IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ゾエティス・サービシーズ・エルエルシーの特許一覧

特許7555246卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法
<>
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図1
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図2
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図3
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図4
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図5
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図6
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図7
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図8
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図9
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図10
  • 特許-卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法 図11
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】卵の生存を決定するための非接触型卵識別システム、及び関連した方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/3563 20140101AFI20240913BHJP
   A01K 43/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G01N21/3563
A01K43/00
【請求項の数】 10
【外国語出願】
(21)【出願番号】P 2020194799
(22)【出願日】2020-11-25
(62)【分割の表示】P 2019023237の分割
【原出願日】2014-11-17
(65)【公開番号】P2021047191
(43)【公開日】2021-03-25
【審査請求日】2020-12-02
【審判番号】
【審判請求日】2023-06-01
(31)【優先権主張番号】61/905,385
(32)【優先日】2013-11-18
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】515230154
【氏名又は名称】ゾエティス・サービシーズ・エルエルシー
(74)【代理人】
【識別番号】100118902
【弁理士】
【氏名又は名称】山本 修
(74)【代理人】
【識別番号】100106208
【弁理士】
【氏名又は名称】宮前 徹
(74)【代理人】
【識別番号】100196508
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 淳一
(74)【代理人】
【氏名又は名称】竹内 茂雄
(72)【発明者】
【氏名】ウォルカス,ジョエル・ジェームズ
(72)【発明者】
【氏名】カリンポー,ラミン
【合議体】
【審判長】加々美 一恵
【審判官】萩田 裕介
【審判官】松本 隆彦
(56)【参考文献】
【文献】特開2005-52156(JP,A)
【文献】特開2006-329920(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2003/0227613(US,A1)
【文献】特開2011-106892(JP,A)
【文献】特表2009-537422(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G01N 21/00-21/958
G01N 33/08
A01K 43/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
鳥卵の生存を決定するための卵識別システムであって、
複数の卵を含有する卵ケースを搬送するように構成される搬送機システムと、
各エミッタ組立体が前記卵ケース内で搬送される前記卵のうちの1つに向けて約850nmの変調電磁放射線を放出するように構成される、複数のエミッタ組立体であって、各エミッタ組立体は、前記変調電磁放射線が電気領域内において区別され得るように固有周波数で変調を行って前記変調電磁放射線を放出する、複数のエミッタ組立体と、
各検出器組立体がそれぞれの卵を透過した前記変調電磁放射線を検出するように構成される、それぞれのエミッタ組立体と軸方向に整列される複数の検出器組立体であって、前記電気領域における前記変調電磁放射線の前記固有周波数を同時に区別するように構成される、複数の検出器組立体と、
各検出器組立体の出力信号を処理して、各検出器組立体によって検出されたそれぞれの卵を透過した前記変調電磁放射線が、生存卵と非生存卵のいずれを示しているかを決定するように構成されるプロセッサとを備える、前記卵識別システム。
【請求項2】
電力における正弦波電力変動により変調された前記変調電磁放射線が前記エミッタ組立体から放出される、請求項1に記載の卵識別システム。
【請求項3】
各検出器組立体は、狭い周波数帯内の電気信号電力を特定するように構成される、請求項2に記載の卵識別システム。
【請求項4】
各エミッタ組立体は、そこから放出され前記変調電磁放射線を平行化するように構成されるコリメータデバイスを備える、請求項1に記載の卵識別システム。
【請求項5】
前記エミッタ組立体は、赤外放射線を放出するように構成される発光ダイオード源を含む、請求項1に記載の卵識別システム。
【請求項6】
卵の生存を決定する方法であって、
