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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B1)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】香り容器
(51)【国際特許分類】
   B65D 85/00 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
B65D85/00 A
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2024101588
(22)【出願日】2024-06-24
【審査請求日】2024-06-26
【早期審査対象出願】
(73)【特許権者】
【識別番号】523175797
【氏名又は名称】羽石 啓二
(74)【代理人】
【識別番号】100198498
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 靖
(72)【発明者】
【氏名】羽石 啓二
【審査官】宮崎 基樹
(56)【参考文献】
【文献】韓国登録特許第10-0526681(KR,B1)
【文献】特許第7393837(JP,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 83/00
B65D 85/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口部が形成された円筒状の側壁を有する容器本体と、
内壁が前記側壁の外径と略同一の内径の円筒状であって前記容器本体の前記側壁に挿着される第1の筒体と、
内壁が前記側壁の外径と略同一の内径の円筒状であって前記第1の筒体の上方で前記容器本体の前記側壁に挿着される第2の筒体とを備え、
前記第1の筒体と前記第2の筒体が前記側壁の軸方向に移動することによって前記開口部の開口面積が調整されることを特徴とする香り容器。
【請求項2】
前記容器本体の下側には、前記第1の筒体の下端と接する段差部が設けられ、
前記容器本体の上側には、前記第2の筒体の上端と接する段差部が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の香り容器。
【請求項3】
前記容器本体の上端及び下端の少なくとも一方は開放可能になっており、
該開放可能な上端及び下端の少なくとも一方に前記側壁の外径より大きな外径の蓋体が装着されて前記段差部が形成されることを特徴とする請求項2に記載の香り容器。
【請求項4】
前記容器本体の下側の段差部と前記第1の筒体との間、前記第1の筒体と前記第2の筒体との間、前記第2の筒体と前記容器本体の上側の段差部との間には、リング状のシール部材が配されていることを特徴とする請求項2に記載の香り容器。
【請求項5】
前記第1の筒体及び前記第2の筒体は、前記側壁の周方向に回転可能に挿着され、
前記容器本体の前記側壁の外周面には雄ネジが形成され、
前記第1の筒体の内周面には前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成され、
前記第2の筒体の内周面には前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成され、
前記第1の筒体及び前記第2の筒体は前記側壁の周方向に回転することで前記側壁の軸方向の移動が行われることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の香り容器。
【請求項6】
前記第2の筒体の高さが前記第1の筒体の高さより低いことを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の香り容器。
【請求項7】
前記側壁は外周面が、下方から上方に第1の領域、第2の領域、第3の領域に分けられ、
前記第1の筒体は、前記側壁の軸方向に移動することにより前記1の領域又は前記第2の領域を覆うことが可能であり、
前記第2の筒体は、前記側壁の軸方向に移動することにより前記2の領域又は前記第3の領域を覆うことが可能であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の香り容器。
【請求項8】
前記第1の領域、前記第2の領域、前記第3の領域のうち2つの領域に前記開口部が形成されていることを特徴とする請求項7に記載の香り容器。
【請求項9】
前記2つの領域に形成された開口部の開口面積は互いに異なることを特徴とする請求項8に記載の香り容器。
【請求項10】
前記開口部は、前記側壁の軸方向に延び、かつ、並列に形成された2以上の開口部からなり、該開口部の前記側壁の軸方向の一方の端部は同一周上で、他方の端部が前記軸方向で互いに異なる位置にあることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の香り容器。
【請求項11】
前記容器本体の内部は、隔壁によって第1の収容部と第2の収容部に分けられ、第1の収容部及び第2の収容部の側壁にそれぞれ開口部が形成されていることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の香り容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器の内部に香り物質を充填し容器の側壁に形成された開口部の開口面積を変化させて香りの強さを調整することができる香り容器に関する。
【背景技術】
【0002】
香水、アロマオイル等の揮発性がある香り物質を容器の内部に充填し、容器の側壁に形成された開口部から香り物質を放出する香り容器(香りペンダント等)が一般に製造販売されている。
【0003】
また、香り容器の側壁に、開口部の開口面積を変化させる開閉手段を設けて、香りの強さを調整できるようにした香り容器も公知となっている(例えば、登録実用新案第3165960号公報、特許第7393837号)。
香りの強さを調整できれば、屋外での使用時には強い香り、屋内での使用時には弱い香り、食事の際は香りの発生そのものを遮断するなど、使用する場面に応じた使い分けが可能になる。
また、時間の経過と共に香り容器の内部の香り物質が減った場合、そのままでは香りの強さは弱まるが、香り物質が減った分だけ開口面積を大きくすることで、時間の経過に拘わらず香りの強さを一定にすることもできる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】登録実用新案第3165960号公報
