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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】給油所管理システム
(51)【国際特許分類】
   B67D 7/32 20100101AFI20240913BHJP
【FI】
B67D7/32 E
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020095315
(22)【出願日】2020-06-01
(65)【公開番号】P2021187523
(43)【公開日】2021-12-13
【審査請求日】2023-04-03
(73)【特許権者】
【識別番号】000004444
【氏名又は名称】ENEOS株式会社
(73)【特許権者】
【識別番号】000001122
【氏名又は名称】株式会社日立国際電気
(73)【特許権者】
【識別番号】000110099
【氏名又は名称】トキコシステムソリューションズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002457
【氏名又は名称】弁理士法人広和特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】清水 陽一郎
(72)【発明者】
【氏名】中館 荒樹
(72)【発明者】
【氏名】戸田 一浩
(72)【発明者】
【氏名】仁科 孝之
【審査官】所村 陽一
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-179103(JP,A)
【文献】特開2005-263273(JP,A)
【文献】特開2019-128669(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B67D 7/32
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両へ給油を行う計量機と、
前記計量機による給油を管理する管理機と、
前記計量機付近の状況監視するための監視カメラと、
を備えた給油所管理システムにおいて、
前記監視カメラにより撮影されている画像から給油者を特定する特定手段と、
前記監視カメラにより撮影されている画像から給油者の給油に関する異常の有無および当該異常の種類を判定する異常判定手段と、
前記異常判定手段による異常の種類を前記給油者に対応付けて給油時の判定結果として記憶する記憶手段と、
前記特定手段により特定された当該給油者に対応す前回の給油時の判定結果を前記記憶手段から読み込み、当該定結果を当該給油者へ報知る報知手段と、
を備えたことを特徴とする給油所管理システム。
【請求項2】
前記異常判定手段により異常であると判定した後に、当判定結果から給油者へのアドバイスを生成するアドバイス生成手段を備え、
前記記憶手段は、前記アドバイス生成手段により生成されたアドバイスを給油時の判定結果として記憶してなり、
前記報知手段は、前記特定手段により特定された当該給油者に対応す前回の給油時の判定結果を前記記憶手段から読み込み、当該判定結果を報知することを特徴とする請求項1に記載の給油所管理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、例えば車両に給油を行う給油所を管理する給油所管理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、特許文献1には、送液管路、ポンプ、流量計、給油ホースおよび給油ノズルを有する計量機と、給油に関する情報を表示するモニタと、計量機に対し給油許可信号を送信する管理装置とを備えた給油所管理システムが記載されている。特許文献1の給油所管理システムは、計量機が管理装置から給油許可信号を受信した場合に、給油ノズルから車両への給油が可能となる。この構成によれば、係員(給油管理者)の監視の下、車両の運転者が給油者(作業者)としてセルフ式の給油を行うことができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開平10-264995号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、給油所では、係員が給油者の給油動作等を目視や監視カメラの映像により監視している。このため、例えば、係員が目視や映像により給油者の給油動作等を確認できない場合には、係員が現場まで出向いて確認することになり、その分、係員の確認に手間がかかる。これに対して、例えば、AI(人工知能)による画像認識技術を利用した異常判定手段を用いて給油者の動作に異常(好ましくない動作)があるか否かを判定し、その判定結果を給油終了後に給油者に報知する構成とすることが考えられる。しかし、この場合は、当該給油者が次回の給油を行うときに、前回の給油時に報知された判定結果を忘れている可能性がある。この結果、当該給油者が再び異常な動作(好ましくない動作)をしてしまう可能性がある。
【0005】
本発明の一実施形態の目的は、給油者が異常な動作(好ましくない動作)をしてしまうことを抑制できる給油所管理システムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一実施形態は、車両へ給油を行う計量機と、前記計量機による給油を管理する管理機と、前記計量機付近の状況監視するための監視カメラと、を備えた給油所管理システムにおいて、前記監視カメラにより撮影されている画像から給油者を特定する特定手段と、前記監視カメラにより撮影されている画像から給油者の給油に関する異常の有無および当該異常の種類を判定する異常判定手段と、前記異常判定手段による異常の種類を前記給油者に対応付けて給油時の判定結果として記憶する記憶手段と、前記特定手段により特定された当該給油者に対応す前回の給油時の判定結果を前記記憶手段から読み込み、当該定結果を当該給油者へ報知る報知手段と、を備えている。
