(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】特許公報(B2)
(11)【特許番号】
(24)【登録日】2024-09-12
(45)【発行日】2024-09-24
(54)【発明の名称】車両用灯具
(51)【国際特許分類】
F21S 43/237 20180101AFI20240913BHJP
F21S 43/245 20180101ALI20240913BHJP
F21S 43/27 20180101ALI20240913BHJP
F21S 43/31 20180101ALI20240913BHJP
F21W 103/00 20180101ALN20240913BHJP
F21W 103/10 20180101ALN20240913BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240913BHJP
【FI】
F21S43/237
F21S43/245
F21S43/27
F21S43/31
F21W103:00
F21W103:10
F21Y115:10
(21)【出願番号】P 2021006989
(22)【出願日】2021-01-20
【審査請求日】2023-12-04
(73)【特許権者】
【識別番号】000002303
【氏名又は名称】スタンレー電気株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】重松 健司
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 瑞葉
(72)【発明者】
【氏名】田中 翔太
【審査官】吉田 昌弘
(56)【参考文献】
【文献】特開2020-035712(JP,A)
【文献】特開2018-037419(JP,A)
【文献】特開2008-288050(JP,A)
【文献】米国特許出願公開第2014/0328081(US,A1)
【文献】特開2016-139465(JP,A)
(58)【調査した分野】(Int.Cl.,DB名)
F21S 43/237
F21S 43/245
F21S 43/27
F21S 43/31
F21W 103/00
F21W 103/10
F21Y 115/10
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定方向に延び、基端部側から入光した光を先端部側に向けて導光する導光棒を備えた車両用灯具であって、
前記導光棒の外周面は、正面側に配置される出光面と、その反対側の背面側に配置される反射面と、
前記出光面に対して接線連続となるように前記基端部と前記先端部との間に設けられた補強リブと、を含み、
前記反射面は、前記導光棒内を導光され当該反射面に入射する前記光を反射して前記出光面から出光させる複数の光学素子を含み、
前記出光面は、前記所定方向に直交する平面による断面形状が正面側に向かって凸の円弧形状となる曲面であり、
前記反射面は、背面側に向かって開いたV字を構成している車両用灯具。
【請求項2】
前記凸の円弧形状は、前記V字を構成する直線のうち一方の直線に対応する第1円弧形状と他方の直線に対応する第2円弧形状とを含む請求項
1に記載の車両用灯具。
【請求項3】
前記導光棒は、直線状又は曲線状に延びている請求項
1又は2に記載の車両用灯具。
【請求項4】
所定方向に延び、基端部側から入光した光を先端部側に向けて導光する第1導光棒及び第2導光棒を備えた車両用灯具であって、
前記第1導光棒と前記第2導光棒は、互いに一体であり、
前記第1導光棒の外周面は、正面側に配置され
、前記所定方向に直交する平面による断面形状が正面側に向かって凸の円弧形状となる曲面である第1出光面と、その反対側の背面側に配置される第1反射面と、を含み、
前記第2導光棒の外周面は、正面側に配置され
、前記所定方向に直交する平面による断面形状が正面側に向かって凸の円弧形状となる曲面である第2出光面と、その反対側の背面側に配置される第2反射面と、を含み、
前記第1反射面は、前記第1導光棒内を導光され当該第1反射面に入射する前記光を反射して前記第1出光面から出光させる複数の光学素子を含み、
