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特許7555066飛行用地図データ生成方法、プログラム、飛行用地図データ生成装置、飛行管理システム、飛行経路の設定方法、飛行経路の管理方法、及び飛行指示方法
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】飛行用地図データ生成方法、プログラム、飛行用地図データ生成装置、飛行管理システム、飛行経路の設定方法、飛行経路の管理方法、及び飛行指示方法
(51)【国際特許分類】
   G09B 29/10 20060101AFI20240913BHJP
   G01C 21/20 20060101ALI20240913BHJP
   G08G 5/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G09B29/10 A
G01C21/20
G08G5/00 A
【請求項の数】 20
(21)【出願番号】P 2020131340
(22)【出願日】2020-08-03
(65)【公開番号】P2022028131
(43)【公開日】2022-02-16
【審査請求日】2023-06-20
(73)【特許権者】
【識別番号】000000929
【氏名又は名称】カヤバ株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】515299737
【氏名又は名称】アーキテクトグランドデザイン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡村 淳
(72)【発明者】
【氏名】豊崎 禎久
【審査官】比嘉 翔一
(56)【参考文献】
【文献】中国特許出願公開第110388912(CN,A)
【文献】特開2020-056693(JP,A)
【文献】特開2018-146946(JP,A)
【文献】特開2019-113808(JP,A)
【文献】特開2019-091288(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09B29/00-G09B29/14
G01C21/00
G01C21/36
G01C23/00-G01C25/00
G06T11/60
A63H 1/00-A63H37/00
G06Q10/00-G06Q10/10
G06Q30/00-G06Q30/08
G06Q50/00-G06Q50/20
G06Q50/26-G06Q99/00
JSTPlus(JDream3)
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
飛行用地図データ生成装置により実行される飛行用地図データ生成方法であって、
道路の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を複数のセグメントに区分されるように設定する飛行可能空間設定ステップと、
前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成ステップと、
を含
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記道路の同じ区間上において水平方向に複数の前記セグメントを設定することと、前記道路の同じ区間上において垂直方向に複数の前記セグメントを設定することと、交差する道路上のそれぞれに互いに高度が異なるように前記セグメントを設定することとの、少なくとも1つを実行して、飛行可能空間を設定する、
飛行用地図データ生成方法。
【請求項2】
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記道路の延在方向に沿って、それぞれ高度が設定された前記複数のセグメントに区分されるように、前記飛行可能空間を設定する、請求項1に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項3】
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記道路における交差点の出口から次の交差点の入口までの区間上の空間と、交差点上の空間とを、異なる前記セグメントして設定する、請求項2に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項4】
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記道路における交差点の出口から次の交差点の入口までの区間上の空間を、複数の前記セグメントに区分する、請求項3に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項5】
飛行用地図データ生成装置により実行される飛行用地図データ生成方法であって、
道路の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を複数のセグメントに区分されるように設定する飛行可能空間設定ステップと、
前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成ステップと、
を含み
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記セグメントを1つの前記飛行体が占有する時間の基準となる基準占有時間を設定し、
前記飛行用地図データ生成ステップにおいて、前記飛行用地図データに前記基準占有時間の情報を含ませる、
飛行用地図データ生成方法。
【請求項6】
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記基準占有時間を、前記飛行体の基準速度の係数として設定する、請求項に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項7】
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記道路に接続されるトンネルを覆う地表上に、前記飛行可能空間を設定する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項8】
前記道路上に存在する障害物の高さの情報を取得する障害物情報取得ステップをさらに含み、
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記障害物の高さの情報に基づき、前記飛行可能空間の高度の情報を設定する、請求項1から請求項のいずれか1項に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項9】
前記障害物情報取得ステップにおいては、道路を走行する車両に搭載された撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記障害物の高さを算出することで、前記障害物の高さの情報を取得する、請求項に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項10】
前記障害物情報取得ステップにおいては、時系列で連続して撮像された画像に基づいて、前記障害物の高さを算出する、請求項に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項11】
前記飛行用地図データが入力されることで飛行用地図を画面上に表示させる飛行用地図表示プログラムを生成するプログラム生成ステップをさらに含む、請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の飛行用地図データ生成方法。
【請求項12】
道路の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を複数のセグメントに区分されるように設定する飛行可能空間設定ステップと、
前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成ステップと、
を、コンピュータに実行させ
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記道路の同じ区間上において水平方向に複数の前記セグメントを設定することと、前記道路の同じ区間上において垂直方向に複数の前記セグメントを設定することと、交差する道路上のそれぞれに互いに高度が異なるように前記セグメントを設定するとの、少なくとも1つを実行して、飛行可能空間を設定する、
プログラム。
【請求項13】
道路の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、
前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を複数のセグメントに区分されるように設定する飛行可能空間設定ステップと、
前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成ステップと、
を、コンピュータに実行させ、
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記セグメントを1つの前記飛行体が占有する時間の基準となる基準占有時間を設定し、
前記飛行用地図データ生成ステップにおいて、前記飛行用地図データに前記基準占有時間の情報を含ませる、
プログラム。
【請求項14】
前記道路上に存在する障害物の高さの情報を取得する障害物情報取得ステップを、コンピュータに実行させ、
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記障害物の高さの情報に基づき、前記飛行可能空間の高度の情報を設定し、
前記障害物情報取得ステップにおいては、道路を走行する車両に搭載された撮像装置によって撮像された画像に基づいて前記障害物の高さを算出することで、前記障害物の高さの情報を取得する、
請求項12又は請求項13に記載の、プログラム。
【請求項15】
前記道路上に存在する障害物の高さの情報を取得する障害物情報取得ステップを、コンピュータに実行させ、
前記飛行可能空間設定ステップにおいて、前記障害物の高さの情報に基づき、前記飛行可能空間の高度の情報を設定し、
前記障害物情報取得ステップにおいては、時系列で連続して撮像された画像に基づいて、前記障害物の高さを算出する、
請求項12又は請求項13に記載の、プログラム。
【請求項16】
道路の位置情報を取得する位置情報取得部と、
前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を複数のセグメントに区分されるように設定する飛行可能空間設定部と、
前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成部と、
を含み、
前記飛行可能空間設定部は、前記道路の同じ区間上において水平方向に複数の前記セグメントを設定することと、前記道路の同じ区間上において垂直方向に複数の前記セグメントを設定することと、交差する道路上のそれぞれに互いに高度が異なるように前記セグメントを設定するとの、少なくとも1つを実行して、飛行可能空間を設定する、
飛行用地図データ生成装置。
【請求項17】
請求項16に記載の飛行用地図データ生成装置と、
前記飛行用地図データ生成装置が生成した飛行用地図データに基づき、飛行体の飛行経路を設定する飛行経路設定装置と、
前記飛行経路設定装置が設定した前記飛行経路の飛行を許可するか判断する飛行経路管理装置と、
を含む、飛行管理システム。
【請求項18】
飛行経路設定装置によって行われる飛行経路の設定方法であって、
道路に沿い、かつ前記道路から所定の高度に位置する、飛行体が飛行可能な飛行可能空間の情報を含む飛行用地図データを取得する飛行用地図データ取得ステップと、
前記飛行用地図データにおいて設定されている前記飛行可能空間から、飛行体が飛行する飛行経路を設定する飛行経路設定ステップと、
前記飛行経路を使用する飛行時間帯を設定する飛行時間帯設定ステップと、
を含み、
前記飛行可能空間は、前記道路の同じ区間上において水平方向に設定された複数のセグメントと、前記道路の同じ区間上において垂直方向に設定された複数のセグメントと、交差する道路上のそれぞれに互いに高度が異なるように設定された複数のセグメントとの、少なくともいずれかを含む、
飛行経路の設定方法。
【請求項19】
飛行経路管理装置によって行われる飛行経路の管理方法であって、
請求項18に記載の飛行経路の設定方法で生成された前記飛行経路及び前記飛行時間帯を取得する申請情報取得ステップと、
前記飛行経路が、前記飛行時間帯において、他の飛行体の飛行経路として予約されているかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにおいて、他の飛行体の飛行経路として予約されていないと判断した場合に、前記飛行時間帯における前記飛行経路の使用を許可する旨の許可情報を出力する許可情報出力ステップと、
を含む、飛行経路の管理方法。
【請求項20】
飛行体管制装置によって行われる飛行指示方法であって、
飛行体の出発地及び目的地の位置情報と、飛行体が飛行する時間帯の情報とを含む飛行関連情報を出力して飛行経路の設定を要請する要請ステップと、
前記要請ステップに応じて請求項18に記載の飛行経路の設定方法で生成された前記飛行経路及び前記飛行時間帯を取得する取得ステップと、
取得した前記飛行経路及び前記飛行時間帯で飛行体に飛行させる指示ステップと、
を含む、飛行指示方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、飛行用地図データ生成方法、プログラム、飛行用地図データ生成装置、飛行管理システム、飛行用地図データ、飛行経路の設定方法、飛行経路の管理方法、及び飛行指示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
操縦者が搭乗することなく飛行可能な飛行体(無人飛行体)が知られている。このような飛行体を飛行させる場合には、障害物や他の飛行体と衝突しないような飛行経路を設定することが求められる。例えば特許文献1には、設定した飛行経路が他の飛行体の飛行経路と重複する場合に、別の飛行経路を設定する旨が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2017-117018号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ここで、飛行体が飛行経路を飛行する際には、上空が飛行経路となっている土地の地権者などの許可が必要な場合がある。この場合、地権者を探して許可を得る必要があったり、飛行経路が複数の地権者の土地にまたがって設定されている場合には、それぞれ個別に許可を得る必要があったりするなどして、煩わしい。また、法律などによって飛行体の飛行が禁止されている区域もある。そのため、例えば特許文献1のように飛行経路を設定しても、飛行体がその飛行経路を適切に飛行できないおそれがある。従って、適切に飛行経路を設定することが求められている。
【0005】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、飛行体の飛行経路を適切に設定可能な飛行用地図データ生成方法、プログラム、飛行用地図データ生成装置、飛行管理システム、飛行用地図データ、飛行経路の設定方法、飛行経路の管理方法、及び飛行指示方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行用地図データ生成方法は、道路の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を設定する飛行可能空間設定ステップと、前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成ステップと、を含む。