搬送機システムを使用して、卵ケース内に含有される複数の卵を搬送することと、
複数のエミッタ組立体から前記卵に向けて、約850nmの変調電磁放射線を放出することであって、前記変調電磁放射線が電気領域内において区別され得るように固有周波数で変調された前記変調電磁放射線を放出することを含む、放出することと、
各検出器組立体がそれぞれのエミッタ組立体と軸方向に整列される複数の検出器組立体により、前記卵を透過した前記変調電磁放射線を検出することであって、前記検出器組立体は、前記電気領域における前記変調電磁放射線の前記固有周波数を同時に区別するように構成される、検出することと、
各検出器組立体によって検出された前記変調電磁放射線から出力信号を生成することと、
各出力信号を処理して、各検出器組立体により検出された対応するそれぞれの卵を透過した前記変調電磁放射線が生存卵と非生存卵のいずれを示しているかを決定することとを含む、前記方法。
【請求項7】
前記変調電磁放射線を放出することは、光電力における正弦波電力変動により変調された前記変調電磁放射線を放出することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記卵を透過した前記変調電磁放射線を検出することは、狭い周波数帯内の電気信号電力を特定することを含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
エミッタ組立体から前記卵に向けて前記変調電磁放射線を放出することは、コリメータデバイスにより前記変調電磁放射線を平行化することを含む、請求項6に記載の方法。
【請求項10】
エミッタ組立体から前記変調電磁放射線を放出することは、発光ダイオード源により赤外放射線を放出することを含む、請求項6に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、概して、卵識別システムに関する。より具体的には、本開示は、エミッタ-検出器システムを使用して鳥卵内に生存胚が存在するかどうかを決定することができる非接触型卵識別システム、及び関連した方法に関する。
【背景技術】
【0002】
いくつかの観察可能な品質に基づく家禽卵の区別は、家禽産業においては周知の、長い間使用されている作業である。「検卵(candling)」は、そのような技術の一般的な名称であり、元々はろうそくからの光を使用して卵を検査する作業を起源とした用語である。卵に詳しい者には知られているように、卵殻は、ほとんどの照明条件下で不透明に見えるが、実際には幾分半透明であり、直接照明の前に置いた場合、卵の中身が観察され得る。
【0003】
孵化して生きた家禽となる卵は、典型的には胚発生中に検卵され、透明な、腐敗した、及び死んだ卵(本明細書において総称して「生育不能卵」と呼ばれる)が識別される。生きていない卵(非生存卵とも呼ばれる)は、利用可能なインキュベータ空間を増加させ、また生物学的汚染のリスクを低減するために、インキュベーションから取り除かれる。多くの場合、卵内注射により、孵化前の生きた卵(生存卵とも呼ばれる)に物質を導入することが望ましい。鳥卵への様々な物質の注射は、商業的家禽産業において、孵化後死亡率を減少させるために、または孵化した鳥の成長率を増加させるために使用されている。卵内注射に使用されている、または提唱されている物質の例には、ワクチン、抗生物質、及びビタミンが挙げられる。
【0004】
物質の卵内注射は、典型的には、卵殻に穿刺して貫通孔を形成し(例えば穿孔器またはドリルを使用して)、孔を通して卵の内部に(及びいくつかの場合にはそれに含有される鳥胚に)注射針を伸ばし、針を通して1種または複数種の治療物質を注射することにより行われる。そのようなデバイスは、卵及び注射針を、互いに固定された関係で位置付けることができ、複数の卵の高速自動注射用に設計されてもよい。注射処置の部位及び時間の選択はまた、注射された物質の有効性、及び注射された卵または処置された胚の死亡率に影響し得る。
【0005】
商業的家禽生産において、商業的な若鶏の卵の約60%~90%のみが孵化する。孵化しない卵は、受精していない卵、及び死んだ受精卵を含む。無精卵は、セット内の全ての卵の約5%から約25%までを構成し得る。商業的家禽生産において遭遇する生きていない卵の数に起因して、卵内注射のための自動化された方法の使用、及び治療物質の費用、生きた卵を識別し、生きた卵のみに選択的に注射(または選択的に接触)するための自動化された方法が望ましい。
【0006】
卵は、生存胚を有することを意味する「生きた」卵であってもよい。図1は、インキュベーションの約1日目の生きた家禽卵1を示す。図2は、インキュベーションの約11日目の生きた卵1を示す。卵1は、10に表される近傍に幾分尖った端部、及び、20に示される近傍に反対に位置する幅が広いまたは尖っていない端部を有する。図1において、胚2は、卵黄3の上に示されている。卵1は、幅が広い端部20に隣接する気胞4を含有する。図2に示されるように、雛の翼5、脚6、及び嘴7が発達している。
【0007】
卵は、胚を有さないことを意味する「透明」または「無精」卵であってもよい。より具体的には、「透明」卵は、腐敗していない無精卵である。卵は、約1日齢から5日齢で死
んだ胚を有することを意味する「早期死亡」卵であってもよい。卵は、約5日齢から15日齢で死んだ胚を有することを意味する「中期死亡」卵であってもよい。卵は、約15日齢から18日齢で死んだ胚を有することを意味する「後期死亡」卵であってもよい。
【0008】
卵は、卵が腐敗した無精卵黄(例えば、卵殻の亀裂の結果)、または代替として、腐敗した死んだ胚を含むことを意味する「腐敗」卵であってもよい。「早期死亡」、「中期死亡」または「後期死亡卵」は、腐敗卵であってもよいが、それらの用語は、本明細書において使用される場合、腐敗していないそのような卵を指す。透明、早期死亡、中期死亡、後期死亡、及び腐敗卵はまた、生きた胚を含まないため、「生きていない」卵として分類され得る。
【0009】
