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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】作業弁を用いた分岐管の接続方法
(51)【国際特許分類】
   F16L 41/12 20060101AFI20240913BHJP
   F16L 55/00 20060101ALI20240913BHJP
【FI】
F16L41/12
F16L55/00 C
【請求項の数】 4
(21)【出願番号】P 2020215733
(22)【出願日】2020-12-24
(65)【公開番号】P2022101263
(43)【公開日】2022-07-06
【審査請求日】2023-09-06
(73)【特許権者】
【識別番号】000105556
【氏名又は名称】コスモ工機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【氏名又は名称】溝渕 良一
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【氏名又は名称】堅田 多恵子
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】高塚 寛
【審査官】広瀬 雅治
(56)【参考文献】
【文献】特開2011-038584(JP,A)
【文献】特開2013-117295(JP,A)
【文献】特開2013-199984(JP,A)
【文献】特開昭63-026489(JP,A)
【文献】特開平04-194491(JP,A)
【文献】特開2014-188592(JP,A)
【文献】特開平08-093963(JP,A)
【文献】特開平09-217881(JP,A)
【文献】実開平02-065784(JP,U)
【文献】特開2016-176544(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F16L 41/12
F16L 55/00
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
流体管を密封状態で外嵌する筐体と、前記筐体内の分岐部を密封状に遮断若しくは開放可能な上下方向に延びる弁体とを備える作業弁を用いて、前記流体管から略水平方向に分岐する分岐管の接続方法であって、
前記弁体の開放状態で、前記筐体内の前記流体管を穿孔若しくは切断する孔部形成ステップと、前記弁体の遮断状態で、前記筐体の分岐部に分岐管を接続する接続ステップと、前記遮断状態の前記弁体を挟む前記筐体内の前記流体管側の流体を、前記分岐管側を画成する閉塞蓋に形成された注入口より該分岐管側に充填するとともに、前記分岐管側に形成される密封空間内の空気を、前記閉塞蓋における前記注入口よりも上方に形成された排出口より排出することで、前記流体管側と前記分岐管側との差圧を小さくする調圧ステップと、前記弁体を開放する開弁ステップとを有することを特徴とする作業弁を用いた分岐管の接続方法。
【請求項2】
前記接続ステップは、前記弁体の遮断状態で、前記筐体の分岐部に前記分岐管を内嵌する第1ステップと、前記開弁ステップの後、前記分岐部内の前記分岐管を前記弁体の弁座部よりも前記流体管側まで引き込む第2ステップと、を有することを特徴とする請求項に記載の作業弁を用いた分岐管の接続方法。
【請求項3】
前記調圧ステップは、前記第2ステップの前に、前記流体管内の流体を前記分岐管を密封状に囲繞した囲繞部材内に充填することを特徴とする請求項に記載の作業弁を用いた分岐管の接続方法。
【請求項4】
前記接続ステップは、前記筐体の分岐部の軸心が略水平方向に延びるように固定支持した状態で、その管軸方向に移動可能に支持した前記分岐管を内嵌することを特徴とする請求項1ないしのいずれかに記載の作業弁を用いた分岐管の接続方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流体管の分岐部における作業弁を用いた分岐管の接続方法及びそれに用いられる作業弁に関する。
【背景技術】
【0002】
水やガス等が流れる既設の管路を構成する流体管は、例えば既設の流体管に新たな分岐路を形成する施工において、作業弁を使用し、流体管内の流体の流れを止めずに、分岐管を接続する不断流工法が一般的に用いられている。
【0003】
例えば、特許文献1の分岐管接続のために用いられる作業弁は、流体管の外周面に密封状に取付けられる筐体と、筐体の分岐部に密封状に接続されるケースと、ケース内に予め収容され筐体の分岐部に向けて進退可能な弁体と、を備えている。また、筐体の分岐部の開口から管軸方向に挿通された切削工具を外部から操作することで流体管の一部を穿孔若しくは切断できるようになっている。この作業弁は、流体管に孔部を形成した後、ネジ操作により弁体を筐体の分岐部に向けて進行させることで、弁体のシール部が筐体の分岐部の内周面に押し付けられ、流体管から筐体の分岐部内に流入する流体を遮断できるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【文献】国際公開第2019/188778号(第11頁~第12頁、第9図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1の分岐管接続にあっては、筐体内の流体管を穿孔した後、作業弁により筐体の分岐部内の流体を遮断した状態で、分岐管を接続することで、既設の流体管への分岐管の接続作業を簡便に行うことができるようになっている。しかしながら、筐体内において作業弁の弁体を挟む既設流体管側には所定圧の管内流体が存在し、一方で分岐管側には分岐管の開口部がバタフライ弁により閉塞されて形成される密封空間に管内流体よりも低圧の空気が存在している。したがって、作業弁の弁体の開弁操作により、弁体を挟む筐体内の流体管側の管内流体が分岐管側の密封空間に流入していくが、閉塞時及び開弁直後の弁体は流体管内の流体圧により分岐管側に向けて押圧された状態であるため、筐体の分岐部の内周面と、該分岐部の内周面に接触する弁体のシール部とが過剰に圧接され、それらの摩擦力により弁体の開弁操作が困難になる虞があった。特に、大口径や0.75MPa以上の高圧の場合などは、作業弁の弁体の開弁操作が顕著に困難になる虞があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、弁体を簡便に開弁操作することができる作業弁を用いた分岐管の接続方法及びそれに用いられる作業弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の作業弁を用いた分岐管の接続方法は、
流体管を密封状態で外嵌する筐体と、前記筐体内の分岐部を密封状に遮断若しくは開放可能な弁体とを備える作業弁を用いた分岐管の接続方法であって、
前記弁体の開放状態で、前記筐体内の前記流体管を穿孔若しくは切断する孔部形成ステップと、前記弁体の遮断状態で、前記筐体の分岐部に分岐管を接続する接続ステップと、前記遮断状態の前記弁体を挟む前記筐体内の前記流体管側と前記分岐管側との差圧を小さくする調圧ステップと、前記弁体を開放する開弁ステップとを有することを特徴としている。
この特徴によれば、弁体を挟む筐体内の流体管側と分岐管側との差圧を小さくした状態で弁体を開放するため、弁体が流体管を流れる流体の圧力により分岐部の内周面と過剰に圧接されることが回避され、弁体を簡便に開弁操作することができる。
【0008】
前記調圧ステップは、前記弁体を挟む前記分岐管側に形成される密封空間内の空気を排出しながら前記流体管側の流体と同じ流体を前記分岐管内に充填することを特徴としている。
この特徴によれば、密封空間である分岐管内の空気と流体が置換されるため、分岐管内に空気を残すことなく管内流体を分岐することができる。
【0009】
