(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】孔位置ターゲット及び測定システム、並びに孔の位置を測定するための方法
(51)【国際特許分類】
G01B 11/00 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
G01B11/00 H
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020110649
(22)【出願日】2020-06-26
【審査請求日】2023-05-31
(32)【優先日】2019-06-28
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】500520743
【氏名又は名称】ザ・ボーイング・カンパニー
【氏名又は名称原語表記】The Boeing Company
(74)【代理人】
【識別番号】110002077
【氏名又は名称】園田・小林弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】ハル, ジェラルド エー.
(72)【発明者】
【氏名】フリーマン, フィリップ エル.
【審査官】櫻井 仁
(56)【参考文献】
【文献】特開2010-151799(JP,A)
【文献】特開2013-122429(JP,A)
【文献】特開平08-086654(JP,A)
【文献】国際公開第02/097362(WO,A1)
【文献】特開2006-329817(JP,A)
【文献】特開2000-304537(JP,A)
【文献】特開2000-241141(JP,A)
【文献】特開2009-236507(JP,A)
【文献】国際公開第2018/066614(WO,A1)
【文献】米国特許第08806764(US,B1)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01B 11/00
G01B 5/00
G01C 15/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心線を有するセルフセンタリングインサートと、
前記セルフセンタリングインサートの前記中心線に対して固定位置で前記セルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットであって、
前記光学ターゲットの表面上に2次元パターンを含む光学ターゲットと
を含
み、
前記光学ターゲットが、前記セルフセンタリングインサートの前記中心線と同心であって、上部に前記2次元パターンを含む円筒形の外面を有する、孔位置ターゲット。
【請求項2】
前記光学ターゲットの前記円筒形の外面が、5μm以下の表面円筒度を有する、請求項
1に記載の孔位置ターゲット。
【請求項3】
前記セルフセンタリングインサートが、径方向に拡張可能なブッシングを含む、請求項1
又は2に記載の孔位置ターゲット。
【請求項4】
前記径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なベローを含む、請求項
3に記載の孔位置ターゲット。
【請求項5】
前記径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なコレットを含む、請求項
3に記載の孔位置ターゲット。
【請求項6】
前記2次元パターンが、ドットのパターンを含む、請求項1から
5のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット。
【請求項7】
前記2次元パターンが、再帰反射素材を含む、請求項1から
6のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット。
【請求項8】
孔位置測定システムに含まれる、請求項1から
7のいずれか一項に記載の孔位置ターゲットであって、前記
孔位置測定システムが、
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの画像をキャプチャするように構成されたカメラシステムと、
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの特徴の3次元位置を測定し、前記セルフセンタリングインサートの前記中心線の位置を抽出するように構成されたコンピュータシステムと
を含む、孔位置ターゲット。
【請求項9】
前記
孔位置測定システムが、複数の前記孔位置ターゲットを更に含む
、請求項
8に記載の孔位置ターゲット。
【請求項10】
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの特徴の前記3次元位置を測定することが、前記2次元パターンのドットのパターンのドット重心の3次元位置を測定すること、又は前記2次元パターンのバーコードパターンの交点の3次元位置を測定することを含む、請求項8又は9に記載の孔位置ターゲット。
【請求項11】
孔の位置を測定するための方法であって、
中心線を有するインサートを孔内でセンタリングすることであって、光学ターゲットが、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置で前記インサートに取り付けられ、前記光学ターゲットの表面
上に2次元パターンを含む、インサートをセンタリングすることと、
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの画像をキャプチャすることと、
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの特徴の3次元位置を測定することと、
前記光学ターゲット、及び前記インサートの前記中心線に対する前記光学ターゲットの前記固定位置の上の前記2次元パターンの特徴の前記3次元位置に基づき、前記インサートの前記中心線の位置を抽出することと
を含
み、
前記光学ターゲットが、前記セルフセンタリングインサートの前記中心線と同心であって、上部に前記2次元パターンを含む円筒形の外面を有する、方法。
【請求項12】
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの特徴の前記3次元位置を測定することが、前記2次元パターンのドットのパターンのドット重心の3次元位置を測定することを含む、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの特徴の前記3次元位置を測定することが、前記2次元パターンのバーコードパターンの交点の3次元位置を測定することを含む、請求項11又は12に記載の方法。
【請求項14】
前記光学ターゲットの上の前記2次元パターンの特徴の前記3次元位置を、既知の光学ターゲットの特徴の3次元位置のデータベースと比較することを更に含む、請求項11から13のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
画像をキャプチャすることが、光学ターゲットの上の前記2次元パターンの再帰反射素材に光を放射することと、前記再帰反射素材によって反射された光をキャプチャすることとを含む、請求項11から14のいずれか一項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、孔位置ターゲット、孔位置測定システム、並びに孔の位置を測定するための方法の分野に関する。
【背景技術】
【0002】
タッチベースの座標測定機は、通常、スタイラスを使用して加工物の孔の内面を掃引し、孔の中心線を決定する。これにはかなりの時間がかかる。また、この技術により測定される孔のある物品は、通常、タッチベースの座標測定機のスタイラスにより挿入と掃引ができるように特別に設計されているため、設計の自由度が制限される。
【0003】
したがって、当業者は、孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法の分野で研究開発を続けている。
【発明の概要】
【0004】
第1の実施形態によれば、孔位置ターゲットは、中心線を有するセルフセンタリングインサートと、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でセルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットとを含む。光学ターゲットは、上部に2次元パターンを含む。
【0005】
第1の実施形態によれば、孔位置測定システムは、孔位置ターゲット、カメラシステム及びコンピュータシステムを含む。孔位置ターゲットは、中心線を有するセルフセンタリングインサートと、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でセルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットとを含み、光学ターゲットは、上部に2次元パターンを含む。カメラシステムは、光学ターゲットの上の2次元パターンの画像をキャプチャするように構成される。コンピュータシステムは、光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定し、円筒の表面形状の円筒軸の位置を抽出するように構成される。
【0006】
第1の実施形態によれば、孔の位置を測定するための方法は、中心線を有するインサートを孔内にセンタリングすることを含む。光学ターゲットは、インサートの中心線に対して固定位置に2次元パターンを含む。方法は、光学ターゲットの上の2次元パターンの画像をキャプチャすることと、光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定することと、光学ターゲット、及びインサートの中心線に対する光学ターゲットの固定位置の上の2次元パターンの特徴の3次元位置に基づき、インサートの中心線の位置を抽出することとを更に含む。
【0007】
第2の実施形態によれば、孔位置ターゲットは、中心線を有するセルフセンタリングインサートと、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でセルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットとを含む。光学ターゲットは、発光ディスプレイを含む。発光ディスプレイは、上部に2次元パターンを含む。
【0008】
第2の実施形態によれば、孔位置測定システムは、孔位置ターゲット、カメラシステム及びコンピュータシステムを含む。孔位置ターゲットが、中心線を有するセルフセンタリングインサートと、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でセルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットとを含む。光学ターゲットは、上部に2次元パターンを有する発光ディスプレイを含む。カメラシステムは、光学ターゲットの上の2次元パターンの画像をキャプチャするように構成される。コンピュータシステムは、光学ターゲットの2次元パターンの修正を制御し、かつ光学ターゲットの2次元パターンの画像から、セルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定するように構成される。
