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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】巾着袋
(51)【国際特許分類】
   A45C 3/00 20060101AFI20240913BHJP
   A45C 13/02 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
A45C3/00 V
A45C13/02 A
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2024007306
(22)【出願日】2024-01-22
【審査請求日】2024-03-13
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】723012353
【氏名又は名称】株式会社文殊
(74)【代理人】
【識別番号】100122725
【弁理士】
【氏名又は名称】竹口 美穂
(72)【発明者】
【氏名】小関 隆一
(72)【発明者】
【氏名】猪本 尚美
【審査官】村山 睦
(56)【参考文献】
【文献】登録実用新案第3138300(JP,U)
【文献】登録実用新案第3162821(JP,U)
【文献】特開2009-165716(JP,A)
【文献】登録実用新案第3071133(JP,U)
【文献】実開昭48-005072(JP,U)
【文献】実公昭46-002333(JP,Y1)
【文献】特開2008-036313(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2007/0110342(US,A1)
【文献】特開昭63-238804(JP,A)
【文献】実開昭49-100800(JP,U)
【文献】米国特許第5863088(US,A)
【文献】登録実用新案第3175570(JP,U)
【文献】特開2001-309809(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A45C 3/00
A45C 13/02
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
前面部と背面部とを備え、前記前面部の下部と前記背面部の下部と、前記前面部の右端部と前記背面部の右端部と、前記前面部の左端部と前記背面部の左端部とが夫々連結して形成された、上部に開口を有する袋部と、前記開口を紐状部材で絞って閉じる開閉部とを備えた巾着袋であって、
前記前面部と前記背面部とが、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに取り付けられて、前記袋部の内部が複数の領域に区分され
前記開口は、前記複数の領域に亘って形成され、前記開口を前記紐状部材で絞って閉じた場合に、前記複数の領域全てが閉じられ、
前記袋部から突出するように、ユーザの身体に掛ける又はユーザが把持するための持ち手を備え、
前記持ち手は紐状であり、その一部分が前記前面部に配置され、他の部分が前記背面部における前記一部分に対応する位置に配置され、前記一部分、前記他の部分、前記前面部、及び前記背面部が一体的に縫い合わされることで、前記前面部と前記背面部が互いに取り付けられて、前記袋部の内部が複数の領域に区分されるとともに、前記持ち手が前記袋部に取り付けられ、
前記持ち手は、前記袋部の上縁から突出し、前記一部分と前記他の部分とが、前記袋部の上縁の位置で互いに縫い合わされている、
ことを特徴とする巾着袋。
【請求項2】
前記一部分、前記他の部分、前記前面部、及び前記背面部は、左右方向に隙間を空けて二重に縫われ、かつ、この二重の縫い目の真上の位置で左右方向にも縫い合わされることで、一体的に縫い合わされる、
ことを特徴とする請求項1に記載の巾着袋。
【請求項3】
前記持ち手は、輪状に形成されており、前記袋部の底部において屈曲されることで、前記持ち手の前記一部分が前記前面部に配置され、前記持ち手の前記他の部分が前記背面部における前記一部分に対応する位置に配置される、
ことを特徴する請求項1に記載の巾着袋。
【請求項4】
前記袋部は、伸縮性がある、
ことを特徴する請求項1~3の何れかに記載の巾着袋。
【請求項5】
前記袋部は、伸縮性の編構造を有する、