前記第2反射面は、前記第2導光棒内を導光され当該第2反射面に入射する前記光を反射して前記第2出光面から出光させる複数の光学素子を含み、
前記第1反射面及び前記第2反射面は、
前記所定方向へ延びており背面側に向かって開いたV字を構成して
おり、
前記第1導光棒は、前記第1出光面に対して接線連続となるように前記基端部と前記先端部との間に設けられた第1補強リブを有し、
前記第2導光棒は、前記第2出光面に対して接線連続となるように前記基端部と前記先端部との間に設けられた第2補強リブを有する車両用灯具。
【請求項5】
前記第1導光棒と前記第2導光棒は、前記基端部側で並列に配置され、前記先端部側で合流して一つの棒状導光部を構成している請求項
4に記載の車両用灯具。
【請求項6】
前記第1出光面及び前記第2出光面は、基端部側においては、先端部側に向かうに従って徐々に両者間の間隔が狭くなり、中間部においては、先端部側に向かうに従って徐々に両者が合流し、さらに、先端部側においては、両者が完全に合流して一つの出光面を構成しており、
前記第1反射面及び第2反射面は、基端部側、中間部及び先端部側のいずれにおいても、背面側に向かって開いたV字を構成している請求項
5に記載の車両用灯具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用灯具に関し、特に、縦基調の発光見栄えを実現すると共に、導光棒の出光面にプリズムカットを追加することなく、水平方向の光照射範囲を拡げることができる車両用灯具に関する。
【背景技術】
【0002】
鉛直方向に延びる導光棒を用いた車両用灯具が知られている(例えば、特許文献1参照)。特許文献1に記載の車両用灯具においては、鉛直方向に延びる導光棒の出光面に追加したプリズムカットにより、鉛直方向に延びる導光棒の出光面から出光する光の水平方向の光照射範囲を拡げている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討したところ、特許文献1においては、水平方向の光照射範囲を拡げることができるものの、追加したプリズムカットに起因して導光棒が均一発光(概ね均一発光)しているように視認させることが難しい(均一感のある点灯フィーリングを実現することが難しい)ことが判明した。
【0005】
本発明は、このような問題点を解決するためになされたものであり、縦基調の発光見栄えを実現すると共に、導光棒の出光面にプリズムカットを追加することなく、水平方向の光照射範囲を拡げることができる車両用灯具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明にかかる車両用灯具は、所定方向に延び、基端部側から入光した光を先端部側に向けて導光する導光棒を備えた車両用灯具であって、前記導光棒の外周面は、正面側に配置される出光面と、その反対側の背面側に配置される反射面と、を含み、前記反射面は、前記導光棒内を導光され当該反射面に入射する前記光を反射して前記出光面から出光させる複数の光学素子を含み、前記反射面は、背面側に向かって開いたV字を構成している。
【0007】
このような構成により、縦基調の発光見栄えを実現すると共に、導光棒の出光面にプリズムカットを追加することなく、水平方向の光照射範囲を拡げることができる。
【0008】
これは、反射面が、背面側に向かって開いたV字(V溝)を構成していることによるものである。
【0009】
上記車両用灯具において、前記出光面は、前記所定方向に直交する平面による断面形状が正面側に向かって凸の円弧形状となる曲面であってもよい。
【0010】
また、上記車両用灯具において、前記凸の円弧形状は、前記V字を構成する直線のうち一方の直線に対応する第1円弧形状と他方の直線に対応する第2円弧形状とを含んでいてもよい。
【0011】
また、上記車両用灯具において、前記出光面に対して接線連続となるように設けられた補強リブをさらに備えていてもよい。
【0012】
また、上記車両用灯具において、前記導光棒は、直線状又は曲線状に延びていてもよい。
【0013】
