(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】媒体
(51)【国際特許分類】
G09F 3/06 20060101AFI20240913BHJP
G09F 3/02 20060101ALI20240913BHJP
H02G 1/06 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G09F3/06
G09F3/02 M
H02G1/06
(21)【出願番号】P 2018184809
(22)【出願日】2018-09-28
【審査請求日】2021-08-27
【審判番号】
【審判請求日】2023-09-15
(73)【特許権者】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003096
【氏名又は名称】弁理士法人第一テクニカル国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中嶋 千恵
(72)【発明者】
【氏名】穂苅 有希
(72)【発明者】
【氏名】伴野 貴昭
【合議体】
【審判長】川俣 洋史
【審判官】嵯峨根 多美
【審判官】門 良成
(56)【参考文献】
【文献】特開2016-4106(JP,A)
【文献】特表2011-524154(JP,A)
【文献】特開昭62-52028(JP,A)
【文献】特開2002-273803(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0127491(US,A1)
【文献】特開2004-45812(JP,A)
【文献】特開昭60-152582(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G09F 3/00- 3/20
H02G 1/06- 1/10
B65C 3/02- 3/04
B31B 50/00-70/99
B31C 1/00-99/00
B31D 1/00-99/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
プリンタに装着されて印字される媒体であって、
不透明な剥離材と、
前記剥離材に設けられ、第1辺と第2辺とが対向し、第3辺と第4辺とが対向する四角形のスリットと、
印字がなされる表面と粘着層を有する裏面とを有し、前記スリットの前記第1辺及び前記第2辺の両方を跨ぐように前記粘着層により前記剥離材に貼られた、
透明な被印字用ラベルと、
を有する媒体であって、
前記被印字用ラベルは、
第5辺と第6辺とが対向し、第7辺と第8辺とが対向する四角形であり、
前記被印字用ラベルの前記第7辺及び前記第8辺は、それぞれ、前記スリットの前記第3辺及び前記第4辺と、平行であり、
前記被印字用ラベルの前記第7辺及び前記第8辺は、前記スリットによって囲まれた前記剥離材が貼られている状態で前記被印字用ラベルを前記剥離材から剥がしたときに、前記スリットによって囲まれた前記剥離材と前記第7辺及び前記第8辺それぞれとの間で前記粘着層が露出しないように、それぞれ前記スリットの前記第3辺及び前記第4辺と近接しており、
前記スリットは、前記剥離材に複数設けられており、
前記被印字用ラベルは、前記剥離材に複数貼られており、
前記剥離材は、
前記複数のスリットそれぞれの前記第1辺に平行な第1方向に長尺であり、
1つの前記スリット及びそれに対応する1つの前記被印字用ラベルの組が、前記第1方向に沿って複数組並んでおり、
前記被印字用ラベルは長方形であり、前記第7辺及び前記第8辺は、前記第5辺及び前記第6辺より長く、
前記被印字用ラベルの前記第5辺は、前記スリットの前記第2辺よりも前記スリットの前記第1辺に近い側にあり、
前記被印字用ラベルの前記第6辺は、前記スリットの前記第1辺よりも前記スリットの前記第2辺に近い側にあり、
前記スリットの前記第1辺と前記被印字用ラベルの前記第5辺との間の最短距離は、前記スリットの前記第2辺と前記被印字用ラベルの前記第6辺との間の最短距離よりも、長い
ことを特徴とする媒体。
【請求項2】
請求項1記載の媒体において、
前記スリットの前記第1辺と前記スリットの前記第2辺との間の最短距離は、前記スリットの前記第1辺と前記被印字用ラベルの第5辺との最短距離の1倍以上3倍以下である
ことを特徴とする媒体。
【請求項3】
請求項1記載の媒体において、
前記被印字用ラベルは、
少なくとも一部が前記スリットに囲まれた領域の少なくとも一部と重なる印刷部であって、第9辺と第10辺とが対向し、第11辺と第12辺とが対向する四角形の前記印刷部を有し、
前記被印字用ラベルの前記第5辺は、前記印刷部の前記第10辺よりも前記印刷部の前記第9辺に近い側にあり、
前記被印字用ラベルの前記第6辺は、前記印刷部の前記第9辺よりも前記印刷部の前記第10辺に近い側にあり、
前記印刷部の前記第9辺と前記被印字用ラベルの前記第5辺との間の最短距離は、前記印刷部の前記第10辺と前記被印字用ラベルの前記第6辺との間の最短距離よりも長く、
前記印刷部の前記第9辺と前記印刷部の前記第10辺との間の最短距離は、前記印刷部の前記第9辺と前記被印字用ラベルの前記第5辺との最短距離の1倍以上3倍以下である
ことを特徴とする媒体。
【請求項4】
請求項1記載の媒体において、
前記被印字用ラベルには、
前記スリットに囲まれた領域と同じ形かつ同じ大きさの印刷部が設けられていることを特徴とする媒体。
【請求項5】
請求項1記載の媒体において、
前記被印字用ラベルには、
前記スリットに囲まれた領域よりも小さい印刷部が設けられている
ことを特徴とする媒体。
【請求項6】
請求項1記載の媒体において、
前記被印字用ラベルの前記第7辺及び前記第8辺にミシン目を介して連結され、前記剥離材に貼られるラベルを更に有する
ことを特徴とする媒体。
【請求項7】
プリンタに装着されて印字される媒体であって、
紙又は有色フィルム又は布又は金属を含む剥離材と、
前記剥離材に設けられ、第1辺と第2辺が対向し、第3辺と第4辺が対向する四角形のスリットと、
印字がなされる表面と粘着層を有する裏面とを有し、前記スリットの前記第1辺及び前記第2辺の両方を跨ぐように前記粘着層により前記剥離材に貼られた、
透明な被印字用ラベルと、
を有する媒体であって、
前記被印字用ラベルは、
第5辺と第6辺とが対向し、第7辺と第8辺とが対向する四角形であり、
