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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】情報処理方法、システム及びプログラム
(51)【国際特許分類】
   G06T 7/00 20170101AFI20240913BHJP
   G01M 17/02 20060101ALI20240913BHJP
   B60C 19/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
G06T7/00 650Z
G06T7/00 350B
G01M17/02
B60C19/00 Z
【請求項の数】 11
(21)【出願番号】P 2020212275
(22)【出願日】2020-12-22
(65)【公開番号】P2022098712
(43)【公開日】2022-07-04
【審査請求日】2023-10-13
(73)【特許権者】
【識別番号】000003148
【氏名又は名称】TOYO TIRE株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110000729
【氏名又は名称】弁理士法人ユニアス国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】宮本 学
【審査官】菊池 伸郎
(56)【参考文献】
【文献】特開2019-035626(JP,A)
【文献】特開2020-177542(JP,A)
【文献】特開2017-123088(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
G06T 7/00
G06N 20/00
G01M 17/02
B60C 19/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、
タイヤに関するタイヤ画像と予測値とが対応付けられた教師データを取得するステップと、
前記タイヤ画像に基づく入力画像を特徴抽出部に入力して1つの前記タイヤ画像について複数の特徴量を抽出する特徴量抽出ステップと、
前記抽出された複数の特徴量を入力として前記教師データにおける対応する予測値を出力するように決定木予測モデルを機械学習させる学習ステップと、
学習済みの前記決定木予測モデルを用いて前記複数の特徴量それぞれの重要度を算出する重要度算出ステップと、
前記複数の特徴量のうち、探索対象となる特徴量の選択を受け付けるステップと、
前記選択された探索対象の特徴量が互いに異なり他の特徴量が同一である複数の入力パターンを生成するステップと、
前記生成した複数の入力パターンを前記決定木予測モデルにそれぞれ入力して対応する予測値をそれぞれ予測するステップと、
前記予測された複数の予測値に基づいて、予測値が変動する境界を表す前記探索対象の特徴量の閾値を算出するステップと、
を含む、情報処理方法。
【請求項2】
前記閾値に基づいて前記教師データにおける複数のタイヤ画像を第1グループ又は第2グループのいずれかに分類する分類ステップと、
前記教師データにおける前記複数のタイヤ画像それぞれから少なくとも1つの画像パラメータを算出する画像パラメータ算出ステップと、
前記第1グループに属するタイヤ画像群から算出される第1画像パラメータ群と、前記第2グループに属するタイヤ画像群から算出される第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報を出力するステップと、
を含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1画像パラメータ群および前記第2画像パラメータ群に基づいて、前記画像パラメータが前記予測値に相関があるか否かを判定するステップを含む、請求項2に記載の方法。
【請求項4】
前記特性情報は、前記第1画像パラメータ群の第1四分位数及び第3四分位数、並びに、前記第2画像パラメータ群の第1四分位数及び第3四分位数を含む、請求項2又は3に記載の方法。
【請求項5】
前記画像パラメータ算出ステップを複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出し、
前記方法は、
前記複数種類の画像パラメータそれぞれについて、前記特性情報を出力するステップを含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記画像パラメータ算出ステップを複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出し、
前記方法は、
前記複数種類の画像パラメータそれぞれについて、前記第1画像パラメータ群および前記第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報として、前記第1画像パラメータ群および前記第2画像パラメータ群の分布に関する評価値を算出するステップと、
前記評価値に応じた順序で前記複数種類の画像パラメータの少なくとも一部を出力するステップと、
を含む、請求項2~4のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記評価値は、ウィルコキソン順位和検定、1次元KLダイバージェンス、1次元バタチャリヤ距離、ロジスティクス回帰によるROC解析の少なくとも1つを含む検定手法を用いて算出される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記タイヤ画像は、接地面形状および接地圧を表す接地面画像であり、
前記予測値は、タイヤ性能値であり、
前記画像パラメータは、前記接地面形状および前記接地圧の少なくとも1つから算出される値である、請求項2~7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
前記少なくとも1つの画像パラメータは、
(1)画像における接地面の面積、
(2)画像における接地面の面積と溝面積との合計値、
(3)前記(1)と前記(2)の比率、
(4)接地面を構成する全ての画素について、単位画素あたりの面積と接地圧とを乗算した値の合計値、
(5)接地面を構成する複数の画素それぞれの位置から接地面の重心までの距離と接地圧とを乗算した値の合計値、
(6)複数のブロックそれぞれの面積を当該ブロックの周囲長さで除算した値の平均値、
(7)ブロックの数、
(8)接地面と溝領域を合わせた領域の四角度、
(9)接地面のタイヤ周方向寸法とタイヤ軸方向寸法の比、
(10)タイヤ周方向に延びる周溝の本数、
(11)タイヤ周方向に延びる周溝の幅、
(12)タイヤ周方向に延びる周溝を構成する複数の画素それぞれの位置から当該周溝の重心までの距離を合計した値、
(13)タイヤ軸方向に延びる横溝の間隔、
