(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】印刷配線板の製造方法
(51)【国際特許分類】
H05K 1/02 20060101AFI20240913BHJP
H05K 3/34 20060101ALI20240913BHJP
H05K 3/18 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
H05K1/02 J
H05K3/34 502D
H05K3/18 G
(21)【出願番号】P 2020111798
(22)【出願日】2020-06-29
【審査請求日】2023-03-13
【前置審査】
(73)【特許権者】
【識別番号】000006633
【氏名又は名称】京セラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100090033
【氏名又は名称】荒船 博司
(74)【代理人】
【識別番号】100093045
【氏名又は名称】荒船 良男
(72)【発明者】
【氏名】中井 正宏
【審査官】ゆずりは 広行
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-123719(JP,A)
【文献】特開2007-318098(JP,A)
【文献】特開平09-092964(JP,A)
【文献】特開2007-096007(JP,A)
【文献】特開2016-021273(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H05K 1/02
H05K 3/34
H05K 3/18
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁板における第1面上に銅シード層を形成する工程と、
前記銅シード層上に第1めっきレジスト膜を形成する工程と、
前記第1めっきレジスト膜上に第1マスクを配置し、露光処理および現像処理を行い、導体に対応する第1開口部を形成する工程と、
前記第1開口部内の前記銅シード層に電解銅めっき膜を形成する工程と、
前記第1めっきレジスト膜上および前記電解銅めっき膜上に第2めっきレジスト膜を形成する工程と、
前記第2めっきレジスト膜上に第2マスクを配置し、露光処理および現像処理を行い、端子部に対応する第2開口部を形成する工程と、
前記第2開口部内の前記電解銅めっき膜に電解ニッケルめっき膜および電解金めっき膜を形成する工程と、
前記第1めっきレジスト膜および前記第2めっきレジスト膜を除去する工程と、
前記電解銅めっき膜の部分を除く領域で、前記第1面に露出する前記銅シード層を除去する工程と、
ソルダーレジスト膜を、前記電解金めっき膜の周縁部の全周にわたって接しないように形成する工程と、
を
上記の順序で具備する印刷配線板の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、印刷配線板の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、銅箔の表面に電解ニッケルめっき膜および電解金めっき膜を形成する工程、写真法でめっき用リードおよびめっき用電極の部分を除く領域にエッチングレジストを形成して、エッチングレジストを設けなかった部分の金、ニッケルおよび銅をエッチングする工程、を経て回路基板を製造方法が開示されている。(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【0005】
本開示の印刷配線板の製造方法は、絶縁板における第1面上に銅シード層を形成する工程と、前記銅シード層上に第1めっきレジスト膜を形成する工程と、前記第1めっきレジスト膜上に第1マスクを配置し、露光処理および現像処理を行い、導体に対応する第1開口部を形成する工程と、前記第1開口部内の前記銅シード層に電解銅めっき膜を形成する工程と、前記第1めっきレジスト膜上および前記電解銅めっき膜上に第2めっきレジスト膜を形成する工程と、前記第2めっきレジスト膜上に第2マスクを配置し、露光処理および現像処理を行い、端子部に対応する第2開口部を形成する工程と、前記第2開口部内の前記電解銅めっき膜に電解ニッケルめっき膜および電解金めっき膜を形成する工程と、前記第1めっきレジスト膜および前記第2めっきレジスト膜を除去する工程と、前記電解銅めっき膜の部分を除く領域で、前記第1面に露出する前記銅シード層を除去する工程と、ソルダーレジスト膜を、前記電解金めっき膜の周縁部の全周にわたって接しないように形成する工程と、を上記の順序で具備する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】第1実施形態として示す印刷配線板を部分的に示す斜視図である。
