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特許7555110無線共振回路および可変インダクタンス血管監視インプラント、並びに、そのアンカー構造
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】無線共振回路および可変インダクタンス血管監視インプラント、並びに、そのアンカー構造
(51)【国際特許分類】
   A61B 5/00 20060101AFI20240913BHJP
   A61B 5/0265 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B5/00 B
A61B5/0265
【請求項の数】 53
(21)【出願番号】P 2020566250
(86)(22)【出願日】2019-05-30
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-27
(86)【国際出願番号】 US2019034657
(87)【国際公開番号】W WO2019232213
(87)【国際公開日】2019-12-05
【審査請求日】2022-05-25
(31)【優先権主張番号】62/678,237
(32)【優先日】2018-05-30
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】517281510
【氏名又は名称】ファウンドリー イノベーション アンド リサーチ 1,リミテッド
【氏名又は名称原語表記】FOUNDRY INNOVATION & RESEARCH 1,LTD.
(74)【代理人】
【識別番号】100136319
【弁理士】
【氏名又は名称】北原 宏修
(74)【代理人】
【識別番号】100148275
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 聡
(74)【代理人】
【識別番号】100142745
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 世子
(74)【代理人】
【識別番号】100143498
【弁理士】
【氏名又は名称】中西 健
(72)【発明者】
【氏名】クィンラン、ショーン
(72)【発明者】
【氏名】スウィーニー、フィアチラ、エム.
(72)【発明者】
【氏名】シェリダン、ステファン
(72)【発明者】
【氏名】ウェッターリング、フリードリヒ
【審査官】▲高▼木 尚哉
(56)【参考文献】
【文献】米国特許出願公開第2017/0216508(US,A1)
【文献】特表2005-525871(JP,A)
【文献】特開2014-223299(JP,A)
【文献】特開平07-265339(JP,A)
【文献】特表2007-518532(JP,A)
【文献】国際公開第2018/031714(WO,A1)
【文献】特表2012-501209(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 5/00-5/01
A61B 5/02-5/03
G01B 7/13
A61F 2/00-2/97
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線血管監視インプラント上の離間した位置で前記無線血管監視インプラントに取り付けられるように構成された複数のインプラント取り付け部であって、前記複数の取り付け部は、結合剤が前記無線血管監視インプラントに入って前記無線血管監視インプラントに取り付くための前記取り付け部の構造間の空間を画定する、前記複数のインプラント取り付け部と、
前記取り付け部のそれぞれに接続される、少なくとも1つのアンカー部と、
を備え、
少なくとも1つの組織係合アンカーとげ部は、前記アンカー部のそれぞれに配置される、
無線血管監視インプラントのためのアンカーシステム。
【請求項2】
前記取り付け部と少なくとも1つのアンカー部との間に配置されたアンカー隔離部をさらに備え、
前記アンカー隔離部は、前記アンカー部と前記取り付け部との間の独立した動きを可能にするように構成される、
請求項1に記載のアンカーシステム。
【請求項3】
複数の個々のアンカー要素を備え、
各前記アンカー要素は、1つの前記アンカー部に接続された1つの前記取り付け部を有する、
請求項1または2に記載のアンカーシステム。
【請求項4】
前記個々のアンカー要素の各々は、平坦なシートまたは管の材料から形成され、
前記少なくとも1つの組織係合アンカーとげ部は、前記材料の表面から切断され、外側に曲げられる、
請求項3に記載のアンカーシステム。
【請求項5】
冠部によって接合され、弾性同心ジグザグ構造を有するアンカーフレームを形成する複数のアンカー部をさらに備える、
請求項1または2に記載のアンカーシステム。
【請求項6】
前記アンカー部の両端に配置される冠部は、前記アンカーフレームの第1および第2の端部を規定し、
少なくとも1つの取り付け部は、前記アンカーフレームの少なくとも1つの端部の各冠部に接続される、
請求項5に記載のアンカーシステム。
【請求項7】
前記フレームは、
間隙によって分離された2つの冠部片と、各冠部片に接続された取り付け部とを有する分割部を形成する前記冠部の1つと不連続である、
請求項5または6に記載のアンカーシステム。
【請求項8】
切断され、各部に形成される管状部材を備える血管インプラント用アンカーであって、
アンカー部と、
前記血管インプラントに取り付けられるように構成された前記アンカー部に接続された取り付け部と、
を備え、
前記アンカー部は、前記アンカー部の一部を切断し、外向きに曲げることによって、前記アンカー部に形成される少なくとも1つの外向きに延在する組織係合とげ部を含み、
前記取り付け部は、結合剤が前記血管インプラントに入り、前記血管インプラントに取り付けるための取り付け部の構造間の空間を画定する、
血管インプラント用アンカー。
【請求項9】
前記アンカー部と前記取り付け部との間に配置された隔離部をさらに備え、
前記隔離部は、前記アンカー部と前記取り付け部との間の独立した動きを可能にするように構成される、
請求項8に記載のアンカー。
【請求項10】
丸みを帯びた冠部によって互いに接合された複数の支柱部によって形成された弾性同心ジグザグ構造を備える無線血管監視インプラント用アンカーフレームであって、
前記弾性同心ジグザグ構造は、2つの端部を有し、前記冠部は、それぞれ、支柱部を間にして前記2つの端部のうちの1つの端部に配置され、
少なくとも複数の前記支柱部は、少なくとも1つの組織係合とげ部を有するアンカー部を形成し、
少なくとも1つの取り付け部は、前記弾性同心ジグザグ構造の少なくとも1つの前記端部の上の各冠部に接続され、
各前記取り付け部は、結合剤が前記無線血管監視インプラントに入って前記無線血管監視インプラントに取り付くための前記取り付け部の構造間の空間を画定する細長い部材を備える、
無線血管監視インプラント用アンカーフレーム。
【請求項11】
各前記取り付け部と前記冠部との間に配置されるアンカー隔離部をさらに備え、
前記アンカー隔離部は、前記アンカー部と前記取り付け部との間の独立した動きを可能にするように構成される、
請求項10に記載のアンカーフレーム。
【請求項12】
前記フレームは、前記ジグザグ構造に形成された非導電性間隙と電気的に不連続である、
請求項10または11に記載のアンカーフレーム。
【請求項13】
前記非導電性間隙は、間隙によって分離された2つの冠部片と、各冠部片に接続された取り付け部とを有する分割冠部を形成する1つの前記冠部を備える、
請求項12に記載のアンカーフレーム。
【請求項14】
各前記組織係合とげ部は、
前記アンカーフレームが管腔壁と接触する血管管腔内で展開されるときに、前記とげ部が血管管腔内の血流の方向に概ね平行に配置されるように、前記支柱部に対してある角度をなし、前記支柱部上に配置される、
請求項10から13のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項15】
前記アンカーフレームは、血管管腔内に配備されると、拡張して管腔壁に接触し、
前記支柱部は、直線状であり、単一サイズのアンカーフレームを有する複数の血管管腔直径について、各支柱部全体および各冠部を血管管腔壁に対して並置することを可能にする、
請求項10から14のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項16】
前記取り付け部は、溝状領域により、結合剤が隆起状構造の間で前記インプラントに取り付くための空間が確保される場合に、交互の隆起部および溝状構造を備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアンカーシステム、請求項8または9に記載のアンカー、または、請求項10から15のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項17】
前記取り付け部は、前記取り付け部に沿って形成された一連の穴を含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアンカーシステム、請求項8または9に記載のアンカー、または、請求項10から15のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項18】
前記取り付け部は、インプラント構造の外径にわたって受容されるように構成された内径を有する螺旋部材を備える、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアンカーシステム、請求項8または9に記載のアンカー、または、請求項10から15のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項19】
前記螺旋部材は、前記インプラントを締まり嵌めで係合するように構成される、
請求項18に記載のアンカーシステム、アンカー、または、アンカーフレーム。
【請求項20】
前記取り付け部は、前記インプラントからのアンカー部の分離を可能にするための破壊可能な接続部を含む、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアンカーシステム、請求項8または9に記載のアンカー、または、請求項10から15のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項21】
前記取り付け部の反対側に配置された再捕捉特徴部をさらに備え、
前記再捕捉特徴部は、展開装置の遠位端上の対応する特徴部に解放可能に係合するように構成される、
請求項1から7のいずれか1項に記載のアンカーシステム、請求項8または9に記載のアンカー、または、請求項10から15のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項22】
前記再捕捉特徴部は、突出部または開口部を有するように構成された、前記取り付け部とは反対側の前記アンカー部の一部を含む、
請求項21に記載のアンカー。
【請求項23】
前記再捕捉特徴部は、前記取り付け部の反対側の前記アンカーフレームの冠部から延在する再捕捉要素を含み、
前記再捕捉要素は、前記展開装置の遠位端によって係合可能な凹み部または開口部を有する、
請求項21に記載のアンカーフレーム。
【請求項24】
患者の血管系に展開され、埋め込まれるように適合され、管腔壁と接触する血管管腔内の位置に配置される血管インプラントであって、
前記インプラントは、血管装置に取り付けられた請求項1から7、16から21のいずれか1項に記載のアンカーシステム、請求項8、9、16から22のいずれか1項に記載の複数のアンカー、または、請求項10から21、23のいずれか1項に記載のアンカーフレームを含み、
各取り付け部は、前記血管装置の別個の部に取り付けられる血管装置に取り付けられる、
血管インプラント。
【請求項25】
前記取り付け部によって画定された空間内に溶融し、前記取り付け部を前記血管装置に固定するリフロー材料をさらに備える、
請求項24に記載の血管インプラント。
【請求項26】
前記血管装置は、前記管腔壁の自然な動きに伴って寸法的に拡張および収縮するように構成された弾性センサ構造体を備え、
前記弾性センサ構造体の電気的特性は、その寸法膨張および収縮に対して既知の関係で変化し、
前記弾性センサ構造体は、前記電気的特性を示す無線信号を生成し、当該信号は、前記血管管腔の外において無線で読み取り可能であり、前記血管管腔の寸法を決定する、
請求項24または25に記載の血管インプラント。
【請求項27】
前記弾性センサ構造体は、丸みを帯びた冠部によって互いに接合された複数の直線状支柱部によって形成された弾性同心ジグザグ構造体を含み、
前記直線状支柱部は、単一サイズの弾性センサ構造体を用いて、複数の血管管腔直径について、各直線状支柱部および各冠部の血管管腔壁に対する並置を可能にするように構成される、
請求項26に記載の血管インプラント。
【請求項28】
前記弾性センサ構造体は、前記管腔壁上または前記管腔壁内にそれ自体を係合し、実質的に永久的に移植するように構成され、寸法決めされ、
前記弾性センサ構造体は、少なくとも1つの寸法に沿ったその寸法膨張および収縮に相関する可変インダクタンスを有し、
前記弾性センサ構造体は、当該構造体に向けられたエネルギー源によって通電されると、前記少なくとも1つの寸法の値を示す、患者の体外において無線で読み取り可能な信号を生成し、前記血管管腔の寸法が決定される、
請求項26または27に記載の血管インプラント。
【請求項29】
前記弾性センサ構造体は、前記血管管腔壁上の少なくとも2つの対向する点に係合するように構成されたコイルを含み、
前記コイルは、前記管腔壁上の前記点間の距離に対応する前記コイル上の前記2つの対向する点間の距離に基づいて変化するインダクタンスを有する、
請求項26から28のいずれか1項に記載の血管インプラント。
【請求項30】
前記コイルは、長手方向軸の周りにおいて回転対称である、
請求項29に記載の血管インプラント。
【請求項31】
前記弾性センサ構造体は、前記可変インダクタンスを変化させるために、前記血管の任意の実質的な横軸に沿って前記管腔壁と共に拡張および収縮するように構成される、
請求項28に記載の血管インプラント。
【請求項32】
前記弾性センサ構造体は、前記可変インダクタンスと共に変化する共振周波数を有する共振回路を含み、
前記信号は、前記共振周波数と相関している、
請求項28に記載の血管インプラント。
【請求項33】
前記コイルは、インダクタンスと、共振周波数を規定するキャパシタンスとを有する共振回路を備え、
前記共振周波数は、前記少なくとも2つの点の間の距離に基づいて変化し、
前記コイルは、患者の体外から前記コイルに向けられた磁場によってエネルギーが付与されるように構成される、
請求項29から32のいずれか1項に記載の血管インプラント。
【請求項34】
前記コイルは、リッツ線から形成される、
請求項29から33のいずれか1項に記載の血管インプラント。
【請求項35】
請求項26から34のいずれか1項に記載の血管インプラントと、患者外部アンテナループとを備え、
前記患者外部アンテナループは、
患者の周りに完全に不連続な円周ループを形成するのに十分な長さのベース層と、
前記ベース層上に配置されたアンテナ芯線の少なくとも1つの連続ループであって、前記連続ループは、前記ベース層が前記患者の周りに配置されたときに前記患者の周りに実質的に延在するのに十分な長さを有する、前記連続ループと
前記アンテナ芯線の少なくとも1つの連続ループと制御システムとの間の通信リンクのための接続部と、
を備える、
無線血管監視システム。
【請求項36】
前記アンテナ芯線の少なくとも1つの連続ループは、前記ベース層が前記患者の周りに巻き付けられたときに、ループ端部が実質的に隣接するのに十分な長さである、
請求項35に記載の無線血管監視システム。
【請求項37】
監視インプラントが配置される血管管腔内の血管管腔壁に係合するように構成されたアンカー部であって、少なくとも1つの外向きに延在するとげ部を含む前記アンカー部と、
