(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】ポンプディスペンサー及び吐出容器
(51)【国際特許分類】
B65D 47/34 20060101AFI20240913BHJP
B05B 11/00 20230101ALI20240913BHJP
【FI】
B65D47/34 100
B05B11/00 101G
B05B11/00 101E
(21)【出願番号】P 2020173624
(22)【出願日】2020-10-14
【審査請求日】2023-09-07
(73)【特許権者】
【識別番号】000000918
【氏名又は名称】花王株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002170
【氏名又は名称】弁理士法人翔和国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】久保田 遼
(72)【発明者】
【氏名】八島 昇
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 文人
【審査官】二ッ谷 裕子
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-51948(JP,A)
【文献】特開2006-103792(JP,A)
【文献】特開2010-184182(JP,A)
【文献】米国特許第1937344(US,A)
【文献】特開2019-51949(JP,A)
【文献】特開2016-117501(JP,A)
【文献】特開2016-22466(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
B65D 47/34
B05B 11/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
容器本体内に収容された液体を吐出するポンプディスペンサーであって、
前記容器本体内に収容された液体を吸い上げるポンプ機構と、ポンプ機構によって吸い上げられた液体が吐出される吐出口と、回動軸廻りに回動させることで、回動による変位量に応じた量の液体を前記吐出口から吐出させることが可能な吐出レバーとを有し、
前記吐出レバーを、外力を加えない初期状態から最大回動状態まで回動させる回動範囲の途中に、該吐出レバーを回動させている手指の一部を当接させることが可能な指当接部を備
え、前記手指の一部が前記指当接部に当接した時点で回動動作を停止することによって、前記液体の吐出量を最大吐出量未満の所定の量に制限可能になされて
おり、
前記吐出レバーの下方に把手部が配置されており、
前記把手部における前記吐出レバーの下面と対向する側に、回動される前記吐出レバーの少なくとも一部を収容可能な収容凹部が形成されており、
前記指当接部は、前記吐出レバーの一部が前記収容凹部に収容された状態において、前記手指の一部に当接し、
前記指当接部は、前記把手部に形成された前記収容凹部の上縁部に、該上縁部の上面から上方かつ前記収容凹部の幅方向の外方に突出した状態に形成されている、ポンプディスペンサー。
【請求項2】
前記指当接部は、前記吐出量が、最大吐出量の5~95容量%の範囲内となる位置に設けられている、請求項1に記載のポンプディスペンサー。
【請求項3】
前記指当接部は、前記吐出レバーが前記指当接部の位置まで回動したときに、前記吐出レバーの上面と面一となる上面を備える、請求項1又は2に記載のポンプディスペンサー。
【請求項4】
前記指当接部は、前記吐出レバーの移動経路を挟む両側に位置する一対の指当接部として設けられている、請求項1~3のいずれか1項に記載のポンプディスペンサー。
【請求項5】
前記指当接部は、前記変位量が相互に異なる複数の部位に位置に設けられている、請求項1~
4のいずれか1項に記載のポンプディスペンサー。
【請求項6】
請求項1~
