(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】器具共架型ケーブルラック
(51)【国際特許分類】
H02G 9/08 20060101AFI20240913BHJP
H02G 3/04 20060101ALI20240913BHJP
F21V 21/30 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H02G9/08
H02G3/04 056
F21V21/30 300
(21)【出願番号】P 2020201952
(22)【出願日】2020-12-04
【審査請求日】2023-11-10
(73)【特許権者】
【識別番号】501111142
【氏名又は名称】株式会社タチバナ
(73)【特許権者】
【識別番号】505398941
【氏名又は名称】東日本高速道路株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001818
【氏名又は名称】弁理士法人R&C
(72)【発明者】
【氏名】上谷 肇
(72)【発明者】
【氏名】田中 万貴人
(72)【発明者】
【氏名】宇留野 武見
【審査官】小林 秀和
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-254023(JP,A)
【文献】特開2011-160513(JP,A)
【文献】特開平11-155212(JP,A)
【文献】特開2001-025131(JP,A)
【文献】特開2000-059949(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H02G 9/08
H02G 3/04
F21V 21/30
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
トンネル内に敷設され、長尺状の一本の親桁と、当該親桁の長手方向に間隔をあけた複数個所に配設してケーブルを保持可能な子桁と、を備え
、
前記親桁は、前記親桁の長手方向に直交する断面視において、前記子桁を載置する上面載置部と、当該上面載置部の両端から下垂する一対の側方部と、当該側方部の下端部から内側に屈曲し、間隔を開けて互いに対向するように設けられた一対の下フランジ部と、を備えるように構成したケーブルラック。
【請求項2】
前記ケーブルラックを設置する設置部と前記ケーブルラックとを固定する固定具を備え、
前記固定具は、一対の前記下フランジ部の間をスライド移動可能な固定具板状部材と、当該固定具板状部材を貫通する固定具ボルト部材と、当該固定具ボルト部材に螺合する固定具ナット部材と、を備えた請求項
1に記載のケーブルラック。
【請求項3】
隣接する親桁どうしを接続する接続具を備え、
前記接続具は、一方の親桁の端部および他方の親桁の端部を包持する接続具本体と、一方の親桁の端部および接続具本体を貫通し、或いは他方の親桁の端部および接続具本体を貫通する少なくとも二本の接続具ボルト部材と、当該接続具ボルト部材に螺合する少なくとも二つの接続具ナット部材と、を備えた請求項
1に記載のケーブルラック。
【請求項4】
隣接する親桁どうしを接続する接続具を備え、
前記接続具は、前記下フランジ部を挟持する二枚の接続具板状部材と、前記二枚の接続具板状部材を貫通する接続具ボルト部材と、当該接続具ボルト部材に螺合する接続具ナット部材と、を備えた請求項
1に記載のケーブルラック。
【請求項5】
照明装置を取り付ける照明装置取付具を備え、前記照明装置取付具は、
前記一対の下フランジ部の間から前記親桁の内部空間に侵入させることができ、かつ前記照明装置取付具を前記侵入のときとは異なる姿勢に変更することで前記一対の下フランジ部によって係止可能な係止板部と、
前記照明装置を取り付ける取付部を有する取付板部と、
前記係止板部および前記取付板部を角度をつけて接続する屈曲部と、を備えた請求項
1に記載のケーブルラック。
【請求項6】
照明装置を取り付ける照明装置取付具を備え、前記照明装置取付具は、
前記一対の下フランジ部の間から前記親桁の内部空間に侵入させることができ、かつ前記侵入後に所定の角度だけ回転させることで前記一対の下フランジ部によって係止可能な係止板部と、
前記照明装置を取り付ける取付部を有する取付板部と、
前記係止板部および前記取付板部を貫通して前記係止板部および前記取付板部を接続する接続ボルト部材と、
