IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ データシステム株式会社の特許一覧

<>
  • 特許-商品売場のリアルタイム価格表示器 図1
  • 特許-商品売場のリアルタイム価格表示器 図2
  • 特許-商品売場のリアルタイム価格表示器 図3
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】商品売場のリアルタイム価格表示器
(51)【国際特許分類】
   G07G 1/01 20060101AFI20240913BHJP
   G07G 1/12 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G07G1/01 301D
G07G1/12 361E
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2022064851
(22)【出願日】2022-04-09
(62)【分割の表示】P 2020124928の分割
【原出願日】2018-11-26
(65)【公開番号】P2022089907
(43)【公開日】2022-06-16
【審査請求日】2022-04-25
【審判番号】
【審判請求日】2023-10-24
(73)【特許権者】
【識別番号】500149016
【氏名又は名称】データシステム株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001782
【氏名又は名称】弁理士法人ライトハウス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】越野 利栄
【合議体】
【審判長】山澤 宏
【審判官】篠塚 隆
【審判官】村松 貴士
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-227839(JP,A)
【文献】特開2002-236837(JP,A)
【文献】特開2005-270558(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G07G1/01
G07G1/12
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
表示器と、POSレジと、表示器及びPOSレジと通信接続が可能なサーバーとを備え、
サーバーが、
過去の売上実績データをもとに商品の値引き時刻を決定する時刻決定手段(商品の残数をもとに商品の値引きを開始することで値引き時刻を決定する手段を除く)と、
表示器及びPOSレジのそれぞれへ、商品の値引き価格に関する情報を送信する情報送信手段とを備え、
表示器が、
サーバーから受信した商品の値引き価格に関する情報をもとに、商品の値引き後の価格又は商品の値引き率を表示する第1表示手段を備え、
情報送信手段が、決定された商品の値引き時刻にしたがって商品の値引き価格に関する情報を送信する、価格表示システム。
【請求項2】
サーバーが、過去の売上実績データをもとに値引き品目を決定する品目決定手段を備え、
情報送信手段が、決定された値引き品目について、商品の値引き価格に関する情報を送信する、請求項1に記載の価格表示システム。
【請求項3】
サーバーが、過去の売上実績データをもとに商品の値引き価格又は商品の値引き率を決定する価格決定手段を備え、
情報送信手段が、決定された値引き価格又は値引き率をもとに、商品の値引き価格に関する情報を送信する、請求項1又は2に記載の価格表示システム。
【請求項4】
表示器が、商品についての新しい利用又は活用方法を表示する第2表示手段を備える、請求項1~3のいずれかに記載の価格表示システム。
【請求項5】
過去の売上実績データをもとに値引き品目を決定する品目決定手段と、
過去の売上実績データをもとに商品の値引き価格又は商品の値引き率を決定する価格決定手段と、
過去の売上実績データをもとに商品の値引き時刻を決定する時刻決定手段(商品の残数をもとに商品の値引きを開始することで値引き時刻を決定する手段を除く)
を備える、コンピュータ装置。
【請求項6】
決定された値引き品目について、決定された商品の値引き価格又は商品の値引き率をもとに、決定された商品の値引き時刻にしたがって、表示器及び/又はPOSレジへ商品の値引き価格に関する情報を送信する情報送信手段
を備える、請求項5に記載のコンピュータ装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特に賞味期限が限られている食品及び、流行期限が限られている商品等の売場に関するものである。
【背景技術】
