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特許7555215確認項目生成装置、確認項目生成方法およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】確認項目生成装置、確認項目生成方法およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06F 40/253 20200101AFI20240913BHJP
   G06F 40/56 20200101ALI20240913BHJP
   G06Q 10/10 20230101ALI20240913BHJP
【FI】
G06F40/253
G06F40/56
G06Q10/10
【請求項の数】 5
(21)【出願番号】P 2020133456
(22)【出願日】2020-08-06
(65)【公開番号】P2022029885
(43)【公開日】2022-02-18
【審査請求日】2023-05-19
(73)【特許権者】
【識別番号】591036457
【氏名又は名称】三菱電機エンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 摩衣子
(72)【発明者】
【氏名】中野 哲
【審査官】長 由紀子
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-026418(JP,A)
【文献】特開2004-164672(JP,A)
【文献】中村 伊知郎 外4名,設計書作成過程でプッシュ型デザインレビューを実現する不具合未然防止システムnaviQとその事例紹介 ,SIG-KST:知識・技術・技能の伝承支援研究会 第2回研究会 [online] ,日本,人工知能学会,2017年11月28日,pp.1-6,"Implementation and Application Examples of naviQ, a Push-Style Design Review System for Technical Specifications"
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06F 40/00-58
G06F 16/00-958
G06Q 10/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
製品の仕様書の構造を解析した結果を用いて、前記仕様書に含まれる表形式または箇条書き形式の部分を判別する構造解析部と、
前記構造解析部により判別された前記仕様書の前記部分含まれる単語、文字列または文章を用いて、当該部分に対応する製品仕様に関連した文章を生成し、生成された文章を含む処理対象仕様書についての文章を生成する文章生成部と、
製品仕様の確認項目が蓄積された蓄積データにおける確認項目に対応する文章と、前記文章生成部により生成された前記処理対象仕様書について文章とを取得し、両者が似ている度合いを数値化した似たもの指数を算出する似たもの分析部と、
前記似たもの指数に基づいて前記蓄積データから抽出された確認項目に対応する文章と前記文章生成部により生成された前記処理対象仕様書についての文章とにおける確認項目の条件および前記条件に対する結果を表す各処理用文字列を用いて、前記処理対象仕様書についての確認項目を生成する項目生成部と、
を備えたことを特徴とする確認項目生成装置。
【請求項2】
前記文章生成部は、製品仕様に関連する単語と、単語の意味合いを表す処理用文字列とが対応付けられた対象製品記述ルールに従い、生成した文章に含まれる単語を、前記処理用文字列に置き換え、
前記似たもの分析部は、前記蓄積データから抽出された製品仕様の確認項目に対応する文章に含まれる単語が前記処理用文字列に置き換えられた文章と、前記処理対象仕様書について生成された文章に含まれる単語が前記処理用文字列に置き換えられた文章との間の似たもの指数を算出すること
を特徴とする請求項1に記載の確認項目生成装置。
【請求項3】
前記項目生成部は、
前記対象製品記述ルールに従って、前記処理対象仕様書について生成された文章に含まれる単語が前記処理用文字列に置き換えられた文章から、確認項目の条件を指定する意味合いを有した単語を特定し、特定された単語に係り受けが対応する前記処理用文字列を、前記条件を表す前記処理用文字列に置き換え、
前記対象製品記述ルールに従って、前記処理対象仕様書について生成された文章に含まれる単語が前記処理用文字列に置き換えられた文章から、前記条件に対する前記結果を指定する意味合いを有した単語を特定し、特定された単語に係り受けが対応する前記処理用文字列を、前記結果を表す前記処理用文字列に置き換え、
前記蓄積データから抽出した確認項目のフォーマットに前記条件および前記結果を表す前記処理用文字列を設定することにより、確認項目を生成すること
を特徴とする請求項2に記載の確認項目生成装置。
【請求項4】
