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特許7555063推薦食材選択システムおよび推薦食材選択プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】推薦食材選択システムおよび推薦食材選択プログラム
(51)【国際特許分類】
   G16H 20/60 20180101AFI20240913BHJP
【FI】
G16H20/60
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2021063826
(22)【出願日】2021-04-03
(65)【公開番号】P2022158725
(43)【公開日】2022-10-17
【審査請求日】2024-01-11
(73)【特許権者】
【識別番号】516356837
【氏名又は名称】黒川 光子
(73)【特許権者】
【識別番号】521142852
【氏名又は名称】二宮 章浩
(74)【代理人】
【識別番号】100174780
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 敦史
(72)【発明者】
【氏名】黒川 光子
【審査官】吉田 誠
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-148997(JP,A)
【文献】特開2008-257387(JP,A)
【文献】特開2021-15438(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G16H 10/00 - 80/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
利用者が摂取することが望ましい食材である推薦食材を選択する推薦食材選択システムであって、
前記食材と、当該食材が身体の各々の部位および/または各々の神経系に作用する強さに基づいて決定された、身体の健康に対する作用の強さを表す身体健康作用度および心の健康に対する作用の強さを表す心健康作用度を関連付けて記憶する食材情報記憶部と、
前記利用者の身体の健康状態の評価値である身体健康状態評価値および心の健康状態の評価値である心健康状態評価値を取得する健康状態評価値取得部と、
前記身体健康状態評価値および前記心健康状態評価値と、前記身体健康作用度および前記心健康作用度と、の比較に基づいて前記推薦食材を選択する食材選択部と、を備えた推薦食材選択システム。
【請求項2】
前記食材選択部は、
身体と心とのバランスを表す身体-心空間の中において、前記身体健康作用度と前記心健康作用度とに基づく座標値を有し、前記食材を表す点である食材点として表現するとともに、
前記身体-心空間の中において、前記身体健康状態評価値と前記心健康状態評価値とに基づく座標値を有し、前記利用者を表す点である利用者点として表現し、
前記身体-心空間における前記食材点と前記利用者点との距離に基づいて前記推薦食材を選択する請求項1記載の推薦食材選択システム。
【請求項3】
前記食材選択部は、
身体と心とのバランスを表す身体-心空間の中において、前記身体健康作用度と前記心健康作用度とに基づく座標値を有し、前記食材を表す点である食材点として表現するとともに、
前記身体-心空間の中において、前記身体健康状態評価値と前記心健康状態評価値とに基づく座標値を有し、前記利用者を表す点である利用者点として表現し、
前記身体-心空間を複数の領域に分割し、前記利用者点が属するのと同じ前記領域に属する前記食材点が表す前記食材を前記推薦食材として選択する請求項1記載の推薦食材選択システム。
【請求項4】
前記食材と、当該食材に含まれる栄養素と、を関連付けて記憶する食材情報記憶部と、
前記利用者にとって不足している前記栄養素である不足栄養素に関する情報を取得する不足栄養素情報取得部と、を備え、
前記食材選択部は、前記不足栄養素を含む前記食材を優先的に前記推薦食材として選択する請求項1から3のいずれか一項に記載の推薦食材選択システム。
【請求項5】
利用者が摂取することが望ましい食材である推薦食材を選択する推薦食材選択プログラムあって、
前記利用者の身体の健康状態の評価値である身体健康状態評価値および心の健康状態の評価値である心健康状態評価値を取得する健康状態評価値取得機能と、
前記食材と、当該食材が身体の各々の部位および/または各々の神経系に作用する強さに基づいて決定された、身体の健康に対する作用の強さを表す身体健康作用度および心の健康に対する作用の強さを表す心健康作用度を関連付けて記憶する食材情報記憶部から、前記身体健康作用度および前記心健康作用度を取得するとともに、前記身体健康状態評価値および前記心健康状態評価値と、前記身体健康作用度および前記心健康作用度と、の比較に基づいて前記推薦食材を選択する食材選択機能と、
をコンピュータに実現させる推薦食材選択プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、利用者の健康状態に応じた食材を推薦する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