本発明にかかる他の車両用灯具は、所定方向に延び、基端部側から入光した光を先端部側に向けて導光する第1導光棒及び第2導光棒を備えた車両用灯具であって、前記第1導光棒の外周面は、正面側に配置される第1出光面と、その反対側の背面側に配置される第1反射面と、を含み、前記第2導光棒の外周面は、正面側に配置される第2出光面と、その反対側の背面側に配置される第2反射面と、を含み、前記第1反射面は、前記第1導光棒内を導光され当該第1反射面に入射する前記光を反射して前記第1出光面から出光させる複数の光学素子を含み、前記第2反射面は、前記第2導光棒内を導光され当該第2反射面に入射する前記光を反射して前記第2出光面から出光させる複数の光学素子を含み、前記第1反射面及び前記第2反射面は、背面側に向かって開いたV字を構成している。
【0014】
上記車両用灯具において、前記第1導光棒と前記第2導光棒は、互いに一体であってもよい。
【0015】
また、上記車両用灯具において、前記第1導光棒と前記第2導光棒は、前記基端部側で並列に配置され、前記先端部側で合流して一つの棒状導光部を構成していてもよい。
【0016】
また、上記車両用灯具において、前記第1出光面及び前記第2出光面は、基端部側においては、先端部側に向かうに従って徐々に両者間の間隔が狭くなり、中間部においては、先端部側に向かうに従って徐々に両者が合流し、さらに、先端部側においては、両者が完全に合流して一つの出光面を構成しており、前記第1反射面及び第2反射面は、基端部側、中間部及び先端部側のいずれにおいても、背面側に向かって開いたV字を構成していてもよい。
【0017】
また、上記車両用灯具において、前記第1導光棒と前記第2導光棒は、互いに別体であってもよい。
【発明の効果】
【0018】
本発明により、縦基調の発光見栄えを実現すると共に、導光棒の出光面にプリズムカットを追加することなく、水平方向の光照射範囲を拡げることができる車両用灯具を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【
図5】(a)
図3中のA-A断面斜視図、(b)
図3中のB-B断面斜視図、(c)
図3中のC-C断面斜視図である。
【
図7】完全に正面(車両後方)を向いた状態の第1導光棒(第2導光棒)の概略断面図である。
【
図8】(a)第1補強リブ22Rを設けない場合、発光しているように視認される範囲を表す図、(b)第1補強リブ22Rを設けた場合、発光しているように視認される範囲を表す図である。
【
図9】テールランプ用配光パターンの一例である(シミュレーション結果)。
【
図10】(a)比較例の車両用灯具おいて用いられる導光体(第1導光棒、第2導光棒)の断面斜視図、(b)比較例の車両用灯具により形成されるテールランプ用配光パターンの一例である(シミュレーション結果)。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態である車両用灯具10について添付図面を参照しながら説明する。各図において対応する構成要素には同一の符号が付され、重複する説明は省略される。
【0021】
【0022】
以下、車両用灯具10が、車両用信号灯具(テールランプ)で、自動二輪車(図示せず)の後端部(左右方向の略中央)に搭載される例について説明する。
【0023】
図1に示すように、車両用灯具10は、導光体20、光源30、光源30が実装された基板40を備えている。車両用灯具10は、図示しないが、アウターレンズとハウジングとによって構成される灯室内に配置され、ハウジング等に固定される。
【0024】
図2(a)及び
図2(b)は正面側から見た導光体20の斜視図、
図3は側面図である。
図4は、背面側から見た導光体20の斜視図である。
図5(a)は
図3中のA-A断面斜視図、
図5(b)は
図3中のB-B断面斜視図、
図5(c)は
図3中のC-C断面斜視図である。
【0025】
導光体20は、アクリルやポリカーボネイト等の透明樹脂製で、
図2~
図4に示すように、第1導光棒21R、第2導光棒21L、第1及び第2補強リブ22R、22L、フランジ部23、24、26を含む。導光体20は、フランジ部23、24をネジ止め等することで、ハウジング(図示せず)等に取り付けられる。
【0026】
図3に示すように、第1導光棒21Rは、基端部BE
21R(上端部)から正面(車両後方)に向かって概ね水平に延び、さらに、湾曲部CR
