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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】チラーシステム
(51)【国際特許分類】
   F25B 39/04 20060101AFI20240913BHJP
   F24F 1/42 20110101ALI20240913BHJP
【FI】
F25B39/04 N
F24F1/42
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020185955
(22)【出願日】2020-11-06
(65)【公開番号】P2022075268
(43)【公開日】2022-05-18
【審査請求日】2023-09-19
(73)【特許権者】
【識別番号】516299338
【氏名又は名称】三菱重工サーマルシステムズ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100162868
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 英輔
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100189348
【弁理士】
【氏名又は名称】古都 智
(74)【代理人】
【識別番号】100196689
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 康一郎
(72)【発明者】
【氏名】馬越 清輝
(72)【発明者】
【氏名】入江 学
【審査官】西山 真二
(56)【参考文献】
【文献】特開2007-327736(JP,A)
【文献】特開2013-210167(JP,A)
【文献】特開2001-165581(JP,A)
【文献】実公昭61-5561(JP,Y2)
【文献】特開2014-031926(JP,A)
【文献】中国実用新案第210980875(CN,U)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 1/00 - 1/02
F24F 1/42
F25B 6/00 - 6/04
F25B 39/04
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
水平方向に間隔をあけて複数が並設されたチラーユニットを有するチラー群を備え、
各前記チラーユニットは、並設方向の両側にそれぞれ側部開口が形成された一対の側面を有するケーシング、該ケーシング内に設けられた熱交換器、及び、前記側部開口から前記ケーシング内に空気を導入させるファンを有し、
各前記側面に沿って該側面の奥行方向に延びて、ノズルを介して各側面に水を供給可能な複数の散水管を有する散水装置をさらに備え、
前記複数の散水管は、
前記チラー群における並設方向の端部の側面に沿って延びる第一散水管と、
互いに隣り合う前記チラーユニットの前記側面同士の間でこれら側面に沿って延びて、これら側面同士の間の空間に水を散布することでこれら側面の双方に水を供給可能な第二散水管と、
を含み、
前記複数のチラーユニットのうち、並設方向一方側の端部の一の前記チラーユニットのみに、該一のチラーユニットの一対の側面に対応するように一対の散水管が設けられており、
前記複数のチラーユニットのうち、前記一のチラーユニット以外の他の前記チラーユニットに、該他のチラーユニットの一対の前記側面のうち前記並設方向他方側の側面のみに対応するように一の散水管が設けられているチラーシステム。
【請求項2】
各前記第二散水管の散水量が、前記第一散水管の散水量よりも多い請求項に記載のチラーシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、チラーシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、室外ユニット(チラーユニット)の熱交換器に水を噴霧して消費電力を削減する節電装置が開示されている。この節電装置は、供給された水を空気調和機における室外機の熱交換器面に向けて噴霧する。噴霧された水は、熱交換器面の近傍で気化し、周囲の熱を奪うことで冷却作用をもたらす。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【文献】特開2014-031926号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、特許文献1に記載された給水装置では、配列された複数のチラーユニットそれぞれの一方の面のみに水を噴霧し冷却する構成とされている。そのため、両面に側部開口を有するチラーユニットの場合には十分な冷却を行うことができず、冷却効率が低下してしまう。
【0005】