【
図2】第2実施形態として示す印刷配線板を部分的に示す斜視図である。
【
図3】第3実施形態として示す印刷配線板を部分的に示す斜視図である。
【
図5】第1工程によって得られる第1基材を部分的に示す斜視図である。
【
図6】第2工程によって得られる第2基材を部分的に示す斜視図である。
【
図7】第3工程によって得られる第3基材を部分的に示す斜視図である。
【
図8】第4工程によって得られる第4基材を部分的に示す斜視図である。
【
図9】第5工程によって得られる第5基材を部分的に示す斜視図である。
【
図10】第6工程によって得られる第6基材を部分的に示す斜視図である。
【
図11】第7工程によって得られる第7基材を部分的に示す斜視図である。
【
図12】第8工程によって得られる第8基材を部分的に示す斜視図である。
【
図13】第9工程によって得られる第9基材を部分的に示す斜視図である。
【
図14】第10工程によって得られる第10基材を部分的に示す斜視図である。
【
図15】第11工程によって得られる第11基材を部分的に示す斜視図である。
【
図16】第12工程によって得られる第12基材を部分的に示す斜視図である。
【
図17】第13工程によって得られる第13基材を部分的に示す斜視図である。
【
図18】第9基材または第12基材にソルダーレジスト膜を形成したときの他の態様を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
特許文献1に開示された発明では、最初に、絶縁層上に、いずれもベタの状態で、銅箔、電解ニッケルめっき膜および電解金めっき膜をこの順に形成し、この後、エッチング処理を行うことによって端子部などを含む導体が形成される。この場合、導体は、通常、端子部とともにリード部を有している。リード部は、端子部を他の回路との間で電気的な接続を担う部分である。端子部は、電子部品などの他の部品との電気的な接続を担う部分である。この場合、導体は、上述したように、銅箔、電解ニッケルめっき膜および電解金めっき膜が重なった構造であるため、エッチング後の端子部の厚みとリード部の厚みとは同じである。リード部と端子部とで構成される導体が、このように同じ厚みであると、電子部品などの他の部品との電気的な接続を行う接合材が端子部の部分だけにとどまらず、リード部にまで広がってしまう場合が少なくない。このため、実際には、端子部の電子部品などの他の部品との接合面積を小さくすることが難しくなる。
【0008】
以下、添付図面を参照して、本願の開示する印刷配線板の実施形態を詳細に説明する。なお、以下に示す実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、以下では、導体が印刷配線板の片面(第1面)に配置される構成を示すが、本発明はこれに限らず導体が印刷配線板の両面に配置される構成も含むものである。
【0009】
図1は、第1実施形態として示す印刷配線板Aを部分的に示す斜視図である。実施形態の印刷配線板Aは、絶縁板1と、導体3とを有する。導体3は、リード部3Aと端子部3Bとを有する。導体3は、絶縁板1の第1面1a上に配置されている。
図1では、絶縁板1の上側の表面を第1面1aとしている。導体3は、銅シード層3a、電解銅めっき膜3b、電解ニッケルめっき膜3cを有する。リード部3Aは、銅シード層3aおよび電解銅めっき膜3bを有する。リード部3Aは、第1面1aから銅シード層3a、電解銅めっき膜3bの順に配置されている。
【0010】