前記調圧ステップは、前記弁体を挟む前記流体管側の流体を前記分岐管内に充填することを特徴としている。
この特徴によれば、弁体を挟む筐体の分岐部内と分岐管内に流体管内の同じ流体が充填されるため、弁体を挟む筐体の分岐部内と分岐管内とを同圧に調整しやすい。
【0010】
前記接続ステップは、前記弁体の遮断状態で、前記筐体の分岐部に前記分岐管を内嵌する第1ステップと、前記開弁ステップの後、前記分岐部内の前記分岐管を前記弁体の弁座部よりも前記流体管側まで引き込む第2ステップと、を有することを特徴としている。
この特徴によれば、第2ステップにおいて筐体の分岐部に対する分岐管の最終的な接続を行うことにより、弁体の挿入部を分岐管によって内側から閉塞することができるため、作業弁の構造を簡素化でき、作業弁の取り付け、取り外しが可能となる。
【0011】
前記接続ステップは、前記筐体の分岐部の軸心が略水平方向に延びるように固定支持した状態で、その管軸方向に移動可能に支持した前記分岐管を内嵌することを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の分岐部に分岐管を安定して接続することができる。
【0012】
前記調圧ステップは、前記第2ステップの前に、前記流体管内の流体を前記分岐管を密封状に囲繞した囲繞部材内に充填することを特徴としている。
この特徴によれば、筐体の分岐部内及び分岐管の内外の差圧を小さくすることにより、筐体の分岐部内に分岐管を引き込む際に生じる流体の抵抗を小さくすることができるため、小さな力で引き込みを行うことができる。
【0013】
本発明の作業弁は、
流体管に密封状態で外嵌される筐体と、前記筐体内の分岐部の流体を密封状に遮断若しくは開放可能な弁体とを備え、分岐管の接続方法に用いられる作業弁であって、
前記弁体には、該弁体を貫通する連通孔が設けられ、
前記弁体は、前記連通孔を連通状態又は非連通状態に切り換える切換手段を有することを特徴としている。
この特徴によれば、弁体の閉弁時には、切換手段により連通孔を非連通状態とすることで流体管内の流体を遮断することができるとともに、切換手段により連通孔を連通状態とすることで弁体を挟む筐体の分岐部の管軸方向両側の差圧を小さくすることができるため、弁体を簡便に開弁操作することができる。
【0014】
前記弁体は、前記分岐管側の端部にシール部材を有し、前記筐体の分岐部の内側に周方向に形成された弁座部としての溝に沿って移動可能であることを特徴としている。
この特徴によれば、弁体の閉弁時には、弁体を挟む筐体の分岐部の管軸方向両側の差圧を利用してシール部材を溝の内周面に押圧し閉塞状態を保つことができる。また、弁体の開弁時には、予め切換手段により連通孔を連通状態とし、弁体を挟む筐体の分岐部の管軸方向両側の差圧を小さくすることにより、弁体の移動に伴うシール部材の摩耗、損傷を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
図1】(a)は本発明の実施例1における既設の管路を構成する流体管を外嵌した筐体を示す一部断面側面図、(b)は同じく下方から見た一部断面平面図である。
図2】実施例1における穿孔機により流体管を穿孔している状況を示す一部断面側面図である。
図3図2のA-A断面において排出機により切り粉を排出している状況を示す一部断面正面図である。
図4】閉弁状態の作業弁を示す一部断面側面図である。
図5】(a)は図4の状況から接続ステップの第1ステップ及び調圧ステップを行った状況を示す一部断面側面図、(b)は(a)のB-B断面を示す一部断面正面図である。
図6図5の状況から開弁ステップを行った状況を示す一部断面側面図である。
図7】油圧ピストンを使用した接続ステップの第2ステップの一例を示す概略図である。
図8図6の状況から接続ステップの第2ステップを行った状況を示す一部断面側面図である。
図9】本発明の変形例1を示す一部断面側面図である。
図10】本発明の変形例2を示す一部断面側面図である。
図11】(a)は本発明の実施例2における接続ステップの第2ステップの前に調圧ステップとして流体管内の流体を作業ケース内に充填した状況を示す一部断面側面図、(b)は(a)のC-C断面を示す一部断面正面図である。
図12】本発明の実施例3における穿孔機により流体管を穿孔している状況を示す一部断面側面図である。
図13】実施例3における接続ステップの第2ステップの前に調圧ステップとして流体管内の流体を分岐管内及び作業ケース内に充填した状況を示す一部断面側面図である。
図14図13の状況から接続ステップの第2ステップを行った状況を示す一部断面側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
本発明に係る作業弁を用いた分岐管の接続方法及びそれに用いられる作業弁を実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例1】
【0017】
実施例1に係る作業弁を用いた分岐管の接続方法及びそれに用いられる作業弁につき、図1から図8を参照して説明する。
【0018】
本実施例の作業弁3は、例えば、既設の管路を構成する流体管1の任意の箇所に不断流状態で、流体管1の管路から分岐する分岐管10を接続する工事に用いられるものである。
【0019】
尚、流体管1内の流体は、本実施例では上水であるが、例えば、工業用水、農業用水、下水等の他、水以外の液体でも良いし、ガスやガスと液体との気液混合体であっても構わない。また、本実施例の作業弁3は、流体管1と異なる方向に分岐管10を接続する際に用いられることに限られず、流体管1の流体の流れを制御する弁装置に用いられてもよい。
【0020】
本実施例の流体管1は、比較的大口径(例えば口径200mm以上)のダクタイル鋳鉄管であって、図1に示されるように、断面視略円形状の直管に形成されている。本実施例では、流体管1の管路方向は略水平方向に配設されている。尚、本発明に係る流体管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、流体管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により流体管の内周面に被覆してもよい。また、管路方向は略鉛直、若しくは斜めに配設されていてもよい。
【0021】
ここで本発明の流体管とは、本実施例のように直管に限られず、例えば異形管で構成されてもよい。ここで異形管とは、例えば曲管部や、分岐部、十字部、異径部、継ぎ輪部、短管部、排水部等の様々な異形部を少なくとも一部に有する管を総称するものである。
【0022】
次に、作業弁3の構造及びその設置について説明する。
【0023】
先ず、図1(a),(b)に示されるように、本発明に係る作業弁3の取付箇所となる流体管1の外面を清掃した後、この流体管1の後述する穿孔部分を密封するためのシール部材を介し、作業弁3を構成する筐体5を密封状に外嵌する。筐体5は、複数の分割体からなる分割構造であり、本実施例では、一方の側部を構成し分岐部としての首部5dが設けられる第1分割体51と、他方の側部を構成する第2分割体52とから主に構成されている。尚、筐体5の分割構造は、本実施例に限らず例えば、上下方向に分割されてもよいし、また、分割数も3分割以上の所定数に分割されてもよい。また、分割体同士は、本実施例では、ボルト・ナットからなる締結部材6により密封状態で接合されるものであるが、これに限らず例えば、溶接接合であっても構わない。また、筐体5は、作業弁3の弁体として上下方向にスライドする作業弁体31が適用される態様について説明するが、これに限らず左右方向や斜め方向に弁体が適用されるようにしてもよい。
【0024】
