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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】脱気シール
(51)【国際特許分類】
   B65D 81/34 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B65D81/34 U
【請求項の数】 6
(21)【出願番号】P 2023139607
(22)【出願日】2023-08-30
【審査請求日】2023-10-27
(73)【特許権者】
【識別番号】390016263
【氏名又は名称】株式会社友功社
(74)【代理人】
【識別番号】100218062
【弁理士】
【氏名又は名称】小野 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】大野 正明
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】特許第7132558(JP,B1)
【文献】特開2016-120955(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0023478(US,A1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 81/34
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
基材と、該基材の下面側全面に設けられた接着層と、
該接着層の下面側の外縁より内側に設けられた非接着層と、
該非接着層に隣接して形成された、前記接着層の接着剤が透過し、前記接着層の接着強度より弱い接着強度を有する接着剤透過層と、
前記基材、前記接着層及び前記接着剤透過層を貫通して設けられた、水蒸気を放出可能な通気部と、
前記接着層、非接着層及び接着剤透過層の下面側に、外縁上面側が前記接着層の下面側に接着されるとともに、前記非接着層及び前記接着剤透過層の下面側全面及び前記通気部を覆うように、かつ、前記非接着層の下面側全面に接着しない状態で設けられた、水蒸気の熱により収縮する樹脂フィルムとを備え、
前記樹脂フィルムの収縮に伴い、該樹脂フィルムの外縁上面側が前記接着層の下面側から剥離し、前記接着剤透過層を経て前記非接着層の領域に達し、前記通気部の通気を可能にするとともに、前記通気部が設けられた前記接着剤透過層が接着性を保持していることを特徴とする脱気シール。
【請求項2】
前記接着剤透過層が、非接着層の外縁部がパターン状の穿孔により形成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱気シール。
【請求項3】
前記接着剤透過層が、パターンコートにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱気シール。
【請求項4】
前記樹脂フィルムの下面側に、前記接着層の接着強度より弱い接着強度の仮接着層が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脱気シール。
【請求項5】
前記接着層及び、前記樹脂フィルムの下面側にセパレーターが設けられていることを特徴とする請求項1に記載の脱気シール。
【請求項6】
前記通気部が、略円形、略楕円形、円弧状、十字型のいずれか、又はこれらの組み合わせにより形成されていることを特徴とする請求項1に記載の脱気シール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、脱気シールに関するものであり、詳しくは、電子レンジ加熱容器の蓋に設けられた通気口部分に添付する脱気シールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、コンビニエンスストア等で販売される弁当等の調理済み食品において、電子レンジにそのまま投入して加熱調理できる、所謂レンジアップ商品が販売数量を伸ばしている。そして、これらのレンジアップ商品は、通常、調理済み食品と容器本体及び蓋から構成され、容器内に調理済み食品が封入された状態で販売されている。
【0003】