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係るプログラムは、道路の位置情報を取得する位置情報取得ステップと、前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を設定する飛行可能空間設定ステップと、前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成ステップと、を、コンピュータに実行させる。
【0008】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行用地図データ生成装置は、道路の位置情報を取得する位置情報取得部と、前記道路の位置情報に基づき、飛行体が飛行可能な飛行可能空間が前記道路に沿うように、前記飛行可能空間の位置情報を設定し、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように、前記飛行可能空間の高度を設定することで、前記飛行可能空間を設定する飛行可能空間設定部と、前記飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体の飛行用の地図データである飛行用地図データを生成する飛行用地図データ生成部と、を含む。
【0009】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行管理システムは、前記飛行用地図データ生成装置と、前記飛行用地図データ生成装置が生成した飛行用地図データに基づき、飛行体の飛行経路を設定する飛行経路設定装置と、前記飛行経路設定装置が設定した前記飛行経路の飛行を許可するか判断する飛行経路管理装置と、を含む。
【0010】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行用地図データは、飛行体が飛行可能な飛行可能空間の位置情報と高度の情報とを含む飛行用地図データであって、前記位置情報は、前記飛行可能空間が道路に沿うように設定され、前記高度の情報は、前記飛行可能空間が前記道路から所定の高度となるように設定される。
【0011】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行経路の設定方法は、道路に沿い、かつ前記道路から所定の高度に位置する、飛行体が飛行可能な飛行可能空間の情報を含む飛行用地図データを取得する飛行用地図データ取得ステップと、前記飛行用地図データにおいて設定されている前記飛行可能空間から、飛行体が飛行する飛行経路を設定する飛行経路設定ステップと、前記飛行経路を使用する飛行時間帯を設定する飛行時間帯設定ステップと、を含む。
【0012】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行経路の管理方法は、前記飛行経路の設定方法で生成された前記飛行経路及び前記飛行時間帯を取得する申請情報取得ステップと、前記申請情報に含まれる前記飛行経路が、前記申請情報に含まれる前記飛行時間帯において、他の飛行体の飛行経路として予約されているかを判断する判断ステップと、前記判断ステップにおいて、他の飛行体の飛行経路として予約されていないと判断した場合に、前記申請情報の対象となる前記飛行体に、前記飛行時間帯における前記飛行経路の使用を許可する旨の許可情報を出力する許可情報出力ステップと、を含む。
【0013】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、本開示に係る飛行指示方法は、飛行体の出発地及び目的地の位置情報と、飛行体が飛行する時間帯の情報とを含む飛行関連情報を出力して飛行経路の設定を要請する要請ステップと、前記要請ステップに応じて前記飛行経路の設定方法で生成された前記飛行経路及び前記飛行時間帯を取得する取得ステップと、取得した前記飛行経路及び前記飛行時間帯で飛行体に飛行させる指示ステップと、を含む。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、飛行体の飛行経路を適切に設定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1図1は、本実施形態に係る飛行管理システムの模式的なブロック図である。
図2図2は、本実施形態に係る計測装置の模式的なブロック図である。
図3図3は、道路の位置情報と障害物の高さ情報の取得方法を説明する模式図である。
図4図4は、道路の位置情報と障害物の高さ情報の取得方法を説明する模式図である。
図5図5は、本実施形態に係る飛行用地図データ生成装置の模式的なブロック図である。
図6図6は、飛行可能空間を説明する模式図である。
図7A図7Aは、飛行可能空間を説明する模式図である。
図7B図7Bは、飛行可能空間を説明する模式図である。
図8A図8Aは、セグメントを説明するための模式図である。
図8B図8Bは、セグメントを説明するための模式図である。
図9図9は、セグメントを説明するための模式図である。
図10図10は、セグメントを説明するための模式図である。
図11図11は、飛行用地図の一例を示す図である。
図12図12は、飛行用地図データの生成フローを示すフローチャートである。
図13図13は、トンネルを覆う地表上に飛行可能空間を設定する例を示す模式図である。
図14図14は、本実施形態に係る飛行体の模式的なブロック図である。
図15図15は、本実施形態に係る飛行体管制装置の模式的なブロック図である。
図16図16は、本実施形態に係る飛行経路設定装置の模式的なブロック図である。
図17図17は、本実施形態に係る飛行経路管理装置の模式的なブロック図である。
図18図18は、飛行経路の設定フローを説明するフローチャートである。
図19図19は、飛行経路の設定の一例を示す模式図である。
図20図20は、図10のようにセグメント設定されている場合の飛行経路の設定例を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。なお、以下に説明する実施形態により本発明が限定されるものではない。
【0017】
(飛行管理システム)
図1は、本実施形態に係る飛行管理システムの模式的なブロック図である。本実施形態に係る飛行管理システム1は、飛行体10と、飛行体管制装置12と、飛行経路設定装置14と、飛行経路管理装置16と、飛行用地図データ生成装置18と、計測装置VXとを含む。飛行管理システム1は、飛行体10の飛行を管理するシステムである。
【0018】
飛行体10は、乗員が搭乗することなく飛行可能な無人飛行体である。飛行体10は、例えば、いわゆるドローンや無人航空機(UAV:Unmanned Aerial Vehicle)などである。飛行体10は、本実施形態では操作者に操作されることなく自律飛行するが、それに限られず、操作者に遠隔操作されることで飛行するものであってもよい。飛行体10は、本実施形態では、重量が200g未満であるが、それに限られず、重量は200g以上であってもよい。本実施形態では、飛行体10は、荷物を搭載して、設定された飛行経路を飛行して、荷物を目的地まで搬送する。このように、飛行体10は配送用途に用いられるが、搬送用途に限られず、任意の用途で用いられてもよい。また、図1の例では、飛行管理システム1は、1台の飛行体10を管理するように記載されているが、複数の飛行体10を管理するものであってよい。飛行体10の詳細な説明は後述する。
【0019】
飛行体管制装置12は、飛行体10の飛行を管理する装置(サーバ)であり、例えば、飛行体10を管理する個人又は団体(会社など)によって用いられる。本実施形態では、飛行体管制装置12は、飛行体10を用いて荷物を配送する配送業者に用いられる。ただし、飛行体管制装置12を用いる主体は任意であってよい。飛行体管制装置12は、飛行体10が飛行する時刻や目的地などの飛行関連情報を設定して、飛行関連情報を飛行経路設定装置14に送信することで、飛行経路設定装置14から飛行体10の飛行経路の情報を取得する。飛行体管制装置12は、飛行経路の情報を飛行体10に送信して、飛行体10に飛行経路に従って飛行させる。飛行体管制装置12の詳細な説明は後述する。
【0020】
飛行経路設定装置14は、飛行体10の飛行経路を設定する装置(サーバ)であり、設定した飛行経路の情報を飛行体管制装置12側に提供する個人又は団体(会社など)によって用いられる。本実施形態では、飛行経路設定装置14は、飛行体管制装置12を用いる主体とは異なる主体に用いられる。ただし、飛行経路設定装置14を用いる主体は任意であってよく、例えば飛行体管制装置12と同じ主体に用いられてもよい。
【0021】
飛行経路設定装置14は、飛行体管制装置12から取得した飛行関連情報と、後述の飛行用地図データ生成装置18から取得した飛行用地図データAとに基づき、飛行体10の飛行経路を設定する。飛行経路設定装置14は、設定した時間帯における飛行経路の飛行許可を飛行経路管理装置16に申請する。飛行経路設定装置14は、飛行経路管理装置16から、飛行経路の飛行許可を取得したら、その飛行経路の情報を飛行体管制装置12に送信する。飛行経路設定装置14の詳細な説明は後述する。
【0022】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、飛行体の飛行経路を適切に設定可能な飛行用地図データ生成方法、プログラム、飛行用地図データ生成装置、飛行管理システム、飛行経路の設定方法、飛行経路の管理方法、及び飛行指示方法を提供することを目的とする。
【0023】
飛行経路管理装置16は、飛行経路設定装置14から飛行経路の飛行申請を受信したら、後述の飛行用地図データ生成装置18から取得した飛行用地図データAを参照して、その飛行経路が、申請された時間帯において他の飛行体10の飛行経路として予約済みかを判断する。飛行経路管理装置16は、他の飛行体10の飛行経路として予約済みである場合には、飛行申請を拒絶して、その飛行経路の飛行を不許可とする旨の情報を飛行経路設定装置14に送信する。飛行経路管理装置16は、他の飛行体10の飛行経路として予約済みでない場合には、飛行申請を受け入れて、その飛行経路の飛行を許可する旨の情報を飛行経路設定装置14に送信する。すなわち、飛行経路管理装置16は、複数の飛行体10が同じ時間帯に同じ飛行経路を用いないように、言い換えれば、飛行経路を時間帯毎に1つの飛行体10に占有させるように、排他制御を行っているといえる。飛行経路管理装置16の詳細な説明は後述する。
【0024】
飛行用地図データ生成装置18は、飛行経路設定装置14が飛行経路を設定するための情報である飛行用地図データAを生成する。飛行用地図データ生成装置18は、例えば、飛行体管制装置12、飛行経路設定装置14、及び飛行経路管理装置16を用いる主体とは異なる主体に用いられる。ただし、飛行用地図データ生成装置18を用いる主体は任意であってよい。
【0025】
計測装置VXは、飛行用地図データAを生成するためのデータを取得する装置である。計測装置VXは、飛行用地図データAを生成するためのデータとして、道路の位置や道路上に存在する障害物の情報などを検出する。計測装置VXは、飛行用地図データ生成装置18を用いる主体と同じ主体によって用いられてよい。
【0026】
計測装置VXについて具体的に説明する。図2は、本実施形態に係る計測装置の模式的なブロック図である。計測装置VXは、車両Vに搭載されて、車両Vが道路を走行中に、道路の位置や道路上に存在する障害物を検出して、記録する。すなわち、計測装置VXは、データロガーとして機能する。図2に示すように、計測装置VXは、制御装置VPとセンサVSとを備える。制御装置VPは、コンピュータであり、制御部VP1、通信部VP2、及び記憶部VP3を有する。制御部VP1は、演算装置、すなわちCPU(Central Processing Unit)である。通信部VP2は、外部の装置と通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナANを介して外部の装置と通信を行う。記憶部VP3は、制御部VP1の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAM(Random Access Memory)と、ROM(Read Only Memory)のような主記憶装置と、フラッシュメモリやHDD(Hard Disk Drive)などの不揮発性の記憶装置のうち、少なくとも1つ含む。
【0027】
センサVSは、位置情報取得部VS1と、画像情報取得部VS2と、物体3D情報取得部VS3とを含む。位置情報取得部VS1は、制御装置VPの制御によって道路の位置情報を取得する装置である。画像情報取得部VS2は、撮像装置であり、制御装置VPの制御によって、道路上に位置する障害物の画像を撮像する。物体3D情報取得部VS3は、障害物までの距離を検出するセンサであり、例えば、LIDAR(Light Detection and Ranging)センサなどであってよい。なお、画像情報取得部VS2と物体3D情報取得部VS3とは、少なくともいずれか1つが備えられていればよい。また、センサVSは、例えば、スピードセンサ、方位センサなど、位置情報取得部VS1、画像情報取得部VS2、及び物体3D情報取得部VS3以外のセンサも含んでよい。
【0028】
(道路の位置情報の取得)
制御装置VPは、位置情報取得部VS1から、道路の位置情報を取得する。道路の位置情報とは、道路の地球座標を示す情報であり、ここでの道路とは、車両や人などが通行可能な道を指している。
【0029】
図3及び図4は、道路の位置情報と障害物の高さ情報の取得方法を説明する模式図である。本実施形態においては、図3に示すように、計測装置VSが搭載された車両Vを、道路Rに沿って事前に走行させる。位置情報取得部VS1は、計測装置VXの位置情報、すなわち計測装置VXが搭載されている車両Vの位置情報を取得する。車両Vの位置情報とは、車両Vの地球座標を示す情報である。位置情報取得部VS1は、本実施形態ではGNSS(Global Navivation Satelite System)用のモジュールである。制御装置VP(制御部VP1)は、車両Vの走行中に、位置情報取得部VS1を制御してGNSS用の衛星からの電波を受信し、車両Vの位置情報と、位置情報を取得した際の時刻情報とを逐次取得して、記憶部VP3に記憶させる。なお、以下、鉛直方向上方向を、Z方向とする。また、道路Rが延在する方向を、X方向とする。X方向は、車両Vが道路Rを走行する方向に平行な方向であるともいえる。
【0030】
ここで、車両Vは、道路Rを走行するため、車両Vの位置が道路Rの位置と対応する。従って、制御装置VPは、車両Vの位置情報に基づき、道路Rの位置情報を取得できる。本実施形態では、制御装置VPは、車両Vの位置情報を道路Rの位置情報としているが、それに限られず、車両Vの位置情報に所定の演算を行って、道路Rの位置情報を算出してもよい。また、制御装置VPは、車両Vの位置情報と共に、車両Vの進行方向の情報を、方位センサにより逐次取得してもよい。これにより、制御装置VPは、車両Vの進行方向の情報に基づき、道路Rにおける車両の進行方向の情報を、道路Rの位置情報に関連付けて取得できる。なお、車両Vの位置情報と時刻情報から、車両Vの進行方向を推定してもよい。
【0031】
このように、計測装置VXでは、制御装置VPが、位置情報取得部VS1から、道路Rの位置情報を取得する。
【0032】
(障害物の情報の取得)
制御装置VPは、画像情報取得部VS2から、道路Rの上に存在する障害物Oの情報を取得する。ここでの道路の上とは、鉛直方向から見て道路に重なり、かつ、道路の表面よりも鉛直方向上方の位置を指す。言い換えれば、制御装置VPは、道路の上空(真上)に存在する障害物Oの情報を取得するといえる。障害物Oの情報とは、障害物Oの道路Rからの高さを示す障害物Oの高さ情報を取得するための情報である。本実施形態においては、制御装置VPは、障害物Oの情報として、障害物Oの撮像データを、すなわち障害物Oを撮像した画像データを、取得する。なお、道路の上の障害物とは、例えば道路の上に存在する信号機や電線、歩道橋などである。
【0033】