リード部3Aは、一方向に延びた形状であり、長尺状である。ここで、長尺状とは、全体が直線的な形状になっているものに限られない。リード部3Aは、その一部に湾曲した部分を有していてもよい。例えば、リード部3Aが蛇行した形状であっても、その最大幅がリード部3Aの幅の3倍以下である場合には長尺状とみなしてもよい。リード部3Aの一部が湾曲していても全体として長尺状であると、長手方向の途中に抵抗値が急に変化するような部分を有しないことになる。これによりリード部3Aはインピーダンスの不整合が発生し難いものとなる。リード部3Aの長さLは、リード部3Aの幅(平均幅)Wの5倍以上の場合とする。端子部3Bは、リード部3Aと繋がっている。
【0011】
リード部3Aと端子部3Bとは電気的に繋がっている。ここで、リード部3Aと端子部3Bとが電気的に接続されている状態というのは、リード部3Aと端子部3Bとの間で電流が通じる状態のことである。なお、リード部3Aと端子部3Bとは電気的に繋がっている状態というのは、リード部3Aと端子部3Bとが金属的に接続されている状態の他、両者が同じ膜で形成されていて接合部分などが認められない場合も含む。
【0012】
端子部3Bは、絶縁板1の表面1a上において、リード部3Aの末端3Ae1に電気的に接続されている。端子部3Bは、電解銅めっき膜3b上に電解ニッケルめっき膜3cを有する。端子部3Bは、銅シード層3a、電解銅めっき膜3bおよび電解ニッケルめっき膜3cを有する。端子部3Bは、絶縁板1の第1面1aから銅シード層3a、電解銅めっき膜3b、電解ニッケルめっき膜3cがこの順に重なるように配置されている。
【0013】
印刷配線板Aでは、導体3を構成しているリード部3Aが銅シード層3aと電解銅めっき膜3bとの2層で構成されているのに対し、このリード部3Aに繋がっている端子部3Bは電解銅めっき膜3b上にさらに電解ニッケルめっき膜3cを備えた構成である。このため、端子部3Bはリード部3Aに比べて電解ニッケルめっき膜3cの分だけ厚みが局所的に厚くなっている。この場合も、リード部3Aと端子部3Bとは、銅シード層3a、電解銅めっき膜3bの層で繋がっている。端子部3Bの表面3Baの位置はリード部3Aの表面3Aaの位置よりも電解ニッケルめっき膜3cの厚みの分だけ一段高くなっている。端子部3Bの表面3Baはリード部3Aの表面3Aaとの間で一段高い位置にある。印刷配線板Aでは、端子部3Bだけが電子部品などの他の部品との電気的な接続を担う部分になっている。電子部品などの他の部品との電気的な接続を行うために接合材が端子部3Bの表面3Baに置かれたときに、接合材がリード部3Aにまで広がりにくい。その結果、接合面積の小さい端子部3Bを得ることが可能になる。
【0014】
また、端子部3Bの厚みがリード部3Aの厚みよりも電解ニッケルめっき膜3cの分だけ厚くなっているため、端子部3Bと他の部品との電気的な接続を行ったときに、端子部3Bの長さ(高さ)の分だけ、端子部3Bに発生する応力を小さくすることができる。この場合、銅シード層3aと電解銅めっき膜3bとは、絶縁板1を電解銅めっき膜3b側から平面視したときに、同じ平面形状かつ同じ面積であるのがよい。電解銅めっき膜3bは、銅シード層3aの形状に一致する形状であるがよい。ここで、同じ面積とは、銅シード層3aの面積をA1、電解銅めっき膜3bの面積をA2としたときに、A2/A1比が0.98~1.02の範囲に入るものとする。実施形態の印刷配線板Aでは、端子部3Bを側面から見ると、銅シード層3a、電解銅めっき膜3bおよび電解ニッケルめっき膜3cの各層が層状に配置されている様相を呈する。この場合、端子部3Bはリード部3Aの端3Ae1に電気的に接続された構造となっている。
【0015】
特許文献1に開示された方法により形成される導体の場合には、電解銅めっき膜、電解ニッケルめっき膜および電解金めっき膜のうち、電解金めっき膜以外の電解銅めっき膜および電解ニッケルめっき膜の側面がエッチング液により荒れているが、印刷配線板Aを構成する導体3はその側面が荒れていない面になっている。例えば、銅シード層3a、電解銅めっき膜3bおよび電解ニッケルめっき膜3cの側面の表面粗さ(Ra)が0.05μm以下である。特許文献1に開示された方法により形成される導体の場合、その側面の表面粗さ(Ra)は0.1μmを超える部分が見られる。
【0016】
図1に示した印刷配線板Aは、絶縁板と、上記構成の導体を備えるものであればよく、絶縁板および導体以外の構成の有無を限定するものではない。印刷配線板Aは、
図1に示した部分は平面方向に繰り返される構造にまで及ぶ。印刷配線板Aは、
