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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】直流結合段を含む小型高ゲイン増幅器
(51)【国際特許分類】
   H03F 3/45 20060101AFI20240913BHJP
   H03F 3/68 20060101ALN20240913BHJP
   H03F 1/22 20060101ALN20240913BHJP
   H03F 3/60 20060101ALN20240913BHJP
【FI】
H03F3/45
H03F3/68
H03F1/22
H03F3/60
【請求項の数】 14
(21)【出願番号】P 2020562758
(86)(22)【出願日】2019-05-07
(65)【公表番号】
(43)【公表日】2021-09-02
(86)【国際出願番号】 US2019031190
(87)【国際公開番号】W WO2019217472
(87)【国際公開日】2019-11-14
【審査請求日】2022-05-02
(31)【優先権主張番号】62/668,084
(32)【優先日】2018-05-07
(33)【優先権主張国・地域又は機関】US
(73)【特許権者】
【識別番号】516132747
【氏名又は名称】メイコム テクノロジー ソリューションズ ホールディングス インコーポレイテッド
【氏名又は名称原語表記】MACOM TECHNOLOGY SOLUTIONS HOLDINGS, INC.
(74)【代理人】
【識別番号】110001195
【氏名又は名称】弁理士法人深見特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】ウェイン,ケナン
(72)【発明者】
【氏名】グエン,デュイ
【審査官】福田 正悟
(56)【参考文献】
【文献】特開昭60-109309(JP,A)
【文献】特開2013-157929(JP,A)
【文献】特表2004-531164(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
H03F 3/45
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
増幅部であって、
1以上の入力信号を受けるように構成された1以上の入力と、
ソース端子同士が接続されるように配置された複数のトランジスタおよび、前記ソース端子に接続された電流源を有し、前記1以上の入力信号を受け、前記1以上の入力信号を増幅して1以上の前置増幅信号を生成するプリドライバと、
カスコード構成トランジスタを有する増幅器と、
分圧器ネットワークであって、前記分圧器ネットワークは前記カスコード構成トランジスタのうちの1つのトランジスタのゲート端子およびソース端子に接続されるように複数の抵抗および少なくとも1つのキャパシタを有し、前記分圧器ネットワークは前記1以上の前置増幅信号を受け、前記1以上の前置増幅信号の直流バイアス電圧を低下させつつ、前記複数の抵抗の間の抵抗比と、前記抵抗比に同じように設計される、前記少なくとも1つのキャパシタと前記カスコード構成トランジスタのうちの1つのトランジスタのゲート端子との間の容量比とにより動作周波数帯域にわたって平坦なゲイン応答を設定し、それにより1以上の増幅器入力信号を生成するように構成された分圧器ネットワークとを備え、
前記カスコード構成トランジスタは、前記1以上の増幅器入力信号を受けて増幅し、1以上の増幅信号を生成するように構成され、
前記増幅部は、前記プリドライバを前記分圧器ネットワークを介して前記増幅器に接続し、1以上のインダクタおよび1以上のキャパシタを含んで構成された中間段をさらに備える、増幅部。
【請求項2】
前記増幅器は、
カスコード構成の2つのトランジスタを有し、
互いに接続されたソース端子を有する第1トランジスタ対と、
互いに接続されたゲート端子を有する第2トランジスタ対とを備え、前記第1トランジスタ対と第2トランジスタ対とがドレイン-ソース接続される、請求項1に記載の増幅部。
【請求項3】
増幅器であって、
1以上の入力信号を受けるように構成された1以上の入力と、
前記1以上の入力信号を受け、前記1以上の入力信号を増幅して1以上の前置増幅信号を生成するプリドライバと、
カスコード構成トランジスタを有する増幅段と、
分圧器ネットワークであって、前記分圧器ネットワークは前記カスコード構成トランジスタのうちの1つのトランジスタのゲート端子およびソース端子に接続されるように複数の抵抗および少なくとも1つのキャパシタを有し、前記分圧器ネットワークは前記複数の抵抗の間の抵抗比と、前記少なくとも1つのキャパシタと前記カスコード構成トランジスタのうちの1つのトランジスタのゲート端子との間の容量比とが同じように設計され、前記1以上の前置増幅信号を受け、前記1以上の前置増幅信号の直流バイアス電圧を低下させて1以上の増幅器入力を生成するように構成された分圧器ネットワークとを備え、
前記カスコード構成トランジスタは、前記1以上の増幅器入力を受けて増幅し、1以上の増幅信号を生成するように構成され、
前記増幅器は、前記プリドライバを前記分圧器ネットワークを介して前記増幅段に接続し、1以上のインダクタおよび1以上のキャパシタを含んで構成された中間段をさらに備える、増幅器。
【請求項4】
前記プリドライバは、ソース接続された電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を備える、請求項3に記載の増幅器。
【請求項5】