センサ構造体の弾性部分に取り付けるように構成され、前記監視インプラントのワイヤまたはコイル部分上に、ワイヤまたはコイル部分との締まり嵌めで滑動するようにサイズ決めされた螺旋部を含む、取り付け部と、
を備え、
前記螺旋部は、前記螺旋部の間において結合剤を受容するのに十分な前記螺旋間の空間をさらに画定する、
無線血管監視インプラントのためのアンカー。
【請求項38】
前記アンカー部と前記取り付け部との間に配置され、前記アンカー部の移動を前記取り付け部から少なくとも部分的に機械的に隔離するように構成された隔離部をさらに備える、
請求項37に記載のアンカー。
【請求項39】
前記結合剤は、ポリマーリフロー材料を含む、
請求項37または38に記載のアンカー。
【請求項40】
前記螺旋部は、前記監視インプラントのコイル部分の外径で、位置締まり嵌めを生成するような大きさの内径を有する、
請求項37から39のいずれか1項に記載のアンカー。
【請求項41】
自由状態にあるインプラントのための所望の形状をとるように構成された弾性フレーム構造体を提供するステップと、
前記フレーム構造体の周りに複数のコイル線を巻き付けてその上にコイルを形成するステップと、
コイル線の対向端部上の接続端子を形成するステップと、
締まり嵌めで受け入れられるように前記コイル上に構成された螺旋部を有する複数のアンカーを、前記フレーム構造体上に形成された前記コイル上に配置するステップと、
前記螺旋部の内の空間の間を流れる接合材料で前記アンカーを前記コイルに接合するステップと、
対向する前記接続端子に、コンデンサの対向する端子を取り付けるステップと、
を備える無線血管インプラントの製造方法。
【請求項42】
前記アンカーを結合するステップは、
前記コイル上の前記螺旋部上にポリマーリフロー管を配置するステップと、
前記ポリマーリフロー管を溶融するステップと
を備える、
請求項41に記載の無線血管インプラントの製造方法。
【請求項43】
管腔壁と係合して体腔内に配置するための無線血管監視インプラントであって、
外径を有する少なくとも1つのワイヤ構成要素と、
アンカー要素と、
を備えるインプラント本体を
備え、
前記アンカー要素は、前記アンカー要素を前記少なくとも1つのワイヤ構成要素に取り付けるための取り付け部を含み、
前記取り付け部は、係合状態にある前記ワイヤ構成要素の外径上に嵌合するように寸法決めされた内径を画定する螺旋部を備える、
無線血管監視インプラント。
【請求項44】
前記螺旋部は、前記少なくとも1つのワイヤ構成要素の外径と締まり嵌めを形成するように寸法決めされる、
請求項43に記載の無線血管監視インプラント。
【請求項45】
前記螺旋部の開放領域の間を流れる結合材料をさらに備える、
請求項44に記載の無線血管監視インプラント。
【請求項46】
前記締まり嵌めは、位置締まり嵌めである、
請求項44または45に記載の無線血管監視インプラント。
【請求項47】
無線血管監視インプラントのためのアンカーフレームであって、
丸みを帯びた冠部によって互いに鋭角に接合された複数の支柱部によって形成された、弾性同心ジグザグ構造体と、
複数の前記支柱部に配置された少なくとも1つの組織係合とげ部と、
前記ジグザグ構造体を前記無線血管監視インプラントに取り付けるための手段と、
前記アンカーフレームが電気的に不連続となるように前記ジグザグ構造体に形成される非導電性間隙と、
を備えるアンカーフレーム。
【請求項48】
前記弾性同心ジグザグ構造体は、2つの端部を有しており、前記冠部が、それぞれ、前記支柱部を間に挟む2つの端部のうちの1つに配置されており、
前記取り付けるための手段は、少なくとも1つの取り付け部が前記構造体の少なくとも1つの前記端部の上の複数の冠部に接続され、それぞれの取り付け部が、結合剤が前記無線血管監視インプラントに入って前記無線血管監視インプラントに取り付くための取り付け部の構造間の空間を画定する細長い部材を備えている、
請求項47に記載のアンカーフレーム。
【請求項49】
前記取り付けるための手段は、前記弾性同心ジグザグ構造体と、それに取り付けられた無線血管監視インプラントとの間の独立した運動を可能にするためのアンカー隔離手段を含む、
請求項47または48に記載のアンカーフレーム。
【請求項50】
前記非導電性間隙は、間隙によって分離された2つの冠部片と、各冠部片に接続された取り付け部とを有する分割冠部を形成する1つの前記冠部を備える、
請求項47から49のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項51】
前記アンカーフレームは、血管管腔内に配備されると、拡張して前記管腔壁に接触し、
前記支柱部は、直線状であり、単一サイズのアンカーフレームを有する複数の血管管腔直径のために、前記血管管腔壁に対する各支柱部全体および各冠部の並置を可能にする、
請求項47から50のいずれか1項に記載のアンカーフレーム。
【請求項52】
アンカーフレームが血管管腔内に配備されたときに拡張して管腔壁に接触する、無線血管監視インプラントのためのアンカーフレームであって、
丸みを帯びた冠部によって互いに接合された複数の直線状支柱部によって形成される弾性同心ジグザグ構造体と、
複数の前記支柱部に配置された少なくとも1つの組織係合とげ部と、
前記ジグザグ構造体を前記無線血管監視インプラントに取り付けるための手段と、
を備え、
前記支柱部の直線状構造は、単一サイズのアンカーフレームを用いて、複数の血管管腔直径について、各直線状支柱部の全体および各冠部の血管管腔壁に対する並置を可能にする、
アンカーフレーム。
【請求項53】
前記弾性同心ジグザグ構造体は、2つの端部を有しており、前記冠部は、それぞれ、前記支柱部を間に挟む2つの端部のうちの1つに配置されており、
前記取り付けるための手段は、少なくとも1つの取り付け部が前記構造の少なくとも1つの前記端部上の複数の冠部に接続され、
それぞれの取り付け部は、結合剤が前記無線血管監視インプラントに入って前記無線血管監視インプラントに取り付くための取り付け部の構造間の空間を画定する細長い部材を備える、
請求項52に記載のアンカーフレーム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的に、血管監視の分野に関する。特に、本発明は、無線血管監視インプラント、および、そのアンカー構造(定着構造)に関する。より具体的には、本明細書で開示される実施形態は、血液量を監視または管理するために、無線、遠隔または自動で作動可能なインプラントを使用して、下大静脈(IVC)内の流体量感知することに関する。
【背景技術】
【0002】
他者は、血管監視装置および技術を開発することを試みてきており、このような装置、技術には、血管の動脈または静脈の圧力または血管管腔の寸法を監視することに向けられたものが含まれる。
しかしながら、多くのこのような既存のシステムはカテーテルベース(無線ではない)であり、したがって、限られた期間の間、臨床設定においてのみ利用され得、長期のカテーテル挿入に関連するリスクを伴い得る。
無線により解決する場合、配備、固定の複雑さ、および、これらの要因と検出および通信との相互関係により、最善の状態においても、上記のような以前に開発された装置および技術を用いた場合の結果が一貫しないものとなってしまっていた。
【0003】
既存の無線システムは、圧力測定に焦点を当てており、IVC内において、IVC寸法測定よりも患者の体液状態に応答しにくくなる可能性がある。
しかしながら、血管寸法を測定するように設計されたシステムは、IVC内の監視に関して、多くの欠点も有している。
電気インピーダンスベースのシステムでは、血管の幅にわたって対向して特別に配置される電極が必要となる。
このような装置では、IVCの寸法を監視しようとするとき、監視したい他のほとんどの血管のように、IVCが対称的に拡張および収縮しないので、特別な困難が生じる。
このような位置依存性センサにおいて、正確に位置決めをすることは、まだ十分に解決されていない問題となっている。
IVC監視では、IVCについての生理学から生じるさらなる課題が提示される。
IVC壁は、他の血管と比較して比較的柔順であり、したがって、血管内のそれらの位置を維持するためにインプラントによって加えられる力によって、より容易に歪められ得る。
したがって、他の血管において十分に機能し得る装置は、IVC壁に作用するインプラントの力によって生じる歪みのために、IVC内の正確な監視が必ずしも可能とはならないかもしれない。
したがって、特に、心不全監視の重要な領域において、信頼性があり、手頃な無線血管監視の実施を、医師および患者に提供するために、この分野における新たな開発が望まれている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書で開示される実施形態は、インジケータが血管液状態を含み得る様々な状態を予測、予防、および診断する際に医療専門家を支援する際に使用するための、無線血管監視装置、回路、方法論、および関連技術を含む。
開示される実施形態を使用して、例えば、相対的な体液状態、体液応答性、体液耐性、または、心拍数を含む測定基準が、正確に推定され得る。
【0005】
一実施形態において、本開示は、患者の血管系に配備され、埋め込まれ、管腔壁と接触する血管管腔内の監視位置に配置されるように適合された無線血管監視インプラントを対象とする。
インプラントは、管腔壁の自然な動きに伴って寸法的に拡張および収縮するように構成された弾性センサ構造体を含み、弾性センサ構造体の電気特性は、その寸法拡張および収縮に対する既知の関係で変化する。
また、弾性センサ構造体は、電気特性を示す無線信号を生成し、当該信号は、血管管腔の寸法を決定するために血管管腔の外側において無線で読み取り可能である。
また、弾性センサ構造体は、管腔壁上または管腔壁内にそれ自体を係合し、実質的に永続的にインプラントするように構成され、寸法決めされる。
また、弾性センサ構造体は、少なくとも1つの寸法に沿ってその寸法拡張および収縮に相関する可変インダクタンスを有している。
また、弾性センサ構造体は、構造体に向けられたエネルギー源によって通電されると、少なくとも1つの寸法の値を示す患者の身体の外側において無線で読み取り可能な信号を生成し、それによって、血管管腔の寸法を決定することができる。
そして、弾性センサ構造体は、血管管腔壁上の少なくとも2つの対向する点に係合するように構成されたコイルを含み、当該コイルは、コイルの2つの対向する点の間の距離に基づいて変化するインダクタンスを有する。そして、当該2つの対向する点の間の距離は、管腔壁上の2点の間の距離に対応する。
コイルは、長手方向軸の周りで回転対称である。
弾性センサ構造体は、血管の任意の実質的な横軸に沿って管腔壁とともに伸張、圧縮するように構成され、可変インダクタンスを変化させる。
ここで、弾性センサ構造体は、少なくとも1つの弾性部分を有するフレームをさらに含む。当該弾性部分は、弾性センサ構造体が管腔壁と接触する監視位置に配置されたときに、血管管腔壁の対向する表面と係合するように、互いに対向して配置されるように構成された少なくとも2つの点で形成されている。そして、コイルは、フレームの周りに配置された少なくとも1本のワイヤによってフレーム上に形成され、フレームの周りに複数の隣接するワイヤストランド(より線)を形成する。
弾性センサ構造体は、可変インダクタンスで変化する共振周波数を有する共振回路を備え、信号は共振周波数と相関する。
コイルは、共振周波数を規定するインダクタンスとキャパシタンスとを有する共振回路を備え、共振周波数は、前記少なくとも2つの点の間の距離に基づいて、変化する。
前記コイルは、前記患者の体外から前記コイルに向けられた磁場によって励磁されるように構成される。
【0006】
本開示の非限定的な実施形態のこれらの、および、他の態様、並びに、特徴は、添付の図面と併せて本発明の特定の非限定的な実施形態の以下の説明を検討することにより、当業者に明らかになるのであろう。
【図面の簡単な説明】
【0007】
本開示を例示するために、図面は、本開示の1つまたは複数の実施形態の態様を示す。
しかし、本開示は、図面に示される正確な配置および手段に限定されないことを理解されたい。
図1図1は、本開示の無線共振回路ベースの血管監視(「RC-WVM」)システムの実施形態を概略的に示す。
図1A図1Aは、本開示のRC-WVMシステムの代替実施形態の一部を概略的に示す。
図2図2は、本開示の教示に従って作製されたRC-WVMインプラントの代替実施形態を示す。
図2A図2は、本開示の教示に従って作製されたRC-WVMインプラントの代替実施形態を示す。
図2B図2Bは、図2に示すRC-WVMインプラントのコンデンサの部分の概略的な詳細図である。
図3図3は、図1のシステムに概略的に示されるベルトアンテナの実施形態を示す。
図3A図3Aは、図1のシステムに概略的に示されるベルトアンテナの実施形態を示す。
図3B図3Bは、図1のシステムに概略的に示されるベルトアンテナの実施形態を示す。
図3C図3Cは、図1のシステムに概略的に示されるベルトアンテナの実施形態を示す。
図3D図3Dは、図1のシステムに概略的に示されるベルトアンテナの実施形態を示す。
図3E図3Eは、埋め込まれたRC-WVMインプラントに対するアンテナベルトの向き、および、それによって生成される磁場を概略的に示す。
図4図4は、電子システムの実施形態を示すブロック図である。
図5A図5Aは、固定周波数RFバースト励起信号波形を示す図である。
図5B図5Bは、固定周波数RFバースト励起信号波形を示す図である。
図6A図6Aは、掃引周波数RFバースト励起信号波形を示す図である。
図6B図6Bは、掃引周波数RFバースト励起信号波形を示す図である。
図7A図7Aは、多周波数RFバースト励起信号波形を示す図である。
図7B図7Bは、多周波数RFバースト励起信号波形を示す図である。
図8図8は、波形パルス整形を示す図である。
図9図9は、本明細書に開示されるようなRC-WVMインプラントのための送達システムの実施形態の態様を概略的に示す。
図9A図9Aは、本明細書に開示されるような取り付けられたアンカーフレーム(定着フレーム)を有する代替的なRC-WVMインプラントのための送達システムの代替的な実施形態の遠位端を概略的に示す。
図10A図10Aは、図1および図2に示すようなプロトタイプシステムおよびRC-WVMインプラントを用いた臨床前実験で得られた信号を示す。
図10B図10Bは、図1および図2に示すようなプロトタイプシステムおよびRC-WVMインプラントを用いた臨床前実験で得られた信号を示す。
図10C図10Cは、図1および図2に示すようなプロトタイプシステムおよびRC-WVMインプラントを用いた臨床前実験で得られた信号を示す。
図10D図10Dは、図1および図2に示すようなプロトタイプシステムおよびRC-WVMインプラントを用いた臨床前実験で得られた信号を示す。
図10E図10Eは、図1および図2に示すようなプロトタイプシステムおよびRC-WVMインプラントを用いた臨床前実験で得られた信号を示す。
図11A図11Aは、本開示の教示によるさらなる代替のRC-WVMインプラント実施形態を示す。
図11B図11Bは、本開示の教示によるさらなる代替のRC-WVMインプラント実施形態を示す。
図11C図11Cは、本開示の教示によるさらなる代替のRC-WVMインプラント実施形態を示す。
図12図12は、図11A~Cに示されるような代替のRC-WVMインプラント実施形態のアセンブリを示す。
図13図13は、封入前にインプラントに取り付けられたアンカー構造(定着構造)の詳細図である。
図14A図14Aは、RC-WVMインプラントの実施形態と共に使用するための代替的なアンカー構造を示す。
図14B図14Bは、RC-WVMインプラントの実施形態と共に使用するための代替的なアンカー構造を示す。
図14C図14Cは、RC-WVMインプラントの実施形態と共に使用するための代替的なアンカー構造を示す。
図15A図15Aは、本明細書に記載されるようなRC-WVMインプラントおよびシステムと共に使用するためのベルトアンテナの代替実施形態を示す。
図15B図15Bは、本明細書に記載されるようなRC-WVMインプラントおよびシステムと共に使用するためのベルトアンテナの代替実施形態を示す。
