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  • 特許-空調システムの制御装置及び制御方法 図1
  • 特許-空調システムの制御装置及び制御方法 図2
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】空調システムの制御装置及び制御方法
(51)【国際特許分類】
   F24F 11/61 20180101AFI20240913BHJP
   F24F 11/46 20180101ALI20240913BHJP
   F24F 11/63 20180101ALI20240913BHJP
   F24F 120/10 20180101ALN20240913BHJP
   F24F 110/10 20180101ALN20240913BHJP
【FI】
F24F11/61
F24F11/46
F24F11/63
F24F120:10
F24F110:10
【請求項の数】 2
(21)【出願番号】P 2020204795
(22)【出願日】2020-12-10
(65)【公開番号】P2022092166
(43)【公開日】2022-06-22
【審査請求日】2023-09-27
(73)【特許権者】
【識別番号】000006666
【氏名又は名称】アズビル株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110003166
【氏名又は名称】弁理士法人山王内外特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】村杉 輝
【審査官】佐藤 正浩
(56)【参考文献】
【文献】特開2014-173775(JP,A)
【文献】特開2018-200122(JP,A)
【文献】特開2012-180753(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F24F 11/61
F24F 11/46
F24F 11/63
F24F 120/10
F24F 110/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め設定されたスケジュール停止時刻に空調制御対象室の室内温度が目標室内温度に到達するように、空調機を前倒し停止させる空調システムの制御装置において、
前記空調制御対象室を利用している利用者の人数を取得する利用者人数取得部と、
目標室内温度と室内温度との差に基づいて、室内温度を目標室内温度にするために必要な前記空調機の前倒し停止時間を算出する前倒し停止時間算出部と、
カレンダー情報に基づいて、前日が休日であるか否かを判定する休日判定部と、
前記休日判定部によって前日が休日ではないと判定された場合、前記利用者人数取得部によって取得された前日の利用者人数及び本日の利用者人数に基づいて、冷房時の補正係数及び暖房時の補正係数を算出する補正係数算出部と、
前記前倒し停止時間算出部によって算出された前倒し停止時間を、前記補正係数算出部によって算出された冷房時の補正係数及び暖房時の補正係数を用いて補正し、最適前倒し停止時間を算出する補正部と、
前記補正部によって算出された最適前倒し停止時間を、スケジュール停止時刻から差し引いて、最適前倒し停止時刻を算出する最適前倒し停止時刻算出部と、
現在の時刻が、前記最適前倒し停止時刻算出部によって算出された最適前倒し停止時刻になった場合、前記空調機を停止させる停止制御部とを備え
前記補正部は、
冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、前記最適前倒し停止時間を、前記前倒し停止時間よりも短くし、
冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、前記最適前倒し停止時間を、前記前倒し停止時間よりも長くし、
暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、前記最適前倒し停止時間を、前記前倒し停止時間よりも長くし、
暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、前記最適前倒し停止時間を、前倒し停止時間よりも短くする
ことを特徴とする空調システムの制御装置。
【請求項2】
予め設定されたスケジュール停止時刻に空調制御対象室の室内温度が目標室内温度に到達するように、空調機を前倒し停止させる空調システムの制御方法において、
利用者人数取得部が、前記空調制御対象室を利用している利用者の人数を取得し、
前倒し停止時間算出部が、目標室内温度と室内温度との差に基づいて、室内温度を目標室内温度にするために必要な前記空調機の前倒し停止時間を算出し、
休日判定部が、カレンダー情報に基づいて、前日が休日であるか否かを判定し、
補正係数算出部が、前記休日判定部によって前日が休日ではないと判定された場合、前記利用者人数取得部によって取得された前日の利用者人数及び本日の利用者人数に基づいて、冷房時の補正係数及び暖房時の補正係数を算出し、
補正部が、前記前倒し停止時間算出部によって算出された前倒し停止時間を、前記補正係数算出部によって算出された冷房時の補正係数及び暖房時の補正係数を用いて補正し、最適前倒し停止時間を算出し、
最適前倒し停止時刻算出部が、前記補正部によって算出された最適前倒し停止時間を、スケジュール停止時刻から差し引いて、最適前倒し停止時刻を算出し、
停止制御部が、現在の時刻が、前記最適前倒し停止時刻算出部によって算出された最適前倒し停止時刻になった場合、前記空調機を停止させ、
前記補正部は、
冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、前記最適前倒し停止時間を、前記前倒し停止時間よりも短くし、
冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、前記最適前倒し停止時間を、前記前倒し停止時間よりも長くし、
暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、前記最適前倒し停止時間を、前記前倒し停止時間よりも長くし、
暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、前記最適前倒し停止時間を、前倒し停止時間よりも短くする
ことを特徴とする空調システムの制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、空調システムの制御装置及び制御方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
空調システムの制御装置には、室内を利用する利用者のスケジュール情報に基づいて、空調機を制御するものがある。このような、空調システムの制御装置は、例えば、特許文献1に開示されている。この特許文献1に開示された空調システムの制御装置は、室内の利用開始時刻における利用者人数に基づいて、空調機を制御する。
【0003】
また、空調システムには、最適起動停止制御装置を備えたものがある。この最適起動停止制御装置は、予め設定されたスケジュール起動時刻に室内温度が目標室内温度に到達するように、空調機を前倒し起動させるものである。このような、空調システムの最適起動停止制御装置は、例えば、特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2013-89208号公報
【文献】特開2004-85141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ここで、特許文献1に開示された空調システムの制御装置と、特許文献2に開示された最適起動停止制御装置とを組み合わせた場合、その組み合された制御装置は、空調機のスケジュール起動時刻における室内の利用者人数に基づいて、当該空調機を前倒し起動させることが可能となる。このとき、省エネ化の観点から、空調機のスケジュール停止時刻に対しても、室内の利用者人数に基づいて、空調機を前倒し停止させることが求められる。
【0006】
この発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、空調機のスケジュール停止時刻における室内の利用者人数に基づいて、空調機を前倒し停止させることができる空調システムの制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
この発明に係る空調システムの制御装置は、予め設定されたスケジュール停止時刻に空調制御対象室の室内温度が目標室内温度に到達するように、空調機を前倒し停止させる空調システムの制御装置において、空調制御対象室を利用している利用者の人数を取得する利用者人数取得部と、目標室内温度と室内温度との差に基づいて、室内温度を目標室内温度にするために必要な空調機の前倒し停止時間を算出する前倒し停止時間算出部と、カレンダー情報に基づいて、前日が休日であるか否かを判定する休日判定部と、休日判定部によって前日が休日ではないと判定された場合、利用者人数取得部によって取得された前日の利用者人数及び本日の利用者人数に基づいて、冷房時の補正係数及び暖房時の補正係数を算出する補正係数算出部と、前倒し停止時間算出部によって算出された前倒し停止時間を、補正係数算出部によって算出された冷房時の補正係数及び暖房時の補正係数を用いて補正し、最適前倒し停止時間を算出する補正部と、補正部によって算出された最適前倒し停止時間を、スケジュール停止時刻から差し引いて、最適前倒し停止時刻を算出する最適前倒し停止時刻算出部と、現在の時刻が、最適前倒し停止時刻算出部によって算出された最適前倒し停止時刻になった場合、空調機を停止させる停止制御部とを備え、補正部は、冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、最適前倒し停止時間を、前倒し停止時間よりも短くし、冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、最適前倒し停止時間を、前倒し停止時間よりも長くし、暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、最適前倒し停止時間を、前倒し停止時間よりも長くし、暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、最適前倒し停止時間を、前倒し停止時間よりも短くするものである。
【発明の効果】
【0008】
この発明によれば、空調機のスケジュール停止時刻における室内の利用者人数に基づいて、空調機を前倒し停止させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】実施の形態1に係る制御装置が適用される空調システムの構成を示す図である。
図2】実施の形態1に係る空調システムの制御装置の構成を示すブロック図である。
図3】冷房時における空調機の運転スケジュールと室内温度の時間経過との関係を示す図である。
図4】実施の形態1に係る空調システムの制御方法を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、この発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0011】
実施の形態1.