制御装置VPは、画像情報取得部VS2を制御する。制御装置VPは、車両Vが道路Rを走行中に、画像情報取得部VS2に撮像を行わせて、画像情報取得部VS2による撮像データと、撮像した時刻と、撮像時の車両Vの速度とを、障害物の情報として、記憶部VP2に記憶させる。画像情報取得部VS2は、Z方向(鉛直方向上方)を向くように車両Vの屋根上に設けられて、車両Vの鉛直方向上方を撮像する。そのため、画像情報取得部VS2は、車両Vが道路Rを走行中に、道路Rの上に存在する障害物Oを撮像することができる。ただし、画像情報取得部VS2は、道路Rの上に存在する障害物Oを撮像可能であればよく、画像情報取得部VS2が搭載される位置や向く方向は任意であってよい。また、画像情報取得部VS2は、静止画を撮像することに限られず、所定のフレームレート毎に撮像することで動画像を撮像するものであってもよい。
【0034】
画像情報取得部VS2は、車両Vが道路Rを走行中に、所定の時間毎に、すなわち時系列で連続して、撮像する。従って、図4に示すように、画像情報取得部VS2は、撮像位置(障害物Oに対する相対位置)を変えながら、障害物Oを撮像する。そのため、画像内での障害物Oの位置が異なる複数の画像が得られる。図4は、障害物の画像の一例を示している。図4の例では、画像情報取得部VS2によって撮像された、同じ障害物Oが写っている画像PA1、PA2、・・・PAm、・・・PA(n-1)、PAnが示されている。画像PA1、PA2、・・・PAm、・・・PA(n-1)、PAnは、異なるタイミングで撮像されたものであるため、画像内での障害物Oの位置が異なる。ただし、図4の例に示すように、各画像PAは、後述のようにオプティカルフロー演算に用いられるため、時系列で連続して撮像される画像PA同士では、画像内での障害物Oの位置の変化が微小であることが好ましい。画像情報取得部VS2は、時系列で連続して撮像する画像同士で、画像内での障害物Oの位置の変化が微小となるように、例えばフレームレートなどが調整される。
【0035】
制御装置VPは、以上のように計測装置VXが取得したデータを、飛行用地図データ生成装置18の記憶部22(図5参照)に、通信を用いて転送する。本実施形態では、制御装置VPは、道路Rの位置情報と、画像取得部VS2によって撮影された画像や、物体3D情報取得部で取得された点群データ等を一旦制御装置VPの内部の記憶部VP3に保存したのち、任意のタイミングで通信部VP2及びアンテナANから、飛行用地図データ生成装置18の記憶部22に転送する。
【0036】
(飛行用地図データ生成装置)
飛行用地図データ生成装置18について具体的に説明する。図5は、本実施形態に係る飛行用地図データ生成装置の模式的なブロック図である。図5に示すように、飛行用地図データ生成装置18は、コンピュータであり、通信部20と、記憶部22と、制御部24とを備える。通信部20は、アンテナANを介して、外部の装置と、ここでは飛行経路設定装置14や飛行経路管理装置16と通信を行う通信モジュールである。本実施例の飛行用地図データ生成装置18は、無線通信で通信を行うが、通信方式は任意であってよい。記憶部22は、制御部24の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。飛行用地図データ生成装置18は、ユーザの操作を受け付ける機構である入力部や、表示装置などの情報を出力する機構である出力部をさらに備えてもよい。
【0037】
制御部24は、演算装置、すなわちCPU、及びその上で実行されるプログラムで実現される。制御部24は、障害物情報検出部32と、飛行可能空間設定部34と、飛行用地図データ生成部36と、出力部38とを含む。制御部24は、記憶部22からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、障害物情報検出部32と飛行可能空間設定部34と飛行用地図データ生成部36と出力部38とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部24は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、障害物情報検出部32と飛行可能空間設定部34と飛行用地図データ生成部36と出力部38との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0038】
障害物情報検出部32は、計測装置VXが取得した障害物Oの情報(ここでは障害物Oの撮像データ)から、障害物Oの高さ情報を検出する。障害物情報検出部32は、計測装置VXから、転送された画像情報取得部VS2が撮像した障害物Oの画像データを取得する。障害物情報検出部32は、画像内での障害物Oの位置が異なる複数の画像データ(図4の例では画像PA1、PA2、・・・PAm、・・・PA(n-1)、PAn)から特徴点を抽出しその特徴点の移動の関係、および画像間の距離、画像情報取得部VS2の画角情報等から、障害物Oの高さH0を算出する。障害物情報検出部32は、時系列で連続して撮像された障害物Oの画像から、障害物Oの高さH0を算出するといえる。高さH0は、障害物Oの道路Rからの高さであり、障害物Oの最もZ方向側の位置と、道路Rの表面との間の、Z方向に沿った長さであるともいえる。障害物情報検出部32は、画像内での障害物Oの位置が異なる複数の画像データから、オプティカルフロー演算等により、障害物Oと画像情報取得部VS2の距離を算出し、そこに、カメラ(画像情報取得部VS2)の設置位置の高さの情報を加え、障害物Oの道路Rからの高さH0を算出する。例えば、障害物情報検出部32は、オプティカルフロー演算により、1つの画像から次の画像までにおける障害物Oに対する特徴点を抽出し、それぞれの特徴点の相対移動量を算出し、相対移動量に基づいて障害物Oの形状と高さH0を算出する。障害物Oの高さが高いほど特徴点の相対移動量は小さくなるため、障害物情報検出部32は、相対移動量から障害物Oの高さH0を算出可能である。障害物情報検出部32は、相対移動量と、車両Vの実際の移動距離との比率から、障害物Oの高さH0を算出してもよい。障害物情報検出部32は、画像情報取得部VS2が撮像した画像から、道路R上に存在するそれぞれの障害物Oの高さH0を算出する。
【0039】
障害物情報検出部32は、障害物Oの位置情報、すなわち障害物Oの地球座標の情報も取得する。障害物情報検出部32は、計測装置VXによって取得された車両Vの位置情報を、計測装置VXによって取得された障害物Oの情報(ここでは障害物Oの撮像データ)と関連付けて、車両Vの位置情報と障害物の撮像データに基づき、障害物Oの位置情報を算出する。障害物情報検出部32は、障害物Oの画像が撮像された際の車両Vの位置を、障害物Oの位置としてもよいし、障害物Oの画像が撮像された際の車両Vの位置情報に所定の演算を加えて、障害物Oの位置を算出してもよい。障害物情報検出部32は、障害物Oの高さ情報と、その障害物Oの位置情報とを関連付けて取得する。すなわち、障害物情報検出部32は、障害物Oの位置と高さとを、障害物O毎に取得するといえる。
【0040】
また、障害物情報検出部32は、障害物Oの種類に応じて、障害物Oの高さH0にマージンを加えてもよい。例えば、障害物情報検出部32は、障害物Oが樹木など高さ変化する自然物である場合、その障害物Oに目印を付けて、その障害物Oの高さH0に対して、所定のマージンを付与してもよい。
【0041】
なお、以上の説明では、障害物情報検出部32は、自身で高さH0を算出していたが、それに限られず、例えば制御装置VPが、障害物Oの画像データから高さH0を算出してもよい。この場合、障害物情報検出部32は、制御装置VPが算出した高さH0の情報を、障害物Oの高さ情報として取得する。また、障害物情報検出部32は、画像情報取得部VS2の撮像画像から障害物Oの高さ情報を取得することに限られず、任意の方法で障害物Oの高さ情報を取得してもよい。例えば、車両Vに物体3D情報取得部VS3(距離検出センサ)を搭載し、障害物情報検出部32や制御装置VPが、物体3D情報取得部VS3が検出した障害物Oまでの距離に基づき、障害物Oの高さH0を算出してもよい。物体3D情報取得部VS3は、例えばLIDAR(Light Detection and Ranging)センサなどであってよい。また、障害物Oの高さ情報が予め記録されているデータがある場合、障害物情報検出部32は、そのデータから高さH0の情報を取得してもよい。
【0042】
(飛行可能空間の設定)
図5に示す飛行可能空間設定部34は、計測装置VXから転送された道路Rの位置情報に基づき、飛行可能空間S0を設定する。飛行可能空間S0は、飛行体10が飛行可能な空間である。飛行経路設定装置14(図1参照)が、飛行可能空間S0内を通る飛行経路を設定した場合、飛行体10は、飛行可能空間S0内のうちの飛行経路に設定された区間を飛行する。
【0043】
なお、本実施形態では、道路Rの位置情報は、計測装置VXの位置情報取得部VS1によって取得されたが、道路Rの位置情報の取得方法は、それに限られない。例えば、計測装置VXが車両Vの位置情報のみを取得して道路Rの位置情報を算出しない場合には、飛行可能空間設定部34は、計測装置VXから車両Vの位置情報を取得して、車両Vの位置情報に基づいて道路Rの位置情報を算出してもよい。また例えば、飛行可能空間設定部34は、道路Rの位置情報が含まれる既存の地図データを取得して、地図データから、道路Rの位置情報を抽出してもよい。
【0044】
図6及び図7Aは、飛行可能空間を説明する模式図である。図6に示すように、飛行可能空間設定部34は、道路Rの位置情報に基づいて、道路Rに沿い、水平方向と鉛直方向に予め決められた所定の幅をもち、かつ道路Rから所定の高度となる空間を、飛行可能空間S0として設定する。言い換えれば、飛行可能空間設定部34は、道路Rの位置情報に基づき、道路Rから所定の高さであって道路Rに沿う一連の座標の組を、飛行可能空間S0の位置情報として設定する。また、飛行可能空間設定部34は、飛行可能空間S0が道路Rから所定の高度となるように、飛行可能空間S0の高度を設定する。従って、飛行可能空間S0は、道路Rが存在する地球座標に位置する空間であり(言い換えれば道路Rの上空(真上)に位置する空間であり)、かつ、地表からZ方向(鉛直方向上方)に所定距離以上離れた位置が含まれて、所定の幅を水平方向と鉛直方向にもつ空間となる。飛行可能空間設定部34は、飛行可能空間S0を設定したい領域に存在する全ての道路Rの上に、飛行可能空間S0を設定することが好ましい。
【0045】
図7Aは、図6に示した飛行可能空間S0を、道路Rの延在方向であるX方向から見た図である。図7Aに示すように、飛行可能空間設定部34は、飛行可能空間S0の高さH1が所定の高さとなり、かつ、飛行可能空間S0を道路Rに沿ったX方向から見た場合の飛行可能空間S0の水平方向の長さ(幅)H2及び鉛直方向の長さ(幅)H3が所定の長さとなるように、飛行可能空間S0を設定する。飛行可能空間S0の長さH2及び長さH3は、任意に設定してよいが、例えば5m程度など、予め設定した長さとしてよい。
【0046】
飛行可能空間S0の高さH1は、道路R(地表)から飛行可能空間S0の鉛直方向下側の位置までの、Z方向に沿った長さである。本実施形態では、飛行可能空間設定部34は、障害物Oの高さ情報に基づき、飛行可能空間S0の高さH1を設定する。具体的には、飛行可能空間設定部34は、障害物Oの高さH0よりも高くなるように、高さH1を設定する。高さH0に対する高さH1の比率は任意に設定してよいが、例えば、飛行可能空間設定部34は、障害物Oの高さH0よりも数m程度高くなるように、高さH1を設定してよい。このように、飛行可能空間設定部34は、障害物Oの高さH0に基づいて高さH1を設定するが、高さH1の設定方法はそれに限られず、障害物Oを避けることが可能であれば、任意である。また、飛行可能空間設定部34は、例えば30m以上など、高さH1を予め設定した高さとしてもよい。このように高さH1を予め設定した高さとして設定する場合には、設定した飛行可能空間S0に沿って飛行体を実際に飛行させ、障害物を確認することが好ましい。そして、飛行体が実際に飛行可能空間S0を飛行した結果に基づいて、飛行可能空間S0の高さH1を更新して、更新した高さH1を、飛行可能空間S0の高さH1として正式に設定することが好ましい。これにより、高さH1の値を、実際の飛行データに基づいて適切な値に修正できる。
【0047】
図7Bは、飛行可能空間を説明する模式図である。図7Bに示すように、飛行可能空間設定部34は、位置(座標)毎に、飛行可能空間S0の高さH1が異なるように設定してもよい。すなわち、飛行可能空間設定部34は、座標毎に、飛行可能空間S0の高さH1を設定してもよく、言い換えれば、飛行可能空間S0の座標と高度H1とを設定してもよいといえる。例えば、飛行可能空間設定部34は、障害物Oの高さに応じて、飛行可能空間S0の座標毎に高さH1を設定しており、障害物Oの高さが高いほど、その障害物Oと重なる座標における高さH1を、高く設定してよい。また、図7Bに示す通り、障害物Oを避けるために高度をそれぞれの座標で設定した場合、飛行体10はそれぞれの座標・高度の間を直線で結んだ経路を通って飛行する。そのため、それぞれの高度の指定は、任意であるが急激な変化をしないように設定するとよい。
【0048】
さらにいえば、本実施形態では、飛行可能空間設定部34は、図7Bに示すように、飛行可能空間S0を、それぞれ高さH1が設定された複数のセグメントSに分割して設定する。言い換えれば、飛行可能空間設定部34は、道路Rの上の空間をそれぞれの接続ポイントが同じ座標及び高さH1を持ち、互いに重ならない複数のセグメントSに区分して、それぞれのセグメントSの高さH1を設定することで、飛行可能空間S0全体を設定する。従って、飛行可能空間S0は、複数のセグメントSを含むものとなる。飛行可能空間設定部34は、それぞれのセグメントSについて、セグメントSの高さH1を、セグメントSが位置する道路Rの上の障害物Oの高さH0よりも高くなるように、なお、1つのセグメントSと重なる道路R上に複数の障害物Oが存在する場合、飛行可能空間設定部34は、複数の障害物Oのうちで最も高い障害物Oの高さH0よりも高くなるように、セグメントSの高さH1を設定する。なお、上述のように、飛行可能空間設定部34は、座標毎に高さH1を設定してもよく、この場合、1つのセグメントS内においても、座標毎に高さH1が異なってもよい。また、道路Rに対応する1つのセグメントSが、まっすぐである場合は、セグメントSの指定は、接続点2点の座標及び高度H1の情報があればよい。飛行体10は、指定された接続点2点の座標及び高度H1をセグメントの出入り口の底辺とし、その間を直線で結んだ経路を飛行する。セグメントSが曲がっていた場合は、セグメントSの指定は、接続点2点のほかに、接続点2点を結ぶ経路が道路を外れないように、上記のように、追加で指定した座標と高度H1を持ち、飛行体10は、セグメントの接続点2点の間を指定された座標と高度H1を底辺とした空間を順に直線で結んだ経路で飛行する。この時に追加で指定した一連の座標と高度H1を結んだ直線群は、滑らかになるように座標と高度H1を設定することが望ましい。
【0049】
また、飛行可能空間設定部34は、セグメントS毎に、基準占有時間を設定してもよい。基準占有時間とは、後述するように飛行経路設定装置14が算出する、セグメントSを飛行体10が飛行するのに必要な推定飛行時間の、基準となる値を指す。すなわち、基準占有時間が設定されている場合、飛行経路設定装置14は、基準占有時間に基づいて、推定飛行時間を算出できる。基準占有時間は、飛行体10がセグメントS内に入ってからセグメントSから出るまでの、基準となる時間ともいえる。飛行可能空間設定部34は、任意の方法で基準占有時間を設定してもよいが、例えば10分など、予め設定した時間を基準占有時間としてもよい。また、飛行可能空間設定部34は、セグメントSの入口から出口までの長さに基づき、基準占有時間を設定してもよい。この場合例えば、飛行可能空間設定部34は、セグメントSの長さが長いほど、基準占有時間を長く設定する。このように基準占有時間を設定することで、飛行経路設定装置14による推定飛行時間の算出を、適切に補助できる。
【0050】
さらに、基準占有時間は、一定の幅を持ってもよい。例えば、基準占有時間として、最短の占有時間と最長の占有時間を設定できるようにしてもよい。また、基準占有時間を、実際の時間ではなく飛行体の基準速度に対する係数として定義してもよい。基準占有時間を係数として定義することで、飛行体の性能に応じ、占有時間を短くすることができ、セグメントSの有効利用が可能である。なお、飛行体の基準速度は、任意に設定してよい。