筐体5の第1分割体51は、流体管1に沿って管路方向に延設される管路筐体部5aと、管路筐体部5aの略中央で水平方向、すなわち実際の現場において上下方向ではなく横方向に分岐して延設され、分岐方向に開口する開放端部5c、及び上方に開口する開口部5bを有する筒状の首部5dとから構成され、平面視略T字状に形成されている。尚、筐体5は、ジャッキJなどによりの首部5dの軸心が水平方向に延びるように固定支持されている。また、分岐方向は、水平方向に限らず、例えば上下方向であってもよいし、斜め方向であってもよい。
【0025】
さらに、首部5dの開放端部5c側の端部には、首部5dの外径方向に突出した環状のフランジ部5eを有している。
【0026】
説明の便宜上、図示を省略するが、この首部5dの上方に開口する開口部5bは、平面視で横長の略長方形に開口しており、後述するように作業弁3の作業弁体31が挿通可能に形成されている。
【0027】
また、首部5dの下部には、この首部5dを内外に貫通した連通開口部17が形成され、この連通開口部17に開閉プラグ18が螺着されている。
【0028】
また、図1に示されるように、首部5dの内周部は、正面視略円形の曲面且つ水平方向に直線状に形成された内周面5fと、首部5dの軸方向に開口部5bと同じ位置にて、周方向に沿って内周面5fよりも外径方向に凹設された弁座部としての溝である凹設部5gと、この凹設部5gよりも首部5dの基端側に形成され、首部5dの先端側の内周面5fよりも若干小径に形成された内周面5hと、この内周面5hの先端側及び内周面5fの基端側に連なり径方向に直線状に形成された段部5iとを備えている。
【0029】
次に、図2に示されるように、この首部5dの開口部5bに対し作業弁3を密封状に接続する。作業弁3は、筐体5と、筐体5内を開閉可能にスライドする作業弁体31と、この作業弁体31を上下方向にスライド可能に収容する収容内部32a、及びその下方の一端が開放された開放部32bを有する収容部材32とから主として構成される。
【0030】
収容部材32は、回転可能で且つ進退不能に枢支され、上下方向に延設された軸部材34を備え、この軸部材34に作業弁体31が螺合しており、この収容部材32の外方に突出した軸部材34の端部に取付けた操作部材35を回転操作することで、作業弁体31が収容部材32に対しスライド可能に構成されている。
【0031】
また、作業弁体31は、分岐管10側、すなわち首部5dの開放端部5c側を向く側面にリング状のシール部材31aが装着されており、流体管1の管内流体の圧力によって作業弁体31が分岐管10側に押圧され、このシール部材31aが凹設部5gの側壁5jに面当接することによって、筐体5内を密封状に閉塞可能に構成される(図4参照)。
【0032】
次に、図2に示されるように、首部5dの開放端部5cに対し穿孔機7を密封状に接続する。穿孔機7は、取付フランジ筒71と、流体管1を穿孔するためのカッタ72と、取付フランジ筒71内においてカッタ72を回転させるための駆動モータ74と、カッタ72を水平方向に進行・退避させるための進退機構73とから主に構成されている。尚、穿孔機7は、ジャッキJなどにより取付フランジ筒71や進退機構73の軸心が水平方向に延びるように支持されている。カッタ72は、流体管1よりも小径の有底筒状に形成され、その先端に周方向に沿って切断刃を備えたホールソー72aと、該ホールソー72aの回転軸と同軸に配設され切断刃よりも先方に突出したセンタードリル72bとから構成されている。尚、カッタ72は、筐体5の首部5dの開放端部5cと同心円状に配設され、開放端部5c側から筐体5の首部5d内に挿入され、少なくとも流体管1の管壁を貫通する位置まで進行可能となっている。
【0033】
また、このホールソー72aは、当該ホールソー72aの後端側(進退機構側)に取り付けられた基端部の外周面から外径側に向け起毛する多数本の毛状部材91,91,…からなる掃き出し部90が全周に亘り設けられている。この掃き出し部90は、ホールソー72aの進退移動に伴い凹設部5gの内部に進入し、若しくは凹設部5gの内部から進出するように構成されている。また、掃き出し部90は、ホールソー72aの外周面の全面にあってもよいし、部分的にあってもよい。
【0034】
また、この掃き出し部90を構成する毛状部材91は、金属製、樹脂製若しくは繊維等の素材により形成されており、凹設部5g内の切り粉等の夾雑物を、箒やブラシのごとく外部に掃き出す機能を有する。
【0035】
また、図2に示されるように、進退機構73により首部5d内に挿嵌されたホールソー72aの軸方向先端の切断刃が、流体管1の外面に接して穿孔する位置で、掃き出し部90が凹設部5g内に挿入された状態となっている。このようにすることで、凹設部5g内に切り粉等の異物が進入することを抑制することができる。
【0036】
さらに、カッタ72の穿孔の際にホールソー72aが回転することで、凹設部5g内に挿入された掃き出し部90が周方向に回動し、この凹設部5g内の流動性を高めて切り粉等の異物が進入を阻止することができる。
【0037】
次に、穿孔機7の取付手順について説明すると、取付フランジ筒71の先端に形成されたフランジ部75を、首部5dの開放端部5cのフランジ部5eに、周方向に複数の締結部材77によって締結する。
【0038】
また、首部5dのフランジ部5eの側端面と取付フランジ筒71のフランジ部75の側端面との間にはシール部材が設けられており、このシール部材が取付フランジ筒71のフランジ部75に密接することで、この締結状態で穿孔機7の取付フランジ筒71及び筐体5の首部5dは密封されている。
【0039】
尚、首部5dの開口部5bに対する作業弁3の接続作業と、首部5dの開放端部5cに対する穿孔機7の接続作業とは、必ずしも上記した順序に限られず、穿孔機7の接続作業を行った後に作業弁3の接続作業を行ってもよいし、又はこれらの接続作業を同時並行に行っても構わない。
【0040】
次に、穿孔機7による流体管1の孔部形成ステップを説明すると、先ず、作業弁3の作業弁体31を収容部材32の収容内部32aに配置させ筐体5内を開放した状態において、穿孔機7の駆動モータ74によりカッタ72を回転させるとともに、進退機構73によりカッタ72を水平方向に進行させ、流体管1の管側部の管壁を不断流状態で穿孔によって孔部形成する。尚、孔部形成とは、本実施例のように流体管1のよりも小径のカッタ72等により管壁を穿孔するものでもよいし、若しくは流体管1よりも大径のカッタ等により管軸方向の一部を切断ないし分断するものであってもよい。
【0041】
このとき、特に本実施例のように水平方向の分岐では、穿孔の際に発生する流体管1の切り粉の一部が首部5d内に進入しようとするが、例えば筐体5内部に連通する開口として、首部5dの下部に形成された連通開口部17に取付けたボールバルブを開放することで、穿孔の際に発生する切り粉を流体とともに外部へ排出する。尚、後述するように、この連通開口部17は、調圧ステップ時の充水のためのバイパスとして用いられる。また、上記したボールバルブは、後に不断流状態で取外し、開閉プラグ18で密封する。
【0042】
また、図4に示されるように、カッタ72により流体管1が切断されると、流体管1から分断された切片1dがホールソー72a内に保持された状態となる。そして、カッタ72を切片1dとともに取付フランジ筒71の内部に引き込むと、掃き出し部90が凹設部5gの内部から外方に向け掃き出すように動作する。このようにすることで、凹設部5g内に切り粉等の異物が進入しても、当該異物を凹設部5g外に排出することができる。
【0043】
また、図3に示されるように、首部5dの両側部には、この首部5dを内外に貫通した一対の小径の連通開口部5k,5kが形成され、この連通開口部5k,5kに穿孔の際に生じた切り粉を排出するための排出機8,8’がそれぞれ接続されている。尚、排出機8,8’は同一の構造であるため、排出機8’の説明を省略する。
【0044】