21Rを介して正面(車両後方)斜め下方に向かって延びている。
【0027】
図5等に示すように、第1導光棒21Rの外周面は、正面側(車両後方側)に配置される第1出光面21Raと、その反対側の背面側(車両前方側)に配置される第1反射面21Rbと、を含む。
【0028】
第1出光面21Raは、所定方向(長手方向)に直交する平面による断面形状が正面側に向かって凸の円弧形状の曲面(シリンドリカル状の面)である(
図6等参照)。
図6は、
図3中のB-B断面斜視図である。
図6中の符号AXは、自動二輪車の前後方向に延びる基準軸を表す。導光体20は、基準軸AXを含む鉛直面に対して対称に構成されている。なお、導光体20は、基準軸AXを含む鉛直面に対して非対称に構成されていてもよい。
【0029】
第1出光面21Raは、背面側の第1反射面21Rb(レンズカット)を拡大投影する凸レンズ部として機能する。第1出光面21Raは、第1導光棒21Rの基端部BE
21Rと先端部FE
21Rとの間に設けられている(
図3等参照)。なお、第1出光面21Raは、先端部FE
21R(下端部)側(
図3中の符号a3が示す範囲参照)において第2出光面21Laと合流して一つの出光面を構成している(
図2参照)。
【0030】
第1反射面21Rbは、所定方向(長手方向)に直交する平面による断面形状が直線形状の面である(
図6等参照)。第1反射面21Rbは、第1導光棒21R内を導光され当該第1反射面21Rbに入射する光を反射(拡散反射)して第1出光面21Raから出光させる複数の光学素子25Rを含む(
図4等参照)。光学素子25Rは、例えば、レンズカット(例えば、V溝)である。V溝の角度は、第1出光面21Raから出光する光が鉛直方向に関し法規(例えば、UNR-50)を満たすように考慮された角度である。第1反射面21Rbは、第1導光棒21Rの基端部BE
21Rと先端部FE
21Rとの間に設けられている(
図4等参照)。
【0031】
第1反射面22Rbで反射され第1出光面21Raから出光する光が角度θ
Rの範囲(
図6参照)に照射されるように、第1導光棒21Rは、完全に正面(車両後方)を向いた状態(
図7参照)ではなく、車幅方向外側を向いた状態(
図6参照)で配置されている。角度θ
Rは、例えば、80°である。
図7は、完全に正面(車両後方)を向いた状態の第1導光棒(第2導光棒)の概略断面図である。
【0032】
このように、第1導光棒21Rを車幅方向外側を向いた状態(
図6参照)で配置することで、第1導光棒21Rを完全に正面(車両後方)を向いた状態(
図7参照)で配置する場合と比べ、発光しているように視認される範囲(第1反射面21Rbを視認できる範囲)を拡大することができる。これにより、水平方向の光照射範囲を拡げることができる。
【0033】
図4等に示すように、第1導光棒21Rは、第1補強リブ22Rを有する。第1補強リブ22Rは、主に、成形時の変形を抑制するために設けられる。第1補強リブ22Rは、角度θ
Rの範囲に照射される光を妨げないよう、第1出光面21Ra(凸レンズ部)に対して接線連続となるように設けられている(
図6等参照)。第1補強リブ22Rは、第1導光棒21Rの基端部BE
21Rと先端部FE
21Rとの間に設けられている(
図3等参照)。
【0034】
このように、第1補強リブ22Rを設けることで、第1補強リブ22Rを設けない場合と比べ、発光しているように視認される範囲(第1反射面21Rbを視認できる範囲)をさらに拡大することができる。これにより、水平方向の光照射範囲をさらに拡げることができる。
【0035】
例えば、
図8(a)に示すように第1補強リブ22Rを設けない場合、発光しているように視認される範囲(第1反射面21Rbを視認できる範囲)は、
図8(a)中符号a4で示す範囲である。
図8(a)は、第1補強リブ22Rを設けない場合、発光しているように視認される範囲を表す図である。なお、
図8(a)中、第1出光面21Raのうち範囲a4は、凸レンズ部として機能している。
【0036】
これに対して、
図8(b)に示すように、第1補強リブ22Rを設けた場合、発光しているように視認される範囲(第1反射面21Rbを視認できる範囲)は、