健康の増進、維持、回復等には食材が重要であるため、利用者にとって必要な食材やメニューを提示する多くの技術が提案されている。例えば、特許文献1の技術では、個人の身体的状態及び精神的状態を健康状態として取得した栄養素適正量と、個人が摂取しようとする食事を栄養素毎に置き換えた栄養素量とを比較し、その比較結果を栄養素毎の過不足として出力手段に出力している。この技術では、利用者は栄養素の過不足を認知することができ、その後の食生活の改善に利用することができる。
【0003】
また、特許文献2の技術では、利用者から健康状態に関する問診への回答の入力を受け付け、受信した回答に基づいて摂取を推奨する栄養素を診断し、その栄養素に関連付けられた食材を抽出し、その食材に関連付けられた店舗および産地を利用者に提示している。この技術では、問診から摂取が推奨される栄養素が判断され、その栄養素を摂取できる食材、さらには店舗や産地等の情報が利用者に提示される。これにより、利用者は自身に必要な栄養素を摂取する方法を知ることができる。
【0004】
また、特許文献3の技術では、利用者の生体情報を取得し、その取得時点における生体情報に基づく基準を満たす食事メニューに関する推奨食事情報を生成し、利用者に提示している。この技術では、生体情報を取得した時点の利用者の健康状態に応じて適切な食事情報を提供している。なお、食事メニューは栄養項目に基づいて決定される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2003-050865号公報
【文献】特開2015-056022号公報
【文献】特開2020-154616号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述の特許文献は、利用者の状態を取得する方法における差異はあるものの、利用者にとって不足している栄養素を基準として食材やメニュー等の選択を行っている。しかしながら、本発明の発明者らの研究によって、利用者が摂取することが望ましい食材を選択する際に栄養素の観点のみからでは十分でないことが判明した。
【0007】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、利用者が摂取することが望ましい食材を的確に選択できる推薦食材選択技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するために、本発明に係る、利用者が摂取することが望ましい食材である推薦食材を選択する推薦食材選択システムの好適な実施形態の一つでは、前記食材と、当該食材が身体の各々の部位および/または各々の神経系に作用する強さに基づいて決定された、身体の健康に対する作用の強さを表す身体健康作用度および心の健康に対する作用の強さを表す心健康作用度を関連付けて記憶する食材情報記憶部と、前記利用者の身体の健康状態の評価値である身体健康状態評価値および心の健康状態の評価値である心健康状態評価値を取得する健康状態評価値取得部と、前記身体健康状態評価値および前記心健康状態評価値と、前記身体健康作用度および前記心健康作用度と、の比較に基づいて前記推薦食材を選択する食材選択部と、を備えている。
【0009】
この構成では、各々の食材は身体および心の健康に対する作用の程度を表す身体健康作用度および心健康作用度が求められており、各々の食材のそれらの作用度と、利用者の身体および心の健康の状態を表す身体健康状態評価値および心健常状態評価値と、を比較することにより推薦食材が選択される。これにより、例えば、身体健康状態評価値が低い利用者には身体健康作用度の高い食材を推薦したり、心健康状態評価値が低い利用者には心健康作用度が高い食材を推薦したりすることができる。すなわち、利用者の身体と心の健康のバランスに応じて、利用者の身体と心に対して適切に作用する食材を推薦することができる。換言すると、利用者の身体と心の健康状態に整合する作用を有する食材を推薦することができる。
【0010】
身体健康状態評価値および心健康状態評価値と、身体健康作用度および心健康作用度と、の比較は様々な方法を用いることができる。本発明に係る推薦食材選択システムの好適な実施形態の一つでは、前記食材選択部は、身体と心とのバランスを表す身体-心空間の中において、前記身体健康作用度と前記心健康作用度とに基づく座標値を有し、前記食材を表す点である食材点として表現するとともに、前記身体-心空間の中において、前記身体健康状態評価値と前記心健康状態評価値とに基づく座標値を有し、前記利用者を表す点である利用者点として表現し、前記身体-心空間における前記食材点と前記利用者点との距離に基づいて前記推薦食材を選択する。
【0011】
また、本発明に係る推薦食材選択システムの好適な実施形態の一つでは、前記食材選択部は、身体と心とのバランスを表す身体-心空間の中において、前記身体健康作用度と前記心健康作用度とに基づく座標値を有し、前記食材を表す点である食材点として表現するとともに、前記身体-心空間の中において、前記身体健康状態評価値と前記心健康状態評価値とに基づく座標値を有し、前記利用者を表す点である利用者点として表現し、前記身体-心空間を複数の領域に分割し、前記利用者点が属するのと同じ前記領域に属する前記食材点が表す前記食材を前記推薦食材として選択する。
【0012】
これらのいずれの方法であっても、簡便に推薦食材を選択することができる。
【0013】