【0002】
世界に目を向けると、アフリカなどでは多くの人たちが食糧危機に遭遇している一方、我が国では年間1900万トンの食品が廃棄されている。今日、スーパーマーケット、デパート、またコンビニなどの食品売場から賞味期限が切れて廃棄される食品は非常に多く、社会的にも深刻な問題と成っている。廃棄される食品が増えるならば、廃棄される食品を見越して販売利益を獲得出来るように営業計画をしなくてはならず、時には店舗の経営を圧迫する虞がある。また、食品以外の商品であっても、季節性の高い商品の場合、流行期限を逸しているものは、廃棄若しくは大幅値下げにより販売され、結果として企業の経営を圧迫している。
【0003】
図3は時間と売上の関係を表している売上計画と売上実績を示しているグラフである。同図から明らかなように、売上計画及び売上実積は時間の経過と共に増加している。そして、同図において売上計画と売上実績との隔たりは、売れ残りを表している。各店舗は売上実績が売上計画に近づくように色々と努力をし、顧客のニーズを的確に把握するように努めている。
【0004】
勿論、店舗の立地条件や競合店舗の進出などの影響で、努力しても売上実績が伸びないために商品の廃棄量が増える場合もある。このような外的要因は容易に回避することは出来ないが、与えられた環境の下で売上を伸ばし、売れ残りを抑制するすことが必要である。例えば、スーパーマーケットに限らずあらゆる店舗の食品売場では、夕方の閉店に近づくと売れ残りを出来る限り少なくする為に、タイムサービスを行っている。また、食品以外の商品であっても、季節性の高い商品の場合、流行期限が近くなると大幅な値下げ販売を行っている。
【0005】
しかし、これらのタイムサービスや値下げ販売は昔から行われて慣用化していて、客はこの機会を狙って買い物をする場合も少なくない。これらのサービスが慣用化すると、客はサービスが実施される時期や時間及び値下げ率を習熟することによってサービス実施の前後には客数が激減してしまうといった現象が発生する。
【0006】
これらのサービスを行う際には対象とする商品の値札を値引きした新しい価格に書き換えたり、新しい値札を貼付ける必要がある。この値札の書き換えにかなりの時間を要し、この間に予期せぬ事態が発生するなど期待通りのサービス効果を得ることが出来ないケースも多い。書き換えた手書きの値札とPOSレジに入力した商品価格との間に間違いが発生するといったケースもある。こうした問題は小売業界での人手不足に加え、各企業の大きな負担と成っている。
【0007】
従来、これらのサービスを効率よく行うための色々な工夫がなされ、特許出願も行われている。例えば、特開平8-77256号に係る「値引管理システム」は、期間限定サービスやタイムサービス等の特定サービスのためのバーコードの準備を簡素化し、店員の作業の省力化を可能とする値引管理システムである。この値引管理システムは、商品の値引き情報を含む商品情報が入力される入力手段と、入力された商品情報に基づいて、商品情報をバーコードデータに変換する変換手段と、変換手段により得られたバーコードデータに基づき、値引き情報が記録されたバーコードを出力する出力手段とを備えたバーコード作成手段と、バーコードを読み取るバーコード読取手段と、読み取られたバーコードデータから、少なくとも値引き情報を抽出し、読み取られた値引き情報に基づいて商品の値引き精算処理を行う値引精算手段とを備える精算端末手段とで構成している。
【0008】
特開2009-176016号に係る「記録紙の発行方法」は、予め許可された責任者しかマークダウン機能を使用して記録紙の発行ができないようにしている。そこで、予めマークダウン機能を使用することを許可された責任者の指紋を指紋認証センサで読み取り指紋認証コントローラに登録させておく。オペレータがタイムサービスなどで値引き後のラベルを発行させる場合、サーマルプリンタのマークダウン機能を選択して指紋入力をする。この入力された指紋と予め登録されている責任者の指紋と対比して認証する。認証結果、オペレータが責任者であると認証された場合に、マークダウン機能の使用が許可されて値引き後のラベルが印字されて記録紙が発行される。
【0009】
特開2009-176258号に係る「賞味期間に連動した販売補助システム」は、食品を購入するに当たって賞味期間は購入する側にとっては重要な購入選択肢とたっている。これはより安心感を満足させるため、実際に食する期日より長い賞味期間を求める傾向にある。その結果として期限の迫った食品は売れ残り商品となり、店舗側の損失となる。また、廃棄費用の増加にも繋がる。そこで、販売システムに賞味期間情報を設定し、自動的に値引きを発生させることにより、賞味期限の迫った商品を先発的に購入させるシステムである。この結果、賞味期限の迫った商品の売れ残りを防止し、廃棄費用を削減する。また、食品自給率の低い我が国にとっては環境保全やエコ運動への促進にもなる。