上記の調理済み食品は、購入者が家の電子レンジ等で温め直して食したり、コンビニエンスストアで温めて食するのが一般的であるが、水分量の多い食材を含む商品の場合、加熱により容器内で水分が蒸発して水蒸気が発生する。この際、密閉された容器では、発生した水蒸気により蓋が変形するなどの虞があるため、蓋にU字状やV字状の舌片状の通気口を形成した蓋が用いられている。また近年では、加熱時にのみ開口するレーザー加工等により形成された微細な溝やドットが形成された蓋も開発されている。
【0004】
一方、上記の容器の蓋に設けられた通気口の排気効率は良好であるが、他方で、舌片状の通気口に間隙が生じて、販売時にその隙間から異物が混入したり、加熱後に容器を傾けたり逆さまにした場合に開口したスリットや孔から液体の内容物が漏れ出すといった問題が指摘されていた。
【0005】
このような問題に対して、本出願人はこれまでに、容器の蓋に設けられた通気口部分に添着して、水蒸気の発生時にのみ開口して水蒸気を容器外に放出することができ、加熱後に水蒸気や液体内容物の漏出を防止できる脱気シールを提案している(特許文献1)。
【0006】
この提案の脱気シールは、基材の下面側全面に設けられた接着層と、接着層の下面側の外縁より内側に設けられた非接着層と、基材、接着層及び非接着層を貫通して設けられた、水蒸気を放出可能な通気部と、接着層及び非接着層の下面側に、通気部を覆うように水蒸気の熱により収縮する樹脂フィルムを備えており、加熱による樹脂フィルムの収縮に伴い、通気部の通気を可能とするとともに、加熱後に添着する被覆シールを備えたものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【文献】特許第7132558号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
そして、上記構成とすることにより、電子レンジ加熱用包装容器の蓋に設けられた通気口の表面に添着することにより異物の混入を防止するとともに、層構造を単純化することにより製造を容易としてコストを抑えることができ、蓋からの蒸気や湯水の漏出を防止できる点で非常に優れたものである。
【0009】
一方で、加熱後に蓋からの蒸気や湯水の漏出を防止するために、被覆シールにより通気部を覆う構成であるため、脱気シールと被覆シールをセットとしたり、添着の工程が必要となる点において改良の余地を残すものであった。
【0010】
本発明は、かかる背景に鑑みてなされたものであり、電子レンジ加熱用包装容器の蓋に設けられた通気口の表面に添着するシールにおいて、異物の混入を防止するとともに、加熱後に容器を傾けたり逆さまにした場合であっても、当該シール以外の部材を用いることなく簡単に液体の内容物の漏出を防止することが可能な脱気シールを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によれば、以下に示す脱気シールが提供される。
第1に、本発明の脱気シールは、基材と、該基材の下面側全面に設けられた接着層と、
該接着層の下面側の外縁より内側に設けられた非接着層と、
該非接着層に隣接して形成された接着剤透過層と、
前記基材、前記接着層及び前記接着剤透過層を貫通して設けられた、水蒸気を放出可能な通気部と、
前記接着層、非接着層及び接着剤透過層の下面側に、外縁上面側が前記接着層の下面側に接着されるとともに、前記非接着層及び前記接着剤透過層の下面側全面及び前記通気部を覆うように、かつ、前記非接着層の下面側全面に接着しない状態で設けられた、水蒸気の熱により収縮する樹脂フィルムとを備え、
前記樹脂フィルムの収縮に伴い、該樹脂フィルムの外縁上面側が前記接着層の下面側から剥離し、前記接着剤透過層を経て前記非接着層の領域に達し、前記通気部の通気を可能にするとともに、前記通気部が設けられた前記接着剤透過層が接着性を保持していることを特徴とする。
第2に、前記第1の発明の脱気シールにおいて、前記接着剤透過層が、非接着層の外縁部がパターン状の穿孔により形成されていることが好ましい。
第3に、前記第1又は第2の発明の脱気シールにおいて、前記接着剤透過層が、パターンコートにより形成されていることが好ましい。
第4に、前記第1から第3の発明の脱気シールにおいて、前記樹脂フィルムの下面側に、前記接着層の接着強度より弱い接着強度の仮接着層が設けられていることが好ましい。
第5に、前記第1から第4の発明の脱気シールにおいて、前記接着層及び、前記樹脂フィルムの下面側にセパレーターが設けられていることが好ましい。
