(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】X線CT装置、及びデータ転送方法
(51)【国際特許分類】
A61B 6/03 20060101AFI20240913BHJP
【FI】
A61B6/03 530Z
(21)【出願番号】P 2020146297
(22)【出願日】2020-08-31
【審査請求日】2023-06-22
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】西島 輝
【審査官】遠藤 直恵
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-131614(JP,A)
【文献】特開2018-000550(JP,A)
【文献】特開2011-172603(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B 6/00-6/58
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファと、
スキャンプラン内の各スキャンを識別するための第1識別子を前記データに付与する付与部と、
前記データのデータ容量と、当該データの転送時間とに応じた順番で、前記データを転送する転送部と、
前記第1識別子に基づいて、前記バッファから転送されたデータが取得された前記スキャンを特定する特定部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項2】
前記スキャンプラン内の各スキャンを識別するための前記第1識別子を付与する付与部を更に備える、
請求項1に記載のX線CT装置。
【請求項3】
前記付与部は、前記スキャンプラン内の各スキャンの順番を前記第1識別子として付与する、
請求項2に記載のX線CT装置。
【請求項4】
スキャンにより取得されたデータを転送する順番が示された転送プランに基づいて、データと、前記第1識別子とを関連付けて転送する転送部を更に備える、
請求項2又は3に記載のX線CT装置。
【請求項5】
前記転送部は、前記転送プランに基づいて、前記スキャンの順番とは異なる順番で転送する、
請求項4に記載のX線CT装置。
【請求項6】
前記付与部は、前記スキャンプランを識別するための第2識別子を付与し、
前記転送部は、データと、第1識別子と、第2識別子とを関連付けて転送する、
請求項4又は5に記載のX線CT装置。
【請求項7】
前記転送部は、前記スキャンプランの順番とは異なる順番で前記データを転送する、
請求項4から6の何れか一項に記載のX線CT装置。
【請求項8】
前記転送部は、前記スキャンプランに基づいて前記データを転送する順番を決定後に、スキャンプランの割り込みが発生した場合に、割り込み対象のスキャンプランによるデータを先に転送させる、
請求項4から7の何れか一項に記載のX線CT装置。
【請求項9】
前記転送部は、前記データの転送を中断する通知を受け付けた場合に、転送が完了したデータを示す第1識別子及び第2識別子を通知する、
請求項4から7の何れか一項に記載のX線CT装置。
【請求項10】
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファと、
スキャンプラン内の各スキャンを識別するための第1識別子を付与する付与部と、
複数のスキャンから構成されるスキャンプラン内の各スキャンにより取得されたデータに対して付与された、前記第1識別子に基づいて、前記バッファから転送されたデータが取得された前記スキャンを特定する特定部と、
スキャンにより取得されたデータを転送する順番が示された転送プランに基づいて、データと、前記第1識別子とを関連付けて転送する転送部と、
を備えるX線CT装置。
【請求項11】
X線検出器により検出されたデータを一時保存するバッファに記憶させ、
スキャンプラン内の各スキャンを識別するための第1識別子を前記データに付与し、
前記データのデータ容量と、当該データの転送時間とに応じた順番で、前記データを転送し、
前記第1識別子に基づいて、前記バッファから転送されたデータが取得された前記スキャンを特定する、
ことを含むデータ転送方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、X線CT装置、及びデータ転送方法に関する。
【0002】
近年、X線CT(Computed Tomography)装置が一度の撮像で取得するデータ量が増加している。データ量の増加に伴い、データの転送時間も増加している。そのため、ユーザの待ち時間も増加している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、X線CT装置におけるユーザの待ち時間を削減することである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0005】
実施形態に係るX線CT装置は、バッファと、付与部と、転送部と、特定部と、を備える。前記バッファは、X線検出器により検出されたデータを一時保存する。前記付与部は、スキャンプラン内の各スキャンを識別するための第1識別子を前記データに付与する。前記転送部は、前記データのデータ容量と、当該データの転送時間とに応じた順番で、前記データを転送する。前記特定部は、前記第1識別子に基づいて、前記バッファから転送されたデータが取得された前記スキャンを特定する。
【図面の簡単な説明】
【0006】
【
図1】
図1は、第1の実施形態にかかるX線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、スキャンプラン及び転送プランの一例を示すタイミングチャートである。
【
図3】
図3は、第1の実施形態にかかるDASの構成の一例を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置が実行する転送処理の一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態にかかるX線CT装置の構成の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態にかかる中継装置の構成の一例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0007】
