IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社マスダックの特許一覧

<>
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図1
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図2
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図3
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図4
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図5
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図6
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図7
  • 特許-ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置 図8
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ガスバーナ及びそれを用いた加熱装置
(51)【国際特許分類】
   F23D 14/58 20060101AFI20240913BHJP
   A21B 1/33 20060101ALI20240913BHJP
   F24C 3/08 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F23D14/58 D
A21B1/33
F24C3/08 Z
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2023197081
(22)【出願日】2023-11-21
【審査請求日】2024-03-19
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】000191157
【氏名又は名称】株式会社マスダック
(74)【代理人】
【識別番号】110000051
【氏名又は名称】弁理士法人共生国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】早野 武志
(72)【発明者】
【氏名】檀上 智美
(72)【発明者】
【氏名】大舘 邦幸
【審査官】河野 俊二
(56)【参考文献】
【文献】特開昭52-118638(JP,A)
【文献】英国特許出願公告第00338806(GB,A)
【文献】米国特許第06015101(US,A)
【文献】特開昭49-119233(JP,A)
【文献】特開昭49-119234(JP,A)
【文献】特開平07-167427(JP,A)
【文献】特開平07-042918(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F23D 14/58
A21B 1/33
F24C 3/08
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部から供給気体を受ける受け入れ室と、受け入れた供給気体を区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給する流量調節管とを有するガスバーナであって、
前記流量調節管は、
一端が開口し他端が閉塞し長手方向に沿って複数の気体供給口を備える外周管と、
外周管の内部空間を長手方向に第1区間~第n区間(nは3以上の自然数)に分割する(n-1)個の仕切り板と、
受け入れ室から第2区間~第n区間のそれぞれに途中の仕切り板を貫通して個別に供給気体を供給する(n-1)本の内蔵管と、
受け入れ室との境界部にあって各内蔵管の一端及び第1区間に供給気体を供給するための個別の開口部を有するキャップ材と、
キャップ材の開口部の開口面積を調節してそれぞれの開口部を流れる供給気体の流量を調節する流量調節手段と、
着火手段と、を備え、
前記(n-1)本の内蔵管は、前記複数の気体供給口と反対方向を向くように複数の吹き出し口を備え、
前記(n-1)個の仕切り板の内の少なくとも1つは前記外周管の長手方向に沿って移動可能に設置され、
前記複数の吹き出し口は、前記移動可能な仕切り板の想定される可動範囲内には位置しないか、可動範囲内に位置する場合は仕切り板の備えるスリーブにより開口部の露出の有無が制御されるように設けられ、
流量調節手段により第1区間~第n区間に流れる供給気体の流量を個別に調節して区間ごとに火力を調節可能であることを特徴とするガスバーナ。
【請求項2】
請求項1に記載のガスバーナを備えることを特徴とする加熱装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、気体流量調節装置の一形態としてのガスバーナ及びそれを用いた加熱装置に関し、特に長手方向に沿って複数に分割された区間を有し、区間ごとに流量を調節可能な流量調節管を備え、必要な場所に必要な量の供給気体(燃焼ガス)を供給することができるガスバーナ及びそれを用いた加熱装置に関する。
【背景技術】
【0002】
食品の製造工程において、食材を焼成するオーブンや食材を蒸す蒸し器などの加熱装置が多く使用されている。一例として、食材を焼成するオーブンにおいては、量産用の製造ラインの加熱装置として、ベルト搬送などにより複数列に配置した食材を、一定方向に搬送しながらトンネル状の加熱エリアを通過させて加熱する方式のトンネルオーブンが多く使用される。
【0003】