排出機8は、切り粉排出用の小口径の棒状体からなる吸引管80が連通開口部5kに密封状態で挿入されており、首部5dの内部に配置された先端開口81aが凹設部5g内の最深部に配置されるように設計されている。尚、吸引管80は、首部5dの内部に配置される部分をゴム製のフレキシブル管などで構成することにより、凹設部5gに沿って先端開口81aを適宜揺動、進退移動させてもよい。
【0045】
この吸引管80は、首部5dの内部に配置された先端開口81aと、外部に配置された後端開口81bとが連通した内空構造となっており、且つ筐体5の外部に配設され連通開口部5kに螺着されたバルブ82により、吸引管80の両開口81a,81b、すなわち首部5dの内外を連通する連通路を開閉自在となっている。
【0046】
また、カッタ72による流体管1の切断中に、若しくは流体管1が切断され、カッタ72を切片1dとともに取付フランジ筒71の内部に引き込んだ後に、バルブ82を開放状態とすることで、首部5d内の流体とともに凹設部5g内の切り粉を吸引管80の先端開口81aから吸引し、後端開口81bから筐体5の外に排出する。そして、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞することで、流体管1の穿孔作業が完了する(図4参照)。
【0047】
このようにすることで、筐体5の内外に連通する吸引管80により、筐体5内の切り粉等の異物を残らず外部に排出することができる。尚、吸引管80は2本に限られず、所定本数を設けてもよい。また、吸引管80は、例えば流体管1の切断中は取り外しておき、切断終了後にバルブ82に取付けて、切り粉等の異物を外部に排出するようにしてもよい。尚、この後に続けて吸引管80を取り外すのが好ましいが、この限りでなく、穿孔機7の撤去作業に際し、作業弁体31にて密封状に閉塞する際には、バルブ82や後端開口81bのバルブを開放しながら切り粉等の異物を作業弁体31にて押し出すようにして排出してもよい。吸引管80は、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞する前に撤去作業を行うことができる。
【0048】
尚、図4に示されるように、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞することにより、流体管1の管内流体の圧力を利用して作業弁体31に設けられるシール部材31aを筐体5の首部5dの内周部に形成した凹設部5gの側壁5jに面当接させることができるため、密封性を向上させることができる。さらに、作業弁体31の周縁部を凹設部5gに沿って面当接させることで、作業弁体31を薄板状に形成できるため、筐体5の分岐方向の延長すなわち穿孔機7のストロークを短く構成することができ、穿孔機7が偏芯することなく、穿孔の精度を高めることが可能となる。また、作業弁体31の薄板状化により、当該作業弁体31や筐体5の小型化によるコストダウンを達成できる。尚、図4は、作業弁体31の閉塞後、穿孔機7側に流入した管内流体の水抜きを行った状態を示している。
【0049】
次に、作業弁3の作業弁体31により筐体5内部を閉塞した状態で、穿孔機7の撤去作業を行い、図5(a)に示されるように、この穿孔機7に替えて首部5dの開放端部5cに、分岐管10を接続する。分岐管10は、首部5dの開放端部5cに内嵌される短管11と、該短管11の分岐方向の端部に外嵌されるバタフライ弁12とから主に構成されている。尚、分岐管10は、ジャッキJなどにより軸心が水平方向に延びるように且つその管軸方向に移動可能に支持されている。また、本実施例の分岐管10は、バタフライ弁12がジャッキJに設けられる複数のローラR上に支持されることにより、管軸方向に移動させやすくなっている。
【0050】
ここで本発明に係る分岐管は、内部に密封空間が形成されるものである。本実施例の分岐管10は、筐体5に短管11及びバタフライ弁12が密封状に接続され、バタフライ弁12の一方の開放端部12gに閉塞蓋13が密封状に取付けられることにより、分岐管10内に密封空間が形成されている。尚、分岐管10内の密封空間には空気が存在している。
【0051】
より詳しくは、本実施例の短管11は、流体管1と同じく比較的大口径(例えば口径200mm以上)のダクタイル鋳鉄管であって、図5(a)に示されるように、断面視略円形状のフランジ付き直管に形成されている。本実施例では、短管11の管路方向は略水平方向に配設されている。尚、本発明に係る短管は、その他鋳鉄、鋼等の金属製、あるいはコンクリート製、塩化ビニール製、ポリエチレン製若しくはポリオレフィン製等であってもよい。さらに尚、短管の内周面はエポキシ樹脂層、モルタル、めっき等により被覆されてもよく、若しくは適宜の材料を粉体塗装により短管の内周面に被覆してもよい。
【0052】
バタフライ弁12は、フランジ付き筒状部12dが上方に突設されたハウジング12aと、ハウジング12a内を上下方向に挿通保持される操作軸12bと、該操作軸12bと一体に固定されハウジング12a内を開閉可能に回動するバタフライ弁体12cと、ハウジング12aのフランジ付き筒状部12dに接続され操作軸12b及びバタフライ弁体12cをハウジング12aの外部から回動操作可能な操作装置12eとから主に構成されている。尚 、分岐管10内を開閉可能に構成されるものであれば、必ずしもバタフライ弁12に限られず、例えばボール弁やスルース弁等の開閉弁であってもよい。
【0053】
次に、分岐管10の接続ステップの第1ステップについて説明すると、先ず図5(a)に示されるように、筐体5の開放端部5cに、短管11の一方の先端部に形成される挿口部11aを内嵌し、短管11のフランジ部11bを、首部5dの開放端部5cのフランジ部5eに、周方向に複数の締結部材16によって締結する。
【0054】
また、首部5dの内周部における内周面5fと短管11の挿口部11aの外周面との間にはリング状のシール部材14が設けられており、シール部材14が首部5dの内周面5fに密接することで、この締結状態で短管11及び筐体5の首部5dは密封されている。
【0055】
次いで、短管11の他方の先端部に形成される挿口部11cにバタフライ弁12の他方の開放端部12fを外嵌し、短管11の挿口部11cに外挿された押輪21を、バタフライ弁12のハウジング12aのフランジ部12hに、周方向に複数の締結部材22によって締結する。
【0056】
また、バタフライ弁12の他方の開放端部12fの内周面と短管11の挿口部11cの外周面との間にはリング状のシール部材が設けられており、シール部材が短管11の挿口部11cの外周面に密接することで、この締結状態で短管11及びバタフライ弁12は密封されている。尚、短管11とバタフライ弁12の接合は、上記したようなNS接合によるものに限らず、例えばフランジ接合、メカニカル接合、K形接合などでもよい。また、筐体5の開放端部5cに対する短管11の接続作業と、短管11に対するバタフライ弁12の接合作業とは、必ずしも上記した順序に限られず、短管11に対するバタフライ弁12の接合作業を行った後に筐体5の開放端部5cに対する短管11の接続作業を行ってもよい。
【0057】
さらに、図5(a),(b)に示されるように、短管11の外周面にはフランジ部11bよりも挿口部11c側から外径方向に突出した一対の回転止め11dが設けられており、回転止め11dに螺着されるボルト19が押輪21の一部と周方向に当接可能に配置されることにより、筐体5及びバタフライ弁12に対する短管11の相対回転が防止される。
【0058】
次に、調圧ステップについて説明すると、先ず図5(a)に示されるように、上記したように分岐管10を筐体5の開放端部5cに密封状に接続した状態で、作業弁体31を開放するよりも前に、筐体5の首部5dに設けられた連通開口部17と、分岐管10を構成するバタフライ弁12の閉塞蓋13に開閉可能に設けられた流体注入口13aとを接続ホース20によって連通させる。このようにすることで、流体管1内の流体がその流体圧力により、連通開口部17、接続ホース20そして流体注入口13aを介し、分岐管10内に漸次導入される。尚、流体注入口13aには分岐管10内の圧力を測定可能な圧力計が設置されることが好ましい。