前記被印字用ラベルの前記第7辺及び前記第8辺は、それぞれ、前記スリットの前記第3辺及び前記第4辺と、平行であり、
前記被印字用ラベルの前記第7辺及び前記第8辺は、前記スリットによって囲まれた前記剥離材が貼られている状態で前記被印字用ラベルを前記剥離材から剥がしたときに、前記スリットによって囲まれた前記剥離材と前記第7辺及び前記第8辺それぞれとの間で前記粘着層が露出しないように、それぞれ前記スリットの前記第3辺及び前記第4辺と近接しており、
前記スリットは、前記剥離材に複数設けられており、
前記被印字用ラベルは、前記剥離材に複数貼られており、
前記剥離材は、
前記複数のスリットそれぞれの前記第1辺に平行な第1方向に長尺であり、
1つの前記スリット及びそれに対応する1つの前記被印字用ラベルの組が、前記第1方向に沿って複数組並んでおり、
前記被印字用ラベルは長方形であり、前記第7辺及び前記第8辺は、前記第5辺及び前記第6辺より長く、
前記被印字用ラベルの前記第5辺は、前記スリットの前記第2辺よりも前記スリットの前記第1辺に近い側にあり、
前記被印字用ラベルの前記第6辺は、前記スリットの前記第1辺よりも前記スリットの前記第2辺に近い側にあり、
前記スリットの前記第1辺と前記被印字用ラベルの前記第5辺との間の最短距離は、前記スリットの前記第2辺と前記被印字用ラベルの前記第6辺との間の最短距離よりも、長い
ことを特徴とする媒体。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか1項記載の媒体において、
前記媒体は、ロール状の形状を備えており、
前記プリンタに装着されるカセットに収容されている
ことを特徴とする媒体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリンタに装着されて用いられる媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
裏側に粘着剤を備えたラベル(媒体に相当)をプリンタに装着して印字形成した後、そのラベルを被着体の曲面に取り付けて使用する技術が知られている。その際、ユーザのニーズによっては、上記ラベルを被着体の周りに巻き付けて回転可能に取り付けたい場合があり得る。これに対応し、上記粘着剤に対しニス等の非粘着性材料によりコーティングを行うことで、ラベルのうち被着体の外周側に位置する部分の粘着剤が接着しないようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術のように、粘着剤に対しニス等の非粘着性材料によりコーティングする構造では、巻き付け時の応力や環境変化や経時変化により劣化して粘着剤が露出し、回転を阻害する場合があった。
【0005】
本発明の目的は、巻き付け時の応力や環境変化や経時変化により被着体に対する回転が阻害されることのない媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本願発明は、プリンタに装着されて印字される媒体であって、不透明な剥離材と、前記剥離材に設けられ、第1辺と第2辺とが対向し、第3辺と第4辺とが対向する四角形のスリットと、前記スリットの前記第1辺を跨ぐように前記剥離材に貼られた、被印字用ラベルと、を有することを特徴とする。
【0007】
本願発明の媒体は、不透明な剥離材に被印字用ラベルを貼った積層構造を有し、被着体であるケーブル等の外周に取り付けられる。すなわち、媒体の取り付け時には、剥離材が引き剥がされた後に、その引き剥がした後に現れる粘着剤を内側とする凹状になるように、媒体が曲げられる。そして媒体は、上記凹状の内側に配置したケーブル等の周りを取り囲む円筒体を形成するように一周した後、その先端側部分が、上記粘着剤の接着によって基端側部分に対し貼り合わされる。これにより、媒体は、上記の接着によって自身の形状が固定されつつ、ケーブル等の周りを一周するように取り付けられることとなる。
【0008】
ここで、ユーザのニーズによっては媒体をケーブル等の周りに回転可能に取り付けたい場合があり得る。この場合には、上記円筒体(すなわちケーブルの外周側に位置する部分)の内周側に位置する上記粘着剤が上記ケーブル等に接着しないようにする必要がある。
【0009】
本願発明においては、上記剥離材の引き剥がしの際その剥離材の一部を被印字用ラベル側に残すことで、粘着剤がケーブル等に接着するのを抑制する。
【0010】
すなわち、対向する第1辺と第2辺とを備えた四角形のスリットを剥離材層に設けるとともに、被印字用ラベルを上記第1辺を少なくとも跨ぐように設ける。これにより、上記剥離材の引き剥がしの際、上記スリットの内側に位置する四角形の領域を、剥離材のそれ以外の部位から分離して被印字用ラベル側に残す(つまり粘着剤を覆う)ことができる。この結果、前述のようにケーブル等の周りで円筒体を形成する際、粘着剤を覆った上記四角形の剥離材を内側にしつつケーブル等の周りを取り囲むことで、上記円筒体の粘着剤が上記ケーブル等に接着しないようにすることができ、ケーブル等に対し媒体を回転可能に取り付けることができる。
【0011】
またこのとき、上記のように剥離材の一部を用いて接着抑制を図る構成とすることにより、粘着剤に対しニス等の非粘着性材料によりコーティングする従来構造のように、巻き付け時の応力や環境変化や経時変化により劣化して粘着剤が露出し回転を阻害することがない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、巻き付け時の応力や環境変化や経時変化によって被着体に対する媒体の回転が阻害されることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の一実施形態に係わるラベル作成装置の概略構成を表す説明図である。
【
図2】印刷前の被印字テープを表す平面図、ラベル余剰部が剥がされかつ印刷後の被印字テープを表す平面図、印刷後の被印字テープを表す背面図、
図2(a)に示した構造のIIx-IIx断面による横断面図、
図2(b)に示した構造のIIy-IIy断面による横断面図である。
【
図3】印刷後の被印字テープを表す平面図、印刷後の被印字テープから1枚の印字ラベルを剥がした状態を表す平面図、
図3(a)に示した構造のIIIx-IIIx断面による横断面図、
図3(b)に示した構造のIIIy-IIIy断面による横断面図である。