本発明に係る推薦食材選択システムの好適な実施形態の一つでは、前記食材と、当該食材に含まれる栄養素と、を関連付けて記憶する食材情報記憶部と、前記利用者にとって不足している前記栄養素である不足栄養素に関する情報を取得する不足栄養素情報取得部と、を備え、前記食材選択部は、前記不足栄養素を含む前記食材を優先的に前記推薦食材として選択する。
【0014】
この構成では、上述した推薦食材の選択において、複数の推薦食材が選択された際に、利用者にとって不足している栄養素を含む食材を優先的に推薦する。これにより、利用者の健康状態と食材の健康に対する作用度との整合性だけでなく、利用者にとって不足している栄養素の観点をも加味した食材の推薦が可能となる。
【0015】
本発明は、利用者が摂取することが望ましい食材である推薦食材を選択する推薦食材選択プログラムをも権利範囲としており、そのような推薦食材推薦プログラムは、前記利用者の身体の健康状態の評価値である身体健康状態評価値および心の健康状態の評価値である心健康状態評価値を取得する健康状態評価値取得機能と、前記食材と、当該食材が身体の各々の部位および/または各々の神経系に作用する強さに基づいて決定された、身体の健康に対する作用の強さを表す身体健康作用度および心の健康に対する作用の強さを表す心健康作用度を関連付けて記憶する食材情報記憶部から、前記身体健康作用度および前記心健康作用度を取得するとともに、前記身体健康状態評価値および前記心健康状態評価値と、前記身体健康作用度および前記心健康作用度と、の比較に基づいて前記推薦食材を選択する食材選択機能と、をコンピュータに実現させる。
【0016】
当然ながら、このような推薦食材推薦プログラムも上述した推薦食材推薦システムと同様の付加的な特徴構成を付加することができ、同様の作用効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】食材推薦システムのシステム概略図である。
図2】食材推薦システムの機能ブロック図である。
図3】生理作用情報記憶部に記憶されている生理作用情報の例である。
図4】栄養素情報記憶部に記憶されている栄養素情報の例である。
図5】自覚症状情報記憶部に記憶されている自覚症状情報の例である。
図6】疾病傾向情報記憶部に記憶されている疾病傾向情報の例である。
図7】うつ症状情報記憶部に記憶されているうつ症状情報の例である。
図8】食材の波動測定結果の例である。
図9】クライアント端末における処理の流れを表すフローチャートである。
図10】クライアント端末における自覚症状の有無を入力する画面の表示例である。
図11】サーバにおける処理の流れを表すフローチャートである。
図12】健康状態評価値の算出方法を表すフローチャートである。
図13】身体-心空間での食材選択の方法を表す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下に、図面を用いて本実施形態における本発明に係る推薦食材選択システムを用いた食材推薦システムを説明する。図1は本実施形態における食材推薦システムのシステム概略図であり、図2は食材推薦システムの機能ブロック図である。図に示すように、食材推薦システムは、サーバSと、クライアント端末Tと、を備えており、これらがネットワークNを介して接続されている。なお、図には、2台のクライアント端末Tを表示しているが、クライアント端末Tの台数は適宜変更可能である。本実施形態では、サーバSが本発明の推薦食材選択システムに相当する。
【0019】
〔クライアント端末〕
クライアント端末Tとしては、汎用コンピュータ、タブレット端末、スマートフォン等を用いることができる。本実施形態では、クライアント端末Tはタブレット端末としている。クライアント端末Tは入力装置Iと、表示装置としてのディスプレイDを備えている。クライアント端末Tがタブレット端末やスマートフォンの場合には入力装置Iはタッチパネル等であり、クライアント端末Tが汎用コンピュータの場合には、入力装置Iはマウスやキーボードである。
【0020】
図2に示すように、クライアント端末Tは、質問取得部11、質問提示部12、回答取得部13、食材情報取得部14、食材情報提示部15、制御部19を備えている。質問取得部11は、サーバSの自覚症状情報記憶部DB3(後述)から利用者に提示する質問を取得する。質問提示部12は、質問取得部11によって取得された質問をディスプレイDに表示し、利用者に提示する。回答取得部13は、提示された質問に対する利用者の回答内容を取得する。食材情報取得部14は、利用者に推薦する食材の情報をサーバSから取得する。食材情報提示部15は、食材情報取得部14が取得した食材情報をディスプレイDに表示し、利用者に提示する。制御部19は、クライアント端末Tの動作や処理の制御、サーバSとの通信の制御等を行う。
【0021】
本実施形態では、クライアント端末Tに食材推薦システムのクライアント端末用のプログラム(ソフトウェア)が読み込まれ、このソフトウェアとクライアント端末Tのハードウェアとが協働することによってこれらの機能部が実現される。なお、クライアント端末Tを専用機とした場合には、これらの機能部はハードウェアで構成することができる。
【0022】
〔サーバ〕