図1に示した部分を複数の箇所に備える構造も含む。
図1に示した印刷配線板Aでは、リード部3Aの端3Ae2が絶縁板1の端面1bに近い位置になっているが、リード部3Aの端3Aa2は、絶縁板1の表面1aにおいて、端面1bの位置よりも内側の位置に配置されていてもよい。ここで、端面1bの位置よりも内側の位置というのは、端面1bの位置より内側へリード部3Aの幅W1ほど入ったところである。
【0017】
図2は、第2実施形態として示す印刷配線板Bを部分的に示す斜視図である。印刷配線板Bの場合、端子部3Bは、電解ニッケルめっき膜3cの上面を覆う電解金めっき膜3dを有していてもよい。端子部3Bは、電解ニッケルめっき膜3c上に電解金めっき膜3dが重なるように配置されていてもよい。電解金めっき膜3dと電解ニッケルめっき膜3cとは同じ面積であるのがよい。ここで、同じ面積とは、電解ニッケルめっき膜3cの面積をA3、電解金めっき膜3dの面積をA4としたときに、A4/A3比が0.98~1.02の範囲に入るものとする。実施形態の印刷配線板Bにおいても、端子部3Bは、銅シード層3a、電解銅めっき膜3b、電解ニッケルめっき膜3cおよび電解金めっき膜3d
の各層が層状に配置されている。この場合、電解金めっき膜3dを含む金属層の側面の表面粗さ(Ra)は0.05μm以下である。
【0018】
この場合、電解金めっき膜3dの面積A4は電解ニッケルめっき膜3cの面積A3よりも大きくてもよい。端子部3Bの一部となっている電解ニッケルめっき膜3c上に形成された金めっき膜が電解金めっき膜3dであるため電解ニッケルめっき膜3cと電解金めっき膜3d膜との間の接合強度を高めることができる。これにより、マザーボード、電子部品などの他の部品との間で接続信頼性の高い印刷配線板を得ることができる。この場合、また、端子部3Bの部分に電解ニッケルめっき膜3cに加えて電解金めっき膜3dを重ねて形成しているため、電解金めっき膜3dの分だけ厚みがさらに厚くなっている。このため、端子部3Bと他の部品との電気的な接続を行ったときに、端子部3Bの長さ(高さ)の分だけ、端子部3Bに発生する応力をさらに小さくすることができる。
【0019】
また、この印刷配線板Aでは、端子部3Bは、平面視形状が等方的であるのがよい。端子部3Bは印刷配線板Aを平面視したときに、等方的な形状(例えば、円、または正方形、六角形、八角形などの多角形状)であり、各辺の途中に凸状に突き出た部分を有しない。つまり、端子部に信号経路から飛び出すようなスタブ構造を有しないため、インピーダンス不整合の発生を抑えることができる。この場合、端子部3Bの好ましい平面視形状としては、円の他、六角形、八角形などがよい。
【0020】
図3は、第3実施形態として示す印刷配線板Cを部分的に示す斜視図である。
図4は、
図3のiv-iv線断面図である。印刷配線板Cは、少なくとも一部の電解金めっき膜3dを除く領域にソルダーレジスト膜5を有している。ソルダーレジスト膜5は、平面視において、電解金めっき膜3dから離れた部分を有していてもよい。ソルダーレジスト膜5が電解金めっき膜3dから離れた部分では、電解金めっき膜3d上に付与される電子部品など他の部品との間で電気的な接続を担う接合材が付着しにくくなっている。ソルダーレジスト膜5と電解金めっき膜3dとが離れた部分では、接合材がAu-Ag-Sn、Au-Snなどの金属材料である場合、電解金めっき膜3d上において接合材が高温に加熱されても、接合材がソルダーレジスト膜5に接しにくいために、接合材からソルダーレジスト膜5へ熱的なダメージを与えるのを抑えることができる。
【0021】
接合材が有機成分を含む導電性接着材である場合、この場合、接合材がソルダーレジスト膜5に接しにくいために、接合材に含まれる有機成分がソルダーレジスト膜5に対して化学的なダメージを与えるのを抑えることができる。こうしてソルダーレジスト膜5の耐久性の高い状態を維持することが可能な印刷配線板Cを得ることができる。
【0022】
次に、実施形態の印刷配線板Aの製造方法について、
図5~
図13を用いて説明する。
図5~
図13にそれぞれ示した第1~第9基材は、それぞれ以下に示す第1~第9工程によって得られる基材に対応する。
【0023】