【0009】
第2の実施形態によれば、孔の位置を測定するための方法は、中心線を有するインサートを孔内にセンタリングすることを含む。光学ターゲットは、インサートの中心線に対して固定位置でインサートに取り付けられる。光学ターゲットは、上部に2次元パターンを有する発光ディスプレイを含む。方法は、光学ターゲットの2次元パターンの画像をキャプチャすることと、光学ターゲットの2次元パターンを修正することと、光学ターゲットの修正された2次元パターンの画像をキャプチャすることとを更に含む。
【0010】
第3の実施形態によれば、孔位置ターゲットは、中心線を有するセルフセンタリングインサートと、セルフセンタリングインサートに取り付けられたレーザービームエミッタとを含む。放射されたレーザービームの軸は、セルフセンタリングインサートの中心線と同心である。
【0011】
第3の実施形態によれば、孔位置測定システムは、孔位置ターゲット、学システム及びコンピュータシステムを含む。孔位置ターゲットは、中心線を有するセルフセンタリングインサートと、セルフセンタリングインサートに取り付けられたレーザービームエミッタとを含み、放射されたレーザービームの軸は、セルフセンタリングインサートの中心線と同心である。光学システムは、レーザービームエミッタからいくつかのの距離で放射されたレーザービームの位置を感知する。コンピュータシステムは、放射されたレーザービームの感知された位置からセルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定するように構成される。
【0012】
第3の実施形態によれば、孔の位置を測定するための方法は、中心線を有するインサートを孔内にセンタリングすることと、インサートに取り付けられたレーザービームエミッタからレーザービームを放射することとを含む。放射されたレーザービームの軸は、インサートの中心線と同心である。方法は、レーザービームエミッタからいくつかの距離で放射されたレーザービームの位置を感知することと、放射されたレーザービームの感知された位置からセルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定することとを更に含む。
【0013】
開示された孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法の他の実施形態は、以下の発明を実施するための形態、添付図面、及び添付される特許請求の範囲から明らかになるだろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】組み立てられた状態での本書の第1の実施形態による、第1の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
【
図2】組み立てられた状態での本書の第1の実施形態による、第2の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
【
図3】
図1の孔位置ターゲットの分解斜視図である。
【
図4A】径方向に収縮した状態の加工物の孔に挿入された、
図1の孔位置ターゲットの断面図である。
【
図4B】径方向に拡張した状態の
図4Aの孔位置ターゲットの断面図である。
【
図5】本書の第1の実施形態による、例示的な孔位置測定システムの描写である。
【
図6】本書の第1の実施形態による、加工物の孔の位置を測定するための例示的な方法のフロー図である。
【
図7】組み立てられた状態での本書の第2の実施形態による、第1の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
【
図8】組み立てられた状態での本書の第2の実施形態による、第2の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
【
図9】
図7の孔位置ターゲットの分解斜視図である。
【
図10A】径方向に収縮した状態の加工物の孔に挿入された、
図7の孔位置ターゲットの断面図である。
【
図11】本書の第2の実施形態による、例示的な孔位置測定システムの描写である。
【
図12】本書の第2の実施形態による、加工物の孔の位置を測定するための例示的な方法のフロー図である。
【
図13】組み立てられた状態での本書の第3の実施形態による、例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
【
図15A】径方向に収縮した状態の加工物の孔に挿入された、
図13の孔位置ターゲットの断面図である。
【
図16A】本書の第3の実施形態による、例示的な孔位置測定システムの描写である。
【
図16B】本書の第3の実施形態による、例示的な孔位置測定システムの描写である。
【
図17】本書の第3の実施形態による、加工物の孔の位置を測定するための例示的な方法のフロー図である。
【
図18】航空機の製造及び保守方法のフロー図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
図1、2、3、4A、4B、5、及び
図6は、本書の第1の実施形態による、孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法に関する。
図7、8、9、10A、10B、11、及び
図12は、本書の第2の実施形態による、孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法に関する。
図13、14、15A、15B、16、及び
図17は、本書の第3の実施形態による、孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法に関する。
【0016】
第1、第2、及び第3の実施形態による孔位置ターゲットは各々、加工物の孔に挿入するためのセルフセンタリングインサートを含む。第1、第2、及び第3の実施形態のセルフセンタリングインサートは、図示された例のように、径方向に拡張可能なブッシングなどの、孔に挿入可能であり、かつセルフセンタリングインサートの中心線を孔のそれぞれの中心線にセルフセンタリング可能な任意の構造を含みうると理解されよう。
【0017】
例示された例では、拡張可能なベローの形態の径方向に拡張可能なブッシングを含む、第1及び第2の実施形態の孔位置ターゲット、並びに拡張可能なコレットの形態の径方向に拡張可能なブッシングを含む、第3の実施形態の孔位置ターゲットが、以下に説明される。しかしながら、第1及び第2の実施形態の孔位置ターゲットは、拡張可能なコレットの形態の径方向に拡張可能なブッシングを含むことができ、第3の実施形態の孔位置ターゲットは、拡張可能なベローの形態の径方向に拡張可能なブッシングを含むことができると理解されよう。
【0018】
第1及び第2の実施形態による孔位置ターゲットは各々、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でセルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットを含む。第1及び第2の実施形態の光学ターゲットは、任意の形状を有することができると理解されよう。例示された例では、円筒形の外面を含む第1の実施形態の光学ターゲット、及び平らな長方形の表面を含む第2の実施形態の光学ターゲットが以下に説明される。しかしながら、第1の実施形態の光学ターゲットは、平らな長方形の表面を含むことができ、第2の実施形態の光学ターゲットは、円筒形の外面を含むことができると理解されよう。
【0019】
図1は、組み立てられた状態での本書の第1の実施形態による、第1の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
図2は、組み立てられた状態での本記載の第1の実施形態による、第2の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
図3は、
図1の孔位置ターゲットの分解斜視図である。
図4Aは、径方向に収縮した状態の加工物の孔に挿入された、
図1の孔位置ターゲットの断面図である。
図4Bは、径方向に拡張した状態の
図4Aの孔位置ターゲットの断面図である。
【0020】
図1、2、3、4A、及び
図4Bを参照すると、孔位置ターゲット10は、加工物Wの孔Hに挿入されるように構成された第1の端101と、第1の端101の反対側にある第2の端102とを含む。
【0021】
孔位置ターゲット10は、セルフセンタリングインサート110と、セルフセンタリングインサート110に取り付けられた光学ターゲット120とを含む。セルフセンタリングインサート110が、第1の端101に隣接して位置付けられ、光学ターゲット120が、第2の端102に隣接して位置付けられるため、セルフセンタリングインサート110を加工物の孔Hに挿入することができ、光学ターゲット120を加工物Wの孔Hの外側に残すことができる。
【0022】
セルフセンタリングインサート110は中心線111を有し、光学ターゲット120は、セルフセンタリングインサート110の中心線111に対して固定位置にある。
【0023】
セルフセンタリングインサート110は、加工物Wの孔Hに挿入され、セルフセンタリングインサート110の中心線111が加工物Wの孔Hのそれぞれの中心線Cと同軸に位置付けられるよう、セルフセンタリングされるように構成される。セルフセンタリングインサート110の中心線111を加工物Wの孔Hの中心線Cと同軸になるようにセンタリングすることによって、加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、セルフセンタリングインサート110の中心線111の位置を測定する方法を用いることができる。更に、光学ターゲット120をセルフセンタリングインサート110の中心線111に対して固定位置に置くことで、セルフセンタリングインサート110の中心線111の位置を決定し、よって加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、光学ターゲット120の位置を測定する方法を用いることができる。
【0024】
1つの態様では、光学ターゲット120は、セルフセンタリングインサート110の中心線111と同心である円筒形の外面121を有する。円筒形の外面121をセルフセンタリングインサート110の中心線111と同心にすることによって、セルフセンタリングインサート110の中心線111の位置を決定し、よって加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、円筒形の外面121の位置を測定する方法を用いることができる。
【0025】
図示した例では、第1の実施形態のセルフセンタリングインサート110は、径方向に拡張可能なブッシング112を含む。径方向に拡張可能なブッシング112が、加工物Wの孔Hに挿入でき、かつセルフセンタリングインサート110の中心線111を、加工物Wの孔Hの中心線Cにセルフセンタリングするために径方向に拡張できる任意のチューブ型構造を含むことができると理解されよう。
図示した例では、径方向に拡張可能なブッシング112は、拡張可能なベロー114の形態をとる。代替的な例では、径方向に拡張可能なブッシング112は、以下で第3の実施形態を参照して説明される拡張可能なコレットの形態をとりうる。
【0026】
