IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ パナソニックIPマネジメント株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-警報器、制御方法、及びプログラム 図1
  • 特許-警報器、制御方法、及びプログラム 図2
  • 特許-警報器、制御方法、及びプログラム 図3
  • 特許-警報器、制御方法、及びプログラム 図4
  • 特許-警報器、制御方法、及びプログラム 図5
  • 特許-警報器、制御方法、及びプログラム 図6
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】警報器、制御方法、及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240913BHJP
   G08B 17/107 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G08B17/00 D
G08B17/107 C
【請求項の数】 7
(21)【出願番号】P 2022086349
(22)【出願日】2022-05-26
(62)【分割の表示】P 2018066193の分割
【原出願日】2018-03-29
(65)【公開番号】P2022105728
(43)【公開日】2022-07-14
【審査請求日】2022-06-23
【審判番号】
【審判請求日】2024-03-19
(73)【特許権者】
【識別番号】314012076
【氏名又は名称】パナソニックIPマネジメント株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】向山 文祥
(72)【発明者】
【氏名】阪本 浩司
(72)【発明者】
【氏名】吉鶴 智博
(72)【発明者】
【氏名】高橋 秀晃
(72)【発明者】
【氏名】珍坂 舞
【合議体】
【審判長】土居 仁士
【審判官】高野 洋
【審判官】衣鳩 文彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-199125(JP,A)
【文献】特開2016-192117(JP,A)
【文献】特開2000-259959(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B17/00-17/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造体に設置される警報器であって、
当該警報器自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する機器検知部と、
前記第1情報を受けて前記内的事象の発生の有無を判定し、かつ、警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて前記外的事象の発生の有無を判定する制御部と、
前記内的事象の発生、及び前記外的事象の発生を報知する報知部と、
を備え、
前記制御部は、
現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記内的事象であり、かつ、前記報知事象よりも優先度が高い前記内的事象又は前記外的事象が後から発生すると、前記優先度の低い前記報知事象の報知を中断して、前記優先度の高い前記内的事象又は前記外的事象の報知を割り込ませて実行し、
現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記外的事象であり、かつ、前記外的事象よりも優先度が低い前記内的事象が後から発生すると、前記優先度の高い前記外的事象の報知をそのまま継続又は開始して、前記優先度の低い前記内的事象の報知を直ちに実行せず順番待ち状態とする、
警報器。
【請求項2】
前記制御部は、現在報知中又はこれから報知しようとする前記報知事象が前記内的事象であり、かつ前記報知事象よりも優先度が低い前記内的事象が後から発生すると、前記優先度の高い前記報知事象の報知を継続又は開始して、前記優先度の低い前記内的事象の報知を実行せず順番待ち状態とする、
請求項1に記載の警報器。
【請求項3】
前記制御部は、前記内的事象の発生の有無の判定を任意の周期で行っており、
前記順番待ち状態とは、次の前記周期まで前記内的事象の報知を行わない状態を含む、
請求項2に記載の警報器。
【請求項4】
前記内的事象は、前記警報器の交換時期、前記警報器内の故障、及び前記警報器に内蔵されている電池の電池切れを含み、
前記優先度は、高い方から、前記外的事象、前記故障、前記電池切れ、前記交換時期である、
請求項1~3のいずれか1項に記載の警報器。
【請求項5】
前記外的事象とは、火災であり、
前記火災を検知する火災検知部を、更に備え、
前記制御部は、前記火災検知部からの検知結果を前記第2情報として受けて前記火災が発生したか否かを判定する、
請求項1~4のいずれか1項に記載の警報器。
【請求項6】
構造体に設置される警報器の制御方法であって、
当該警報器自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する検知ステップと、
前記第1情報を受けて前記内的事象の発生の有無を判定する第1判定ステップと、
警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて前記外的事象の発生の有無を判定する第2判定ステップと、
前記内的事象の発生、及び前記外的事象の発生を報知させる報知ステップと、
を有し、
前記報知ステップにおいて、
現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記内的事象であり、かつ、前記報知事象よりも優先度が高い前記内的事象又は前記外的事象が後から発生すると、前記優先度の低い前記報知事象の報知を中断して、前記優先度の高い前記内的事象又は前記外的事象の報知を行わせ
現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記外的事象であり、かつ、前記報知事象よりも優先度が低い前記内的事象が後から発生すると、前記優先度の高い前記報知事象の報知をそのまま継続又は開始して、前記優先度の低い前記内的事象の報知を直ちに実行せず順番待ち状態とする、
制御方法。
【請求項7】
コンピュータシステムに請求項6に記載の制御方法を実行させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般に、警報器、制御方法、及びプログラムに関し、より詳細には、火災等の外的事象が発生したことを報知する警報器、当該警報器の制御方法、及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来例として、特許文献1に記載の住警器を例示する。この住警器は、そのカバーの中央に、煙流入口を開口した検煙部を配置し、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。また住警器は、カバーにおける検煙部の左下側に音響孔を有し、その背後にスピーカを内蔵し、警報音や音声メッセージを出力する。住警器は、住宅の居間や寝室等の例えば壁面に設置され、万一、火災が発生した場合には、火災を検出して警報を開始する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2010-49604号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、住警器(警報器)においては、住人に報知すべき事象として、火災(外的事象)以外にも、住警器自体に起こり得る様々な事象(内的事象)がある。しかし、複数の事象の発生期間が重複したとき、住人に適切に知らせることができない可能性がある。