ことを特徴とする請求項4に記載の巾着袋。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、巾着袋に関し、特に内部領域を複数の領域に区分するための構造に特徴を有するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、特許文献1に示すような、袋の内側に複数のポケットが縫い付けられた巾着袋が知られている。複数のポケットが縫い付けられることで、袋の内部に複数の領域(収納領域)を有し、小物類等の収納物を分けて収納することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】実用新案登録第3057838号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した従来の巾着袋では、製造工程において内部へのポケットの取り付け作業が必要となり、製造工程が煩雑であった。
【0005】
そこで、本発明の課題は、簡素な製造工程によって製造可能な、区分された複数の領域を内部に有する巾着袋を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上記課題を解決するために、本発明に係る巾着袋は、前面部と背面部とを備え、前記前面部の下部と前記背面部の下部と、前記前面部の右端部と前記背面部の右端部と、前記前面部の左端部と前記背面部の左端部とが夫々連結して形成された、上部に開口を有する袋部と、前記開口を紐状部材で絞って閉じる開閉部とを備えた巾着袋であって、前記前面部と前記背面部とが、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに取り付けられて、前記袋部の内部が複数の領域に区分されていること、を特徴とする。
【0007】
上記(1)に記載の構成によれば、前面部と背面部とを、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに取り付けるだけで、袋部の内部が複数の領域に区分することができる。なお、この取り付けは、縫い付けや、接着剤等による貼り付け等で行うことが出来る。この構成によれば、袋の内部に袋部とは別布でポケットを縫い付ける従来技術に比較して、簡易な構成となり、簡素な製造工程によって、複数の領域(収納領域)を有する巾着袋を形成することができる。なお、前面部と背面部との「連結」は、前面部と背面部とを縫い付け、接着等によって取り付ける構成だけでなく、布を途中で屈曲させて前面部と背面部とを形成する構成も含む。
【0008】
(2)上記開口は、前記複数の領域に亘って形成され、前記開口を前記紐状部材で絞って閉じた場合に、前記複数の領域全てが閉じられてもよい。
【0009】
上記(2)の構成によれば、複数の領域に亘って形成された開口を紐状部材で絞ることで、全ての複数の領域を閉じて封じることが可能になる。
【0010】
(3)上記袋部から突出するように、ユーザの身体に掛ける又はユーザが把持するための持ち手を備えてもよい。
【0011】
上記(3)の構成によれば、ユーザの身体に掛ける又はユーザが把持するための持ち手を備えるため、巾着袋の持ち運び時に、紐状部材をユーザが把持することで、紐状部材が緩んでしまって、開口が開いてしまうことを防止可能になっている。この様に紐状部材が緩み難くなることによって、巾着袋を大型化して、複数の領域を多く設けることが可能になっている。また、巾着袋をハンドバッグ、ショルダーバッグ、ポシェット、リュックサック等として使用することが可能になる。
【0012】
(4)上記持ち手は紐状であり、その一部分が前記前面部に配置され、他の部分が前記背面部における前記一部分に対応する位置に配置され、前記一部分、前記他の部分、前記前面部、及び前記背面部が一体的に縫い合わされることで、前記前面部と前記背面部が互いに取り付けられて、前記袋部の内部が複数の領域に区分されるとともに、前記持ち手が袋部に取り付けられてもよい。
【0013】
上記(4)の構成によれば、袋部の前面部と背面部を縫い付けて袋部の内部を複数の領域に区分する工程と、持ち手の袋部への縫い付け工程とを兼ねることができる。このため、簡素な製造工程で持ち手付きで、かつ区分された複数の領域を内部に有する巾着袋を製造することが出来るようになっている。また、破れ易い縫い目部分を持ち手で補強することができ、これによって、各領域に収納物を多く詰めても破れ難くなっている。
【0014】
(5)上記持ち手は、輪状に形成されており、前記袋部の底部において屈曲されることで、前記持ち手の前記一部分が前記前面部に配置され、前記持ち手の前記他の部分が前記背面部における前記一部分に対応する位置に配置されてもよい。