【
図4】印字ラベルの平面図、及び、
図4(a)中IVB-IVB断面による横断面図である。
【
図5】印字ラベルの被着体への取り付け手順を表す説明図である。
【
図7】ケーブルに対する印字ラベルの取り付け状態を表す模式図である。
【
図8】ラベル長手方向をテープ長さ方向と平行に配置する変形例における、印刷前の被印字テープを表す平面図、ラベル余剰部が剥がされかつ印刷後の被印字テープを表す平面図、
図8(b)に示した構造の側面図、印刷後の被印字テープを表す背面図、
図8(a)に示した構造の横断面図、及び、
図8(b)に示した構造の横断面図である。
【
図9】印刷後の被印字テープを表す平面図、
図9(a)に示した構造の側面図、印刷後の被印字テープを表す背面図、印刷後の被印字テープから1枚の印字ラベルを剥がした状態を表す平面図、
図9(d)に示した構成の側面図、及び、印字ラベルを剥がした後の被印字テープの背面図である。
【
図10】ラベル本体部(印字ラベル)がテープ幅方向に複数列配置される変形例における、印刷前の被印字テープを表す平面図、
図10(a)に示した構造の側面図、
図10(a)に示した構造の背面図、及び、
図10(a)に示した構造の横断面図である。
【
図11】無定長タイプのテープを用いる変形例における、印刷前の被印字テープを表す平面図、印刷後の被印字テープを表す平面図、印刷後の被印字テープを表す背面図、
図11(a)に示した構造の横断面図、及び、
図11(b)に示した構造の横断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を
図1~
図7を参照しつつ説明する。
【0015】
<ラベル作成装置>
まず、本実施形態のラベル作成装置の機能的構成を
図1により説明する。
【0016】
図1において、ラベル作成装置1(プリンタに相当)は、制御回路2と、ユーザ(操作者)が適宜の操作を行える操作部3と、所定の表示を行う表示部4と、各種情報を記憶するRAM5と、搬送ローラ6と、印字ヘッド7と、カットレバー8と、カッタ9と、を有する。
【0017】
ラベル作成装置1には、カートリッジホルダ12が設けられている。このカートリッジホルダ12には、筐体11内にテープロール10A(本来は渦巻き状であるが簡略化して同心円で図示している)を収納したテープカートリッジ10(カセットに相当)が着脱可能である。テープロール10Aには、被印字テープToがロール状の形状にて巻回されている。このとき、このテープカートリッジ10は、被印字テープToのハーフカットによる切り込みHC(後述の
図2参照)を備えた被印字テープToが上記テープロールAに巻回された、いわゆるダイカットラベルタイプと、上記切り込みHCのない被印字テープToが上記テープロールAに巻回された、いわゆる無定長タイプ(後述の
図11参照)とが存在する。ラベル作成装置1では、どちらのタイプのテープカートリッジ10も使用可能である。なお、以下、特に断らない限り、上記ダイカットラベルタイプのテープカートリッジ10が使用される場合を例にとって説明する。なお、上記切り込みHCは、例えばいわゆるミシン目により構成されている。本明細書において「ミシン目」とは、対象となる層において、面方向に断続する細線状の孔が複数設けられ、かつ各孔が厚さ方向に上記対象となる層を貫通しているものを指す(以下同様)。
【0018】
制御回路2は、図示しないCPU及びROMを備えている。制御回路2は、上記RAM5の一時記憶機能を利用しつつ、上記ROMに予め記憶された各種プログラムを実行するとともに、ラベル作成装置1全体の制御を行う。
【0019】
搬送ローラ6は、印字ヘッド7に対向して設けられており、テープロール10Aから繰り出される被印字テープToを印字ヘッド7との間で挟持する。搬送ローラ6は、回転することによって被印字テープToをテープロール10Aから繰り出しながら搬送する。
【0020】
印字ヘッド7は、搬送ローラ6によって搬送される被印字テープToの各ラベル本体部Lo(詳細は後述)に対し、ユーザの意図する文字・図像等の所望の印字オブジェクト(後述の印字R参照)を印刷する。
【0021】
カッタ9は、ユーザによるカットレバー8の操作によって作動し、搬送方向に沿って複数の印字ラベルLが形成された印字後の被印字テープT(詳細は後述)を切断する。なお、被印字テープTo,Tが各請求項記載の媒体に相当している。
【0022】
<被印字テープ>
上記被印字テープToの詳細構成を
図2(a)~(e)に示す。
図2(a)は、図中上下方向を搬送方向(=テープ長さ方向)、図中左右方向をテープ幅方向、図中紙面手前奥方向をテープ厚さ方向とした、未印刷状態の被印字テープToの平面図を示している。また、
図2(b)は、ラベル余剰部が剥がされかつ上記印字Rが印刷された後の被印字テープTの平面図を示し、
図2(c)は、印刷後の被印字テープTの背面図を示し、
図2(d)は
図2(a)に示した構造のIIx-IIx断面による横断面図を示し、
図2(e)は
図2(b)に示した構造のIIy-IIy断面による横断面図を示している。
【0023】
これら
図2(a)~
図2(d)に示すように、被印字テープToは、厚さ方向(
図2(a)、
図2(b)では図に向かって奥行き方向、
図2(d)では図示上下方向。すなわち後述する各層が積層する方向)に沿って、当該厚さ方向の一方側(
図2(d)中の下側、
図2(a)及び
図2(b)の奥側、
図2(c)の手前側)から、厚さ方向の他方側(
図2(d)中の上側、
図2(a)及び
図2(b)の手前側、
図2(c)の奥側)へ向かって、紙又は有色フィルム又は布又は金属を含む構成の、不透明な剥離材層24と、透明な粘着剤層22(粘着層に相当)と、透明な基材層21と、がこの順序で積層されている。なお、上記粘着剤層22は、基材層21の裏側(
図2(d)中の下側)すなわち剥離材層24との間に、全面的に設けられるのではなく、部分的に配置されていても良い。
【0024】
上記の積層構造の被印字テープTo,Tにおいて、複数のラベル本体部Lo(又はラベル本体部Loに印字Rが形成された印字ラベルL)が、ラベル余剰部LB(