【発明の効果】
【0007】
本発明の一実施形態によれば、給油者が異常な動作(好ましくない動作)をしてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施形態による給油所管理システムを模式的に示す全体構成図である。
図2図1中の管理装置(管理機)で行われる制御処理を示す流れ図である。
図3図2に続く処理を示す流れ図である。
図4】判定テーブルの一例を一覧表として示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、実施形態による給油所管理システムを、自動車等の車両に給油を行う給油所(ガソリンスタンド、サービスステーション)に適用した場合を例に挙げ、添付図面に従って説明する。なお、図2および図3に示す流れ図の各ステップは、それぞれ「S」という表記を用いる(例えば、ステップ1=「S1」とする)。
【0010】
図1において、給油所1は、車両(図示せず)の運転者が給油者として給油を行うことが可能なセルフ式給油所として構成されている。給油所1は、車両へ給油を行う計量機2を備えている。給油所1では、計量機2を用いてレギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油等の燃料を車両に給油(補給)する給油作業(供給作業)が行われる。燃料供給装置(給油機)である計量機2は、給油所1の給油レーン(給油ブース)に設置されている。なお、図1では、図面が複雑になることを避けるため、給油所1に設置される複数の計量機2のうちの1つを示している。
【0011】
地上設置式の計量機2は、略四角形状をなす筐体3を有している。筐体3の正面側には、モニタ装置18、設定装置19等が設けられている。計量機2は、送液管路6、供給ポンプ13(以下、給油ポンプ13という)、流量計14、供給ホース8(以下、給油ホース8という)、および、供給ノズル9(以下、給油ノズル9という)を備えている。そして、計量機2の筐体3内には、送液管路6、給油ポンプ13、流量計14、ポンプモータ15、制御弁17、制御装置20等が設けられている。
【0012】
一方、給油所の地下には、例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油等の燃料を貯留する貯留タンク4(以下、地下タンク4という)が埋設されている。地下タンク4は、複数個に分離または分画して設けられており、夫々のタンク毎に液種の異なる燃料(例えば、レギュラーガソリン、ハイオクガソリン、軽油)が貯留される。地下タンク4内の液面5は、例えば専用の液面検出器(図示せず)を用いて検出され、これにより、地下タンク4内の液体残量が監視されている。
【0013】
なお、図1は、計量機2の内部構造(即ち、送液管路6、給油ポンプ13、流量計14、制御弁17等の配管構造)等を簡略化して示している。実際には、筐体3の左右両側または正面側に複数の給油ホース8が液種毎に設けられるが、図1では、1本の給油ホース8を示しており、他の給油ホースは、説明の簡略化のために省略している。地下タンク4についても同様である。
【0014】
送液管路6は、地下タンク4と給油ホース8との間を接続している。即ち、送液管路6は、一端(下端)側が筐体3内から下向きに延びている。送液管路6の一端側は、吸上げ管6Aとなって地下タンク4に接続されている。これに対して、送液管路6の他端(先端)側は、例えば継手7を介して可撓性の給油ホース8に接続されている。送液管路6は、給油ホース8と共に、燃料供給経路を構成している。
【0015】
給油ホース8の先端側には、車両の燃料タンク等の燃料被供給体(図示せず)に液体燃料を供給する給油ノズル9が設けられている。給油ノズル9は、給油作業の待機時に、ノズル掛け11に掛止されている。例えば、給油を行う給油者(セルフの給油者を含む)は、給油ノズル9をノズル掛け11から外し、この状態で、車両の燃料タンクに対する給油作業を行う。ここで、車両には、燃料タンクに燃料を給油(補充)するための給油口(供給口)が設けられている。給油ノズル9には、ノズル先端部としての吐出パイプ9Aが設けられている。吐出パイプ9Aは、給油口内に挿入された状態で、燃料タンクへの給油が行われる。また、給油ノズル9は、手動操作されるノズルレバーを有している。給油ノズル9内には、図示しない弁が設けられており、この弁は、ノズルレバーの操作位置によって開度が調整される。
【0016】
計量機2の筐体3には、ノズル収納部としてのノズル掛け11が設けられている。ノズル掛け11には、給油ノズル9が着脱可能に掛止めされる。即ち、給油ノズル9は、通常、ノズル掛け11に収納されている。車両が給油所1に到着すると、給油者により給油ノズル9がノズル掛け11から外されて、車両の燃料タンクの給油口内に挿入される。また、ノズル掛け11にはノズルスイッチ12が付設されている。ノズルスイッチ12は、制御装置20と接続されている。
【0017】
ノズルスイッチ12は、給油ノズル9がノズル掛け11に掛止されているか否かを検出し、その検出信号を制御装置20に出力する。給油ノズル9がノズル掛け11に掛止されている間は、例えばノズルスイッチ12から制御装置20にON信号が出力される。給油ノズル9がノズル掛け11から外されている間は、ノズルスイッチ12から制御装置20にOFF信号が出力される。
【0018】
送液管路6の途中には、筐体3内に位置して給油ポンプ13、流量計14および制御弁17が配設されている。給油ポンプ13により吸上げ管6Aから吸上げられた地下タンク4内の液体燃料(例えば、レギュラーガソリン)は、送液管路6内を流通するときに、流量計14により流量が計測される。給油ポンプ13は、地下タンク4内の燃料を給油ノズル9側に供給するため、ポンプモータ15により回転駆動される。この場合、ポンプモータ15の回転は、ポンプモータ15の駆動プーリ15Aと給油ポンプ13の従動プーリ13Aとの間に巻回されたベルト16を介して給油ポンプ13の回転軸に伝達される。