図2に示すように、サーバSは機能部として、回答取得部21、健康状態評価値算出部22、食材選択部23、制御部29を備えている。回答取得部21は、クライアント端末Tから利用者の回答情報を取得する。健康状態評価値算出部22は、取得した回答情報から身体に関する健康の評価値である身体健康状態評価値と心に関する健康の評価値である心健康状態評価値とを算出する。以下の説明では、身体健康状態評価値と心健康状態評価値とを合わせて健康状態評価値と称することがある。なお、健康状態評価値算出部22は複数のモジュールから構成されており、詳細は後述する。食材選択部23は、健康状態評価値算出部22によって算出された健康状態評価値と、各々の食材の健康作用度(身体健康作用度,心健康作用度(後述))と、を比較することにより、利用者が摂取することが望ましい食材を選択する。制御部29は、サーバSの動作や処理の制御、クライアント端末Tとの通信の制御等を行う。
【0023】
本実施形態では、サーバSは汎用コンピュータで構成されている。そのため、本実施形態では、サーバSに食材推薦システムのサーバ用のプログラム(ソフトウェア)が読み込まれ、このソフトウェアとサーバSのハードウェアとが協働することによってこれらの機能部が実現される。なお、サーバSを専用機とした場合には、これらの機能部はハードウェアで構成することができる。
【0024】
〔記憶部〕
また、サーバSは各種情報を記憶管理する記憶部として、生理作用情報記憶部DB1、栄養素情報記憶部DB2、自覚症状情報記憶部DB3、疾病傾向情報記憶部DB4、うつ症状情報記憶部DB5、食材情報記憶部DB9を備えている。本実施形態では、生理作用情報記憶部DB1、栄養素情報記憶部DB2、自覚症状情報記憶部DB3、疾病傾向情報記憶部DB4、うつ症状情報記憶部DB5、食材情報記憶部DB9はハードディスクドライブ等の不揮発性記憶装置とDBMS(DataBase Management System)とが協働することにより構成されている。
【0025】
生理作用情報記憶部DB1は、生理作用を一意に特定可能な情報(以下、生理作用IDと称する)と生理作用とを関連付けて記憶している。図3は本実施形態における生理作用情報記憶部DB1に記憶された情報(生理作用情報)の一部を示している。
【0026】
栄養素情報記憶部DB2は、栄養素を一意に特定可能な情報(以下、栄養素IDと称する)と、栄養素名と、その栄養素が及ぼす生理作用の生理作用IDと、を関連付けて記憶している。図4は本実施形態における栄養素情報記憶部DB2に記憶された情報(栄養素情報)の一部を示している。例えば、VB1(ビタミンB1)は、生理作用ID=1102,1094と関連付けられている。具体的な生理作用の内容は、生理作用情報記憶部DB1からこれらの生理作用IDをキーとして検索することにより得られる。この場合には、「筋肉の機能を正常に維持する」,「肝臓を保護し、再生を促進する」という生理作用が得られ、VB1はこれらの生理作用を及ぼすことが分かる。
【0027】
自覚症状情報記憶部DB3は、自覚症状を一意に特定可能な情報(以下、自覚症状IDと称する)と、自覚症状と、その自覚症状に関連する栄養素の栄養素IDと、その自覚症状に対してその関連する栄養素が及ぼす生理作用の生理作用IDと、その自覚症状に対してその関連する栄養素の関連の程度(以下、関与度と称する)と、を関連付けて記憶している。図5は本実施形態における自覚症状情報記憶部DB1に記憶された情報(自覚症状情報)の一部を示している。ここでは、自覚症状として「筋力が弱ってきた感じがする」,「肥満しやすい」,「食後にむしょうに眠くなる事が多い」の3つを示している。各々の自覚症状には一つ以上の栄養素が関連しており、その栄養素IDが関与度およびその栄養素が及ぼす生理作用の生理作用IDととともに関連付けられている。例えば、「筋力が弱ってきた感じがする」という自覚症状に対して、{栄養素ID=102,関与度=3,生理作用ID=1102}が関連付けられている。栄養素情報記憶部DB2から栄養素ID=102をキーとして検索すると、栄養素=VB1が得られる。また、生理作用情報記憶部DB1から生理作用ID=1102をキーとして検索すると、生理作用=「筋肉の機能を正常に維持する」が検索される。したがって、これらの情報から、「筋力が弱ってきた感じがする」という自覚症状に対して、VB1が「筋肉の機能を正常に維持する」という生理作用を及ぼしており、その関与度は3であることが分かる。
【0028】
なお、栄養素が及ぼす生理作用は複数ある場合があるが、自覚症状との関係で1つに定められている。例えば、栄養素VB1は、自覚症状「筋力が弱ってきた感じがする」に対しては「筋肉の機能を正常に維持する」という生理作用が関連し、自覚症状「食後にむしょうに眠くなる事が多い」に対しては「肝臓を保護し、生成を促進する」という生理作用が関連している。
【0029】
疾病傾向情報記憶部DB4は、疾病の傾向(疾病傾向)と、疾病傾向を一意に特定可能な情報(以下、疾病傾向IDと称する)と、不足した場合にその疾病の傾向が強くなる栄養素の栄養素IDと、その関連の度合い(以下、疾病関与度と称する)とを関連付けて記憶している。図6は本実施形態における疾病傾向情報記憶部DB4に記憶された情報(疾病傾向情報)を示している。例えば、「自律神経インバランス」という疾病傾向には{栄養素ID=118,関与度=5}が関連付けられている。栄養素情報記憶部DB2から栄養素ID=118をキーとして検索すると栄養素=コリンが検索される。したがって、「自律神経インバランス」という疾病傾向には栄養素=コリンが関与しており、その疾病関与度は5であることが分かる。
【0030】