以下、図面を参照しながら、本実施形態に関するX線CT装置、及びデータ転送方法について説明する。以下の実施形態では、同一の参照符号を付した部分は同様の動作をおこなうものとして、重複する説明を適宜省略する。
【0008】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態にかかるX線CT装置1の構成の一例を示すブロック図である。X線CT装置1は、解像度の高いX線検出器12を有し、高精細な画像を取得する画像診断装置である。X線CT装置1は、架台装置10と、寝台装置30と、コンソール装置40とを有する。架台装置10は、被検体Pをスキャンすることで取得したデータを、コンソール装置40に転送する。そして、コンソール装置40は、架台装置10から受信したデータを再構成することでCT画像データを取得する。
【0009】
ここで、X線CT装置1には、様々な撮像プロトコルがある。取得されるデータ量は、撮像プロトコルに応じて異なっている。そして、データ量が最も多くなる撮像プロトコルで取得されたデータを全て保存しようとすると、X線CT装置1は、大きな保存容量を有するバッファを備えなければならない。一方、発熱、消費電力、実装面積、製造コストなどの理由により、バッファの保存容量は小さくしたいとの要望がある。そこで、X線CT装置1は、被検体Pをスキャンしつつ、スキャンにより生成したデータを転送する。これにより、X線CT装置1は、保存容量の小さいバッファで、生成レートを下げることなく、生成されたデータを転送することができる。
【0010】
ところが、被検体Pのスキャンと、データの転送とを繰り返し実行することでデータを取得しようとすると、データ量が大きいため、医療従事者や被検体P等のユーザは、データの転送が完了するまで長時間待機しなければならない。そこで、効率的にデータを転送することで、X線CT装置1におけるユーザの待ち時間を削減することができる技術が求められている。
【0011】
例えば、架台装置10は、識別子を付加してデータを転送する。コンソール装置40は、識別子により何れの部分のデータであるかを特定する。これにより、架台装置10は、データを取得した順番に限らず、任意の順番によりデータを転送することができる。このようにして、X線CT装置1は、データを効率的に転送することで、X線CT装置1におけるユーザの待ち時間を削減する。以下、実施形態によりX線CT装置1におけるユーザの待ち時間を削減することができる技術について説明する。
【0012】
なお、第1の実施形態では、高精細な画像を取得するX線CT装置1に適用した場合を例に説明する。しかし、X線CT装置1は、PC(Photon Counting)方式によりデータを取得するものであってもよいし、他の形式によりデータを取得するものであってもよい。
【0013】
また、第1の実施形態では、非チルト状態での回転フレーム13の回転軸又は寝台装置30の天板33の長手方向をZ軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対して水平である軸方向をX軸方向、Z軸方向に直交し、床面に対し垂直である軸方向をY軸方向とそれぞれ定義するものとする。
【0014】
架台装置10は、診断に用いられる医用画像を撮像するための撮像系を有する。すなわち、架台装置10は、被検体PにX線を照射し、被検体Pを透過したX線の検出データから投影データを収集する撮像系を有する装置であり、X線管11と、ウェッジ16と、コリメータ17と、X線検出器12と、X線高電圧装置14と、DAS(Data Acquisition System)18と、回転フレーム13と、制御装置15と、寝台装置30とを有する。
【0015】
X線管11は、X線高電圧装置14からの高電圧の印加により、陰極(フィラメント)から陽極(ターゲット)に向けて熱電子を照射する真空管である。
【0016】
ウェッジ16は、X線管11から照射されたX線のX線量を調節するためのフィルタである。具体的には、ウェッジ16は、X線管11から被検体Pへ照射されるX線が、予め定められた分布になるように、X線管11から照射されたX線を透過して減衰するフィルタである。
【0017】
ウェッジ16は、例えばウェッジフィルタ(wedge filter)またはボウタイフィルタ(bow-tie filter)であり、所定のターゲット角度や所定の厚みとなるようにアルミニウムを加工したフィルタである。
【0018】
コリメータ17は、ウェッジ16を透過したX線の照射範囲を絞り込むための鉛板等であり、複数の鉛板等の組み合わせによってスリットを形成する。
【0019】
X線検出器12は、X線管11から照射され、被検体Pを通過したX線を検出し、当該X線量に対応した電気信号をデータ収集装置(DAS18)へと出力する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として1つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、X線管11の焦点を中心として一つの円弧に沿ってチャネル方向に複数のX線検出素子が配列された複数のX線検出素子列を有する。X線検出器12は、例えば、チャネル方向に複数のX線検出素子が配列されたX線検出素子列がスライス方向(体軸方向、列方向とも呼ばれる)に複数配列された構造を有する。
【0020】
また、X線検出器12は、例えば、グリッドと、シンチレータアレイと、光センサアレイとを有する間接変換型の検出器である。シンチレータアレイは、複数のシンチレータを有し、シンチレータは入射X線量に応じた光子量の光を出力するシンチレータ結晶を有する。グリッドは、シンチレータアレイのX線入射側の面に配置され、散乱X線を吸収する機能を有するX線遮蔽版を有する。光センサアレイは、シンチレータからの光量に応じた電気信号に変換する機能を有し、例えば、光電子増倍管(PMT)等の光センサを有する。なお、X線検出器12は、入射したX線を電気信号に変換する半導体素子を有する直接変換型の検出器であっても構わない。