本書の拡張可能なベロー114は、チューブ型の構造であり、拡張可能なベロー114の軸方向の収縮が、拡張可能なベロー114の径方向の拡張に変換され、拡張可能なベロー114の軸方向の拡張が、拡張可能なベロー114の径方向の収縮に変換される。図示した例では、拡張可能なベロー114は、第1のベロー端115及び第2のベロー端116、並びに第1のベロー端115と第2のベロー端116との間の1つ以上の径方向のリッジ118を含む。拡張可能なベロー114を軸方向に収縮させることにより、1つ以上の径方向のリッジ118は、径方向に拡張する。拡張可能なベロー114を軸方向に拡張することによって、1つ以上の径方向のリッジ118は、径方向に収縮する。
【0027】
図4Aに示すように、拡張可能なベロー114を軸方向に拡張することによって、1つ以上の径方向のリッジ118が径方向に収縮し、これにより、拡張可能なベロー114を、加工物Wの孔Hに挿入することができる。
図4Bに示すように、拡張可能なベローを加工物Wの孔Hに挿入した後に、1つ以上の径方向のリッジ118を径方向に拡張するために、拡張可能なベロー114を軸方向に収縮させることができる。次いで、1つ以上の径方向のリッジ118は、加工物Wの孔Hを画定する壁に接触し、これにより、拡張可能なベロー114の中心線111を加工物Wの孔Hのそれぞれの中心線Cにセルフセンタリングさせる。
【0028】
図示した例では、円筒形の外面121がセルフセンタリングインサート110の中心線111と同心になるように、光学ターゲット120が、セルフセンタリングインサート110に取り付けられる。例として、光学ターゲットの位置がセルフセンタリングインサート110の中心線111の位置に対して固定されるように、光学ターゲット120を、セルフセンタリングインサート110に固定して位置付けることができる。光学ターゲット120の、セルフセンタリングインサート110の中心線111の位置に対する位置付けは、永続的でありうる。例では、セルフセンタリングインサート110及び光学ターゲット120は、一体化した本体として組み合わせることができる。精度を向上させるために、セルフセンタリングインサート110及び光学ターゲット120は、鋳造、成形、付加製造などの1つ以上のプロセスによって、一体化した本体として単一的にまとめて形成することができる。1つの態様では、光学ターゲット120の円筒形の外面121は、加工物Wの孔Hの中心線Cの決定の精度を向上させるために、5μm以下の表面円筒度(又は5μm以内の中心線に対する円筒形の表面の同心度の許容誤差)を有する。
【0029】
図示した例では、セルフセンタリングインサート110は、圧縮デバイス130を収容するためのボア117を含む。圧縮デバイス130は、拡張可能なベロー114を軸方向に収縮させるように構成される。図示した例では、圧縮デバイス130は、ボルト140及びナット160を含む。
【0030】
図示されたように、ボルト140は、第1のボルト端141及び第2のボルト端142を有する。ボルト140は、ボルト140の第1のボルト端141に位置付けられたボルトシャフト143と、ボルト140の第2のボルト端142に位置付けられたボルトヘッド144とを含む。ボルトシャフト143は、第1のシャフト端145と第2のシャフト端146とを含む。雄ねじ147は、ボルトシャフト143の第1のシャフト端145に位置付けられ、ボルトヘッド144は、第2のシャフト端146に接合される。ボルトヘッド144は、第1のボルトヘッド端148及び第2のボルトヘッド端149を含む。第1のボルトヘッド端148に第1のボルト面151が位置付けられ、第2のボルトヘッド端149に第2のボルト面152が位置付けられ、第1のボルトヘッド端148と第2のボルトヘッド端149との間に、外側ボルトヘッド表面150が位置付けられる。外側ボルトヘッド表面150は、セルフセンタリングインサート110のボア117内でのボルト140の保持力を高めるために、ボルトヘッド144の外周の周囲を延びる複数の面の形態をとることができる。
【0031】
図示されたように、ナット160は、第1のナット端161と第2のナット端162とを有する。第1のナット端161に第1のナット面163が位置付けられ、第2のナット端162に第2のナット面164が位置付けられ、第1のナット端161と第2のナット端162との間に外側ナット表面165が位置付けられる。1つの態様では、外側ナット表面165は、ナット160の把持を高めるように構成されたナット把持表面166を含むことができる。図示されたように、ナット把持表面166は、ナット160を手動でトルクするための刻み付き表面の形態をとりうる。代替的には、ナット把持表面166は、ナット160を工具でトルクするための複数の面など、他の形態をとりうる。ナットボア167は、ナット160を通過して、第1のナット面163から第2のナット面164まで進み、ナットボア167は、ボルト140の雄ねじ147と係合するように構成された雌ねじ168を含む。
【0032】
図示されたように、ボルトシャフト143は、セルフセンタリングインサート110の第1の端101のベロー端表面119のボア117を通過し、光学ターゲット120の第2の端102のターゲット端表面124まで進み、ボルト140の雄ねじ147がナット160の雌ねじ168と係合する。第1のナット面163は、光学ターゲット120と係合し、第1のボルト面151は、拡張可能なベロー114の第1のベロー端115と係合する。したがって、ボルト140及びナット160は、ナット160を回転させることによって拡張可能なベロー114を収縮させるように構成された圧縮デバイス130を形成する。しかしながら、圧縮デバイス130は、上記の例に限定されない。別の例では、ボルト140とナット160の位置を逆にすることができる。更に別の例では、圧縮デバイス130は、ラチェット又は拡張可能なベロー114を軸方向に収縮させるように構成された任意の他の圧縮デバイスの形態をとりうる。
【0033】
図示した例では、孔位置ターゲット10は、カラー103を含む。カラー103は、第1のカラー端表面104、第2のカラー端表面105、及び第1のカラー端表面104と第2のカラー端表面105との間に位置付けられた外側カラー表面106を含む。1つの態様では、外側カラー表面106は、カラー103の把持を高めるように構成されたカラー把持表面107を含むことができる。図示されたように、カラー把持表面107は、カラー103を手動でトルクするための刻み付き表面の形態をとりうる。代替的には、カラー把持表面107は、カラー103を工具でトルクするための複数の面など、他の形態をとりうる。
【0034】
光学ターゲット120は、その上部に2次元パターン122を含む。1つの例では、上部の2次元パターン122は、光学ターゲット120の円筒形の外面121の周囲に配置された複数のドットのパターン123でありうる。1つの態様では、孔位置ターゲット10の光学ターゲット120上のドットのパターン123が、別の孔位置ターゲット10の光学ターゲット120上のドットのパターン123と異なるように、ドットのパターン123が固有でありうる。別の例では、上部の2次元パターン122は、光学ターゲット120の円筒形の外面121の周囲に配置された複数の2次元バーコード125でありうる。1つの態様では、孔位置ターゲット10の光学ターゲット120上の2次元バーコード125が、別の孔位置ターゲット10の光学ターゲット120上の2次元バーコード125と異なるように、2次元バーコード125が固有でありうる。
【0035】
1つの態様では、2次元パターン122は、セルフセンタリングインサート110の中心線111に対して所定の6自由度の較正といった、セルフセンタリングインサート110の中心線111に対する所定の較正を有することができる。2次元パターン122の所定の較正は、2次元パターン122の決定位置に基づき、セルフセンタリングインサート110の中心線111を正確に決定するために使用することができる。
【0036】
例では、2次元パターン122は、再帰反射素材を含む。2次元パターン122に再帰反射素材が含まれることにより、光学ターゲット120の円筒形の外面121の2次元パターン122の再帰反射素材に発光し、再帰反射素材により反射される光をキャプチャすることによって、2次元パターン122の画像がキャプチャされうる。
【0037】
図5は、本書の第1の実施形態による、例示的な孔位置測定システムの描写である。
【0038】
本書の第1の実施形態の孔位置測定システム100は、上記の孔位置ターゲット10、カメラシステム40、及びカメラシステム40と通信するコンピュータシステム50を含む。図示されたように、カメラシステム40は、光学ターゲット120上の2次元パターン122の画像をキャプチャするように構成される。図示されたように、コンピュータシステム50は、光学ターゲット120上の2次元パターン122の特徴の3次元位置を測定し、円筒の表面形状の円筒軸の位置を抽出するように構成される。1つの態様では、コンピュータシステムは、光学ターゲットの円筒形の外面の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定し、2次元パターンの特徴の3次元位置を円筒の表面形状に一致させ、円筒の表面形状の円筒軸の位置を抽出するように構成される。コンピュータシステム50は、カメラシステム40から分離されても、カメラシステム40と統合されてもよい。
【0039】
1つの態様では、孔位置測定システム100は、複数の孔位置ターゲット10を含む。別の態様では、カメラシステム40は、複数の孔位置ターゲット10の2次元パターン122の画像をキャプチャするように構成される。更に別の態様では、カメラシステム40によってキャプチャされた単一の画像は、複数の孔位置ターゲット10の2次元パターン122を含む。したがって、単一の画像の複数の孔位置ターゲット10の2次元パターン122をキャプチャすることで、孔位置測定システム100により、単一のカメラと複数の孔の単一のショット測定が同時にできるようになる。
【0040】
1つの態様では、カメラシステム40は3次元光学スキャナである。別の態様では、カメラシステムは携帯用3次元光学スキャナである。代替的には、3次元光学スキャナは、関節式アーム上で支持されるタイプのスキャナであってもよい。
【0041】
図示されるように、携帯用3次元光学スキャナは、複数のポーズからリアルタイムデータを取得し、グリッドスタイルの座標系を利用して、3D画像を生成及び転送するように構成された一対の離間したレンズを有する、ステレオカメラスタイルのスキャナとして示される。
【0042】
更に別の態様では、携帯用3次元光学スキャナは慣性航法システムを含む。携帯用3次元光学スキャナ内に含まれる慣性航法システムは、物理的なスキャナデバイスのオペレータの位置に関係なく、スキャンされた各ポーズの基になる共通座標のX-Y-Z設定に対して、固定の基準点を提供する。したがって、各ポーズの角度及びタイミング、即ちターゲットに対する空間及び時間のスキャナの配向は、慣性航法システムを介して、共通の基準フレーム有するよう保証される。
【0043】
図6は、本書の第1の実施形態による、加工物Wの孔Hの位置を測定するための例示的な方法のフロー図である。
【0044】
方法1000は、ブロック1002において、インサートを、中心線Cを有する孔H内にセンタリングする。インサートは、セルフセンタリングされるインサート110であっても、又は任意の外部手段によってセンタリングされる異なるインサートであってもよい。
【0045】