構造解析部が、製品の仕様書の構造を解析した結果を用いて、前記仕様書に含まれる表形式または箇条書き形式の部分を判別するステップと、
文章生成部が、前記構造解析部により判別された前記仕様書の前記部分含まれる単語、文字列または文章を用いて、当該部分に対応する製品仕様に関連した文章を生成し、生成された文章を含む処理対象仕様書についての文章を生成するステップと、
似たもの分析部が、製品仕様の確認項目が蓄積された蓄積データにおける確認項目に対応する文章と、前記文章生成部により生成された前記処理対象仕様書について文章とを取得し、両者が似ている度合いを数値化した似たもの指数を算出するステップと、
項目生成部が、前記似たもの指数に基づいて前記蓄積データから抽出された確認項目に対応する文章と前記文章生成部により生成された前記処理対象仕様書についての文章とにおける確認項目の条件および前記条件に対する結果を表す各処理用文字列を用いて、前記処理対象仕様書についての確認項目を生成する項目生成部ステップと、
を備えたことを特徴とする確認項目生成方法。
【請求項5】
コンピュータを、
製品の仕様書の構造を解析した結果を用いて、前記仕様書に含まれる表形式または箇条書き形式の部分を判別する構造解析部、
前記構造解析部により判別された前記仕様書の前記部分含まれる単語、文字列または文章を用いて、当該部分に対応する製品仕様に関連した文章を生成し、生成された文章を含む処理対象仕様書についての文章を生成する文章生成部、
製品仕様の確認項目が蓄積された蓄積データにおける確認項目に対応する文章と、前記文章生成部により生成された前記処理対象仕様書について文章とを取得し、両者が似ている度合いを数値化した似たもの指数を算出する似たもの分析部、
前記似たもの指数に基づいて前記蓄積データから抽出された確認項目に対応する文章と前記文章生成部により生成された前記処理対象仕様書についての文章とにおける確認項目の条件および前記条件に対する結果を表す各処理用文字列を用いて、前記処理対象仕様書についての確認項目を生成する項目生成部項目生成部、
として機能させるためのプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、確認項目生成装置、確認項目生成方法およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
製品仕様書の文章を言語解析することにより製品仕様の矛盾を指摘する技術が知られている。例えば、特許文献1に記載された仕様検証装置は、自然言語で記述された要求仕様を形態素解析することにより単語と品詞とに分解し、係り受け解析により少なくとも1つの単語を含む文節と、文節間の係り受け関係を表した構文データを得る。次に、当該仕様検証装置は、仕様解析ルールに従い構文データを解析することにより、動詞の単語を含む文節ごとに、動詞と、動詞に対する主語と、動詞に対する目的語と、動詞と目的語とにより定まる動作が行われる前に成立している必要がある事前条件とに関する項目を含む意味表現データを生成する。そして、当該仕様検証装置は、意味表現データを検査することにより、意味表現データにおいて不備のある項目を検出する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-81680号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載された仕様検証装置は、要求仕様から得られた構文データを仕様解析ルールに従って解析することにより、仕様の意味表現データを生成している。このため、特許文献1に記載された仕様検証装置を製品仕様の確認項目の生成に使用した場合、仕様解析ルールが示す予め定められた文章構造の確認項目しか生成できず、製品仕様の確認に必要な項目に漏れが生じる可能性があるという課題があった。
【0005】
本開示は上記課題を解決するものであり、予め定められた文章構造に限定されずに製品仕様の確認項目を生成することができる確認項目生成装置、確認項目生成方法およびプログラムを得ることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る確認項目生成装置は、製品の仕様書の構造を解析した結果を用いて、仕様書に含まれる表形式または箇条書き形式の部分を判別する構造解析部と、構造解析部により判別された仕様書の部分含まれる単語、文字列または文章を用いて、当該部分に対応する製品仕様に関連した文章を生成し、生成された文章を含む処理対象仕様書についての文章を生成する文章生成部と、製品仕様の確認項目が蓄積された蓄積データにおける確認項目に対応する文章と、文章生成部により生成された処理対象仕様書について文章とを取得し、両者が似ている度合いを数値化した似たもの指数を算出する似たもの分析部と、前記似たもの指数に基づいて蓄積データから抽出された確認項目に対応する文章と文章生成部により生成された処理対象仕様書についての文章とにおける確認項目の条件および条件に対する結果を表す各処理用文字列を用いて、処理対象仕様書についての確認項目を生成する項目生成部項目生成部と、を備える。
