電圧を上回った場合は異常と判定する第1判定回路(18A)と、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が第2状態のときに第2抵抗(162)の両端電圧が第2基準電圧を上回った場合は異常と判定する第2判定回路(18B)と、を含む。
【0209】
第15の態様に係るスイッチシステム(20d)では、制御部(13)が双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)をオフする信号と第2ゲート(G2)をオンする信号とを出力しているときに、第1判定回路(18A)において、双方向スイッチ(1)の第2ソース(S2)から第1ソース(S1)に向かう向きに電流が流れたか否かを判定することができる。また、第15の態様に係るスイッチシステム(20d)では、制御部(13)が双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)をオフする信号と第1ゲート(G1)をオンする信号とを出力しているときに、第2判定回路(18B)において、双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)から第2ソース(S2)に向かう向きに電流が流れたか否かを判定することができる。
【0210】
第16の態様に係るスイッチシステム(20f)では、第9の態様において、複数の検知部(14)の各々は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の温度を検出する温度検出部(19)を含む。複数の検知部(14)の各々は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が第1状態のときに温度検出部(19)による検出温度が閾値温度を上回った場合は当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)を異常と判定する。複数の検知部(14)の各々は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が第2状態のときに温度検出部(19)による検出温度が閾値温度を上回った場合は当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)を異常と判定する。
【0211】
第16の態様に係るスイッチシステム(20f)は、双方向スイッチ(1)の温度変化によって双方向スイッチ(1)の電流に関する異常の有無を判定することが可能となる。
【0212】
第17の態様に係るスイッチシステム(20g)では、第9の態様において、複数の双方向スイッチ(1)の各々は、第1ゲート(G1)が第1p型層(191)と第1ゲート電極(181)とを含み、第2ゲート(G2)が第2p型層(192)と第2ゲート電極(182)とを含んでいる、ノーマリオフ型JFETである。複数の検知部(14)の各々は、第1検知部(14A)と、第2検知部(14B)と、を含む。第1検知部(14A)は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)をオフする信号を出力し、第1ゲート(G1)をオンする信号を出力している状態において、第1ゲート(G1)の電圧に基づいて当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間の通電状態を検知する。第2検知部(14B)は、当該検知部(14)と同じセットに含まれる制御部(13)が当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)をオフする信号を出力し、第2ゲート(G2)をオンする信号を出力している状態において、第2ゲート(G2)の電圧に基づいて当該検知部(14)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ソース(S1)と第2ソース(S2)との間の通電状態を検知する。
【0213】
第18の態様に係るスイッチシステム(20g)では、第17の態様において、複数の第1ゲート駆動回路(11)の各々は、当該第1ゲート駆動回路(11)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)に接続されている第1ゲート抵抗(Rg1)を含む。複数の第2ゲート駆動回路(12)の各々は、当該第2ゲート駆動回路(12)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)に接続されている第2ゲート抵抗(Rg2)を含む。複数の第1検知部(14A)の各々は、当該第1検知部(14A)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)に接続されている第1ゲート抵抗(Rg1)の両端電圧が第1所定電圧を上回った場合に当該第1検知部(14A)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)を異常と判定する。複数の第2検知部(14B)の各々は、当該第2検知部(14B)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)に接続されている第2ゲート抵抗(Rg2)の両端電圧が第2所定電圧を上回った場合に当該第2検知部(14B)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)を異常と判定する。
【0214】