前記接続ボルト部材に螺合する接続ナット部材と、を備えた請求項
1に記載のケーブルラック。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、トンネル内に敷設され、各種ケーブルを保持する器具共架型ケーブルラックに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、親桁を左右両側に対向配置し、親桁の長手方向に間隔をあけた複数個所において左右の親桁間を子桁で連結した鋼製はしご形のケーブルラックが開示してある。
【0003】
また、特許文献2には、ケーブルラックをトンネル内に敷設する態様が開示してある。当該ケーブルラックは、電源ケーブルや調光ケーブル等の各種ケーブルを保持するラック本体を備えており、ラック本体は、トンネル内の車両進行方向に沿って延びる一対の親桁と、親桁の間に略等間隔に複数架設された子桁とを備えている。ラック本体を支持する支持部材は、トンネルの側壁に設けられたアンカーボルトが挿通される取付孔を有する取付部と、取付部から屈曲して延びる載置部(設置部)とを備えている。
【0004】
ラック本体は、車両進行方向に沿って延びるように当該設置部上に複数設けられている。設置部には、先端が逆U字状に湾曲するボルトが備えてあり、ボルトの先端部を親桁に係合させて締結することにより、ラック本体を支持部材に固定している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【文献】特開2017-134759号公報
【文献】特開2012-146612号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
親桁は、車両進行方向に沿って延びるように設置部上に複数設けてあり、それぞれの端部どうしをボルトや連結板を介して連結していた。例えば親桁どうしの連結をボルトによって行う場合は、通常、一対の親桁における片側の親桁につき2本のボルトで連結していた。即ち、一対の親桁どうしを連結する際には4本のボルトを使用することとなる。また、この場合、ボルトに応じた数のナットやワッシャを使用することとなる。トンネル内で親桁どうしの連結をボルトで行う施工時には、1本ずつボルトを締結する作業を行うため、煩雑であった。
【0007】
従って、本発明の目的は、簡便な構造で施工性が向上するケーブルラックを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記目的を達成するための本発明に係るケーブルラックの第一特徴構成は、トンネル内に敷設され、長尺状の一本の親桁と、当該親桁の長手方向に間隔をあけた複数個所に配設してケーブルを保持可能な子桁と、を備え、前記親桁は、前記親桁の長手方向に直交する断面視において、前記子桁を載置する上面載置部と、当該上面載置部の両端から下垂する一対の側方部と、当該側方部の下端部から内側に屈曲し、間隔を開けて互いに対向するように設けられた一対の下フランジ部と、を備えるように構成した点にある。
【0009】
本構成によれば、親桁が一本だけで構成してあるため、簡便な構造のケーブルラックとすることができる。また、親桁が一本だけで構成してあるため、親桁どうしを連結する際には、一本の親桁だけを連結すればよいため、施工性が向上する。
また、本構成によれば、一対の下フランジ部をレール状に構成することができるため、例えば後述の固定具等の部材を一対の下フランジ部に沿ってスライド移動させることができる。
【0012】
本発明に係るケーブルラックの第二特徴構成は、前記ケーブルラックを設置する設置部と前記ケーブルラックとを固定する固定具を備え、前記固定具は、一対の前記下フランジ部の間をスライド移動可能な固定具板状部材と、当該固定具板状部材を貫通する固定具ボルト部材と、当該固定具ボルト部材に螺合する固定具ナット部材と、を備えた点にある。
【0013】
本構成によれば、1つの固定具を使用すればケーブルラックを設置部に固定することができるため、施工性が向上する。
【0014】
本発明に係るケーブルラックの第三特徴構成は、隣接する親桁どうしを接続する接続具を備え、前記接続具は、一方の親桁の端部および他方の親桁の端部を包持する接続具本体と、一方の親桁の端部および接続具本体を貫通し、或いは他方の親桁の端部および接続具本体を貫通する少なくとも二本の接続具ボルト部材と、当該接続具ボルト部材に螺合する少なくとも二つの接続具ナット部材と、を備えた点にある。
【0015】