生きた(生存)卵及び生きていない(非生存)卵を区別することができることが重要な、他の用途がある。これらの用途の1つは、生きた卵を介したワクチンの培養及び採取(「ワクチン生成卵」と呼ばれる)である。例えば、ヒトインフルエンザワクチン生成は、胚発生の約11日目(第11日目卵)に種ウイルスを鶏卵内に注射し、約2日間ウイルスを増殖させ、卵を冷却することにより胚を致死させ、次いで卵から不明な流体を採取することにより達成される。典型的には、卵は、生育不能卵を除去するために、種ウイルスの注射前に検卵される。ワクチン生成卵は、種ウイルスの注射の1日以上前に検卵されてもよい。種ワクチンが生きていない卵において無駄になることを防止し、生きていない卵の運搬及び廃棄に関連した費用を削減すること望ましいため、ワクチン生成における生きた卵の識別は重要である。
【0010】
いくつかの以前の検卵装置は、複数の光源及び対応する光検出器がアレイとして装備され、卵がケース上で光源と光検出器との間を通過する不透明性識別システムを使用していた。残念ながら、そのような従来の検卵技術は、透過光の同様のレベルをもたらす同様の光学密度を有する卵(例えば、生きている卵及び腐乱した卵)の異なるカテゴリーに起因して、精度が幾分制限され得る。光不透明性識別システムは、1時間当たり約300,000個の卵に等しい速度で動作することができ、卵の流れから透明卵を成功裏に識別し得る。しかしながら、生きているものとして識別されたいくつかの卵は、実際には生きていない可能性がある(例えば、腐乱した卵、中期及び後期死亡卵)。
【0011】
他の以前の検卵装置は、生きている卵及び生きていない卵を検出することができる胚心拍検出を使用していた。しかしながら、これらのシステムは、検出目的の機械的な光シールを形成するために、卵に接触する検出ツールを必要とし、これはいくつかの問題を呈し得る。まず、卵は、各検出ツールがそれぞれの卵に接触するために検出ツールヘッドが上下される間停止されなければならないため、処理量パラメータが抑制される。次に、生きていない卵、特に腐乱した卵(接触時に破裂し得る)との機械的接触は、不必要に検出システム内に汚染を導入し得、これは、さらなる処理中に、後続の生きた卵に移される可能性がある。最後に、以前の心拍検出システムにおけるエミッタ-検出器構成は、所望の処理量を可能とするために機械的に位置付けることが困難であり、不完全なシールが光漏れをもたらして、所望の透過信号に干渉し得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
したがって、動作中に接触することなく、及び機械的光シールを使用せずに、生きた卵及び生きていない卵を正確に区別することができる心拍検出システムを実装した検卵装置を提供することが望ましい。さらに、高い処理量で、及び正確な様式での生きた卵の心拍検出を促進する関連した方法を提供することが望ましい。
【課題を解決する手段】
【0013】
上記及び他の必要性は、一態様に従い鳥卵の生存を決定するための卵識別システムを提供する本開示の態様により満足される。システムは、複数の卵を含有する卵ケースを搬送するように構成される搬送機システムを含む。エミッタ組立体は、卵ケース内で搬送される卵に向けて平行電磁放射線を放出するように構成される。非接触型検出器組立体は、エミッタ組立体に軸方向に整列される。非接触型検出器組立体は、卵を透過した電磁放射線を検出するように構成される。非接触型検出器組立体は、識別のために位置付けられた卵が、非接触型検出器組立体の動作中にその組立体から離間するような非接触位置に配置される。プロセッサは、非接触型検出器組立体の出力信号を処理して、それぞれの卵を透過した電磁放射線の強度の、心臓の活動及び胚の動きに対応する周期的または非周期的変動が存在するかどうかを決定するように構成され、周期的または非周期的変動は、卵が生存していることを示す。
【0014】
別の態様は、卵の生存を決定する方法を提供する。方法は、搬送機システムを使用して、卵ケース内に含有される卵を搬送することを含む。方法は、エミッタ組立体から卵に向けて、平行電磁放射線を放出することをさらに含む。方法は、エミッタ組立体と軸方向に整列された非接触型検出器組立体により、卵を透過した電磁放射線を検出することをさらに含み、非接触型検出器組立体は、卵から離間している。方法は、非接触型検出器組立体により検出された電磁放射線から、出力信号を生成することをさらに含む。方法は、出力信号を処理して、それぞれの卵を透過した電磁放射線の強度の、心臓の活動または胚の動きに対応する周期的または非周期的変動が存在するかどうかを決定することをさらに含み、周期的または非周期的変動は、卵が生存していることを示す。
【0015】
したがって、本開示の様々な態様は、その他の点で本明細書に詳述されるような利点を提供する。
【図面の簡単な説明】
【0016】
一般的な用語で本開示の様々な実施形態をこのように記載し、以降添付の図面への参照がなされるが、図面は必ずしも縮尺通りには描写されていない。
【0017】
図1】インキュベーションの約1日目の生きた鶏卵を示す図である。
図2】インキュベーションの約11日目の生きた鶏卵を示す図である。
図3】本開示の一態様による、卵識別システムの概略図である。
図4】固定位置に卵を含有することができる卵ケースの概略斜視図である。
図5】卵検出システムの一連のエミッタ-検出器対を通って搬送される卵ケース内の卵を示す図であり、検出信号に不必要に寄与する干渉軸外放出の経路をさらに示している。
図6】本開示の一態様による卵検出システムにおいて使用され得るエミッタ-検出器対により、生存に関して調査されている卵を示す図である。
図7】本開示の一態様による、卵検出システムにおいて使用され得るエミッタ組立体の一部を形成する発光源及び関連したコリメータデバイスを示す図である。
図8】本開示の一態様による、卵検出システムにおいて使用され得るエミッタ組立体の様々な構成要素を示す図である。
図9】本開示の一態様による、卵に対する検出器組立体、及び関連した卵検出面を示す図である。
図10】本開示の別の態様による、卵に対する検出器組立体、及び関連した卵検出面を示す図である。
図11】本開示の一態様による、不透明性検出構成要素及び心拍検出構成要素を有する卵検出システムを通して搬送されている複数の卵を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