【発明の効果】
【0007】
本開示によれば、製品の確認項目が蓄積された蓄積データにおける確認項目に対応する文章と、処理対象仕様書の構造に基づいて生成された文章との間における似たもの指数を算出し、似たもの指数に基づいて蓄積データから抽出された製品の確認項目を用いて、処理対象仕様書から確認項目が生成される。蓄積された製品の確認項目のうち、処理対象仕様書の構造に基づいて生成された文章に似ている確認項目が、処理対象仕様書から確認項目を生成する処理に用いられる。これにより、本開示に係る確認項目生成装置は、予め定められた文章構造に限定されずに製品仕様の確認項目を生成することができる。また、蓄積データから抽出した確認項目を用いることにより、確認項目の質が一定化し、製品仕様の確認に必要な項目の漏れを防ぐことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態1に係る確認項目生成装置の構成を示すブロック図である。
図2】実施の形態1に係る確認項目生成方法を示すフローチャートである。
図3】対象製品記述ルールの例を示す図である。
図4】文章に含まれる単語を処理用文字列へ置き換える処理の概要を示す図である。
図5】蓄積データにおける確認事項に対応する文章の例を示す図である。
図6】処理対象仕様書から生成された文章の例を示す図である。
図7】似たもの分析の概要を示す図である。
図8】条件を表す処理用文字列に単語を置き換える処理と、結果を表す処理用文字列に単語を置き換える処理との概要を示す図である。
図9】蓄積データにおける確認事項に対応する文章から確認項目を生成する処理の概要を示す図である。
図10】処理対象仕様書の文章から確認項目を生成する処理の概要を示す図である。
図11図11Aは、実施の形態1に係る確認項目生成装置の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図であり、図11Bは、実施の形態1に係る確認項目生成装置の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、実施の形態1に係る確認項目生成装置1の構成を示すブロック図である。確認項目生成装置1は、製品仕様の確認項目の蓄積データ3を用いて、処理対象仕様書を示す仕様書データ2から製品仕様の確認項目を生成する。仕様書データ2は、製品仕様の確認項目が生成されていない処理対象仕様書を示すデータである。蓄積データ3は、製品開発において製品の品質を保証した実績がある確認項目が蓄積されたデータである。例えば、確認項目生成装置1は、処理対象仕様書の構造に基づいて生成した文章に似た文章に対応する確認項目を蓄積データ3から抽出し、抽出した確認項目を用いて処理対象仕様書から製品仕様の確認項目を生成する。例えば、確認項目生成装置1は、生成した確認項目を、表示装置4に表示する。
【0010】
図1において、確認項目生成装置1は、構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14を備える。構造解析部11は、製品の仕様書の構造を解析することにより仕様書の構造を定義する。例えば、構造解析部11は、処理対象仕様書を示す仕様書データ2を読み出し、処理対象仕様書の構造を解析する。仕様書の構造には、例えば、表形式の構造または箇条書き形式の構造がある。
【0011】
文章生成部12は、製品仕様に関連する単語と処理用文字列とが対応付けられた対象製品記述ルールに従って、文章に含まれる単語を処理用文字列に置き換える。処理用文字列とは、単語の意味合いを表す文字列である。例えば、「レジスタ」、「メモリ」、「信号」、「ビット」または「バッファ」といった単語は、製品仕様を規定するリソースの意味合いを有している。これらに対応する処理用文字列は、例えば、「$リソース$」である。すなわち、意味合いがリソースである単語は、同じ意味合いを表す共通の処理用文字列「$リソース$」に置き換えられる。
【0012】
また、「A信号」というように意味合いがリソース名である単語に対応する処理用文字列は、「$リソース名$」である。すなわち、意味合いが同じリソース名である単語は、例えば、同じ意味合いを表す共通の処理用文字列「$リソース名$」に置き換えられる。文章生成部12は、対象製品記述ルールに従い、処理対象仕様書から生成した文章に含まれる単語を、その意味合いに対応する処理用文字列に置き換え、蓄積データ3における確認項目に対応する文章に含まれる単号を、その意味合いに対応する処理用文字列に置き換える。
【0013】
さらに、文章生成部12は、処理対象仕様書の構造に基づいて、製品仕様に関連した文章を生成する。例えば、文章生成部12は、処理対象仕様書の構造に表が含まれる場合、この表に含まれる単語を用いて、製品仕様に関連した文章を生成する。また、文章生成部12は、処理対象仕様書の構造に複数の文章の箇条書きが含まれ、箇条書きの文章間に関連がある場合、関連のある個々の文章を組み合わせた文章を、製品仕様に関連した文章として生成する。
【0014】