【0021】
X線高電圧装置14は、変圧器(トランス)及び整流器などの電気回路を有し、X線管11に印加する高電圧を発生する機能を有する高電圧発生装置と、X線管11が照射するX線に応じた出力電圧の制御を行うX線制御装置とを有する。高電圧発生装置は、変圧器方式であってもよいし、インバータ方式であっても構わない。なお、X線高電圧装置14は、回転フレーム13に設けられてもよいし、架台装置10の固定フレーム(図示しない)側に設けられても構わない。なお、固定フレームは、回転フレーム13を回転可能に支持するフレームである。
【0022】
DAS18は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に基づいて、検出データを取得する。DAS18が取得した検出データは、コンソール装置40へと転送される。なお、
図3において、DAS18の詳細な構成について説明する。
【0023】
ここで、検出データとは、X線検出器12から出力される電気信号に基づいてDAS18が取得したデータの総称である。ここで、検出データにおいて、同一のスキャンプランに含まれる1以上のスキャンデータの集合をスキャンデータセットと称する。スキャンプランとは、撮影プロトコルにより指定された被検体Pに対するスキャンの計画であり、一以上のスキャンを含む。また、本実施形態におけるスキャンとは、X線照射とX線検出とを連続した投影位置(ビュー番号)で繰り返し実行する一連の動作を意味する。従って、ビュー番号がリセットされ、X線照射とX線検出とを連続した新たなビュー番号により繰り返し実行する場合には、別のスキャンとなる。また、スキャンデータは、例えば、投影位置を示すビュー番号において連続した番号が付与される一連のスキャンで取得されるデータの集合である。なお、スキャンデータは、スキャン単位の分類のほか、例えば、スキャンデータセットを複数の任意のデータに分割した中の一群のデータとすることもできる。
【0024】
回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12とを対向支持し、制御装置15によってX線管11とX線検出器12とを回転させる円環状のフレームである。なお、回転フレーム13は、X線管11とX線検出器12に加えて、X線高電圧装置14やDAS18を更に支持してもよい。なお、DAS18が取得した検出データは、一例として、回転フレーム13に設けられた発光ダイオードを有する送信機21から光通信によって、固定フレームの等の架台装置10の非回転部分に設けられた、フォトダイオードを有する受信機22に送信され、コンソール装置40へと転送される。なお、回転フレーム13から架台装置10の非回転部分への検出データの送信方法は、光通信に限らず、非接触型のその他の方式のデータ伝送方法を用いて行ってもよい。
【0025】
制御装置15は、CPU等を有する処理回路と、モータやアクチュエータ等の駆動機構とを有する。制御装置15は、コンソール装置40に取り付けられた入力インターフェース43若しくは架台装置10に取り付けられた入力インターフェースからの入力信号を受けて、架台装置10及び寝台装置30の動作制御を行う機能を有する。また、制御装置15は、入力信号を受けて回転フレーム13を回転させる制御や、架台装置10及び寝台装置30を動作させる制御を行う。
【0026】
例えば、制御装置15は、架台装置10に取り付けられた入力インターフェースによって入力される傾斜角度(チルト角度)情報に基づいて、制御装置15がX軸方向に平行な軸を中心に回転フレーム13を回転させることによって、架台装置10をチルトさせる。
【0027】
寝台装置30は、スキャン対象の被検体Pを載置、移動させる装置であり、基台31と、寝台駆動装置32と、天板33と、支持フレーム34とを備える。基台31は、支持フレーム34を鉛直方向に移動可能に支持する筐体である。寝台駆動装置32は、被検体Pが載置された天板33をその長軸方向(
図1のZ軸方向)に移動させるモータあるいはアクチュエータである。支持フレーム34の上面に設けられた天板33は、被検体Pが載置される板である。なお、寝台駆動装置32は、天板33に加え、支持フレーム34を天板33の長軸方向に移動してもよい。
【0028】
寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、基台31を上下方向に移動させる。寝台駆動装置32は、制御装置15からの制御信号に従って、天板33を長軸方向に移動させる。
【0029】
コンソール装置40は、ユーザによるX線CT装置1の操作を受け付けるとともに、架台装置10によって収集された検出データからX線CT画像データを再構成する装置である。コンソール装置40は、メモリ41と、ディスプレイ42と、入力インターフェース43と、処理回路45とを備える。
【0030】
メモリ41は、例えばRAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ41は、例えば投影データや再構成画像データを記憶する。
【0031】
また、メモリ41は、後述する動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f、及びデータ特定機能45gを実現するための専用プログラムを格納する。
【0032】
ディスプレイ42は、ユーザが参照するモニタであり、各種の情報を表示する。例えば、ディスプレイ42は、処理回路45によって生成された医用画像(CT画像)や、ユーザからの各種操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)等を出力する。例えば、ディスプレイ42は、液晶ディスプレイやCRT(Cathode Ray Tube)ディスプレイである。
【0033】
入力インターフェース43は、ユーザからの各種の入力操作を受け付け、受け付けた入力操作を電気信号に変換して処理回路45に出力する。例えば、入力インターフェース43は、投影データを収集する際の収集条件や、CT画像を再構成する際の再構成条件、CT画像から後処理画像を生成する際の画像処理条件等をユーザから受け付ける。また、例えば、入力インターフェース43は、マウスやキーボード、トラックボール、スイッチ、ボタン、ジョイスティック等により実現される。