図2(a)参照)を介しつつ、テープ長さ方向(図示上下方向に)連続的に配置されている。言い換えれば、各ラベル本体部Lo(又は印字ラベルL)は、テープ長さ方向に離散的に配置されている。それら複数のラベル本体部Lo(又は印字ラベルL)のそれぞれは、その長手方向がテープ幅方向(図中左右方向)となる向きで配置されている。その際、基材層21は、上記切り込みHC(ミシン目)を介して上記ラベル本体部Loとそれ以外の上記ラベル余剰部LBとに分けられるとともに、剥離材層24の上記厚さ方向他方側の面に粘着剤層22を介して貼られている。なお、上記ラベル本体部Loが各請求項記載の被印字用ラベルに相当し、上記ラベル余剰部LBが各請求項記載のラベルに相当している。
【0025】
またこのとき、基材層21のうち、上記ラベル本体部Lo内に位置する表側(
図2(d)中の上側)の面には、適宜の非透明な色彩を備え、上記サーマルヘッド7により印字Rが形成される印字背景層25(印刷部に相当)が部分的に設けられている(
図2(a)、
図2(b)、
図2(d)、
図2(e)参照)。
【0026】
上記積層構造の結果、各ラベル本体部Loは、テープ幅方向における長さWb2及びテープ長さ方向における幅Wb1を有しており、また、図示左側の端部を構成する粘着領域D1と、この粘着領域D1に隣接し上記印字背景層25に対応するように設けられた非粘着領域D23と、この非粘着領域D23に隣接して設けられた粘着領域D4と、の3つの領域を有している。このとき、上記テープ幅方向における被印字テープTo,Tの長さWs2は、テープ幅方向におけるラベル本体部Loの長さWb2よりも大きくなっている。
【0027】
そして、剥離材層24には、矩形状(四角形)のスリットSが設けられている。このスリットSは、上記粘着領域D1及びD4が平面視で見てその外部のスリット外領域SOに位置し、上記非粘着領域D23が平面視で見てその内部のスリット内領域SIに位置するように配置されている。
【0028】
印字背景層25は、その少なくとも一部が、上記スリットSに囲まれたスリット内領域SIの少なくとも一部と重なるように、設けられている。この例では、印字背景層25は、上記テープ幅方向における長さ及び上記テープ長さ方向における長さが上記スリットSと同一であり、全体がスリットS内の領域ARに重なる。すなわち、平面視において、スリットSは印字背景層25と重なる。
【0029】
なお、剥離材層24のうち、隣接する2つの上記スリットS,Sの中間部には、前述の搬送ローラ6による被印字テープToの搬送時における位置決め制御のための、マークPMが設けられている。すなわち、ラベル作成装置1には、発光部及び受光部を有する公知の反射型の光学センサ(図示せず)が設けられている。上記位置決め制御時において、光学センサは、発光部から発光された光が剥離材層24で反射した反射光を受光部により受光する。このときの上記剥離材層24のうちマークPMが設けられている部分とそれ以外の部分との受光量の差に基づきマークPMを検出し、これによって被印字テープToの位置決めが行われる。
【0030】
上記剥離材層24の構造により、被印字テープTo,Tにおいては、上下方向に沿って、複数の矩形状のスリットSが並び、上記スリットSに囲まれたスリット内領域ARに、上記印字背景層25が位置することとなる。各印字ラベルLの印字背景層25には、この例では、「A01」「A02」「A03」、・・・のテキストからなる印字オブジェクトすなわち上記印字Rが形成されている。なお、本明細書において「スリット」とは、対象となる層を厚さ方向に貫通しているものを指す(以下同様)。但し、このスリットの代わりに、対象となる層を厚さ方向に部分的に切り込んでいる(厚さ方向に一定量切れ込みが入っている)構造としてもよい(以下同様)。
【0031】
<各印字ラベルの引き剥がしによる分離>
上記のように、被印字テープTo,Tにおいては、まず、
図2(a)に示す表面のラベル余剰部LBを引き剥がすことで、ラベル本体部Lo及び剥離材層24からラベル余剰部LBを分離する(
図2(b)、
図3(a)参照)。なお、
図2(a)から上記ラベル余剰部LBが省略された構成(言い換えれば
図2(b)から印字Rを省略した構成)の被印字テープToを最初から用意してもよい。そして、予め剥離材層24に設けられた前述の四角形のスリットSにより、上記のようにして印字背景層25に印字Rが形成された被印字テープTに含まれる各印字ラベルLは、
図3(b)に示すように、剥離材層24のうち上記スリットSの内側に位置する矩形状の部分(上記スリット内領域ARに含まれる部分)を粘着剤層22側に残しつつ(言い替えれば上記矩形状の部分により粘着剤層22を覆いつつ)、それぞれ引き剥がし可能となる。以下適宜、この引き剥がされた部分を単に「印字ラベルL」と称する。なお、印字ラベルLが引き剥がされた後には、
図3(b)に示すように、長尺状の上記剥離材層24において上記矩形状のスリットSの内側に空間(窓WD)が残された状態となる。
【0032】
<スリットの詳細>
前述のように四角形をなすスリットSは、詳細には、
図3(b)に示すように、 辺Sa(第1辺に相当)と辺Sb(第2辺に相当)とが対向し、辺Sc(第3辺に相当)と辺Sd(第4辺に相当)とが対向している。そして、上記ラベル本体部Lo(言い換えれば、印字形成後の印字ラベルL。以下同様)は、対応するスリットSの上記辺Sa及び上記辺Sbの両方を跨ぐように上記剥離材層24に貼られている。
【0033】
上記印字背景層25は、上記に対応して、辺25a(第9辺に相当。スリットSの上記辺Saに対応)、辺25b(第10辺に相当。スリットSの上記下辺Sbに対応)、辺25c(第11辺に相当。スリットSの上記辺Scに対応)、辺25d(第12辺に相当。スリットSの上記辺Sdに対応する)を有する、四角形形状を備えている。
【0034】
ラベル本体部Loは、上記に対応して、辺La(第5辺に相当)と辺Lb(第6辺に相当)とが対向し、辺Lc(第7辺に相当)と辺Ld(第8辺に相当)とが対向する、四角形形状を備えている。上記辺Lcと辺Ldは、それぞれ、上記スリットSの上記辺Scと辺Sdと平行であり、かつ近接(例えば3mm以内の距離)している。なお、前述したように、ラベル本体部Loの上記辺Lc,Ld、及び上記辺La,Lbに対し、前述のミシン目である上記切り込みHCを介し、上記ラベル余剰部LBが連結されている。なお、ラベル本体部Loの上記辺Lc,Ldとラベル余剰部LBとの間に限っては、上記ミシン目である切り込みHCに代えて、前述のスリットSと同様のスリットにしてもよい。但しこの場合は、ラベル作成装置1内において上記テープ長さ方向に搬送されるときのラベル本体部Lo又は印字ラベルLの剥がれやばたつきを抑制するために、上記ラベル余剰部LBを備えた被印字テープToとする必要がある。
