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  • 特許-火災検知器用ベース 図1
  • 特許-火災検知器用ベース 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】火災検知器用ベース
(51)【国際特許分類】
   G08B 17/00 20060101AFI20240913BHJP
   G08B 17/06 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G08B17/00 G
G08B17/06 K
【請求項の数】 3
(21)【出願番号】P 2020017919
(22)【出願日】2020-02-05
(65)【公開番号】P2021124948
(43)【公開日】2021-08-30
【審査請求日】2023-01-30
(73)【特許権者】
【識別番号】000233826
【氏名又は名称】能美防災株式会社
(72)【発明者】
【氏名】岡田 昭雄
(72)【発明者】
【氏名】星野 智宏
【審査官】久保田 信也
(56)【参考文献】
【文献】特開2017-033411(JP,A)
【文献】特開2001-143173(JP,A)
【文献】特開2018-185736(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2010/0073172(US,A1)
【文献】特開2019-207583(JP,A)
【文献】特開2019-197346(JP,A)
【文献】特開2013-30055(JP,A)
【文献】特開2010-86444(JP,A)
【文献】特開平10-116396(JP,A)
【文献】実開昭59-6287(JP,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G08B 17/00
G08B 17/06
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースは、外形円盤状をなし、後板から立ち上がる高さの低い壁によって外周が形成され、火災検知器を取付面に取付けるための火災検知器用ベースにおいて、
前記火災検知器用ベースは、前記取付面にネジで固定されるためのネジ挿通孔を有し、
前記ネジ挿通孔は、前記火災検知器用ベースの中心を囲む配置で上下左右に1箇所ずつ設けられ、形状はダルマ穴であり、上方向に設けられた前記ネジ挿通孔は、前記火災検知器用ベースの径方向に向かって配置され、下方向、右方向および左方向に設けられた前記ネジ挿通孔は、前記火災検知器用ベースの周方向に向かって配置され、
前記後板の中心には、配線を通すために用いる中心孔が設けられ、前記中心孔以外に、取付時に指を入れて持ちやすくするための一対の配線孔が、前記ネジ挿通孔とは被らない位置に所望の大きさで前記後板に設けられることを特徴とする火災検知器用ベース。
【請求項2】
前記一対の配線孔は、前記中心孔6の右方向に配置された前記ネジ挿通孔2bと、前記中心孔6の下方向に配置された前記ネジ挿通孔2cとの間および前記中心孔6の左方向に配置された前記ネジ挿通孔2dと、前記中心孔6の上方向に配置された前記ネジ挿通孔2aとの間に設けられることを特徴とする請求項1記載の火災検知器用ベース。
【請求項3】
前記中心孔6の右方向に配置された前記ネジ挿通孔2bおよび前記中心孔6の下方向に配置された前記ネジ挿通孔2cの締付穴は、前記中心孔6の上方向に配置された前記ネジ挿通孔2aおよび前記中心孔6の左方向に配置された前記ネジ挿通孔2dの締付穴よりも短くなっていることを特徴とする請求項2記載の火災検知器用ベース。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災検知器を取付面に設置するために用いる、ベースに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、火災検知器を天井や壁等の取付面に取付ける際、ベースに設けられたネジ挿通孔を用いて取付面にベースをネジ固定し、固定したベースに火災検知器本体を直接取付ける。ベースにはそれぞれ取り付けられる火災検知器が決まっている。さらに、ネジ挿通孔の配置や向きつまりピッチには、様々なバリエーションがある。(特許文献1および意匠文献1参照)
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2016-143258号公報
【非特許文献】
【0004】
【文献】意登1059684号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
既に取付面に取付けられている火災検知器から別の火災検知器に付け替える場合、新しい火災検知器に対応するベースを用いなければならない。その際、取付面にネジ固定された元のベースのネジを外して取外し、新たに取付けるベースのピッチに合わせてネジ固定する必要がある。このように手間が多い上、取付面に多くネジ穴を開けることになるという問題がある。
【0006】
そこで本発明は、取付面に固定された元のベースのネジ挿通孔のピッチをそのまま用いて、ベースを付け替えることのできる火災検知器用ベースを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
(1)上記の目的を達成するため本発明は、
火災検知器を取付面に取付けるための火災検知器用ベースにおいて、火災検知器用ベースは、取付面にネジで固定されるためのネジ挿通孔を有し、ネジ挿通孔は、火災検知器用ベースの中心を囲む配置で上下左右に1箇所ずつ設けられ、形状はダルマ穴であることを特徴とする火災検知器用ベースである。