【文献】特許第7393837号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
香りの強さを調整できる上記従来の香り容器では、開口面積は、開口部を開閉する部材(開閉部材)を無段階に移動させることで開口面積を無段階に調整できる構成となっている(例えば特許文献2の香り容器の覆体120のリフト量に応じた調整)。
開閉部材を無段階に移動させ、その移動量(リフト量)に応じて香りの強さを無段階に細かく調整できることで、香り容器の使用をする者は、使用する場面に応じて香りの強さを所望の強さに調整できる。
しかし、従来の香り容器では、香りの強さを所望の強さにするために、毎回、開閉部材のリフト量を無段階に調整する必要があるため、香り容器の使用をする者にとって、毎回、香りの強さが微妙に異なるなど、その調整が煩わしいと感じる場合もある。
【0006】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、香り容器の本体に設けられた開口部の開口面積を調整して香りの強さを調整するに当たり、香りを所望の強さに無段階で細かく調整できようにすると共に、簡単な段階的な操作で香りの強さを調整できる香り容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため本願の第1の発明の香り容器は、開口部が形成された円筒状の側壁を有する容器本体と、内壁が前記側壁の外径と略同一の内径の円筒状であって前記容器本体の前記側壁に挿着される第1の筒体と、内壁が前記側壁の外径と略同一の円筒状であって前記第1の筒体の上方で前記容器本体の前記側壁に挿着される第2の筒体とを備え、前記第1の筒体と前記第2の筒体が前記側壁の軸方向に移動することによって前記開口部の開口面積が調整されるようになっている。
【0008】
また、本願発明の第2の発明の香り容器は、第1の発明の香り容器において、前記容器本体の下側に前記第1の筒体の下端面と接する段差部を設け、前記容器本体の上側に前記第2の筒体の上端面と接する段差部を設けたものである。
また、本願発明の第3の発明は、第2の発明の香り容器において、前記容器本体の上端及び下端の少なくとも一方が開放可能になっており、該開放可能な上端及び下端の少なくとも一方に前記側壁の外径より大きな外径の蓋体が装着されて前記段差部が形成される。
【0009】
また、本願発明の第4の発明は、第2の発明の香り容器において、前記容器本体の下側の段差部と前記第1の筒体との間、前記第1の筒体と前記第2の筒体との間、前記第2の筒体と前記容器本体の上側の段差部との間に、リング状のシール部材が配したものである。
【0010】
また、本願発明の第5の発明は、第1から第4の発明の香り容器において、前記第1の筒体及び前記第2の筒体が、前記側壁の周方向に回転可能に挿着され、前記容器本体の前記側壁の外周面には雄ネジが形成され、前記第1の筒体の内周面には前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成され、前記第2の筒体の内周面には前記雄ネジと螺合する雌ネジが形成され、前記第1の筒体及び前記第2の筒体は前記側壁の周方向への回転により前記容器本体に対し前記軸方向に移動する。
【0011】
また、本願発明の第6の発明は、第1から第4の発明の香り容器において、前記第2の筒体の高さを、前記第1の筒体の高さより低くしたものである。
また、本願発明の第7の発明は、第1から第4の発明の香り容器において、前記側壁の外周面が、下方から上方に第1の領域、第2の領域、第3の領域に分けられ、前記第1の筒体が前記側壁の軸方向に移動することにより前記1の領域又は前記第2の領域を覆うことが可能であり、前記第2の筒体が前記側壁の軸方向に移動することにより前記2の領域又は前記第3の領域を覆うことが可能となる。
【0012】
また、本願発明の第8の発明は、第7の発明の香り容器において、前記第1の領域、前記第2の領域、前記第3の領域のうち2つの領域に前記開口部を各々形成したものである。
また、本願発明の第9の発明は、第8の発明の香り容器において、前記2つの領域に形成された開口部の開口面積を互いに異ならせたものである。
【0013】
また、本願発明の第10の発明は、第1から第4の発明の香り容器において、前記開口部を、前記側壁の軸方向に延び、かつ、並列に形成された2以上の開口部とし、前記側壁の軸方向の一方の端部を同一周上とし、他方の端部を前記軸方向で互いに異なるようにした。
また、本願発明の第11の発明は、第1から第4の発明の香り容器において、前記容器本体の内部を隔壁によって上下2つの収容部に分け、各々の収容部の側壁に開口部を形成したものである。
【発明の効果】
【0014】
本願の第1の発明によれば、容器本体の開口部の開口面積が、それぞれ個別に移動可能な第1の筒体と第2の筒体の軸方向のそれぞれの移動によって調整できるので、第1の筒体と第2の筒体を一体に移動させる調整と、個別に移動させる調整の2通りの開口面積の調整が可能となる。また、第1の筒体と第2の筒体は個別に上下方向の移動が可能であるため、一方を他方のストッパとして用いることができる。
【0015】
また、本願発明の第2の発明によれば、容器本体の下側に形成された段差部と第1の筒体の下端とを接触させ、更に第1の筒体を該段差部側に押しつけることで、第1の筒体を段差部に接触させた状態で強固に固定することができる。また、容器本体の上側に形成された段差部と第2の筒体の上端を接触させ、更に第2の筒体を該段差部側に押しつけることで、第2の筒体を段差部に接触させた状態で強固に固定することができる。
【0016】
また、本願発明の第3の発明によれば、容器本体の上端及び下端の少なくとも一方の段差部を容器本体の側壁の外径より大きな外径の蓋体を装着することで容易に形成することができる。
また、本願発明の第4の発明によれば、リング状のシール部材により、容器本体の下側の段差部と前記第1の筒体との間、前記第1の筒体と前記第2の筒体との間、前記第2の筒体と前記容器本体の上側の段差部との間から香り物質が不要に漏れ出ることがない。
【0017】
また、本願発明の第5の発明によれば、第1の筒体、第2の筒体は、個別に周方向の回転が可能で、この回転に伴って第1の筒体、第2の筒体は、個別に軸方向に移動が可能になる。
また、本願発明の第6の発明によれば、第1の筒体の高さを第2の筒体の高さより高くすることで、第1の筒体及び第2の筒体により開口部の全閉状態から第2の筒体のみを最上部まで移動させたときに拡大する開口面積の変化量を小さくし、この状態から第1の筒体を第2の筒体に当接させるまで移動させたときに拡大する開口面積の変化量を大きくすることができる。