5のいずれか1項に記載のポンプディスペンサーと、該ポンプディスペンサーが取り付けられた前記容器本体とを備える吐出容器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器本体内に収容された液体を吐出するポンプディスペンサー及び該ポンプディスペンサーを有する吐出容器に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、ヘアリンスや液体洗剤等の液体が収容された容器本体に取り付けて、これら液体を吸い上げて吐出ノズルから吐出させるポンプ機構を有するポンプディスペンサーが知られている。このようなポンプディスペンサーとして、吐出レバーを、回動軸を中心に変位させることで、回動の変位量に応じた量の液体を吐出する回動方式のものがある。
【0003】
例えば特許文献1には、吐出レバーを梃子の原理を用いて押し下げてポンプ機構を駆動して、液体を吐出する回動方式のポンプディスペンサーが記載されている。特許文献1のポンプディスペンサーによれば、容器本体に収容された液体を、ポンプ機構により吸い上げた後、吐出レバーを、最大回動量に満たない任意の位置まで回動することによって、所望の量の液体を吐出することができ、また、吐出レバーの回動による変位量を目盛り表示することで、使用状況に応じた所望の量を正確に計量することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の回動方式のポンプディスペンサーを用いて、所望の量の液体を吐出するには、目盛り表示を見ながら、吐出レバーを、所望の吐出量となるまで回動させる必要がある。しかしながら、斯かる操作を、照度が不十分で、目盛りが見えにくい環境下で行わざるを得ない場合、目盛りを読み取ることが負担になったり、目盛りの読み取りを誤ることも生じ得る。また、消費者によっては、高齢や障害により目盛りを読み取ること自体が負担となる場合もある。したがって、目盛りを目で確認しなくても、簡便に所望の吐出量を吐出させることが可能なポンプディスペンサー及び該ポンプディスペンサーを有する吐出容器の開発が望まれる。
【0006】
本発明の課題は、上述した従来技術が有する課題を解決し得る、ポンプディスペンサー及び該ポンプディスペンサーを有する吐出容器を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、前記容器本体内に収容された液体を吸い上げるポンプ機構と、ポンプ機構によって吸い上げられた液体が吐出される吐出口と、回動軸廻りに回動させることで、回動による変位量に応じた量の液体を前記吐出口から吐出させることが可能な吐出レバーとを有するポンプディスペンサーを提供するものである。
前記ポンプディスペンサーは、前記吐出レバーを、外力を加えない初期状態から最大回動状態まで回動させる回動範囲の途中に、該吐出レバーを回動させている手指の一部を当接させることが可能な指当接部を備えており、前記手指の一部が前記指当接部に当接した時点で回動動作を停止することによって、前記液体の吐出量を最大吐出量未満の所定の量に制限可能になされている。
【0008】
また本発明は、前記ポンプディスペンサーと、該ポンプディスペンサーが取り付けられた前記容器本体とを備える吐出容器を提供するものである。
【発明の効果】
【0009】
本発明のポンプディスペンサー及び吐出容器によれば、簡便に、所望量の液体を吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】
図1は、本発明の好ましい実施形態に係るポンプディスペンサー及び吐出容器を示す斜視図である。
【
図2】
図2は、ポンプ機構の模式的な断面図である。
【
図3】
図3(a)~(d)は、
図1に示すポンプディスペンサーの使用中の一状態を示す斜視図である。
【
図4】
図4は、
図1に示すポンプディスペンサーの吐出レバーの操作中に、吐出レバーを回動させている手指の一部を指当接部の一つに当接させた状態を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明のポンプディスペンサー及び吐出容器を、その好ましい実施形態に基づき説明する。
図1及び
図2には、本発明の好ましい実施形態に係るポンプディスペンサー1及び吐出容器10が示されている。
図1には、本実施形態に係る吐出容器10が、ポンプディスペンサー1と容器本体11とに分離された状態が示されている。
図2には、ポンプ機構2の断面形状が模式的に示されている。
図3(a)~(d)には、回動された吐出レバー4が、指当接部6が設けられた位置で停止している状態が示されている。また、