本開示は上記課題を解決するためになされたものであって、冷却効率を高めることができるチラーシステムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本開示に係るチラーシステムは、水平方向に間隔をあけて複数が並設されたチラーユニットを有するチラー群を備え、各前記チラーユニットは、並設方向の両側にそれぞれ側部開口が形成された一対の側面を有するケーシング、該ケーシング内に設けられた熱交換器、及び、前記側部開口から前記ケーシング内に空気を導入するファンを有し、各前記側面に沿って該側面の奥行方向に延びて、ノズルを介して各側面に水を供給可能な複数の散水管を有する散水装置をさらに備え、前記複数の散水管は、前記チラー群における並設方向の端部の側面に沿って延びる第一散水管と、互いに隣り合う前記チラーユニットの前記側面同士の間でこれら側面に沿って延びて、これら側面同士の間の空間に水を散布することでこれら側面の双方に水を供給可能な第二散水管と、を含み、前記複数のチラーユニットのうち、並設方向一方側の端部の一の前記チラーユニットのみに、該一のチラーユニットの一対の側面に対応するように一対の散水管が設けられており、前記複数のチラーユニットのうち、前記一のチラーユニット以外の他の前記チラーユニットに、該他のチラーユニットの一対の前記側面のうち前記並設方向他方側の側面のみに対応するように一の散水管が設けられている。
【発明の効果】
【0007】
本開示のチラーシステムによれば、冷却効率を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本開示の第一実施形態に係る互いに隣り合う複数のチラーユニットを示す断面図である。
図2】本開示の第一実施形態に係るチラーシステムを示す平面図である。
図3】本開示の第二実施形態に係る互いに隣り合う複数のチラーユニットを示す断面図である。
図4】本開示の第二実施形態に係るチラーシステムを示す平面図である。
図5】本開示の第一実施形態に係るチラーシステムの第一散水管及び第二散水管の変形例を示す断面図である。
図6】本開示の第二実施形態に係るチラーシステムの第一散水管及び第二散水管の変形例を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
(第一実施形態)
(チラーシステム)
以下、本開示の第一実施形態に係るチラーシステム1について、図1及び図2を参照して説明する。
【0010】
チラーシステム1は、複数台(本実施形態では、3台)のチラーユニット20と、各チラーユニット20の側面21aに沿って設けられた散水装置30と、を備えている。
チラーユニット20は、大規模建築物や倉庫等の建物に設置される空気調和機の室外ユニットとして用いられる。チラーユニット20は、建物内に設置された室内ユニット(不図示)との間で、水等の冷媒を循環させる。チラーユニット20は、冷媒を冷却し、冷却された冷媒は、室内ユニットの室内熱交換器へ供給され、室内の空気と熱交換を行う。
【0011】
複数のチラーユニット20は、水平方向に間隔をあけて一列に並設されている。以下では、チラーユニット20が並設されている方向(図1図2の紙面左右方向)を並設方向H1と称する。各チラーユニット20は、並設方向H1に直交する水平方向(図1の紙面奥行方向及び図2の紙面上下方向)を奥行方向H2として延びている。これら複数のチラーユニット20全体によって、チラー群10が構成されている。
【0012】
(チラーユニット)
チラーユニット20は、ケーシング21と、熱交換器23と、ファン22と、側部開口21bと、上部開口21cと、基部24と、を備えている。
【0013】
(基部)
基部24は、チラーユニット20が設置される建物の屋上や、建物の外部の地面等の設置面G上に設けられている。基部24は、設置面Gから水平方向に対して垂直である上下方向の上方に向かって延びている。
基部24は、不図示の圧縮機や制御装置等を内部に有しており、制御装置は、圧縮機の動作や、ファン22の回転、熱交換器23内部での冷媒の流通等を含めたチラーユニット20を制御する機能を有している。
【0014】
(ケーシング)
ケーシング21は、熱交換器23と、ファン22と、を内部に収容している。本実施形態では、ケーシング21が、基部24上に設けられている。さらに、ケーシング21は、上下方向に延びる筒状をなしている。複数台のチラーユニット20が隣り合う水平方向におけるケーシング21の幅寸法は、下端から上端に向かって漸次拡大している。
【0015】
言い換えれば、第一実施形態で例示するケーシング21は、奥行方向H2及び並設方向H1から見た時に、下端から上端に向かって漸次拡大する台形状をなしている。
【0016】
これにより、並設方向H1に互いに隣り合うチラーユニット20において、一方のチラーユニット20のケーシング21と、他方のチラーユニット20のケーシング21との隙間Sは、上下方向の下方から上方に向かって漸次狭くなっている。
【0017】
