(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理装置
(51)【国際特許分類】
A61B 5/055 20060101AFI20240913BHJP
G06T 7/00 20170101ALI20240913BHJP
G06N 20/00 20190101ALI20240913BHJP
G06N 3/088 20230101ALI20240913BHJP
【FI】
A61B5/055 370
G06T7/00 612
G06T7/00 350C
G06N20/00 160
G06N3/088
(21)【出願番号】P 2020154816
(22)【出願日】2020-09-15
【審査請求日】2023-08-02
(73)【特許権者】
【識別番号】594164542
【氏名又は名称】キヤノンメディカルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002147
【氏名又は名称】弁理士法人酒井国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寳珠山 裕
(72)【発明者】
【氏名】葛西 由守
(72)【発明者】
【氏名】大野 祐人
(72)【発明者】
【氏名】荒岡 潤一朗
(72)【発明者】
【氏名】田之上 和也
(72)【発明者】
【氏名】今田 英孝
【審査官】松岡 智也
(56)【参考文献】
【文献】特開2009-219577(JP,A)
【文献】特開2009-034514(JP,A)
【文献】特開2008-253368(JP,A)
【文献】特開平03-037044(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2019/0228857(US,A1)
【文献】米国特許出願公開第2018/0225823(US,A1)
【文献】特開2017-140165(JP,A)
【文献】韓国公開特許第10-2020-0081042(KR,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
A61B5/055、6/00-6/58
G06N3/00-99/00
G06F18/00
G06T7/00-7/90
G06V10/00-20/90、30/418、40/16、40/20
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の医用画像撮像装置によって撮像された目標画像を取得する取得部と、
医用画像撮像装置による撮影をせずに、複数の異なる撮像パラメータ群
と前記第1の医用画像撮像装置とは異なる第2の医用画像撮像装置の装置特性とに基づいて、前記目標画像を模倣し
た複数の
模倣医用画像を生成する画像生成部と、
前記画像生成部により生成された前記複数の
模倣医用画像の各々と前記目標画像とを比較して
、前記複数の
模倣医用画像の各々と前記目標画像との類似度、または
、前記複数の
模倣医用画像の各々と前記目標画像との差異の大きさを求める比較部と、
前記比較部による比較結果に基づいて、前記複数の異なる撮像パラメータ群のうち
、前記類似度が最大化された
模倣医用画像、また
は前記差異の大きさが最小化された
模倣医用画像の生成に使用された撮像パラメータ群を出力する出力部と、
を備え
、
前記画像生成部は、前記比較部による前記比較結果としての前記類似度が大きくなるように、または、前記比較部による前記比較結果としての前記差異が小さくなるように、前記撮像パラメータ群の設定内容を変更し、変更後の前記撮像パラメータ群の設定内容と前記装置特性とに基づいて、前回生成した模倣医用画像とは異なる模倣医用画像を生成することを特徴とし、
前記出力部は、前記画像生成部によって生成された、前回生成された前記模倣医用画像とは異なる前記模倣医用画像と前記目標画像とを比較して前記比較部によって求められた前記類似度または前記差異の大きさに基づいて、前記複数の異なる撮像パラメータ群のうち、前記類似度が最大化された前記模倣医用画像、または、前記差異の大きさが最小化された前記模倣医用画像の生成に使用された前記撮像パラメータ群を、前記第2の医用画像撮像装置による撮像の際に用いられる撮像パラメータとして出力することを特徴とする、
情報処理装置。
【請求項2】
前記画像生成部は、
前記複数の異なる撮像パラメータ群に基づいて、仮想の医用画像撮像装置で撮像される前記複数の
模倣医用画像の各々を表す複数の理論値を出力するシミュレータと、
前
記第2の医用画像撮像装置の特性と、前記撮像パラメータ群の設定内容と、該特性および該撮像パラメータ群の設定内容が前記理論値に与える影響と、が対応付けられた少なくとも1つの装置特性モデルと、を備える、
請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記第2の医用画像撮像装置は、磁気共鳴イメージング装置であり、
前記磁気共鳴イメージング装置の特性は、傾斜磁場コイル特性、静磁場特性、および高周波コイル特性のうち、少なくともいずれか1つを含む、
請求項
1または2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記第2の医用画像撮像装置は、磁気共鳴イメージング装置であり、
前記撮像パラメータ群は、前記磁気共鳴イメージング装置の撮像における繰り返し時間、エコー時間、反転回復時間、および高周波磁場パルスのフリップ角のうち、少なくともいずれか1つを含む、
請求項
1から
3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記比較部は、前記複数の
模倣医用画像の各々の画像特性と前記目標画像の画像特性とに基づいて、前記複数の
模倣医用画像の各々と前記目標画像との類似度、または前記複数の
模倣医用画像の各々と前記目標画像との差異の大きさを求める、
請求項1から
4のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記画像特性は、前記目標画像および前記画像生成部によって生成された前記複数の
模倣医用画像のコントラスト、SNR、および分解能のうち、少なくともいずれか1つを含む、
請求項
5に記載の情報処理装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書及び図面に開示の実施形態は、情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置では、各種の撮像パラメータの設定によって、磁気共鳴画像のコントラストや解像度等の特性を変更することができる。
【0003】
このような各種の撮像パラメータと、撮像される磁気共鳴画像のコントラストまたは解像度等の画像特性との関係性は、磁気共鳴イメージング装置のモデルや、個々の磁気共鳴イメージング装置の特性によって異なる。このため、撮像パラメータの設定内容が同じであっても、撮像に使用される磁気共鳴イメージング装置が異なれば、異なる画像特性の磁気共鳴画像が撮像される場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本明細書及び図面に開示の実施形態が解決しようとする課題の一つは、目標の画像特性を備える医用画像の撮像に適した撮像パラメータの特定を容易にすることである。ただし、本明細書及び図面に開示の実施形態により解決しようとする課題は上記課題に限られない。後述する実施形態に示す各構成による各効果に対応する課題を他の課題として位置づけることもできる。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る情報処理装置は、取得部と、画像生成部と、比較部と、出力部とを備える。取得部は、第1の医用画像撮像装置によって撮像された目標画像を取得する。画像生成部は、医用画像撮像装置による撮影をせずに、複数の異なる撮像パラメータ群と第1の医用画像撮像装置とは異なる第2の医用画像撮像装置の装置特性とに基づいて、目標画像を模倣した複数の模倣医用画像を生成する。