本構成によれば、1つの接続具を使用すれば隣接する親桁どうしを接続することができるため、施工性が向上する。
【0016】
本発明に係るケーブルラックの第四特徴構成は、隣接する親桁どうしを接続する接続具を備え、前記接続具は、前記下フランジ部を挟持する二枚の接続具板状部材と、前記二枚の接続具板状部材を貫通する接続具ボルト部材と、当該接続具ボルト部材に螺合する接続具ナット部材と、を備えた点にある。
【0017】
本構成によれば、1つの接続具を使用すれば隣接する親桁どうしを接続することができるため、施工性が向上する。
【0018】
本発明に係るケーブルラックの第五特徴構成は、照明装置を取り付ける照明装置取付具を備え、前記照明装置取付具は、前記一対の下フランジ部の間から前記親桁の内部空間に侵入させることができ、かつ前記照明装置取付具を前記侵入のときとは異なる姿勢に変更することで前記一対の下フランジ部によって係止可能な係止板部と、前記照明装置を取り付ける取付部を有する取付板部と、前記係止板部および前記取付板部を角度をつけて接続する屈曲部と、を備えた点にある。
【0019】
本構成によれば、照明装置取付具を親桁に取り付ける際に、照明装置取付具の姿勢を変更するだけで係止板部を一対の下フランジ部に係止させて取り付けることができるため、施工性が向上する。
【0020】
本発明に係るケーブルラックの第六特徴構成は、照明装置を取り付ける照明装置取付具を備え、前記照明装置取付具は、前記一対の下フランジ部の間から前記親桁の内部空間に侵入させることができ、かつ前記侵入後に所定の角度だけ回転させることで前記一対の下フランジ部によって係止可能な係止板部と、前記照明装置を取り付ける取付部を有する取付板部と、前記係止板部および前記取付板部を貫通して前記係止板部および前記取付板部を接続する接続ボルト部材と、前記接続ボルト部材に螺合する接続ナット部材と、を備えた点にある。
【0021】
本構成によれば、照明装置取付具を親桁に取り付ける際に、係止板部を所定の角度だけ回転させるだけで係止板部を一対の下フランジ部に係止させて取り付けることができるため、施工性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明のケーブルラックを示す斜視図である。
【
図2】固定具によってケーブルラックと設置部とを固定する手順を示す概略図である。
【
図3】固定具によってケーブルラックと設置部とを固定する手順を示す概略図である。
【
図4】固定具によってケーブルラックと設置部とを固定する手順を示す概略図である。
【
図5】接続具によって隣接する親桁どうしを接続する手順を示す概略図である。
【
図6】接続具によって隣接する親桁どうしを接続する手順を示す概略図である。
【
図7】接続具によって隣接する親桁どうしを接続する場合の断面図である。
【
図8】ケーブルラックに照明装置取付具によって照明装置を取り付けた場合の概略図である。
【
図9】照明装置取付具を親桁に取り付ける手順を示す概略図である。
【
図10】照明装置取付具を親桁に取り付ける手順を示す概略図である。
【
図11】照明装置取付具によって照明装置を取り付ける手順を示す概略図である。
【
図12】別実施形態の照明装置取付具を親桁に取り付ける手順を示す概略図である。
【
図13】別実施形態の照明装置取付具を親桁に取り付ける手順を示す概略図である。
【
図14】別実施形態の照明装置取付具を親桁に取り付ける手順を示す概略図である。
【
図15】別実施形態のケーブルラックを示す斜視図である。
【
図16】別実施形態の接続具によって隣接する親桁どうしを接続する手順を示す概略図である。
【
図17】別実施形態の接続具によって隣接する親桁どうしを接続する手順を示す概略図である。
【
図18】別実施形態の接続具によって隣接する親桁どうしを接続した後の概略図である。
【
図19】別実施形態の照明装置取付具によって照明装置を取り付けた場合の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。
本発明のケーブルラックは、トンネル内に敷設され、各種ケーブルを保持する。
図1に示したように、本発明のケーブルラックXは、長尺状の一本の親桁10と、当該親桁10の長手方向に間隔をあけた複数個所に配設してケーブルを保持可能な子桁11と、を備える。
【0024】