【0010】
【文献】特開平8-77256号に係る「値引管理システム」
【文献】特開2009-176016号に係る「記録紙の発行方法」
【文献】特開2009-176258号に係る「賞味期間に連動した販売補助システム」
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
このように、これらのサービスにおいて各種商品は値引きして販売されるが、この値引きに関する技術は色々知られている。本発明では、これらのサービスを効果的に行うために、商品売上状況、営業時間、在庫等の状況を考慮して、不定期に値引きする商品の値引き後の価格が瞬時に効率よく表示できるようにした商品売場を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る売場には、色々な各種商品が配列されており、各商品には販売価格を表示したシールが貼着されている。
そして、該商品売場には、タブレットなどの電子表示パネル(価格表示器)が配置され、この電子表示パネルに食品の値引き価格が表示される。電子表示パネルはPOSサーバーにてコントロールされ、該POSサーバーから送られる値引き価格が電子表示パネルの画面に表示される。ここで、値引きされる商品の価格を表示する具体的な方法は限定しないが、あくまでも客の目に留まる方法とされる。勿論、1つの電子表示パネルには、複数商品の値引き後の価格が表示されるようになっている。
【0013】
そして、値引きされた商品価格はPOSレジにも同じ情報が送られ、売場価格とレジ価格との間に差異が生じないようにしている。ここで、個々の商品に貼着しているシールに表示されている価格はそのまま残されても構わない。該POSサーバーには、営業方針、売上げ計画に基づいて、必要な情報が開店前に入力されていて、値引き額、値引き後の価格が決められる。
本発明は、例えば、
[1]表示器と、POSレジと、表示器及びPOSレジと通信接続が可能なサーバーとを備え、サーバーが、表示器及びPOSレジのそれぞれへ、商品の値引き価格に関する情報を送信する情報送信手段を備え、表示器が、サーバーから受信した商品の値引き価格に関する情報をもとに、商品の値引き後の価格又は商品の値引き率を表示する第1表示手段を備える、価格表示システム;
[2]サーバーが、過去の売上実績データをもとに値引き品目を決定する品目決定手段を備え、情報送信手段が、決定された値引き品目について、商品の値引き価格に関する情報を送信する、前記[1]に記載の価格表示システム;
[3]サーバーが、過去の売上実績データをもとに商品の値引き価格又は商品の値引き率を決定する価格決定手段を備え、情報送信手段が、決定された値引き価格又は値引き率をもとに、商品の値引き価格に関する情報を送信する、前記[1]又は[2]に記載の価格表示システム;
[4]サーバーが、過去の売上実績データをもとに商品の値引き時刻を決定する時刻決定手段を備え、情報送信手段が、決定された商品の値引き時刻にしたがって商品の値引き価格に関する情報を送信する、前記[1]~[3]のいずれかに記載の価格表示システム;
[5]表示器が、商品についての新しい利用又は活用方法を表示する第2表示手段を備える、前記[1]~[4]のいずれかに記載の価格表示システム;
[6]過去の売上実績データをもとに値引き品目を決定する品目決定手段と、過去の売上実績データをもとに商品の値引き価格又は商品の値引き率を決定する価格決定手段と、過去の売上実績データをもとに商品の値引き時刻を決定する時刻決定手段とを備える、コンピュータ装置;
[7]決定された値引き品目について、決定された商品の値引き価格又は商品の値引き率をもとに、決定された商品の値引き時刻にしたがって、表示器及び/又はPOSレジへ商品の値引き価格に関する情報を送信する情報送信手段を備える、前記[6]に記載のコンピュータ装置;
に関するものである。
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る商品売場には、タブレットなどの電子表示パネルが配置され、該電子表示パネルには、値引き後の価格が表示される。この値引き後の価格はPOSサーバーから送信される情報に基づいて瞬時に表示される。従って、これらのサービスを実施する事により、企業は売上げ増による効果を得ることが出来る。
【0015】