光学ターゲット120は、セルフセンタリングインサート110の中心線111に対して固定位置でインサートに取り付けられる。光学ターゲット120は、その上部に2次元パターン122を含む。
【0046】
方法1000は、ブロック1004において、光学ターゲット120上の2次元パターン122の画像をキャプチャすることを更に含む。上記のように、画像はカメラシステム40によってキャプチャすることができる。1つの態様では、ブロック1004において、画像をキャプチャするステップは、光学ターゲット120上の2次元パターン122の再帰反射素材に発光し、再帰反射素材により反映される光をキャプチャすることを含む。
【0047】
方法1000は、ブロック1006において、光学ターゲット120上の2次元パターン122の特徴の3次元位置を測定することと、ブロック1008において、2次元パターン122の特徴の3次元位置と、セルフセンタリングインサート110の中心線111に対する光学ターゲット120の固定位置とに基づき、セルフセンタリングインサート110の中心線111の位置を抽出することとを更に含む。これらのステップの各々は、カメラシステム40、コンピュータシステム50、又はコンピュータシステム50に統合されたカメラシステム40によって実行することができる。
【0048】
光学ターゲット120上の2次元パターン122の特徴の3次元位置を測定するステップ1006は、カメラシステム40によってキャプチャされた画像の分析によって実行され、取得された画像内の光学ターゲットの2次元パターンを識別し、画像内のターゲット特徴の測定に基づき、光学ターゲットに対する距離が決定される。
【0049】
例では、光学ターゲット120上の2次元パターン122の特徴の3次元位置を測定することは、
図1に示す2次元パターン122のドットのパターン123のドット重心の3次元位置を測定することを含む。ドットのパターン123の各ドットは、カメラシステム40によってキャプチャされた画像から決定することができる重心を有しており、各重心は、特定の3次元位置を有している。したがって、カメラシステム40によってキャプチャされた各ドット重心の3次元位置を測定することによって、光学ターゲット120上の複数の正確な3次元位置を見つけることができる。
【0050】
別の例では、光学ターゲット120上の2次元パターン122の特徴の3次元位置を測定することは、
図2に示す2次元パターン122の2次元バーコード125の交点の3次元位置を測定することを含む。2次元バーコード125の各ラインは、3次元空間に1次元ベクトルを画定し、このベクトルは、カメラシステム40によってキャプチャされた画像から決定することができる。また、2次元バーコード125の2つのラインの交点は、特定の3次元位置を画定する。したがって、カメラシステム40によってキャプチャされた各バーコードパターンの交点の3次元位置を測定することによって、光学ターゲット120上の複数の正確な3次元位置を見つけることができる。
【0051】
2次元パターン122の特徴の3次元位置を円筒の表面形状に一致させるステップ1008は、例えば、円筒の表面形状の特徴の3次元位置の最善の一致を計算することによって、実行することができる。したがって、光学ターゲット120の円筒の表面形状を正確に見つけるために、光学ターゲット120上の複数の正確な3次元位置を使用することができる。
【0052】
円筒の表面形状の円筒軸の位置を抽出するステップ1010は、例えば、円筒の表面形状の円筒軸の最善の一致を計算することによって、実行することができる。円筒軸の位置を抽出することによって、円筒軸の抽出された円筒位置を、加工物Wの孔Hの中心線と正確に等しくすることができる。
【0053】
1つの態様では、方法1000は、光学ターゲット120上の2次元パターン122の特徴の3次元位置を、既知の光学ターゲットの特徴の3次元位置のデータベースと比較することを更に含む。
図5に示すように、光学ターゲット120上の2次元パターン122は固有でありうる。したがって、方法1000は、固有の光学ターゲット120を加工物Wの孔Hの固有の位置に関連付けることができる。
【0054】
図7は、組み立てられた状態での本書の第2の実施形態による、第1の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
図8は、組み立てられた状態での本記載の第2の実施形態による、第2の例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
図9は、
図7の孔位置ターゲットの分解斜視図である。
図10Aは、径方向に収縮した状態の加工物の孔に挿入された、
図7の孔位置ターゲットの断面図である。
図10Bは、径方向に拡張した状態の
図10Aの孔位置ターゲットの断面図である。
【0055】
図7、8、9、10A、10B、11及び
図12を参照すると、孔位置ターゲット20は、加工物Wの孔Hに挿入されるように構成された第1の端201と、第1の端201の反対側にある第2の端202とを含む。
【0056】
孔位置ターゲット20は、セルフセンタリングインサート210と、セルフセンタリングインサート210に取り付けられた光学ターゲット220とを含む。セルフセンタリングインサート210が、第1の端201に隣接して位置付けられ、光学ターゲット220が、第2の端202に隣接して位置付けられるため、セルフセンタリングインサート210を加工物の孔Hに挿入することができ、光学ターゲット220を加工物Wの孔Hの外側に残すことができる。
【0057】
セルフセンタリングインサート210は中心線211を有し、光学ターゲット220は、セルフセンタリングインサート210の中心線211に対して固定位置でセルフセンタリングインサート210に取り付けられ、光学ターゲット220は発光ディスプレイ270を含む。発光ディスプレイ270を含む光学ターゲット220をセルフセンタリングインサート210の中心線211に対して固定位置でセルフセンタリングインサート210に取り付けることによって、セルフセンタリングインサート210の中心線211の位置を決定するために、発光ディスプレイ270の位置を測定する方法を用いることができ、セルフセンタリングインサート210の中心線211の位置は、加工物Wの孔Hの中心線Cの位置に関連付けることができる。
【0058】
セルフセンタリングインサート210は、加工物Wの孔Hに挿入され、セルフセンタリングインサート210の中心線211が加工物Wの孔Hのそれぞれの中心線Cと同軸に位置付けられるよう、セルフセンタリングされるように構成される。セルフセンタリングインサート210の中心線211を加工物Wの孔Hの中心線Cと同軸になるようにセンタリングすることによって、加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、セルフセンタリングインサート210の中心線211の位置を測定する方法を用いることができる。更に、光学ターゲット220をセルフセンタリングインサート210の中心線211に対して固定位置(又は既知のオフセット)に置くことで、セルフセンタリングインサート210の中心線211の位置を決定し、よって加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、光学ターゲット220の位置を測定する方法を用いることができる。1つの態様では、セルフセンタリングインサート210は、圧縮デバイス230を収容するためのボア217を含むことができる。
【0059】
図示した例では、第1の実施形態のセルフセンタリングインサート210は、径方向に拡張可能なブッシング212を含む。径方向に拡張可能なブッシング212が、加工物Wの孔Hに挿入でき、かつセルフセンタリングインサート210の中心線211を、加工物Wの孔Hの中心線Cにセルフセンタリングするために径方向に拡張できる任意のチューブ型構造を含むことができると理解されよう。図示した例では、径方向に拡張可能なブッシング212は、拡張可能なベロー214の形態をとる。代替例示例では、径方向に拡張可能なブッシング212は、以下で第3の実施形態を参照して図示される拡張可能なコレットの形態をとりうる。
【0060】
本書の拡張可能なベロー214は、チューブ型の構造であり、拡張可能なベロー214の軸方向の収縮が、拡張可能なベロー214の径方向の拡張に変換され、拡張可能なベロー214の軸方向の拡張が、拡張可能なベロー214の径方向の収縮に変換される。図示した例では、拡張可能なベロー214は、第1のベロー端215及び第2のベロー端216、並びに第1のベロー端215と第2のベロー端216との間の1つ以上の径方向のリッジ218を含む。拡張可能なベロー214を軸方向に収縮させることにより、1つ以上の径方向のリッジ218は、径方向に拡張する。拡張可能なベロー214を軸方向に拡張することによって、1つ以上の径方向のリッジ218は、径方向に収縮する。
【0061】
図10Aに示すように、拡張可能なベロー214を軸方向に拡張することによって、1つ以上の径方向のリッジ218が径方向に収縮し、これにより、拡張可能なベロー214を、加工物Wの孔Hに挿入することができる。
図10Bに示すように、拡張可能なベロー214を加工物Wの孔Hに挿入した後に、1つ以上の径方向のリッジ218を径方向に拡張するために、拡張可能なベロー214を軸方向に収縮させることができる。次いで、1つ以上の径方向のリッジ218は、加工物Wの孔Hを画定する壁に接触し、これにより、拡張可能なベロー214の中心線211を加工物Wの孔Hのそれぞれの中心線Cにセルフセンタリングさせる。
【0062】
図示した例では、光学ターゲット220がセルフセンタリングインサート210の中心線211に対して固定位置にあるように、光学ターゲット220がセルフセンタリングインサート110に取り付けられる。光学ターゲット220の、セルフセンタリングインサート210の中心線211の位置に対する固定した位置付けは、永続的でありうる。図示されたように、セルフセンタリングインサート210及び光学ターゲット220を支持するためのターゲット支持体203は、一体化した本体として組み合わせることができる。精度を向上させるために、セルフセンタリングインサート210及びターゲット支持体203は、鋳造、成形、付加製造などの1つ以上のプロセスによって、一体化した本体として単一的にまとめて形成することができる。
【0063】
図示した例では、セルフセンタリングインサート210は、拡張可能なベロー214を軸方向に収縮させるように構成された圧縮デバイス230を含む。図示した例では、圧縮デバイス230は、ボルト240及びナット260を含む。
【0064】
図示されたように、ボルト240は、第1のボルト端241及び第2のボルト端242を有する。ボルト240は、ボルト240の第1のボルト端241に位置付けられたボルトシャフト243と、ボルト240の第2のボルト端242に位置付けられたボルトヘッド244とを含む。ボルトシャフト243は、第1のシャフト端245と第2のシャフト端246とを含む。雄ねじ247は、ボルトシャフト243の第1のシャフト端245に位置付けられ、ボルトヘッド244は、第2のシャフト端246に接合される。ボルトヘッド244は、第1のボルトヘッド端248及び第2のボルトヘッド端249を含む。第1のボルトヘッド端248に第1のボルト面251が位置付けられ、第2のボルトヘッド端249に第2のボルト面252が位置付けられ、第1のボルトヘッド端248と第2のボルトヘッド端249との間に、外側ボルトヘッド表面250が位置付けられる。外側ボルトヘッド表面250は、ボルト240のトルクを改善するためにボルトヘッド244の外周の周りを延びる複数の面の形態をとることができる。