図8(b)中符号a5で示す範囲に拡大される。これは、主に、第1補強リブ22Rを設け、第1反射面21Rbを第1補強リブ22R側に延長した(
図8(b)参照)ことによるものである。
図8(b)は、第1補強リブ22Rを設けた場合、発光しているように視認される範囲を表す図である。なお、
図8(b)中、第1出光面21Raのうち範囲a6は、凸レンズ部として機能している。一方、第1補強リブ22Rを設けた範囲a7は、素通し部として機能している。
【0037】
第2導光棒21Lは、
図3に示す第1導光棒21Rと同様、基端部BE
21L(上端部)から正面(車両後方)に向かって概ね水平に延び、さらに、湾曲部CR
21Lを介して正面(車両後方)斜め下方に向かって延びている。
【0038】
図5等に示すように、第2導光棒21Lの外周面は、正面側(車両後方側)に配置される第2出光面21Laと、その反対側の背面側(車両前方側)に配置される第2反射面21Lbと、を含む。
【0039】
第2出光面21Laは、所定方向(長手方向)に直交する平面による断面形状が正面側に向かって凸の円弧形状の曲面(シリンドリカル状の面)である(
図6等参照)。第2出光面21Laは、背面側の第2反射面21Lb(レンズカット)を拡大投影する凸レンズ部として機能する。第2出光面21Laは、
図3に示す第1出光面21Raと同様、第2導光棒21Lの基端部BE
21Lと先端部FE
21Lとの間に設けられている。なお、第2出光面21Laは、先端部FE
21L(下端部)側(
図3中の符号a3が示す範囲参照)において第1出光面21Raと合流して一つの出光面を構成している(
図2参照)。
【0040】
第2反射面21Lbは、所定方向(長手方向)に直交する平面による断面形状が直線形状の面である(
図6等参照)。第2反射面21Lbは、第2導光棒21L内を導光され当該第2反射面21Lbに入射する光を反射(拡散反射)して第2出光面21Laから出光させる複数の光学素子25Lを含む(
図4等参照)。光学素子25Lは、例えば、レンズカット(例えば、V溝)である。V溝の角度は、第2出光面21Laから出光する光が鉛直方向に関し法規を満たすように考慮された角度である。第2反射面21Lbは、第2導光棒21Lの基端部BE
21Lと先端部FE
21Lとの間に設けられている(
図4等参照)。
【0041】
第2反射面21Lbで反射され第2出光面21Laから出光する光が角度θ
Lの範囲(
図6参照)に照射されるように、第2導光棒21Lは、完全に正面(車両後方)を向いた状態ではなく、車幅方向外側を向いた状態(
図6等参照)で配置されている。角度θ
Lは、例えば、80°である。
【0042】
このように、第2導光棒21Lを車幅方向外側を向いた状態(
図6参照)で配置することで、第2導光棒21Lを完全に正面(車両後方)を向いた状態で配置する場合と比べ、発光しているように視認される範囲(第2反射面21Lbを視認できる範囲)を拡大することができる。これにより、水平方向の光照射範囲を拡げることができる。
【0043】
図4等に示すように、第2導光棒21Lは、第2補強リブ22Lを有する。第2補強リブ22Lは、主に、成形時の変形を抑制するために設けられる。第2補強リブ22Lは、角度θ
Lの範囲に照射される光を妨げないよう、第2出光面21La(凸レンズ部)に対して接線連続となるように設けられている(
図6等参照)。第2補強リブ22Lは、第2導光棒21Lの基端部BE
21Lと先端部FE
21Lとの間に設けられている(
図4等参照)。
【0044】
このように、第2補強リブ22Lを設けることで、第2補強リブ22Lを設けない場合と比べ、発光しているように視認される範囲(第2反射面21Lbを視認できる範囲)をさらに拡大することができる。
【0045】
これにより、水平方向の光照射範囲をさらに拡げることができる。このように、発光しているように視認される範囲(第2反射面21Lbを視認できる範囲)をさらに拡大することができるのは、主に、第2補強リブ22Lを設け、第2反射面21Lbを第2補強リブ22L側に延長したことによるものである。
【0046】
図2、
図3等に示すように、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lは、基端部BE