図16A図16Aは、本明細書に開示されるような送達カテーテルを使用する配置中のRC-WVMインプラントの位置決めおよび再位置決めを容易にするための再捕捉用の特徴部分を示す。
図16B図16Bは、本明細書に開示されるような送達カテーテルを使用する配置中のRC-WVMインプラントの位置決めおよび再位置決めを容易にするための再捕捉用の特徴部分を示す。
図17図17は、取り付けられたアンカーフレームおよび軸方向の定着とげを有する代替のRC-WVMインプラント実施形態の斜視図である。
図18図18は、例えば、図17に示すようなアンカーフレームの斜視図である。
図19図19は、RC-WVMインプラントの支柱部分へのアンカーフレームの取り付けを示す詳細図である。
図20図20は、アンカーフレームとの磁界結合を防止するためのアンカーフレームの分割を示す詳細図である。
図21図21は、アンカーフレームがRC-WVMインプラントの両端に配置される、さらなる代替実施形態を示す。
図22A図22Aは、アンカーフレーム支柱部に平行に配向された定着とげを有するアンカーフレームの別の実施形態を示す。
図22B図22Bは、アンカーフレーム支柱部に平行に配向された定着とげを有するアンカーフレームの別の実施形態を示す。
図22C図22Cは、アンカーフレーム支柱に平行に配向された定着とげを有するアンカーフレームの別の実施形態を示す。
図23A図23Aは、RC-WVMが移植される血管内の流れの方向に向けられた定着とげを有するアンカーフレームの別の実施形態を示す。
図23B図23Bは、RC-WVMが移植される血管内の流れの方向に向けられた定着とげを有するアンカーフレームの別の実施形態を示す。
図23C図23Cは、RC-WVMが移植される血管内の流れの方向に向けられた定着とげを有するアンカーフレームの別の実施形態を示す。
図24A図24Aは、アンカーフレームの冠部に配置された定着とげを備えたアンカーフレームのさらに別の実施形態を示す図である。
図24B図24Bは、アンカーフレームの冠部に配置された定着とげを備えたアンカーフレームのさらに別の実施形態を示す図である。
図25A図25Aは、フレーム支柱の同じ側に隣接する定着とげを有する形状セットアンカーフレームを示す。
図25B図25Bは、各定着位置に二重アンカーを有する代替案を示す。
図26A図26Aは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26B図26Bは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26C図26Cは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26D図26Dは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26E図26Eは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26F図26Fは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26G図26Gは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図26H図26Hは、定着とげの代替的な実施形態を示す。
図27図27は、2つのアンカーフレーム部分の非導電接続を示す概略断面図である。
図28図28は、さらなる代替のアンカーフレーム実施形態の斜視図を示す。
図29A図29Aは、アンカーフレーム取り付けアームの異なる代替の実施形態を示す。
図29B図29Bは、アンカーフレーム取り付けアームの異なる代替の実施形態を示す。
図29C図29Cは、アンカーフレーム取り付けアームの異なる代替の実施形態を示す。
図29D図29Dは、アンカーフレーム取り付けアームの異なる代替の実施形態を示す。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本開示の態様は、無線、共振回路ベースの血管監視(「RC-WVM」)インプラント、システム、方法、およびソフトウェアに関し、それらは、励起信号でRC-WVMインプラントに通電し、RC-WVMインプラントによって生成される特性フィードバック信号を受信するために使用することができる励起およびフィードバック監視(「EFM」)回路を含む。
RC-WVMインプラントによって生じたフィードバックを自動的または手動で分析することにより、医療専門家が様々な心臓関連、腎臓関連、または、血管関連の健康状態を、予測、予防、および診断するのを補助することが可能である。
血管の幾何学的形状を把握し、したがって、相対的な体液状態、体液応答性、体液耐性、心拍数、呼吸数、および/または、他の測定基準を推定するために、例えば、特定の時間にRC-WVMインプラントによって生成されたフィードバックを、他の時間にRC-WVMインプラントによって生成されたフィードバック、および/または、ベースラインのRC-WVMインプラントによって生成されたフィードバックと比較することができる。
患者の状態を監視し、任意の異常、または、関連する傾向がある場合に、医療専門家および/または患者にフィードバックを提供するために、これらの推定値のうちの1つまたは複数を自動的にまたは手動で生成することができる。
【0009】
システム概要
IVCについての独特な生理学は、患者の体液状態の変化から生じるIVCの寸法の変化を検出し、解釈する試みにおいて、いくつかの特徴的な課題を提示する。
例えば、典型的な監視領域(すなわち、肝静脈と腎静脈の間)のIVC壁は、他の血管と比較して比較的柔順性が高く、このことは、血管容積の変化が外側-内側壁と比較して、前-後壁間の異なった相対的な距離変化を生じ得ることを意味する。
したがって、体液量の変化が、血管の幾何学的形状および運動の逆説的変化をもたらすということは、かなり典型的なことであり、すなわち、血液量が減少するにつれて、IVCは、呼吸とともに小さくなり、虚脱する傾向があり、血液量が増加するにつれて、IVCは、大きくなり、呼吸による虚脱は、減少する傾向がある。
本明細書に開示されるシステムおよびインプラントは、このような逆説的な変化を補償し、解釈するように独自に構成される。
【0010】
図1に示すように、本開示によるシステム10は、一般に、患者のIVC内に配置するように構成されたRC-WVMインプラント12と、制御システム14と、アンテナモジュール16と、処理システム、ユーザインターフェース/ディスプレイ、データ記憶装置などの1つまたは複数のリモートシステム18と、を備えることができる。これらは、有線または遠隔/無線データリンクとすることができる1つまたは複数のデータリンク26を介して通信制御モジュールと通信する。
多くの実装において、遠隔システム18は、外部インターフェース装置として機能するラップトップ、タブレット又はスマートフォンのような計算装置及びユーザインターフェースを含むことができる。
【0011】
RC-WVMインプラント12は、一般に、可変インダクタンスと、固定値キャパシタンスと、弾性的に折り畳み可能なコイル構造として形成された共振L-C回路とを備え、これは、患者のIVC内の監視位置に配置されると、流体体積の変化によりIVC壁が膨張および収縮する際に、IVC壁と共に移動する。
可変インダクタンスは、IVC壁の移動に伴ってコイルの寸法が変化すると、インダクタンスが変化するように、インプラントのコイル構造によって実現される。
回路の容量性素子は、ディスクリートのコンデンサによって、または、インプラント構造自体の設計に特化して生じるキャパシタンスによって、実現されてもよい。
RC-WVMインプラント12の実施形態は、また、インプラント構造内に本質的に設計された定着隔離手段(アンカー隔離手段)を備え、または、別個に追加されるそのような構造を備え、インプラントがインプラントによって決定される歪み、または、その他の悪影響を与える測定値を歪ませることなく、血管壁を不当に歪ませることなく、インプラントがIVC内にしっかりと適切に配置されることを保証するようにしてもよい。
一般に、RC-WVMインプラント12は、配備の際に配置される血管管腔壁に少なくとも実質的、永久的に、RC-WVMインプラント自体が埋め込まれる(インプラントされる)ように構成されており、インプラントの後に、患者の体外の装置への物理的接続(通信、電力またはその他のための物理的接続)を必要としない。
本明細書で使用される「実質的、永久的に、埋め込まれる(インプラントされる)」とは、通常の使用において、インプラントがその有効な動作寿命を通して、血管管腔壁に埋め込まれたままであり、組織の内部成長によって様々な程度まで血管管腔壁に一体化され得ることを意味するが、インプラントは、インプラントを除去するために特に行われる血管内介入または外科的除去処置によって医学的に指示されるように、意図的に除去され得る。
図2、2A、および図11A~Cに示されるインプラント12の代替実施形態の詳細を以下に示す。
特に、本明細書に記載される代替RC-WVMインプラントは、いずれも、同定され得るものを除きシステムのさらなる改変なしに、本明細書に記載されるような代替システム10において利用され得ることに留意されたい。
【0012】
制御システム14は、例えば、信号生成、信号処理および電源(一般にEFM回路を含み、モジュール20として示される電源)のための機能モジュールと、データリンク26および任意選択により他のローカルまたはクラウドベースのネットワーク28を介して様々なリモートシステム18への通信およびデータ転送を容易にするための通信モジュール22とを備える。
制御システム14、モジュール20および22、ならびに、代替EFM回路の要素の例示的な実施形態の詳細を、以下で説明し、図4に示す。
EFM回路の送信コイルによって励起された後、RC-WVMインプラント12から受信された信号を分析した後、結果は、任意の適切な様式で(例えば、口頭で、報告書を印刷することによって、テキストメッセージまたは電子メールを送信することによって、または、他の方法で)、遠隔システム18を介して、患者、介護者、医療専門家、健康保険会社、および/または、任意の他の所望のおよび許可された当事者に手動でまたは自動的に伝達され得る。
【0013】
アンテナモジュール16は、有線または無線で接続されうる電力通信リンク24によって制御システム14に接続される。
アンテナモジュール16は、制御システム14のEFM回路によって供給される信号に基づいて、RC-WVMインプラント12の周囲に、適切に形成され配向された磁場を生成する。
磁場により、RC-WVMインプラント12のL-C回路が通電され、その瞬間におけるRC-WVMインプラント12のインダクタンス値を示す「リング-バック」信号が発生する。
インダクタンス値は、体液状態の心拍数などに応じてIVCの寸法変化に基づいて上述のように変化するインプラントの幾何学的形状に依存するので、リングバック信号は、制御システム14によって解析されて、IVCの幾何学的形状、すなわち、体液状態に関する情報を提供することができる。
したがって、アンテナモジュール16により、送信機能/アンテナと同様に、受信機能/アンテナも実現される。
いくつかの実施形態では、送信機能及び受信機能が単一のアンテナによって実現され、他の実施形態では、各機能が別個のアンテナによって実現される。
アンテナモジュール16は、アンテナベルトとして図1に概略的に示されており、その実施形態は、以下により詳細に説明され、図3A図3Dに示されている。
【0014】
図1Aは、アンテナパッド16aとしてのアンテナモジュール16の1つの代替実施形態を示しており、送信コイル32および受信コイル34が、パッドまたはマットレス36内に配置されている。RC-WVMインプラント12(IVC内に埋め込まれたRC-WVMインプラント12)を有する患者が、背中がコイル32、34上となるように、パッドまたはマットレス36上に載せられている。
図1Aに示されるようなアンテナモジュール16は、本明細書に開示される他の代替アンテナモジュールと機能的に同等のものであり、上述のように、電力通信リンク24によって制御システム14に接続される。
ベルトアンテナモジュールの別の代替実施形態を、図15A及び図15Bに示す。
また、平面型アンテナモジュールは、装着可能な構成、例えば、アンテナコイルが、バックパック(背負いユニット)またはベストなどの装着可能な衣類に一体化されている構成とすることもできる。
また、アンテナモジュール16はまた、テープ、接着剤、または他の手段によって、例えば、腹部または背中を覆って患者の皮膚に直接固定されるように適合されるか、または、椅子の背中などの家具に一体化されるように適合されるコイルを備えてもよい。
当業者によって理解されるように、本明細書で説明されるアンテナモジュール16の様々な実施形態は、本明細書で具体的に識別される以外のシステムまたはアンテナモジュールにさらなる変更を加えることなく、図1に示されるようなシステム10とともに使用されてもよい。
【0015】
可変インダクタンスL-C回路は、インダクタンスが変化することにつれて変化する共振周波数を発生させる。
インプラントがIVC内の既知の監視位置にしっかりと固定された状態で、IVCの幾何学的形状または寸法の変化により、可変インダクタの構成が変化し、これにより、回路の共振周波数が変化する。
共振周波数のこれらの変化は、RC-WVM制御および通信システムによって、血管の形状または寸法の変化と相関させることができる。
したがって、インプラントは、監視位置にしっかりと配置されるべきであり、さらに、インプラントの少なくとも可変コイル/インダクタ部分は、所定の弾性および幾何学的形状を有するべきである。
したがって、一般に、可変インダクタは、血管の形状の変化に応じて、形状およびインダクタンスを変化させるように具体的に構成される。
いくつかの実施形態において、定着隔離手段は、位置を維持しながら血管壁と共に移動するように、インプラントのセンサコイルの構造内に適切に選択され、構成された形状および順応性を備える。
そのような実施形態において、以下でより詳細に論じられるように、追加のアンカー(定着)についての特徴が含まれていてもよいし、含まれなくてもよい。
代替的に、定着絶縁手段は、定着機能(アンカー機能)が測定/監視機能から物理的および/または機能的に分離されるように、可変インダクタコイル構造から離間され、かつ/または、機械的に絶縁された別個の構造を備えてもよく、それにより、アンカーによって引き起こされる血管に対するあらゆる歪みまたは制約が、測定に過度に影響を及ぼさないように可変インダクタから十分に離れ、かつ/または、絶縁される。
【0016】
可変インダクタとしてのRC-WVMインプラント12は、患者の外部に配置されたアンテナモジュール内の1つ以上の送信コイルによって送達される電界によって遠隔通電されるように構成される。
L-C回路は、通電されると、共振周波数を生成し、次いで、この共振周波数は、アンテナモジュールの1つまたは複数の受信コイルによって検出される。
共振周波数は、可変インダクタのインダクタンスに依存するので、血管壁の幾何学的形状または寸法の変化によって引き起こされるインダクタの幾何学的形状または寸法の変化は、共振周波数の変化を引き起こす。
次いで、検出された共振周波数をRC-WVM制御および通信システムによって解析し、血管形状または寸法の変化を決定する。
検出された共振周波数から導出された情報は、本明細書で説明されるような様々な信号処理技術によって処理され、医療提供者システムまたは患者システムなどの様々な遠隔装置に送信されて、状態、または、適切な場合には治療における警告または修正を提供することができる。
検出された共振周波数の測定を容易にするために、比較的高いQ値を有する設計、すなわち、比較的長い期間、特に低い周波数で動作する場合に信号/エネルギーを維持する共振回路構成を提供することが望ましい場合がある。
例えば、本明細書にさらに記載されるように、リッツ線を採用する設計の利点を実現するために、5MHz未満、典型的には約1MHz~3MHzの共振周波数範囲で動作することが望ましい場合があり、この場合、少なくとも約50以上のQ値を有する共振回路構成が望ましい場合がある。
【0017】
完全なシステム実施形態の例
完全な例示的なシステム10の1つの可能な実施形態の詳細は、図2図8を参照して以下に説明される。