比較部は、画像生成部により生成された複数の模倣医用画像の各々と目標画像とを比較して、複数の模倣医用画像の各々と目標画像との類似度、または複数の模倣医用画像の各々と目標画像との差異の大きさを求める。出力部は、比較部による比較結果に基づいて、複数の異なる撮像パラメータ群のうち、類似度が最大化された医用画像、または差異の大きさが最小化された模倣医用画像の生成に使用された撮像パラメータ群を出力する。画像生成部は、比較部による比較結果としての類似度が大きくなるように、または、比較部による比較結果としての差異が小さくなるように、撮像パラメータ群の設定内容を変更し、変更後の撮像パラメータ群の設定内容と装置特性とに基づいて、前回生成した模倣医用画像とは異なる模倣医用画像を生成することを特徴とする。出力部は、画像生成部によって生成された、前回生成された模倣医用画像とは異なる模倣医用画像と前記目標画像とを比較して比較部によって求められた類似度または差異の大きさに基づいて、複数の異なる撮像パラメータ群のうち、類似度が最大化された模倣医用画像、または、差異の大きさが最小化された模倣医用画像の生成に使用された撮像パラメータ群を、第2の医用画像撮像装置による撮像の際に用いられる撮像パラメータとして出力することを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【
図1】
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図2】
図2は、第1の実施形態に係る画像生成機能と識別機能の関係性の一例を示す図である。
【
図3】
図3は、第1の実施形態に係る画像生成機能の構成の一例について説明する図である。
【
図4】
図4は、第1の実施形態に係る撮像パラメータの決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図5】
図5は、第2の実施形態に係る情報処理装置の一例を示すブロック図である。
【
図6】
図6は、第2の実施形態に係る画像生成機能と比較機能の関係性の一例を示す図である。
【
図7】
図7は、変形例1に係る比較処理の概要の一例を示す図である。
【
図8】
図8は、第2の変形例に係る複数の画像生成機能と識別機能の関係性の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面を参照しながら、情報処理装置の実施形態について詳細に説明する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1は、第1の実施形態に係る情報処理装置30の一例を示すブロック図である。情報処理装置30は、例えば、病院内に設置されたワークステーション等のPC(Personal Computer)またはサーバ装置等である。あるいは、情報処理装置30は、クラウド環境等に設けられても良い。情報処理装置30は、病院内に設置された院内LAN(Local Area Network)、またはインターネット等のネットワークを介して、他の情報処理装置と接続する。
【0010】
図1に示すように、情報処理装置30は、NW(ネットワーク)インターフェース31と、記憶回路32と、入力インターフェース33と、ディスプレイ34と、処理回路35とを備える。
【0011】
NWインターフェース31は、処理回路35に接続され、ネットワークを介して情報処理装置30に接続された他の情報処理装置との間における各種データの伝送および通信を制御する。他の情報処理装置は、例えば、PACS(Picture Archiving and Communication System)等の画像保管装置、または磁気共鳴イメージング(Magnetic Resonance Imaging:MRI)装置等のモダリティであるが、これらに限定されるものではない。なお、本明細書において扱う各種データは、典型的にはデジタルデータである。
【0012】
記憶回路32は、処理回路35で実行される各種のプログラムを記憶する。また、記憶回路32は、後述の処理回路35によって更新される撮像パラメータを記憶する。撮像パラメータについては後述する。
【0013】
記憶回路32は、例えば、RAM(Random Access Memory)、フラッシュメモリ等の半導体メモリ素子、ハードディスク、または光ディスク等である。あるいは、記憶回路32は、情報処理装置30の外部、例えばクラウド環境に設けられても良い。
【0014】
入力インターフェース33は、操作者からの各種指示や情報入力を受け付ける。入力インターフェース33は、例えば、トラックボール、スイッチボタン、マウス、キーボード、操作面へ触れることで入力操作を行うタッチパッド、表示画面とタッチパッドとが一体化されたタッチスクリーン、光学センサを用いた非接触入力回路、及び音声入力回路等によって実現される。入力インターフェース33は処理回路35に接続されており、操作者から受け取った入力操作を電気信号へ変換し処理回路35へと出力する。なお、入力インターフェース33はマウス、キーボードなどの物理的な操作部品を備えるものだけに限られない。例えば、情報処理装置30とは別体に設けられた外部の入力機器から入力操作に対応する電気信号を受け取り、この電気信号を制御回路へ出力する電気信号の処理回路も入力インターフェース33の例に含まれる。
【0015】
ディスプレイ34は、処理回路35の制御の下、ユーザの操作を受け付けるためのGUI(Graphical User Interface)や、処理回路35による処理の結果等を表示する。ディスプレイ34は、例えば、液晶表示器等の表示デバイスである。
【0016】
処理回路35は、記憶回路32からプログラムを読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現するプロセッサである。処理回路35は、取得機能351と、画像生成機能352と、識別機能353と、出力機能354とを備える。取得機能351は、取得部の一例である。画像生成機能352は、画像生成部の一例である。識別機能353は、識別部の一例である。出力機能354は、出力部の一例である。
【0017】
ここで、例えば、処理回路35の構成要素である取得機能351、画像生成機能352、識別機能353、および出力機能354の各処理機能は、コンピュータによって実行可能なプログラムの形態で記憶回路32に記憶されている。例えば、処理回路35は、プログラムを記憶回路32から読み出し、実行することで各プログラムに対応する機能を実現する。換言すると、各プログラムを読み出した状態の処理回路35は、
図1の処理回路35内に示された各機能を有することとなる。なお、
図1においては単一のプロセッサにて取得機能351、画像生成機能352、識別機能353、および出力機能354にて行われる処理機能が実現されるものとして説明したが、複数の独立したプロセッサを組み合わせて処理回路35を構成し、各プロセッサがプログラムを実行することにより機能を実現するものとしても構わない。また、
図1においては単一の記憶回路32が各処理機能に対応するプログラムを記憶するものとして説明したが、複数の記憶回路を分散して配置して、処理回路35は個別の記憶回路から対応するプログラムを読み出す構成としても構わない。
【0018】