図4には、吐出レバー4を回動した際に、吐出レバー4に掛けた指の一部が、把手部5に設けられた収容凹部51の上縁部5uに形成された指当接部6に当接している状態が示されている。
【0012】
図1に示すように、本実施形態に係る吐出容器10は、ポンプディスペンサー1と、該ポンプディスペンサー1が取り付けられた容器本体11とを備えている。
ポンプディスペンサー1は、容器本体11内に収容された液体を、ポンプ機構2によって吸い上げ、吸い上げた液体を、吐出レバー4を回動させる操作により吐出させることが可能なポンプ式のディスペンサーである。
より具体的に説明すると、ポンプディスペンサー1は、容器本体11内に収容された液体を吸い上げるポンプ機構2と、ポンプ機構2によって吸い上げた液体が吐出される吐出口3と、上下方向Zと直交する方向Yに延びる回動軸40廻りに回動させることで、回動による変位量に応じた量の液体を前記吐出口から吐出させることが可能な吐出レバー4とを備えている。本実施形態のポンプディスペンサー1は、更に、吐出レバー4の下方に、把手部5を備えている。
【0013】
ここで、上下方向Zとは、ポンプディスペンサー1を容器本体11に取り付けた状態で、容器本体11の口部11a側を鉛直方向の上側、容器本体11の底部(図示せず)側を鉛直方向の下側に位置させたときに当該鉛直方向に沿う方向であり、上側又は上方は、当該状態において、鉛直方向の上側又は上方に向かう方向であり、下側又は下方は、当該状態において、鉛直方向の下側又は下方に向かう方向である。したがって、容器本体11内に収容された液体を吐出させる際に、口部11aが底部よりも下側に配置されるように容器本体11を傾けた状態とした場合でも、上側又は上方は、容器本体11の口部11a側に位置する部分であり、下側又は下方は、容器本体11の底部側に位置する部分である。
【0014】
本実施形態のポンプディスペンサー1は、容器本体11に螺合により脱着自在に取り付け可能である。容器本体11は、口部11a及び胴部11bを有しており、内部に液体を収容可能に形成されている。容器本体11に収容される液体は、ポンプディスペンサーにより吸い上げて吐出させることが可能な液体であれば特に限定されないが、液体の例を挙げれば、例えば、シャンプー液、ヘアリンス液、液体石鹸、衣類又は食器用の液体洗剤、柔軟剤、調味料、化粧水等の化粧料、液状食品、消毒用アルコール等の薬剤等が挙げられる。
【0015】
ポンプ機構2は、把手部5と一体として形成されたハウジング53に固定支持されている。ポンプ機構2は、直圧式のポンプであり、例えば、シリンダ内に配されるピストンを、シリンダの内壁に沿って摺動させると共に、液体が流通する流通路に配した吐出弁及び吸入弁を開閉させることによって、容器本体内に収容された液体を、シリンダ内に吸込み、シリンダ内に吸込まれた液体を、吸入弁を閉じた状態でピストンで加圧することにより、吐出口から吐出させるようになっている。斯かる構成のポンプ機構は公知であり、例えば、特許第6415884号公報に記載のポンプ式吐出容器におけるものと同一構成のものを用いることができる。
【0016】
本実施形態のポンプディスペンサー1におけるポンプ機構2では、シリンダ25内の液体保持空間Sに液体が収容されている状態において、
図2に示すように、吐出レバー4を、その回動軸40を回動中心として、矢印R1方向に回動させると、吐出レバー4の回動動作に従動するピストンシャフト21によって、ピストン26が押し下げられ、液体保持空間Sに閉じ込められている液体が、吐出弁27を押し開き、液体保持空間Sに存する液体及び液体保持空間Sと吐出口3とを連通する流路内に存する液体のうちの所定量の液体が、吐出口3から吐出されるようになっている。その後、吐出レバー4に対する押下げ力を解除すると、バネ24の付勢力で、ピストン26、ピストンシャフト21が押し上げられ、それにより、吐出レバー4が矢印R2方向に回動する。バネ24の付勢力で、ピストン26が押し上げられると、液体保持空間S内の負圧により吸入弁28が開いて所定量の液体が、ディップチューブ23を介して流通路内に吸い上げられるようになっている。
【0017】
本実施形態のポンプディスペンサー1は、ポンプ機構2に連結された吐出ノズル31は、