その後、システム構成要素のさらなる代替実施形態の詳細を説明する。
しかしながら、例示的なシステムは、図1図8に示される特定の要素または構成要素の使用に限定されず、その後に説明される任意の代替構成要素は、留意され得る場合を除いて、システム全体を変更することなく置換され得ることが理解されるべきである。
【0018】
図2は、例示的なシステム10で使用され得る本開示によるRC-WVMインプラント12の一例を示している。
図2のボックス内において拡大された詳細部分は、図2で示されているように取得された断面図を表している。(断面図では、非常に細いワイヤの個々の端部が、それらの非常に小さいサイズのために明確に見えないことがあることに留意されたい。)
一般に、RC-WVMインプラント12は、そこを通る実質的に妨害されていない血流を可能にするために、開いた中心の周りに形成された誘導性コイルを一般に含む弾性センサ構造体を備えており、誘導性コイルは、それに加えられる力の結果として、構造体の形状の変化に従ってインダクタンスを変化させる。
この例において、インプラント12aは、弾力性のある同心ジグザグまたは連結された「Z形状」構造として形成され、「Z形状」構造は一連の支柱部38を有し、一連の支柱部38は、鋭角を形成する丸い冠部40によってそれらの端部で接合されている。その結果として得られる構造は、外観が正弦波状であってもよい。この構造は、フレームまたはコア44上に導電性ワイヤ42を巻き付けることによって形成されてもよい。この代替例において、RC-WVMインプラント12aは、その周りに、0.04mm直径の金製の、個々に絶縁されたリッツ線42の300個のより線(ストランド)が単一ループで巻き付けられている0.010インチのニチノール線フレーム44に設定された形状を有する。
単一ループ包装において、線42のより線(ストランド)は、図2の断面図に見られるように、任意の所与の点でフレームに実質的に平行に見える。
リッツ線42上の個々の絶縁体は、生体適合性ポリウレタンコーティングとして形成されてもよい。
また、この特定の例において、ディスクリートのコンデンサ46は、約47nF(ナノファラッド)の静電容量を備えるが、静電容量は、RC-WVMインプラント12についてのすべての潜在的な許容周波数帯域(約148.5kHz~約37.5MHz)をカバーするために、約180pF~約10μFの範囲であってもよい。
【0019】
1つの代替例では、単一ループ内の比較的多数のより線(ワイヤストランド)ではなく、比較的少数のより線(ストランド)、例えば、約10~20個のより線(ストランド)の範囲、または、より具体的には、約15個のより線(ストランド)を、比較的多数のループ、例えば、約15~25個のループの範囲、または、より具体的には約20個のループに配置することができる。
この代替実施形態において、ディスクリートのコンデンサ素子は、平行なより線(ストランド)間の空間に基づいて生じる固有のコイル静電容量に置き換えられる。
【0020】
さらなる代替実施形態では、インプラント12aは、支柱部38が冠部40間の真っ直ぐな支柱部であることを保証するように構成される。
支柱部を直線状にすることにより、それが展開される血管の大きさにかかわらず、その全長にわたって、常に血管壁と接触している支柱部の利点を実現することができる。
センサ構成フレームが、例えば、構成体をニチノール管からレーザ切断することによって形成される場合、直線状の支柱部の直線状の構成は、所望の直線状の構成を維持するように支柱部の形状を設定することにより、実現されうる。
【0021】
図2Bも参照すると、リッツ線42は、形状が設定されたニチノールフレーム44の周囲に形成される。
PET熱収縮管60の層で覆われ得るリッツ線42の2つの端部は、ループ回路を形成するためにコンデンサ46と一緒に接合される。
コンデンサ46は、金製のワイヤ接触部56への半田接続部54により、リッツ線42に接続されたコンデンサ端子52を含む。
金製ワイヤ接触部56は、リッツ線42の端部の短い部分から個々の絶縁体を除去(又は燃焼除去)し、それらの端部を接合して固体接点を形成することによって形成され、次いで、半田接続部54によってコンデンサ端子52に接合されうる。
コンデンサ、コンデンサ端子、および、金製ワイヤ接触部は、リフローポリマーまたはエポキシなどの適切な生体適合性絶縁材料58内に封入される。
代替の実施形態では、構造全体をPET熱収縮断熱材60の層で覆うようにしてもよい。
あるいは、フレームを介する短絡を発生されるべきでないと判定された場合、コンデンサまたは他の場所において、フレームに間隙(ギャップ)を設けるようにしてもよい。
【0022】
図2に示されるように、RC-WVMインプラント12aは、また、アンカー48を随意に備えており、IVCに配置された後のインプラントの移動を防止するのを補助する。
また、アンカー48は、ニチノールレーザー切断部、または、形状が設定された線(ワイヤ)から形成され、各支柱部38に接着されてもよい。
とげ部50は、定着部(アンカー部)48の端部で外方に延び、IVC壁と係合する。
一実施形態において、定着部48は、頭側方向および尾側方向の両方における双方向性のものであり、他の実施形態において、定着部は、一方向性、両方向性の混合のもの、または、血管に垂直なものであってもよい。
【0023】
RC-WVMインプラント12の全体的な構造は、電気的および機械的要件の均衡がとれたものを提供する。
例えば、理想的な電気センサは、支柱の長さができるだけ短く、理想的にはゼロであるソレノイドにできるだけ近く、その一方で、展開および安定性の機械的考察により、インプラント支柱の長さは、誤った配向での展開を回避させ、安定性を維持するために、それが展開される血管の直径と少なくとも同じ長さであることが要求される。
RC-WVMインプラント12aの要素の寸法は、図2の文字A~Fによって識別され、患者の解剖学的構造の範囲に適したこれらの寸法の典型的な値の例は、以下の表Iに示されている。
一般に、本明細書の教示に基づいて、当業者は、RC-WVMインプラント12の非圧縮、自由状態(全体)の直径がRC-WVMインプラントが使用される患者に対して予想される最大の完全に拡張されたIVC直径を有意に超えてはならないことを認識するのであろう。
RC-WVMインプラントの高さは、一般的に、監視位置でのインプラント安定性と、インプラントによって生成される測定データを損なう可能性のある大多数の集団の肝静脈または腎静脈に影響を与えることなくIVCの意図された領域に適合する能力を提供する幾何学的形状/柔軟性/弾力性とのバランスをとるように選択されるべきである。
高さおよび安定性に関する考慮事項は、他の要因の中でも、特に、特定のRC-WVMインプラント設計構成および明確な定着についての特徴(アンカーの特徴)が含まれるか否かによって影響を受ける。
したがって、当業者には理解されるように、本開示によるRC-WVMインプラント12の主な設計上の考慮事項は、本明細書に記載される測定または監視機能を実行する能力を有する可変インダクタンスL-C回路を形成する構造を提供することであり、これらの構造は、IVC壁に対して適切であるが比較的小さい半径方向の力を提供することによって、IVC壁の歪みなしにIVC内に構造をしっかりと固定するように構成される。
【表1】
【0024】
RC-WVMインプラント12の別の代替構造は、図2Aに示すように、RC-WVMインプラント12bによって例示される。
再度、図2Aのボックス内において拡大された詳細部分は、図2Aで示されているように取得された断面図を表す。
この実施形態において、インプラント12bは、真っ直ぐな支柱部38および湾曲した冠部40を有するフレーム上に形成されており、インプラント12aと同様の全体構造を有する。
この実施形態において、先の実施形態のディスクリートのコンデンサは、素線のより線(ストランド)間の分布容量で置き換えられる。
線64の複数(例えば、約15本)のより線(ストランド)は、互いに平行に配置され、束に撚り合わされる。
次いで、この束は、線フレーム66(例えば、直径0.010インチのニチノール線であってもよい)の全周の周りに複数回巻き付けられ、その結果、平行なより線(ストランド)の束が複数回巻き付けられることになる。
束の間を絶縁することにより、分布したキャパシタンスが発生し、このキャパシタンスにより、RC-WVMが前述と同様に共振する。
全体の寸法は、類似しており、表Iに示すように近似することができる。
外側の絶縁層又はコーティング60は、前述のように、または、浸漬処理又は噴霧処理を用いて、塗布されてもよい。この場合、L-C回路は、ディスクリートのコンデンサを用いることなく作成され、ディスクリートのコンデンサの代わりに、材料の選択及び線ストランドの長さ/構成を通じて、構造に固有な静電容量(キャパシタンス)を調整することにより作成される。
この場合、約40~50nFの範囲のインプラント12bに、固有の静電容量(キャパシタンス)を実現するために、シリコンの外側絶縁層60と共に15本の線ストランドの20巻きが使用される。
【0025】
インプラント12aとは異なり、インプラント12bのフレーム66は、性能に悪影響を及ぼすので、インプラント内の電気ループを完成させないように非連続的である。
フレーム66の任意の重なり合った端部は、熱収縮チューブ、絶縁エポキシまたはリフローされたポリマーのような絶縁材料で分離される。
RC-WVMインプラント12bは、アンカー(定着部)を含んでいても、含んでいなくてもよい。
代わりに、インプラントは、IVC壁の自然な動きの歪みを最小限に抑えながら、その位置を維持しながら、IVC壁の幾何学的形状または寸法の変化に伴って移動することを可能にする柔順性/弾性を有するように構成される。
この構成は、材料、表面の特徴および寸法を適切に選択することによって実現することができる。
例えば、フレームの支柱部の長さは、電気的性能対安定性についての考慮事項のバランスを取らなければならず、ここで、支柱部の長さをより短くすると、電気的性能が向上する傾向があるが、支柱部の長さをより長くすると、安定性が増大する可能性がある。
【0026】
RC-WVMインプラント12に通電し、インプラントから信号を受信して戻すために、アンテナモジュール16は、機能的に、送信アンテナおよび受信アンテナ(または複数のアンテナ)を含む。
したがって、アンテナモジュール16は、物理的に別個の送信アンテナおよび受信アンテナを用いて実現してもよく、または、現在説明されている例示的なシステム10のように、送信モードと受信モードとの間で切り替えられる単一のアンテナにより実現してもよい。
図3及び図3A図3Dに示すアンテナベルト16bは、単一のスイッチアンテナを採用するアンテナモジュール16の一例を示している。
単一のループアンテナは、単一の導線(ワイヤ)から形成され、患者の腹部の周りに配置される。
このワイヤアンテナは、制御システム14に直接接続される。
【0027】
機械的構造に関して、アンテナベルト16bは、一般に、伸縮自在の蜘蛛巣部(ウェブ部)72と、電力及びデータリンク24のための接続部を有する留め金部(バックル)74とを備える。
一実施形態において、アンテナベルト16bのサイズが異なる胴回り(例えば、約700~1200cmの患者の胴回り範囲)の患者に適応するために、高伸縮性材料と低伸縮性材料との組み合わせからなる多層構造を使用してもよい。
このような実施形態では、ベース層76は、縫い合わせなどによって接合される高伸張部76aと低伸張部76bとの組み合わせ部である。
外側層78は、ベース層76と実質的に同じ輪郭を有し、3次元のメッシュ構造であってもよい高伸縮性材料により全体構成されてもよい。
各部の内において、アンテナ芯線82は、各部の全延伸に対応するのに十分な全長を有する蛇行構成で設けられる。
芯線(コアワイヤ)82は、それ自体が伸びてはならない。
したがって、布層の伸縮性は、特定のベルト設計のため、所望の胴回りの寸法を収容できるように、芯線の全長と対になっている。
外側層78は、縁部に沿ってベース層76に接合されている。
結合材80によって覆われた縫い目は、2つの層を接合するための1つの好適な手段である。
これらの層は、これらの層の間に配置された熱可融性結合材料によって、さらに一緒に結合され得る。
蜘蛛巣部(ウェブ部)72の端部81は、留め金部(バックル)74に取り付けられるように構成されている。
【0028】
アンテナ素子を形成する芯線82は、層間に配置され、ベルトの延伸とともに伸縮することができるように、伸縮可能な蛇行形状を備えている。
低伸張部分76bに対応する芯線82の中間部分84は、より大きな幅を有する。
この部分は、胸郭の底部の略胸部の位置(レベル)において装着されたアンテナベルト16bとともに、患者の背中の中央に配置されることを意図しており、この部分により、RC-WVMインプラント12からの信号を読み取るため感度を最大にすることができる。
1つの可能な例として、芯線82を、約0.5~3mの範囲の全長を有する撚り合わせた46AWG銅製ワイヤ(銅線)の300個のより線で構成してもよい。
約700~1200mmの範囲の患者の胴回りに適応するように伸張するように構成されたアンテナベルトの場合、芯線82の全長は、約2mとしてもよい。
いくつかの実施形態ではアンテナベルトをより尾側に配置することが好ましく、その高さは、立っているときの患者の肘の高さにほぼ等しい。
【0029】
そのようなアンテナベルトのための作業可能なバックルを提供する多くの方法は、本明細書に含まれる教示に基づいて、当業者によって導き出され得る。
このようなバックルを設計する際に考慮すべき要素として、物理的なセキュリティ、不器用な人による操作の容易さ、および、不注意による電気コネクタへの接触による感電からの保護がある。
一例として、留め金部(バックル)74は、図3Dに示すように、2つのバックル半部、内側半部74a及び外側半部74bから構成される。
留め金部(バックル)74は、ベルト端部のための物理的接続だけでなく、芯線82によって形成されるアンテナ回路のための電気的接続も実現する。
物理的接続に関して、留め金部(バックル)74は、不器用な人による操作を容易にするために、比較的大きなサイズである。
閉鎖を補助するために磁気ラッチを採用してもよく、例えば、内側バックル半部74a上の磁気パッド86aは、バックル外側半部74b上に対応して配置された磁気パッド86bに接続される。
必要に応じて、システムは、ベルト回路の完了を監視し、したがって、ベルト閉鎖を検出するように構成され得る。
ベルトの閉鎖が確認されると、システムは、インプラントから受信した信号強度を評価し、受信した信号が読み取りを完了するのに十分であるかどうかの評価を行うように構成されてもよい。
信号が不十分である場合、患者上のより最適な位置にベルトを再配置するように指示を与えるようにしてもよい。
【0030】
芯線82の電気的接続は、対向するコネクタ半体88a及び88b上に配置された凹みコネクタピンによって実現されてもよい。
電力データリンク24の接続は、例えば、留め金部(バックル)74および制御システム14上の同軸コネクタ(例えば、SMAプラグ)を備えた同軸RFケーブルを介して、実現されてもよい。
単に1つの可能な例として、従来の50オーム同軸ケーブルを使用する電力データリンクの都合の良い長さは、約3mである。
【0031】
上述したように、アンテナベルト16bのように単一のコイルアンテナを使用するには、アンテナを送信モードと受信モードとの間で切り替える必要がある。
このようなスイッチングは、制御システム14内で実行され、その一例が図4に制御システム14aとして概略的に示されている。
この実施形態において、制御システム14aは、機能モジュール20として、信号発生器モジュール20a及び受信-増幅モジュール20bを含む。
これらの機能モジュールにより、送信/受信(T/R)スイッチ92と共に、送信モードと受信モードとの間のアンテナベルト16bの必要な切り替えが実現される。
【0032】
図3Eは、RC-WVMインプラント12とアンテナベルト16bによって生成される磁場B(ベクトルB)の相互作用を概略的に示している。
アンテナベルト16bおよびインプラント12の両方は、概して、軸(A)の周りに配置される。
