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特許7555137情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01C 21/26 20060101AFI20240913BHJP
   G08G 1/005 20060101ALI20240913BHJP
   G08G 1/127 20060101ALI20240913BHJP
   G09B 29/00 20060101ALI20240913BHJP
   G09B 29/10 20060101ALI20240913BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240913BHJP
   G16Y 40/60 20200101ALI20240913BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240913BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240913BHJP
【FI】
G01C21/26 P
G08G1/005
G08G1/127 B
G09B29/00 A
G09B29/10 A
G06Q50/40
G16Y40/60
G16Y20/20
G16Y10/40
【請求項の数】 8
(21)【出願番号】P 2022165040
(22)【出願日】2022-10-13
(62)【分割の表示】P 2018068501の分割
【原出願日】2018-03-30
(65)【公開番号】P2023001135
(43)【公開日】2023-01-04
【審査請求日】2022-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】500168811
【氏名又は名称】株式会社ナビタイムジャパン
(74)【代理人】
【識別番号】100120031
【弁理士】
【氏名又は名称】宮嶋 学
(74)【代理人】
【識別番号】100107582
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 毅
(74)【代理人】
【識別番号】100152205
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌司
(72)【発明者】
【氏名】國分 南向子
(72)【発明者】
【氏名】永森 枝里子
【審査官】西畑 智道
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-097253(JP,A)
【文献】特開2002-203299(JP,A)
【文献】特開2001-209894(JP,A)
【文献】特開2014-191419(JP,A)
【文献】特開2009-054072(JP,A)
【文献】特開2017-182137(JP,A)
【文献】特開2006-308390(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01C 21/26
G08G 1/005
G08G 1/127
G09B 29/00
G09B 29/10
G06Q 50/40
G16Y 40/60
G16Y 20/20
G16Y 10/40
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両に乗車しようとするユーザの端末装置の現在位置を取得する端末現在位置取得手段と、
前記ユーザの端末装置の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を前記乗合車両の現在位置として取得する乗合車両現在位置取得手段と、
前記端末装置の現在位置、前記乗合車両の現在位置、および前記所定の経路上に設けられた前記乗合車両のフリー乗降区間に基づいて、前記フリー乗降区間内の乗車場所を探索する乗車場所探索手段と、
前記乗車場所を前記端末装置の出力部に出力する情報出力手段と、
を備えることを特徴とする情報処理システム。
【請求項2】
前記乗車場所探索手段は、前記乗合車両現在位置取得手段により位置情報を取得されたバスが前記フリー乗降区間に達するまでに前記フリー乗降区間に到達可能な徒歩経路を探索し、前記探索された徒歩経路が前記フリー乗降区間に接続する地点を乗車位置とすることを特徴とする請求項に記載の情報処理システム。
【請求項3】
端末装置と通信可能に接続されたサーバにおいて実行される情報処理プログラムであって、
前記端末装置は、道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両に乗車しようとするユーザの端末装置の現在位置を取得する端末現在位置取得手段と、前記乗合車両の乗車場所を前記端末装置の出力部に出力する情報出力手段と、を有し、
前記情報処理プログラムは、コンピュータを、
前記ユーザの端末装置の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を前記乗合車両の現在位置として取得する乗合車両現在位置取得手段、および
前記端末装置の現在位置、前記乗合車両の現在位置、および前記所定の経路上に設けられた前記乗合車両のフリー乗降区間に基づいて、前記フリー乗降区間内の乗車場所を探索する乗車場所探索手段
として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項4】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成される情報処理システムであって、
道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両に乗車しようとするユーザの端末装置の現在位置を取得する端末現在位置取得手段と、