【0019】
流量計14は、給油ポンプ13により給油ノズル9に供給された液体燃料の給油量を、給油ノズル9毎に個別に計測する流量検出装置である。例えば、流量計14には、流量パルス発信器14Aが付設されている。流量パルス発信器14Aは、制御装置20と接続されている。流量パルス発信器14Aは、送液管路6内を流れる液体燃料の流量に応じた流量パルス信号を制御装置20に出力する。
【0020】
制御弁17は、その弁開度が可変に制御される電磁式流量制御弁により構成されている。制御弁17は、送液管路6から給油ホース8を介して給油ノズル9へと供給される液体燃料の流量を調整する。制御弁17は、制御装置20と接続されている。制御弁17の弁開度は、例えば、制御装置20から出力される制御信号の周波数およびデューティ比に応じて可変に制御される。
【0021】
筐体3の正面側には、計量機2による燃料の給油量、金額等を表示する表示手段(計量機側表示手段)としてのモニタ装置18と、給油者が手動操作することにより給油量等に関する設定が行われる設定手段としての設定装置19とが設けられている。モニタ装置18は、例えば、液晶モニタとスピーカ(音響出力装置)とを含んで構成されている。モニタ装置18の液晶モニタ(表示画面)には、給油量等が表示される。また、モニタ装置18のスピーカからは、必要に応じて音声情報、警告音等が出力される。モニタ装置18は、給油者に必要な情報を報知(表示、音声出力)する報知手段を構成している。
【0022】
また、モニタ装置18の表示画面には、例えば、設定装置19により選択される設定項目が表示される。給油者は、設定装置19の各スイッチを操作することにより、満タン給油を選択する操作、任意のプリセット給油量を設定する操作等を行うことができる。なお、図1では、モニタ装置18と設定装置19とを別々に設ける構成とした場合を示しているが、例えば、モニタ装置18をタッチパネルにより構成することにより、モニタ装置18と設定装置19とを一体に構成してもよい。
【0023】
計量機2の筐体3内には、設定装置19により設定された給油量に基づいて給油に関する制御を行う制御手段としての制御装置20が設けられている。制御装置20は、給油ノズル9による燃料の給油時に流量計14により計測された給油量を、モニタ装置18に表示させる。図1に示すように、制御装置20の入力側は、ノズル掛け11のノズルスイッチ12、流量計14の流量パルス発信器14A、設定装置19等に接続されている。制御装置20の出力側は、給油ポンプ13を駆動するポンプモータ15、制御弁17、モニタ装置18等に接続されている。また、制御装置20は、後述の管理装置23にも接続されている。
【0024】
制御装置20は、給油ノズル9がノズル掛け11から外されてノズルスイッチ12からのOFF信号が入力されると、ポンプモータ15を起動する。これにより、給油ポンプ13は、地下タンク4内の燃料を送液管路6から吸上げる。また、制御装置20は、所定周波数の駆動信号を制御弁17に出力することにより制御弁17を制御する。この場合、制御装置20は、駆動信号のデューティ比を変更することにより、所定の弁開度を保つように制御弁17を制御する。
【0025】
この状態で、給油ノズル9のノズルレバーが操作されると、車両の燃料タンクへの給油が開始される。このとき、流量計14の流量パルス発信器14Aから流量パルスが制御装置20に出力される。制御装置20は、流量パルス発信器14Aから出力された流量パルスを積算してモニタ装置18の表示画面に給油量を表示させる。また、制御装置20は、例えば満タン給油制御またはプリセット給油制御等、満タンになったときまたは設定装置19により設定された給油量に達したときに、給油を停止する。
【0026】
制御装置20は、計量機2のポンプモータ15、制御弁17、モニタ装置18等の各種機器を制御する。このために、制御装置20は、例えばマイクロコンピュータ、電源回路、駆動回路等を含んで構成されている。制御装置20のマイクロコンピュータは、CPUと呼ばれる演算処理装置に加えて、ROM、RAMおよび/または不揮発性メモリ等からなるメモリを有している。メモリには、満タン給油制御あるいはプリセット給油制御等の給油の制御を行うための処理プログラムが記憶(格納)されている。また、制御装置20のメモリには、後述の管理装置23からの指令(報知指令)に基づいてモニタ装置18の表示および/または音声出力を行う処理プログラム等も記憶されている。
【0027】
静電気除去部である静電気除去シート21は、例えば計量機2の筐体3の正面に設けられている。静電気除去シート21は、例えば、導電性材料を用いて円形に形成されており、接地(アース)されている。給油者は、給油を行う前に静電気除去シート21を手で触れる。給油者が静電気除去シート21に手を触れると、給油者に帯電した静電気が除去される。
【0028】
給油所1には、撮影手段としての監視カメラ22が設置されている。監視カメラ22は、給油者の給油操作を監視するため、計量機2付近を撮影する撮影手段に対応する。監視カメラ22は、例えば、計量機2の静電気除去シート21、車両の給油口、給油を行う給油者が映像(撮影範囲)に収まるように配置されている。この場合、図示は省略するが、複数の監視カメラ22を設置することにより、それぞれの映像を別々に取得する構成としてもよい。監視カメラ22は、管理装置23に無線または有線で接続されている。監視カメラ22で撮影された映像は、管理装置23に送信される。
【0029】
管理機としての管理装置23は、計量機2による給油を管理する給油管理装置である。管理装置23は、計量機2の制御装置20と接続されている。管理装置23は、計量機2の制御装置20から計量機2の状態を受信する。また、管理装置23は、監視カメラ22と接続されている。管理装置23は、監視カメラ22からの映像(撮影結果)を受信する。管理装置23は、計量機2の制御装置20に対して給油許可の信号を送信する。計量機2の制御装置20は、管理装置23から給油許可の信号を受信した場合に、給油ノズル9を通じて車両への給油が可能となっている。