21R、BE
21L側が上方、かつ、先端部FE
21R、FE
21L側が下方に位置した状態で互いに並列に配置されており、正面視で概ね鉛直方向に延びている。これにより、縦基調の発光見栄えが実現される。
【0047】
その際、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lは、基端部BE
21R、BE
21L(上端部)側(
図3中の符号a1が示す範囲参照)においては、先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側に向かうに従って徐々に両者間の間隔が狭くなり(
図2参照)、中間部(
図3中の符号a2が示す範囲参照)においては、先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側に向かうに従って徐々に両者が合流し(
図2参照)、さらに、先端部FE
21R、FE
21L側(
図3中の符号a3が示す範囲参照)においては、両者が完全に合流して一つの棒状導光部を構成している(
図2参照)。なお、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lは、基端部BE
21R、BE
21L側において、フランジ部26(
図2等参照)により互いに連結されている。
【0048】
同様に、第1出光面21Ra及び第2出光面21Laは、基端部BE
21R、BE
21L(上端部)側(
図3中の符号a1が示す範囲参照)においては、先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側に向かうに従って徐々に両者間の間隔が狭くなり、中間部(
図3中の符号a2が示す範囲参照)においては、先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側に向かうに従って徐々に両者が合流し、さらに、先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側(
図3中の符号a3が示す範囲参照)においては、両者が完全に合流して一つの出光面を構成している。
【0049】
一方、第1反射面21Rb及び第2反射面21Lbは、基端部BE
21R、BE
21L(上端部)側(
図3中の符号a1が示す範囲参照)、中間部(
図3中の符号a2が示す範囲参照)及び先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側(
図3中の符号a2が示す範囲参照)のいずれにおいても、背面側に向かって開いたV字(V溝)を構成している(
図5(a)~
図5(c)参照)。
【0050】
光源30は、第1導光棒21Rの基端部BE
21R側の端面21Rc(入光面。
図4参照)に対向して配置された第1光源30R、及び第2導光棒21Lの基端部BE
21L側の端面21Lc(入光面。
図4参照)に対向して配置された第2光源30Lを含む。各々の光源30R、30Lは、放熱性を考慮して、ヒートシンク又はハウジング(いずれも図示せず)等に固定された基板40上に実装されている。
【0051】
第1光源30R、第2光源30Lは、例えば、赤色光を発光するLED等の半導体発光素子である。第1光源30R、第2光源30Lは、発光面(例えば、1mm角の矩形の発光面)を備える。第1光源30Rは、発光面が第1導光棒21Rの基端部BE21R側の端面21Rcに対向した状態で配置されている。第2光源30Lは、発光面が第2導光棒21Lの基端部BE21L側の端面21Lcに対向した状態で配置されている。
【0052】
上記構成の車両用灯具10においては、第1光源30R及び第2光源30Lを点灯することで、テールランプ用の配光パターンを形成することができる。
【0053】
第1光源30Rが点灯されると、第1光源30Rからの光は、第1導光棒21Rの基端部BE21R側の端面21Rc(入光面)から第1導光棒21Rに入光し、第1導光棒21R内で内面反射(全反射)を繰り返しつつ第1導光棒21Rの先端部FE21Rに向けて第1導光棒21R内を導光される。そして、第1導光棒21R内を導光される第1光源30Rからの光は、第1反射面21Rb(光学素子25R)で内面反射(拡散反射)され第1導光棒21Rの第1出光面21Raから出光する。