うつ症状情報記憶部DB5は、不足した場合にうつ症状を発生しやすくなる栄養素と、その関連の度合い(以下、うつ症状発症関与度と称する)とを関連付けて記憶している。図7は、うつ症状情報記憶部DB5に記憶されている情報(うつ症状情報)の例である。本実施形態では、各々の栄養素のうつ症状関与度だけでなく、複数の栄養素の組み合わせのうつ症状発症関与度を規定している。図7は特開2015-112297号公報の図4と同様であるため、ここでは簡単に説明する。図7のテーブルでは、行および列の項目名として、栄養素または栄養素の組み合わせが設定されており、セルの値がうつ症状発症関与度である。図7では、行を数字、列をアルファベットで表しており、特定のセルはアルファベットと数字との組み合わせで表すことができる。例えば、イノシトールとコリンと葉酸とが不足している場合には、D列および5行が特定され、うつ症状発症関与度はセルD5の値である15となる。
【0031】
食材情報記憶部DB9は、食材を一意に特定可能な情報(食材ID)と、食材と、その食材の身体の健康に対して作用する程度(身体健康作用度)と、その食材が心の健康に対して作用する程度(心健康作用度)と、を関連付けて記憶している。以下の説明では、身体健康作用度と心健康作用度とを合わせて健康作用度と称することがある。
【0032】
以下に本実施形態における健康作用度の求め方を示すが、健康作用度の求め方はこれに限定されるものではなく、他の方法を用いることも可能である。
【0033】
本実施形態における健康作用度の求め方は波動の考え方に基づいている。波動は原子を構成する電子のスピンによって生じるため、各々の物質特有の波長を持っていると考えられている。ロナルド・ウェインストックは自身が開発した波動測定器(磁気共鳴分析装置)を用いて、身体の組織、臓器、病気の波動を測定し、4000以上のコードとして蓄積した。例えば、この測定によって得られたある臓器の波動を対象物に与えた場合に、共鳴の程度を測定することにより、その対象物がその臓器に作用する程度を求めることができる。
【0034】
このような考え方の下、本発明の発明者らは波動測定器の一つであるMIRSを用い、各食材が身体の部位や神経系(以下、対象項目と称する)の各々の波動に対してどの程度共鳴するかを測定した。その結果の一部を図8に示す。ここでは、対象項目のうち、身体の健康にとって重要なものを8項目、心の健康にとって重要なもの8項目を選択している。なお、ここでは具体的な項目は表していないが、利用者の身体と心の健康の程度(健康状態評価値)の算出方法と親和性の良い項目を選択することが好ましい。
【0035】
図8(a)、(b)はそれぞれ、各食材の身体および心に関する各対象項目に対する共鳴の程度(以下、共鳴度と称する)を示している。なお、図では対象項目名ではなく対象項目IDとして示している。例えば、食材1の身体の対象項目ID=3,対象項目ID=7に対する共鳴度はそれぞれ19,20である。
【0036】
また、図8には、各々の食材について、身体の健康にとって重要な対象項目に対する共鳴度の平均値と、心の健康にとって重要な対象項目に対する共鳴度の平均値と、を示している。本実施形態では、これらがそれぞれ本発明における身体健康作用度と心健康作用度とに相当している。したがって、食材情報記憶部DB9には各々の食材ついて、食材IDと図8(a)の平均値と図8(b)の平均値とが関連付けて記憶されている。例えば、食材1の身体健康作用度は17.4であり、心健康作用度は16.1となる。
【0037】
ここで、身体健康作用度と心健康作用度とで張られる空間(以下、身体-心空間と称する)を考えると、これは身体と心のバランスを表す空間であり、各々の食材は(身体健康作用度,心健康作用度)を座標とする点として表現することができる。上述の例では、食材1は座標(17.4,16.1)の点として表すことができる。
【0038】
なお、本発明における食材は、単体の作物等だけでなく、作物等の一部や作物等の混合物や加工物等であっても構わない。
【0039】
以下に、本実施形態における処理の流れを説明する。
【0040】
〔処理の流れ:クライアント端末〕
図9は、クライアント端末における処理の流れを表すフローチャートである。先ず、利用者がクライアント端末Tを操作し、食材推薦システムを起動すると、質問取得部11が自覚症状情報記憶部DB3から自覚症状に関する情報を取得する。具体的には、質問取得部11は自覚症状情報記憶部DB3から質問としての自覚症状および自覚症状IDを取得する(#01)。質問取得部11がこれらの情報を取得すると、質問提示部12は取得した自覚症状とともに、利用者がその自覚症状の有無を入力可能なGUI(Graphical User Interface)をディスプレイDに表示させる(#02)。図10はこのような画面の表示例である。この例では、ディスプレイDには、自覚症状を表す文字列STと、自覚症状があることを入力するYesボタンB1と、自覚症状がないことを入力するNoボタンB2とが表示されている。なお、YesボタンB1とNoボタンB2とはトグルボタンとなっており、一方を選択すると他方が非選択となる。
【0041】