実施の形態1に係る空調システム10の制御装置20について、図1から図4を用いて詳細に説明する。
【0012】
先ず、実施の形態1に係る空調システム10について、図1を用いて詳細に説明する。図1は、実施の形態1に係る制御装置20が適用される空調システム10の構成を示す図である。
【0013】
空調システム10は、例えば、ビル等の施設に適用されるものである。この空調システム10は、施設に設けられた複数の空調制御対象室41に対して、空調制御(冷房又は暖房)を行う。各空調制御対象室41には、室温計42がそれぞれ設けられている。室温計42は、空調制御対象室41の室内温度を計測するものである。
【0014】
空調システム10は、監視装置11、上位コントローラ12、下位コントローラ13、及び、空調機14を備えている。それらは、通信回線を介して、電気的に接続されている。
【0015】
監視装置11は、上位コントローラ12及び下位コントローラ13を介して、空調機14を監視又は制御する。この監視装置11は、下位コントローラ13が空調機14から取得した、当該空調機14の運転状態に関する運転状態情報を、上位コントローラ12を介して収集する。また、監視装置11は、その収集した運転状態情報に基づいて、上位コントローラ12及び下位コントローラ13を介して、空調機14に対する動作指示(起動、停止、及び、温度調整等)を行う。
【0016】
上位コントローラ12は、監視装置11から出力された動作指示に基づいて、下位コントローラ13を監視又は制御する。また、上位コントローラ12は、制御装置20を備えている。この制御装置20の詳細については後述する。
【0017】
下位コントローラ13は、上位コントローラ12から出力された動作指示に基づいて、空調機14を監視又は制御する。また、下位コントローラ13は、予め設定された周期で、空調機14から上記運転状態情報を取得し、この取得した運転状態情報を、上位コントローラ12を介して、監視装置11に出力する。
【0018】
次に、空調システム10の制御装置20について、図2及び図3を用いて詳細に説明する。図2は、実施の形態1に係る空調システム10の制御装置20の構成を示すブロック図である。図3は、冷房時における空調機14の運転スケジュールと室内温度の時間経過との関係を示す図である。
【0019】
図2に示した制御装置20は、予め設定されたスケジュール停止時刻t2に空調制御対象室41の室内温度が目標室内温度に到達するように、空調機14を前倒し停止させるものである。このように、制御装置20は、特に、空調機14に対する前倒し停止制御の最適化を図るものである。
【0020】
また、制御装置20は、空調機14に対する前倒し起動制御についても行うことができるが、その詳細については、省略する。制御装置20は、例えば、上記特許文献2に開示された前倒し起動制御を実行することができる。なお、図3に示す最適前倒し起動時刻t1´は、制御装置20によって算出されたものであり、当該制御装置20による前倒し起動制御時において、空調機14が起動する時刻である。図3は、最適前倒し起動時刻t1´を7:00とした例である。
【0021】
図2に示すように、制御装置20は、運転スケジュール設定部21、目標室内温度設定部22、室内温度取得部23、利用者人数取得部24、前倒し停止時間算出部25、休日判定部26、補正係数算出部27、補正部28、最適前倒し停止時刻算出部29、及び、停止制御部30を備えている。
【0022】
運転スケジュール設定部21は、空調機14の運転スケジュールを設定する。また、運転スケジュール設定部21は、設定した運転スケジュールを最適前倒し停止時刻算出部29に出力する。
【0023】
図3に示すように、空調機14の運転スケジュールは、スケジュール起動時刻t1、スケジュール停止時刻t2、及び、運転時間等を含む情報である。これに対して、空調機14は、運転スケジュールに従って、起動又は停止する。即ち、スケジュール起動時刻t1は、空調制御対象室41の使用開始時刻であり、スケジュール停止時刻t2は、空調制御対象室41の使用終了時刻である。なお、図3は、スケジュール起動時刻t1を8:00とし、スケジュール停止時刻t2を18:00とし、運転時間を10時間とした例である。