【0065】
図示されたように、ナット260は、第1のナット端261と第2のナット端262とを有する。第1のナット端261に第1のナット面263が位置付けられ、第2のナット端262に第2のナット面264が位置付けられ、第1のナット端261と第2のナット端262との間に外側ナット表面265が位置付けられる。図示されたように、ナット把持表面266は、セルフセンタリングインサート210で保持を改善するための複数の面の形態をとることができる。ナットボア267は、ナット260を通過して、第1のナット面263から第2のナット面264まで進み、ナットボア267は、ボルト240の雄ねじ247と係合するように構成された雌ねじ268を含む。
【0066】
図示されたように、ボルトシャフト243は、第1のベロー端215でボア217を通過し、拡張可能なベロー214を通って第2のベロー端216まで進み、ボルト240の雄ねじ247がナット260の雌ねじ268に係合する。ボルト240は第1のベロー端215と係合し、ナット260は第2のベロー端216と係合する。したがって、ボルト240及びナット260は、ボルト240を回転させることによって拡張可能なベロー214を収縮させるように構成された圧縮デバイス230を形成する。しかしながら、圧縮デバイス230は、上記の例に限定されない。別の例では、ボルト240とナット260の位置が逆にされてもよい。更に別の例では、圧縮デバイス230は、ラチェット又は拡張可能なベロー214を軸方向に収縮させるように構成された任意の他の圧縮デバイスの形態をとりうる。
【0067】
上記のように、光学ターゲット220は発光ディスプレイ270を含む。発光ディスプレイ270は、例えば、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、又は量子ドット発光ダイオード(QLED)を含む。発光ディスプレイ270は、その上部に2次元パターン222を含む。発光ディスプレイ270の位置を測定することによって、加工物Wの孔Hの中心線Cの位置と関連付けられうる、セルフセンタリングインサート210の中心線211の位置を決定することができる。1つの態様では、2次元パターン22は、セルフセンタリングインサート210の中心線211に対して所定の6自由度の較正といった、セルフセンタリングインサート210の中心線211に対する所定の較正を有することができる。2次元パターン222の所定の較正は、2次元パターン222の決定位置に基づき、セルフセンタリングインサート210の中心線211を正確に決定するために使用することができる。更に、発光ディスプレイ270から発光することにより、2次元パターン222を、カメラシステムによって、より容易にキャプチャすることができる。
【0068】
図7に示された例では、2次元パターン222は、複数のドットのパターン223でありうる。1つの態様では、ドットのパターン223は、孔位置ターゲット20の光学ターゲット220上のドットのパターン223が、別の孔位置ターゲット20の光学ターゲット220上のドットのパターン223と異なるように、固有に表示することができる。2次元パターン222のドットのパターン223のドット重心の3次元位置を決定することができる。ドットのパターン223の各ドットは、カメラシステムによってキャプチャされた画像から決定することができる重心を有しており、各重心は、特定の3次元位置を有している。したがって、各ドットの重心の3次元位置を測定することによって、光学ターゲット220の発光ディスプレイ270の複数の正確な3次元位置を見つけることができる。
【0069】
図8に示す別の例では、2次元パターン222は、光学ターゲット220により表示される複数の2次元バーコード225でありうる。1つの態様では、孔位置ターゲット20の光学ターゲット220上の2次元バーコード225が、別の孔位置ターゲット20の光学ターゲット220に表示される2次元バーコード225と異なるように、2次元バーコード225が固有に表示されうる。バーコードパターンの各ラインは、3次元空間に1次元ベクトルを画定し、このベクトルは、カメラシステムによってキャプチャされた画像から決定することができる。また、バーコードパターンの2つのラインの交点は、特定の3次元位置を画定する。したがって、バーコードパターンの交点の3次元位置を測定することによって、光学ターゲット220の発光ディスプレイ270の複数の正確な3次元位置を見つけることができる。
【0070】
更に、光学ターゲット220に発光ディスプレイ270を含むことにより、光学ターゲット220は、光学ターゲット220の2次元パターン222を良好に修正することができる。2次元パターン222を修正することは、例えば、2次元パターンのサイズを変更すること、発光ディスプレイの光の強さ270を修正すること、発光ディスプレイ270の光の波長を修正すること、及び発光ディスプレイ270の光の時間変調を含むことができる。
【0071】
図11は、、本書の第2の実施形態による、例示的な孔位置測定システムの描写である。
【0072】
孔位置測定システム200は、孔位置ターゲット20、光学ターゲット220の2次元パターン222の画像をキャプチャするように構成されたカメラシステム40、及びカメラシステム40と通信し、かつ孔位置ターゲット20と通信するコンピュータシステム50を含む。コンピュータシステム50は、光学ターゲット220の2次元パターン222の修正を制御し、かつ光学ターゲット220の2次元パターン222の画像から、セルフセンタリングインサートの中心線211の3次元座標を決定するように構成される。コンピュータシステム50は、カメラシステム40から分離されても、カメラシステム40と統合されてもよい。
【0073】
1つの態様では、孔位置測定システム200は、複数の孔位置ターゲット20を含む。別の態様では、カメラシステム40は、複数の孔位置ターゲット20の2次元パターン222の画像をキャプチャするように構成される。更に別の態様では、カメラシステム40によってキャプチャされた単一の画像は、複数の孔位置ターゲット20の2次元パターン222を含む。したがって、単一の画像の複数の孔位置ターゲット20の2次元パターン222をキャプチャすることで、孔位置測定システム200により、単一のカメラと複数の孔の単一のショット測定が同時にできるようになる。
【0074】
1つの態様では、カメラシステム40は3次元光学スキャナである。別の態様では、カメラシステムは携帯用3次元光学スキャナである。代替的には、3次元光学スキャナは、関節式アーム上で支持されるタイプのスキャナであってもよい。
【0075】
図示されるように、携帯用3次元光学スキャナは、複数のポーズからリアルタイムデータを取得し、グリッドスタイルの座標系を利用して、3D画像を生成及び転送するように構成された一対の離間したレンズを有する、ステレオカメラスタイルのスキャナとして示される。
【0076】
携帯用3次元光学スキャナは、慣性航法システムを含むことができる。携帯用3次元光学スキャナ内に含まれる慣性航法システムは、物理的なスキャナデバイスのオペレータの位置に関係なく、スキャンされた各ポーズの基になる共通座標のX-Y-Z設定に対して、固定の基準点を提供する。したがって、各ポーズの角度及びタイミング、即ちターゲットに対する空間及び時間のスキャナの配向は、慣性航法システムを介して、共通の基準フレーム有するよう保証される。
【0077】
1つの態様では、発光ディスプレイ270及びカメラシステム40は、マッチング偏光フィルタ及びマッチング波長フィルタのうちの少なくとも1つを含むことができる。発光ディスプレイ270とカメラシステム40の偏光フィルタ及び/又は波長フィルタを一致させることにより、複数の孔位置ターゲット20の2次元パターン222の画像をキャプチャする孔位置測定システム200の性能を高めることができる。
【0078】
図12は、本書の第2の実施形態による、加工物Wの孔Hの位置を測定するための例示的な方法のフロー図である。
【0079】
孔Hの位置を測定する方法2000は、ブロック2002において、中心線を有するインサートを孔内にセンタリングすることを含む。インサートは、セルフセンタリングされるインサート210であっても、又は任意の外部手段によってセンタリングされる異なるインサートであってもよい。光学ターゲット220は、インサートの中心線211に対して固定位置でインサートに取り付けられる。光学ターゲット220は、上部に2次元パターン222を含む発光ディスプレイ270を含む。例では、2次元パターン222は、例えば、ドットのパターン223又は2次元バーコード225を含むことができる。
【0080】
方法2000は、ブロック2004において、光学ターゲットの2次元パターン222の画像をキャプチャすることを更に含む。上記のように、画像はカメラシステム40によってキャプチャすることができる。
【0081】
方法2000は、ブロック2006において、光学ターゲット220の2次元パターン222を修正することを更に含む。
【0082】
方法2000は、ブロック2008において、光学ターゲット220の修正された2次元パターン222の画像をキャプチャすることを更に含む。上記のように、画像はカメラシステム40によってキャプチャすることができる。
【0083】
ステップ2006では、2次元パターン222を修正することは、例えば、2次元パターンのサイズを変更すること、発光ディスプレイの光の強さ270を修正すること、発光ディスプレイ270の光の波長を修正すること、及び発光ディスプレイ270の光の時間変調を含むことができる。
【0084】
2次元パターン222のサイズを変更することは、例えば、ドットのパターン223の各ドットのサイズを増減すること、又は2次元バーコード225のバーのサイズを増減することを含みうる。2次元パターン222のサイズを増減することにより、方法2000は、カメラシステム40と孔位置ターゲット20との間の距離を補償することができる。例示的な態様では、カメラシステム40は、単独で又はコンピュータシステム50によって、2次元パターン222のサイズを制御することができる。したがって、方法2000は、2次元パターン222の画像をキャプチャするカメラシステム40からのリアルタイムのフィードバックに基づき、2次元パターン222のサイズの双方向制御を提供することができる。
【0085】
発光ディスプレイの光の強さ270を修正することにより、、方法2000は、環境条件、即ち、背景光の強度、を補償することができる。例示的な態様では、カメラシステム40は、単独で又はコンピュータシステム50により、2次元パターン222の光の強さを制御することができる。したがって、方法2000は、2次元パターン222の画像をキャプチャするカメラシステム40からのリアルタイムのフィードバックに基づき、2次元パターン222の強度の双方向制御を提供することができる。
【0086】
発光ディスプレイの光の波長270を修正することにより、方法2000は、発光ディスプレイ270から放射された光の波長を区別することによって、環境条件を補償することができる。例示的な態様では、カメラシステム40は、単独で又はコンピュータシステム50により、2次元パターン222の光の波長を制御することができる。したがって、方法2000は、2次元パターン222の画像をキャプチャするカメラシステム40からのリアルタイムのフィードバックに基づき、2次元パターン222の波長の双方向制御を提供することができる。