【0051】
(セグメントの設定)
(1つの区間に1つのセグメントの例)
以下、飛行可能空間設定部34による飛行可能空間S0のセグメントSへの分割の方法の例についてより詳細に説明する。図8Aは、セグメントを説明するための模式図である。図8Aでは、X1方向に延在する道路RaとX2方向に延在する道路Rbとが交差点Rcで交差する場合のセグメントSを示している。より詳しくは、図8Aでは、X1方向に延在する2本の道路Ra、Ra’と、X2方向に延在する2本の道路Rb、Rb’とがある場合の例を説明している。図8Aに示すように、飛行可能空間設定部34は、道路Rのうち、他の道路と交差しない区間上の空間と、他の道路と交差する交差点Rcの上の空間とを、異なるセグメントSとして設定する。
【0052】
具体的には、飛行可能空間設定部34は、道路Ra上に、道路Raの延在方向であるX1方向に沿って、複数のセグメントSaを設定する。図8Aの例では、飛行可能空間設定部34は、複数のセグメントSaとして、道路Raの延在方向に沿って、セグメントSaa、Sac、Sabを設定している。より詳しくは、道路Raのうち、1つの交差点Rcaからの出口となる箇所Ra1と、次の交差点Rcb(交差点RcaのX1方向側の交差点)への入り口となる箇所Ra2との間の区間を、区間Raaとする。そして、道路Raのうち、交差点Rcbを介して区間Raaに接続される区間を、区間Rabとする。この場合、飛行可能空間設定部34は、交差点Rca上の空間に、セグメントSa1を設定し、区間Raa上の空間に、セグメントSaaを設定し、区間Raaと区間Rabとの間の交差点Rcb上の空間に、セグメントSacを設定し、区間Rab上の空間に、セグメントSabを設定する。なお、道路Ra’においても、道路Raと同様にセグメントSが設定されるため、説明を省略する。
【0053】
図8Aのような道路ネットワークを考える。まず、図8Aの道路Ra上にある最も高い障害物が、高さH0であることがわかっているとする。すると、飛行可能空間S0は、この道路ネットワークの上空で最も高い障害物の高さH0にマージンを加算した、高さH1の以上の領域に設定することができる。このような設定方法をとると、すべてのセグメントSa1、Saa、Sac、Sabは、地表からの高さH1が同じ高さに設定される。すなわち、飛行可能空間設定部34は、道路Raの延在方向に沿って区分されるセグメントSaに対しては、高さH1を同じに設定している。もちろん、セグメントSa1、Saa、Sac、Sabの高さH1は同じに設定されていることに限られず、異なる高さに設定されていてもよい。例えば、箇所Ra1上にあるセグメントSa1の高さH1を10mとし、箇所Ra2上にあるセグメントSacの高さH1を15mとするなど、区間Raaの入口となる交差点におけるセグメントの高さと出口となる交差点におけるセグメントの高さとを、異ならせてもよい。なお、このように連続するセグメントS同士で高さが異なったり、1つのセグメントS内で座標毎に高さが異なったりする場合でも、セグメントS同士の接続箇所(例えばセグメントSaaとセグメントSacとの連結箇所)においては、高さH1が同じに設定されることが好ましい。
【0054】
また、飛行可能空間設定部34は、道路Rb上に、道路Rbの延在方向であるX2方向に沿って、複数のセグメントSbを設定する。図8Aの例では、飛行可能空間設定部34は、複数のセグメントSbとして、道路Rbの延在方向に沿って、セグメントSba、Sbbを設定している。より詳しくは、道路Rbのうち、1つの交差点Rccからの出口となる箇所Rb1と、次の交差点Rcb(交差点RccのX2方向側の交差点)への入り口となる箇所Rb2との間の区間を、区間Rbaとする。そして、道路Rbのうち、交差点Rcbを介して区間Rbaに接続される区間を、区間Rbbとする。この場合、飛行可能空間設定部34は、区間Rba上の空間に、セグメントSbaを設定し、区間Rbb上の空間に、セグメントSbbを設定する。交差点Rcb上には、上述のようにセグメントSacが設定されている。なお、道路Rb’においても、道路Rbと同様にセグメントSが設定されるため、説明を省略する。
【0055】
道路Rb上の最も高い障害物も、Raと同様に高さH0である場合、道路Rb上の飛行可能空間S0は、道路Rb上空の高さH1以上の領域に設定される。この為、セグメントSba、Sbbは、地表からの高さH1が同じ高さに設定されている。ただし、セグメントSba、Sbbの高さH1は同じに設定されていることに限られず、異なる高さに設定されていてもよい。
【0056】
また、図8Aの例においては、セグメントSba、Sbbの高さH1と、セグメントSaa、Sabの高さH1とは、同じ高さに設定されているが、それに限られず、異なる高さに設定されていてもよい。
【0057】
なお、以上の例では、交差点の出口の箇所から次の交差点の入口の箇所までにおいて、道路Rの延在方向に1つのセグメントSを設定していたが、それに限られない。飛行可能空間設定部34は、交差点の出口の箇所から次の交差点の入口の箇所までにおいて、道路Rの延在方向に、複数のセグメントSを設定してもよい。この場合のそれぞれのセグメントSの接続点は、同じ高さH1となることが好ましい。接続点が異なる高さを持つ場合、それらのセグメントは連続しての飛行が不可能になるためである。飛行可能空間設定部34は、例えば、道路Rの延在方向における所定距離ごとに、セグメントSを設定してもよい。また例えば、飛行可能空間設定部34は、1日などの単位期間においてその道路R上を飛行する飛行体10の数に応じて、セグメントSの設定数を増加してもよい。この場合、飛行可能空間設定部34は、単位期間においてその道路R上を飛行する飛行体10の数が多いほど、セグメントSの数を多く設定する。一つのセグメントは、特定の時間の間に一つの飛行体10に占有させるため、一つのセグメントをより小さくすることで、同時に飛行させることのできる飛行体の数を増加させることができる為である。このように混雑する区間においてセグメントSを多く設定することで、より多くの飛行体10を飛行させることができる。
【0058】
(交差点上に複数のセグメントの例)
図8Bは、セグメントを説明するための模式図である。上述の図8Aの例では、交差点の上に1つのセグメントSのみが設定されていたが、図8Bの例に示すように、交差点の上に、鉛直方向に並ぶ複数のセグメントSが設定されてもよい。具体的には、図8Bの例でも、図8Aの例と同様に、X1方向に延在する道路Raの区間Raa、交差点Rcb、区間Rab上に、それぞれ、セグメントSaa、Sac、Sabが設定されている。一方、図8Bの例では、X2方向に延在する道路Rbの区間Rba、交差点Rcb、区間Rbb上に、それぞれ、セグメントSba、Sbc、Sbbが設定される。すなわち、図8Bの例では、図8Aの例とは異なり、交差点Rcb上に、セグメントSacとセグメントSbcとが設定されている。
【0059】
図8Bの例においては、セグメントSaa、Sac、Sabの高さH1は、同じに設定されており、セグメントSba、Sbc、Sbbの高さH1は、同じに設定されている。一方、セグメントSba、Sbc、Sbbの高さH1と、セグメントSaa、Sac、Sabの高さH1とは、異なる高さに設定されている。図8Bの例では、セグメントSba、Sbc、Sbbの高さH1が、セグメントSaa、Sac、Sabの高さH1よりも高く設定されている。また、交差点内のセグメントSacとSbcの界面は、上下につながるように設定されている。図8Bの例では、飛行可能空間設定部34は、交差する道路R上のそれぞれのセグメントSの高さH1を、互いに異ならせるといえる。これにより、交差点Rc上で、セグメントS同士が重ならないように設定される。例えば、交差点Rcbにおいては、セグメントSacと、セグメントSbcとがそれぞれ設定されているが、セグメントSac、Sbcの高さH1が異なることで、セグメントSac、Sbcが重ならない。交差点のセグメントSをこのように設定すると、互いに方向の異なるセグメントSaaからセグメントSabへ交差点Rcを通過する飛行体10と、セグメントSbbからSbaへ交差点Rcを通過するもう一つの飛行体10とが、同時に交差点Rcに進入することができ、効率的な飛行経路の割り当てが可能となる。また、飛行体10が、セグメントSaaからSbbに飛行する場合は、セグメントSaa、Sac、Sbc、Sbbの順序でセグメントをつなげて、その中を飛行する。
【0060】
(鉛直方向に複数のセグメントの例)
図9は、セグメントを説明するための模式図である。図9は、道路Rの上に、鉛直方向に複数のセグメントを設定する場合の例を示している。図9に示すように、例えば単位時間当たりの交通量が多いことが想定される場合には、飛行可能空間設定部34は、鉛直方向に複数のセグメントSを設定してもよい。
【0061】
図9の例では、X1方向に延在する道路Raの区間Raa上に、Z方向(鉛直方向)に並ぶセグメントSaa1、Saa2が設定されており、交差点Rc上に、Z方向に並ぶセグメントSac1、Sac2が設定されており、区間Rab上に、Z方向に並ぶセグメントSab1、Sab2が設定されている。セグメントSaa1、Sac1、Sab1は、道路Raの延在方向であるX1方向に沿って連続して形成されており、高さH1が同じとなっている。また、セグメントSaa1、Sab1は、それぞれの飛行方向LがX1方向に設定されている。飛行方向Lとは、セグメントS内において飛行体10が飛行する方向である。なお、交差点上のセグメントSであるセグメントSac1については、交差点内を直進したり曲がったりすることが可能となるように、飛行方向Lを設定しないことが好ましい。ただし、交差点上のセグメントSac1についても、飛行方向Lを設定してよく、この場合、交差点上のセグメントSac1の飛行方向Lは、X1方向、X2方向、及びZ方向(鉛直方向下方)の、複数方向が可能なように設定される。
【0062】
セグメントSaa2、Sac2、Sab2は、X1方向に沿って連続して形成されており、セグメントSaa1、セグメントSac1、セグメントSab1に対して、Z方向に隣接して設定されている。すなわち、セグメントSaa2、セグメントSac2、セグメントSab2は、セグメントSaa1、セグメントSac1、セグメントSab1に対して、高さH1が異なっている(図9の例では高さH1が低くなっている)。また、セグメントSaa2、Sac2、Sab2の高さH1は、互いに同じに設定されている。セグメントSaa2、Sab2は、それぞれの飛行方向LがX1方向と反対方向となっている。すなわち、Z方向に隣り合うセグメントS同士は、飛行方向Lが、異なる方向に、ここでは反対方向に、設定されている。ただし、Z方向に隣り合うセグメントS同士の飛行方向Lは、同じ方向に設定されてもよい。なお、セグメントSac2も、セグメントSac1と同様に、飛行方向Lを設定しないことが好ましく、飛行方向Lを設定する場合であっても、X1方向と反対方向、X2方向と反対方向、及びZ方向(鉛直方向上方)の、複数方向が可能なように設定される。
【0063】
また、図9の例では、X2方向に沿って延在する道路Rbの区間Rba上に、Z方向に並ぶセグメントSba1、Sba2が設定されており、区間Rbb上に、Z方向に並ぶセグメントSbb1、Sbb2が設定されている。セグメントSba1、Sac1、セグメントSbb1は、道路Rbの延在方向であるX2方向に沿って連続して形成されており、高さH1が同じとなっている。セグメントSba1、Sbb1は、それぞれの飛行方向LがX2方向に設定されている。セグメントSba2、Sac2、Sbb2は、X2方向に沿って連続して形成されている。セグメントSba2、Sbb2は、セグメントSba1、セグメントSbb1に対して、Z方向に隣接している。すなわち、セグメントSba2、Sbb2は、セグメントSaa1、Sab1に対して、高さH1が異なっている(図9の例では高さH1が低くなっている)。また、セグメントSba2、Sbb2の高さH1は、互いに同じに設定されている。セグメントSbb2、Sba2は、それぞれの飛行方向LがX2方向と反対方向となっている。
【0064】
なお、図9では、鉛直方向に2つのセグメントSを設定する例を説明したが、鉛直方向に3つ以上のセグメントSを設定してもよい。
【0065】
このように、飛行可能空間設定部34は、図9の例のように道路Rの同じ区間上に複数のセグメントSが設定されている場合には、交差点の上のセグメントSを除いたセグメントSに対して、飛行方向Lを、すなわちセグメントS内で飛行体10がどの方向に飛行してよいかを設定する。一方、図8A図8Bのように、道路Rの同じ区間上に1つのセグメントSのみが設定されている場合には、飛行可能空間設定部34は、飛行方向Lを設定せず、後述のようにセグメントSに基づいて飛行経路を設定する際に、飛行経路設定装置14が飛行方向Lを設定する。ただし、それに限られず、例えば、道路Rの同じ区間上に複数のセグメントSが設定されている場合にも、飛行可能空間設定部34が飛行方向Lを設定せずに、飛行経路を設定する際に、飛行経路設定装置14が飛行方向Lを設定してもよい。また逆に、道路Rの同じ区間上に1つのセグメントSのみが設定されている場合にも、飛行可能空間設定部34が、セグメントSを設定する際に飛行方向Lを設定してもよい。
【0066】
(道路の幅方向に複数のセグメントの例)
図10は、セグメントを説明するための模式図である。図10は、道路Rの幅方向に複数のセグメントを設定する場合の例を示している。図10に示すように、例えば道路Rの幅が広い場合には、飛行可能空間設定部34は、道路Rの幅方向に、すなわち水平方向に、複数のセグメントSを設定してもよい。
【0067】
図10の例では、X1方向に延在する道路Raの区間Raa上に、道路Raの幅方向に並ぶセグメントSaa1、Saa2が設定されており、交差点Rc上に、道路Raの幅方向に並ぶセグメントSac1、Sac2が設定されており、区間Rab上に、道路Raの幅方向に並ぶセグメントSab1、Sab2が設定されている。セグメントSaa1、セグメントSac1、セグメントSab1は、道路Raの延在方向であるX1方向に沿って連続して形成されており、高さH1が同じとなっている。セグメントSaa1、Sab1は、それぞれの飛行方向LがX1方向に設定されている。交差点の上のセグメントSac1は、飛行方向Lが設定されていなくてもよく、飛行方向Lが設定される場合には、X1方向、X2の反対方向(Uターン)、及びZ方向(鉛直方向上方)の、複数方向が可能なように設定される。この為、交差点のセグメントSac1は、入口としてセグメントSaa1との接続点、出口として、X2方向へつながるセグメントSbc1との接続点、X2方向と反対方向へつながるセグメントSbc2との接続点、X1方向へつながるセグメントSab1との接続点、X1方向と反対方向へつながるSac2との接続点を持つことになる。一方、セグメントSab2、セグメントSac2、セグメントSaa2は、セグメントSaa1、セグメントSac1、セグメントSab1に対して、道路Raの幅方向に隣接しており、X1方向に沿って連続して形成されている。セグメントSab2、セグメントSaa2は、それぞれの飛行方向LがX1方向と反対方向となっている。すなわち、道路Raの幅方向に隣り合うセグメントS同士は、飛行方向Lが、異なる方向に、ここでは反対方向に、設定されている。交差点の上のセグメントSac2は、飛行方向Lが設定されていなくてもよく、飛行方向Lが設定される場合には、X1方向と反対方向、X2方向(Uターン)、及びZ方向(鉛直方向上方)の、複数方向が可能なように設定される。この為、交差点のセグメントSac2は、入口としてセグメントSab2との接続点、出口として、X2方向へつながるセグメントSbc1との接続点、X2方向と反対方向へつながるセグメントSbc2との接続点、X1方向と反対方向へつながるセグメントSaa2との接続点、X1方向へつながるセグメントSac1との接続点を持つことになる。セグメントSab2、セグメントSac2、セグメントSaa2は、高さH1が同じとなっている。また、セグメントSab2、セグメントSac2、セグメントSaa2の高さH1は、セグメントSaa1、セグメントSac1、セグメントSab1の高さH1と同じに設定されていてよい。