前記ユーザの端末装置の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を前記乗合車両の現在位置として取得する乗合車両現在位置取得手段と、
前記端末装置の現在位置、前記乗合車両の現在位置、および前記所定の経路上に設けられた前記乗合車両のフリー乗降区間に基づいて、前記フリー乗降区間内の乗車場所を探索する乗車場所探索手段と、
前記乗車場所を前記端末装置の出力部に出力する情報出力手段と、
を備えた情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータの少なくとも1つを上記手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項5】
通信可能に接続された複数のコンピュータによって、請求項1または2に記載の情報処理システムを機能させるために、
上記コンピュータのうちの1つを請求項1または2に記載の情報処理システムにおける各手段の少なくとも1つとして機能させるための情報処理プログラム。
【請求項6】
通信可能に接続された複数の情報処理装置によって、
道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両に乗車しようとするユーザの端末装置の現在位置を取得する端末現在位置取得手段と、
前記ユーザの端末装置の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を前記乗合車両の現在位置として取得する乗合車両現在位置取得手段と、
前記端末装置の現在位置、前記乗合車両の現在位置、および前記所定の経路上に設けられた前記乗合車両のフリー乗降区間に基づいて、前記フリー乗降区間内の乗車場所を探索する乗車場所探索手段と、
前記乗車場所を前記端末装置の出力部に出力する情報出力手段と、
を備えた情報処理システムを構成するために、
上記手段の少なくとも1つを備えたことを特徴とする情報処理装置。
【請求項7】
コンピュータを、
道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両に乗車しようとするユーザの端末装置の現在位置を取得する端末現在位置取得手段、
前記ユーザの端末装置の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を前記乗合車両の現在位置として取得する乗合車両現在位置取得手段、
前記端末装置の現在位置、前記乗合車両の現在位置、および前記所定の経路上に設けられた前記乗合車両のフリー乗降区間に基づいて、前記フリー乗降区間内の乗車場所を探索する乗車場所探索手段、および
前記乗車場所を前記端末装置の出力部に出力する情報出力手段
として機能させるための情報処理プログラム。
【請求項8】
端末現在位置取得手段が、道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両に乗車しようとするユーザの端末装置の現在位置を取得するステップと、
乗合車両現在位置取得手段が、前記ユーザの端末装置の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を前記乗合車両の現在位置として取得するステップと、
乗車場所探索手段が、前記端末装置の現在位置、前記乗合車両の現在位置、および前記所定の経路上に設けられた前記乗合車両のフリー乗降区間に基づいて、前記フリー乗降区間内の乗車場所を探索するステップと、
情報出力手段が、前記乗車場所を前記端末装置の出力部に出力するステップと、
を備えることを特徴とする情報処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バス等の公共交通機関を利用する移動経路を探索し、ユーザに提示するナビゲーションシステムが知られている。特許文献1には、バスを利用して鉄道駅近くのバス停で降車し、その後鉄道を利用する経路が提示される。
【0003】
ところで、近年、フリー乗降区間と呼ばれる区間が設けられたバス路線が登場している。このフリー乗降区間では、バス停以外の場所でもバスに乗降することが可能である。例えば、バス利用者は、国土交通省の許認可を受けた特定の区間に限り、走行中のバスに向かって手を挙げるなどの合図を送ることでバスに乗車することが可能である。また、バスに乗車中、バス停以外の場所であってもフリー乗降区間内であれば、車内の押しボタンを押下したり、運転手に口頭で停車場所を申し出ることで、駐停車禁止の場所や停車すると危険な場所でない限り、降車することが可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2017-20853号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
従来のナビゲーションシステムでは、フリー乗降区間が考慮されていないため、実際にはフリー乗降区間で乗降できるにもかかわらず、バス停で乗降する経路しか探索できず、徒歩移動距離が不必要に長い経路がユーザに提示されてしまうことがあるという課題があった。
【0006】
本発明は、フリー乗降区間を利用する移動経路をユーザに提供し、ユーザの利便性を向上させることができる情報処理システム、情報処理プログラム、情報処理装置、および情報処理方法を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明に係る情報処理システムは、
少なくとも一つの対象位置を受け付ける受付手段と、
前記対象位置と、道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両のフリー乗降区間とに基づいて、前記フリー乗降区間内の乗降場所を設定する乗降場所設定手段と、
前記乗降場所を出力する情報出力手段と、