利用者は表示された自覚症状を確認してその有無を判断し、タッチパネル等の入力装置Iを操作してYesボタンB1とNoボタンB2とのいずれかを選択する。選択された結果は回答取得部13によって取得され、自覚症状IDと関連付けてメモリに一時的に記憶される(#03)。これを全ての自覚症状に対して行うと自覚症状の数と同数の{自覚症状ID,自覚症状の有無}からなる回答が得られる。以下では、この回答の集合を回答情報と称する。例えば、回答情報として{2203,1},{2901,0},{3101,1}が得られる。なお、ここでは自覚症状ありを1で、自覚症状なしを0で表している。このようにして得られた回答情報は制御部19からネットワークNを介してサーバSに送信される(#04)。
【0042】
回答情報を取得したサーバSでは、後述する処理によって利用者が摂取することが好ましい食材を選択し、その食材に関する情報(以下、食材情報と称する)をクライアント端末Tに送信する。
【0043】
クライアント端末Tでは、食材情報取得部14がサーバSから送信された食材情報を取得し(#05)、食材情報提示部15がその食材情報をディスプレイDに表示させる(#06)。
【0044】
〔処理の流れ:サーバ〕
次に、図11のフローチャートを用いてサーバSにおける処理の流れを説明する。上述の処理によりクライアント端末Tから回答情報が送信されると、回答取得部21がその回答情報を取得する(#11)。取得された回答に基づいて健康状態評価値算出部22が利用者の身体と心の健康状態を表す健康状態評価値を算出する(#12)。
【0045】
健康状態評価値の算出方法の詳細は図12のフローチャートを用いて説明する。本実施形態では、健康状態評価値算出部22は、様々な評価値を算出し、それらを用いて健康状態評価値を算出する。そのため、本実施形態における健康状態評価値算出部22は様々な評価値を算出するために、不足栄養素特定モジュール22a,ストレス疲労度算出モジュール22b,栄養充足度算出モジュール22c,疾病潜在率算出モジュール22d,栄養活性度算出モジュール22e,BMI算出モジュール22f,体内活力指数算出モジュール22g,うつ係数算出モジュール22hを備えている。
【0046】
これらのモジュールにおける詳細な処理の流れは特開2012-133501号公報および特開2015-112297号公報に開示された処理とほぼ同様であるため、ここでは簡単に説明する。
【0047】
不足栄養素特定モジュール22aは、取得された回答情報に基づいて、利用者にとって不足している栄養素(不足栄養素)を特定する(#21)。具体的には、以下の処理が行われる。先ず、取得した回答情報のうち、自覚症状の有無=1である回答情報を抽出する。この抽出された回答情報を有自覚症状回答情報と称する。そして、自覚症状情報記憶部DB3を参照し、各々の有自覚症状回答情報に対応する自覚症状に関連付けられた栄養素IDおよび関与度を抽出する。例えば、「筋力が弱ってきた感じがする」との自覚症状がある場合には、(栄養素コード=102,関与度=3),(105,3),・・・,(206,1)が抽出される。この処理を全ての有自覚症状回答情報に対して行い、栄養素ごとに関与度の和を求め、関与度が大きい方から所定個の栄養素を不足栄養として特定する。例えば、図5に示す3つの自覚症状がある場合に上述の処理を行うと、コリン,VB6,VB1,VC,Mg,K,Zn,VB5,VB12,ヨウ素,イノシトール,VB3,・・・の各々の関与度の和はそれぞれ、9,7,6,6,6,5,5,4,4,3,3,3,・・・となる。関与度が大きい方から6個選択する場合には、コリン,VB6,VB1,VC,Mg,Kが不足栄養素として特定される。
【0048】
次に、ストレス疲労度算出モジュール22bはストレス疲労度を算出する(#22)。ストレス疲労度は、自覚症状に関与している栄養素が身体的生理作用および精神的生理作用にどの程度関わっているかを示す数値である。本実施形態では、ストレス疲労度は自覚症状情報記憶部DB3に記憶されている全ての自覚症状に関する評価値に対する有自覚症状回答情報に対応する自覚症状に関する評価値の割合として算出している。この評価値は関与度の総和+生理作用の項目数としている。なお、生理作用の項目数は重複しては数えない。例えば、図5に示す3つの自覚症状がある場合、有自覚症状回答情報に対応する自覚症状に関する関与度の総和(有自覚症状関与度総和)および生理作用の項目数(有自覚症状生理項目数)はそれぞれ99および45となる。ここで、自覚症状情報記憶部DB3に記憶されている全ての自覚症状の関与度の総和(自覚症状関与度総和)が1239、自覚症状の項目数(自覚症状生理項目数)が576であるとすると、
ストレス疲労度=(有自覚症状関与度総和+有自覚症状生理項目数)/(自覚症状関与度総和+自覚症状生理項目数)=(99+45)/(1239+576)×100=7.8
となる。
【0049】
また、栄養充足度算出モジュール22cは、栄養充足度を算出する(#23)。栄養充足度は、自覚症状に関与しているビタミンやミネラル等の補酵素が体内栄養素として有効活用されている割合を示す数値である。本実施形態では、
栄養充足度=1-(有自覚症状関与度総和/自覚症状関与度総和)×100
として算出している。したがって、上述の例の場合には、栄養充足度={1-(99/1239)}×100=92となる。
【0050】