似たもの分析部13は、蓄積データ3における確認項目に対応する文章と処理対象仕様書の構造に基づいて生成された文章とを取得し、両者が似ている度合いを数値化した似たもの指数を算出する。例えば、似たもの分析部13は、蓄積データ3における確認項目に対応し単語が処理用文字列に置き換えられた文章と、処理対象仕様書から生成され単語が処理用文字列に置き換えられた文章とにおいて、各文章中の単語数に対する両文章で意味合いが一致した単語数の割合を算出し、各文章の割合の平均値を両文章間の似たもの指数として算出する。
【0015】
項目生成部14は、似たもの指数に基づいて蓄積データ3から抽出した製品の確認項目を用いて、処理対象仕様書から確認項目を生成する。例えば、項目生成部14は、単語を処理用文字列に置き換えた文章における、確認項目の条件に対応する処理用文字列を、条件を表す処理用文字列に置き換え、条件に対する結果に対応する処理用文字列を、結果を表す前記処理用文字列に置き換える。そして、項目生成部14は、蓄積データ3における確認項目に対応する文章と、処理対象仕様書の構造に基づいて生成された文章とにおける条件および結果を表す処理用文字列を用いて、確認項目を生成する。
【0016】
図2は、実施の形態1に係る確認項目生成方法を示すフローチャートである。
まず、構造解析部11は、処理対象仕様書を示す仕様書データ2を取得し、取得した仕様書データ2を用いて処理対象仕様書の構造を解析する(ステップST1)。仕様書の構造には、例えば、表形式の構造または箇条書き形式の構造がある。
【0017】
次に、文章生成部12は、処理対象仕様書の構造に基づいて、製品仕様に関連した文章を生成する(ステップST2)。例えば、文章生成部12は、処理対象仕様書の構造に表が含まれる場合に、この表に含まれる単語を用いて製品仕様に関連した文章を生成する。また、処理対象仕様書に箇条書きがあり、箇条書きの文章間に関連がある場合、文章生成部12は、関連のある個々の文章を組み合わせた文章を、製品仕様に関連した文章として生成する。
【0018】
文章生成部12は、対象製品記述ルールに従って、処理対象仕様書から生成した文章に含まれる単語を、その意味合いに対応する処理用文字列に置き換え、蓄積データ3における確認項目に対応する文章に含まれる単号を、その意味合いに対応する処理用文字列に置き換える。図3は、対象製品記述ルール12Aの例を示す図である。対象製品記述ルール12Aは、製品仕様に関連する単語と、その単語の意味合いを表す処理用文字列との対応関係が記述され、さらに、確認項目の条件を示す単語とこの条件に対する結果を示す単語とが記述されたルールである。
【0019】
図3に示す対象製品記述ルール12Aにおいて、「レジスタ」、「メモリ」、「信号」、「ビット」または「バッファ」といった単語は、製品仕様を規定するリソースの意味合いを有するので、これらの単語に対応する処理用文字列は、「$リソース$」である。「英数文字」に続いて文字列「リソース」が記述された単語は、「リソース名」を表す処理用文字列に対応する。
【0020】
リソース属性には、確認項目の条件および結果がある。「条件」を指定する意味合いを有した単語は、例えば、「状態」、「場合」または「時」である。これらの単語のいずれかが文章から検出されると、検出された単語の前に記述されたリソース名および値が、「条件」を示す単語である。「結果」を指定する意味合いを有した単語は、例えば、「設定」、「動作」、「転送」、「要求」、「選択」または「なる」である。これらの単語のいずれかが文章から検出されると、検出された単語の前に記述されたリソース名および値が、「結果」を示す単語である。
【0021】
図4は、文章C1に含まれる単語を処理用文字列へ置き換える処理の概要を示す図である。文章生成部12は、対象製品記述ルール12Aに従って、「BレジスタはA信号が1の時に2になる」という文章C1に含まれる単語を処理用文字列に置き換える。文章C1に含まれる、単語「レジスタ」と単語「信号」は、対象製品記述ルール12Aに従って「$リソース$」に置き換えられる。これにより、文章C2が生成される。
【0022】
文章生成部12は、「B$リソース$」という部分における「B」がリソース名を示す「英数文字」であるので、「B$リソース$」を「$リソース名$」に置き換え、「A$リソース$」という部分における「A」がリソース名を示す「英数文字」であるので、「A$リソース$」を「$リソース名$」に置き換える。これにより、文章C3が生成される。さらに、文章C3における「1」および「2」は、数値の意味合いを有するので、「1」および「2」に対応する処理用文字列は、「$値$」である。文章生成部12は、文章C3における「1」および「2」を「$値$」に置き換える。これにより、文章C4が生成される。
【0023】
図2において、似たもの分析部13は、蓄積データ3における確認項目に対応する文章と、処理対象仕様書の構造に基づいて生成された文章とを取得し、両文章間の似たもの指数を算出する(ステップST3)。図5は、蓄積データ3における確認項目に対応する文章の例を示す図である。図6は、処理対象仕様書から生成された文章の例を示す図である。文章生成部12は、図5および図6に示すように、単語を処理用文字列に置き換えた文章C4aおよびC4bを生成して似たもの分析部13に出力する。