を備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、フリー乗降区間を利用する移動経路をユーザに提供し、ユーザの利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】第1の実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
図2】バス停および道路リンクにフリー乗降属性を付与することについて説明するための図である。
図3A】第1の実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図3B図3Aに続く、第1の実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図3C図3Bに続く、第1の実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図4】(a)は対象位置周辺のバス停の探索を説明するための図であり、(b)は仮停留所ノードの設定を説明するための図である。
図5】仮停留所ノードの時刻表(到着時刻、出発時刻)の決め方を説明するための図である。
図6】(a)は経路探索結果を示す画面であり、(b)は(a)の画面においてボタンBが選択された場合に表示される地図を示す。
図7】降車案内に係る処理を説明するためのフローチャートである。
図8】端末装置に表示される降車案内メッセージの例を示す図である。
図9】端末装置に表示される降車案内メッセージの別の例を示す図である。
図10】第2の実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
図11A】第2の実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図11B図11Aに続く、第2の実施形態に係る情報処理システムの処理動作の一例を示すシーケンス図である。
図12】端末装置に表示される乗車案内の画面例を示す図である。
図13】第3の実施形態に係る情報処理システムの概略的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明に係る実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。なお、各図において同等の機能を有する構成要素には同一の符号を付す。
【0011】
以下の実施形態では、バスを例として説明するが、本発明は既存のバス以外の、道路に沿って所定の経路を移動する乗合車両についても適用可能である。乗合車両は、有人または無人の自動運転車であってもよいし、あるいは遠隔操作される車両であってもよい。
【0012】
また、本願において、「フリー乗降区間」の用語は、乗車および降車の一方のみの場合も含む。すなわち、フリー乗車のみ可能な区間、またはフリー降車のみ可能な区間も含む。同様に、「乗降場所」の用語は、乗車および降車の一方のみの場所の場合も含む。また、「乗降場所」、「乗車場所」、「降車場所」は、地点に限らず、ある範囲にわたる区間を示してもよい。
【0013】
(第1の実施形態)
本実施形態に係る情報処理システム1は、図1に示すように、端末装置2、サーバ3およびネットワーク4を備えている。端末装置2およびサーバ3は、インターネット等のネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。なお、ネットワーク4は、有線回線および無線回線のいずれでもよく、回線の種類や形態は問わない。
【0014】
以下、端末装置2、サーバ3の順にそれぞれ詳しく説明する。
【0015】
<端末装置>
端末装置2は、ユーザが使用する情報処理端末であり、例えばスマートフォン、タブレット端末、携帯電話等のモバイル情報端末である。なお、対象位置を検索したり、移動経路を取得するのみであれば、端末装置2はパソコン等の固定型の端末であってもよい。
【0016】
端末装置2は、図1に示すように、通信部21と、制御部22と、測位部23と、操作入力部24と、出力部25と、を有する。
【0017】
通信部21は、ネットワーク4を介して端末装置2とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。制御部22は、端末装置2全体を統御する。測位部23は、端末装置2の現在位置を示す現在位置情報を測位するものであり、例えばGPS(Global Positioning System)受信装置である。操作入力部24は、ユーザが端末装置2に情報を入力するためのインターフェースであり、例えば、キーボード、マウス、タッチパネル、ボタン、マイク等である。出力部25は、例えば液晶ディスプレイ、有機ELディスプレイ等の映像表示手段であり、ユーザからの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)など、様々な情報を表示する。なお、操作入力部24がタッチパネルの場合には、操作入力部24が出力部25を兼ねてもよい。
【0018】
次に、端末装置2の制御部22について詳しく説明する。
【0019】
制御部22は、図1に示すように、受付部221と、情報出力部222と、端末現在位置取得部223と、を有している。制御部22の各部は端末装置2内のプロセッサが所定のプログラムを実行してソフトウェアによる処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであってもよいし、実装されているハードウェア自身により実現されるものであってもよい。
【0020】
受付部221は、少なくとも一つの対象位置を受け付ける。本実施形態では、対象位置は、経路探索の実行に必要となる位置(出発地、目的地等)である。受付部221は、操作入力部24を介してユーザから対象位置を受け付けるが、これに限られず、端末現在位置取得部223により取得された端末装置2の現在位置を対象位置として受け付けてもよい。また、受付部221は、過去の経路探索履歴に基づいて対象位置を設定してもよいし、ユーザが事前に登録した経路(通勤・通学ルート、お気に入りルート等)の情報に基づいて対象位置を設定してもよい。その他、受付部221は、カレンダーやスケジュールアプリ等のアプリに設定された情報に基づいて対象位置を設定してもよい。