図5は、第1工程によって得られる第1基材11を部分的に示す斜視図である。第1工程では、絶縁板11Aの少なくとも一方の表面に(第1面11Aa)上に銅シード層11Bを貼り付けて第1基材11を形成する。絶縁板11Aは、有機樹脂を主成分として含む。絶縁板11Aは、ガラスクロス、ガラス不織布、樹脂製の不織布などの群から選ばれるいずれかを含んでいてもよい。銅シード層11Bの材料は、導電性の金属箔である。銅シード層11Bには、例えば、厚みが1~5μmの薄銅箔を用いても良い。
【0024】
図6は、第2工程によって得られる第2基材21を部分的に示す斜視図である。第2工程では、第1基材11の銅シード層11B上に第1めっきレジスト膜21Aを形成する。第1めっきレジスト膜21Aとしては、電解パターンめっき専用のドライフィルム(例え
ば、日立化成(株)製 RY-3525)が用いられる。第1めっきレジスト膜21Aは、銅シード層11Bの表面にラミネートされて形成される。
【0025】
図7は、第3工程によって得られる第3基材31を部分的に示す斜視図である。第3工程では、第1めっきレジスト膜21A上に第1マスク(不図示)を配置し、露光処理および現像処理を行い、導体3に対応する第1開口部31Aを形成する。この場合、第1開口部31Aの設計は、リード部3Aに対応する部分は直線状であり、端子部3Bに対応する部分は、その平面視したときの形状が等方的な形状になるようにする。
【0026】
図8は、第4工程によって得られる第4基材41を部分的に示す斜視図である。第4工程では、第1めっきレジスト膜21Aに形成された第1開口部31Aに電解銅めっき膜41Aを形成する。
【0027】
図9は、第5工程によって得られる第5基材51を部分的に示す斜視図である。第5工程では、第1めっきレジスト膜21A上および電解銅めっき膜41A上に第2めっきレジスト膜51Aを形成する。第2めっきレジスト膜51Aには、第1めっきレジスト膜21Aと同じ材料を用いても良い。
【0028】
図10は、第6工程によって得られる第6基材61を部分的に示す斜視図である。第6工程では、第2めっきレジスト膜51A上に第2マスク(不図示)を配置し、露光処理および現像処理を行い、端子部3Bに対応する第2開口部61Aを形成する。
【0029】
図11は、第7工程によって得られる第7基材71を部分的に示す斜視図である。第7工程では、第2めっきレジスト膜51Aに設けた第2開口部61Aに電解ニッケルめっき膜71Aを形成する。
【0030】
図12は、第8工程によって得られる第8基材81を部分的に示す斜視図である。第8工程では、絶縁板11Aに形成した銅シード層11B上および電解銅めっき膜41A上から第1めっきレジスト膜21Aおよび第2めっきレジスト膜51Aを除去する。銅シード層11B上に、パターン加工された電解銅めっき膜41A、電解ニッケルめっき膜71Aが出現する。
【0031】
図13は、第9工程によって得られる第9基材91を部分的に示す斜視図である。第9工程では、絶縁板11Aの全面に形成されたままになっている銅シード層11Bを部分的に除去する。第9基材91は、第8基材81から銅シード層11Bが部分的に除かれたものである。銅シード層11Bを除去する部分は、後に導体3となる電解銅めっき膜3bの部分を除く領域である。銅シード層11Bを部分的に除去する方法としては、フラッシュエッチングを用いるのがよい。フラッシュエッチングは、過酸化水素/硫酸系を用いるの
がよい。
【0032】
以上の工程により、リード部3Aが銅シード層11Bと電解銅めっき膜41Aによって形成されており、端子部3Bが電解銅めっき膜41A上に電解ニッケルめっき膜71Aを有する印刷配線板(印刷配線板Aに相当)を得ることができる。
【0033】
次に、
図14~
図16を用いて印刷配線板Bを形成する方法について説明する。
図14は、第10工程によって得られる第10基材101を部分的に示す斜視図である。電解ニッケルめっき膜3cの上面に電解金めっき膜3dを設けた印刷配線板Bを形成する場合には、
図14に示しているように、
図11に示した第7基材71の電解ニッケルめっき膜71A上に電解金めっき膜101Aを形成すればよい。
【0034】
図15は、第11工程によって得られる第11基材111を部分的に示す斜視図である。電解金めっき膜101Aを形成した後は、