【0068】
また、図10の例では、X2方向に延在する道路Rbの区間Rba上に、道路Rbの幅方向に並ぶセグメントSba1、Sba2が設定されており、交差点Rc上に、道路Rbの幅方向に並ぶセグメントSbc1、Sbc2が設定されており、区間Rbb上に、道路Rbの幅方向に並ぶセグメントSbb1、Sbb2が設定されている。セグメントSba1、セグメントSbc1、セグメントSbb1は、道路Rbの延在方向であるX2方向に沿って連続して形成されており、高さH1が同じとなっている。セグメントSba1、セグメントSbb1は、それぞれの飛行方向LがX2方向に設定されている。交差点の上のセグメントSbc1は、飛行方向Lが設定されていなくてもよく、飛行方向Lが設定される場合には、X2方向、X1方向(Uターン)、及びZ方向(鉛直方向下方)の、複数方向が可能なように設定される。交差点のセグメントSbc1は、上述したセグメントSac1、Sac2と同様に、入口1か所、出口4か所の接続点を持つことになる。一方、セグメントSbb2、セグメントSbc2、セグメントSba2は、セグメントSba1、セグメントSbc1、セグメントSbb1に対して、道路Rbの幅方向に隣接しており、X2方向に沿って連続して形成されている。セグメントSbb2、セグメントSba2は、それぞれの飛行方向LがX2方向と反対方向となっている。すなわち、道路Rbの幅方向に隣り合うセグメントS同士は、飛行方向Lが、異なる方向に、ここでは反対方向に、設定されている。交差点の上のセグメントSbc2は、飛行方向Lが設定されていなくてもよく、飛行方向Lが設定される場合には、X2方向と反対方向、X1と反対方向(Uターン)及びZ方向(鉛直方向下方)の、複数方向が可能なように設定される。交差点のセグメントSbc2は、上述したセグメントSac1、Sac2、Sbc1と同様に、入口1か所、出口4か所の接続点を持つことになる。また、セグメントSbb2、セグメントSbc2、セグメントSba2は、高さH1が同じとなっている。また、セグメントSbb2、セグメントSbc2、セグメントSba2の高さH1は、セグメントSba1、セグメントSbc1、セグメントSbb1の高さH1と同じに設定されていてよい。セグメントSba1、Sba2、Sbc1、Sbc2、Sbb1、Sbb2の高さH1は、セグメントSaa1、Saa2、Sac1、Sac2、Sab1、Sab2の高さH1と異なるように設定されている。
【0069】
このように、道路Rの同じ区間上において道路Rの幅方向に複数のセグメントSが設定されている場合にも、セグメントS毎に飛行方向Lが設定される。ただし、それに限られず、道路Rの幅方向に複数のセグメントが設定されている場合にも、飛行可能空間設定部34が飛行方向Lを設定せずに、飛行経路を設定する際に、飛行経路設定装置14が飛行方向Lを設定してもよい。
【0070】
なお、図9では、道路Rの幅方向に2つのセグメントSを設定する例を説明したが、道路Rの幅方向に3つ以上のセグメントSを設定してもよい。
【0071】
図8Aから図10で説明したように、飛行可能空間設定部34は、道路Rの同じ区間上に1つのセグメントSのみを設定してもよいし(以下、適宜第1ケースと記載)、交差点上に複数のセグメントSを設定してよいし(以下、適宜第2ケースと記載)、道路Rの同じ区間上において、水平方向に複数のセグメントSを設定してもよいし(以下、適宜第3ケースと記載)、鉛直方向に複数のセグメントSを設定(以下、適宜第4ケースと記載)してもよい。また、飛行可能空間設定部34は、道路Rの同じ区間上において、水平方向と鉛直方向にそれぞれ複数のセグメントSを設定してもよい(以下、適宜第5ケースと記載)。例えば、飛行可能空間設定部34は、道路Rの幅や単位時間当たりの交通量に応じて、どのようにセグメントSを設定するかを選択してよい。例えば、飛行可能空間設定部34は、道路Rの幅が短くて交通量が少ない道路Rに対しては、第1ケースや第2ケースを適用して、道路Rの幅が短くて交通量が多い道路Rに対しては、第3ケースを適用して、道路Rの幅が広くて交通量が多い道路Rに対しては、第4ケースや第5ケースを適用してもよい。また例えば、飛行可能空間設定部34が、第1ケースから第5ケースまでをそれぞれ設定しておき、後述の飛行経路設定装置14が飛行経路を設定する際に、例えば交通量に応じて、第1ケースから第5ケースまでのどのケースを適用するかを決めてもよい。
【0072】
(飛行用地図データの生成)
図5に示す飛行用地図データ生成部36は、飛行可能空間設定部34が設定した飛行可能空間S0の情報に基づき、飛行用地図データAを生成する。出力部38は、通信部20を介して、外部の装置に、ここでは飛行経路設定装置14や飛行経路管理装置16に、飛行用地図データAを出力する。飛行用地図データAは、飛行可能空間S0の情報を含むデータであり、飛行体10が飛行可能な空間を示す地図データであるといえる。飛行用地図データAは、飛行可能空間S0の位置情報と、飛行可能空間S0の高度の情報(高さH1の情報)とを含み、飛行可能空間S0の位置情報と高度の情報とが関連付けられた情報である。さらに言えば、飛行用地図データAは、セグメントSの出入口についての座標及び高度の情報と、そのセグメントSの出入口から他の出入口までの間の区間の、位置を示す情報と高度を示す情報と、を含む。ここで、セグメントSの出入口から他の出入口までの間の区間の、位置を示す情報と高度を示す情報とは、例えば、セグメントSの出入口から他の出入口までの経路を、道路Rからはみ出さないように、複数の線分に区分して、一筆書きに結んだ際の、それぞれの線分の接続点の座標と高度とを指す。なお、以下適宜、セグメントSの出入口についての座標と、そのセグメントSの出入口から他の出入口までの間の区間の、位置を示す情報とを、セグメントSの位置情報と記載し、セグメントSの出入口についての高度の情報と、そのセグメントSの出入口から他の出入口までの間の区間の、高度を示す情報とを、セグメントSの高度の情報と記載する。また、飛行用地図データ生成部36は、セグメントS毎に識別子(名前や番号など)を付与して、識別子とセグメントSとを関連付けたデータを飛行用地図データAに含めてもよい。飛行可能空間S0は、本実施形態では複数のセグメントSに区分されているため、飛行用地図データAは、それぞれのセグメントSの位置情報と、それぞれのセグメントSの高度の情報(高さH1の情報)とが関連付けられた情報であるといえ、セグメントSの出入口から他の出入口までの間の区間の、位置を示す情報と高度を示す情報と、各セグメントSの出入口の座標及び高度と、その接続先のセグメントSの出入口を示すリンクの群となる情報であるといえる。また、飛行用地図データAは、飛行可能空間S0(セグメントS)の飛行方向Lの情報や、飛行方向Lから見た場合の飛行可能空間S0(セグメントS)の広さの情報も含み、それらの情報が、セグメントSの位置情報及び高度の情報に関連付けられていてよい。ここでの広さの情報とは、長さH2、H3(図7A参照)の情報ともいえる。また、セグメントS毎に基準占有時間が設定されている場合、飛行用地図データAは、セグメントS毎に基準占有時間の情報も含み、基準占有時間の情報がセグメントSの位置情報及び高度の情報に関連付けられていてもよい。このように、飛行用地図データAは、飛行可能空間S0の位置情報や高度の情報などのデータ要素間の相互関係で表される、データを有する論理的構造であるといえるため、いわゆるデータ構造であるといえる。
【0073】
図11は、飛行用地図の一例を示す図である。飛行用地図データAは、上記のような情報であるため、飛行用地図データAをインプットデータとして飛行用地図表示プログラムに入力することで、図11に示すような飛行用地図A1を、表示装置の画面上に表示可能となる。飛行用地図A1は、飛行可能空間S0を地図上に示すデータとなり、飛行可能空間S0の位置情報や高度の情報などが関連付けられて表示される地図となる。このような飛行用地図表示プログラムは、飛行用地図データ生成部36によって生成されたり実行されたりしてもよい。また、このような飛行用地図表示プログラムは、図1に示す飛行経路設定装置14や飛行経路管理装置16などによって生成されたり実行されたりしてもよい。この場合、飛行経路設定装置14や飛行経路管理装置16は、飛行用地図データ生成部36が生成した飛行用地図データAを取得して、飛行用地図表示プログラムを実行することにより、飛行用地図A1を得る。このように、飛行用地図データAは、ハードウェア資源と協働することによって、飛行可能空間S0の位置や高度を示して飛行経路を設定するという、使用目的に応じた動作を構築しているといえる。
【0074】
なお、図11の例では、飛行可能空間S0に加えて、道路Rや設備Fについても飛行用地図A1上に表示されているが、飛行用地図データAや飛行用地図A1は、道路Rや設備Fの情報を含まなくてもよい。ただし、図11に示すように、飛行用地図データAに、道路Rや設備Fの情報を加えることで、道路Rや設備Fと、飛行可能空間S0とを、飛行用地図A1上に表示することができる。なお、設備Fとは、建物など道路R以外の構造物や、自然物を指す。
【0075】
(飛行用地図データの生成の生成フロー)
次に、以上説明した飛行用地図データAの生成フローを説明する。図12は、飛行用地図データの生成フローを示すフローチャートである。図12に示すように、飛行用地図データ生成装置18は、道路Rの位置情報を取得し(ステップS10;位置情報取得ステップ)、障害物情報検出部32により、道路Rの上の障害物Oの高さ情報を取得する(ステップS12;障害物情報取得ステップ)。本実施形態では、飛行用地図データ生成装置18は、事前に道路Rを走行した車両Vの位置情報から、道路Rの位置情報を取得し、車両Vが撮像した障害物Oの画像から、障害物Oの高さ情報を取得する。
【0076】
次に、飛行用地図データ生成装置18は、飛行可能空間設定部34により、道路Rに沿い、かつ道路Rから所定の高度となるように、より詳しくは障害物Oを避けるように、飛行可能空間S0を設定する(ステップS14;飛行可能空間設定ステップ)。本実施形態では、飛行可能空間設定部34は、道路Rの位置情報に基づき、道路Rと地球座標が重なるように、飛行可能空間S0の位置情報を設定し、障害物Oの高さH0より高度が高くなるように、飛行可能空間S0の高度を設定する。そして、飛行可能空間設定部34は、飛行可能空間S0をセグメントSに区分して、セグメントS毎に、位置情報と高度とを設定し(ステップS15)、セグメントS同士の接続箇所の高さH1が同じ高さとなるようにセグメントS同士のリンクを作成する(ステップS16)。より詳しくは、本実施形態では、飛行可能空間設定部34は、飛行可能空間S0のうち、交差点の出入口に重なる箇所と他の出入口に重なる箇所とを判定して、交差点の出入口に重なる箇所から他の出入口に重なる箇所までが1つのセグメントSとなるように、飛行可能空間S0を複数のセグメントSに分割する。そして、飛行可能空間設定部34は、セグメントS同士の接続箇所の高さH1が同じ高さとなるようにセグメントS同士のリンクを作成する。
【0077】
次に、飛行用地図データ生成装置18は、飛行用地図データ生成部36により、飛行可能空間S0の情報に基づき、ここではセグメントS毎の位置情報と高度の情報に基づき、飛行用地図データAを生成する(ステップS17;飛行用地図データ生成ステップ)。飛行用地図データ生成部36は、セグメントS毎の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行用地図データAを生成する。そして、飛行用地図データ生成装置18は、外部の装置に、ここでは飛行経路設定装置14や飛行経路管理装置16に、飛行用地図データAを出力する(ステップS18)。飛行用地図データAの出力により、本処理は終了する。なお、上述のように、飛行用地図データ生成部36は、飛行用地図データAをインプットデータとして飛行用地図A1を生成可能な飛行用地図表示プログラムも生成してよい。
【0078】
ここで、飛行体10が飛行する際には、上空が飛行経路となっている土地の地権者などの許可が必要な場合がある。この場合、地権者を探して許可を得る必要があったり、飛行経路が複数の地権者の土地にまたがって設定されている場合には、それぞれ個別に許可を得る必要があったりするなどして、煩わしい。また、法律などによって飛行体10の飛行が禁止されている区域もある。それに対し、本実施形態に係る飛行用地図データ生成装置18は、飛行体10が飛行可能な飛行可能空間S0を、道路Rの上に設定する。道路Rは、例えば警察などの周知の団体により、一括で管理されている。従って、道路Rの上を飛行可能空間S0とすることで、地権者を探す手間が省け、また、飛行許可を一括で得ることが可能となり、飛行経路の許可の取得を容易に行うことが可能となる。また、道路Rは、通常、飛行が禁止されていない区域であるため、道路Rの上を飛行可能空間S0とすることで、禁止されている飛行経路を用いることも抑制できる。なお、飛行用地図データ生成装置18は、道路Rのうち、飛行が禁止されている区間があれば、その区間の上には飛行可能空間S0を設定しないことが、より好ましい。このように、飛行可能空間S0を道路Rの上に設定することで、飛行体10の飛行経路を適切に設定することができる。また、本実施形態に係る飛行用地図データ生成装置18は、道路Rの上の障害物Oの高さに基づき、飛行可能空間S0を設定する。従って、飛行用地図データ生成装置18によると、障害物Oと干渉しないように飛行可能空間S0を設定することが可能となり、障害物Oと衝突しない飛行経路を、道路R上に適切に設定することができる。なお、飛行用地図データAを生成する際に、オペレータにより、飛行禁止されている領域や、特別に許可されている領域(公園や私有地で許可が下りている部分)について、飛行可能空間S0及び、飛行禁止空間等のデータを入力し、そのデータと道路R上のS0を両方から、最終的な飛行用地図データAを生成してもよい。
【0079】
(道路以外の例)
以上のように、飛行用地図データ生成装置18は、道路Rの上に飛行可能空間S0を設定したが、それに限られず、道路Rの上以外の空間にも、飛行可能空間S0を設定してもよい。以下、具体的に説明する。
【0080】
図13は、トンネルを覆う地表上に飛行可能空間を設定する例を示す模式図である。図13に示すように、道路Rは、山Mの地表Gに覆われたトンネルTに接続されている場合がある。言い換えれば、道路Rの一部の区間が、トンネルT内を通る場合がある。トンネルT内の空間は狭いため、トンネルT内においては飛行可能空間S0を適切に設定できない可能性がある。また、飛行体10が自己位置認識をするためにGNSS等による位置測定をする場合、人工衛星の電波を受けられない為、正しい経路の飛行ができないケースも出てくる。そのため、飛行用地図データ生成装置18の飛行可能空間設定部34は、トンネルTを覆う山Mの地表Gの上に、飛行可能空間S0を設定する。より詳しくは、道路RにおけるトンネルTの入口の箇所を、箇所RT1とし、道路RにおけるトンネルTの出口の箇所を、箇所RT2とする。箇所RT1、RT2は、道路RのトンネルTとの接続箇所であるともいえる。この場合、飛行可能空間設定部34は、道路Rの箇所RT1までの区間の上と、トンネルTを覆う山Mの地表Gの上と、道路Rの箇所RT2からの区間の上とで、異なるセグメントSを設定する。なお、地表Gは、例えば、山や、海面などの水面や、橋梁などである。すなわち、トンネルTは、山中、水底、橋の下など、任意の箇所に形成されていてよい。
【0081】
図13の例では、飛行可能空間設定部34は、セグメントSc1、Sc2、Sd、Se1、Se2を設定する。セグメントSc1は、道路Rの箇所RT1までの区間の上に設定され、セグメントSc2は、道路Rの箇所RT2からの区間の上に設定される。セグメントSdは、トンネルTを覆う地表Gの上に設定される。セグメントSe1は、セグメントSc1の箇所RT1側の箇所とセグメントSdの箇所RT1側の箇所とに連結するように設定されるセグメントであり、例えばZ方向に延在するように設定される。セグメントSe2は、セグメントSc2の箇所RT2側の箇所とセグメントSdの箇所RT2側の箇所とに連結するように設定されるセグメントであり、例えばZ方向に延在するように設定される。
【0082】