【0005】
本発明は上記事由に鑑みてなされ、報知に関する信頼性の向上を図ることができる警報器、制御方法、及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様に係る警報器は、構造体に設置される。前記警報器は、機器検知部と、制御部と、報知部と、を備える。前記機器検知部は、当該警報器自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する。前記制御部は、前記第1情報を受けて前記内的事象の発生の有無を判定し、かつ、警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて前記外的事象の発生の有無を判定する。前記報知部は、前記内的事象の発生、及び前記外的事象の発生を報知する。前記制御部は、現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記内的事象であり、かつ、前記報知事象よりも優先度が高い前記内的事象又は前記外的事象が後から発生すると、前記優先度の低い前記報知事象の報知を中断して、前記優先度の高い前記内的事象又は前記外的事象の報知を割り込ませて実行する。前記制御部は、現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記外的事象であり、かつ、前記外的事象よりも優先度が低い前記内的事象が後から発生すると、前記優先度の高い前記外的事象の報知をそのまま継続又は開始して、前記優先度の低い前記内的事象の報知を直ちに実行せず順番待ち状態とする。
【0007】
本発明の一態様に係る制御方法は、構造体に設置される警報器の制御方法である。前記制御方法は、検知ステップと、第1判定ステップと、第2判定ステップと、報知ステップと、を有する。前記検知ステップでは、当該警報器自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する。前記第1判定ステップでは、前記第1情報を受けて前記内的事象の発生の有無を判定する。前記第2判定ステップでは、警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて前記外的事象の発生の有無を判定する。前記報知ステップでは、前記内的事象の発生、及び前記外的事象の発生を報知させる。前記報知ステップにおいて、現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記内的事象であり、かつ、前記報知事象よりも優先度が高い前記内的事象又は前記外的事象が後から発生すると、前記優先度の低い前記報知事象の報知を中断して、前記優先度の高い前記内的事象又は前記外的事象の報知を行わせる。前記報知ステップにおいて、現在報知中又はこれから報知しようとする報知事象が前記外的事象であり、かつ、前記外的事象よりも優先度が低い前記内的事象が後から発生すると、前記優先度の高い前記外的事象の報知をそのまま継続又は開始して、前記優先度の低い前記内的事象の報知を直ちに実行せず順番待ち状態とする
【0008】
本発明の一態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに上記制御方法を実行させる。
【発明の効果】
【0009】
本発明は、報知に関する信頼性の向上を図ることができる、という利点がある。
【図面の簡単な説明】
【0010】
図1図1は、一実施形態に係る警報器の外観図である。
図2図2は、同上の警報器のブロック構成図である。
図3図3は、同上の警報器が設置されている寝室の様子を示す図である。
図4図4は、同上の警報器の動作を説明するフローチャート図である。
図5図5は、同上の警報器の動作を説明するフローチャート図である。
図6図6A及び図6Bは、同上の音響装置の変形例3の外観図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
(1)概要
以下の実施形態は、本発明の様々な実施形態の一つに過ぎない。以下の実施形態は、本発明の目的を達成できれば、設計等に応じて種々の変更が可能である。また、以下の実施形態において説明する各図は、模式的な図であり、各図中の各構成要素の大きさや厚さそれぞれの比が、必ずしも実際の寸法比を反映しているとは限らない。
【0012】
本実施形態の警報器1は、図3に示すように、構造体C1(天井や壁等の造営材)に設置される。警報器1は、図2に示すように、機器検知部6と、制御部10と、報知部8と、を備える。機器検知部6は、警報器1自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する。制御部10は、第1情報を受けて内的事象の発生の有無を判定する。また制御部10は、警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて外的事象の発生の有無を判定する。報知部8は、内的事象の発生、及び外的事象の発生を報知する。
【0013】
ここでは「内的事象」は、一例として、警報器1の交換時期を少なくとも含む。交換時期の他にも、内的事象は、警報器1内の故障、及び電池切れを含んでもよい。
【0014】
また「外的事象」は、一例として火災であることを想定する。したがって、警報器1は、一例として、火災の発生時に警報音等の音を出力する火災警報器である。しかし、外的事象は、警報音の発報対象であれば、火災に限定されず、ガス漏れ、津波、地震、不審者の侵入等であってもよい。
【0015】
本実施形態の警報器1は、図2に示すように、その内部に煙を検知する光電式のセンサ(火災検知部2)を、更に備えているが、火災検知部2は、熱を検知する定温式のセンサでもよい。また、火災検知部2は、警報器1と別体であってもよい。警報器1の制御部10は、火災検知部2を備えた別の警報器(火災警報器)との通信により、火災に関する第2情報を受けてもよい。
【0016】
警報器1は、住宅内の居室、寝室、階段、廊下等の構造体C1の一面(天井面又は壁面)に設置される。住宅は、戸建住宅、又は集合住宅(マンション)でもよい。更に、警報器1は、住宅だけでなく非住宅の構造体C1(天井面又は壁面等)に設置されてもよい。非住宅の例としては、オフィスビル、劇場、映画館、公会堂、遊技場、複合施設、飲食店、百貨店、学校、ホテル、旅館、病院、老人ホーム、幼稚園、図書館、博物館、美術館、地下街、駅、空港等を含む。
【0017】
本実施形態の制御部10は、報知部8に火災の報知を警報器1の交換時期の報知より優先して先に行わせる。この構成によれば、火災の報知が交換時期の報知より先に行われる。そのため、警報音の発報対象である火災が発生しているにも関わらず、緊急性の低い交換時期の報知が実行中で、ユーザに火災の発生を知らせることができないといったことを抑制できる。したがって、報知に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0018】
(2)詳細
(2.1)全体構成