ベルト型アンテナを用いて最良の結果を得るために、各々が配置される軸は、実質的に平行方向に位置し、実用可能な範囲では、図3Eに示されるように一致するであろう。
互いに対して適切に配向されると、アンテナベルト16bの芯線82内の電流(I)は、磁場B(ベクトルB)を発生させ、当該磁場が、インプラント12のコイルを励起し、励起時におけるサイズ/幾何学的特徴に応じて決定される共振周波数で共振する。
図3Eに示すようにアンテナベルト16bとインプラント12とを配向することで、インプラントコイルを励起し、読み取り可能な共振周波数応答信号を生成するために必要な電力を最小化できる。
【0033】
あらゆるRFコイルアンテナシステムと同様に、最適な性能を得るためには、アンテナとシステムを整合させ、チューニングする必要がある。
インダクタンス、キャパシタンス、および抵抗の値とそれらの相互関係を注意深く考慮する必要がある。
例えば、コイルインダクタンスは、同調キャパシタンスを決定し、一方、コイル抵抗(同調キャパシタンスを含む)は、整合キャパシタンスおよびインダクタンスを決定する。
開示されるシステムの比較的低電力が与えられた場合、駆動磁界による作動時に、RC-WVMインプラント12によって適切に読み取り可能な信号が生成されることを保証するために、これらの態様に特別の注意が払われる。
アンテナベルト16bのような調節可能な胴回りベルト(または、異なるサイズのアンテナベルトを有する胴回りベルト)を用いる場合、制御システムにより制御されるアンテナコイルの可変の長さ、または、異なる長さのために、追加の考慮事項が提示される。
これらの考慮事項に対処するために、当技術分野で理解されるように、別個の同調整合回路94、96(図4)が、信号発生器モジュール20a及び受信-増幅モジュール20bにそれぞれ設けられる。
【0034】
電力データリンク24の一実施形態で上述したように、RF電力伝送のために従来の同軸ケーブルを使用すると、システムおよびアンテナのインピーダンスが50オームの実抵抗に整合されたとき、アンテナと制御システムとの間の最適なRF電力伝送が実現される。
しかしながら、上述した実施形態では、アンテナベルト16bの抵抗が、概して、50オームをはるかに下回っている。
同調整合回路94、96の一部としての変換回路を使用して、アンテナ抵抗を50オームに変換することができる。
アンテナベルト16bの場合には、この目的のために、並列コンデンサ変換回路が効率的であることが分かっている。
【0035】
前述のシステム構成要素を使用する同調の一例では、整合コンデンサと併せて、全共振を形成する直列のコンデンサが使用された。
以下の表IIに示すような測定値を用いて、インダクタンス及びキャパシタンスに基づいて2.6MHzでの目標共振周波数を計算した。
2.6MHzでのアンテナベルト16bの伸張に伴うインダクタンス変動を考慮して、アンテナベルト16bの周囲の長さが1200mmから700mmまで変化するときに、共振周波数が、約2.5MHzから約2.6MHzまで変化するとして測定された。
11.1オームの抵抗を考慮すると、ケーブル/ベルトアセンブリのQ値は、3と計算される。
このような低いQ値は、600kHzの半値全幅のパルスに変換される。
これは、ベルトの周囲の長さ700mmから1200mmへの伸張による共振周波数の変動よりもはるかに少ない。
アンテナベルト16bの同調値は、Cmatch=2.2nFおよびCtune=2.2nF、2.6MHzで、決定された。
【表2】
【0036】
アンテナベルト16bに含まれるような可変長アンテナは、長さが変化することにつれて、アンテナ同調の調整および維持の困難性が生じる可能性があるが、本構成ではこのようなことはないことが発見された。
上述したように、アンテナインダクタンスと比較して比較的大きなインダクタンスを有する電力データリンク24用のケーブルを意図的に採用することによって、ベルト直径の変化によるインダクタンスの比例的変化は、性能を劣化させないほど小さい。
【0037】
再び図4を参照すると、同調整合回路94に加えて、信号発生モジュール20aは、RC-WVMインプラント12の励起に必要な信号を発生する構成要素を含む。
これらの構成要素は、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)98、アンチエイリアシングフィルタ100、前置増幅器102および出力増幅器104を含む。
一実施形態において、信号発生モジュール20aは、システムと対になっている特定のRC-WVMインプラントに適合された単一の非変動周波数を有するRFバースト励起信号(図5A及び図5Bに示される例示的な波形)を発生するように構成される。
RFバーストは、選択された周波数であり、バースト間の間隔が設定された間隔である、事前に規定された数の正弦波形のパルスを含む。
選択されたRFバースト周波数値は、インプラント読取り器出力において最も低い振幅を生成することになる、対になったRC-WVMインプラント12の固有周波数に相当する。
これを行うことによって、最適な励起が、インプラント応答信号の最悪の場合に対しても達成される。
【0038】
代替的な実施において、制御システム14は、対になったRC-WVMインプラント12の予想される帯域幅内の予め決定された周波数でアンテナモジュール16を励起する。
次に、システムは対になったRC-WVMインプラントからの応答を検出し、インプラント固有周波数を決定する。
次に、制御システム14は、励起周波数を調整して、対になったインプラントの固有周波数に一致させ、完全な読取りサイクルの間、この周波数で励起し続ける。
通常の技能を有する者によって理解されるように、この実施形態について説明されるような周波数決定および調整は、デジタル信号処理および分析を使用してソフトウェアを介して実施されてもよい。
【0039】
別の代替実施形態において、個々のRFバーストの各々は、インプラントの潜在的な帯域幅に等しい所定の周波数範囲にわたる連続周波数掃引を含む(図6A)。
これにより、とりうる全ての固有周波数で、インプラントを励起することができる広帯域パルスを生成できるようになる(図6B)。
励起信号は、この「バースト周波数掃引モード内」で継続することができ、あるいは、制御システムは、センサの固有周波数を決定し、固有周波数でのみ送信するように調整することができる。
【0040】
さらなる代替実施形態において、励起は、ペアリングされた(対にされた)RC-WVMインプラント12の潜在的な帯域幅をカバーする一連の離散周波数値にわたる一時的な周波数掃引を含む。
周波数は、各RFバーストに対して順次インクリメントされ、RC-WVMインプラント応答のRMS値は、各インクリメント後に評価される。
次に、制御システム14は、RC-WVMインプラント応答において最大振幅を生成する周波数を確立し、所定の大きさの低下が検出され、周波数掃引が再開されるまで、その周波数でペアリングされたRC-WVMインプラントを励起し続ける。
【0041】
さらに別の実装において、励起信号は、周波数の予め規定されたセットから構成される。ここで、周波数の予め規定されたセットに含まれる周波数は、それぞれ、一定値に維持される。
制御システム14は、全ての周波数成分において等しい振幅を印加することによって、アンテナモジュール16(従って、対になったインプラント)を励起する。
システムは、対になったインプラントからの応答を検出し、その固有周波数を決定する。
次に、制御システム14は、対になったインプラントの固有周波数に最も近い励起周波数の振幅を最大にするように設定された励起周波数の相対振幅を調整する。
他の周波数の振幅は、電磁輻射および伝送帯域幅制限の要件を満たしながら、対になったインプラントの応答を最大にするように最適化される。
【0042】
別の実施形態において、ダイレクトデジタルシンセサイザ(DDS)98は、図7Aおよび図7Bに示されるように、ペアリングされたRC-WVMインプラント12の推定された動作帯域幅に属する事前に規定された数の離散周波数を同時に生成するために、マルチチャネルDDSシステムとして提供されてもよい。
したがって、各周波数成分の大きさは、その個々のコイル特性に基づいて特定のRC-WVMインプラント12に最適な励起を提供するように独立して制御されてもよい。
さらに、各周波数成分の相対的な振幅は、インプラントに最適な励起が実現されるように独立して制御されうる。すなわち、周波数成分の振幅は、対になったインプラントが応答信号(すなわち、最も圧縮された応答信号)を送信する場合に考えられる最悪の場合において、励起信号が最大化されるように選択される。
この構成において、マルチチャネルDDSシステム98からの全ての出力は、高速演算増幅器に基づく加算増幅器を使用して一緒に加算される。
【0043】
さらに別の実施において、信号発生モジュール20aは、図8に例示されているようにパルス整形を実現するように構成されうる。
ダイレクトデジタルシンセサイザ98に基づく任意の波形生成は、予め規定された形状のパルスを生成するために採用され、そのスペクトルは、対になったRC-WVMインプラント12の応答を最大化するために最適化される。
リングバック信号振幅の減少をもたらす周波数成分の大きさは、最大化されるが、リングバック信号振幅の増加をもたらす周波数成分の大きさは、減少される。これは、ほぼ一定の出力信号振幅を取得し、RC-WVMインプラント12から改善された応答を取得するためである。
【0044】
再び図4を参照すると、受信モジュール20bは、同調整合回路96に加えて、インプラント応答検出、データ変換および信号解析のための取得のために構成要素、例えば、シングルエンド入力差動出力回路(SE to DIFF)106、可変利得増幅器(VGA)108、フィルタ増幅器110および出力フィルタ112を含む。
受信期間中、T/Rスイッチ92は、同調整合ネットワーク96を介して、アンテナベルト16bを受信増幅器20bに接続する。
アンテナベルト16b内のインプラント12によって誘起される応答信号は、単一ゲインシングルエンド作動増幅器106に印加される。
シングルエンドモードから差動モードへの変換により、インプラント応答信号からコモンモードノイズが除去される。
インプラント応答信号の振幅は、マイクロボルトの範囲にあるので、信号は、シングルエンドから差動への変換に続いて、最大80dB(10000倍)の電圧利得を実現できる可変利得差動増幅器108に供給される。
増幅された信号は、次に、アクティブバンドパスフィルタ増幅器110に印加されて、帯域外周波数成分が除去され、追加レベルの増幅が実現される。
取得された信号は、帯域外の高周波成分をさらに除去するために、受動的な高次ローパスフィルタ112に入力される。
フィルタの出力は、データ変換通信モジュール22に供給される。
データ変換通信モジュール22は、電子システムから外部処理ユニットへのデータ取得および転送を実現するための構成要素を含む。
高速アナログ-デジタル変換器(A/D変換器)114は、受信器モジュール20bの出力信号を所定のビット数(例えば、12ビット)のデジタル信号に変換する。
このデジタル信号は、マイクロコントローラ116にパラレルモードで転送される。
一実施形態において、A/D変換器の論理レベルをマイクロコントローラに整合させるために、レベルシフタ回路が使用される。
A/D変換器によって出力されたデータは、マイクロコントローラの内部フラッシュメモリに順次記憶される。
データスループットを最大にするために、このプロセスにおいて、ダイレクトメモリアクセス(DMA)が使用される。
マイクロコントローラ116は、ダイレクトデジタルシンセサイザ98と同期しており、従って、RFバーストがインプラント12の励起のために送信されると、データ取得が開始される。
一旦トリガされると、マイクロコントローラは、所定数のサンプル(例えば、1024)を取得する。
サンプルの数にサンプリング周期を乗じることにより、インプラント12からの応答信号が評価される観測窓が規定される。
この観測窓は、信号減衰の時定数に依存する、インプラント12からの応答信号の長さに整合される。
【0045】
雑音低減の手段として、インプラント12の応答信号は、所定の回数(例えば、256回)観察され、次いで、平均応答が計算される。
このアプローチは、検出された信号の信号対雑音比の増加に大きく寄与する。
【0046】
そして、平均応答は、通信部118の手段により、外部インターフェース装置18(例えば、ラップトップコンピュータ)に送信される。
このために、様々なアプローチをとることができる。
一実施形態において、マイクロコントローラからのUARTインタフェースを使用して、通信が実行され、UARTからUSBに変換するために外部ハードウェアが採用される。
第2の実施形態では、USB駆動能力を有するマイクロコントローラが使用され、この場合、外部インターフェース装置との接続は、単にUSBケーブルを使用することによって実現される。
さらに別の実施形態では、マイクロコントローラと外部インターフェース装置との間の通信が無線である(例えば、Bluetoothを介して)。
【0047】
このシステムは、主電源の入出力間を絶縁したAC-DCコンバーターで構成される低電圧電源装置ユニット(PSU)から給電され、IEC 60601-1:2005+AMD1:2012の第8条に従って、最低2手段の患者保護(MOPP)を提供する。
このようにして、この電源では、感電からユーザー保護する。
PSUは、幅広い範囲の主電源電圧(例えば、90~264VAC)と主電源周波数(例えば、47~63Hz)に対応でき、主電源仕様の異なる国でのシステムの動作を可能にする。
【0048】
上述のような制御システム14aは、ソフトウェアベースの周波数検出を利用する。
したがって、信号伝送に関しては、一旦、励起周波数が最適化されると、信号発生モジュール20aを備えた制御システム14aを採用するシステム10は、開ループモードで動作する。すなわち、送信信号の周波数および振幅は、RC-WVMインプラント12の応答に影響されない。
受信側において増幅受信モジュール20bを使用して、制御システム14aは、RC-WVMインプラント12からの応答信号を検出し、このような信号は、高速データ変換器を使用してデジタル化される。
生のデジタル化されたデータは、その後、処理部(例えば、ラップトップコンピュータまたは他の装置マイクロコントローラ)に転送され、デジタル信号解析技術(例えば、高速フーリエ変換)が適用され、信号の周波数成分分布が特定される。
従って、これらのソフトウェアベースの技術を使用する1つの利点は、位相ロックループ回路(PLL)、または、同様の回路が制御システム14aにおいて使用されない、または、必要とされないことである。
【0049】
本明細書に記載されるような全体的なRC-WVMシステムのさらなる構成要素は、RC-WVMインプラント送達システムである。
図9および図9Aは、RC-WVMインプラント12をIVC内の所望の監視位置に配置するための血管内送達システムの態様を概略的に示しており、血管内送達システムは、外側さや部124および外側さや部124の内腔に受容されるように構成されたプッシャ(押込部)126を含む送達カテーテル122を概して含んでもよい。
一般に、ヒトまたは他の動物の循環系へのデバイス(装置)の挿入は、当技術分野で周知であり、したがって、本明細書では詳細に説明しない。
当業者は、RC-WVMインプラント12が、例えば、無菌のRC-WVMインプラントを無菌の送達システム(大腿静脈または他の末梢血管アクセスポイントを介してIVCにRC-WVMインプラントを送達するために使用され得る送達システム)に装填する装填ツールを使用して(ただし、他の手段も使用され得る)、循環システム内の所望の位置に送達され得ることを、本開示の全体を読んだ後に理解するであろう。
典型的には、RC-WVMインプラント12は、送達カテーテルを使用して埋め込まれ、送達カテーテル122は、その例示的な例であり、RC-WVMインプラントは、可能な限り小さなカテーテルを通して送達できるように最適化される。
これを容易にするために、インプラント冠部40における屈曲部は、図示のように、送達カテーテル内に詰め込まれたときに目立たないようにするために、小さい半径の屈曲部であってもよい。