こうした搬送を伴う加熱装置では、一定方向に長い棒状のガスバーナを搬送装置による食材の搬送方向と直交する方向で搬送方向に複数本並べて配置する加熱構造がとられることが多い。この場合ガスバーナの火力が長手方向で均一だと、搬送方向に向かって中央付近はトンネル内の温度が高く、トンネル壁に近い両端部では温度が低くなりやすい傾向がある。そのため、搬送方向と直交する方向に並ぶ1列の食材に着目すると、中央付近の食材に比べ、両端部に近い部分に位置する食材は加熱不足になりやすい。逆に両端部に近い部分に位置する食材の加熱状態を適正にする火力に調節すると、中央付近の食材に熱が過剰に加わってしまう。
【0004】
そこで加熱装置、特に一度に多くの食材を加熱処理する量産用の加熱装置では、食材の加熱状態が食材ごとにムラにならないよう、加熱エリア内の温度分布を一定の範囲内に制御することが重要となる。このような加熱エリア内の温度のばらつきを低減する必要があるのはオーブンに限らず、蒸し器も同様である。
加熱エリア内の温度のばらつきを低減する方法として、加熱エリア内の温度の上がりにくい場所を部分的に強く加熱する方法や、加熱自体は均一に行っても温度の高い部分の空気を加熱エリア内に分散させるよう効率的な対流を生じさせる方法などが挙げられる。
【0005】
加熱エリア内を部分的に強く加熱するための技術として、特許文献1には、菓子生地類を連続して移動する移動軌道の一部の上方及び又は下方に、移動軌道の進行方向に対し、直角に所定の間隔を置いて、ガスバーナを配設し、このガスバーナは燃焼ガス等の流通経路を具えるバーナ本体の長手方向に沿って、燃焼ガス等の噴出部を形成し、このバーナ本体の外側に、噴出部のうちの少なくとも一部のところで燃焼ガス噴出部分の面積を制御させるよう開閉手段を設けた連続菓子焼成装置が開示されている。
【0006】
また特許文献2には、燃焼管の表面に複数の炎口が設けてあり、燃焼管の内部は区画されて複数のガス通気道が形成され、このガス通気道によって炎口は複数の炎口群に区分してあり、各ガス通気道内に送る燃焼用ガスの流量を調節して燃焼管に於ける燃焼を制御するようにした、ガスバーナの燃焼制御方法が開示されている。
【0007】
特許文献1に記載の連続菓子焼成装置によれば、中央部より両端部の炎を強くして焼きムラを生じさせずに、菓子生地を均一に焼成することが期待される。しかし調節方法は両端部の火力調節が一体のリング材で同時に調節されるため、調節パターンが決まっており、個別に細かく調節することはできない。また火力を調節するための目盛り等の記載もないため調節の再現性が乏しいという課題もある。
【0008】
特許文献2に記載のガスバーナの燃焼制御方法によれば、ガスバーナの火力は手元でつまみにより調節ができ、つまみの周囲には目盛りが備えられるので、調節の再現性が得やすい。しかし、特許文献2に記載の発明は炉内の温度分布のばらつき改善を目的としたものではないため、ガスバーナの調節は手前側と奥側の2区間であり、3区間以上の場合については記載されていない。
【0009】
一方、対流を生じさせる技術としては、特許文献3が挙げられる。特許文献3には、ガスバーナを備えた焼成室と、焼成室を通過するように被焼成物を搬送するためのコンベアとを備えるパンまたは菓子焼成用のトンネル式オーブンであって、焼成炉の外部に設けた吸入口から取り入れた炉外の空気を、有圧送風機を経て焼成室に噴出する小孔を備える空気噴出用チューブを有する対流加熱装置を、被焼成物の搬送方向に向かって複数備えるトンネル式オーブンが開示されている。
【0010】
特許文献3に記載の発明によれば、焼成炉内に噴出される空気により、焼成炉内の空気が攪拌され焼成炉内の温度のばらつきが低減することが期待される。しかし空気噴出用チューブは、コンベアの被焼成物の搬送方向にほぼ直交するように焼成室を横断して設けられるが、噴出用小孔は所定の間隔で設けられ、空気噴出用チューブの長手方向に対しては均一な噴出を行うのみである。このため対流の状況を調節することが難しいという課題が残る。
そこでガスバーナとしての燃焼ガスの供給にしても、加熱装置内に対流を生じさせるための空気の供給にしても、加熱装置の中の搬送方向に直交する方向において容易に供給気体の流量調節が可能な気体流量調節装置、特にガスバーナの提供が望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【文献】実全昭55-157886号公報
【文献】特開平7-42918号公報
【文献】特開2013-165685号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、上記気体流量調節装置及びそれを用いた加熱装置における問題点に鑑みてなされたものであって、本発明の目的は、外部から受けた供給気体を流量調節管により区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給することができる気体流量調節装置、特にガスバーナ及びそれを用いた加熱装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0013】