ケーシング21は、並設方向H1の両側側面21aに、側部開口21bを有している。側部開口21bは、ケーシング21において並設方向H1を向く側面21aに該側面21aを貫通するように形成されている。即ち、側部開口21bを介して、ケーシング21の内外は、連通している。そして、並設方向H1に互いに隣り合うチラーユニット20のケーシング21に設けられた側部開口21b同士は互いに対向している。ケーシング21の下端は、基部24によって閉塞されている。ケーシング21は、上下方向の上方側の上端に、上部開口21cを有している。上部開口21cは、上下方向の上方に向かって開口している。
【0018】
(熱交換器)
熱交換器23は、ケーシング21内に設けられている。本実施形態の熱交換器23は、一つのケーシング21に対して二つずつ設けられている。さらに、本実施形態における熱交換器23は、一つのケーシング21内において、並設方向H1における両側側面21a付近に一つずつ設けられている。また、熱交換器23は、それぞれケーシング21の側面21aに沿って側部開口21bに対向するように設けられている。
【0019】
(ファン)
ファン22は、ケーシング21内に設けられている。本実施形態におけるファン22は、ケーシング21内で、上部開口21c付近に配置されている。ファン22は、図1の奥行方向H2に、複数個が並べて設けられている。本実施形態においては、ケーシング21内にファン22は4個設けられている。
【0020】
ファン22は、上下方向に延びる各チラーユニット20の中心軸О周りに回転するいわゆる軸流ファンであり、中心軸Оを中心とした周方向に並んで配置された複数枚の羽根22aを備えている。ファン22は、モータ22bにより、中心軸О周りに回転駆動される。ファン22は、中心軸О周りに回転することによって、図1に示すように、空気の流れFを生じさせる。より具体的には、ファン22は、中心軸О周りに回転駆動することにより下方から上方へ向かう空気の流れFを生じさせる。言い換えれば、ファン22は、側部開口21bからケーシング21内に空気を導入し、熱交換器23を介して上部開口21cから導入した空気を排出する。
【0021】
(散水装置)
散水装置30は、それぞれ散水管としての第一散水管31及び第二散水管32と、供給管33と、給水タンク(不図示)と、を有している。散水装置30は、チラーユニット20の側面21aに水を供給する。
【0022】
(第一散水管)
第一散水管31は、第一主管31aと、複数のノズル34と、を有している。
第一主管31aは、金属製の管である。第一主管31aは、一方側(図1図2の右側)の端部のチラーユニット20の一方側の側面21a、及び他方側(図1図2の左側)の端部のチラーユニット20の他方側の側面21aに沿って延在している。
【0023】
本実施形態では2つの第一主管31aが設けられている。
一方の第一主管31aは、チラー群10における並設方向H1一方側の端部の側面21a、即ち、チラー群10における並設方向H1の一方側の端部のチラーユニット20のケーシング21の一方側の側面21aに沿って延びるように設けられている。
他方の第二主管32aは、チラー群10における並設方向H1他方側の端部の側面21a、即ち、チラー群10における並設方向H1他方側の端部のチラーユニット20のケーシング21の他方側の側面21aに沿って延びるように設けられている。これにより、並設方向H1の両端部の各チラーユニット20に対して一本の第一主管31aが対応している。
【0024】
第一主管31aの奥行方向H2の奥側を向く端部は、内部を流通する冷却水が漏出しないように閉塞されている。第一主管31aは、後述の第一主管31a内に冷却水を供給する供給管33に接続されている。
また、第一主管31aには、随所に間隔をあけて複数のノズル34が上下方向の下方側に向かって散水可能に設けられている。
【0025】
これにより、第一主管31aの内部を冷却水が流通可能となり、第一主管31aは、ノズル34を用いて並設方向H1の一方側の端部に配置されたチラーユニット20の一方側の側面21a及び該側面21a付近の空間に冷却水を散布できる。
【0026】
また、同様にして第一主管31aは、ノズル34を用いて並設方向H1の他方側の端部に配置されたチラーユニット20の他方側の側面21a及び該側面21a付近の空間に冷却水を散布できる。
【0027】
(第二散水管)
第二散水管32は、第二主管32aと、複数のノズル34と、を有している。
第二主管32aは、金属製の管である。第二主管32aは、並設方向H1で互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間で、これら側面21aに沿って延在している。
【0028】
第二主管32aは、互いに隣り合うチラーユニット20のうち、一方側のチラーユニット20のケーシング21の他方側側面21aに設けられている。これにより、並設方向H1の他方側の端部のチラーユニット20を除く各チラーユニット20に対してそれぞれ一本の第二主管32aが対応している。