【0035】
なお、上記印字背景層25は、スリットSに囲まれた上記スリット内領域ARよりも小さくても良い。すなわち具体的には、上記スリットSの上記辺Scが、ラベル本体部Loの上記辺Lcよりも上記辺Ld側にオフセットされていたり、上記スリットSの上記辺Sdが、ラベル本体部Loの上記辺Ldよりもラベル本体部Loの上記辺Lc側にオフセットされていても良い。
【0036】
<ラベル本体部及びスリットにおける寸法関係>
また、本実施形態においては、
図3(b)に示すように、上記ラベル本体部Loの辺Laは、スリットSの上記辺SbよりもスリットSの上記辺Saに近い側にあり、上記ラベル本体部Loの辺Lbは、スリットSの上記辺SaよりもスリットSの上記辺Sbに近い側にある。
【0037】
また、スリットSの上記辺Saとラベル本体部Loの上記辺Laとの間の最短距離b′は、上記スリットSの辺Sbとラベル本体部Loの上記辺Lbとの間の最短距離c′よりも長い。また、スリットSの上記辺Saと上記辺Sbとの間の最短距離a′は、上記最短距離b′の1倍以上3倍以下となっている。
【0038】
さらに、本実施形態においては、
図3(b)に示すように、上記ラベル本体部Loの上記辺Laは、印字背景層25の上記辺25bよりも印字背景層25の上記辺25aに近い側にあり、ラベル本体部Loの上記辺Lbは、印字背景層25の上記辺25aよりも印字背景層25の上記辺25bに近い側にある。
【0039】
また、印字背景層25の上記辺25aとラベル本体部Loの上記辺Laとの間の最短距離bは、印字背景層25の上記辺25bとラベル本体部Loの上記辺Lbとの間の最短距離cよりも長い。また、印字背景層25の上記辺25aと辺25bとの間の最短距離aは、上記最短距離bの1倍以上3倍以下となっている。
【0040】
<印字ラベル>
次に、前述のようにして生成された印字ラベルLの構造を
図4(a)及び
図4(b)により説明する。
図4(a)には、上記のようにして分離して生成された1つの印字ラベルLの平面図を示し、
図4(b)は、
図4(a)中IVB-IVB断面による横断面図を示している。
【0041】
これら
図4(a)及び
図4(b)において、印字ラベルLは、先に説明した被印字テープTと同様、上記厚さ方向(
図4(a)に向かって奥行き方向。
図4(b)中の左右方向)に沿って、
図4(b)中の左側から右側へ、透明な基材層21と、透明な粘着剤層22と、不透明な剥離材層24とがこの順序で積層され、基材層21の上記厚さ方向他方側の面に上記印字Rを備えた印字背景層25が部分的に設けられている。そして、印字ラベルLは、上記テープ
幅方
向の他方側(図示上側)から上記テープ
幅方向一方側(図示下側)に向かって、上記粘着領域D1、上記非粘着領域D23、上記粘着領域D4を備えている。
【0042】
粘着領域D1では、上記厚さ方向他方側から一方側(
図4(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22の順に積層されている。この結果、粘着領域D1は、全体として、上記粘着剤層22による接着性を備えた領域となっている。なお、粘着領域D1は、上記テープ幅方向における長さL1を備えている。
【0043】
非粘着領域D23では、上記厚さ方向他方側から一方側(
図4(b)中左側から右側)へ向かって、上記印字Rを備えた印字背景層25、基材層21、粘着剤層22、上記剥離材層24の順に積層されている。この結果、非粘着領域D23は、全体として、上記粘着剤層22による接着性が上記剥離材層24によって阻止された非接着性の領域となっている。なお、この例では、上記印字背景層25は、例えば、適宜の色(この例では透明を含む透過性の色)のインクが予め基材層21上に塗布されることにより形成(インク塗布層)されており、既に述べたようにテキスト「A01」の印字Rが上記サーマルヘッド7により形成されている。なお、非非粘着領域D23は、上記テープ幅方向における長さL3を備えている。
【0044】
粘着領域D4では、上記厚さ方向他方側から一方側(
図4(b)中左側から右側)へ向かって、上記基材層21、上記粘着剤層22の順に積層されている。この結果、粘着領域D4は、全体として、上記粘着剤層22による接着性を備えた領域となっている。なお、粘着領域D4は、上記テープ幅方向における長さL4を備えている。
【0045】
なお、上記印字ラベルLの上記厚さ方向他方側の面全体が、各請求項記載の表面に相当し、上記厚さ方向一方側の面全体が、各請求項記載の裏面に相当する。
【0046】
<印字ラベルの被着体への取り付け手順>
上記印字ラベルLの被着体への取り付け手順の例を
図5に示す。
図5において、この例では、直径2rのケーブル状(言い換えれば円柱状)の被着体302(以下適宜、単に「ケーブル302」と称する)に印字ラベルLを巻き付けて取り付ける例を示している。
【0047】
まず、
図5(a)に示すように、図示のように粘着領域D1→分離した剥離材層24によって覆われた非粘着領域D23→粘着領域D4の順で連なる印字ラベルL(すなわち上記剥離材層24で覆われていない粘着領域D1,D4は粘着剤層22が露出している状態である)のうち、粘着領域D1及び非粘着領域D23を、剥離材層24側(
図5(a)中右側)が内側となるように凹状に曲げる(図示省略)。
【0048】
そして、
図5(b)に示すように、上記凹状の内側にケーブル302を配置し、印字ラベルLを、ケーブル302の周りを環状に取り囲む円筒体を形成するように一周させた後、先端側に位置する上記粘着領域D1の上記粘着剤層22(各請求項記載の第2辺側の粘着層として機能する)と、上記粘着領域D4の上記粘着剤層22(各請求項記載の第1辺側の粘着層として機能する)とを、お互いの上記テープ幅方向位置を一致させつつ互いに貼り合わせる(いわゆる合掌貼り)。このとき、上記剥離材層24の上記テープ幅方向における長さは、少なくともケーブル302の円周長2πr以上となっている。この結果、印字ラベルLは、前述した粘着剤層22,22どうしの接着によって自身の形状は固定されつつ、非粘着領域D23によって非粘着状態でケーブル302の周りを一周することで、ケーブル302に対し回転可能に取り付けられる。すなわち、前述の上記剥離材層24の引き剥がしの際に剥離材層24の一部がラベル本体部Lo側に残されていることで、印字ラベルLの粘着剤層22がケーブル302に接着するのを抑制することができる。