上記目的を達成するためになされた本発明によるガスバーナは、外部から供給気体を受ける受け入れ室と、受け入れた供給気体を区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給する流量調節管とを有するガスバーナであって、前記流量調節管は、一端が開口し他端が閉塞し長手方向に沿って複数の気体供給口を備える外周管と、外周管の内部空間を長手方向に第1区間~第n区間(nは3以上の自然数)に分割する(n-1)個の仕切り板と、受け入れ室から第2区間~第n区間のそれぞれに途中の仕切り板を貫通して個別に供給気体を供給する(n-1)本の内蔵管と、受け入れ室との境界部にあって各内蔵管の一端及び第1区間に供給気体を供給するための個別の開口部を有するキャップ材と、キャップ材の開口部の開口面積を調節してそれぞれの開口部を流れる供給気体の流量を調節する流量調節手段と、着火手段と、を備え、前記(n-1)本の内蔵管は、前記複数の気体供給口と反対方向を向くように複数の吹き出し口を備え、前記(n-1)個の仕切り板の内の少なくとも1つは前記外周管の長手方向に沿って移動可能に設置され、前記複数の吹き出し口は、前記移動可能な仕切り板の想定される可動範囲内には位置しないか、可動範囲内に位置する場合は仕切り板の備えるスリーブにより開口部の露出の有無が制御されるように設けられ、流量調節手段により第1区間~第n区間に流れる供給気体の流量を個別に調節して区間ごとに火力を調節可能であることを特徴とする。
【0014】
上記目的を達成するためになされた本発明による加熱装置は、上記に記載のガスバーナを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明に係る気体流量調節装置によれば、外部から供給気体を受ける受け入れ室と、受け入れた供給気体を区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給する流量調節管とを有するので、加熱装置のガスバーナとして使用する場合は加熱装置の炉内の温度分布の状況に応じて、温度の高くなりやすい部分に対応した区間に供給する燃焼ガスを低減して、炉内の温度のばらつきを低減するのが容易となる。また加熱装置に圧縮空気を提供して対流を生じさせる気体流量調節装置として使用する場合も、加熱装置の炉内の温度分布の状況に応じて、温度の高くなりやすい部分に供給する圧縮空気量を調節して、加熱装置の横断面内での適切な対流を生じさせ炉内の温度のばらつきを低減するのが容易となる。
【0016】
本発明に係る気体流量調節装置によれば、仕切り板の設置により、圧縮空気や燃焼ガスを供給する内蔵管の数を区間数より1つ少なくすることができるため、よりコンパクトな気体流量調節装置を実現することが可能である。
また、本発明に係る気体流量調節装置によれば、流量調節管の区間ごとに個別に目盛り付きの流量調節手段を備えるため、供給気体を受ける受け入れ室側の外部から、個別に、またそれぞれが再現性良く供給気体の流量を調節することが容易となる。
【0017】
さらに、本発明に係る気体流量調節装置によれば、仕切り板の内の少なくとも1つは外周管の長手方向に沿って移動可能に設置されるため、加熱装置の設置されるラインの環境や加熱装置を適用する食品の種類や配列の仕方により、流量調節管の区間の比率を調節して温度のばらつきの低減をより細かく調節することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の実施形態による気体流量調節装置の構成を概略的に示す図である。
図2】本発明の第一の実施形態による気体流量調節装置の構成を概略的に示す図である。
図3】本発明の第一の実施形態による気体流量調節装置の仕切り板の移動を説明する図である。
図4】本発明の第二の実施形態による気体流量調節装置の構成を概略的に示す図である。
図5】本発明の第二の実施形態による気体流量調節装置の仕切り板の移動を説明する図である。
図6】本発明の実施形態による気体流量調節装置による気体流量調節状態を例示する図である。
図7】本発明の実施形態による気体流量調節装置を備える加熱装置の構成を概略的に示す図である。
図8】本発明の実施形態による気体流量調節装置を備える加熱装置を組み込んだ食品製造装置を概略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
次に、本発明に係る気体流量調節装置及びそれを用いた加熱装置を実施するための形態の具体例を、図面を参照しながら詳細に説明する。
図1は、本発明の実施形態による気体流量調節装置の構成を概略的に示す図である。
図1を参照すると、本発明の実施形態による気体流量調節装置10は、外部から供給気体50を受ける受け入れ室12と、受け入れた供給気体50を、区間(41、42、43)ごとに流量を調節可能に対象装置に供給する流量調節管20とを有する。
【0020】
本発明の実施形態による気体流量調節装置10は、食品の製造工程において使用されるオーブンや蒸し器などの加熱処理を行う対象装置(以下代表的に加熱装置と称する)内に設置され、加熱装置内に供給される供給気体50を、流量調節管20により区間ごとに調節し、それによって加熱装置内の対象空間内の温度ばらつきを減少させるように対流を生じさせたり、ガスバーナとして使用して加熱装置内の対象空間内の製品の焼き加減のばらつきを抑制するように加熱したりする装置である。
【0021】
気体流量調節装置10は、一方向に長い直線状の外形を有していることから、特に搬送装置を備え、食材などを搬送しながら加熱処理する加熱装置において、搬送装置の搬送方向と直交する方向に長手方向が向くように設置して使用するのに好適な装置である。このような装置では搬送方向に向かって中央部分は温度が上がりやすく、両端部分は加熱装置の壁面などの影響で温度が上がりにくい傾向が出やすいことから搬送方向と直交する方向での温度ばらつきの低減が課題となることが多いからである。
【0022】
上述のように気体流量調節装置10は、加熱装置内に対流を生じさせる対流生成器としても使用できるし、着火手段と組み合わせてガスバーナとしても使用できる。着火手段は特別なものである必要はなく、従来のガスバーナと同様の着火手段が適用可能である。対流生成器として使用する場合、供給気体50は例えば圧縮空気であり、加熱装置内の温度が最も高くなりやすい空間部分に選択的に圧縮空気を供給して対流を生じさせ、加熱装置内の温度を均一化するように使用する。また、ガスバーナとして使用する場合、供給気体50は燃焼ガスを含む混合気であり、例えば加熱装置内の温度が最も上がりにくい加熱装置の側壁近傍に、より多くの燃焼ガスを含む混合気を供給して発熱密度を高め、加熱装置内の温度を均一化するように使用する。