前記分圧器ネットワークは、キャパシタと第1抵抗とが並列接続された回路と、第2抵抗と、が直列接続された回路を備える、請求項に記載の増幅器。
【請求項6】
前記増幅器は、差動信号を増幅するように構成されている、請求項3に記載の増幅器。
【請求項7】
前記増幅器は、カレントミラーとして動作する電流源を有し、
前記1以上の増幅器入力は、1以上のFETのゲート端子に与えられる、請求項3に記載の増幅器。
【請求項8】
前記増幅段は、互いに接続されたゲート端子を含んで構成された第1電界効果トランジスタ対を含み、
前記増幅段は、互いに接続されたソース端子を含んで構成された第2電界効果トランジスタ対を含む、請求項3に記載の増幅器。
【請求項9】
電気信号を増幅するための方法であって、
増幅される信号を受けるステップと、
プリドライバを用いて前記信号の増幅を実行して、前置増幅信号を生成するステップと、
前記前置増幅信号を分圧器ネットワークに与えるステップとを含み、
前記分圧器ネットワークは、増幅器のカスコード構成トランジスタのうちの1つのトランジスタのゲート端子およびソース端子に接続されるように複数の抵抗および少なくとも1つのキャパシタを有し、前記複数の抵抗の間の抵抗比と、前記少なくとも1つのキャパシタと前記カスコード構成トランジスタのうちの1つのトランジスタのゲート端子との間の容量比とが同じように設計され、
前記方法は、
前記分圧器ネットワークを用いて前記前置増幅信号の電圧を調整して、電圧調整信号を生成するステップと、
前記電圧調整信号を前記増幅器に与えるステップとをさらに含み
前記増幅器には、1以上のインダクタおよび1以上のキャパシタを含んで構成された中間段により前記プリドライバが前記分圧器ネットワークを介して接続され、
前記方法は、
前記増幅器を用いて前記電圧調整信号を増幅して、増幅信号を生成するステップと、
前記増幅信号を出力するステップとをさらに含む、電気信号を増幅するための方法。
【請求項10】
前記信号は、差動信号を含む、請求項に記載の方法。
【請求項11】
前記増幅器は、ソース接続されたトランジスタ対を備える、請求項に記載の方法。
【請求項12】
前記少なくとも1つのキャパシタは、前記増幅器内においてソース接続されたトランジスタのゲート端子に直接接続され、
前記複数の抵抗のうちの1つの抵抗は、前記ソース接続されたトランジスタのソース端子に接続されている、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記増幅器は、ゲート接続されたトランジスタ対をさらに備える、請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記前置増幅信号の前記電圧を調整するステップは、低周波数から高周波数まで平坦なゲイン応答を達成するために前記増幅器に与えられる直流バイアス電圧を低下させるステップを含む、請求項に記載の方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の分野
この発明の分野は、増幅器および電圧制御型減衰器に関し、より特定的には、改良された分散型増幅器および改良された電圧制御型減衰器に関する。
【背景技術】
【0002】
背景
分散型増幅器は、進行波増幅器としても知られ、広帯域用途では一般的な増幅器構成である。図1は、典型的な従来技術の分散型増幅器の回路例を示す。図1の分散型増幅器は、シングルエンド構成である。図示されるように、入力ノード104は、増幅されるデータ信号を受けるように構成されている。入力ノード104はインダクタ108Aに接続されている。インダクタ108Aの反対端子は、インダクタ108Bおよび第1増幅部112Aに接続されている。インダクタ108は、入力線として本明細書に定義された回路部内に配置されている。
【0003】
増幅部112Aは、図示されるようにソースとドレインとが接続された2つのトランジスタを備える。FET154のゲート端子は、インダクタ108A,108Bに接続されている。キャパシタ162は、FET150のゲート端子をグランドに接続する。FET150のドレイン端子は、図示されるようにインダクタ120A,120Bに接続されている。インダクタ120Aの反対端子は出力終端抵抗RD130に接続され、次にキャパシタ134に接続されている。抵抗RD130は、インピーダンス整合に使用され、出力インピーダンスを設定するドレイン抵抗とも呼ばれ得る。キャパシタ134の反対端子はグランドに接続されている。出力終端抵抗RD130およびキャパシタ134は、出力ノード124から見た出力インピーダンスを定める。インダクタ120A,120Bは、出力線122として定義された回路部内に配置されている。
【0004】
増幅部112のFET150,154は寄生容量を有する。回路内に配置されたインダクタ108A,108B,120A,120Bは、増幅部に関連した寄生容量を相殺または無効にするために選択されている。
【0005】
増幅部112Aおよびインダクタ108A,108B,120A,120Bの配置は、Nを任意の整数として、1以上の追加的な増幅部112Bおよびインダクタ108C,108N,120C,120Nにより繰り返される。出力ノード124はインダクタ120Nに接続されている。インダクタ170は、出力ノード124にさらに接続されるとともに、供給電圧VD166に接続されている。供給電圧166は、バイアスのための直流供給電圧を回路に供給する。
【0006】
また、この分散型増幅器の一部は、入力インピーダンス整合を与えるためにグランドに直列接続された入力終端抵抗140およびキャパシタ144である。供給電圧VG150は、入力終端抵抗140とキャパシタ144との間のノードに供給される。