【0021】
その他、対象位置はユーザがウェブ等で検索した場所であってもよい。より一般的に言えば、対象位置はPOI(Point Of Interest)であってもよい。POIは、便利な場所や興味のある場所などとして人が知覚する特定の地点および施設等であって、店舗(例えば、コンビニエンスストア、ガソリンスタンド、飲食店等)、会社、事務所、公共施設(例えば、官庁、学校、郵便局)、娯楽施設(例えば、映画館、劇場、遊園地等)、および、屋外施設(例えば、公園、バスターミナル、屋外駐車場等)等である。また、POIは、一時的に行われるイベント(例えば、祭り、コンサート、フリーマーケット、スポーツの試合等)のに関する情報であってもよい。
【0022】
情報出力部222は、ユーザに提示すべき各種情報を出力先に応じた形態で出力する。
本実施形態では、情報出力部222は、サーバ3から受信した経路探索結果やフリー乗降区間内の乗降場所等の情報を映像信号に変換し、表示手段としての出力部25に出力する。なお、情報の出力先は、出力部25に限られず、端末装置2に無線または有線で接続された外部の装置(プリンタ、外付けディスプレイ等)であってもよい。
【0023】
端末現在位置取得部223は、端末装置2の現在位置を取得する。具体的には、端末現在位置取得部223は、測位部23から位置情報を取得する。位置情報は、例えば緯度および経度で示される。端末装置2の現在位置が取得されることで、例えばバスに乗車しているユーザの現在位置が把握される。
【0024】
なお、情報出力部222は、降車案内手段として機能してもよい。この場合、情報出力部222は、端末現在位置取得部223により取得されたユーザの現在位置と、後述の乗降場所設定部321により設定された乗降場所(降車場所)とに基づいて、バスの降車案内(プッシュ通知、音声など)を行う。降車案内は、例えば、降車場所から所定距離だけ離れた位置に来たときに行われる。あるいは、降車場所に到着する予定の時刻から所定時間前に行われてもよい。
【0025】
また、降車案内は、降車場所の前または後のバス停(以下、「基準停留所」ともいう。)を基準に行われてもよい。この場合、情報出力部222は、ユーザの現在位置および基準停留所の位置に基づいてバスの降車案内を行う。例えば、降車場所の前のバス停を通過してから所定の距離を走行したときに降車案内を行う。あるいは、降車場所の後のバス停から所定の距離だけ離れた位置に来たときに降車案内を行う。
【0026】
<サーバ>
次に、サーバ3について説明する。図1に示すように、サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。通信部31は、ネットワーク4を介して端末装置2とサーバ3との間で情報を送受信するためのインターフェースである。
【0027】
制御部32は、乗降場所設定部321と、経路探索部322と、データベース作成部323と、分析部324と、を有している。制御部32の各部はサーバ3内のプロセッサが所定のプログラムを実行してソフトウェアによる処理がハードウェア資源を用いて具体的に実現されるものであってもよいし、実装されているハードウェア自身により実現されるものであってもよい。制御部32の各部の詳細は後述する。
【0028】
記憶部33は、経路ネットワークデータベース331と、フリー乗降区間利用データベース332と、を有する。
【0029】
なお、記憶部33は、例えばハードディスク、半導体メモリ(SSD等)などの記憶デバイスにより構成される。この記憶部33には、制御部32で実行されるプログラムや他のデータが記憶されてもよい。
【0030】
また、経路ネットワークデータベース331およびフリー乗降区間利用データベース332の少なくともいずれか一つは、ネットワークを介してサーバ3と通信可能に接続された別の情報処理装置内に設けられてもよい。
【0031】
経路ネットワークデータベース331は、経路探索部322が経路探索を実行する際などに使用される。この経路ネットワークデータベース331は、電車やバス等の公共交通機関の経路ネットワークを示す経路ネットワーク情報を含む。なお、鉄道やバス等の公共交通機関の他、車、自転車、徒歩の経路ネットワークを示す経路ネットワーク情報を含んでもよい。
【0032】
経路ネットワーク情報は、複数のノードと、複数のノード間を接続するリンクと、を含む。この経路ネットワーク情報には、交通ネットワーク情報が含まれる。交通ネットワーク情報は、鉄道やバス等の交通網や道路網を規定する情報であり、駅、バス停、路線、時刻表、料金などの公共交通機関に関する情報を含む。バスに関する交通ネットワーク情報は、バスネットワーク情報と呼ばれ、路線のどの部分がフリー乗降区間であるのかを示すフリー乗降区間情報を含む。
【0033】
また、経路ネットワークデータベース331は、徒歩ネットワーク情報を有している。
この徒歩ネットワーク情報を利用して、出発地からフリー乗降区間までの徒歩経路、またはフリー乗降区間から目的地までの徒歩経路が探索される。
【0034】
経路ネットワーク情報に含まれる情報のうち、バス交通網を規定する道路リンクおよびバス停については、フリー乗降区間に基づいてフリー乗降属性が付与される。具体的には、図2に示すように、フリー乗降区間内の道路リンクL1およびL2にはフリー乗降属性が付与される。ここで、道路リンクL1はノードN1とノードN2を接続するリンクであり、道路リンクL2はノードN2とノードN3を接続するリンクである。また、フリー乗降区間内のバス停S1およびS2にもフリー乗降属性が付与される。
【0035】