【0049】
その後、上記ケーブル302周りの一周構造に使用されなかった粘着領域D4の残りの部分を、
図5(b)中の矢印Gで示すように、上記粘着領域D1及び粘着領域D4の貼り合わせ部分を内周側に巻き込む(例えば上記粘着領域D1は矢印カのように折り返され部位キに当接する)ようにしつつ、上記円筒体を構成する非粘着領域D23を覆いながら、それら領域D23の外周部に巻き付ける(
図5(c)参照)。そして、粘着領域D4が、その粘着剤層22の接着性を利用して上記非粘着領域D23の外周部に接着されることで、ケーブル302への取り付けが完了する。
【0050】
<印字ラベルの利用例>
上記印字ラベルLの利用例を
図6に示す。この例では、上記ケーブル302として、例えば有線LANのネットワーク上で情報の中継を行うスイッチングハブに使用されるケーブルが適用される場合を示している。
図6において、上記スイッチングハブ300は、上段、下段の各列でそれぞれ8つのスロット301(合計16のスロット)を有している。図示する例では、上段の8つのスロット301それぞれに対応して、左から順に「A01」~「A08」の識別名称を表すプレートPLが設けられている。また、下段の8つのスロット301それぞれに対応して、左から順に「A09」~「A16」の識別名称を表すプレートPLが設けられている。
【0051】
上記各スロット301には、それぞれ、適切に対応する上記ケーブル302を接続する必要がある。接続の便宜を図るために、各コネクタスロット301にそれぞれ挿入される各ケーブル302の端部に、それぞれの接続先となるスロット301の上記識別名称と同じ内容の印字Rを形成した、上記印字ラベルLが装着される。つまり、ケーブル302には、接続されるべきスロット301のプレートPLの識別名称と同一のテキストが印字された印字ラベルLが取り付けられる。これにより、接続するスロット301とケーブル302との対応関係が明確となり、誤配線を防ぐことができる。
【0052】
図7に、ケーブル302に対する上記印字ラベルLの取り付け状態を模式的に示す。図中には、上記ケーブル302の軸心kを併せて示している。前述した構造により、印字ラベルLは、被着体としての上記ケーブル302に対し回転可能に取り付けられており、例えば
図7(a)に示す状態では、「A01」の印字Rが備えられた上記印字背景層25が図に向かって手前側となる姿勢で配置されている。なお、実際には前述の
図5(c)に示したように、非粘着領域D23のさらに外周側を覆うように透明な粘着領域D4が存在するが、煩雑化防止と説明の明確化のために
図7(a)及び後述の
図7(b)では図示を省略している。この
図7(a)に示す状態から、例えば印字ラベルLを破線方向(すなわち周方向)に回転させることで、
図7(b)に示す姿勢とすることもできる。また、
図7(b)の位置で印字ラベルLがケーブル302に固定されていると印字Rが見え難いが、前述のように剥離材層24によって印字ラベルLが回転可能になっていることにより、上記と反対方向に回転させて
図7(a)の位置にすることにより、印字Rが見易くなる。
【0053】
<本実施形態の効果>
以上説明したように、本実施形態においては、
図3(b)を用いて前述した剥離材層24の引き剥がしの際、スリットSの内側に位置する四角形の領域を、剥離材層24のそれ以外の部位から分離してラベル本体部Lo(印字ラベルL)側に残して粘着剤層22を覆うことができる。この結果、前述のようにケーブル302の周りで円筒体を形成する際、粘着剤層22を覆った上記四角形の剥離材層24を内側にしつつケーブル302の周りを取り囲むことで、上記円筒体の粘着剤層22が上記ケーブル302に接着しないようにすることができ、ケーブル30に対し印字ラベルLを回転可能に取り付けることができる。
【0054】
またこのとき、上記のように剥離材層24の一部を用いて接着抑制を図る構成とすることにより、粘着剤層24に対しニス等の非粘着性材料によりコーティングする従来構造のように、巻き付け時の応力や環境変化や経時変化により劣化して粘着剤層24が露出し回転を阻害することがない。
【0055】
また、仮に剥離材層24が透明であるとすると、印字ラベルLのうちのその他の部分が透明であった場合に、ケーブル302の色彩によってラベル作成装置1により形成した印字Rの内容が見えにくい。本実施形態の印字ラベルLにおいては、紙又は有色フィルム又は布又は金属を含む構成の、不透明な剥離材層24を用いることで、上記の弊害を抑制することができる。
【0056】
また、本実施形態では特に、ラベル余剰部LBが、ラベル本体部Lo(印字ラベルL)の上記辺Lc及び上記辺Ldに対し、ミシン目である上記切り込みHCを介して連結されている。これにより、上記ラベル余剰部LBなしで剥離材層24にラベル本体部Lo(印字ラベルL)が貼られている場合に比べ、ラベル作成装置1内における搬送時にラベル本体部Lo(印字ラベルL)が剥離材層24から剥がれてしまうのを抑制することができる。
【0057】
また、本実施形態では特に、上記剥離材層24が紙又は有色フィルム又は布又は金属を含むことにより、透明ではない剥離材層24を実現することができる。
【0058】
<変形例>
本発明は、上記実施形態に限られるものではなく、その趣旨及び技術的思想を逸脱しない範囲内で種々の変形が可能である。以下、そのような変形例を説明する。なお、以下の各変形例において、上記実施形態と同等の部分には同一の符号を付し、適宜説明を省略又は簡略化する。
【0059】
(1)ラベル長手方向をテープ長さ方向と平行に配置する場合
すなわち、本変形例においては、
図8(a)~(d)に示すように、被印字テープTo,Tにおいて、上記実施形態と同様、複数のラベル本体部Lo(又はラベル本体部Loに印字Rが形成された印字ラベルL)が、ラベル余剰部LB(
図2(a)参照)を介しつつ連続的に配置されている。また、上記基材層21は、上記切り込みHCを介して上記ラベル本体部Loと上記ラベル余剰部LBとに分けられるとともに、剥離材層24の上記厚さ方向他方側の面に粘着剤層22を介して貼られている。
【0060】