地表Gの上のセグメントSdは、セグメントSc1、Sc2に接続されるように(本実施形態ではセグメントSe1、Se2を介してセグメントSc1、Sc2に接続されるように)、位置情報(地球座標)が設定される。例えば、セグメントSdは、セグメントSc1、Sc2に接続され、かつ、直線経路となるように、位置情報が設定される。また、セグメントSdは、地表Gの上に形成される障害物よりも高度が高くなるように、高度が設定される。地表Gの上に形成される障害物の高さは、例えば障害物を撮像した画像から、上述の道路Rの上の障害物Oの高さ算出と同じ方法で算出してもよいし、他の任意の方法で算出してもよい。
【0083】
飛行体10が、図13に示す道路Rの上を飛行する場合には、セグメントSc1、Se1、Sd、Se2、Sc2が予約される。飛行体10は、セグメントSc1内を飛行してセグメントSe1内に進入し、セグメントSe1をZ方向に上昇して、セグメントSdに進入する。飛行体10は、セグメントSd内を飛行して、セグメントSe2内に進入し、セグメントSe2内を下降して、セグメントSc2内に進入し、セグメントSc2内を飛行する。このようにトンネルTを覆う地表Gの上にセグメントSを設定することで、道路RがトンネルTに接続されている場合にも、衝突を抑制可能な飛行可能空間S0を適切に設定できる。また、山Mの上は、その山Mの地権者など、道路Rと異なる管理主体によって管理されている場合がある。このような場合に、山Mの地権者に事前に承諾を得ておき飛行可能空間S0(セグメントS)を設定しておくことで、飛行経路を設定する段階において地権者に問い合わせる必要がなくなり、飛行経路の設定をスムーズに行うことができる。なお、図13の例では、地表Gの上のセグメントSdと、道路Rの上のセグメントSc1、Sc2とを繋ぐセグメントSe1、Se2が設定されているが、セグメントSe1、Se2が設定されておらず、セグメントSdとセグメントSc1、Sc2とが直接繋がれていてもよい。さらに、セグメントSdは、トンネル上空に限られず、トンネルの出入口RT1、RT2を接続すれば、任意の場所に設定してもよい。河川に沿った道路などでは、崖を通過するためのトンネルTが設置される場合があるが、崖の上に上がるより、河川の上空へ避けることで、迂回路を短くできる。
【0084】
図13では、トンネルTを覆う地表Gの上に飛行可能空間S0(セグメントS)を形成した例を説明したが、トンネルTを覆う地表Gの上以外にも飛行可能空間S0(セグメントS)を設定してもよい。例えば、飛行可能空間S0(セグメントS)は、河川の上や、電車が通る線路の上などにも設定されてよい。
【0085】
(飛行経路の予約)
次に、飛行体管制装置12、飛行経路設定装置14及び飛行経路管理装置16(図1参照)による、飛行体10の飛行経路の設定方法について説明する。飛行経路は、飛行経路管理装置16が許可した飛行可能空間S0を通るように設定される。
【0086】
(飛行体)
図14は、本実施形態に係る飛行体の模式的なブロック図である。図14に示すように、飛行体10は、駆動部40と、通信部42と、記憶部44と、位置情報取得部45と、制御部46とを備える。駆動部40は、飛行体10を飛行させるための駆動装置であり、例えばプロペラなどを含む。通信部42は、外部の装置と、ここでは飛行体管制装置12などと通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどである。飛行体10は、無線通信で通信を行うが、通信方式は任意であってよい。記憶部44は、制御部46の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。位置情報取得部45は、制御部46の制御によって、飛行体10の位置情報や姿勢を取得する装置であり、本実施形態ではGNSS用の受信モジュール、及び、IMU(Inertial Measurement Unit)である。
【0087】
制御部46は、演算装置、すなわちCPUである。制御部46は、飛行経路取得部50と飛行制御部52とを含む。制御部46は、記憶部44からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、飛行経路取得部50と飛行制御部52とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部46は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、飛行経路取得部50と飛行制御部52との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0088】
飛行経路取得部50は、通信部42を介して、飛行体管制装置12から自身の飛行経路の情報を取得する。飛行制御部52は、駆動部40を制御して、飛行経路取得部50が取得した飛行経路で、飛行体10を飛行させる。飛行制御部52は、位置情報取得部45により、GNSS用の衛星からの電波を受信し、自己位置の検出し、IMUにより、自身の位置及び姿勢を逐次把握しつつ、飛行経路に沿って飛行体10を移動させる。
【0089】
(飛行体管制装置)
図15は、本実施形態に係る飛行体管制装置の模式的なブロック図である。飛行体管制装置12は、コンピュータであり、図15に示すように、通信部60と、記憶部62と、制御部64とを備える。通信部60は、外部の装置と、ここでは飛行体10や飛行経路設定装置14などと通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどであるが、通信方式は、無線に限らず、有線による通信方式でもよい。飛行体管制装置12は、無線通信で通信を行うが、通信方式は任意であってよく、上述のように例えば有線通信であってもよい。記憶部62は、制御部64の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。飛行体管制装置12は、ユーザの操作を受け付ける機構である入力部や、表示装置などの情報を出力する機構である出力部をさらに備えてもよい。
【0090】
制御部64は、演算装置、すなわちCPUである。制御部64は、飛行関連情報取得部70と、飛行経路取得部72と、飛行体管制部74とを含む。制御部64は、記憶部62からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、飛行関連情報取得部70と飛行経路取得部72と飛行体管制部74とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部64は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、飛行関連情報取得部70と飛行経路取得部72と飛行体管制部74との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0091】
飛行関連情報取得部70は、飛行体10の飛行に関連する情報である飛行関連情報を取得する。一般には、オペレータが、飛行体管制装置の画面上に、図12にあるような飛行用地図A1を表示し、出発地点P1と到着地点P2を画面上で指定し、飛行開始時刻を入力することで、飛行関連情報が設定される。飛行関連情報は、入力された情報を用いて生成した、飛行体10の目的地の位置情報(地球座標)と、飛行体10の出発地の位置情報(地球座標)と、経由地の位置情報等と、飛行体10が飛行する時刻又は時間帯である設定時刻と、を含む。飛行経路取得部72は、通信部60を介して、飛行関連情報を飛行経路設定装置14に出力して、飛行経路設定装置14に飛行経路の設定を要請する。飛行経路取得部72は、飛行経路設定装置14が設定した飛行経路の情報を、すなわち飛行経路となる座標を組み合わせて経路にした際の経路の情報、飛行経路の座標毎の高度、及び飛行経路を使用する時間帯の情報の組を、取得する。飛行体管制部74は、飛行経路設定装置14から取得した飛行経路の情報を飛行体10に出力することで、飛行体10の飛行を管制する。飛行体10の管制とは、あらかじめ、その飛行体10が飛行することを許された時刻と座標のデータの一覧を飛行体10に提供し、その許可された時刻と座標データに従って飛行体10が飛行することを表す。飛行体管制装置12の具体的な処理については後述する。
【0092】
(飛行経路設定装置)
図16は、本実施形態に係る飛行経路設定装置の模式的なブロック図である。飛行経路設定装置14は、コンピュータであり、通信部80と、記憶部82と、制御部84とを備える。通信部80は、外部の装置と、ここでは飛行体管制装置12や飛行経路管理装置16や飛行用地図データ生成装置18などと通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどであるが、通信方式は任意であってよく、無線に限らず、有線による通信方式でもよい。記憶部82は、制御部84の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。飛行経路設定装置14は、ユーザの操作を受け付ける機構である入力部や、表示装置などの情報を出力する機構である出力部をさらに備えてもよい。
【0093】
制御部84は、演算装置、すなわちCPUである。制御部84は、飛行用地図データ取得部90と、飛行関連情報取得部92と、飛行経路設定部94と、申請情報生成部96と、出力部98とを含む。制御部84は、記憶部82からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、飛行用地図データ取得部90と飛行関連情報取得部92と飛行経路設定部94と申請情報生成部96と出力部98とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部84は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、飛行用地図データ取得部90と飛行関連情報取得部92と飛行経路設定部94と申請情報生成部96と出力部98との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0094】
飛行用地図データ取得部90は、通信部80を介して、飛行用地図データ生成装置18から、飛行用地図データAを取得する。飛行関連情報取得部92は、通信部80を介して、飛行体管制装置12から、飛行関連情報を取得する。飛行経路設定部94は、飛行用地図データAと飛行関連情報とに基づき、飛行体10の飛行経路となるセグメントSの一覧と、セグメントSの一覧に含まれるセグメントSの座標群(セグメントSの位置情報)と、各セグメントSの占有時間(セグメントSを占有する時間帯)とを設定する。申請情報生成部96は、飛行経路となるセグメントSの情報とセグメントSの占有時間の情報に基づき、それらの占有時間において飛行経路となるセグメントSの使用を申請する旨の申請情報を生成する。出力部98は、通信部80を介して、飛行経路管理装置16に申請情報を出力する。飛行経路設定部94は、飛行経路管理装置16が申請情報に基づいて飛行経路の使用を許可した場合に、その旨の情報を取得して、飛行経路を正式に設定して、飛行体管制装置12に送信する。飛行経路設定装置14の具体的な処理については後述する。
【0095】
(飛行経路管理装置)
図17は、本実施形態に係る飛行経路管理装置の模式的なブロック図である。飛行経路管理装置16は、コンピュータであり、通信部100と、記憶部102と、制御部104とを備える。通信部100は、外部の装置と、ここでは飛行経路管理装置16や飛行用地図データ生成装置18などと通信を行う通信モジュールであり、例えばアンテナなどであるが、通信方式は、無線に限らず、有線による通信方式でもよい。飛行経路管理装置16は、無線通信で通信を行うが、通信方式は任意であってよく、上述のように例えば有線通信であってもよい。記憶部102は、制御部104の演算内容やプログラムなどの各種情報を記憶するメモリであり、例えば、RAMと、ROMのような主記憶装置と、HDDなどの外部記憶装置とのうち、少なくとも1つ含む。飛行経路管理装置16は、ユーザの操作を受け付ける機構である入力部や、表示装置などの情報を出力する機構である出力部をさらに備えてもよい。記憶部102には、後述する飛行経路占有状況データベースDB1が記憶される。飛行経路占有状況データベースDB1は、後述する飛行用地図データAに関する情報を含むデータベースである。
【0096】
制御部104は、演算装置、すなわちCPUである。制御部104は、飛行用地図データ取得部110と、申請情報取得部112と、判断部114と、出力部116とを含む。制御部104は、記憶部102からプログラム(ソフトウェア)を読み出して実行することで、飛行用地図データ取得部110と申請情報取得部112と判断部114と出力部116とを実現して、それらの処理を実行する。なお、制御部104は、1つのCPUによってこれらの処理を実行してもよいし、複数のCPUを備えて、それらの複数のCPUで、処理を実行してもよい。また、飛行用地図データ取得部110と申請情報取得部112と判断部114と出力部116との少なくとも一部を、ハードウェア回路で実現してもよい。
【0097】
飛行用地図データ取得部110は、通信部100を介して、飛行用地図データ生成装置18から、飛行用地図データAに関する情報を取得して、記憶部102の飛行経路占有状況データベースDB1に記憶させる。ここでの飛行用地図データAに関する情報とは、飛行用地図データAの全体であることに限られず、例えば、セグメントSに割り当てられる識別子の情報であってもよい。申請情報取得部112は、通信部100を介して、飛行経路設定装置14から申請情報を取得する。判断部114は、申請情報に基づき、飛行時間帯における飛行経路の使用を許可するかを判断する。記憶部102には、セグメントSの識別子と、そのセグメントSについて予約済みとなっている時間帯の情報とが、組になって記憶されている。判断部114は、申請情報と、記憶部102に記憶されているそれらの情報とから、飛行時間帯における飛行経路の使用を許可するかを判断する。出力部116は、通信部100を介して、飛行時間帯における飛行経路の使用許可の判断結果を、飛行経路設定装置14に出力する。例えば、飛行経路の使用を許可する判断結果となった場合、制御部104は、飛行経路占有状況データベースDB1に、使用を許可したセグメントSを占有する旨のデータを登録する。すなわち、飛行経路占有情報データベースDB1には、飛行用地図データAに関する情報(ここでは例えばセグメントSに割り当てる識別子)と、そのセグメントSが占有される(予約されている)時間帯の情報とが、関連付けて記録されている。これにより、同一時間帯における同一セグメントSの占有を、二重に許可しないようにする。飛行経路管理装置16の具体的な処理については後述する。
【0098】
(飛行経路の設定フロー)
次に、飛行体管制装置12、飛行経路設定装置14及び飛行経路管理装置16の具体的な処理と共に、飛行経路の設定フローについて説明する。図18は、飛行経路の設定フローを説明するフローチャートである。
【0099】
飛行経路を設定する際には、飛行経路設定装置14及び飛行経路管理装置16が、予め、飛行用地図データ生成装置18から、飛行用地図データAの全部又は一部を取得しておく(飛行用地図データ取得ステップ)。そして、図18に示すように、飛行体管制装置12は、飛行関連情報取得部70により飛行関連情報を取得し、飛行経路取得部72により、飛行経路設定装置14に飛行関連情報を出力することで、飛行経路設定装置14に飛行経路の設定を要請する(ステップS20)。飛行関連情報は、飛行体10の目的地の位置情報(地球座標)と、飛行体10の出発地の位置情報(地球座標)と、経由地の位置情報等と、設定時刻とを含む。設定時刻は、飛行体10が飛行する時刻又は時間帯であり、例えば、飛行体10が目的地に到着する到着目標時刻であってもよいし、飛行体10が目的地に向けて出発する出発目標時刻であってもよい。飛行関連情報取得部70は、任意の方法で飛行関連情報を取得してもよいが、例えば、荷物をドローンで配達するケースを考えると、客から指定された指定目的地や指定時刻などを取得して、飛行関連情報としてよい。飛行経路取得部72は、飛行関連情報取得部70が取得した飛行関連情報と、飛行経路及び飛行時間帯を設定する旨を要請する情報とを、飛行経路設定装置14に出力する。