上記説明では、「プロセッサ」が各機能に対応するプログラムを記憶回路32から読み出して実行する例を説明したが、実施形態はこれに限定されない。「プロセッサ」という文言は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、GPU(Graphics Processing Unit)、特定用途向け集積回路(Application Specific Integrated Circuit:ASIC)、プログラマブル論理デバイス(例えば、単純プログラマブル論理デバイス(Simple Programmable Logic Device:SPLD)、複合プログラマブル論理デバイス(Complex Programmable Logic Device:CPLD)、及びフィールドプログラマブルゲートアレイ(Field Programmable Gate Array:FPGA))等の回路を意味する。プロセッサが例えばCPUである場合、プロセッサは記憶回路32に保存されたプログラムを読み出して実行することで機能を実現する。一方、プロセッサがASICである場合、記憶回路32にプログラムを保存する代わりに、当該機能がプロセッサの回路内に論理回路として直接組み込まれる。なお、本実施形態の各プロセッサは、プロセッサごとに単一の回路として構成される場合に限らず、複数の独立した回路を組み合わせて1つのプロセッサとして構成し、その機能を実現するようにしてもよい。さらに、
図1における複数の構成要素を1つのプロセッサへ統合してその機能を実現するようにしてもよい。
【0019】
取得機能351は、例えば、NWインターフェース31を介して、目標画像を取得する。目標画像の取得元は、例えば、PACS等の画像保管装置、または磁気共鳴イメージング装置等のモダリティであるが、これらに限定されるものではない。また、取得機能351は、NWインターフェース31を介さずに、情報処理装置30に接続された外部記憶媒体等から目標画像を取得しても良い。
【0020】
目標画像は、医用画像撮像装置(モダリティ)によって撮像された医用画像である。なお、本実施形態においては、目標画像、および後述の模倣画像の両方を医用画像という。目標画像を撮像した医用画像撮像装置は、本実施形態における第1の医用画像撮像装置の一例である。
【0021】
本実施形態においては、目標画像は、磁気共鳴イメージング装置によって撮像された磁気共鳴画像とする。磁気共鳴イメージング装置は、医用画像撮像装置の一例である。目標画像は、例えば、実際に患者の診断のために撮像された磁気共鳴画像であっても良い。目標画像は、技師または医師等(以下、技師等という)の所望の画像特性を有する。
【0022】
画像特性とは、医用画像の特性である。本実施形態においては、画像特性は、コントラスト、SNR(Signal-to-Noise Ratio)、分解能、および関心領域(Region Of Interest:ROI)に描出された組織によって表される。なお、画像特性は、これらに限定されるものではない。また、コントラスト、SNR、分解能、およびROIに描出された組織のうちのいずれか1つを画像特性としても良いし、これらのうちのいくつかの組み合わせを画像特性としても良い。また、画像特性は、さらに他の情報によって表されても良い。本実施形態においては、画像特性は、コントラスト、SNR、および分解能のうち、少なくともいずれか1つを含むものとする。
【0023】
例えば、技師等は、磁気共鳴イメージング装置で磁気共鳴画像を撮像する際に、所望の画像特性に合わせて、撮像パラメータを設定する。ここで、撮像パラメータの設定内容が同様であっても、個々の磁気共鳴イメージング装置の特性によって、実際に撮像される磁気共鳴画像は異なる。つまり、目標画像は、撮像に使用された磁気共鳴イメージング装置の特性に合わせて、技師等が適切な撮像パラメータを設定した状態で撮像されたものとする。なお、技師等が撮像パラメータの設定に失敗した磁気共鳴画像、または試行錯誤をしている段階において撮像された磁気共鳴画像は、目標画像として採用されないものとする。以下、磁気共鳴イメージング装置の特性を、装置特性という。
【0024】
撮像パラメータは、繰り返し時間(Repetition Time:TR)、エコー時間(Echo Time:TE)、反転回復時間(Inversion Time:TI)、高周波磁場パルスのフリップ角(Flip Angle:FA)、スライス位置、スライス枚数、スライス厚、FOV(撮像視野:Field Of View)、フィルタの有無、フィルタの種類、プリパルスの位置、およびプリパルスのタイミング等を含む。なお、撮像パラメータは、これらに限定されるものではない。
【0025】
本実施形態においては、磁気共鳴イメージング装置による磁気共鳴画像の撮像に使用される複数の撮像パラメータのセットを、撮像パラメータ群という。例えば、撮像パラメータ群は、上述の撮像パラメータのうちのいくつかを含むものでもよいし、全てを含むものでもよい。また、撮像パラメータは上述の例に限定されるものではないため、撮像パラメータ群は、上述した撮像パラメータ以外の項目を含んでも良い。本実施形態においては、撮像パラメータ群は、少なくともTR、TE、TI、およびFAのいずれか1つを含むものとする。
【0026】
磁気共鳴イメージング装置の装置特性は、磁気共鳴イメージング装置が持つ性能または仕様のうち、磁気共鳴画像の撮像結果に影響を与えるものである。なお、本実施形態においては、磁気共鳴イメージング装置の装置特性は、磁気共鳴イメージング装置のモデルごとの設計上の仕様または性能だけではなく、同じモデルであっても個々の磁気共鳴イメージング装置ごとに生じる差異も、装置特性に含む。なお、装置特性の定義はこれに限定されるものではなく、磁気共鳴イメージング装置のモデルごとの設計上の仕様または性能のみを装置特性としても良い。
【0027】
例えば、本実施形態においては、磁気共鳴イメージング装置の装置特性は、傾斜磁場コイル特性、静磁場特性、および高周波(Radio Frequency:RF)コイル特性を含む。傾斜磁場コイル特性は、例えば、最大傾斜磁場強度、傾斜磁場の単位時間あたりの変化量(slew rate)、および傾斜磁場の非線形性を含む。また、静磁場特性は、例えば、静磁場強度および静磁場の不均一性を含む。また、高周波コイル特性は、例えば、高周波コイルの感度の空間的不均一性およびSNR等である。
【0028】
磁気共鳴イメージング装置の装置特性はこれらに限定されるものではないが、本実施形態においては、装置特性は、傾斜磁場コイル特性、静磁場特性、および高周波コイル特性の少なくともいずれか1つを含むものとする。また、磁気共鳴イメージング装置の装置特性は、磁気共鳴イメージング装置の傾斜磁場コイル、静磁場磁石、および高周波コイル等のハードウェアの性能または仕様だけではなく、これらのハードウェアを制御するソフトウェアの性能または仕様を含んでも良い。例えば、傾斜磁場コイルを制御して傾斜磁場を切り替えるソフトウェアの性能が、磁気共鳴イメージング装置の装置特性に含まれても良い。
【0029】
取得機能351は、取得した目標画像を識別機能353に送出する。
【0030】
画像生成機能352と識別機能353とは、敵対的学習を実行する。画像生成機能352と識別機能353とを総称して学習機能としても良い。なお、学習機能は学習部の一例である。
【0031】
図2は、第1の実施形態に係る画像生成機能352と識別機能353の関係性の一例を示す図である。
図2に示すように、画像生成機能352は、模倣画像5を生成する。模倣画像5は、目標画像4a~4cを模倣した画像である。具体的には、本実施形態の模倣画像5は、画像生成機能352によって疑似的に生成された磁気共鳴画像である。画像生成機能352は、ランダムに生成された複数の異なる撮像パラメータ群に基づいて、模倣画像5を生成する。また、画像生成機能352は、2回目以降の生成においては、複数の異なる撮像パラメータ群と、後述の識別機能353による識別結果と、に基づいて模倣画像5を繰り返し生成することにより、目標画像4a~4cに対する模倣画像5の類似度を高める。例えば、画像生成機能352は、2回目以降の生成においては、ランダムに生成した撮像パラメータ群を識別結果に応じて変更し、変更した撮像パラメータ群を使用して模倣画像5を生成する。
【0032】
識別機能353は、目標画像4a~4cと模倣画像5とを識別し、識別結果を出力する。識別結果は、各医用画像のそれぞれが目標画像4a~4cであるか否かを識別機能353が識別した結果である。
【0033】