【0029】
つまり、並設方向H1の一方側の端部のチラーユニット20のみに、該チラーユニット20の一対の側面21aに対応するように第一主管31a及び第二主管32aが設けられている。
【0030】
また、並設方向H1の端部のチラーユニット20を除くチラーユニット20には、チラーユニット20の一対の側面21aのうち、他方側の側面21aのみに対応するように第二主管32aが設けられている。
また、並設方向H1の他方側の端部のチラーユニット20には、チラーユニット20の一対の側面21aのうち、他方側の側面21aのみに対応するように第一主管31aが設けられている。
【0031】
第二主管32aの奥行方向H2の奥側を向く端部は、内部を流通する冷却水が漏出しないように閉塞されている。第二主管32aは、供給管33に接続されている。
また、第二主管32aには、随所に間隔をあけて複数のノズル34が上下方向の下方側に向かって散水可能に設けられている。
【0032】
これにより、第二主管32aの内部を冷却水が流通可能となり、第二主管32aは、ノズル34を用いて並設方向H1で互いに対向するチラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間S及び互いに対向するチラーユニット20の両側面21aへ冷却水を散布できる。
【0033】
第二主管32aの流路断面積は、第一主管31aの流路断面積よりも大きく形成されている。これにより、第二散水管32の散水量が、第一散水管31の散水量よりも多くなる。第二主管32aの流路断面積及び第一主管31aの流路断面積は、第二主管32a内の冷却水の流量が第一主管31a内の冷却水の流量の二倍程度となるように形成されることが好ましい。
【0034】
(供給管)
供給管33は、金属製の管である。供給管33は、チラー群10とは別途存在しており、第一主管31a内及び第二主管32a内へ冷却水を供給する管である。供給管33は、チラー群10とは別途存在しているポンプ等を有する不図示の給水タンクに一端が接続されており、供給管33の内部には接続された一端を介して給水タンクから冷却水が定圧で供給される。
【0035】
供給管33は、給水タンクから供給管33へ至る途中で複数(第一実施形態では、例えばチラーユニット20の並設方向H1に配置される台数)に分岐している。並設方向H1の一方側の端部に対して分岐した供給管33は、T字形状にさらに分岐している。
【0036】
さらに、並設方向H1の一方側の端部のチラーユニット20において、第一主管31aと第二主管32aに向かってT字形状に分岐した後の供給管33の他端がそれぞれ第一主管31aと第二主管32aに接続される。これにより、給水タンクから供給された冷却水が一方側の端部のチラーユニット20の第一主管31a内と第二主管32a内へ供給される。
【0037】
また、分岐後の供給管33の他端はそれぞれ、他方側の端部のチラーユニット20の第一主管31a、及び端部に配置されたチラーユニット20を除くチラーユニット20の第二主管32aに接続される。これにより、供給管33により、すべての第一主管31a内及び第二主管32a内に冷却水が供給される。
【0038】
(ノズル)
ノズル34は、ノズル34の散水位置からある程度の厚みをもたせて扇形状に広がって冷却水を散布する金属製のいわゆる扇形ノズルである。ノズル34の噴出口(不図示)は、並設方向H1から見た際に奥行方向H2の散水範囲である扇形の中心角が80°~100°、好ましくは90°となるよう噴出口近辺の部材が切り欠き溝状に形成されている。
【0039】
ノズル34は、第一主管31a及び第二主管32aの所定の位置に間隔をあけて複数(本実施形態では、8個)設けられている。
並設方向H1の一方側の端部のチラーユニット20の第一主管31aに設けられたノズル34は、各チラーユニット20の一方側の側面21a及び該側面21a付近の空間に対して冷却水を散布する。並設方向H1の他方側の端部のチラーユニット20の第一主管31aに設けられたノズル34は、チラーユニット20の他方側の側面21a及び該側面21a付近の空間に対して冷却水を散布する。
【0040】
第二主管32aに設けられたノズル34は、並設方向H1で互いに対向するチラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間S、及び互いに対向するチラーユニット20の両側面21aに対して冷却水を散布する。
【0041】
上記構成の第二主管32a及びノズル34により、第二散水管32は、対応するチラーユニット20に隣接する他のチラーユニット20における散水されていない領域を補うように、当該領域に散水することができる。
【0042】
(作用効果)