【0024】
似たもの分析部13は、図5に示すように、文章C4aに含まれる単語のみを分析対象とするために、文章C4aを単語と助詞とに分割し、助詞を取り除いた文章C5aを生成する。同様に、似たもの分析部13は、図6に示すように、文章C4bに含まれる単語のみを分析対象とするために、文章C4bを単語と助詞とに分割し、助詞を取り除いた文章C6aを生成する。
【0025】
図7は、似たもの分析の概要を示す図である。似たもの分析部13は、図7に示すように、文章C5aに含まれる単語と文章C6aに含まれる単語を、文章の先頭から順に比較することにより一致した単語の数を算出する。文章C5aは、「$リソース名$」、「$リソース名$」、「$値$」、「時」、「$値$」および「なる」からなり、文章C6aは、「$リソース名$」、「$値$」、「場合」、「$リソース名$」、「$値$」および「なる」からなる。文章C5aと文章C6aとの間で一致する単語の数は「5」である。
【0026】
続いて、似たもの分析部13は、文章C6aの単語に対して文章C5aの単語が一致した割合Iaを算出し、文章C5aの単語に対して文章C6aの単語が一致した割合Ibを算出し、これらの割合の平均値を似たもの指数Iとして算出する。図7において、文章C5aの単語数は6であり、文章C6aの単語に一致した単語数が5であるので、割合Iaは、5/6=0.8333となる。文章C6aの単語数は6であり、文章C5aの単語に一致した単語数が5であるので、割合Ibは、5/6=0.8333となる。従って、似たもの指数Iは、(0.8333+0.8333)/2=0.8333である。
【0027】
文章生成部12および似たもの分析部13は、ステップST2からステップST3までの処理を、蓄積データ3における全ての確認項目にそれぞれ対応する文章に対して実行する。これにより、蓄積データ3における各確認項目に対応する文章と処理対象仕様書から生成された文章との似たもの指数Iが算出される。
【0028】
図2において、項目生成部14は、似たもの指数に基づいて蓄積データ3から抽出した製品の確認項目を用いて、処理対象仕様書から確認項目を生成する(ステップST4)。例えば、項目生成部14は、蓄積データ3に蓄積された確認項目のうち、処理対象仕様書から生成された文章との間の似たもの指数Iが最大である確認項目を、蓄積データ3から抽出する。また、項目生成部14は、似たもの指数が一定の閾値以上である確認項目を蓄積データ3から抽出してもよい。
【0029】
項目生成部14は、対象製品記述ルール12Aに従って、文章の条件に対応する処理用文字列を、条件を表す処理用文字列に置き換え、条件に対する結果に対応する処理用文字列を、結果を表す前記処理用文字列に置き換える。この置き換え処理は、似たもの指数Iに基づいて蓄積データ3から抽出された文章に実行され、処理対象仕様書から生成された文章に実行される。また、両文章は、単語が処理用文字列に置き換えられた文章である。
【0030】
図8は、条件を表す処理用文字列に単語を置き換える処理と、結果を表す処理用文字列に単語を置き換える処理との概要を示す図である。項目生成部14は、対象製品記述ルール12Aに従って、「$リソース名$は$リソース名$が$値$の時に$値$になる」という文章C4における、条件の意味合いを有する単語を、条件を表す処理用文字列に置き換える。例えば、文章C4に含まれる単語である「時」は、対象製品記述ルール12Aにより、条件を指定する意味合いを有した単語であると判断されて、単語「時」の前に記述された「リソース名」が、条件を表す処理用文字列である「$条件$」に置き換えられ、単語「時」の前に記述された「値」が、条件を表す処理用文字列である「$条件値$」に置き換えられる。これにより、文章C7が生成される。
【0031】
続いて、項目生成部14は、対象製品記述ルール12Aに従って、「$リソース名$は$条件$が$条件値$の時に$値$になる」という文章C7における、結果の意味合いを有する単語を、結果を表す処理用文字列に置き換える。例えば、文章C7に含まれる単語である「なる」は、対象製品記述ルール12Aにより、結果を指定する意味合いを有した単語であると判断されて、単語「なる」の前に記述された「リソース名」が、結果を表す処理用文字列である「$結果$」に置き換えられ、単語「なる」の前に記述された「値」が、結果を表す処理用文字列である「$結果値$」に置き換えられる。これにより、文章C8が生成される。
【0032】
図9は、蓄積データ3における確認事項に対応する文章から確認項目を生成する処理の概要を示す図である。図10は、処理対象仕様書の文章から確認項目を生成する処理の概要を示す図である。項目生成部14は、似たもの指数Iに基づいて蓄積データ3から抽出され助詞が取り除かれた文章C5aを用いて、処理対象仕様書から生成され助詞が取り除かれた文章C6aから、確認項目C13を生成する。