本実施形態においては、識別機能353は、目標画像4a~4cと模倣画像5の画像特性、例えばコントラスト、SNR、および分解能等に基づいて、目標画像4a~4cと模倣画像5とを識別する。例えば、目標画像4a~4cに描出された被検体と、模倣画像5に描出された被検体の形状が異なっていたとしても、画像特性が同様であれば、識別機能353は、模倣画像5を目標画像4a~4cと同様の画像と識別する。
【0034】
なお、
図2では3つの目標画像4a~4cを図示しているが、入力される目標画像の数は、特に限定されるものではない。以下、目標画像4a~4cを特に区別しない場合は、単に目標画像4という。
【0035】
識別機能353が目標画像4と模倣画像5とを識別できた場合、画像生成機能352は、識別機能353の識別結果に基づいて、異なる模倣画像5を生成する。
【0036】
一般に、処理が繰り返される毎に、模倣画像5の目標画像4との類似度が高まるため、目標画像4と模倣画像5との識別が困難になっていく。画像生成機能352による模倣画像の生成と、識別機能353による目標画像4と模倣画像5との識別と、の処理は、識別機能353が入力された医用画像を、目標画像4であるとも、模倣画像5であるとも識別できなくなるまで繰り返される。識別機能353が、入力された医用画像を、目標画像4であるとも、模倣画像5であるとも識別できなくなることを、画像生成機能352と識別機能353の敵対的学習が収束するという。
【0037】
次に、画像生成機能352についてより詳細に説明する。画像生成機能352は、複数の異なる撮像パラメータ群に基づいて、複数の模倣画像5を生成する。
【0038】
この際、画像生成機能352は、実際にユーザが撮像に使用する予定の磁気共鳴イメージング装置の装置特性に合わせて、模倣画像5を生成する。以下、撮像に使用する予定の磁気共鳴イメージング装置を、対象磁気共鳴イメージング装置という。対象磁気共鳴イメージング装置は、本実施形態における第2の医用画像撮像装置の一例である。
【0039】
本実施形態においては、対象磁気共鳴イメージング装置は、目標画像4を撮像した磁気共鳴イメージング装置とは異なる装置であるものとする。また、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性は、目標画像4を撮像した磁気共鳴イメージング装置の装置特性とは異なるものとする。
【0040】
なお、複数の目標画像4が画像生成機能352に入力される場合、複数の目標画像4は、同一の磁気共鳴イメージング装置で撮像されたものでもよいし、異なる磁気共鳴イメージング装置で撮像されたものでもよい。すなわち、目標画像4を撮像する第1の医用画像撮像装置は、1台でなくとも良く、複数の第1の医用画像撮像装置が存在しても良い。
【0041】
例えば、画像生成機能352は、対象磁気共鳴イメージング装置で目標画像4に類似する模倣画像5を生成するために、ランダムに生成された撮像パラメータ群の設定内容を調整する。撮像パラメータ群の設定内容は、例えば、TR、TE、TI、またはFAの設定値等であるが、これらに限定されるものではない。
【0042】
また、画像生成機能352は、調整後の撮像パラメータ群と、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性とに基づいて模倣画像5を生成する。そして、該模倣画像5が識別機能353によって模倣画像5であると識別された場合、撮像パラメータ群の設定内容を変更し、変更後の撮像パラメータ群に基づいて、前回とは異なる模倣画像5を生成する。画像生成機能352は、画像生成機能352と識別機能353の敵対的学習が収束するまで、撮像パラメータ群の設定内容の変更と、模倣画像5の生成とを繰り返す。
【0043】
画像生成機能352と識別機能353の敵対的学習が収束した場合における模倣画像5、つまり、識別機能353によって目標画像4であるとも模倣画像5であるとも識別されなかった模倣画像5の生成に使用された撮像パラメータ群の設定内容が、対象磁気共鳴イメージング装置によって目標画像4の画像特性に類似する画像特性を有する磁気共鳴医用画像を撮像するために適した設定内容である。
【0044】
なお、
図2では、画像生成機能352が模倣画像5を1つずつ生成しているように図示したが、画像生成機能352は、異なる撮像パラメータ群に基づく複数の模倣画像5を同時に生成しても良い。
【0045】
図3は、第1の実施形態に係る画像生成機能352の構成の一例について説明する図である。
図3に示すように、画像生成機能352は、シミュレータ90と、装置特性モデル91とを備える。
【0046】
シミュレータ90は、複数の異なる撮像パラメータを含む撮像パラメータ群61に基づいて、磁気共鳴イメージング装置で撮像される複数の医用画像の各々を表す複数の理論値を出力する学習済みモデルである。
【0047】
医用画像を表す理論値は、例えば磁気共鳴イメージング装置で被検体を撮像した場合に収集されるMR(Magnetic Resonance)信号であるが、これに限定されるものではない。例えば、MR信号が再構成された磁気共鳴画像を、医用画像を表す理論値としても良い。シミュレータ90は、例えば、公知のBloch Simulatorの技術によって当該理論値を算出しても良いし、他の技術を使用しても良い。
【0048】
本実施形態においては、シミュレータ90は、ランダムに生成された複数の撮像パラメータを含む撮像パラメータ群61から、仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性を前提として、理論値を生成する。仮想の磁気共鳴イメージング装置は、本実施形態における仮想の医用画像撮像装置の一例である。仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性は、理想的または標準的な装置特性である。また、シミュレータ90は、予め登録された仮想の被検体の形状および組成を表す被検体情報を理論値の生成に使用する。なお、ランダムな撮像パラメータ群61の生成は、画像生成機能352の機能であっても良いし、画像生成機能352の外部で行われても良い。
【0049】
装置特性モデル91は、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性と、撮像パラメータ群61の設定内容と、該装置特性および撮像パラメータ群61が医用画像を表す理論値に与える影響と、が対応付けられた学習済みモデルである。
【0050】
例えば、目標画像4が撮像された磁気共鳴イメージング装置の静磁場強度が3T、装置特性モデル91に組み込まれた対象磁気共鳴イメージング装置の静磁場強度が1.5Tのように、各磁気共鳴イメージング装置の装置特性に差異がある場合がある。このように装置特性が異なる磁気共鳴イメージング装置間では、撮像パラメータ群61の設定内容が同じであっても、異なる画像特性の磁気共鳴画像が撮像される。
【0051】
また、例えば、対象磁気共鳴イメージング装置の静磁場分布に、当該装置特有の不均一性がある場合、装置特性モデル91は、当該静磁場の不均一性が、撮像パラメータ群61の設定内容に応じて理論値に与える影響を学習済みであるものとする。
【0052】
例えば、装置特性モデル91は、シミュレータ90によって生成された理論値と、当該理論値の生成に使用された撮像パラメータ群61の設定内容との入力を受けた場合に、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性が付加された磁気共鳴画像を、模倣画像5として出力する。
【0053】
識別機能353が目標画像4と模倣画像5とを識別できた場合、シミュレータ90は、記憶回路32に記憶された撮像パラメータ群61の設定内容を変更する。本実施形態においては、シミュレータ90は、識別機能353による識別結果に基づいて、強化学習を実行し、撮像パラメータ群61の設定内容を、より目標画像4に類似する画像特性を得られるように変更する。シミュレータ90は、変更後の撮像パラメータ群61の設定内容に基づいて、医用画像を表す理論値を生成する。