【0059】
このように、分岐管10内に流体管1内の流体を導入して分岐管10内に充填することで、作業弁体31を開放する前に、分岐管10内と流体管1内とを略同じ圧力に調整することができる。ここで、調圧とは、分岐管10内と流体管1内とを略同じ圧力に調整するだけでなく、差圧を少なくするように調整することを意味する。尚、調圧ステップにおいて、分岐管10内と流体管1内とは差圧が生じていてもよいが、1.5MPa以下であることが好ましい。
【0060】
またこのとき、バタフライ弁12の閉塞蓋13に開閉可能に設けられた空気抜き口13bを開放することで、分岐管10内に残留する空気を外部に放出する。このようにすることで、密封空間である分岐管10内の空気を流体注入口13aから導入された管内流体により置換することができるため、分岐管10内部を管内流体で満たすことができる。
【0061】
また、図5(a)に示されるように、本実施例の閉塞蓋13は、空気抜き口13bが流体注入口13aよりも上方に設けられ、分岐管10内の密閉空間の上端近傍で連通するように形成されていると好ましく、このようにすることで、分岐管10内の空気を残さず略全量を外部に放出することができる。尚、流体注入口13aと空気抜き口13bが同じ高さに設けられてもよいし、流体注入口13aが空気抜き口13bよりも上方、例えばバタフライ弁12のハウジング12aの上方に突設されたフランジ付き筒状部12dの近傍に設けられてもよい。
【0062】
尚、流体管1から連通開口部17、接続ホース20そして流体注入口13aを介し分岐管10内に、流体管1内を流れる流体を注入する形態を例示したが、これに限られず、流体管1内を流れる流体と同じ流体であれば外部から流体注入口13aを介し分岐管10内に流体を注入してもよい。また、分岐管10内には、流体管1内を流れる流体と異なる流体を注入してもよい。
【0063】
次に、開弁ステップについて説明すると、上記したように、分岐管10内部を管内流体で満たし、作業弁体31を挟む筐体5内の流体管1側と分岐管10側とを略同じ圧力に調整し、流体注入口13a及び空気抜き口13bを閉塞した後、作業弁体31を開放する(図6参照)。
【0064】
このとき、上記したように、調圧ステップにより、分岐管10内は流体管1内と略同じ圧力に調整され、圧力差が存在しない若しくは僅かであるため、作業弁体31が流体管1内の流体の圧力より押圧され、作業弁体31に装着されたシール部材31aが筐体5の首部5dに形成される凹設部5gの側壁5jと過剰に圧接され、それらの摩擦力により作業弁体31の開弁操作が困難になったり、破損する虞が回避される。すなわち、作業弁体31をスムーズに開弁操作することができる。また、作業弁体31の開放に伴う摩擦力によるシール部材31aのずれや損傷を抑制することができる。
【0065】
また、調圧ステップは、作業弁体31を挟む筐体5内の流体管1側を流れる管内流体を分岐管10側に充填するため、作業弁体31を挟む筐体5内の流体管1側と分岐管10側を同圧に近づける調整がしやすい。
【0066】
次に、分岐管10の接続ステップの第2ステップについて説明すると、先ず図6に示されるように、作業弁体31の開弁ステップの後、図7に示されるように、流体管1に外嵌したバンド9を用いて固定した油圧ジャッキ4を用いて、バタフライ弁12の開放端部12gを押圧することで、分岐管10を流体管1側へ引き込む。また、分岐管10を流体管1側へ引き込みながら、短管11のフランジ部11bと首部5dの開放端部5cのフランジ部5eを締結する複数の締結部材16の締め込みを行う。尚、図6においては、バタフライ弁12が閉弁されているが、バタフライ弁12の閉弁は、上記した作業弁体31の開弁ステップの前後のどちらのタイミングでもよいし、接続ステップの第2ステップにおいてバタフライ弁12は開弁されていてもよい。また、接続ホース20は、取り外されていてもよい。また、分岐管10は、油圧ジャッキ4を用いず、締結部材16を用いて引き込んでもよいし、油圧ジャッキ4若しくはその他の油圧ジャッキと締結部材16を併用して引き込んでもよい。
【0067】
そして、図8に示されるように、短管11のフランジ部11bの側端面と首部5dの開放端部5cのフランジ部5eの側端面が当接若しくは近接する位置まで複数の締結部材16が締め込まれることにより、分岐管10の接続ステップの第2ステップが完了する。
【0068】
また、短管11のフランジ部11bの側端面と首部5dの開放端部5cのフランジ部5eの側端面との間にはシール部材が設けられており、このシール部材が短管11のフランジ部11bに密接することで、この締結状態で分岐管10を構成する短管11及び筐体5の首部5dは密封されている。
【0069】
さらに、このとき筐体5の開放端部5cに内嵌された短管11の挿口部11aの先端面が首部5dの内周部に形成された段部5iと当接する。このようにすることで、首部5dの内周部に形成された作業弁体31の挿入部である凹設部5gを短管11の挿口部11aにより内側から閉塞することができる。
【0070】
また、短管11の挿口部11aの外周面に設けられるシール部材14が首部5dの軸方向において凹設部5gを挟む段部5i側、同じくシール部材15が凹設部5gを挟む開放端部5c側でそれぞれ首部5dの内周面5fに密接することで、分岐管10内と凹設部5gは密封状に閉塞され、作業弁3を取り外すことができ、省スペース化や作業弁3の他への適用することができ、また老朽化を防止できる。尚、首部5dの上方に開口する開口部5bは、外部から栓部材5mにより閉塞される。
【0071】
また、バタフライ弁12を閉弁した状態でバタフライ弁12の一方の開放端部12gから閉塞蓋13を取り外し、分岐管10に対して新たな分岐管10Aを密封状に接続する(図8参照)。尚、新たな分岐管10Aには、空気弁等の空気抜き口が設けられることが好ましく、さらに、この空気抜き口には圧力計が設置可能であることが好ましく、これにより水圧試験に利用することもできる。
【0072】
これによれば、本発明の作業弁3を用いた分岐管10の接続方法は、作業弁体31の開放状態で、筐体5内の流体管1を穿孔若しくは切断する孔部形成ステップと、作業弁体31の遮断状態で、筐体5の首部5dに分岐管10を密封状に接続する接続ステップと、遮断状態の作業弁体31を挟む筐体5内の流体管1側と分岐管10側との差圧を小さくする調圧ステップと、作業弁体31を開放する開弁ステップとを有することにより、作業弁体31を挟む筐体5内の流体管1側と分岐管10側との差圧を小さくした状態で作業弁体31を開放するため、作業弁体31が流体管1を流れる流体の圧力により首部5dの内周面、すなわち凹設部5gの側壁5jと過剰に圧接されることが回避され、弁体を簡便に開弁操作することができる。
【0073】
また、調圧ステップは、作業弁体31を挟む筐体5内の分岐管10側に形成される密封空間内の空気を排出しながら流体管1側の管内流体と同じ流体を分岐管10内に充填することにより、密封空間である分岐管10内の空気と流体が置換されるため、分岐管10内に空気を残すことなく管内流体を分岐することができる。また、分岐管10内で空気が圧縮されることや、ウォータハンマの発生を防止することができる。
【0074】
また、調圧ステップは、作業弁体31を挟む流体管1側の管内流体を分岐管10内に充填することにより、作業弁体31を挟む筐体5の首部5d内と分岐管10内に流体管1内の同じ流体が充填されるため、作業弁体31を挟む筐体5の首部5d内と分岐管10内とを同圧に近づける調整がしやすい。
【0075】