【0023】
このほか供給気体50は、高温に加熱された空気、水蒸気を含む加熱空気、過熱水蒸気などでもよく、この場合、気体流量調節装置10は、加熱と対流を同時に提供する装置としても使用可能である。上記では対象装置は加熱装置であるとしたが、対象装置は冷却装置であってもよく、その場合、供給気体50は冷気である。
【0024】
流量調節管20は、一端が開口し他端が閉塞し長手方向に沿って複数の気体供給口22を備える外周管21と、外周管21の内部空間を長手方向に第1区間41、第2区間42、第3区間43に分割する2個の仕切り板23(23-1、23-2)と、受け入れ室12から第2区間42、第3区間43のそれぞれに途中の仕切り板23(23-1、23-2)を貫通して個別に供給気体50を供給する2本の内蔵管24(24-1、24-2)とを備える。
【0025】
仕切り板23(23-1、23-2)は、外周管21の内径とほぼ等しい外形の円盤状の仕切り部を有し、内蔵管24(24-1、24-2)が貫通する部分には内蔵管24(24-1、24-2)の外径とほぼ等しい貫通孔を備える。これにより内蔵管24(24-1、24-2)の周囲の外周管21の内壁との間を供給気体50が通過しないように封鎖する。
【0026】
2本の内蔵管24-1、24-2の内、内蔵管24-1は、閉塞する先端側の一部が第3区間43まで延在するが、第2区間42に供給気体50を供給する配管であり、第2区間42において側面に供給気体50の吹き出し口25を備える。内蔵管24-2は、閉塞する先端側が第3区間43の端部まで延在して第3区間43に供給気体50を供給する配管であり、第3区間43において側面に供給気体50の吹き出し口25を備える。
【0027】
流量調節管20は、さらに受け入れ室12との境界部にあって各内蔵管24(24-1、24-2)の一端及び第1区間41に供給気体50を供給するための個別の開口部28を有するキャップ材27と、キャップ材27の開口部28の開口面積を調節してそれぞれの開口部28を流れる供給気体50の流量を調節する流量調節手段29とを備える。
【0028】
キャップ材27の開口部28は円形状のくぼみの中にC字形状の湾曲した貫通孔を備える。第2区間42、第3区間43用の開口部28はそれぞれ内蔵管24-1、24-2の開口端に合わせた位置に設置され、第1区間41用の開口部28は内蔵管24-1、24-2の開口端から外れた位置に設けられる。
【0029】
流量調節手段29は、C字形状の湾曲した貫通孔を備えて円盤状に形成され、キャップ材27の開口部28の開口面積を調節するディスクを先端に備えるシャフト32と、シャフト32を回動させる摘み30と、摘み30の回動位置を確認するための目盛り31とを備える。摘み30を回動することによりシャフト32の先端のディスクが回動し、ディスクの貫通孔とキャップ材27の開口部28の貫通孔との重なり具合が変わるため、受け入れ室12からの供給気体50の供給経路となる開口の面積が調節される。流量調節手段29は、一カ所にすべての区間分の摘み30が配置されるので、簡単にそれぞれの区間の供給気体50の流量調節更が可能である。またそれぞれの摘み30には目盛り31が備えられるので再現よく調節が可能となる。
【0030】
受け入れ室12に受け入れられた供給気体50は、流量調節手段29の調節状況、即ちそれぞれの摘み30の位置により開口の面積が調節されたキャップ材27の開口部28を通って内蔵管24-1、24-2の中、又は外周管21の中の内蔵管24(24-1、24-2)の周囲に供給される。
【0031】
内蔵管24-1に供給された供給気体50は第2区間42に設けられた吹き出し口25から外周管21の第2区間42の中に吹き出され、さらに外周管21の第2区間42に対応する気体供給口22から加熱装置に供給される(供給気体50-2)。実施形態では、内蔵管24-1の吹き出し口25と外周管21の気体供給口22とは反対方向を向くように設置し、外周管21の第2区間42の中の圧力がばらつかないように供給気体50の圧力を均一化してから気体供給口22から供給気体50-2を供給する。
【0032】
同様に内蔵管24-2に供給された供給気体50は第3区間43に設けられた吹き出し口25から外周管21の第3区間43の中に吹き出され、さらに外周管21の第3区間43に対応する気体供給口22から加熱装置に供給される(供給気体50-3)。内蔵管24-2についても吹き出し口25は外周管21の気体供給口22とは反対方向を向くように設置する。
【0033】
キャップ材27の開口部28から外周管21の中の内蔵管24(24-1、24-2)の周囲に供給された供給気体50は、内蔵管24(24-1、24-2)の周囲をそのまま外周管21の閉塞端の方向に進行し外周管21の第1区間41に対応する気体供給口22から加熱装置に供給される(供給気体50-1)。このように内蔵管24(24-1、24-2)の周囲に供給された供給気体50を第1区間41に供給する構造とすることで区間の数より内蔵管24(24-1、24-2)の数を1つ少なくすることができ、気体流量調節装置10をコンパクトにまとめることが可能となる。
【0034】
供給気体50は、受け入れ室12に受け入れられた時点ではひとまとまりであるが、キャップ材27のそれぞれの開口部28を通ってそれぞれの区間(41、42、43)に分流する時点で、それぞれの流量調節手段29によって調節された開口面積に応じ区間(41、42、43)ごとに供給される供給気体50の量が決定される。