【0018】
また、本願発明の第7の発明によれば、第1の筒体が最下部の第1の領域を覆っているときに、第2の筒体が容器本体の軸方向に移動することで第2の領域と第3の領域を択一的に覆うことができ、第2の筒体が最上部で第3の領域を覆っているときに、第1の筒体が容器本体の軸方向に移動することで第1の領域と第2の領域を択一的に覆うことができる。
また、本願発明の第8の発明によれば、第1の筒体と第2の筒体が開口部が形成された領域を覆っているときには、香り容器は全閉状態となり、この状態から第1の筒体と第2の筒体を一体的に又は個別に移動させることで、開口部を択一的に開口させて香りの強さを調整することができる。
【0019】
また、本願発明の第9の発明によれば、2つの領域に形成された開口部の開口面積を互いに異ならせることで、第1の筒体と第2の筒体の一体的又は個別の移動により択一的に開口する開口部から放出される香り物質の量を異ならせることができる。
また、本願発明の第10の発明によれば、容器本体の軸方向に並列に形成された2以上の開口部が開口し始める第1の筒体及び第2の筒体の位置を異ならせることができ、第1の筒体及び第2の筒体の移動量に対して開口面積を漸次大きくすることができる。
【0020】
また、本願発明の第11の発明によれば、容器本体の内部が隔壁によって上下2つの収容部に分けられているので、それぞれの収容部に異なる香り物質を充填させておくことで、第1の筒体と第2の筒体の移動に応じて異なる香り物質を選択的に放出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】香りカプセル100の斜視図及び断面図である。
図2】香りカプセル100の胴部110、第1の筒体120、第2の筒体130、下蓋140、上蓋150を示す組立図である。
図3】開口部112a、112b、112cが形成された香りカプセル100の胴部110の展開図である。
図4】香りカプセル100の第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に移動させて開口部112a、112b、112cの開口面積を無段階に調整する手順を示す斜視図及び側面図である。
図5】香りカプセル100の第1の筒体120及び第2の筒体130を一体的に移動させた場合のリフト量hと開口幅Yの関係及びリフト量hと開口面積Sの関係を示すグラフである。
図6】第1の筒体120と第2の筒体130を個別に移動させて開口面積を調整する手順を示す斜視図及び側面図である。
図7】三角形の開口部212a、212b、212cが形成された香りカプセル200の組立図である。
図8】開口部212a、212b、212cが形成された香りカプセル200の胴部210の展開図である。
図9】香りカプセル200の第1の筒体220と第2の筒体20を一体的に移動させて開口部開口部212a、212b、212cの開口面積を調整する手順を示す斜視図及び側面図である。
図10】香りカプセル200の第1の筒体220及び第2の筒体230を一体的に移動させた場合のリフト量hと開口幅Y及びリフト量hと開口面積Sの関係を示すグラフである。
図11】第1の筒体220と第2の筒体230を個別に移動させて開口面積を調整する手順を示す斜視図及び側面図である。
図12】丸形の開口部312、312、312、…が形成された香りカプセル300の胴部310の展開図である。
図13】第1の筒体320及び第2の筒体330を移動させて開口部312、312、312、…の開口数を調整する手順を示す側面図である。
図14】胴部410の側壁を第1の領域410X、第2の領域410Y、第3の領域410Zに分けた香りカプセル400の断面図及び胴部410の展開図である。
図15】第1の筒体420と第2の筒体430を一体的に又は個別に移動させて開口面積を調整する手順を示す斜視図及び側面図である。
図16】胴部510の内部を隔壁515で第1の収容部510Aと第2の収容部510Bに分け、それぞれの側壁に開口部512、512、512と開口部513、513、513を形成した香りカプセル500の斜視図及び断面図である。
図17】香りカプセル500の第1の筒体520と第2の筒体530を個別に移動させて開口部512、512、512及び開口部513、513、513の開口を開閉する手順を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
(第1の実施の形態)
以下、本発明の第1の実施の形態について、図1から図13を用いて説明する。
図1は第1の実施の形態に係る香りカプセル(香り容器)100を示す斜視図及び香りカプセル100の断面図、図2は香りカプセル100を構成する胴部110、第1の筒体120、第2の筒体130、下蓋(蓋体)140、上蓋(蓋体)150を示す組立図である。
香りカプセル100は、図1(A)(B)に示すように、開口部112a、112b、112cが設けられた円筒状の容器本体100Aと、開口部112a、112b、112cを開閉するために容器本体100Aの側壁の外周に装着される調整部(開閉手段)100Bとからなる。
【0023】
香りカプセル100の容器本体100Aは、図1図2に示すように、側壁の外周面に雄ネジ111が形成された円筒状の胴部110、内周面に雌ネジ141が形成された下蓋140、内周面に雌ネジ151が形成された上蓋150によって構成されている。ここで胴部110の側壁が容器本体100Aの側壁となる。
容器本体100Aでは、胴部110の下端の雄ネジ111と下蓋140の雌ネジ141が螺着されて底部が形成される。
このように底部が形成された状態で、香り物質(香水等)が浸透したスポンジ10が胴部110内部に収容され、その後、胴部110の上端の雄ネジ111と上蓋150の雌ネジ151が螺着されて容器本体100Aが閉じられる。
上蓋150の上面には、香りカプセル100をペンダントトップとして用いる際にストラップ1を通す挿通孔が設けられている。
なお、以下の説明では説明を容易にするため、スポンジ10について説明及び図示を省略する。
【0024】
容器本体100Aの底部を構成する下蓋140の外径は、図1(B)に示すように、胴部110の側壁の外径より大きくなっており、下蓋140が胴部110の下端に螺着されたときに段差が生じるようになっている。この段差が、胴部110と下蓋140との間の段差部140Aとなる。また、上蓋150も外径も胴部110の側壁の外径より大きくなっており、上蓋150が胴部110の上端に螺着されたときに生じる段差が、胴部110と上蓋150との間の段差部150Aとなる。
【0025】