【0015】
上記(5)の構成によれば、持ち手が輪状に形成されており、この輪を袋部の底部において屈曲されることで、持ち手を前面部と背面部に配置することが出来るようになっている。これによって、袋部の底部から前面部と背面部に亘って、持ち手を縫い付けることが可能になり、強固に持ち手を袋部に取り付けることが出来る。また、底部にも持ち手を配置することが出来るため、袋部を底部から支持することができ、持ち手が袋部から外れ難くなるとともに、巾着袋の底部を補強することができる。これによって、巾着袋を大型化して、複数の領域を多く設けることも可能になっている。
【0016】
(6)上記袋部は、伸縮性があってもよい。この構成によれば、袋部の伸縮性があることで、巾着袋の収納性が良くなるとともに、袋部の各領域に物を収納した際に、それぞれの領域が膨らんで視覚的な面白さがある。なお、伸縮性は、ポリウレタン弾性繊維等の伸縮性のある材料を含む素材で形成されてもよく、編構造によって実現してもよい。
【0017】
(7)上記袋部は、伸縮性の編構造を有する。この構成によれば、編構造によって、強度を保ちながら、袋部の伸縮性を良くすることが出来る。また、袋部の通気性を良くすることが出来るため、複数の領域夫々に多くの物を収納しても、通気性を妨げることがなくなり、湿気を籠り難くすることが出来る。
【発明の効果】
【0018】
上記構成によれば、簡素な製造工程によって製造可能な、区分された複数の領域を内部に有する巾着袋を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】第1実施形態に係る巾着袋の正面図である。
図2図1の巾着袋の製造方法を示す説明図である。
図3】(A)は、図1で示す巾着袋のA―A矢視端面図であり、(B)は、図1で示す巾着袋のD―D矢視端面図である。
図4】(A)は、多く収納した場合の図1で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図であり、(B)は、(A)より少量収納した場合の図1で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図である。
図5】第2実施形態に係る巾着袋の正面図である。
図6図5の持ち手の取り付け形状を示す説明図である。
図7】(A)は、多く収納した場合の図5で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図であり、(B)は、(A)より少量収納した場合の図5で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図である。
図8】(A)は、図5で示す巾着袋のB―B矢視端面図であり、(B)は、図5で示す巾着袋のC―C矢視端面図である。
図9】第1実施形態の変形例に係る巾着袋の正面図である。
図10】第2実施形態の変形例に係る巾着袋の正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
〔第1実施形態〕
以下に図1から図4を用いて、本発明を適用した一実施形態(第1実施形態)に係る巾着袋を説明する。図1は、第1実施形態に係る巾着袋の正面図である。図2は、図1の巾着袋の製造方法を示す説明図である。なお、図2は、図1で示すA―A矢視断面における説明図である。図3(A)は、図1で示す巾着袋のA―A矢視端面図であり、図3(B)は、図1で示す巾着袋のD―D矢視端面図である。図4(A)は、多く収納した場合の図1で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図であり、(B)は、(A)より少量収納した場合の図1で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図である。本実施形態において、図1における上側を巾着袋の上側、図1における下側を巾着袋の下側、図1における左側を巾着袋の左側、図1における右側を巾着袋の右側、図1における手前側を巾着袋の前側、図1における奥側を巾着袋の後側と記載する。なお、第1実施形態に係る巾着袋1の背面図は、図1で示す巾着袋1の正面図と略左右対称になっている。
【0021】
(巾着袋の構成)