【0024】
目標室内温度設定部22は、各空調制御対象室41に対して、目標室内温度を予め個別に設定する。各空調制御対象室41に対して設定される目標室内温度は、全て同じ温度、又は、互いに異なる温度でも良い。また、目標室内温度設定部22は、設定した目標室内温度を、前倒し停止時間算出部25に出力する。なお、図3は、目標室内温度を26℃とした例である。
【0025】
室内温度取得部23は、各室温計42によって計測された室内温度を取得する。また、室内温度取得部23は、取得した室内温度を前倒し停止時間算出部25に出力する。
【0026】
利用者人数取得部24は、各空調制御対象室41を利用している利用者の人数(以下、利用者人数と称す)を取得する。また、利用者人数取得部24は、取得した利用者人数を補正係数算出部27に出力する。
【0027】
ここで、利用者人数は、例えば、施設の入口に設けられたカードリーダ、及び、各空調制御対象室41内に設けられたカメラ等の利用者人数検出部によって検出される。この利用者人数検出部は、検出した利用者人数を利用者人数取得部24に出力する。
【0028】
前倒し停止時間算出部25は、目標室内温度設定部22によって設定された目標室内温度と、室内温度取得部23によって取得された室内温度とに基づいて、室内温度を目標室内温度にするために必要な、空調機14の前倒し停止時間Δtを算出する。図3に示すように、前倒し停止時間Δtは、スケジュール停止時刻t2を前倒しする期間である。また、前倒し停止時間算出部25は、算出した前倒し停止時間Δtを、補正部28に出力する。
【0029】
具体的には、前倒し停止時間算出部25は、前日までの実績を元に、室内温度が目標室内温度に達するまでの時間又は温度差から、指数平滑によって、単位時間当たりの室内温度変化量となるゲイン(℃/h)を学習する。そして、前倒し停止時間算出部25は、学習したゲインによって、現在の室内温度と目標室内温度との差を除して、前倒し停止時間Δtを算出する。
【0030】
休日判定部26は、カレンダー情報に基づいて、前日が休日であるか否かを判定する。この休日判定部26は、カレンダー情報を予め有している。カレンダー情報は、例えば、日付、曜日、及び、祝祭日を対応付けた情報である。また、休日判定部26は、判定結果を補正係数算出部27に出力する。
【0031】
補正係数算出部27は、休日判定部26によって前日が休日ではないと判定された場合、利用者人数取得部24によって取得された前日の利用者人数、及び、利用者人数取得部24によって取得された本日の利用者人数に基づいて、補正係数を算出する。また、補正係数算出部27は、算出した補正係数を補正部28に出力する。
【0032】
例えば、補正係数算出部27は、冷房時の補正係数、及び、暖房時の補正係数を、下記の式(1-1),(1-2)を用いて算出する。なお、「X」は、補正割合であり、システム管理者等によって予め適宜設定されるものである。
・冷房時の補正係数=(前日の利用者人数/本日の利用者人数)×X …(1-1)
・暖房時の補正係数=(本日の利用者人数/前日の利用者人数)×X …(1-2)
【0033】
補正部28は、前倒し停止時間算出部25によって算出された前倒し停止時間Δtを、補正係数算出部27によって算出された補正係数を用いて補正し、最適前倒し停止時間Δt´を算出する。図3は、最適前倒し停止時間Δt´を1時間とした例である。また、補正部28は、算出した最適前倒し停止時間Δt´を、最適前倒し停止時刻算出部29に出力する。
【0034】
例えば、補正部28は、最適前倒し停止時間Δt´を、下記の式(2-1),(2-2)を用いて算出する。
・冷房時の最適前倒し停止時間Δt´=前倒し停止時間Δt×冷房時の補正係数 …(2-1)
・暖房時の最適前倒し停止時間Δt´=前倒し停止時間Δt×暖房時の補正係数 …(2-2)
【0035】