(14)タイヤ軸方向に延びる横溝の幅、
(15)タイヤ軸方向に延びる横溝の面積、
(16)タイヤ軸方向に延びる横溝の角度、
(17)接地面のタイヤ軸方向の幅
(18)接地面の赤道面に最も近いセンター陸の最大接地長、
(19)接地面のタイヤ軸方向の最も外側にあるショルダー陸の最大接地長、
(20)前記(18)と前記(19)との比率、
(21)接地面の赤道面に最も近いセンター陸の接地圧の合計値を、当該センター陸の面積で割った値、
(22)接地面のタイヤ軸方向の最も外側にあるショルダー陸の接地圧の合計値を、当該ショルダー陸の面積で割った値、
(23)前記(21)と前記(22)の比率、
(24)前記(1)を、試験荷重又は前記(4)で割った値、
(25)前記(2)を、試験荷重又は前記(4)で割った値、
(26)前記(3)を、試験荷重又は前記(4)で割った値、
(27)前記(4)を、試験荷重で割った値、
(28)前記(5)を、試験荷重で割った値、
(29)前記(21)を、試験荷重又は前記(4)で割った値、
(30)前記(22)を、試験荷重又は前記(4)で割った値、
(31)前記(23)を、試験荷重又は前記(4)で割った値、
のうちの少なくとも1つを含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1~9のいずれかに記載の方法を実行する1又は複数のプロセッサを備える、システム。
【請求項11】
請求項1~9のいずれかに記載の方法を1又は複数のプロセッサに実行させる、プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、タイヤ画像の機械学習に関する技術に属する、情報処理方法、システム及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
機械学習の活用が様々な産業分野に広がっており、同業他社のタイヤへの適応事例も増えている。タイヤに関するタイヤ画像から機械学習により予測値を得る試みがなされている。例えば、特許文献1には、タイヤのトレッドが写っているタイヤ画像をニューラルネットワークに入力し、摩耗状態又は摩耗量を推定することが記載されている。
【0003】
タイヤ画像の何が変更されれば、予測値が変わるかを知ることができれば、予測値の向上を検討可能となる。予測値の例としては、例えばタイヤ性能値や摩耗判定値などが挙げられる。しかしながら、機械学習により抽出されるタイヤ画像の特徴量は、その意味が分からない数値であり、タイヤ画像から抽出された特徴量を、人の判断の根拠に利用することができない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】特開2019-35626号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本開示は、機械学習において特徴量と予測値との関係を解き明かすうえで使用可能になり得る新規のデータを提供する技術を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の情報処理方法は、1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、タイヤに関するタイヤ画像と予測値とが対応付けられた教師データを取得するステップと、前記タイヤ画像に基づく入力画像を特徴抽出部に入力して1つの前記タイヤ画像について複数の特徴量を抽出する特徴量抽出ステップと、前記抽出された複数の特徴量を入力として前記教師データにおける対応する予測値を出力するように決定木予測モデルを機械学習させる学習ステップと、学習済みの前記決定木予測モデルを用いて前記複数の特徴量それぞれの重要度を算出する重要度算出ステップと、前記複数の特徴量のうち、探索対象となる特徴量の選択を受け付けるステップと、前記選択された探索対象の特徴量が互いに異なる複数の入力パターンを生成するステップと、前記生成した複数の入力パターンを前記決定木予測モデルにそれぞれ入力して対応する予測値をそれぞれ予測するステップと、前記予測された複数の予測値に基づいて、予測値が変動する境界を表す前記探索対象の特徴量の閾値を算出するステップと、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
図1】第1実施形態のシステムを示すブロック図。
図2】接地面画像の例を示す線図。
図3図2に示す接地面画像を所定画像処理した後の画像を示す図。
図4図2に示す接地面画像を所定画像処理した後の画像を示す図。
図5図2に示す接地面画像を所定画像処理した後の画像を示す図。
図6】生成した入力パターンの特徴量とその入力パターンに基づく予測値とをプロットした図。
図7】20種類の画像パラメータについて第1及び第2画像パラメータ群それぞれの箱ひげ図を対比態様で示す図。
図8】20種類の画像パラメータについてのWilcoxon検定によるランキング結果を示す図。
図9】第1実施形態のシステムが実行するフローチャート。
図10図9に示す例の変形例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0008】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態を、図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、第1実施形態のシステムを示すブロック図である。システムは、タイヤに関する画像(タイヤ画像)から予測値を出力するように予測モデルを機械学習させ、機械学習に関する情報又は機械学習された予測モデルを用いた情報を特定し、出力可能に構成されている。システムは、タイヤ画像の機械学習に関する閾値を算出するとしてもよい。システムは、画像パラメータに関する情報を機械学習により特定するとしてもよい。第1実施形態においてタイヤ画像は接地面画像であり、予測値はタイヤ性能値であるが、これは一例であり、限定されない。
【0010】
図2は、接地面画像20を模式的に示す図である。図2は説明の便宜のためにカラーでなく且つグレースケールでもなく、接地面42をハッチングで示す線図である。図2の例では、タイヤ周方向に延びる周溝40が、画像の第1方向Ax1(縦方向)に延びるように写っており、タイヤ軸方向に延びる横溝41が、画像の第2方向Ax2(横方向)に延びるように写っているが、これに限定されない。図2の例では、接地面42は、溝(周溝40及び横溝41の少なくとも1つ)により複数のブロック43に区分されている。
【0011】