第1実施形態に係る巾着袋1は、上部に開口20を有する袋部2と、開口20を紐状部材31、32で絞って閉じる開閉部3とを備える。第1実施形態に係る巾着袋1では、袋部2の内部100が複数の領域に区分されており、図4(A)(B)で示すように、各領域夫々に物を収納することが出来るように構成されている。また、巾着袋1は、袋部2から上方に突出するように、ユーザの身体に掛ける又はユーザが把持するための持ち手4を備える。これによって、巾着袋1をハンドバッグやショルダーバッグとして使用することが可能になる。また、巾着袋1の持ち運び時に、紐状部材3をユーザが把持することで、紐状部材3が緩んでしまって、開口20が開いてしまうことを防止可能になっている。以下に、巾着袋1の構成をより詳細に説明する。
【0022】
袋部2は、前面部21と背面部22とを備える。前面部21と背面部22とは、それぞれ正面から視認して略四角形状に切断された布で形成されている。複数枚(例えば内側、外側の2枚)の布を重ねて形成されても、単一の布で形成されていてもよい。また、前面部21と背面部22の形状は、正面から視認して略四角形状に限定されず、他の多角形状や円形状等であってもよい。前面部21の下部(下縁)と背面部22の下部(下縁)と、前面部21の右端部(右縁)と背面部22の右端部(右縁)と、前面部21の左端部(左縁)と背面部22の左端部(左縁)とが夫々連結して形成されるとともに、前面部21の上部と背面部22の上部(上縁)は連結されないことで、袋部2は、上部に開口を有する袋状に形成されている。
【0023】
なお、第1実施形態では、前面部21と背面部22とが単一の布で形成されている。具体的には、この布を前後方向の中心線で折りたたんで(屈曲して)二重にすることで、手前側を前面部21し、奥側を背面部22としている。これによって、前面部21の下部と背面部22の下部(布の屈曲位置)が連結された状態となる。そして、前面部21の左縁と背面部22の左縁、前面部21の右縁と背面部22の右縁とを縫い付けによって連結しているが、接着剤等による接着等で連結してもよい。また、前面部21の下部と背面部22の下部ではなく、前面部21の左縁と背面部22の左縁や前面部21の右縁と背面部22の右縁を、布の屈曲によって連結させる構成としてもよい。更に、前面部21と背面部22とを別布で形成して、前面部21の下部と背面部22の下部とを縫い付け、又は接着してもよい。この布を途中で屈曲させて前面部21と背面部22とを形成する構成であってもよい。
【0024】
袋部2の上部は、図2で示すように、内側に屈曲されて二重位置31が形成された状態で、その二重位置31の下位置(図2のaの位置、bの位置)で縫い合わされている。図1の縫い目24は、当該縫い合わされることで生じた縫い目を示す。第1実施形態では、上下方向に二段に縫われているが、一段であってもよい。これによって、二重位置31が袋状になっており、二重位置31内に亘って、紐状部材32、33が通されている。二重位置31の左端と右端の二箇所に、孔部25が形成されている。そして、左側の孔部25からは、紐状部材32の両端が引き出されて、その両端が結び合わされることで、紐状部材32は輪状に形成される。また、右側の孔部25からは、紐状部材33の両端が引き出されて、その両端が結び合わされることで、紐状部材33は輪状に形成される。これによって、左側の孔部25から出ている紐状部材32と、右側の孔部25から出ている紐状部材33を引くことで、開口20が閉じて袋部2の内部を封じることが出来るようになっている。ここで、二重位置31、紐状部材32、紐状部材33で、開閉部3が構成されており。第1実施形態では、二本の紐状部材32、33を備えるが、一方の紐状部材を使用して、開口20を封じてもよい。
【0025】
袋部2では、前面部21と背面部22とが、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに取り付けられることで、袋部2の内部100が複数の領域(二つの領域)に区分されている。具体的には、前面部21と背面部22の左右方向における略真ん中の位置において、下端から二重位置31の真下までの位置が直線状に互いに縫い付けられている。図1の縫い目42が、この縫い付けによって生じた縫い目である。詳細は後述するが、前面部21と背面部22との表面に持ち手4が配置され、持ち手4とともに縫い付けられているため、図1で示すように持ち手4上に縫い目42が現れるようになっている。前面部21と背面部22とは、左右方向に隙間を空けて二重に縫われており、その上真上の位置(二重の縫い目42の真上の位置、すなわち図2のcの位置)で左右方向にも縫われている。この左右方向の縫い目は、図1の縫い目43で示されている。もっとも、前面部21と背面部22との取り付けは、この構成に限定されず、二重の縫い目42の真上を左右方向に縫われなくてもよく、前面部21と背面部22とが左右方向に隙間を空けて二重に縫われずに一重にのみ縫われてもよい。