第6に、前記第1から第5の発明の脱気シールにおいて、前記通気部が、略円形、略楕円形、円弧状、十字型のいずれか、又はこれらの組み合わせにより形成されていることが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の脱気シールによれば、電子レンジ加熱用包装容器の蓋に設けられた通気口の表面に添着するシールにおいて、異物の混入を防止するとともに、加熱後に容器を傾けたり逆さまにした場合であっても、当該シール以外の部材を用いることなく簡単に液体の内容物の漏出を防止することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態の脱気シールを示す概略上面視図である。
図2図1に示す実施形態の脱気シールのA-A概略断面図である。
図3】脱気シールの動作機序を説明するための概略断面図であり、(A)は蓋に添着した加熱前の状態、(B)は加熱後、蓋の通気口から水蒸気が放出した状態、(C)は樹脂フィルムが収縮して水蒸気が基材表面から放出した状態を示している。
図4】加熱後の脱気シールの処理手順を説明するための概略断面図であり、(A)は加熱後に脱気シールを上方から押圧する状態を示し、(B)は接着剤透過層が蓋に接着した状態を示している。
図5】基材の形状、通気部の形状のバリエーションを示す概略上面視図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明に係る脱気シールの実施形態について図面を用いて詳細に説明する。図1は、実施形態の脱気シールを示す概略上面視図であり、図2は、図1に示す実施形態の脱気シールのA-A概略断面図である。
【0015】
本発明の実施形態の脱気シールは、基材2と、基材2の下面側全面に設けられた接着層21と、接着層21の下面側の外縁より内側に設けられた非接着層22と、非接着層22に隣接して形成された接着剤透過層23と、基材2、接着層21及び接着剤透過層23を貫通して設けられた通気部3と、接着層21、非接着層22及び接着剤透過層23の下面側に、非接着層22及び接着剤透過層23の下面側全面及び通気部3を覆うように設けられた、水蒸気の熱により収縮する樹脂フィルム4とを備えている。
【0016】
(基材)
基材2は、適度な強度を有するものであれば特に限定されるものではなく、例えば、通常の粘着テープに使用される樹脂フィルムや紙製等の材質のものを用いることができる。樹脂フィルム基材としては、例えば、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)等からなる樹脂フィルム基材、また、その他の合成樹脂フィルム基材を例示することができる。また、紙基材としては、例えば、コート紙、上質紙、再生紙等、種々の種類の紙類、又はこれらの積層体からなる紙基材を例示することができる。これらの中でも、強度や取扱性等の観点からポリエチレンテレフタレート(PET)樹脂フィルム基材を好適に用いることができる。また、基材2の厚みは、加熱により容易に変形、収縮しない範囲で適宜決定することができる。
【0017】
(接着層)
本実施形態の脱気シール1においては、基材2の下面側全面に接着層21が設けられている。接着層21を構成する接着剤は、蓋の表面に強力に接着が可能な、通常のシールに用いられる接着剤であれば特に限定されることなく用いることができる。具体的には、熱により軟化する特性を有するものが好ましく、例えば、アクリル系接着剤、ゴム系接着剤、ホットメルト系接着剤等の接着剤を例示することができる。これらの中でも特にアクリル系接着剤を好適に用いることができる。
【0018】
なお、接着層の接着強度は、部分的に異なるように設定するのが好ましい。例えば、図1の実施形態では、樹脂フィルム4の外縁部との接着部分である接着層21Aの部分よりも接着層21Bの部分を強力に設定しておくことが考慮される。これにより、樹脂フィルム4の熱による収縮時の接着層21からの離脱状態を制御することが可能となる。具体的には、樹脂フィルム4は、接着強度が弱い接着層21Aから、剥離、離脱して収縮し、接着強度が強い接着層21B側に保持される。
【0019】
(非接着層)
また、本実施形態の脱気シール1では、接着層21の下面側で、かつ、接着層21の外縁より内側の領域に非接着層22が設けられている。非接着層22は、後述する樹脂フィルム4と接着層21とが接着しないように、所謂糊殺しとして設けられる層である。
【0020】
非接着層22を構成する材料としては、上記の条件を満足すれば特に限定されるものではないが、例えば、インキ、樹脂、フィルム等を例示することができる。これらの中でも樹脂が好ましく、特にUV硬化型樹脂を好適に用いることができる。