【0034】
処理回路45は、X線CT装置1全体の動作を制御する。処理回路45は、例えば、動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f、及びデータ特定機能45gを有する。実施形態では、構成要素である動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f、及びデータ特定機能45gにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ41へ記憶されている。処理回路45は、プログラムをメモリ41から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路45は、
図1の処理回路45内に示された各機能を有することになる。
【0035】
なお、
図1においては単一のプロセッサにて、動作制御機能45a、前処理機能45b、再構成処理機能45c、計画機能45d、スキャン機能45e、状態通知機能45f、及びデータ特定機能45gを実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路45を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては、メモリ41等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路45は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0036】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphical Processing Unit)或いは、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD),及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサはメモリ41に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ41にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0037】
動作制御機能45aは、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、処理回路45の各種機能を制御する。例えば、動作制御機能45aは、入力インターフェース43を介して、ログインのためのユーザ情報(例えばユーザID等)、被検体情報、撮像プロトコル等の入力を受け付ける。また、処理回路45は、動作制御機能45aにより、位置決め撮像、本撮像等に関する制御を行う。
【0038】
前処理機能45bにより、DAS18から出力された検出データに対して対数変換処理やオフセット処理、チャネル間の感度補正処理、ビームハードニング補正などの前処理を施したデータを生成する。なお、前処理前のデータ(検出データ)および前処理後のデータを総称して投影データと称する場合もある。
【0039】
再構成処理機能45cは、前処理機能45bにより生成された投影データに対して、再構成条件に従ってフィルタ補正逆投影法や逐次近似再構成法等を用いた再構成処理を行ってCT画像データを生成する。
【0040】
再構成処理機能45cは、入力インターフェース43を介してユーザから受け付けた入力操作に基づいて、再構成されたCT画像データを公知の方法により、任意断面の断層像データや3次元画像データに変換する。
【0041】
計画機能45dは、スキャンプラン、及び転送プランを生成する。転送プランとは、スキャンプランに示されたスキャンにより取得されたスキャンデータを転送する手順が示された情報である。すなわち、転送プランとは、スキャンデータを転送する順番と、各スキャンデータを転送するトリガーとが示されている。
【0042】
計画機能45dは、撮像プロトコルにより指定されたスキャンを、撮像プロトコルにより指定された順番で実行させるスキャンプランを生成する。しかし、メモリ41は、空き容量を超える量のスキャンデータが取得されるとオーバーフローを起こしてしまう。そこで、計画機能45dは、メモリ41がオーバーフローを起こさないように、スキャンを実行するタイミングを決定する。そして、計画機能45dは、撮像プロトコルにより指定されたスキャン、及びスキャンを実行するトリガーが示されたスキャンプランを生成する。
【0043】
また、計画機能45dは、スキャンプランの割り込みが指定された場合には、割り込み対象の撮像プロトコルに示されたスキャンを先に実行させるスキャンプランを生成する。例えば、スキャンプランの割り込みは、急患が発生した場合に指定される。
【0044】
また、計画機能45dは、メモリ41に記憶されたスキャンデータを、コンソール装置40に転送するプランを示す転送プランを生成する。計画機能45dは、基本的にはスキャンした順番でスキャンデータをコンソール装置40に転送する転送プランを生成する。しかし、スキャン順でスキャンデータを転送すると、ユーザの待ち時間が発生してしまう場合がある。このような場合に、計画機能45dは、スキャンデータを転送する順番を変更する。例えば、データ量の大きいスキャンデータの次に、データ量の小さいスキャンデータを転送する場合において、次回の転送時間ではデータ量の大きいスキャンデータを転送できない場合に、計画機能45dは、データ量の小さいスキャンデータを先に転送する。
【0045】
また、計画機能45dは、同一のスキャンプラン内のスキャンデータに限らず、異なるスキャンプランのスキャンデータであっても順番を変更する。すなわち、計画機能45dは、後発のスキャンプラン内のスキャンデータを先に転送させる転送プランを生成する。
【0046】