香りカプセル100の調整部100Bは、容器本体100Aの側壁(胴部110の側壁)の外周に挿着される第1の筒体120と、この第1の筒体120の上方で容器本体100Aの側壁の外周に挿着される第2の筒体130とによって構成されている(図1)。
第1の筒体120の内周面には雌ネジ121が形成され、容器本体100Aへの挿着時、雌ネジ121は胴部110の雄ネジ111と螺合する。
また、第2の筒体130の内周面にも雌ネジ131が形成され、容器本体100Aへの挿着時、雌ネジ131は胴部110の雄ネジ111と螺合する。
【0026】
このように構成された香りカプセル100では、第1の筒体120が図1中、上からみて時計回りに回転することで、第1の筒体120は胴部110に対して下方に移動し(下降)、反時計回りに回転することで上方に移動する(上昇)。
同様に、第2の筒体130が、図1中、上からみて時計回りに回転することで、第2の筒体130は胴部110に対して下方に移動(下降)し、反時計回りに回転することで上方に移動(上昇)する。
【0027】
第1の筒体120は、上下方向に移動する際、雌ネジ121が胴部110の雄ネジ111と螺合する状態を保っている。また、第2筒体130も、上下方向に移動する際、雌ネジ131が胴部110の雄ネジ111と螺合する状態を保っている。
このため第1の筒体120と第2の筒体130が上昇/下降する際に、第1の筒体120と胴部110との間、第2の筒体130と胴部110の間から香り物質が不要に漏れ出すことがない。
【0028】
この香りカプセル100では、第1の筒体120が時計回りに回転し続けると第1の筒体120は下蓋140側の段差部140Aに当接する。この状態で更に第1の筒体120が時計回りに回転すると第1の筒体120が段差部140Aに強く押しつけられ、第1の筒体120は最下部で強固に固定される。このとき段差部140Aは、第1の筒体120の時計回りの回転を禁止するストッパとして機能する。
【0029】
第1の筒体120が最下部で固定されている状態で第2の筒体130が時計回りに回転し続けると、第2の筒体130は最下部にある第1の筒体120の上端に当接する。この状態で更に第2の筒体130を時計回りに回転させると第2の筒体130は第1の筒体120の上端に強く押しつけられる。このとき第1の筒体120は第2の筒体130の時計回りを禁止するスットパとして機能する。
【0030】
第1の筒体120が段差部140Aに押しつけられ、第2の筒体130が第1の筒体120に押しつけられて最下部で固定されている状態から、第1の筒体120と第2の筒体130を上昇させるには、先ず第2の筒体130だけを反時計回りに回転させて上昇させる。この上昇によって第2の筒体130と第1の筒体120との間が弛む。
この弛んだ状態のまま、第2の筒体130と第1の筒体120を一体的に反時計回りに回転させると、今度は第1の筒体120と段差部140Aとの間が弛む。
その後は、第1の筒体120と第2の筒体130との間を弛めたまま一体的に反時計回りに回転すると、第1の筒体120と第2の筒体130は一体となって、胴部110の軸方向に移動する(上昇)。
【0031】
第1の筒体120と第2の筒体130が一体となって上昇し所望の位置となったとき、第2の筒体130だけを逆に時計回りに回転させると、第2の筒体130は第1の筒体120側に押しつけられる。このとき第1の筒体120は第2の筒体130によって反時計回りの回転が禁止される(第2の筒体130がストッパとして機能)。結果、第1の筒体120と第2の筒体130は、この所望の位置で強固に固定される。
【0032】
第1の筒体120と第2の筒体130が所望の位置に固定された状態から、第2の筒体130だけを再び反時計回りに回転させると、第2の筒体130と第1の筒体120との間が再び弛み、第1の筒体120と第2の筒体130が共に回転可能な状態になる。
ここで第1の筒体120と第2の筒体130の間を弛めたまま一体的に反時計回りに回転させると、第1の筒体120と第2の筒体130は再び一体となって上方向に移動する(上昇)。
【0033】
第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に反時計回りに回転し続け、第2の筒体130の上端が上蓋150側の段差部150Aに当接すると、先ず第2の筒体130が段差部150Aに強く押しつけられて回転不能となりこの位置で強固に固定される。
第2の筒体130が段差部150Aに当接して固定された状態で、更に第1の筒体120を反時計回りに回転させると、第1の筒体120の上端が第2の筒体130の下端に当接し、更に第1の筒体120の反時計回りの回転を続けると第1の筒体120が第2の筒体130の下端に強く押しつけられ、結果、第1の筒体120と第2の筒体130が最上部で強固に固定される。
【0034】
第2の筒体130、第1の筒体120が最上部で強固に固定されている状態から、再び下方向に移動させたいのであれば、先ず第1の筒体120を時計回りに回転させて、第1の筒体120と第2の筒体130との間を弛め、その後、第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に回転させれば、第1の筒体120と第2の筒体130は一体となって胴部110の軸方向に下降する。
第1の筒体120と第2の筒体130が所望の位置となったときに、第2の筒体130だけを引き続き時計回りに回転させれば、第1の筒体120と第2の筒体130はこの所望の位置で強固に固定される。なお、第1の筒体120のみ反時計回りにしても同じである。
【0035】
この香りカプセル100では、段差部140Aにより第1の筒体120を下蓋140側(最下部)で固定でき、段差部150Aにより第2の筒体130を上蓋150側(最上部)で固定することもできる。
具体的には、第1の筒体120だけを時計回りに回転し続けることで第1の筒体120は段差部140Aに当接するまで下方に移動し、当接した後、更に第1の筒体120を時計回りに回転させると、第1の筒体120は段差部140Aに強く押しつけられ、この位置で強固に固定される(最下部)。
一方で第2の筒体130だけを反時計回りに回転し続けることで第2の筒体130は段差部150Aに当接するまで上方に移動し、当接した後、更に第2の筒体130を反時計回りに回転させると、第2の筒体130は段差部150Aに強く押しつけられ、この位置で固定される(最上部)。
【0036】
なお、香りカプセル100では、第2の筒体130の高さが第1の筒体120の高さより低くなっているが、これは以下の理由による。
香りカプセル100では、第1の筒体120と第2の筒体130は、互いにスットパとして機能して、所望の位置で一体となって強固に固定できる構造となっている。