以下、本実施形態の警報器1の全体構成について詳しく説明する。ここでは、警報器1は、一例として電池式の火災警報器である。ただし、警報器1は、外部電源(例えば商用の電力系統)に電気的に接続され、外部電源から供給される交流電力(例えば実効値100V)を直流電流に変換して駆動する火災警報器であってもよい。
【0019】
以下では、図3に示すように、警報器1が、一例として、住人100の住宅における室内の天井面(構造体C1の一面)に設置されることを想定する。これにより、警報器1の上下、左右の方向を、図1に図示されている上下、左右の矢印を用いて規定して説明する。これらの矢印は、単に説明を補助する目的で記載しているに過ぎず、実体を伴わない。またこれらの方向は、警報器1の使用方向を限定する趣旨ではない。
【0020】
警報器1は、図2に示すように、制御部10、機器検知部6、報知部8(第1出力部11及び作動灯15)及び火災検知部2の他に、例えば、第2出力部12と、バッテリー13と、操作部3と、筐体4と、透光部5(図1参照)と、を更に備えている。また警報器1は、記憶部7を更に備えている。警報器1は、一例として、単独型の火災警報器であり、他の火災警報器と通信する通信機能を有していないものと想定する。
【0021】
(2.2)筐体
筐体4は、制御部10、機器検知部6、第1出力部11、第2出力部12、バッテリー13、火災検知部2、作動灯15、記憶部7、及び、制御部10や各種の回路を構成する回路部品が実装される回路基板(不図示)等を内部に収容する。図示は省略するが、ここで言う各種の回路とは、例えば後述する音響回路、第1点灯回路、第2点灯回路、及び電源回路等である。
【0022】
筐体4は、合成樹脂製であり、例えば難燃性ABS樹脂製である。筐体4は、全体としてへん平な円筒状に形成されている。筐体4は、その上面に取付部を有しており、当該取付部によって構造体C1の一面(設置面)に取り付けられる。
【0023】
筐体4は、図1に示すように、その周壁400に、筐体4内に設けられているラビリンスに煙を導入可能な孔401を有している。筐体4は、その内部空間を上下2つに仕切る仕切壁を有している。ラビリンス及び火災検知部2は、上側の第1空間にあり、制御部10、第1出力部11、第2出力部12、作動灯15、及び回路基板等は、下側の第2空間にある。
【0024】
また筐体4は、その下壁(カバー)402に、一方向(図1では左右方向)に長尺のスリット状の窓孔403を有している。窓孔403は、筐体4内に収容されている第1出力部11と対向して配置されている。窓孔403は、第1出力部11から出力された音を筐体4の外部に導出する。
【0025】
また筐体4は、その下壁402において、透光部5の下面が筐体4の外部に露出するように、透光部5を支持している。透光部5は、透光性を有した円板状の部材である。透光部5は、アクリル樹脂やガラス等の材料により形成されている。透光部5は、筐体4内に収容されている第2出力部12と対向して配置されている。透光部5は、第2出力部12から出射された光を、筐体4の外部に導出する。なお、第2出力部12の光を「照明光」と呼ぶこともあるが、第2出力部12の光は、一般的な照明器具が出力する照明光に比べて明るさの弱い、避難経路を照らす程度の光である。透光部5は、第2出力部12からの光を、床面等の周囲の領域R1に向けて配光するために、その外表面が凸状に形成されたレンズ部を有していてもよい。また、透光部5と第2出力部12との間には、第2出力部12からの光を、透光部5に効率良くガイドする、導光部材が設けられてもよい。
【0026】
更に筐体4は、その下壁402において、操作部3の下面が筐体4の外部に露出するように、操作部3を支持している。操作部3は、外部からの操作入力を受け付ける。操作部3は、ユーザの指等による押し操作により上方へ押し込み可能となっている。操作部3は、透光性を有した円板状の部材である。操作部3は、筐体4内に収容されている作動灯15と対向して配置されている。また、操作部3は、押し操作により、筐体4内に収容されている押し釦スイッチ(不図示)を押すように構成されている。
【0027】
本実施形態では、窓孔403及び操作部3は、一例として、下壁402の下面を下方から見たときに、窓孔403と操作部3とで下壁402の下面中央を間に挟むように、一方向(図1では左右方向)に並んでいる。また、透光部5は、下壁402の下面を下方から見たときに、下壁402の下面中央より前に配置されている。
【0028】
(2.3)報知部
報知部8は、内的事象である警報器1の交換時期(以下、単に「交換時期」と呼ぶ)、警報器1内の故障(以下、単に「故障」と呼ぶ)、及び電池切れ(バッテリー13の残容量が残り僅かな状態)の発生を報知する。バッテリー13は、例えばリチウム電池である。また報知部8は、外的事象の火災の発生を報知する。ここでは第1出力部11と作動灯15の両方が報知部8に相当するが、いずれか一方のみが報知部8に相当してもよい。
【0029】
第1出力部11は、内的事象の発生を報知する機能と火災の発生を報知する機能とを有している。第1出力部11は、音(音波)を出力する。第1出力部11は、制御部10にて火災が発生したと判定したときに、火災の発生を報知するように警報音を出力する。
【0030】
第1出力部11は、電気信号を音に変換するスピーカにより構成される。スピーカは、振動板を有し、電気信号に従って振動板を機械的に振動させることにより警報音を発する。スピーカは、正面視円形状に形成されており、円板状である。第1出力部11は、制御部10による制御下で、警報音(例えば「ピー」音)を出力する。第1出力部11は、警報音の大きさ(音圧レベル)を変化させて警報音を出力することが好ましい。警報音は、例えば、低音から高音にスイープさせたスイープ音を含んでもよい。警報音は、例えば「火事です。火事です。」といった音声メッセージを含んでもよい。ここでは、警報音は、スイープ音と、スイープ音に連続する音声メッセージとから構成されることを想定する。
【0031】
上記の回路基板には、例えば音響回路を構成する回路部品が実装されている。音響回路は、ローパスフィルタ、及び増幅器等を有する。音響回路は、火災発生時に制御部10にて生成された警報音に対応するPWM(Pulse Width Modulation)信号を受け取ると、ローパスフィルタで正弦波形の音声信号に変換し増幅器で増幅して、警報音として第1出力部11から出力させる。
【0032】
第1出力部11は、いずれかの内的事象が発生したと制御部10が判定したとき、内的事象の発生を報知するための音を出力する。以下、この音を、火災発生時の警報音と区別するために「報知音」と呼ぶこともある。
【0033】
交換時期に関する報知音の例は「ピッ、警報器の交換時期です。」といった音声メッセージを含む。また故障に関する報知音の例は「ピッ、○○に故障が発生しました。」といった音声メッセージを含む。また電池切れに関する報知音の例は「ピッ、電池を交換してください。」といった音声メッセージを含む。
【0034】
報知音は、警報音の音量の60~70%程度の音量で出力される。報知音は、対応する内的事象が解消されるまで、例えば1時間の間隔で周期的に繰り返して出力される。第1出力部11は、1時間ごとに、「ピッ、電池を交換してください。」といったメッセージを2~3回ほど連続的に繰り返して出力し、その後1時間が経過するまで40秒おきに「ピッ」といった音を出力する。
【0035】
第1出力部11は、動作点検時においても、警報音及び報知音を試験的に出力する。動作点検は、操作部3が押し操作されるか、又は筐体4から導出されている引き紐(不図示)が引き操作されることで実行可能となっている。