【0026】
上述したように、前面部21と背面部22とが、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに取り付けるだけで、袋部2の内部100が複数の領域に区分することができるため、簡易な構成となり、簡素な製造工程によって、複数の領域(収納領域)を有する巾着袋を形成することができるようになっている。
【0027】
また、開口20が、複数の領域に亘って形成されているため、開口20を紐状部材32、33で絞って閉じた場合に、複数の領域全てが閉じられるようになり、複数の領域に亘って形成された開口20を紐状部材32、33で絞るだけで、全ての複数の領域を閉じて封じることが可能になっている。
【0028】
持ち手4は、幅のある例えば布製の紐状であり、袋部2の上部に突出する突出部位41を有しており、この突出部位41で、ユーザの身体に掛けられ又はユーザに把持される。より具体的に説明すると、持ち手4は、その一部分(前部分44)が前面部21の表面に配置され、他の部分(後部分45)が背面部22の表面における前部分44に対応する位置に配置される。すなわち、前部分44と後部分45とで、前面部21と背面部22とを挟む込むようになっている。より具体的に説明すると、図2で示すように、持ち手4は、輪状に形成されており、孔が左右方向に向くように配置され、この輪の間に袋部2が配置されている。袋部2は、持ち手4の内面の下部に底部が接触するように配置されている。そして、持ち手4は、袋部2の底部において屈曲されることで、持ち手4の前部分44が前面部21の表面に配置され、持ち手4の後部分45が背面部22における前部分44に対応する位置に配置される。この状態で、前部分44、後部分45、前面部21、及び背面部22が一体的に縫い合わされる(例えば並縫い等で縫い合わされる)ことで、前面部21と背面部22が互いに取り付けられて、袋部2の内部100が複数の領域に区分されるとともに、持ち手4が袋部2に取り付けられている。この縫い方については、上述した通り、二重の縫い目42、及び左右方向に縫われた縫い目43が現れるようなものである。なお、持ち手4は、紐状部材の両端が前部分44となる位置(図2で示すdの位置、すなわち縫い目43の真下の位置)で縫い合わされることで、輪状に形成されているが、他の位置で縫い合わされていてもよい。
【0029】
上述したように、ユーザの身体に掛ける又はユーザが把持するための持ち手4を備えるため、巾着袋1の持ち運び時に、紐状部材32、33をユーザが把持することで、紐状部材32、33が緩んでしまって、開口20が開いてしまうことを防止可能になっている。これによって、巾着袋1を大型化することが可能になっている。また、袋部2の前面部21と背面部22を縫い付けて袋部2の内部100を複数の領域に区分する工程と、持ち手4の袋部2への縫い付け工程とを兼ねることができる。このため、簡素な製造工程で持ち手4付きで、かつ区分された複数の領域を内部100に有する巾着袋を製造することが出来るようになっている。更に、破れ易い縫い目部分を持ち手4で補強することができ、これによって、各領域に収納物を多く詰めても破れ難くなっている。また、持ち手4が輪状に形成されており、この輪を袋部2の底部において屈曲されることで、持ち手4を前面部21と背面部22に配置することが出来るようになっている。これによって、袋部2の底部から前面部21と背面部22に亘って、持ち手を縫い付けることが可能になり、強固に持ち手を袋部2に取り付けることが出来る。また、袋部2の底部にも持ち手4を配置することが出来るため、袋部2を底部から持ち手で支えることができ、持ち手4が袋部2から外れ難くなる。これによって、巾着袋1を大型化することが可能になっている。
【0030】
なお、第1実施形態において、巾着袋1Aの袋部2Aは、左右方向(幅方向)の真ん中位置で略均等に等分するように区分されているが、必ずしもこの構成を採用しなくてもよく、各領域を不均一に区分してもよい。
【0031】
(袋部2の素材)