【0100】
飛行経路設定装置14は、飛行関連情報取得部92により、飛行体管制装置12から、飛行関連情報と、飛行経路及び飛行時間帯を設定する旨を要請する情報とを取得する。飛行経路設定装置14は、飛行経路設定部94により、飛行関連情報と飛行用地図データAとに基づき、飛行経路及び飛行時間帯を設定する(ステップS22;飛行経路設定ステップ、飛行時間帯設定ステップ)。飛行経路設定部94は、飛行関連情報から、飛行体10の出発地と目的地の位置情報を抽出する。そして、飛行経路設定部94は、飛行用地図データAから、出発地と到着地又は、その最寄りのセグメントSを選択し、それぞれの飛行可能空間S0の位置情報及び高度の情報を抽出して、その間の飛行可能空間S0を通る出発地から目的地までの経路を、飛行経路として設定する。言い換えれば、飛行経路設定部94は、飛行可能空間S0のうちの、出発地から目的地までのセグメントSのリストを抽出して、抽出したセグメントSのリストを飛行経路として設定する。図11の例では、飛行関連情報から抽出された出発地をP1とし、飛行関連情報から抽出された目的地をP2としており、出発地P1から目的地P2までの飛行可能空間S0内を通る経路が、飛行経路Bとして設定されている。
【0101】
以下、飛行経路の設定方法のより詳細な例を説明する。図19は、飛行経路の設定の一例を示す模式図である。図19に示すように、飛行経路設定部94は、出発地PN1から目的地PN2までの飛行経路を設定する場合には、飛行体10の座標(x1、y1)の初期値を出発地PN1の座標(x0、y0)に合わせて、飛行体10の座標(x、y)を変化させた場合に、座標(x、y)と目的地PN2の座標(x2、y2)との差分が小さくなるように、互いに連結されているセグメントSを順に選択して、飛行経路とする。図19の例では、座標(x1、y1)は、セグメントSA1、SA2、SA3、SA4、SA5、SA6、SA7、SA8、SA9、SA10、SA11、SA12の順でセグメントSをたどることで、目的地PN2の座標(x2、y2)に到達するため、セグメントSA1、SA2、SA3、SA4、SA5、SA6、SA7、SA8、SA9、SA10、SA11、SA12の順で、セグメントSを選択して、飛行経路とする。
【0102】
なお例えば、セグメントSA5には、セグメントSA6とセグメントSA13とが連結されている。このように、選択したセグメントに対して複数のセグメントが並列に連結されている場合、すなわち次のセグメントとして複数のセグメントが選択可能な場合には、それら複数のセグメントのうちから、そのセグメントのもう一方の端点の座標(x1、y1)と目的地PN2の座標(x2、y2)との差分がより小さくなる方のセグメントを選択してよい。また、それら複数のセグメントで、座標(x1、y1)と目的地PN2の座標(x2、y2)との差分の減少量が同じ場合には、任意の方法でどれか1つのセグメントを選択してよい。また例えば、セグメントSA13、SA14などのように、次に連結されているセグメントSが存在しないケースもある。このように次に接続されているセグメントSが存在しないセグメントを選択した場合(行き止まりの場合)には、セグメントを戻って、別のルートとなるセグメントSを選択する。例えば、セグメントSA13を選択した場合には、1つ前のセグメントSA5に戻り、別のルートとなるセグメントSA6を選択する。また、SA9のように目的地から遠くなる場合もあるが、そこしかセグメントの選択肢がない場合は、あらかじめ決められた一定の距離以上遠くならない場合は、迂回するように経路探索をしてもよい。
【0103】
なお、以上のようなセグメントSの探索は、以下の1-7に示すように、再帰的に表現可能である。
1.出発地(x1、y1)と目的地(x2、y2)、及び目的地のセグメントを示す識別子を引数として取得し、(x1、y1)に接続しているセグメントの自分以外の端点をセグメントの名称と関連付けて並べた一覧LIを作成する。
2.1で作成した端点の一覧LIが、目的地のセグメントを含む場合は、目的地のセグメント名を経路リストに追加して、目的地到達フラグを戻り値に設定して戻る。
3.1で作成した端点の一覧LIについて、飛行方向Lが(x1、y1)に対して、セグメントの出口となるような方向指定がある端点をLOから取り除く。また、出発地点として入力された引数(x1、y1)と目的地(x2、y2)の距離をLO1、端点の一覧LIにある端点の座標と目的地(x2、y2)の距離をLO2とした場合、LO1の長さよりLO2の長さが所定の比率以上長くなる場合は、その端点を取り除く。
その後、端点の一覧表LIを端点と目的地の座標(x2、y2)近い順に、一覧表LIを並べ替える。
4.ポインタを、端点の一覧LIの最初のエントリに設定する。
5.端点の一覧LIのポインタが示すエントリについて、端点の(x1、y1)をあたらしいスタート地点として、そのままの目的地の(x2、y2)、及び目的地のセグメントの識別子を引数として、自分自身を呼び出す。
6.自分自身を呼び出した時の戻り値が目的地到達なら、ポインタが指し示すセグメントの識別子を、経路リストに追加する。そして、戻り値に目的地到達フラグを設定して戻る。
7.戻り値が目的地到達失敗なら、ポインタを端点の一覧LIの次のエントリへ更新する。次のエントリが存在すれば、5に戻って繰り返す。次のエントリが存在しなければ、目的地到達失敗フラグを立てて、戻る。
【0104】
また、飛行経路設定部94は、セグメントSに飛行方向Lが設定されていないケースでは、すなわち例えば図8A図8Bなどに示したケースでは、飛行経路として設定したそれぞれのセグメントSについて、セグメントS内における飛行体10の飛行方向Lを設定する。すなわち、飛行可能空間設定部34は、セグメントS内で飛行体10がどの方向に飛行してよいかを、セグメントS毎に設定する。本実施形態では、図6などに示すように、飛行体10の飛行方向Lは、交差点等の複数の端点をセグメントが含む場合を除き、そのセグメントSと対応する道路Rの延在方向であるX方向に平行となるように設定される。言い換えれば、飛行体10の飛行方向Lは、そのセグメントSに対応する道路Rにおける車両V0の走行方向に平行に設定される。図6の例では、飛行体10の飛行方向Lは、そのセグメントSに対応する道路Rにおける車両V0の走行方向と同じ方向に設定されているが、それに限られず、車両Vの走行方向とは反対方向に設定されてもよい。ただし、セグメントS内における飛行体10の飛行方向Lは、X方向や車両V0の走行方向に平行に設定されることに限られず、任意に設定されてもよい。また、飛行体10は、セグメントS内を飛行方向Lに沿ってのみ飛行することに限られず、例えば、セグメントS内を鉛直方向に移動してもよい。なお、図9図10などに示したケースのように、飛行方向Lが、飛行用地図データ生成装置18によって、セグメントSの設定時に予め設定されている場合には、飛行可能空間設定部34は、セグメントSの飛行方向Lにも基づいて、飛行経路とするセグメントSを選択する。すなわちこの場合においては、飛行可能空間設定部34は、セグメントSに対して予め設定されている飛行方向Lを制限(条件)として加味して、飛行経路とするセグメントSを選択する。
【0105】
飛行経路設定部94は、飛行時間帯についても設定する。飛行時間帯は、飛行体10が飛行経路を飛行する時間帯を指し、飛行経路の飛行を開始する時刻から終了する時刻までを指す。飛行時間帯は、飛行体10が飛行経路を占有できる時間であるともいえる。飛行経路設定部94は、設定した飛行経路に基づいて、飛行経路を通って出発地から目的地まで飛行した際に要する推定飛行時間を算出する。飛行経路設定部94は、推定飛行時間と設定時刻に基づき、飛行時間帯を設定する。例えば、飛行経路設定部94は、推定飛行時間と設定時刻に基づき、目的地の指定到着時刻に到着するように、飛行時間帯を設定する。より詳しくは、本実施形態では、飛行経路設定装置14は、飛行経路に含まれるセグメントS毎に、推定飛行時間を算出して、飛行時間帯を設定する。すなわち、セグメントS内の飛行を開始する時刻から終了する時刻までの時間帯が、セグメントS毎に、飛行時間帯として設定される。なお、飛行用地図データAに上述の基準占有時間が含まれる場合には、飛行経路設定装置14は、基準占有時間に基づいて、セグメントS毎に推定飛行時間を算出する。例えば、飛行経路設定装置14は、飛行経路として設定したセグメントSについての基準占有時間を、そのセグメントSの推定飛行時間としてよい。
【0106】
図18に戻り、飛行経路設定装置14は、以上のようにして飛行経路及び飛行時間帯を設定したら、申請情報生成部96により、設定した飛行時間帯において飛行経路の使用を申請する旨の申請情報を生成して、出力部98により、飛行経路管理装置16に飛行経路設定装置で決定した飛行計画の申請情報を出力する(ステップS24;申請情報生成ステップ)。飛行経路設定装置14は、設定した飛行経路及び飛行時間帯の情報と、その飛行時間帯での飛行経路の使用を申請する旨の情報とを、申請情報に含める。本実施形態では、申請情報に含まれる飛行経路の情報は、飛行経路とされたセグメントSを示す情報であり、飛行経路とされたセグメントSの位置情報(地球座標)であるが、例えばセグメントS毎に識別子が付与されている場合には、飛行経路とされたセグメントSの識別子を示す情報であってもよい。申請情報に含まれる飛行時間帯の情報は、セグメントSに関連付けられており、セグメントS毎の飛行時間帯を示す情報である。
【0107】
飛行経路管理装置16は、飛行経路設定装置14から、申請情報を取得する(申請情報取得ステップ)。飛行経路管理装置16は、判断部114により、申請情報に含まれる飛行経路が、申請情報に含まれる飛行時間帯において、他の飛行体10の飛行経路として飛行経路占有情報データベースDB1で予約済みかを判断する(ステップS26;判断ステップ)。判断部114は、飛行用地図データAを読み出して、申請情報に含まれる飛行経路の情報から、申請された飛行経路に含まれるセグメントSの情報を抽出する。判断部114は、抽出したセグメントSに対して設定された飛行時間帯が、他の飛行体10によって予約済みであるかを判断する。より具体的には、飛行経路管理装置16は、セグメントSの飛行を許可した場合に、許可した飛行時間帯を、予約済みの飛行時間帯として、セグメントS毎に記憶している。判断部114は、今回申請された飛行経路に含まれるセグメントSに対して飛行経路占有情報データベースDB1から予約済みの飛行時間帯を読み出して、今回申請された飛行時間帯に重複するかを確認する。判断部114は、今回申請された飛行時間帯が予約済みの飛行時間帯と重複する場合には、そのセグメントSが他の飛行体10の飛行経路として予約済みであるとして、申請情報に含まれる飛行経路が予約済みと判断する。一方、判断部114は、今回申請された飛行時間帯が予約済みの飛行時間帯と重複しない場合には、そのセグメントSが他の飛行体10の飛行経路として予約済みでないとして、申請情報に含まれる飛行経路が予約済みでないと判断する。すなわち、飛行経路に複数のセグメントSが含まれている場合、判断部114は、少なくとも1つのセグメントSについて申請された飛行時間帯が予約済みの飛行時間帯と重なる場合には、その飛行経路が予約済みであると判断してよい。
【0108】
飛行経路管理装置16は、飛行経路が予約済みでない場合(ステップS28;No)、出力部116により、申請された飛行時間帯での飛行経路の飛行を許可する旨の許可情報を、飛行経路設定装置14に出力して(ステップS30;許可情報出力ステップ)、飛行を許可した飛行経路の情報(例えばセグメントSの識別子)と、その飛行経路の飛行時間帯とを、記憶部102中の飛行経路占有情報データベースDB1に登録する。飛行経路設定装置14は、許可情報を取得したら、設定した飛行経路を正式な飛行経路として決定して、決定した飛行経路と飛行時間帯との情報を、飛行体管制装置12に出力する(ステップS32)。飛行体管制装置12は、取得した飛行経路と飛行時間帯との情報を、飛行体10に出力して(ステップS34)、飛行体10に、飛行時間帯において飛行経路を飛行させる。
【0109】
一方、飛行経路管理装置16は、飛行経路の一部が予約済みである場合(ステップS28;Yes)、申請された飛行時間帯での飛行経路の飛行を許可できない旨の不許可情報を、飛行経路設定装置14に出力する(ステップS36)。飛行経路設定装置14は、不許可情報を取得したら、設定した飛行時間帯での飛行経路の飛行は許可されないと判断する。この場合、飛行経路設定装置14は、飛行時間帯や飛行経路を再設定して、ステップS24に戻って再度申請情報を生成してよい。なお、不許可情報を出力する場合、飛行経路管理装置16は、飛行経路全体のうち、どのセグメントSが予約済みであるかの情報も、他の飛行経路と重複するセグメントSのリストと共に、飛行経路設定装置14に出力してよい。飛行経路設定装置14は、この情報を取得することで、上記リストを元に、柔軟に飛行経路を再設定できる。
【0110】
以下で、上述の図8Aから図10を用いて、飛行経路を設定して飛行経路を飛行する場合の具体例を説明する。
【0111】
最初に、図8Aのように1つの道路上に1つのセグメントS(飛行可能空間S0)が設定されている場合の飛行経路の設定の例を説明する。図8Aの例においては、上述のように、X1方向に延在する道路Raの区間Raa、交差点Rcb、区間Rab上に、それぞれ、セグメントSaa、Sac、Sabが設定されており、X2方向に延在する道路Rbの区間Rba、区間Rbb上に、それぞれ、セグメントSba、Sbbが設定されている。このようなケースにおいて、区間Raa、交差点Rcb、区間Rab上をX1方向に直進して飛行する飛行経路を設定する場合、飛行経路設定装置14は、セグメントSaa、Sac、Sabを飛行経路として設定する。その飛行経路の飛行が許可された場合、飛行体10は、予約した飛行時間帯において、セグメントSaa、Sac、Sab内を、X1方向に直進する。その飛行時間帯においては、セグメントSaa、Sac、Sabがその飛行体10に占有されているため、他の飛行体10の侵入が禁止されて、飛行体10同士の衝突が抑制される。
【0112】
一方、図8Aの例において、飛行体10が、区間Raa上をX1方向に直進し、交差点Rcbで左折して、区間Rbb上をX2方向に直進する場合を例にする。この場合、飛行経路設定装置14は、セグメントSaa、Sac、Sbbを飛行経路として設定する。その飛行経路の飛行が許可された場合、飛行体10は、予約した飛行時間帯において、セグメントSaa内をX1方向に移動し、交差点Rcb上のセグメントSac内に進入し、セグメントSacでX2方向に方向転換して、セグメントSac、Sbb内を、X2方向に沿って移動する。
【0113】
次に、図8Bのように交差点の上に複数のセグメントSが設定されている場合の例を説明する。図8Bの例においては、上述のように、X1方向に延在する道路Raの区間Raa、交差点Rcb、区間Rab上に、それぞれ、セグメントSaa、Sac、Sabが設定されており、X2方向に延在する道路Rbの区間Rba、交差点Rcb、区間Rbb上に、それぞれ、セグメントSba、Sbc、Sbbが設定されている。このようなケースにおいて、区間Raa上をX1方向に直進し、交差点Rcbで左折して、区間Rbb上をX2方向に直進する場合の例を説明する。この場合、飛行経路設定装置14は、セグメントSaa、Sac、Sbc、Sbbを飛行経路として設定する。そして、飛行経路設定装置14は、セグメントSaa、Sacの飛行方向LをX1方向とし、セグメントSbc、Sbbの飛行方向LをX2方向として設定する。その飛行経路の飛行が許可された場合、飛行体10は、予約した時間帯において、セグメントSaa内をX1方向に移動し、交差点Rcb上のセグメントSac内に進入する。飛行体10は、セグメントSac内で上昇して、セグメントSacよりも上側に形成されているセグメントSbcに進入する。飛行体10は、セグメントSbc、Sbb内を、X2方向に沿って移動する。このように、交差点Rcbに複数のセグメントSを設定が設定されており、それぞれのセグメントSを予約することで、他の飛行体10と衝突することなく交差点で曲がることができる。
【0114】