【0036】
本実施形態では、警報中(警報音を発報中)に操作部3が外部からの操作入力を受け付けると、第1出力部11は、警報音の出力を停止する。
【0037】
作動灯15は、内的事象の発生を報知する機能と火災の発生を報知する機能とを有している。作動灯15は、光源として上記回路基板に実装された赤色LED(Light Emitting Diode)15Aを有している。作動灯15は、通常時(火災の監視時)には消灯しており、制御部10にて火災が発生したと判定したときに点滅(又は点灯)を開始する。以下、火災発生を報知する点滅を「作動点滅」と呼ぶこともある。作動点滅は、警報音の発報が停止すると、制御部10の制御の下、停止する。
【0038】
上記の回路基板には、作動灯15のLED15Aを点滅させるための第1点灯回路を構成する回路部品が実装されている。第1点灯回路は、制御部10による制御下で、バッテリー13から放電される直流電力を用いて、LED15Aを点滅させる。警報器1が、商用の電力系統に電気的に接続されている場合には、第1点灯回路は、電力系統から供給される交流電力を直流電流に変換して、LED15Aを点滅させる。
【0039】
作動灯15から出射された光は、透光性を有した操作部3を介して、筐体4の外部に導出される。住人100は、操作部3の赤色の作動点滅を視認することで、警報器1が作動中(火災を検知中)であることを知ることができる。
【0040】
作動灯15は、いずれかの内的事象が発生したと制御部10が判定したとき、内的事象の発生を報知するために点滅する。以下、この点滅を「報知点滅」と呼ぶこともある。作動灯15は、交換時期、故障、及び電池切れのいずれが発生しても区別なく、報知点滅を行う。ただし、報知点滅中に操作部3が操作されると、第1出力部11は、実際に発生している内的事象に対応する報知音を出力する。
【0041】
作動灯15は、動作点検時においても点滅する。作動灯15の動作点検は、第1出力部11と同様に、操作部3が押し操作されるか、又は引き紐が引き操作されることで実行可能となっている。
【0042】
(2.4)第2出力部
第2出力部12は、制御部10の制御の下、火災に関する情報に応じて、周囲の領域R1を照らす照明光を出力する。第2出力部12は、光源として上記の回路基板に実装された1又は複数の照明用白色LED12Aを有している(図2参照)。第2出力部12は、通常時には消灯しており、制御部10にて火災が発生したと判定したとき点灯(照明光の出力)を開始する。したがって、例えば住人100が就寝している深夜の時間帯に火災が発生しても、住人100は、照明器具を点灯させるために壁スイッチをオン操作しなくても第2出力部12の照明光を利用して、直ちに避難経路を視認して避難できる。
【0043】
LED12Aは、平板状の実装基板の実装面の中央に少なくとも1個のLEDチップが実装された、パッケージ型のLEDとして構成される。LEDチップは、例えば、発光面から青色光を放射する青色発光ダイオードであることが好ましい。また、LEDチップを含む基板の実装面は、LEDチップから放射される青色光を波長変換する蛍光物質が混入された封止樹脂で被われている。LED12Aは、そのアノード電極とカソード電極との間に直流電圧が印加されることにより、白色の照明光を発光面から放射するように構成されている。照明光の色は、白色に限定されず、他の光色でもよい。ただし、作動灯15の光色と被らないことが望ましい。
【0044】
上記の回路基板には、第2出力部12のLED12Aを点灯させるための第2点灯回路を構成する回路部品が実装されている。第2点灯回路は、制御部10による制御下で、バッテリー13から放電される直流電力を用いて、LED12Aを点灯させる。警報器1が、商用の電力系統に電気的に接続されている場合には、第2点灯回路は、電力系統から供給される交流電力を直流電流に変換して、LED12Aを点灯させる。
【0045】
第2出力部12から出射された光(照明光)は、透光部5を介して筐体4の外部に導出されて、周囲の領域R1(ここでは、寝室の床面及びベッド等)が照らされる。第2出力部12は、動作点検時においても試験的に点灯する。第2出力部12の動作点検は、第1出力部11と同様に、操作部3が押し操作されるか、又は引き紐が引き操作されることで実行可能となっている。
【0046】
(2.5)機器検知部
機器検知部6は、警報器1自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する。上述の通り、内的事象は、警報器1の交換時期を少なくとも含み、また交換時期以外に、他の事象として、警報器1内の故障、及び電池切れを含む。したがって、第1情報は、交換時期に対応する使用時間、故障に対応する電気的又は熱的な物理量の情報、及び、電池切れに対応するバッテリー13の残容量等を、含む。機器検知部6は、図2に示すように、第1検知部61、第2検知部62、及び第3検知部63を有している。第1~第3検知部61~63は、制御部10と電気的に接続されている。
【0047】
第1検知部61は、交換時期に対応する使用時間を計時するタイマを有している。ここでは、使用時間は、例えば10年とする。第1検知部61は、使用時間を計時し、制御部10にその使用時間の情報を第1情報として出力する。制御部10は、その使用時間の情報に基づいて、交換時期の発生の有無を判定する。
【0048】
第2検知部62は、例えば、故障に対応する電気的な物理量を検知する。第2検知部62は、電気的な物理量以外にも熱的な物理量を検知してもよい。ここで言う「故障」は、例えば、火災検知部2の故障、音響回路の故障、第1及び第2点灯回路の故障、及び器内の電線の断線等に相当する。電線の断線は、例えば、音響回路から第1出力部11までの電線の断線等である。第2検知部62は、所定の電路における電気的な物理量(電流又は電圧)を検知し、その物理量を含んだ電気信号を第1情報として制御部10に出力する。制御部10は、その物理量の情報に基づいて、故障の発生の有無を判定する。
【0049】
第3検知部63は、バッテリー13の残容量を検知する。第3検知部63は、例えば、残容量に対応するバッテリー13の電池電圧を検知し、その電池電圧を含んだ電気信号を第1情報として制御部10に出力する。制御部10は、その電池電圧の情報に基づいて、電池切れの発生の有無を判定する。
【0050】
(2.6)火災検知部
火災検知部2は、警報音の発報対象となる火災(外的事象)に関する第2情報を検知する。ここでは、火災検知部2は、一例として、煙を検知する光電式のセンサである。したがって、第2情報は、例えば、煙に関する情報を含む。火災検知部2は、図2に示すように、例えば、LED等の発光部21と、フォトダイオード等の受光部22とを備えている。発光部21及び受光部22は、筐体4のラビリンス内において、受光部22の受光面が、発光部21の照射光の光軸上から外れるように配置されている。火災の発生時には、煙が筐体4の周壁400にある孔401を通じて、ラビリンス内に導入され得る。
【0051】
筐体4のラビリンス内に煙が存在しない場合、発光部21の照射光は、受光部22の受光面にほとんど到達しない。一方、筐体4のラビリンス内に煙が存在する場合、発光部21の照射光が煙によって散乱し、散乱した光の一部が受光部22の受光面に到達する。つまり、火災検知部2は、煙によって散乱された発光部21の照射光を受光部22で受光する。
【0052】