【0007】
2つの増幅部112A,112Bが図示されているが、ゲインを増大させたり他の回路特性を定めたりするために、任意の個数の増幅部が実装されてもよいと考えられる。
【0008】
動作中には、入力信号が入力ノード104に与えられ、次に入力信号を増幅する第1増幅部112Aに与えられ、増幅された信号が出力線122へと与えられる。この処理は、増幅された出力信号が出力ノード124に与えられるように、1以上の追加的な増幅部112において繰り返される。入力インピーダンスは、少なくとも部分的には、入力終端抵抗RG140およびキャパシタ144により設定される。抵抗RG140は、入力インピーダンスを設定するために使用されるゲート抵抗とも呼ばれ得る。出力インピーダンスは、少なくとも部分的には、出力終端抵抗130およびキャパシタ134により設定される。インダクタ108A,108B,120A,120Bは、増幅部の寄生容量を相殺する。
【0009】
図2は、差動モード構成における典型的な従来技術の分散型増幅器の回路配置例を示す。図1との比較において、類似する要素には類似する参照符号が付されている。しかしながら、差動構成であるため、その配置は、反転した構成要素の集まりである。この分野において理解されるように、差動構成は、2つの入力104-P,104-Nを含む。入力104-P,104-Nは、位相が互いに180度ずれた差動信号を受ける。対象の信号は、入力104-P,104-Nに与えられる差動信号間の差である。-Pおよび-Nとの表記は、差動構成を形成するために一般に反転された、分離されるが類似する2つの要素配置を反映している。同様に、インダクタ108も、参照符号とともに-Pおよび-Nの表記により分離されている。一般に類似するが複製された差動構成の性質のため、図2の説明では、図1とは異なる図2の部分のみが説明される。
【0010】
図2は、図示されるように入力線110-P,110-Nおよび出力線122-P,122-Nに接続された差動増幅部208A,208Bを含む。差動増幅部208の各々は、いくつかの構成要素を含む。図1のように、インダクタ108A-Pとインダクタ108B-Pとの間に接続されているのはFET224Aのゲート端子である。FET224Aのドレイン端子は、FET228Aのソース端子に接続されている。この構成は、FET228A,224Bのゲート端子が接続され、かつ、FET224A,224Bのソース端子が接続されるように、FET224B,228Bに関しても図示のように反転されている。これは、FET224にとっての共通ソース構成と呼ばれ、FET228にとっての共通ゲート構成と呼ばれる。FET228A,228Bのドレイン端子は、出力線122-P,122-Nに接続されている。キャパシタ232は、グランドとFET228A,228Bのゲート端子との間に接続されている。電流源220は、グランドとFET224A,224Bのソース端子との間に接続されている。電流源220とFET224のソース端子との間のノードは、差動信号が与えられた場合に仮想グランドとなる。1以上の追加的な差動増幅部208Bも同様に構成されている。
【0011】
動作中には、差動信号が入力104-P,104-Nに与えられ、その後、差動増幅部208A,・・・,208Bに与えられ、その間に、増幅された入力信号が出力124-P,124-Nに与えられる。図1と同様に、供給電圧VD166-Pは、インダクタ170-Pを通じて、増幅器の正極側のためのバイアスを供給する。電圧VD166-Nおよびインダクタ170-Nは、増幅器の負極側のためのバイアスを供給する。差動増幅構成においては、電圧VD166-P,166-Nは、等しい値を有しているか、同じ直流電圧源に接続できるかのいずれかである。また、インダクタ170-P,170-Nは、この実施の形態では同一であるが、他の実施の形態では異なる値であってもよい。電圧源VG150は、差動増幅器の両極側のためのゲートバイアスを供給するために、抵抗140-Pと抵抗140-Nとの間のノードに供給される。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
図1および図2に示されるような従来技術の設計は特定の用途に適するが、改良は最先端を益するであろう。本明細書の開示は、以下に説明するような増幅器への改良である。
【課題を解決するための手段】
【0013】
概要
従来技術の欠点を克服し、追加的な利益を提供するために、1以上の入力信号を受けるように構成された1以上の入力を備える増幅部が開示されている。入力に接続されているのは、反転したトランジスタと電流源とを有するプリドライバである。プリドライバは、1以上の入力信号を受け、1以上の入力信号を増幅して1以上の前置増幅信号を生成するように構成されている。また、1以上の抵抗および1以上のキャパシタを有する分圧器ネットワークが設けられている。分圧器ネットワークは、1以上の前置増幅信号を受け、1以上の前置増幅信号の直流バイアス電圧を低減し、それと同時に、動作帯域全般にわたって平坦なゲイン応答を達成し、それにより1以上の増幅器入力信号を生成するようにが構成されている。
【0014】
さらに設けられているのは、1以上の増幅器入力信号を受けて増幅し、1以上の増幅信号を生成するように構成された、カスコード構成トランジスタを有する増幅器である。中間段は、中間段が1以上のインダクタにより構成されているように、プリドライバを増幅器に接続する。
【0015】