次に、図9のように鉛直方向に複数のセグメントSが設定されている場合の例を説明する。図9の例においては、上述のように、道路Raの区間Raa上に、鉛直方向に並ぶセグメントSaa1、Saa2が設定されており、交差点Rc上に、鉛直方向に並ぶセグメントSac1、Sac2が設定されており、区間Rab上に、鉛直方向に並ぶセグメントSab1、Sab2が設定されている。そして、道路Rbの区間Rba上に、鉛直方向に並ぶセグメントSba1、Sba2が設定されており、区間Rbb上に、鉛直方向に並ぶセグメントSbb1、Sbb2が設定されている。
【0115】
図9のケースにおいて、区間Raa、交差点Rcb、区間Rab上をX1方向に直進して飛行する飛行経路を設定する場合、飛行経路設定装置14は、セグメントSaa1、Sac1、Sab1を飛行経路として設定する。図9のケースでは飛行方向Lが予め設定されている。飛行体10は、予約した飛行時間帯において、セグメントSaa1、Sac1、Sab1内を、X1方向に直進する。一方、区間Rab、交差点Rcb、区間Raa上をX1方向と反対方向に直進して飛行する飛行経路を設定する場合、飛行経路設定装置14は、セグメントSab2、Sac2、Saa2を飛行経路として設定する。飛行体10は、予約した飛行時間帯において、セグメントSab2、Sac2、Saa2内を、X1方向と反対方向に直進する。
【0116】
図9の例において、飛行体10が、区間Raa上をX1方向に直進し、交差点Rcbで左折して、区間Rbb上をX2方向に直進する場合を例にする。この場合、飛行経路設定装置14は、セグメントSaa1、Sac1、Sbb1を飛行経路として設定する。飛行体10は、予約した飛行時間帯において、セグメントSaa1内をX1方向に移動し、交差点Rcb上のセグメントSac1内に進入し、セグメントSac1でX2方向に方向転換して、セグメントSac1、Sbb1内を、X2方向に沿って移動する。
【0117】
次に、図10のように道路の幅方向に複数のセグメントSが設定されているの例を説明する。図10の例においては、上述のように、道路Raの区間Raa上に、道路Raの幅方向に並ぶセグメントSaa1、Saa2が設定されており、交差点Rc上に、道路Raの幅方向に並ぶセグメントSac1、Sac2が設定されており、区間Rab上に、道路Raの幅方向に並ぶセグメントSab1、Sab2が設定されている。そして、道路Rbの区間Rba上に、道路Rbの幅方向に並ぶセグメントSba1、Sba2が設定されており、交差点Rc上に、道路Rbの幅方向に並ぶセグメントSbc1、Sbc2が設定されており、区間Rbb上に、道路Rbの幅方向に並ぶセグメントSbb1、Sbb2が設定されている。
【0118】
図20は、図10のようにセグメント設定されている場合の飛行経路の設定例を説明する図である。図20は、飛行体10が、区間Raa上をX1方向に直進し、交差点Rcで左折して、区間Rbb上をX2方向に直進する場合の飛行経路を示している。飛行経路設定装置14は、セグメントSaa1、Sac1、Sbc1、Sbb1(図20の斜線部分)を、飛行経路として設定する。図10、20のケースでは飛行方向Lが予め設定されている。飛行体10は、予約した時間帯において、セグメントSaa1内をX1方向に移動し、交差点Rc上のセグメントSac1内に進入する。飛行体10は、セグメントSac1内において上昇して、セグメントSac1よりも上側に形成されているセグメントSbc1に進入する。飛行体10は、セグメントSbc1、Sbb1内を、X2方向に沿って移動する。このように、交差点Rcbに複数のセグメントSを設定が設定されることで、道路の幅方向に複数のセグメントが設定されている場合においても、他の飛行体10と衝突することなく交差点で曲がることができる。
【0119】
このように、道路の幅方向や鉛直方向に設定されるセグメントSの数を異ならせることで、例えば交通量に応じて柔軟に飛行経路を設定できる。例えば、交通量が少ない場合は、図8Aのように1つの道路の上には1つのセグメントSを設定して、セグメントSの飛行方向Lを定めずに、セグメントSを両方向で利用可能とすることができる。また例えば図8Bに示すように、交差点上に複数のセグメントSを設定して、交差点上で飛行体同士が衝突することを抑制しつつ、交通量を増やすことができる。さらに、図9、10に示すように、鉛直方向や幅方向に複数のセグメントSを設定して、それぞれのセグメントSの飛行方向Lを逆方向とすることで、交通量をさらに増やすことができる。
【0120】
(効果)
以上説明したように、本実施形態に係る飛行用地図データAの生成方法は、道路Rの位置情報を取得する位置情報取得ステップと、道路Rの位置情報に基づき、飛行体10が飛行可能な飛行可能空間S0が道路Rに沿うように、飛行可能空間S0の位置情報を設定し、飛行可能空間S0が道路Rから所定の高度となるように、飛行可能空間S0の高度を設定することで、飛行可能空間S0を設定する飛行可能空間設定ステップと、飛行可能空間S0の位置情報と高度の情報とを関連付けて、飛行体10の飛行用の地図データである飛行用地図データAを生成する飛行用地図データ生成ステップと、を含む。本方法によると、飛行体10が飛行可能な飛行可能空間S0を、道路Rの上に設定するため、飛行経路の予約を容易に行うことが可能となり、禁止されている飛行経路を用いることも抑制できる。そのため、本方法によると、飛行体10の飛行経路を適切に設定することができる。
【0121】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、それぞれ高度が設定された複数のセグメントSに区分されるように、飛行可能空間S0を設定する。本方法によると、飛行可能空間S0をセグメントSに区分して設定するため、道路Rの上に飛行可能空間S0を柔軟に設定して、例えば複数の飛行体10が飛行する際にも、飛行経路を適切に設定できる。
【0122】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、道路Rの延在方向に沿って複数のセグメントSを設定する。本方法によると、飛行可能空間S0をセグメントSに区分して設定するため、道路Rの上に飛行可能空間S0を柔軟に設定して、例えば複数の飛行体10が飛行する際にも、飛行経路を適切に設定できる。
【0123】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、道路Rにおける交差点Rcの出口から次の交差点の入口までの区間上の空間と、交差点Rc上の空間とを、異なるセグメントSとして設定する。本方法によると、交差点RcにセグメントSを設定することで、他の飛行体10と衝突することを抑制可能な飛行経路を設定できる。
【0124】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、道路Rにおける交差点Rcの出口から次の交差点の入口までの区間上の空間を、複数のセグメントSに区分する。本方法によると、他の道路と交差しない区間上に複数のセグメントSを設定することで、例えば複数の飛行体10が飛行する際にも、飛行経路を適切に設定できる。
【0125】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、交差する道路Rの上のそれぞれに、互いに高度が異なるようにセグメントSを設定する。本方法によると、交差する道路Rの上のセグメントSの高度を異ならせるため、例えば複数の飛行体10が飛行する際にも、飛行経路を適切に設定できる。
【0126】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、セグメントSを1つの飛行体10が占有する時間(推定飛行時間)の基準となる基準占有時間を設定し、飛行用地図データ生成ステップにおいて、飛行用地図データAに基準占有時間の情報を含ませる。本方法によると、基準推定時間を設定するため、例えば複数の飛行体10が飛行する際にも、飛行経路を適切に設定できる。さらに言えば、基準推定時間を設定しておくことで、飛行体毎に飛行時間帯を区切って提供できるため、飛行体の交通量が、セグメントSを設定した際に想定していた交通量よりも増えてきた場合にも、適切に対応可能となる。
【0127】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、基準占有時間を、飛行体10の基準速度の係数として設定する。基準占有時間を係数として定義することで、飛行体の性能に応じ、占有時間を短くすることができ、セグメントSの有効利用が可能である。
【0128】
また、飛行可能空間設定ステップにおいては、道路Rに接続されるトンネルTを覆う地表Gの上に、飛行可能空間S0を設定する。本方法によると、トンネルTを覆う地表Gの上にセグメントSを設定することで、道路RがトンネルTに接続されている場合にも、飛行経路を適切に設定できる。また、トンネルTを覆う山Mの上にセグメントSを設定しておくことで、山Mの地権者に事前に承諾を得ておくことが可能となり、飛行経路の飛行を許可する段階において地権者に問い合わせる必要がなくなり、飛行の許可を即座に行うことができる。
【0129】
また、本方法は、道路R上に存在する障害物Oの高さの情報を取得する障害物情報取得ステップをさらに含み、飛行可能空間設定ステップにおいて、障害物Oの高さの情報に基づき、飛行可能空間S0の高度の情報を設定する。本方法によると、障害物Oと干渉しないように飛行可能空間S0を設定することが可能となり、障害物Oと衝突しない飛行経路を適切に設定することができる。
【0130】
また、障害物情報取得ステップにおいては、道路Rを走行する車両Vに搭載された撮像装置Cによって撮像された画像に基づいて障害物Oの高さを算出することで、障害物Oの高さの情報を取得する。本方法によると、画像に基づいて障害物Oの高さを高精度に算出できるため、障害物Oと衝突しない飛行経路を適切に設定することができる。
【0131】
また、障害物情報取得ステップにおいては、時系列で連続して撮像された画像から、障害物Oの高さH0を算出する。本方法によると、連続して脱像された障害物Oの画像に基づいて障害物Oの高さを高精度に算出できるため、障害物Oと衝突しない飛行経路を適切に設定することができる。
【0132】
また、本方法は、飛行用地図データAが入力されることで飛行用地図A1を画面上に表示させる飛行用地図表示プログラムを生成するプログラム生成ステップをさらに含んでよい。本方法によると、飛行用地図A1を用いて、飛行経路を適切に設定させることができる。
【0133】
また、本実施形態に係る飛行用地図データAは、飛行体10が飛行可能な飛行可能空間S0の位置情報と高度の情報とを含むものであって、位置情報は、飛行可能空間S0が道路Rに沿うように設定され、高度の情報は、飛行可能空間S0が道路Rから所定の高度となるように設定される。本実施形態に係る飛行用地図データAは、道路Rに沿った飛行可能空間S0の情報を提供するため、飛行用地図データAを用いることで、飛行経路を適切に設定することができる。
【0134】
また、本実施形態に係る飛行管理システム1は、上述の方法で飛行用地図データAを生成する飛行用地図データ生成装置18と、飛行用地図データ生成装置18が生成した飛行用地図データAに基づき、飛行体10の飛行経路を設定する飛行経路設定装置14と、飛行経路設定装置14が設定した飛行経路の飛行を許可するか判断する飛行経路管理装置16と、を含む。この飛行管理システム1によると、飛行用地図データAを用いることで、飛行経路を適切に設定することができる。
【0135】
本実施形態に係る飛行経路の設定方法は、道路Rに沿い、かつ道路Rから所定の高度に位置する、飛行体10が飛行可能な飛行可能空間S0の情報を含む飛行用地図データAを取得する飛行用地図データステップと、飛行用地図データにおいて設定されている飛行可能空間S0から、飛行体10が飛行する飛行経路を設定する飛行経路設定ステップと、飛行経路を使用する飛行時間帯を設定する飛行時間帯設定ステップと、を含む。本方法によると、飛行用地図データAに含まれる飛行可能空間S0から飛行経路を設定し、その飛行経路の飛行を申請する情報を生成するため、飛行経路を適切に設定することができる。
【0136】
本実施形態に係る飛行経路の管理方法は、設定された飛行経路及び飛行時間帯を取得する申請情報取得ステップと、その飛行経路が、その飛行時間帯において、他の飛行体の飛行経路として予約されているかを判断する判断ステップと、判断ステップにおいて、他の飛行体の飛行経路として予約されていないと判断した場合に、その飛行体に、その飛行時間帯における飛行経路の使用を許可する旨の許可情報を出力する許可情報出力ステップと、を含む。本方法によると、同じ時間帯で予約済みでない場合に飛行経路の使用を許可するため、飛行経路に複数の飛行体10が進入することを抑制して、飛行体10同士の衝突を抑制できる。
【0137】
また、本実施形態に係る飛行指示方法は、飛行体10の出発地及び目的地の位置情報と、飛行体10が飛行する時間帯の情報とを含む飛行関連情報を出力して飛行経路の設定を要請する要請ステップと、要請ステップに応じて上述の方法で生成された飛行経路及び飛行時間帯を取得する取得ステップと、取得した飛行経路及び飛行時間帯で飛行体に飛行させる指示ステップと、を含む。本方法によると、飛行用地図データAから生成された飛行経路を用いて飛行させるため、飛行体を適切に飛行させることができる。
【0138】
なお、本実施形態では、飛行経路設定装置14と飛行経路管理装置16との両方が、飛行用地図データ生成装置18が生成した飛行用地図データAを取得していたが、それに限られない。例えば、飛行経路設定装置14と飛行経路管理装置16とのうちの少なくとも一方が、飛行用地図データAを取得してもよい。
【0139】
また、本実施形態では、飛行経路の飛行を許可する主体が1つであり、その主体が1つの飛行経路管理装置16を用いている例を説明していた。ただし、飛行経路の飛行を許可する主体が、飛行経路の区域ごとに複数存在している場合も想定され、飛行経路管理装置16が、主体毎に設けられる場合がある。このような場合、飛行用地図データ生成装置18は、主体毎にセグメントSを分けることが好ましい。そして、飛行用地図データ生成装置18は、飛行を許可する権限を有する主体の情報を、セグメントSに関連付けて、飛行用地図データAに含めてもよい。飛行経路設定装置14は、飛行を許可する権限を有する主体の情報に基づき、申請情報を送信する飛行経路設定装置14を、セグメントS毎に設定することができ、飛行許可申請を円滑に実行できる。
【0140】
また、本実施形態では、飛行体管制装置12と飛行経路設定装置14と飛行経路管理装置16と飛行用地図データ生成装置18とがそれぞれ別の装置であり、別の主体に用いられているが、それに限られない。例えば、飛行体管制装置12と飛行経路設定装置14と飛行経路管理装置16と飛行用地図データ生成装置18とのうちの少なくとも2つが同じ装置であってもよい。また、飛行体管制装置12と飛行経路設定装置14と飛行経路管理装置16と飛行用地図データ生成装置18とのうちの少なくとも2つが、同じ主体に用いられていてもよい。
【0141】
以上、本発明の実施形態及び実施例を説明したが、これら実施形態等の内容により実施形態が限定されるものではない。また、前述した構成要素には、当業者が容易に想定できるもの、実質的に同一のもの、いわゆる均等の範囲のものが含まれる。さらに、前述した構成要素は適宜組み合わせることが可能である。さらに、前述した実施形態等の要旨を逸脱しない範囲で構成要素の種々の省略、置換又は変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0142】
1 飛行管理システム
10 飛行体
12 飛行体管制装置
14 飛行経路設定装置
16 飛行経路管理装置
18 飛行用地図データ生成装置
32 障害物情報検出部
34 飛行可能空間設定部
36 飛行用地図データ生成部
38 出力部
A 飛行用地図データ
R 道路
S0 飛行可能空間
S セグメント
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7A
図7B
図8A
図8B
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17
図18
図19
図20