【0054】
また、装置特性モデル91は、新たに生成された理論値と、当該新たな理論値の生成に使用された変更後の撮像パラメータ群61の設定内容との入力を受け、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性が付加された磁気共鳴画像を、新たな模倣画像5として出力する。
【0055】
また、画像生成機能352と識別機能353の敵対的学習が収束した場合、画像生成機能352は、敵対的学習が収束した場合における模倣画像5の生成に使用された撮像パラメータ群61の設定内容を、出力機能534に送出する。
【0056】
なお、シミュレータ90および装置特性モデル91の機能は、上述の例に限定されるものではない。例えば、シミュレータ90は、入力された目標画像4の画像特性に応じて、記憶回路32に記憶された撮像パラメータ群61の設定内容を調整する際に、装置特性モデル91を用いて、撮像パラメータ群61の設定内容を、対象磁気共鳴イメージング装置に応じた設定内容に変換しても良い。
【0057】
また、シミュレータ90に、装置特性モデル91が内包される構成を採用しても良い。また、
図3では、1つの装置特性モデル91を図示したが、複数の異なる対象磁気共鳴イメージング装置に対応する複数の異なる装置特性モデル91が設けられても良い。例えば、1台の対象磁気共鳴イメージング装置に設定する撮像パラメータ群61についての設定内容の決定処理が完了した後、画像生成機能352は、他の装置特性モデル91を用いて、他の対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性に基づく模倣画像5の生成を開始しても良い。
【0058】
次に、識別機能353についてより詳細に説明する。識別機能353は、上述のように、画像生成機能352により生成された複数の模倣画像5の各々が目標画像4であるか否かを識別する。本実施形態においては、識別機能353は、例えば、目標画像4と目標画像4以外の画像とを識別するように学習した学習済みモデルである。
【0059】
識別機能353は、入力された1以上の目標画像4および1以上の模倣画像5を含む医用画像群のうち、いずれの医用画像が目標画像4であるかを識別する。識別機能353は、当該識別の結果を出力する。識別機能353による識別結果は、例えば、入力された医用画像群のうち、いずれが目標画像4であるかを表す情報とする。
【0060】
入力された医用画像群に模倣画像5が含まれているにも関わらず、識別機能353が、各医用画像が模倣画像5か、目標画像4かを識別できなった場合、画像生成機能352と識別機能353の敵対的学習が収束した状態となる。例えば、識別機能353が、ある医用画像が目標画像4である確率が50%、模倣画像5である確率が50%と判定した場合が、敵対的学習が収束した状態である。
【0061】
図1に戻り、出力機能354は、画像生成機能352と識別機能353との敵対的学習が収束した場合における、画像生成機能352が模倣画像5の生成に用いた撮像パラメータ群61を出力する。本実施形態において、「出力」は、情報処理装置30の外部に情報を送信すること、情報処理装置30の内部、例えば記憶回路32に情報を保存すること、およびディスプレイ34に情報を表示させること、のいずれの意味でも良い。
【0062】
例えば、出力機能354は、敵対的学習が収束した場合における撮像パラメータ群61に含まれる撮像パラメータの項目と設定内容とを対応付けて、記憶回路32に出力する。この場合、対象磁気共鳴イメージング装置における撮像用の撮像パラメータ群61は、記憶回路32で保存される。また、出力機能354は、撮像パラメータ群61に含まれる撮像パラメータの項目と設定内容に、さらに、対象磁気共鳴イメージング装置を特定する情報を対応付けて出力しても良い。
【0063】
なお、敵対的学習の処理中に更新される撮像パラメータ群61と、敵対的学習が収束した場合における対象磁気共鳴イメージング装置における撮像用の撮像パラメータ群61とは、異なる記憶回路に保存されても良いし、記憶回路32で異なるアドレスに保存されても良い。あるいは、出力機能354は、敵対的学習の処理中に更新された撮像パラメータ群61に、敵対的学習が収束したことを表すフラグ等の情報を付加することにより、対象磁気共鳴イメージング装置における撮像用の撮像パラメータ群61であることが特定可能な状態としても良い。
【0064】
また、出力機能354は、敵対的学習が収束した場合における、画像生成機能352が模倣画像5の生成に用いた撮像パラメータ群61を、NWインターフェース31を介して、他の情報処理装置または対象磁気共鳴イメージング装置に出力しても良い。
【0065】
また、出力機能354は、敵対的学習が収束した場合における、画像生成機能352が模倣画像5の生成に用いた撮像パラメータ群61の項目と設定内容とを、ディスプレイ34に表示させても良い。
【0066】
次に、以上のように構成された本実施形態における情報処理装置30で実行される撮像パラメータの決定処理の流れについて説明する。
【0067】
図4は、第1の実施形態に係る撮像パラメータの決定処理の流れの一例を示すフローチャートである。このフローチャートの処理は、例えば、ユーザが入力インターフェース33を操作することにより、撮像パラメータの決定処理の開始を入力した場合に開始される。
【0068】
まず、取得機能351は、PACS等の画像保管装置、または磁気共鳴イメージング装置等から目標画像4を取得する(S1)。取得機能351は、取得した目標画像を画像生成機能352および識別機能353に送出する。
【0069】
次に、画像生成機能352は、ランダムに生成された撮像パラメータ群61から理論値を生成する(S2)。上述のように、理論値は、例えば、模擬的に生成されたMR信号である。
【0070】
そして、画像生成機能352は、生成された理論値と、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性とに基づいて模倣画像5を生成する(S3)。画像生成機能352は、生成した模倣画像5を識別機能353に送出する。
【0071】
次に、識別機能353は、目標画像4と模倣画像5との識別処理を実行する(S4)。そして、識別機能353は識別結果を画像生成機能352に送出する。
【0072】
識別機能353が目標画像4と模倣画像5とを識別できた場合(S5“Yes”)、画像生成機能352は、撮像パラメータ群61の設定内容を変更する(S6)。
【0073】
そして、画像生成機能352は、S3の処理に戻り、S6で変更した撮像パラメータ群61の設定内容に基づいて、前回とは異なる模倣画像5を生成する。識別機能353が、目標画像4と模倣画像5とを識別できている間は、S3~S6の処理は繰り返し実行される。
【0074】
また、識別機能353が、目標画像4と模倣画像5とを識別できなかった場合(S5“No”)、画像生成機能352と識別機能353との敵対的学習が収束する。この場合、画像生成機能352は、識別機能353によって模倣画像5であることが識別されなかった模倣画像5の生成に使用された撮像パラメータ群61の設定内容を、出力機能534に送出する。
【0075】
そして、出力機能534は、目標画像4との識別が不可となった模倣画像5の生成に使用された撮像パラメータ群61を出力する(S7)。ここで、このフローチャートの処理は終了する。
【0076】
このように、本実施形態の情報処理装置30によれば、複数の異なる撮像パラメータ群61に基づいて複数の模倣画像5を生成する画像生成機能352と、複数の模倣画像5の各々が目標画像4であるか否かを識別する識別機能353と、の敵対的学習を実行することにより、目標画像4に類似する模倣画像5を生成するために適した撮像パラメータ群61の設定内容を、容易に特定することができる。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、技師等が手作業で撮像パラメータの設定内容の変更と磁気共鳴画像の撮像を繰り返して試行錯誤しなくとも撮像パラメータ群61の設定内容を決定することが可能となり、磁気共鳴画像の撮像における作業効率を向上させることができる。