POSサーバーには、過去の売上実績データが蓄積され、このデータを深く分析することにより(時には、AI技術を加えることにより)、最適な値引き品目、値引き価格、値引き率、値引き時刻を決定する。これにより大きな労力を要すことなく、正確に、しかも的確にこれらのサービスを実施する為、値引き後の価格を電子表示パネルに表示することが出来る。しかも、同じ情報がPOSレジにも送信されることで、レジの値引き価格が間違えることもない。したがって、従来方式のごとく各々の商品に値引きシールを貼付けたり、棚札、POPなどを準備する必要もない。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1】本発明に係る食品売場。
図2】電子表示パネルに表示される食品の値引き価格をコントロールするシステムの具体例。
図3】時間と売上の関係を表している売上計画と売上実績を示しているグラフ。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1は本発明に係る食品売場を示す具体例である。陳列台1には色々な食品2a,2b,2c・・・が配置され、店舗に訪れた客は購入したい食品2a,2b・・・を陳列台1から取り出すことが出来る。一口に食品といってもその種類は色々あるが、対象とする食品は賞味期限が比較的短くて、タイムサービスの対象となるものである。
【0018】
陳列台1に配列される色々な食品は、一般的に、魚類、肉類、惣菜類、揚げ物類など、似通った食品類ごとに区別されているが、これら各食品2a,2b,2c・・・はパックされて、表面には価格や原材料、産地などが記載されたシールが貼着されている。そして、上記各食品2a,2b,2c・・・が隠れないように、陳列台1の後方には、電子表示パネル3が店内を行き来する客の目に留まるように配置されている。
【0019】
図1に示す陳列台1には2個の電子表示パネル3,3が配置されているが、その個数は限定せず、また配置される形態も自由である。ところで、この電子表示パネル3には陳列台1に陳列されている食品2a,2b・・・の値引きされた価格が表示される。電子表示パネル3の値引き価格の表示方法は自由であり、例えば食品2aと食品2bのみを対象として値引きする場合であれば、この2つの食品2a,2bを電子表示パネル3に大きく表示することが出来る。
【0020】
又は、陳列台1に陳列されている全ての食品2a,2b・・・を電子表示パネル3に食品名と価格を表示しておき、これらの中で値引きする対象食品のみを赤色などの目立つ色彩で食品名と値引きされる価格を表示することも可能である。さらに、値引きの対象商品を目立つように赤色で点滅表示することも出来、効果的である。時には、電子表示装置に合わせて音声を発するようにすることも可能であり、より一層、客の目に留まる。
【0021】
図2は上記電子表示パネル3に表示される食品2a,2b・・・の値引き価格をコントロールして表示する具体的なシステムを示している。同図において、電子表示パネル3としてタブレットを用いることが出来、これらタブレットに値引きされる食品名及び値引き価格を表示することが出来る。ところで、これらタブレットはPOSサーバーから信号を受けて、各食品2a,2b・・・の値引き価格を正確に、しかも瞬時に表示することが出来る。そして、値引きされた食品2a,2b・・・の値引き価格は、同時にPOSレジにも送信され、レジで間違いを起こさないようにしている。
【0022】
ところで、上記POSサーバーは、営業方針に基づいて各食品(商品)の売り上げ計画が企画され、売上状況や粗利状況、商品の売残り予測状況に応じて値引き価格(値引き率)が入力される。上記POSサーバーにはサービスタイムにおける個々の食品2a,2b・・・の最適な時間と値引き価格(値引き率)の関係、また気温に左右される食品(例えば、とうふ、豚まん、おでん等)にあっては、気温も考慮した上での値引き価格を決めたサービスタイムが設定される。
【0023】
サービスタイムを設け、このサービスタイムにおいての値引きする食品の値引き価格(値引き率)、サービスタイムの時間帯などは長年にわたって蓄積したデータに基づいて決められる。そして、これらのデータをPOSサーバーに入力しておき、人手を介さなくても効率よく値引きして販売することが出来、売れ残りを出来る限り抑えることが出来るようにしている。勿論、各店舗の責任者に一任してサービスタイムを設けたり、その時の各種食品の値引き価格を設定してもよく、本発明ではこの点は限定しない。
【0024】
本発明では商品として食品以外に、映画館や劇場の入館チケット、また球場、競技場、テーマパークなどの入場チケットも商品に含まれる。従って、時間帯によって入館数及び入場者数が少ない場合には、食品のタームサービスと同じように値引きしてチケットの販売をすることが出来る。
【符号の説明】
【0025】
1 陳列台
2 食品
3 電子表示パネル

図1
図2
図3