図2に示すように、接地面画像20は、タイヤ接地面形状を表す。第1実施形態の接地面画像20は、タイヤ接地面形状を表すと共に、路面に垂直な方向の接地圧力Pzを、カラー画像の場合は色で表し、グレースケールの場合は輝度で表す。接地面形状と共に接地圧力が表示されるために、接地面画像20は、接地圧分布を表す。接地圧分布は、接地面の領域毎に圧力値が対応付けられている。第1実施形態の接地面画像20は、タイヤが転動していない静止状態の画像であるが、これに限定されず、転動中の画像にしてもよい。転動状態又は静止状態にかかわらず、タイヤのキャンバ角は任意の角度に設定可能である。第1実施形態の接地面画像20は、タイヤの静止状態の画像であるが、タイヤの転動状態である場合には進行方向に対するスリップ角度は0度でもよく、0度以外の角度にしてもよい。第1実施形態の接地面画像20は、静止状態における路面に垂直な方向の接地面圧力Pzのみを表現しているが、これに限定されない。例えば、静止状態においてタイヤ軸方向及び路面に垂直な方向の両方向に直交する前後方向に沿った圧力Px又はタイヤ軸方向に沿った圧力Pyを表現してもよい。また、タイヤが転動状態である場合には、タイヤの進行方向に沿った圧力Px又はタイヤの進行方向に直交する方向に沿った圧力Pyを表現してもよい。なお、これらの座標系は一例であり、適宜変更可能である。なお、精度が確保できるのであれば、接地面画像20はタイヤ接地面形状のみを表すものでもよい。接地面画像は図示しない試験装置により取得されてもよいし、タイヤ接地シミュレーションシステムのシミュレーション結果により取得されてもよい。試験装置は、所定荷重の下、試験対象のタイヤを、試験路面に接地させ、試験路面における透明路面を介してカメラで接地面形状を撮影する。接地圧力は、透明板等を用いた光学的手法、もしくは圧力センサを用いて計測する。試験装置は、上記試験によって接地面画像を生成する。
【0012】
タイヤ性能値は、タイヤを試験することにより得られるタイヤの性能を表す指標値(実測値)である。第1実施形態で用いたタイヤ性能値は、CP(コーナリングパワー)、SAP(セルフアライニングパワー)、CFmax(最大コーナリングフォース)、SAT(セルフアライニングトルク)である。勿論、タイヤ性能値に、これ以外の任意のタイヤ性能を採用可能である。例えば、転がり抵抗又は転がり抵抗係数、摩擦係数、車内外騒音性能、タイヤ単体における放射音性能、などが挙げられる。
【0013】
図1に示すように、システムは、教師データ取得部10と、特徴抽出部11と、学習部12と、重要度算出部14と、受付部15と、入力パターン生成部16と、予測部17と、閾値算出部18と、を有する。システムは、画像パラメータ算出部30と、分類部31と、特性情報出力部32と、判定部33と、評価情報出力部34と、を更に有する、としてもよい。画像パラメータ算出部30、分類部31、特性情報出力部32、判定部33、評価情報出力部34は省略可能であり、任意に追加可能である。
【0014】
これら各部10~18,30~34は、プロセッサ1a、メモリ1b、各種インターフェイス等を備えたコンピュータにおいて予め記憶されている図9又は10に示す処理ルーチンをプロセッサ1aが実行することによりソフトウェア及びハードウェアが協働して実現される。本実施形態では、1つの装置におけるプロセッサ1aが各部を実現しているが、これに限定されない。例えば、ネットワークを用いて分散させ、複数のプロセッサが各部の処理を実行するように構成してもよい。すなわち、1又は複数のプロセッサが処理を実行する。
【0015】
図1に示す教師データ取得部10は、外部から教師データD1を取得する。取得された教師データD1は、メモリ1bに記憶される。教師データD1は、機械学習の決定木予測モデル13に入力するための接地面画像20(タイヤ画像;画像1~N)と、決定木予測モデル13から出力されるべきタイヤ性能値21(予測値;X,X,…,X)とが対応付けられたデータである。教師データD1は、決定木予測モデル13の機械学習に用いられる。本明細書及び図1では説明の便宜のために、接地面画像がN個あるとして説明する。Nは、教師データの件数を示す。
【0016】
特徴抽出部11は、接地面画像20に基づく入力画像が入力されると、1つの接地面画像20について複数の特徴量を抽出する。抽出された複数の特徴量は接地面画像に対応付けた状態でメモリに記憶される(図1参照)。ここでは、複数の特徴量はM個あり、各々の特徴量を(FV1,FV,…,FVM)で表す。Mは、特徴量を算出するアルゴリズムにより予め定められている数である。N件の教師データD1、すなわちN個の接地面画像20が特徴抽出部11に逐次入力されることにより、結果として、N×M個の特徴量が出力される。入力画像は、特徴抽出部11に入力される画像を意味する。入力画像は、接地面画像20自体、または、接地面画像20が加工処理されて特徴抽出部11に入力される画像を意味する。特徴抽出部11は、画像から特徴量を抽出できれば、どのようなアルゴリズムでもよい。例えば、ニューラルネットワーク(例えば、SqueezeNet、Alexnet、GoogleNet、ResNet101)、離間コサイン変換処理、AutoEncoder、離間コサイン変換処理とAutoEncoderを併用した構成などが挙げられる。
【0017】
学習部12は、特徴抽出部11により抽出された画像の複数の特徴量(FV1,FV,…,FVM)を説明変数群として、教師データD1において対応するタイヤ性能値(X,X,…,Xのうち対応する値)を目的変数として出力するように、決定木予測モデル13を機械学習させ構築する。第1実施形態において決定木予測モデル13は、ランダムフォレストを用いているが、これに限定されない。決定木予測モデル13が決定木に属するアルゴリズムであれば、適宜変更可能である。
【0018】
重要度算出部14は、学習済みの決定木予測モデル13を用いて複数の特徴量(FV1,FV,…,FVM)それぞれの重要度(I,I,…,IM)を算出する。M個の特徴量からM個の重要度が算出される。重要度は、その特徴量が予測値に寄与する度合いを表す指標値である。すなわち重要度が高い特徴量を変化させれば、目的変数として得られる予測値が変化する可能性が高く、更に予測値の変化が相対的に大きくなることを意味する。算出された重要度(I,I,…,IM)は特徴量(FV1,FV,…,FVM)に対応付けた状態でメモリ1bに記憶される。
【0019】
図示しない重要度出力部を設けてもよい。重要度出力部は、重要度が最も大きな特徴量を外部に出力(表示)してもよいし、重要度に応じた並び順で複数の特徴量を外部に出力(表示)してもよい。これにより、最も重要度の高い特徴量や、重要度が相対的に高い複数の特徴量をユーザに報知可能となる。
【0020】
受付部15は、複数の特徴量のうち、探索対象となる特徴量の選択を受け付ける。重要度算出部14が重要度に応じて1又は複数の特徴量を外部に出力し、ユーザがいずれの特徴量を探索対象にするかを選択して受付部15に入力し、受付部15が選択された特徴量を受け付ける、としてもよい。また、プロセッサ1aが、複数の特徴量から重要度に応じて少なくとも1つの特徴量を選択し、選択された特徴量が受付部15に入力され、受付部15が選択された特徴量を受け付ける、としてもよい。複数の特徴量が選択された場合には、以降の各処理を選択された特徴量毎に実行すればよい。