本開示の第一実施形態に係るチラーシステム1は、第一散水管31が複数のノズル34を介して並設方向H1の端部に配置された各チラーユニット20の側面21a及び該側面21a付近の空間に対して散水する構成とされている。また、第二散水管32が複数のノズル34を介して並設方向H1で互いに隣り合う各チラーユニット20の両側面21a及びチラーユニット20同士の間に区画される隙間Sに対して散水する構成とされている。これにより、各チラーユニット20の側面21a、及び側部開口21b付近の空気を冷却することができる。したがって、各チラーユニット20のケーシング21内に導入される空気を冷却することができ、チラーシステム1の冷却効率を高めることができる。
【0043】
また、本開示の第一実施形態に係るチラーシステム1は、並設方向H1に複数のチラーユニット20を連続的に配置する上で、並設方向H1で互いに隣り合う二つのチラーユニット20同士の間隔を、第二散水管32及びノズル34が存在できる程度の幅に抑えることができる。これにより、数十台規模のチラーユニット20を連続的に並設配置する上で、チラーシステム1の全体的な省スペース化を実現することができる。
【0044】
また、各チラーユニット20の並設方向H1における両側面21aのうち他方側の側面21aに沿って第二散水管32が設けられていることにより、並設方向H1にチラーユニット20を連続的に配置する上で、同一の配置方法でチラーユニット20を配置していくことが可能となる。これにより、チラーシステム1の設計及び配置が容易となる。
【0045】
また、本開示の第一実施形態に係るチラーシステム1は、第二散水管32の散水量が、第一散水管31の散水量よりも多い構成とされている。これにより、第一散水管31と第二散水管32の冷却能力を揃えることができる。したがって、チラーシステム1の冷却効率を均質化することができる。
【0046】
(第二実施形態)
以下、本開示の第二実施形態に係るチラーシステム1Aについて、図3及び図4を参照して説明する。第二実施形態では、第一実施形態と同様の構成要素については同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0047】
(第一散水管)
第一散水管31は、第一主管31aと、複数のノズル34と、を有している。
第一主管31aは、第一実施形態と同様の構成をなしている。
【0048】
(第二散水管)
第二散水管32は、第二主管32aと、複数のノズル34と、を有している。
第二主管32aは、チラー群10の端部に配置されたチラーユニット20を除くチラーユニット20の並設方向H1の一方側及び他方側の側面21aに沿って一本ずつ延在している。つまり、該チラーユニット20のケーシング21の並設方向H1の一方側及び他方側の一対の側面21aに対応するように一対の第二主管32aが設けられている。
【0049】
さらに、第二主管32aは、一方側の端部のチラーユニット20には他方側の側面21aに沿って一本延在しており、他方側の端部のチラーユニット20には一方側の側面21aに沿って一本延在している。つまり、第二主管32aは、一方側の端部のチラーユニット20のケーシング21の他方側の側面21aに一本設けられており、他方側の端部のチラーユニット20のケーシング21の一方側の側面21aに一本設けられている。
【0050】
第二主管32aが上記のように配置されていることで、互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間に二つの第二主管32aが延在している。端部のチラーユニット20に対しては一本の第二主管32aがそれぞれ対応しており、端部に配置されたチラーユニット20を除くチラーユニット20の一対の側面21aに対しては、一対の第二主管32aが対応する。
【0051】
つまり、並設方向H1の端部のチラーユニット20には、該チラーユニット20の一対の側面21aに対応するように第一主管31a及び第二主管32aが設けられている。
また、並設方向H1の端部のチラーユニット20を除くチラーユニット20には、チラーユニット20の一対の側面21aに対応するように一対の第二主管32aが設けられている。
【0052】
第二主管32aの奥行方向H2の奥側を向く端部は、内部を流通する冷却水が漏出しないように閉塞されている。第二主管32aは、供給管33に接続されている。
また、第二主管32aには、随所に間隔をあけて複数のノズル34が上下方向の下方側に向かって設けられている。
【0053】
これにより、第二主管32aの内部を冷却水が流通可能となり、第二主管32aは、ノズル34を用いて並設方向H1で互いに対向するチラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間S及び互いに対向するチラーユニット20の両側面21aへ冷却水を散布できる。
【0054】
第二主管32aの流路断面積は、第一主管31aの流路断面積よりも小さく形成されている。これにより、第二散水管32の散水量が、第一散水管31の散水量よりも少なくなる。第二主管32aの流路断面積及び第一主管31aの流路断面積は、第二主管32a内の冷却水の流量が第一主管31a内の冷却水の流量の半分程度となるように形成されることが好ましい。