また、計画機能45dは、スキャンプランの割り込みが指定された場合には、割り込み対象の撮像プロトコルを含めて再度転送プランを生成する。例えば、計画機能45dは、割り込み対象のスキャンプランによるスキャンデータの転送完了後に、スキャンデータの転送を再開する転送プランを生成する。
【0047】
ここで、計画機能45dが生成するスキャンプラン及び転送プランについて、一例を挙げて説明する。
図2は、スキャンプラン及び転送プランの一例を示すタイミングチャートである。
図2に示すスキャンプランは、撮像プロトコルにより指定された7つのスキャンを実行するスキャンプランAの後に、撮像プロトコルにより指定された1つのスキャンを実行するスキャンプランBを実行することを示している。また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの3回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、スキャンプランAの1回目のスキャンデータ、2回目のスキャンデータ、3回目のスキャンデータの順番で転送することを示している。また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの6回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、5回目のスキャンデータを転送することを示している。
【0048】
また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの7回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、4回目のスキャンデータ、6回目のスキャンデータを転送することを示している。このように、
図2に示す転送プランは、スキャンプランAの5回目のスキャンデータを転送後に、4回目のスキャンデータを転送することを示している。これは、4回目のスキャンは、スキャン時間が長く、スキャンデータのデータ量が大きい。そのため、X線CT装置1は、6回目のスキャンと、7回目のスキャンとの間の時間に、4回目のスキャンデータの転送を完了することができない。そこで、計画機能45dは、5回目のスキャンデータを転送させることでデータ転送の効率化を行っている。すなわち、計画機能45dは、7回目のスキャン後に転送しなければならないデータ量を削減している。
【0049】
また、
図2に示す転送プランは、スキャンプランBの1回目のスキャンが完了したことをトリガーにして、スキャンプランBの1回目のスキャンデータを転送後に、スキャンプランAの7回目のスキャンデータを転送している。これは、スキャンプランAの7回目のスキャンは、スキャン時間が長く、スキャンデータのデータ量が大きい。そのため、スキャンプランAの7回目のスキャンデータを転送後に、スキャンプランBの1回目のスキャンデータを転送すると、ユーザは、スキャンプランBの被検体Pのデータ量は少ないにも関わらず、長時間待たされることになってしまう。そこで、計画機能45dは、スキャンプランBの1回目のスキャンデータを先に転送することで、X線CT装置1におけるユーザの待ち時間を削減している。
【0050】
スキャン機能45eは、スキャンプランに基づいて、被検体Pのスキャンの実行を指示する。更に詳しくは、スキャン機能45eは、スキャンプランに示された内容のスキャンを、スキャンプランに示されたトリガーに基づいて実行することを架台装置10に指示する。これにより、DAS18は、スキャンデータの取得を実行する。
【0051】
状態通知機能45fは、スキャンの状態をDAS18に通知する。すなわち、状態通知機能45fは、スキャンの開始、及びスキャンの終了を通知する。また、状態通知機能45fは、計画機能45dにより生成されたスキャンプラン及び転送プランを通知する。これにより、何回目のスキャンを実行しているのかをカウントすることで、DAS18は、何れのスキャンプランの何番目のスキャンのスキャンデータを取得しているのかを把握することができる。さらに、DAS18は、転送プランに示されたトリガーに基づいて、スキャンデータを転送することができる。
【0052】
また、状態通知機能45fは、スキャンプランに変えて、何れのスキャンプランの何番目のスキャンを実行しているかをDAS18に通知してもよい。この通知により、DAS18は、何れのスキャンプランの何番目のスキャンであるかを特定することができる。さらに、状態通知機能45fは、転送プランに変えて、何れのスキャンプランの何番目のスキャンを転送するのかをDAS18に通知してもよい。これにより、DAS18は、転送プランに示された転送タイミングで、指定されたスキャンデータを転送することができる。
【0053】
また、状態通知機能45fは、スキャンプランの割り込みが指定された場合、現在転送途中のスキャンデータの転送の中断をDAS18に通知してもよい。これにより、DAS18は、割り込み対象のスキャンプランによるスキャンデータを先に転送することが可能となる。
【0054】
データ特定機能45gは、メモリ41に記憶されたスキャンデータが取得されたスキャンを特定する。データ特定機能45gは、特定部の一例である。更に詳しくは、データ特定機能45gは、複数のスキャンから構成されるスキャンプラン内の各スキャンより取得されたスキャンデータに対して付与された、スキャンを識別するための第1識別子に基づいて、DAS18のメモリ41から転送されたデータが取得されたスキャンを特定する。第1識別子は、スキャンを識別するための識別情報である。すなわち、データ特定機能45gは、スキャンデータに関連付けられた第1識別子に基づいて、何れのスキャンにより取得されたスキャンデータであるかを特定する。
【0055】
また、データ特定機能45gは、第2識別子に基づいて、DAS18のメモリ41から転送されたデータが取得されたスキャンが含まれるスキャンプランを特定する。第2識別子は、スキャンプランを識別するための識別情報である。すなわち、データ特定機能45gは、スキャンデータに関連付けられた第2識別子に基づいて、何れのスキャンプランに含まれるスキャンにより取得されたスキャンデータであるかを特定する。これにより、再構成処理機能45cは、同一のスキャンプランにより取得されたスキャンデータを特定し、且つスキャンプランにおけるスキャンデータが取得された順番を特定することができる。