【0033】
項目生成部14は、図9に矢印で示すように、文章C5aにおいて、条件を指定する意味合いを有した単語である「場合」の前に記述された「$リソース名$」と「$値$」のペアを、条件を表す処理用文字列に置き換える。「$リソース名$」は、「$条件$」に置き換えられ、「$値$」は、「$条件値$」に置き換えられる。なお、条件を指定する意味合いを有した単語の前に、複数の「$リソース名$」と「$値$」が記述されている場合、「$リソース名$」または「$値$」の重複がないようにペアが設定される。
【0034】
さらに、項目生成部14は、図9に矢印で示すように、文章C5aにおいて、結果を指定する意味合いを有した単語である「なる」の前に記述された「$リソース名$」と「$値$」のペアを、結果を表す処理用文字列に置き換える。「$リソース名$」は、「$結果$」に置き換えられ、「$値$」は、「$結果値$」に置き換えられる。これにより、文章C9aが生成される。なお、結果を指定する意味合いを有した単語の前に、複数の「$リソース名$」と「$値$」が記述されている場合、「$リソース名$」または「$値$」の重複がないようにペアが設定される。
【0035】
蓄積データ3から抽出された確認項目のフォーマットC10は、条件と結果からなり、条件は、処理用文字列である「$条件$」と「$条件値$」とのペアによって定義され、結果は、処理用文字列である「$結果$」と「$結果値$」とのペアによって定義されている。項目生成部14は、文章C5aに変換される前の文章C11における、「条件」のペアに対応する単語および数値と「結果」のペアに対応する単語および数値を、フォーマットC10に設定する。これにより、確認項目C12が生成される。確認項目C12は、「条件:レジスタ(X)=5、結果:レジスタ(Y)=3」である。
【0036】
蓄積データ3から抽出した確認項目に対応する文章と、処理対象仕様書から生成した文章とは、似ている関係にある。このため、処理対象仕様書から確認項目C13を生成する処理には、図9と同様の条件および結果の関係とフォーマットC10とを利用することができる。例えば、項目生成部14は、図10に矢印で示すように、文章C6aにおいて、条件を指定する意味合いを有した単語である「時」の前に記述された「$リソース名$」と「$値$」のペアを、条件を表す処理用文字列に置き換える。「$リソース名$」は、「$条件$」に置き換えられ、「$値$」は、「$条件値$」に置き換えられる。なお、条件を指定する意味合いを有した単語の前に、複数の「$リソース名$」と「$値$」が記述されている場合は、「$リソース名$」または「$値$」の重複がないようにペアが設定される。
【0037】
さらに、項目生成部14は、図10に矢印で示すように、文章C6aにおいて、結果を指定する意味合いを有した単語である「なる」の前に記述された「$リソース名$」と「$値$」のペアを、結果を表す処理用文字列に置き換える。「$リソース名$」は、「$結果$」に置き換えられ、「$値$」は、「$結果値$」に置き換えられる。これにより、文章C7aが生成される。なお、結果を指定する意味合いを有した単語の前に、複数の「$リソース名$」と「$値$」が記述されている場合、「$リソース名$」または「$値$」の重複がないようにペアが設定される。
【0038】
文章C1は、文章C6aに変換される前の文章であり、処理対象仕様書から生成された文章である。項目生成部14は、文章C1における、「$条件$」と「$条件値$」のペアに対応する単語と数値、および、「$結果$」と「$結果値$」のペアに対応する単語と数値を、図9に示したフォーマットC10に設定する。これにより、確認項目C13が生成される。確認項目C13は、「条件:信号(A)=1、結果:レジスタ(B)=2」である。このように、確認項目生成装置1は、予め定められた文章構造に限定されずに、製品仕様の確認項目を生成することが可能である。
【0039】
確認項目生成装置1の機能を実現するハードウェア構成は、以下の通りである。
図11Aは、確認項目生成装置1の機能を実現するハードウェア構成を示すブロック図である。図11Bは、確認項目生成装置1の機能を実現するソフトウェアを実行するハードウェア構成を示すブロック図である。図11Aおよび図11Bにおいて、入力インタフェース100は、確認項目生成装置1に入力される仕様書データ2および蓄積データ3を中継するインタフェースである。出力インタフェース101は、表示装置4へ出力される参考情報を中継するインタフェースである。
【0040】
確認項目生成装置1が備える構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14の機能は、処理回路により実現される。すなわち、確認項目生成装置1は、図2に示すステップST1からステップST4までの処理を実行するための処理回路を備える。処理回路は、専用のハードウェアであってもよいが、メモリに記憶されたプログラムを実行するCPU(Central Processing Unit)であってもよい。