第19の態様に係るスイッチシステム(20b;20c;20d;20e;20f;20g)では、第8~18の態様のいずれか一つにおいて、複数の制御部(13)の各々は、当該制御部(13)と同じセットに含まれる第1ゲート駆動回路(11)から当該制御部(13)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第1ゲート(G1)をオフさせる信号を出力させる期間と、当該制御部(13)と同じセットに含まれる第2ゲート駆動回路(12)から当該制御部(13)と同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の第2ゲート(G2)をオフさせる信号を出力させる期間と、を互いに異なるタイミングで行わせる。
【0215】
第20の態様に係るスイッチシステム(20b;20c;20d;20e;20f;20g)は、第8~18の態様のいずれか一つにおいて、複数の制御部(13)を制御するコントローラ(8)を更に備える。コントローラ(8)は、複数の検知部(14)が互いに異なるタイミングで同じセットに含まれる双方向スイッチ(1)の状態を検知するように複数の制御部(13)を制御する。
【0216】
また、実施形態9等から以下の態様が開示されている。
【0217】
本開示の第21の態様に係る診断装置(3)は、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を診断する。半導体スイッチ(双方向スイッチ1)は、少なくともゲート(第1ゲートG1;第2ゲートG2)とソース(第1ソースS1;第2ソースS2)を有し、ソースに対してゲートが逆バイアスされているときにソースに電流を流さず、ソースに対してゲートが逆バイアスされていないときにソースに電流を流すことができる常閉型である。第21の態様に係る診断装置(3)は、ソースに対してゲートが逆バイアスされていない状態においてゲートに診断用の試験電圧(Vx)を印加する電圧印加回路(30)を備える。第21の態様に係る診断装置(3)は、試験電圧(Vx)が印加されているときのソースに対するゲートの電圧(ゲート電圧Vgx)に基づいて半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を判定する判定回路(31)を備える。
【0218】
第21の態様に係る診断装置(3)は、電圧印加回路(30)からゲートに試験電圧(Vx)に印加してもゲートが逆バイアスされないので、電源(7)から負荷(9)への給電を継続した状態で半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を診断することができる。
【0219】
本開示の第22の態様に係る診断装置(3)は、第21の態様との組合せにより実現され得る。第22の態様に係る診断装置(3)において、試験電圧(Vx)は、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)においてゲートとソースの間に形成されるダイオード(pinダイオード構造)の順方向電圧よりも低くない電圧であることが好ましい。
【0220】
第22の態様に係る診断装置(3)は、ゲートとソースの間に形成されるダイオードの順方向電圧を判定の基準とすることにより、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障をより正確に診断することができる。
【0221】
本開示の第23の態様に係る診断装置(3)は、第21又は22の態様との組合せにより実現され得る。第23の態様に係る診断装置(3)において、判定回路(31)は、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障の有無と、故障の種類とを判定することが好ましい。
【0222】
第23の態様に係る診断装置(3)は、故障の有無だけでなく故障の種類(例えば、短絡故障及び開放故障)を判定することで半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障に対する対処を容易に行うことができる。
【0223】
本開示の第24の態様に係る診断装置(3)は、第21~23の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第24の態様に係る診断装置(3)において、判定回路(31)は、電圧印加回路(30)が試験電圧(Vx)の印加を開始した時点から所定の待機期間(時間t=t1~t2)が経過した後、逆バイアス用の駆動電圧をゲートに印加するための電路を開放し、電路を開放している間に半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を判定することが好ましい。
【0224】
第24の態様に係る診断装置(3)は、逆バイアス用の駆動電圧をゲートに印加するための電路に対して、試験電圧(Vx)の印加中に漏れ電流が流れることを防ぐことができる。
【0225】
本開示の第25の態様に係る診断装置(3)は、第24の態様との組合せにより実現され得る。第25の態様に係る診断装置(3)において、駆動電圧をゲートに印加するための電路を開閉するスイッチング素子(Q1)を備えることが好ましい。判定回路(31)は、スイッチング素子(Q1)を制御して電路を開放することが好ましい。
【0226】
第25の態様に係る診断装置(3)は、電路の開放を短時間で確実に行うことができる。
【0227】
本開示の第26の態様に係る診断装置(3)は、第21~23の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第26の態様に係る診断装置(3)において、電圧印加回路(30)は、整流素子(ダイオード301)を介して試験電圧(Vx)をゲートに印加することが好ましい。
【0228】
第26の態様に係る診断装置(3)は、ゲートから電圧印加回路(30)に漏れ電流が流れることを防ぐことができる。
【0229】