このとき、本変形例では、上記ラベル本体部Lo又は印字ラベルLは、それぞれの長さ方向が、上記被印字テープTo,Tの上記テープ長さ方向に一致するように、配列されている。すなわち、上記スリットSは、剥離材層24に対し上記テープ長さ方向に沿って複数設けられ、ラベル本体部Lo(印字ラベルL)は剥離材層24に対し上記テープ長さ方向に沿って複数貼られている。そして、剥離材層24は、複数のスリットSそれぞれの上記辺Scに平行な上記テープ長さ方向に長尺であり、1つのスリットS及びそれに対応する1つのラベル本体部Lo(印字ラベルL)の組が、上記長さ方向に沿って複数組並んでいる。
【0061】
各ラベル本体部Loは、テープ幅方向における長さWbを有し、上記粘着領域D1と、上記非粘着領域D23と、上記粘着領域D4と、の3つの領域を有している。上記テープ幅方向における被印字テープTo,Tの長さWsは、テープ幅方向におけるラベル本体部Loの長さWbよりも大きくなっている。上記実施形態と同様、剥離材層24には矩形状(四角形)のスリットSが設けられており、印字背景層25は、その少なくとも一部が、上記スリットSに囲まれたスリット内領域ARの少なくとも一部と重なるように設けられている。この例では、平面視において、スリットSは印字背景層25と重なる。また、上記実施形態と同様、剥離材層24のうち、隣接する2つの上記スリットS,Sの中間部(但し平面視においてラベル本体部Lo又は印字ラベルLの内部となる位置である。
図8(c)及び
図8(d)参照)には、被印字テープToの搬送時における位置決め制御のための、マークPMが設けられている。また上記実施形態と同様、各印字ラベルLの印字背景層25には、「A01」「A02」「A03」、・・・のテキストからなる印字Rが形成されている。
【0062】
そして、上記実施形態と同様に、被印字テープTo,Tにおいては、まず、
図8(a)に示す表面の上記ラベル余剰部LBを引き剥がすことで、ラベル本体部Lo及び剥離材層24からラベル余剰部LBを分離する(
図8(b)、
図9(a)参照)。なお、
図8(a)から上記ラベル余剰部LBが省略された構成(言い換えれば
図8(b)から印字Rを省略した構成)の被印字テープToを最初から用意してもよい。そして、前述の四角形のスリットSにより印字背景層25に印字Rが形成された各印字ラベルLは、
図9(d)に示すように、剥離材層24のうち上記スリットSの内側に位置する矩形状の部分により粘着剤層22を覆いつつ、それぞれ引き剥がし可能となる。印字ラベルLが引き剥がされた後には、
図9(f)に示すように、長尺状の上記剥離材層24において上記矩形状のスリットSの内側に空間(窓WD)が残された状態となる。
【0063】
スリットSは、
図9(d)~(f)に示すように、上記実施形態と同様、辺Sa(第1辺に相当)と辺Sb(第2辺に相当)とが対向し、辺Sc(第3辺に相当)と辺Sd(第4辺に相当)とが対向している。そして、上記ラベル本体部Lo(印字ラベルL)は、対応するスリットSの上記辺Sa及び上記辺Sbの両方を跨ぐように上記剥離材層24に貼られている(
図9(d)~(f)参照)。上記印字背景層25は、上記に対応して、辺25a(第9辺に相当)、辺25b(第10辺に相当)、辺25c(第11辺に相当)、辺25d(第12辺に相当)を有する、四角形形状を備えている。ラベル本体部Loは、上記に対応して、辺La(第5辺に相当)と辺Lb(第6辺に相当)とが対向し、辺Lc(第7辺に相当)と辺Ld(第8辺に相当)とが対向する、四角形形状を備えている。ラベル本体部Loの上記辺Lc,Ld、及び上記辺La,Lbに対し、前述のミシン目である上記切り込みHCを介し、上記ラベル余剰部LBが連結されている。なお、ラベル本体部Loの上記辺La,Lbとラベル余剰部LBとの間に限っては、上記ミシン目である切り込みHCに代えて、前述のスリットSと同様のスリットにしてもよい。但しこの場合は、前述と同様、上記ラベル余剰部LBを備えた被印字テープToとする必要がある。また、前述と同様、上記印字背景層25は、スリットSに囲まれた上記スリット内領域ARよりも小さくても良い。
【0064】
なお、本変形例における、前述したラベル本体部及びスリットにおける寸法関係、及び、生成された印字ラベルLの構造は、上記実施形態と同様であり、説明を省略する。
【0065】
本変形例においても、上記実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0066】
なお、上記実施形態及び変形例(1)の構成においては、1つのスリットS及び対応する1つのラベル本体部Lo(印字ラベルL)の組が、テープ長手方向に間隔をおいて複数組離散的に剥離材層24に配置されていた(各組の間にはラベル余剰部LBが存在していた)が、これに限られない。すなわち、スリットS及びラベル本体部Lo(印字ラベルL)の組どうしが互いに(間隔をおかずに)隣接して剥離材層24に配置されていてもよい。この場合も、前述と同様の効果を得ることができる。
【0067】
なお、上記
図8(b)、
図8(c)、
図8(d)、
図8(f)にそれぞれ対応する
図10(a)、
図10(b)、
図10(c)、
図10(d)に示すように、剥離材層24のテープ幅方向の長さを幅広にし、ラベル本体部Lo(印字ラベルL)をテープ幅方向に複数列(この場合は2列)隣接配置するようようにしてもよい。この場合、言い換えれば、上記スリットS及びラベル本体部Lo(印字ラベルL)の組がテープ幅方向に複数組(この場合は2組)隣接配置された状態のラベル体が、上記テープ長さ方向に沿って複数配列されていることになる。この場合も、前述と同様の効果を得ることができる。
【0068】
(2)無定長タイプのテープを用いる場合
本変形例は、前述した切り込みHCのない被印字テープTo(いわゆる無定長タイプ)が上記テープロールAに巻回されてテープカートリッジ10に収納されている。
【0069】
本変形例における被印字テープTo,Tの詳細構成を、
図11(a)~(d)に示す。
図11(a)は、未印刷状態の被印字テープToの平面図を示し、
図11(b)は、印字Rが印刷された後の被印字テープTの平面図を示し、
図11(c)は、印刷後の被印字テープTの背面図を示し、
図11(d)は
図11(a)に示した構造のXIx-XIx断面による横断面図を示し、
図11(e)は
図11(b)に示した構造のXIy-XIy断面による横断面図を示している。
【0070】
これら