疾病潜在率算出モジュール22dは、疾病傾向ごとの疾病潜在率を算出する(#24)。疾病潜在率は、疾病傾向の強さを示す数値であり、疾病傾向に関与している栄養素と、自覚症状に関与している栄養素と、を比較することにより求められる。本実施形態では、疾病潜在率は不足栄養素と疾病傾向情報記憶部DB4に基づいて算出する。具体的には、疾病傾向ごとに、栄養素の関与度の総和(全栄養素関与度総和)と、疾病傾向に関与する栄養素のうち不足栄養素であるものの関与度の総和(不足栄養素関与度総和)と、を求め、その比率を疾病潜在率とする。すなわち、
疾病潜在率=不足栄養素関与度総和/全栄養素関与度総和×100
である。例えば、上述の例のように不足栄養素がコリン,VB6,VB1,VC,Mg,Kであるとすると、(疾病傾向=自律神経インバランス)の疾病潜在率は17/29×100=58.6となる。このような計算を全ての疾病傾向について行う。
【0051】
栄養活性度算出モジュール22eは、栄養活性度を算出する(#25)。栄養活性度は、身体が感受するストレスに対して、体内栄養素が有効に活用されているか、また、代謝の活性化にどの程度関与しているかを示す数値である。本実施形態では、
栄養活性度=栄養充足度/(1位の疾病傾向の疾病潜在率/ストレス疲労度)
で算出している。
【0052】
BMI算出モジュール22fは、利用者の身長と体重とから体重とBMI(Body Mass Index)を算出する(#26)。BMIは一般的に知られている数式によって求められ、
BMI=体重/(身長×身長)
である。なお、利用者の身長と体重とはクライアント端末Tから、回答情報とともに取得しておく。
【0053】
体内活力指数算出モジュール22gは体内活力指数を算出する(#27)。体内活力指数は、身体の元気度を表す数値であり、身体が元気(健康)であれば高い数値を示すものである。本実施形態ではこの体内活力指数が本発明における身体健康状態評価値に相当する。本実施形態では、ストレス疲労度,栄養充足度,疾病潜在率,栄養活性度,BMIを用いて所定の数式によって体内活力指数を算出するが、他の方法で算出しても構わない。なお、本実施形態では、体内活力指数の値域は[0,100]である。
【0054】
うつ係数算出モジュール22hはうつ係数を算出する(#28)。うつ係数は、うつ症状が発現する程度を示す数字であり、うつ症状に関与する栄養素と、自覚症状に関与している栄養素と、を比較することにより求められる。本実施形態では、うつ症状情報記憶部DB5に記憶されている情報と不足栄養素とによって求められる。例えば、不足栄養素がイノシトール,ヨウ素,VB12,葉酸,Mg,Kであるとすると、うつ症状情報記憶部DB5に記憶されているテーブル(図6)を参照すると、6行目の項目名がイノシトール+ヨウ素であり、F列の項目名がVB12+葉酸であるため、セルF6の値である18がうつ係数となる。本実施形態では、このうつ係数を値域が[0,100]となる値に変換したものが本発明における心健康状態評価値に相当する。この変換は様々な方法で行うことができるが、うつ係数が小さくなるにしたがって心健康状態評価値が大きくなるような方法を用いる。
【0055】
このようにして健康状態評価値算出部22によって健康状態評価値(身体健康状態評価値、心健康状態評価値)が算出されると、食材選択部23が健康状態評価値に基づいて、利用者が摂取することが望ましい食材(推薦食材)を選択する(#13)。本実施形態では、以下の方法によって食材を選択する。
【0056】
先ず、健康状態評価値(身体健康状態評価値,心健康状態評価値)を身体-心空間に写像する。具体的には、身体健康状態評価値が身体-心空間での身体健康作用度の軸に対応し、心健康状態評価値が身体-心空間での心健康作用度の軸に対応させる。このとき、健康状態評価値が大きくなるにしたがって、身体-心空間での値が小さくなるような写像を用いる。このような写像により、健康状態評価値、すなわち、利用者も身体-心空間中の点として表すことができる。ただし、身体-心空間での座標値は、食材の観点から見ると健康への作用度の大きさであり、利用者の観点から見ると健康の問題の程度の大きさを表している。
【0057】
図13は身体-心空間での食材選択の方法を示している。図13では身体-心空間において、食材1から食材7が点P1~P7(本発明における食材点の例)として表されており、利用者1から利用者3が点Q1~Q3(本発明における利用者点の例)として表されている。健康状態評価値と健康作用度を上述のように身体-心空間に写像しているため、この空間内では利用者を表す点と、その利用者が摂取することが望ましい食材を表す点と、が近接した位置となっている。
【0058】
図13(a)では、身体-心空間での距離(ユークリッド距離)に基づいて食材の選択を行っている。例えば、点Q1を考えると点P2が最も距離が近い。したがって、利用者1に対する推薦食材として食材2が選択される。同様に、点Q2に最も近いのは点P6、点Q3に最も近いのは点P7であるため、利用者2および利用者3に対する推薦食材としてそれぞれ食材6、食材7が選択される。なお、距離は他の尺度を用いても構わない。なお、ここでは、最も距離の近い食材を選択したが、所定の距離内にある複数の食材を選択しても構わない。
【0059】