【0077】
また、本実施形態の情報処理装置30の画像生成機能352は、識別機能353の識別結果に応じて撮像パラメータ群61の設定内容を変更し、変更後の撮像パラメータ群61の設定内容に基づいて、生成した模倣画像5とは異なる模倣画像5を生成する。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、画像生成機能352は、生成処理を繰り返すうちに、目標画像4により類似した模倣画像5を生成することが可能となる。これにより、対象磁気共鳴イメージング装置で目標画像4に類似した磁気共鳴画像を撮像可能な撮像パラメータ群61の設定内容を、高精度に特定することができる。
【0078】
また、本実施形態の情報処理装置30の画像生成機能352は、仮想の磁気共鳴イメージング装置を前提とした理論値を出力するシミュレータ90と、実際に撮像に使用される対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性が組み込まれた装置特性モデル91と、を備える。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、実際に撮像に使用される対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性に応じて、適切な撮像パラメータ群61の設定内容を決定することができる。
【0079】
特に、CT値によって画素値が絶対値として定められるX線コンピュータ断層(Computed Tomography)撮像装置とは異なり、磁気共鳴イメージング装置によって撮像される磁気共鳴画像は、撮像時に収集されるMR信号の相対的な差異によって画素値が定められる。このため、異なる磁気共鳴イメージング装置間では撮像パラメータ群の設定内容を統一することが困難な場合があり、技師等が装置ごとに試行錯誤して撮像パラメータ群を設定していた。本実施形態の情報処理装置30によれば、目標画像4が撮像された磁気共鳴イメージング装置と、実際に撮像に使用される対象磁気共鳴イメージング装置とが異なる装置であっても撮像パラメータ群の設定内容を特定することができるため、技師等による試行錯誤の作業の負荷を低減することができる。
【0080】
また、本実施形態の装置特性は、傾斜磁場コイル特性、静磁場特性、および高周波コイル特性のうち、少なくともいずれか1つを含む。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、対象磁気共鳴イメージング装置に含まれるハードウェアの特性が、目標画像を撮像した磁気共鳴イメージング装置に含まれるハードウェアの特性と異なっても、適切な撮像パラメータ群61の設定内容を決定することができる。
【0081】
また、本実施形態の撮像パラメータ群61は、対象磁気共鳴イメージング装置の撮像における繰り返し時間、エコー時間、反転回復時間、および高周波磁場パルスのフリップ角のうち、少なくともいずれか1つを含む。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、磁気共鳴イメージング装置によって撮像をする際に、磁気共鳴画像の画像特性に影響を与える撮像パラメータの適切な設定内容を、容易に決定することができる。
【0082】
また、本実施形態では、情報処理装置30の識別機能353が、画像生成機能352によって生成された複数の模倣画像5のうちのいずれかと、目標画像4とを識別できなくなった場合に、画像生成機能352と識別機能353との敵対的学習が収束したものとする。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、画像生成機能352と識別機能353とが互いに学習を繰り返すことにより、画像生成機能352は、より目標画像4に類似する模倣画像5を生成するように、撮像パラメータの設定内容を適切なものに変化させることができる。
【0083】
また、本実施形態の情報処理装置30の識別機能353は、目標画像4と模倣画像5の画像特性に基づいて、目標画像4と模倣画像5とを識別する。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、画像生成機能352が、目標画像4に画像特性が類似した模倣画像5を生成することができるように、敵対的学習を実行することができる。
【0084】
また、本実施形態の画像特性は、目標画像4および模倣画像5のコントラスト、SNR、および分解能のうち、少なくともいずれか1つを含む。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、個々の磁気共鳴イメージング装置の装置特性によって差異が発生する可能性の高いこれらの画像特性を所望の状態にするために技師等が撮像パラメータの設定を試行錯誤することを、低減することができる。
【0085】
なお、本実施形態の識別機能353、および、画像生成機能352に含まれるシミュレータ90および装置特性モデル91は、例えば、ニューラルネットワーク等のディープラーニング(深層学習)によって生成された学習済みモデルとする。
【0086】
ディープラーニングの手法としては、畳み込みニューラルネットワーク(CNN:Convolutional Neural Network)や、畳み込み深層信念ニューラルネットワーク(CDBN:Convolutional Deep Belief Neural Network)などの多層のニューラルネットワークを適用することができるが、これらに限定されるものではない。
【0087】
また、識別機能353、および、画像生成機能352に含まれるシミュレータ90および装置特性モデル91が、学習済みモデル以外の手法によって実現されても良い。例えば、数式モデル、ルックアップテーブル、またはデータベース等の技術が、識別機能353、および、画像生成機能352の機能を実現するために採用されても良い。
【0088】
また、本実施形態においては、識別機能353、および、画像生成機能352に学習済みモデルが組み込まれているものとして説明したが、当該構成に限定されるものではない。例えば、識別機能353、および、画像生成機能352は、記憶回路32から学習済みモデルを読み出して実行することで、本実施形態で説明した機能を実現しても良い。また、学習済みモデルは、情報処理装置30の外部に設けられた記憶装置に記憶されていても良い。
【0089】
また、本実施形態においては、1台の情報処理装置30が全ての機能を実現するものとして説明したが、複数の情報処理装置が処理を分担する構成としても良い。また、情報処理装置30の機能の一部または全てが、クラウド環境等で実行されても良い。
【0090】
また、撮像対象の磁気共鳴画像の撮像対象部位、または磁気共鳴画像の種類ごとに撮像パラメータ群61の設定内容は異なるため、本実施形態で説明した撮像パラメータ群61の設定内容の決定処理は、撮像対象の磁気共鳴画像の撮像対象部位、または磁気共鳴画像の種類ごと実行される。例えば、磁気共鳴画像の撮像対象部位や種類ごとに、技師等の所望の画像特性を有する複数の目標画像4が使用されるものとする。
【0091】
また、本実施形態においては、医用画像撮像装置は磁気共鳴イメージング装置であるものとして説明したが、他の医用画像撮像装置に本実施形態における撮像パラメータ群61の設定内容を決定する手法を適用しても良い。
【0092】
(第2の実施形態)
上述の第1の実施形態では、敵対的学習によって、模倣画像5の精度を向上させていたが、この第2の実施形態においては、目標画像4と模倣画像5との類似度を評価することによって、模倣画像5の精度を向上させる。
【0093】
図5は、第2の実施形態に係る情報処理装置30の一例を示すブロック図である。本実施形態の情報処理装置30は、第1の実施形態と同様に、NWインターフェース31と、記憶回路32と、入力インターフェース33と、ディスプレイ34と、処理回路35とを備える。