図2に示すように、ハウジング53に固定支持されており、吐出ノズル31に吐出口3が形成されている。ハウジング53及び把手部5は、吐出レバー4と連動しない非可動の本体部を構成している。ポンプディスペンサー1では、吐出ノズル31が、非可動の本体部に固定された状態で液体が吐出されるようになっている。吐出ノズル31が、非可動の本体部に固定された状態で液体が吐出されると、液体がより安定して吐出される利点がある。
【0018】
本実施形態では、吐出レバー4は、平面視において、回動軸40が延びる方向と直交する方向を長手方向とする舌状に形成されている。吐出レバー4は、
図1及び
図2に示すように、長手方向の一端部が回動軸40を介して本ハウジング53に回動自在に接続され、長手方向の他端部は、その上面4uに使用者の手指を押し当てる押圧操作部41となっている。回動軸40は、吐出ノズル31の近傍にて、上下方向Zと直交する方向に配されている。吐出レバー4は、吐出ノズル31の延出方向、即ち、吐出ノズル31から吐出される液体の吐出方向Xとは反対方向に延出している。
【0019】
回動軸40と押圧操作部41との間には、吐出レバー4の下面4d側にピストンシャフト21が配されている。ピストンシャフト21は、ポンプ機構2の上方に位置しており、ピストン26を押圧可能に形成されている。また、ピストンシャフト21は、吐出レバー4の下面4dに係合しており、吐出レバー4の回動量を規制している。このように吐出レバー4は、回動軸40を支点、押圧操作部41を力点、ピストンシャフト21を作用点とした梃子の原理を利用して、ポンプ機構2のピストン26を押圧する構造となっている。
【0020】
ポンプディスペンサー1では、吐出レバー4を、回動軸40を中心に最大回動状態までさせると、予め設定された所定量の液体が吐出されるようになっている。なお「最大回動状態」とは、吐出レバー4を、液体を吐出させる方向R1に、回動可能な範囲の最大限まで回動させた状態であり、以下、最大回動状態まで回動させることを「フルストローク回動」、最大回動状態をフルストローク状態ともいう。
一方、吐出レバー4Aを、回動軸40を中心に途中まで回動させると、回動角度の変位量に応じた量の液体が吐出されるようになっている。このように、ポンプディスペンサー1では、吐出レバー4Aを回動軸廻りに回動させることで、吐出レバー4の変位量に応じた量の液体を、吐出口から吐出させるようになっている。
吐出レバー4をフルストローク回動させたときの液体の吐出量は、例えば、吐出レバー4を回動させる前のピストン位置でのシリンダ内の液体保持空間Sの容積と、吐出レバー4をフルストローク回動させた後のピストン位置でのシリンダ内の液体保持空間Sの容積との差である。従って、この差が所定の値となるように設計段階にて予め設計しておくことで、吐出レバー4をフルストローク回動させることにより予め設定された所定量の液体が吐出されるようになる。
【0021】
予め設定される液体の吐出量には特に制限はないが、容器本体11内に収容される液体の種類に応じて設定することが好ましい。例えば、液体洗剤、柔軟剤、シャンプー液、ヘアリンス液、化粧液、薬剤、及び調味料等の液体の種類に応じて設定することが好ましい。フルストローク回動時の吐出量は、特に制限されるものではないが、例えば、好ましくは5mL以上、より好ましくは10mL以上、また好ましくは40mL以下、より好ましくは30mL以下である。また例えば、大さじ一杯等の特定の液体に特化した吐出量に設定してもよい。
【0022】
把手部5は、
図1に示すように、ハウジング53と一体に形成されており、吐出ノズル31の延出方向、即ち、吐出ノズル31から吐出される液体の吐出方向Xと反対方向に延出している。ポンプディスペンサー1では、把手部5は、ポンプ機構2を中心として、吐出ノズル31の延出方向と反対方向に向かってハウジング53から延出していると共に、吐出レバー4の下方に配置されている。より詳細には、把手部5は、吐出レバー4の真下に配置されている。また、把手部5は、ハウジング53から下方に垂れ下がった状態でハウジング53から延出している。
【0023】
キャップ部54は、ポンプ機構2のピストン(図示せず)と同軸上且つハウジング53の下方にて、ハウジング53に回転可能に支持されている。キャップ部54は、その内周面に螺合溝(図示せず)が形成されており、例えば、液体が収容された容器本体11の口部11aに形成された螺合部(図示せず)に螺合可能となっている。