親桁10および子桁11において、材質は何れも金属製とすればよいがこれに限定されるものではなく、樹脂等を使用してもよい。親桁10は、例えば角柱状の態様とし、親桁10の上面に短寸の子桁11を略等間隔で配設した場合について説明するが、このような態様に限定されるものではない。子桁11はケーブルを保持可能な態様であればその形状は特に限定されるものではない。本実施形態では、子桁11の両端にケーブルの落下を防止するケーブル止め部11aを設けて断面がコ字状を呈する態様とした場合について説明する。本実施形態では、当該子桁11は、親桁10にボルト61で固定する場合について説明するが、この態様に限定されるものではない。当該ボルトは例えば六角ボルトや、皿ボルト等を使用するとよい。
【0025】
本構成によれば、親桁10が一本だけで構成してあるため、簡便な構造のケーブルラックXとすることができる。また、親桁10が一本だけで構成してあるため、親桁10どうしを連結する際には、一本の親桁10だけを連結すればよいため、施工性が向上する。
【0026】
親桁10は、親桁10の長手方向に直交する断面視において、子桁11を載置する上面載置部10Aと、当該上面載置部10Aの両端から下垂する一対の側方部10Bと、当該側方部10Bの下端部から内側に屈曲し、間隔を開けて互いに対向するように設けられた一対の下フランジ部10Cと、を備えるように構成してある。
【0027】
親桁10は、トンネル内の車両進行方向に沿って延びるように、ケーブルラックXを設置する設置部1上に複数設けてある。当該設置部1は、トンネルの側壁にて車両進行方向に沿って略等間隔に複数設けられた支持部材2に亘って、ケーブルラックXを略水平な状態で設置できるようにしてある。本発明のケーブルラックXは、設置部1とケーブルラックXとを固定する固定具20を備える(
図2~4)。
【0028】
固定具20は、一対の下フランジ部10Cの間をスライド移動可能な固定具板状部材21と、当該固定具板状部材21を貫通する固定具ボルト部材22と、当該固定具ボルト部材22に螺合する固定具ナット部材23と、を備える。
【0029】
固定具ボルト部材22は、固定具板状部材21に形成したボルト穴21aを貫通している。固定具板状部材21において、材質は金属製とすればよいがこれに限定されるものではなく、樹脂等を使用してもよい。本実施形態では、固定具板状部材21において、設置部1の位置ズレを防止する設置部位置ズレ防止部21bと、親桁10の位置ズレを防止する親桁位置ズレ防止部21cと、を備えた場合について説明する。設置部位置ズレ防止部21bは固定具板状部材21に対して下側に折り曲げた状態の一対のフランジ部とし、親桁位置ズレ防止部21cは固定具板状部材21に対して上側に折り曲げた状態の一対のフランジ部とするのがよいが、このような態様に限定されるものではない。
【0030】
固定具20によってケーブルラックXと設置部1とを固定する手順は以下の通りである。まず、固定具20を、親桁10の端部から一対の下フランジ部10Cの間をスライドさせるようにして親桁10の内部空間に侵入させる(
図2~3)。このとき、固定具板状部材21の下面の一部が下フランジ部10Cの上面をスライドすることとなる。設置部1に形成してあるL字状の溝1aに固定具ボルト部材22を係入し、設置部位置ズレ防止部21bである一対のフランジ部によって設置部1を挟持する(
図4(a))。このとき、親桁位置ズレ防止部21cである一対のフランジ部は、親桁10の側方部10Bの内側に近接或いは当接した状態となっている(
図4(b))。この状態で固定具ボルト部材22に対して固定具ナット部材23を螺入させると、固定具板状部材21の下面の一部と下フランジ部10Cの上面とが密接し、かつ下フランジ部10Cの下面と設置部1の上面とが密接し、さらに固定具ナット部材23によって設置部1の下面を締め上げることとなる(
図4(b))。このようにボルトを締結することで、1つの固定具20によって設置部1とケーブルラックXとを固定することができる。
【0031】
固定具ボルト部材22の先端は固定具ナット部材23が螺合した状態で潰した状態としてもよい。固定具ボルト部材22の先端を潰すことで当該先端の直径を大きくする等の変形を施すことができ、固定具ナット部材23がトンネル内の振動等で緩んだとしてもこの変形部分が固定具ナット部材23の抜け止めとなり、固定具ナット部材23が固定具ボルト部材22から抜け落ちるのを未然に防止することができる。
【0032】
本発明のケーブルラックXは、隣接する親桁10どうしを接続する接続具30を備える(