本開示の第27の態様に係る診断装置(3)は、第26の態様との組合せにより実現され得る。第27の態様に係る診断装置(3)において、整流素子とゲートの間に電気的に接続される第1抵抗器(Rg11)と、第1抵抗器(Rg11)と電気的に直列接続される第2抵抗器(Rg12)とを有することが好ましい。第2抵抗器(Rg12)は、逆バイアス用の駆動電圧をゲートに印加するための電路に挿入されていることが好ましい。
【0230】
第27の態様に係る診断装置(3)は、スイッチング素子(Q1)で電路を開放する場合に比べて、回路構成の簡素化を図ることができる。
【0231】
本開示の第28の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、電源(7)から負荷(9)への給電路(80)を開閉する半導体スイッチ(双方向スイッチ1)と、第21~第27の態様のいずれかの診断装置(3)と、を備える。
【0232】
第28の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、電源(7)から負荷(9)への給電を継続した状態で半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を診断することができる。
【0233】
本開示の第29の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、第28の態様との組合せにより実現され得る。第29の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)において、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)は、電源(7)から負荷(9)への第1方向(A1)と、負荷(9)から電源(7)への第2方向(A2)の二つの方向に対して電流を遮断することが可能であることが好ましい。
【0234】
第29の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、電源(7)と負荷(9)の間で双方向に電流を遮断することができる。
【0235】
本開示の第30の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、第29の態様との組合せにより実現され得る。第30の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)において、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)は、ゲートとソースの組合せを二組備えたデュアルゲート型であることが好ましい。
【0236】
第30の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、電源(7)から負荷(9)への方向と、負荷(9)から電源(7)への方向のそれぞれに独立した半導体スイッチを設ける場合と比較して、電源(7)と負荷(9)の間で双方向に電流を遮断可能としつつ回路構成の簡素化を図ることができる。
【0237】
本開示の第31の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、第28~30の態様のいずれかとの組合せにより実現され得る。第31の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)において、電源(7)から半導体スイッチ(双方向スイッチ1)を介して負荷(9)に供給される電圧が直流電圧であることが好ましい。
【0238】
第31の態様に係る遮断装置(スイッチシステム20h)は、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)を用いることにより、アークを発生させずに電源(7)から負荷(9)への電路を遮断することができる。
【0239】
本開示の第32の態様に係る診断方法は、半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を診断する診断方法である。半導体スイッチ(双方向スイッチ1)は、少なくともゲートとソースを有し、ソースに対してゲートが逆バイアスされているときにソースに電流を流さず、ソースに対してゲートが逆バイアスされていないときにソースに電流を流すことができる常閉型である。第32の態様に係る診断方法は、ソースに対してゲートが逆バイアスされていない状態においてゲートに診断用の試験電圧(Vx)を印加する手順を有する。第32の態様に係る診断方法は、試験電圧(Vx)が印加されているときのソースに対するゲートの電圧に基づいて半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を判定する手順を有する。
【0240】
第32の態様に係る診断方法は、電源(7)から負荷(9)への給電を継続した状態で半導体スイッチ(双方向スイッチ1)の故障を診断することができる。
【符号の説明】
【0241】
1 双方向スイッチ
G1 第1ゲート
S1 第1ソース
G2 第2ゲート
S2 第2ソース
8 コントローラ
11 第1ゲート駆動回路
12 第2ゲート駆動回路
13 制御部
14 検知部
15 判定部
16 抵抗
16A 第1端
16B 第2端
17A 第1比較回路
17B 第2比較回路
18A 第1判定回路
18B 第2判定回路
19 温度検出部
20、20a、20b;20c;20d;20e;20f;20g スイッチシステム
191 第1p型層
192 第2p型層
171 第1ソース電極
172 第2ソース電極
181 第1ゲート電極
182 第2ゲート電極
R1 第1ゲート抵抗
R2 第2ゲート抵抗
R3 第3ゲート抵抗
R4 第4ゲート抵抗
SW1 第1スイッチ
SW2 第2スイッチ
T1 第1期間
T2 第2期間
Vth1 第1閾値電圧
Vth2 第2閾値電圧