【0094】
また、本実施形態の処理回路35は、取得機能351と、画像生成機能352と、比較機能356と、出力機能354とを備える。比較機能356は、比較部の一例である。本実施形態の取得機能351は、第1の実施形態と同様の機能を備える。
【0095】
図6は、第2の実施形態に係る画像生成機能352と比較機能356の関係性の一例を示す図である。
【0096】
本実施形態の画像生成機能352は、第1の実施形態と同様に、目標画像4および複数の異なる撮像パラメータ群61に基づいて、複数の模倣画像5を生成する。また、本実施形態の画像生成機能352は、第1の実施形態と同様に、シミュレータ90と装置特性モデル91とを備える。
【0097】
また、本実施形態の画像生成機能352は、後述の比較機能356による目標画像4と模倣画像5との比較結果に応じて、撮像パラメータ群61の設定内容を変更し、変更後の撮像パラメータ群61の設定内容に基づいて、前回とは異なる模倣画像5を生成する。
【0098】
画像生成機能352は、後述の比較機能356によって目標画像4と模倣画像5の画像特性の類似度が最適化されたと評価された場合に、当該模倣画像5の生成に使用した撮像パラメータ群61の設定内容を出力機能354に送出する。
【0099】
なお、
図6では、画像生成機能352は、模倣画像5を1度に1つずつ生成するように記載しているが、撮像パラメータ群61の設定内容の異なる複数の模倣画像5を1度に生成しても良い。
【0100】
比較機能356は、画像生成機能352により生成された複数の模倣画像5の各々と目標画像4とを比較する。例えば、
図6に示すように、比較機能356は、画像生成機能352によって生成された模倣画像5と、目標画像4a~4cとを比較する。そして、比較機能356は、比較結果を画像生成機能352に送出する。
【0101】
例えば、比較機能356は、目標画像4と模倣画像5の類似度を、比較結果として出力する。
【0102】
比較機能356は、例えば、目標画像4と模倣画像5の画像特性を比較し、目標画像4と模倣画像5の画像特性が類似しているほど、目標画像4と模倣画像5の類似度が高いと評価する。
【0103】
例えば、比較機能356は、目標画像4と模倣画像5の画像特性の類似度を評価する評価関数の値を最適化する最適化問題を解く。最適化手法は、例えば、粒子群最適化であるが、これに限定されるものではない。当該評価関数が最適化されるのは、目標画像4と模倣画像5の画像特性の類似度が最大となった場合である。この場合、比較機能356は、画像生成機能352に、類似度が最大となったことを通知する。
【0104】
あるいは、比較機能356は、目標画像4と模倣画像5の差異の大きさを比較結果として出力しても良い。この場合、比較機能356は、目標画像4と模倣画像5の画像特性の差異が大きいほど、目標画像4と模倣画像5の差異が大きいと評価する。この場合、比較機能356は、目標画像4と模倣画像5の差異の大きさが最小化された状態が最適化された状態である評価関数を用いて、最適化処理を実行する。
【0105】
また、本実施形態の出力機能354は、複数の異なる撮像パラメータ群61のうち、比較機能356による比較結果に基づく撮像パラメータ群61を出力する。より詳細には、出力機能354は、画像生成機能352によって生成された複数の模倣画像5のうち、目標画像4との類似度が最大化された模倣画像5、または目標画像4との差異の大きさが最小化された模倣画像5の生成に使用された撮像パラメータ群61を出力する。
【0106】
例えば、出力機能354は、比較機能356による評価が最適化された場合における撮像パラメータ群61に含まれる撮像パラメータの項目と設定内容とを対応付けて、記憶回路32に出力する。
【0107】
あるいは、出力機能354は、比較機能356による評価が最適化された場合における、画像生成機能352が模倣画像5の生成に用いた撮像パラメータ群61を、NWインターフェース31を介して、他の情報処理装置または対象磁気共鳴イメージング装置に出力しても良い。
【0108】
また、出力機能354は、比較機能356による評価が最適化された場合における、画像生成機能352が模倣画像5の生成に用いた撮像パラメータ群61の項目と設定内容とを、ディスプレイ34に表示させても良い。
【0109】
このように、本実施形態の情報処理装置30は、複数の異なる撮像パラメータ群61のうち、当該複数の異なる撮像パラメータ群61に基づいて生成された複数の模倣画像5の各々と目標画像4との比較結果に基づく撮像パラメータ群61を出力する。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、撮像パラメータ群61の設定内容を容易に決定することができる。
【0110】
また、本実施形態の情報処理装置30の画像生成機能352は、比較機能356の比較結果に応じて撮像パラメータ群61の設定内容を変更し、変更後の撮像パラメータ群61の設定内容に基づいて、前回生成した医用画像とは異なる医用画像を生成する。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、画像生成機能352は、生成処理を繰り返すうちに、目標画像4により類似した模倣画像5を生成することが可能となる。これにより、対象磁気共鳴イメージング装置で目標画像4に類似した磁気共鳴画像を撮像可能な撮像パラメータ群61の設定内容を、高精度に特定することができる。
【0111】
また、本実施形態においては、複数の模倣画像5の各々と目標画像4との比較結果は、複数の模倣画像5の各々と目標画像4との類似度、または複数の模倣画像5の各々と目標画像4との差異の大きさを表す。本実施形態の情報処理装置30は、複数の模倣画像5のうち、目標画像4との類似度が最大化された模倣画像5、または目標画像4との差異の大きさが最小化された模倣画像5の生成に使用された撮像パラメータ群61を出力する。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、目標画像4と類似する模倣画像5を生成可能な撮像パラメータ群61の設定内容を容易に特定することができる。
【0112】
また、本実施形態の情報処理装置30は、目標画像4と模倣画像5の画像特性に基づいて、目標画像4と模倣画像5との類似度、または目標画像4と模倣画像5との差異の大きさを求める。このため、本実施形態の情報処理装置30によれば、画像生成機能352が、目標画像4に画像特性が類似した模倣画像5を生成することができるように、撮像パラメータ群61の設定内容を調整することができる。
【0113】
なお、本実施形態においては、評価関数を用いた最適化モデルを採用したが、ディープラーニングの手法を採用しても良い。
【0114】
(変形例1)
上述の第1、第2の実施形態では、技師等の所望の画像特性を有する目標画像4と、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性が反映された模倣画像5と、を識別または比較していたが、目標画像4を対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性に応じて加工しても良い。
【0115】
図7は、変形例1に係る比較処理の概要の一例を示す図である。例えば、本変形例の情報処理装置30の処理回路35は、第2の実施形態と同様の機能部に加えて、加工機能357を備える。加工機能357は、加工部の一例である。
【0116】
図7に示すように、加工機能357は、装置特性モデル91を備える。加工機能357は、例えば、目標画像4から、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性とシミュレータ90が前提とする仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性との差異による影響を除くように加工する。