ここで本発明のいくつかの態様は示されるが、すべての態様は示されない添付の図面を参照しながら、下に本開示の様々な態様がより詳細に記載される。実際、本開示は多くの異なる形態で具体化されてもよく、本明細書に説明される態様に限定されると解釈されるべきではなく、むしろこれらの態様は、本開示が該当する法定必要条件を満たすために提供される。類似する番号は、終始類似する要素を指す。
【0019】
本開示は、卵が識別手段を通過する際に卵に接触することなく、高い処理量で複数の卵の生存を正確に決定するためのシステム及び方法に関する。非接触または無接触様式でのシステムへの卵の通過は、処理量を改善するための検出器システム構成要素の静止位置の維持、及び、破裂し得る腐乱した卵等の生きていない卵との接触の制限を含む、多くの利点を提供する。
【0020】
本明細書において使用される場合、「非接触」及び「無接触」という用語は、生存を決定する際のエミッタ-検出器対の動作中、卵と、本明細書において開示される卵識別システムのある特定の構成要素との間の離間した関係を維持することを指す。いくつかの場合において、これは、卵に対する検出器組立体の離間した関係を具体的に示し得る。これに関して、本開示の検出器組立体は、卵と接触するその構成要素が存在しないように卵から離れて位置付けられてもよく、それにより、干渉信号が検出されるのを制限することができる任意の機械的光シールが排除される。その代わりに、本開示は、卵との接触が必要とされない様式で、他の手段によりこれらの干渉信号を拒絶することに対処する。当然ながら、卵は、卵識別システムを通して卵を運搬するように構成される卵ケース等の担持手段と接触してもよい。これに関して、「非接触」という用語は、卵と卵識別システムの動作構成要素との間の接触の回避を指す。
【0021】
さらに、本開示は、卵の生存を決定するために透過(いわゆる「貫通ビーム」)モードを使用したシステム及び方法に関する。透過モードで動作することにより、卵識別システムのエミッタ及び検出器は、システムが作業可能な様式で構成され得るように、共通の長手方向軸に沿って軸方向に整列されてもよい。すなわち、システム構成は、反射率モードで動作し、例えば反射率信号を受信するために直角に配設されたエミッタ及び検出器を有するエミッタ-検出器対を考慮する必要はない。その代わり、エミッタ組立体及び検出器組立体は、評価及び識別のために卵が容易にその間を通過することができるように、卵の対向する側に位置付けられてもよい。
【0022】
しかしながら、本開示の態様は、非接触及び透過様式で動作し得るため、所望の透過光レベルは低くなり得、一方望ましくない干渉信号の可能性は高くなり得る。これに関して、望ましくない干渉信号が制限され、所望の低い透過信号(約1nW/cm未満)が、生存卵の正確及び信頼性のある識別を提供するような処理のために最大化され得る、本開示のさらなる態様が提供される。
【0023】
本開示の態様による方法及びシステムは、胚発生の間(インキュベーション期間とも呼ばれる)の任意の時点で、生きている卵及び生きていない卵を正確に識別するために利用され得る。本開示の態様は、胚発生期間中の特定の日(例えば11日目)または期間における識別のみに限定されない。さらに、本開示の態様による方法及び装置は、ニワトリ、シチメンチョウ、カモ、ガン、ウズラ、キジの卵、外来種の卵等を含むがこれらに限定されない、任意の種類の鳥卵と共に使用され得る。
【0024】
図3は、本開示の様々な態様を実装することができる卵識別システム100を示す。卵識別システム100は、フレーム120、及び卵ケース50(図4)内に含有される複数の卵を卵検出システム160に搬送するように構成される搬送機システム140を含んでもよい。いくつかの場合において、卵識別システムは、卵識別システム及び/またはその
識別のために卵検出システム160を通過する卵に関する情報を表示することができるディスプレイ180を含んでもよい。卵識別システム100は、卵検出システム160のある特定の構成要素を有効化及び無効化する能力を含む、その様々な側面を制御するためのコントローラを含んでもよい。卵識別システム100は、携帯型であってもよく、いくつかの場合において、例えば卵注射装置、卵分類装置、卵運搬装置、卵除去器装置、または性別識別装置等の他の関連したデバイスに接続され得るように、モジュール式で構成されてもよい。いくつかの場合において、卵検出システム160は、卵注射装置、卵分類装置、卵運搬装置、卵除去器装置、または性別識別装置に直接適用されてもよい。
【0025】
図4を参照すると、卵ケース50は、複数の端部54により制限された複数の交差薄板52で形成され得る。薄板52は、複数の開口ポケット56を画定し、各ポケット56は、それぞれの卵1の端部を受容することができる。いくつかの場合において、卵1の尖った端部10(図1及び2)は、尖っていない端部20が卵ケース50の上に突出するように、ポケット56内に受容され得る。
【0026】
ここで、図5及び6を参照すると、本開示のいくつかの態様による、卵の分類に使用されるエミッタ-検出器対500が示されている。示されたエミッタ-検出器対500は、エミッタ組立体200及び検出器組立体300を含んでもよい。動作中、複数のエミッタ-検出器対500がアレイとして配設され、卵ケース50(図4)により支持された卵の各アレイを分類するために利用されてもよい。示されたエミッタ組立体200は、円筒形のエミッタ筐体202を含んでもよい。本開示の態様は、エミッタ筐体202の示された構成に限定されない。エミッタ筐体202は、限定されることなく、様々な形状、サイズ及び構成を有してもよい。エミッタ組立体200のアレイは、卵検出システム160のフレームまたは他の支持部材により支持され得る。卵検出システム160は、非接触様式で動作するため、エミッタ組立体200は、上昇位置と下降位置との間で移動する必要がなくてもよいが、いくつかの場合において、それぞれがそのように構成されてもよい。
【0027】