また、接続ステップは、作業弁体31の遮断状態で、筐体5の首部5dに分岐管10を内嵌する第1ステップと、作業弁体31の開弁ステップの後、首部5d内の分岐管10を作業弁体31の凹設部5gよりも流体管1側まで引き込む第2ステップと、を有することにより、第2ステップにおいて筐体5の首部5dに対する分岐管10の最終的な接続を行うことにより、作業弁体31の挿入部である凹設部5gを分岐管10によって内側から閉塞することができるため、作業弁3の構造を簡素化でき、作業弁3の取り外しが可能となる。
【0076】
また、接続ステップは、筐体5の首部5dの軸心が略水平方向に延びるように固定支持した状態で、その管軸方向に移動可能に支持した分岐管10を内嵌することにより、筐体5の首部5dに分岐管10を安定して接続することができる。
【0077】
次に、変形例1における作業弁を図9に基づいて説明する。図9に示されるように、変形例1の作業弁103は、弁体としての作業弁体131をその側部に厚み方向に貫通する連通孔131bが設けられている。
【0078】
連通孔131bには、切換手段としての止水プラグ93が螺合している。止水プラグ93の軸部93aは筒状を成し、その軸方向略中心及び側方に開口93bが連通して形成されている。また、軸部93aの分岐管10側の端部には外径方向に張り出す蓋部93cが形成されており、蓋部93cの背面に設けられたシール部材が、作業弁体131の側面に形成される凹部131cの底面に接触することで、連通孔131bを密封状に閉塞している。ここで軸部93aと連通孔131bはネジ嵌合されている。
【0079】
調圧ステップの前の分岐管10の接続ステップの第1ステップにおいては、止水プラグ93により連通孔131bを閉塞した状態としておく。これにより、作業弁体131を挟む筐体5内の流体管1側の流体は、連通孔131bを介して作業弁体131を挟む筐体5内の分岐管10側に流入することが防止される。
【0080】
また、調圧ステップにおいては、作業弁体131により筐体5内部を閉塞した状態でバタフライ弁12を開放してバタフライ弁12の一方の開放端部12gから挿入した所定の工具(図示略)を用いて止水プラグ93を緩める。これにより、止水プラグ93の開口93bが分岐管10側に開放され、流体管1内の流体が分岐管10内に流入する。その後、バタフライ弁12を閉弁し、分岐管10内に流体が充填されることで、作業弁体131を挟む筐体5の流体管1側と分岐管10側を調圧あるいは略同圧とすることができる。
【0081】
また、このとき、分岐管10を構成する短管111の上方に開口する空気抜き口111eに螺着された開閉プラグ111fを開放することで、分岐管10内に残留する空気を外部に放出する。このようにすることで、密封空間である分岐管10内の空気を連通孔131bから導入された管内流体により置換することができるため、分岐管10内部を管内流体で満たすことができる。尚、短管111の空気抜き口111e口には、圧力計が設置可能であることが好ましく、これにより水圧試験に利用することもできる。
【0082】
これによれば、作業弁体131の閉弁時には、止水プラグ93により連通孔131bを非連通状態とすることで流体管1内の流体を遮断することができるとともに、止水プラグ93により連通孔131bを連通状態とすることで作業弁体131を挟む筐体5の筐体5の流体管1側と分岐管10側とを略同じ圧力にすることができるため、作業弁体131を簡便に開弁操作することができる。
【0083】
また、作業弁体131の閉弁時には、作業弁体131を挟む筐体5の筐体5の流体管1側と分岐管10側の差圧を利用してシール部材31aを凹設部5gの側壁5jに押圧し閉塞状態を保つことができる。また、作業弁体131の開弁時には、予め止水プラグ93により連通孔131bを連通状態とし、作業弁体131を挟む筐体5の筐体5の流体管1側と分岐管10側とを略同じ圧力にすることにより、作業弁体131の移動に伴うシール部材31aの摩耗、損傷を防止することができる。
【0084】
尚、切換手段は、連通孔131bを開閉可能であれば止水プラグ93に限られず、自由に変更してもよい。
【0085】
次に、変形例2における調圧ステップを図10に基づいて説明する。図10に示されるように、本変形例2の調圧ステップは、上記したように分岐管10を筐体5の開放端部5cに密封状に接続した状態で、作業弁体31を開放するよりも前に、筐体5の首部5dに設けられた連通開口部17と、分岐管10を構成する短管211の下方に開閉可能に設けられた流体注入口211gとを接続ホース220によって連通させる。このようにすることで、流体管1内の流体がその流体圧力により、連通開口部17、接続ホース220そして流体注入口211gを介し、分岐管10内に漸次導入される。尚、流体注入口211gには分岐管10内の圧力を測定可能な圧力計が設置されることが好ましい。
【0086】
また、本変形例2の調圧ステップは、バタフライ弁12の一方の開放端部12gに閉塞蓋13(図5参照)を取付けずとも、バタフライ弁12を利用して、バタフライ弁体12cを閉弁した状態で行う。
【0087】
このように、分岐管10内に流体管1内の流体を導入して分岐管10内に充填することで、作業弁体31を開放する前に、分岐管10内と流体管1内とを略同じ圧力若しくは差圧を小さくするように調整することができる。
【0088】
またこのとき、短管211の上方に開閉可能に設けられた空気抜き口211eを開放することで、分岐管10内に残留する空気を外部に放出する。このようにすることで、密封空間である分岐管10内の空気を流体注入口211gから導入された管内流体により置換することができるため、分岐管10内部を管内流体で満たすことができる。また、本変形例2によれば、バタフライ弁体12cよりも流体管1側の小さい密封空間を管内流体で充填すれば足りるため、調圧ステップの工程を短縮することができる。
【実施例2】
【0089】
次に、実施例2に係る作業弁を用いた分岐管の接続方法につき、図11を参照して説明する。尚、前記実施例1と同一構成で重複する構成の説明を省略する。尚、実施例2においては、孔部形成ステップ、接続ステップの第1ステップ、調圧ステップ、開弁ステップまでは前記実施例1と同一の作業を行う。
【0090】
実施例2においては、開弁ステップの後、図11に示されるように、首部5dのフランジ部5eに囲繞部材としての作業ケース300を構成する取付フランジ筒301を密封状に外嵌する。尚、図11(b)に示されるように、取付フランジ筒301は周方向に4分割された分割体により構成され、各分割体がボルト・ナットからなる締結部材305により密封状態で接合されている。また、取付フランジ筒301には、外周面に複数の操作筒301bが密封状態で接合されており、操作筒301b内の雌ネジ部に螺合される押しボルト306を取付フランジ筒301の外部から締め込むことにより、首部5dのフランジ部5eに取付フランジ筒301を密封状に接続する。
【0091】
そして、取付フランジ筒301のフランジ部301aに対して作業ケース300を構成する箱状の収容部材302の開放端部302aから外径方向に突出した環状のフランジ部302bを図示しないボルト・ナットからなる締結部材により密封状態で接合することにより、作業ケース300によって分岐管10を密封状に囲繞する。
【0092】
収容部材302の側壁部302cには、下方に流体注入口303、上方に空気抜き口304が設けられている。また、側壁部302cには複数の押しボルト307を挿通可能とする複数の貫通孔302dが設けられている。側壁部302cには、複数の貫通孔302dに連通して外面側に操作筒302eが密封状態で接合されており、操作筒302e内の雌ネジ部に螺合される押しボルト307を収容部材302の外部から締め込み可能となっている。押しボルト307の先端は、作業ケース300により囲繞される分岐管10を構成するバタフライ弁12の一方の開放端部12gに取付けられた閉塞蓋13に当接している。
【0093】
収容部材302の内部には、分岐管10をその管軸方向に移動可能に支持するローラR付きのジャッキJを上下移動させるアジャスタAが設けられている。アジャスタAは、収容部材302の下方に設けられる操作筒302f内に収容されるボルト308の締め込み量を収容部材302の外部から調整することにより、分岐管10をローラR付きのジャッキJにより支持できるように高さを変更することができる。