【0056】
次に、DAS18の詳細について説明する。
図3は、第1の実施形態にかかるDAS18の構成の一例を示すブロック図である。
【0057】
DAS18は、増幅器181と、A/D変換器182と、メモリ183と、処理回路184とを備える。
【0058】
増幅器181は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対して増幅処理を実行する。これにより、増幅器181は、電気信号を増幅させる。
【0059】
A/D変換器182は、増幅器181により増幅された電気信号をデジタル信号に変換する。例えば、A/D変換器182は、X線検出器12の各X線検出素子から出力される電気信号に対してA/D変換処理を実行することで検出データを取得する。そして、A/D変換器182は、取得した検出データをメモリ183に記憶せる。
【0060】
メモリ183は、例えばRAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ183は、検出データを記憶する。すなわち、メモリ183は、X線検出器12により検出されたデータを一時保存する。メモリ183は、バッファの一例である。
【0061】
処理回路184は、DAS18全体の動作を制御する。処理回路184は、例えば、計画取得機能184a、付与機能184b、及び転送機能184cを有する。実施形態では、構成要素である計画取得機能184a、付与機能184b、及び転送機能184cにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ183へ記憶されている。処理回路184は、プログラムをメモリ183から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路184は、
図3の処理回路184内に示された各機能を有することになる。
【0062】
なお、
図3においては単一のプロセッサにて、計画取得機能184a、付与機能184b、及び転送機能184cを実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路184を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図3においては、メモリ183等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路184は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0063】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU或いは、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス、複合プログラマブル論理デバイス,及びフィールドプログラマブルゲートアレイ等の回路を意味する。プロセッサはメモリ183に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ183にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0064】
計画取得機能184aは、コンソール装置40からスキャン及び転送の指示を取得する。例えば、計画取得機能184aは、スキャンプラン、及び転送プランを取得する。これにより、計画取得機能184aは、スキャンプラン、及び転送プランに示された一連の指示を取得する。
【0065】
または、計画取得機能184aは、スキャンプラン、及び転送プランに示されている指示をその都度取得してもよい。例えば、計画取得機能184aは、転送プランに示されたトリガーが発生した場合に、転送対象を示す第1識別子及び第2識別子を示す情報を取得する。これにより、計画取得機能184aは、転送時期及び転送対象を特定することができる。
【0066】
また、計画取得機能184aは、コンソール装置40から転送の中断を示す通知を取得する。これにより、計画取得機能184aは、スキャンプランの割り込みが発生したことを把握する。
【0067】
付与機能184bは、スキャンプラン内の各スキャンにより取得されたスキャンデータに対して、スキャンを識別するための第1識別子を付与する。さらに、付与機能184bは、スキャンプラン内の各スキャンにより取得されたスキャンデータに対して、スキャンプランを識別するための第2識別子を付与する。付与機能184bは、付与部の一例である。更に詳しくは、付与機能184bは、計画取得機能184aが取得したスキャンプランに基づいて、スキャンデータのそれぞれに第1識別子を付与する。例えば、付与機能184bは、スキャンプラン内の各スキャンの順番を第1識別子として付与する。なお、第1識別子は、各スキャンの順番に限らず、他の情報を付与してもよい。このように、第1識別子を付与することで、コンソール装置40は、スキャンプランの順番通りにスキャンデータを送信しなくても、何れのスキャンにより取得されたスキャンデータであるかを識別することができる。
【0068】
同様に、付与機能184bは、計画取得機能184aが取得したスキャンプランに基づいて、スキャンデータのそれぞれに第2識別子を付与する。例えば、付与機能184bは、スキャンプランが対象にしている被検体Pを識別するための識別情報や、スキャンプランにより実行される検査を識別するための識別情報等の情報を第2識別子として付与する。すなわち、付与機能184bは、スキャンデータのそれぞれに第1識別子及び第2識別子を付与する。このように、第1識別子及び第2識別子を付与することで、コンソール装置40は、スキャンプランの順番通りにスキャンデータを転送しなくても、何れのスキャンプランの何れのスキャンデータであるかを識別することができる。
【0069】