【0055】
(供給管)
供給管33は、チラー群10とは別途存在しており、第一主管31a内及び第二主管32a内へ冷却水を供給する管である。供給管33は、チラー群10とは別途存在しているポンプ等を有する不図示の給水タンクに一端が接続されており、供給管33の内部には接続された一端を介して給水タンクから冷却水が供給される。供給管33は、給水タンクから供給管33へ至る途中で複数(本実施形態では、例えばチラーユニット20の並設方向H1に配置される台数)に分岐し、分岐後さらにT字形状に分岐している。
【0056】
分岐後の供給管33の他端は、端部のチラーユニット20の第一主管31a及び第二主管32a、並びに端部に配置されたチラーユニット20を除くチラーユニット20の一対の第二主管32aに接続される。これにより、給水タンクから供給された冷却水が第一主管31a内と第二主管32a内へ供給される。
【0057】
(ノズル)
複数のノズル34は、図4に示すように、並設方向H1で隣り合う第一主管31aと第二主管32a同士の間、及び、互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間の2つの第二主管32a同士の間で、側面21aに沿う方向で互いにずれて配置されている。特に、本実施形態では、複数のノズル34が、側面21aに沿う方向として奥行方向H2に互いにずれてそれぞれ第一主管31a及び第二主管32aに設けられている。また、第二主管32aが側面21aに沿う方向に上下方向で互いにずれているため、ノズル34も側面21aに沿う方向で互いにずれている。
【0058】
上記構成の第二主管32a及びノズル34により、第二散水管32は、対応するチラーユニット20に隣接する他のチラーユニット20における散水されていない領域を補うように、当該領域に散水することができる。
【0059】
(作用効果)
本開示の第二実施形態に係るチラーシステム1Aは、第一散水管31が複数のノズル34を介して並設方向H1の端部の各チラーユニット20の側面21a及び該側面21a付近の空間に対して散水する構成とされている。また、二本の第二散水管32が複数のノズル34を介して互いに隣り合う各チラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間Sに対して散水する構成とされている。これにより、各チラーユニット20の側面21a及び側部開口21b付近の空気を冷却することができる。したがって、各チラーユニット20のケーシング21内に導入される空気を冷却することができ、チラーシステム1Aの冷却効率を高めることができる。
【0060】
また、本開示の第二実施形態に係るチラーシステム1Aは、互いに隣り合う各チラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間S及び並設方向H1の端部の側面21a及び側面21a近傍に対して均一に満遍なく散水する構成とされている。これにより、各チラーユニット20の側部開口21b付近の空気を効率的に冷却することができる。したがって、各チラーユニット20のケーシング21内に導入される空気を効率的に冷却することができ、チラーシステム1Aの冷却効率を高めることができる。
【0061】
また、二つの第二散水管32のノズル34の位置が側面21aに沿う方向で互いにずれていることで、第二散水管32及びノズル34が互いに干渉することがない。これにより、チラーユニット20を余分な隙間無く効率的に配置していくことが可能となる。したがって、チラーシステム1Aの全体的な省スペース化が実現する。
【0062】
また、本開示の第二実施形態に係るチラーシステム1Aは、第二散水管32の散水量が、第一散水管31の散水量よりも少ない構成とされている。これにより、第一散水管31と第二散水管32の冷却能力を揃えることができる。したがって、チラーシステム1Aの冷却効率を均質化することができる。
【0063】
(その他の実施形態)
以上、本開示の実施の形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成は各実施形態の構成に限られるものではなく、本開示の要旨を逸脱しない範囲内で構成の付加、省略、置換、及びその他の変更が可能である。また、本開示は実施形態によって限定されることはなく、特許請求の範囲によってのみ限定される。
【0064】
なお、上記実施形態では、第一主管31a及び第二主管32aの本数を指定しているが、これに限るものではない。例えば、第一散水管31を二本以上、第二散水管32を三本以上設け、チラーシステム1、1Aの冷却効率を高めてもよい。
【0065】
また、第一主管31a、第二主管32a、供給管33、及びノズル34は、上記実施形態では金属製であるが、塩化ビニル製であってもよい。
【0066】