1つの代替例において、押込部126は、送達のために圧縮されたときにRC-WVMインプラント12の内周と係合するように構成された縮径端部130を有する段付き遠位端128を備えてもよい。
図2のアンカー(定着部)48、または、図11A以降のアンカー(定着部)48などのアンカーを使用するインプラント実施形態の場合、端部130は、図9に示すように、圧縮された構成のアンカーによって画定される内周に係合するように構成されてもよい。
あるいは、遠位端押込部128は、特定のRC-WVMインプラントおよびアンカー設計と協働するように構成された、直線状、平坦な端部または他の端部形状を備えてもよい。
例えば、図9Aに示すように、アンカーフレーム150を備えたRC-WVMインプラント12t(例えば、図17および18を参照)は、平坦な遠位端押込部128を備えて展開されてもよく、この押込部は、インプラント12tの冠部40に当接し、アンカーフレーム150は、押込部128に対向して配置される。
【0050】
1つの展開オプションとして、RC-WVMインプラントを大腿静脈または腸骨静脈などの末梢静脈からIVCに挿入し、肝静脈と腎静脈の間の監視位置に配置することができる。
インプラントは、また、他の静脈位置から導入されてもよいことが理解されるのであろう。
インプラント構成に応じて、体液状態の監視のためにIVC内に配置される場合、ベルト読み取りアンテナコイルとの通信を最適化するために、RC-WVMインプラント12を特定の向きにする必要がありうる。
所望の配置または位置決めを容易にするために、RC-WVMインプラント12の長さおよび直径は、押込部126とともに所定の位置に保持され、かつ、さや部124が引き抜かれるにつれて徐々に拡大するように(花開くように)設計されてもよい。
このような徐々に部分的に展開することは、RC-WVMインプラント12がIVC内に適切に配置されることを確実にするのに役立つ。
センサの長さと血管の直径との比(長さは常に血管の直径よりも大きい)は、また、センサがIVC内で正しい向きで展開されることを確実にするための重要な設計要因である。
さらなる代替形態において、押込部126の遠位端128が必要に応じて再配置するために後退させることができるように、インプラントが外側さや部124から完全に展開される前に、アンカーまたはインプラントの近位に向けられた部分を解放可能に保持するように構成してもよい。
例えば、半径方向に延びる小さなスタッド部(スパイク部)は、外側さや部124内で圧縮される限り、インプラント12の冠部の近位の後ろに係合する端部130の端部近くに設けられてもよく、これにより、インプラントは、部分的に展開された位置から引き戻されてもよいが、位置決めが確認された後に完全に展開された場合、膨張によってスタッド部(スパイク部)から自己解放されてもよい。
従来の放射線不透過性マーカーは、外側さや部124および/または押込部126の遠位端またはその近傍、ならびに、RC-WVMインプラント12上に提供され、インプラントの位置決めおよび展開中の可視化を容易にすることができる。
典型的には、アンカー特徴部が使用される場合、IVC内での正しい配向を容易にし、必要に応じて、引き戻しおよび再配置を潜在的に可能にするために、アンカーが最後に展開される部分となるように、インプラントは、アンカー特徴部が近位に向けられた状態で配置される。
一旦、インプラントが完全に展開されると、送達カテーテル122は、患者から引き抜かれてもよく、インプラント12は、監視位置から離間するように延在するワイヤ、リード、または、他の構造を取り付けることなく、血管中に別個の自己完結型ユニットとして残される。
【0051】
実施例1
本明細書に記載されるようなシステムは、(図2のような)RC-WVMインプラント12a、(図3のような)アンテナベルト16b、および、(図4のような)制御システム14aを用いた前臨床試験において評価されている。
インプラント(移植片)を、標準的な介入技術を使用して、(図9のような)送達システム122を使用してヒツジIVCに展開した。
血管内超音波を使用し、アンテナベルトを使用して、血管造影により展開を確認した。
【0052】
図10A、10B、および10Cは、それぞれ、基準特性化曲線を使用して、生リングダウン信号、最大周波数の検出、および、これのIVC領域への変換を示す。
図10Aは、RC-WVMインプラントの共振応答が経時的に減衰する時間領域の生リングダウン信号を示す。
インプラント形状の調整は、共振周波数の変化をもたらし、これは、2つの異なるプロットされたトレース間の差として見ることができる。
図10Bは、周波数領域に変換され、経時的にプロットされたRC-WVMインプラント信号を示す。
図10Aからの最大周波数は(例えば、高速フーリエ変換を使用して)決定され、経時的にプロットされる。
信号のより大きく、より遅い変調(すなわち、3つの広いピーク)は、IVC壁の呼吸誘発運動を示し、一方、この信号に重ね合わされたより速く、より小さい変調は、心周期に応答するIVC壁の運動を示す。
図10Cは、図10Aでプロットされた周波数変調であって、IVC面積対時間プロットに変換された周波数変調を示している。(この場合の変換は、標準的なラボ/試験手順に従ったサンプル直径管腔の範囲でのベンチ試験によって決定される、特性曲線に基づいたものである。)図10Cは、したがって、呼吸および心臓サイクルに応答して、監視位置でのIVC領域の変動を示している。
【0053】
流体負荷の結果としてIVC領域変化を検出するRC-WVMインプラント12(この場合、インプラント12a)の能力は、図10Dおよび10Eに示される。
その結果が図10Dに示されている一例では、ヒツジIVCにRC-WVMインプラント12を配置し、インプラント信号の受信を確認した後、10ml/sで100mlの液体丸薬を動物に添加した。
図10Dの灰色の帯は、流体丸薬の投与を示している。
RC-WVMインプラント12からの周波数リングバック信号の減少によって反映されるように、追加された流体体積は、IVCを膨張させ、それと共にインプラントを膨張させ、これは、インプラントのインダクタンスの変化を引き起こし、したがって、励起に対するそのリングバック応答の周波数を変化させる。
別の例では、その結果が図10Eに示されており、手術台を傾けて動物内の流体を移動させた。
図10Eの左から1番目の灰色の帯は、テーブルが最初に傾斜された時間を示している。
テーブルが傾くと、流体がIVCから離れて移動し、IVCの直径が減少し、その結果、流体がIVCと共により小さな直径になるにつれて、RC-WVMインプラント12のリングバック信号の周波数が増加した。
2番目の灰色の帯は、テーブルが傾斜から平坦に戻った時間を示している。
この時点で、流体は、再びIVC内にシフトし、付加された流体容積と共にサイズが増大し、したがって、上述のように、リングバック信号の周波数を減少させる。
【0054】
したがって、これらの出力信号は、呼吸によるIVCの変調の検出を実証する。
したがって、特に、本発明の実施形態では、IVC幾何学的変化の全体的傾向を識別することができるだけでなく、呼吸から生じるIVC幾何学的変化と心臓機能とをリアルタイムで識別することができる、予想外に強力な診断ツールを提供することができることが理解されるのであろう。
【0055】
RC-WVMインプラントの設計の考慮事項および代替のインプラントの実施形態
IVCの寸法変化の測定により、IVCの固有の解剖学的構造から生じる固有の考慮事項および要件が提示されることが理解されるであろう。
例えば、IVCは、比較的低圧で薄壁の血管であり、単にその直径を変化させるのではなく、血液量および圧力変化に対応してその全体形状(断面形状)を変化させる。
IVCは、その円周の周りで対称的に拡張および収縮するのではなく、主に前後方向に拡張および虚脱し、より大きい体積での比較的円形の断面から、より小さい体積での平坦な楕円形の断面へと進む。
したがって、RC-WVMインプラント12の実施形態では、過度の半径方向の拘束なしに、この非対称で低圧の虚脱およびA-P方向への膨張を監視しなければならず、しかも、インプラントをしっかりと固定し、移動を防止するのに十分な力で血管壁に係合しなければならない。
従って、RC-WVMインプラント12は、血管の自然形状の過度の歪みなしに、A-P方向に、概ね円形の断面から楕円形または平坦な断面まで、血管と共に折りたたむことが可能でなければならない。
これらの要件は、RC-WVMインプラント12のコイル測定部がIVC壁に対して、その歪みを生じさせる可能性のある過度の半径方向の圧力なしに接触状態が維持されるように、適応する材料および構成の適切な選択によって、本明細書に記載される様々な実施形態に従って達成される。
例えば、本明細書に記載された実施形態に係るRC-WVMインプラント12は、50%圧縮時に、約0.05N~0.3Nの範囲の半径方向の力を発揮する可能性がある。
別の代替案では、測定に影響を及ぼさないように、測定部から離間した十分な距離をアンカーにより確保することによって血管壁の生じうる歪みを移動させるように、アンカー部と測定部とを物理的に分離することで、測定応答を損なうことなく、位置決めの安全性を、それが潜在的に有している安全性のレベルまで増大させることができる。
【0056】
記載されるようなRC-WVMインプラント12は、弾性正弦波または「Z形状」の湾曲部を有するワイヤで形成された折り畳み可能なループまたはチューブのような様々な構造、または、「耳」のような比較的弾力性の低い領域によって接合された「脊椎」のようなより弾力性の高い領域を有するより複雑な折り畳み可能な形状として構成されてもよく、各構造は、血管壁との接触を確実にするために、インプラントの弾力性要素間のバイアスを介してその位置および配向を維持するように、サイズ、形状および材料に基づいて構成される。
これに加えて、またはこれに代えて、アンカー、面テクスチャ、とげ、スケール、ピン状スパイク、または他の固定手段が、血管壁によりしっかりと係合するように構成体上に配置されてもよい。
コーティングまたは被覆は、また、組織の内殖を促進するために使用され得る。
いくつかの実施形態では、コイル耳で感知されるような血管壁の移動に対するバイアス力のいかなる影響も低減するために、位置維持係合部として、例えば、コイル脊椎のように、構造の特定部分を構成することが好ましい場合がある。逆もまた同様である。
さらに他の実施形態において、別個のアンカー構造は、インプラントのコイル測定部分に結合されてもよい。
このような固定構造は、フック、拡張可能な管状要素、または、他の組織係合要素を備えてもよく、これらは、コイル部分の上流または下流の血管に係合し、これにより、コイル自体の領域における血管の自然な拡張または収縮との任意の干渉を最小化にする。
感知様式および位置決めについては、以下で、より詳細に説明する。
【0057】
RC-WVMインプラント12が通電されると、RC-WVMインプラント12は、外部システムによって無線で受信されるのに十分な強度の信号を生成しなければならない。
可変誘導回路の場合、信号を外部受信機に送信するコイルは、血管が虚脱した場合でも、そのインダクタンスが、外部アンテナによって検出されるのに十分な強さの場を生成するのに十分なものとなるように、十分な大きさの管状形状または中央アンテナ開口部を維持しなければならない。
したがって、いくつかの実施形態では、可変誘導子は、血管の膨張および虚脱に伴って変形する虚脱部分と、血管が虚脱および膨張することにつれて比較的小さく変形する非虚脱部分とを有することが望ましい場合がある。
このようにして、血管が虚脱しても、コイルの実質的部分は、開いたままである。
他の実施形態では、コイルは、内側-外側軸を含む第2の直交平面内で比較的僅かに偏向しながら、前後軸を含む第1の平面内で変形するように構成されてもよい。
さらに他の実施形態では、第1の誘導性コイルは、血管と共に拡大および虚脱するために設けられてもよく、信号を外部受信機に送信するために設けられた、実質的に変形しにくい別個の送信コイルが設けられてもよい。
場合によっては、送信コイルは、また、インプラントの固定部分として使用されてもよい。
【0058】
本明細書に開示される特定の代替のRC-WVMインプラントの実施形態に移ると、第1の例示的な代替の実施形態は、図11A、11B、11Cに示されるRC-WVMインプラント12s、および、図14A、14B、および14Cに示される代替のアンカー48sである。
【0059】
RC-WVMインプラント12sは、ニチノール線フレーム44sに巻かれたPTFE被覆金製リッツ線42sを利用する。
PTFEは、生体適合性を有しており、製造プロセスに耐える良好な耐熱性を有する。
インプラント12sの全体的な構成は、実質的に上述したように、支柱部38および冠部40を含む。
あるいは、アンカー48sは、以下に記載されるように、冠部40に隣接して固定される。
熱収縮管61sの各部は、リフロー材料の圧縮を確実にするのを助けるために使用され、後の組立工程で除去することができる。
熱収縮管60sの一部は、一実施形態では、47nFのコンデンサであってもよいコンデンサ46sを覆って絶縁するために使用されてもよく、あるいは、熱収縮管は、また、上述のように除去されてもよい。
【0060】
コンデンサ46sは、上述のように、一実施形態では47nFである所望のキャパシタンスを提供するために、任意の適切な構造から構成されてもよい。
例えば、所望のキャパシタンスは、特定のサイズのギャップ、異なる端子材料(例えば、リード線など)、重なり合うワイヤで達成されてもよく、あるいは、ある誘電値を有する管内のギャップであってもよい。
図示されているような例示的な実施形態では、表面実装コンデンサ46sが300本のリッツ線42sのより線(ストランド)の接合を通して形成された2つの端子56sの間に半田付けされる。
半田なしでろう付けされたキャップの端子に圧着されるか、または、直接取り付けられるような他の電気的取付け部材が使用されてもよい。
次いで、コンデンサ部は、コンデンサの上にポリマーリフロー管59sを配置する工程と、接続部と、端子部と、リフロー管の上に配置された熱収縮管60sとを含むリフロープロセスを用いて封入される。
リフロー管59sおよび熱収縮管60sは、コンデンサが所定の位置に半田付けされる前に、コンデンサの前段に、リッツ線/ニチノールフレームアセンブリの上に配置される(図12は、同様に配置される、アンカーのためのリフロー管および熱収縮管を図示している)。
これらの管の外径の許容誤差、および、それらの適合値は、組み立てを容易にし、最終的なインプラント構成の全体的な輪郭を最小にし、結合強度を増加させるために材料の流れを最適化するように選択される。
次に、熱を加えてポリマーチューブを溶融させ、熱収縮を収縮させ、これにより、溶融ポリマーをコンデンサ上に圧縮して密閉する(密閉部を形成する)。
次に、熱収縮管を取り外す。
代替の設計は、適切な生体適合性材料を使用するオーバーモールドプロセス、浸漬プロセス、樹脂ポッティング(樹脂充填処理)、または、同様のプロセスを使用し得る。
【0061】
代替アンカー48の詳細は、図14A~Cに示される。
アンカー48sは、一般に、少なくとも2つの部分(セクション)、すなわち、アンカーがインプラントに固定される取り付け部49sと、血管壁への固定を実現させるアンカー部51sとを備えて形成される。
いくつかの実施形態では、図14A~Cに示されるように、追加の隔離部53sがアンカー部と取り付け部との間に挿入され、アンカー部と取り付け部との間の独立した機械的運動を可能にし、血管壁に作用するアンカーの効果をインプラントの感知機能から分離するのを助ける。
複数のアンカー48sは、アンカーシステムに使用されてもよく、複数の取り付け部49sは、アンカーシステムの取り付け部を形成し、複数のアンカーまたはアンカー部48sは、アンカーシステムのアンカー部(アンカーセクション)を形成する。
【0062】
アンカー48sは、ニチノール管からパターンをレーザーで切断し、熱処理プロセスを介してアンカーとげ部を設定する形状にすることによって形成することができる。
他の実施形態は、様々な材料のワイヤ(線)、標準的なプロセスを使用して設定または曲げられた形状、または、他の金属または生体吸収性ポリマーから、レーザーにより切断された部材を使用して形成することができる。