また、図13(b)では身体-心空間を4つの領域R1~R4に分割し、この領域に基づいて食材の選択を行っている。各々の領域を利用者(健康状態評価値)の観点から見ると、領域R1は身体も心も健康な領域、領域R2は心は健康であるが身体の健康に問題がある領域、領域R3は身体は健康であるが心の健康に問題がある領域、領域R4は身体および心ともに健康に問題がある領域に相当する。一方、各々の領域を食材(健康作用度)の観点から見ると、領域R2は身体の健康に作用が大きい領域、領域R3は心の健康に作用が大きい領域、領域R4は身体および心の健康に作用が大きい領域である。すなわち、各々の領域内では健康の問題の大きさと健康への作用の大きさとが対応している。そのため、この例では、利用者を表す点Qiを含む領域Rjにある点Pkが表す食材を選択している。例えば、利用者1を表す点Q1は領域R2に含まれているため、同じ領域R2にある点P2およびP4が表す食材2および食材4が、利用者1にとっての推薦食材として選択される。同様に、利用者2には食材1,食材3および食材6が、利用者3には食材3および食材7が推薦食材として選択される。
【0060】
この領域の範囲は静的であっても構わないし、動的であっても構わない。動的に領域を設定する場合には、食材情報記憶部DB9に記憶される食材の健康作用度の分布によって変化させることができる。
【0061】
なお、上述した選択方法によって多くの食材が選択される場合がある。このような場合には選択された食材に優先順位を付けてさらに選択することもできる。例えば、食材情報記憶部DB9に各々の食材に含まれる栄養素の情報を記憶させておき、利用者にとって不足している栄養素(不足栄養素)を多く含む食材の優先順位を高くしたり、各々の食材の免疫機能に対する共鳴度の大きさによって優先順位を決めたり、することができる。当然ながら、優先順位の決め方はこれらに限定されるものではなく、本発明の目的を達する限りにおいて他の方法を用いることができる。
【0062】
また、この不足栄養素や免疫機能に対する共鳴度の大きさは、上述した距離の計算において使用することもできる。例えば、不足栄養素や免疫機能に対する共鳴度の大きさを距離計算時の重みとすることができる。その場合、不足栄養素や免疫機能に対する共鳴度の高い食材の距離が小さくなるように重みを設定する。これにより、身体-心空間の距離が同じ食材であっても、不足栄養素を多く含む食材や免疫機能に対する共鳴度が高い食材の距離が小さくなり、推薦食材として選択されやすくなる。
【0063】
このようにして選択された推薦食材に関する情報は、制御部29からネットワークNを介してクライアント端末Tに送信される(#14)。
【0064】
このように、本発明によれば、利用者の身体および心の健康の度合いと、食材の身体および心の健康に対する作用の度合いと、に基づいて、利用者が摂取することが望ましい食材を選択している。これにより、利用者の健康の傾向に適した食材を薦めることができ、利用者はその食材を摂取することで健康の維持や改善を行うことができる。
【0065】
〔別実施形態〕
(1)機能部や記憶部の配置は上述の実施形態で示したものに限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、上述の実施形態では、推薦食材選択システムを一つのサーバSで構成したが、複数のサーバで構成することもできる。
【0066】
(2)上述の実施形態では、身体-心空間は身体健康作用度と心健康作用度とによって張られる空間であったが、身体健康状態評価値と心健康状態評価値とで張られる空間であっても構わないし、他の空間であっても構わない。本発明における身体-心空間の重要な点は、健康状態評価値と健康作用度とを同じ空間内で表現できる点にある。そのため、この目的を達する限りにおいて身体-心空間は適宜変更可能である。
【0067】
(3)上述の実施形態では、健康状態評価値と健康作用度とを同じ空間(身体-心空間)内の点として表現し、その点間の距離等に基づいて推薦食材を選択したが、健康状態評価値と健康作用度とを直接比較できる評価関数を用いて推薦食材を選択しても構わない。この場合、健康状態評価値が低いときには健康作用度の高い食材が選択されるような評価関数を用いればよい。
【0068】
(4)上述の実施形態では、利用者の自覚症状に基づいて健康状態評価値を算出したが、他の方法で算出しても構わないし、外部のシステムで得たものを取得しても構わない。なお、上述の実施形態では、健康状態評価値算出部22が本発明における健康状態評価値取得に相当する。
【0069】
(5)上述の実施形態では、利用者の自覚症状に基づいて不足栄養素を特定したが、他の方法によって特定しても構わないし、外部のシステム得たものを取得しても構わない。なお、上述の実施形態では、不足栄養素特定モジュール22aが本発明における不足栄養素情報取得部に相当する。
【産業上の利用可能性】
【0070】
本発明は、利用者が摂取することが望ましい食材を選択する推薦食材選択技術に利用することができる。またこのような推薦食材選択技術によって選択された食材を利用者に提示する際に、その食材の入手先やその食材の調理方法等の利用方法も合わせて提示すれば、より利用者の健康の維持や改善に役立てることができる。
【符号の説明】
【0071】
S:サーバ(推薦食材選択システム)
DB1:生理作用情報記憶部
DB2:栄養素情報記憶部
DB3:自覚症状情報記憶部
DB4:疾病傾向情報記憶部
DB5:うつ症状情報記憶部
DB9:食材情報記憶部
22:健康状態評価値算出部(健康状態評価値取得部)
22a:不足栄養素特定モジュール(不足栄養素情報取得部)
23:食材選択部




図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13