袋部2の布は、伸縮性がある素材で形成されている。第1実施形態では、袋部2は、伸縮性の編構造を有する素材で形成されている。袋部2が伸縮性のある素材で形成されていることで、巾着袋1の収納性が良くなるとともに、袋部2の各領域に物を多く詰めて収納した際に、図4(A)で示すように、それぞれの領域が膨らんで視覚的な面白さがある。これによって、編構造によって、強度を保ちながら、袋部の伸縮性を良くすることが出来る。また、袋部の通気性を良くすることが出来るため、複数の領域夫々に多くの物を収納しても、通気性を妨げることがなくなり、湿気を籠り難くすることが出来る。なお、袋部2は、必ずしも編構造を有する素材で形成されなくてもよく、例えば、ポリウレタン弾性繊維等の伸縮性のある材料を含む素材で形成されてもよい。また、袋部2は、伸縮性がなくてもよい。持ち手4の布は、伸縮性の小さい素材で形成されているが、伸縮性があってもよい。
【0032】
(巾着袋の製造方法)
以下に、図1及び図2を用いて、巾着袋1の製造方法の一例を説明する。巾着袋1の製造方法は、内側布と外側布の二枚の布を積層し、この積層状態で前後方向の中心位置で重ねて二重にして、左右方向の縁を縫い合わせて、袋状にする(袋部を生成する)袋生成工程を含む。袋生成工程の後、開閉部生成工程を行う。開閉部生成工程では、袋部の上端に孔25を左端と右端の二箇所に空けてから、袋部の上端を内側に屈曲させて二重にする。この二重の位置(二重位置31)の下部を互いに縫い付けて縫い目24を形成し、二重位置31内に孔25から紐状部材32、33を通す。そして、紐状部材32を左端の孔25から引き出して、紐状部材32の先端同士を結び、紐状部材32を右端の孔25から引き出して、紐状部材32の先端同士を結ぶ。これによって、開閉部3が形成される。
【0033】
次に、領域区分・持ち手取付工程を行う。領域区分・持ち手取付工程では、紐状の部材の両端を縫い合わせて、輪状にする。具体的には、両端における一端の上に他端を置いて重ねる。ここで、図2で示すように、上側の端(他端)を内側に折り込んだ状態で重ねる。重ねた状態で両端を縫い付ける。これによって、輪状の持ち手4が作成される。この持ち手4を、袋生成工程で生成された袋の表面に配置する。具体的には、図2で示すように、輪状の持ち手4の間に袋を配置するようにする。ここで、持ち手4の高さ寸法は、袋の高さ寸法より大きいため、輪状の持ち手4の内面下側に袋を配置すると袋の上方に持ち手4が突出するようになる。このように、持ち手4の内側に袋を挟んだ状態で、互いに縫い付ける(図1の縫い目42、43が形成される)。これによって、内部を複数の領域に区分された袋部2が形成されるとともに、袋部2に対して持ち手4を取り付けることができる。これによって、巾着袋1が製造される。なお、開閉部生成工程と領域区分・持ち手取付工程とは順番を入れ替えてもよい。
【0034】
上述したように、第1の実施形態に係る巾着袋1では、前面部21と背面部22とが、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに縫い付けるだけで、袋部2の内部が複数の領域に区分することができる。この構成によれば、袋部の内部に袋部とは別布でポケットを縫い付ける従来技術に比較して、簡易な構成となり、簡素な製造工程によって、複数の領域(収納領域)を有する巾着袋を形成することができる。また、複数の領域に亘って形成された開口20を紐状部材32、33で絞ることで、全ての複数の領域を閉じて封じることが可能になる。更に、袋部2の前面部21と背面部22を縫い付けて袋部2の内部100を複数の領域に区分する工程と、持ち手4の袋部2への縫い付け工程とを兼ねることができる。このため、簡素な製造工程で持ち手4付きで、かつ区分された複数の領域を内部100に有する巾着袋1を製造することが出来るようになっている。
【0035】
〔第2実施形態〕
以下に図5から図8を用いて、本発明を適用した第2実施形態に係る巾着袋を説明する。図5は、第2実施形態に係る巾着袋の正面図である。図6は、図5の持ち手の取り付け形状を示す説明図である。図7(A)は、多く収納した場合の図5で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図であり、(B)は、(A)より少量収納した場合の図5で示す巾着袋の使用状態の一例を示す図である。図8(A)は、図5で示す巾着袋のB―B矢視端面図であり、図8(B)は、5で示す巾着袋のC―C矢視端面図である。なお、第2実施形態に係る巾着袋1Aの背面図は、図5で示す巾着袋1Aの正面図と略左右対称になっている。
【0036】
第2実施形態に係る巾着袋1Aにおいて、第1実施形態に係る巾着袋1と同じ構成については、本明細書及び図面において同じ符号を付して説明する。また、対応する構成であるが異なる点がある構成については、同じ符号に「A」の添え字を付して説明する。以下、第2実施形態に係る巾着袋1Aの構成について、第1実施形態に係る巾着袋1と異なる構成についてのみ説明する。