【0030】
管理装置23は、例えばデスクトップコンピュータにより構成されており、モニタ23Aを備えている。モニタ23Aは、給油に関する情報が表示される表示手段(管理機側表示手段)に対応する。また、管理装置23は、ハードディスク等の記憶装置を備えている。管理装置23の記憶装置には、計量機2を管理するための処理プログラムが記憶(格納)されている。また、管理装置23の記憶装置には、後述の図2および図3に示す処理フローを実行するための処理プログラムも記憶(格納)されている。
【0031】
なお、図示の例では、管理装置23は給油所1内の1つの計量機2に接続されているが、図示しない別の計量機を含む給油所1内の複数の計量機2(例えば、給油所1内の全ての計量機2)と接続されている。また、管理装置23は、「図示しない別の給油所の管理装置」および/または「複数の管理装置23との間で情報(データ)の信号および指令に対応する信号を送信、受信する管理サーバ(例えば、メインサーバ、データサーバ、クラウドサーバ等)」と接続されている。管理装置23および/または管理サーバは、計量機2による給油を管理する管理機に対応する。
【0032】
ところで、給油所1では、係員(給油管理者)が給油者(セルフの給油者)の給油動作等を目視や監視カメラ22の映像により監視している。例えば、係員は、給油者が給油前(給油ノズル9を把持する前)に静電気除去シート21に触れたか否か、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されているか否か、給油者が携帯電話(スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末を含む)の操作をしているか否か等の安全確認を、目視や監視カメラ22の映像により行っている。係員は、給油者が静電気除去シート21に触れており、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されており、かつ、給油者が携帯電話の操作をしていないことを確認した上で、管理装置23を操作することにより、管理装置23から計量機2に給油許可の信号(給油許可信号)を送信する。これにより、給油者は、計量機2から車両の燃料タンクに給油を開始することができる。
【0033】
しかし、例えば、係員が目視や映像により給油者の給油動作等を確認できない場合は、係員が現場まで出向いて確認することになり、その分、係員の確認に手間がかかる。これに対して、例えば、係員が行う安全確認を、AI(人工知能)の機械学習による画像認識技術によりサポートすることが考えられる。具体的には、AIによる画像認識技術を利用した異常判定手段を用いて給油者の動作に異常(好ましくない動作)があるか否かを判定することが考えられる。しかし、この場合には、係員が直接的に給油操作を監視していないため、給油者が正しい給油操作を行えたか否かを給油者自身が知ることができない。
【0034】
一方、給油所1の係員が、給油者が静電気除去シート21に触れたか否か、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されているか否か、給油者が携帯電話の操作をしているか否か等の安全確認を行い、その度、給油者に口頭で注意喚起すると共に必要に応じて給油を停止する場合は、例えば給油が終了するまでに時間がかかり、好ましくない。このため、実施形態では、係員による直接的な給油操作の監視がなくても、給油者に対して正しい給油方法の報知および啓発を行うことができるように、画像認識技術を利用した異常判定手段による判定結果を給油者に報知する構成としている。この場合に、異常判定手段の判定結果を、例えば給油中および/または給油終了直後に給油者に報知する構成とすると、当該給油者が次回の給油を行うときに前回の給油時に報知された判定結果を忘れてしまっている可能性がある。これにより、当該給油者が再び異常な動作(好ましくない動作)をしてしまう可能性がある。
【0035】
そこで、実施形態では、今回の給油において異常判定手段により判定された結果を、次回の給油開始前に給油者に報知する構成としている。即ち、実施形態の給油所管理システムは、監視カメラ22により撮影された画像(映像)から給油者の給油に関する異常の有無を判定する。この判定(異常判定)は、管理装置23および/または管理装置23とネットワークを介して接続された管理サーバ(以下、単に「管理装置23」という)で行う。管理装置23は、監視カメラ22の画像(映像)から、例えば、給油者が給油前(給油ノズル9を把持する前)に静電気除去シート21に触れたか否か、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されているか否か、給油者が携帯電話の操作をしているか否かを判定する。
【0036】
ここで、給油者が静電気除去シート21に触れていない場合、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されていない場合、または、給油者が携帯電話の操作をしている場合は、給油者の動作として好ましくない。そこで、管理装置23(異常判定手段)は、このような給油を行うときの好ましくない動作があった場合に、異常ありと判定する。このような判定は、例えば、AI(人工知能)による画像認識技術を利用して行うことができる。AIによる異常の判定は、例えば、AIに給油者の適切な動作(好ましい動作)および不適切な動作(好ましくない動作)の画像(映像)を予め機械学習させておき、この学習結果と監視カメラ22の画像(映像)とに基づいて行うことができる。
【0037】