【0021】
(接着剤透過層)
本実施形態の脱気シール1では、接着層21の下面側で、かつ、接着層21の外縁より内側の領域で、さらに非接着層22に隣接する位置に、接着層の接着剤が透過し、接着層の接着強度より弱い接着強度を有する接着剤透過層23が形成されている。接着剤透過層23の材質は非接着層22と同じものでよく、形態は、接着剤透過層23を上下面に貫通する微細孔、あるいはメッシュ状に形成されており、接着層21を形成する接着剤の一部が浸透、透過してその接着性の一部が下面側に表出することにより適度な接着性を有している。下面側表面の接着性の強度は、貫通する微細孔の大きさや数、また、メッシュの形状や目の粗さ等により適宜調整することができる。なお、この適度な接着性は、下面側に介在する樹脂フィルム4の収縮を阻害しない程度の接着性を意味する。また、貫通する微細孔やメッシュ状は、パターンコートにより形成することが好ましい。
【0022】
(通気部)
基材2、接着層21及び接着剤透過層23が積層されている部分には、基材2の上面と接着剤透過層23の下面を貫通する通気部3が設けられている。通気部3の形状や大きさは、適用する容器の蓋7に設けられている通気口71の形態や大きさ等に応じて適宜設定することができ、例えば、切込み、スリット、貫通孔、メッシュ等種々の形状とすることができる。これらの中でも、成形の容易性等を考慮した場合、切込みが好ましく、特に図1に示すような円弧を含む形状のほか、図5(A)に示す略円形や、図5(B)に示すような略楕円状、図5(C)に示す円弧状、図5(D)に示す十字型、またはこれらの組み合わせの形状の切込みとすることができる。
【0023】
(樹脂フィルム)
さらに、接着層21及び非接着層22の下面側には、水蒸気の熱により収縮する樹脂フィルム4が設けられている。樹脂フィルム4は、外縁上面側が接着層21に接着され、また、非接着層22、接着剤透過層23及び通気部3を覆うように、接着剤透過層23の下面側に強固に接着しない状態、かつ、非接着層22の下面側に接着しない状態で設けられている。
【0024】
樹脂フィルム4は、一般にシュリンクフィルムとも呼ばれるものであり、熱により収縮する特性を有するものであれば限定されるものではなく、例えば、熱収縮性を有するポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリプロピレン(PP)、ポリ塩化ビニル(PVC)等の樹脂フィルム等を例示することができる。また、本発明で用いる樹脂フィルム4は、全体に均一に収縮するもののほか、縦方向と横方向の収縮率が異なる特性を有するものが好ましい。縦横方向の収縮率が異なる樹脂フィルム4を用いることにより、収縮後に接着層21との接着部が部分的に残り、樹脂フィルム4の脱落を防止することが可能となる。
【0025】
樹脂フィルム4の収縮率は、基本的には基材2の収縮率よりも大きいものであれば特に限定されないが、例えば、常温時から100℃に加熱した場合の収縮率が20~60%程度、好ましくは30~50%程度のものが考慮される。
【0026】
上記本実施形態の脱気シール1の製造に関しては、基材2の下面側の所定の領域に接着層21、接着剤透過層23及び非接着層22を成形し、通気部3を形成した後、その下面側の所定の位置に樹脂フィルム4を添着する工程のみで製造できるため、非常にシンプルかつ低コストで製造することが可能である。
【0027】
また、本実施形態の脱気シール1においては、図1図2に示すように、樹脂フィルム4の下面側に接着層21の接着強度より弱い接着強度の仮接着層41を設けることができる。樹脂フィルム4の下面側に仮接着層41を設けることにより、種々の形状の容器の蓋7に対して安定して添着することができる。
【0028】
さらに、本実施形態の脱気シール1は、予め容器の蓋7に設けられた通気口71の表面に添着した状態で提供されてもよいが、シールの形態として、購入者が温め時直前に添着するように提供することもできる。この場合には、接着層21の下面側にセパレーター5(剥離紙)を設けるのが好ましい。セパレーター5を設けることにより、脱気シール1を使用するときに、セパレーター5から剥がして添着して用いることが可能となる。
【0029】