エミッタ筐体202内には、発光源210が配置される。発光源210は、例えば可視光、赤外光及び近赤外光を含む、電磁スペクトルの様々な波長の電磁放射線を放出するように構成され得る。いくつかの場合において、発光源210は、約820~860ナノメートル(nm)の波長範囲内、より具体的には約850nmの赤外光を放出するように特に構成され得る。いくつかの態様によれば、発光源は、電磁スペクトルの赤外部分からの光を放出するように構成される発光ダイオード(LED)で形成されてもよい。しかしながら、本開示の態様は、LEDまたは赤外放射線の使用に限定されない。様々な種類の発光源が、限定されることなく利用され得る。一例として、発光源は、OSRAMからのSMT Power TopLEDパッケージにおけるモデルSFH 4259 LED等の表面実装パッケージであってもよい。発光源の別の例は、レーザダイオード源または固体励起源であってもよい。
【0028】
図5は、発光源210により放出された電磁放射線が、エミッタ組立体200を出る時に移動し得る様々な潜在的放出経路を示す。以前に言及されたように、機械的光シールを使用せずに卵1を透過した低い透過光レベル10を検出することは、胚心拍に基づいて卵1の生存を評価する際に問題を呈する。機械的光シールが存在しないことを考慮して、本開示の態様は、同じ源からの干渉反射信号12、及び隣接するエミッタ組立体からのそれらの隣接エミッタ信号13の生成を最小限化するように、干渉反射信号12及び隣接エミッタ信号13の拒絶を最大限化するように、周囲光信号11の拒絶を最大限化するように、ならびに、信号14が検出器組立体300の検出器視野(FOV)15上に衝突するのを最小限化するように構成されてもよい。これに関して、本開示の態様は、所望の信号対干渉(S/I)比を達成するために、所望の信号収集を最大限化すると同時に、望ましくない信号の拒絶を最大限化するように構成されてもよい。
【0029】
エミッタ組立体200は、放出が卵1に向かって誘導されるように卵1の長手方向軸に沿った電磁放射線の放出を最大限化すると共に、軸外放出の拒絶を最大限化するように構成されてもよい。すなわち、エミッタ組立体200は、ビームを集光するのではなく、発光源210の放出を卵1の所定領域上に投影しながら迷光の放出を制限するために、光を指向性ビームに平行化するように構成されてもよく、迷光は、卵の所定領域を照射しない、エミッタ組立体200を出る任意の光学エネルギー(または卵の所定領域から反射する光)である。
【0030】
いくつかの場合において、発光源210は、透過光9を周囲光11から識別するために、狭帯域光源であってもよい。いくつかの態様によれば、発光源210は、光源を周囲光11から区別する波長で放射線を放出してもよい。さらに、発光源210から放出された光は、所望の透過信号10を電気領域内の隣接エミッタ信号13及び周囲光信号11から分離するために、離散した(及び、いくつかの場合においては一意の)周波数で変調されてもよい。さらに、発光源210から放出された光は、アナログ及びデジタルフィルタ技術による信号回復を可能とし得る、狭い周波数帯内の電気信号電力を特定するために、光電力における正弦波電力変動により変調されてもよい。
【0031】
図6~8に示されるように、エミッタ組立体200は、集光とは対照的に、干渉反射信号12及び隣接エミッタ信号13を最小限化するために、発光源210からの放出を平行化するように構成されてもよい。いくつかの態様によれば、エミッタ視野22は、検出器視野15とほぼ等しくなるように選択されてもよく、これは、いくつかの場合において、直径八(8)ミリメートルの円形領域であってもよい。小さいエミッタ視野22により、システムは、卵1の表面上の汚れ及びごみ等の局所的な不均一性に対して耐性ではなくなり得るが、過度に大きい領域は光束を拡散させ、信号処理量を低減し得る。信号処理量を最大化する、及び卵表面からの光の散乱を低減するために、発光源210からの放出は平行化されてもよい。発光源210からの平行化されていない光は、迷光による局所的環境の汚染を最小限化するように減衰されてもよい。
【0032】
発光源210から放出された電磁放射線を平行化するために、コリメータデバイスが提供されてもよい。いくつかの場合において、コリメータデバイスは、例えば、レンズ、全内部反射(TIR)パラボラ反射鏡、集光レンズまたはレーザダイオードであってもよい。いくつかの態様によれば、コリメータデバイス220は、非球面であってもよい。いくつかの構成において、複数のコリメータデバイス220が使用されてもよい。一態様によれば、エミッタレンズ220は、発光源210に近接してエミッタレンズ220を装着するためのレンズ筐体225を含んでもよい。図7に示されるように、発光源210は、プリント基板(PCB)230に装着されてもよい。
【0033】
エミッタ組立体200の迷光制御は、卵1上のエミッタ視野22を照射しない、発光源210により放出される光の低減を指す。そのような望ましくない照射は、潜在的に散乱して、検出器組立体300に、または、検出器組立体300のアレイの場合には隣接する検出器組立体300に向けて進む可能性がある。エミッタ組立体200における迷光の放出を最小限化することは、検出器組立体300における迷光の低減における第1のステップとみなすことができる。これに関して、発光源210は、迷光を最小限化するように、エミッタ筐体202により封入されてもよい。エミッタ筐体202は、各散乱イベントにおいて光を減衰するのを助けるために、黒色陽極酸化されてもよい。エミッタ組立体200は、光を通過させるエミッタ出口開口240における透明窓を含んでもよい。
【0034】
発光源210により放出された、またはレンズ筐体225により散乱された残留光を制御するために、エミッタ筐体202及び1つ以上の開口または羽根を使用して、エミッタ