転送機能184cは、転送プランに基づいて、検出データを転送させる。転送機能184cは、転送部の一例である。更に詳しくは、転送機能184cは、転送プランにより指定されたスキャンデータがメモリ183の何れのアドレスに記憶されているかを特定する。そして、転送機能184cは、特定したアドレスのスキャンデータを送信機21に転送させる。このようにして、転送機能184cは、メモリ183に記憶された検出データを送信機21に送信させる。
【0070】
ここで、スキャンデータには、付与機能184bにより第1識別子が付与されている。そこで、転送機能184cは、スキャンにより取得されたスキャンデータを転送する順番が示された転送プランに基づいて、スキャンデータと、第1識別子とを関連付けて転送する。また、転送プランには、スキャンデータを効率的に転送するために、スキャンプランに示されたスキャンの順番とは異なる順番でスキャンデータを転送することが指示されている場合がある。この場合に、転送機能184cは、転送プランに基づいて、スキャンの順番とは異なる順番で転送する。
【0071】
また、スキャンデータには、付与機能184bにより第1識別子及び第2識別子が付与されている。転送機能184cは、スキャンデータと、第1識別子と、第2識別子とを関連付けて転送する。また、転送プランには、スキャンデータを効率的に転送するために、スキャンプランに示されたスキャンプランの順番とは異なる順番でスキャンデータを転送することが指示されている場合がある。転送機能184cは、スキャンプランの順番とは異なる順番でデータを転送する。
【0072】
ここで、スキャンプランには、スキャンプランの割り込みが指定された場合には、割り込み対象のスキャンプランのスキャンデータを先に転送させることが示されている。転送機能184cは、スキャンプランに基づいてスキャンデータを転送する順番を決定後に、スキャンプランの割り込みが発生した場合に、割り込み対象のスキャンプランによるスキャンデータを先に転送させる。
【0073】
ここで、計画取得機能184aは、スキャンプランの割り込みが指定された場合などに、スキャンデータの転送の中断をコンソール装置40に指示される場合がある。転送機能184cは、スキャンデータの転送を中断する通知を受け付けた場合に、転送が完了したスキャンデータを示す第1識別子及び第2識別子をコンソール装置40に通知する。これにより、コンソール装置40は、何れのスキャンデータから転送を再開すればよいかを特定することができる。例えば、転送機能184cがスキャンデータの途中で転送を中断する可能性がある場合、コンソール装置40は、転送されたスキャンデータの途中で中断されたのか、全部が転送されたのか判断できない。このような場合でも、転送が完了したスキャンデータを通知することにより、コンソール装置40は、何れのスキャンデータから転送を再開すればよいかを特定することができる。
【0074】
次に、X線CT装置1が実行する転送処理について説明する。
図4は、第1の実施形態に係るX線CT装置1が実行する転送処理の一例を示すフローチャートである。
【0075】
動作制御機能45aは、撮像プロトコルの入力を受け付けたか否かを判定する(ステップS1)。撮像プロトコルの入力を受け付けていない場合に(ステップS1;No)、動作制御機能45aは、撮像プロトコルが入力されるまで待機する。
【0076】
撮像プロトコルの入力を受け付けた場合に(ステップS1;Yes)、計画機能45dは、受け付けた撮像プロトコルに基づいて、スキャンプラン及び転送プランを生成する(ステップS2)。
【0077】
付与機能184bは、スキャンプランに基づいて取得され、転送プランに指定されたスキャンデータに対して、第1識別子及び第2識別子を付与する(ステップS3)。
【0078】
転送機能184cは、転送プランに指定されたスキャンデータと、付与した第1識別子及び第2識別子とを関連付け転送する(ステップS4)。
【0079】
転送機能184cは、転送プランに指定されたスキャンデータの転送が終了したか否かを判定する(ステップS5)。スキャンデータの転送が終了していない場合に(ステップS5;No)、動作制御機能45aは、スキャンプランの割り込みを指示されたか否かを判定する(ステップS6)。すなわち、動作制御機能45aは、スキャンプランの割り込みを指示する撮像プロトコルが入力されたか否かを判定する。
【0080】
スキャンプランの割り込みが指示されていない場合に(ステップS6;No)、X線CT装置1は、ステップS3に移行して、スキャンデータに対する第1識別子及び第2識別子の付与と、スキャンデータの転送とを継続する。
【0081】
スキャンプランの割り込みが指示された場合に(ステップS6;Yes)、計画機能45dは、ステップS3に移行して、割り込み対象の撮像プロトコルを含めてスキャンプラン及び転送プランを生成する。これにより、X線CT装置1は、指示された割り込みを実行した後に、残りの処理を実行する。
【0082】
ステップS5において、スキャンデータの転送が終了した場合に(ステップS5;Yes)、X線CT装置1は、転送処理を終了する。
【0083】
以上のように、第1の実施形態にかかるDAS18は、X線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するメモリ183を備えている。また、コンソール装置40は、複数のスキャンから構成されるスキャンプラン内の各スキャンに対して付与された第1識別子に基づいて、メモリ183から転送されたスキャンデータが取得されたスキャンを特定する。これにより、コンソール装置40は、DAS18からスキャン順とはことなる順番でスキャンデータが転送された場合であっても、何れのスキャンのデータであるかを特定することができる。すなわち、DAS18は、スキャン順に限らず、転送経路の状況に応じてスキャンデータを選択し、転送することができる。よって、X線CT装置1は、X線CT装置1におけるユーザの待ち時間を削減することができる。
【0084】
(第2の実施形態)
第1の実施形態にかかるX線CT装置1では、X線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するバッファをDAS18が備えていると説明した。第2の実施形態にかかるX線CT装置1aは、DAS18に変えて、中継装置50がバッファを備えている。