ある実施の形態において、中間段は、1以上のキャパシタをさらに含む。分圧器ネットワークは、1以上の抵抗に並列な1以上のキャパシタを含み得る。ある構成において、カスコード構成の2つのトランジスを有する増幅器は、第1トランジスタ対と第2トランジスタ対とがドレイン-ソース接続されるように、ソース端子同士が接続された第1トランジスタ対と、ゲート端子同士が接続された第2トランジスタ対とを備える。
【0016】
さらに開示されているのは、1以上の入力信号を受けるように構成された1以上の入力と、1以上の入力信号を受け、1以上の入力信号を増幅して1以上の前置増幅信号を生成するように構成されたプリドライバとを備える増幅器である。分圧器ネットワークは、この実施の形態の一部であり、1以上の前置増幅信号を受け、1以上の前置増幅信号の直流バイアス電圧を低減して1以上の増幅器入力を生成するように構成されている。増幅器は、1以上の増幅器入力を受けて増幅し、1以上の増幅信号を生成するように構成されている。
【0017】
ある実施の形態において、プリドライバは、ソース接続された電界効果トランジスタ(FET:Field Effect Transistor)を備える。分圧器ネットワークは、少なくとも1つのキャパシタと、少なくとも1つの抵抗とを含み得る。ある実施の形態において、分圧器ネットワークは、キャパシタに並列な2つの抵抗を備える。増幅器は、差動信号を増幅するように構成されていると考えられる。ある構成において、増幅器の電流源はカレントミラーとして動作し、1以上の増幅器入力が1以上のFETのゲート端子に与えられてもよい。本明細書で説明されるように、増幅器は、ゲート端子同士が接続された電界効果トランジスタの第1対を含み、増幅器は、ソース端子同士が接続された電界効果トランジスタの第2対を含む。この実施の形態は、プリドライバを増幅器に接続する少なくとも1つの中間段をさらに備え得る。中間段は、カットオフ周波数を上昇させるように構成されたキャパシタをさらに備え得る。
【0018】
さらに開示されているのは、増幅される信号を受けるステップと、前置増幅信号を生成するためにプリドライバを用いて信号増幅を実行するステップと、前置増幅信号を分圧器ネットワークに与えるステップとを含む、電気信号を増幅するための方法である。この方法は、そのときに、電圧調整信号を生成するために分圧器ネットワークを用いて前置増幅信号の電圧を調整し、電圧調整信号を増幅器に与えるステップを含む。この方法は、その後、増幅器を用いて電圧調整信号を増幅して増幅信号を生成し、増幅信号を出力するステップを含む。
【0019】
ある実施の形態において、信号は差動信号を含む。増幅器は、ソース接続されたトランジスタ対を備え得る。分圧器ネットワークは、ソース接続されたトランジスタのゲート端子と、2以上の抵抗とに直接接続されたキャパシタを備え得る。2以上の抵抗のうちの1つは、ソース接続されたトランジスタのソース端子に接続されている。増幅器は、ゲート接続されたトランジスタ対をさらに備え得る。ある構成において、前置増幅信号の電圧を調整するステップは、低周波数から高周波数まで平坦なゲイン応答を達成するために増幅器に与えられる直流バイアス電圧を低減するステップを含む。
【0020】
図面中の構成要素は必ずしも正確な縮尺ではなく、それに代えて、本発明の原理を説明することに重点が置かれている。図面では、種々の図の全体にわたって、同様の参照符号は対応する構成部分を示している。
【0021】
図面の簡単な説明
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】典型的な従来技術の分散型増幅器の回路例を示す図である。
図2】差動モード構成における典型的な従来技術の分散型増幅器の回路配置例を示す図である。
図3A図2の分散型増幅器に用いられるであろう改良された増幅部を示す図である。
図3B図3Aの増幅部のブロック図である。
図3C】2以上の構成部を有する差動モード構成に組み込まれた図3Aの増幅部を示す図である。
図4】追加的なキャパシタを含む増幅部の実施の形態の例を示す図である。
図5】シングルエンド構成における従来技術の電圧制御型減衰器(VCA)500の例を示す図である。
図6】差動信号構成における従来技術の電圧制御型減衰器の例を示す図である。
図7】複数のFETを有する差動信号構成における電圧制御型減衰器を示す図である。
図8】分散型電圧制御型減衰器のブロック図である。
図9】本明細書に開示された革新の使用環境例を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
発明の説明
図1および図2にて特定されたような分散型増幅器が広く用いられている一方で、従来技術に対する改良が可能である。従来技術に対する改良の一分野は、所定の増幅器サイズに対して大幅に高いゲインであり、これは所定の増幅レベル(ゲイン)に対する小型化にも関連する。したがって、このシステムは、同等以上のゲインレベルを維持しつつ、そしてまた帯域を維持または増大しつつ、分散型増幅器のサイズを削減することによって、従来技術を改良する。それに加えて、このシステムは、小型の省エネルギー設計において高ゲイン高帯域(100kHzから50GHz)の増幅器を提供する。従来技術と比べて、大型FETに頼ったり、または帯域を減少させたりすることなく、高ゲインを達成でき、または、所定のFETサイズに対して最大ゲインが拡大される。
【0024】
図3Aは、図2の分散型増幅器に用いられるであろう改良された増幅部を示す。複雑さを低減し、分散型増幅器の革新部分に焦点を当てるため、1つの増幅部のみが示されているが、分散型増幅部には使用中の複数の増幅部が設けられていてもよい。図1および図2との比較において、類似する要素には同一の参照符号が付されており、それらの要素に関する説明は繰り返さない。
【0025】
プリドライバ部