【0117】
また、本変形例の画像生成機能352は、装置特性モデル91を備えない。画像生成機能352は、シミュレータ90によって、仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性を前提として、医用画像を表す理論値を生成する。本変形例においては、画像生成機能352は、当該理論値に基づく模倣画像5を、比較機能356に送出する。
【0118】
本変形例の比較機能356は、加工機能357によって加工された加工済目標画像41a~41cと、仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性を前提として生成された模倣画像5とを比較する。以下、個々の加工済目標画像41a~41cを区別しない場合には、単に加工済目標画像41という。
【0119】
例えば、本変形例の比較機能356は、仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性を前提として生成される模倣画像5の画像特性と、目標画像4から装置特性による影響を除いた加工済目標画像41の画像特性との類似度を最大化する最適化関数を用いて、比較処理を実行する。なお、比較機能356は、仮想の磁気共鳴イメージング装置の装置特性を前提として生成される模倣画像5の画像特性と、目標画像4から装置特性による影響を除いた加工済目標画像41の画像特性との差異を最小化する最適化関数を用いても良い。
【0120】
なお、本変形例においては、第2の実施形態と同様に情報処理装置30が比較機能356を備える構成に加工機能357を付加した例を説明したが、第1の実施形態と同様に情報処理装置30が識別機能353を備える構成に加工機能357を付加しても良い。
【0121】
また、加工機能357は、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性だけでなく、目標画像4を撮像した磁気共鳴イメージング装置の装置特性に基づいて、目標画像4を加工しても良い。
【0122】
(変形例2)
また、上述の第1、第2の実施形態では、情報処理装置30の処理回路35は、1つの画像生成機能352を備えるものとして説明したが、処理回路35は、複数の画像生成機能352を備えても良い。
【0123】
図8は、第2の変形例に係る複数の画像生成機能352a,352bと識別機能353の関係性の一例を示す図である。本変形例の情報処理装置30の処理回路35は、例えば、第1の実施形態の構成に加えて、第1の画像生成機能352aと、第2の画像生成機能352bとを備える。第1の画像生成機能352aは、第1の装置特性モデル92aを備える。また、第2の画像生成機能352bは、第2の装置特性モデル92bを備える。なお、
図8ではシミュレータ90の図示を省略しているが、第1の画像生成機能352aと、第2の画像生成機能352bとは、それぞれ、シミュレータ90を備える。
【0124】
第1の装置特性モデル92aと、第2の装置特性モデル92bとは、異なる対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性に対応している。この場合、第1の画像生成機能352aは、第1の対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性を加味した第1の模倣画像51aを生成する。また、第2の画像生成機能352bは、第2の対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性を加味した第2の模倣画像51bを生成する。第1の対象磁気共鳴イメージング装置と第2の対象磁気共鳴イメージング装置とは、異なる装置であるものとする。
【0125】
識別機能353は、第1の画像生成機能352aと第2の画像生成機能352bの各々と敵対的学習を実行する。これにより、第1の対象磁気共鳴イメージング装置と第2の対象磁気共鳴イメージング装置のそれぞれで目標画像4を撮像するために適した、2つの撮像パラメータ群61の設定内容を決定する処理が同時に実行可能となる。
【0126】
なお、
図8では、2台の対象磁気共鳴イメージング装置で所望の磁気共鳴画像を撮像するための2つの撮像パラメータ群61の設定内容を決定する場合を例示したが、3台以上の対象磁気共鳴イメージング装置に対応する構成を採用しても良い。情報処理装置30の処理回路35は、撮像パラメータ群61の設定内容を決定する対象の対象磁気共鳴イメージング装置の数だけ、画像生成機能352を備えても良い。
【0127】
また、本変形例においては、第1の実施形態と同様に情報処理装置30が識別機能353を備える構成に複数の画像生成機能352a,352bが設けられた構成を例示したが、第2の実施形態と同様に情報処理装置30が比較機能356を備える構成に複数の画像生成機能352a,352bが設けられても良い。
【0128】
(変形例3)
上述の第1、第2の実施形態では、対象磁気共鳴イメージング装置とは異なる情報処理装置30が撮像パラメータ群61の設定内容の決定処理を実行するものとして説明したが、対象磁気共鳴イメージング装置が、当該処理を実行しても良い。
【0129】
例えば、磁気共鳴イメージング装置の計算機システムの処理回路が、第1の実施形態と同様に、取得機能351と、画像生成機能352と、識別機能353と、出力機能354とを備えても良い。あるいは、磁気共鳴イメージング装置の計算機システムの処理回路が、第2の実施形態と同様に、取得機能351と、画像生成機能352と、比較機能356と、出力機能354とを備えても良い。本変形例においては、磁気共鳴イメージング装置が、情報処理装置の一例となる。
【0130】
この場合、画像生成機能352は、シミュレーションではなく、実際に磁気共鳴イメージング装置の各部を制御して、磁気共鳴画像の撮像を実行することにより、模倣画像5を生成する。例えば、画像生成機能352は、複数の異なる撮像パラメータ群61に基づいて、被検体を複数回撮像することにより模倣画像5を生成する。なお、本変形例では、シミュレータ90および装置特性モデル91は使用されない。
【0131】
本変形例においては、実際に撮像パラメータ群61を適用する対象である対象磁気共鳴イメージング装置で撮像を実行しながら撮像パラメータ群61の設定内容を決定するため、対象磁気共鳴イメージング装置の装置特性を反映した適切な撮像パラメータ群61の設定内容を高精度に特定することが可能になる。
【0132】
(変形例4)
上述の各実施形態において、画像生成機能352は、識別結果または比較結果に基づいて撮像パラメータを変更していたが、この際、変更の範囲に制約がかけられても良い。制約条件は、例えば、撮像時間、コントラスト、SNR、または分解能等である。
【0133】
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、目標の画像特性を備える医用画像の撮像に適した撮像パラメータの特定を容易にすることができる。
【0134】
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更、実施形態同士の組み合わせを行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。
【符号の説明】
【0135】
4,4a~4c 目標画像
5 模倣画像
30 情報処理装置
31 インターフェース
32 記憶回路
33 入力インターフェース
34 ディスプレイ
35 処理回路
41,41a,41b 加工済目標画像
51a 第1の模倣画像
51b 第2の模倣画像
61 撮像パラメータ群
90 シミュレータ
91 装置特性モデル
92a 第1の装置特性モデル
92b 第2の装置特性モデル
351 取得機能
352 画像生成機能
352a 第1の画像生成機能
352b 第2の画像生成機能
353 識別機能
354 出力機能
356 比較機能
357 加工機能
534 出力機能