図5~7)。当該接続具30は、一方の親桁10の端部および他方の親桁10’の端部を包持する接続具本体30Aと、一方の親桁10の端部および接続具本体30Aを貫通し、或いは他方の親桁10’の端部および接続具本体30Aを貫通する少なくとも二本の接続具ボルト部材33と、当該接続具ボルト部材33に螺合する少なくとも二つの接続具ナット部材34と、を備える。
【0033】
接続具ボルト部材33は、一方の親桁10の端部および接続具本体30Aを貫通する少なくとも一本の接続具ボルト部材33と、他方の親桁10’の端部および接続具本体30Aを貫通する少なくとも一本の接続具ボルト部材33とを設けるようにすればよい。そのため、接続具ボルト部材33の数は二本以上であればよい。接続具ナット部材34の数は接続具ボルト部材33の数に合わせればよい。
【0034】
接続具本体30Aは、親桁10の上面載置部10Aと対面する接続具本体上面部30aと、親桁10の側方部10Bと対面する一対の接続具本体側面部30bと、親桁10の下フランジ部10Cと対面する一対の接続具本体下フランジ部30cと、を備えるように構成してある。このように接続具本体30Aは、親桁10を包むように親桁10を保持して隣接する親桁どうしを接続することができる態様となっている。
【0035】
接続具本体30Aは金属製とすればよいがこれに限定されるものではなく、樹脂等を使用してもよい。接続具ボルト部材33は、親桁10および接続具本体30Aのそれぞれに形成したボルト穴10α,30αを貫通している。本実施形態では、2本の接続具ボルト部材33を使用する態様について説明するが、この態様に限定されるものではない。
【0036】
接続具30によって隣接する親桁10どうしを接続する手順は以下の通りである。まず、接続具本体30Aの一方の端部に一方の親桁10の端部を侵入させ、接続具本体30Aの他方の端部に他方の親桁10’の端部を侵入させる(
図5~6)。一方の親桁10の端部と他方の親桁10’の端部とを当接させ、接続具本体30Aが一方の親桁10の端部および他方の親桁10’の端部を包持した状態で、ボルト穴10α,30αに接続具ボルト部材33を貫通させる(
図7)。当該接続具ボルト部材33に対して接続具ナット部材34を螺入させると、接続具本体30Aの下面と一方の親桁10の上面とが密接し、かつ接続具本体30Aの下面と他方の親桁10’の上面とが密接し、さらに接続具ナット部材34によって一方の親桁10の下面および他方の親桁10’の下面を締め上げる。このようにボルトを締結することで、1つの接続具30によって隣接する親桁10どうしを接続することができる。
【0037】
接続具ボルト部材33の先端は接続具ナット部材34が螺合した状態で潰した状態としてもよい。接続具ボルト部材33の先端を潰すことで当該先端の直径を大きくする等の変形を施すことができ、接続具ナット部材34がトンネル内の振動等で緩んだとしても、この変形部分が接続具ナット部材34の抜け止めとなり、接続具ナット部材34が接続具ボルト部材33から抜け落ちるのを未然に防止することができる。
【0038】
本発明のケーブルラックXは、照明装置50を取り付ける照明装置取付具40を備える(
図8~11)。当該照明装置取付具40は、一対の下フランジ部10Cの間から親桁10の内部空間に侵入させることができ、かつ照明装置取付具40を前記侵入のときとは異なる姿勢に変更することで一対の下フランジ部10Cによって係止可能な係止板部41と、照明装置50を取り付ける取付部42aを有する取付板部42と、係止板部41および取付板部42を角度をつけて接続する屈曲部43と、を備える。
【0039】
本実施形態では、一対の照明装置取付具40のそれぞれを照明装置50の両端のそれぞれに取り付ける態様について説明する。照明装置50の両端には、照明装置接続部材50Aを取り付けてある。当該照明装置接続部材50Aは、照明装置取付具40と面接触する接続板状部50aを備える。当該接続板状部50aは、照明装置50の端部と対面するように備えることができるが、このような態様に限定されるものではない。係止板部41は、一対の下フランジ部10Cの間から親桁10の内部空間に侵入させることができ、当該侵入のときとは異なる姿勢に変更することで一対の下フランジ部10Cによって係止可能な態様であれば、その形状は特に限定されるものではない。本実施形態の係止板部41は矩形を呈する板状の態様とし、係止板部41の長寸が一対の下フランジ部10Cの間の寸法より長く、係止板部41の短寸が一対の下フランジ部10Cの間の寸法より短くなるように係止板部41の寸法を設定する場合について説明する。係止板部41をこのように構成すれば、照明装置取付具40を前記侵入のときとは異なる姿勢に変更したときに、係止板部41の長寸側の両端を一対の下フランジ部10Cに係止させることができるため、係止板部41を一対の下フランジ部10Cによって係止することができる。