アンカーの外面として、異なる形状のアンカーまたは異なる表面仕上げをしたものを利用し、血管壁に係合させ、インプラントの移動を防止するようにしてもよい。
インプラント12sの冠部40を越えて延在するアンカー48sの全長は、送達システム122(図9)からの展開時にインプラントの拡張を容易にする一方で、血管の動きによるインプラントの動きの影響を最小限に抑えるように選択される。
これは、上述のように、インプラントの遠位端が外側さや部124から部分的に排出され、血管壁と係合するときに生じる。
アンカー突出部の長さは、拡張が効果的に起こることを可能にするように選択される。
突出部が長すぎる場合、インプラントは、拡張し花が開くような様式で、希望通りに、展開しないかもしれない。
一実施形態では、アンカーの冠部40を超える突出部(図11Bの寸法D)は、送達カテーテルの外側さや部124の内径未満である。
【0063】
取り付け部49sは、チューブの螺旋部分を作製するために、管をレーザ切断するプロセスを用いて形成することができる。
図12に示すように、各アンカー48sは、センサ支柱部の周囲に取り付け部の螺旋部分を巻き付けることによって位置決めされる。
一実施形態では、取り付け部の螺旋部分の内部寸法は、締まり嵌めが形成され、したがって、アンカーを定位置に固定するように、インプラント支柱部38の外部寸法よりも小さい。
別の実施形態では、螺旋部分の内部寸法は、端子56sの外部寸法よりも小さいが、インプラント支柱38の外部寸法よりも大きく、したがって、支柱上の所定の位置に巻き付けられると、移動することができる。
1つの例示的な実施例において、約1.143mmの公称直径を有するインプラントコイル支柱部を用い、取り付け部螺旋の内径を約1.156±0.05mm(約1.556±0.05mmの外径を有する)としてもよい。
一般に、インプラントコイルの外径およびアンカー螺旋部の内径の相対的な寸法は、位置締まり嵌めを提供するように選択されてもよい。
【0064】
アンカーをインプラント支柱上に配置した後、ポリマーリフロー管59sを、このアセンブリ上に配置し、さらに、熱収縮管61sをこのアセンブリ上に配置する。
次に、熱を加えてポリマー管を溶融させ、熱収縮管を収縮させ、これにより、アンカー部の螺旋内の間隔の間にポリマーを強制的に配置し、これにより、インプラントアセンブリへのアンカーの固定を強化する。
また、リフロー管59sは、組み立て中に、インプラントアセンブリの外面とアンカー取り付け部の内面との間にわずかな締まり嵌めでサイズ決めされて、長手方向および回転方向の両方において固定されるものであってもよい。
螺旋部の間の間隔は、リフロー材料が空間に流れ込んで結合を形成することができるように設計されている。
螺旋部の幅は、完全に組み立てられたときに十分な剛性を提供しながら、組み立て中に螺旋部を所定の位置に操作できるように設計される。
螺旋部の厚さは、インプラントの全体的な輪郭が小さくなるように最小化される。
取付け手段として螺旋部を用いる取り付け部49sの1つの長所は、絶縁層を妨害または貫通することなく、絶縁ワイヤインプラントを含む任意のワイヤベースのインプラントへのアンカーの取付けを可能にすることである。
上述の螺旋部は、絶縁層の空間にわたって取り付け力を分散させ、絶縁層が傷つくことを回避させ、螺旋間の空間は、取り付け部の接着を容易にする。
上述の螺旋部を用いる取り付け部の別の利点は、コンデンサの端子を越えて端部上にアンカーを通す必要なく、インプラント支柱部の中央にアンカーを配置することを可能にするために、螺旋部がわずかに巻き戻されることが可能となるように、螺旋部のアスペクト比を選択してもよいという点である。
代替の実施形態の取り付け部49sでは、センサから回転し離脱することを防止するために、螺旋ではなくT字形などの他の形状を採用してもよい。
さらなる代替例として、ポリマーリフロー管59sを、適所に残すことができる単なる熱収縮で置き換えること、または、接着剤もしくは他の接合技術を使用することが挙げられる。
【0065】
図14A図14Cに示すように、アンカー部51は、2つの部材、すなわち、レーザー切断された部分、および、形状設定されたアンカーとげ部50を備える。
とげ部50は、アンカーの血管に面する表面上に配置され、いくつかの実施形態では、約10度と80度との間で角度が付けられており、これにより、血管壁への固定を実現し、頭側および尾側のインプラントの移動に対する抵抗性を提供し、また、その送達システムを通してのインプラントの装填および展開のための折り畳みを容易にする。
とげ部50sは、血管壁と係合するような方向を向くように成形され、典型的には、約0.5~2.0mmの間で、穿孔することなく血管内に貫通するのに十分な長さを有する。
アンカー部51sの遠位端は、展開システムの押込部と係合するための平坦な端面47sを有してもよく、不必要な血管応答または送達システム上での捕捉を引き起こし得る鋭利な縁部を回避するために、フィレット加工(角を丸める加工)がなされてもよい。
他の代替実施形態では、血管固定を最適化するために、複数のとげ、異なる表面処理、または、とげ形状を含んでもよい。
【0066】
隔離部53sは、アンカー部51sの取り付け部49sへの、すなわち、インプラントへの機械的運動の伝達をなくす、または、低減するように設計され、インプラントが、自由に、かつ、アンカー部が血管壁と接触することで生じる歪みが少なくとも実質的にないように移動することを可能にする。
したがって、隔離部53sは、適切な支持を提供するために厚さを一定に保ちながら、可撓性を提供するために狭い断面の領域を備えてもよい。
示されるようなフィレット(角が丸められた部分)/曲線表面は、疲労または望ましくない組織損傷につながり得る応力集中を回避するために維持される。
隔離部53sの代替の実施形態では、より多くの可撓性を提供するために、または、一方向に優先的な可撓性を提供するために、非鏡面様式で断面を変化させるために、管の厚さを変化させることを含んでもよい。
【0067】
図15A及び15Bは、アンテナベルトモジュール16に対する代替の実施形態を示している。
異なる胴回りの患者に適応するために、ベルトアンテナ16は、ベース層76上、または、その内部に取り付けられたループアンテナ線82sを使用し、これは、患者の周りに巻かれて、非連続的な周囲ループを形成する。
通信リンク24sは、実質的に上述したように設けられる。
ループ芯線を使用することによって、芯線は、ループアンテナを形成でき、患者の周りに完全に延びる必要はない。
このようにすれば、ベルトを閉じる留め金部又は締め金部(図示せず)も、アンテナループを完成させるための電気的接続を提供する必要がない。
したがって、簡略化された締め金部は、ベルクロ(登録商標)(マジックテープ(登録商標))、または、他の接続手段のような可変接続方法を使用してもよく、したがって、複数サイズのベルトが不要となる。
図15A及び図15Bに示すように、アンテナベルト16sは、患者の周りに巻き付けられた単一(又は複数)のループ芯線82を利用する。
芯線82sのループ端部83sは、ベース層が患者の周りに巻き付けられるとき、典型的には、約2cm~約10cmの間隔内で、実質的に隣接すべきである。
特定の設計パラメータに応じて、不連続ループ状芯線82によって提供される信号強度は、上述したように、連続円周状芯線82によって提供される強度よりも小さくてもよい。
しかしながら、用途および特定の臨床要件に応じて、アンテナベルトモジュール16sによって提供される簡略化された締め金部および使用の容易さは、信号についての要件を上回る有用性を提供し得る。
【0068】
アンカーの遠位端および押込部の先端に再捕捉特徴部を追加することによって、インプラントの再配置可能性、または、展開システムによる再捕捉さえも容易にすることができ、その例示的な実施形態が図16Aおよび16Bに示されている。
そのような再捕捉特徴部は、センサが部分的に展開されている間、押込部に取り付けられたままであることを可能にする。
この時点から、機構を使用してセンサを完全に展開させることができ、センサが依然として押込部に取り付けられているときに、装置の位置を変えることができ、または、センサの上でさや部を前進させ、センサを取り外すことによって再捕捉することができる。
これらの特徴部は、連結要素、ねじ、または解放隆起部を含む多くの形態をとることができる。
一実施形態では、図16Aに示すように、再捕捉特徴部127、129は、押込部126の遠位端において適切な形状の凹部129と係合するアンカーへの「T字形」延長部127を含んでもよい。
図16Bに示される別の代替例では、再捕捉特徴部127´、129´は、アンカーの遠位端において貫通孔127´を含み、この貫通孔を通って押込部126からのピン形状の延長部129´が係合し、外側さや部124内に保持されながら係合される。
このような再捕捉特徴部は、センサを部分的に展開する一方で、再位置決め、または、再捕捉する能力を保持するために使用することができる。
アンカーの遠位端がさや部内に留まる間、再捕捉特徴部は、係合したままである。
オペレータが最終位置に満足すると、さや部は、完全に引き出され、したがって、連結特徴部を解放し、センサを展開するのであろう。
【0069】
アンカー48は、(説明したように花が開くように展開することを容易にするために)インプラントの一端のみに取り付けられるように図11A~Cに示されているが、アンカーは、インプラントの両端に配置されてもよく、図に示されている4つと比較して、より少ない、または、より多いアンカーが提供されることが考えられる。
【0070】
他の代替実施形態では、図17図29Dに示すように、移動を防止するのを助ける1つまたは複数のアンカー要素を、本明細書で上述した個々のアンカー要素とは対照的に、一体化されたアンカーフレームとして設けることができる。
一実施形態では、図17に示されるように、RC-WVMインプラントは、アンカーフレーム150を備え、RC-WVMセンサ部12tに取り付けられる。
RC-WVMセンサ部(または、単に「センサ部」)12tは、冠部40によって接合された支柱部38を一般的に含む、上述の任意の「Z形状」コイルまたは同様のRC-WVMインプラント12を備えていてもよい。明確にするために、以下では、図17図29Dを参照して説明する実施形態に関して、RC-WVMインプラント(または、「インプラント」単独)は、RC-WVMセンサ部とアンカーフレーム150とを組み合わせたものを指す。
アンカーフレーム150は、ニチノール線又はレーザーで切断された管で形成することができ、それによって、管は、センサ部の同等の直径まで拡張される。
ニチノール、または、類似の特性を有する他の材料は、アンカーフレームがRC-WVMセンサ部(図9A参照)と同じ荷重構成にローダ内で荷崩れすることを可能にするので、アンカーフレーム150の材料としてよく適している。
【0071】
図18は、RC-WVMセンサ部12tのようなセンサ部に取り付けられる前のアンカーフレーム150の一例を示している。
RC-WVMセンサ部12tと同様に、アンカーフレーム150は、曲線冠部154によって接合された一連の直線状支柱部152(アンカー部とも呼ばれる)を備え、外観上正弦波であると見なすこともできる、弾性、同心円状のジグザグ、または、リンクした「Z形状」構造を形成する。
1つ以上のアンカーとげ部156は、以下により詳細に記載されるように、支柱部またはアンカー部内に配置される。
図17および図18に示すようなアンカーフレーム150は、各支柱部152上に単一のアンカーとげ部156のみを含む。
アンカーフレーム150は、センサ部の支柱部152に重なる取り付けアーム158によってセンサ部に取り付けられる。
また、図16Aおよび図16Bに示すように、取り付け部の反対側の端部の冠部154には、再捕捉特徴部127、127´などの再捕捉特徴部を設けることができ、これらの特徴部は、展開押込部126の遠位端に形成された対応する再捕捉特徴部129、129´と嵌合することに留意されたい。
【0072】
図19に最も良く示されているように、ポリマーリフロー管160は、取り付けアーム158の上に配置され、さらに、熱収縮管162は、リフロー管の上に配置される。
図19に図示されるように、取り付けアーム158は、透明リフローおよび熱収縮管160および162を通して見える。
次いで、熱が溶融ポリマーリフロー管160に加えられ、熱収縮管162を収縮させ、したがって、ポリマーを取り付けアーム158の間およびその周囲に押し込み、それによって、アンカーフレーム150をRC-WMVセンサ部に固定する。
リフロー管160は、組み立て中に縦方向及び回転方向の両方である程度の安定性を確保するために、支柱部38の外面とリフロー管の内面との間で、わずかな締まり嵌めにより、寸法決めされてもよい。
取り付けアーム158は、アンカー隔離部159を含むように構成されてもよい。
隔離部159は、前述したように、1つの形態の隔離手段である。
アンカーフレーム150の半径方向の力の要件および隔離部159の機能についても、以下でより詳細に説明する。
【0073】
取り付けアーム158は、図19に示されるような鋸歯状の構成を含み得、ここで、歯164の間の空間により、リフロー材料がその間を流れ、そして、より確実な結合を形成することを可能にする。
取り付けアーム158の他の代替構成は、この増加した表面を提供するので、図29A~Dにそれぞれ示されている、ジグザグ、Tコネクタ、Sコネクタ、および支柱部の中央の空隙のように、結合強度を増加させると考えられる。
さらなる代替例は、取り付けアーム158上の表面仕上げ、または、テクスチャリング(表面加工)を含む。
特定の設計において、このような代替的な構成は、インプラントの全体的な輪郭を小さくするために、取り付けアームの厚さが最小化されることを可能にし得る。
【0074】
いくつかの実施形態では、例えば、図18および20に示すように、センサの読み取り値に干渉を生じ得る導電性材料の連続したリング(連続輪)を生じさせないように、アンカーフレーム150内に分割部166を設けることが望ましい場合がある。
分割部166により、アンカーフレームが分割され、それによって、磁場により、外部の読取り部がアンカーフレーム内で結合(磁気結合)されることを防止し、また、磁場が、センサ部によって生成されるRC-WVMインプラント信号からの干渉を潜在的に発生させることを防止する。
アンカーフレーム150内の分割部166は、フレーム内の分割部がアンカーフレーム150の構造的完全性を著しく損なわないように、都合よく、センサ部の近くに位置しており、例えば、アンカーフレーム冠部154のほぼ中央に位置している。
このような一例において、図18および図20に示すように、分割冠部154Sには、二重取り付けアーム158が設けられており、この二重取り付けアーム158は、対応するインプラント冠部154の両側において、各支柱部38に固定することが可能である。
他の実施形態では、分割部は、以下でさらに説明するように、アンカーフレーム上の他の場所に配置されてもよい。
所望であれば、非分割アンカー冠部154にも二重取り付けアーム158を設けることができる。
【0075】
他の実施形態では、アンカーフレームの分離分割部166は、フレーム上の他の場所に配置されてもよく、そのような場合、好ましくは不連続な構成を維持しながらアンカーフレームに十分な構造的一体性を提供する追加の金属またはポリマー構成要素で架橋することによって構造的に補強されてもよい。
あるいは、連続的なアンカーフレーム構造は、フレームの金属材料の量およびフレームの形状を慎重に選択して、RC-WVMインプラント信号との干渉を最小化または制御し、そうでなければ信号処理において補償され得るようにすることによって、考案されてもよい。
【0076】
いくつかの実施形態では、アンカーフレーム150は、RC-WVMセンサ部に取り付けられ、展開中に最初に露出したアンカーフレームの向きで展開システムに装填されてもよい。
この場合、送達システム122の押込部126は、センサ部の冠部40上に配置される(例えば、図9Aを参照)。
他の実施形態では、センサ部は、最初に展開され、展開システム軸受けの押込部がアンカーフレーム150の冠部154上に配置された状態で、逆の構成としてもよい。
配向は、例えば、大腿静脈対頸静脈のような、移植のためのアクセス部位のような因子に依存して変化し得る。