【0054】
第2光源30Lが点灯されると、第2光源30Lからの光は、第2導光棒21Lの基端部BE21L側の端面21Lc(入光面)から第2導光棒21Lに入光し、第2導光棒21L内で内面反射(全反射)を繰り返しつつ第2導光棒21Lの先端部FE21Lに向けて第2導光棒21L内を導光される。そして、第2導光棒21L内を導光される第2光源30Lからの光は、第2反射面21Lb(光学素子25L)で内面反射(拡散反射)され第2導光棒21Lの第2出光面21Laから出光する。
【0055】
以上のように、第1導光棒21Rの第1出光面21Raから出光する光及び第2導光棒21Lの第2出光面21Laから出光する光が車両後方(主に
図6に示す角度θ
Rの範囲及び角度θ
Lの範囲)に照射されることにより、テールランプ用配光パターンが実現される。
【0056】
図9は、テールランプ用配光パターンの一例である(シミュレーション結果)。
【0057】
図9を参照すると、左右80°付近の光度が、法規がテールランプにおいて求める光度(0.05cd以上)を満たすことが分かる。
【0058】
次に、比較例について説明する。
【0059】
図10(a)は、比較例の車両用灯具において用いられる導光体(第1導光棒、第2導光棒)の断面斜視図である。
【0060】
図10(a)に示すように、比較例の車両用灯具においては、第1導光棒21R´及び第2導光棒21L´は、完全に正面(車両後方)を向いた状態で配置されている。それ以外、比較例の車両用灯具は、上記実施形態の車両用灯具10と同様の構成である。
【0061】
図10(b)は比較例の車両用灯具により形成されるテールランプ用配光パターンの一例である(シミュレーション結果)。
【0062】
図10(b)を参照すると、左右80°付近の光度が、法規がテールランプにおいて求める光度(0.05cd以上)を満たさないことが分かる。
【0063】
以上説明したように、本実施形態によれば、縦基調の発光見栄えを実現すると共に、導光棒の出光面にプリズムカットを追加することなく、水平方向の光照射範囲を拡げることができる。
【0064】
縦基調の発光見栄えを実現できるのは、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lが正面視で概ね鉛直方向に延びていることによるものである。
【0065】
導光棒の出光面にプリズムカットを追加することなく、水平方向の光照射範囲を拡げることができるのは、第1反射面21Rb及び第2反射面21Lbが、基端部BE
21R、BE
21L(上端部)側(
図3中の符号a1が示す範囲参照)、中間部(
図3中の符号a2が示す範囲参照)及び先端部FE
21R、FE
21L(下端部)側(
図3中の符号a2が示す範囲参照)のいずれにおいても、背面側に向かって開いたV字(V溝)を構成していることによるものである。なお、このV字(V溝)は、正面視で概ね鉛直方向に延びている。
【0066】
また、本実施形態によれば、縦基調の発光見栄えを実現しつつ、法規が求める要件を満たす水平方向にワイドな配光パターン(例えば、テールランプ用配光パターン)を実現することができる。
【0067】
また、本実施形態によれば、縦基調の発光見栄えを実現しつつ、水平方向に関し被視認範囲を拡げることができる。
【0068】
また、本実施形態によれば、導光棒の出光面側にプリズムカットを設けていないため、導光棒が均一発光(概ね均一発光)しているように視認させることができる。
【0069】
また、本実施形態によれば、第1補強リブ22R、第2補強リブ22Lを設けることで、発光しているように視認される範囲をさらに拡大することができる。
【0070】
次に、変形例について説明する。
【0071】
上記実施形態では、複数の導光棒(第1導光棒21R及び第2導光棒21L)を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、1つの導光棒を用いてもよい。例えば、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lが合流することで構成された棒状導光部(