図11(a)~(e)において、前述と同様、被印字テープTo,Tは、上記厚さ方向の一方側(
図11(d)及び
図11(e)中の下側、
図11(a)及び
図11(b)の奥側、
図11(c)の手前側)から、厚さ方向の他方側(
図11(d)及び
図11(e)中の上側、
図11(a)及び
図11(b)の手前側、
図11(c)の奥側)へ向かって、紙又は有色フィルム又は布又は金属を含む構成の、不透明な剥離材層24と、透明な粘着剤層22(粘着層に相当)と、透明な基材層21と、がこの順序で積層され、基材層21は、剥離材層24の上記厚さ方向他方側の面に粘着剤層22を介して貼られている。なお、前述と同様、上記粘着剤層22は、基材層21の裏側すなわち剥離材層24との間に、全面的に設けられるのではなく、部分的に配置されていても良い。また基材層21のうち、表側(
図11(d)及び
図11(e)中の上側)の面には、適宜の非透明な色彩を備え、上記サーマルヘッド7により印字Rが形成される印字背景層25(印刷層に相当)が部分的に設けられている。印字背景層25は、一方側(
図11(b)中の右側)の縁部25A(第1縁に相当)と他方側(
図11(b)中の左側)の縁部25B(第2縁に相当)とが対向する、長方形の層となっている。またテープ幅方向における被印字テープTo,Tの長さは前述のWb2となっている。
【0071】
剥離材層24には、長方形である剥離材層24のうち一方側(
図11(c)中の下方側)の短辺から他方側(
図11(c)中の上方側)の短辺までテープ長さ方向(第1方向に相当)に一直線に伸びる、複数のスリットが設けられている。この例では2本のスリット、すなわちスリットS1(第1スリットに相当)とスリットS2(第2スリットに相当)とが、設けられている。このとき、上記基材層21は、第1スリットS1及び第2スリットS2の両方を跨ぐように、粘着剤層22を介し剥離材層24に貼られている。
【0072】
このとき、上記印字背景層25は、その少なくとも一部が、上記スリットS1,S2に囲まれたスリット内領域ARの少なくとも一部と重なるように設けられており、テープ幅方向における寸法が上記スリット内領域ARと同じか又は小さい。この例では、印字背景層25は、上記テープ幅方向における長さが上記スリット内領域ARと同一であり、全体がスリット内領域ARに重なる。すなわち、平面視において、スリット内領域ARは印字背景層25と重なる。被印字テープTの印字背景層25には、この例では、「A01」「A02」「A03」、・・・のテキストからなる印字オブジェクトすなわち上記印字Rが形成されている。なお、基材層21、粘着剤層22、及び印字背景層25が、各請求項記載の被印字用ラベル層に相当している。
【0073】
また、
図11(b)、
図11(c)、
図11(e)に示すように、基材層21の一方側(図示右側)縁部21aは、スリットS2よりもスリットS1に近い側にあり、基材層21の他方側(図示左側)縁部21bは、スリットS1よりもスリットS2に近い側にある。また、スリットS1と基材層21の上記一方側縁部21aとの間の最短距離b′は、スリットS2と基材層21の他方側縁部21bの間の最短距離c′よりも長く、スリットS1とスリットS2との間の最短距離a′は、スリットS1と基材層21の一方側縁部21aとの間の最短距離b′の1倍以上3倍以下となっている。
【0074】
また、基材層21の一方側縁部21aは、印字背景層25の上記他方側縁部25Bよりも印字背景層25の上記一方側縁部25Aに近い側にあり、基材層21の他方側縁部21bは、印字背景層25の一方側縁部25Aよりも印字背景層25の他方側縁部25Bに近い側にある。また、印字背景層25の一方側縁部25Aと基材層21の一方側縁部21aとの間の最短距離bは、印字背景層25の他方側縁部25Bと基材層21の他方側縁部21bとの間の最短距離cよりも長く、印字背景層25の一方側縁部25Aと他方側縁部25Bとの間の最短距離aは、印字背景層25の一方側縁部25Aと基材層21の一方側縁部21aとの最短距離bの1倍以上3倍以下となっている。
【0075】
被印字テープTo,Tは、上記積層構造の結果、前述と同様、粘着領域D1と、この粘着領域D1に隣接し上記印字背景層25に対応するように設けられた非粘着領域D23と、この非粘着領域D23に隣接して設けられた粘着領域D4と、の3つの領域を有している。そして、前述のカッタ9により印字後の被印字テープTを切断することで、上記実施形態や変形例(1)とほぼ同じ構成(言い換えれば
図4と同様の構造)の印字ラベルL(テープ長さ方向における幅Wb1を有する。
図11中二点鎖線参照)を得ることができる。これにより、本変形例においても、前述と同様の効果を得ることができる。
【0076】
(3)その他
なお、以上の説明において、外観上の寸法や大きさが「同一」「等しい」「異なる」等の記載がある場合は、当該記載は厳密な意味ではない。すなわち、それら「同一」「等しい」「異なる」とは、設計上、製造上の公差、誤差が許容され、「実質的に同一」「実質的に等しい」「実質的に異なる」という意味である。
【0077】
なお、以上において、
図1中に示す矢印は信号の流れの一例を示すものであり、信号の流れ方向を限定するものではない。
【0078】
また、以上既に述べた以外にも、上記実施形態や各変形例による手法を適宜組み合わせて利用しても良い。
【0079】
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されるものである。
【符号の説明】
【0080】
1 ラベル作成装置(プリンタ)
10 テープカートリッジ(カセット)
21 基材層
21a 一方側縁部
21b 他方側縁部
22 粘着剤層(粘着層)
24 剥離材層
25 印字背景層(印刷部、印刷層)
25A 一方側縁部(第1縁)
25B 他方側縁部(第2縁)
25a 辺(第9辺)
25b 辺(第10辺)
25c 辺(第11辺)
25d 辺(第12辺)
AR スリット内領域
HC 切り込み
L 印字ラベル
La 辺(第5辺)
Lb 辺(第6辺)
Lc 辺(第7辺)
Ld 辺(第8辺)
Lo ラベル本体部(被印字用ラベル)
LB ラベル余剰部(ラベル)
R 印字
S スリット
S1 スリット(第1スリット)
S2 スリット(第2スリット)
Sa 辺(第1辺)
Sb 辺(第2辺)
Sc 辺(第3辺)
Sd 辺(第4辺)
T 被印字テープ(媒体)
To 被印字テープ(媒体)