【0037】
第1実施形態に係る巾着袋1の袋部2では、前面部21と背面部22の左右方向における真ん中の位置において、上下方向に沿って互いに取り付けられ、袋部2の内部が二つの領域に区分されている。これに対して、第2実施形態に係る巾着袋1Aの袋部2Aでは、左右方向(幅方向)を略3等分する中途位置で、前面部21Aと背面部22Aの下端から二重位置31の真下までの位置が直線状に互いに縫い付けられている。すなわち、巾着袋1Aの内部(図略)は三つの領域に区分されている。
【0038】
図6で示すように、持ち手4Aは、第1実施形態における持ち手4と同様に、紐状の部材の両端が取り付けられた輪状に形成されている。もっとも、第1実施形態では、持ち手4Aは、輪の孔が左右方向に向くように配置されているが、第2実施形態では、前後方向を向くように配置される。この輪を真っ二つにする直線状の位置で内側に屈曲され、この屈曲位置を基準として両側が互いに対向(前後方向に対向)するようになっている。この両側の間に、袋部2Aが配置されて、屈曲位置に袋部2Aの底部が接触するようになっている。言い換えれば、袋部2Aの底部において持ち手4Aが屈曲されており、これによって、持ち手4Aは、その一部分(前部分44A)が前面部21Aに配置され、他の部分(後部分45A)が背面部22Aに配置される。ここで、持ち手4Aの輪の間隔は、袋部2Aの幅方向の略1/3の寸法となっているため、前部分44Aは、前面部21Aの左右方向(幅方向)を略3等分するような二箇所に配置され、背面部22Aの左右方向(幅方向)を略3等分するような二箇所に配置されるようになっている。また、持ち手A4は、その高さ寸法が袋部2Aの高さ寸法より高くなるように配置される。この状態で、前部分44A、後部分45A、前面部21A、及び背面部22Aが一体的に縫い合わされることで、前面部21Aと背面部22Aが互いに取り付けられて、袋部2Aの内部が複数の領域に区分されるとともに、持ち手4Aが袋部2Aに取り付けられるようになっている。なお、持ち手4Aは、その上部の突出位置41Aで袋部2Aから突出するようになっている。第2実施形態における、前部分44A、後部分45A、前面部21A、及び背面部22Aの縫い合わせ方法と、第1実施形態における前部分44、後部分45、前面部21、及び背面部22縫い合わせ方法については同一であるため、説明を省略する。
【0039】
なお、第2実施形態において、巾着袋1Aの袋部2Aは、左右方向(幅方向)を略三等分するように区分されているが、必ずしもこの構成を採用しなくてもよく、真ん中領域(待ち手4Aに挟まれた領域)のみを広くしたり狭くしたり、各領域を不均一に区分してもよい。
【0040】
上記第2実施形態に係る巾着袋1Aは、図7(A)(B)で示すように、巾着袋1A内の複数の領域夫々に分けて物を収納できる等の第1実施形態に係る巾着袋1と同様の作用効果を奏する。更に、持ち手4Aをトートバック状に袋部2Aに取り付けることができる。また、持ち手4Aで袋部2Aの底部を二か所で支持することができ、巾着袋1Aの底部を一層強固にすることができる。
【0041】
〔変形例〕
上述した第1、第2実施形態は、本発明を適用した実施形態の一例であり、適宜材料、個数、配置等の構成を変更することが出来る。
【0042】
第1及び第2実施形態に係る巾着袋1、1Aにおける、持ち手4、4Aの袋部2、2Aへの取り付けのための縫い方や、袋部2、2Aにおける前面部21、21Aと背面部22、22A同士の縫い付け方(内部を区分するための縫い付け方)は、上述した方法に限定されない。例えば、二重の縫い目42の間の位置(真ん中の位置)に、二重の縫い目42と平行になるように、上下方向に沿って下縁から上部(縫い目43の真下の位置)まで、前面部21、21Aと、背面部22、22Aと、前部分44、44Aと、後部分45、45Aとを一体的に縫い合わせても良い。なお、この縫い合わせによって生じる縫い目を中央の縫い目と記載する。これによって、巾着袋1、1Aを製造する際に、二重の縫い目42に対応する縫い付けを行う前に、中央の縫い目に対応する縫い付けを行うことで、前部分44、44Aと、後部分45、45Aとがズレてしまうことを防止し、前部分44、44Aと、後部分45、45Aとを適切な位置で袋部2、2Aに取り付けることが出来る。また、巾着袋1、1Aの使用時には、仮に、巾着袋1、1Aの内部100の区分領域夫々に収納物を一杯に詰めてしまい、縫い目42部分が、負荷に耐えられず切れてしまったとしても、中央の縫い目があれば、内部100を区分した状態に維持することができる。また、第1及び第2実施形態に係る持ち手4、4Aは、袋部2、2Aの上縁の位置(図1の点線f、図5の点線g、図9の点線h、図10の点線iの位置)で互いに縫い合わされていないが、互いに縫い合わされ、二つの突出部位41、41Aが前後方向に開いてしまうことを防止し、安定的に起立して袋部2から突出されるようになっていてもよい。