【0035】
以上流量調節管20が2個の仕切り板23(23-1、23-2)と、2本の内蔵管24(24-1、24-2)とを備える実施形態を説明したが、仕切り板23と内蔵管24の数の組み合わせはこれに限らない。例えば仕切り板23を3つとして外周管21を4つの区間に区分し、第2~第4区間に供給気体50をそれぞれに供給する3つの内蔵管24を備えるようにしてもよいし、これよりさらに多くの区間を設けるように仕切り板23の数を増やしてもよい。
【0036】
このように、本発明の実施形態による気体流量調節装置10は、様々な実施形態において一端が開口し他端が閉塞し長手方向に沿って複数の気体供給口22を備える外周管21と、外周管21の内部空間を長手方向に第1区間~第n区間(nは3以上の自然数)に分割する(n-1)個の仕切り板23と、受け入れ室12から第2区間~第n区間のそれぞれに途中の仕切り板23を貫通して個別に供給気体50を供給する(n-1)本の内蔵管24とを備える。これに対し、キャップ材27は1つであるが、流量調節手段29は区間の数にあわせてn個を備える。
【0037】
本発明の実施形態による気体流量調節装置10は、上記のように外周管21の内部空間を、仕切り板23により長手方向に複数の区間となるよう分割するが、仕切り板23の位置を長手方向に沿って移動可能に設置される。以下図2~5を参照して2つの実施形態について説明する。
【0038】
図2は、本発明の第一の実施形態による気体流量調節装置の構成を概略的に示す図であり、図3は、本発明の第一の実施形態による気体流量調節装置の仕切り板の移動を説明する図である。
図2、3では気体流量調節装置10は、内蔵管24を外周管21から取り出した分解図の形で示す。基本的な構成に関しては、図1で説明したものと変わらない。
【0039】
第一の実施形態による気体流量調節装置10では仕切り板23の位置を長手方向に沿って移動可能に形成される。これは図2、3では明記していないが、例えば仕切り板23の内蔵管24が貫通する部分を、内蔵管24に沿う一定長さのスリーブ状に形成し、円盤状の仕切り部が外周管21及び内蔵管24に直交する形状を維持しつつ内蔵管24の長手方向に移動可能とする。また使用中に仕切り板23の両側の供給気体50の圧力差で仕切り板23が移動しないように、例えばスリーブ状に形成した部分に内蔵管24に向かう雌ねじを備えるねじ穴を設け、これに止めねじをねじ込んで仕切り板23を内蔵管24に固定する。
【0040】
図3では、第1区間41と第2区間42とを区分する仕切り板23-1は、内蔵管24に沿って前後にそれぞれ距離x、第2区間42と第3区間43とを区分する仕切り板23-2は、内蔵管24に沿って前後にそれぞれ距離yだけ移動するように示したが、距離xと距離yは便宜的なものであり、距離xと距離yは同じでもよいし異なっていてもよい。また前後の距離は例えば前方にx1、後方にx2のように異なってもよい。また、加熱装置の構造により温度分布が安定しているような場所に設置する気体流量調節装置10では、複数ある仕切り板23のうちに移動可能でないものがあってもよい。
【0041】
移動可能な仕切り板23を備える場合、仕切り板23を移動したときに、内蔵管24(24-1、24-2)の吹き出し口25を跨いでしまうと、例えば第2区間42に供給すべき供給気体50が、第3区間43に供給されてしまうことも起こる。そこで、この実施形態の気体流量調節装置10は、想定される可動範囲には内蔵管24(24-1、24-2)の吹き出し口25を設けない。例えば図3の例では仕切り板23-1は、設計的な設定位置の前後にそれぞれ距離xとなる範囲には内蔵管24(24-1、24-2)の吹き出し口25を設けない。これにより仕切り板23-1を移動しても第1区間41に供給すべき供給気体50が第2区間42に供給されることはないし、逆に第2区間42に供給すべき供給気体50が第1区間41に供給されることもない。仕切り板23-2についても、想定される可動範囲である前後にそれぞれyの距離の範囲内には吹き出し口25を設けない。
【0042】
仕切り板23を移動可能にすることにより、区間の区切り位置に自由度を与えることができる。例えば気体流量調節装置10を取り付ける加熱装置の構造や設置場所の環境の影響で、温度ばらつきが十分に低減できない場合でも、仕切り板23を移動することでより細かく調節することができるようになる。その結果、搬送装置に流す食材の配列を増やしたり、食材の加熱処理のプロセスマージンが向上したりする効果が期待される。
【0043】
図4は、本発明の第二の実施形態による気体流量調節装置の構成を概略的に示す図であり、図5は、本発明の第二の実施形態による気体流量調節装置の仕切り板の移動を説明する図である。
図4、5に示す第二の実施形態による気体流量調節装置10も基本的な構成に関しては図1で説明したものと変わらない。また、図2、3に示す第一の実施形態による気体流量調節装置10と同様、仕切り板23を移動可能に構成するが、仕切り板23を特定な構成のスリーブ26と組み合わせる点で、第一の実施形態とは相違する。
【0044】
図4、5を参照すると、仕切り板23-1には、内蔵管24-1に沿って第1区間41側に延在するスリーブ26-1が備えられ、仕切り板23-2には、内蔵管24-1に沿って第3区間43側に延在するスリーブ26-2と、内蔵管24-2に沿って第2区間42側に延在するスリーブ26-3とを備える。
【0045】