この実施の形態において、増幅部304は、入力端子308A,308Bを有する。入力端子308Aが図2の入力線110-Pに接続されている一方で、入力端子308Bは入力線110-Nに接続されている。これらの接続は増幅部304に差動信号を与える。入力端子は、プリドライバ部310に図示されるように接続されている。プリドライバ部は、インダクタ340,344、キャパシタ/抵抗334および終端抵抗348とともに、トランジスタ324と、電流源330とにより構成されている。この実施の形態において、プリドライバ部310は、ソース接続されたFET324A,324Bを含む。FET324Aのゲートが入力端子308Aに接続されている一方で、FET324Bのゲートは入力端子308Bに接続されている。各FET324A,324Bのソース端子は、互いに接続されるとともに電流源330に接続され、電流源330はグランドにも接続されている。プリドライバ310は、増幅部304の追加的増幅器による増幅に先立って差動入力信号を増幅する第1増幅段としての役割を果たす。
【0026】
各プリドライバFET324は、図示されるように、インダクタ340A、340Bに接続されるドレイン端子を有する。インダクタ340A,340Bの反対端子は分圧器ネットワーク334A,334Bに接続される一方、インダクタ344A,344Bは抵抗348A,348Bに直列接続されている。インダクタ340A,340Bは、FETの寄生容量を相殺または無効化するために働く。抵抗348A,348Bの反対端子は、プリドライバ電圧供給ノード320に接続されている。この実施の形態において、インダクタ344A、ノード342およびインダクタ340Aは、伝送線路のように見える、または振る舞う。抵抗348Aは、終端抵抗であり、ノード342からは伝送線路は50オーム終端のように見える。ノード342は、グランドへのキャパシタのように見え得る。この実施の形態において、分圧器ネットワーク334A,334Bは、FET224A,224Bのゲート端子に直接接続されたキャパシタと、一方がFET224A,224Bの共通ソース端子に接続された2つの抵抗とを備える。分圧器ネットワークは、FET224A,224Bのゲート端子に供給される直流バイアス電圧を低減し、低周波数から高周波数まで(たとえば100kHz~50GHzであるが、これに限定されるものではない)平坦なゲイン応答を達成する。
【0027】
プリドライバ部310および他の関連回路を分散型増幅器に追加することによって、増幅部内部のFETのサイズを増大させなくても各増幅部304のゲインが増大するため、FETの大型化に伴う帯域減少が避けられる。さらに、同じ帯域を維持し、かつ、チップサイズの増大をほとんどなくしつつ、大幅に高いゲインを達成するために、2以上のプリドライバ部が追加されてもよい。これらが従来技術に対する改良点である。
【0028】
図3Aのこの実施の形態では、単一のプリドライバ310と、デバイス224,228により構成された増幅段とが示されているが、追加段224,228が増幅部304の内部に設けられていてもよいと考えられる。同様に、図3Cに示されるように、1以上の増幅部304が組み合わせられてもよい。
【0029】
動作中には、差動入力信号が入力端子308A,308Bに与えられ、プリドライバ段310によって増幅される。分圧器ネットワーク334A,334Bのキャパシタとインダクタ344,340との間のノードは、グランドに接続されたキャパシタであるように見える。ある実施の形態において、抵抗348A,348Bは50Ωの値を有する。インダクタ340,344は、スパイラルインダクタデザインにより実現されるが、伝送線路として振る舞うように一般化することもできる。この構成の差動特性のため、回路動作は対称的である。Vddpに接続された抵抗348が設けられ、第1段(プリドライバ310)からの広ゲインを成立させるために選択される。この抵抗が設けられていない場合、周波数応答は理想的にならないであろう。抵抗348もまた、カスコードトランジスタ224,228への周波数に対して均一な電圧を与えるため、動作中には終端抵抗のように働く。増幅段出力312A,312Bが図3Aの上部に示されている。デバイス224,228により形成された増幅器は第2段と呼ばれ得る。
【0030】
ある動作モードにおいて、プリドライバトランジスタは、非常に低い周波数から非常に高い周波数まで一定のインピーダンスを駆動するかのように見える。これらの周波数は、100kHzから50GHzまでにわたり得る。低周波数動作において、抵抗348は、低周波数レンジすなわちカットオフのような動作を制御し、インダクタ、キャパシタおよびFETのサイズは、高周波数レンジすなわちカットオフを制御する。
【0031】
入力信号が端子308に与えられた場合、FET324のゲート端子は、FET324A,324Bの両方が同時に駆動されるように活性化される。これらのFET324は、導通モードに入り、ドレイン端子とソース端子との間においてプリドライバFETに電流を流れさせる。このノードは、FET324A、324Bのソース端子に共通接続されており、電流源は仮想グランドのように見える。電流源330は、トランジスタにバイアスを加え、直流電流がトランジスタ324A、324Bに流れるようにする。入力端子308A,308Bに与えられる交流入力は、FET324A,324Bを通る電流を生成し、それが抵抗348およびインダクタ344,340に電流を流れさせる。Vddpノード320から電流源330への電流は、インダクタ340,344の間の電圧を確立し、この電圧は、分圧器334、およびFET224のゲート端子への入力でもある。これがプリドライバ310により実行される信号増幅の第1レベルであると考えられる。