(2)また、本発明において、
上方向に設けられた前記ネジ挿通孔は、前記火災検知器用ベースの径方向に向かって配置され、下方向、右方向および左方向に設けられた前記ネジ挿通孔は、前記火災検知器用ベースの周方向に向かって配置されることを特徴とする(1)記載の火災検知器用ベースである。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、複数のネジ挿通孔を様々な取付ピッチに対応するように配置したことによって、ネジ挿通孔のピッチのバリエーションに対応できる。さらに、ネジ挿通孔をダルマ穴とすることによって、ネジを取付面から完全に外すことなく、火災検知器用ベースを付け替えることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施例におけるベース1の構成図。
図2】実施例におけるネジ挿通孔2の拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下に、本願の発明を実施するための形態を記載する。尚、火災検知器用ベース1については、ベース1とも記載する。
【0011】
図1は、本発明の実施形態におけるベース1の正面図およびA―A断面図である。ベース1は、外形円盤状をなし、後板5から立ち上がる高さの低い壁4によって外周を形成されている。本発明では、壁4の立ち上がる方向を前方として、前方からベース1を見た状態を正面視とする。ベース1の前方には火災検知器(図示無し)が取り付けられる。取付面取付時、ベース1の後方に取付面がある状態となる。
【0012】
ベース1は、後板5に複数の穴を有する。後板5の中心には、ベース1取付時の位置決めや配線を通すために用いる、中心孔6が設けられる。中心孔6の周囲には複数のネジ挿通孔2が設けられる。本発明では、ベース1を正面視した時、締付穴Aが中心孔6に向かい、かつ、径方向に向かって配置されるネジ挿通孔2の位置を上方向として、上下左右方向を示す。
【0013】
ネジ挿通孔2について詳しく説明する。後板5には中心孔6を囲むように上下左右方向に1つずつネジ挿通孔2が設けられる。ネジ挿通孔2の形状はいずれもダルマ穴である。ダルマ穴の形状とすることで、締付穴A側で固定されるネジを少し緩めてベース1を脱着穴B側に移動させて取付面からベース1を取り外すことができる。ベース1を取付面に取付ける時はこの逆の手順を行なえばよい。さらにベース1の取付時においては、締付穴Aを用いてベース1の位置や角度の微細な調整が可能である。
【0014】
上述のとおり、ベース1はネジ挿通孔2を上下左右方向に1箇所ずつ有する。ネジ挿通孔2aは、中心孔6の上方向に配置され、締付穴Aは縦向きであり、締付穴Aの下部に脱着穴Bが位置する。ネジ挿通孔2bは、中心孔6の右方向に配置され、締付穴Aは縦向きかつ、ベース1の外周に沿うように湾曲した形状をなす。脱着穴Bは締付穴Aの下部に位置する。ネジ挿通孔2cは、中心孔6の下方向に配置され、締付穴Aは横向きかつ、ベース1の外周に沿うように湾曲した形状をなす。脱着穴Bは締付穴Aの左方向に位置する。ネジ挿通孔2dは、中心孔6の左方に配置され、締付穴Aは縦向きかつ、ベース1の外周に沿うように湾曲した形状をなす。脱着穴Bは締付穴Aの上方に位置する。
ネジ挿通孔2aのみが中心孔6に向かう方向、つまり径方向に配置される。その他のネジ挿通孔2b、2c、2dは、ベース1の外周に沿う方向、つまり周方向に配置される。
【0015】
このような配置で設けられたネジ挿通孔2を用いることで、火災検知器用ベースの取付ピッチの様々なバリエーションに対応できる。
【0016】
また、ネジ挿通孔2bおよびネジ挿通孔2cの締付穴Aは、ネジ挿通孔2aおよび2dの締付穴Aよりも短くなっている。
【0017】
さらに、ネジ挿通孔2以外に後板5に設けられる穴として、配線を通したり取付時に指を入れて持ちやすくしたりするための配線孔3が設けられる。配線孔3はネジ挿通孔2と被らない位置に所望の大きさで設けることができる。
【0018】
このような構成のベース1を用いた、火災検知器の付替方法について記載する。使用者はまず、新たに取付ける火災検知器に予め取り付けられているベース1を取外す。次に、既に天井や壁等の取付面に設置されるベースから火災検知器を取外し、ベースを取付面に固定しているネジを緩める。このときネジはネジ挿通孔の締付穴側で固定されているので、ネジを緩めてベースを脱着穴側に移動させてベースを取り外す。ベースを取り外すと緩めたネジが取付面に残ったままであるので、その状態で、新たに取付けるベース1のネジ挿通孔2の脱着穴Bを、取付ピッチに合わせて取付面のネジに通す。そしてベース1を締付穴A側に移動させ、位置や角度を調整したのちにネジを締めるとベース1は取付面に固定される。最後にベース1に新たな火災検知器を取付けると、火災検知器の付替作業は完了する。
【0019】
以上の方法を用いれば、新たなベース1を取付面に設置する際、元のベースの設置に用いたネジ穴とネジをそのまま利用できるので、ネジを全て外して元のベースを取外し、新たなベースの取付ピッチに合わせて位置を調整しながら取付面に取付けるという手間が省ける。その上、取付面に新たにネジ穴を設ける必要がないので美観を損なわない。
<その他>
本発明の実施例において記載したネジ挿通孔2の配置や向き、個数に限られず、取付ピッチの様々なバリエーションに対応しうる配置や向き、個数であれば、同様の効果が得られる。
【符号の説明】
【0020】
1 ベース、2 ネジ挿通孔、2a ネジ挿通孔、2b ネジ挿通孔、
2c ネジ挿通孔、2d ネジ挿通孔、3 配線孔、4 壁、 5 後板、
6 中心孔、A 締付穴、B 脱着穴
図1
図2