フリー乗降区間利用データベース332は、後述のデータベース作成部323により作成されるデータベースであり、乗降場所設定部321により設定された乗降場所のログデータを記憶する。なお、フリー乗降区間利用データベース332では、乗降場所設定部321により設定された乗降場所と、フリー乗降区間とが関連付けて記憶されてもよい。
【0036】
次に、制御部32の各部の詳細について説明する。
【0037】
乗降場所設定部321は、受付部221が受け付けた対象位置と、バス等の乗合車両のフリー乗降区間とに基づいて、フリー乗降区間内の乗降場所(仮停留所ノード)を設定する。
【0038】
乗降場所設定部321により設定される乗降場所は、例えば目的地に到達するために、移動時間や移動距離の観点から推奨されるフリー乗降区間内の乗降場所である。例えば、フリー乗降区間から目的地に徒歩移動する際に移動時間が最も短くなるフリー乗降区間内の降車場所が乗降場所設定部321により設定される。あるいは、出発地からフリー乗降区間に徒歩移動する際に移動時間が最も短くなるフリー乗降区間内の乗車場所が乗降場所設定部321により設定される。このように、乗降場所設定部321は、フリー乗降区間と対象位置との間の徒歩による移動コスト(例えば、距離や移動時間)が最小となる場所を乗降場所として設定する。なお、移動手段は徒歩に限られず、それ以外の移動手段(自転車、バイク等)であってもよい。
【0039】
経路探索部322は、経路ネットワークデータベース331を用いて移動経路を探索する。この経路探索部322は、受付部221により受け付けられた出発地および目的地と、乗降場所設定部321により設定された乗降場所とに基づいて、出発地から目的地までの移動経路を探索する。
【0040】
経路探索部322は、乗降場所設定部321により設定された乗降場所の前または後の停留所(例えばバス停)の時刻表に基づいて、乗降場所(仮停留所ノード)で乗車または降車する時刻を決定する。例えば、仮停留所ノードから乗車する場合、バスの進行方向に対して一つ手前のバス停への到着時刻を、仮停留所ノードを出発する時刻とする。一方、仮停留所ノードから降車する場合、バスの進行方向に対して一つ後のバス停への到着時刻を、仮停留所ノードに到着する時刻とする。ここでの到着時刻は、バス停の時刻表における時刻である。その他、経路探索部322は、バスロケーションシステムから取得可能なバスの現在位置に基づいて、仮停留所ノードに到着または出発する時刻を決定してもよい。
【0041】
データベース作成部323は、乗降場所設定部321により設定された乗降場所をフリー乗降区間利用データベース332に記憶する。なお、フリー乗降区間利用データベース332は、乗降場所設定部321により設定された乗降場所と、フリー乗降区間とを対応付けて記憶してもよい。
【0042】
なお、このフリー乗降区間利用データベース332は、ユーザ属性(年齢、性別等)、時間帯などの情報を乗降場所に関連付けて記憶してもよい。これにより、分析部324でより詳細な分析を行うことが可能になる。また、データベース作成部323は、端末装置2の現在位置情報を利用して、乗降場所設定部321により設定された乗降場所でユーザが実際にバスに乗降した場合に当該乗降場所をフリー乗降区間利用データベース332に記憶してもよい。これにより、より精度の高いログデータを蓄積することができる。
【0043】
分析部324は、データベース作成部323により作成されたフリー乗降区間利用データベース332に基づいて、フリー乗降区間に係る交通課題を分析する。交通課題としては、例えば、バス停の新設や位置の変更、フリー乗降区間の見直し等が挙げられる。
【0044】
<情報処理システム1の処理動作>
次に、上記のように構成された情報処理システム1による処理の一例について、図3A図3Cのフローチャートを参照しつつ以下に詳しく説明する。
【0045】
端末装置2の受付部221は、対象位置を受け付ける(ステップS11)。ここでは、対象位置は、出発地および目的地である。なお、出発地は、端末現在位置取得部223により取得された現在位置であってもよい。その後、端末装置2は、通信部21を介して対象位置情報をサーバ3に送信し(ステップS12)、サーバ3は、通信部31を介して対象位置情報を受信する(ステップS21)。
【0046】
サーバ3の制御部32は、対象位置周辺のバス停を探索する(ステップS22)。具体的には、経路ネットワークデータベース331の交通ネットワーク情報の一つであるバスネットワーク情報を参照することにより、対象位置周辺のバス停が探索される。図4(a)は、出発地Sから所定の範囲内にあるバス停が探索され、バス停S1およびS2が探索されたことを示している。なお、目的地の場合についても同様に、目的地周辺のバス停が探索される。
【0047】
そして、所定の範囲内にバス停がある場合(S23:Yes)、そのバス停がフリー乗降区間内にあるか否かを判定する(ステップS24)。この判定は、当該バス停にフリー乗降属性が付与されていれば、バス停がフリー乗降区間内にあると判定する。なお、対象位置周辺にバス停が無い場合は、制御部32の経路探索部322は、通常の経路探索を行い、出発地から目的地までの移動経路を取得する(ステップS27)。
【0048】
対象位置周辺のバス停がフリー乗降区間内に存在する場合(S24:Yes)、経路探索部322は、対象位置およびフリー乗降区間に基づいて徒歩到達圏探索を行い、徒歩経路を取得する(ステップS25)。この徒歩経路は、対象位置とフリー乗降区間との間を徒歩で移動する経路である。徒歩到達圏探索では、経路ネットワークデータベース331の徒歩ネットワーク情報を用いて、対象位置を基点とする徒歩経路が探索される。探索により得られた徒歩経路は徒歩リンクとして、経路ネットワークデータベース331に追加される。
【0049】
なお、対象位置周辺のバス停がフリー乗降区間内に存在しない場合(S24:No)、前述のステップS27に進み、通常の経路探索が行われる。
【0050】