具体的には、冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、本日の空調制御対象室41は、前日の空調制御対象室41よりも温まり易い。このため、補正部28は、最適前倒し停止時間Δt´を、前倒し停止時間Δtよりも短くする。
【0036】
また、冷房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、本日の空調制御対象室41は、前日の空調制御対象室41よりも温まり難い。補正部28は、最適前倒し停止時間Δt´を、前倒し停止時間Δtよりも長くする。
【0037】
一方、暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも多い場合、本日の空調制御対象室41は、前日の空調制御対象室41よりも冷え難い。このため、補正部28は、最適前倒し停止時間Δt´を、前倒し停止時間Δtよりも長くする。
【0038】
また、暖房時において、本日の利用者人数が前日の利用者人数よりも少ない場合、本日の空調制御対象室41は、前日の空調制御対象室41よりも冷え易い。このため、補正部28は、最適前倒し停止時間Δt´を、前倒し停止時間Δtよりも短くする。
【0039】
最適前倒し停止時刻算出部29は、休日判定部26によって前日が休日ではないと判定された場合、補正部28によって算出された最適前倒し停止時間Δt´を、スケジュール停止時刻t2から差し引いて、最適前倒し停止時刻t2´を算出する。図3は、最適前倒し停止時刻t2´を17:00とした例である。また、最適前倒し停止時刻算出部29は、算出した最適前倒し停止時刻t2´を停止制御部30に出力する。
【0040】
これに対して、最適前倒し停止時刻算出部29は、休日判定部26によって前日が休日であると判定された場合、前倒し停止時間算出部25によって算出された前倒し停止時間Δtを、スケジュール停止時刻t2から差し引いて、前倒し停止時刻t3を算出する。図3は、前倒し停止時刻t3を16:00とした例である。また、最適前倒し停止時刻算出部29は、算出した前倒し停止時刻t3を停止制御部30に出力する。
【0041】
停止制御部30は、現在の時刻が、最適前倒し停止時刻算出部29によって算出された最適前倒し停止時刻t2´になった場合、空調機14を停止させる。具体的には、停止制御部30は、現在の時刻が最適前倒し停止時刻t2´になった場合、下位コントローラ13を介して、空調機14に対する停止指示を行う。
【0042】
これに対して、停止制御部30は、現在の時刻が、最適前倒し停止時刻算出部29によって算出された前倒し停止時刻t3になった場合、空調機14を停止させる。具体的には、停止制御部30は、現在の時刻が前倒し停止時刻t3になった場合、下位コントローラ13を介して、空調機14に対する停止指示を行う。
【0043】
次に、空調システム10の制御方法について、図4を用いて詳細に説明する。図4は、実施の形態1に係る空調システム10の制御方法を示すフローチャートである。
【0044】
ステップST11において、運転スケジュール設定部21は、空調機14の運転スケジュールを設定する。
【0045】
ステップST12において、目標室内温度設定部22は、各空調制御対象室41の目標室内温度をそれぞれ設定する。
【0046】
ステップST13において、室内温度取得部23は、各室温計42によって計測された室内温度を取得する。
【0047】
ステップST14において、利用者人数取得部24は、各空調制御対象室41の利用者人数をそれぞれ取得する。
【0048】
ステップST15において、前倒し停止時間算出部25は、目標室内温度設定部22によって設定された目標室内温度と、室内温度取得部23によって取得された室内温度とに基づいて、室内温度を目標室内温度にするために必要な、空調機14の前倒し停止時間Δtを算出する。
【0049】
ステップST16において、休日判定部26は、カレンダー情報に基づいて、前日が休日であるか否かを判定する。ここで、休日判定部26が前日を休日であると判定した場合(YESの場合)においては、空調システム10の制御方法は、ステップST21に進む。一方、休日判定部26が前日を休日ではないと判定した場合(NOの場合)においては、空調システム10の制御方法は、ステップST17に進む。