香りカプセル100の使用をする者は、通常、容器を手にもっての上側から調整部100B(第1の筒体120、第2の筒体130)を回転させる。
この場合、第1の筒体120と第2の筒体130を所望の位置まで一体に移動させた後、この所望の位置で固定するのであれば、上側の第2の筒体130をストッパとして回転させる方が操作がしやすいし、回転させるのであれば第2の筒体130はその高さが低い方がよい。このため第2の筒体130は第1の筒体120より高さが低くなっている。
【0037】
また、所望の位置で互いにストッパとして互いに固定された第1の筒体120と第2の筒体130の間を弛める場合にも、上側の第2の筒体130を反時計回りに回転させる方が操作しやすい。
【0038】
また、第2の筒体130の高さを低く、第1の筒体120の筒体の高さを高くしているのには次の理由もある。
すなわち、後述する香りカプセル100による段階的な香りの強さ調整(第1の筒体120と第2の筒体130を個別に移動させることによる香りの強さ調整)において、全閉状態から第1の筒体120のみを上昇させたて半開状態にしたときの開口面積に対し、半開状態から第2の筒体130を上昇させて全開状態にしたときの開口面積が増加する割合を相対的に大きくすることができるからである(後述のウェーバー・フェヒナーの法則に近似させた香りの強さ調整が可能になる)。
【0039】
なお、下蓋140の上端と第1の筒体120の下端との間にはパッキン161が配され、第1の筒体120の上端と第2の筒体130の下端との間にはパッキン162が配され、第2の筒体130の上端と上蓋150の下端との間にはパッキン163が配されている。
このようにパッキン161,162,163を配することで、下蓋140と第1の筒体120との間、第1の筒体120と第2の筒体130との間、第2の筒体130と上蓋150との間に隙間がなくなり、香り物質が不要に外部に漏れ出ることが防止できる。
【0040】
図3は、側壁に高さが異なる長方形の開口部112a、112b、112cが形成された胴部110の展開図である。
ここで胴部110の側壁は第1の領域110Xと第2の領域110Yに分けられ、第1の領域110Xに開口部112a、112b、112cが形成されている。
長方形の開口部112a、112b、112cは、上端(図3中、上方)の位置は、円筒状の胴部110の同一周上にあるが、下端の位置は互いに異なる(図3)。香りカプセル100では、全閉状態から第1の筒体120、第2の筒体130が上昇して開口部が開口し始める際、開口部112a、112b、112cは、図3中、下側から開口を始める。
【0041】
開口部112a、112b、112cが形成される第1の領域110Xの高さは、第1の筒体120の高さと第2の筒体130の高さの和より小さくなっており、第1の筒体120と第2の筒体130が一体となって最下部で固定されているとき、第1の筒体120と第2の筒体130が3つの開口部112a、112b、112cを完全に閉じることができる(図4(A)(a))。
【0042】
ここで香りカプセル100の香りの強さの調整について詳細に説明する。
香りカプセル100の不使用時(香り遮断時)、第1の筒体120と第2の筒体130が最下部にて固定され開口部112a、112b、112cが全て閉じられる(全閉状態)。
香りカプセル100から香りを発生させるに当たっては、最下部で固定されている第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に反時計回りに回転させればよく、この第1の筒体120と第2の筒体130の回転に伴って開口部112a、112b、112cが順次、開口を開始する。
【0043】
具体的には、香りカプセル100の全閉状態では、第1の筒体120と第2の筒体130は最下部で強固に固定されているが、この状態から第1の筒体120と第2の筒体130を反時計回りに回転させるには、先ず第2の筒体130を反時計回りに回転させて、第1の筒体120と第2の筒体130との間を弛める。
【0044】
第1の筒体120と第2の筒体130との間が弛まった後、第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に反時計回りに回転すれば、第1の筒体120と第2の筒体130は一体となって上方に移動する(上昇)。
第1の筒体120と第2の筒体130が一体となって上昇を開始すると、先ず開口部112aが開口し始め(図4(B)(b))、更に反時計回りの回転を続けると開口部112bが開口し始め(図4(C)(c))、最後に開口部112cが開口し始める。
【0045】
第1の筒体120と第2の筒体130が所望の位置となったとき、第2の筒体130のみを逆方向(時計回り)に回転させると、第1の筒体120と第2の筒体130は、この所望の位置で強固に固定される。
所望の位置で固定された第1の筒体120と第2の筒体130を再び一体的に回転させる際には、第2の筒体130のみ反時計回りに回転させて第1の筒体120との間を弛めればよい。
【0046】
第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に反時計回りに回転し続ければ、その移動量(リフト量)に応じて開口面積Sが増大し続け、第2の筒体130が上蓋150の段差部150Aに当接するまでに開口部112a、112b、112cが全開状態となる(図4(D)(d))。
このようにカプセル100では、全閉状態(図4(A)(a)から全開状態(図4(D)(d))となるまでの間、第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に上下方向に無段階で連続的に移動させることができる。
このときの第1の筒体120と第2の筒体130のリフト量(第1の筒体120の下端の移動量)と開口部の開口幅Yと開口面積Sとの関係を図5に示す。
【0047】
香りカプセル100では、開口部112a、112b、112cが互いに長さが異なる長方形で形成されているので(図3)、各開口部は、開口開始位置が互いに異なる(h0、h1、h2)。一旦、開口し始めると開口部112a、112b、112cは、その後、リフト量hが増えるに従って開口面積が拡大する。
すなわち図5(B)のho~h1では開口部112aのみが開口し、h1~h2では開口部112aと開口部112b、h2~では開口部112a、112b、112cが開口する。このとき開口面積Sは、開口部112a、112b、112cの各開口面積が順に重ね合わされ、図中、実線で示す折れ線に従って増大する。
【0048】