【0032】
分圧器ネットワーク
図3Aにさらに示されているのが分圧器334A,334Bである。これは、図示されるように接続された、キャパシタと2つの抵抗とを含む。この分圧器ネットワーク334A,334Bは、カスコードトランジスタ224,228のゲートに与えられる入力電圧を分圧または低下させる。特定の実施の形態において、ノード342の直流電圧は、FET224のゲートとの直接接続には高すぎる。高周波部品にとって、FETは、グランドへのキャパシタのように見えるだろう。このキャパシタと、FET224のゲート端子に直列なキャパシタとは、直列接続されたキャパシタの振る舞いのため、分圧器のように働く。キャパシタは高周波信号を通過させる。それに加えて、低周波数において、キャパシタは開回路のように見える。したがって、低周波数は抵抗を通過する。抵抗は、高周波数にとって開回路のように見える。抵抗比と、キャパシタ対FETゲート容量比が同じように設計された場合、このネットワークは、100kHzのような低周波数範囲から50GHzまで概して平坦な周波数応答を与える。これは、光学用途および差動対増幅環境において新規な追加である。
【0033】
図3Bは、図3Aに示された増幅部のブロック図を示す。これは考えられる構成の一例に過ぎず、本技術分野の当業者は、以下の特許請求の範囲の要旨を逸脱することなく、図3Aおよび図3Bの構成から異なる実施の形態を得ることができるであろう。図示されるように、入力350A,350Bは、プリドライバ354に差動入力信号を与える。プリドライバ354は、電流源358と連携して入力信号を増幅する。プリドライバ354は、増幅部372の追加的増幅器による増幅に先立って差動入力信号を増幅する第1増幅段としての役割を果たす。
【0034】
電圧供給ノードVDDP362は、図示されるように最上段に設けられている。プリドライバ354は、図示されるように、中間段368A,368Bを通じて電圧供給ノード362に接続されている。中間段368A,368Bは、プリドライバ段310と増幅器224A,224Bの第2段とを接続する機能を果たす。中間段368A,368Bは、段間のインピーダンス整合を向上させる伝送線路のように見える。この実施の形態において、中間段368A,368Bの一部である抵抗は、中間段により形成された伝送線路を終端するための終端抵抗である。
【0035】
分圧器364A,364Bは、電圧供給ノード362とプリドライバ354との間の経路に接続されている。分圧器364A,364Bへの当該接続は、分圧器および増幅器372への入力としての役割を果たす。分圧器364A,364Bは、受動的または能動的な、いかなる単一または複数の要素であってもよく、増幅器372への入力として与えられる電圧を調整するように構成されている。ある実施の形態において、分圧器は、図3Aに示されるようなRCネットワークとして構成されている。ある実施の形態において、分圧器364A,364Bの動作は周波数に依存する。
【0036】
増幅器372は、分圧器364A,364Bからの出力を受け、受けた信号に増幅処理を実行する。任意の型式または構成の増幅器を用いることができるが、増幅を複数段、設けてもよいと考えられる。増幅器および回路の他の部分は、シングルエンド構成であってもよいし差動信号構成であってもよい。電流源376は、増幅器372に図示されるように接続されている。増幅器372は、増幅された出力信号を与えるように構成された出力380A,380Bを有する。
【0037】
図3Cは、2以上の構成部を有する差動モード構成に組み込まれた図3Aの増幅部を示す。ある構成においては2~10の構成部が設けられる。ある実施の形態では、2~10の増幅部が設けられる。この実施の形態において、増幅部390A,390Bは、図3Aまたは図4の増幅部である。これは、ある環境例における増幅部を表す。これは増幅部のとして考えられる環境の一例に過ぎない。
【0038】
図4は、追加的なキャパシタを有する増幅部の実施の形態の例である。複雑さを低減し、分散型増幅器の革新部分に焦点を当てるため、1つの増幅部のみが示されているが、分散型増幅部において使用中の複数の増幅部が設けられていてもよい。図1図2および図3との比較において、類似する構成部品には同一の参照符号が付されており、これらの要素に関する説明は繰り返さない。この例示的な実施の形態において、キャパシタ404A,404Bはインダクタ340,344に並列接続され、インダクタ340,344は、(インダクタ344とインダクタ340との間に矢印で示すように)それらの間の相互インダクタンスを与えるような態様で実装されている。キャパシタおよび相互インダクタンスを追加することにより、これらの要素(404,340,344)は、この要素構成を欠く回路と比べて拡大した帯域を与える「R定数」または「Tコイル」ネットワークを形成する。キャパシタ404A,404Bはカットオフ周波数を上昇させる。この実装は、インダクタ340,344により占有される面積を削減するためにも有用である。
【0039】
電圧制御型減衰器
本明細書にさらに開示されているのは改良された電圧制御型減衰器(VCA:Voltage-Controlled Attenuator)である。図5および図6は、従来技術のVCA500の実施の形態の例を示す。図5に示されるように、VCA500は、入力端子504を含むシングルエンド信号とともに使用するために構成され、入力端子504は入力抵抗508に接続されている。入力抵抗508の反対端子は、出力抵抗512に接続されている。出力抵抗512の反対側には出力端子516がある。FET520は、図示されるように、2つの抵抗508,512とグランドノード528との間に接続されている。制御信号ノード530は、制御信号Vgainを受け、FET520のゲート端子に直列接続された抵抗524に接続されている。