火災検知部2は、制御部10と電気的に接続されている。火災検知部2は、受光部22で受光された光量に応じた電圧レベルを示す電気信号(検知信号)を制御部10に送信する。制御部10は、火災検知部2から受け取った検知信号の光量を煙濃度(事象レベル)に換算して火災の判定を行う。なお、火災検知部2は、受光部22で受光された光量を煙濃度に換算してから煙濃度に応じた電圧レベルを示す検知信号を制御部10に送信してもよい。あるいは、火災検知部2は、受光部22で受光された光量から火災(煙)の発生を判定し、火災が発生したという情報を含む検知信号を制御部10に送信してもよい。
【0053】
(2.7)制御部及び記憶部
制御部10は、例えば、CPU(Central Processing Unit)及びメモリを主構成とするマイクロコンピュータにて構成されている。言い換えれば、制御部10は、CPU及びメモリを有するコンピュータにて実現されており、CPUがメモリに格納されているプログラムを実行することにより、コンピュータが制御部10として機能する。プログラムは、ここではメモリに予め記録されているが、インターネット等の電気通信回線を通じて、又はメモリカード等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。
【0054】
制御部10は、第1出力部11、音響回路、第2出力部12、作動灯15、第1点灯回路、第2点灯回路、火災検知部2、機器検知部6、及び記憶部7等を制御する。また、制御部10は、バッテリー13の直流電力から各種の回路の動作電力を生成する電源回路を制御する。記憶部7は、データを書き換え可能なメモリであって、不揮発性メモリであることが好ましい。記憶部7は、制御部10自身が有しているメモリであってもよい。
【0055】
制御部10は、火災検知部2から火災に関する情報(第2情報)を受けて、火災が発生したか否かを判定するように構成されている。以下、火災の発生の有無の判定について詳しく説明する。
【0056】
制御部10は、火災検知部2から受信する検知信号(情報)を監視し、検知信号に含まれている事象レベルが閾値を超えたか否かを判定する。事象レベルは、上述の通り、一例として変換後の煙濃度である。ただし、事象レベルは、光量でもよい。
【0057】
制御部10は、記憶部7又は自身のメモリ内に閾値を記憶している。制御部10は、例えば、所定の時間間隔で、周期的に煙濃度が閾値を超えたか否かを判定し、一度でも煙濃度が閾値を超えれば、火災が発生したと決定してもよい。所定の時間間隔は、例えば5秒間隔である。あるいは、制御部10は、煙濃度が連続して閾値を超えた回数をカウントし、その回数が規定回数に到達したときに、火災が発生したと決定してもよい。もちろん、制御部10は、火災検知部2から火災が発生したという情報を含む検知信号を受信すれば、直接的に火災が発生したと決定してもよい。
【0058】
制御部10は、煙濃度に基づいて火災が発生したと判定すると、第1出力部11から警報音の出力を開始させる。具体的には、制御部10は、時間の経過に伴って周波数が直線的に変化するスイープ音に対応したPWM信号を生成し、音響回路に出力する。上記PWM信号は、音響回路にて音声信号に変換されて、スイープ音(警報音)が第1出力部11から出力される。また、制御部10は、記憶部7又は自身のメモリ内に記憶されているメッセージデータに基づいて、音声メッセージに対応したPWM信号を生成し、音響回路に出力する。上記PWM信号は、音響回路にて音声信号に変換されて、音声メッセージ(警報音)が第1出力部11から出力される。
【0059】
また制御部10は、火災が発生したと判定すると、作動灯15を点滅させるための制御信号を第1点灯回路へ、第2出力部12を点灯させるための制御信号を第2点灯回路へそれぞれ送信する。第1点灯回路は、制御部10から制御信号を受信すると、作動灯15に作動点滅を開始させる。第2点灯回路は、制御部10から制御信号を受信すると、第2出力部12を一定の明るさで点灯させる。
【0060】
制御部10は、警報中(警報音を発報中)も煙濃度の判定を行なっている。制御部10は、もし警報中に煙濃度が、基準値以下になれば、PWM信号の生成を止めて第1出力部11による警報音の出力を停止し、また停止信号を第1点灯回路及び第2点灯回路にそれぞれ送信して、第2出力部12及び作動灯15からの光出力も停止する。つまり、制御部10は、火災(煙)が無くなったと判断すると、自動的に警報音の出力、照明光の出力、及び作動灯15の点滅を停止する。
【0061】
また制御部10は、警報中に、操作部3への押し操作により筐体4内の押し釦スイッチがオンされると、警報音の出力を停止する。もし住人100が、警報器1の警報が誤報であると判断すれば、操作部3を押すことで、警報音の発報を停止することができる。警報音の発報の停止は、引き紐の引っ張りでも可能である。
【0062】
一方、制御部10は、非警報中に、操作部3への押し操作により筐体4内の押し釦スイッチがオンされると、動作点検用の所定の動作試験を実行する。動作試験は、第1出力部11の音出力試験、第2出力部12の光出力試験、作動灯15の点滅試験等を含む。動作試験は、引き紐の引き操作でも可能である。
【0063】
ここで制御部10は、機器検知部6から内的事象に関する情報(第1情報)を受けて内的事象の発生の有無を判定するように構成されている。以下、内的事象の発生の有無の判定について詳しく説明する。
【0064】
制御部10は、第1検知部61から受け取る使用時間を監視する。使用時間は、例えば、電源が投入されて警報器1が動作状態にある時間である。制御部10は、記憶部7又は自身のメモリ内に第1検知部61から受け取った使用時間を累積して記憶する。制御部10は、累積の使用時間が10年に到達すると交換時期が発生したと判定し、報知部8である作動灯15に報知させる。すなわち作動灯15が報知点滅を開始する。交換時期は、電池切れや故障に比べて緊急性が低く、また警報器1の交換は、住人100の都合もある。そのため、制御部10は、判定後直ちに交換時期を知らせる音声メッセージを第1出力部11から出力させるのではなく、報知点滅中の操作部3が住人100によって押し操作されたときだけ出力する。
【0065】
制御部10は、第2検知部62から受け取る電気的な物理量の情報を監視する。制御部10は、例えば、音響回路から第1出力部11に流れる電流の電流値が異常値(ゼロ又はそれに近い値等)であれば、断線が発生したと判定する。また制御部10は、各種回路における所定の電路の電圧値が異常値であれば、当該回路に故障が発生したと判定する。制御部10は、第2検知部62から受け取る温度等の情報を監視し、各種回路に異常な発熱があれば、故障が発生したと判定してもよい。制御部10は、故障が発生したと判定すると、報知部8である第1出力部11及び作動灯15に報知させる。すなわち、故障を知らせる音声メッセージが第1出力部11から出力され、作動灯15が報知点滅を開始する。なお、音響回路及び第1出力部11間に断線が生じている場合、第1出力部11による報知は不可能であるため、作動灯15による報知のみとなる。
【0066】
制御部10は、第3検知部63から受け取るバッテリー13の電池電圧の情報を監視する。制御部10は、記憶部7又は自身のメモリ内に、バッテリー13の電池電圧と容量とが対応付けされた特性データを予め記憶し、受け取った電池電圧に対応する残容量が容量の10%未満であれば、電池切れが発生したと判定する。制御部10は、電池切れが発生したと判定すると、報知部8である第1出力部11及び作動灯15に報知させる。すなわち、電池切れを知らせる音声メッセージが第1出力部11から出力され、作動灯15が報知点滅を開始する。