【0021】
入力パターン生成部16は、学習済みの決定木予測モデル13に説明変数群として入力するための複数の入力パターン(パターン1~P)を生成する。生成された複数の入力パターン(パターン1~P)はメモリ1bに記憶される。Pは、生成される入力パターンの数を示し、適宜設定可能である。複数の入力パターンは、選択された探索対象の特徴量が互いに異なり、複数の特徴量のうちの他の特徴量が同一である。図1の例では、1番目の特徴量FVが選択された例を挙げて説明する。図1に示すように、P個の入力パターン(パターン1~P)はそれぞれ、2番目からM番目までの特徴量(FV~FV)が全て同一である。一方、P個の入力パターン(パターン1~P)はそれぞれ、1番目の特徴量が全て異なっている。例えば、パターン1の1番目の特徴量FV1_1は、パターン2の1番目の特徴量FV1_2と異なり、パターンPの1番目の特徴量FV1_Pとも異なっている。特徴量の異なる値の生成方法は、例えば、メモリ1bに記憶され且つ特徴抽出部11が抽出した複数の1番目の特徴値の最大値から最小値までの範囲内において、複数(P個)のランダム値を採用してもよいし、前記最大値から最小値までの範囲内の一定間隔の値などを採用してもよい。最大値から最小値までの間の値にすれば、学習範囲内の数値となるので、適切な予測値を得ることが可能となる。複数(P個)の入力パターンを生成するための基礎となる複数(M個)の特徴量は、既に記録されているN個の接地面画像のいずれか1つの画像を選択し、選択した1つの接地面画像に基づく特徴量群(M個)を用いればよい。
【0022】
予測部17は、入力パターン生成部16が生成した複数の入力パターン(パターン1~P)を決定木予測モデル13にそれぞれ入力して対応する予測値(タイヤ性能値;Y,Y,…,Y)をそれぞれ予測する。取得した予測値はメモリ1bに記憶される。予測値Yはパターン1に対応する予測値であり、予測値Yはパターン2に対応する予測値であり、予測値YはパターンPに対応する予測値である。
【0023】
閾値算出部18は、探索対象の特徴量の閾値FVTh1を算出する。閾値FVTh1は、複数の予測値(Y,Y,…,Y)が変動する境界を表す。なお、予測値が変動する境界であるか否かの判定は、所定閾値条件に合致するか否かで判断すればよい。所定閾値条件は、種々設定可能である。例えば、特徴量の単位変化量あたりの予測値の変化量が所定値を超える場合の特徴量が閾値であると判断してもよい。
【0024】
閾値判定について図6を用いて具体例を挙げて説明する。図6の例は、647番目の特徴量を探索対象とし、接地面画像「画像1」、「画像2」「画像3」「画像4」をそれぞれ基礎データとして、1画像あたりP個の入力パターンを生成し、生成したP個の入力パターンから決定木予測モデル13でP個の予測値を予測し、縦軸を予測値とし、横軸を647番目の特徴量の値としてプロットした図である。ここでは、4個の画像を基礎データとして用いているが、少なくとも1つの画像を用いれば判断可能である。更に具体的には、画像1から抽出されたM個の特徴量のうち、1番目~646番目及び648番目~M番目の特徴量をそのままの値とし、647番目の特徴量の値を図6に示すように微小値刻みで変化させてP個の入力パターンを生成した。図6に示すように、647番目の特徴量が「10.5」付近で予測値が急激に変化していることが分かる。この例では、647番目の特徴量の閾値FVTh1は10.5と算出されている。なお、閾値は、後述するように、教師データD1における複数の接地面画像20を第1グループG1又は第2グループG2のいずれかに分類するために用いるので、厳密な値の決定は要求されない。
【0025】
画像パラメータ算出部30は、教師データD1における複数のタイヤ画像(接地面画像20;画像1~N)それぞれから少なくとも1つの画像パラメータ(PL,…,PL)を算出する。算出された画像パラメータ(PL,…,PL)はメモリ1bに記憶される。画像パラメータは、接地面画像20における接地面形状および接地圧の少なくとも1つから、予め定められた演算ルール処理に基づき算出される値である。
【0026】
少なくとも1つの画像パラメータの具体例は、次の(1)~(31)が挙げられ、これらのうちの少なくとも1つを含むとしてもよい。なお、次の(1)~(31)は、例示であり、予め定められた演算ルール処理によって算出される値であれば、詳細を適宜変更可能である。
(1)画像における接地面の面積:
図2においてハッチングで示す領域の面積である。接地面を構成する画素の面積を合計することで算出可能である。
(2)画像における接地面の面積と溝面積との合計値:
図3においてハッチングで示す領域の面積である。図3のハッチングで示す領域は、接地面領域と溝領域とを含む。図2に示す横溝41の閉領域及び周溝40の閉領域を所定処理方法で特定して溝領域としている。
(3)前記(1)と前記(2)の比率:
第1実施形態では、前記(1)/前記(2)としているが、これに限定されない。前記(2)/前記(1)としてもよい。
(4)接地面を構成する全ての画素について、単位画素あたりの面積と接地圧とを乗算した値の合計値:
接地面を構成する画素がQ個あるとし、Q番目の画素の接地圧PZとし、単位画素の面積Aとすると、 A×PZ+A×PZ+…+A×PZQ-1+A×PZ で算出可能である。Qは自然数である。
(5)接地面を構成する複数の画素それぞれの位置から接地面の重心までの距離と接地圧とを乗算した値の合計値:
接地面を構成する画素がQ個あるとし、Q番目の画素の接地圧PZとし、Q番目の画素と重心の距離DDとすると、 DD×PZ+DD×PZ+…+DDQ-1×PZQ-1+DD×PZ で算出可能である。Qは自然数である。
接地面の重心は、図3においてハッチングで示す領域を対象としている。画像における重心は、周りの一次モーメント(接地領域の断面一次モーメント)が0になる点である。
(6)複数のブロック43それぞれの面積を当該ブロックの周囲長さで除算した値の平均値:
この値は、接地面の分布の粗さ及び細かさを示す。各ブロックについて(ブロック面積/ブロックの周囲長さ)を算出し、これらの平均値を採用した。
(7)ブロックの数:
画像の領域を認識するラベリングアルゴリズムを用いて、計数したラベルの数に応じた数となる。図2の例では、15個のブロック43が検出される。
(8)接地面と溝領域を合わせた領域の四角度 :
楕円であれば0となり、長方形であれば1となる、0以上且つ1以下の指標値である。第1実施形態では、図3におけるハッチングで示す領域を対象とした。具体的には、図3の接地面の領域を囲む四角形を算出し、その四角形内にフィットする楕円を算出する。接地面の面積をAとし、四角形の面積をBとし、楕円の面積をCとすると、
四角度=(A-C)/(B-C) で算出可能である。
(9)接地面のタイヤ周方向寸法とタイヤ軸方向寸法の比:
第1実施形態では、図3におけるハッチングで示す領域を対象とした。
(10)タイヤ周方向に延びる周溝の本数:
図4に示すように横溝41の領域を接地面に加え、接地面を区画する周溝40のみが存在するように画像処理を行った後で、周溝40の数を計測する。図4の例では、4本である。
(11)タイヤ周方向に延びる周溝の幅:
第1実施形態では、図4に示す画像処理後の画像を判断の基礎とした。周溝の幅に関する値であれば、周溝の最大幅、最小幅を採用してもよい。また、1画素ライン毎の第2方向Ax2の幅の平均値でもよい。
(12)タイヤ周方向に延びる周溝を構成する複数の画素それぞれの位置から当該周溝の重心までの距離を合計した値:
第1実施形態では、図4に示す画像処理後の画像を判断の基礎とした。画像における重心は、上記同様に、周りの一次モーメントが0になる点である。
(13)タイヤ軸方向に延びる横溝の間隔:
図5に示すように、タイヤ軸方向の最も外側にある陸の横溝41のみを抽出した。抽出した横溝41のタイヤ周方向(画像では第1方向Ax1)の間隔を計測した。間隔は、1画素ライン毎に間隔を計測し、平均化した。
(14)タイヤ軸方向に延びる横溝の幅:
図5に示す画像を判断の基礎とした。横溝41の最大値、最小値を採用してもよい。また、1画素ライン毎の横溝の第1方向Ax1の幅の平均値でもよい。
(15)タイヤ軸方向に延びる横溝の面積:
図5に示す画像を判断の基礎とした。横溝41を構成する画素の面積を合算することで算出可能である。
(16)タイヤ軸方向に延びる横溝の角度:
図5に示す画像を判断の基礎とした。各横溝の中心線の角度の平均値を採用した。
(17)接地面のタイヤ軸方向の幅:
第1実施形態では、図3におけるハッチングで示す領域を対象とした。接地面のタイヤ軸方向、第2方向Ax2の最大幅を採用した。
(18)接地面の赤道面に最も近いセンター陸の最大接地長:
最大接地長は、センター陸の第1方向Ax1の最大寸法である。赤道面に最も近いセンター陸が複数ある場合には、各々の平均値を取得してもよいし、所定ルールに沿って複数の陸のうちから任意の陸をセンター陸であるとして選択してもよい。
(19)接地面のタイヤ軸方向の最も外側にあるショルダー陸の最大接地長:
最大接地長は、ショルダー陸の第1方向Ax1の最大寸法である。ショルダー陸が複数存在する場合には、各々の平均値を取得してもよいし、所定ルールに沿って複数の陸のうちから任意の陸をショルダー陸であるとして選択してもよい。
(20)前記(18)と前記(19)との比率:
比率は、前記(18)/前記(19)でもよいし、前記(19)/前記(18)でもよい。
(21)接地面の赤道面に最も近いセンター陸の接地圧の合計値を、当該センター陸の面積で割った値:
(22)接地面のタイヤ軸方向の最も外側にあるショルダー陸の接地圧の合計値を、当該ショルダー陸の面積で割った値:
(23)前記(21)と前記(22)の比率:
比率は、前記(21)/前記(22)でもよいし、前記(22)/前記(21)でもよい。
(24)前記(1)を、試験荷重又は前記(4)で割った値:
試験荷重は、試験装置が接地面画像20を生成する際に空気入りタイヤの軸に与えていた鉛直方向の荷重、又は、シミュレーションにより接地面画像20を生成する際に空気入りタイヤモデルの軸に与えていた鉛直方向の荷重を意味する。
(25)前記(2)を、試験荷重又は前記(4)で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
(26)前記(3)を、試験荷重又は前記(4)で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
(27)前記(4)を、試験荷重で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
(28)前記(5)を、試験荷重で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
(29)前記(21)を、試験荷重又は前記(4)で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
(30)前記(22)を、試験荷重又は前記(4)で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
(31)前記(23)を、試験荷重又は前記(4)で割った値:
試験荷重の定義は、上記と同じである。
【0027】
分類部31は、閾値FVTh1に基づいて教師データD1における複数のタイヤ画像(画像1~N)を第1グループG1又は第2グループG2のいずれかに分類する。分類結果はメモリ1bに記憶される。一例として、分類部31は、探索対象である1番目の特徴量FVが閾値FVTh1よりも大きいタイヤ画像及び画像パラメータを第1グループG1に分類し、1番目の特徴量FVが閾値FVTh1以下であるタイヤ画像及び画像パラメータを第2グループG2に分類する。勿論、これは一例であって、これに限定されない。図1に示すように、ここでは、第1グループG1に分類されたタイヤ画像(接地面画像20)を第1タイヤ画像群といい、第1タイヤ画像群から算出された画像パラメータを第1画像パラメータ群という。また、同様に、第2グループG2に分類されたタイヤ画像(接地面画像20)を第2タイヤ画像群といい、第2タイヤ画像群から算出された画像パラメータを第2画像パラメータ群という。
【0028】
図1の例では、第1グループG1に、画像1,3などが分類され、これらに対応する1番目の画像パラメータPL ,3番目の画像パラメータPL などが分類されている。第2グループG2に、画像2,Nなどが分類され、これらに対応する2番目の画像パラメータPL 、N番目の画像パラメータPL 、などが分類されている。
【0029】
特性情報出力部32は、第1画像パラメータ群と第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報D2を出力する。特性情報D2は、第1画像パラメータ群と第2画像パラメータ群の特性を表せば、種々変更可能である。特性情報D2は、例えば、第1画像パラメータ群と第2画像パラメータ群の分布に関する情報を含んでもよい。特性情報D2は、例えば、第1画像パラメータ群の統計量、第2画像パラメータ群の統計量、第1画像パラメータ群と第2画像パラメータ群の比較結果に関する情報の少なくとも1つを含む、としてもよい。
統計量は、例えば、標準偏差、分散値、最小値、第1四分位、第2四分位(中央値)、第3四分位、第4四分位(最大値)、平均値、合計値、標本数の少なくとも1つを含む、としてもよい。
比較結果に関する情報は、例えば、第1パラメータ群の箱ひげ図と第2パラメータ群の箱ひげ図の対比表示、第1パラメータ群と第2パラメータ群の分布の重なりを評価する検定結果の少なくとも1つを含む、としてもよい。