【0024】
本実施形態のポンプディスペンサー1は、吐出レバー4を、
図2中にP1で示す、外力を加えない初期状態から、
図2中にP4で示す、最大回動状態まで回動させる回動範囲Aの途中に、該吐出レバー4を回動させている手指の一部を当接させることが可能な指当接部6を備えている。
より具体的には、
図1に示すように、吐出レバー4と連動しない非可動部の一部である把手部5に、吐出レバー4の少なくとも一部を収容可能な収容凹部51が形成されており、その収容凹部51の上縁部5uに、指当接部6として、第1の指当接部6aと第2の指当接部6bとが、設けられている。
前記の回動範囲Aとは、吐出レバー4を回動させるための外力を加えておらず、吐出レバー4が、液体を吐出させる方向R1に回動していない初期状態から、回動可能な範囲の最大限まで回動した最大回動状態となるまでの範囲である。回動範囲Aの途中とは、例えば、初期状態から最大回動状態までの回動角度を最大回動角度としたとき、初期状態からの回動角度が最大回動角度の5%以上95%以下の状態であることが好ましく、より好ましくは初期状態からの回動角度が最大回動角度の10%以上90%以下の状態である。
【0025】
本実施形態のポンプディスペンサー1においては、吐出レバーの回動動作中に、回動させている手指の一部を当接させる指当接部6を備えるため、ポンプディスペンサー1の操作者、すなわち、液体を吐出させるために、吐出レバー4の上面を手指7で押圧して、吐出レバー4を回動させる回動動作を行う吐出レバー4の操作者が、吐出レバー4を、液体を吐出させる方向R1へと回動させたときに、吐出レバー4を回動させている手指7の一部が、指当接部6に当接したことを触覚により知覚することができる。そのため、ポンプディスペンサー1の操作者は、その時点で、その回動動作を停止することができる。触覚とは、人の五感である視覚、聴覚、触覚、味覚、嗅覚のうちの触覚である。
【0026】
本実施形態のポンプディスペンサー1における指当接部6は、ポンプディスペンサー1を設計する際に、回動範囲内の、所望の吐出量に相当する箇所に配置されている。例えば、最大回動状態(フルストローク状態)となるまで回動させたときの吐出量である最大吐出量に対する割合とは無関係に、吐出量が3,5,10mL等の特定の量となる位置に設けたり、吐出量が、最大吐出量に対して特定の割合となる位置、例えば、吐出量が、最大吐出量に対して、1/2、1/3、1/4、1/5、2/3、3/4、2/5、3/5又は4/5の量となる位置、等に設けることができる。
したがって、ポンプディスペンサー1の操作者は、吐出レバー4を回動させている手指が、指当接部6に当接した時点で、回動動作を停止すれば、その指当接部6に対応する設計上の吐出量又はそれに近い量を、吐出させることができる。
【0027】
指当接部6は、吐出レバー4を回動させている手指7の一部に当接することで、ポンプディスペンサー1の操作者が、液体の吐出量を、その指当接部6に対応する吐出量に制限することを可能とするものであるが、操作者の選択により、指当接部6の位置を越えて回動させることも可能である。例えば、ポンプディスペンサー1の操作者が、吐出量を、指当接部6に対応する吐出量としたい場合は、指当接部6に当接した時点で回動動作を停止し、指当接部6に対応する吐出量よりも多い量を吐出させたいときは、その指当接部6に当接した後に、その手指7の位置をずらしたり、吐出レバー4に手指を当接させる位置を、指当接部6に触れにくい位置とするなどして、指当接部6の位置を越えて回動させることができる。これにより、ポンプディスペンサー1の操作者は、次の指当接部6に当接する迄、又はフルストローク状態となる迄、吐出レバー4を回動させることができる。そして、次の指当接部6に当接した時点又はフルストローク状態まで回動した時点で、回動を停止することによって、停止した位置に対応する所定の量の液体を吐出させることができる。
このように、本実施形態のポンプディスペンサー1によれば、ポンプディスペンサー1の操作者は、指当接部6の位置で回転動作を停止させるか否かを適宜に選択して、簡便に、所望の吐出量を吐出させることが可能である。