ステップS25で徒歩経路が取得された後、サーバ3の制御部32は、徒歩経路およびフリー乗降区間に基づいて、仮停留所ノードを設定する(ステップS26)。ステップS26では、例えば、図4(b)に示すように、徒歩到達圏探索で取得された徒歩経路が、フリー乗降属性を有する道路リンクに初めて接する地点を仮停留所ノードPSとする。この仮停留所ノードPSは、実際のバス停ではなく、フリー乗降区間内の乗降場所を示すものである。なお、対象位置(出発地または目的地)とフリー乗降区間を直線で結んだときの接点を仮停留所ノードとしてもよい。この場合はステップS25の徒歩到達圏探索が不要となる。また、対象位置(出発地または目的地)がフリー乗降区間内に存在する場合も徒歩到達圏探索は不要である。
【0051】
サーバ3の制御部32は、仮停留所ノードが設定された後、仮停留所ノードに関するデータをバスネットワーク情報に追加する(ステップS28)。より詳しくは、バスネットワーク情報に含まれるバス停データに、仮停留所ノードを、その位置情報および時刻表情報とともに追加する。仮停留所ノードの位置情報は、例えば、徒歩到達圏探索で取得された徒歩経路が、フリー乗降属性を有する道路リンクに初めて接する地点を示す情報である。仮停留所ノードの時刻表情報は、例えば、仮停留所ノードの前または後のバス停の時刻表を用いる。この場合、図5に示すように、仮停留所ノードPSの前のバス停S1の時刻表、または仮停留所ノードPSの後のバス停S2の時刻表を仮停留所ノードPSの時刻表としてバスネットワーク情報に追加する。また、制御部32は、徒歩ネットワーク情報に、対象位置から仮停留所ノードまでの徒歩接続リンク情報を追加する。
【0052】
ステップS28の後、サーバ3の経路探索部322は、対象位置および仮停留所ノードに基づいて経路探索を行い、出発地から目的地までの移動経路を取得する(ステップS29)。これにより、仮停留所ノードでバスを乗降する移動経路が得られる。探索には、ステップS28で更新されたバスネットワーク情報や徒歩ネットワーク情報が用いられる。
【0053】
仮停留所ノードから乗車する場合、仮停留所ノードを出発する時刻は、バスの進行方向に対して一つ手前のバス停(図5の例ではバス停S2)への到着時刻と同時刻として移動経路を探索する。また、仮停留所ノードから降車する場合、仮停留所ノードに到着する時刻は、バスの進行方向に対して一つ後のバス停(図5の例ではバス停S1)への到着時刻と同時刻として移動経路を探索する。ここでの到着時刻は、バス停の時刻表における時刻である。
【0054】
ステップS29の後、サーバ3は、取得された移動経路情報を、通信部31を介して端末装置2に送信する(ステップS30)。
【0055】
端末装置2は、通信部21を介して、サーバ3から移動経路情報を受信する(ステップS13)。そして、端末装置2の情報出力部222は、ステップS13で取得された移動経路情報を出力部25に出力する(ステップS14)。図6は、端末装置2の出力部25に表示された画面の一例を示している。図6(a)は、出発地をHO駅北口、目的地をHN郵便局としたときの経路探索結果を示す画面である。この画面には、フリー乗降区間の降車位置から目的地までの徒歩経路を地図で確認するためのボタンBが表示されている。
図6(b)は、図6(a)のボタンBが選択された場合に表示される地図を示している。
この場合、端末装置2の画面には、バスに乗車したままHN郵便局の最寄りのバス停S1を通り過ぎ、HN郵便局の近くのフリー乗降区間F内で降車し、郵便局まで歩く移動経路が表示されている。これにより、フリー乗降区間を利用する移動経路をユーザに提供することができ、ユーザの利便性を向上させることができる。図6(b)では、地図上にフリー乗降区間と推奨降車位置が表示されている。
【0056】
上記の処理フローでは出発地から目的地までの移動経路が探索されたが、これに限られない。例えば、受付部221は、ユーザにより検索サイト等で検索された場所のみを受け付けてもよい。この場合、ステップS26で設定された仮停留所停ノードがサーバ3から端末装置2に送信され、出力部25を介して端末装置2のユーザに提示される。例えば、検索された場所の位置を示す地図上にフリー乗降区間と推奨降車場所が表示される。これにより、ユーザは興味のある場所を訪れるためにフリー乗降区間を利用できること、また、フリー乗降区間のどの地点で降車すればよいかについて容易に知ることができる。
【0057】
<降車案内>
出発地から目的地までの移動経路が探索された後、端末装置2の現在位置に基づいてユーザがバスを降車するタイミングを案内してもよい。この場合の処理フローの一例について、図7のフローチャートを参照して説明する。
【0058】
端末装置2の端末現在位置取得部223は、測位部23から位置情報を取得することにより、ユーザの現在位置を取得する(ステップS15)。そして、制御部22(例えば情報出力部222)は、現在位置が仮停留所ノードに接近したか否かを判定する(ステップS16)。すなわち、現在位置と仮停留所ノード間の距離が所定の距離よりも短いかどうかを判定する。あるいは、現在位置および基準停留所(仮停留所ノードの前または後のバス停)間の距離に基づいてバスの降車案内を行ってもよい。
【0059】
現在位置が仮停留所ノードに接近したと判定された場合(S16:Yes)、情報出力部222は、バスの降車案内を行う(ステップS17)。例えば、図8に示すように、「○○バス停を超えた後、△△メートル進んだ辺りで降車してください」などのメッセージを端末装置2の出力部25に表示する。なお、目印のなる建物等を基準に降車案内を行ってもよい。例えば、図9に示すように、「○○バス停を超えた後、XXがある辺りでお知らせください」と表示する。メッセージは、プッシュ通知されてもよいし、音声やバイブレーションでユーザに降車案内を行ってもよい。
【0060】
上記のように現在位置と仮停留所ノードに基づいて端末装置2のユーザに降車案内を行うことで、ユーザはフリー乗降区間の降車場所を適確に知ることができ、利便性をさらに向上させることができる。