図5では仕切り板23-1の想定移動範囲を、設計的な設定位置の前後にそれぞれ距離xとし、仕切り板23-2の想定移動範囲を、設計的な設定位置の前後にそれぞれ距離yとしているが、この距離x、距離yも便宜的なものであり、距離xと距離yは同じでもよいし異なっていてもよい。また前後の距離は例えば前方にx1、後方にx2のように異なってもよい。また複数ある仕切り板23の内に移動可能でない仕切り板23を含んでいてもよい。
【0046】
図5に示す気体流量調節装置10のスリーブ26(26-1、26-2、26-3)は単に仕切り板23の移動をガイドするのみではなく、想定移動範囲内の内蔵管24(24-1、24-2)の吹き出し口25の開閉を制御する役割を備える。このため図4、5に示す実施形態では、想定移動範囲内にも吹き出し口25を備えていてもよい。
【0047】
仕切り板23-1を移動する場合について説明する。まず仕切り板23-1を第1区間41側に距離xだけ移動すると、距離xだけ第1区間41は短くなり、距離xだけ第2区間42は長くなる。この距離xの範囲に設けられる内蔵管24-1の吹き出し口25は、スリーブ26-1が移動することにより露出して吹き出し口25としての機能を果たすようになる。つまり第2区間42は長くなった分、吹き出し口25が増える形となり、第2区間42への供給気体50の供給密度は仕切り板23-1の移動前とほとんど変わらない。
【0048】
逆に仕切り板23-1を、元の位置から第2区間42側に距離xだけ移動すると、距離xだけ第2区間42は短くなる。このとき元の位置から第2区間42側に距離xの範囲に設けられていた内蔵管24-1の吹き出し口25は、スリーブ26-1が移動することによりスリーブ26-1により塞がれるようになる。つまり第2区間42は短くなった分、吹き出し口25が減る形となり、第2区間42への供給気体50の供給密度は仕切り板23-1の移動前とほとんど変わらない。
【0049】
仕切り板23-2を移動する場合は、2つのスリーブ(26-2、26-3)がそれぞれ逆の機能を果たすようになる。まず仕切り板23-2を第2区間42側に距離yだけ移動すると、距離yだけ第2区間42は短くなり、距離yだけ第3区間43は長くなる。この距離yの範囲に設けられる内蔵管24-1の吹き出し口25は、スリーブ26-2が移動することによりスリーブ26-2により塞がれるようになる。一方、内蔵管24-2の吹き出し口25は、スリーブ26-3が移動することにより露出して吹き出し口25としての機能を果たすようになる。これにより第2区間42は短くなった分、吹き出し口25が減る形となり、第3区間43は長くなった分吹き出し口25が増える形となり、それぞれの区間の供給気体50の供給密度は仕切り板23-2の移動前とほとんど変わらない。
【0050】
逆に、仕切り板23-2を第3区間43側に距離yだけ移動すると、距離yだけ第2区間42は長くなり、距離yだけ第3区間43は短くなる。この距離yの範囲に設けられる内蔵管24-1の吹き出し口25は、スリーブ26-2が移動することにより露出するようになる。一方、内蔵管24-2の吹き出し口25は、スリーブ26-3が移動することによりスリーブ26-3により塞がれるようになる。これにより第2区間42は長くなった分、吹き出し口25が増える形となり、第3区間43は短くなった分吹き出し口25が減る形となり、それぞれの区間の供給気体50の供給密度は仕切り板23-2の移動前とほとんど変わらない。
【0051】
仕切り板23(23-1、23-2)の想定移動範囲内に設ける内蔵管24(24-1、24-2)の吹き出し口25は想定移動範囲外に設けられた吹き出し口25のピッチに合うような位置に設けることが好ましい。またスリーブ26(26-1、26-2、26-3)は想定移動範囲内の移動に伴って、想定移動範囲外の吹き出し口25が新たに露出しないような十分な長さを備えるようにする。
【0052】
図6は、本発明の実施形態による気体流量調節装置による気体流量調節状態を例示する図である。図6(a)は、供給気体が均一に供給されるように調節した場合、図6(b)は、中央だけ供給気体の供給を抑制するように調節した場合、図6(c)は、区間ごとに供給気体の供給が異なるように調節した場合、図6(d)は、仕切り板を移動して区間を変更するように調節した場合の気体流量調節状態を例示する図である。
【0053】
図6(a)は、流量調節手段29を調節して第1区間41から供給される供給気体50-1、第2区間42から供給される供給気体50-2、第3区間43から供給される供給気体50-3、が均一になるように調節した状態を示す。
【0054】
図6(b)は、図6(a)の状態から、第2区間42に供給気体50を供給する開口部28の開口面積を低減するように流量調節手段29を調節して第2区間42から供給される供給気体50-2だけを減少させた状態を示す。搬送装置を備え、食材を搬送しながら加熱処理する加熱装置の場合は、搬送装置の搬送方向に向かって両側の温度が上がりにくいため、気体流量調節装置10をガスバーナとして使用する場合は図6(b)のような分布で燃焼ガスを含む混合気を供給するのが有効である。
気体流量調節装置10を対流生成器として使用する場合は図6(b)の状態とは逆に第2区間42から供給される供給気体50-2だけを強めるような分布が好ましいことが多い。
【0055】
図6(c)は、図6(b)の状態から、第1区間41への供給気体50の供給を絞り第1区間41から供給される供給気体50-1、第2区間42から供給される供給気体50-2、第3区間43から供給される供給気体50-3、がすべて異なるように調節した状態を示す。
【0056】
図6(d)は、図6(b)の状態から、仕切り板23-1を距離xだけ第1区間41側に移動し、仕切り板23-2を距離yだけ第2区間42側に移動した状態を示す。
図6(a)~(d)のように本発明の実施形態による気体流量調節装置10は、多様な供給気体50の供給状況を作り出すことが可能である。
【0057】