【0043】
第1及び第2実施形態に係る持ち手4、4Aとは異なる位置に持ち手4、4Aを縫い付けてもよい。また、第1及び第2実施形態に係る持ち手4、4Aとは異なる形状の持ち手を採用してもよい。例えば、図9で示す巾着袋1Bのように、持ち手4Bの長さを長くして、突出部位41Bの高さ寸法を大きくしてもよい。これによって、巾着袋1Bをポシェットのように肩にたすき掛けをして使用することもできる。また、図10で示す巾着袋1Cのように、第1実施形態における持ち手4を、第2実施形態における袋部2Aに取り付けた構成であってもよい。その他、持ち手4、4Aの先端を袋部2、2A、2Cの下部に縫い付ける等して、巾着袋1、1Aをリュックサックとしてもよく、適宜持ち手4、4Aの形状を変更することができる。また、持ち手4、4A、4B、4Cは、単一の紐状・輪状部材であるが、複数の紐状部材から構成されていてもよい。例えば、図1図9の持ち手4、4Bを二つの紐状部材から構成し、一方を前面部21側に配置し、他方を背面部22側に配置して、二つの紐状部材を、袋部2を挟んで対向させて、前面部21、背面部22と一体的に縫い合わせるとともに、二つの紐状部材の上端を縫い合わせてもよい。また、図10の巾着袋1Cは、かかる二つの紐状部材から構成した持ち手4を二つ備えてもよい。また、図5の持ち手4Aについても、二つの紐状部材から構成し、夫々中央を上方に湾曲させて両端を袋部2Aの底部に配置するようにして、一方の下部分を前面部21Aの表面に配置するとともに、他方の下部分を背面部22Aの表面に配置して、二つの紐状部材と前面部21Aと背面部22Aとを一体的に縫い合わせてもよい。
【0044】
第1実施形態に係る巾着袋1では、袋部2の内部100は二つの領域に区分され、第2実施形態に係る巾着袋1Aでは、袋部2Aの内部100は三つの領域に区分されているが、より多くの領域に区分されていてもよい。
【0045】
また、第1及び第2実施形態に係る巾着袋1、1Aでは、開閉部3の位置が袋部2、2Aの上部に設けられているが、これに限定されず、袋部2、2Aの上下方向の中途位置に設けられていてもよい。また、複数の領域に亘って形成された開口20について同じ開閉部3を設けているが、この構成に限定されない。例えば、開口を複数の領域夫々に設け、夫々の開口それぞれに対して開閉部3を設けてもよい。
【0046】
第1及び第2実施形態に係る巾着袋1、1Aでは、持ち手4、4Aの袋部2、2Aへの取り付けのための縫い付けと、袋部2、2Aの内部100の区分のための縫い付けが兼ねられているが、別であってもよい。この場合、持ち手4、4Aの袋部2、2Aへの縫い付け位置と、袋部2、2Aの内部100の区分のための縫い付け位置とが一致していなくてもよい。
【0047】
第1及び第2実施形態に係る巾着袋1、1Aでは、持ち手4、4Aが紐状・輪状の持であるが、必ずしもこの形状に限定されない。例えば、半円状に形成された革製・樹脂製の持ち手4、4Aを採用してもよい。また、巾着袋1、1Aは、持ち手4、4Aを備えなくてもよい。
【符号の説明】
【0048】
1、1A、1B、1C 巾着袋
2、2A 袋部
20 開口
21、21A 前面部
22、22A 背面部
3 開閉部
32 紐状部材
4、4A、4B 持ち手
44、44A 前部分(一部分)
45、45A 後部分(他の部分)
100 袋部の内部
【要約】
【課題】簡素な製造工程によって製造可能な、区分された複数の領域を内部に有する巾着袋を提供する。
【解決手段】上記課題解決のため、巾着袋1は、前面部21と背面部22とを備え、前面部21の下部と背面部22の下部と、前面部21の右端部と背面部22の右端部と、前面部21の左端部と背面部22の左端部とが夫々連結して形成された、上部に開口20を有する袋部2と、開口20を紐状部材32で絞って閉じる開閉部3とを備える。この巾着袋1は、前面部21と背面部22とが、その左右方向の中途位置において、上下方向に沿って互いに取り付けられ、袋部2の内部100が複数の領域に区分されている。
【選択図】図1
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10