また、ノズル34は、等間隔で第一主管31a及び第二主管32aに設けられていてもよい。これにより、チラーユニット20の側面21a及び該側面21a付近の空気を均等に冷却することができる。
【0067】
また、ノズル34は扇形ノズルとされているが、ノズル34の噴出口を頂点として上下方向の下方側に円錐状に広がって冷却水が散布される円形ノズルを用いてもよい。
【0068】
また、ノズル34の噴出口は、上記実施形態では並設方向H1から見た際に奥行方向H2の散水範囲である扇形の中心角が80°~100°、好ましくは90°となるように形成されているが、上記の角度に限定されることはなく、適宜の散水範囲でノズル34を設計してよい。
【0069】
また、並設方向H1で互いに対向するチラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間Sに存在する二本の第二主管32aは、図示しないが、側面21aに沿うように上下方向で互いにずれていてもよい。より詳しくは、奥行方向H2から見た際、隙間Sに存在する二本の第二主管32aのうち並設方向H1の一方側に存在する第二主管32aが、他方側に存在する第二主管32aよりも上方に位置していてもよい。即ち、二本の第二主管32aにそれぞれ設けられているノズル34の位置は、側面21aに沿う方向で互いにずれていてもよい。
【0070】
また、図5に第一実施形態のチラーシステム1の第一散水管31及び第二散水管32の変形例を、図6に第二実施形態のチラーシステム1Aの第一散水管31及び第二散水管32の変形例を示す。
図5及び図6に示すように、第一散水管31及び第二散水管32が、下方側に向かって散水可能なノズル34に加えて、上方に向かって散水可能な複数のノズル35を有していてもよい。さらに、ノズル34とノズル35とは、奥行方向H2に交互に存在していることが望ましい。
これにより、チラーユニット20の側面21a及び該側面21a付近の空気のみならず、上部開口21c付近の空気も冷却することができる。したがって、上部開口21c付近から側部開口21bへ向かいケーシング21内部へ流入する空気も冷却することができ、チラーシステム1の冷却効率をより高めることができる。
また、第一散水管31及び第二散水管32が、下方側に向かって散水可能なノズル34に代えて、上方に向かって散水可能な複数のノズル35を有していてもよい。この場合であっても、上方に向かって散水された水が下方に転向して、上部開口21c付近の空気、側面21a、及び該側面21a付近の空気を冷却することができる。
【0071】
また、第一散水管31及び第二散水管32がノズル35を有する場合には、例えばケーシング21の上端と下端との間であって、側部開口21bに対向する位置に第一散水管31及び第二散水管32が設けられていてもよい。これにより、側面21a及び該側面21a付近の空間に満遍なく水を供給し、側面21a及び該側面21a付近の空気を効果的に冷却することができる。
【0072】
<付記>
実施形態に記載のチラーシステム1、1Aは、例えば以下のように把握される。
【0073】
(1)第1の態様に係るチラーシステム1は、水平方向に間隔をあけて複数が並設されたチラーユニット20を有するチラー群10を備え、各チラーユニット20は、並設方向H1の両側にそれぞれ側部開口21bが形成された一対の側面21aを有するケーシング21、該ケーシング21内に設けられた熱交換器23、及び、側部開口21bからケーシング21内に空気を導入するファン22を有し、各側面21aに沿って該側面21aの奥行方向H2に延びて、ノズル34を介して各側面21aに水を供給可能な複数の散水管を有する散水装置30をさらに備え、複数の散水管は、チラー群10における並設方向H1の端部の側面21aに沿って延びる第一散水管31と、互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間でこれら側面21aに沿って延びて、これら側面21a同士の間の隙間Sに水を散布することでこれら側面21aの双方に水を供給可能な第二散水管32と、を含む。
【0074】
上記構成によれば、第一散水管31がノズル34を介して並設方向H1の端部の側面21a及び該側面21a付近の空間に対して散水し、第二散水管32がノズル34を介して互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間Sに対して散水する。これにより、各チラーユニット20のケーシング21内に並設方向H1の双方から導入される空気を冷却することができる。
【0075】
(2)第2の態様に係るチラーシステム1は、(1)のチラーシステム1であって、複数のチラーユニット20のうち、並設方向H1一方側の端部の一のチラーユニット20のみに、該一のチラーユニット20の一対の側面21aに対応するように一対の散水管が設けられており、複数のチラーユニット20のうち、一のチラーユニット20以外の他のチラーユニット20に、該他のチラーユニット20の一対の側面21aのうち並設方向H1他方側の側面21aのみに対応するように一の散水管が設けられていてもよい。