【0087】
発光ディスプレイ270の光の時間変調により、方法2000は、環境条件を補償することができる。光の時間変調は、例えば、発光ディスプレイ270の光の点滅を含むことができる。例示的な態様では、カメラシステム40は、単独で又はコンピュータシステム50により、2次元パターン222の光の時間変調を制御することができる。したがって、方法2000は、2次元パターン222の画像をキャプチャするカメラシステム40からのリアルタイムのフィードバックに基づき、2次元パターン222の位相の双方向制御を提供することができる。
【0088】
したがって、上記のように、カメラシステム40が単独で又はコンピュータシステム50により光学ターゲット220の2次元パターン222を修正することは、光学ターゲット220を、測定値をとる際の条件に調整する方法2000を提供することができる。
【0089】
別の態様では、光学ターゲット220の2次元パターン222を修正することは、孔位置ターゲット20のステータスを伝達できる。したがって、2次元パターン222を修正することは、孔位置ターゲット20のステータスを含む信号を伝達でき、このことは、信号を孔位置ターゲットのIDと関連付けることを含みうる。
【0090】
図13は、組み立てられた状態での本書の第3の実施形態による、例示的な孔位置ターゲットの斜視図である。
図14は、
図13の孔位置ターゲットの分解斜視図である。
図15Aは、径方向に収縮した状態の加工物の孔に挿入された、
図13の孔位置ターゲットの断面図である。
図15Bは、径方向に拡張した状態の
図15Aの孔位置ターゲットの断面図である。
【0091】
図13、14、15A、及び15Bを参照すると、孔位置ターゲット30は、加工物Wの孔Hに挿入されるように構成された第1の端301、及び第1の端301の反対側の第2の端302を含む。
【0092】
孔位置ターゲット30は、セルフセンタリングインサート310と、セルフセンタリングインサート310に取り付けられたレーザービームエミッタ320とを含む。セルフセンタリングインサート310を加工物の孔Hに挿入することができ、レーザービームLを加工物Wの孔Hの外側に放射することができるように、セルフセンタリングインサート310が第1の端301近傍に位置付けられ、レーザービームLが第2の端302近傍に放射される。セルフセンタリングインサート310は中心線311を有し、放射したレーザービームLは、セルフセンタリングインサート310の中心線311に対して同心である。
【0093】
セルフセンタリングインサート310は、加工物Wの孔Hに挿入され、セルフセンタリングインサート310の中心線311が加工物Wの孔Hのそれぞれの中心線Cと同軸に位置付けられるよう、セルフセンタリングされるように構成される。セルフセンタリングインサート310の中心線311を加工物Wの孔Hの中心線Cと同軸になるようにセンタリングすることによって、加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、セルフセンタリングインサート310の中心線311の位置を測定する方法を用いることができる。更に、放射されたレーザービームLをセルフセンタリングインサート310の中心線311と同心にすることによって、セルフセンタリングインサート310の中心線311の位置を決定し、よって加工物Wの孔Hの中心線Cの位置を決定するために、放射されたレーザービームLの位置を測定する方法を用いることができる。1つの態様では、放射されたレーザービームの軸は、セルフセンタリングインサートの中心線と5μm以下の同心である。
【0094】
図示した例では、第1の実施形態のセルフセンタリングインサート310は、径方向に拡張可能なブッシング312を含む。径方向に拡張可能なブッシング312が、加工物Wの孔Hに挿入でき、かつセルフセンタリングインサート310の中心線311を、加工物Wの孔Hの中心線Cにセルフセンタリングするために径方向に拡張できる任意のチューブ型構造を含むことができると理解されよう。図示した例では、径方向に拡張可能なブッシング312は、拡張可能なコレット314の形態をとる。代替例示例では、径方向に拡張可能なブッシング312は、以下で第1及び第3の実施形態を参照して図示される拡張可能なベローの形態をとりうる。
【0095】
本書の拡張可能なコレット314は、チューブ型の構造であり、拡張可能なコレット314に印加される径方向外側に向かう力が拡張可能なコレット314を径方向に拡張する。
【0096】
図示した例では、拡張可能なコレット314は、第1のコレット端315、第2のコレット端316、及び第1のコレット端315と第2のコレット端316との間の軸ビーム318を含む。径方向外側に向かう力を拡張可能なコレット314に印加することによって、軸ビーム318は、周方向に分離し、径方向外側に向かってに拡張する。
【0097】
図15Aに示すように、拡張可能なコレット314に印加される径方向外側に向かう力を低下させることにより、軸ビーム318が径方向に収縮し、これにより、拡張可能なコレット314を加工物Wの孔Hに挿入することができる。
図15Bに示すように、拡張可能なコレット314を加工物Wの孔Hに挿入した後に、径方向外側に向かう力が拡張可能なコレット314に印加され、軸ビーム318が径方向に拡張する。次いで、軸ビーム318は、加工物Wの孔Hを画定する壁に接触し、これにより、拡張可能なコレット314の中心線311を加工物Wの孔Hのそれぞれの中心線Cにセルフセンタリングさせる。
【0098】
図示した例では、放射されたレーザービームLがセルフセンタリングインサート310の中心線311と同心になるように、レーザービームエミッタ320がセルフセンタリングインサート310に取り付けられる。例として、レーザービームエミッタ320の位置がセルフセンタリングインサート310の中心線311の位置に対して固定されるように、レーザービームエミッタ320を、セルフセンタリングインサート310に固定して位置付けることができる。レーザービームエミッタ320の、セルフセンタリングインサート310の中心線311の位置に対する位置付けは、永続的でありうる。
【0099】
図示した例において、セルフセンタリングインサート310は、拡張可能なコレット314を径方向に拡張するために力を加えるように構成された拡張デバイス330を含む。図示した例では、拡張デバイス330は、第1のウェッジ340、第2のウェッジ350、及びカラー360を含む。
【0100】
図示されたように、第1のウェッジ340は、第1のウェッジ下端341、第1のウェッジ下端341の反対側の第1のウェッジ上端342、及び第1のウェッジ下端341と第1のウェッジ上端342との間の第1の中空シャフト343を有している。第1の傾斜したウェッジ面344が、第1のウェッジ340の第1のウェッジ下端341に位置付けられる。第1の傾斜したウェッジ面344は、拡張可能なコレット314の傾斜したコレット面と係合するように構成される。雄ねじ345が、第1の中空シャフト343の外面に位置付けられ、ウェッジ把持部346が、第1のウェッジ340の第1のウェッジ上端342に位置付けられる。ウェッジ把持部346は、ウェッジ把持表面348を含むことができる。ウェッジ把持表面348は、ウェッジ把持部346の手動トルクを高めるため、刻み付き表面の形態をとることができる。代替的には、ウェッジ把持表面348は、工具でウェッジ把持部346をトルクするための複数の面など、他の形態をとりうる。第1のウェッジ340は、拡張可能なコレット314の中空内部の第1の端を通過し、第1の傾斜したウェッジ面344が傾斜したコレット面319と係合し、雄ねじ345とウェッジ把持部346が拡張可能なコレット314の中空内部の第2の端を通って延びるようにサイズが決められる。
【0101】
図示されたように、第2のウェッジ350は、第2のウェッジ下端351、第2のウェッジ下端351と反対側の第2のウェッジ上端352及び第2のウェッジ下端351と第2のウェッジ上端352との間の第2の中空シャフト353を有している。第2の傾斜したウェッジ面354は、第2のウェッジ350の第2のウェッジ上端352に位置付けられる。第2の傾斜したウェッジ面354は、拡張可能なコレット314の傾斜したコレット面319と係合するように構成される。第2の中空シャフト353は、拡張可能なコレット314の中空内部を通過して、第2の傾斜したウェッジ面354が傾斜したコレット面319と係合するように、サイズが決められる。
【0102】
第1の傾斜したウェッジ面344及び第2の傾斜したウェッジ面354が傾斜したコレット面319と係合することによって、第2のウェッジ350に向かう第1のウェッジ340の軸方向の動きが、径方向外側に向かう力を発生させ、その力が拡張可能なコレット314に印加され、軸ビーム318を周方向に分離し、径方向に拡張する。
【0103】
カラー360は、第2のウェッジ350に向かう第1のウェッジ340の軸方向の動きを提供することができる。図示されたように、カラー360は、第1のカラー部分361及び第2のカラー部分366を含む。
【0104】
第1のカラー部分361は、第1のカラー下端362及び第1のカラー上端363を有している。第1のカラー上端363は、第2のカラー部分の対応する波状の表面と係合するように構成された波状の上面364を含むことができ、第1のカラーボア365は、第1のカラー下端362から第1のカラー上端363まで、第1のカラー部分361を通過する。
【0105】
第2のカラー部分366は、第2のカラー下端367及び第2のカラー上端368を有している。第2のカラー部分366は、第2のカラー把持表面369を含むことができる。第2のカラー把持表面369は、第2のカラー把持表面369の手動トルクを高めるため、刻み付き表面の形態をとることができる。代替的には、カラー把持表面369は、第2のカラー把持表面369を工具でトルクするための複数の面など、他の形態をとりうる。第2のカラー部分366は、第2のカラー下端367から第2のカラー上端368まで第2のカラー部分366を通過するボアに雌ねじ370を含む。第2のカラー部分366の雌ねじ370は、第1のウェッジ340の雄ねじに係合し、第1のウェッジ340を第2のウェッジ350に向かって軸方向に動かすように構成される。
【0106】
したがって、第1のウェッジ340、第2のウェッジ350、及びカラー360は、カラー360を回転させることによって、径方向外側に向かう力を拡張可能なコレット314に印加するように構成される拡張デバイス330を形成する。しかしながら、拡張デバイス330は、上記の例に限定されない。別の例では、第1のウェッジ340、第2のウェッジ350、及びカラー360の位置を逆にすることができる。更に別の例では、拡張デバイス330は、バネ、又は拡張可能なコレット314を径方向に拡張するように構成された任意の他の拡張デバイスの形態をとりうる。
【0107】
図示されたように、孔位置ターゲット30は、電力デバイス380を更に含む。図示した例では、電力デバイス380は、バッテリー381、電力スイッチ382、及び導管383を含む。しかしながら、電力デバイス380は、上記の例に限定されない。別の例では、電力デバイス380は、電力供給に接続されたワイヤを含むことができるだろう。
【0108】
図16Aは、レーザービームエミッタから第1の距離d1に光センサを含む、本書の第3の実施形態による例示的な孔位置測定システムの描写である。