【0061】
(第2の実施形態)
次に、本発明の第2の実施形態について説明する。本実施形態は、バスの現在位置を把握可能なバスロケーションシステムと連携し、ユーザにフリー乗降区間における乗車位置を案内する情報処理システムに関する。
【0062】
本実施形態に係る情報処理システム1Aは、図10に示すように、端末装置2、サーバ3、ネットワーク4およびバス5を備えている。端末装置2、サーバ3およびバス5はネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。
【0063】
端末装置2は、第1の実施形態と同様に、通信部21と、制御部22と、測位部23と、操作入力部24と、出力部25と、を有する。制御部22の受付部221は、対象位置として目的地を受け付ける。端末現在位置取得部223は、受付部221により受け付けられた目的地に到達するためにバスに乗車しようとするユーザの現在位置を取得する。
【0064】
サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。制御部32は、図10に示すように、乗降場所設定部321と、経路探索部322と、データベース作成部323と、分析部324と、乗合車両現在位置取得部325と、乗車場所探索部326と、を有する。乗降場所設定部321、経路探索部322、データベース作成部323および分析部324は第1の実施形態と同様であるので詳しい説明は省略する。
【0065】
乗合車両現在位置取得部325は、バス5の現在位置を取得する。具体的には、バスの現在位置を収集するバスロケサーバ(図示せず)にアクセスし、ユーザの現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定の一台または複数台のバスの位置を取得する。
【0066】
乗車場所探索部326は、ユーザの現在位置、バスの現在位置、およびフリー乗降区間に基づいて、フリー乗降区間内の乗車場所を探索する。例えば、経路ネットワークデータベース331の徒歩ネットワーク情報を用いて、乗合車両現在位置取得部325により位置情報を取得されたバス5がフリー乗降区間に達するまでにフリー乗降区間に到達可能な徒歩経路を探索する。そして、探索された徒歩経路がフリー乗降区間に接続する地点を乗車位置とする。
【0067】
端末装置2の情報出力部222は、乗車場所探索部326により探索され取得された乗車位置を、出力部25に出力する。これにより、乗車位置がユーザに提示する。
【0068】
<情報処理システム1Aの処理動作>
次に、上記のように構成された情報処理システム1Aによる処理の一例について、図11A図11Bのフローチャートを参照しつつ以下に詳しく説明する。
【0069】
端末装置2の端末現在位置取得部223は、測位部23から位置情報を取得することにより、ユーザの現在位置を取得する(ステップS31)。そして、端末装置2は、通信部21を介してサーバ3に現在位置情報を送信する(ステップS32)。そして、サーバ3は、通信部31を介して端末装置2の現在位置情報を受信する(ステップS41)。
【0070】
次に、サーバ3の乗合車両現在位置取得部325は、端末装置2の現在位置から徒歩で到達可能なフリー乗降区間を通過予定のバス5の現在位置を取得する(ステップS42)。
【0071】
次に、サーバ3の乗車場所探索部326は、バス5に乗車可能なフリー乗降区間内の乗車場所を探索する(ステップS43)。そして、サーバ3は、ステップS43で探索された乗車場所を示す乗車場所情報を、通信部31を介して端末装置2に送信する(ステップS44)。
【0072】
次に、端末装置2は、サーバ3から乗車位置情報を受信する(ステップS33)。そして、端末装置2の情報出力部222は、受信した乗車位置情報を出力部25に出力する(ステップS34)。図12は、端末装置2に表示された画面の一例を示している。この例は、HN郵便局で用事を済ませたユーザがフリー乗降区間Fでバスに乗車しようとする場合を示しており、符号P1で示される位置が推奨乗車位置として提示されている。
【0073】
本実施形態によれば、端末装置2のユーザは、自身の現在位置から乗車可能なバスのフリー乗降区間内の推奨乗車位置を容易に把握することが可能となる。よって、ユーザの利便性をさらに向上させることができる。
【0074】
(第3の実施形態)
次に、本発明に係る第3の実施形態について説明する。本実施形態は、ユーザにフリー乗降区間を提示するとともに、ユーザが希望する乗降場所を受け付ける入力ユーザインターフェースに関する。
【0075】
本実施形態に係る情報処理システム1Bは、図13に示すように、端末装置2、サーバ3、ネットワーク4およびバス5を備えている。端末装置2、サーバ3およびバス5はネットワーク4を介して互いに通信可能に接続されている。
【0076】
端末装置2は、第1の実施形態と同様に、通信部21と、制御部22と、測位部23と、操作入力部24と、出力部25と、を有する。端末装置2は、特定されたバスのフリー乗降区間をユーザに提示する。より詳しくは、端末装置2は、受付部221が受け付けた情報に基づいてバス(バス路線)を特定する。特定されるバスは、第1の実施形態で説明した経路探索により得られた移動経路で利用するものであってもよいし、あるいは、ユーザがバス時刻表から選択したものであってもよい。端末装置2は、特定したバスのフリー乗降区間をサーバ3から取得する。そして、制御部22の情報出力部222は、取得したフリー乗降区間情報を出力部25に出力する。これにより、ユーザはバスのフリー乗降区間を把握する。
【0077】
受付部221は、ユーザが乗降を希望する場所(以下単に「希望乗降場所」ともいう。)を受け付ける。この場所は、フリー乗降区間内の場所であってもよいし、フリー乗降区間以外の場所であってもよい。受け付けた希望乗降場所を示す情報は、通信部21を介してサーバ3に送信される。
【0078】