図12に示した工程と同様に、絶縁板11Aに形成した銅シード層11B上および電解銅めっき膜41A上から第1めっきレジスト膜21Aおよび第2めっきレジスト膜51Aを除去する。この場合、銅シード層11B上に、パターン加工された電解銅めっき膜41A、電解ニッケルめっき膜71Aに加えて電解金めっき膜101Aが出現する。
【0035】
図16は、第12工程によって得られる第12基材121を部分的に示す斜視図である。第12工程における銅シード層11Bの除去は、
図13に示した第9基材を得る工程と同様の方法を採用すればよい。
【0036】
以上の工程により、リード部3Aが銅シード層11Bと電解銅めっき膜41Aによって形成されており、端子部3Bが銅シード層11B、電解銅めっき膜41A上に電解ニッケルめっき膜71Aおよび電解金めっき膜101Aを有する印刷配線板(印刷配線板Bに相当)を得ることができる。
【0037】
次に、
図17および
図18を用いて印刷配線板Cを形成する方法について説明する。
図17は、第13工程によって得られる第13基材131を部分的に示す斜視図である。
図17に示した第13工程は、
図16に示した第12基材121を例にしている。第12基材は端子部3Bに対応する部分に電解ニッケルめっき膜71Aおよび電解金めっき膜101Aが形成されている。第13工程では、第12基材に対して、電解ニッケルめっき膜71Aおよび電解金めっき膜101Aの部分を除く領域にソルダーレジスト膜131Aを形成する。当該実施形態の印刷配線板の製造方法では、電解金めっき膜101Aを形成した後に、ソルダーレジスト膜131Aを形成する。
【0038】
従来の方法は、ソルダーレジスト膜を形成し、このソルダーレジスト膜に開口部を設けた後、その開口部に電解金めっき膜を形成する。実施形態の製造方法と従来の製造方法とは、電解金めっき膜の形成工程とソルダーレジスト膜の形成工程の順序が逆である。実施形態の製造方法では、電解金めっき膜を形成した後にソルダーレジスト膜を形成するため、ソルダーレジスト膜が電解金めっき用の薬剤に侵されることが無い。また、ソルダーレジスト膜と下地の金属膜(この場合、電解銅めっき膜41A)の層間に浸入することも無い。実施形態の製造方法によれば、電解金めっき膜101Aとソルダーレジスト膜131Aとの間で密着性の高い状態にすることができる。その結果、耐久性の高い印刷配線板を得ることができる。
【0039】
図18は、第9基材または第12基材にソルダーレジスト膜を形成するときの他の態様を示す斜視図である。
図4にて説明した印刷配線板Cを作製する場合について説明する。印刷配線板Cは、印刷配線板を平面視したときに、ソルダーレジスト膜131Aが電解金めっき膜101Aの縁101Aaからから離れた部分を有する構造である。このような構造の印刷配線板Cを得る場合、例えば、先に形成した電解金めっき膜101Aを露出させるソルダーレジスト膜131Aの開口部のサイズを電解金めっき膜101Aのサイズよりも大きくするとよい。
図18に示しているように、電解金めっき膜101Aの形状が円形である場合、電解金めっき膜101Aの直径をD1、ソルダーレジスト膜131Aに形成される開口部131Aaの直径をD2としたときに、D1<D2の関係となる第3マスク(不図示)を用いるとよい。この場合、ソルダーレジスト膜131Aは電解金めっき膜101Aの周縁部の一部に接している状態でもよいが、電解金めっき膜101Aの周縁部の全周にわたってソルダーレジスト膜131Aが接していない状態でもよい。電解金めっき膜101Aの周縁部の全周にわたってソルダーレジスト膜131Aが接していない状態であると、ソルダーレジスト膜131Aが電解金めっき膜101A上に付与される接合材によって熱的または化学的に受けるダメージの発生をさらに抑えることができる。
【符号の説明】
【0040】
A、B、C・・・・・・・印刷配線板
1・・・・・・・・・・・絶縁板
1a・・・・・・・・・・第1面
3・・・・・・・・・・・導体
3A・・・・・・・・・・リード部
3B・・・・・・・・・・端子部
3a、11B・・・・・・銅シード層
3b、41A・・・・・・電解銅めっき膜
3c、71A・・・・・・電解ニッケルめっき膜
3d、101A・・・・・電解金めっき膜
21A・・・・・・・・・第1めっきレジスト膜
31A・・・・・・・・・第1開口部
51A・・・・・・・・・第2めっきレジスト膜
61A・・・・・・・・・第2開口部