しかも、目盛りを正確に読み取る必要がないため、照度が低い環境下や視力に障害がある場合であっても、簡便に、所望の吐出量を吐出させることが可能である。なお、必要に応じて、指当接部に加えて、目盛りを設けることもできる。
【0028】
本実施形態におけるポンプディスペンサー1は、
図4に示すように、親指以外の手指8、例えば人差し指及び中指で、把手部5を下方から支持した状態で、親指7で、吐出レバー4の上面を押圧して回動させるように設計されている。そのため、吐出レバー4を回動させる動作及び指当接部6に手指7の一部が当接したときに回動動作を停止する動作を、安定して行うことができる。吐出量を、比較的高精度に所定の吐出量に制御することができる。
【0029】
また本実施形態における指当接部6は、
図1に示すように、吐出レバー4に連動しない非可動部の一部である把手部5に設けられている。そのため、吐出レバー4を回動させている手指が指当接部6に当接しても、該指当接部6の位置が変動せず、設計通りの吐出量を吐出させることができる。指当接部6は、把手部5に熱融着、接着等などにより結合されていても良いが、把手部5と一体成形されていることが好ましい。
【0030】
本実施形態において把手部5の収容凹部51は、吐出レバー4の断面形状よりも僅かに大きな断面形状を有している。また回動方向Rに沿って回動したときに、フルストローク状態に達しない段階においても、吐出レバー4の下面側の一部が、収容凹部51内に収容可能になっている。収容凹部51は、少なくともフルストローク状態まで回動したときに、吐出レバー4の一部又は全部を収容する。
本実施形態におけるポンプディスペンサー1は、指当接部6が、吐出レバー4の一部が収容凹部51に収容された状態において、吐出レバー4を回動している手指7の一部に当接するようになされている。そのため、吐出レバー4を回動させる動作中に、吐出レバー4を回動している手指7の一部を、指当接部6に当接させることが容易である。また、指当接部6に手指が当接したときに、吐出レバー4にぶれが生じることを抑制できる。そのため、吐出量を所定の吐出量に比較的高精度に制御することができる。
【0031】
本実施形態における指当接部6は、把手部5に形成された収容凹部51の上縁部5uに、上縁部5uの上面から上方かつ収容凹部51の幅方向の外方に突出した状態に形成されている。これにより、指当接部6は、回動により少なくとも一部が収容凹部51に収容される吐出レバー4と、干渉しないようになっている。
図3に示す指当接部6は、把手部5の長手方向に沿う方向を長辺とする長方形状の上面6uを有する直方体形状であるが、指当接部6の形状は、任意に変更可能である。例えば、収容凹部51の上縁部5uに、円柱状、三角柱等の角柱状、断面半円形の柱状などの指当接部6を、それらの軸方向を、吐出レバー4の幅方向に一致させて設けることもできる。指当接部6は、直方体形状以外の形状の場合においても、吐出レバーを回動させている手指の腹に、面で当接する上面を有することが好ましい。
本実施形態における指当接部6は、吐出レバー4の回動範囲の両端を除くいずれかの位置において、吐出レバー4の上面4uにおける指で押圧するように設計された押圧操作部41に手指を掛けた回動させている間の該手指の一部が当接し得るように形成されている。また指当接部6は、収容凹部51の上縁部5uの上面における、回動途中のいずれかの位置において吐出レバー4の上面4uと上下方向Zの高さが同程度となる部位に形成されている。
【0032】
図3(b)及び(d)に示すように、指当接部6は、吐出レバー4が、当該指当接部6の位置まで回動したときに、吐出レバーの上面4uと面一となる上面6uを備えていることが好ましい。そのような構成を有すると、吐出レバー4の回動途中に、吐出レバー4を回動している手指7の腹が、指当接部6に面で当接し、ポンプディスペンサー1の操作者が、吐出レバー4が、指当接部6に当接したことを知覚し易くなり、吐出量を、指当接部6に対応する所定の吐出量とすることが一層容易である。
【0033】
吐出レバー4を回動させている手指7の一部を指当接部6と当接させるようにする観点から、吐出レバー4の上面と指当接部6とが最も近づいたときの、吐出レバー4の上面と指当接部6の上面との間の最短距離は、好ましくは0mm超7mm以下であり、より好ましくは0mm超4mm以下であり、更に好ましくは0mm超2mm以下である。