図16Bは、レーザービームエミッタから第2の距離d2に光センサを含む、本書の第3の実施形態による例示的な孔位置測定システムの描写である。
【0109】
孔位置測定システム300は、放射されたレーザービームLの軸がセルフセンタリングインサート310の中心線311と同心である孔位置ターゲット30、レーザービームエミッタ320からいくつかの距離で放射されたレーザービームLの位置を感知する光学システム41、並びに孔位置ターゲット30及びオプションで光学システム41と通信するコンピュータシステム50を含む。コンピュータシステム50は、放射されたレーザービームLの感知された位置から、セルフセンタリングインサート310の中心線311の3次元座標を決定するように構成される。光学システム41は、レーザービームエミッタ320からいくつかの距離で放射されたレーザービームLの位置を感知することができる任意の光学システムである。コンピュータシステム50は、カメラシステム40から分離されても、カメラシステム40と統合されてもよい。
【0110】
1つの態様では、孔位置測定システム300は、複数の孔位置ターゲット30を含む。別の態様では、光学システム41は、いくつかの放射されたレーザービームLの位置を同時の感知するように構成される。したがって、いくつかの放射されたレーザービームLの位置を同時の感知することにより、孔位置測定システム300は、いくつかの孔を同時に測定することができる。
【0111】
光学システム41は、携帯用光学システムとすることができる。代替的には、光学システム41は、関節式アームで支持されるタイプのシステムである。
【0112】
1つの態様では、レーザービームエミッタ320は、放射されたレーザービームLの出力を変調するように構成される。放射されたレーザービームLの変調を制御することによって、レーザービームエミッタ320は、環境条件、例えば背景光の強度など、を補償することができる。
【0113】
別の態様では、光学システム41及び/又はコンピュータシステム50は、放射されたレーザービームLの変調を制御するように構成される。放射されたレーザービームLの変調を制御することで、孔位置測定システム300は、光学システム41による放射されたレーザービームLの感知を容易にするために、放射されたレーザービームLを変調することによって、環境条件、例えば、環境光の強度など、を補償することができる。したがって、孔位置測定システム300は、放射されたレーザービームLの位置を感知する光学システム41からのリアルタイムのフィードバックに基づき、放射されたレーザービームLの変調の双方向制御を提供することができる。
【0114】
更に、1つの態様では、放射されたレーザービームLは、信号を送信するように変調され、コンピュータシステム50は、放射されたレーザービームLの変調出力から信号を抽出するように構成される。信号は、孔位置ターゲットのステータス、孔位置ターゲットのID、又はレーザービームエミッタのステータスを表示することができる。
【0115】
1つの態様では、レーザービームエミッタ320及び光学システム41は、マッチング偏光フィルタ及びマッチング波長フィルタのうちの少なくとも1つを含むことができる。レーザービームエミッタ320及び光学システム41の偏光フィルタ及び/又は波長フィルタを一致させることにより、孔位置測定システム300の放射されたレーザービームLの位置を感知する性能を高めることができる。
【0116】
図17は、本書の第3の実施形態による、加工物Wの孔の位置を測定するための例示的な方法のフロー図である。
【0117】
孔Hの位置を測定する方法3000は、ブロック3002において、中心線を有するインサートを孔内にセンタリングすることを含む。インサートは、セルフセンタリングされるインサート310であっても、又は任意の外部手段によってセンタリングされる異なるインサートであってもよい。
【0118】
方法3000は、ブロック3004で、インサートに取り付けられたレーザービームエミッタからレーザービームを放射することを更に含み、放射されたレーザービームの軸は、インサートの中心線と同心である。
【0119】
方法3000は、ブロック3006で、レーザービームエミッタからいくつかの距離で放射されたレーザービームの位置を感知することを更に含む。
【0120】
方法3000は、ブロック3008で、放射されたレーザービームの感知された位置から、セルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定することを更に含む。
【0121】
1つの態様では、方法3000は、放射されたレーザービームの出力を変調することと、放射されたレーザービームの変調された出力から信号を抽出することとを更に含む。別の態様では、方法3000は、信号を孔位置ターゲットのステータスに関連付けることを更に含む。
【0122】
1つの態様では、方法3000は、信号を孔位置ターゲットのIDに関連付けることを更に含む。
【0123】
1つの態様では、方法3000は、信号をレーザービームエミッタのステータスに関連付けることを更に含む。
【0124】
1つの態様では、方法3000は、内部に孔を有する物品を回転させることと、回転中にレーザービームエミッタからレーザービームを放射することと、回転中にレーザービームエミッタからいくつかの距離で放射されたレーザービームの位置を感知することと、放射されたレーザービームの感知された位置からの回転を通して、セルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定することとを更に含む。
【0125】
本開示の例は、
図18に示している航空機の製造及び保守方法4000と
図19に示している航空機4002に照らして、説明されうる。航空機の製造及び保守方法4000は、製造前段階において、航空機4002の仕様及び設計4004と、材料の調達4006とを含みうる。製造段階では、航空機4002の構成要素/サブアセンブリの製造4008及びシステムインテグレーション4010が行われる。その後、航空機4002は、認可及び納品4012を経て、運航4014に供されうる。顧客により運航されている期間中に、航空機4002には、定期的な整備及び保守4016(改造、再構成、改修なども含みうる)が予定される。
【0126】
方法4000の各プロセスは、システムインテグレータ、第三者、及び/又はオペレータ(例えば顧客)によって実施されうるか、又は実行されうる。この明細書において、システムインテグレータは、任意の数の航空機製造者及び主要システム下請業者を含みうるがそれらに限定されず、第三者は、任意の数のベンダー、下請業者、及び供給業者を含みうるがそれらに限定されず、オペレータは、航空会社、リース会社、軍事団体、サービス機関などでありうる。
【0127】
本開示の孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法は、航空機の製造・保守方法1000の1つ以上の任意の段階(航空機4002の仕様及び設計4004、材料の調達4006、構成要素/サブアセンブリの製造4008、システムインテグレーション4010、認可及び納品4012、航空機の運航4014への配置、及び定期的な整備及び保守4016を含む)において、用いられうる。
【0128】
図19に示しているように、例示的な方法4000によって製造された航空機4002は、複数のシステム4020と内装4022とを伴う、機体4018を含みうる。複数のシステム4020の例は、推進システム4024、電気システム4026、液圧システム4028、及び環境システム4030のうちの1つ以上を含みうる。任意の数の他のシステムも含まれうる。本開示の孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法は、航空機4002のシステムのいずれかに用いられうる。
【0129】
更に、本開示は、以下の条項に係る実施形態を含む。
条項A1. 中心線を有するセルフセンタリングインサートと、
セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でセルフセンタリングインサートに取り付けられた光学ターゲットであって、光学ターゲットの表面に2次元パターンを含む、光学ターゲットと
を含む、孔位置ターゲット。
条項A2. 光学ターゲットが、セルフセンタリングインサートの中心線と同心であって、2次元パターンを含む円筒形の外面を有する、条項A1に記載の孔位置ターゲット。
条項A3. 光学ターゲットの円筒形の外面が、5μm以下の表面円筒度を有する、条項A2に記載の孔位置ターゲット。
条項A4. セルフセンタリングインサートが、径方向に拡張可能なブッシングを含む、条項A1からA3のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット。
条項A5. 径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なベローを含む、条項A4に記載の孔位置ターゲット。
条項A6. 径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なコレットを含む、条項A4に記載の孔位置ターゲット。
条項A7. 2次元パターンが、ドットのパターンを含む、条項A1からA6のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット。
条項A8. 2次元パターンが、2次元バーコードを含む、条項A1からA7のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット。
条項A9. 2次元パターンが、再帰反射素材を含む、条項A1からA8のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット。
条項A10. 孔位置測定システムに含まれる、条項A1に記載の孔位置ターゲットであって、測定システムが、
光学ターゲットの上の2次元パターンの画像をキャプチャするように構成されたカメラシステムと、
光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定し、セルフセンタリングインサートの中心線の位置を抽出するように構成されたコンピュータシステムと
を含む、孔位置ターゲット。
条項A11. 複数の孔位置ターゲットを含む、条項A10に記載の孔位置測定システム。
条項A12. カメラシステムが、複数の孔位置ターゲットの2次元パターンの1つ以上の画像をキャプチャするように構成される、条項A11に記載の孔位置測定システム。
条項A13. カメラシステムによってキャプチャされた単一の画像が、複数の孔位置ターゲットの2次元パターンを含む、条項A12に記載の孔位置測定システム。
条項A14. カメラシステムが、3次元光学スキャナである、条項A10に記載の孔位置測定システム。
条項A15. カメラシステムが携帯用3次元光学スキャナである、条項A10に記載の孔位置測定システム。
条項A16. 孔の位置を測定するための方法であって、
中心線を有するインサートを孔内でセンタリングすることであって、光学ターゲットが、セルフセンタリングインサートの中心線に対して固定位置でインサートに取り付けられ、光学ターゲットの表面上に2次元パターンを含む、インサートをセンタリングすることと、
光学ターゲットの上の2次元パターンの画像をキャプチャすることと、