【0041】
処理回路が図11Aに示す専用のハードウェアの処理回路102である場合、処理回路102は、例えば、単一回路、複合回路、プログラム化したプロセッサ、並列プログラム化したプロセッサ、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programmable Gate Array)またはこれらを組み合わせたものが該当する。確認項目生成装置1が備える、構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14の機能は、別々の処理回路で実現されてもよく、これらの機能がまとめて1つの処理回路で実現されてもよい。
【0042】
処理回路が図11Bに示すプロセッサ103である場合、確認項目生成装置1が備える構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14の機能は、ソフトウェア、ファームウェアまたはソフトウェアとファームウェアとの組み合わせにより実現される。なお、ソフトウェアまたはファームウェアは、プログラムとして記述され、メモリ104に記憶される。
【0043】
プロセッサ103は、メモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって、確認項目生成装置1が備える構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14の機能を実現する。例えば、確認項目生成装置1は、プロセッサ103によって実行されるときに、図2に示したステップST1からステップST4までの処理が結果的に実行されるプログラムを記憶するメモリ104を備える。これらのプログラムは、構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14の手順または方法をコンピュータに実行させる。メモリ104は、コンピュータを、構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14として機能させるためのプログラムが記憶されたコンピュータ可読記憶媒体であってもよい。
【0044】
メモリ104は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、フラッシュメモリ、EPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)、EEPROM(Electrically-EPROM)などの不揮発性または揮発性の半導体メモリ、磁気ディスク、フレキシブルディスク、光ディスク、コンパクトディスク、ミニディスク、DVDなどが該当する。
【0045】
確認項目生成装置1が備える構造解析部11、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14の機能の一部が専用のハードウェアによって実現され、残りの一部がソフトウェアまたはファームウェアによって実現されてもよい。例えば、構造解析部11は、専用のハードウェアである処理回路102によって機能が実現され、文章生成部12、似たもの分析部13および項目生成部14は、プロセッサ103がメモリ104に記憶されたプログラムを読み出して実行することによって機能が実現される。このように、処理回路は、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはこれらの組み合わせによって、上記機能を実現することができる。
【0046】
以上のように、実施の形態1に係る確認項目生成装置1は、製品の確認項目が蓄積された蓄積データ3における確認項目に対応する文章と処理対象仕様書の構造に基づいて生成された文章との間における似たもの指数を算出し、似たもの指数に基づいて蓄積データ3から抽出された製品の確認項目を用いて、処理対象仕様書の確認項目を生成する。これにより、確認項目生成装置1は、予め定められた文章構造に限定されずに、製品仕様の確認項目を生成することが可能である。また、蓄積データ3から参照情報を決定することにより、確認項目の質が一定化し、製品仕様の確認に必要な項目の漏れを防ぐことができる。
【0047】
なお、実施の形態の任意の構成要素の変形もしくは実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0048】
1 確認項目生成装置、2 仕様書データ、3 蓄積データ、4 表示装置、11 構造解析部、12 文章生成部、12A 対象製品記述ルール、13 似たもの分析部、14 項目生成部、100 入力インタフェース、101 出力インタフェース、102 処理回路、103 プロセッサ、104 メモリ。
図1
図2
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図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11