検定結果は、例えば、ウィルコキソン順位和検定、1次元KLダイバージェンス、1次元バタチャリヤ距離、ロジスティクス回帰によるROC解析の少なくとも1つの検定手法の結果としてもよい。
【0030】
判定部33は、特性情報D2に基づいて、又は、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群に基づいて、前記画像パラメータが前記予測値に相関があるか否かを判定する。第1実施形態では、特性情報として、第1画像パラメータ群の第1四分位数及び第3四分位数、並びに、第2画像パラメータ群の第1四分位数及び第3四分位数を算出した。第1画像パラメータ群の四分位範囲と第2パラメータ群の四分位範囲とが重なれば、当該画像パラメータは予測値に相関がないと判断する。第1画像パラメータ群の四分位範囲と第2パラメータ群の四分位範囲とが重ならなければ、当該画像パラメータは予測値に相関があると判断する。
【0031】
具体例として図7に示すように、画像パラメータを算出することを複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出する。図7では20種類の画像パラメータ(1~20)を算出している。複数種類の画像パラメータそれぞれについて、特性情報D2を表示している。図7の例の特性情報D2は、第1パラメータ群の箱ひげ図と第2パラメータ群の箱ひげ図とを対比表示している。図7における「true」が第1グループであり、「false」が第2グループである。図7をユーザが見れば、例えば、画像パラメータ11について各グループの四分位範囲(箱形状)が分離していることが分かり、画像パラメータ11が予測値に相関がある可能性が高いことが理解できる。
【0032】
なお、図7に示すように、複数種類の画像パラメータそれぞれについて、判定部33が、第1画像パラメータ群の四分位範囲と第2画像パラメータ群の四分位範囲を比較して、各々の四分位範囲に重なりが無い場合に当該画像パラメータが予測値に相関があると判断し、各々の四分位範囲に重なりがある場合に当該画像パラメータが予測値に相関がないと判定するように構成してもよい。
【0033】
評価情報出力部34は、複数の画像パラメータそれぞれについて、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群の分布に関する評価値を算出し、評価値に応じた順序で複数の画像パラメータの少なくとも一部を出力する、としてもよい。分布に関する評価値は、第1画像パラメータ群の四分位範囲と第2画像パラメータ群の四分位範囲の分離度でもよい。また、分布に関する評価値は、ウィルコキソン順位和検定、1次元KLダイバージェンス、1次元バタチャリヤ距離、ロジスティクス回帰によるROC解析の少なくとも1つを含む検定手法を用いて算出される値、としてもよい。
【0034】
具体例として図8には、ウィルコキソン順位和検定を用いた各画像パラメータの評価値を評価値が高い順に並べて示す図である。ウィルコキソン(Wilcoxon)順位和検定は、評価基準が分布の重なりであり、仮定している分布は非ガウス分布であり、仮説検定手法を用いる。MATLAB(登録商標)の関数ではranksumである。すなわち、図8では、第1画像パラメータ群と第2画像パラメータ群の分布の重なりを評価しており、重なりが少ないものを評価値が高いとしている。すなわち、画像パラメータ11が両群の分布が一番分離しており、次に画像パラメータ5が分離していることが理解可能である。
【0035】
1次元KLダイバージェンスは、評価基準が分布の重なりであり、仮定している分布はガウス分布であり、仮説検定手法を用いる。MATLAB(登録商標)の関数ではrelativeEntropyである。
1次元バタチャリヤ距離は、評価基準が分布の重なりであり、仮定している分布はガウス分布であり、距離手法を用いる。MATLAB(登録商標)の関数ではbhattacharyyaDistanceである。
ロジスティクス回帰によるROC解析は、評価基準が分布の重なりであり、仮定している分布は非ガウス分布であり、距離手法を用いる。MATLAB(登録商標)の関数ではperfcurveである。
【0036】
[情報処理方法]
図1に示すシステムにおける1又は複数のプロセッサが実行する、方法について、図9を用いて説明する。
【0037】
まず、ステップST1において、教師データ取得部10は、タイヤに関するタイヤ画像(接地面画像20)と予測値とが対応付けられた教師データD1を取得する。
次のステップST2において、特徴抽出部11は、タイヤ画像に基づく入力画像が入力され1つのタイヤ画像(接地面画像20)について複数の特徴量を抽出する。
次のステップST3において、学習部12は、抽出された複数の特徴量を入力として教師データD1における対応する予測値を出力するように決定木予測モデル13を機械学習させる。
次のステップST4において、重要度算出部14は、学習済みの決定木予測モデル13を用いて複数の特徴量それぞれの重要度を算出する。
次のステップST5において、受付部15は、複数の特徴量のうち、探索対象となる特徴量の選択を受け付ける。
次のステップST6において、入力パターン生成部16は、選択された探索対象の特徴量が互いに異なる複数の入力パターンを生成する。
次のステップST7において、予測部17は、生成した複数の入力パターンを決定木予測モデル13にそれぞれ入力して対応する予測値をそれぞれ予測する。
次のステップST8において、閾値算出部18は、予測された複数の予測値に基づいて、予測値が変動する境界を表す探索対象の特徴量の閾値FVTh1を算出する。
上記ステップST1~8を実行することで、タイヤ画像の機械学習に関する閾値を算出する方法が実行される。
【0038】
上記ステップST1~8に加えて、次のステップを実行することで、画像パラメータに関する情報を機械学習により特定する方法が実行される。
ステップST9において、分類部31は、閾値算出部18が算出した閾値FVTh1に基づいて教師データD1における複数のタイヤ画像を第1グループ又は第2グループのいずれかに分類する。
ステップST10において、画像パラメータ算出部30は、教師データD1における複数のタイヤ画像それぞれから少なくとも1つの画像パラメータを算出する。ステップST9とステップST10は順不同である。
次のステップST11において、特性情報出力部32は、第1グループに属するタイヤ画像群から算出される第1画像パラメータ群と、第2グループに属するタイヤ画像群から算出される第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報を出力する。
次のステップST12において、判定部33は、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群に基づいて、画像パラメータが予測値に相関があるか否かを判定する。その結果を、特性情報に含めて出力するとしてもよい。