管理装置23は、給油者の給油に関する動作に異常ありと判定した場合、この判定結果を当該給油者に報知する。この場合、判定結果の報知は、今回の給油中、今回の給油後、および、次回の給油前に行う。即ち、管理装置23は、給油者が給油を行っているときに給油者の動作に異常ありと判定した場合、この判定結果を、今回の給油中に必要に応じて報知し、かつ、今回の給油後に報知することに加えて、当該給油者が次に給油を行うときにも報知する。
【0038】
具体的には、管理装置23は、給油中に給油者の給油に関する動作に異常ありと判定したときに、計量機2のモニタ装置18に報知の指令信号を出力する。モニタ装置18は、管理装置23からの指令信号に基づいて、給油者に対して適切な動作を促す報知を行う。例えば、給油者が静電気除去シート21に触れていない場合、モニタ装置18は、管理装置23からの指令信号に基づいて、「静電気除去シートに触れて下さい。」との給油者に対する指示を画面に表示、および/または、スピーカから音声出力する。また、管理装置23は、今回の給油者の給油動作の評価に対応するポイント(得点)を算出する。
【0039】
例えば、給油者が静電気除去シート21に触れていない場合、管理装置23は、適切な給油動作を行った給油者に付与されるポイントよりも低いポイントを算出する。具体的には、適切な給油が行われた場合は、100ポイント付与されるのに対して、静電気除去シート21に触れない等、不適切な給油が行われた場合には、100ポイントよりも低いポイントが算出される。管理装置23は、算出したポイントを今回の給油伝票(レシート)に印字する指令を計量機2に出力する。計量機2は、管理装置23からの指令に基づいて給油伝票にポイントを印字することにより、給油者に対して判定結果(適切な給油が行われたか否か)を報知する。
【0040】
さらに、管理装置23は、当該給油者が次回の給油を開始する前(給油ノズル9を把持する前)に、計量機2のモニタ装置18に報知の指令信号を出力する。モニタ装置18は、管理装置23からの指令信号に基づいて、給油者に対して前回の給油時の判定結果を報知する。即ち、管理装置23は、これから給油を行う給油者が前回の給油時に好ましくない動作をしていた場合は、その旨を報知する。例えば、給油者が前回の給油時に静電気除去シート21に触れていなかった場合、モニタ装置18は、管理装置23からの指令信号に基づいて、「前回の給油時に静電気除去シートに触れていません。」との前回の判定結果を画面に表示、および/または、スピーカから音声出力する。
【0041】
また、このように前回の給油時の判定結果を報知する場合に、例えば、給油者にアドバイスを報知することもできる。即ち、管理装置23は、前回の給油中に異常ありと判定した後に異常なしの判定に変更があった場合、当該変更となった情報から給油者へのアドバイスを生成する。例えば、前回の給油時に給油者が「静電気除去シートに触れて下さい。」とのモニタ装置18からの報知に基づいて静電気除去シート21に触れた場合、今回の給油動作の異常判定を開始する前に、モニタ装置18は、管理装置23からの指令信号に基づいて、「静電気除去シートにしっかりと触ってから給油するようにしましょう。」とのアドバイスを、画面に表示、および/または、スピーカから音声出力する。
【0042】
図2および図3は、管理装置23で行われる制御処理を示す流れ図(フローチャート)である。管理装置23で行われる制御処理について、図2および図3を参照しつつ説明する。なお、この制御処理では、図4に示す判定テーブルを用いて給油者の動作を評価する。即ち、この制御処理では、給油者の動作に応じて判定フラグがONになる。この場合、判定フラグのONに応じて、給油者の評価ポイントが計算される。具体的には、給油者が給油前(給油ノズル9を把持する前)に静電気除去シート21に触れていない場合は、判定フラグJF(1)がONとなる。これにより、給油者の点数Aが「2」となり、その分、ポイントが減算される。
【0043】
また、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されていない状態で給油が行われた場合は、判定フラグJF(2)がONとなる。これにより、給油者の点数Aが「2」となり、その分、ポイントが減算される。また、給油者が携帯電話の操作をした場合は、判定フラグJF(3)がONとなる。これにより、給油者の点数Aが「1」となり、その分、ポイントが減算される。給油者の評価(評価ポイント)は、例えば、ポイントの初期値を「10」とし、下記の数1式で計算する。
【0044】
【数1】
【0045】
ここで、例えば、給油者が給油開始から終了まで適切な動作を行った場合は、数1式の評価ポイントは「100」となる。これに対して、例えば、給油者が静電気除去シート21に触れなかった場合は、点数Aが「2」となり、数1式の評価ポイントは「60」となる。また、例えば、給油者が静電気除去シート21に触れず、かつ、給油ノズル9の吐出パイプ9Aを車両の給油口の奥まで挿入しなかった場合は、点数Aが「2+2=4」となり、評価ポイントは「20」となる。また、例えば、給油者が静電気除去シート21に触れず、給油ノズル9の吐出パイプ9Aを車両の給油口の奥まで挿入せず、かつ、携帯電話を操作した場合は、点数Aが「2+2+1=5」となり、評価ポイントは「0」となる。評価ポイントは、例えば、割引クーポンの発行、割引ポイントへの加算に用いることができる。また、例えば、冬期は、静電気除去シート21の触れ忘れは減点を多くする等、ポイントの値を変更してもよいし、ポイントの比重を変更してもよい。
【0046】