【0094】
尚、作業ケース300を構成する取付フランジ筒301及び収容部材302は、ジャッキJなどにより分岐管10の軸心が水平方向に延びるように固定支持されている。
【0095】
上記したように、分岐管10を作業ケース300により密封状に囲繞した状態で、接続ステップの第2ステップの前に、調圧ステップとして、筐体5の首部5dに設けられた連通開口部17と、作業ケース300を構成する収容部材302の側壁部302cに開閉可能に設けられた流体注入口303とを接続ホース20によって連通させる。このようにすることで、流体管1内の流体がその流体圧力により、連通開口部17、接続ホース20そして流体注入口303を介し、作業ケース300内に漸次導入される。尚、流体注入口303には作業ケース300内の圧力を測定可能な圧力計が設置されることが好ましい。
【0096】
このように、作業ケース300内に流体管1内の流体を導入して作業ケース300内に充填することで、接続ステップの第2ステップを行う前に、作業ケース300内と流体管1及び分岐管10内とを略同じ圧力に調整することができる。尚、この実施例2の調圧ステップにおいて、作業ケース300内と流体管1及び分岐管10内とは差圧が生じていてもよいが、1.5MPa以下であることが好ましい。
【0097】
またこのとき、収容部材302に開閉可能に設けられた空気抜き口304を開放することで、作業ケース300内に残留する空気を外部に放出する。このようにすることで、密封空間である作業ケース300内の空気を流体注入口303から導入された管内流体により置換することができるため、作業ケース300内部を管内流体で満たすことができる。
【0098】
尚、流体管1から連通開口部17、接続ホース20そして流体注入口303を介し作業ケース300内に、流体管1内を流れる流体を注入する形態を例示したが、これに限られず、流体管1内を流れる流体と同じ流体であれば外部から流体注入口303を介し作業ケース300内に流体を注入してもよい。また、作業ケース300内には、流体管1内を流れる流体と異なる流体を注入してもよい。
【0099】
次に、実施例2における分岐管10の接続ステップの第2ステップについて説明すると、上記した実施例2の調圧ステップの後、複数の操作筒302e内の雌ネジ部に螺合される押しボルト307を収容部材302の外部から締め込むことにより分岐管10を流体管1側へ引き込む。尚、図11においてはバタフライ弁12が閉弁されているが、実施例2における収容部材302内の調圧ステップや接続ステップの第2ステップにおいてバタフライ弁12は開弁されていてもよい。
【0100】
そして、短管11のフランジ部11bの側端面と首部5dの開放端部5cのフランジ部5eの側端面が当接する位置まで複数の押しボルト307が締め込まれ、分岐管10側にある押しボルト306で、短管11のフランジ部11bを固定し、収容部材302を撤去した後、締結部材16を締め込み、取付フランジ筒301を撤去することで、分岐管10の接続ステップの第2ステップが完了する。尚、締結部材16は全長の短いボルトに交換するのが好ましい。
【0101】
これによれば、流体管1に取付けられる筐体5の首部5d内及び分岐管10の内外の差圧を小さくすることにより、首部5d内に分岐管10を引き込む接続ステップの第2ステップ際に生じる流体の抵抗を小さくすることができるため、小さな力で引き込みを行うことができる。尚、作業ケース300内部は、管路を構成するものではないため、この実施例2の調圧ステップにおいては、接続ステップの第2ステップ際に生じる流体の抵抗を小さくすることができれば作業ケース300内部を管内流体で完全に満たさなくてもよい。
【実施例3】
【0102】
次に、実施例3に係る作業弁を用いた分岐管の接続方法につき、図12から図14を参照して説明する。尚、前記実施例1,2と同一構成で重複する構成の説明を省略する。
【0103】
図12に示されるように、実施例3の穿孔機407は、前記実施例1のように毛状部材91,91,…からなる掃き出し部90(図2参照)が設けられていない代わりに筒状体478及び操作部479が設けられている以外、実施例1の穿孔機7と同一の構成を成している。
【0104】
より詳しくは、取付フランジ筒471の内部には、カッタ472を移動可能に収容する円筒状の筒状体478が、この取付フランジ筒471に対し水平方向に移動可能に設けられている。この筒状体478は、その基端側に固定されるとともに取付フランジ筒471の外方に密封状態で延設された操作部479を押し引き操作することで、凹設部5gの開口を被覆する位置まで首部5d内に挿嵌されるようになっている。また、筒状体478は、取付フランジ筒471に螺挿された固定ネジ479aにより操作部479を固定することで、凹設部5gの開口を被覆する所定位置にて位置決めされる。尚、位置決めは、固定ネジ479aによるものに限られず、例えば操作部479の頭部を押さえる機構としてもよい。また、筒状体478は、円筒状に形成されるものに限られず、半円筒状若しくは略C字状に形成されてもよい。
【0105】
さらに、筒状体478は、首部5dの内周面5fに沿ってスライド可能に配置されていることで、この筒状体478の移動の精度を向上させ、凹設部5gを確実に閉塞若しくは開放できる。
【0106】
また、筒状体478の外周面は、首部5dの内周面5fに近接して配置されており、このようにすることで、凹設部5gへの異物進入が防止される。
【0107】
次に、穿孔機407による流体管1の孔部形成ステップを説明すると、先ず、作業弁3の作業弁体31を収容部材32の収容内部32aに配置させ筐体5内を開放した状態において、穿孔機407の駆動モータ474によりカッタ472を回転させるとともに、進退機構473によりカッタ472を水平方向に進行させ、流体管1の管側部の管壁を不断流状態で穿孔する。
【0108】
尚、本実施例の筒状体478の先端面478aは平坦状に形成されており、この先端面478aが首部5d内に形成された段部5iに接することで、筒状体478の挿入が完了するようになっている。
【0109】
このとき、特に本実施例のように水平方向の分岐では、穿孔の際に発生する流体管1の切り粉の一部が首部5d内に進入しようとするが、凹設部5gの開口を筒状体478が閉塞しているため、凹設部5gに向かう切り粉の進入を防止することができる。首部5d内に進入した切り粉は、この凹設部5gを被覆する筒状体478の内面に堆積や付着することになる。この際、例えば筒状体478の外周部に弾性体を接着ないし加硫して、首部5dの内周面5f、及び凹設部5gとの隙間、あるいは、それぞれの任意の箇所のみとの隙間を無くすようにしてもよい。
【0110】
実施例3においては、上記した孔部形成ステップ及び前記実施例1と同一の接続ステップの第1ステップまでの作業を行った後、実施例3における調圧ステップを行う。
【0111】
次に、実施例3における調圧ステップについて説明すると、先ず図13に示されるように、分岐管10を筐体5の開放端部5cに密封状に接続した状態で、作業弁体31を開放するよりも前に、首部5dのフランジ部5eに囲繞部材としての作業ケース400を密封状に接続する。尚、実施例3の作業ケース400は、収容部材402の上方に外部からバタフライ弁12の操作装置12eを開閉操作可能な操作部402gが設けられている以外、実施例2の作業ケース300と同一の構成を成している。また、実施例3においては、バタフライ弁12の一方の開放端部12gに閉塞蓋13を設ける必要がなく、押しボルト408の先端は、作業ケース400内でバタフライ弁12の一方の開放端部12gの側端面に直接当接している。
【0112】