ステップST10~12を、複数種類(31種類)の画像パラメータについて実行する。
【0039】
若しくは、図10に示すようにしてもよい。図10は、ステップST1~10は、図9と同じである。図10に示すように、ステップST10の次のステップST111において、評価情報出力部34は、複数の画像パラメータそれぞれについて、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群の分布に関する評価値を算出する。第1実施形態の図8に示す例では、ウィルコキソン順位和検定の検定結果(ウィルコキソン統計量)である。
ステップST10及びST111を、複数種類(31種類)の画像パラメータについて実行する。
次のステップST112において、評価情報出力部34は、評価値に応じた順序で複数の画像パラメータの少なくとも一部を出力する。第1実施形態の評価情報出力部34は、図8に示すように表示する。
【0040】
<変形例>
<1>第1実施形態では、タイヤ画像を接地面画像にしているが、タイヤに関する画像であれば接地面画像に限定されない。例えば、タイヤの外観が写っている画像でもよい。
【0041】
<2>第1実施形態では、図1に示すように、特性情報出力部32、判定部33、評価情報出力部34の全てが実装されているが、これらは適宜省略可能である。
【0042】
<3>第1実施形態では、予測値はタイヤ性能値ですが、これに限定されない。例えば、予測値は、タイヤ摩耗量又はタイヤの摩耗状態を表す指標値、タイヤの劣化状態を表す指標値などでもよい。
【0043】
以上のように、特に限定されないが、第1実施形態のように、情報処理方法は、1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、タイヤに関するタイヤ画像と予測値とが対応付けられた教師データを取得するステップ(ST1)と、タイヤ画像に基づく入力画像を特徴抽出部11に入力して1つのタイヤ画像について複数の特徴量を抽出する特徴量抽出ステップ(ST2)と、抽出された複数の特徴量を入力として教師データD1における対応する予測値を出力するように決定木予測モデル13を機械学習させる学習ステップ(ST3)と、学習済みの決定木予測モデル13を用いて複数の特徴量それぞれの重要度を算出する重要度算出ステップ(ST4)と、複数の特徴量のうち、探索対象となる特徴量の選択を受け付けるステップ(ST5)と、選択された探索対象の特徴量が互いに異なる複数の入力パターンを生成するステップ(ST6)と、生成した複数の入力パターンを決定木予測モデル13にそれぞれ入力して対応する予測値をそれぞれ予測するステップ(ST7)と、予測された複数の予測値に基づいて、予測値が変動する境界を表す探索対象の特徴量の閾値を算出するステップ(ST8)と、を含む、としてもよい。
特に限定されないが、第1実施形態のように、システムは、タイヤに関するタイヤ画像と予測値とが対応付けられた教師データを取得する教師データ取得部10と、タイヤ画像に基づく入力画像を入力して1つのタイヤ画像について複数の特徴量を抽出する特徴抽出部11と、抽出された複数の特徴量を入力として教師データD1における対応する予測値を出力するように決定木予測モデル13を機械学習させる学習部12と、学習済みの決定木予測モデル13を用いて複数の特徴量それぞれの重要度を算出する重要度算出部14と、複数の特徴量のうち、探索対象となる特徴量の選択を受け付ける受付部15と、選択された探索対象の特徴量が互いに異なる複数の入力パターンを生成する入力パターン生成部16と、生成した複数の入力パターンを決定木予測モデル13にそれぞれ入力して対応する予測値をそれぞれ予測する予測部17と、予測された複数の予測値に基づいて、予測値が変動する境界を表す探索対象の特徴量の閾値を算出する閾値算出部18と、を備える、としてもよい。
【0044】
このように、決定木予測モデル13を利用すれば、木構造の分岐によって予測値が大きく変動する傾向があるので、予測値が変動する境界を表す探索対象の特徴量の閾値FVTh1を得ることが可能となる。閾値FVTh1は、タイヤに関するタイヤ画像に基づく特徴量を入力して対応する予測値を予測する機械学習において、特徴量と予測値との関係を解き明かすうえで使用可能である。よって、このような新規のデータを提供可能となる。
【0045】
特に限定されないが、第1実施形態のように、情報処理方法は、1又は複数のプロセッサが実行する方法であって、タイヤ画像の機械学習に関する閾値FVTh1を算出する方法(ST1~8)と、閾値FVTh1に基づいて教師データD1における複数のタイヤ画像を第1グループG1又は第2グループG2のいずれかに分類する分類ステップ(ST9)と、教師データD1における複数のタイヤ画像それぞれから少なくとも1つの画像パラメータを算出する画像パラメータ算出ステップ(ST10)と、第1グループG1に属するタイヤ画像群から算出される第1画像パラメータ群と、第2グループG2に属するタイヤ画像群から算出される第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報D2を出力するステップ(ST11)と、を含む、としてもよい。
特に限定されないが、第1実施形態のように、システムは、タイヤ画像の機械学習に関する閾値FVTh1を算出するシステムと、閾値FVTh1に基づいて教師データD1における複数のタイヤ画像を第1グループG1又は第2グループG2のいずれかに分類する分類部31と、教師データD1における複数のタイヤ画像それぞれから少なくとも1つの画像パラメータを算出する画像パラメータ算出部30と、第1グループG1に属するタイヤ画像群から算出される第1画像パラメータ群と、第2グループG2に属するタイヤ画像群から算出される第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報D2を出力する特性情報出力部32と、を備える、としてもよい。
【0046】
このように、第1画像パラメータ群及び第2画像パラメータ群の特性に関する特性情報D2が出力されるので、特性情報D2に基づいて両群の分布が分かれていると評価できれば、画像パラメータが探索対象の特徴量に対して相関を有し、当該画像パラメータが予測値に関係するパラメータであると判断可能となる。
【0047】
特に限定されないが、第1実施形態のように、情報処理方法は、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群に基づいて、画像パラメータが予測値に相関があるか否かを判定するステップ(ST12)を含む、としてもよい。
特に限定されないが、第1実施形態のように、システムは、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群に基づいて、画像パラメータが予測値に相関があるか否かを判定する判定部33を備える、としてもよい。