図2および図3に示す制御処理は、例えば、車両が給油レーンに進入し所定の位置に停止すると開始される。S1では、監視カメラ22により給油者の操作(給油動作)の監視を開始する。S1に続くS2では、監視カメラ22の映像(画像)に基づいて給油者を特定する。給油者の特定は、AIによる画像認識技術(顔認識技術)を用いることができる。そして、S2では、特定された給油者の前回の判定結果(異常判定結果)が管理装置23のデータベース(DB)に格納されている否かを判定する。なお、給油者を特定する方法は、監視カメラ22の映像(画像)に限らず、例えば、設定装置19にカード読み取り手段を設け、カード読み取り手段で読み取られたカードの情報に基づいて給油者を特定しても良いし、設定装置19に指紋認証手段を備え、認証された指紋に基づいて給油者を特定してもよい。
【0047】
S2で「YES」、即ち、前回の給油時の判定結果(異常判定結果)があると判定された場合は、S3に進む。S3では、前回の給油時の判定結果(異常判定結果)に基づいて給油者に報知を行い、S4に進む。S3の処理については、後述する。一方、S2で「NO」、即ち、前回の給油時の判定結果(異常判定結果)がないと判定された場合は、S4に進む。
【0048】
S4では、給油設定がなされたか否かを判定する。即ち、S4では、給油者が設定装置19を操作し、油種の選択、満タン給油の選択、任意のプリセット給油量の設定等を行ったか否かを判定する。S4で「NO」、即ち、給油の選択、設定が行われていないと判定された場合は、S4の処理を繰り返す。一方、S4で「YES」、即ち、給油の選択、設定が行われたと判定された場合は、S5に進む。S5では、「給油者が静電気除去シート21に触れたか否か」が監視カメラ22の画像から判定できるか否かを判定する。即ち、S5では、監視カメラ22の画像から給油者の給油開始前の動作が不明であるか否かを判定する。画像(映像)からの判定は、AI(人工知能)による画像認識技術を用いて行うことができる。後述のS9,S11,S14,S18,S19,S21,S23の判定についても、同様である。
【0049】
S5で「YES」、即ち、給油者の動作が不明である(監視カメラ22の画像から給油者が静電気除去シート21に触れたか否かを判定することができない)と判定された場合は、S6に進む。S6では、給油者に対してモニタ装置18から報知を行う。具体的には、「カメラから見えるように静電気除去シートに触れて下さい。」とのアナウンスAを、モニタ装置18の表示画面に表示、および/または、モニタ装置18のスピーカから音声出力する。S6に続くS7では、給油ノズル9がノズル掛け11から取外されたか否かを判定する。この判定は、ノズルスイッチ12がONであるかOFFであるかにより判定することができる。
【0050】
S7で「NO」、即ち、給油ノズル9がノズル掛け11から取外されていない(ノズルスイッチ12がON)と判定された場合は、S5に戻る。これに対して、S7で「YES」、即ち、給油ノズル9がノズル掛け11から取外された(ノズルスイッチ12がOFF)と判定された場合は、S8に進む。S8では、判定フラグJF(1)をONにし、図2および図3の「A」を介して図3のS14に進む。
【0051】
一方、S5で「NO」、即ち、給油者の動作が不明でない(監視カメラ22の画像から給油者が静電気除去シート21に触れたか否かを判定することができる)と判定された場合は、S9に進む。S9では、監視カメラ22の画像から給油者が静電気除去シート21に触れたか否かを判定する。S9で「YES」、即ち、給油者が静電気除去シート21に触れたと判定した場合は、S13に進む。これに対して、S9で「NO」、即ち、給油者が静電気除去シート21に触れていないと判定した場合は、S10に進む。S10では、給油者に対してモニタ装置18から報知を行う。
【0052】
具体的には、「静電気除去シートに触れて下さい。」とのアナウンスA′を、モニタ装置18の表示画面に表示、および/または、モニタ装置18のスピーカから音声出力する。S10に続くS11では、S9と同様に、監視カメラ22の画像から給油者が静電気除去シート21に触れたか否かを判定する。S11で「YES」、即ち、給油者が静電気除去シート21に触れたと判定した場合は、S12に進む。S12では、判定フラグJF(1)をONにし、S13に進む。これに対して、S11で「NO」、即ち、給油者が静電気除去シート21に触れていないと判定した場合は、S10に戻る。
【0053】
S13では、S7と同様に、給油ノズル9がノズル掛け11から取外されたか否かを判定する。S13で「NO」、即ち、給油ノズル9がノズル掛け11から取外されていない(ノズルスイッチ12がON)と判定された場合は、S13の処理を繰り返す。S13で「YES」、即ち、給油ノズル9がノズル掛け11から取外された(ノズルスイッチ12がOFF)と判定された場合は、図2および図3の「A」を介して図3のS14に進む。
【0054】
図3のS14では、「給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されているか否か」が監視カメラ22の画像から判定できるか否かを判定する。即ち、S14では、監視カメラ22の画像から給油ノズル9の状態が不明であるか否かを判定する。S14で「YES」、即ち、給油ノズル9の状態が不明である(監視カメラ22の画像から給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されたか否かを判定することができない)と判定された場合は、S15に進む。S15では、給油者に対してモニタ装置18から報知を行う。具体的には、「ノズルがカメラから隠れています。給油者はカメラからノズルが隠れない位置に移動して下さい。」とのアナウンスBを、モニタ装置18の表示画面に表示、および/または、モニタ装置18のスピーカから音声出力する。
【0055】
S15に続くS16では、給油ノズル9のノズルレバーが操作されているか否かを判定する。この判定は、例えば流量計14の流量から判定することができる。S16で「NO」、即ち、給油ノズル9のノズルレバーが操作されていない(流量=0)と判定された場合は、S14に戻る。これに対して、S16で「YES」、即ち、給油ノズル9のノズルレバーが操作されている(流量>0)と判定された場合は、S17に進む。S17では、判定フラグJF(2)をONにし、S19に進む。