バッフル構成を形成することができる。一態様によれば、図8(エミッタ筐体202及びエミッタレンズ220は、明確性のために取り外されている)に示されるように、エミッタ筐体202またはその関連した構造204が、エミッタ出口開口240及び1つ以上のエミッタ内部開口または羽根245を画定してもよい。エミッタ出口開口240及びエミッタ内部羽根245は、信号を所望の平行ビームに制限しながら、ビーム直径を外れる任意の信号を拒絶することができる。より多くのエミッタ内部羽根245の追加と共に、エミッタ組立体200の長さを増加させると、迷光拒絶が改善され得る。エミッタ組立体200のエミッタ筐体202及び他の構成要素は、放出された光の反射を低減する仕上げを有してもよい。例えば、エミッタ筐体202は、黒色陽極酸化表面仕上げを有してもよい。いくつかの場合において、8ミリメートルのエミッタ視野22により、尖っていない端部20における卵1の面95と、エミッタ出口開口240との間の軸方向距離の範囲は、約10ミリメートルから60ミリメートルの間であってもよい。いくつかの場合において、環境への望ましくない光の放出を低減するために、エミッタ組立体200の正面の整形、テクスチャ化、またはコーティングが提供されてもよい。
【0035】
本開示はまた、検卵動作中に卵を透過した電磁放射線/光を受容するための検出器組立体300を含んでもよい。検出器組立体300は、エミッタ-検出器対を形成するように、軸方向に整列させて、エミッタ組立体200に対向して位置付けられてもよい。したがって、複数のエミッタ組立体200及びそれぞれの複数の検出器組立体200は、卵ケース内で運搬される複数の卵を評価することができる、エミッタ-検出器対のアレイを形成し得る。
【0036】
以前に議論されたように、いくつかの場合において、検出器組立体300は、検出器の一部が卵に接触しないように検卵動作中に卵から離間してもよく、それにより非接触位置を確定する。そのような無接触構成は、以前に説明されたように、処理量の増加を可能とし得、後続の卵の汚染を制限し得る。したがって、無接触の特徴を提供するために、出力信号を表す、指定角度の検出器視野内からの卵1により放出された光の収集を最大限化しながら、検出器視野の外から収集される光を最小限化することが望ましくなり得る。いくつかの場合において、検出器組立体300は、約10ミリメートルから100ミリメートルの間、より具体的には約19ミリメートル卵1から離間され得る。
【0037】
検出器組立体300は、卵を透過した光を検出し、その光電変換を行うための光検出手段を含んでもよい。例えば、卵から出る光の強度に対応する出力信号を生成するための光検出器(例えばPINダイオード)を有するセンサ302である。センサ302は、DCを含む変調周波数で発光源210により放出される光の波長を検出することができる任意の種類のセンサであってもよい。いくつかの態様によれば、検出器組立体300は、いわゆる「受動的」センサとなるように、卵1からの光エネルギーを収集するためにいかなる光素子も使用しなくてもよい。一般に、センサ302の目的は、卵1の限定された領域(視野)から放出された発光を検出することであってもよい。角度を有する検出器視野よりも大きな角度でセンサ302に進入し、センサ302を照射する光は、システム応答を低下させる望ましくない応答に寄与し得る。
【0038】
いくつかの場合において、検出器視野15は、特に、卵1の尖った端部10における直径8ミリメートルの領域に特定されてもよく、検出器視野は、卵1の尖った端部10に接する面90上で測定され得る。検出器組立体300は、正方形の活性領域、及び、例えば波長または望ましくない光を拒絶することができる統合された近赤外パスフィルタ等の、統合されたロングパスまたは帯域波長光学フィルタを有してもよい。
【0039】
検出器組立体は、検出器筐体310及び光を通過させる透明窓304を含んでもよい。透明窓304は、限定されることなく様々な種類の材料から形成され得る。例示的な材料
は、これらに限定されないが、ガラス、サファイア、及びプラスチック(例えば、反射防止透明プラスチック等)を含む。センサ302は、検出器筐体310内に配置されてもよく、窓304を通して卵を出る光を受容する。窓304は、検出器筐体310が実質的な防水性を維持することを確実とする様々な手法で、検出器筐体310に固定され得る。
【0040】
検出器組立体300は、検出器筐体310内に検出器バッフル構成330を含んでもよく、望ましくない経路に沿って検出器組立体300に進入することができる迷光または軸外光を拒絶するための1つ以上の羽根及び開口を有すると共に、所望の透過光が卵1の尖った端部10上の検出器視野から収集されるのを可能とする。一態様によれば、図9に示されるように、検出器組立体300は、センサ302に対する視野絞り325及び開口絞り345として機能する2つの開口320及び340を含んでもよい。視野絞り325は、検出器視野を制限し、一方開口絞り345は、光をセンサ302に直接到達し得る光のみに制限し、別様にセンサ302のすぐ近くに到達する光を拒絶/停止する。いくつかの場合において、開口端は、例えば、0.25ミリメートルの半径を有してもよい。視野絞り325上の開口端半径の特徴は、迷光信号に大きく寄与し得るため、開口320の端のより小さい半径は、迷光性能を改善し得ることが判明した。いくつかの場合において、迷光を低減するために、開口320及び340の端は、特に視野絞り325の開口320に対して鋭くされてもよい。
【0041】
いくつかの態様において、開口340は、迷光を制御するための円形検出器視野を確実とするために、円形開口として画定されてもよい。開口絞り345を通過する全ての信号が、次いでセンサ302の表面上に入射し得ることを確実とするために、開口340(開口絞り345)の直径は、センサ302の全幅より若干小さくてもよい。この幾何構造により、開口絞り345の寸法及び場所は、センサ302の効果的検出領域を決定付ける。検出器視野及びセンササイズが確立されたら、処理量は、視野絞り325と開口絞り345との間の間隔を制御することにより最適化され得る。そのような間隔は、約12ミリメートルから26ミリメートルの間、または、より具体的には約15ミリメートルから20ミリメートルの間、または、より具体的には約17ミリメートルであってもよい。2つの開口直径は、間隔範囲にわたり一定の検出器視野及び検出器サイズを維持するために調節され得る。いくつかの場合において、視野絞り325は、約1.0ミリメートルから1.5ミリメートルの間、または、より具体的には約1.3ミリメートルの視野絞り開口半径を有してもよい。いくつかの場合において、開口絞り345は、約0.5ミリメートルから1.0ミリメートル、または、より具体的には約0.8ミリメートルの開口絞り半径を有してもよい。
【0042】