【0040】
取付板部42は、照明装置50を取り付ける取付部42aを有する態様であれば、その形状は特に限定されるものではない。本実施形態の取付板部42は、取付部42aを2つの取り付け穴とした板状の態様とした場合について説明する。
【0041】
係止板部41および取付板部42は屈曲部43を介して接続してあるが、係止板部41および取付板部42の間には切欠部44を形成して屈曲部43と接続してもよい。係止板部41、取付板部42および屈曲部43において、材質は何れも金属製とすればよいがこれに限定されるものではなく、樹脂等を使用してもよい。係止板部41および取付板部42を角度をつけて接続する屈曲部43について、当該角度αは90°以下、例えば80~85°程度とするのがよい(
図11(b))。当該角度αをこのように設定すると、取付板部42に照明装置50を取り付けたときに、係止板部41および取付板部42の角度が広がるように(例えば90°となるように)調整すれば、屈曲部43が変形した(広げられた)分だけ係止板部41が下フランジ部10Cを押圧する力が大きくなる。これにより、照明装置取付具40を下フランジ部10Cに係止する力が大きくなって照明装置取付具40を下フランジ部10Cに確実に固定することができる。
【0042】
照明装置取付具40によって照明装置50を取り付ける手順は以下の通りである。まず、一対の照明装置取付具40を親桁10に取り付ける。照明装置取付具40における係止板部41を垂直にした状態(取付板部42を水平にした状態)で、係止板部41を一対の下フランジ部10Cの間から親桁10の内部空間に侵入させる(
図9)。係止板部41を侵入させた状態で水平方向に約90°回転させ、さらに、取付板部42を垂直に姿勢変更することで、係止板部41の長寸側の両端を一対の下フランジ部10Cに係止させる(
図10)。このようにして一対の照明装置取付具40を親桁10に取り付けた状態で、照明装置50をボルト51によって照明装置取付具40に取り付ける(
図8,11)。
【0043】
〔別実施の形態1〕
上述した照明装置取付具40に替えて照明装置取付具は以下のように構成してもよい。
即ち、
図12~14に示したように、本形態の照明装置取付具40’は、一対の下フランジ部10Cの間から親桁10の内部空間に侵入させることができ、かつ前記侵入後に所定の角度だけ回転させることで一対の下フランジ部10Cによって係止可能な係止板部41’と、照明装置50を取り付ける取付部42aを有する取付板部42’と、係止板部41’および取付板部42’を貫通して係止板部41’および取付板部42’を接続する接続ボルト部材45と、接続ボルト部材45に螺合する接続ナット部材46と、を備える。
【0044】
係止板部41’は、一対の下フランジ部10Cの間から親桁10の内部空間に侵入させることができ、当該侵入後に所定の角度だけ回転させることで一対の下フランジ部10Cによって係止可能な態様であれば、その形状は特に限定されるものではない。係止板部41’は、接続ボルト部材45を軸芯として単独で回転可能に構成してある。係止板部41’をこのように構成すれば、係止板部41’を前記侵入後に所定の角度(例えば90°)だけ回転させることで係止板部41’の両端を一対の下フランジ部10Cに係止させることができるため、係止板部41’を一対の下フランジ部10Cによって係止することができる。係止板部41’を一対の下フランジ部10Cに係止させた後、接続ボルト部材45に対して接続ナット部材46を螺入させると、係止板部41’の下面と下フランジ部10Cの上面とが密接する。このようにボルトを締結することで、照明装置取付具40’を親桁10に取り付けることができる。
【0045】
〔別実施の形態2〕
上述した実施形態では、子桁11を親桁10にボルト61で固定する場合について説明した。しかし、このような態様に限定されるものではなく、
図15に示したように、各子桁を例えば2つのリベット62で固定してもよい。リベット62の数は限定されるものではない。
【0046】
〔別実施の形態3〕