また手指、好ましくは手指の腹と接触し得る指当接部6の上面6uの面積は、好ましくは10mm2以上、好ましくは15mm2以上であり、また好ましくは70mm2以下、好ましくは50mm2以下であり、また好ましくは10mm2以上70mm2以下、好ましくは15mm2以上50mm2以下である。
【0034】
また本実施形態における指当接部6としての第1の指当接部6aは、吐出レバー4の移動経路を挟む両側に位置する一対の指当接部6a,6aとして設けられており、第2の指当接部6bも同様に、吐出レバー4の移動経路を挟む両側に位置する一対の指当接部6b,6bとして設けられている。このように、吐出レバー4の初期状態からの回動量が、同一の位置に一対の指当接部6を有することは、指当接部6の位置で回動を停止し、吐出量を制限したい場合に、指当接部6への当接及びその知覚を一層確実とすることができる等の利点がある。
一対の指当接部6a,6aどうし間の距離は、ポンプディスペンサー1の操作者が、手指を当てる位置を、吐出レバーの幅方向にずらして、吐出レバー4を回動させている手指を、指当接部6aに触れさせるか又は触れさせないかを、容易に選択可能として、吐出させる液体の量を容易に選択可能とする観点から、好ましくは3mm以上、より好ましくは5mm以上であり、また好ましくは25mm以下、より好ましくは20mm以下であり、また好ましくは3mm以上25mm以下、より好ましくは5mm以上20mm以下である。一対の指当接部6a,6aどうし間の距離は、吐出レバー4の移動経路を挟んで相対向する位置に設けられた一対の指当接部6a,6aの距離、好ましくは一対の指当接部6a,6aの手指の腹が面で当接する上面どうし間の距離である。
【0035】
指当接部6は、好ましくは、回動による吐出レバーの変位量が相互に異なる複数の位置に各々形成されている。本実施形態では、
図3(a)~(d)に示すように、吐出レバー4を矢印R1方向に回動させた際に、吐出レバー4に掛けた指の一部が、最初に当接する第1の指当接部6aと、第1の指当接部6aを過ぎて、さらに吐出レバー4を矢印R2方向に回動させた際に当接する第2の指当接部6bとを有している。このように、回動による変位量が異なる複数の位置に、各々指当接部6が設けられていることにより、吐出レバー4の回動動作を複数箇所で停止することが可能になる。
したがって、停止した位置における各々の変位量に応じた所定量の液体を吐出することが可能になるため、液体の適切な吐出量を、使用状況に合わせて段階的に切り替えて適宜調整することが可能になる。
【0036】
ポンプディスペンサー若しくはそれが装着された容器本体又はそれらの包装容器等には、手指7が指当接部6と当接するまで、吐出レバー4を押し下げたときの吐出量の目安を示す表示を設けることが好ましい。表示の例としては、例えば、吐出レバー4を最大限押し下げたときの吐出量は10mLで、回動途中で抵抗を感じるまで押し下げたときの吐出量は5mLである等の表示が挙げられる。表示は、印刷、刻印、凹凸の形成、ラベル貼付、インモールドラベル等の任意の方法により設けることができる。
【0037】
本発明は、上述した各実施形態に制限されず、適宜変更可能である。
また例えば、本実施形態のポンプディスペンサー1及び吐出容器10においては、把手部5をポンプディスペンサー1に設けたが、把手部5を容器本体11に設けてもよい。また把手部5は、必ずしも吐出方向Xと反対方向に延出している必要はない。また収容凹部51を、把手部5A,5B以外の、非可動部に設けてもよく、指当接部6を、その一部が、収容凹部51の内側側面から若干、吐出レバー4側に突出するように設けることもできる。
また吐出量が相互に異なる指当接部6として、第1及び第2の2つの指当接部6a、6bを設けるのに代えて、吐出量が相互に異なる指当接部6を、3つ又はそれ以上の個数設けても良い。また把手部の両側に指当接部6に設けるのに代えて、片側のみに設けても良く、また全体で一つの指当接部6のみを設けても良い。
【符号の説明】
【0038】
1 ポンプディスペンサー
2 ポンプ機構
3 吐出口
4 吐出レバー
5 把手部
6 指当接部
10 吐出容器
21 ピストンシャフト
23 ディップチューブ
40 回動軸
51 凹部
53 ハウジング
54キャップ部
X 吐出方向
Y 上下方向Zと直交する方向
Z 上下方向