いくつかの態様によれば、図10(検出器筐体310は明確性のために取り外されている)に示されるように、検出器組立体300は、光学素子または検出器レンズシステムを利用して、卵1上の所定の領域(検出器視野)からの光を収集し、センサ302に送達することができる。これに関して、開口及びレンズセル等の機械的特徴が、検出器組立体300の性能を改善するために含まれてもよい。一態様によれば、検出器組立体300の構成に3つの開口が含まれてもよい。これらは、入口開口410、視野絞り開口420、及び検出器開口430(それぞれ対応する絞り412、422、432を有する)と呼ぶことができる。検出器組立体300はまた、レンズセル内に装着された1つ以上のレンズ素子を利用して、検出器レンズシステムを形成してもよい。レンズセルの存在は、より多くの収集された光をセンサ上に誘導してその感度を増加させることにより、検出器組立体300の性能に影響し得る。残念ながら、レンズセルの存在はまた、迷光寄与を増加させ得る。しかしながら、所望の信号の増加は、干渉信号の増加よりも大きく、それにより、改善された信号対干渉比をもたらす。いくつかの場合において、開口端は、例えば、0.25ミリメートルの半径を有してもよい。検出器筐体310内に配置された構成要素を保護するために、保護窓440が含まれてもよい。
【0043】
いくつかの場合において、検出器レンズシステムは、特に、センサ302への送達のために光を収集する4つのレンズ450、452、454、456を含んでもよい。しかしながら、検出器レンズシステムは、いくつかの場合において、使用されるレンズがレンズ450及び454だけであるように、レンズ452及び456を排除し、単一のカスタムレンズがレンズ対に置き換わってもよいことが留意されるべきである。
【0044】
図10に示されるように、この具体的態様において、検出器レンズシステムは、複数のレンズセル350、352、354を含んでもよく、レンズ450は、レンズセル350内に配置されてもよく、レンズ452は、レンズセル352内に配置されてもよく、レンズ454及び456は、レンズセル354内に配置されてもよい。1つの具体的態様によれば、レンズ450、452、454及び456は、それぞれ、約20ミリメートル、25ミリメートル、15ミリメートル及び8ミリメートルの焦点距離を有してもよい。いくつかの場合において、レンズ450は、入口開口絞り412から約0.05ミリメートルから0.15ミリメートル離れていてもよく、レンズ452は、入口開口絞り412から約11.5ミリメートルから12.0ミリメートル離れていてもよく、レンズ454は、視野開口絞り422から約6ミリメートルから7ミリメートル離れていてもよく、レンズ456は、視野開口絞り422から約11ミリメートルから12ミリメートル離れていてもよい。いくつかの場合において、視野開口絞り422は、入口開口絞り412から約30ミリメートルから35ミリメートルの間、より具体的には約32ミリメートル離れていてもよく、一方、検出器開口絞り432は、入口開口絞りから約45ミリメートルから50ミリメートルの間、より具体的には約49ミリメートル離れていてもよく、センサ302は、入口開口絞りから約45ミリメートルから55ミリメートルの間、より具体的には約50ミリメートル離れていてもよい。
【0045】
いくつかの態様によれば、入口開口の開口半径は、約5.0ミリメートルから6.0ミリメートルの間、または、より具体的には約5.7ミリメートルであってもよい。いくつかの場合において、視野絞り開口の開口半径は、約3.0ミリメートルから4.0ミリメートルの間、または、より具体的には約3.6ミリメートルであってもよい。いくつかの場合において、検出器開口の開口半径は、約1.0ミリメートルから2.0ミリメートルの間、または、より具体的には約1.5ミリメートルであってもよい。
【0046】
いくつかの実施形態によれば、検出器組立体300は、周囲光の効果を最小限化するために、ロングパスまたはバンドパス光学フィルタをセンサ302の正面に実装してもよい。そのようなフィルタは、個別であってよく、または、検出器組立体300内に構成されてもよい。いくつかの態様によれば、検出器組立体300は、狭帯域電気信号を使用して、望ましくない信号を拒絶してもよい。いくつかの場合において、検出器組立体300の感度は、そのようなフィルタの帯域幅により決定されてもよい。いくつかの実施形態によれば、検出器組立体300は、サンプリングされ得る信号レベルを増加させるために、低雑音増幅器を含んでもよい。いくつかの態様によれば、変調信号からの情報を回復するために、包絡線検出器が使用されてもよく、そのような回復のために、周波数逓降器/ミキサーが随意に使用されてもよい。いくつかの態様によれば、その後のデジタル処理のための検出信号をサンプリングするために、アナログ-デジタル変換器が使用されてもよい。
【0047】
動作中、一度卵1がエミッタ-検出器対の間に配置されると、発光源210は、卵1に光(図6において70として示される)を放出し得る。センサ302は、卵5を出る光(図6において75として示される)を受容し、卵1を出る光の強度に対応する出力信号を生成し得る。
【0048】
プロセッサ500は、検出器組立体300と連通してもよく、センサ302からの出力
信号を処理して卵1の生存を決定するように構成されてもよい。胚の拍動を有する卵は、生きた卵として指定され得る。生存は、出力信号を処理して、胚の拍動または胚の動きに対応する光強度の変動の存在を決定することにより決定され得る。
【0049】
例えば、いくつかの場合において、生存は、出力信号を処理して、胚の拍動に対応する光強度の循環的または周期的変動の存在を決定することにより決定され得る。この種の信号は、典型的には、胚の心臓の動き及び胚の血管領域内の血液変位により生成され得る。周期的信号は、バックグラウンドの機械的な動き(例えば、モータの振動、操作者の取り扱い等)を含む非周期的信号からの分離を可能とする、電気フィルタリング及び信号処理技術に役立ち得る。本明細書において使用される場合、周期的変動は、ある程度の変動を有し得るが、真に周期的でなくてもよい信号を指す。すなわち、胚の心拍数は、多くの因子に起因して変動し得るが、それでも心拍信号として容易に解釈され得る循環的信号とみなされる。周期的信号の検出は、周波数領域で生じ得る。