【0050】
ステップST17において、補正係数算出部27は、利用者人数取得部24によって取得された前日の利用者人数、及び、利用者人数取得部24によって取得された本日の利用者人数に基づいて、補正係数を算出する。
【0051】
ステップST18において、補正部28は、前倒し停止時間算出部25によって算出された前倒し停止時間Δtを、補正係数算出部27によって算出された補正係数を用いて補正し、最適前倒し停止時間Δt´を算出する。
【0052】
ステップST19において、最適前倒し停止時刻算出部29は、補正部28によって算出された最適前倒し停止時間Δt´を、スケジュール停止時刻t2から差し引いて、最適前倒し停止時刻t2´を算出する。
【0053】
ステップST20において、停止制御部30は、現在の時刻が、最適前倒し停止時刻算出部29によって算出された最適前倒し停止時刻t2´になった場合、空調機14を停止させる。そして、空調システム10の制御方法は、終了する。
【0054】
また、ステップST21において、最適前倒し停止時刻算出部29は、前倒し停止時間算出部25によって算出された前倒し停止時間Δtを、スケジュール停止時刻t2から差し引いて、前倒し停止時刻t3を算出する。
【0055】
ステップST22において、停止制御部30は、現在の時刻が、最適前倒し停止時刻算出部29によって算出された前倒し停止時刻t3になった場合、空調機14を停止させる。そして、空調システム10の制御方法は、終了する。
【0056】
以上、実施の形態1に係る空調システム10の制御装置20は、予め設定されたスケジュール停止時刻t2に空調制御対象室41の室内温度が目標室内温度に到達するように、空調機14を前倒し停止させるものである。この空調システム10の制御装置20は、空調制御対象室41を利用している利用者の人数を取得する利用者人数取得部24と、目標室内温度と室内温度との差に基づいて、室内温度を目標室内温度にするために必要な空調機14の前倒し停止時間Δtを算出する前倒し停止時間算出部25と、カレンダー情報に基づいて、前日が休日であるか否かを判定する休日判定部26と、休日判定部26によって前日が休日ではないと判定された場合、利用者人数取得部24によって取得された前日の利用者人数及び本日の利用者人数に基づいて、補正係数を算出する補正係数算出部27と、前倒し停止時間算出部25によって算出された前倒し停止時間Δtを、補正係数算出部27によって算出された補正係数を用いて補正し、最適前倒し停止時間Δt´を算出する補正部28と、補正部28によって算出された最適前倒し停止時間Δt´を、スケジュール停止時刻t2から差し引いて、最適前倒し停止時刻t2´を算出する最適前倒し停止時刻算出部29と、現在の時刻が、最適前倒し停止時刻算出部29によって算出された最適前倒し停止時刻t2´になった場合、空調機14を停止させる停止制御部30とを備える。このため、空調システム10の制御装置20は、空調機14のスケジュール停止時刻t2における室内の利用者人数に基づいて、空調機14を前倒し停止させることができる。従って、空調システム10の制御装置20は、空調制御における省エネ化を図ることができる。
【0057】
なお、本願発明は、その発明の範囲内において、実施の形態の任意の構成要素の変形、若しくは、実施の形態の任意の構成要素の省略が可能である。
【符号の説明】
【0058】
10 空調システム
11 監視装置
12 上位コントローラ
13 下位コントローラ
14 空調機
20 制御装置
21 運転スケジュール設定部
22 目標室内温度設定部
23 室内温度取得部
24 利用者人数取得部
25 前倒し停止時間算出部
26 休日判定部
27 補正係数算出部
28 補正部
29 最適前倒し停止時刻算出部
30 停止制御部
41 空調制御対象室
42 室温計
t1 スケジュール起動時刻
t1´ 最適前倒し起動時刻
t2 スケジュール停止時刻
t2´ 最適前倒し停止時刻
t3 前倒し停止時刻
Δt 前倒し停止時間
Δt´ 最適前倒し停止時間
図1
図2
図3
図4