上述した実施形態では、隣接する親桁10どうしを接続する接続具30として、接続具本体30Aと、接続具ボルト部材33と、接続具ナット部材34と、を備えた態様について説明した。しかし、このような態様に限定されるものではなく、
図16~18に示したように、接続具30として、下フランジ部10Cを挟持する二枚の接続具板状部材31,32と、二枚の接続具板状部材31,32を貫通する接続具ボルト部材33と、当該接続具ボルト部材33に螺合する接続具ナット部材34と、を備える態様としてもよい。
【0047】
二枚の接続具板状部材31,32は、上側接続具板状部材31と下側接続具板状部材32を重ねた態様とする。二枚の接続具板状部材31,32において、材質は何れも金属製とすればよいがこれに限定されるものではなく、樹脂等を使用してもよい。接続具ボルト部材33は、接続具板状部材31,32のそれぞれに形成したボルト穴31a,32aを貫通している。本実施形態では、2本の接続具ボルト部材33を使用する態様について説明するが、この態様に限定されるものではない。また、本実施形態では、二枚の接続具板状部材31,32のそれぞれに親桁10の位置ズレを防止する接続具親桁位置ズレ防止部31b,32bを備えた場合について説明する。接続具親桁位置ズレ防止部31b,32bは、何れも上側に折り曲げた状態の一対のフランジ部とするのがよいが、このような態様に限定されるものではない。
【0048】
接続具30によって隣接する親桁10どうしを接続する手順は以下の通りである。まず、二枚の接続具板状部材31,32の間隔を少し開けて(下フランジ部10Cを挟持することができる程度の間隔)重ねた状態とした接続具30の一方の端部を、一方の親桁10の端部に侵入させる(
図16)。このとき、二枚の接続具板状部材31,32によって下フランジ部10Cを挟持するように接続具30を親桁10の端部に侵入させる(
図17(a))。接続具親桁位置ズレ防止部31bである一対のフランジ部は、親桁10の側方部10Bの内側に近接あるいは当接した状態となっており、接続具親桁位置ズレ防止部32bである一対のフランジ部は、親桁10の側方部10Bの外側に近接あるいは当接した状態となっている(
図17(b))。この状態で接続具30の他方の端部を、他方の親桁10’の端部に侵入させる(
図17~18)。一方の親桁10の端部と他方の親桁10’の端部とを当接させた状態で、接続具ボルト部材33に対して接続具ナット部材34を螺入させると、上側接続具板状部材31の下面と下フランジ部10Cの上面とが密接し、かつ下フランジ部10Cの下面と下側接続具板状部材32の上面とが密接し、さらに接続具ナット部材34によって下側接続具板状部材32の下面を締め上げることとなる。このようにボルトを締結することで、1つの接続具30によって隣接する親桁10どうしを接続することができる。
【0049】
接続具ボルト部材33の先端は接続具ナット部材34が螺合した状態で潰した状態としてもよい。接続具ボルト部材33の先端を潰すことで当該先端の直径を大きくする等の変形を施すことができ、接続具ナット部材34がトンネル内の振動等で緩んだとしても、この変形部分が接続具ナット部材34の抜け止めとなり、接続具ナット部材34が接続具ボルト部材33から抜け落ちるのを未然に防止することができる。
【0050】
〔別実施の形態4〕
上述した実施形態では、照明装置50の両端に照明装置接続部材50Aを取り付け、照明装置接続部材50Aには、接続板状部50aを照明装置50の端部と対面するように備えてある態様について説明した。しかし、このような態様に限定されるものではなく、
図19に示したように、接続板状部50aを照明装置50の端部と対面しないように備えてもよい。このように構成することで、照明装置50が親桁10より離間する距離を上記の実施形態に比べて大きくすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0051】
本発明は、トンネル内に敷設され、各種ケーブルを保持する器具共架型ケーブルラックに利用できる。
【符号の説明】
【0052】
X ケーブルラック
1 設置部
10 親桁
10A 上面載置部
10B 側方部
10C 下フランジ部
11 子桁
20 固定具
21 固定具板状部材
22 固定具ボルト部材
23 固定具ナット部材
30 接続具
30A 接続具本体
33 接続具ボルト部材
34 接続具ナット部材
40、40’ 照明装置取付具
41、41’ 係止板部
42、42’ 取付板部
42a 取付部
43 屈曲部
45 接続ボルト部材
46 接続ナット部材
50 照明装置