【0050】
他の場合において、生存は、出力信号を処理して、胚の動きに対応する光強度の非周期的変動または摂動の存在を決定することにより決定され得る。この種の信号は、単一の心拍により生成され得るが、胚が卵内で位置を変えた場合に生成され得る。この種の信号は、バックグラウンドの機械的な動きにより生成される信号と区別するのが困難となり得る。卵内の胚の動きは、卵を透過する光の量を変化させ得る。検出された信号は、次いで、振幅の変化を示し得る。非周囲的信号の検出は、時間領域で生じ得る。
【0051】
生きていない卵からの信号は、一般に、一定として識別され得、潜在的な干渉信号または雑音以外に、信号のいかなる変動も含まない可能性がある。すなわち、生きていない卵においては、いかなる対応する心拍または胚の動きも検出されないだろう。
【0052】
いくつかの態様によれば、プロセッサ500は、検出された信号内の周期的(心拍)パターンを識別するために、例えば高速フーリエ変換(FFT)または離散フーリエ変換(DFT)等の信号処理技術を使用してもよい。いくつかの態様によれば、プロセッサ500は、周期的(心拍)信号をより正確に識別するために、オーバーサンプリング及びウィンドウ生成を使用して、周波数変換における不規則雑音を平均化してもよい。
【0053】
本開示のいくつかの態様によれば、卵検出システム160は、卵識別システム100を通して移動されながら、生存性に従って卵を識別することが可能であってもよい。これに関して、卵ケース50内の卵1は、その生存評価の間、卵識別システム100を通して移動されることが可能であってもよく、それにより、所望の最適な処理量が可能となる。その目的で、卵ケース50は、十分なデータ収集を可能とするために、識別処理の間停止または中断されることが必要となり得る。いくつかの場合において、非周期的信号を検出するための検出時間は、周期的信号を検出するための検出時間より短くてもよい。
【0054】
卵1の尖っていない端部20が照射されるように示され説明されているが、エミッタ組立体200及び検出器組立体300の位置は、電磁放射線が上方に卵1の尖った端部10内に向けられ、尖っていない端部20で透過光が検出されるように入れ替えられてもよい。さらに、いくつかの場合において、卵は、軸方向に整列したエミッタ-検出器対の共通軸に対して角度を持った方位を有してもよい。具体的には、いくつかの場合において、卵は、卵の長さ方向軸が、エミッタ-検出器対の共通軸に垂直であるように、エミッタ-検出器対に対して位置付けられてもよい。このようにして、卵は、識別のために、エミッタ-検出器対に対して「横向き」に提示されてもよい。
【0055】
いくつかの態様によれば、図11に示されるように、卵検出システム160は、不透明性識別システム600及び心拍検出システム700を含んでもよい。心拍検出システム7
00は、図5~10に関して以前に説明された態様により表される。いくつかの場合において、不透明性識別システム600は、心拍検出システム700から処理方向800において上流に提供されてもよい。不透明性識別システム600は、搬送される卵ケース50の上に位置するエミッタ組立体(個々のエミッタ610)及び搬送される卵ケース50の下に位置する受容器組立体を含んでもよい。不透明性識別システム600は、心拍検出システム700に搬送される前に卵を走査し、卵を非生存(透明)卵または生存(非透明)卵として識別する。エミッタ610は、各卵1を通して光を下方に向けてもよく、受容器は、卵を通過した光を集める。各卵1を通過する光は、卵が非生存卵または生存卵であるかを決定するために測定され得る。
【0056】
これに関して、不透明性識別システム600は、心拍検出システム700に通過させる前に、透明卵、早期死亡卵、または卵ケース50にない卵を識別するための第一通過識別器として使用されてもよい。心拍検出システム700の検出器組立体300の飽和を制限するために、エミッタ-検出器対のそれぞれの位置は、例えば透明、早期死亡、または非存在として不透明性識別システム600により特定された卵1に関連する場合、停止される、解除される、または別様に無効化されてもよい。すなわち、透明、早期死亡、また非存在である卵1は、著しい量の透過光を不必要に検出器組立体300に到達させる可能性がある。したがって、コントローラが、心拍検出器システム700に関連したエミッタ組立体200及び/または検出器組立体300の動作を選択的に誘導し得るように、不透明性識別システム600は、卵識別システム100のコントローラと連通してもよい。このようにして、検出器の飽和は、ある特定のエミッタ-検出器対が所与の卵ケース50に対して無効化されるべきであることをコントローラに伝達することにより、最小限化され得る。
【0057】
いくつかの態様によれば、各卵は、識別システムの改善された精度をさらに確実とするために、心拍検出システム700を通過する際に2つ以上のエミッタ-検出器対により評価及び識別を受けることができる。
【0058】
本明細書に記載のシステム及び方法はまた、卵の評価全体にわたり卵殻構造が無傷なままであるという点で、非侵襲的と呼ぶことができる。さらに、本開示の態様は、生存に関して卵を評価するために、卵殻または卵の内部成分に物質を導入することを必要としないが、いくつかの場合において、バイオマーカー等のそのような物質が、評価前に導入されてもよい。しかしながら、1種以上の物質の導入を含むそのような態様は、侵襲的であるとみなされるだろう。
【0059】
本明細書で説明される本開示の多くの修正及び他の態様が、前述の記載及び関連する図面において提示される教示の利益を有する、本開示が属する当業者に想起されるであろう。したがって、本開示は開示される特定の態様に限定されないこと、ならびに修正及び他の態様が添付の特許請求の範囲の範囲内に含まれることが意図されることが理解されたい。本明細書で特定の用語が用いられるものの、それらは一般的かつ記述的な意味でのみ使用され、限定の目的のためではない。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11