なお、本実施形態では、端末装置2は、ユーザが携帯する端末に限られず、バス5の座席背面に取り付けられる等、バス5内に設置されたものであってもよい。この場合、当該バスのフリー乗降区間が端末装置2に表示される。
【0079】
サーバ3は、通信部31と、制御部32と、記憶部33とを有する。制御部32は、図13に示すように、データベース作成部327と、分析部328と、通知部329と、を備えている。
【0080】
データベース作成部327は、端末装置2から受信した希望乗降場所を希望乗降場所データベース333に記憶する。希望乗降場所データベース333には、端末装置2から受信した希望乗降場所と、フリー乗降区間とが対応付けて記憶されてもよい。なお、この希望乗降場所データベース333は、ユーザ属性(年齢、性別等)、時間帯などの情報を乗降場所に関連付けて記憶してもよい。
【0081】
分析部328は、データベース作成部327により作成された希望乗降場所データベース333に基づいて、フリー乗降区間に係る交通課題を分析する。交通課題としては、例えば、バス停の新設や位置の変更、フリー乗降区間の見直し等が挙げられる。
【0082】
通知部329は、端末装置2の受付部221が希望乗降場所としてユーザから降車場所を受け付けた場合、受け付けた降車場所をバスの運転手に通知する。具体的には、通知部329は、ユーザが希望する降車場所をバス5の運転台に設けられた端末(図示せず)に送信する。
【0083】
本実施形態によれば、ユーザは、フリー乗降区間を把握するとともに、希望する乗降場所を入力することができる。また、希望乗降場所が記憶されたデータベースに基づいて交通課題を分析することができる。
【0084】
以上、本発明に係る3つの実施形態について説明した。
【0085】
上記の実施形態では、バスを乗合車両の例として説明したが、本発明は道路に沿って所定の経路を移動する他の乗合車両についても適用可能である。例えば、乗合車両は、スマートフォンのアプリ等を用いて利用される相乗りタクシー、あるいは、時刻表に依らず、所定の経路(周回経路など)に沿って運行し続ける自動運転バス等でもよい。
【0086】
乗合車両が相乗りタクシーの場合、所定の経路は、バス路線のように事前に決められたものではなく、乗客ごとの目的地がそれぞれ設定された時点で定まる経路(タクシー移動経路)である。タクシー移動経路には、フリー乗降区間に相当する区間、すなわち、自由に降車可能な区間が設定される。この区間は、例えば、目的地が含まれるエリアの入り口(大通りの交差点等)、あるいは目的地近くの地点(コンビニエンスストア等の店舗、役所等)を含むように端末装置またはサーバにより設定される。これにより、相乗りタクシーの乗客は設定された区間で降車することができるようになる。その結果、自宅等の目的地が同乗者に判明することでプライバシーが損なわれること等の事態を回避することができる。
【0087】
なお、図1図10および図13に示す情報処理システムの構成は一例であり、サーバ3内の構成要件の少なくとも一部がそれぞれ端末装置2内にあってもよい。例えば、サーバ3内の記憶部33および制御部32を端末装置2内に設けて、通信をすることなく端末装置2のみでフリー乗降区間を利用する移動経路をユーザに提供可能な情報処理装置を構成してもよい。
【0088】
また、上述した実施形態で説明した情報処理システムの少なくとも一部は、ハードウェアで構成してもよいし、ソフトウェアで構成してもよい。ソフトウェアで構成する場合には、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムをフレキシブルディスクやCD-ROM等の記録媒体に収納し、コンピュータに読み込ませて実行させてもよい。記録媒体は、磁気ディスクや光ディスク等の着脱可能なものに限定されず、ハードディスク装置やメモリなどの固定型の記録媒体でもよい。
【0089】
また、情報処理システムの少なくとも一部の機能を実現するプログラムを、インターネット等の通信回線(無線通信も含む)を介して頒布してもよい。さらに、同プログラムを暗号化したり、変調をかけたり、圧縮した状態で、インターネット等の有線回線や無線回線を介して、あるいは記録媒体に収納して頒布してもよい。
【0090】
さらに、一つまたは複数の情報処理装置によって情報処理システムを機能させてもよい。複数の情報処理装置を用いる場合、情報処理装置のうちの1つをコンピュータとし、当該コンピュータが所定のプログラムを実行することにより情報処理システムの少なくとも1つの手段として機能が実現されてもよい。
【0091】
上記の記載に基づいて、当業者であれば、本発明の追加の効果や種々の変形を想到できるかもしれないが、本発明の態様は、上述した個々の実施形態に限定されるものではない。特許請求の範囲に規定された内容及びその均等物から導き出される本発明の概念的な思想と趣旨を逸脱しない範囲で種々の追加、変更及び部分的削除が可能である。
【符号の説明】
【0092】
1,1A,1B 情報処理システム
2 端末装置
21 通信部
22 制御部
221 受付部
222 情報出力部
223 端末現在位置取得部
23 測位部
24 操作入力部
25 出力部
3 サーバ
31 通信部
32 制御部
321 乗降場所設定部
322 経路探索部
323 データベース作成部
324 分析部
325 乗合車両現在位置取得部
326 乗車場所探索部
327 データベース作成部
328 分析部
329 通知部
33 記憶部
331 経路ネットワークデータベース
332 フリー乗降区間利用データベース
333 希望乗降場所データベース
4 ネットワーク
5 バス
B ボタン
F フリー乗降区間
L1,L2 道路リンク
N1,N2,N3 ノード
PS 仮停留所ノード
P1 乗車位置
RW 徒歩経路
S1,S2 バス停
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11A
図11B
図12
図13