ところで、実際に放出される香り物質の量と、人が感じる香りの強さは比例せず、ウェーバー・フェヒナーの法則に従うことが知られている。ウェーバー・フェヒナーの法則によれば、人の嗅覚は物質濃度の対数に比例するとされている(図5(B)のδ)。
香りカプセル100では、開口面積Sが3本の直線を重ね合わせた折れ線に従って次第に大きくなるので(図5(B)の一点鎖線、二点鎖線が重なり合う)、開口部を同じ高さの長方形とした場合(図5(B)の破線)よりも「ウェーバー・フェヒナーの法則」の曲線δに近づけることができる。
この結果、香りカプセル100では、使用をする者に香りの強さと第1の筒体120と第2の筒体130の上下方向の移動量(リフト量h)が比例しているように感じさせることができる。
【0049】
このように香りカプセル100では、第1の筒体120と第2の筒体130を一体的に上下方向に移動させて香りの強さをを無段階で連続的に細かく調整できるが、香りカプセル100を使用する者は、例えば、全閉状態、半開状態、全開状態という具合に、段階的に不連続な香りの強さの調整をしたい場合もある。
このため香りカプセル100では、第1の筒体120と第2の筒体130とを一体的に上下方向に移動させて香りの強さを無段階で連続的に細かく調整することを可能としつつ、一方で、段階的で不連続な調整(全閉状態、半開状態、全開状態の段階的な切り替え)ができるようになっている。
このように無段階で連続的な調整と、段階的で不連続な調整を切り替えることが可能なのは、香りカプセル100では、開口部112a、112b、112cの開口面積の調整を第1の筒体120と第2の筒体130の2つの筒体で行っているからである。
【0050】
図6は、第1の筒体120と第2の筒体130を個別に移動させて香りの強さを段階的で不連続に調整する方法を示す斜視図と側面図である。
第1の筒体120と第2の筒体130を個別に移動させる態様は次の(i)~(iii)の通りである。
(i) 第1の筒体120と第2の筒体130を最下部で固定(図6(A)(a))
このとき開口部112a、112b、112cが形成された第1の領域110Xが第1の筒体120、第2の筒体130により閉塞(全閉)。
(ii) 第1の筒体120を最下部、第2の筒体130を最上部に分けて個別に固定(図6(B(b))
このとき開口部112a、112b、112cが形成された第1の領域110Xの上側の一部が露出(半開)。
このとき
(iii) 第1の筒体120と第2の筒体130を最上部で固定(図6(C)(c))
(c))
このとき開口部112a、112b、112cが形成された第1の領域110Xが全て露出(全開)。
【0051】
(i)~(iii)のように第1の筒体120と第2の筒体130が固定される位置を切り替えることで香りカプセル100では(i)全閉状態、(ii)半開状態、(iii)全開状態という具合に切り替えて段階的で不連続な香りの強さの調整が可能となる。
ここで(i)の状態では第1の筒体120と第2の筒体130が共に時計周りに最下部まで回転されて、第1の筒体120が段差部140Aに当接して固定、第2の筒体130が第1の筒体120に当接して固定されている。
(ii)の状態では、第1の筒体120が時計周りに最下部まで回転されて段差部140Aに当接して固定、第2の筒体130が反時計回りに回転されて段差部150Aに当接して固定されている。
(iii)の状態では、第2の筒体130、第1の筒体120が反時計回りに最上部まで回転されて第2の筒体130が段差部150Aに当接して固定、第1の筒体120が第2の筒体130に当接して固定されている。
【0052】
前述のように第2の筒体130の高さは、第1の筒体120の筒体の高さより低くなっているので、図6(A)(a)に示す全閉状態から第2の筒体130だけを最上部に移動させたときに新たに開口する開口面積Sは、全閉状態で第2の筒体130が覆っていた一部であるため、相対的に小さい(図6(b))。
【0053】
半開状態から全開状態に移行すると、開口部112a、112b、112cのうち半開状態で第1の筒体120が覆っていた部分が、全て開口するため、第1の筒体120が第2の筒体130より高さが高い分、増加する開口面積Sは大きくなる(図6(c))。
この結果、半開状態で放出される香り物質の量に対して、全開状態ではより多くの香り物質が放出されるので(開口面積Sが極端に増大する)、段階的で不連続な香りの強さの調整でも、半開状態から全開状態に移行する際に放出される香り物質の放出量を相対的に多くすることで、ウェーバー・フェヒナーの法則に沿った香りの強さの調整が可能になる。
【0054】
以上説明したように第1の実施の形態の香りカプセル100では、第1の筒体120と第2の筒体130とを一体的に上下方向に移動させることで、香りの強さを無段階で連続的に細かく調整することが可能である一方、第1の筒体120を段差部140A(下蓋140)側、第2の筒体130を段差部150A(上蓋150)側に個別に移動させて固定することができるので、全閉状態-半開状態-全開状態という具合に段階的で不連続な香りの強さ調整をすることも可能となる。
【0055】
次に、第1の実施の形態の第1の変形例に係る香りカプセル200について説明する。
香りカプセル200においても、胴部210と下蓋240と上蓋250によって容器本体200Aが構成され、第1の筒体220と第2の筒体230によって調整部200Bが構成されている(図9(A))。
香りカプセル200は、図7図8に示すように、第1の領域210Xに高さの異なる二等辺三角形の開口部212a、212b、212cを形成したものである。
3つの開口部212a、212b、212cは、底辺の長さaが同一で、高さb(b1,b2,b3)が異なる二等辺三角形である。また、開口部212a、212b、212cの各二等辺三角形は、底面が円筒状の胴部210の側壁の同一周上となっている。
また、香りカプセル200では、パッキン261が下蓋240の上端に、パッキン262が第1の筒体220の上端に、パッキン263が第2の筒体230の上端に埋め込まれている。なお、図9中、符号211は雄ネジであり、221、231、241、251は雄ネジである。また、符号240A、250Aは段差部である。
この香りカプセル200は、開口部212a、212b、212cの形状とパッキンの設け方が香りカプセル100と異なり、その他の構成は同じであるから他の部材に関する詳細な説明は省略する。
【0056】
図9は、第1の筒体220と第2の筒体230とが一体的に上下方向に移動したときに三角形の開口部212a、212b、212cが開口する様子を示す斜視図及び側面図である。
第1の筒体220と第2の筒体230が一体となって上下に移動する際には、その移動量((第1の筒体220最下部のリフト量h)が大きくなるに従って開口部212a、212b、212cは、図10(A)に示すように開口幅Yが比例して大きくなり、結果、リフト量が大きくなるに従い(h0→h1→h2)に開口面積Sは指数関数的に大きくなる。