【0067】
制御部10は、所定の周期で、内的事象の発生の有無を判定している。内的事象の判定は、一例として、1日に1回、深夜0時に行われる。
【0068】
なお、内的事象の発生を報知する音声メッセージに関して、制御部10は、記憶部7又は自身のメモリ内に記憶されているメッセージデータに基づいてPWM信号を生成し、音響回路を介して対応する音声メッセージを第1出力部11から出力させる。
【0069】
ここで、例えば、深夜の時間帯に住宅で火災が発生した場合、住宅の寝室で就寝中の住人100は、警報音を聞いた後、暗闇に近い状態でベッドから起きて、ベッドから廊下に繋がるドアまでの経路や方向を、瞬間的に把握しにくい可能性がある。また住人100は、例えば、暗闇の中手探りで壁スイッチまで行き、寝室の照明を点けようとする可能性があり、壁スイッチをオンするまでの行動が、避難の遅れに繋がり得る。また、住人100が、例えば聴覚障害者であれば、警報音(音)だけでは、火災の発生に気づかない可能性もある。これに対して、警報器1は、警報音だけでなく、第2出力部12の照明光を出力するため、住人100は、ベッドから廊下に繋がるドアまでの経路(避難経路)を、瞬間的に把握することができ、寝室の照明を点けようとする時間が省かれる可能性が高くなる。また、住人100が聴覚障害者であっても、第2出力部12の照明光により、火災の発生に気づく可能性が高くなる。要するに、警報器1は、警報音の出力だけでなく照明光の出力も行うため、避難時間の短縮を図ることができる。
【0070】
(2.8)事象の優先度
ところで、火災、交換時期、故障及び電池切れのうちいずれか2つ以上が、略同じタイミングで発生する場合がある。例えば、火災の発生を警報中に交換時期が発生する可能性がある。あるいは、電池切れの発生を報知中に火災が発生する可能性がある。また、内的事象のうちいずれか1つの事象の発生を報知中に内的事象の別の事象が発生する可能性がある。
【0071】
そこで、制御部10は、これらの事象に対して報知する順番の優先度を設けて、優先度の高い事象を優先的に報知部8に報知させる。制御部10は、報知部8に火災の報知を交換時期の報知より優先して先に行わせる。また制御部10は、報知部8に火災の報知を最優先でどの内的事象の報知より先に行わせる。また制御部10は、報知部8に内的事象の中において交換時期の報知以外の故障及び電池切れのいずれの報知も交換時期の報知より先に行わせる。
【0072】
つまり、制御部10は、火災、交換時期、故障及び電池切れのうち複数の事象が発生したと判定すると、優先度の高い順に、順次報知対応を行う。優先度(優先ランク)は、一例として高い方から、火災、故障、電池切れ及び交換時期である。記憶部7は、火災がランクA、故障がランクB、電池切れがランクC、及び交換時期がランクDであるといった優先情報を予め記憶する。ランクAが最も高くランクDが最も低い優先度を示す。
【0073】
制御部10は、現在報知中又はこれから報知しようとする事象の優先ランクより高い優先ランクの事象が後から発生すると、優先ランクの低い事象の報知を中断して、優先ランクの高い事象の報知を割り込ませて実行する。また、制御部10は、現在報知中又はこれから報知しようとする事象の優先ランクより低い優先ランクの事象が後から発生すると、優先ランクの高い事象の報知をそのまま継続又は開始して、優先ランクの低い事象の報知を直ちに実行せず順番待ち状態とする。
【0074】
特に制御部10は、内的事象が発生したと判定すると、記憶部7に発生フラグを記憶する。記憶部7は、例えば、交換時期、故障及び電池切れにそれぞれ対応する3つの発生フラグの記憶領域を有している。制御部10は、交換時期が発生したと判定すると、交換時期に対応する記憶領域の「0」に、発生フラグ「1」を書き込む。
【0075】
制御部10は、火災の報知対応が終了したときに、発生フラグ「1」が記憶部7内に存在すれば、その内的事象の報知対応を開始する。発生フラグ「1」が記憶部7内に2つ以上存在すれば、優先ランクの高い事象の報知を先に開始する。「火災の報知対応が終了する」状況としては、警報が誤報で住人100が操作部3を押して警報音の発報を停止させたとき、及び煙濃度が基準値以下となり自動的に警報音の発報を停止したとき等である。記憶部7内の発生フラグは該当する内的事象の報知対応が終了すると消去される(「1」から「0」に書き換えられる)。「内的事象の報知対応が終了する」状況としては、バッテリー13が交換されたとき、及び断線が解消されたとき等である。
【0076】
(2.9)動作説明
以下、一例として「火災」と「電池切れ」と「交換時期」とが略同じタイミングで発生したときの警報器1の動作について説明する。なお、「電池切れ」は、1日1回の深夜0時に確定する可能性が高いため、その報知は、発生有りと判定されて発生フラグが記憶されてから6時間程度遅らせて実行されることが望ましいが、ここでは説明の便宜上、その遅延は考慮せずに説明する。
【0077】
まず、「火災」、「電池切れ」、「交換時期」がこの順に発生する場合について、図4のフローチャート図を参照しながら説明する。
【0078】
制御部10が「火災」の発生有りと判定すると(ステップS1)、「火災」の警報を開始する(ステップS2)。制御部10が、警報音の発報中に「電池切れ」の発生も有りと判定したとする(ステップS3)。元々バッテリー13の残容量が比較的少ない状態において、警報音の発報により消費電力が急激に増加して、警報音の発報中に残容量が10%未満になることは十分に有り得る。しかし、制御部10は、最上位のランクAである「火災」の発生を警報中であるため、「電池切れ」の発生の報知を実行せず「電池切れ」の発生フラグだけを記憶部7に記憶して(ステップS4)、その報知を順番待ち状態にする。
【0079】
続いて制御部10が、警報音の発報中更に「交換時期」の発生も有りと判定したとする(ステップS5)。しかし、制御部10は、最上位のランクAである「火災」の発生を警報中であるため、「交換時期」の発生の報知を実行せず「交換時期」の発生フラグだけを記憶部7に記憶して(ステップS6)、その報知を順番待ち状態にする。
【0080】
仮に警報が誤報と分かり、住人100が操作部3を押し操作すると(ステップS7)、制御部10は、警報音の発報を停止する(ステップS8)。ここで、火災の報知対応が終了した時点で記憶部7に2つの発生フラグがあるため、制御部10は、これらの報知を開始する。ただし、ランクCの「電池切れ」は、ランクDの「交換時期」より優先度が上位であるため、制御部10は、「電池切れ」の報知を開始する(ステップS9)。
【0081】
住人100が「電池切れ」に気づいてバッテリー13を交換すると(ステップS10)、制御部10は、「電池切れ」の報知対応を終了して「電池切れ」の発生フラグを消去する(ステップS11)。電池切れの報知対応が終了した時点で記憶部7に「交換時期」の発生フラグがあるため、制御部10は、この報知を開始する(ステップS12)。ただし、「交換時期」は緊急性が低いため、作動灯15の報知点滅のみが開始され、赤色に点滅する操作部3が操作されたときのみ音声メッセージが出力される。なお、「電池切れ」の報知に関しても、作動灯15の報知点滅のみが開始され、操作部3が操作されたときのみ音声メッセージが出力されてもよい。
【0082】
次に、「電池切れ」、「交換時期」、「火災」がこの順に発生した場合について、図5のフローチャート図を参照しながら説明する。
【0083】