以下に、本実施形態の脱気シール1の使用時(加熱時)における動作機序について図3(A)~(C)を、加熱後の処理手順について図4(A)、(B)を用いて説明する。まず、図3(A)に示すように、レンジアップ商品等の容器の蓋7の表面に設けられている通気口71を覆うように脱気シール1を添着する。この際、通気口71が樹脂フィルム4の下面に位置するように添着する。ここで、蓋7に設けられている通気口71の形態は、スリットが形成された舌片状の通気口であっても、加熱時のみに開口するレーザー等により形成された溝状、ドット状の通気口であっても構わない。
【0030】
そして、その状態で電子レンジで加熱すると、容器内の食品の水分が蒸発し、図3(B)に示すように、水蒸気6が通気口71を通過して蓋7の上面側に放出され、脱気シール1の樹脂フィルム4の下面側に当たる。これにより樹脂フィルム4が加熱されて収縮を開始する。この際、樹脂フィルム4の外縁部を固定している接着層21も水蒸気6により加熱されて軟化するため、樹脂フィルム4の外縁部は、収縮力により接着層21から離脱する。なお、樹脂フィルム4の外縁部と接着層の接着部分である接着層21Aの部分よりも接着層21Bの部分を強力に設定しておくことにより、樹脂フィルム4は接着層21Aの部分から脱離し、接着層21Bの部分に保持される。
【0031】
水蒸気6の熱により樹脂フィルム4の収縮がさらに進行すると、図3(C)に示すように、樹脂フィルム4は接着剤透過層23を経て非接着層22の領域に達して通気部3が露出して通気可能な状態となる。そして、水蒸気6は基材2、接着層21及び接着剤透過層23を貫通して設けられた通気部3を通って基材2上面に放出される。これにより、脱気シール1の添着による初期の密閉状態から、加熱により初めて水蒸気6が蓋7の外に放出されることになる。
【0032】
なお、加熱が終了して、例えば、加熱調理後に容器を傾けたり逆さまにしてしまった場合に液状の内容物が通気部から漏出して周囲を汚したり、使用者が漏出した液体等により火傷を負う危険性がある。本発明の脱気シール1では、このような状況を考慮して脱気シール1以外の部材を用いることなく容易に液体等の漏出の防止を可能としている。以下に漏出防止の処理手順を説明する。
【0033】
まず、加熱後、通気部から水蒸気の放出が終了した段階で、図4(A)に示すように、脱気シール1の特に通気部の部分を上方から矢印の方向に押圧する。すると、図4(B)に示すように、通気部の最下部に設けられた、適度な接着性を有する接着剤透過層23が蓋の上面に接触して接着する。そして、これにより通気部3は閉じられて液体の漏れ出しを防止することができる。
【0034】
以上、本発明の脱気シールを実施形態に基づいて説明したが、本発明の脱気シールは上記の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更が可能である。
【0035】
例えば、上記図1図4に示す実施形態の及び脱気シール1では、上面視で基材2の形状を正方形としているが、形状はこれに限定されず、例えば、図5(A)、(C)、(D)に示すような円形や、図5(B)に示す楕円形等とすることもできる。
【0036】
また、基材2や樹脂フィルム4は透明でよいが、着色された透明や、不透明であっても構わない。また、基材2表面には文字や図柄が印刷されていてもよい。
【0037】
上記構成の本発明の脱気シール1によれば、異物の混入を防止するとともに、加熱後に容器を傾けたり逆さまにした場合であっても、脱気シール1以外の部材を用いることなく簡単に液体の内容物の漏出を防止することが可能となる。
【符号の説明】
【0038】
1 脱気シール
2 基材
21 接着層
22 非接着層
23 接着剤透過層
3 通気部
4 樹脂フィルム
41 仮接着層
5 セパレーター
6 水蒸気
7 蓋
71 通気口
【要約】
【課題】 電子レンジ加熱用包装容器の蓋に設けられた通気口の表面に添着するシールにおいて、異物の混入を防止するとともに、加熱後に容器を傾けたり逆さまにした場合であっても、当該シール以外の部材を用いることなく簡単に液体の内容物の漏出を防止することが可能な脱気シールを提供する。
【解決手段】 基材と、該基材の下面側全面に設けられた接着層と、該接着層の下面側の外縁より内側に設けられた非接着層と、該非接着層に隣接して形成された接着剤透過層と、基材、接着層及び接着剤透過層を貫通して設けられた、水蒸気を放出可能な通気部と、接着層、非接着層及び接着剤透過層の下面側に、外縁上面側が接着層の下面側に接着されるとともに、非接着層及び接着剤透過層の下面側全面及び通気部を覆うように、かつ、非接着層の下面側全面に接着しない状態で設けられた、水蒸気の熱により収縮する樹脂フィルムとを備えることを特徴とする。
【選択図】図2
図1
図2
図3
図4
図5