【0057】
この場合の開口面積Sはリフト量hが大きくなるに従って、1つの二次曲線、2つの二次曲線を重ね合わせた曲線、3つの二次曲線を重ね合わせた曲線という具合に次第に大きくなる。
このようにリフト量hに対して開口面積Sを3つの二次曲線を順次重ね合わせた曲線に従って大きくすることで、香りカプセル100と比較して、より一層、ウェーバー・フェヒナーの法則に従った香りの強さの調整が可能となる。
【0058】
図11は、三角形の開口部212a、212b、212cが形成された香りカプセル200において、第1の筒体220と第2の筒体230を個別に移動させて開口面積を段階的で不連続に調整する手順を示す斜視図及び側面図である。
香りカプセル200においても、第1の筒体220と第2の筒体230を最下部に固定させておくことで、胴部210の第1の領域210Xが閉塞されて開口部212a、212b、212cが全閉状態となる。
この状態から第2の筒体230のみを反時計回りに回転させて上蓋250との間の段差部250Aに押しつけて固定すると、開口部212a、212b、212cのうち第2の筒体230によって閉じられていた部分(図11(b))が開口し、この部分から香り物質が放出される(半開状態)。
【0059】
更に第1の筒体220を反時計回りに回転させて、既に最上部で固定されている第2の筒体230に押しつけて固定すると、半開状態では第1の筒体220によって一部が閉じられていた開口部212a、212b、212cが開口して(全開状態)香り物質が放出される(図11(c))。
【0060】
次に第2の変形例に係る香りカプセル300について図12図13を用いて説明する。
香りカプセル300では、図12に示すように、胴部310の側壁の第1の領域310X、第2の領域310Yのうち第1の領域310Xに丸形の開口部312、312、312、…が多数形成されている。
丸形の開口部312、312、312、…は、円筒状の胴部310の孔の数が、胴部310の図中、下側から上側に向かうほど多くなっている。
第1の筒体320及び第2の筒体330を一体として上方向に移動させると、そのリフト量に応じて開口する丸形の開口部312、312、312、…の数が多くなる(図13(A)~(D))。
【0061】
この香りカプセル300においても、全閉状態(図13(A))から第1の筒体320と第2の筒体330を個別に移動させて、第1の筒体320を下蓋340側(最下部)に、第2の筒体330を上蓋350側(最上部)で固定することができる(図13(E))。このとき最も上部に形成された丸形の開口部312、312、312、…のみが開口することとなる。
よって、この香りカプセル300でも、第1の筒体320と第2の筒体330を最下部で固定して全閉状態にし(図13(A))、次いで第2の筒体330のみを最上部で固定して半開状態とし(図13(E))、最上部で固定されている第2の筒体330側に第1の筒体320を押しつけて固定することで、丸形の開口部312、312、312、…を全開状態とすることができる(図13(D))。
【0062】
(第2の実施の形態)
次に第2の実施の形態に係る香りカプセル400について図14図15を用いて説明する。この香りカプセル400でも容器本体が胴部410、下蓋440、上蓋450で構成され、調整部が第1の筒体420と第2の筒体430で構成されている。
香りカプセル400は、胴部410の側壁が第1の領域410X、第2の領域410Y、第3の領域410Zに三分割されている。
第1の筒体420は、第1の領域410X、第2の領域410Yを覆うことができるようにその高さが決定されている(露出している側壁の高さの1/3)。
第2の筒体430は、第2の領域410Y、第3の領域410Zを覆うことができるようにその高さが決定されている(露出している側壁の高さの1/3)。
【0063】
この結果、第1の筒体420と第2の筒体430が一体的に軸方向で上下に移動する場合、第2の領域410Yは、第1の筒体420と第2の筒体430の双方又は何れかによって常に覆われることになる。
香りカプセル400においても、第1の筒体420と第2の筒体430を一体的に回転させて無段階で連続的に細かな香りの強さの調整を行うため、無段階で連続的な香りの強さの調整のための開口部(三角形の開口部412a、412b、412c)は、第1の領域410X又は第3の領域410Zに設ける必要がある。
【0064】
一方で、香りカプセル400においても、段階的で不連続な香りの強さの調整を行うため、第1の領域410Xに設けられた開口部412a、412b、412cと択一的に開口する開口部413、413、413は、第2の領域410Yに設ける必要がある。仮に、第1の領域410Xと第3の領域410Zに開口部を形成してしまうと、第1の筒体420と第2の筒体430を一体的に回転させることによる無段階で連続的な香りの強さの調整ができなくなる。
【0065】
この香りカプセル400では、胴部410の第1の領域410Xに三角形の開口部412a、412b、412cが形成され、第2の領域410Yに四角形の開口部413、413、413…が形成されている。
ここで四角形の開口部413、413、413…は、三角形の開口部412a、412b、412cより数が多く、かつ、個々の開口も大きくなっている。なお、その他の構成は、上述した第1の実施の形態の香りカプセル100と同じであり、その詳細な説明は省略する。
【0066】
このように構成された香りカプセル400では、第1の筒体420が最下部で下蓋440側の段差部440Aに押しつけられて固定され、第2の筒体430が第1の筒体420の上端に押しつけられて固定された状態のとき、第1の領域410Xの三角形の開口部412a、412b、412cと第2の領域410Yの四角形の開口部413、413、413…が全て閉じられる(図14図15(A)(a)の全閉状態)。
【0067】
この状態から第1の筒体420と第2の筒体430を一体的に反時計回りに回転させて上方に移動させるとそのリフト量に応じて互いに三角形の開口部412a、412b、412cが順次開口し始める(図15(A)→(B)→(C)、(a)→(b)→(c))。
この結果、第1の筒体420と第2の筒体430が一体的に回転して引き上げられるとリフト量に応じて開口面積が無段階で連続的に、かつ、指数関数的に増大する(図10参照)。
【0068】