制御部10は、「電池切れ」の発生有りと判定すると(ステップS21)、「電池切れ」の報知を開始し(ステップS22)、また「電池切れ」の発生フラグを記憶部7に記憶する(ステップS23)。制御部10が、「電池切れ」の報知中に「交換時期」の発生も有りと判定したとする(ステップS24)。しかし、制御部10は、ランクCの「電池切れ」の発生を報知中であるため、ランクDの「交換時期」の発生の報知を実行せず「交換時期」の発生フラグだけを記憶部7に記憶して(ステップS25)、その報知を順番待ち状態にする。
【0084】
続いて制御部10が、「電池切れ」の報知中更に「火災」の発生も有りと判定したとする(ステップS26)。制御部10は、ランクCの「電池切れ」の報知を一旦中止し、ランクAの「火災」の警報を割り込ませて開始し(ステップS27)、「電池切れ」の報知も順番待ち状態にする。
【0085】
仮に警報が誤報と分かり、住人100が操作部3を押し操作すると(ステップS28)、制御部10は、警報音の発報を停止する(ステップS29)。ここで火災の報知対応が終了した時点で記憶部7に2つの発生フラグがあるため、制御部10は、これらの報知を開始する。ただし、ランクCの「電池切れ」は、ランクDの「交換時期」より優先度が上位であるため、制御部10は、「電池切れ」の報知を再開する(ステップS30)。
【0086】
住人100が「電池切れ」に気づいてバッテリー13を交換すると(ステップS31)、制御部10は、「電池切れ」の報知対応を終了して「電池切れ」の発生フラグを消去する(ステップS32)。電池切れの報知対応が終了した時点で記憶部7に「交換時期」の発生フラグがあるため、制御部10はこの報知を開始する(ステップS33)。
【0087】
このように本実施形態では、火災の報知が交換時期の報知より先に行われる。そのため、警報音の発報対象である火災が発生しているにも関わらず、交換時期の報知が実行中で、住人100に火災の発生を知らせることができないといったことを抑制できる。したがって、報知に関する信頼性の向上を図ることができる。特に火災の報知が最優先でどの内的事象の報知より先に行われるので、内的事象も含めて火災の報知の優先ランクを最上位にすることで火災の報知に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0088】
また交換時期の報知以外の故障及び電池切れのいずれの報知も、交換時期の報知より先に行われる。内的事象においても、比較的緊急性の低い交換時期の報知の優先ランクを最下位にすることで、他の事象の報知に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0089】
更に、本実施形態では、内的事象の発生有りと判定すると、発生フラグが記憶される。そのため、内的事象の発生を報知する直前又は報知中に、火災が発生して火災の発生の報知を割り込ませたとしても、火災の報知対応が終了した後に内的事象の報知を再開することができる。あるいは、既に火災の発生を報知中に、内的事象が発生したとしても、火災の報知対応が終了した後に、内的事象を報知することができる。
【0090】
(3)変形例
以下に、いくつかの変形例について列記する。以下では上述した実施形態を「基本例」と呼ぶ。以下に説明する変形例の各々は、上述した基本例や他の変形例と適宜組み合わせて適用可能である。
【0091】
(3.1)変形例1
基本例の制御部10は、火災の報知対応が終了したときに発生フラグが記憶部7内に存在すれば、該当する内的事象の報知対応を開始する。つまり、基本例の制御部10は、内的事象が発生したと一度でも判定すると、報知を放棄せずに順次実行する。しかし、発生フラグが存在しても、内的事象の報知を順次実行することは必須ではない。
【0092】
本変形例の制御部10は、火災の報知対応が終了したときに発生フラグが記憶部7内に存在していても、内的事象の報知対応を開始せずに発生フラグを強制的に消去するように構成されている。火災の発生は、住人100にとって、どの内的事象の発生よりも精神的に大きな負荷となり得る。例えば、警報が誤報と分かり、住人100が安堵して警報音を停止させた後に、火災に比べて緊急性の低い内的事象の報知が立て続けに実行されると、住人100に不快感や不安感等を与える可能性がある。そこで火災の報知対応が終了したとき限定で、内的事象の報知対応を開始せずに発生フラグを強制的に消去することで、住人100へ与える不快感や不安感等を抑制できる。制御部10は、内的事象の判定を例えば1時間ごとの周期で行なっているとすると、次の定例的な判定処理の時間まで、内的事象は報知されない。
【0093】
なお、制御部10は、内的事象の報知対応を終了したときに別の内的事象の発生フラグが存在する場合には、当該発生フラグを消去することなくその別の内的事象の発生の報知を開始する。
【0094】
ところで、発生フラグを記憶部7に記憶させるという構成も、警報器1にとって必須の構成要素ではない。制御部10は、例えば、優先ランクが最下位の「交換時期」についてはその発生有りと判定しても発生フラグを記憶部7に記憶しなくてもよい。
【0095】
(3.2)変形例2
基本例の警報器1は、単独型の火災警報器であった。すなわち、基本例の警報器1は、他の火災警報器と通信する通信機能を有していない。しかし、警報器1は、他の火災警報器と通信する通信機能を有した、連動型の火災警報器であってもよい。通信は、無線で行われてもよいし、有線で行われてもよい。
【0096】
また、警報器1は、火災警報器以外の機器と通信可能に構成されてもよい。火災警報器以外の機器とは、例えば、住人100が携帯する携帯端末(例えばスマートフォン)、及び住宅内に設置されているセキュリティ監視機器等である。警報器1は、携帯端末及びセキュリティ監視機器等に、火災の発生、及び内的事象の発生等を通知してもよい。この場合、携帯端末及びセキュリティ監視機器等には、専用のアプリケーションソフトが予めインストールされている。
【0097】
(3.3)変形例3
ところで、警報器1は、図6A及び6Bに示すような構造を有してもよい(変形例3)。本変形例の警報器は、筐体4の一面40(図6Aでは下面)において、上方に凹んだ、円環状のスリット9を有している、スリット9は、筐体4を下方から見たときに、筐体4の円形の外周に沿うように形成されている。円環状のスリット9の中心は、筐体4の円形の外周の中心と略一致する。スリット9は、その内面(例えば内底面)に、警報音を筐体4の外部に導出する音響孔H1と、照明光を筐体4の外部に導出する窓孔H2と、を有している。第1出力部11(スピーカ)は、音響孔H1と対向するように筐体4内に収容されている。第2出力部12は、窓孔H2と対向するように筐体4内に収容されている。
【0098】
本変形例によれば、音響孔H1と窓孔H2とがスリット9の内面に設けられているため、これらの孔が目立ち難い構造となっている。したがって、外観上の見栄えが損なわれることを抑制しつつ、避難時間の短縮を図ることができる。
【0099】
(3.4)その他の変形例