さらなる代替例では、図21に示されるように、アンカーフレーム150を増大させて固定させるために、RC-WVMインプラント(センサ部12tなど)の各端部に設けてもよく、この場合、アンカーフレームは、送達システムにおけるRC-WVMインプラントの向きにかかわらず、最初に配置される。
【0077】
アンカーフレーム150を使用するRC-WVMインプラントが血管内に配置されると、とげ部156は、様々な向きで血管壁と係合して、装置の移動を防止する。
図22A、22Bおよび22Cは、アンカーとげ部156aがアンカーフレーム支柱部152と平行に設定されるアンカーフレーム150aの一実施形態を示す。
また、アンカーフレーム150は、インプラントに対向している各冠部において、2つの取り付けアーム158を使用することができ、一部のアームには、鋸歯部164が設けられ、一部には設けられていないことにも留意されたい。
別の実施形態では、アンカーとげ部方向の平面は、当該平面がIVC内の血液の流れの軸方向となるように、または、RC-WVMインプラントのための指示されたサイズ(大きさ)の範囲にわたって、軸方向に対応する間において、任意の増分になるように、オフセットされ得る。
図22Cは、アンカーとげ部156aを描いており、その最終形状状態は、それが取り付けられる支柱部150aに平行であるが、その尖った先端が図22Cに示されるように、支柱部および平行なとげ部を通して画定される平面から外れる、すなわち、ページの平面から外れるように設定される形状である。
この面外突起は、アンカーが血管壁と係合することを容易にし、移動を防止する。
このアンカーの展開された構成は、図22Aに示され、アンカーは、支柱部150aに平行であり、したがって、血管内の血流の方向に対して角度をなしている。
【0078】
別の例では、図23A、23Bおよび23Cに示すように、軸方向に向いたアンカーとげ部156bは、アンカーフレーム150bが血管内に展開されると、アンカーとげ部156bが血管方向および血管内の流れに対して平行(または平行に近い)となるように配置される。
さらなる実施形態において、図24Aおよび24Bに示されるように、アンカーフレーム150cのアンカーとげ部156cは、アンカーフレームの冠部154に位置し、血管壁と係合するように設定された外側形状を有する。
図24Aおよび24Bは、また、アンカーフレームの実施形態のとりうる概略寸法の例を提供する。
図23Cは、アンカーとげ部156bを示しており、その最終形状状態は、それが取り付けられている支柱部150bに対してある角度をなしており、その先端がアンカーとげ部とそれが取り付けられている支柱部との間に画定された平面からも外れるような形状に設定されている。
この2つの軸における平面外の突出部は、より最適でより軸方向に配向された血管壁と係合するアンカーを容易にし、潜在的に、移動しにくくする。
このアンカーの展開された構成は、図23Aに示されており、アンカーは、支柱部150bに対してある角度をなし、したがって、血管内の血流の方向にほぼ平行である。
2つの軸における支柱部から面の外へ出ている、アンカー先端のこの最終的な位置は、図25Aでも見ることができる。
【0079】
図25Aは、冠部154の間に直線状の支柱部152を備えて形成される、アンカーフレームの実施形態150aを示している。
直線状の支柱部152は、それが展開される血管の大きさにかかわらず、その全長にわたって、支柱部が常に血管壁と接触しているという利点を提供することができる。
フレームが、例えば、構成体をニチノール管からレーザー切断することによって形成される場合、直線状の支柱部152の直線状の構成は、所望の直線状の構成を維持するように支柱部の形状を設定することによって達成することができる。
図25Bは、代替アンカーフレームの実施形態150bを示しており、代替アンカーフレームでは、円筒形状に設定された主軸の表面の周囲に形成され、その結果、湾曲した支柱部152cが生じる。
湾曲した支柱部152cは、固定のためにアンカーとげ部156(二重とげ部として示される)を血管壁内に付勢する局所的な力を増大させるという利点を提供することができるが、特に、装置が小さい血管内に移植されるときに、冠部が血管壁と接触していないという欠点に関連し得る。
【0080】
アンカーとげ部156の様々な向き、および、構成が、図26A~26Gに示されるように、異なる実施形態において提供されてもよい。
例えば、図26Aに示すように、アンカーとげ部156は、アンカーフレーム150の各支柱部152の中心において、約10°~90°の間の角度(A)で外方に延在してもよい。
アンカーとげ部156は、形状が設定された支柱部152の平面内で尾側方向または頭側方向のいずれか、または、両方向に、交互に面してもよく、または、その平面から延在してもよい。
別の実施形態では、図26Bに示すように、各方向に面する各支柱部152上に複数のアンカーとげ部156aがあってもよい。
図26Bに示すような複数のアンカーとげ部156aは、反対方向を向いている支柱部152の片側に配置されているが、図26Eでは、アンカーとげ部が同じ方向を向いている支柱部の反対側に配置されている。
図26Cおよび26Dに示される別の実施形態では、アンカーとげ部156bは、例えば、図26Aおよび26Bに示されるように、支柱部の側部に配置されるのとは対照的に、支柱部152の厚さ内(支柱部152の内部)に含まれる。
図26C~Dに示されるアンカーとげ部の構成は、図14A~Cに示され、上述されたアンカーとげ部50と同様の様式で形成され得る。
【0081】
他の実施形態では、その例が図26E~Hに示されているが、アンカーとげ部156は、様々な臨床状況において血管壁内へのアンカーとげ部の挿入および保持を助けることができる、異なる構成の全体的な形状および/または点を有することができる。
図26Eは、支柱部152の両側に配置され、同じ方向を向いている、単一の突起とげ部156cおよび魚フックとげ部156dを示している。
図26F、26Gおよび26Hは、アンカーとげ部の設計のさらなる例を示し、この場合、鋸歯とげ部156e、両縁とげ部156f、および、両面フックとげ部156gをそれぞれ示している。
また、これらのとげ部は、アンカーフレーム支柱部の側面に配置することができ、また、前述のように支柱部の厚さ内(支柱部の内部)に配置することもできる。
【0082】
上述のように、アンカーフレーム150は、RC-WVMインプラント信号と干渉し得るコイルを形成しないように構成することが望ましい場合がある。
上述したような1つの解決策は、分割部166である。
他の実施形態において、例えば、アンカーフレーム線が機械的および電気的に接合(例えば、圧着接合)されて、他の設計考慮事項が不連続構造をあまり好ましくないものとするかもしれない場合において、接合され、互いに接触するワイヤ端部の終端部分は、磁場と結合しうるコイルを形成しないように電気的に絶縁されるようにしてもよい。
このような絶縁体の例は、ポリマーコーティングである。
他の実施形態では、例えば、アンカーフレームが機械的接合または結合が必要とされ得るニチノールレーザー切断管で形成され得る場合、ニチノールフレームの終端部は、ポリマー、エポキシ、または、セラミック材料などの非導電性結合剤の使用によって、物理的および電気的に分離されてもよい。
図27は、そのような非導電性接合部を断面で示している。
この例において、アンカーフレーム150の端部170は、強度を高めるために継手を包囲する、非導電性結合剤172と結合することができる連動部分を有している。
【0083】
前述したように、RC-WVMインプラントによって加えられる半径方向の力は、流体体積の変化によってIVCが膨張および収縮するときに、センサ部分がIVCの自然な運動とともに動くようにすべきである。
アンカーフレーム150は、RC-WVMセンサ部の運動および電気的性能に干渉することなく、血管に沿った移動を防止するのに役立つように、アンカーとげ部156の血管壁への係合を確実にするのに十分な外向き半径方向の力を発揮するように構成される。
したがって、アンカーフレーム150によって加えられる半径方向の力は、隔離部159によって、より低い半径方向の力のセンサ部から実質的に隔離されながら、移動抵抗を提供するように、典型的にはRC-WVMインプラントのセンサ部によって加えられる力と等しいか、または、それよりも高くてもよい。そして、センサ部は、流体状態の変化に応じてIVCの自然な膨張および収縮を可能にするように構成される。
【0084】
隔離部159は、センサ部とアンカーフレームとの間の取り付けを可能にするが、センサ部とアンカーフレームとが互いに独立して作用することも可能にする。
したがって、RC-WVMセンサ部は、血管内のアンカーフレームの伸縮とは無関係に、血管内の監視位置で収縮および伸縮することができる。
アンカーフレームの構成を選択する際の1つの設計上の考慮事項は、アンカーフレームによって加えられる半径方向の力がRC-WVMインプラントの移動を防止するのに十分であるが、血管をステント(導管)またはプロップ(支柱)で開かないように十分に低くすべきであることである。
【0085】
図28は、形状設定された部材の直径、支柱部の幅、支柱部の厚さ、支柱部の形状、冠部の直径、冠部の数、支柱部の長さ、材料特性、センサ部とアンカーフレームとの間の距離、および、全長における変化(上記のいずれかについての変化)を介して、構成を変更することによって及ぼされる半径方向の力を制御するために、アンカーフレーム150の半径方向力をどのように調整または修正することができるかの一例を示す。
RC-WVMインプラントの固定を増加させる別の代替案は、図21の例に示すように、センサ部の両端にアンカーフレームを設けることである。図28は、比較的短い支柱部152の長さ、より多くの冠部154(ここでは、先の実施形態のように、8の代わりに16の冠部)、および、より小さい冠部の直径を有する代替アンカーフレーム150aを示している。
また、隔離部159は、アンカーフレームとセンサ部との間の距離が増大するように長くなっている。
【0086】
図28のアンカーフレーム150aの構成は、疲労寿命の低下につながる可能性のある高歪み集中の領域を最小化しつつ、適切な半径方向の力を実現するために選択される。
センサ部に過度の影響を及ぼすことなくアンカーフレームによって発揮され得る半径方向の力の大きさに影響を及ぼす要因としては、アンカーとげ部156とセンサ部との間の距離があり、当該距離は、支柱部152上のアンカーとげ部の位置に基づいて、および/または、隔離を補助する隔離部159の長さによって調整することができる。
隔離部159の長さを変化させることに加えて、他の調整として、厚さ及び/又は直線対曲線区間を変化させることがある。
例えば、直線状のアンカー隔離部159が図28に示されており、別の例では、曲線状またはs字状のアンカー隔離部159が図24Aに示されている。
【0087】
別の代替実施形態では、アンカーフレームが意図的に破壊され、経時的にセンサ部から自己分離するように構成されてもよい。
この実施形態では、アンカーフレームとセンサ部との間の接続点、例えば、隔離部159内の接続点は、意図的に破壊されるように設計される。
故意の破壊の目的は、破壊後にアンカーフレームをセンサ部から完全に隔離することである。
このような実施形態では、アンカーフレームは、最初に血管内に配置されたときに、移動することなく、RC-WVMインプラントを固定する。
時間が経つにつれて、センサ部が組織に埋め込まれるにつれて、移動の危険性は減少する。
その結果、アンカーフレームの機能は、もはや必要とされない。
この実施形態は、外科的介入を必要とせず、もはや必要とされなくなると、アンカーフレームを装置から切り離すことを可能にする。
【0088】
隔離部159の材料および設計は、破壊が起こるための期間が異なる期間となるように選択されてもよい。
例えば、センサ部、隔離部およびアンカーフレームの幾何学的形状、設計、移動および材料は、疲労によって所定の時間の後/内に発生する疲労誘発破壊を考慮して調整することができる。
あるいは、骨折が外部手段によって誘発され得る。
例えば、超音波/RF(電磁波)は、アンカーフレームとセンサ部との間の材料または結合をあらかじめ設定された周波数またはエネルギーで破壊することによって破壊を誘発するために使用されてもよい。
さらなる別の実施形態では、隔離部159の化学的に誘発される破壊は、例えば、PLA、PCL、PLGA、PLG、または、アンカーフレームとRC-WVMインプラントフレームとの間の結合/接続としての他の生分解性ポリマーを用いて達成され得る。
化学的に誘発される破壊は、pH、温度、存在する微生物、および、水などを含む制御された速度で分解することができる生分解性ポリマーの材料特性を利用する。
【0089】
別の代替の実施形態において、アンカーフレーム150は、生体吸収性ステント(生体吸収性導管)に一般的に使用されるような生体吸収性/生分解性材料から作製されてもよい。
アンカーフレームの他の実施形態と同様に、生体吸収性アンカーフレームの目的は、移動を防止するのを助けることである。
再び、センサ部分が時間の経過と共に組織内に埋め込まれるにつれて、移動の危険性が減少する。
その結果、アンカーフレームの機能は、もはや必要とされない。
生体吸収性アンカーフレームの材料および設計は、吸収のための期間が異なる期間となるように選択されてもよい。
【0090】
上記は、本発明の例示的な実施形態の詳細な説明であった。
本明細書および本明細書に添付される特許請求の範囲において、「X、Y、および、Zの少なくとも1つ」および「X、Y、および、Zの1つ以上」という語句で使用されるような結合言語は、特に記載または別段の指示がない限り、結合リスト中の各項目がリスト中の他のすべての項目を排除する任意の数で、または、結合リスト中の任意のまたは他のすべての項目と組み合わせた任意の数で存在することができ、それらの各項目は、また、任意の数で存在することができることを意味すると解釈されるものとすることに留意されたい。
この一般的なルールを適用するに当たって、結合リストがX、Y、および、Zからなるとした前述の例の結合句は、以下のものを包含する:
1つ以上のX、
1つ以上のY、
1つ以上のZ、
1つ以上のX、および、1つ以上のY、
1つ以上のY、および、1つ以上のZ、
1つ以上のX、および、1つ以上のZ、および、
1つ以上のX、1つ以上のY、および、1つ以上のZ。
【0091】
本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な修正および追加を行うことができる。
上述した様々な実施形態の各々の特徴は、関連する新しい実施形態において多数の特徴の組み合わせを提供するために、適宜、他の説明した実施形態の特徴と組み合わせることができる。
さらに、上記ではいくつかの別個の実施形態を説明したが、本明細書で説明したものは本、発明の原理の適用の単なる例示に過ぎない。
さらに、本明細書における特定の方法は特定の順序で実行されるものとして図示、および/または、説明され得るが、順序付けは本開示の態様を達成するために、通常の技術の範囲内で多様に可変である。
したがって、本説明は、単に、例として解釈されることを意味し、本発明の範囲を他の方法で限定することを意味しない。
【0092】
代表的な実施形態を、上で開示し、添付の図面の中で示してきた。
本明細書の中で具体的に開示されたものに対して、様々な変更、省略および追加が本発明の精神および範囲を逸脱することなく実施され得ることは、当業者には理解されよう。

図1
図1A
図2
図2A
図2B
図3
図3A
図3B
図3C
図3D
図3E
図4
図5A
図5B
図6A
図6B
図7A
図7B
図8
図9
図9A
図10A
図10B
図10C
図10D
図10E
図11A
図11B
図11C
図12
図13
図14A
図14B
図14C
図15A
図15B
図16A
図16B
図17
図18
図19
図20
図21
図22A
図22B
図22C
図23A
図23B
図23C
図24A
図24B
図25A
図25B
図26A
図26B
図26C
図26D
図26E
図26F
図26G
図26H
図27
図28
図29A
図29B
図29C
図29D