【0056】
一方、S14で「NO」、即ち、給油ノズル9の状態が不明でない(監視カメラ22の画像から給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されたか否かを判定することができる)と判定された場合は、S18に進む。S18では、給油者が給油ノズル9の吐出パイプ9Aを車両の給油口の奥まで挿入せずに給油ノズル9のノズルレバーを操作したか否かを判定する。S18で「YES」、即ち、給油者が給油ノズル9の吐出パイプ9Aを車両の給油口の奥まで挿入せずに給油ノズル9のノズルレバーを操作したと判定した場合は、S17に進む。これに対して、S18で「NO」、即ち、給油者が給油ノズル9の吐出パイプ9Aを車両の給油口の奥まで挿入した状態で給油ノズル9のノズルレバーを操作したと判定した場合は、S17を介することなくS19に進む。
【0057】
S19では、「給油者が携帯電話を操作しているか否か」が監視カメラ22の画像から判定できるか否かを判定する。即ち、S19では、監視カメラ22の画像から給油中の給油者の状態が不明であるか否かを判定する。S19で「YES」、即ち、給油者の状態が不明である(監視カメラ22の画像から給油者が携帯電話を操作しているか否かを判定することができない)と判定された場合は、S20に進む。これに対して、S19で「NO」、即ち、給油者の状態が不明でない(監視カメラ22の画像から給油者が携帯電話を操作しているか否かを判定することができる)と判定された場合は、S21に進む。S21では、監視カメラ22の画像から給油者が携帯電話を操作しているか否かを判定する。S21で「NO」、即ち、給油者が携帯電話を操作していないと判定した場合は、S20に進む。これに対して、S21で「YES」、即ち、給油者が携帯電話を操作していると判定した場合は、S22に進む。S22では、給油者に対してモニタ装置18から報知を行う。
【0058】
具体的には、「ノズル操作中は携帯電話を使用しないで下さい。」とのアナウンスCを、モニタ装置18の表示画面に表示、および/または、モニタ装置18のスピーカから音声出力する。S22に続くS23では、S21と同様に、監視カメラ22の画像から給油者が携帯電話を操作しているか否かを判定する。S23で「YES」、即ち、給油者が携帯電話を操作していると判定した場合は、S22に戻る。これに対して、S23で「NO」、即ち、給油者が携帯電話を操作していないと判定した場合は、S24に進む。S24では、判定フラグJF(3)をONにし、S20に進む。
【0059】
S20では、給油ノズル9がノズル掛け11に戻されたか否か(ノズルスイッチ12がONであるか否か)を判定する。S20で「NO」、即ち、ノズルスイッチ12がONでない(給油ノズル9がノズル掛け11に戻されていない)と判定された場合は、S19に戻る。これに対して、S20で「YES」、即ち、ノズルスイッチ12がONである(給油ノズル9がノズル掛け11に戻された)と判定された場合は、S25に進む。
【0060】
S25では、給油者が給油操作を終了したと判定し、S26に進む。S26では、ONとなった判定フラグと図4の判定テーブルと数1式とに基づいて評価ポイントを算出し、算出したポイントを給油伝票に印字する。続くS27では、今回の給油中の異常判定結果、即ち、S5,S9,S11,S14,S18,S19,S21,S23の判定結果を管理装置23のデータベース(DB)に格納(保存)する。S27で判定結果をDBに保存したら、リターンする。即ち、図2のスタートに戻る。
【0061】
次に、S3の処理について説明する。S3では、管理装置23のデータベース(DB)に格納(保存)された給油者の判定結果に基づいて、当該給油者に報知を行う。即ち、S3では、当該給油者が給油を開始する前(給油ノズル9を把持する前)に、当該給油者に前回の給油時の判定結果(異常判定結果)に基づく報知を行う。例えば、前回の給油時に給油者が静電気除去シート21に触れていなかった場合は、「前回の給油時に静電気除去シートに触れていません。」との前回の判定結果を、モニタ装置18の表示画面に表示、および/または、モニタ装置18のスピーカから音声出力する。この場合、給油時の判定結果として、給油者に給油動作のアドバイスを報知してもよい。例えば、前回の給油時に給油者が「静電気除去シートに触れて下さい。」とのモニタ装置18からの報知に基づいて静電気除去シート21に触れた場合には、S3の処理として、「静電気除去シートにしっかりと触ってから給油するようにしましょう。」とのアドバイスを、モニタ装置18の表示画面に表示、および/または、モニタ装置18のスピーカから音声出力してもよい。
【0062】
このように、実施形態の給油所管理システムは、異常判定手段と、アドバイス生成手段と、報知手段とを備えている。異常判定手段は、撮影手段である監視カメラ22により撮影された画像(映像)から給油者の給油に関する異常の有無を判定する。アドバイス生成手段は、異常判定手段により異常であると判定した後に、監視カメラ22により撮影された画像(映像)から異常なしの判定となった場合、当該変更となった情報から給油者へのアドバイスを生成する。異常判定手段およびアドバイス生成手段は、管理装置23による異常判定処理(S5,S9,S11,S14,S18,S19,S21,S23)およびアドバイス生成処理(S3)に対応する。報知手段は、給油者による次回の給油開始前に、前回の給油において異常判定手段により判定された結果を当該給油者へ報知させる。また、報知手段は、給油者による次回の給油開始前に、アドバイス生成手段にて生成されたアドバイスを報知する。報知手段は、管理装置23および計量機2のモニタ装置18による報知処理(S3)に対応する。
【0063】