光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定することと、
光学ターゲット、及びインサートの中心線に対する光学ターゲットの前記固定位置の上の前記2次元パターンの特徴の3次元位置に基づき、インサートの中心線の位置を抽出することと
を含む、方法。
条項A17. 光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定することが、2次元パターンのドットのパターンのドット重心の3次元位置を測定することを含む、条項A16に記載の方法。
条項A18. 光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を測定することが、2次元パターンのバーコードパターンの交点の3次元位置を測定することを含む、条項A16又はA17に記載の方法。
条項A19. 光学ターゲットの上の2次元パターンの特徴の3次元位置を、既知の光学ターゲットの特徴の3次元位置のデータベースと比較することを更に含む、条項A16からA18のいずれか一項に記載の方法。
条項A20. 画像をキャプチャすることが、光学ターゲットの上の前記2次元パターンの再帰反射素材に光を放射することと、再帰反射素材によって反射された光をキャプチャすることとを含む、条項A16からA19のいずれか一項に記載の方法。
条項B1. 中心線211を有するセルフセンタリングインサート210と、
セルフセンタリングインサート210の中心線211に対して固定位置でセルフセンタリングインサート210に取り付けられた光学ターゲット220であって、2次元パターン222を含む発光ディスプレイ270を含む光学ターゲット220と
を含む、孔位置ターゲット20。
条項B2. セルフセンタリングインサート210が、径方向に拡張可能なブッシング212を含む、条項B1に記載の孔位置ターゲット20。
条項B3. 径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なベロー214を含む、条項B2に記載の孔位置ターゲット20。
条項B4. 径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なコレット314を含む、条項B2に記載の孔位置ターゲット20。
条項B5. 発光ディスプレイ270が、液晶ディスプレイ(LCD)、発光ダイオード(LED)、有機発光ダイオード(OLED)、量子ドット発光ダイオード(QLED)のうちの少なくとも1つを含む、条項B1からB4のいずれか一項に記載の孔位置ターゲット20。
条項B6. 孔位置測定システム200に含まれる、条項B1に記載の孔位置ターゲット20であって、システムが、
孔位置ターゲット20であって、
中心線211を有するセルフセンタリングインサート210、及び
セルフセンタリングインサート210の中心線211に対して固定位置でセルフセンタリングインサート210に取り付けられた光学ターゲット220であって、2次元パターン222が表示される発光ディスプレイ270を含む光学ターゲット220
を含む、孔位置ターゲット20と、
光学ターゲット220の表示される2次元パターン222の画像をキャプチャするように構成されたカメラシステム40と、
光学ターゲット220の2次元パターン222の修正を制御し、かつ光学ターゲット220の2次元パターン222の画像から、セルフセンタリングインサート210の中心線211の3次元座標を決定するように構成されたコンピュータシステム50と
を含む、条項B1に記載の孔位置ターゲット20。
条項B7. 孔位置ターゲットが、複数の孔位置ターゲットを含む、条項B6に記載の孔位置測定システム200。
条項B8. カメラシステムが、複数の孔位置ターゲットの2次元パターンのうちの1つ以上の画像を獲得するように構成される、条項B7に記載の孔位置測定システム200。
条項B9. カメラシステムによってキャプチャされた単一の画像が複数の孔位置ターゲットの2次元パターンを含む、条項B8に記載の孔位置測定システム200。
条項B10. カメラシステムが、3次元光学スキャナである、条項B6に記載の孔位置測定システム200。
条項B11. カメラシステムが、携帯用3次元光学スキャナである、条項B6に記載の孔位置測定システム200。
条項B12. 携帯用3次元光学スキャナが、慣性航法システムを含む、条項B11に記載の孔位置測定システム200。
条項B13. 発光ディスプレイ及びカメラシステムが、マッチング偏光フィルタ及びマッチング波長フィルタのうちの少なくとも1つを含む、条項B6に記載の孔位置測定システム200。
条項B14. 孔の位置を測定するための方法2000であって、
中心線を有するインサートを孔内でセンタリングすること2002であって、2次元パターンを含む発光ディスプレイを含む光学ターゲットが、インサートの中心線に対して固定位置でインサートに取り付けられる、インサートを孔内でセンタリングすること2002と、
光学ターゲットの2次元パターンの画像をキャプチャすること2004と、
光学ターゲットの2次元パターンを修正すること2006と、
光学ターゲットの修正された2次元パターンの1つ以上の画像を取得すること2008と
を含む、方法2000。
条項B15. 光学ターゲットの2次元パターンを修正することが、2次元パターンのサイズを変更することを含む、条項B14に記載の方法2000。
条項B16. 光学ターゲットの2次元パターンを修正することが、発光ディスプレイの光の強さを修正することを含む、条項B14又はB15に記載の方法2000。
条項B17. 光学ターゲットの2次元パターンを修正することが、発光ディスプレイの光の波長を修正することを含む、条項B14からB16のいずれか一項に記載の方法2000。
条項B18. 光学ターゲットの2次元パターンを修正することが、発光ディスプレイの光の極性を修正することを含む、条項B14からB17のいずれか一項に記載の方法2000。
条項B19. 光学ターゲットの2次元パターンを修正することが、発光ディスプレイの光の位相を修正することを含む、条項B14からB18のいずれか一項に記載の方法2000。
条項B20. 光学ターゲットの2次元パターンを修正することが、発光ディスプレイの光の時間変調を含む、条項B14からB19のいずれか一項に記載の方法2000。
条項C1. 中心線311を有するセルフセンタリングインサート310と、
セルフセンタリングインサート310に取り付けられたレーザービームエミッタ320であって、セルフセンタリングインサート310の中心線311と同心の軸を有するレーザービームを放射するように構成されるレーザービームエミッタ320と
を含む、孔位置ターゲット30。
条項C2. レーザービームエミッタ320が、セルフセンタリングインサートの中心線と同心の放射されたレーザービームの軸を有するレーザービームを5μm以下放射するように構成される、条項C1に記載の孔位置ターゲット30。
条項C3. セルフセンタリングインサート310が、径方向に拡張可能なブッシング312を含む、条項C1又はC2に記載の孔位置ターゲット30。
条項C4. 径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なベローを含む、条項C3に記載の孔位置ターゲット30。
条項C5. 径方向に拡張可能なブッシングが、拡張可能なコレット314を含む、条項C3に記載の孔位置ターゲット30。
条項C6. 孔位置測定システム300に含まれる、条項C1に記載の孔位置ターゲットであって、測定システムが、
孔位置ターゲット30であって、
中心線311を有するセルフセンタリングインサート310、及び
セルフセンタリングインサート310に取り付けられたレーザービームエミッタ320であって、放射されたレーザービーム320の軸がセルフセンタリングインサートの中心線111と同心である、レーザービームエミッタ320
を含み、
レーザービームエミッタからいくつかの距離で放射されたレーザービームの位置を感知する光学システム41と、
放射されたレーザービームの感知された位置からセルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定するように構成されたコンピュータシステム50と
を含む、条項C1に記載の孔位置ターゲット。
条項C7. 複数の孔位置ターゲットを含む、条項C6に記載の孔位置測定システム。
条項C8. レーザービームエミッタが、放射されたレーザービームの出力を変調するように構成される、条項C6に記載の孔位置測定システム。
条項C9. コンピュータシステムが、放射されたレーザービームの変調を制御するように構成される、条項C8に記載の孔位置測定システム。
条項C10. コンピュータシステムが、放射されたレーザービームの出力の変調量から信号を抽出するように構成される、条項C8に記載の孔位置測定システム。
条項C11. 信号が、孔位置ターゲットのステータスを示す、条項C10に記載の孔位置測定システム。
条項C12. 信号が、孔位置ターゲットのIDを示す、条項C10に記載の孔位置測定システム。
条項C13. 信号が、レーザービームエミッタのステータスを示す、条項C10に記載の孔位置測定システム。
条項C14. レーザービームエミッタ及び光学システムが、マッチング偏光フィルタ及びマッチング波長フィルタのうちの少なくとも1つを含む、条項C6に記載の孔位置測定システム。
条項C15. 孔の位置を測定するための方法3000であって、
中心線を有するインサートを孔内でセンタリングすること3002と、
インサートに取り付けられたレーザービームエミッタからレーザービームを放射すること3004であって、放射されたレーザービームの軸がインサートの中心線と同心である、レーザービームを放射すること3004と、
レーザービームエミッタからいくつかの距離で放射されたレーザービームの位置を感知すること3006と、
複数の位置で放射されたレーザービームの感知された位置から、セルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定すること3008と
を含む、方法3000。
条項C16. 放射されたレーザービームの出力を変調することと、
放射されたレーザービームの変調出力から信号を抽出することと
を更に含む、条項C15に記載の方法。
条項C17. 信号を孔位置ターゲットのステータスと関連付けることを更に含む、条項C16に記載の方法。
条項C18. 信号を孔位置ターゲットのIDと関連付けることを更に含む、条項C16又はC17に記載の方法。
条項C19. 信号をレーザービームエミッタのステータスと関連付けることを更に含む、条項C16からC18のいずれか一項に記載の方法。
条項C20. 孔を有する物品を回転させることと、
回転中にレーザービームエミッタからレーザービームを放射することと、
回転中にレーザービームエミッタからいくつかの距離で放射されたレーザービームの位置を感知することと、
放射されたレーザービームの感知された位置から、回転全体にわたるセルフセンタリングインサートの中心線の3次元座標を決定することと
を更に含む、条項C16からC19のいずれか一項に記載の方法。
【0130】
開示された孔位置ターゲット、孔位置測定システム、及び孔の位置を測定するための方法の様々な実施形態が図示され説明されてきたが、当業者は本明細書を読むことで、変形例を想起しうる。本出願は、かかる修正例を含み、特許請求の範囲によってのみ限定される。