【0040】
図6は、図5と概して類似しているが、差動信号とともに使用するためのVCA500の差動構成である。図5との比較において、同一の要素には同一の参照符号が付されている。図6では、差動入力信号が入力端子504,604に与えられ、差動出力信号が出力端子516,616に与えられる。直列接続された抵抗608,612は、出力端子616から入力端子604を分離し、FET520の抵抗がVgain制御電圧とともに変化するとき、比較的制御された入力および出力インピーダンスを与えるために用いられる。
【0041】
動作中には、VCAは、入力端子に与えられる信号を減衰させる役割を果たす。制御信号(Vgain)は、典型的には電圧であり、オフ状態(非導通状態)から導通モードへとFETを制御するためにFET520のゲートに与えられる。導通モードにおいて、FET520は、FETを通過する入力信号の一部分を降下させる可変抵抗(制御要素)のように見え、その結果、出力端子に与えられる信号の電圧を減衰させる。FET520がオフである場合、それは開回路のように見えるため、全入力信号を出力信号として出力端子へと通過させる。制御電圧がFET520のゲート端子に印加されるに従い、FETは、可変抵抗として働き、FETを通過する入力信号の一部分を分流する。これは入力信号を減衰するため、VCA500の出力端子へと通過する信号強度を低減する。抵抗608,612は、FET520の抵抗がVgain制御電圧とともに変化するとき、比較的制御された入力および出力インピーダンスを与えるために用いられる。
【0042】
たとえば、ダウンストリーム増幅器が20dBのゲインを有し得るが、顧客はゲインの10dBしか必要としていない、または求めていないこともあり得る。異なる温度、異なる入力レベルもしくは他のパラメータのような異なる用途または条件のために、増幅器/VCAの顧客またはユーザが増幅器ゲインを制御することを望む場合がある。増幅器への入力信号を低減するために、VCAは、ダウンストリーム増幅器への入力信号の強度を低減するために用いることができる。この制御信号は、それが増幅器への入力信号の強度を制御することによりダウンストリーム増幅器のゲインを制御する電圧制御信号であることから、Vgainとも呼ばれ得る。
【0043】
VCAは、幅広い環境および種々の回路において使用されている一般的な要素である。VCAは、図1図4にて前述した分散型増幅器に接続して使用されてもよい。図1図4の増幅器に接続された場合、図5のシングルエンドVCAは、VCAの入力端子504が増幅される信号を受け、かつ、VCAの出力端子516が図1のシングルエンド増幅器の入力端子104に接続されるように、図1のシングルエンド増幅器に接続されるであろう。同様に、差動信号構成では、図2のVCA500は、VCAの入力端子504,604が増幅される信号を受け、同時にVCAの出力端子516,616が図2の差動増幅器の入力端子104-P,104-Nに接続されるように、図2の差動増幅器に接続されるであろう。分散型増幅器およびVCAは、いずれも同一の集積回路/パッケージアセンブリ内に構成されていてもよい。
【0044】
従来技術のVCAは、いくつかの欠点を有する。その欠点の1つは、ダイナミックレンジに影響する減衰レンジが単一FETのサイズによって制限される点である。それに加えて、単一FETの使用は、FETが非線形動作を強いられることにより、VCAのダイナミックレンジおよび線形性を制限する。以下に開示される革新は従来技術の欠点を克服する。
【0045】
図7は、複数のFETを有する差動信号構成におけるVCAを示す。図6との比較において、類似する要素には同一の参照符号が付されている。図7において、単一FET520は、図示されるようにドレイン-ソース接続された直列の2以上のFET704により置き換えられている。4つのFET704A,704B,704C,704Dが図示されているが、2以上の任意の個数のFETが図示されるように接続されていてもよいと考えられる。抵抗708A,708B,708C,708Dは、各々に対応するFETのゲートに接続されている。各抵抗708の反対端子は、制御信号Vgainを受ける共通入力端子712に接続されている。
【0046】
図示されるようにFET704を積み重ねることで、FETにかかる電圧振幅(差動信号構成)は、2以上のFET704に分配されている。一例として、VCAが1つのFET520により構成されている場合、すべての電圧振幅が単一FETのドレイン-ソース端子にかかるだろう(図6参照)。この電圧振幅は、FETの線形動作領域を超過し、非線形領域での動作をもたらす。そのようなことは求められておらず、非線形性に起因する信号劣化を引き起こすだろう。
【0047】
図7に開示されているように、2以上のFET708の積み重ねは、電圧振幅を2以上のFET708の各々に分配または分割する。たとえば、従来技術では振幅(ピーク・トゥ・ピーク)が1Vであると仮定すると、1VのすべてがFET520にかかるであろう。しかしながら、図7の構成においては、1Vの振幅が4つのFET704A,704B,704C,704Dに分配されるため、各FETには1/4Vの振幅しかかからない。多くの実施の形態において、電圧振幅は1Vよりも大きい。この構成は、非線形領域におけるFETの動作を防止し、それにより回路性能を向上させる。FET704が線形領域において動作している状態では、FET704は、線形応答を示す可変抵抗として働く。FET704、抵抗708および制御信号(Vgain)入力端子712は、全体として可変抵抗モジュール750と呼ばれる。