【0076】
これにより、複数のチラーユニット20を並設方向H1に連続的に配置する上で、互いに隣り合う二つのチラーユニット20同士の間隔を、第二散水管32及びノズル34が存在できる程度の幅に抑えることができる。
また、他のチラーユニット20の一対の側面21aのうち並設方向H1の他方側の側面21aのみに第二散水管32が設けられていることにより、複数のチラーユニット20を並設方向H1に連続的に配置する上で、同一の配置方法でチラーユニット20の列を配置していくことが可能となる。
【0077】
(3)第3の態様に係るチラーシステム1は、(2)のチラーシステム1であって、各第二散水管32の散水量が、第一散水管31の散水量よりも多くてもよい。
【0078】
これにより、第一散水管31と第二散水管32の冷却能力を揃えることができる。
【0079】
(4)第4の態様に係るチラーシステム1Aは、(1)のチラーシステム1であって、複数のチラーユニット20のそれぞれの一対の側面21aに対応するように一対の散水管が設けられていることで、互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間に二つの第二散水管32が設けられており、これら二つの第二散水管32のノズル34の位置が、側面21aに沿う方向で互いにずれていてもよい。
【0080】
これにより、互いに隣り合う各チラーユニット20の側面21a同士の間に区画される隙間S及び並設方向H1の端部の側面21a及び該側面21a付近の空間に対して均一に満遍なく散水することができ、各チラーユニット20のケーシング21内に導入される空気を効率的に冷却することができる。
また、二つの第二散水管32及びノズル34の位置が側面21aに沿う方向で互いにずれていることで、第二散水管32及びノズル34が互いに干渉することがないため、チラーユニット20の列を余分な隙間無く効率的に配置していくことが可能となる。
【0081】
(5)第5の態様に係るチラーシステム1Aは、(4)のチラーシステム1であって、二つの第二散水管32のノズル34の位置が、奥行方向H2で互いにずれていてもよい。
【0082】
これにより、第二散水管32及びノズル34が散水して冷却する範囲を奥行方向H2で好適化することができる。
また、二つの第二散水管32及びノズル34の位置が奥行方向H2で互いにずれていることで、第二散水管32及びノズル34が互いに干渉することがないため、チラーユニット20の列を余分な隙間無く効率的に配置していくことが可能となる。
【0083】
(6)第6の態様に係るチラーシステム1Aは、(4)又は(5)のチラーシステム1であって、各第二散水管32の散水量が、第一散水管31の散水量よりも少なくてもよい。
【0084】
これにより、第一散水管31と第二散水管32の冷却能力を揃えることができる。
【0085】
(7)第7の態様に係るチラーシステム1、1Aは、水平方向に間隔をあけて複数が並設されたチラーユニット20を有するチラー群10を備え、各チラーユニット20は、並設方向H1の両側にそれぞれ側部開口21bが形成された一対の側面21aを有するケーシング21、該ケーシング21内に設けられた熱交換器23、及び、側部開口21bからケーシング21内に空気を導入させるファン22を有し、各チラーユニット20に対応するようにそれぞれ設けられて、対応するチラーユニット20の側面21aにノズル34を介して水を散布可能な複数の散水管を有する散水装置30をさらに備え、各散水管は、対応するチラーユニット20に隣接する他のチラーユニット20における散水されていない領域を補うように、当該領域にも散水可能とされている。
【0086】
これにより、各散水管がノズル34を介して並設方向H1の端部の側面21a及び該側面21a付近の空間、並びに側面21a同士の間に区画される隙間Sに対して散水する。また、互いに隣り合うチラーユニット20の側面21a同士の間に奥行方向H2に沿って散水管が延び、各チラーユニット20に対応する散水管のノズル34が、相互補完的に散水できるように存在している。これにより、各チラーユニット20のケーシング21内に導入される空気を効率的に冷却することができる。
また、上記構成により、散水管及びノズル34が互いに干渉することがないため、複数のチラーユニット20を余分な隙間無く効率的に配置していくことが可能となる。
【符号の説明】
【0087】
1、1A…チラーシステム 10…チラー群 20…チラーユニット 21…ケーシング 21a…側面 21b…側部開口 21c…上部開口 22…ファン 22a…羽根 22b…モータ 23…熱交換器 24…基部 30…散水装置 31…第一散水管 31a…第一主管 32…第二散水管 32a…第二主管 33…供給管 34、35…ノズル О…中心軸 S…隙間 F…空気の流れ H1…並設方向 H2…奥行方向 G…設置面
図1
図2
図3
図4
図5
図6