基本例における警報器1(主に制御部10)と同様の機能は、制御方法、コンピュータプログラム、又はプログラムを記録した非一時的な記録媒体等で具現化されてもよい。ここで、警報器1又は制御方法の実行主体は、コンピュータシステムを含んでいる。コンピュータシステムは、ハードウェアとしてのプロセッサ及びメモリを主構成とする。コンピュータシステムのメモリに記録されたプログラムをプロセッサが実行することによって、警報器1又は制御方法の実行主体としての機能が実現される。プログラムは、コンピュータシステムのメモリに予め記録されていてもよいが、電気通信回線を通じて提供されてもよいし、コンピュータシステムで読み取り可能なメモリカード、光学ディスク、ハードディスクドライブ等の記録媒体に記録されて提供されてもよい。コンピュータシステムのプロセッサは、半導体集積回路(IC)又は大規模集積回路(LSI)を含む1乃至複数の電子回路で構成される。複数の電子回路は、1つのチップに集約されていてもよいし、複数のチップに分散して設けられていてもよい。複数のチップは、1つの装置に集約されていてもよいし、複数の装置に分散して設けられていてもよい。
【0100】
特に基本例では、制御部10が、火災の判定だけでなく、内的事象の判定、音響回路へ出力するPWM信号の生成、及び点灯回路へ出力する制御信号の生成等も行なっているが、これらの機能は、例えば2つ以上のプロセッサで分散して実行されてもよい。また、第1点灯回路及び第2点灯回路は、例えば1つの点灯回路として構成されてもよい。
【0101】
また、基本例の警報器1は、1つの装置で実現されているが、この構成に限定されない。例えば、警報器1の制御部10、第1出力部11、第2出力部12、火災検知部2、操作部3、作動灯15、機器検知部6、記憶部7、各種の回路等の機能のうちの少なくとも1つの機能が、2つ以上の装置に分散して設けられてもよい。また、警報器1における少なくとも一部の機能は、例えば、クラウド(クラウドコンピューティング)によって実現されてもよい。
【0102】
(4)利点
以上説明したように、第1の態様に係る警報器(1)は、構造体(C1)に設置される。警報器(1)は、機器検知部(6)と、制御部(10)と、報知部(8)と、を備える。機器検知部(6)は、警報器(1)自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する。制御部(10)は、第1情報を受けて内的事象の発生の有無を判定する。また制御部(10)は、警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて外的事象の発生の有無を判定する。報知部(8)は、内的事象の発生、及び外的事象の発生を報知する。内的事象は、警報器(1)の交換時期を、少なくとも含む。制御部(10)は、報知部(8)に外的事象の報知を交換時期の報知より優先して先に行わせる。第1の態様によれば、警報音の発報対象である外的事象が発生しているにも関わらず、交換時期の報知が実行中で、ユーザに外的事象の発生を知らせることができないといったことを抑制できる。したがって、報知に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0103】
第2の態様に係る警報器(1)に関して、第1の態様において、内的事象は、交換時期以外に、1又は複数の他の事象を、更に含むことが好ましい。制御部(10)は、報知部(8)に、1又は複数の他の事象のいずれの報知も、交換時期の報知より先に行わせることが好ましい。第2の態様によれば、内的事象においても比較的緊急性の低い交換時期の報知の優先ランクを最下位にすることで、他の事象の報知に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0104】
第3の態様に係る警報器(1)に関して、第1又は第2の態様において、外的事象とは、火災であることが好ましい。制御部(10)は、報知部(8)に火災の報知を最優先でどの内的事象の報知より先に行わせることが好ましい。第3の態様によれば、内的事象も含めて火災の報知の優先ランクを最上位にすることで、火災の報知に関する信頼性の向上を図ることができる。
【0105】
第4の態様に係る警報器(1)は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、記憶部(7)を、更に備えることが好ましい。制御部(10)は、内的事象が発生したと判定すると記憶部(7)に発生フラグを記憶することが好ましい。制御部(10)は、外的事象の報知対応が終了したときに発生フラグが記憶部(7)内に存在すれば、内的事象の報知対応を開始することが好ましい。第4の態様によれば、内的事象の発生を報知する直前又は報知中に外的事象の発生の報知を割り込ませたとしても、外的事象の報知対応が終了した後に内的事象を報知できる。あるいは、既に外的事象の発生を報知中に内的事象が発生したとしても、外的事象の報知対応が終了した後に内的事象を報知できる。
【0106】
第5の態様に係る警報器(1)は、第1~第3の態様のいずれか1つにおいて、記憶部(7)を、更に備えることが好ましい。制御部(10)は、内的事象が発生したと判定すると記憶部(7)に発生フラグを記憶することが好ましい。制御部(10)は、外的事象の報知対応が終了したときに発生フラグが記憶部(7)内に存在していても、内的事象の報知対応を開始せずに発生フラグを強制的に消去することが好ましい。第5の態様によれば、例えば、外的事象の報知が終わった後に、外的事象に比べて緊急性の低い内的事象の報知が立て続けに実行される場合に比べて、ユーザへ与える不快感や不安感等を抑制できる。
【0107】
第6の態様に係る警報器(1)に関して、第1~第4の態様のいずれか1つにおいて、制御部(10)は、外的事象及び内的事象のうち複数の事象が発生したと判定すると、優先度の高い順に、順次報知対応を行うことが好ましい。内的事象は、交換時期以外の他の事象として、警報器(1)内の故障、及び警報器(1)に内蔵されている電池(バッテリー13)の電池切れを、更に含むことが好ましい。優先度は、高い方から、外的事象、故障、電池切れ、交換時期であることが好ましい。第6の態様によれば、発生した全ての事象について順番に実行されるため、報知に関する信頼性を更に向上することができる。
【0108】
第7の態様に係る警報器(1)に関して、第1~第6の態様のいずれか1つにおいて、外的事象とは、火災であることが好ましい。警報器(1)は、火災を検知する火災検知部(2)を、更に備えることが好ましい。制御部(10)は、火災検知部(2)からの検知結果を上記情報として受けて火災が発生したか否かを判定することが好ましい。第7の態様によれば、報知に関する信頼性の向上を図ることができる、火災検知部(2)付きの警報器(1)を提供できる。
【0109】
第8の態様に係る制御方法は、構造体(C1)に設置される警報器(1)の制御方法である。制御方法は、検知ステップと、第1判定ステップと、第2判定ステップと、報知ステップと、を有する。検知ステップでは、警報器(1)自体に関する内的事象に対応する第1情報を検知する。第1判定ステップでは、第1情報を受けて内的事象の発生の有無を判定する。第2判定ステップでは、警報音の発報対象となる外的事象に関する第2情報を受けて外的事象の発生の有無を判定する。報知ステップでは、内的事象の発生、及び外的事象の発生を報知させる。内的事象は、警報器(1)の交換時期を、少なくとも含む。報知ステップにおいて、外的事象の報知を交換時期の報知より優先して先に行わせる。第8の態様によれば、報知に関する信頼性の向上を図ることが可能な制御方法を提供できる。
【0110】
第9の態様に係るプログラムは、コンピュータシステムに第8の態様における制御方法を実行させる。第9の態様によれば、報知に関する信頼性の向上を図ることが可能な機能を提供できる。
【符号の説明】
【0111】
1 警報器
2 火災検知部
6 機器検知部
7 記憶部
8 報知部
10 制御部
13 バッテリー(電池)
C1 構造体
図1
図2
図3
図4
図5
図6