【0048】
抵抗Rbais708は、一般に大きな抵抗であり、限定されるものではないが、たとえば1000Ωである。それは、FET704から制御信号Vgainを隔離し、制御信号Vgain(または他の信号源)内のすべての高周波要素(非直流要素)がFETのゲート端子に到達することを防止または禁止する。実際には、この大きな抵抗値は、FETの寄生ゲート-ドレインおよびゲート-ソース容量から、FETドレインおよびソース端子の容量性負荷を減少させる。
【0049】
図8は、分散型VCAのブロック図を示す。図6および図7との比較において、類似する要素には同一の参照符号が付されている。これは考えられる実施の形態の1つに過ぎず、本技術分野の当業者は、本革新の要旨から逸脱することなく、異なる構成に到達し得ると考えられる。この実施の形態においては、入力端子504,604の間に図示されるように接続された複数の可変抵抗モジュール850が存在する。各可変抵抗モジュール850は、図7の抵抗モジュール750に示されるようにおおよそ構成されており、その動作もおおよそ類似している。可変抵抗モジュール750の構成に加えて、可変抵抗モジュール850の各々は、FETの各々または1以上に関してドレイン-ソース接続された抵抗820A,820B,820C,820Dをさらに含む。抵抗820は、トランジスタがオフである場合に各FET704のドレインおよびソース端子を同じ電圧(直流)に維持することによって、線形性を増大または維持する。しかしながら、抵抗820がない場合、特にFETがオフされているときには、FETのドレイン端子およびソース端子の直流電圧が同じにならない可能性がある。典型的には、限定されるものではないが1000Ωのような大きな値を有する抵抗820は、各FET704にかかる交流電圧振幅に不必要に影響しないだろう。抵抗820は、図5図6および図7の実施の形態において使用されてもよい。
【0050】
図8の実施の形態は、インダクタ804,808,812,816が追加されている点においても図7の実施の形態と異なる。FET704は、オフである場合、開回路のように見え、寄生容量を依然有する。これが、FETに与えられる制御信号Vgainに基づき異なる入力および出力インピーダンス、すなわち、異なるゲインレベルおよび異なる入力信号周波数において異なるインピーダンスという結果をもたらす。しかしながら、目的は線形的なゲイン制御である。インダクタ804,808,812,816は、限定されるものではないが、たとえば50Ωである一般に一定のインピーダンスを維持するために、FET704により導入された容量を相殺または無効にし、それにより、広帯域にわたって均一な減衰(または増幅器に追加された場合にはゲイン)を成立させる。インダクタ804,808,812,816は、伝送線路であって従前のインダクタではない集積回路上に、小型のトレースにより作成または形成されており、選択された長さおよび幅を有する。他の実施の形態では、従前のインダクタを含む任意のタイプの要素を使用してもよい。
【0051】
多くの使用環境が分散型増幅器およびVCAを利用する。分散型増幅器は、2点間で高速でデータを送信する光送信機において広く含まれている。多数の他の使用環境は、分散型増幅器およびゲイン制御要素に依存する。光通信システムの基礎となるのは、光変調器への変調信号、または、レーザダイオードへの直接的な変調信号を増幅するドライバ増幅器である。図9は、使用環境例すなわち光信号送信機のブロック図を示す。これは考えられる使用環境の1つに過ぎず、他の使用環境も可能と考えられる。
【0052】
図9に示されるように、データ源904は、後に光ファイバ908を介して送信されるデータを供給する。ドライバのバイアスを達成するため、電圧供給源912がシステムに電力を供給するように設けられている。電圧供給源912は、ハードワイヤによる供給電力、電源装置、バッテリまたは他の電源を含む、任意の供給源であってもよい。電圧供給源912は、バイアス回路916にバイアス電圧を供給し、それがドライバ増幅器920にバイアス電圧を供給することになる。ドライバ増幅器920はまた、送信されるデータを光学フォーマットでデータ源904から受ける。ドライバ増幅器920は、光変調器またはレーザダイオード924を駆動するのに適したレベルまでデータを増幅および変調するように構成された1以上の増幅器を含む。ドライバからの信号に応答して、光変調器またはレーザダイオード924は、データセンタ内のもう一方の装置のような離れた位置または長距離通信用途の離れた位置への送信のために、光ファイバケーブル908に与えられる光信号928を生成する。図9の構成例では、破線940の内部の要素が1以上の集積回路上に配置されている。
【0053】
この発明の他のシステム、方法、特徴および利点は、以下の図面および詳細な説明を検討することで、本技術分野の当業者にとって明らかである、または明らかになるであろう。すべてのそのような追加的なシステム、方法、特徴および利点が、この明細書に含まれ、この発明の要旨に含まれ、添付の特許請求の範囲により保護されることが意図されている。
【0054】
この発明の様々な実施の形態が記載されているが、本技術分野の当業者にとって、この発明の要旨の範囲内である、より多くの実施の形態および実施例が可能であることは明らかであろう。それに加えて、本明細書に記載された様々な特徴、要素および実施の形態は、任意の組合せまたは配置において請求または組み合わせることができる。
図1
図2
図3A
図3B
図3C
図4
図5
図6
図7
図8
図9