このような実施形態によれば、管理装置23および計量機2のモニタ装置18は、前回の給油についての管理装置23による判定結果を今回の給油開始前に給油者に報知することができる。このため、給油者は、前回の給油時の判定結果を意識しながら今回の給油を行うことができる。これにより、給油者が異常な動作(好ましくない動作)をしてしまうことを抑制できる。この結果、給油所1内の安全性をより向上することができる。この場合、給油所1の係員の監視がなくても給油者に安全な給油操作を意識付けることができ、係員の手間を軽減できる。しかも、給油を強制的に停止させる程ではないが好ましくない動作を行った場合、給油を停止せずに給油後または次回の給油前に報知することで、給油者に安全の意識付けを行うことができる。このため、給油者の異常動作の都度、給油を停止する場合と比較して、給油時間を短縮できる。
【0064】
また、実施形態によれば、管理装置23および計量機2のモニタ装置18は、給油者にアドバイスを報知することができる。このため、給油者は、モニタ装置18から報知されたアドバイスを参考にして給油を行うことができる。しかも、給油者は、より安全な給油操作をするためにどのようにしたらよいか、アドバイスにより具体的に知ることもできる。これにより、給油所1内のさらなる安全性の向上を図ることができる。
【0065】
なお、実施形態では、給油者に対する判定結果(アドバイスを含む)の報知として、今回の給油中に画面表示および音声出力することにより行い、給油後に給油伝票にポイント印字することにより行い、かつ、次回の給油前(給油ノズル9を把持する前)に画面表示および音声出力することにより行う場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、報知は、例えば、給油中および次回の給油前に行う構成としもよい。また、報知は、例えば、次回の給油前にのみ行う構成としもよい。
【0066】
さらに、報知は、例えば、音声出力のみにより行ってもよい。また、給油後の報知は、給油伝票へのポイント印字に代えて、または、ポイントの印字に加えて、異常と判定された動作および/またはアドバイスを印字してもよい。さらには、給油中の報知、給油後の報知、次回の給油時の報知は、給油者の携帯端末(スマートフォン、タブレット端末等の携帯情報端末)で行う構成としてもよい。この場合、携帯端末には、顧客用の給油アプリ(例えば、給油の記録、燃費の計算、価格情報の提供等を行う給油アプリ)をインストールしておき、この給油アプリの機能により報知する構成としてもよい。また、この報知としては、給油者が好ましくない動作をしたときの映像(画像)を記録し、アドバイス等と共に伝票に印刷してもよいし、給油アプリの画面に表示してもよい。また、報知するタイミングは、給油者が給油ノズル9を把持する前に限らず、例えば、給油者が設定器(設定装置19)で設定する前や、給油者が車両から降りた場合や給油者が計量機に近づいた場合に報知してもよい。さらに、例えば、報知する内容が静電気除去シートへの接触についての内容であった場合には、給油者が静電気除去シートに触れる前に報知する等、報知する内容に合わせて報知タイミングを変更してもよい。
【0067】
実施形態では、給油者の給油に関する異常判定として、給油者が給油前(給油ノズル9を把持する前)に静電気除去シート21に触れたか否か、給油ノズル9の吐出パイプ9Aが車両の給油口の奥まで挿入されているか否か、給油中に給油者が携帯電話の操作をしたか否かを判定する構成とした場合を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、給油者の給油に関する異常判定として、上記以外にも、例えば、給油者が喫煙しているか否か、車両のエンジンが停止しているか否か等を判定してもよい。即ち、給油者の給油に関する異常判定としては、給油前、給油中または給油後の給油者の動作として好ましくない様々な状況(異常)を判定する構成とすることができる。
【0068】
実施形態では、計量機2として、地上設置型の給油装置(燃料供給装置)を例に挙げて説明した。しかし、これに限らず、例えば、計量機として給油ノズルを昇降させる懸垂式の給油装置を用いてもよい。
【0069】
以上説明した実施形態に基づく給油所管理システムとして、例えば下記に述べる態様のものが考えられる。
【0070】
第1の態様としては、車両へ給油を行う計量機と、前記計量機による給油を管理する管理機と、前記計量機付近を撮影する撮影手段と、を備えた給油所管理システムにおいて、前記撮影手段により撮影された画像から給油者の給油に関する異常の有無を判定する異常判定手段と、当該給油者による給油開始前に、前回の給油において前記異常判定手段により判定された結果を当該給油者へ報知させる報知手段と、を備えている。
【0071】
この第1の態様によれば、報知手段は、前回の給油についての異常判定手段による判定結果を今回の給油開始前に給油者に報知することができる。このため、給油者は、前回の給油時の判定結果を意識しながら今回の給油を行うことができる。これにより、給油者が異常な動作(好ましくない動作)をしてしまうことを抑制できる。この結果、給油所内の安全性をより向上することができる。
【0072】
第2の態様としては、第1の態様において、前記異常判定手段により異常であると判定した後に、前記撮影手段により撮影された画像から異常なしの判定となった場合、当該変更となった情報から給油者へのアドバイスを生成するアドバイス生成手段を備え、前記報知手段は、当該給油者による給油開始前に、前記アドバイス生成手段にて生成されたアドバイスを報知する。
【0073】
この第2の態様によれば、報知手段は、給油者にアドバイスを報知することができる。このため、給油者は、報知手段により報知されたアドバイスを参考にして給油を行うことができる。これにより、給油所内のさらなる安全性の向上を図ることができる。
【符号の説明】
【0074】
1 給油所
2 計量機
18 モニタ装置(報知手段)
22 監視カメラ(撮影手段)
23 管理装置(管理機、異常判定手段、アドバイス生成手段、報知手段)
図1
図2
図3
図4