【0048】
このようにすれば、予測値に相関がある画像パラメータを容易に知ることが可能となる。
【0049】
特に限定されないが、特性情報は、第1画像パラメータ群の第1四分位数及び第3四分位数、並びに、第2画像パラメータ群の第1四分位数及び第3四分位数を含む、としてもよい。
これにより、第1画像パラメータ群の四分位範囲(第1四分位数及び第3四分位数)と、第2画像パラメータ群の四分位範囲(第1四分位数及び第3四分位数)とに基づき、両群の分布の分離度を人又はコンピュータが評価可能となる。
【0050】
特に限定されないが、第1実施形態のように、情報処理方法は、画像パラメータ算出ステップ(ST10)を複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出し、情報処理方法は、複数種類の画像パラメータそれぞれについて、特性情報D2を出力するステップ(ST11)を含む、としてもよい。
特に限定されないが、第1実施形態のシステムのように、画像パラメータ算出部30は、複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出し、特性情報出力部32は、複数種類の画像パラメータそれぞれについて、特性情報D2を出力する、としてもよい。
これにより、複数種類の画像パラメータについて特性情報D2を容易に知ることが可能となる。
【0051】
特に限定されないが、第1実施形態のように、情報処理方法は、画像パラメータ算出ステップ(ST10)を複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出し、情報処理方法は、複数の画像パラメータそれぞれについて、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群の分布に関する評価値を算出するステップ(ST111)と、評価値に応じた順序で前記複数の画像パラメータの少なくとも一部を出力するステップ(ST112)と、を含む、としてもよい。
特に限定されないが、第1実施形態のシステムのように、画像パラメータ算出部30は、複数回実行して、複数種類の画像パラメータを算出し、評価情報出力部34は、複数の画像パラメータそれぞれについて、第1画像パラメータ群および第2画像パラメータ群の分布に関する評価値を算出し、評価値に応じた順序で前記複数の画像パラメータの少なくとも一部を出力する、としてもよい。
【0052】
これにより、複数の画像パラメータの少なくとも一部を、分布に関する評価値に応じた順序で出力するので、予測値に相関の高い順又は低い順で複数のパラメータを知ることが可能となる。
【0053】
特に限定されないが、第1実施形態のように、評価値は、ウィルコキソン順位和検定、1次元KLダイバージェンス、1次元バタチャリヤ距離、ロジスティクス回帰によるROC解析の少なくとも1つを含む検定手法を用いて算出される、としてもよい。
これにより、第1画像パラメータ群と第2画像パラメータ群の相違、すなわち予測値に相関する度合いが高い画像パラメータについて、ランキングで評価可能となる。
【0054】
特に限定されないが、第1実施形態のように、タイヤ画像は、接地面形状および接地圧を表す接地面画像20であり、予測値は、タイヤ性能値であり、画像パラメータは、接地面形状および接地圧の少なくとも1つから算出される値である、としてもよい。これにより、タイヤ性能値と画像パラメータの関係を理解可能となる。
【0055】
特に限定されないが、第1実施形態のように、少なくとも1つの画像パラメータは、上記(1)~(31)のうちの少なくとも1つを含む、としてもよい。上記(1)~(31)の画像パラメータは、接地面画像20に現れ且つタイヤ設計に利用可能であるので、タイヤ性能に寄与する画像パラメータを直接的に知ることが可能になる。
【0056】
本実施形態に係るプログラムは、上記方法をコンピュータに実行させるプログラムである。
これらプログラムを実行することによっても、上記方法の奏する作用効果を得ることが可能となる。
【0057】
以上、本開示の実施形態について図面に基づいて説明したが、具体的な構成は、これらの実施形態に限定されるものでないと考えられるべきである。本開示の範囲は、上記した実施形態の説明だけではなく特許請求の範囲によって示され、さらに特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれる。
【0058】
上記の各実施形態で採用している構造を他の任意の実施形態に採用することは可能である。各部の具体的な構成は、上述した実施形態のみに限定されるものではなく、本開示の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【0059】
例えば、特許請求の範囲、明細書、および図面中において示した装置、システム、プログラム、および方法における動作、手順、ステップ、および段階等の各処理の実行順序は、前の処理の出力を後の処理で用いるのでない限り、任意の順序で実現できる。特許請求の範囲、明細書、および図面中のフローに関して、便宜上「まず」、「次に」等を用いて説明したとしても、この順で実行することが必須であることを意味するものではない。
【0060】
図1に示す各部は、所定プログラムを1又はプロセッサで実行することで実現しているが、各部を専用メモリや専用回路で構成してもよい。上記実施形態のシステム1は、一つのコンピュータのプロセッサ1aにおいて各部が実装されているが、各部を分散させて、複数のコンピュータやクラウドで実装してもよい。すなわち、上記方法を1又は複数のプロセッサで実行してもよい。
【0061】
システム1は、プロセッサ1aを含む。例えば、プロセッサ1aは、中央処理ユニット(CPU)、マイクロプロセッサ、またはコンピュータ実行可能命令の実行が可能なその他の処理ユニットとすることができる。また、システム1は、システム1のデータを格納するためのメモリ1bを含む。一例では、メモリ1bは、コンピュータ記憶媒体を含み、RAM、ROM、EEPROM、フラッシュメモリまたはその他のメモリ技術、CD-ROM、DVDまたはその他の光ディスクストレージ、磁気カセット、磁気テープ、磁気ディスクストレージまたはその他の磁気記憶デバイス、あるいは所望のデータを格納するために用いることができ、そしてシステム1がアクセスすることができる任意の他の媒体を含む。
【符号の説明】
【0062】
11…特徴抽出部、13…決定木予測モデル、20…接地面画像(画像1~N)[タイヤ画像]、D1…教師データ、D2…特性情報、FV~FV…特徴量、FVTh1…閾値、G1…第1グループ、G2…第2グループ、X~X…タイヤ性能値(予測値)、Y~Y…入力パターン1~Pに対応する予測値。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10