図3中の符号a3が示す範囲参照)に相当する1つの導光棒を用いてもよい。
【0072】
なお、所定方向に直交する平面による導光棒(出光面)の断面形状は、正面側に向かって凸の1つの円弧形状の曲面であってもよい(例えば、
図5(c)参照)し、V字を構成する直線のうち一方の直線に対応する第1円弧形状と他方の直線に対応する第2円弧形状とを含んでいてもよい(例えば、
図5(b)参照)。
【0073】
また、導光棒として、所定方向に直交する平面による断面形状が銀杏型の導光棒を用いてもよい。なお、断面形状が銀杏型の導光棒は、例えば、特開2017-41368号公報に記載されている。
【0074】
また、上記実施形態では、第1補強リブ22R、及び第2補強リブ22Lを用いた例について説明したが、これに限らない。第1補強リブ22R、及び第2補強リブ22Lは省略してもよい(例えば、第1補強リブ22R、及び第2補強リブ22Lが無くても形状を保てる場合)。
【0075】
また、上記実施形態では、導光棒として、基端部BE21R(上端部)から正面(車両後方)に向かって概ね水平に延び、さらに、湾曲部CR21Rを介して正面(車両後方)斜め下方に向かって延びている第1導光棒21R、及び基端部BE21L(上端部)から正面(車両後方)に向かって概ね水平に延び、さらに、湾曲部CR21Lを介して正面(車両後方)斜め下方に向かって延びている第2導光棒21Lを用いた例について説明したが、これに限らない。
【0076】
すなわち、導光棒は、縦基調の導光棒(鉛直方向又は概ね鉛直方向に延びた導光棒)であればよく、直線状に延びた導光棒や曲線状に延びた導光棒等の様々な縦基調の導光棒を用いることができる。なお、導光棒は、縦基調の導光棒部分と横基調の導光棒部分とが混在した導光棒であってもよい。すなわち、導光棒は、車両デザイン、灯具デザインに応じて様々な形態を採り得る。
【0077】
また、上記実施形態では、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lが互いに一体である例について説明したがこれに限らない。例えば、第1導光棒21R及び第2導光棒21Lは、互いに別体であってもよい。例えば、互いに別体の導光棒として、間隔をあけて配置された2つの導光棒21R、21L(
図3中の符号a3が示す範囲参照)に相当する2つの導光棒を用いてもよい。
【0078】
また、上記実施形態では、2つの導光棒(第1導光棒21R及び第2導光棒21L)を用いた例について説明したが、これに限らない。例えば、3つ以上の導光棒を用いてもよい。
【0079】
また上記実施形態では、本発明の車両用灯具をテールランプに適用した例について説明したが、これに限らない。例えば、ポジションランプ、フロントコンビネーションランプ、リアコンビネーションランプ、ポジションランプ等の他の車両用信号灯具に本発明の車両用灯具を適用してもよい。
【0080】
また、上記実施形態では、本発明の車両用灯具を自動二輪車に搭載する例について説明したが、これに限らない。例えば、自動二輪車以外の自動車等に搭載してもよい。
【0081】
上記各実施形態で示した各数値は全て例示であり、これと異なる適宜の数値を用いることができるのは無論である。
【0082】
上記各実施形態はあらゆる点で単なる例示にすぎない。上記各実施形態の記載によって本発明は限定的に解釈されるものではない。本発明はその精神または主要な特徴から逸脱することなく他の様々な形で実施することができる。
【符号の説明】
【0083】
10…車両用灯具、20…導光体、21L…第2導光棒、21La…第2出光面、21Lb…第2反射面、21Lc…端面(入光面)、21L´…第2導光棒、21R…第1導光棒、21Ra…第1出光面、21Rb…第1反射面、21Rc…端面(入光面)、21R´…第1導光棒、22L…第2補強リブ、22Lb…第2反射面、22R…第1補強リブ、22Rb…第1反射面、23、24…フランジ部、25R、25L…光学素子、26…フランジ部、30(30R、30L)…光源、31R…第1導光棒、31L…第2導光棒、40…基板、BE21R、BE21L…基端部、CR21R、CR21L…湾曲部、FE21R、FE21L…先端部