図7は、本発明の実施形態による気体流量調節装置を備える加熱装置の構成を概略的に示す図である。
図7に示す本発明の実施形態による気体流量調節装置10を備える加熱装置6は、搬送装置3を備えるトンネルオーブン70である。搬送装置3は、トンネルオーブン70の入り口側と出口側にそれぞれ設けた折り返し部75で折り返されるようにしてオーブン70内を循環走行する搬送体76を備え、搬送体76により生地などの食材をトンネルオーブン70の入り口から出口に向かって搬送する。搬送体76としては、複数の焼成板を循環するチェーンで駆動するキャタピラ形状のものでもよいし、無端のスチールベルト状のものでも構わない。搬送装置3の搬送速度は操作盤73により調節が可能となっている。
【0058】
食材を搬送する搬送体76の上方には上部焼成部7、食材を搬送する搬送体76の下方であって食材搬送後、折り返し部75で折り返されて入り口側に戻る搬送体76の上方に下部焼成部8が設けられる。上部焼成部7及び下部焼成部8は、いずれも本発明の実施形態による気体流量調節装置10を含んで構成される。図7に示す実施形態では、上部焼成部7及び下部焼成部8の気体流量調節装置10は、着火手段を備えるガスバーナ35としての形態を含む。
【0059】
気体流量調節装置10は、上部焼成部7及び下部焼成部8それぞれに、複数が備えられ、いずれも搬送装置3の搬送方向と直交する方向に長手方向が向くようにして設置される。図7の実施形態では、複数の気体流量調節装置10は、トンネルオーブン70の入り口側から出口側に向かってA、B、Cの3つのゾーンに区分けされ、ゾーンごとに温度調節がなされるように構成されている。各ゾーンには覗き窓74が設けられ、食材の加熱状態が確認できるようになっている。また図7の実施形態では、それぞれのゾーンごとに少なくとも気体流量調節装置10を含むように構成される。
【0060】
気体流量調節装置10は、長手方向に沿って仕切り板23によって区分けされた区間ごとに供給気体50の流量を調節可能であるので、ガスバーナ35として使用する場合は、トンネル内の温度ばらつきの状況に応じて、例えば搬送方向に向かって両端の温度の上がりにくい区間の燃焼ガスを含む混合気の供給量を中央部に比べて増加させ、食材の焼き加減のばらつきを抑制するように使用する。対流生成器として使用する場合は、例えば搬送方向に向かって中央部の温度の上がりやすいエリアの供給空気の流量を増やして効率的に温度ばらつきを低減するように使用する。また、気体流量調節装置10は、仕切り板23を長手方向に沿って移動することができるので、いずれの用途においても、仕切り板23の位置を調節して、トンネルオーブン70内での温度ばらつきを抑制し、更なる食材の焼き加減のばらつき低減や品質の安定化などを実現することが可能である。
【0061】
図7の実施形態では、トンネルオーブン70は3ゾーンに区分して温度調節するように示したが、温度調節のゾーンはトンネルオーブン70で処理する食材の加熱条件などによりこれより多くても少なくてもかまわない。また気体流量調節装置10の配置も図7に示す配置に限らない。さらに設置する気体流量調節装置10は、すべてガスバーナ35としてもよいし、すべて対流生成器としてもよく、ガスバーナ35と対流生成器が混在するように設置してもよい。またトンネルオーブン70には、必要に応じて気体流量調節装置10を増設可能なように設置用の孔とキャップを設けておいてもよい。
【0062】
図8は、本発明の実施形態による気体流量調節装置を備える加熱装置を組み込んだ食品製造装置を概略的に示す図である。
食品製造装置1は、搬送装置3、生地充填機2,加熱装置6、及び取り出し装置9を備える。搬送装置3は、最上流と最下流の2つの折り返し部で折り返すようにして、複数の焼成板4を連続的に又は間欠的に循環させる。焼成板4は図8の奥行方向に長い長方形の金属板で焼成面5に食材を載せて上流から下流に搬送する。生地充填機2は搬送装置3の上流側に設けられ、ホッパに投入された生地60を焼成板4の焼成面5に所定量ずつ充填する。量産機では通常複数の吐出ノズルを備えており、図8の生地充填機2も焼成板4の長手方向に沿って複数の生地60を充填する。
【0063】
充填された生地60は、焼成板4と共に加熱装置6に搬送される。本発明の実施形態による加熱装置6は、この実施形態ではトンネルオーブンであり、生地60を焼成板4の下から加熱する下部焼成部8と、生地60の上面から直接加熱する上部焼成部7と、上部焼成部7の全体をトンネル状に覆うカバーとを備える。図8ではトンネルオーブンは簡略に示すが、食品製造装置1には図7に示す構成のトンネルオーブン70を組み込むようにしてもよい。
上部焼成部7及び下部焼成部8はいずれも本発明の実施形態による気体流量調節装置10を含んで構成される。図8に示す実施形態では上部焼成部7及び下部焼成部8の気体流量調節装置10は着火手段を備えるガスバーナ35としての形態を含む。
【0064】
図8の奥行方向、即ち搬送装置3の搬送方向と直交する方向に長い焼成板4の長手方向に沿って充填された複数の生地60を焼成するため、気体流量調節装置10は搬送装置3の搬送方向と直交する方向に長手方向が向くように設置される。
【0065】
下部焼成部8の設けられる範囲では、焼成板4はガスバーナ35として使用される気体流量調節装置10により下側から加熱されるが、搬送方向に向かって焼成板4の中央部に比べて両端部は温度が上がりにくい。そのため、図8の実施形態のガスバーナ35では、図6(b)で示したように3つの区間(41、42、43)のうちの中央部にあたる第2区間42において、燃焼ガスを含む混合気の供給を、両端の区間(41、43)に比べて抑制し、焼成板4の長手方向の温度ばらつきを抑制する。
【0066】