次いで、分岐管10を作業ケース400により密封状に囲繞した状態で、開弁ステップ及び接続ステップの第2ステップの前に、バタフライ弁12を開弁した状態で、筐体5の首部5dに設けられた連通開口部17と、作業ケース400を構成する収容部材402に開閉可能に設けられた流体注入口403とを接続ホース20によって連通させる。このようにすることで、流体管1内の流体がその流体圧力により、連通開口部17、接続ホース20そして流体注入口403を介し、作業ケース400内に漸次導入される。尚、流体注入口403には作業ケース400内の圧力を測定可能な圧力計が設置されることが好ましい。
【0113】
このように、作業ケース400内に流体管1内の流体を導入して作業ケース400内に充填することで、バタフライ弁12が開放された分岐管10内にも流体管1内の流体を導入して充填することができる。すなわち、開弁ステップ及び接続ステップの第2ステップを行う前に、作業ケース400内において分岐管10の外側と内側とを略同じ圧力に調整することができる。尚、この実施例3の調圧ステップにおいて、作業ケース400及び分岐管10内と流体管1内とは差圧が生じていてもよいが、1.5MPa以下であることが好ましい。
【0114】
またこのとき、収容部材402に開閉可能に設けられた空気抜き口404を開放することで、作業ケース400内に残留する空気を外部に放出する。このようにすることで、密封空間である作業ケース400内の空気を流体注入口403から導入された管内流体により置換することができるため、作業ケース400内部を管内流体で満たすことができる。
【0115】
尚、流体管1から連通開口部17、接続ホース20そして流体注入口403を介し分岐管10内に、流体管1内を流れる流体を注入する形態を例示したが、これに限られず、流体管1内を流れる流体と同じ流体であれば外部から流体注入口403を介し作業ケース400及び分岐管10内に流体を注入してもよい。また、作業ケース400及び分岐管10内には、流体管1内を流れる流体と異なる流体を注入してもよい。
【0116】
次に、開弁ステップについて説明すると、上記したように、作業ケース400及び分岐管10内部を管内流体で満たし、作業弁体31を挟む筐体5内の流体管1側と作業ケース400及び分岐管10側とを略同じ圧力に調整し、流体注入口403及び空気抜き口404を閉塞した後、作業弁体31を開放する(図14参照)。
【0117】
このとき、上記したように、調圧ステップにより、分岐管10内は流体管1内と略同じ圧力に調整され、圧力差が存在しないため、作業弁体31が流体管1内の流体の圧力より押圧され、作業弁体31に装着されたシール部材31aが筐体5の首部5dに形成される凹設部5gの側壁5jと過剰に圧接され、それらの摩擦力により作業弁体31の開弁操作が困難になったり、破損する虞が回避される。すなわち、作業弁体31をスムーズに開弁操作することができる。また、作業弁体31の開放に伴うシール部材31aのずれや損傷を抑制することができる。
【0118】
次に、分岐管10の接続ステップの第2ステップについて説明すると、図14に示されるように、上記した実施例3の開弁ステップの後、複数の操作筒402e内の雌ネジ部に螺合される押しボルト408を収容部材402の外部から締め込むことにより分岐管10を流体管1側へ引き込む。
【0119】
そして、短管11のフランジ部11bの側端面と首部5dの開放端部5cのフランジ部5eの側端面が当接する位置まで複数の押しボルト408が締め込まれ、分岐管10側にある押しボルト306で短管11のフランジ部11bを固定する。
【0120】
これによれば、流体管1に取付けられる筐体5の首部5d内及び分岐管10の内外の差圧を小さくすることにより、首部5d内に分岐管10を引き込む接続ステップの第2ステップ際に生じる流体の抵抗を小さくすることができるため、小さな力で引き込みを行うことができる。尚、作業ケース400内部は、管路を構成するものではないため、この実施例3の調圧ステップにおいては、接続ステップの第2ステップ際に生じる流体の抵抗を小さくすることができれば作業ケース400内部を管内流体で完全に満たさなくてもよい。
【0121】
また、接続ステップの第2ステップが完了した状態では、収容部材402の操作部402gによりバタフライ弁12の操作装置12eを操作可能となり、バタフライ弁12を閉弁することができる。この後、収容部材402を撤去し、締結部材16を全長の短いボルトに交換して締め込み、短管11のフランジ部11bを首部5dのフランジ部5eに固定し、取付フランジ筒301を撤去して、分岐管10に対して図示しない新たな分岐管の接続を行うことができる。
【0122】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。また各実施例と各変形例とは、利用可能な構成を併用してもよいし、相互に適用させるようにしてもよい。例えば、実施例1において穿孔機7の代わりに実施例3の穿孔機407を適用してもよい。
【0123】
例えば、前記実施例ではホールソーで穿孔する形態を例示したが、これに限られず、エンドミルやバイト装置やワイヤーソー装置等の穿孔機で穿孔してもよい。
【0124】
また、前記実施例では、調圧ステップにおいて、作業弁体を挟んだ筐体内の流体管側と分岐管側を同圧とする形態を例示したが、これに限られず、作業弁体を挟んだ筐体内の流体管側と分岐管側の差圧を小さくすれば同圧でなくともよく、略同圧としてもよい。尚、差圧は1.5MPa以下とするのが好ましいが、これに限られない。
【0125】
また、前記実施例では、分岐管が短管とバタフライ弁により構成される形態を例示したが、これに限られず、分岐管は、作業弁を閉弁した状態で筐体の分岐部に接続された分岐部内の空間が密閉空間を構成するものであればよい。例えば、バタフライ弁を分岐部に接続してもよいし、バタフライ弁の代わりにゲート弁、ボール弁、切換弁などを接続してもよいし、分岐部に分岐管を直接に接続してもよい。
【0126】
また、前記実施例では、筐体の首部の内周部に形成された凹設部の側壁は、内底面から開口に向けて略垂直に延びる壁面により形成される形態を例示したが、これに限られず、凹設部の側壁は、内底面から開口に向けて漸次開放されたテーパ面により形成されていてもよい。このようにすることで、凹設部内の流体の流動性を高めることができるため、孔部形成ステップにおいてに流体とともに凹設部内に進入した切り粉或いは進入しようとする切り粉を滞留させることなく、テーパ面に沿って凹設部の外部に流出させるやすくすることができる。また、テーパの方向は、開口から内底面に向けて漸次開放させて、切り粉の進入を防ぐようにしてもよい。
【0127】
また、筐体の首部の内周部には弁座部としての溝である凹設部が設けられていなくてもよい。
【0128】
また、前記実施例では、作業弁体には、リング状のシール部材が設けられる形態を例示したが、これに限られず作業弁体全体をゴムなどで被覆してもよい。
【符号の説明】
【0129】
1 流体管
3 作業弁
4 油圧ジャッキ
5 筐体
5d 首部(分岐部)
5g 凹設部(弁座部,溝)
7 穿孔機
8,8’ 排出機
10,10A 分岐管
11 短管
12 バタフライ弁
13 閉塞蓋
13a 流体注入口
13b 空気抜き口
17 連通開口部
20 接続ホース
21 押輪
31 作業弁体(弁体)
31a シール部材
32 収容部材
90 掃き出し部
91 毛状部材
93 止水プラグ(切換手段)
103 作業弁
111 短管
111e 空気抜き口
131 作業弁体(弁体)
131b 連通孔
211 短管
211e 空気抜き口
211g 流体注入口
220 接続ホース
300 作業ケース(囲繞部材)
301 取付フランジ筒
302 収容部材
303 流体注入口
304 空気抜き口
400 作業ケース(囲繞部材)
407 穿孔機
478 筒状体
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14