【0085】
図5は、第2の実施形態にかかるX線CT装置1aの構成の一例を示すブロック図である。中継装置50は、固定フレームの等の架台装置10の非回転部分に設けられた受信機22よりもコンソール装置40側に設置される。これにより、X線CT装置1aは、受信機22よりもコンソール装置40側の転送速度が遅い場合であっても、効率的にデータを転送することができる。
【0086】
次に、中継装置50の詳細について説明する。
図6は、第2の実施形態にかかる中継装置50の構成の一例を示すブロック図である。
【0087】
中継装置50は、メモリ51と、処理回路52とを備える。
【0088】
メモリ51は、例えばRAM、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、光ディスクなどにより実現される。メモリ51は、検出データを記憶する。すなわち、メモリ51は、X線検出器12により検出されたデータを一時保存する。
【0089】
処理回路52は、中継装置50全体の動作を制御する。処理回路52は、例えば、計画取得機能52a、付与機能52b、及び転送機能52cを有する。実施形態では、構成要素である計画取得機能52a、付与機能52b、及び転送機能52cにて行われる各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態でメモリ51へ記憶されている。処理回路52は、プログラムをメモリ51から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路52は、
図6の処理回路52内に示された各機能を有することになる。
【0090】
なお、
図6においては単一のプロセッサにて、計画取得機能52a、付与機能52b、及び転送機能52cを実現するものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路52を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図6においては、メモリ51等の単一の記憶回路が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路52は、個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0091】
上記説明において用いた「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU、GPU或いは、特定用途向け集積回路、プログラマブル論理デバイス、複合プログラマブル論理デバイス,及びフィールドプログラマブルゲートアレイ等の回路を意味する。プロセッサはメモリ51に保存されたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。なお、メモリ51にプログラムを保存する代わりに、プロセッサの回路内にプログラムを直接組み込むよう構成しても構わない。この場合、プロセッサは回路内に組み込まれたプログラムを読み出し実行することで機能を実現する。
【0092】
計画取得機能52aは、DAS18の計画取得機能184aと同様の機能を有している。
【0093】
付与機能52bは、DAS18の付与機能184bと同様の機能を有している。
【0094】
転送機能52cは、DAS18の転送機能184cと同様の機能を有している。
【0095】
以上のように、第2の実施形態にかかる中継装置50は、X線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するメモリ51を備えている。また、コンソール装置40は、複数のスキャンから構成されるスキャンプラン内の各スキャンに対して付与された第1識別子に基づいて、メモリ51から転送されたスキャンデータが取得されたスキャンを特定する。これにより、コンソール装置40は、中継装置50からスキャン順とはことなる順番でスキャンデータが転送された場合であっても、何れのスキャンのデータであるかを特定することができる。すなわち、中継装置50は、スキャン順に限らず、中継装置50からコンソール装置40までの転送経路の状況に応じてスキャンデータを選択し、転送することができる。よって、X線CT装置1aは、X線CT装置1aにおけるユーザの待ち時間を削減することができる。
【0096】
(変形例1)
第2の実施形態では、DAS18に変えて、中継装置50がX線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するバッファを備えている場合について説明した。なお、X線検出器12により検出されたスキャンデータを一時保存するバッファは、DAS18と、中継装置50との両方に設置されていてもよい。
【0097】
例えば、スキャンデータの取得速度よりもX線検出器12以降の転送速度が遅い場合に、X線CT装置1bは、DAS18にバッファを設けることで、スキャンデータを効率的に転送することができる。さらに、DAS18から受信機22までの転送速度よりも受信機22からコンソール装置40までの転送速度が遅い場合に、X線CT装置1bは、DAS18にバッファを設けることで、スキャンデータを効率的に転送することができる。
【0098】
(変形例2)
また、上記実施形態では、DAS18は、スキャンデータを取得していない時に、コンソール装置40に、スキャンデータを転送すると説明している。しかしながら、DAS18は、スキャンデータの取得時に、コンソール装置40にスキャンデータを転送してもよい。
【0099】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0100】
1、1a、1b X線CT装置
10 架台装置
18 DAS
21 送信機
22 受信機
30 寝台装置
40 コンソール装置
50 中継装置
41、183、51 メモリ
45a 動作制御機能
45b 前処理機能
45c 再構成処理機能
45d 計画機能
45e スキャン機能
45f 状態通知機能
45g データ特定機能
184a、52a 計画取得機能
184b、52b 付与機能
184c、52c 転送機能