第2の筒体430と第1の筒体420が上蓋450側で最上部に達し(段差部450Aと当接)三角形の開口部412a、412b、412cが全て開口した状態(図16(C)(c))から、第1の筒体420のみ時計回りに最下部まで回転させて下蓋440の段差部440Aに押しつけた状態で固定すると、全開であった三角形の開口部412a、412b、412cは全閉となり、それまで第1の筒体420で覆われていた四角形の開口部413、413、413…が全開となる。
【0069】
このように香りカプセル400では、第1の筒体420と第2の筒体430とを一体的に上下方向に移動させることによって、三角形の開口部412a、412b、412cを無段階で連続的に変化させることができるので、香りの強さを指数関数的に変化させ、もってウェーバー・フェヒナーの法則に従った香りの強さの調整が可能となる。
一方で、第1の筒体420と第2の筒体430とを個別に移動させることもできるので、例えば、第1の筒体420と第2の筒体430を最下部で固定して全閉状態とし、第1の筒体420と第2の筒体430を最上部まで上昇させて固定して開口面積が相対的に小さい三角形の開口部412a、412b、412cのみを開口(図15(C)(c))させ、次いで第1の筒体420を最下部、第2の筒体430を最上部という具合に個別に固定して開口面積が相対的に大きい四角形の開口部413、413、413…を全開(図15(D)(d))にするという段階的で不連続な香りの強さの調整を行うこともできる。
【0070】
(第3の実施の形態)
次に第3の実施の形態に係る香りカプセル500について図16図17を用いて説明する。なお、図16図17では、胴部510の構成を簡潔に示すために、胴部510の外周面に形成されている雄ネジ、第1の筒体520、第2の筒体530、下蓋540、上蓋550の内周面に形成されている雌ネジを省略している。
また、香りカプセル500でも、第1、第2の実施の形態と同様に、胴部510、下蓋540、上蓋550によって容器本体が構成され、第1の筒体520と第2の筒体530によって調整部が構成されている。
この香りカプセル500の胴部510は、図16に示すように、内部が隔壁(仕切り部)515によって上下に第1の収容部510A、第2の収容部510Bに分けられ、第1の収容部510A、第2の収容部510Bのそれぞれの側壁に開口部512、512、512、開口部513、513、513がそれぞれ形成されている。
【0071】
この香りカプセル500では、第1の筒体520が時計回りに回転すると、胴部510の雄ネジ(図示省略)と第1の筒体520の雌ネジ(図示省略)が螺合しているので下蓋540側の段差部540Aに当接するまで下降し、その後、第1の筒体520が段差部540Aに押しつけられて固定される。
一方、第2の筒体530が反時計回りに回転し続けると、胴部510の雄ネジと第2の筒体530の雌ネジ(図示省略)が螺合しているので上蓋550側の段差部550Aに当接するまで下降し、その後、第2の筒体530が段差部550Aに押しつけられて固定される。
このとき第1の筒体520が開口部512a、512a、512aを閉じ、第2の筒体530が開口部512b、512b、512bを閉じることで香りカプセル500は全閉状態となる(図17(A))。
【0072】
図17(A)に示す全閉状態から第2の筒体530を時計回りに回転させて第1の筒体520に当接するまで下方に移動させると、開口部513、513、513が全開となり、第2の収容部510B内に収容されていた香り物質(図示省略)が外部に放出される(図17(B))。
反対に、図17(A)に示す全閉状態から第1の筒体520を反時計回りに回転させて第2の筒体530に当接するまで上方に移動させると、開口部512、512、512が全開となり、第1の収容部510A内に収容されていた香り物質(図示省略)が外部に放出される(図17(C))。
【0073】
この香りカプセル500では胴部510が隔壁515によって第1の収容部510A、第2の収容部510Bに分けられ、第1の筒体520、第2の筒体530の個別の移動によって何れか一方を択一的に開口することができるため、第1の収容部510A、第2の収容部510Bに異なる成分の香り物質を収容することで、異なる2つの香りを択一的に外部に放出することができる。
また、第1の収容部510A、第2の収容部510Bに各々形成される開口部512、512、512と開口部513、513、513の開口面積を異ならせることで、第1の収容部510Aが開放されたときと、第2の収容部510Bが開放されたときとで香りの強さを異ならせることも可能である。
【0074】
なお、第1から第3の実施の形態では香りカプセルの容器本体100A、400Aを胴部110、下蓋140、上蓋150で構成した例を示したが、容器本体100Aの上端又は下端の何れか一方を胴部110と一体成型して、上蓋と下蓋の何れかを省いてもよい。
【符号の説明】
【0075】
10 スポンジ
100,200,300,400,500 香りカプセル(香り容器)
100A 容器本体
100B 調整部
110,210,310,410,510 胴部
112a、112b、112c 開口部
120,220,320,420,520 第1の筒体
130,230,330,430,530 第2の筒体
140,240,340,440,540 下蓋(蓋体)
150,250,350,450,550 上蓋(蓋体)
140A,240A,440A,540A 段差部
150A,250A,450A,550A 段差部
161,162,163 パッキン(シール部材)
212a,212b,212c 開口部
312 開口部
412a,412b,412c 開口部
413 開口部
510A,510B 収容部
512a,512b,512c,512d 開口部
515 隔壁
540A,550A 段差部
【要約】
【課題】 円筒状の容器本体の側壁に設けられた開口部の開口面積を無段階で連続的に変化させることを可能にしつつ段階的で不連続に変化させることを可能にして香りの強さ調整にバリエーションを持たせた香りカプセルを提供する。
【解決手段】
香りカプセル100は、香り物質が充填される容器本体100Aと、容器本体100Aの開口部112a、112b、112cの開口面積を調整する調整部100Bとからなる。調整部100Bは、容器本体100Aの胴部110外周に装着される第1の筒体120と第2の筒体130からなる。第1の筒体120と第2の筒体130は、胴部110の軸方向に一体的に又は個別に上下動する。胴部110に形成された開口部112a、112b、112cの開口面積Sは、第1の筒体120、第2の筒体130の一体的又は個別の上下動によって調整される。
【選択図】図1
図1
図2
図3
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図17