こうした焼成板4の搬送方向と直交する方向の製品の焼き加減のばらつきは、加熱する製品の形状や配置などによっても変わってくる。本発明は、バーナ各ゾーンの燃焼バランス・気体流量調整をつまみで再現性をもってできる為、製品の切り替え毎に調整を変更して多様な製品の加熱に対応できる上に品質を維持するのが容易である。更に、図2~5で示したように仕切り板23の位置調節を行うことが可能に形成されるため、状況に応じて仕切り板23の位置を調節して、よりばらつきの少ない加熱環境を実現することができる。
【0067】
また、加熱装置6は、トンネル状に覆うカバー内の温度分布を均一にするため、ガスバーナ35の他に対流生成器としての気体流量調節装置10を備える。気体流量調節装置10は、外部から供給された圧縮空気をカバー内に供給し、カバー内の対流を促進する。この場合、気体流量調節装置10が供給する圧縮空気は、温度の高くなりやすい中央部で強くなるように流量調節を行う。
【0068】
図8では下部焼成部8及び上部焼成部7として一定間隔で配列した複数のガスバーナ35と、上部焼成部7のガスバーナ35の上方に対流生成器としての気体流量調節装置10を複数備えるように示したが、ガスバーナ35と対流生成器としての気体流量調節装置10の組み合わせと配置は様々に変形可能である。例えば下部焼成部8でも上部焼成部7でもガスバーナ35の配列の中に対流生成器としての気体流量調節装置10が配置されていてもよい。また、本発明の実施形態であるガスバーナ35を並べて使用することで所望の温度ばらつき内になるのであれば、対流生成器としての気体流量調節装置10を設置しなくてもよい。さらに本発明の実施形態であるガスバーナ35ではなく、区間ごとに調節のできない従来技術のガスバーナ35を備える加熱装置6であっても、対流生成器としての気体流量調節装置10の設置により所望の温度ばらつき内になるのであれば、区間ごとに供給量を調節可能なガスバーナ35を備えなくてもよい。
【0069】
気体流量調節装置10は、食材の加熱処理に使用するのはガスバーナ35としての形態には限らない。外部から供給された高温に加熱された空気、水蒸気を含む加熱空気などを区間ごとに調節して供給するように使用してもよい。
【0070】
加熱装置6により焼成された生地60は、そのまま搬送されて最下流で取り出し装置9に移されて取り出される。取り出し装置9は上流と下流側に備えるローラーに搬送ベルトをかけ渡し、焼成板4が搬送装置3の最下流で折り返す際に生地60を受け取り、搬送ベルトにより次の処理装置やストッカーなどに生地60を搬送する。
【0071】
以上のように図8は、生地60の充填・焼成装置の構成を備える食品製造装置1を示すが、本発明の実施形態の気体流量調節装置10又はガスバーナ35を備える食品製造装置1の構成はこれに限らない。例えば焼成した生地60にさらに餡等の充填物を充填する中身充填装置や、焼成した生地60を折りたたむように加工する成形装置などを組み合わせてもよい。逆に気体流量調節装置10を備える加熱装置6だけの構成としてもよい。
【0072】
本発明の実施形態の気体流量調節装置10は、供給気体50を区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給することができ、また必要に応じて区間を区切る位置を調節可能であるのでよりきめ細かく対象装置の内部の温度のばらつきを効率的に抑制することが可能となる。
【0073】
以上、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明したが、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の技術的範囲から逸脱しない範囲内で多様に変更することが可能である。
【符号の説明】
【0074】
1 食品製造装置
2 生地充填機
3 搬送装置
4 焼成板
5 焼成面
6 対象装置(加熱装置)
7 上部焼成部
8 下部焼成部
9 取り出し装置
10 気体流量調節装置
11 気体供給管
12 受け入れ室
20 流量調節管
21 外周管
22 気体供給口
23 仕切り板
24、24-1、24-2 内蔵管
25 吹き出し口
26、26-1、26-2、26-3 スリーブ
27 キャップ材
28 開口部
29 流量調節手段
30 摘み
31 目盛り
32 シャフト
33 ディスク
35 ガスバーナ
41 第1区間
42 第2区間
43 第3区間
50、50-1、50-2、50-3 供給気体
60 生地
70 トンネルオーブン
71 ターボブロワー
72 排気ファン
73 操作盤
74 覗き窓
75 折り返し部
76 搬送体

【要約】
【課題】外部から受けた供給気体を区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給する気体流量調節装置を提供する。
【解決手段】本発明によるガスバーナは、外部からの供給気体の受け入れ室と、受け入れた供給気体を区間ごとに流量を調節可能に対象装置に供給する流量調節管とを有し、流量調節管は、一端が開口し他端が閉塞し長手方向に沿って複数の気体供給口を備える外周管と、外周管の内部空間を長手方向に第1~第n区間(nは3以上の自然数)に分割する(n-1)個の仕切り板と、受け入れ室から第2~第n区間のそれぞれに途中の仕切り板を貫通して個別に供給気体を供給する(n-1)本の内蔵管と、受け入れ室との境界部にあって各内蔵管の一端及び第1区間に供給気体を供給する個別の開口部を有するキャップ材と、キャップ材の各開口部を流れる供給気体の流量調節手段とを備え、仕切り板の少なくとも1つは外周管の長手方向に移動可能である。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8